(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 45/3725 20200101AFI20240702BHJP
H05B 45/10 20200101ALI20240702BHJP
【FI】
H05B45/3725
H05B45/10
(21)【出願番号】P 2020099192
(22)【出願日】2020-06-08
【審査請求日】2023-05-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 オーデリック株式会社が令和2年1月15日から令和2年6月8日の間に計6店舗に対し販売
(73)【特許権者】
【識別番号】000103633
【氏名又は名称】オーデリック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 隆彦
(72)【発明者】
【氏名】小田 伸二
(72)【発明者】
【氏名】大塚 賢一
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-110874(JP,A)
【文献】特開2014-089827(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/3725
H05B 45/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1直流電圧を出力する直流電圧供給部と、
前記第1直流電圧を降圧して第2直流電圧を出力する電源回路と、複数の発光ダイオードを直列接続した発光ダイオード回路に所定電流に調整した直流電流を出力する発光ダイオードドライバ回路と
、を有する発光ダイオード点灯回路であって、
前記発光ダイオードドライバ回路は、
前記発光ダイオード回路に対して高電圧側に配置され、オンオフ動作することにより前記直流電圧供給部から出力された
前記第1直流電圧を所定電圧に調整して前記発光ダイオード回路に出力するスイッチング素子と、
前記第2直流電圧によって駆動され、調光指示信号により指示された調光度に応じて前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御するドライバ制御回路と、
DC/DCコンバータICとこのDC/DCコンバータICの出力端子に接続されたインピーダンス素子を備え、
前記DC/DCコンバータICが、前記スイッチング素子に対して低電圧側に配置され前記発光ダイオード回路の高電圧側の端子に接続される第1端子と、前記発光ダイオード回路の低電圧側の端子に前記インピーダンス素子を介して接続される第2端子と、を備えるDC/DCコンバータ部と
を有することを特徴とする発光ダイオード点灯回路。
【請求項2】
前記インピーダンス素子は、温度上昇に伴い抵抗値が下がるサーミスタを含む
ことを特徴とする請求項1に記載の発光ダイオード点灯回路。
【請求項3】
前記直流電圧供給部は、
商用電源から入力された交流電圧を整流して整流電圧を出力する整流回路と、
前記整流電圧を平滑化した直流電圧を出力すると共に、力率改善動作を行う力率改善回路と
を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の発光ダイオード点灯回路。
【請求項4】
前記発光ダイオード回路に前記スイッチング素子を介した電流のみを流す
請求項1~3のいずれか1項に記載の発光ダイオード点灯回路。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の発光ダイオード点灯回路と、
前記発光ダイオード回路を有する発光ダイオードユニットと
を有することを特徴とする発光ダイオード照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)は、蛍光管に比べて、寿命が長く消費電力が少ないという利点を有している。このようなLEDを用いた発光ダイオード照明装置(LED照明装置)は、発光ダイオードユニット(LEDユニット)と発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)を備えている。
【0003】
LEDユニットは、例えば、複数のLEDが実装されたプリント基板を、筐体の内部に取り付けて構成されている。複数のLEDは、電気的に直列接続されて、発光ダイオード回路(LED回路)を構成している。
【0004】
LED点灯回路は、例えば、全波整流回路と、力率改善回路(PFC(Power Factor Correction)回路)と、スイッチング素子を有する発光ダイオードドライバ回路(LEDドライバ回路)等を有している。スイッチング素子としては、例えば、NチャネルタイプのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)が用いられる。
【0005】
LEDドライバ回路のスイッチング素子は、ローサイド配置される場合と、ハイサイド配置される場合がある。スイッチング素子をハイサイド配置する回路は、負荷であるLED回路の負極側を接地電位部GNDに接続することができるという利点がある。しかしスイッチング素子をハイサイド配置した場合には、スイッチング素子を起動開始するために、LED回路に起動電流を流すことが必要である。そのため、100V以上の電圧を、起動抵抗を介してLEDドライバ回路の外部電源入力端子に印加している。
【0006】
なお、LEDドライバ回路のスイッチング素子をハイサイド配置する技術は、特許文献1に示されている。特許文献1の回路では、LEDドライバ回路の入力電源として100V以上の電圧を常時印加しているので電源効率が悪化するが、その対策として15V程度の低い電圧と100V以上の電圧の2種類の電源を用いる場合がある。
【0007】
図3は従来例に係るLED照明装置10Pを示す。このLED照明装置10Pは、LED点灯回路100Pと、LEDユニット200Pを有している。LEDユニット200Pは、複数のLED201を直列接続したLED回路210を備えている。
【0008】
LED点灯回路100Pは、電源スイッチSWを介して商用電源50に接続される全波整流回路110と、コンデンサC21が接続されたPFC回路120と、LEDドライバ回路130と、外部電源140と、信号伝達素子150と、起動抵抗R61及びダイオードD61を直列接続してなる起動回路60を有している。
LEDドライバ回路130は、ダイオードD31及びコンデンサC31が接続されると共に内部電源回路131aを有するドライバ制御IC131と、コンバータ回路132を有している。
コンバータ回路132は、スイッチング素子Q31と、抵抗R31,R33と、コンデンサC32と、転流ダイオードD32と、インダクタL31を有している。抵抗R33は、放電用抵抗である。
【0009】
このLED点灯回路100Pでは、ドライバ制御IC131に電圧を供給するため、2種類の電源、即ち、低電圧(例えば、15V程度)を出力する外部電源140と高電圧(100V以上、例えば、268V)を出力する起動回路60という、2種類の電源を用いている。
また、PFC回路120を備えて力率改善をしているため、商用電源50の電源変動があっても、LEDユニット200Pでの「ちらつき」を防止している。
【0010】
ドライバ制御IC131は、信号伝達素子150から入力された調光指示信号αに応じて、スイッチング素子Q31をオンオフ動作する。スイッチング素子Q31がオンオフ動作すると、所定の電流値に調整されたスイッチング電流(直流電流)がLED回路210に流れてLEDユニット200Pが点灯する。
【0011】
起動時においては、LED点灯回路100Pでは、PFC回路120から供給された電圧(例えば、400V)からの起動電流が、起動抵抗R61とダイオードD61の直列接続を介してドライバ制御IC131の外部電源入力端子Vinに流れ込む。このため、内部電源回路131aのレギュレータにより、コンデンサC31が10V程度に充電され、ドライバ制御IC131が動作を開始し、スイッチング素子Q31がスイッチングを開始する。尚、起動抵抗R61を介して流れる起動電流は、PFC回路120から点線の矢印で示す経路に沿いLEDユニット200PのLED回路210に流れる。
【0012】
スイッチング素子Q31がスイッチングオフ時には、15V程度の外部電源140からの電圧がダイオードD31を介してドライバ制御IC131の外部電源入力端子Vinに印加され、コンデンサC31が10V程度に充電される。尚、電源効率を改善するために、起動抵抗R61経由の起動電流は起動開始を満足する必要最小限の値に設定し、ドライバ制御IC131を正常動作させるための主電源は15V程度の外部電源140を利用する。
【0013】
電源スイッチSWをオフにしてLEDユニット200Pを消灯する場合は、LED点灯回路100Pの出力端子102a,102bに対して並列接続された放電用抵抗R33に、コンデンサC21とコンデンサC32に充電されていた電荷による放電電流を流して、コンデンサ充電電荷を放電する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
ところで、調光機能を有するLED点灯回路において、LEDドライバ回路のスイッチング素子をハイサイド配置した従来技術では、次のような問題があった。
【0016】
(1) スイッチング素子Q31から出力された調光度に応じたスイッチング電流が、LED回路210に流入するのみならず、ドライバ制御IC131を起動するための起動電流が、
図3において点線の矢印で示すように、ドライバ制御IC131から流出してきてLED回路210に流入してしまう。このため、調光指示信号αにより指示した調光度に応じた輝度よりも、LEDユニット200Pが発生する実際の輝度の方が大きくなる。この結果、特に調光度が小さいとき(例えば、調光度が1%のとき)には、LEDユニット200Pが発生する実際の輝度が、調光指示信号αにより指示した調光度に応じた輝度よりも大きくなる現象が目立ってしまい、かかる不具合現象を人の視覚によっても視認できてしまうことがある。
【0017】
(2) オン状態になっている電源スイッチSWをオフにしたときには、外部電源140から出力される電圧は直ちにゼロになるが、PFC回路120のコンデンサC21には電圧(例えば、400V)がチャージされている。このため、電源スイッチSWをオフにした後であっても、コンデンサC21にチャージされた電圧に起因する電流が、
図3において実線の矢印及び点線の矢印で示すように、LED回路210に流入してしまう。このため、LEDユニット200Pは、電源スイッチSWをオフにした時点から、コンデンサC21のチャージ電圧がLEDユニット200Pの点灯開始電圧以下になるまでの期間において微点灯する。この現象は特にLEDユニット200Pの電力消費の小さい(例えば、調光度が1%のとき)場合に顕著である。
【0018】
(3) オンにしていた電源スイッチSWをオフにした後、直ちにオンに戻した際にはコンバータ回路132のコンデンサC32の電荷が十分に放電されないので、コンデンサC31の充電を行うことができない。これは、コンデンサC32の電圧が外部電源140の電位よりも高くなるからである。このようにコンデンサC31の充電ができないと、ドライバ制御IC131を起動できず、これに伴いスイッチング素子Q31のオンオフ動作が再開せず、LEDユニット200を再点灯することができない。
【0019】
なお、放電用抵抗R33の抵抗値をなるべく小さくして、コンデンサC32にチャージされている電荷の放電を迅速に行おうとした場合には、新たな問題が発生する。即ち、放電用抵抗R33の抵抗値を小さくすると、定常点灯時に放電用抵抗R33に流れる電流が多くなり、電力効率が低下すると共に、放電用抵抗R33の発熱が大きくなる。したがって、放電用抵抗R33の抵抗値を小さくすることはできない。
【0020】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、調光度に応じた正確な輝度でLEDユニットを点灯させることができると共に、電源スイッチの開(オフ)によりLEDユニットを直ちに消灯することができ、更に、電源スイッチを素早く開(オフ)閉(オン)してもLEDユニットを再点灯することができる、発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明の実施形態に係る発光ダイオード点灯回路は、直流電圧を出力する直流電圧供給部と、複数の発光ダイオードを直列接続した発光ダイオード回路に所定電流に調整した直流電流を出力する発光ダイオードドライバ回路とを有する発光ダイオード点灯回路であって、前記発光ダイオードドライバ回路は、前記発光ダイオード回路に対して高電圧側に配置され、オンオフ動作することにより前記直流電圧供給部から出力された直流電圧を所定電流に調整して前記発光ダイオード回路に出力するスイッチング素子と、調光指示信号により指示された調光度に応じて前記スイッチング素子のオンオフ動作を制御するドライバ制御回路と、DC/DCコンバータICとこのDC/DCコンバータICの出力端子に接続されたインピーダンス素子を備え、前記発光ダイオード回路に対して並列接続されるDC/DCコンバータ部とを有することを特徴とする。
【0022】
本発明の実施形態に係る発光ダイオード点灯回路において、前記インピーダンス素子は、温度上昇に伴い抵抗値が下がるサーミスタを含んでいても良い。
【0023】
本発明の実施形態に係る発光ダイオード点灯回路において、前記直流電圧供給部は、商用電源から入力された交流電圧を整流して整流電圧を出力する整流回路と、前記整流電圧を平滑化した直流電圧を出力すると共に、力率改善動作を行う力率改善回路とを有していても良い。
【0024】
本発明の実施形態に係る発光ダイオード照明装置は、上述したいずれかの発光ダイオード点灯回路と、前記発光ダイオード回路を有する発光ダイオードユニットとを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、調光度に応じた正確な輝度でLEDユニットを点灯させることができると共に、電源スイッチの開(オフ)によりLEDユニットを直ちに消灯することができ、更に、電源スイッチを素早く開(オフ)閉(オン)してもLEDユニットを再点灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1A】本発明の第1の実施形態に係る、発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置の回路構成を示す回路図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態に係る、発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置の回路構成において、起動電流が流れる経路を示した回路図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態に係る、発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置の回路構成を示す回路図である。
【
図3】従来例に係る、発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置の回路構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、この発明の実施形態に係る発光ダイオード点灯回路及び発光ダイオード照明装置を詳細に説明する。
【0028】
[第1の実施形態]
図1Aを参照して、本発明の第1の実施形態に係る、発光ダイオード点灯回路、及び、この発光ダイオード点灯回路と発光ダイオードユニットを有する発光ダイオード照明装置について説明する。
【0029】
[発光ダイオード照明装置の概要説明]
本実施形態に係る発光ダイオード照明装置(LED照明装置)10は、発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)100と、発光ダイオードユニット(LEDユニット)200を有している。
【0030】
LED点灯回路100は、商用電源50から供給された交流電圧を全波整流すると共に、全波整流した全波整流電圧の電圧値を調整して、LEDユニット200に直流電流を出力する。LEDユニット200は、LED点灯回路100から直流電流が入力されることにより点灯して照明をする。
【0031】
[LED点灯回路の構成]
LED点灯回路100は、全波整流回路110と、力率改善回路(PFC(Power Factor Correction)回路)120と、発光ダイオードドライバ回路(LEDドライバ回路)130と、外部電源140と、絶縁型の信号伝達素子150を有している。即ち、このLED点灯回路100は、昇圧コンバータとしても機能するPFC回路120と、降圧コンバータとしても機能するLEDドライバ回路130を有する、2コンバータ方式の点灯回路である。なお、本実施形態では、全波整流回路110とPFC回路120とにより、直流電圧供給部が構成されている。
【0032】
全波整流回路110は、電源ラインLi及び電源スイッチSWを介して、商用電源50に接続される。
PFC回路120には、PFC電圧をチャージするコンデンサC21が接続されている。
【0033】
LEDドライバ回路130は、ドライバ制御回路(ドライバ制御IC)131と、コンバータ回路132と、ダイオードD31と、コンデンサC31を有している。コンデンサC31は、ドライバ制御IC131の動作電圧を安定させる機能を果たすものである。
【0034】
ドライバ制御IC131は、レギュレータを内蔵した内部電源回路131aの他、コンバータ回路132を制御する各種の機能回路(図示省略)を有している。内部電源回路131aは、その高電圧側が外部電源入力端子Vinに接続されており、その低電圧側が正電源電圧端子Vccに接続されている。正電源電圧端子Vccは、コンデンサC31を介してグランド端子Gに接続されている。グランド端子Gは、コンバータ回路132の抵抗R31(後述)とインダクタL31(後述)との接続ノードに接続され、起動後に電位が0Vと400Vの間を繰り返すフローティンググランドになっている。ドライバ制御IC131の調光端子Dimには、調光指示信号α(後述)が入力される。
【0035】
コンバータ回路132は、スイッチング素子Q31と、抵抗R31と、インダクタL31と、転流ダイオードD32と、コンデンサC32と、DC/DCコンバータ部300を有している。
【0036】
スイッチング素子Q31は、例えばNチャネルタイプのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)である。このスイッチング素子Q31は、ハイサイド配置、即ち、負荷であるLEDユニット200の発光ダイオード回路(LED回路)210(後述)よりも高電圧側に配置されている。また、スイッチング素子Q31は、DC/DCコンバータ部300よりも高電圧側に配置されている。このスイッチング素子Q31は、ドライバ制御IC131によりオンオフ動作が制御される。
【0037】
DC/DCコンバータ部300は、LED点灯回路100の一対の出力端子102a,102bに対して並列接続されている。即ち、DC/DCコンバータ部300は、その入力端子(高電圧側端子)が高電圧側の出力端子102aに接続され、その出力端子(低電圧側端子)が低電圧側の出力端子102bに接続されている。このため、LED点灯回路100の出力端子102a,102bに、LEDユニット200のLED回路210が接続されたときには、DC/DCコンバータ部300は、負荷であるLED回路210に対して並列状態で接続される。
【0038】
DC/DCコンバータ部300は、DC/DCコンバータIC301と、コンデンサC33,C34と、ダイオードD33と、インダクタL32と、インピーダンス素子である負荷抵抗R32を備えている。DC/DCコンバータIC301は、スイッチング動作することによりDC/DCコンバート機能を果たす例えばMOSFET等のスイッチング素子(図示省略)や、このスイッチング素子のオンオフ動作を制御する制御回路(図示省略)や、内部電源回路(図示省略)等を有している。また、DC/DCコンバータIC301は、ドレイン端子Dr、電源入力端子HVin、グランド端子G及び内部電源回路用端子Vddを有している。コンデンサC33は、DC/DCコンバータIC301の動作電圧を安定させる機能を果たすものである。負荷抵抗R32は、DC/DCコンバータIC301の負荷となる機能を果たすものであり、その一端がインダクタL32を介してDC/DCコンバータIC301の出力端子に接続され、その他端が接地電位部GNDに接続されている。
【0039】
なお、DC/DCコンバータIC301には、DC/DCコンバータIC301の出力電圧を検出したり、検出した出力電圧をフィードバックしたりする外付け部品を接続するようにしても良い。
【0040】
外部電源140は、後述するように、全波整流回路110やPFC回路120から直流の高電圧が入力されると、この高電圧を降圧した直流電圧(例えば、15V)を出力する。外部電源140から出力された直流電圧(例えば、15V)は、ダイオードD31を介してドライバ制御IC131の内部電源回路131aに入力される。
【0041】
絶縁型の信号伝達素子150は、例えばフォトカプラであり、例えば、リモートコントローラから調光指示信号αが入力されると、この調光指示信号αをドライバ制御IC131の調光端子Dimに出力する。調光指示信号αにより指示される調光度は、例えば、リモートコントローラにより設定される。
【0042】
[LEDユニットの構成]
LEDユニット200は、直列接続された複数の発光ダイオード(LED)201を有している。これらLED201は、プリント基板(図示省略)に実装されて、発光ダイオード回路(LED回路)210を構成している。複数のLED201が実装されたプリント基板は、筐体(図示省略)内に備えられている。LED回路210は、その一端(高電圧側端子)がLED点灯回路100の高電圧側の出力端子102aに接続され、その他端(低電圧側端子)がLED点灯回路100の低電圧側の出力端子102bに接続される。
【0043】
[動作の説明]
LED点灯回路100及びLEDユニット200の動作を、次に示す動作状態ごとに説明する。
(A) 起動時
(B) 定常点灯時
(C) 消灯時
(D) 定常点灯時において、電源スイッチSWをオフにした後、直ちにオンに戻した時
なお、以下の動作説明においては、
図1Aと共に、起動電流が流れる経路を示す
図1Bも使用して説明を行う。
【0044】
[起動時の動作]
外部電源140から出力された直流電圧(例えば、15V)は、ダイオードD31を介してLEDドライバ回路130のドライバ制御IC131に入力される。このため、電源スイッチSWをオフからオンにした当初には、ドライバ制御IC131とDC/DCコンバータIC301の回路電流(起動電流)が、
図1Bにおいて実線の矢印で示す経路に沿い流れる。即ち、外部電源140→ダイオードD31→ドライバ制御IC131の外部電源入力端子Vin→ドライバ制御IC131の内部電源回路131a→インダクタL31→DC/DCコンバータIC301のドレイン端子Dr及び電源入力端子HVin→インダクタL32→負荷抵抗R32及びコンデンサC34→接地電位部GNDという経路に沿い、ドライバ制御IC131とDC/DCコンバータIC301の回路電流が瞬間的に流れる。
【0045】
ドライバ制御IC131とDC/DCコンバータIC301の回路電流が流れると、スイッチング素子Q31とDC/DCコンバータIC301がスイッチング動作を開始する。
【0046】
このようにDC/DCコンバータIC301が起動しその出力電圧が大きくなり負荷抵抗R32に流れる電流が増加することにより、ドライバ制御IC131の起動状態が確実に保持される。
【0047】
なお、DC/DCコンバータIC301は、出力電圧が例えば10Vになるように動作しようとする。DC/DCコンバータIC301の出力電圧とは、DC/DCコンバータIC301のグランド端子(出力端子)Gに接続された負荷抵抗R32に印加される電圧である。
【0048】
[定常点灯時の動作]
駆動状態になったドライバ制御IC131は、スイッチング素子Q31のオンオフ動作を行う。この場合、ドライバ制御IC131は、信号伝達素子150から入力される調光指示信号αにより指示された調光度に応じて、スイッチング素子Q31のオンオフ動作(デューティー比)を制御する。
【0049】
スイッチング素子Q31には、直流電圧供給部(全波整流回路110とPFC回路120)から、高電圧が供給される。このスイッチング素子Q31がオンオフ動作することにより、所定の電流値に調整されたスイッチング電流(直流電流)が、LED回路210に出力される。これにより、LED回路210にスイッチング電流が流れて、各LED201が発光する。
【0050】
従来の構成では100V以上の高い電圧からの起動電流がLEDユニット200に流れ込むために調光時の輝度に誤差が生じていたが、本実施例ではLED回路210にはスイッチング電流のみが流れる結果、LEDユニット200の各LED201が発生する光の輝度は、調光指示信号αにより指示された調光度に精度よく対応した値になっている。
【0051】
[消灯時の動作]
オン状態になっている電源スイッチSWをオフにして、LEDユニット200を消灯させる際の動作を説明する。
【0052】
電源スイッチSWをオフにすると、コンバータ回路132のコンデンサC32に充電されていた電荷による放電電流が、コンデンサC32→DC/DCコンバータIC301のドレイン端子Dr及び電源入力端子HVin→DC/DCコンバータIC301のグランド端子G→インダクタL32→負荷抵抗R32→接地電位部GNDという経路に沿い流れて急激に減衰する。このため、コンデンサC32の充電電荷は直ちに放電され、コンデンサC32の電圧は急激に低下する。
【0053】
このとき、「コンデンサC32からの放電電流の値」=「DC/DCコンバータIC301の出力電圧値÷負荷抵抗R32の抵抗値」という関係になっており、しかも、DC/DCコンバータIC301は定電流で放電をするので、コンデンサC32の電位は急激に低下する。しかも、コンデンサC32の電位が低下することにより、DC/DCコンバータIC301の出力電圧が低下し負荷抵抗R32に流れる電流が低下してくると、DC/DCコンバータIC301は本来の出力電圧(例えば、10V)を出力しようとして、DC/DCコンバータIC301の消費電流が増加するため、コンデンサC32の電位がますます急激に低下する。
【0054】
また、電源スイッチSWをオフにしても、ドライバ制御IC131は、コンデンサC31の充電電圧が予め設定された所定電圧以下になるまでは、短時間ではあるがスイッチング素子Q31のオンオフ動作をする。つまり、電源スイッチSWをオフにしても、短時間ではあるが、ドライバ制御IC131もDC/DCコンバータIC301も動作するため、PFC回路120のコンデンサC21に充電されていた電荷による放電電流が流れて、コンデンサC21の電圧は急激に低下する。
【0055】
このように、電源スイッチSWをオフにした際に、コンバータ回路132のコンデンサC32に充電されていた電荷による放電電流も、PFC回路120のコンデンサC21に充電されていた電荷による放電電流も、DC/DCコンバータIC301に流入し、LED回路210側に流れることはない。この結果、オン状態になっている電源スイッチSWをオフにすると、LEDユニット200は直ちに消灯する。
【0056】
[定常点灯時において、電源スイッチをオフにした後、直ちにオンに戻した時の動作]
定常点灯をするために電源スイッチSWがオン状態になっているときに、電源スイッチSWをオフにした後、直ちにオンに戻した時の動作を説明する。
【0057】
電源スイッチSWをオンにして定常点灯状態になっているときに、電源スイッチSWをオフにすると、前述したように、コンバータ回路132のコンデンサC32の電圧は急激に低下する。したがって、コンデンサC32の電位、つまり、ドライバ制御IC131のグランド電位は、外部電源140の電位よりも低くなる。このため、オンにしていた電源スイッチSWをオフにした後、直ちにオンに戻した場合には、LEDドライバ回路130のコンデンサC31が充電されてドライバ制御IC131が起動し、LEDユニット200の再点灯を行うことができる。
【0058】
[第2の実施形態]
図2を参照して、本発明の第2の実施形態に係る、LED点灯回路、及び、このLED点灯回路とLEDユニットを有するLED照明装置について説明する。
【0059】
[第2の実施形態の構成]
第2の実施形態では、LEDドライバ回路130のコンバータ回路132に組み込んだDC/DCコンバータ部300に、新たな構成であるサーミスタTh31を備えている。つまり、負荷抵抗R32と直列にサーミスタTh31を接続している。サーミスタTh31は、NTC(Negative-Temperature-Coefficient)サーミスタであり、温度上昇に伴い抵抗値が下がるタイプのものである。なお、予め決めた定常温度において、オン状態になっている電源スイッチSWをオフにした際に、PFC回路120のコンデンサC21及びコンバータ回路132のコンデンサC32から流出する放電電流が、負荷抵抗R32及びサーミスタTh31をスムーズに流れるように、負荷抵抗R32及びサーミスタTh31の抵抗値が設定されている。
【0060】
一方、PFC回路120に備えたコンデンサC21、及び、コンバータ回路132に備えたコンデンサC32は、コンデンサの一般的な特性ではあるが、温度が上昇するとコンデンサ容量が増加し充電電荷が多くなる。
他の部分の構成は、第1の実施形態と同様であるため、第1の実施形態と同様な構成部分には、第1の実施形態で用いていたのと同じ符号を付して重複する説明は省略する。
【0061】
[第2の実施形態の動作]
オン状態になっている電源スイッチSWをオフにすると、PFC回路120のコンデンサC21に充電されていた電荷による放電電流も、コンバータ回路132のコンデンサC32に充電されていた電荷による放電電流も、前述したようにDC/DCコンバータIC301に流入し、更に、負荷抵抗R32及びサーミスタTh31を通って接地電位部GNDに流れ込む。
【0062】
コンデンサC21,C32の温度が高いときには、そのコンデンサ容量が増加するため、コンデンサC21,C32から放出される放電電流の電流値は大きくなるが、温度上昇に応じてサーミスタTh31の抵抗値が下がるので、負荷抵抗R32及びサーミスタTh31に、大電流となっている放電電流を流すことができる。このため、温度が高いときであっても、オン状態になっている電源スイッチSWをオフにすると、コンデンサC21,C32の充電電荷は直ちに放電され、コンデンサC21,C32の電圧は急激に低下する。
【0063】
この結果、温度が高いときであっても、オン状態になっている電源スイッチSWをオフにすると、コンデンサC21,C32に充電されていた電荷による放電電流は、DC/DCコンバータ部300側をスムーズに流れ、LED回路210に流入することはない。このため、電源スイッチSWをオフした後にLEDユニット200が微点灯することはなく直ちに消灯する。
【0064】
また、温度が高いときであっても、オン状態になっている電源スイッチSWをオフにすると、コンデンサC32の充電電圧が急激に低下するため、その後に電源スイッチSWを直ちにオンに戻しても、ドライバ制御IC131に備えたコンデンサC31の充電ができる。この結果、温度が高いときであっても、オン状態になっている電源スイッチSWをオフにした後、直ちにオンに戻しても、ドライバ制御IC131が起動し、LEDユニット200を再点灯することができる。
【0065】
他の動作は、第1の実施形態のものと同様である。
【符号の説明】
【0066】
10…発光ダイオード照明装置(LED照明装置)、100…発光ダイオード点灯回路(LED点灯回路)、110…全波整流回路、120…力率改善回路(PFC回路)、130…発光ダイオードドライバ回路(LEDドライバ回路)、131…ドライバ制御回路(ドライバ制御IC)、132…コンバータ回路、200…発光ダイオードユニット(LEDユニット)、201…発光ダイオード(LED)、210…発光ダイオード回路(LED回路)、300…DC/DCコンバータ部、301…DC/DCコンバータIC、Q31…スイッチング素子、R32…負荷抵抗、Th31…サーミスタ。