(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】製袋器および包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 9/22 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B65B9/22
(21)【出願番号】P 2020101533
(22)【出願日】2020-06-11
【審査請求日】2023-06-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000206093
【氏名又は名称】大森機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【氏名又は名称】横田 一樹
(72)【発明者】
【氏名】岡部 一也
(72)【発明者】
【氏名】名田 太一郎
【審査官】▲高▼辻 将人
(56)【参考文献】
【文献】実公昭48-031108(JP,Y1)
【文献】特開2003-165503(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 9/00- 9/24
B65B47/00-47/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形の供給口を有し、帯状の包装材が供給される製袋器であって、
前記供給口の内側において該供給口との間で前記包装材を支持するとともに、該供給口の内壁の角部に向かう力が生じるように部分的に応力を集中させたガイドを設け
、
前記ガイドは、可撓性を有するシート部材であって前記角部に沿うように前記包装材を支持するものであり、
前記ガイドの長さは、前記包装材の搬送方向に直交する方向において、前記内壁の長さよりも長く、一部に撓み部を有し、
前記撓み部は、少なくとも前記角部に対応して設けられる、
ことを特徴とする製袋器。
【請求項2】
前記包装材は、紙材である、
ことを特徴とする請求項1に記載の製袋器。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の
製袋器を有する包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製袋器およびこれを備えた包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、折込成形部(製袋器)によって包装材を筒状に成形する包装機において、柔軟性の少ない材質の包装材を扱う場合には、折込成形装置との接触抵抗が大きくなることに起因して包装材に波状の皺や連続する筋(スジ)が生じる問題があった。この問題を解決するために、折込成形部の先端に案内板を設ける構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、昨今様々な材質の包装材が開発されており、包装材の材質によっては、従来の案内板の如き構成では対応しきれない問題があった。
【0005】
具体的に、例えば基材が紙で構成される包装材(例えば、紙材のみからなる包装材、あるいは紙材に接着剤を含侵させた包装材)などの場合、樹脂製のフィルムまたは樹脂製のフィルムと紙材を重合したフィルムなどと比較して、より搬送中において包装材が柔軟に変形しにくい(伸びが悪い)一方、一旦、皺や撚れ(意図しない折癖)が生じた場合は元に戻りにくい特性がある。
【0006】
また、製袋器の供給口から包装材が浮いてしまうと(製袋器と包装材とが離間してしまうと)、包装材に皺等が発生する。供給口が矩形状である製袋器の場合、特に角部において皺等の発生が顕著となる。このことは、従来技術のように案内板を設けた場合であっても、その開口形状が矩形状であって供給口に沿う(略直角の)角部を有する形状である場合には、同様の問題が生じ、すなわち、包装材の浮き上がりを防止するには十分とは言えない。
【0007】
このような包装材を製袋する際、従来のような回転体と案内板とで包装材を挟む構成では、仮に回転体を移動可能とした場合であっても挟み込み時に皺や撚れの発生を完全には回避することはできず、また一旦意図しない折癖が生じた場合には復元が困難になる問題がある。
【0008】
また、被包装物の形状(サイズ)が変化した場合には案内板および回転体の調整または交換が必要となるなど、被包装物の変更に対する汎用性や自由度において限界がある。
【0009】
さらに、製袋器に新たに上記機能を追加する場合、案内板と回転体(および回転体に付随する構成)が必要となり、部品点数が増加し取り付け作業が煩雑になる問題があった。
【0010】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、安定した状態で確実に製袋器に包装材を供給することで、包装材の美観を維持可能なガイドおよび包装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、略矩形の供給口を有し、帯状の包装材が供給される製袋器であって、前記供給口の内側において該供給口との間で前記包装材を支持するとともに、該供給口の内壁の角部に向かう力が生じるように部分的に応力を集中させたガイドを設け、前記ガイドは、可撓性を有するシート部材であって前記角部に沿うように前記包装材を支持するものであり、前記ガイドの長さは、前記包装材の搬送方向に直交する方向において、前記内壁の長さよりも長く、一部に撓み部を有し、前記撓み部は、少なくとも前記角部に対応して設けられる、ことを特徴とする製袋器に係るものである。
【0012】
また、本発明は、上記の製袋器を有する包装機に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定した状態で確実に製袋器に包装材を供給することで、包装材の美観を維持可能なガイド100および包装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に係る包装機の概略を示す正面図である。
【
図3】本発明に係る製袋器付近の(A)側面図、(B)側面図である。
【
図4】本発明に係るガイドを示す概要図であり(A)展開平面図、(B)~(E)側面図である。
【
図5】本発明に係る製袋器による製袋の様子を示す概要図であり(A)側面図、(B)比較例を示す側面図である。
【
図6】本発明に係るガイドの変形例を示す図であり、(A)側面図、(B)平面図、(C)側面図、(D)側面概要図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照して、本発明に係る製袋器および包装機について詳細に説明する。
図1は、包装機1の全体の概略を示す正面図であり、
図2は、包装機1によって包装された包装体ZA1の外観を示す図である。なお、本図及び以降の各図において、一部の構成を適宜省略して、図面を簡略化する。そして、本図及び以降の各図において、部材の大きさ、形状、厚みなどを適宜誇張して表現する。
【0016】
図1に示す包装機1は、一例として、物品XA1が順次供給されることに合わせて、包装材YA1が連続して供給されて筒状に製袋され、所定ピッチ(カットピッチCP)毎に包装材YA1の幅方向にシールとカットとが行われる、いわゆる横型製袋充填機(ピロー包装機)である。
【0017】
包装機1は、連続して供給される包装材YA1を利用して、前工程から順次供給される物品XA1を上流から下流に向けて搬送しながら包装する。包装材YA1は例えば紙材、または紙材に接着剤が含侵されている包装材である。
図1では、原反ロールYB1に近い側を上流とし、遠い側を下流とする。
【0018】
<包装機>
図1を参照して、包装機1は、物品供給装置2と、包装材供給装置3と、包装機本体4と、制御ユニット(図示省略)などを備えている。なお、包装機本体4における各種方向の定義として、帯状の包装材YA1の長手方向(後述のセンターシールが延びる方向)となる第一方向を搬送方向Tとし、長手方向に直交する包装材YA1の幅方向(後述の横シール(トップシール、エンドシール)が延びる方向)となる第二方向を搬送幅方向Wとし、包装材YA1の高さ方向(搬送方向T及び搬送幅方向Wに対して直角となる方向)となる第三方向を搬送高さ方向Hとする。
【0019】
これら包装機1の各部は、制御ユニットによって統括的に制御される。制御ユニットは、CPU、RAM、及びROMなどから構成され、各種制御を実行する。CPUは、いわゆる中央演算処理装置であり、各種プログラムが実行されて各種機能を実現する。RAMは、CPUの作業領域として使用される。ROMは、CPUで実行される基本OSやプログラムを記憶する。
【0020】
物品供給装置2は、物品XA1を等間隔で搬送すると共に、当該物品XA1を下流の包装機本体4に順次搬送する。この物品供給装置2は、例えば、フィンガーコンベアから構成され、搬送面上の物品XA1を押送して包装機本体4に送り出す。
【0021】
包装材供給装置3は、包装材YA1を下流の包装機本体4に連続して供給する。包装材供給装置3は、原反軸8と、サーボモーター(図示省略)と、ローラ9などを備えている。原反軸8は、原反ロールYB1を回転自在に保持する。この原反軸8は、サーボモーターに動力が与えられて回転し、保持している原反ロールYB1を回転させる。これにより、原反ロールYB1から包装材YA1が繰り出される(引き伸ばされる)。ローラ9は、夫々に掛け渡された包装材YA1を、その下流に設けられた製袋器14の供給口14aに導く。
【0022】
なお、原反ロールYB1から包装材YA1を繰り出す方法として、上述のような原反駆動式の方法を採用する代わりに、フィードローラを別途設け、当該フィードローラを動かして包装材YA1を引き出すフィードローラ駆動式の方法を採用してもよい。また、原反駆動式とフィードローラ駆動式の両方の方法を採用してもよい。
【0023】
包装機本体4は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、包装材供給装置3から供給される包装材YA1で包装する。具体的に、包装機本体4は、例えば、製袋器14と、センターシール装置16と、第一の搬送装置17と、上部抑え装置18と、トップシール装置(エンドシール装置)30と、第二の搬送装置20と、などを備えている。
【0024】
製袋器14は、包装材供給装置3から供給される帯状の包装材YA1を、幅方向(搬送幅方向W)の両端縁が互いに重なるように筒状に製袋する。また、製袋器14は、物品供給装置2から供給される物品XA1を、筒状に製袋される包装材YA1に供給する。これにより、物品XA1は、筒状に製袋された包装材YA1に包まれる。すなわち、製袋器14は、帯状の包装材YA1を搬送幅方向Wの両端縁が重ねるように曲げ、筒状に形成する製袋装置として機能する。製袋器14の詳細については後述する。
【0025】
製袋器14によって重ねられた包装材YA1の両端縁は、センターシール部CE1(
図2参照)の形成予定領域として、ピンチローラ15によって挟みこまれ、搬送力を付与される。センターシール装置16は、一対のバーシーラー16aで重合させた包装材YA1の両端縁を挟んで加熱する。そして、センターシール装置16は、加熱された包装材YA1の両端縁をプレスローラ16bで圧着してセンターシールし、センターシール部CE1(
図2参照)を形成する。センターシール装置16は、一対のローラ、又は複数のローラでセンターシール部を挟んで加熱する回転式のセンターシール装置でも良い。
【0026】
第一の搬送装置17は、センターシールされた筒状の包装材YA1を、当該包装材YA1に包まれた物品XA1と共に、搬送面(符号省略)に載せてトップシール装置30に向けて搬送する。この第一の搬送装置17は、トップシール装置30のボックスモーションに合わせて、搬送面を搬送方向に伸縮させる。
【0027】
上部抑え装置18は、第一の搬送装置17の上方に配置されており、第一の搬送装置17に搬送される物品XA1を包装材YA1ごと上方から抑える。これにより、物品XA1は、水平状態を保持しながら搬送される。
【0028】
トップシール装置(トップシール手段、横シール手段、エンドシール手段)30は、物品XA1の長さに応じたカットピッチCP毎に、包装材YA1の幅方向(搬送幅方向W、包装材YA1を横断する方向)にトップシール(エンドシール、横シール)とカットを行う。これにより、トップシール部TO1が形成されるとともに、包装体(ピロー包装体)ZA1が製造される。
【0029】
トップシール装置30は、一例として、上下一対のトップシーラー30a,30bを有するいわゆるボックスモーションタイプのもので、筒状の包装材YA1を挟んで上下に配置された一対のトップシーラ30a,30bが、互いのシール面を対向させた状態を維持しながら所定の軌跡で移動し、物品の長さに応じたカットピッチCP毎に、フィルムの幅方向にトップシールとカットを行う。トップシール装置30によってシール・カットするフィルム部位(トップシール部TO1)は、前後の物品XA1の間の所定位置である。なお、トップシール装置30は、ボックスモーション以外にも、回転式、又は直線往復動式のトップシール装置であってもよい。
【0030】
また、トップシール装置30は、筒状の包装材YA1にトップシールを施す前(或いはそれと同時)に、筒状の包装材YA1のトップシールされる部位近傍の、進行方向における両側方の所定の折り込み位置を、不図示のガゼット爪にて内方に押し込んで折り込み、折り込み部を形成する。
【0031】
第二の搬送装置20は、トップシール装置30より下流に設けられている。この第二の搬送装置20は、トップシール装置30で仕上がった包装体ZA1を、搬送面20aに載せて次工程に向けて搬送するベルトコンベアである。
【0032】
図2を参照して、本実施形態の包装体(ピロー包装体)ZA1について説明する。同図の包装体ZA1は、トップシール装置30によってトップシール部TO1のシールとカットが施され、第二の搬送装置20に移載された直後の状態である。
【0033】
同図に示すように、包装体ZA1のセンターシール部CE1は、帯状の包装材YA1の第一の方向(搬送方向Tと同じ方向)に沿う両側端縁を、包装材YA1が筒状となるように重合し熱シールして設けられた部位である。トップシール部TO1は、筒状の包装材YA1の第二の方向(搬送方向に交差(直交)する方向)に沿う両端開口をそれぞれ熱シールして設けられた部位である。なお、包装体ZA1の形状は一例であり、図示の形状に限らない。
【0034】
<製袋器>
図3~
図6を参照して本発明の製袋器14について更に説明する。
図3は製袋器14を搬送方向Tの上流側から見た側面図であり、同図(A)が物品XA1を図示し、同図(B)は物品XA1を省略して示す図である。
図4はガイド100を抜き出して示す図であり、同図(A)が平面展開図、同図(B)、同図(C)が組み立てた状態の側面図(
図3に示す搬送方向Tから見た側面図)、同図(D)が製袋器14の供給口14aに取り付けた状態の側面図である。また、同図(E)は、同図(D)における応力の状態を説明するための図であり、便宜上、ガイド100の一部を誇張して示す概念図である。
図5は、本発明の製袋器による製袋の様子を示す図であり、同図(A)が側面概要図、同図(B)は比較例を示す側面概要図である。
【0035】
図3(A)に示すように、本実施形態の製袋器14は、底面部141と、一対の側面部142と、天面部143を有し、これらの上流側端部は、包装材YA1が供給されて当該包装材YA1を受け入れると共に、当該包装材YA1に供給される物品XA1を受け入れる供給口14aを構成する。本実施形態では一例として、搬送幅方向Wの断面形状が略矩形状となるように成形された製袋器14について説明する。
【0036】
底面部141は、搬送幅方向Wの中心に、搬送方向Tに沿うスリット141Sが設けられ、スリット141Sを介して包装材YA1の重合端部が下方に引き出される。また、製袋器14の上流端部(供給口14a)には、側面部142に沿い、また側面部142よりも上流側に突出して、物品XA1の受け入れを搬送幅方向Wの両側からガイドする一対の製品ガイド21が着脱可能に設けられる。
【0037】
本実施形態では製袋器14の供給口14aの間口の形状は、底面部141、側面部142および天面部143で区画される(略)矩形状である。ここで、底面部141、側面部142および天面部143のそれぞれの内側の面(物品XA1、包装材YA1に接する面)を以下、内面部144と総称する。
【0038】
本実施形態の製袋器14はまた、供給口14aにガイド100が設けられている。ガイド100は、例えば一対の製品ガイド21に固定され、供給口14aの内側においてその内面部144の一部(搬送高さ方向Hの上方部分)を覆うように設けられる。ガイド100の側面視における形状は、供給口14aの内周(内面部144)に略沿う略コの字状を呈している。ガイド100は、製袋器14の天面部143および天面部143よりも上流側に突出している(
図1参照)。
【0039】
製袋器14は、斜め上方から物品XA1に合流するように連続して供給される包装材YA1を供給口14aにて受け入れる(
図1参照)。このとき、ガイド100は、
図3に示すように供給口14aとの間で包装材YA1(一点鎖線で示す)を挟むようにして支持する。つまり包装材YA1は、供給口14aの内面部144と、ガイド100の外表面(外壁)101の間に挿通される。製袋器14は、供給口14aの形状に沿って包装材YA1の搬送幅方向Wの両端縁を互いに重ねるように折り曲げ、底面部141のスリット141Sから下方に導出させて筒状に製袋する。
【0040】
図4を参照して、本実施形態のガイド100は、可撓性(柔軟性)を有するシート部材100Sにより構成される。シート部材100Sは一例として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン(Poly Tetra Fluoro Ethylene))などのフッ素樹脂加工が施された平板状の樹脂製シートである。そしてこれを所定の形状に撓ませ、同図(E)に誇張して示すような撓み部105(105A,105B))を形成する)ことで、供給口14aの内面部144に向かう応力が部分的に異なるように構成されている。
【0041】
より詳細には
図4(A)~同図(C)に示すように、ガイド100は、略矩形状のシート部材100Sにより構成される(同図(A))。シート部材100Sには、長辺LS方向の中央を実線の如く山折りして山折り部(折り目)102を形成するとともに、長辺LS方向の両端付近の所定位置を破線の如く谷折りして取り付け部103を形成する(同図(B))。
【0042】
両側の取り付け部103はそれぞれ製品ガイド21に固定される(同図(C))。なお、この例では、同図(A)に示すように、短辺SSの端部に複数の切り欠き100Dを設け、切り欠き100Dを製品ガイド21に差し込むようにして取り付ける。この状態で製品ガイド21を供給口14aの側面部142の内側に配置することで、内面部144に沿うようにガイド100が取り付けられる(同図(D))。
【0043】
ここで、同図(A)、同図(D)に示すように、搬送方向Tに直交する方向(搬送幅方向Wおよび搬送高さ方向H)において、ガイド100の長さ(シート部材100Sの長辺LS方向に沿う長さ)L1は、内面部144の対応する内周長さL2よりも長く設定されている。ここで「内面部144の対応する内周長さ」とは、内面部144において、側面部142の製品ガイド21の搬送高さ方向Hの長さを除いた長さ(両側分)と天面部143の搬送幅方向Wの長さの合計である(シート部材100Sの長さL1>内面部144の内周長さL2(搬送高さ方向Hの長さ×2+搬送幅方向Wの長さ))。このため、同図(D)に示すように供給口14aの内側に挿入した場合、同図(E)に誇張して示すように撓みが生じる(凸状撓み部105Aおよび凹状撓み部105Bが形成される)ように構成される。そして、本実施形態では、山折り部102を予め形成することにより、撓みが生じる箇所と、それによる応力の集中する箇所を、予定された位置となるようにしている。
【0044】
同図(E)を参照して、上述のようにガイド100(シート部材100S)の長辺LS方向の長さL1は、供給口14aの内周の長さL2より長く、搬送幅方向Wの中央部に折り目による山折り部102が形成されている。この山折り部102は山折りの折り目で剛性が他の部位より高くなっており、供給口14aの内側に設置した場合に余剰の長さがあるガイド100は、同図(E)に示すように山折り部102を中心として余剰の長さが搬送幅方向Wの左右に均等に押し広げられる。この結果、山折り部102の周囲に内側(搬送面方向)に凹となる凹状撓み部105Bが形成されるとともに、供給口14aの側面部142で搬送幅方向Wの広がりが規制され角部145付近に凸状撓み部105Aが形成される。このようにして確実に、角部145に沿うように凸状撓み部105Aを形成することができる。また当該凸状撓み部105Aは、凹状撓み部105Bの形成により、矢印で示すような応力集中箇所となり、角部145方向に向かう力が生じる部位となる。このように本実施形態の凸状撓み部105Aは、単に湾曲させることで凸状を呈しているだけでなく、その周囲に凹状撓み部105Bが形成されることにより応力が集中している部位をいう。
【0045】
図5は、本実施形態のガイド100と比較例のガイド100´を示す図であり、同図(A)が本実施形態のガイド100により製袋している状態を示す概要図であり、同図(B)が比較例の概要図である。
【0046】
同図(A)に示すように、本実施形態では凸状撓み部105Aに生じる応力によって包装材YA1は、内面部144の角部145に沿うように押し付けて(角部145に向かって押圧するように)支持される。この結果包装材YA1は内側から支持され、製袋器14に密着させる(纏わりつかせる)できるので、皺や筋(製袋傷など)を生じることなく、精度よく良好な美観で製袋することが可能となる。
【0047】
これに対し、同図(B)に示すように可撓性のシート部材100S´の撓みを利用するガイド100´であっても、撓みの位置が任意に(不規則に)生じてしまう構成では、角部145に対応する位置が窪んでしまう場合がある。この場合、撓みの制御が不可能となり、すなわちその都度、適切な形状になるように調整する必要がある。
【0048】
また、従来のような回転体と案内板とで包装材を挟む構成では、仮に回転体を移動可能とした場合であっても挟み込み時に皺や撚れの発生を完全には回避することはできず、また一旦意図しない折癖が生じた場合には復元が困難になる問題がある。
【0049】
また、被包装物の形状(サイズ)が変化した場合には案内板および回転体の調整または交換が必要となるなど、被包装物の変更に対する汎用性や自由度において限界がある。
【0050】
さらに、製袋器に新たに上記機能を追加する場合、案内板と回転体(および回転体に付随する構成)が必要となり、部品点数が増加し取り付け作業が煩雑になる。
【0051】
本実施形態によれば、回転体によらずに包装材YA1を製袋器14に案内でき、またガイド100は可撓性を有するシート部材100Sにより構成されているので、従来と比較して、より包装材YA1への負担を軽減できる。
【0052】
また、被包装物が変更された場合には、製品ガイドの位置の調整により、ガイド100形状の微調整が可能となる。また、新たに製袋器14にガイド100を取り付ける場合や、物品XA1に応じてガイド100を交換する場合であっても、物品XA1の形状に応じた本実施形態のシート部材100Sを準備するのみでよく(部品点数も少なく)、製袋器14への取り付け・交換(調整)作業も容易に行うことができる。
【0053】
このようにガイド100は、シート状部材100Sからなるシンプルな構成であるが、ガイド100(シート状部材100S)の搬送幅方向Wの中央部に、山折りにより剛性を高めた山折り部102を形成することで、意図した位置(山折り部102)を集中的に押圧し、これにより角部145に対応した意図した位置に確実に、角部145方向に包装材YA1を支持する凸状撓み部105Aを生じさせることができる。
【0054】
図6を参照して、本実施形態の変形例について説明する。
図6(A)はガイド100の変形例を示す図であり、
図4(E)に対応する側面図である。ガイド100は、意図した位置、すなわち内面部144の角部141に対応する位置に確実に凸状撓み部105Aが形成される構成であれば上記の例に限らない。例えば、同図に示すように、ガイド100(シート部材100S)の中央部分のみ厚くしたり、錘WTとなる部材を接着するなどして内側に撓ませ、凹状撓み部105Bを形成することで、角部145に対応する位置に、凸状撓み部105Aを生じさせる構成であってもよい。
【0055】
なお、包装材YA1は紙材に限らず、紙材にパラフィン蝋を塗布、浸透させたパラフィン紙であってもよい。また、紙材と樹脂のラミネート構造であってもよい。
【0056】
また、包装材YA1は、紙材を含まないものであってもよい。例えば、厚手の/およびまたはコシの強いプラスチックフィルム等であってもよい。
【0057】
また、ガイド100は、搬送高さ方向Hの調整機構を備えてもよい。また、ガイド100は、搬送方向Tの角度調整機構を備えてもよい。
【0058】
また、ガイド100は、下流側に向かって先細りとなる半四角錐台形状(四角錐台を軸方向に沿って切断した略トンネル形状;角部141は湾曲でもよい)であってもよい。
【0059】
また、ガイド100は、下流側に向かって先細りとなる半円錐台形状(円錐台を軸方向に沿って切断した略トンネル形状)であってもよい。半円錐台形状のガイド100の場合、供給口14aの角部145における包装材YA1を局所的に当接することで包装材YA1の浮き上がりを防止できる。
【0060】
また、ガイド100は、下側の角部(底面部141と側面部142で構成される角部)も付勢可能となるように、下側の角部付近にも凸状撓み部105Aが形成されるとともに、底面部141に対向する下方の一部が開口したC字形状に構成されてもよい。
【0061】
また、上記の実施形態ではガイド100の搬送幅W方向の両端を製品ガイド21に固定する例を示したが、これに限らない。例えば、ガイド100は製袋器14に直接取り付ける構成であってもよい。
【0062】
図6(B)~同図(D)を参照して、製袋器14およびガイド100の他の変形例について説明する。同図(B)は、製袋器14を搬送高さ方向Hから見た上面図であり、同図(C)は搬送方向Tから見た側面図であり、同図(D)は同図(C)を概念的に示す側面図であり、各図の縮尺は異なっている。製袋器14は、例えば、少なくとも供給口14aの幅(搬送幅方向Wの長さ)を調整可能な製袋器幅調整機構140を備えたアジャスト式の製袋器14でもよい。同図(B)を参照して、この例の製袋器14の天面部143は、上面視において製袋器14の搬送幅方向Wの中心線Cに対して線対称となるように左右に分割される。すなわち製袋器14は全体として、中心線Cで左右方向に分割可能に構成される。
【0063】
製袋器幅調整機構140は、上面視において中心線Cに対して線対称に構成され、第1フレーム140、第2フレーム140Bおよび第3フレーム140Cからなる略三角形状のフレーム部と、フレーム部を所定方向に駆動可能な駆動部(不図示)を有する。以下左右対称の構成であるので例えば中心線Cより左側の構成について説明する。第1フレーム140は搬送方向Tに延在し、下流側の位置P1付近において製袋器14の側面部142、天面部143、底面部141が取り付けられ、これらを支持する。第1フレーム140Aの上流端部(同図(B)下方)には搬送幅方向Wに延在する第2フレーム140Bの一端が接続し、第2フレーム140Bの他端は第3フレーム140Cの一端に接続する。第3フレーム140Cの他端は第1フレーム140Aの下流側端部(同図(B)上方)と接続する。第3フレーム140Cは、スライド機構SDを介して第1フレーム140A,第2フレーム140Bと接続する。袋器幅調整機構140の駆動機構は既知の構成であるので説明は省略するが、例えばハンドル(不図示)操作などにより駆動部(不図示)が第3フレーム140Cを破線矢印方向(搬送幅方向Wおよび、搬送方向Tの上流外側方向(上流に向かうにつれて搬送幅方向Wの外側に広がる方向))に移動させる。
【0064】
これにより、製袋器14の側面部142、天面部143および底面部141は、搬送幅方向Wおよび、搬送方向Tの上流外側方向に水平移動可能となる。
【0065】
ガイド100は、ガイド100も中心線Cに対して線対称となるように搬送幅方向Wの中央から左右に分割されて対向配置され、第1フレーム140Aおよび第2フレーム140Bを介して第3フレーム140Cの位置P2付近に取り付けられる。これにより製袋器幅調整機構140による幅調整に応じて、搬送幅方向Wおよび、搬送方向Tの上流外側方向に水平移動可能に構成される。
【0066】
同図(C)、同図(D)に示すように、例えば、左側のガイド100(右側も同様)は、左側の供給口14aを構成する天面部143、側面部142および底面部141で構成される略コの字状の内面部144に沿って、少なくとも供給口14aの角部145を覆うように湾曲させる。この湾曲構造によって供給口14aの角部145における包装材YA1を局所的に当接することで包装材YA1の浮き上がりを防止できる。
【0067】
また、ガイド100は、部品の交換及び/または取り付け位置の変更により、搬送高さ方向Hの長さおよび/または位置を調整可能に構成してもよい。
また、製袋器14はさらに供給口14aの高さ(搬送高さ方向Hの長さ)を調整可能な製袋器高さ調整機構を備えていてもよい。この場合、ガイド100は、部品の交換及び/または取り付け位置の変更により、搬送高さ方向Hの長さおよび/または位置を調整可能に構成してもよい。または当該製袋器幅および高さ調整機構に連動して搬送幅方向Wおよび搬送高さ方向Hの位置調整が可能なガイド100を製袋器14の上流側に設けてもよい。
【0068】
また、上記の例ではピロー包装機を例示したが、包装機1は三方シール包装機や、四方シール包装機であってもよい。
【0069】
以上、本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨および技術思想を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0070】
1 包装機
2 物品供給装置
3 包装材供給装置
4 包装機本体
8 原反軸
9 ローラ
14 製袋器
14a 供給口
15 ピンチローラ
16 センターシール装置
16a バーシーラー
16b プレスローラ
17 第一の搬送装置
20 第二の搬送装置
20a 搬送面
21 製品ガイド
30 トップシール装置(エンドシール装置)
30a,30b トップシーラー
100 ガイド
100S シート部材
101 外表面(外壁)
102 山折り部
103 取り付け部
105 撓み部
105A 凸状撓み部
105B 凹状撓み部
141 底面部
141S スリット
142 側面部
143 天面部
145 角部
144 内面部
YA1 包装材
YB1 原反ロール
ZA1 包装体