(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】薬剤分配装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20240702BHJP
B65B 37/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
A61J3/00 310F
A61J3/00 310E
B65B37/04
(21)【出願番号】P 2020172276
(22)【出願日】2020-10-13
【審査請求日】2023-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】坂口 勝義
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-088193(JP,A)
【文献】特開昭60-183527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
B65B 37/04
B65B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤フィーダと、
前記薬剤フィーダ及び当該薬剤フィーダに投入された薬剤を合わせた重量から当該薬剤フィーダの重量を減ずることで、前記薬剤フィーダに投入された薬剤を計量する計量部と、
前記計量部が計量した薬剤の重量に基づいて、前記薬剤フィーダが薬剤を排出する前に、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足の有無を判断する判断部と、
前記薬剤フィーダが排出した薬剤を分配し、薬剤を包装する薬剤包装装置に供給する分配部と、
読取部と、
を備え
る薬剤分配装置であって、
前記薬剤分配装置は、前記薬剤フィーダに投入するための薬剤を当該薬剤フィーダへの投入前に計量装置で計量して得られた第1計量値を当該計量装置から受信し、
前記判断部は、前記第1計量値と、前記計量部が薬剤を計量して得られた第2計量値と、に基づいて、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足の有無を判断し、
前記読取部は、前記計量装置で薬剤を計量する際に薬剤が収容された計量容器の識別情報を前記計量容器から読み取り、
前記薬剤分配装置は、前記計量容器の前記識別情報と前記第1計量値とを対応付けた計量データを当該計量装置から受信し、
前記判断部は、前記計量データと、前記計量容器から前記薬剤フィーダに薬剤を投入する際に前記読取部に読み取られた前記計量容器の識別情報の読取結果と、に基づいて、前記第1計量値を取得することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の薬剤分配装置であって、
前記判断部が、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足がないと判断した場合、前記薬剤フィーダから前記分配部への薬剤の排出を許可することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項3】
請求項
1又は2に記載の薬剤分配装置であって、
前記判断部が、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足があると判断した場合、前記薬剤フィーダから前記分配部への薬剤の排出を禁止し、前記薬剤フィーダ内の薬剤に過不足があることを通知することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項4】
請求項
1から
3までの何れか一項に記載の薬剤分配装置であって、
前記判断部が、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足があると判断した場合、前記計量装置で計量を再度行うためのデータである再計量調剤データを作成することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項5】
請求項1から
4までの何れか一項に記載の薬剤分配装置であって、
前記計量部は、前記薬剤フィーダによる薬剤の排出後に再び計量を行って第3計量値を取得し、
前記判断部は、前記第3計量値に基づいて、前記薬剤フィーダから全ての薬剤が排出されたか否かを判断することを特徴とする薬剤分配装置。
【請求項6】
請求項
5に記載の薬剤分配装置であって、
前記判断部が、前記薬剤フィーダから全ての薬剤が排出されていないと判断した場合、前記薬剤フィーダから前記分配部への薬剤の排出を再開させることを特徴とする薬剤分配装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、薬剤フィーダに投入された薬剤を分配する薬剤分配装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調剤台で準備された散剤を散剤分包機に投入して、この散剤を分包することが記載されている。調剤台には、秤が設置されており、この秤によって散剤が計量される。秤で計量された散剤は、バーコード付きの容器に一時的に収容される。調剤台では、バーコードリーダによって容器のバーコードが読み取られ、容器の識別情報と、容器に収容された散剤の調剤情報と、が散剤分包機に送信される。容器に収容された散剤は、散剤分包機のホッパに投入され、ホッパの下流に設けられた電磁フィーダを介してターンテーブルに排出される。また、電磁フィーダは、計量された値に応じた適切な振動数で作動する。
【0003】
特許文献2には、散薬を分包する分包機が記載されている。分包機は、散薬をターンテーブルに排出するためのホッパと振動フィーダを備える。振動フィーダの下方には、振動フィーダの上下方向の変位量を検出する検出器が設けられている。検出器の出力に基づいて散薬の重量が算出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭63-55001号公報
【文献】特開2010-195436号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2では、フィーダに投入された薬剤の量が適切であるか否かを確認する処理を行っていない。
【0006】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、フィーダに投入された薬剤の量が適切であるか否かを確認することが可能な薬剤分配装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0007】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0008】
本発明の観点によれば、以下の構成の薬剤分配装置が提供される。即ち、薬剤分配装置は、薬剤フィーダと、計量部と、判断部と、分配部と、読取部と、を備える。前記計量部は、前記薬剤フィーダ及び当該薬剤フィーダに投入された薬剤を合わせた重量から当該薬剤フィーダの重量を減ずることで、前記薬剤フィーダに投入された薬剤を計量する。前記判断部は、前記計量部が計量した薬剤の重量に基づいて、前記薬剤フィーダが薬剤を排出する前に、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足の有無を判断する。前記分配部は、前記薬剤フィーダが排出した薬剤を分配し、薬剤を包装する薬剤包装装置に供給する。前記薬剤分配装置は、前記薬剤フィーダに投入するための薬剤を当該薬剤フィーダへの投入前に計量装置で計量して得られた第1計量値を当該計量装置から受信する。前記判断部は、前記第1計量値と、前記計量部が薬剤を計量して得られた第2計量値と、に基づいて、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足の有無を判断する。前記読取部は、前記計量装置で薬剤を計量する際に薬剤が収容された計量容器の識別情報を前記計量容器から読み取る。前記薬剤分配装置は、前記計量容器の前記識別情報と前記第1計量値とを対応付けた計量データを当該計量装置から受信する。前記判断部は、前記計量データと、前記計量容器から前記薬剤フィーダに薬剤を投入する際に前記読取部に読み取られた前記計量容器の識別情報の読取結果と、に基づいて、前記第1計量値を取得する。
【0009】
これにより、薬剤フィーダに投入された薬剤の量が適切であるか否かを確認することができる。また、計量装置での計量後に何らかの原因で薬剤の量の過不足が生じた場合であっても、そのことを検出することができる。また、確実かつ簡単な方法で第1計量値を取得することができる。
【0014】
前記の薬剤分配装置においては、前記判断部が、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足がないと判断した場合、前記薬剤フィーダから前記分配部への薬剤の排出を許可することが好ましい。
【0015】
これにより、適切な量の薬剤が薬剤フィーダに投入されていることを確認した上で、薬剤の分配を行うことができる。
【0016】
前記の薬剤分配装置においては、前記判断部が、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足があると判断した場合、前記薬剤フィーダから前記分配部への薬剤の排出を禁止し、前記薬剤フィーダ内の薬剤に過不足があることを通知することが好ましい。
【0017】
これにより、薬剤フィーダ内の薬剤に過不足がある状態で分配が行われる事態を防止できるとともに、薬剤フィーダ内の薬剤に過不足があることを作業者に知らせることができる。
【0018】
前記の薬剤分配装置においては、前記判断部が、前記薬剤フィーダ内の薬剤の過不足があると判断した場合、前記計量装置で計量を再度行うためのデータである再計量調剤データを作成することが好ましい。
【0019】
これにより、計量装置で計量をやり直す工程を容易にすることができる。
【0020】
前記の薬剤分配装置においては、以下の構成とすることが好ましい。即ち、前記計量部は、前記薬剤フィーダによる薬剤の排出後に再び計量を行って第3計量値を取得する。前記判断部は、前記第3計量値に基づいて、前記薬剤フィーダから全ての薬剤が排出されたか否かを判断する。
【0021】
これにより、薬剤フィーダに薬剤が残っている状態で分配が行われる事態を防止できる。
【0022】
前記の薬剤分配装置においては、前記判断部が、前記薬剤フィーダから全ての薬剤が排出されていないと判断した場合、前記薬剤フィーダから前記分配部への薬剤の排出を再開させることが好ましい。
【0023】
これにより、薬剤フィーダに薬剤が残っていた場合でも、残っている薬剤を自動的に分配部に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤分配装置及びそれに関連する装置の機能ブロック図。
【
図2】計量装置、薬剤分配装置、薬剤包装装置、及びPCが行う処理を概略的に示すシーケンス図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態の薬剤分配装置31及びそれに関連する装置の機能ブロック図である。
【0026】
図1には、計量装置11、計量容器21、薬剤分配装置31、薬剤包装装置41、及びPC51が示されている。これらは、例えば薬局又は病院に設置されており、調剤データに基づいて薬剤を計量して分包するために用いられる。また、計量装置11、薬剤分配装置31、薬剤包装装置41、及びPC51は、有線又は無線で接続されており、後述する様々なデータをやり取りすることができる。本実施形態では、薬剤として散剤(粉状、細粒状、又は顆粒状の薬剤)が取り扱われる。ただし、散剤以外の薬剤(例えば錠剤)を取り扱う構成であってもよいし、散剤と錠剤の両方を取り扱う構成であってもよいし、薬剤に加えて賦形剤を取り扱う構成であってもよい。また、以下の説明において、計量とは、対象物の重量を計測することである。
【0027】
計量装置11は、調剤データに記載された薬剤を計量するための装置である。詳細には、薬剤は、計量容器21に収容された状態で計量装置11によって計量される。また、計量装置11は図略の入力装置(キー又はタッチパネル等)を有しており、作業者の選択等を受け付けることができる。更に、計量装置11は図略の記憶装置(フラッシュメモリ等)を有しており、様々な情報(詳細は後述)を記憶することができる。計量装置11には、ディスプレイ12及びバーコードリーダ13が接続されている。ディスプレイ12は、計量装置11が出力した情報(例えば、計量値、計量した薬剤の名称、調剤データに関する情報等)を表示する。バーコードリーダ13は、計量容器21に貼り付けられたバーコード22を読み取って、読取結果を計量装置11に出力する。なお、バーコード22には、計量容器21毎に付けられる固有の識別情報である容器IDが含まれている。
【0028】
薬剤分配装置31は、計量装置11を用いて計量された薬剤を調剤データに基づいて分配する。薬剤分配装置31は、薬剤フィーダ31a、計量部31b、判断部31c、及び分配部31dを備える。
【0029】
薬剤フィーダ31aには、計量装置11を用いて計量された薬剤が投入される。本実施形態の薬剤分配装置31は、複数の薬剤フィーダ31aを備えるが、1つの薬剤フィーダ31aを備える構成であってもよい。薬剤フィーダ31aは、例えば、投入された薬剤を収容するための収容部と、収容部に収容された薬剤を分配部に排出するための排出部と、を備える。排出部は、例えば振動モータを含んでおり、収容部を振動させることにより、薬剤を分配部に排出する。
【0030】
計量部31bは、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤を計量する。詳細には、計量部31bは、薬剤フィーダ31aの下方に配置されており、薬剤フィーダ31a及び薬剤を合わせた重量を取得する。また、薬剤フィーダ31aの重量は予め決まっているので、全体の重量から薬剤フィーダ31aの重量を減ずることで、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤の重量を取得できる。計量部31bによる計量は、主として、薬剤の投入後であって、かつ、薬剤の排出前に行われる。
【0031】
判断部31cは、CPU等の演算部を含んでおり、様々な処理を行うことができる。特に、判断部31cは、計量部31bが取得した計量値が適切か否か(薬剤フィーダ31a内の薬剤の過不足があるか否か)を判断する。
【0032】
分配部31dは、薬剤を一包分毎に分配して薬剤包装装置41へ供給する。分配部31dは、例えば、分配皿と、送り部と、を備える。薬剤フィーダ31aが排出した薬剤は、分配皿に広げられる。分配皿は、例えば鉛直方向を回転中心として回転することで堆積する薬剤を均一にする。送り部は、分配皿上の薬剤を一包分毎に掬い取って、薬剤包装装置41へ送る。
【0033】
薬剤分配装置31には、ディスプレイ32及びバーコードリーダ33が接続されている。ディスプレイ32は、薬剤分配装置31が出力した情報(例えば、計量値、計量した薬剤の名称、判断部31cの判断結果、調剤データに関する情報等)を表示する。バーコードリーダ33は、計量容器21に貼り付けられたバーコード22を読み取って、読取結果を薬剤分配装置31に出力する。
【0034】
薬剤包装装置41は、薬剤分配装置31の分配部31dから送られた薬剤を一包分毎に包装する(分包する)。詳細には、薬剤包装装置41には分包材がセットされている。薬剤包装装置41は、分包材の開口部に一包分の薬剤を投入した後に、熱等によって開口部を溶着する。この作業を繰り返すことにより、薬剤を分包することができる。
【0035】
PC51は、CPU等の演算装置と、ハードディスク又はソリッドステートドライブ等の記憶装置と、入出力装置と、を備える。演算装置は、記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで様々な処理を実行する。本実施形態において、PC51は、外部から入力された調剤データを記憶して管理したり、調剤データを薬剤分配装置31に送信したりする処理を行う。
【0036】
なお、上述した計量装置11、計量容器21、薬剤分配装置31、薬剤包装装置41の構成は一例であり、本実施形態とは異なる構成であってもよい。例えば、バーコードリーダ13,33に代えてRFIDリーダが用いられ、バーコード22に代えてRFIDタグが用いられてもよい。また、薬剤分配装置31の分配部31dは、薬剤を掬う構成に限られず、薬剤を掻き出して落下させる構成であってもよい。
【0037】
次に、
図2及び
図3を参照して、計量装置11、薬剤分配装置31、薬剤包装装置41、及びPC51が行う処理の流れを簡単に説明する。
図2は、これらの装置が行う処理を概略的に示すシーケンス図である。
図3は、調剤データ及び計量データの内容を示す図である。
【0038】
上述したように、PC51には、調剤データが記憶されている。PC51は、薬剤分配装置31で処理すべき調剤データを薬剤分配装置31に送信する(S1)。薬剤分配装置31は、受信した調剤データを、未処理の調剤データ(これから処理すべき調剤データ)として記憶する(S2)。薬剤分配装置31は、この調剤データを計量装置11に送信する(S3)。なお、調剤データを送受信する流れは一例であり、例えばPC51が計量装置11と薬剤分配装置31の両方に調剤データを送信してもよい。
【0039】
図3には、調剤データの内容が示されている。調剤データは、データIDと、薬剤名と、指定量と、を含んでいる。データIDは、調剤データ毎に付けられる固有の識別情報である。また、薬剤名毎に指定量が登録されている。
図3の例では、データIDがXXXの調剤を行うために、薬剤Aを10gと薬剤Bを20gを薬剤分配装置31に投入する必要がある。なお、
図3に示す調剤データの項目は一例であり、それ以外の項目(例えば一包毎の指定量)が含まれていてもよい。
【0040】
次に、作業者は、計量装置11の指示に沿って、調剤データが示す薬剤を計量容器21に供給する。計量装置11は、調剤データが示す薬剤を計量して、計量データを作成する(S4)。
図3には、計量データの内容が示されている。計量データは、データIDと、薬剤名と、第1計量値と、容器IDと、を含んでいる。データID及び薬剤名については、調剤データと同じである。第1計量値は、計量装置11が計量して取得した値である。計量装置11は、薬剤毎に計量を行うので、第1計量値も薬剤毎に記述されている。容器IDは薬剤毎に記述されており、対象の薬剤が収容される容器を示している。なお、S4の処理の詳細については後述する。計量装置11は、この計量データを薬剤分配装置31に送信する(S5)。
【0041】
薬剤分配装置31は、計量装置11から受信した計量データに基づいて作業者に指示を行い、計量容器21に収容された薬剤を分配する(S6)。なお、S6の処理の詳細については後述する。
【0042】
薬剤分配装置31は、分配した薬剤を薬剤包装装置41へ送る。薬剤包装装置41は、薬剤分配装置31から送られた薬剤を分包する(S7)。
【0043】
次に、計量装置11が行うS4の処理の詳細について、
図4を参照して、説明する。
図4は、計量装置11のフローチャートである。
【0044】
計量装置11は、薬剤分配装置31から調剤データを受信した後に、調剤データの内容をディスプレイ12に出力する(S101)。これにより、作業者は、これから行う調剤について把握することができる。
【0045】
次に、計量装置11は、計量対象の薬剤の選択を受け付ける(S102)。具体的には、計量装置11は、調剤データが示す薬剤名の一覧をディスプレイ12に表示し、計量を開始する薬剤を作業者に選択させる。作業者は、入力装置を操作して、計量を開始する薬剤を選択する。
【0046】
計量装置11は、計量に用いる計量容器の容器IDを受け付ける(S103)。具体的には、計量装置11は、計量に用いる計量容器21のバーコード22をバーコードリーダ13で読み取る旨の指示をディスプレイ12に表示する。作業者が、該当の計量容器21のバーコード22をバーコードリーダ13で読み取ることにより、計量容器21の容器IDが計量装置11に入力される。計量装置11は、入力された計量容器21の容器IDを、S102で受け付けた薬剤(計量対象の薬剤)と対応付けて記憶する(S104)。これにより、容器IDに基づいて、計量容器21に収容される薬剤を特定することができる。
【0047】
次に、計量装置11は、計量容器21に収容された薬剤を計量して第1計量値を取得する(S105)。第1計量値とは、薬剤分配装置31に投入するための薬剤を、薬剤分配装置31への投入前に計量装置11で計量して得られた値である。薬剤の計量中において、計量装置11は、薬剤名、第1計量値、及び指定量をディスプレイ12に表示する。作業者は、第1計量値が調剤データの指定量に一致するように、薬剤容器から薬剤を計量容器21に供給する。
【0048】
計量装置11は、第1計量値が調剤データの指定量と一致したか否かを判断する(S106)。この判断基準は様々であるが、例えば、計量装置11は、第1計量値と指定量の差が閾値以内であり、かつ、薬剤の供給を完了した旨の入力が作業者によって行われた場合に、第1計量値が調剤データの指定量と一致したと判断する。計量装置11は、第1計量値が調剤データの指定量と一致したと判断するまで、薬剤の計量を継続する。計量装置11は、第1計量値が調剤データの指定量と一致したと判断した場合、計量を完了して第1計量値を記憶する(S107)。これにより、対象の薬剤の薬剤名、対象の薬剤が収容されている計量容器21の容器ID、及び、対象の薬剤の第1計量値が計量装置11に記憶されることとなる。言い換えれば、対象の薬剤についての計量データが記憶されることとなる。
【0049】
次に、計量装置11は、調剤データに未計量の薬剤があるか否かを判断する(S108)。例えば、
図3の例において、薬剤Aが計量済みで、薬剤Bが未計量である場合、計量装置11は、未計量の薬剤があると判断する。計量装置11は、未計量の薬剤があると判断した場合、未計量の薬剤に対して、S102以降の処理を再び行う。例えば、計量装置11は、S102において、調剤データに含まれる薬剤のうち、計量対象であって、かつ、未計量の薬剤の選択を受け付ける。
【0050】
調剤データに記載された全ての薬剤について、S102からS107の処理を行うことにより、計量データが作成されることとなる。そして、計量装置11は、調剤データに未計量の薬剤がないと判断した場合、計量データを薬剤分配装置31に送信する(S109)。
【0051】
次に、薬剤分配装置31が行うS5の処理の詳細について、
図5を参照して、説明する。
図5は、薬剤分配装置31のフローチャートである。
【0052】
図2を用いて説明したように、薬剤分配装置31は、PC51から調剤データを受信して記憶し(S201)、調剤データを計量装置11へ送信する(S202)。そして、計量装置11で計量が行われた後に、薬剤分配装置31は、計量装置11から計量データを受信して記憶する(S203)。
【0053】
次に、薬剤分配装置31は、投入する計量容器21の容器IDを受け付ける(S204)。具体的には、薬剤分配装置31は、投入する薬剤が収容された計量容器21のバーコード22をバーコードリーダ33で読み取る旨の指示をディスプレイ32に表示する。作業者が、該当の計量容器21のバーコード22をバーコードリーダ33で読み取ることにより、計量容器21の容器IDが薬剤分配装置31に入力される。
【0054】
次に、薬剤分配装置31は、計量容器21に収容された薬剤を投入すべき薬剤フィーダ31aを選択して通知する(S205)。具体的には、薬剤分配装置31は、バーコードリーダ33から入力された容器IDを計量データから探し出し、この容器IDに対応する薬剤名及び調剤データ等を特定する。そして、薬剤分配装置31は、特定した情報に基づいて、適切な薬剤フィーダ31aを選択する。例えば、薬剤Aと薬剤Bを分配皿で混合する場合、薬剤Aと薬剤Bが同一の分配皿に排出されるように、薬剤フィーダ31aが選択される。なお、他の判断基準で薬剤フィーダ31aを選択してもよい。薬剤分配装置31は、例えば薬剤フィーダ31aの近傍に配置されたランプを点灯させる等して、薬剤を投入すべき薬剤フィーダ31aを通知する。なお、この種の通知に代えて又は加えて、薬剤を投入すべき薬剤フィーダ31aを特定する情報をディスプレイ32に表示してもよい。
【0055】
次に、薬剤分配装置31は、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤を計量部31bを用いて計量して第2計量値を取得する(S206)。第2計量値とは、薬剤分配装置31の計量部31bが薬剤フィーダ31aに投入された薬剤を計量して取得される値である。上述したように、計量部31bが示す重量から薬剤フィーダ31aの重量を減ずることで、第2計量値が取得される。また、第2計量値は、薬剤を分配部31dへ排出する排出動作を行う前(言い換えれば、排出動作のための振動モータを振動させる前)に行う。これにより、振動が発生していない状態で計量が行われるので、精度の高い第2計量値を取得できる。
【0056】
次に、薬剤分配装置31は、第1計量値と第2計量値とが一致するか否かを判断する(S207)。具体的には、薬剤分配装置31は、S204で取得した容器IDを計量データから探し出し、この容器IDに対応する第1計量値を特定する。薬剤分配装置31は、この第1計量値と第2計量値の差が閾値未満である場合、第1計量値と第2計量値が一致すると判断する。なお、第1計量値と第2計量値の差が閾値以上である場合、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤に過不足があることになる。なお、薬剤分配装置31は、第1計量値に代えて調剤データの指定量を比較対象としてもよい。具体的には、薬剤分配装置31は、調剤データの指定量と第2計量値が一致するか否かに基づいて、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤に過不足があるか否かを判定してもよい。
【0057】
薬剤分配装置31は、第1計量値と第2計量値とが一致すると判断した場合、薬剤フィーダ31aから分配部31dへの薬剤の排出を許可する(S208)。その後、別の要因により排出が禁止されていない限り、薬剤フィーダ31aから分配部31dへ薬剤が排出される。これにより、計量装置11で計量を行うだけでなく、更に、薬剤フィーダ31aに薬剤を投入した後においても計量を行うため、より信頼性の高い方法で調剤を行うことができる。
【0058】
薬剤分配装置31は、薬剤の排出後に再び計量部31bを用いて計量を行って第3計量値を取得する(S209)。第3計量値とは、薬剤の排出後に計量部31bを用いて薬剤フィーダ31a内にある物を計量した値である。第3計量値は、第2計量値と同様に、計量部31bが示す重量から薬剤フィーダ31aの重量を減じた値である。従って、薬剤が完全に排出されていれば、第3計量値はゼロになるはずである。第3計量値を取得するタイミングは、例えば薬剤の一連の排出動作が終わった後である。これにより、例えば振動モータを使用する場合は振動が停止した後に計量を行うことができるので適切な第3計量値が取得し易くなる。
【0059】
薬剤分配装置31は、第3計量値が閾値未満か否かを判断する(S210)。ここで使用する閾値はゼロ近傍の値である。つまり、薬剤分配装置31は、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤が全て排出されたか否かを判断する。なお、第3計量値として、計量部31bが示す重量(薬剤フィーダ31aを含む重量)を用いてもよい。この場合、S210において、薬剤分配装置31は、第3計量値と薬剤フィーダ31aの重量の差が閾値未満か否かを判断する。
【0060】
薬剤分配装置31は、第3計量値が閾値未満と判断した場合、分配部31dによる分配処理を開始する(S212)。そして、薬剤分配装置31は、同じ調剤データに含まれる次の薬剤、又は、次の調剤データに含まれる薬剤に対して、同様の処理を行って薬剤の分配を行う。これにより、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤の量が適切であるか否かを確認することができる。従って、例えば計量装置11による計量が誤っていたり、計量装置11による計量後に薬剤が落下したり、その他の事情で薬剤が計量後に増減したりした事態を検出できるので、調剤の信頼性を向上させることができる。
【0061】
薬剤分配装置31は、第3計量値が閾値以上と判断した場合、分配処理を行わずに、薬剤フィーダ31aからの薬剤の排出を再開する(S211)。そして、薬剤の排出後に再びS210の処理を行う。これにより、薬剤フィーダ31aに薬剤が残存していた場合であっても、残存していた薬剤を排出した後に分配処理を行うことができる。なお、例えば所定回数以上S211の処理を行っても第3計量値が閾値未満とならない場合、エラーが発生したことを作業者に通知してもよい。
【0062】
また、薬剤分配装置31は、S207において、第1計量値と第2計量値とが一致しないと判断した場合、薬剤フィーダ31aから分配部31dへの薬剤の排出を禁止する(S213)。仮に、過不足のある薬剤を分配部31dに排出した場合であって、かつ、薬剤の再計量を行うときは、分配部31dに排出された薬剤を廃棄したり分配部31dを清掃する処理が必要になる場合がある。この点、過不足があると判断された時点で分配部31dへの排出を禁止することで、分配部31dに排出された薬剤を廃棄したり分配部31dを清掃する処理を省略できる。
【0063】
次に、薬剤分配装置31は、薬剤フィーダ31a内の薬剤の量に過不足があることを作業者に通知する(S214)。通知の方法としては、例えば、エラー音の発生、警告灯の点灯、ディスプレイ32への表示等がある。また、薬剤分配装置31は、過不足の程度(即ち、第1計量値と第2計量値の差)をディスプレイ32に表示してもよい。
【0064】
次に、薬剤分配装置31は、薬剤を再計量するか否かの選択を受け付ける(S215)。具体的には、薬剤分配装置31は、再計量を指示するチェックボックスと、再計量せずにそのまま排出するチェックボックス等をディスプレイ32に表示する。作業者は、入力装置を操作して希望するチェックボックスにチェックをし、確定することで、薬剤分配装置31に指示を行う。
【0065】
薬剤分配装置31は、作業者の操作に基づいて、再計量の指示がされたか否かを判断する(S216)。薬剤分配装置31は、再計量が指示されなかったと判断した場合(即ちそのまま排出することが指示されたと判断した場合)、薬剤フィーダ31aから分配部31dへの薬剤の排出を許可する(S208)。薬剤分配装置31は、再計量が指示されたと判断した場合、計量データの第1計量値をリセットし、再計量調剤データを作成して計量装置11に送信する(S217)。再計量調剤データは、再計量である旨の情報が付加されている以外は、調剤データと同じである。また、薬剤分配装置31は、再計量を行う場合、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤を計量容器21に排出し、必要に応じて薬剤フィーダ31aを清掃する。そして、この計量容器21を用いて再計量を行う。
【0066】
計量装置11は、受信した再計量調剤データを用いて
図4のフローチャートで示す処理を行って、計量データを再び作成する。以下では、再計量調剤データに基づいて作成される計量データを再計量データと称する。薬剤分配装置31は、計量装置11から受信した再計量データを用いて、再び、
図5のフローチャートで示す処理を行う。これにより、再計量において第1計量値と第2計量値が一致すると判断された場合、適切な量の薬剤を用いて分配処理が行われることになる。
【0067】
なお、本実施形態では、S217において第1計量値がリセットされるが、それに代えて、再計量データを計量装置11から受信した際に第1計量値を上書きしてもよい。
【0068】
以上に説明したように、本実施形態の薬剤分配装置31は、薬剤フィーダ31aと、計量部31bと、判断部31cと、分配部31dと、を備える。計量部31bは、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤を計量する。判断部31cは、計量部31bが計量した薬剤の重量に基づいて、薬剤フィーダ31a内の薬剤の過不足の有無を判断する。分配部31dは、薬剤フィーダ31aが排出した薬剤を分配する。
【0069】
これにより、薬剤フィーダ31aに投入された薬剤の量が適切であるか否かを確認することができる。
【0070】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、判断部31cは、薬剤フィーダ31aに投入するための薬剤を当該薬剤フィーダ31aの投入前に計量装置11で計量して得られた第1計量値と、計量部31bが薬剤を計量して得られた第2計量値と、に基づいて、薬剤フィーダ31a内の薬剤の過不足の有無を判断する。
【0071】
これにより、計量装置11での計量後に何らかの原因で薬剤の量の過不足が生じた場合であっても、そのことを検出することができる。
【0072】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、計量装置11で薬剤を計量する際に薬剤が収容された計量容器21の識別情報と第1計量値とを対応付けた情報(計量データ)と、計量容器21から薬剤フィーダ31aに薬剤を投入する際に読み取られた計量容器21の識別情報(容器ID)の読取結果と、に基づいて、第1計量値を取得する。
【0073】
これにより、確実かつ簡単な方法で第1計量値を取得することができる。
【0074】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、判断部31cが、薬剤フィーダ31a内の薬剤の過不足がないと判断した場合、薬剤フィーダ31aから分配部31dへの薬剤の排出を許可する。
【0075】
これにより、適切な量の薬剤が薬剤フィーダ31aに投入されていることを確認した上で、薬剤の分配を行うことができる。
【0076】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、判断部31cが、薬剤フィーダ31a内の薬剤の過不足があると判断した場合、薬剤フィーダ31aから分配部31dへの薬剤の排出を禁止し、薬剤フィーダ31a内の薬剤に過不足があることを通知する。
【0077】
これにより、薬剤フィーダ31a内の薬剤に過不足がある状態で分配が行われる事態を防止できるとともに、薬剤フィーダ31a内の薬剤に過不足があることを作業者に知らせることができる。
【0078】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、判断部31cが、薬剤フィーダ31a内の薬剤の過不足があると判断した場合、計量装置11で計量を再度行うためのデータである再計量調剤データを作成する。
【0079】
これにより、計量装置11で計量をやり直す工程を容易にすることができる。
【0080】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、計量部31bは、薬剤フィーダ31aによる薬剤の排出後に再び計量を行って第3計量値を取得する。判断部31cは、第3計量値に基づいて、薬剤フィーダ31aから全ての薬剤が排出されたか否かを判断する。
【0081】
これにより、薬剤フィーダ31aに薬剤が残っている状態で分配が行われる事態を防止できる。
【0082】
また、本実施形態の薬剤分配装置31において、判断部31cが、薬剤フィーダ31aから全ての薬剤が排出されていないと判断した場合、薬剤フィーダ31aから分配部31dへの薬剤の排出を再開させる。
【0083】
これにより、薬剤フィーダ31aに薬剤が残っていた場合でも、残っている薬剤を自動的に分配部31dに排出することができる。
【0084】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0085】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。例えば、
図4のフローチャートでは計量データが完成したタイミングで計量装置11から薬剤分配装置31に計量データを送信する。これに代えて、薬剤分配装置31が適当なタイミングで計量装置11にアクセスして計量データを取得してもよい。また、
図5のフローチャートにおいて、S214において薬剤フィーダ31aの薬剤の量に過不足があることを通知した後に、薬剤分配装置31を停止させて、再計量に関する処理を省略してもよい。
【0086】
上記実施形態では、計量装置11と薬剤分配装置31にそれぞれ個別にディスプレイとバーコードリーダが接続されている。これに代えて、計量装置11と薬剤分配装置31で共通のディスプレイや共通のバーコードリーダを用いてもよい。
【符号の説明】
【0087】
11 計量装置
21 計量容器
31 薬剤分配装置
31a 薬剤フィーダ
31b 計量部
31c 判断部
31d 分配部
41 薬剤包装装置
51 PC