IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社エヌ・クラフトの特許一覧

<>
  • 特許-廃棄物選別システム 図1
  • 特許-廃棄物選別システム 図2
  • 特許-廃棄物選別システム 図3
  • 特許-廃棄物選別システム 図4
  • 特許-廃棄物選別システム 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】廃棄物選別システム
(51)【国際特許分類】
   B07B 4/02 20060101AFI20240702BHJP
   B07B 1/10 20060101ALI20240702BHJP
   B07B 1/28 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B07B4/02
B07B1/10
B07B1/28 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021130943
(22)【出願日】2021-08-10
(65)【公開番号】P2023025598
(43)【公開日】2023-02-22
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519205361
【氏名又は名称】株式会社エヌ・クラフト
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 憲昌
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-027476(JP,A)
【文献】特開2006-167653(JP,A)
【文献】特開昭55-064872(JP,A)
【文献】特開2016-209852(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B07B 1/00-15/00
B09B 1/00- 5/00
B09C 1/00- 1/10
B29B 17/00-17/04
C08J 11/00-11/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
廃棄物を落下させながら拡散する拡散部と、
前記拡散部の下流に配置され、前記廃棄物に対して所定方向に気体を噴射する気体噴射部と、
前記廃棄物のうち、前記気体噴射部から吹き付けられた気体によって飛ばされた第1廃棄物が通過する第1通路と、
前記廃棄物のうち、前記第1廃棄物以外の第2廃棄物が通過する第2通路と、
前記第1通路の下流に配置され、前記第1廃棄物を搬送する搬送部と、
を備え
前記搬送部は、網目状の無端ベルトと、前記無端ベルトを加振する加振部と、有する、
廃棄物選別システム。
【請求項2】
前記第1廃棄物のうち、前記無端ベルトから落下した第3廃棄物を収集する第1収集部と、前記第2通路と接続され前記第2廃棄物を集める第2収集部と、をさらに備え、
前記第1収集部と前記第2収集部とが合流する、
請求項1に記載の廃棄物選別システム。
【請求項3】
前記拡散部と、前記気体噴射部を覆う被覆部をさらに備え、
前記被覆部は、上方から下方に向けて曲がる曲部を有し、
前記所定方向が前記曲部に向けた方向である、
請求項1または2に記載の廃棄物選別システム。
【請求項4】
前記気体噴射部は、前記所定方向に圧縮空気を噴射するエアナイフ装置である、
請求項1からのいずれか1項に記載の廃棄物選別システム。
【請求項5】
前記第1通路に接続され、前記第1廃棄物を吸い込む吸引装置をさらに備える、
請求項1からのいずれか1項に記載の廃棄物選別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、廃棄物選別システムに関する。
【背景技術】
【0002】
廃棄物選別システムは、様々な廃棄物を選別する必要がある。例えば、廃棄物選別システムは、残土に含まれる石等の重量物と、小さな木片などの軽量物などの廃棄物と、を選別する必要がある。このような場合、従来は、トロンメル式の廃棄物選別装置を用いて、廃棄物を選別している(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-214316号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
トロンメル式の廃棄物選別システムは、網目状のドラムを回転させて遠心力を利用して残土を選別する。具体的には、残土に含まれる所定大きさ以下の廃棄物は遠心力によってドラムの外に排出され、所定大きさより大きい廃棄物がドラムの中に残る。このような残土を選別するトロンメル式の廃棄物選別システムは、廃棄物を重量物と軽量物とに選別しにくいという課題がある。
【0005】
本開示の課題は、廃棄物に含まれる軽量物と重量物とを選別可能な廃棄物選別システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本開示に係る廃棄物選別システムは、廃棄物を落下させながら拡散する拡散部と、拡散部の下流に配置され、廃棄物に対して所定方向に気体を噴射する気体噴射部と、廃棄物のうち、気体噴射部から吹き付けられた気体によって飛ばされた第1廃棄物が通過する第1通路と、廃棄物のうち、第1廃棄物以外の第2廃棄物が通過する第2通路と、を備える。
【0007】
(2)廃棄物選別システムは、第1通路の下流に配置され、第1廃棄物を搬送する搬送部をさらに備えてもよい。搬送部は、網目状の無端ベルトと、無端ベルトを加振する加振部と、有してもよい。
【0008】
(3)廃棄物選別システムは、第1廃棄物のうち、無端ベルトから落下した第3廃棄物を収集する第1収集部と、第2通路と接続され第2廃棄物を集める第2収集部と、をさらに備えてもよい。第1収集部と第2収集部とが合流してもよい。
【0009】
(4)廃棄物選別システムは、拡散部と、気体噴射部を覆う被覆部をさらに備えてもよい。被覆部は、上方から下方に向けて曲がる曲部を有し、所定方向が曲部に向けた方向であってもよい。
【0010】
(5)気体噴射部は、所定方向に圧縮空気を噴射するエアナイフ装置であってもよい。
【0011】
(6)廃棄物選別システムは、第1通路に接続され、第1廃棄物を吸い込む吸引装置をさらに備えてもよい。
【0012】
この廃棄物選別システムによれば、落下した廃棄物を拡散し、拡散状態の廃棄物に気体噴射部によって気体を噴射する。これによって、廃棄物に含まれる軽量物は第1廃棄物となり第1通路を通過する。廃棄物に含まれる重量物は第2廃棄物となり第2通路を通過する。重量物に付着した軽量物は、廃棄物に吹き付けられた気体によって重量物から分離されやすい。この結果、この廃棄物選別システムによれば、廃棄物に含まれる軽量物と重量物とを選別可能である。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、廃棄物に含まれる軽量物と重量物を選別可能な廃棄物選別システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本開示の実施形態による廃棄物選別システムを示す正面概略図。
図2】本開示の実施形態による廃棄物選別装置を示す上面概略図。
図3】本開示の実施形態による廃棄物選別システムを示す側面概略図。
図4】本開示の実施形態による吸引装置のフードを示す上面概略図。
図5】本開示の実施形態による吸引装置のフードを示す側面概略図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
図1に示すように、本開示の第1実施形態の廃棄物選別システム1は、残土に含まれる木材などの軽量物M1の廃棄物と、石や砂の塊などの重量物M2の廃棄物と、を選別するためのシステムである。廃棄物選別システム1は、第1コンベア2と、拡散部4と、気体噴射部6と、第1通路8と、第2通路10と、第2コンベア12(搬送部の一例)と、第3コンベア14と、第1収集部16と、第2収集部18と、第4コンベア20と、被覆部22と、吸引装置24と、第5コンベア26と、を備える。
【0017】
第1コンベア2は、廃棄物処理場に持ち込まれた選別前の残土を搬送する搬送装置である。本実施形態では、第1コンベア2は、無端状のベルトを有するベルトコンベアである。第1コンベア2では、木材などの軽量物M1(第1廃棄物の一例)と、石、砂の塊などの重量物M2(第2廃棄物の一例)と、が混在した状態で搬送される。第1コンベア2の搬送方向端部には、廃棄物を下方へガイドするガイド部材2aが設けられる。
【0018】
拡散部4は、軽量物M1と重量物M2を含む残土を落下させながら拡散する部材である。本実施形態では拡散部4は、板状部材4aと、ジャンプ台4bと、を有する。板状部材4aは、第1コンベア2と上下方向に重ねて設けられ、第1コンベア2の搬送方向に沿って下方に傾斜する。ジャンプ台4bは、板状部材4aから第1コンベア2の搬送方向に突設する。図2に示すように、拡散部4の第1コンベア2と直行する方向(以下幅方向という)の幅(以下単に幅という)は、第1コンベア2の幅よりも大きく、廃棄物が落下してこぼれないようにしている。また拡散部4は、板状部材4aの長手方向(幅方向)端部に縦壁を設けてもよい。これによって、廃棄物が幅方向にこぼれることを防止できる。
【0019】
図1に示すように、気体噴射部6は、拡散部4で拡散した廃棄物に対して所定方向に気体を噴射する装置である。本実施形態では気体噴射部6は、第1コンベア2の搬送方向と直行する方向に圧縮空気を噴射し、エアカーテン6aを発生させるエアナイフ装置である(図1の二点鎖線の仮想線を参照)。図2に示すように、エアカーテン6aの紙面奥行方向の幅は、拡散部4の幅よりも大きく、拡散部4で拡散された廃棄物に満遍なく圧縮空気を吹き付けできる。
【0020】
図1に示すように、第1通路8は、廃棄物のうち、気体噴射部6によって吹き付けられた気体によって上方に吹き飛ばされた軽量物M1が通過する通路である。第2通路10は、気体噴射部6によっては、吹き飛ばされない重量物M2が通過する通路である。本実施形態では、第1通路8と第2通路10との間には、隔壁9が設けられる。隔壁9は、第1コンベア2側から後述する第2コンベア12に向けて下方に傾斜して配置される。これにより、気体噴射部6によって上方に吹き上げらえた軽量物M1が落下した場合、第2コンベア12に向けて軽量物M1をガイドするガイド部材としても機能する。
【0021】
図2および図3に示すように、第2コンベア12は、軽量物M1を第1コンベア2の搬送方向と直行する方向に搬送するベルトコンベア装置である。第2コンベア12は、網目状の無端ベルト12aが第1コンベア2の搬送方向と直行する方向に架け渡される。第2コンベア12は、無端ベルト12aを加振する加振装置(図示せず)を有する。第2コンベア12は、軽量物M1を搬送しながら加振することによって、例えば木材などの軽量物M1に付着した砂(第3廃棄物の一例)を篩い落とす装置である。
【0022】
図1および図3に示すように、第2コンベア12には、無端ベルト12aに付着した砂(泥)などをこすり落とすブラシ12bが設けられる。本実施形態ではブラシ12bは、第2コンベア12の無端ベルト12aが下方に折返した位置に設けられる。
【0023】
図2に示すように、第3コンベア14は、第2コンベア12の搬送方向端部に上下に重ねて配置され、軽量物M1を搬送する装置である。本実施形態では、第3コンベア14は、第1コンベア2の搬送方向と同じ方向に、無端ベルトがかけ渡されるベルトコンベアである。しかし、第3コンベア14は、第2コンベア12によって搬送された軽量物M1を搬送できれば、どのような方向に向かって軽量物M1を搬送してもよい。
【0024】
図1に示すように、第1収集部16は、軽量物M1のうち、無端ベルト12aから落下した砂を収集する部分である。第2収集部18は、第2通路10と接続され、重量物M2を集める部分である。第1収集部16と、第2収集部18は、下方において合流し、後述する第4コンベア20へと廃棄物を案内する。本実施形態では、重量物M2や砂を回収するシュータ19が設けられ、シュータ19に第1収集部16と第2収集部18とが一体で設けられる。シュータ19の上部開口の一端は、気体噴射部6よりも第1コンベア2側まで延び、上記一端と反対側の端部は、第2コンベア12の下方を完全に覆う位置に設けられる。さらに、図2に示すように、シュータ19の開口の幅方向の長さは、第2コンベア12の搬送方向長さの少なくとも半分以上である。これによって、重量物M2および軽量物M1から落下した砂などを収集して第4コンベア20に案内する。
【0025】
第4コンベア20は、重量物M2および軽量物M1から落下した砂などを搬送する装置である。図2および図3に示すように、本実施形態では、第4コンベア20は、第1コンベア2の搬送方向と直行する方向に無端ベルトがかけ渡されるベルトコンベアでる。また、本実施形態では第4コンベア20は、上方に傾斜して配置され、重量物M2および砂を上方へと搬送する。
【0026】
図1に示すように、被覆部22は、少なくとも拡散部4と、気体噴射部6とを覆う。被覆部22は、上方から下方に向けて曲がる曲部22aを有する。気体噴射部6のエアカーテン6aは、この曲部22aに向けて吹き付ける。言い換えると、所定方向が曲部22aに向けた方向である。このように、曲部22aに向けてエアカーテン6aを吹き付けることによって、吹き飛ばされた軽量物M1が気流にのって第1通路8に案内されやすい。被覆部22のさらに外側には、雨よけ用のカバー22bを設けてもよい(図1の破線、図3の実線参照。図2はカバー22bを図示していない)。なお、本実施形態では上記の各装置は、支台Vに支持される。
【0027】
吸引装置24は、第1通路8に接続され、第1通路8の軽量物M1のうち、さらに軽量な廃棄物を吸い込むための装置である。吸引装置24は、曲部22aに案内された軽量物Mのうち、さらに軽量な廃棄物を吸い込み、第5コンベア26に案内する。図3から図5に示すように、吸引装置24は、ターボファン24aと、ダクト24bと、フード24cと、フラップ24dと、を有する。図3に示すように、ダクト24bは、円筒形の筒でありターボファン24aから、被覆部22の外側を第2コンベア12の搬送方向に沿って延び、第3コンベア14の上方で下方に折れ曲がり、第5コンベア26の直上まで延びる。図4および図5に示すように、フード24cは、角錐台形状であり被覆部22の曲部22aから第1コンベア2の搬送方向に向けて延び、ダクト24bに接続される。図4に示すように、吸引装置24は、ターボファン24aによって加圧した空気をダクト24bに流すことによって、フード24cに負圧を発生させ、フード24cに供給された廃棄物を吸い込む。図5に示すように、フラップ24dは、フード24cの第1コンベア2の搬送方向手前に配置される。フラップ24dは、曲部22aに向かって長さと角度が変更可能であり、フード24cの開口を覆う面積と、角度を変更することができる。これによって、吸引装置24は、吸い込み可能な軽量物M1の重さを変更することができる。
【0028】
このような廃棄物選別システム1では、軽量物M1と重量物M2とを含む残土(廃棄物)が第1コンベア2から落下するとともに、拡散部4によって拡散される。拡散部4で拡散された残土は、気体噴射部6から噴射されるエアカーテン6aによって軽量物M1が上方に吹き飛ばされ、隔壁9を超えて第1通路8に案内される。重量物M2は、そのまま第2通路10を通り落下する。
【0029】
第1通路8を通過した軽量物M1のうちさらに軽量な廃棄物(例えば小さな木片、プラスチック、紙など)は、吸引装置24に吸引されて第5ンベア26に案内される。第1通路8を通過した軽量物M1のうち残りの廃棄物は、第2コンベア12供給され、第2コンベア12によって篩いにかけられ、付着した砂などが落下する。軽量物M1は、第2コンベア12によって第3コンベア14に搬送される。一方、軽量物M1から落下した砂は、重量物M2と合流し、第4コンベア20に案内され搬送される。このように、廃棄物選別システム1は、軽量物M1のうちより軽量な廃棄物(以下超軽量物と明細書に記す)と、軽量物M1と、重量物M2とに選別する。ここで、残土に含まれる超軽量物、および軽量物M1は、小さな木材(細かな木材)など可燃物であることが多い。一方、重量物M2は、石などの不燃物であることが多い。本実施形態による廃棄物選別システム1は、軽量物M1に付着した砂などの不燃物を落下させることで、不燃物と可燃物とに選別することが可能である。
【0030】
以上説明した通り、本開示によれば廃棄物に含まれる軽量物M1と重量物M2を選別可能な廃棄物選別システム1を提供できる。
【0031】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0032】
(a)上記実施形態では、軽量物M1として木材を例に説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。軽量物M1は、残土に含まれる物質の中で比較的軽量なものであればよく、木材以外の物質(例えば、紙、プラスチックなど)であってもよい。
【0033】
(b)上記実施形態では、重量物M2として、石、砂の塊を例に説明したが、本開示はこれに限定されるものではない。重量物M2は、残土に含まれる物質の中で比較的重量なものであればよく、石、砂の塊以外の物質であってもよい。
【符号の説明】
【0034】
1 :廃棄物選別システム
2 :第1コンベア
2a :ガイド部材
4 :拡散部
4a :板状部材
4b :ジャンプ台
6 :気体噴射部
8 :第1通路
9 :隔壁
10 :第2通路
12 :第2コンベア(搬送部の一例)
12a :無端ベルト
12b :ブラシ
14 :第3コンベア
16 :第1収集部
18 :第2収集部
19 :シュータ
20 :第4コンベア
22 :被覆部
22a :曲部
22b :カバー
24:吸引装置
24a:ターボファン
24b:ダクト
24c:フード
24d:フラップ
26:第5コンベア
M1 :軽量物(第1廃棄物の一例)
M2 :重量物(第2廃棄物の一例)
V :支台
図1
図2
図3
図4
図5