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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】液晶素子及び液晶素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/18 20060101AFI20240702BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B3/00
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021540771
(86)(22)【出願日】2020-08-14
(86)【国際出願番号】 JP2020030913
(87)【国際公開番号】W WO2021033650
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-08-04
(31)【優先権主張番号】P 2019149514
(32)【優先日】2019-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和1年8月22日、日本液晶学会、2019年日本液晶学会討論会予稿集に掲載 令和1年9月 5日、2019年日本液晶学会討論会にて発表 令和1年9月11日、公益社団法人高分子学会、高分子学会予稿集68巻2号〔2019〕に掲載 令和1年9月27日、第68回高分子討論会にて発表 令和1年9月 4日、公益社団法人応用物理学会、2019年第80回秋季講演会予稿集に掲載 令和1年9月19日、第80回応用物理学会秋季学術講演会にて発表 令和1年9月 4日、公益社団法人応用物理学会、2019年第80回秋季講演会予稿集に掲載 令和1年9月18日、第80回応用物理学会秋季学術講演会にて発表 令和1年9月26日、公益社団法人日本化学会、第9回CSJ化学フェスタ2019予稿集に掲載 令和1(2019)年10月17日、第9回CSJ化学フェスタ2019にて発表 令和1年12月6日、独立行政法人 日本学術振興会、情報科学用有機材料第142委員会 合同研究会資料に掲載 令和1(2019)年12月6日、日本学術振興会142委員会合同研究会にて発表 令和2年3月5日、公益社団法人日本化学会、第100春季年会(2020)講演予稿集に掲載 令和2年3月5日、公益社団法人日本化学会、第100春季年会(2020)講演予稿集に掲載 令和2年3月5日、公益社団法人日本化学会、第100春季年会(2020)講演予稿集に掲載 令和2年5月12日、公益社団法人高分子学会、高分子学会予稿集69巻1号[2020]に掲載
(73)【特許権者】
【識別番号】593006630
【氏名又は名称】学校法人立命館
(74)【代理人】
【識別番号】100111567
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 寛
(72)【発明者】
【氏名】堤 治
(72)【発明者】
【氏名】久野 恭平
(72)【発明者】
【氏名】杉山 翔平
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真樹
【審査官】鈴木 玲子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/193952(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/013284(WO,A1)
【文献】特開2012-073522(JP,A)
【文献】特開2001-083311(JP,A)
【文献】国際公開第2010/131632(WO,A1)
【文献】特開2012-045864(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154991(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/18
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子であって、
コレステリック液晶のらせん軸が前記液晶素子の面内方向に平行に配向しているとともに、前記面内方向において配向規制された第1領域と、膜厚方向に平行な界面で前記第1領域に接するポリマー領域である第2領域と、を備え、
前記界面は、前記第2領域の組成に応じて決まる方向に、前記第1領域における前記らせん軸を、配向させる配向規制力を有する配向規制面であり、
前記第1領域における前記らせん軸は、前記第2領域の組成に応じて決まる前記方向に配向規制されている
コレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子。
【請求項2】
前記第2領域は、等方相である
請求項1に記載のコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子。
【請求項3】
前記第1領域は、光学素子として機能するようにらせん軸が配向規制されている
請求項1又は請求項2に記載のコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子。
【請求項4】
前記光学素子は、回折光学素子である
請求項3に記載のコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子。
【請求項5】
前記回折光学素子は、回折格子である
請求項4に記載のコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子。
【請求項6】
前記回折光学素子は、回折レンズである
請求項4に記載のコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子。
【請求項7】
第1面及び前記第1面に交差する方向に平行な第2面それぞれから分子配向規制されたコレステリック液晶を有する第1領域を備え、
前記第2面は、前記第1領域に接するポリマー領域である第2領域との界面であり、
前記界面は、前記第1面に平行な方向であって前記第2領域の組成に応じて決まる方向に、前記第1領域におけるらせん軸を、配向させる配向規制力を有する配向規制面であり、
前記第1領域における前記らせん軸は、前記第2領域の組成に応じて決まる前記方向に配向規制されている
液晶素子。
【請求項8】
コレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子の製造方法であって、
液晶性モノマー、キラル剤、及び光重合開始剤を含む混合物を、分子配向処理が施された基板上に膜状に配置し、
前記混合物が等方相を示す温度で、前記基板に対して平行な面において光強度分布を有する光を、膜状の前記混合物に対して照射することで、光重合されていないモノマー領域と光重合されたポリマー領域とを形成する、
ことを含み、
前記光強度分布は、露光パターンによって形成される、
コレステリック液晶を用いた液晶素子の製造方法。
【請求項9】
前記光の照射後に、前記モノマー領域が液晶相を示す温度にすることを更に含む
請求項8に記載のコレステリック液晶を用いた液晶素子の製造方法。
【請求項10】
前記ポリマー領域の形成後に前記モノマー領域を光重合することを更に含む
請求項8又は請求項9に記載のコレステリック液晶を用いた液晶素子の製造方法。
【請求項11】
液晶性モノマー、キラル剤、及び光重合開始剤を含む混合物に対して、前記混合物が等方相を示す温度で、光強度分布を有する光を照射することで、コレステリック液晶のらせん軸を配向規制する
ことを備え
前記光強度分布は、露光パターンによって形成される、
液晶素子の製造方法。
【請求項12】
前記混合物は、基板上に配置され、
前記光は、前記基板上に配置された前記混合物に対して照射され、
前記光は、前記基板に対して平行な面及び直交する方向において前記光強度分布を有する
請求項11に記載の液晶素子の製造方法。
【請求項13】
前記光強度分布を有する前記光は、前記混合物中に、等方相から液晶相への相転移温度の分布を生じさせる
請求項11又は請求項12に記載の液晶素子の製造方法。
【請求項14】
液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じる混合物に対して、前記混合物が等方相を示す温度で照射された光の光強度分布によって、前記混合物中に光重合によって生成されるポリマーの濃度分布を生じさせ、
前記濃度分布を利用して液晶の周期構造を配向する
ことを備え
前記光強度分布は、露光パターンによって形成される、
液晶素子の製造方法。
【請求項15】
液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じる混合物に対して、前記混合物が等方相を示す温度で照射された光の光強度分布によって、前記混合物中に等方相から液晶相への相転移温度の分布を生じさせ、
前記相転移温度の分布を利用して液晶の周期構造を配向する
ことを備え
前記光強度分布は、露光パターンによって形成される、
液晶素子の製造方法。
【請求項16】
周期構造を有する液晶素子であって、
前記周期構造が前記液晶素子の面内方向に平行に配向しているとともに、前記面内方向において配向規制された第1領域と、前記面内方向に交差する界面で前記第1領域に接するポリマー領域である第2領域と、を備え、
前記界面は、前記第2領域の組成に応じて決まる方向に、前記第1領域における前記周期構造を、配向させる配向規制力を有する配向規制面であり、
前記第1領域における前記周期構造は、前記第2領域の組成に応じて決まる前記方向に配向規制されている
液晶素子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶素子及び液晶素子の製造方法に関する。本出願は、2019年8月16日出願の日本特許出願第2019-149514号に基づく優先権を主張し、前記日本出願に記載された全ての記載内容を援用する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、レンズ層を含む液晶レンズを開示している。特許文献1のレンズ層は、コレステリック配向された液晶分子を含むコレステリック配向領域を含む。
【0003】
特許文献2は、コレステリック配向を固定化した液晶性フィルムを開示している。また、特許文献2は、コレステリック液晶により形成された指紋状組織を開示している(特に、特許文献2の図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2013/119066号
【文献】特開2006-154865号公報
【発明の概要】
【0005】
液晶分子の配向構造を制御する手法としては、力学的な配向制御法がある。力学的な配向制御法としては、例えば、高分子フィルムを一方向に延伸することで延伸方向に対して平行となるように液晶分子を配向する延伸法がある。しかし、力学的な配向制御法では、一次元的な配向制御は容易であるが、二次元又は三次元の配向制御は困難である。
【0006】
また、偏光選択的なアゾベンゼンなどの色素分子と偏光照射との相互作用を利用することで、液晶分子を自在に配向制御できる光配向法も存在する。しかし、光配向法により達成できる分子配向制御は、原理的に数十マイクロメートルから数ミリメートまでの微細化が限界であり、より高度な光学機能材料の創出においては、新たな分子配向技術の開発が望まれる。
【0007】
本発明者らは、緻密な分子配向制御のため、自発的に形成される液晶の周期構造に着目した。液晶の周期構造は、ナノオーダの大きさであるため、従来の分子配向制御技術により得られる構造サイズよりも格段に微細である。例えば、コレステリック液晶は、自発的に液晶分子がらせん状配向したnmからμmオーダーの周期構造を形成する。また、スメクチック液晶は、層状の周期構造を有する。
【0008】
したがって、液晶の周期構造の方向を所望の2次元方向又は3次元方向に配向させれば、微細かつ所望の2次元的又は3次元的な分子配向構造を得ることができる。ここで、周期構造の方向とは、周期構造において、構造が変化する方向をいい、例えば、コレステリック液晶の場合、らせん軸方向が周期構造の方向であり、スメクチック液晶であれば層の厚さ方向が周期構造の方向である。
【0009】
本開示のある側面は、コレステリック液晶を有する膜状の液晶素子である。開示の液晶素子は、コレステリック液晶のらせん軸が前記膜状の液晶素子の面内方向に平行に配向しているとともに、前記面内方向において配向規制された第1領域を備える。
【0010】
他の観点において、開示の液晶素子は、第1面及び前記第1面に直交する方向に平行な第2面それぞれから分子配向規制されたコレステリック液晶を有する第1領域を備える。
【0011】
本開示の他の側面は、コレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子の製造方法である。開示の製造方法は、液晶性モノマー、キラル剤、及び光重合開始剤を含む混合物を、配向処理が施された基板上に膜状に配置し、前記基板に対して平行な面において光強度分布を有する光を、膜状の前記混合物に対して照射することで、光重合されていないモノマー領域と光重合されたポリマー領域とを形成する、ことを含む。
【0012】
他の観点において、開示の液晶素子の製造方法は、液晶性モノマー、キラル剤、及び光重合開始剤を含む混合物に対して光強度分布を有する光を照射することで、コレステリック液晶のらせん軸を配向規制することを備える。
【0013】
他の観点において、開示の液晶素子の製造方法は、液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じる混合物に対して照射された光の光強度分布によって、前記混合物中に光重合によって生成されるポリマーの濃度分布を生じさせ、前記濃度分布を利用して液晶の周期構造を配向することを備える。
【0014】
他の観点において、開示の液晶素子の製造方法は、液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じる混合物に対して照射された光の光強度分布によって、前記混合物中に等方相から液晶相への相転移温度の分布を生じさせ、前記相転移温度の分布を利用して液晶の周期構造を配向することを備える。
【0015】
他の観点において、開示の液晶素子は、周期構造を有する液晶素子であって、前記周期構造が前記液晶素子の面内方向に平行に配向しているとともに、前記面内方向において配向規制された第1領域を備える。
【0016】
更なる詳細は、後述の実施形態として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、コレステリック液晶を用いた素子の製造プロセスを示すフローチャートである。
図2図2は、材料組成を示す図である。
図3図3は、液晶素子の製造装置を示す斜視図である。
図4図4は、パターン露光を示す断面図である。
図5図5は、パターン露光を示す拡大断面図である。
図6図6は、モノマー領域における液晶配向構造を示す平面図である。
図7図7は、モノマー領域における液晶配向構造を示す平面図である。
図8図8は、図7の配向構造を得るための材料組成を示す図である。
図9図9は、分子配向規制力に関する、参考例と本開示の例である。
図10図10は、後露光を示す断面図である。
図11図11は、回折光の測定系を示す図である。
図12図12は、回折光の撮像結果である。
図13図13は、フォトマスクの平面図である。
図14図14は、図13のフォトマスクによって得られるモノマー/ポリマー領域を示す平面図である。
図15図15は、第2例に係る材料組成を示す図である。
図16図16は、モノマー混合物の組成と相転移挙動を示す図である。
図17図17は、液晶素子の製造装置を示す斜視図である。
図18図18は、液晶工程の製造工程を示す図である。
図19図19は、パターン露光後の室温下におけるモノマー混合物の偏光顕微鏡写真(干渉フィルター;λ=550nm)である。
図20図20は、パターン露光後のサンプルの相転移挙動観察画像である(重合条件;0.1mW/cm2,80℃,10min.セルギャップ;3.0μm,干渉フィルター;λ=550nm)
図21図21は、らせん軸配向が面内で制御されるメカニズムの模式図である。
図22図22は、らせん軸配向が面内で制御されるメカニズムの模式図である。
図23図23は、らせん軸配向が面内で制御されるメカニズムの模式図である。
図24図24は、ホログラムの製造工程の説明図である。
図25図25は、ホログラムの製造工程の説明図である。
図26図26は、3次元らせん軸配列の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<1.液晶素子及び液晶素子の製造方法の概要>
近年、高分子などの柔らかい材料により、厚さ数μm程度の薄膜でありながらレンズなどの光学素子として機能する材料が開発されている。薄膜状の光学素子を実現する鍵技術となるのは、高分子材料中の分子の並び方の制御方法である。2次元的に緻密にデザインされた分子配向構造を有する高分子材料は、その配向構造に依存して多彩な光学素子として機能する。
【0019】
しかしながら、実用されている既存技術では、2次元的に分子配向構造を制御した際の構造サイズは、原理的におよそ数百μm程度であり、分子配向構造のさらなる微細化(例えば、数μmオーダー以下)が求められる。また、既存技術では素子の大型化(配向構造の集積化)が困難である。
【0020】
本発明者らは、2次元的に分子配向構造を制御する手法の一つとして、コレステリック液晶という材料に着目した。コレステリック液晶は、自発的に液晶分子がらせん状配向したnmからμmオーダーの周期構造を形成する。コレステリック液晶は、反射、屈折、回折などの様々な光機能を発現することができる。
【0021】
コレステリック液晶は、分子がらせん状配向しているため、それ自体が、らせん軸方向に1次元的な分子配向周期構造を有する。しかも、コレステリック液晶が自発的に形成する周期構造は、既存の分子配向制御技術に基づく光学素子の周期構造サイズより格段に微細である。したがって、コレステリック液晶のらせん軸を所望される2次元方向に配向させることができれば、微細かつ所望の2次元的な分子配向構造を得ることができる。
【0022】
しかし、従来は、らせん軸が1次元的に構造制御されたコレステリック液晶しか存在しておらず、光学素子としての応用への制約となっていた。らせん軸が1次元的に構造制御されたコレステリック液晶の代表例は、らせん軸が膜状の液晶素子の膜厚方向に平行に配向規制されたものである。この構造では、らせん軸は、単に、膜厚方向に平行な方向に向いているにすぎない。
【0023】
また、らせん軸が1次元的に構造制御されたコレステリック液晶の他の例は、らせん軸が、膜状の液晶素子の面内方向(膜厚方向に直交する方向)に平行に配向規制されたものである(特許文献1参照)。
【0024】
本発明者らは、後者の例、すなわち、らせん軸が膜状の液晶素子の面内方向に平行に配向している構造に着目した。ただし、従来、らせん軸が液晶素子の面内方向に平行に配向である構造においては、らせん軸が面内方向におけるどの方向に向くかは制御されていなかった。すなわち、従来の構造では、らせん軸は、面内方向に平行ではあるものの、面内において、らせん軸がランダム(無秩序)な方向に配列されていた。
【0025】
面内において、らせん軸方向がランダム(無秩序)である構造は、指紋状組織と呼ばれる(特許文献2参照)。
【0026】
面内において、らせん軸方向がランダム(無秩序)であるという、従来の指紋状組織における欠点を解消することが望まれる。この欠点が解消されることで、微細かつ所望の2次元的な分子配向構造を得ることができる。このような分子配向構造を有する素子は、光学分野への応用のみならず、アクチュエーターなどの運動材料への応用など、他の分野への応用も可能である。
【0027】
(1)実施形態に係るコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子は、コレステリック液晶のらせん軸が前記膜状の液晶素子の面内方向に平行に配向しているとともに、前記面内方向において配向規制された第1領域を備える。面内方向において配向規制されていることで、従来の指紋状組織のように、面内において、らせん軸方向がランダム(無秩序)であるという欠点が解消される。ここで、面内方向とは、膜状の液晶素子の膜厚方向に直交する方向である。膜状の液晶素子において、第1領域は、1つでもよいし、複数でもよい。膜状の液晶素子が複数の第1領域を有する場合、複数の第1領域それぞれにおけるらせん軸方向は異なっていてもよい。
【0028】
なお、本明細書において、平行、直交、垂直などの方向を示す用語は、厳密な方向を意味するものとして解釈されるべきものではなく、本明細書において開示される技術の意義(作用効果)を損なわない範囲での誤差を許容する観点で解釈されるべきものである。
【0029】
(2)液晶素子は、前記第1領域に接する界面を有するポリマー領域である第2領域を更に備えることができる。前記界面は、膜厚方向に平行であり、前記第1領域における前記らせん軸を、前記面内方向において配向規制するための配向規制界面であってもよい。
【0030】
(3)前記第2領域は、等方相であってもよい。
【0031】
(4)前記第1領域における前記らせん軸は、前記配向規制界面に対して、平行又は垂直に配向されているのが好ましい。
【0032】
(5)前記第1領域は、光学素子として機能するようにらせん軸が配向規制されているのが好ましい。この場合、膜状の液晶素子を光学素子として機能させることができる。なお、液晶素子の用途は、光学素子に限られるものではない。
【0033】
(6)前記光学素子は、回折光学素子であるのが好ましい。
【0034】
(7)前記回折光学素子は、回折格子であるのが好ましい。
【0035】
(8)前記回折光学素子は、回折レンズであるのが好ましい。
【0036】
(9)実施形態に係るコレステリック液晶を用いた液晶素子は、第1面及び前記第1面に交差する方向に平行な第2面それぞれから分子配向規制されたコレステリック液晶を有する第1領域を備える。第1面と第2面とは直交することができる。
【0037】
(10)実施形態に係るコレステリック液晶を用いた膜状の液晶素子の製造方法は、液晶性モノマー、キラル剤、及び光重合開始剤を含む混合物を、分子配向処理が施された基板上に膜状に配置し、前記基板に対して平行な面において光強度分布を有する光を、膜状の前記混合物に対して照射することで、光重合されていないモノマー領域と光重合されたポリマー領域とを形成する、ことを含む。
【0038】
(11)前記分子配向処理は、垂直配向処理であるのが好ましい。
【0039】
(12)前記光強度分布は、露光パターンによって形成されるのが好ましい。この場合、露光パターンによって、モノマー領域とポリマー領域を容易に形成できる。
【0040】
(13)前記光を照射する際において、前記混合物は等方相を示す温度に設定されるのが好ましい。
【0041】
(14)製造方法は、前記光の照射後に、液晶温度でアニーリングすることを更に含むことができる。
【0042】
(15)製造方法は、前記ポリマー領域の形成後に前記モノマー領域を光重合することを更に含むことができる。
【0043】
(16)実施形態に係る液晶素子の製造方法は、液晶性モノマー、キラル剤、及び光重合開始剤を含む混合物に対して光強度分布を有する光を照射することで、コレステリック液晶のらせん軸を配向規制することを備える。
【0044】
(17)前記混合物は、基板上に配置され、前記光は、前記基板上に配置された前記混合物に対して照射されるのが好ましい。
【0045】
(18)前記光は、前記基板に対して平行な面において光強度分布を有するのが好ましい。この場合、2次元的な配向が得られる。
【0046】
(19)前記光は、前記基板に対して直交する方向において光強度分布を更に有するのが好ましい。この場合、3次元的な配向が得られる(図26参照)。
【0047】
(20)前記光強度分布を有する前記光は、前記混合物中に、光重合によって生成されるポリマーの濃度分布を生じさせることができる。ポリマーの濃度分布を利用して、液晶の周期構造が配向される。
【0048】
(21)前記光強度分布を有する前記光は、前記混合物中に、等方相から液晶相への相転移温度の分布を生じさせることができる。相転移温度の分布を利用して、温度変化に伴う配向規制面の移動により、液晶の周期構造が配向される。
【0049】
(22)実施形態に係る液晶素子の製造方法は、液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じる混合物に対して照射された光の光強度分布によって、前記混合物中に光重合によって生成されるポリマーの濃度分布を生じさせ、前記濃度分布を利用して液晶の周期構造を配向することを備える。
【0050】
(23)実施形態に係る液晶素子の製造方法は、液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じる混合物に対して照射された光の光強度分布によって、前記混合物中に等方相から液晶相への相転移温度の分布を生じさせ、前記相転移温度の分布を利用して液晶の周期構造を配向することを備える液晶素子。
【0051】
(23)実施形態に係る液晶素子は、周期構造を有する液晶素子であって、前記周期構造が前記液晶素子の面内方向に平行に配向しているとともに、前記面内方向において配向規制された第1領域を備える。
【0052】
なお、液晶の周期構造を配向することは、周期構造の方向を所望の方向に向けることである。周期構造の方向とは、周期構造において、構造が変化する方向をいい、例えば、コレステリック液晶の場合、らせん軸方向が周期構造の方向であり、スメクチック液晶であれば層の厚さ方向が周期構造の方向である。周期構造を配向することは、2次元方向に配向することであってもよいし、3次元方向に配向させることであってもよい。したがって、液晶の周期構造の方向を所望の2次元方向又は3次元方向に配向させれば、微細かつ所望の2次元的又は3次元的な分子配向構造を得ることができる。ここで、周期構造の方向とは、周期構造において、構造が変化する方向をいい、例えば、コレステリック液晶の場合、らせん軸方向が周期構造の方向であり、スメクチック液晶であれば層の厚さ方向が周期構造の方向である。
【0053】
<2.液晶素子及び液晶素子の製造方法の例>
【0054】
<2.1 第1例>
【0055】
図1は、コレステリック液晶を用いた液晶素子の製造プロセスを示している。実施形態において、液晶素子は、例えば、膜状素子である。まず、原料モノマー(モノマー混合物)が作製される(ステップS11)。図2は、モノマー混合物を構成する材料の一覧を例示している。実施形態のモノマー混合物は、液晶モノマー、らせん配向誘起のためのキラル剤(キラルモノマー)、及び光重合開始剤を含む。実施形態のモノマー混合物は、液晶性モノマーを含み光が照射されることで光重合が生じるよう構成されている。図2に示すように、モノマー混合物は、任意で、非重合性液晶(可塑剤)を含んでもよい。また、モノマー混合物は、任意で、架橋剤を含んでもよい。重合基も、ラジカル重合のみならず、アニオン重合、カチオン重合などを自由に選択できる。
【0056】
液晶性モノマーは、図2に例示した構造には限定はされず、他の構造の液晶性モノマーを用いることができる。ここで「液晶性モノマー」とは、液晶性を発現するための官能基である「メソゲン基」と、重合反応のための官能基である「重合基」と、を有する化合物群を意味する。液晶モノマーは、一つの重合基を有していても良いし、微粒子の安定性という意味に鑑みれば複数の重合基を有していてもよい。例えば、メソゲン基としては、フェニル基、ビフェニル基、フェニルシクロヘキシル基、ビシクロヘキシル基、フェニルベンゾエート基、アゾベンゼン基、トラン基、またこれらのヘテロ元素誘導体および複合体などがある。重合基としては、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、エポキシ基、オキセタン基などがある。
【0057】
キラル剤は、液晶のらせん構造を誘起させる。キラル剤は、例えば、図2に示すものが用いられる。キラル剤は、図2に例示したイソソルビド骨格を有する構造には限定はされず他の構造の重合性キラル剤を用いることができる。具体的には、分子骨格中に「不斉中心」、「不斉軸」、または「不斉面」を有しており、さらに同一分子中に重合基を有すれば良い。例えば、最も汎用されているキラル剤である「S-811」や「R-811」に重合基を導入した誘導体などが挙げられる。なお、不斉中心を有する化合物は、例えば、イソソルビド、コレステロール、S811である。不斉軸を有する化合物は、例えば、アレン,ビフェニル,BINAPである。不斉軸の別の例としては、分子内らせん軸がある。不斉軸としてのらせん軸を有する化合物は、例えば、ヘリセンである。不斉面を有する化合物は、例えば、シクロファンである。また、コレステリック液晶のらせん構造の周期はキラル剤の分子構造に由来する「ヘリカルツイスティングパワー(HTP)」で決定される。キラル剤のHTPが高い(HTP > 数十μm-1)ほど微量(数mol%以下)の添加量で紫外から可視光領域まで反射帯を制御できるためより好ましい。本発明で用いたキラル剤は、液晶性モノマーに対して数mol%の量でよく、例えば、液晶性モノマーに対して4mol%の量でよい。なお、キラル剤は、必ずしも重合性である必要はなく、非重合性キラル剤を用いてもよい。
【0058】
作製されたモノマー混合物は、第1基板111及び第2基板112の対からなる基板セル100(図3参照)内に封入される。第1基板111及び第2基板112は、例えば、ガラス製である。第1基板111及び第2基板112それぞれの厚さは、1μm以上、100μm以下であるのが好ましい。
【0059】
第1基板111と第2基板112との間には、両基板111,112間に、モノマー混合物を入れるための空間130を確保するためのスペーサ120が配置されている。スペーサの厚み(空間130の厚み;形成される膜状の液晶素子の厚み)は、例えば、1μm以上、100μm以下であるのが好ましく、1μm以上、50μm以下であるのがより好ましい。
【0060】
第1基板111は、第2基板112への対向面(図3において下面)111Aを有する。第2基板112は、第1基板111への対向面(図3において上面)112Aを有する。対向面111A,112Aは、空間130に封入されたモノマー混合物との界面になる。
【0061】
対向面111A,112Aには、予め、液晶分子の配向制御のための分子配向処理が施されている。分子配向処理により、対向面111A,112Aには分子配向規制力(界面規制力)が生じる。つまり、対向面111A,112Aは、分子配向規制界面(第1分子配向規制界面)として機能する。対向面111A,112Aに施される分子配向処理は、例えば、シランカップリング剤による処理、長鎖アルキル等を用いる高分子膜(例えばポリイミド樹脂やアクリル樹脂など)の処理、疎水性基板(フッ素含有樹脂や)の処理、ホモポリマーやブロックコポリマーなどポリマーブラシを形成する表面処理、など表面自由エネルギー状態を制御できる化学修飾処理法や類似の表面状態を有する基板の使用が挙げられる。また、物理的な処理により表面状態を変えることも可能であり、数十nm~数百μm程度の微細な凹凸構造を有する基板(高分子など有機物に限らず無機物でも可能)を用いることもできる。
【0062】
対向面111A,112Aに生じる分子配向規制力(界面規制力)は、基板111,112の面外方向(垂直方向)への規制力であるのが好ましい。すなわち、分子配向処理としては、界面に対して平行な規制力を生じさせる平行配向処理(水平配向処理)と、界面に対して垂直な規制力を生じさせる垂直配向処理とがあるが、ここでは、垂直配向処理であるのが好ましい。垂直配向処理により面外方向への界面規制力を生じさせることで、液晶分子が面外方向に配向し、液晶分子の配向方向に直交するらせん軸方向は、面内方向に平行になる。なお、平行配向処理により面内方向への界面規制力を生じさせると、液晶分子が面内方向に配向し、らせん軸方向は面外方向に平行になる。なお、対向面111A,112Aには、分子配向処理が施されていなくてもよい。対向面111A,112Aに分子配向処理が施されていない場合、基板111,112からの配向規制は、少なくなり、支配的ではなくなる。
【0063】
ここでの面外方向は、図3におけるZ方向(垂直方向)であり、基板111,112の厚さ方向及び形成される膜状の液晶素子の厚さ方向に一致する。また、面内方向は、図3におけるXY平面内の方向(水平方向)であり、Z方向に直交する方向である。面内方向は、基板111,112の対向面111A,112Aの面に平行であるとともに、形成される膜状の液晶素子の面内方向(液晶素子の厚さ方向に直交する方向)でもある。
【0064】
なお、モノマー混合物は、セル100内に封入される必用はなく、単一の基板上においてスピンコート又はバーコートにより薄膜状に形成され、塗膜状態で、後述の光重合(ステップS13)以降の処理が行われてもよい。
【0065】
続いて、図4に示すように、モノマー混合物(重合用試料)20が封入された基板セル100に対して光(紫外光)が照射され、モノマー混合物に光重合反応を生じさせる(ステップS13)。光は、フォトマスク200を介して、基板セル100へ照射される。図3及び図4に示すように、フォトマスク200は、所定パターンの遮光部201及び透光部(非遮光部)202を有する。フォトマスク200を介して光が照射されることで、モノマー混合物は、フォトマスク200のパターンに従って部分的に露光(パターン露光)される。
【0066】
すなわち、モノマー混合物20に照射される光は、フォトマスク200により、面内方向(XY平面)において空間的な光強度分布を有する。モノマー混合物20において、光強度が高い部分、すなわち透光部202から露光される部分、においては、光重合反応が進行し、ポリマー領域(ポリマー壁)12が形成される。一方、モノマー混合物20において、光強度が低い部分、すなわち遮光部201により遮光される部分、においては、光重合反応が(ほんとんど)進行せず、モノマー領域11のままである。
【0067】
このように、基板111,112間において、遮光部201に対応した領域は、モノマー領域(第1領域)11となり、透光部202に対応した領域は、ポリマー領域(第2領域)12となる。なお、光強度分布はフォトマスク200によって形成される必要はなく、光強度分布を得る他の手段によってもよい。
【0068】
パターン露光開始時点においては、分子配向の乱れ(欠陥)が無いほうが好ましいため、ステップS13の光の照射は、モノマー混合物20が等方相(液晶配向がない状態)を示す温度で行うのが好ましい。光照射時のモノマー混合物20の温度は、液晶相-等方相転移点よりもわずかに高い温度であるのがより好ましい。光重合により形成されたポリマー領域12は、等方相(液晶配向がない状態)で固定化されている。
【0069】
図5に示すように、モノマー領域11とポリマー領域12とが形成されることで、両領域11,12間の界面(ポリマー界面)12A,12Bが形成される。ポリマー界面12A,12Bは、モノマー領域11中の液晶分子に対する分子配向規制力(界面規制力)を生じさせる。つまり、ポリマー領域12においてモノマー領域11に接する面12A,12Bは、分子配向規制界面(第2分子配向規制界面)として機能する。
【0070】
第2分子配向規制界面12A,12Bは、Z方向に平行な面である。換言すると、界面12A,12Bは、XY平面に平行である第1分子配向規制界面111A,112Aに交差(直交)する。
【0071】
界面12A,12Bに生じる分子配向規制力(界面規制力)は、界面12A、12Bに対して分子を垂直に配向させる垂直配向規制力、又は、界面12A,12Bに対して分子を平行に配向させる平行配向(水平配向)規制力である。垂直配向規制力が働く場合、らせん軸は、界面12A,12Bに対して平行になる。また、平行配向規制力が働く場合、らせん軸は、界面12A,12Bに対して垂直になる。いずれの方向の配向規制力が生じるかを決定する要因は、界面12A,12Bの表面エネルギーである。界面12A,12Bの表面エネルギーは、モノマー混合物20の材料組成等によって決まるが、概ねどのような重合性材料であっても、垂直配向規制力及び平行配向規制力のいずれかを生じさせることができる。例えば、長鎖アルキル又はフッ素原子を有する材料を用いると、液晶分子を界面12A,12Bに対して垂直に配向させることができる。
【0072】
図2に示す材料組成の場合、界面12A,12Bには、液晶分子に対して垂直配向規制力が生じ、図6の平面図に示すように、らせん軸は、界面12A,12Bに対して平行になる。一方、界面12A,12Bに平行配向規制力が生じると、図7に示すように、らせん軸は、界面12A,12Bに対して垂直になる。図8は、平行配向規制力を生じさせる材料組成の例を示している。
【0073】
図5に示すように、モノマー領域11が、対をなす第2分子配向規制界面12A,12Bに挟まれている場合、対をなす界面12A,12Bの間隔は、1000μm以上、1μm以下であるのが好ましく、200μm以上、10μm以下であるのがより好ましい。必ずしも、規制界面12A、12Bで挟む必要はなく、単一の界面さえあればその界面近傍から2000μm以内では配列が形成できる。
【0074】
また、ポリマー領域12はモノマー領域に対して界面として機能すればよいため、その厚さすなわち対をなすモノマー領域11,11の間隔は、1000μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのがより好ましい。
【0075】
パターン露光後に、液晶温度でアニーリングが行われる(ステップS14)。液晶温度は、モノマー領域11が液晶相を示す温度であり、材料組成に応じて決定される。モノマー領域11を液晶相にすることで、図6及び図7に示すように、らせん軸がきれいに配列する。
【0076】
図9は、参考例として、らせん軸が1次元的に構造制御された従来のコレステリック液晶構造を形成するための配向規制力の働き方を示している。従来は、参考例に示すように、基板111,112の界面111A,112Aに生じる分子配向規制力により、らせん軸を、膜厚方向に平行(Z方向)にするか、膜状の液晶素子の面内方向(XY平面に平行な方向)にするかの1次元的な制御しかできなかった。
【0077】
これに対して、本実施形態として開示する例では、図9に示すように、界面111A,112Aに生じる分子配向規制力(第1分子配向規制力)だけでなく、界面12A,12Bに生じる分子配向規制力(第2分子配向規制力)によっても、らせん軸の方向を制御できる。第1分子配向規制力と第2分子配向規制力とは、互いに交差(直交)する方向に働くため、参考例に比べて、らせん軸方向の制御の自由度が高まっている。
【0078】
すなわち、本開示の例では、得られる膜状液晶素子は、第1面(界面)111A,112A及び前記第1面111A,112Aに交差(直交)する方向に平行な第2面(界面)12A,12Bそれぞれから分子配向規制されたコレステリック液晶を有する第1領域11を備える。このような交差する第1面111A,112A及び第2面12A,12Bからの配向規制力により、XY平面内においてコレステリック液晶のらせん軸方向を2次元的に自在に制御できる。
【0079】
第1面(界面)111A,112Aが、垂直配向規制力を持つ場合、らせん軸は、膜状の液晶素子の面内方向(XY平面に平行な方向)に配向する。図9に示す参考例では、第1面111A,112Aが、垂直配向規制力を持つことで、らせん軸は膜状の液晶素子の面内方向に平行に配向するものの、面内方向(XY平面内)においては配向規制されていないため、XY平面内においてランダム(無秩序)に配向する。この結果、参考例では、XY平面でみたときに指紋状となる組織が形成される。
【0080】
これに対して、本開示の例では、第1面111A,112Aの配向規制力に加えて、第2面12A,12Bの配向規制力により、XY平面において、らせん軸が配向規制され、両規制力の相乗効果により誘導自己組織化が生じる。したがって、図6及び図7に示すように、XY平面における規則的ならせん軸配列が得られる。また、液晶分子は、楕円長軸方向に平均的に配向する。図6の例では、各らせん軸がY方向に平行であり、らせんピッチdに相当する格子間隔を持つ回折格子(回折光学素子)が得られる。図7の例では、各らせん軸がX方向に平行であり、らせんピッチdに相当する格子間隔を持つ回折格子(回折光学素子)が得られる。
【0081】
第2分子配向規制力を生じさせる第2面12A,12Bの配置及びパターンは、光刺激の光強度分布により自在に制御できる。そして、光強度分布の制御は、フォトマスク等を利用することにより、容易に行える。したがって、本開示によれば、第2分子配向規制力の方向を自在に制御して、所望の規則的ならせん軸方向を持つコレステリック液晶配向構造を得ることができる。これにより、XY平面における2次元的な屈折率の変化を誘起できる。
【0082】
しかも、光強度分布の制御は、フォトマスク等を利用することにより、大面積において行うことが容易であるため、得られる膜状の液晶素子の大面積化も容易である。したがって、コレステリック液晶配向構造の集積化が容易である。
【0083】
さて、ステップS14のアニーリングの後、必要に応じて後露光が行われる(ステップS15;図1参照)。後露光は、モノマー領域11の重合化(液晶構造の配向固定化)が必要される場合に行われる。後露光を行うことで、全体が重合化された膜状の液晶素子が得られる。なお、後露光は省略してもよい。
【0084】
後露光は、例えば、図10に示すように、フォトマスク200を取り外して、全面露光することにより行われる。また、後露光は、フォトマスク200を取り外すことなく、基板セル100のフォトマスク200とは反対側の面から光を照射することにより行われてもよい。
【0085】
図11は、本実施形態の製造方法により得られた膜状の液晶素子(回折格子)によって生じる回折光の測定系を示す。ここで用いられた液晶素子は、厚さ5μmである。ステップS12においては、図2に示す材料組成(液晶モノマー:非重合性液晶=50:50モル%,この混合物に対してキラル剤を5モル部,重合開始剤を1.0モル部添加)のモノマー混合物を基板セル100に封入した。封入の際の温度は、50℃とした。ステップS13のパターン露光の際の温度は、55℃(等方相を示す温度)とした。照射する光の照度は、0.1mW/cmとした。パターン露光のための光の照射時間は10分とした。ステップS13のアニーリングは、60℃(液晶温度)で10分間行った。
【0086】
ステップS14の後露光の際の温度は、40℃とした。照射する光の照度は、0.1mW/cmとした。後露光のための光の照射時間は10分とした。
【0087】
図11において、NDは、ニュートラル・デンシティー(Neutral Density)フィルターを示し、Pは偏向子を示し、Sは本実施形態の製造方法により得られた液晶素子(回折格子)を示す。図11において、αは、回折角である。液晶素子Sのらせん軸方向は偏向方向と一致する。レーザから照射された光は、ニュートラル・デンシティー・フィルタND及び偏光子Pを経て、液晶素子(回折格子)Sへ照射される。液晶素子Sにより生じた回折光及び透過光は、スクリーン上に投影される。スクリーン上に投影された回折光(上下)と透過光は、カメラにより撮像される。
【0088】
図12は、回折光(+1次光、-1次光)と透過光の撮像結果を示している。図12に示すように、+1次光と-1次光とは、らせん軸方向(上下方向)に並んで表れており、液晶素子Sが回折格子として機能していることが確認された。
【0089】
また、液晶素子Sへの入射偏光によって+1次光及び-1次光の強度が変わるとともに、出射光の偏光も変換されていた。したがって、液晶素子Sでは、直線偏光・円偏光選択性が得られる。また、液晶素子Sでは、偏光変換特性も得られる。
【0090】
図13は、ステップS13で用いられるフォトマスク200Aの他の例を示している。図13に示すフォトマスク200Aは、アレイ配列された複数の矩形状の遮光部201の周囲に透光部202が存在する。透光部202は、格子状に形成されている。すなわち、透光部202は、X方向に平行な部分と、Y方向に平行な部分とが交差している。
【0091】
図14は、図13に示すフォトマスク200Aを用いたパターン露光により得られる液晶素子10を示している。液晶素子は、フォトマスク200の遮光部201に対応するモノマー領域(第1領域)11と、透光部202に対応するポリマー領域(第2領域)12と、を有する。モノマー領域11は、矩形状であり、ポリマー領域12は、格子状である。ポリマー領域12は、モノマー領域11それぞれの周囲を取り囲むように配置されている。
【0092】
したがって、モノマー領域11を囲む4辺12A,12B,12C,12Dすべてが、ポリマー領域12との界面になる。つまり、つまりモノマー領域11は、四方からポリマー界面12A,12B,12C,12Dによって囲まれている。ポリマー界面12A,12B12C,12Dは、モノマー領域11中の液晶分子に対する分子配向規制力(界面規制力)を生じさせる。つまり、ポリマー領域12においてモノマー領域11に接する面12A,12B,12C,12Dは、分子配向規制界面(第2分子配向規制界面)として機能する。
【0093】
界面12A,12B,12C,12Dに生じる分子配向規制力(界面規制力)は、界面12A、12B,12C,12Dに対して分子を垂直に配向させる垂直配向規制力、又は、界面12A,12Bに対して分子を平行に配向させる平行配向規制力である。
【0094】
図14の例では、各界面12A,12B,12C,12Dは、垂直配向規制力を生じさせる。モノマー領域11内の液晶分子は、各界面12A,12B,12C,12Dからの距離に応じた規制力を受ける。したがって、正方形のモノマー領域11の中心から、らせん軸が放射状に延びるよう配列する。また、各界面12A,12B,12C,12Dは、平行配向規制力を生じさせた場合、正方形のモノマー領域11の中心から、らせん軸が同心円状に配列する。
【0095】
らせん軸が放射状又は同心状に配列した液晶素子は、回折レンズ(回折光学素子)として機能する。なお、らせんピッチ(らせん周期構造)は、一定でもよいし、らせん軸方向において変化してもよい。
【0096】
なお、らせんピッチ(らせん周期構造)は、中心から経外方向に向かうにつれて、短くなり焦点距離が短くなっていくのがレンズとしては、より好ましいが、径方向において、らせんピンチが一定であっても、光束を絞ることはできるため、レンズとして機能する。
【0097】
また、放射状又は同心状のらせん軸配向を得るには、遮光部201の形状は矩形に限定されない。遮光部201の形状は、円形であってもよいし、矩形以外の多角形であってもよい。
【0098】
<2.2 第2例>
【0099】
以下、第2例について説明する。第2例において特に説明しない点は、第1例と同様である。図15は、第2例に係る液晶素子を製造するための原料モノマー(モノマー混合物)を構成する材料の一覧を示している。図15に示す材料のうち、液晶性モノマー(A-CN)と非重合性液晶(5CB)とのモル比の合計が100となるように、それぞれ1:1で混合される。液晶性モノマーと非重合性液晶の混合物へ光重合開始剤(PI)を1mol%加えた。さらにコレステリック液晶を発現させるためのキラル剤を0.5mol%添加して、モノマー混合物を調製した(図16参照)。調製したモノマー混合物は、昇温・降温両過程で液晶相を発現するエナンチオトロピック液晶である。
【0100】
調製されたモノマー混合物は、図6に示す2枚のガラス基板内に封入される。ガラス基板の表面は、シランカップリング処理されている。シランカップリング処理により、ガラス基板の表面は、液晶分子をガラス基板表面に対して垂直に配向させる配向規制面になる。基板に施される処理は、シランカップリング処理などの垂直配向処理に限られず、ラビング処理などの平行配向処理(水平配向処理)であってもよい。また、基板には配向処理が施されていなくてもよい。
【0101】
2枚のガラス基板の間には、モノマー混合物を入れるための空間を確保するためのスペーサが配置されている。ガラス基板間の空間内には、毛細管現象を用いて、モノマー混合物(サンプル)が浸透される。浸透の際のモノマー混合物の温度は、モノマー混合物が等方相を示す60℃とした(図18参照)。その後、80℃まで加熱し、光強度0.1mW/cmの紫外光(λ=365mm)を、フォトマスクを介して照射して、パターン露光を行った。パターン露光は、80℃で10分間行った。80℃は、液晶性モノマーA-CNのホモポリマーP-CNが液晶相を示す温度である。なお、図17にも示すように、フォトマスクは線状の透光部202を有している。線状の透光部202の幅は650μmとした。
【0102】
ついで、フォトマスクを取り除き、モノマー混合物が液晶相を示す30℃まで降温し、30℃で10分間全面露光を施すことで光重合を完了した。
【0103】
図19は、パターン露光後における、室温でのサンプルの偏光顕微鏡観察の結果を示している。なお、図19において、Pは偏光子であり、Aは検光子である。図19に示すように、フォトマスクの遮光部(サンプルにおける非照射領域)と透光部(サンプルにおける照射領域;露光領域)との境界付近の領域Aにおいて、しま状の周期構造が観察された。
【0104】
サンプルの照射領域において、境界付近の領域Aから離れた範囲では、ポリドメイン構造が観察された。これは、等方相温度で重合を施したために、高分子化に伴い局所最安定な液晶相が発現したためであると考えられる。一方、境界付近の領域A内においては、境界にそってしま条の周期構造が自発的に形成された。これは、パターン露光による光強度分布によって、らせん軸配向が面内で制御されたことを示している。
【0105】
観察されたしま状構造について詳細な検討をするため、パターン露光後のサンプルの相転移挙動観察を行った。相転移挙動観察は、後露光による光重合(全面露光)により分子配向を固定化する前のサンプルを使用し、90℃から30の温度範囲で10℃ごとに放冷して行った。
【0106】
図20は、パターン露光後のサンプルの相転移挙動観察結果を示している。サンプルの温度が90℃の場合、非照射領域及び照射領域ともに暗視野であり、光学異方性を示しておらず、いずれの領域も等方相に相転移していると考えられる。次にサンプルを80℃まで放冷すると、照射領域の中心部では分子がランダムに配向したポリドメイン構造が観察され、フォトマスクの境界付近では透光部から遮光部にかけて、わずかにしま状構造が観察された。このことから、第2例において、しま状構造はパターン露光後の降温過程で形成されていると考えられる。またこのとき,モノマー混合物の透明点より高い温度にも関わらず遮光部中で液晶相が発現した。これはパターン露光中に透光部(露光部)で生成したポリマーと遮光部のモノマーとの相互拡散によって遮光部にポリマーが流れ込み、液晶相が高分子安定化されたためであると考えられる。
【0107】
次に、サンプルを30°Cまで徐々に放冷すると、照射領域から非照射領域に向かって方向性を持って、徐々に液晶相が発現した。これはパターン露光中のポリマーとモノマーの相互拡散によって照射領域から非照射領域にかけてポリマーの濃度勾配が生じたためであると考えられる。この結果から,しま状構造はポリマーの濃度勾配が生じている領域に沿って形成されており、パターン露光中の分子拡散、及び、それにより生じるポリマーの濃度勾配が重要であることが示唆された。
【0108】
また、全面露光により重合完了した後のサンプルの遮光部の中心部を観察した結果,らせん軸配列が面内でランダムな指紋状組織が観察されたが,しま状構造は形成されていなかった。この結果から,しま状構造はポリマーの濃度勾配が生じている領域に沿って形成されており、らせん軸の面内一軸配向にはパターン露光中の分子拡散およびそれにより生じるポリマーの濃度勾配が重要であることが明らかとなった。さらに、降温過程において、相転移に伴い遮光部方向へしま状構造が広がることから、方向性を持った液晶相転移現象が、らせん軸のような周期構造の配向に重要であることがわかる。
【0109】
なお、パターン露光直後のサンプルを、液体窒素を用いて30℃付近まで急冷し、全面露光を施した後に得られたサンプルを室温下で偏光顕微鏡観察した。パターン露光直後のサンプルを液体窒素により急冷した結果、フォトマスクの境界付近でしま状構造が観察されなかった。そのため、このしま状構造は重合過程ではなくパターン露光後の降温過程で形成されるものと考えられる。一方で、前述のようにパターン露光後に10℃ごとに放冷したサンプル中ではしま状構造が形成されたことから、第2例においては、しま状構造の形成には温度変化速度依存性、ここでは降温速度依存性、を示すことがわかる。
【0110】
前述のように、らせん軸の面内一軸配向にはパターン露光中のポリマーとモノマーの相互拡散によって生じるポリマーの濃度勾配が重要であることが示唆された。そこで、本発明者らは、パターン露光時の重合条件を変更し、しま状構造形成における分子拡散の影響について検討した。その結果、分子拡散が起こりやすい条件でパターン露光したサンプル中で、しま状構造がより広く形成された。以上の結果から、このしま状構造はポリマーの濃度勾配が生じている領域に沿って形成されており、パターン露光中の分子拡散によって生じるポリマーの濃度勾配が重要であることがわかる。
【0111】
以上のように、コレステリック液晶を示すモノマー混合物を等方相中でパターン露光することにより、らせん軸の面内一軸配向に由来したしま状構造が形成された。図21から図23は、しま状構造形成のメカニズムを示している。
【0112】
まず、図21に示すように、モノマー混合物が等方相を示す温度でフォトマスクを用いてパターン露光を行うと、光強度分が生じ、光を照射した領域でのみ重合反応が起こる。このため、重合領域と非重合領域の間で化学ポテンシャルの勾配が生じる。その結果、これらの領域の境界と垂直な方向(図21の左右方向)にポリマーとモノマーの相互拡散が誘起され、最終的に透光部から遮光部にかけてポリマーの濃度勾配が生じる。これはパターン露光によって、透光部から遮光部に向かって、等方相から液晶相への相転移温度勾配が生じたと考えることもできる。
【0113】
次に、図22に示すように、パターン露光後のサンプルを徐々に放冷すると、図21に示す工程で生じたポリマーの濃度勾配により、透光部から遮光部に向かって液晶相への相転移が徐々に起こる。このとき,生じたポリマーの濃度勾配によってある特定の温度範囲(ΔT)において相転移する領域は、図22の左右方向において非常に狭くなる。その結果、この相転移温度の差を、ガイディング構造(Guiding Structure)として液晶の誘導自己組織化現象が起こるため、分子配向が一方向に制御される。これは、温度勾配方向に沿った結晶成長と似た現象として考えることができる。
【0114】
このように、液晶相を発現した領域と液晶分子が再配向する領域との境界が分子配向規制界面として機能する。このとき再配向する液晶分子と境界との親和性によって、規制界面に対して水平に分子配向が制御される。これは、降温過程において水平配向の規制界面がポリマーの濃度勾配方向(図22において右から左へ向かう方向)に沿って移動したと考えることもできる。
【0115】
最後に、図23に示すように、図22に示す工程で、誘導自己組織化によって制御された分子配向とキラル剤のらせん誘起力との組み合わせにより、らせん軸の面内一軸配向が形成される。このとき、コレステリック液晶のらせん軸は水平配向の規制界面に対して垂直な方向にのみ配向されるため、ポリマーの濃度勾配に沿ったらせん軸の面内一軸配向が達成される。ただし、遮光部中心部(図23の左側領域)では、らせん軸配向の制御は達成されない。これはポリマーの濃度勾配が生じず、遮光部中心部では、相転移温度が均一になっており、自己組織化がランダムに起こったためであると考えられる。
【0116】
なお、第2例において、光強度分布を得るために、フォトマスクを用いたが、光強度分布を得るための手段は、光強度分布を有する光源などであってもよい。また、光の透過率が段階的に変化するフォトマスクを用いて光強度分布を得てもよい。
【0117】
前述の第2例において、らせん軸配向(周期構造の配向)は、降温過程で生じたが、らせん軸配向(周期構造の配向)において降温過程は必須ではない。重合系を変化させ、重合過程において高分子濃度が高くなった領域から徐々に液晶相転移が誘起できれば,降温過程がなくとも、ポリマーの濃度分布に依存して、第2例のように、段階的に等方相から液晶相への相転移を生じさせることもできる。
【0118】
図24及び図25は、ポリマー濃度勾配を利用したホログラム配列パターンの製造例を示している。図24は、ポリマー濃度勾配を利用したホログラム配列パターンの製造例における第1工程を示している。第1工程では、ホログラム区画用のパターニングを行うためのフォトマスクが用いられる。図24のフォトマスクは、8個の遮光部を備え、遮光部の周囲に透光部が形成されている。なお、遮光部の間隔は任意であるが、間隔が小さいほど、Fill-factorの高い高効率ホログラムが得られる。
【0119】
図24のフォトマスクを介して、サンプル(モノマー混合物)に対して、紫外光を照射すると、図24に示すように、8個のモノマー領域(ホログラム用区画)を区画するポリマー枠が形成される。第1工程では、強い紫外光が短時間照射されるため、きわめて高いポリマー濃度のポリマー枠を形成するだけであり、らせん軸配向には関与しない。
【0120】
図25は、ポリマー濃度勾配を利用したホログラム配列パターンの製造例における第2工程を示している。第2工程では、ホログラムを形成するためのフォトマスクが用いられる。図25のフォトマスクは、8個のホログラム用区画それぞれに対応して、8個の領域を有し、各領域は、グラディエントな光透過率を有する。
【0121】
図25のフォトマスクを介して、第1工程後のサンプルに対して、紫外光を照射すると、8個のホログラム用区画それぞれに、グラディエントな光強度分布が生じ、その結果、サンプル中にグラディエントなポリマー濃度勾配が生じる。この結果、ポリマー濃度勾配方向にらせん軸が配向されたホログラムが得られる。
【0122】
ポリマー濃度勾配は、面内における2次元配向だけでなく、3次元配向にも利用できる。図26は、らせん軸の3次元配向の例を示している。この例では、ガウシアンビームを照射する光源が用いられる。ガウシアンビームは、光軸に対する垂直面内の光強度分布がガウス分布を持つ。つまり、ガウシアンビームは、光軸に対する垂直面内において、光軸から離れるほど光強度が低くなる。また、サンプル(モノマー混合物)は、光を吸収する色素などを含有しており、光源から離れるほど光強度が低くなる。この場合、光源を中心として、光源から3次元的に離れるほど光強度が小さくなる半球状の光強度分布が、サンプル内において生じる。その結果、サンプル中に3次元的な半球状のポリマー濃度勾配が生じる。したがって、半球の径方向に沿って、らせん軸が配向された3次元らせん軸配列が得られる。このようなら3次元らせん軸配列は、角度非依存の反射材料に好適である。
【0123】
<3.付記>
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【符号の説明】
【0124】
10 :液晶素子(膜状素子)
11 :第1領域(モノマー領域)
12 :第2領域(ポリマー領域)
12A :第2分子配向規制界面(ポリマー界面;第2面)
12B :第2分子配向規制界面(ポリマー界面;第2面)
12C :第2分子配向規制界面(ポリマー界面;第2面)
12D :第2分子配向規制界面(ポリマー界面;第2面)
20 :モノマー混合物
100 :基板セル
111 :第1基板
111A :第1分子配向規制界面(基板界面;第1面)
112 :第2基板
112A :第1分子配向規制界面(基板界面;第1面)
120 :スペーサ
130 :空間
200 :フォトマスク
200A :フォトマスク
201 :遮光部
202 :透光部
ND :フィルター
P :偏光子
S :液晶素子(膜状素子)
図1
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