(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】メモリユニット、半導体モジュール、DIMMモジュール、及びそれらの製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 99/00 20230101AFI20240702BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20240702BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20240702BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20240702BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20240702BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H10B99/00 495
H01L21/88 T
H01L25/00 A
H01L23/12 501B
(21)【出願番号】P 2022511495
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(86)【国際出願番号】 JP2020015403
(87)【国際公開番号】W WO2021199447
(87)【国際公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】515225518
【氏名又は名称】ウルトラメモリ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100190621
【氏名又は名称】崎間 伸洋
(72)【発明者】
【氏名】奥津 文武
(72)【発明者】
【氏名】増田 隆俊
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-029370(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126014(WO,A1)
【文献】特開2013-012233(JP,A)
【文献】特開平08-008392(JP,A)
【文献】特開2012-156478(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 99/00
H01L 21/3205
H01L 25/00
H01L 23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のメモリチップを有するメモリユニットであって、
積層される複数のメモリチップを有するメモリユニットと、
前記メモリユニットの積層方向に沿う側面から突出して配置される突出端子と、
を備え、
前記突出端子は、突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面の面粗度において、他方を向く表面の面粗度よりも大きいメモリユニット。
【請求項2】
前記突出端子は、
前記メモリユニットに埋設される複数の基部と、
積層方向に沿って配置され、前記メモリユニットの側面から露出するとともに、前記基部を連結する連結部と、
を備え、
前記連結部は、前記基部の突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面において、他方を向く表面の面粗度よりも大きい請求項1に記載のメモリユニット。
【請求項3】
前記突出端子は、積層方向の一方に沿う方向を向く位置の表面において、他方を向く位置の表面の面粗度よりも大きい請求項1又は2に記載のメモリユニット。
【請求項4】
複数のメモリチップを有する半導体モジュールであって、
一方の面である配置面に露出する電源端子を有するメモリ基板と、
請求項1に記載のメモリユニットであって、前記メモリ基板の配置面に配置される少なくとも1つのメモリユニットと、
を備え、
前記突出端子は、積層方向一端面から突出し、前記電源端子に接続される半導体モジュール。
【請求項5】
隣接される一対のメモリユニットの前記突出端子に隣接する接着層をさらに備える請求項4に記載の半導体モジュール。
【請求項6】
前記突出端子の突出方向一端と前記電源端子との間に配置され、前記突出端子及び前記電源端子を電気的に接続する接続部をさらに備える請求項4又は5に記載の半導体モジュール。
【請求項7】
前記メモリチップは、前記メモリ基板に隣接する一端部に、前記メモリ基板の通信回路と通信可能な通信部を有する請求項4から6のいずれかに記載の半導体モジュール。
【請求項8】
複数のメモリチップを有する半導体モジュールであって、
請求項1に記載のメモリユニットと、前記突出端子に接続される電源供給プレートを備え、前記突出端子は、前記メモリユニットが載置されるメモリ基板が有する通信回路と通信可能な通信部と異なる側面に配置される半導体モジュール。
【請求項9】
前記メモリ基板の配置面のうち、前記突出端子に対向する位置を除く前記メモリユニットに対向する位置に配置され、前記メモリ基板の配置面に前記メモリユニットをマウントするマウント部をさらに備える請求項7又は8に記載の半導体モジュール。
【請求項10】
請求項4から
9のいずれかに記載の複数の前記半導体モジュールと、
少なくとも一方の面である載置面に、前記半導体モジュールが複数載置されるDIMM基板と、
を備えるDIMMモジュール。
【請求項11】
請求項4から
9のいずれかに記載の複数の前記半導体モジュールと、
少なくとも一方の面である載置面に、前記半導体モジュールが複数載置されるDIMM基板と、
複数の前記半導体モジュールのメモリユニットのそれぞれに跨って配置されるとともに、前記メモリユニット又は接着層又はその両方に接触して配置されるヒートスプレッダと、
を備えるDIMMモジュール。
【請求項12】
複数のメモリチップを有するメモリユニットの製造方法であって、
複数の前記メモリチップとスクライブエリアとに跨って配置される突出端子を有するメモリウェハを積層してメモリユニットを形成するメモリユニット形成工程と、
前記突出端子を除いて前記スクライブエリアをエッチングすることで、前記メモリユニットを個片化するとともに前記突出端子を露出させる個片化工程と、
を備えるメモリユニットの製造方法。
【請求項13】
前記メモリチップを配置するメモリユニット配置工程であって、前記突出端子の面内方向一端と電源端子とを対向配置するメモリユニット配置工程と、
メモリ基板に対して前記メモリユニットを電気的に接続する接続工程と、
をさらに備える請求項
12に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項14】
前記メモリチップを配置するメモリユニット配置工程であって、前記突出端子の面内方向一端と電源供給プレートとを接続する電源供給プレート接続工程と、
メモリ基板に対して前記メモリユニットを対向配置するメモリユニット配置工程と、
をさらに備える請求項
12に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項15】
前記メモリユニット配置工程の前に、前記メモリユニットの前記突出端子の積層方向一面に他の前記メモリユニットを接着するための接着層を形成する接着層形成工程と、
前記接着層形成工程の後、前記メモリユニット配置工程の前に、前記接着層を用いて、2つの前記メモリユニットを接着する接着工程と、
をさらに備える請求項
13又は14に記載の半導体モジュールの製造方法。
【請求項16】
請求項
12から15のいずれかの半導体モジュールの製造方法と、
DIMM基板の少なくとも一方の面である載置面に、製造された前記半導体モジュールを複数載置する載置工程と、
を備えるDIMMモジュールの製造方法。
【請求項17】
請求項
12から15のいずれかの半導体モジュールの製造方法と、
DIMM基板の少なくとも一方の面である載置面に、製造された前記半導体モジュールを複数載置する載置工程と、
複数の前記半導体モジュールのメモリユニットのそれぞれに跨って、前記メモリユニット又は前記接着層又はその両方に接触してヒートスプレッダを配置するヒートスプレッダ配置工程と、
を備えるDIMMモジュールの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリユニット、半導体モジュール、DIMMモジュール、及びそれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記憶装置としてDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ(RAM)が知られている。DRAMには、演算装置(以下、論理チップという)の高性能化やデータ量の増大に耐えうる大容量化が求められている。そこで、メモリ(メモリセルアレイ、メモリチップ)の微細化及びセルの平面的な増設による大容量化が図られてきた。一方で、微細化によるノイズへの脆弱性や、ダイ面積の増加等により、この種の大容量化は限界に達してきている。
【0003】
そこで、昨今では、平面的なメモリを複数積層して3次元化(3D化)して大容量化を実現する技術が開発されている。例えば、複数の集積回路チップを積み重ねて接着するときに、集積回路チップの側面に電極端子を設けた半導体モジュールが提案されている(例えば、特許文献1から3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表平8-505267号公報
【文献】特開2008-130932号公報
【文献】特開2014-120612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1では、積層体の一面がエッチングされるとともに、露出した電気リードに金属皮膜が形成される。特許文献1では、積層体を形成した後にその側面に対して半導体プロセスを施すため、ウェハに対する処理のような既に確立されたプロセスとはならない。そのため、装置の手配及び処理精度の維持のため、コストが高くなるという課題がある。
【0006】
また、特許文献2及び3では、ウェハを切断する際に、その切断面に側面電極が形成される。特許文献2及び3では、1枚のウェハごとに側面電極を形成しつつ個片化が実施される。そのため、形成コストが高くなるという課題がある。また、側面電極の位置を揃えるのが難しいという課題がある。
【0007】
本発明は、コストを抑制しつつ、積層体の側面に電極を形成可能なメモリユニット、半導体モジュール、DIMMモジュール、及びそれらの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数のメモリチップを有するメモリユニットであって、積層される複数のメモリチップを有するメモリユニットと、前記メモリユニットの積層方向に沿う側面から突出して配置される突出端子と、を備え、前記突出端子は、突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面の面粗度において、他方を向く表面の面粗度よりも大きいメモリユニットに関する。
【0009】
また、前記突出端子は、前記メモリユニットに埋設される複数の基部と、積層方向に沿って配置され、前記メモリユニットの側面から露出するとともに、前記基部を連結する連結部と、を備え、前記連結部は、前記基部の突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面において、他方を向く表面の面粗度よりも大きいのが好ましい。
【0010】
また、前記突出端子は、積層方向の一方に沿う方向を向く位置の表面において、他方を向く位置の表面の面粗度よりも大きいのが好ましい。
【0011】
また、本発明は、複数のメモリチップを有する半導体モジュールであって、一方の面である配置面に露出する電源端子を有するメモリ基板と、上記のメモリユニットであって、前記メモリ基板の配置面に配置される少なくとも1つのメモリユニットと、を備え、前記突出端子は、積層方向一端面から突出し、前記電源端子に接続される半導体モジュールに関する。
【0012】
また、半導体モジュールは、隣接される一対のメモリユニットの前記突出端子に隣接する接着層をさらに備えるのが好ましい。
【0013】
また、半導体モジュールは、前記突出端子の突出方向一端と前記電源端子との間に配置され、前記突出端子及び前記電源端子を電気的に接続する接続部をさらに備えるのが好ましい。
【0014】
また、前記メモリチップは、前記メモリ基板に隣接する一端部に、前記メモリ基板の通信回路と通信可能な通信部を有するのが好ましい。
【0015】
また、本発明は、複数のメモリチップを有する半導体モジュールであって、上記のメモリユニットと、前記突出端子に接続される電源供給プレートを備え、前記突出端子は、前記メモリユニットが載置されるメモリ基板が有する通信回路と通信可能な通信部と異なる側面に配置される半導体モジュールに関する。
【0016】
また、半導体モジュールは、前記メモリ基板の配置面のうち、前記突出端子に対向する位置を除く前記メモリユニットに対向する位置に配置され、前記メモリ基板の配置面に前記メモリユニットをマウントするマウント部をさらに備えるのが好ましい。
【0017】
また、本発明は、複数のメモリチップを有する半導体モジュールであって、一方の面である配置面に露出する電源端子と通信回路を有するメモリ基板と、積層される複数の前記メモリチップを有するメモリユニットであって、前記メモリ基板の配置面に配置される少なくとも1つのメモリユニットと、前記メモリユニットの露出面に対向配置される電源供給プレートであって、前記電源端子に電気的に接続される電源供給プレートと、を備え、前記メモリチップは、前記メモリ基板に隣接する一端部に、前記メモリ基板の通信回路と非接触に通信可能な通信部と、前記メモリ基板の配置面に対向しない面であって、積層方向とは異なる面から突出する突出端子と、を有する半導体モジュールに関する。
【0018】
また、本発明は、上記複数の前記半導体モジュールと、少なくとも一方の面である載置面に、前記半導体モジュールが複数載置されるDIMM基板と、を備えるDIMMモジュールに関する。
【0019】
また、本発明は、上記の複数の前記半導体モジュールと、少なくとも一方の面である載置面に、前記半導体モジュールが複数載置されるDIMM基板と、複数の前記半導体モジュールのメモリユニットのそれぞれに跨って配置されるとともに、前記メモリユニット又は前記接着層又はその両方に接触して配置されるヒートスプレッダと、を備えるDIMMモジュールに関する。
【0020】
また、本発明は、複数のメモリチップを有するメモリユニットの製造方法であって、複数の前記メモリチップとスクライブエリアとに跨って配置される突出端子を有するメモリウェハを積層してメモリユニットを形成するメモリユニット形成工程と、前記突出端子を除いて前記スクライブエリアをエッチングすることで、前記メモリユニットを個片化するとともに前記突出端子を露出させる個片化工程と、を備えるメモリユニットの製造方法に関する。
【0021】
また、メモリユニットの製造方法は、前記個片化工程の実行後に、前記突出端子を折り曲げる屈曲工程をさらに備えるのが好ましい。
【0022】
また、メモリユニットの製造方法は、前記メモリチップを配置するメモリユニット配置工程であって、前記突出端子の面内方向一端と前記電源端子とを対向配置するメモリユニット配置工程と、前記メモリ基板に対して前記メモリユニットを電気的に接続する接続工程と、をさらに備えるのが好ましい。
【0023】
また、メモリユニットの製造方法は、前記メモリチップを配置するメモリユニット配置工程であって、前記突出端子の面内方向一端と電源供給プレートとを接続する電源供給プレート接続工程と、メモリ基板に対して前記メモリユニットを対向配置するメモリユニット配置工程と、をさらに備えるのが好ましい。
【0024】
また、メモリユニットの製造方法は、前記メモリユニット配置工程の前に、前記メモリユニットの前記突出端子の積層方向一面に他の前記メモリユニットを接着するための接着層を形成する接着層形成工程と、前記接着層形成工程の後、前記メモリユニット配置工程の前に、前記接着層を用いて、2つの前記メモリユニットを接着する接着工程と、をさらに備えるのが好ましい。
【0025】
また、メモリユニットの製造方法は、前記メモリユニット形成工程の後、前記接着層形成工程の前に、前記メモリユニットを個片化する個片化工程をさらに備えるのが好ましい。
【0026】
また、本発明は、上記の半導体モジュールの製造方法と、DIMM基板の少なくとも一方の面である載置面に、製造された前記半導体モジュールを複数載置する載置工程と、を備えるDIMMモジュールの製造方法に関する。
【0027】
また、本発明は、上記の半導体モジュールの製造方法と、DIMM基板の少なくとも一方の面である載置面に、製造された前記半導体モジュールを複数載置する載置工程と、複数の前記半導体モジュールのメモリユニットのそれぞれに跨って、前記メモリユニット又は前記接着層又はその両方に接触してヒートスプレッダを配置するヒートスプレッダ配置工程と、を備えるDIMMモジュールの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、コストを抑制しつつ、積層体の側面に電極を形成可能なメモリユニット、半導体モジュール、DIMMモジュール、及びそれらの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る半導体モジュールの斜視図を示す。
【
図3】第1実施形態のメモリユニットの一製造過程を示す概略図である。
【
図4】第1実施形態の半導体モジュールの一製造過程を示す概略図である。
【
図5】第1実施形態の半導体モジュールの一製造過程を示す概略図である。
【
図6】第1実施形態の半導体モジュールの一製造過程を示す概略図である。
【
図7】本発明の第2実施形態に係る半導体モジュールの斜視図を示す。
【
図9】本発明の第3実施形態に係るメモリユニットの一製造過程を示す概略図である。
【
図10】本発明の第4実施形態に係るメモリユニットの一製造過程を示す概略図である。
【
図11】本発明の第5実施形態に係る半導体モジュールを示す概略断面図である。
【
図12】本発明の第6実施形態に係る半導体モジュールを示す概略断面図である。
【
図13】本発明の第7実施形態に係る半導体モジュールを示す概略断面図である。
【
図14】第7実施形態に係る半導体モジュールを示す概略斜視図である。
【
図15】本発明の第8実施形態に係るメモリユニットを示す側面図である。
【
図16】本発明の第9実施形態に係るDIMMモジュールを示す斜視図である。
【
図17】第9実施形態に係るDIMMモジュールにヒートスプレッダを配置した斜視図である。
【
図18】本発明の変形例に係る半導体モジュールを示す斜視図である。
【
図19】本発明の変形例に係るメモリモジュールを示す斜視図である。
【
図20】本発明の変形例に係る半導体モジュールを示す概略断面図である。
【
図21】本発明の変形例に係る半導体モジュールを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の各実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、DIMMモジュール100、及びその製造方法について
図1から
図16を参照して説明する。
各実施形態に係る半導体モジュール1は、例えば、積層される複数のメモリチップ21(例えばDRAMチップ)を有するメモリ部材である。半導体モジュール1は、例えば、メモリ基板10上に積層された複数のメモリチップ21を配置して構成される。このとき、半導体モジュール1は、メモリチップ21の積層方向Dを配置されるメモリ基板10の面内方向に向けることで、配置されるメモリチップ21の枚数の増加を図ったものである。また、各実施形態に係るメモリユニット20は、側面から突出する端子を有することで、半導体モジュールの製造を容易にして、コストを抑制するものである。
【0031】
[第1実施形態]
次に、本発明の第1実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、DIMMモジュール100、及びその製造方法について、
図1から
図6を参照して説明する。
本実施形態に係る半導体モジュール1は、例えば、DRAMモジュールである。半導体モジュール1は、
図1及び
図2に示すように、複数のメモリチップ21を有する。そして、半導体モジュール1は、複数のメモリチップ21をメモリ基板10の面内方向に沿って配置することで構成される。半導体モジュール1は、メモリ基板10と、メモリユニット20と、接着層40と、接続部50と、マウント部60と、を備える。なお接着層40は、例えばフィルム状の基材(図示せず)の両面に接着剤を塗布したものでも良い。また、接着層40は、メモリチップで発生した熱を外部に放出するための放熱部材であっても良い。また接着層40は、後述する隣接するメモリユニット20間のスペースを調整するスペーサとして機能しても良い。
【0032】
メモリ基板10は、例えば、シリコン基板である。メモリ基板10は、例えば、アクティブインターポーザである。メモリ基板10は、厚さ方向に貫通する導電経路13を備える。本実施形態において、メモリ基板10は、上記導電経路13の一部として、一方の面である配置面Cに一部が露出する電源端子12を有する。また、メモリ基板10は、一方の面側に配置される通信回路(図示せず)(例えば信号用上面電極又は非接触通信回路)を有する。本実施形態において、メモリ基板10は、信号用上面電極又は非接触通信可能な通信回路を有する。また、メモリ基板10は、他方の面側に、上記の導電経路13に接続し他の基板等と電気的に接続可能なバンプ30を有する。
【0033】
メモリユニット20は、複数のメモリチップ21を積層して構成される。メモリユニット20は、少なくとも1つが、メモリ基板10の配置面Cに配置される。本実施形態において、メモリユニット20は、2つ配置される。メモリユニット20は、メモリチップ21と、突出端子24と、を備える。
【0034】
メモリチップ21は、記憶回路を含む正面視矩形の板状体である。メモリチップ21は、複数枚積層される。本実施形態において、メモリチップ21は、4枚積層される。メモリチップ21は、積層方向Dを配置面Cに沿って配置される。
【0035】
突出端子24は、金属(例えば、Cu、Au、Al等)によって構成され、メモリユニット20の積層方向Dに沿う側面から突出して配置される。突出端子24は、例えば、
図2に示すように、それぞれのメモリチップ21ごとに設けられる。また、突出端子24は、
図3に示すように、メモリチップ21の積層方向Dに交差する方向において、複数配置される。なお、突出端子24は、突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面の面粗度において、他方を向く表面の面粗度よりも大きい。本実施形態において、突出端子24は、積層方向Dの一方に沿う方向を向く位置の表面において、他方を向く位置の表面の面粗度よりも大きい。換言すると、突出端子24は、後述するエッチングにさらされる面の面粗度において、エッチングにさらされない面の面粗度よりも大きい。この突出端子24は、対応するメモリチップ21の電極端子又は通信端子として機能する。なお、エッチングにさらされる面の面粗度は、エッチングにさらされない面の面粗度よりも5nm乃至200nm程度大きい。
【0036】
接着層40は、正面視矩形の板状体である。また、接着層40は、積層方向Dにおいて、メモリチップ21と同じ又は略同じ大きさで形成される。接着層40は、隣接される一対のメモリユニット20の間に配置される。接着層40は、少なくとも一方のメモリユニット20のメモリチップ21に接触する。これにより、接着層40は、一対のメモリユニット20同士を接着する。接着層40は、絶縁材料を用いて形成される。本実施形態において、接着層40は、熱伝導率の比較的高い材料(例えば酸化ベリリウム等の基材)で形成される。
【0037】
接続部50は、金属等の導電体で形成される。接続部50は、例えば、マイクロバンプである。接続部50は、メモリ基板10の配置面Cにおいて露出する電源端子12又は通信回路(図示せず)と、突出端子24の先端部とを接続する位置に配置される。すなわち、接続部50は、メモリユニット20の突出端子24ごとに、電源端子12又は通信回路との間に配置される。
【0038】
マウント部60は、メモリ基板10とメモリチップ21との間に配置される。マウント部60は、メモリ基板10の配置面Cにメモリユニット20をマウントする。
【0039】
次に、本実施形態に係る半導体モジュール1の動作について説明する。
メモリ基板10は、バンプ30と厚さ方向に貫通する電極及び電源端子12を通して、接続部50に電力を供給する。接続部50は、メモリユニット20の突出端子24に電力を供給する。そして、突出端子24は、メモリチップ21のそれぞれに電力を供給する。
【0040】
メモリチップ21のそれぞれは、接続部50を用いて通信回路に接続されている突出端子24を介して通信可能に構成される。すなわち、メモリチップ21のそれぞれは、他のメモリチップ21との同期等に影響されずに通信可能に構成される。
【0041】
次に、本実施形態に係るメモリユニット20及び半導体モジュール1の製造方法について説明する。
本実施形態に係る半導体モジュール1の製造方法は、メモリユニット形成工程と、個片化工程と、接着層形成工程と、接着工程と、マウント部配置工程と、接続部形成工程と、メモリユニット配置工程と、接続工程と、を備える。
【0042】
まず、メモリユニット形成工程において、
図3及び
図4に示すように、メモリユニット20が形成される。具体的には、メモリユニット形成工程において、スクライブエリア25によって区切られる複数のメモリチップ21を有するメモリウェハ(図示せず)が積層されることによって、複数のメモリユニット20が形成される。ここで、メモリウェハは、複数のメモリチップ21とスクライブエリア25とに跨って配置される突出端子24を有する。メモリユニット形成工程の実施により、積層方向Dに交差する方向において、複数のメモリユニット20が接続された状態でメモリウェハの積層体が形成される。すなわち、積層方向Dに交差する方向において、複数のメモリユニット20が並設された状態でメモリウェハの積層体が形成される。
【0043】
次いで、個片化工程が実施される。個片化工程は、メモリユニット形成工程の後、接着層形成工程の前に実施される。個片化工程では、複数のメモリユニット20が並設されたメモリウェハにおいて、突出端子24以外のスクライブエリア25をエッチングすることで、メモリユニット20が個片化される。個片化工程では、例えば、メモリチップ21の位置に保護膜(ホトレジストやハードマスク)(図示せず)が付された後、スクライブエリア25がプラズマダイシングを用いてエッチングされる。これにより、突出端子24以外のスクライブエリア25が除去される。すなわち、個片化工程では、積層方向Dに交差する側面から突出端子24が突出した状態で露出するメモリユニット20が個片化される。本実施形態において、個片化工程では、積層方向Dに交差するメモリユニット20の一側面に、突出端子24が突出した状態で露出する。なお、エッチングは、プラズマダイシング以外の方法で実施されてもよい。例えば、エッチングは、プラズマエッチング等のドライエッチング、もしくはプラズマダイシング又はドライエッチングとウエットエッチングとの組み合わせで実施されてもよい。エッチングの手法は、突出端子24が突出した状態で露出するプロセスであれば、プラズマダイシングに制限されない。
【0044】
次いで、接着層形成工程が実施される。接着層形成工程では、
図5に示すように、メモリユニット20(本実施形態では、突出端子24)の積層方向Dの一面に他のメモリユニット20を接着するための接着層40が形成される。
【0045】
次いで、接着工程が実施される。接着工程では、
図6に示すように、接着層40を用いて、2つのメモリユニット20が接着される。これにより、2つのメモリユニット20は、積層方向Dに重ねられて配置される。
【0046】
次いで、マウント部配置工程が実施される。マウント部配置工程では、例えば、
図2に示すように、メモリ基板10の通信回路(図示せず)に重なる位置に層状のマウント部60が配置される。マウント部配置工程では、例えば、メモリ基板10の配置面Cと、メモリ基板10の配置面Cで露出する電源端子12及び通信回路のうち、メモリユニット20の側面に対向する位置にマウント部60が配置される。すなわち、マウント部配置工程では、メモリ基板10の配置面Cのうち、突出端子24に対向する位置を除くメモリユニット20に対向する位置にマウント部60が配置される。
【0047】
次いで、接続部形成工程が実施される。接続部形成工程では、
図2に示すように、メモリ基板10の配置面Cに露出する電源端子12に接続部50が形成される。
【0048】
次いで、メモリユニット配置工程が実施される。メモリユニット配置工程では、一方の面である配置面Cに露出する電源端子12及び通信回路を有するメモリ基板10にメモリユニット20が配置される。メモリユニット配置工程では、一部の突出端子24と電源端子12とが対向配置される。また、メモリユニット配置工程では、他部の突出端子24と通信回路とが対向配置される。
【0049】
次いで、接続工程が実施される。接続工程では、メモリ基板10に対してメモリユニット20が電気的に接続される。その後、メモリ基板10の他方の面側に、他の基板等と電気的に接続可能なバンプ30が形成される。これにより、
図1及び
図2に示すような、半導体モジュール1が形成される。
【0050】
以上のような第1実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(1)複数のメモリチップ21を有するメモリユニット20であって、積層される複数のメモリチップ21と、メモリチップ21の積層方向Dに沿う側面から突出して配置される突出端子24と、を備え、突出端子24は、突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面の面粗度において、他方を向く表面の面粗度よりも大きい。
また、複数のメモリチップ21を有する半導体モジュールであって、一方の面である配置面Cに露出する電源端子12を有するメモリ基板10と、上記のメモリユニット20であって、メモリ基板の配置面Cに配置される少なくとも1つのメモリユニット20と、を備え、突出端子24は、積層方向Dの一端面から突出し、電源端子12に接続される。これにより、個片化するだけで突出端子24を形成することができるので、メモリユニット20及び半導体モジュール1の製造コストを抑制することができる。
【0051】
(2)半導体モジュール1は、隣接される一対のメモリユニット20の間に配置され、少なくとも一方のメモリユニット20の電極層23に隣接する接着層40をさらに備える。これにより、メモリユニット20同士を接着した状態で、メモリ基板10の面内方向に積層方向Dを向けて配置することができる。したがって、メモリ基板10に対するメモリユニット20の実装をより容易にすることができる。また、接着層40に熱伝導率の高い材料を用いることで、ヒートシンクとしての効果を期待することができる。
【0052】
(3)半導体モジュール1は、突出端子24の突出方向一端と電源端子12との間に配置され、突出端子24及び電源端子12を電気的に接続する接続部50をさらに備える。これにより、メモリ基板10と突出端子24との間の電気的な接続を得ることができるので、メモリ基板10からメモリユニット20への電力供給を安定させることができる。
【0053】
(4)半導体モジュール1は、メモリ基板10の配置面Cのうち、突出端子24に対向する位置を除くメモリユニット20に対向する位置に配置され、基板の配置面Cにメモリユニット20をマウントするマウント部60をさらに備える。これにより、メモリチップ21の側面がメモリ基板10にマウントされるので、メモリ基板10に対して、メモリユニット20を安定して取り付けることができる。
【0054】
(5)複数のメモリチップ21を有するメモリユニット20の製造方法であって、複数のメモリチップ21とスクライブエリア25とに跨って配置される突出端子24を有するメモリウェハを積層してメモリユニット20を形成するメモリユニット形成工程と、突出端子24を除いてスクライブエリア25をエッチングすることで、メモリユニット20を個片化するとともに突出端子24を露出させる個片化工程と、を備える。これにより、エッチングにより突出端子24を露出させることができるので、メモリチップ21ごとに端子を形成して積層する場合、又は積層後に端子を形成する場合に比べ、製造コストを抑制することができる。
【0055】
(6)半導体モジュール1の製造方法は、メモリチップ21を配置するメモリユニット配置工程であって、突出端子24の面内方向一端と電源端子12とを対向配置するメモリユニット配置工程と、メモリ基板10に対してメモリユニット20を電気的に接続する接続工程と、をさらに備える。これにより、2つのメモリユニット20を容易に接続できる。したがって、メモリ基板10に対して配置される複数のメモリユニット20を容易に形成することができる。
【0056】
(7)半導体モジュール1の製造方法は、メモリユニット配置工程の前に、メモリユニット20の突出端子24の積層方向Dの一面に他のメモリユニット20を接着するための接着層40を形成する接着層形成工程と、接着層形成工程の後、メモリユニット配置工程の前に、接着層40を用いて、2つのメモリユニット20を接着する接着工程と、をさらに備える。これにより、接着された複数のメモリユニット20を容易に得ることができる。
【0057】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法について、
図7及び8を用いて説明する。第2実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第2実施形態に係る半導体モジュール1は、
図7及び
図8に示すように、パッケージ基板70と、封止部90と、をさらに備える点で、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態に係る半導体モジュール1は、メモリ基板10が、バンプ30に代えて、ピラー31を有する点で第1実施形態と異なる。
【0058】
パッケージ基板70は、例えば、シリコン基板や有機基板である。パッケージ基板70は、メモリ基板10よりもより大きな面積を有して構成される。パッケージ基板70は、厚さ方向に貫通する、もしくは電気的接続経路を形成するパッケージ電極71を有する。また、パッケージ基板70は、一端面においてメモリ基板10に対向され、他端面において、露出するパッケージ電極71に接触される半田ボール80を有する。
【0059】
封止部90は、メモリ基板10及びパッケージ基板70の間を封止する。具体的には、封止部90は、メモリ基板10の配置面Cとは逆の面と、パッケージ基板70の一端面との間を封止する。
【0060】
ピラー31は、例えば、Cuピラーである。ピラー31の先端部には例えば半田が配置され、メモリ基板10の電源端子12と、パッケージ基板70のパッケージ電極71との間を導通する。
【0061】
次に、本実施形態の半導体モジュール1の製造方法について説明する。
第1実施形態において製造される半導体モジュール1において、バンプ30をピラー31に変更されて形成される。そして、ピラー31がパッケージ基板70のパッケージ電極71に位置合わせされて、ピラー31の先端部の半田によりパッケージ電極71に導通した後、封止部90によって封止される。これにより、本実施形態の半導体モジュール1が製造される。
【0062】
以上のような第2実施形態に係る半導体モジュール1及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(8)半導体モジュール1は、パッケージ基板70と、封止部90と、をさらに備える。これにより、取り扱いのよい半導体モジュール1を提供することができる。例えば、JDEC(JEDEC Solid State Technology Association)に準拠する半田ボール80のレイアウトを採用することで、汎用性の高い半導体モジュール1を提供することができる。
【0063】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法について、
図9を参照して説明する。第3実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第3実施形態に係るメモリユニット20は、
図9に示すように、突出端子24が、基部241と、連結部242と、を備える点で第1及び第2実施形態と異なる。
【0064】
基部241は、
図9に示すように、複数設けられる。本実施形態において、基部241は、平面視矩形の平板状に構成される。基部241は、メモリユニット20に埋設される。基部241は、例えば、メモリユニット20の積層方向Dに交差する一側部に埋設される。
【0065】
連結部242は、例えば、柱状体である。基部241は、積層方向Dに沿って配置され、メモリユニット20の側面から露出するとともに、基部241を連結する。連結部242は、例えば、円柱であり、メモリユニット20の一側部に埋設される基部241を連結する。本実施形態において、連結部242は、積層方向Dに交差する方向に3つ並設される。また、本実施形態において、連結部242は、基部241の突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面において、他方を向く表面の面粗度よりも大きい。
【0066】
次に、本実施形態に係るメモリユニット20及び半導体モジュール1の製造方法について説明する。
半導体モジュール1の製造方法は、連結部形成工程をさらに備える。また、メモリユニット形成工程において、突出端子24のうちの基部241が、スクライブエリア25に位置しない点で第1及び第2実施形態と異なる。
【0067】
連結部形成工程は、メモリチップ形成工程と、個片化工程との間に実施される。連結部形成工程では、積層方向Dに沿って、スクライブエリア25と基部241の形成位置とに跨るビアホール(図示せず)が形成される。次いでビアホール内に電極(Cu等)が充填される。そして、連結部形成工程では、スクライブエリア25をエッチングしてメモリユニット20を個片化する際にスクライブエリア内に形成されたビアホール内の電極が残ることで、連結部242が形成される。
【0068】
以上のような第3実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(9)突出端子24は、メモリチップ21に一部埋設され、メモリユニット20から突出する複数の基部241と、積層方向Dに沿って配置され、基部241の露出部分を連結する連結部242と、を備え、連結部242は、基部241の突出方向に交差する方向に位置する表面のうち、一方を向く表面において、他方を向く表面の面粗度よりも大きい。これにより、基板の配置面Cに対する突出端子24の接触面積を増やすことができる。したがって、基板に対するメモリチップ21の接着を容易にすることができる。
【0069】
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法について、
図10を参照して説明する。なお、
図10は、メモリユニット20を積層方向Dから見た平面図である。第4実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第4実施形態に係るメモリユニット20の製造方法は、
図10に示すように、個片化工程において、スクライブエリア25にステルスダイシングを実行する点で、第1~第3実施形態と異なる。
【0070】
個片化工程において、ステルスダイシングによって、スクライブエリア25のシリコンが改質される。例えば、スクライブエリア25に沿って、ビアホールの中心より偏心した位置のシリコンが点線状に改質される。そして、メモリウェハが改質位置に沿ってエキスパンドカットされることで、メモリユニット20が個片化される。この際第3実施形態と同様に、スクライブエリア内に形成されたビアホールのうち偏心した側がビアホール内の電極から剥離することで、連結部242が形成される。このように改質位置は、エキスパンドカット時に側面突出端子が剥がれないように、例えば円柱上の中心よりも外側を改質位置とする等適宜設定される。
【0071】
以上のような第4実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(10)個片化工程において、スクライブエリア25にステルスダイシングを実行する。このような手法を用いることでも、突出端子24を残しつつ、メモリユニット20を個片化することができる。
【0072】
[第5実施形態]
次に、本発明の第5実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法について、
図11を参照して説明する。第5実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第5実施形態に係るメモリユニット20は、
図11に示すように、メモリユニット20において複数のメモリチップ21を貫通する貫通電極22を備える点で、第1から第4実施形態と異なる。また、第5実施形態に係るメモリユニット20は、通信部121を備える点で、第1から第4実施形態と異なる。また、第5実施形態に係る半導体モジュール1は、通信回路11を有する点で、第1から第4実施形態と異なる。また、第5実施形態に係るメモリユニット20は、突出端子24が、メモリチップ21の積層方向Dの一端に配置される電極層23の一端部により形成される点で、第1から第4実施形態と異なる。また、第5実施形態に係るメモリユニット20の製造方法は、メモリチップ21を積層した後に、電極層23をさらに積層する点で、第1から第4実施形態と異なる。
【0073】
貫通電極22は、例えば、金属等の導電体で形成されるビアである。貫通電極22は、複数のメモリチップ21を積層方向Dに貫通する。具体的には、貫通電極22は、積層方向Dに沿って、一端に配置されるメモリチップ21から、他端に配置されるメモリチップ21の前に配置されるメモリチップ21まで貫通して配置される。本実施形態において、貫通電極22は、複数設けられ、各メモリチップ21に電力を供給する。
【0074】
通信部121(信号用側面電極(非接触通信回路))は、メモリ基板10の一方の面に配置される通信回路11と非接触で通信可能な構成である。通信部121(信号用側面電極(非接触通信回路))は、メモリチップ21のメモリ基板10に隣接する一端部に配置される。
【0075】
電極層23は、例えば、金属等の導電体で形成される板状体である。電極層23は、積層方向Dの一端面に積層され、貫通電極22に接続されるとともに、第1の実施例と同じ形成方法で形成される突出端子24により電源端子12に接続される。具体的には、電極層23は、積層方向Dの一端側に配置されるメモリチップ21の一端側の面に積層され、貫通電極22及び電源端子12に接続される。
【0076】
以上のような第5実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(11)電極層23が、メモリチップ21の積層方向Dの一端に配置される。メモリチップ21とは別に電極層23を積層した後にスクライブエリア25をエッチングすることで、メモリチップ21の側面から突出する突出端子24を得ることができる。したがって、メモリチップ21の積層後に突出端子24を配置した場合であっても、コストを抑制することができる。
【0077】
[第6実施形態]
次に、本発明の第6実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール、及びその製造方法について、
図12を参照して説明する。第6実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第6実施形態に係るメモリユニット20は、
図12に示すように、接着層40をSi基板で形成するとともに、接着層40の一面に突出端子24の層を形成する点で、第5実施形態と異なる。そして、接着層40を個片化する際に、接着層40から突出する突出端子24を形成する点で、第5実施形態と異なる。また、突出端子24が、メモリユニット20の積層方向Dの一端面に接合層27を用いて接合されるとともに、マイクロバンプ28を用いて貫通電極22に接続される点で、第5実施形態と異なる。
【0078】
以上のような第6実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(12)突出端子24は、接着層40の一面に形成される。このように突出端子24を形成することでもメモリチップ21の積層後に突出端子24を配置でき、コストを抑制することができる。
【0079】
[第7実施形態]
次に、本発明の第7実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法について、
図13及び
図14を参照して説明する。第7実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第7実施形態に係る半導体モジュール1は、
図13及び
図14に示すように、突出端子24が基板10とは対向しない面に配置される点で、第5及び第6実施形態と異なる。また、第7実施形態に係る半導体モジュール1は、突出端子24に接続される電源供給プレート29をさらに備える点で、第5及び第6実施形態と異なる。
【0080】
突出端子24は、メモリユニット20の側面のうち、通信部121が配置される一面とは異なる面から突出する。本実施形態において、突出端子24は、メモリチップ21の側面において、厚さ方向の一端側に沿って配置される。また、突出端子24は、メモリチップ21の積層方向Dに沿って、メモリチップ21ごとに、横一列に並ぶ位置に配置される。なお、突出端子24は、メモリチップ21の通信部121が配置される辺とは反対の辺に当たる上面において厚さ方向の一端側に沿って配置されても良い。また、メモリユニット20の突出端子24は
図11及び
図12に示すように、メモリチップ21の積層方向Dの一端に配置されていても良い。
【0081】
電源供給プレート29は、平面視矩形の板状体である。電源供給プレート29は、一方の面に、突出端子24の位置に対応する端子が配置される。また、電源供給プレート29は、外部の電源供給回路(図示せず)に接続される。
【0082】
以上のような第7実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(13)半導体モジュール1は、突出端子24に接続される電源供給プレート29をさらに備え、突出端子24は、通信部121と異なる側面に配置される。これにより、基板10によらず、外部からメモリユニット20に電力を供給することが可能になる。
【0083】
[第8実施形態]
次に、本発明の第8実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1、及びその製造方法について、
図15を参照して説明する。第8実施形態の説明にあたって、前述の実施形態と同一の構成要件については同一符号を付し、その説明を省略もしくは簡略化する。
第8実施形態に係る半導体モジュールは、
図15に示すように、突出端子24が、積層方向Dの両端のそれぞれのメモリチップ21の所定の位置に配置される点で、第1から第7実施形態と異なる。
【0084】
突出端子24は、積層方向Dの両端のメモリチップ21の一側面において、幅方向両端のそれぞれに配置される。突出端子24は、幅方向両端のそれぞれで異なる形状で配置されてもよい。具体的には、突出端子24は、幅方向両端において、メモリチップ21の厚さ方向に複数並べて配置され、所定の形状を構成する。突出端子24は、例えば、メモリチップ21の厚さ方向に4つ並べて配置され、幅方向一端で四角形状、幅方向他端で丸形状を構成する。また、突出端子24は、例えば、積層方向Dの一端側の突出端子24の配置と、他端側の突出端子24の配置とを逆位置とするように配置される。突出端子24は、例えば、メモリユニット20をメモリ基板10に載置する際のアライメントマークとして用いられる。突出端子24は、例えば、アライメントマークとして用いられることで、他の端子に接続されない。
【0085】
以上のような第8実施形態に係るメモリユニット20、半導体モジュール1及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(14)突出端子24は、積層方向D両端のメモリチップ21の一側面において、幅方向両端のそれぞれに配置される。突出端子24がアライメントメークとして用いられるので、容易にアライメントマークを構成することができる。また、メモリ基板10とメモリユニット20との接続位置の精度を高めることができる。
【0086】
[第9実施形態]
次に、本発明の第9実施形態に係るDIMMモジュール100及びその製造方法について
図16及び
図17を参照して説明する。
第9実施形態に係るDIMMモジュール100は、第1から第8実施形態の複数の半導体モジュール1に加えて、DIMM基板101と、ヒートスプレッダ102と、を備える。また、第9実施形態に係るDIMMモジュール100の製造方法は、第1から第8実施形態の半導体モジュール1の製造方法に加えて、載置工程と、ヒートスプレッダ配置工程と、を備える。
【0087】
DIMM基板101は、
図16に示すように、少なくとも一方の面である載置面に、半導体モジュール1が複数載置される。本実施形態において、DIMM基板101は、8つの半導体モジュール1が載置される。
【0088】
ヒートスプレッダ102は、
図17に示すように、DIMM基板101に載置されている半導体モジュール1に跨って配置可能な面積を有する板状体である。ヒートスプレッダ102は、複数の半導体モジュール1のメモリユニット20のそれぞれに跨って配置されるとともに、メモリユニット20又は接着層40又はその両方に接触して配置される。
【0089】
次に、本実施形態に係るDIMMモジュール100の製造方法について説明する。
載置工程では、DIMM基板101の少なくとも一方の面である載置面に、製造された半導体モジュール1が複数載置される。本実施形態において、載置工程では、半導体モジュール1は、DIMM基板101の一面上に、所定の間隔を開けて直線状に配置される。
【0090】
次いで、ヒートスプレッダ配置工程が実施される。ヒートスプレッダ配置工程では、複数の半導体モジュール1のメモリユニット20のそれぞれに跨って、メモリユニット20又は接着層40又はその両方に接触してヒートスプレッダ102が配置される。
【0091】
次に、DIMMモジュール100の一例について説明する。
メモリチップ21のチップ厚を10μm~20μm、メモリユニット201つにおけるメモリチップ21の積層数を4枚、接着層40の厚さを20μm~50μm、メモリユニット20を複数接着後の厚さを最大5mmとすると、半導体モジュール1へのメモリユニット20の搭載数は83ユニット~38ユニット、メモリチップ21の搭載枚数に換算すると332枚~152枚となり、2GB(16Gb)のチップを用いて、664GB~304GBのメモリ容量を持った半導体モジュール1が実現できる。8つの半導体モジュール1を有するDIMMモジュール100は、5312GB~2432GBのメモリ容量が実現できる。
【0092】
以上のような第9実施形態に係る半導体モジュール1及びその製造方法によれば、以下の効果を奏する。
(15)DIMMモジュール100は、上記の複数の半導体モジュール1と、少なくとも一方の面である載置面に、半導体モジュール1が複数載置されるDIMM基板101と、複数の半導体モジュール1のメモリユニット20のそれぞれに跨って配置されるとともに、メモリユニット20又は接着層40又はその両方に接触して配置されるヒートスプレッダ102と、を備える。これにより、大容量のDIMMモジュール100を実現することができる。また、ヒートスプレッダ102をメモリユニット20又は接着層40又はその両方に接触させて配置させることで、より冷却効果の高いDIMMモジュール100を提供することができる。
【0093】
(16)DIMMモジュール100の製造方法は、上記の半導体モジュール1の製造方法と、DIMM基板101の少なくとも一方の面である載置面に、製造された半導体モジュール1を複数載置する載置工程と、複数の半導体モジュール1のメモリユニット20のそれぞれに跨って、メモリユニット20又は接着層40又はその両方に接触してヒートスプレッダ102を配置するヒートスプレッダ配置工程と、を備える。これにより、大容量かつ冷却効果の高いDIMMモジュール100を製造することができる。
【0094】
以上、本発明のメモリユニット20、半導体モジュール1、DIMMモジュール100、及びその製造方法の好ましい各実施形態につき説明したが、本発明は、上述の実施形態に制限されるものではなく、適宜変更が可能である。
【0095】
例えば、上記実施形態において、半導体モジュール1が1つのメモリユニット20のみを備えてもよい。この場合、半導体モジュール1は、接着層40を備えずともよい。
【0096】
また、上記第1から第6実施形態において、
図18に示すように、メモリ基板10は、厚さ方向に貫通する電極に代えて、配置面Cに配置される電源端子12と、ワイヤボンディングに用いられるワイヤWとを有してもよい。これに伴い、メモリ基板10は、ピラー31を有せずともよい。また、半導体モジュール1は、封止材を備えずともよい。この場合、メモリ基板10及びパッケージ基板70は、直接接続される。これにより、メモリ基板10を厚さ方向に貫通する電源電極を必要としないので、製造コストを抑制することができる。
【0097】
また、上記第1実施形態において、
図19に示すように、突出端子24は、メモリチップ21の側面に沿って屈曲されてもよい。これにより、突出端子24の接続面積を広くすることができ、突出端子24及び基板の接合を容易にすることができる。
【0098】
また、上記第7実施形態において、第3実施形態及び第4実施形態のように、突出端子24は、連結部242を有してもよい。例えば、積層されるメモリチップ21間で同電位となる突出端子24であれば、連結部242を有してもよい。
【0099】
また、第7実施形態においては、突出端子24は、メモリチップ21の側面において、厚さ方向の一端側に沿って配置される。また、半導体モジュール1は、突出端子24に接続される電源供給プレート29を備え、外部の電源供給回路に接続される。これに対し、
図20に示すように、電源供給プレート29は、メモリチップ21の両側面あるいは少なくとも一方の側面に対向配置されてもよい。すなわち、電源供給プレート29は、メモリチップ21の厚さ方向に交差する方向の面のうち露出する面に対向配置されてもよい。また、電源供給プレート29及びメモリ基板10には、接続部50及び電源端子12を介して接続される導電経路13が設けられてもよい。メモリチップ21とメモリ基板10との間の通信は、通信回路11と通信部121とによって非接触に行われても良い。この場合、通信回路11と通信部121とが存在する領域内には接続部50が存在しないため、通信回路11と通信部121との位置合わせ精度を向上させることができる。メモリユニット20の側面と電源供給プレート29の間には、封止部90が配置されても良い。
【0100】
また、
図21に示すように、突出端子24は、メモリユニット20の面のうち、メモリ基板10の対向面とは反対側の上面から突出してもよい。これにより、突出端子24は、メモリチップ21の面のうち、メモリ基板10の配置面に対向しない面であって、積層方向とは異なる面から突出してもよい。そして、メモリチップ21のそれぞれは、突出端子24から電力を供給されてもよい。具体的には、電力は、導電経路13、マイクロバンプ28、及び接続部50を介して突出端子24から電力を供給されてもよい。ここで、導電経路13は、メモリユニット20の上面と、積層方向Dの両側面あるいは少なくとも一方の側面に設置される電源供給プレート29とに配置される。すなわち、電源供給プレート29は、メモリユニット20の露出面に配置される。そして、導電経路13(電源供給プレート29)は、接続部50に電気的に接続される。また、マイクロバンプ28は、突出端子24と導電経路13とを接続する。メモリチップ21とメモリ基板10との間の通信は、通信回路11と通信部121とによって非接触に行われても良い。この場合、通信回路11及び通信部121が存在する領域内には接続部50が存在しないため、通信回路11と通信部121との位置合わせ精度を向上させることができる。メモリユニット20の上面と電源供給プレート29の間には封止部90が配置されても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 半導体モジュール
10 メモリ基板
11 通信回路
12 電源端子
13 導電経路
20 メモリユニット
21 メモリチップ
22 貫通電極
23 電極層
24 突出端子
25 スクライブエリア
27 接合層
28 マイクロバンプ
29 電源供給プレート
30 バンプ
31 ピラー
40 接着層
50 接続部
60 マウント部
70 パッケージ基板
71 パッケージ電極
80 半田ボール
90 封止部
100 DIMMモジュール
101 DIMM基板
102 ヒートスプレッダ
121 通信部
241 基部
242 連結部
C 配置面
D 積層方向