(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
G09G 5/36 20060101AFI20240702BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20240702BHJP
G09G 5/00 20060101ALI20240702BHJP
G09G 5/02 20060101ALI20240702BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240702BHJP
G09G 5/37 20060101ALI20240702BHJP
H04N 5/66 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G09G5/36 400
G06T1/00 500A
G09G5/00 550X
G09G5/02 B
G09G5/10 B
G09G5/37 320
H04N5/66 A
(21)【出願番号】P 2023035705
(22)【出願日】2023-03-08
【審査請求日】2023-03-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100181135
【氏名又は名称】橋本 隆史
(72)【発明者】
【氏名】中村 純一
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-197403(JP,A)
【文献】特開2004-226679(JP,A)
【文献】特開2012-073971(JP,A)
【文献】特開2019-086967(JP,A)
【文献】国際公開第2009/150946(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0245618(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2021/0092472(US,A1)
【文献】特開2012-044358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T1/00-1/40
3/00-5/50
G09B21/00-21/06
G09G5/00-5/42
H04N5/66-5/74
7/10
7/14-7/173
7/20-7/56
21/00-21/858
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する取得部と、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出する抽出部と、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定する判定部と、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整する補整部と、
前記補整された第1のフレームを出力する出力部と、を備える
表示装置。
【請求項2】
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記補整部は、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つの明るさを補整する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記補整部は、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つの外縁の明るさを補整する
請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1の情報のセットと、前記補整部が前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整した場合の補整後の前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを示す第1の補整された情報のセットとを記憶する記憶部をさらに備え、
前記第1の情報のセットは、前記第1最大オブジェクトを特定する第1の最大情報のサブセットと、前記第1背景を特定する第1の背景情報のサブセットとを含み、
前記第1の補整された情報のセットは、補整された前記第1最大オブジェクトを特定する補整された第1の最大情報のサブセットと、補整された前記第1背景を特定する補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つを含み、
前記抽出部は、
前記複数のフレームのうちの第2のフレームに含まれる第2の複数のオブジェクトを特定する第2の情報のセットを抽出し、
前記第1の情報のセットと前記第2の情報のセットとの相関性を抽出し、
前記相関性が所定の基準を満たす場合、前記判定部は前記第2の複数のオブジェクトに対する判定処理をスキップし、
前記第2の情報のセットは、前記第2の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第2最大オブジェクトを特定する第2の最大情報のサブセットと、前記第2最大オブジェクト以外のオブジェクトである第2背景を特定する第2の背景情報のサブセットとを含み、
前記補整部は、前記補整された第1の最大情報のサブセットと、前記補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つに基づき、前記第2最大オブジェクト及び前記第2背景の少なくとも1つを補整し、
前記出力部は、前記補整された第2のフレームを出力し、
前記記憶部は、前記第2の情報のセットと、補整後の前記第2最大オブジェクト及び前記第2背景の少なくとも1つを示す第2の補整された情報のセットとを記憶し、
前記第2のフレームは前記第1のフレームの次のフレームである
請求項1から3のいずれか一項に記載の表示装置。
【請求項5】
前記第1の最大情報のサブセットは、前記第1最大オブジェクトの種別と、前記第1最大オブジェクトが含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第1最大オブジェクトの明るさと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の背景情報のサブセットは、前記第1背景の識別情報と、前記第1背景が含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第1背景の明るさと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の最大情報のサブセットは、前記第2最大オブジェクトの種別と、前記第2最大オブジェクトが含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第2最大オブジェクトの明るさと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の背景情報のサブセットは、前記第2背景の識別子と、前記第2背景が含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第2背景の明るさと、のうちの少なくとも1つを含む
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記所定の基準は、
前記第1最大オブジェクトの種別と前記第2最大オブジェクトの種別とが同一であること、
前記第1最大オブジェクトが含む複数の画素の数と前記第2最大オブジェクトが含む複数の画素の数との差が第2の所定の閾値以下であること、
前記第1最大オブジェクトの明るさと前記第2最大オブジェクトの明るさとの差が第3の所定の閾値以下であること、
の少なくとも1つである
請求項5に記載の表示装置。
【請求項7】
表示装置によって実行される方法であって、
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、
前記補整された第1のフレームを出力するステップと、を備える
方法。
【請求項8】
コンピュータに、
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、
前記補整された第1のフレームを出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【請求項9】
コンピュータに、
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、
前記補整された第1のフレームを出力するステップと
を実行させるためのプログラムを記憶した記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンやタブレットコンピュータといったユーザ端末が普及し、各種プラットフォームを通じた動画配信サービスが近年普及している。
【0003】
特許文献1において、画像中の文字を認識し、文字の色と背景色とをもとに輪郭又は文字の色を変更する発明が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン」, [online], 東京都, [令和5年2月22日検索]、インターネット <https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/kanren/color.files/colorudguideline.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の開示に関連する表示装置は動画コンテンツを表示するものの、動画の作成者が指定した色合いによっては、動画のオブジェクトが見づらいという課題があった。
【0007】
本開示は、動画の視聴者にとって、より見やすい態様で動画を表示可能な表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係る表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体は、以下の構成を採用した。
(1)この発明の一態様に係る表示装置は、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する取得部と、前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを示す特定する第1の情報のセット を抽出する抽出部と、前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定する判定部と、前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整する補整部と、前記補整された第1のフレームを出力する出力部と、を備える。
【0009】
(2)この発明の一態様に係る方法は、表示装置によって実行される方法であって、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、前記補整された第1のフレームを出力するステップと、を備える。
【0010】
(3)この発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータに、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、前記補整された第1のフレームを出力するステップとを実行させるためのプログラムである。
【0011】
(4)この発明の一態様に係る記憶媒体は、コンピュータに、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、前記補整された第1のフレームを出力するステップとを実行させるためのプログラムを記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0012】
(1)から(4)によれば、動画をより見やすい態様で表示可能な表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第1実施形態における表示装置10の動作例を示す図である。
【
図2】本開示の第1実施形態における表示装置10の機能構成図である。
【
図3】本開示の第1実施形態における第1の情報のセットの例を示す図である。
【
図4】本開示の第1実施形態における表示装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図5】本開示の第2実施形態における表示装置10の適用例を示す図である。
【
図6】本開示の第2実施形態における表示装置10の適用例を示す図である。
【
図7】本開示の第2実施形態における第2の情報のセットの例を示す図である。
【
図8】本開示の第2実施形態における表示装置10の機能構成図である。
【
図9】本開示の第2実施形態における表示装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図10】本開示の第2実施形態における表示装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【
図11】本開示における学習装置10の最小構成を示す図である。
【
図12】本実施形態に係る各装置のハードウェア構成を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照し、本開示の表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体の実施形態について説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明に必須のものとは限らない。実施形態で説明されている複数の特徴のうち二つ以上の特徴が任意に組み合わされてもよい。また、同一若しくは同様の構成には同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本開示の第1実施形態における表示装置10の動作例を示す図である。
【0016】
ステップ1として、表示装置10は、複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する。
図1では、表示装置10は、複数のフレームのうち、フレームnを取得している。nは整数である。フレームnは、ネコ及び花を含み、ネコ及び花の背後には背景画像がある。
【0017】
ステップ2として、表示装置10は、フレームnから、フレームnに含まれるオブジェクトを抽出する。フレームnが含むオブジェクトは、ネコ、花及び背景画像である。表示装置10は、既知のオブジェクト抽出ツールに基づいてオブジェクトを抽出してもよい。また、表示装置10は、フレームnから、フレームnに含まれるオブジェクトのうち最も大きいオブジェクトと、背景画像とを抽出する。フレームnにおいては、最大のオブジェクトはネコである。
【0018】
ステップ3として、表示装置10は、所定の基準に基づいて、フレームnに含まれるオブジェクトを補整する。
図1において、表示装置10は、ネコの縁を太く強調し、背景画像の色を淡くすることにより、ネコの画像の背景画像に対するコントラストが高まるようにネコの画像と背景画像とを補整している。その結果、ネコの画像の視認性が高まるようになる。
【0019】
ステップ4として、表示装置10は、補整後のフレームnを出力する。フレームnの出力は、スマートフォン若しくはタブレット端末といったデバイスの画面又は液晶ディスプレイといった表示画面にフレームnを表示することでもよいし、動画コンテンツの1部分としてのフレームnを所定のフォーマットの信号によって表示装置10の外部に出力することでもよい。
【0020】
図2は、本開示の第1実施形態における表示装置10の機能構成図である。表示装置10は、取得部110、抽出部120、判定部130、補整部140及び出力部150を備える。取得部110は、動画コンテンツを構成する複数のフレームを取得する。抽出部120は、取得した複数のフレーム各々に含まれる1又は複数のオブジェクトを既知のツールやエンジンにより抽出する。既知のツールやエンジンは、例えばAlexNet、GoogleNet、YOLOのいずれかでもよい。抽出部120は、抽出した各オブジェクトの種別と、各オブジェクトが含まれる1又は複数の画素と、各画素の色及び明るさとの1又は複数を抽出し、情報のセットとして取り扱う。色及び明るさの抽出は画像解析処理に基づく。情報のセットは情報のサブセットを含む。情報のセット及び情報のサブセットについては後述する。
【0021】
抽出部120は、各オブジェクトに含まれる画素数に基づいて、各フレームに含まれる最も大きいオブジェクトを抽出する。各フレームに含まれる最も大きいオブジェクトを最大オブジェクトと称してもよい。抽出部120は、検出された座標、大きさをもとに、エッジ検出処理を行う。エッジ検出処理は、各オブジェクトの縁を検出する処理である。また、抽出部120は、各フレームに含まれる背景画像を抽出する。各フレームが例えば空や壁といった背景画像を含まない場合、抽出部120は、各フレームに含まれるオブジェクトの重なりによって、背景画像を特定してもよい。例えば、最大オブジェクトに隣接したオブジェクトを抽出部120は背景画像として抽出してもよい。
【0022】
判定部130は、最大オブジェクトの明るさと背景画像の明るさとに基づき、最大オブジェクトと背景画像とのコントラストが所定の閾値より小さいかどうかを判定する。明るさは輝度でもよい。補整部140は、最大オブジェクトと背景画像とのコントラストが所定の閾値より小さい場合、最大オブジェクト及び背景画像の少なくとも1つを補整する。補整は、最大オブジェクトの明るさを上げることでもよいし、背景画像の明るさを下げることでもよいし、最大オブジェクトの縁の色を濃くすることでもよいし、背景画像の色を淡くすることでもよいし、これらのいずれか2つ以上の組み合わせでもよい。明るさは輝度でもよい。なお、本明細書において補整は「補正」と相互に読み替えられてよい。
【0023】
出力部150は、補整された1又は複数のオブジェクトを含む各フレームを出力する。フレームの出力は、スマートフォン若しくはタブレット端末といったデバイスの画面又は液晶ディスプレイといった表示画面にフレームnを表示することでもよいし、動画コンテンツの1部分としての各フレームを、所定のフォーマットの信号によって表示装置10の外部に出力することでもよい。取得部110、抽出部120、判定部130、補整部140及び出力部150のハードウェア構成については後述する。
【0024】
図3は、本開示の第1実施形態における第1の情報のセットの例を示す図である。「情報のセット」は、1つのフレームが含む1又は複数のオブジェクトを特定するための情報のセットであり、1又は複数の情報のサブセットを含む。情報のセットは、複数のフレームに含まれるフレームごとに定義される。
【0025】
図3において、「Cat:{location: (x1_1, y1_1), color: (R1_1, G1_1, B1_1), brightness: (Br1_1)}」から「Cat :{location: (x1_n, y1_n), color: (R1_n, G1_n, B1_n)}, brightness: (Br1_n)}」のnセットを「情報のサブセット」と称する。「Cat」は、抽出部120が抽出したオブジェクトの種別の例であり、Cat(ネコ)という種別について、情報のサブセットの構成要素としてlocation、color、brightnessという属性が定義されている。
【0026】
nは、自然数であり、フレームに含まれる「Cat」という種別のオブジェクトが含む画素数を示す。「location」は、各オブジェクトが含む1又は複数の画素それぞれの、フレーム内の座標を示す。「color」は、各オブジェクトが含む1又は複数の画素それぞれの色をRGBによって表すものである。「brightness」は、各オブジェクトが含む1又は複数の画素それぞれの色をRGBによって表すものである。
【0027】
例えば、Cat:{location: (x1_1, y1_1), color: (R1_1, G1_1, B1_1), brightness: (Br1_1)}という情報のサブセットは、オブジェクト「ネコ」の1番目の画素について、フレーム内の座標がx1_1、y1_1であること、色がRGB表記でR1_1、G1_1、B1_1であること、明るさがBr1_1であることを示す。Br1_1は輝度でもよい。
【0028】
第1の情報のセットに対応するフレームはネコのオブジェクト以外に花及び背景画像を含むことから、第1の情報のセットは、flower(花)及びBackground(背景画像)それぞれについても情報のサブセットを備えている。
図3において、花及び背景画像の画素数はそれぞれm及びkである。このようにして、花及び背景画像の情報のサブセットが示す内容についてもネコと同様に解釈される。
【0029】
図4は、本開示の第1実施形態における表示装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【0030】
ステップS101において、取得部110は、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する。
【0031】
ステップS102において、抽出部120は、複数のフレームのうちの任意のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出する。任意のフレームは、
図1におけるフレームnでもよいし、任意のフレームを第1のフレームと称してもよい。第1の情報のセットの例は
図3に示す通りである。
【0032】
ステップS103において、抽出部120は、第1最大オブジェクト及び第1背景を抽出する。第1最大オブジェクトは、第1のフレーム内に含まれる複数のオブジェクトのうち、最も大きいオブジェクトである。抽出部120は、第1のフレームに含まれる複数のオブジェクト各々が含む画素数に基づいて最大オブジェクトを抽出してもよい。抽出部120は、既知のエンジンを用いて第1背景を抽出してもよい。第1のフレームに含まれる複数のオブジェクト各々が含む画素数は、第1の情報のセットによって示される。
【0033】
ステップS104において、判定部130は、第1の情報のセットに基づき、第1最大オブジェクトの明るさと、第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定する。
図1及び3の例では、第1最大オブジェクトはネコでよく、第1背景はフレーム内の背景画像であってもよい。明るさは輝度でもよい。第1の所定の閾値は、事前に設定されていてもよいし、取得部110が別途取得してもよい。第1の所定の閾値は、第1最大オブジェクトの明るさと第1背景の明るさの比でもよいし、第1最大オブジェクトの明るさと第1背景の明るさとの差でもよい。
【0034】
また、第1の所定の閾値は、第1最大オブジェクトの明度と第1背景との間の明度の差についての所定値でもよい。この場合、第1最大オブジェクトの外周部分の明度と第1背景の明度のうちの第1最大オブジェクトの外周部分と接している部分の明度との間の明度の差についての所定値でもよい。
【0035】
また、非特許文献1の4ページに記載されているように、特に色弱者にとって、緑色から赤色にかけて含まれる色を識別すること、青色から紫色にかけて含まれる色を識別することが困難であることがある。
【0036】
そこで、第1最大オブジェクトの色温度と第1背景の色温度との差が大きいほど、第1最大オブジェクトの視認性が上がることが想定できる。そこで、第1の所定の閾値は、第1最大オブジェクトの色温度と第1背景の色温度との間の色温度の差についての所定値でもよい。この場合、取得部110は色彩照度計によって構成されていてもよい。
【0037】
また、特に色弱者にとって視認性の観点から負荷の小さい表示態様にするという観点から、第1の所定の閾値は、第1最大オブジェクトの色の波長と第1背景の色の波長との間の波長の差についての所定値でもよい。この場合、第1最大オブジェクトの外周部分の色の波長と第1背景の色の波長のうちの第1最大オブジェクトの外周部分と接している部分の色の波長との間の波長の差についての所定値でもよい。この場合、取得部110は、可視光領域に感度を有するフォトダイオードによって構成されていてもよい。
【0038】
ステップS105において、判定部130は、コントラストが所定の閾値より小さいか否かを判定する。コントラストが所定の閾値より小さい場合、処理はステップS106に進み、そうでない場合、処理はステップS108に進む。
【0039】
ステップS106において、補整部140は、第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つを補整する。補整は、第1最大オブジェクトの明るさを上げることでもよいし、背景画像の明るさを下げることでもよいし、最大オブジェクトの縁の色を濃くすることでもよいし、最大オブジェクトの縁を構成する線を太くすることでもよいし、背景画像の色を淡くすることでもよいし、これらのいずれか2つ以上の組み合わせでもよい。
【0040】
なお、第1最大オブジェクトの明度と第1背景の明度とがともに高い場合、補整部140は、第1背景の明度を下げてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の明度を下げてもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の明度を下げてもよい。
【0041】
なお、第1最大オブジェクトの明度と第1背景の明度がともに低い場合、補整部140は、第1最大オブジェクトの明度を上げてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の明度を上げてもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の明度を上げてもよい。
【0042】
なお、第1最大オブジェクトの色温度と第1背景の色温度がともに低い場合、つまり、双方の色がいずれも青ないし白みがかっている場合、補整部140は、第1背景の色温度を上げることにより、第1背景をより赤みがかった色に補整し、第1最大オブジェクトの視認性を高めるようにしてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の色温度を上げてもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の色温度を上げてもよい。
【0043】
なお、第1最大オブジェクトの色温度と第1背景の色温度がともに高い場合、つまり、双方の色がいずれも赤みがかっている場合、補整部140は、第1背景の色温度を下げることにより、第1背景をより青ないし白みがかった色に補整し、第1最大オブジェクトの視認性を高めるようにしてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の色温度を下げてもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の色温度を下げてもよい。
【0044】
なお、第1最大オブジェクトの色の波長と第1背景の色の波長がともに短い場合、つまり、双方の色がいずれも青みがかっている場合、補整部140は、第1背景の色の波長を長波長側に調整することにより、第1背景をより赤みがかった色に補整し、第1最大オブジェクトの視認性を高めるようにしてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の色の波長を長波長側に補整してもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の色の波長を長波長側に補整してもよい。
【0045】
なお、第1最大オブジェクトの色の波長と第1背景の色の波長がともに長い場合、つまり、双方の色がいずれも赤みがかっている場合、補整部140は、第1背景の色の波長を短波長側に調整ことにより、第1背景をより青みがかった色に補整し、第1最大オブジェクトの視認性を高めるようにしてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の色の波長を長波長側に補整してもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の色の波長を長波長側に調補整してもよい。
【0046】
なお、第1最大オブジェクトの色の波長が近赤外領域で赤みがかった色を示し、第1背景から光が検出されず、つまり第1背景が黒色ないし黒みがかっている場合、補整部140は、第1背景の色の波長を短波長側に調整することにより、第1背景をより橙色ないし緑がかった色に補整し、第1最大オブジェクトの視認性を高めるようにしてもよいし、第1背景のうち、第1最大オブジェクトと接している領域の色の波長を上げてもよいし、第1最大オブジェクトの周辺部分の領域の色の波長を長波長側に補整してもよい。
【0047】
なお、第1最大オブジェクトの色の波長と第1背景の色の波長の一方が緑を示し他方が赤を示す場合、補整部140は、緑を示すその一方の色を短波長側に補整する、つまり青みがかった色となるように補整してもよい。
【0048】
ステップS107において、出力部150は、補整された第1のフレームを出力する。その後、処理は終了する。
【0049】
ステップS108において、出力部150は、第1のフレームを出力する。その後、処理は終了する。
【0050】
以上説明したように、本開示の第1実施形態に係る表示装置は、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する取得部と、複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出する抽出部と、前記第1の情報のセットに基づき、第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、最も大きなオブジェクトに隣接した画像である第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、コントラストの比較結果が第1の所定の閾値より小さいか否かを判定する判定部と、コントラストの比較結果が前記第1の所定の閾値より小さい場合、第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整する補整部と、補整された第1のフレームを出力する出力部と、を備える。
【0051】
これにより、視認性のより高い態様により動画コンテンツを表示画面に表示させることができる。
【0052】
また、補整部140は、抽出されたコントラストが第1の所定の閾値より小さい場合、第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つの明るさを補整してもよい。
【0053】
また、補整部140は、抽出されたコントラストが第1の所定の閾値より小さい場合、第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つの外縁の明るさを補整してもよいし、第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つの外縁を構成する線の色を濃くしてもよいし、当該線を太くしてもよい。
【0054】
なお、第1最大オブジェクトは、文字又は文字列を含む閉じた領域でもよい。この場合、判定部130は、文字列に含まれる各々の文字を構成する、幅のある線の領域について判定処理を実行してもよく、補整部140は、そのような線の領域について補整処理を実行してもよい。補整部140は、線の縁(外周部)に対して補整処理を実行してもよいし、第1背景のうち、線の縁と接している領域に対して補整処理を実行してもよい。
【0055】
図5及び6は、本開示の第2実施形態における表示装置10の適用例を示す図である。
【0056】
図5において、複数のフレームはフレームnとフレームn+1を含んでいる。フレームn+1は、フレームnの次のフレームである。フレームn及びフレームn+1をそれぞれ第1のフレーム及び第2のフレームと称してもよい。ここで、第1のフレームに含まれる1又は複数のオブジェクトには第1実施形態において説明されたようにして補整処理がされている。具体的には、フレームn内のネコの画像の縁を構成する線は太く補整されており、背景画像の色は淡く補整されている。一方、フレームn+1に含まれる複数のオブジェクトには補整処理が一切されていない。
【0057】
フレームn及びフレームn+1においては、ネコが走る様子が描かれている。フレームn+1においては、フレームnと比べて、ネコの四肢が高く上がっていることが示されている。
【0058】
図6においては、フレームn+1内のネコについても、フレームn内のネコと同様の補整処理がされている。具体的には、
図6と比べて、
図7においては、フレームn+1内のネコの画像の縁を構成する線はフレームnと同様に太く補整されており、背景画像の色は淡く補整されている。このとき、フレームn+1については第1実施形態と異なり判定部130による判定処理が省略されている。この処理の省略については後述する。
【0059】
図7は、本開示の第2実施形態における第2の情報のセットの例を示す図である。第2の情報のセットは、フレームn+1に含まれる複数のオブジェクトを特定するもので、第2の情報のサブセットを複数含む。第2の情報のサブセットは、フレームn+1に含まれるネコについてのCat:{location: (x21_1, y21_1), color: (R21_1, G21_1, B21_1), brightness: (Br21_1)}からCat:{location: (x21_n’, y21_n’), color: (R21_n’, G21_n’, B21_n’)}, brightness: (Br21_n’)}というサブセットと、花についてのFlower:{location: (x22_1, y22_1), color: (R22_1, G22_1, B22_1), brightness: (Br22_1)}からFlower:{location: (x22_m, y22_m), color: (R22_m, G22_m, B22_m)}, brightness: (Br22_m)}というサブセットと、背景画像についてのBackground:{location: (x23_1, y23_1), color: (R23_1, G23_1, B23_1), brightness: (Br23_1)}からBackground :{location: (x23_k’, y23_k’), color: (R23_k’, G23_k’, B23_k’)}, brightness: (Br23_k’)}というサブセットである。
【0060】
図7において、フレームn+1内のネコはフレームn内のネコと比べて、ネコの動きにより画素数が変化していることから、ネコについての情報のサブセットの数はn’となっている。一方、花については画素数がmであり、フレームnとフレームn+1との間に差分はない。フレームn+1内の背景画像について、ネコの動きに伴う画素数の変化に基づき、背景画像の画素数も、フレームnからフレームn+1にかけて、kからk’に変化している。
【0061】
図8は、本開示の第2実施形態における表示装置10の機能構成図である。
【0062】
表示装置10は、第1実施形態に加えて記憶部160をさらに備える。記憶部160は、取得部110が取得した複数のフレームのいずれかに対して、補整部140によって与えられた補整処理の内容を記憶する。補整処理の内容は、「第1最大オブジェクトの縁の色を所定割合だけ濃く補整した」、「第1最大オブジェクトの縁を構成する線を所定割合だけ太く補整した」、「第1背景の色を、第1最大オブジェクトとのコントラストが第1の所定の閾値以上となるように淡くした」、「第1背景の明るさ(例えば輝度)を所定割合だけ下げるように補整した」のいずれかでもよい。
【0063】
図9及び10は、本開示の第2実施形態における表示装置10の処理フローを示すフローチャートである。
【0064】
ステップS1101からステップS1107の処理はステップS101からステップS107の処理に対応する。なお、ステップS1105における判定結果が “No”(false) の場合、処理はステップS1113に進む。
【0065】
ステップS1108において、記憶部160は、第1の情報のセットと第1の補整された情報のセットとを記憶する。第1の補整された情報のセットは、補整部140が第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つを補整した場合の補整後の第1最大オブジェクト及び補整後の第1背景の少なくとも1つを示す。
【0066】
ステップS1109において、抽出部120は、複数のフレームのうちの第2のフレームに含まれる第2の複数のオブジェクトを特定する第2の情報のセットを抽出する。第2のフレームは、第1のフレームの次のフレームであり、第1のフレーム及び第2のフレームはそれぞれ、
図6におけるフレームn及びフレームn+1でもよい。第2の情報のセットは、
図7に示す情報のセットでもよい。第2の情報のセットは、第2の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第2最大オブジェクトを特定する第2の最大情報のサブセットと、前記第2最大オブジェクトに隣接した画像である第2背景を特定する第2の背景情報のサブセットとを含む。第2最大オブジェクトはフレームn+1内のネコでもよいし、第2背景はフレームn+1内の背景画像でもよい。
【0067】
ステップS1110において、抽出部120は、第1の情報のセットと第2の情報のセットとの相関性の有無を抽出する。相関性の有無は、第1最大オブジェクトの種別と第2最大オブジェクトの種別とが同一又は類似であること、第1最大オブジェクトが含む複数の画素の数と第2最大オブジェクトが含む複数の画素の数との差が第2の所定の閾値以下であること、第1最大オブジェクトの明るさと前記第2最大オブジェクトの明るさとの差が第3の所定の閾値以下であること、の少なくとも1つであってよいし、これらの2以上の組み合わせでもよい。
【0068】
例えば、フレームn内の最大オブジェクトの種別はネコであり、フレームn+1内の最大オブジェクトの種別もネコであるから、相関性はある。
【0069】
ステップS1111において、第1の情報のセットと第2の情報のセットとの相関性が所定の条件を満たす場合、処理はステップS1112に進み、そうでない場合処理はステップS1114に進む。
【0070】
ステップS1112において、判定部130は、第1のフレームと異なり、第2のフレームに対して第2最大情報の明るさと第2背景の明るさとのコントラストについての判定処理をスキップする。
【0071】
ステップS1114からステップS1118において、ステップS103からステップS107の処理が第2のフレームに含まれる1又は複数のオブジェクトに対してなされる。その後処理は終了する。
【0072】
ステップS1119において、補整部140は、補整された第1の最大情報のサブセットと、補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つを記憶部160から読み出し、これら読み出した情報のサブセットの少なくとも1つに基づき、補整部140は、第2の最大オブジェクト及び第2の背景の少なくとも1つを補整する。補整処理の内容は、「第2最大オブジェクトの縁の色を所定割合だけ濃く補整する」、「第2最大オブジェクトの縁を構成する線を所定割合だけ太く補整する」、「第1背景の色を、第1最大オブジェクトとのコントラストが第1の所定の閾値以上となるように淡くする」、「第1背景の明るさ(例えば輝度)を所定割合だけ下げるように補整する」のいずれかでもよい。つまり、第2最大オブジェクトの明るさと第2背景の明るさとのコントラストが第1の所定の閾値以上になればよい。
【0073】
ステップS1120において、出力部150は、補整された第2のフレームを出力する。出力処理の詳細は第1実施形態と同様である。
【0074】
ステップS1121において、記憶部160は、第2の情報のセットと、補整後の第2最大オブジェクト及び第2背景の少なくとも1つを示す第2の補整された情報のセットとを記憶する。
【0075】
表示装置10は、フレームn+1に続く1又は複数のフレームに対しても同様の処理を実行する。
【0076】
以上説明したように、本実施形態に係る表示装置10は、第1の情報のセットと、補整部140が第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つを補整した場合の補整後の第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つを示す第1の補整された情報のセットとを記憶する記憶部160をさらに備え、第1の情報のセットは、第1最大オブジェクトを特定する第1の最大情報のサブセットと、第1背景を特定する第1の背景情報のサブセットとを含み、第1の補整された情報のセットは、補整された第1最大オブジェクトを特定する補整された第1の最大情報のサブセットと、補整された第1背景を特定する補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つを含み、抽出部120は、複数のフレームのうちの第2のフレームに含まれる第2の複数のオブジェクトを特定する第2の情報のセットを抽出し、記第1の情報のセットと第2の情報のセットとの相関性を抽出し、抽出された相関性が所定の基準を満たす場合、判定部は第2の複数のオブジェクトに対するコントラストに係る判定処理をスキップし、第2の情報のセットは、第2の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第2最大オブジェクトを特定する第2の最大情報のサブセットと、第2最大オブジェクトに隣接した画像である第2背景を特定する第2の背景情報のサブセットとを含み、補整部140は、補整された第1の最大情報のサブセットと、補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つに基づき、第2最大オブジェクト及び第2背景の少なくとも1つを補整し、出力部150は、補整された第2のフレームを出力し、記憶部160は、第2の情報のセットと、補整後の第2最大オブジェクト及び第2背景の少なくとも1つを示す第2の補整された情報のセットとを記憶し、第2のフレームは前記第1のフレームの次のフレームである。
【0077】
これにより、動画コンテンツに含まれる任意の連続するフレームが含むオブジェクトの内容が同一又は類似の場合、判定部130は最大オブジェクトの明るさと背景の明るさとのコントラスト比較に基づく判定処理を省略するため、補整処理にかかる負荷を低減できる。
【0078】
図11は、本開示における学習装置10の最小構成を示す図である。表示装置10は、取得部110、抽出部120、判定部130及び補整部140を備える。第1及び第2実施形態と異なり、補整されたフレームについて出力部150による出力処理が省略される。
【0079】
図12は、本実施形態に係る表示装置10のハードウェア構成を説明する説明図である。表示装置10は、入出力モジュールI、記憶モジュールM、及び制御モジュールPを含んで構成される。入出力モジュールIは、通信モジュールH11、接続モジュールH12、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、ディスプレイH23、ボタンH3、マイクH41、スピーカH42、カメラH51、又はセンサH52の一部或いは全部を含んで実現される。
【0080】
記憶モジュールMは、ドライブH7を含んで実現される。記憶モジュールMは、さらに、メモリH8の一部或いは全部を含んで構成されてもよい。制御モジュールPは、メモリH8及びプロセッサH9を含んで実現される。これらのハードウェア構成要素は、バス(Bus)を介して、相互に通信可能に接続されるとともに、電源H6から電力を供給されている。
【0081】
接続モジュールH12は、USB(Universal Seriul Bus)等のデジタル入出力ポートである。携帯機器の場合、ポインティングデバイスH21、キーボードH22、及びディスプレイH23は、タッチパネルである。センサH52は、加速度センサ、ジャイロセンサ、GPS受信モジュール、近接センサ等である。電源H6は、各装置を動かすために必要な電気を供給する電源ユニットである。携帯機器の場合、電源H6は、バッテリーである。
【0082】
ドライブH7は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の補助記憶媒体である。ドライブH7は、EEPROMやフラッシュメモリ等の不揮発性メモリ、又は、光磁気ディスクドライブやフレキシブルディスクドライブであってもよい。また、ドライブH7は、例えば、各装置に内蔵されるものに限らず、IFモジュールH12のコネクタに接続された外付け型の記憶装置でもよい。
【0083】
メモリH8は、ランダムアクセスメモリ等の主記憶媒体である。なお、メモリH8は、キャッシュメモリであってもよい。メモリH8は、一又は複数のプロセッサH9によって命令が実行されるときに、これらの命令を格納する。プロセッサH9は、CPU(中央演算装置)である。プロセッサH9は、MPU(マイクロプロセッシングユニット)又はGPU(グラフィックスプロセッシングユニット)であってもよい。プロセッサH9は、メモリH8を介してドライブH7から、プログラム及び各種データを読み出して演算を行うことで、一又は複数のメモリH8に格納した命令を実行する。
【0084】
入出力モジュールIは、取得部110及び出力部150を実現する。記憶モジュールMは、記憶部160を実現する。通信モジュールH11は、出力部150を実現してもよい。
【0085】
制御モジュールPは、抽出部120、判定部130及び補整部140を実現する。
【0086】
以上、この発明の一態様として各実施形態や変形例に関して図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は各実施形態や変形例に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、本開示の一態様は、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記各実施形態や変形例に記載された要素であり、同様の効果を奏する要素同士を置換した構成も含まれる。
【0087】
例えば、上記各実施形態の一部又は全部を組み合わせることで本開示の一態様を実現してもよい。
【0088】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0089】
(付記1)
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する取得部と、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを示す特定する第1の情報のセット を抽出する抽出部と、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景 の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定する判定部と、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整する補整部と、
前記補整された第1のフレームを出力する出力部と、を備える
表示装置。
【0090】
(付記2)
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記補整部は、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つの明るさを補整する
付記1に記載の表示装置。
【0091】
(付記3)
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記補整部は、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つの外縁の明るさを補整する
付記1又は2に記載の表示装置
【0092】
(付記4)
前記第1の情報のセットと、前記補整部が前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整した場合の補整後の前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを示す第1の補整された情報のセットとを記憶する記憶部をさらに備え、
前記第1の情報のセットは、前記第1最大オブジェクトを特定する第1の最大情報のサブセットと、前記第1背景を特定する第1の背景情報のサブセットとを含み、
前記第1の補整された情報のセットは、補整された前記第1最大オブジェクトを特定する補整された第1の最大情報のサブセットと、補整された前記第1背景を特定する補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つを含み、
前記抽出部は、
前記複数のフレームのうちの第2のフレームに含まれる第2の複数のオブジェクトを特定する第2の情報のセットを抽出し、
前記第1の情報のセットと前記第2の情報のセットとの相関性を抽出し、
前記相関性が所定の基準を満たす場合、前記判定部は前記第2の複数のオブジェクトに対する判定処理をスキップし、
前記第2の情報のセットは、前記第2の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第2最大オブジェクトを特定する第2の最大情報のサブセットと、前記第2最大オブジェクト以外のオブジェクトである第2背景を特定する第2の背景情報のサブセットとを含み、
前記補整部は、前記補整された第1の最大情報のサブセットと、前記補整された第1の背景情報のサブセットとの少なくとも1つに基づき、前記第2最大オブジェクト及び前記第2背景の少なくとも1つを補整し、
前記出力部は、前記補整された第2のフレームを出力し、
前記記憶部は、前記第2の情報のセットと、補整後の前記第2最大オブジェクト及び前記第2背景の少なくとも1つを示す第2の補整された情報のセットとを記憶し、
前記第2のフレームは前記第1のフレームの次のフレームである
付記1から3のいずれか一に記載の表示装置。
【0093】
(付記5)
前記第1の最大情報のサブセットは、前記第1最大オブジェクトの種別と、前記第1最大オブジェクトが含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第1最大オブジェクトの明るさと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第1の背景情報のサブセットは、前記第1背景の識別情報と、前記第1背景が含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第1背景の明るさと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の最大情報のサブセットは、前記第2最大オブジェクトの種別と、前記第2最大オブジェクトが含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第2最大オブジェクトの明るさと、のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2の背景情報のサブセットは、前記第2背景の識別子と、前記第2背景が含む複数の画素それぞれの座標及び色と、前記第2背景の明るさと、のうちの少なくとも1つを含む
付記1から4のいずれか一に記載の表示装置。
【0094】
(付記6)
前記所定の基準は、
前記第1最大オブジェクトの種別と前記第2最大オブジェクトの種別とが同一であること、
前記第1最大オブジェクトが含む複数の画素の数と前記第2最大オブジェクトが含む複数の画素の数との差が第2の所定の閾値以下であること、
前記第1最大オブジェクトの明るさと前記第2最大オブジェクトの明るさとの差が第3の所定の閾値以下であること、
の少なくとも1つである
付記1から5のいずれか一に記載の表示装置。
【0095】
(付記7)
表示装置によって実行される方法であって、
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、
前記補整された第1のフレームを出力するステップと、を備える
方法。
【0096】
(付記8)
コンピュータに、
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、
前記補整された第1のフレームを出力するステップと
を実行させるためのプログラム。
【0097】
(付記9)
コンピュータに、
連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得するステップと、
前記複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出するステップと、
前記第1の情報のセットに基づき、前記第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、前記最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、前記コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定するステップと、
前記コントラストが前記第1の所定の閾値より小さい場合、前記第1最大オブジェクト及び前記第1背景の少なくとも1つを補整するステップと、
前記補整された第1のフレームを出力するステップと
を実行させるためのプログラムを記憶した記憶媒体。
【符号の説明】
【0098】
10…表示装置、110…取得部、120…抽出部、130…判定部、140…補整部、150…出力部、160…記憶部
【要約】
【課題】より見やすい態様で動画を表示可能な表示装置、方法、プログラム及び記憶媒体を提供する。
【解決手段】表示装置は、連続する複数のフレームを含む動画コンテンツを取得する取得部と、複数のフレームのうちの第1のフレームに含まれる第1の複数のオブジェクトを特定する第1の情報のセットを抽出する抽出部と、第1の情報のセットに基づき、第1の複数のオブジェクトのうち最も大きなオブジェクトである第1最大オブジェクトの明るさと、最も大きなオブジェクト以外のオブジェクトである第1背景の明るさとのコントラストを比較することにより、コントラストが第1の所定の閾値より小さいか否かを判定する判定部と、コントラストが第1の所定の閾値より小さい場合、第1最大オブジェクト及び第1背景の少なくとも1つを補整する補整部と、補整された第1のフレームを出力する出力部と、を備える。
【選択図】
図1