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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】固形製剤
(51)【国際特許分類】
   A23L 33/105 20160101AFI20240702BHJP
   A23L 5/00 20160101ALI20240702BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L5/00 D
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023142585
(22)【出願日】2023-09-01
【審査請求日】2023-12-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516082143
【氏名又は名称】株式会社feileB
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】村山 亮太
(72)【発明者】
【氏名】栗山 雄司
【審査官】石田 傑
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108576830(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108936637(CN,A)
【文献】国際公開第2016/052721(WO,A1)
【文献】特開2023-102714(JP,A)
【文献】特表2017-501180(JP,A)
【文献】特表2004-504332(JP,A)
【文献】特表2013-537804(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
豆抽出物とフラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とリンゴ食物繊維とを含有する固形製剤。
【請求項2】
前記豆抽出物としてタンパク質含量が50質量%以上である豆由来タンパク質含有素材を含有する、請求項1記載の固形製剤。
【請求項3】
前記豆由来タンパク質含有素材は、23~27kDaの分子量であるフェリチンを10質量%以上含有する該素材である、請求項2記載の固形製剤。
【請求項4】
前記豆由来タンパク質含有素材は、豆由来フェリチン鉄を鉄含量として3質量%以上含有する該素材である、請求項2又は3記載の固形製剤。
【請求項5】
前記豆抽出物を40~65質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~35質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~35質量%含有する、請求項1記載の固形製剤。
【請求項6】
前記豆抽出物を25~50質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~30質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~30質量%含有し、前記リンゴ食物繊維を10~20質量%含有する、請求項記載の固形製剤。
【請求項7】
豆抽出物を含有し粉末に調製された原料Aと、フラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを含有し顆粒に調製された原料Bと、粉末に調製されたリンゴ食物繊維とを混合して混合原料を得る原料混合工程と、前記混合原料を所定形状に打錠する打錠工程と、を備えた固形製剤の製造方法。
【請求項8】
前記豆抽出物としてタンパク質含量が50質量%以上である豆由来タンパク質含有素材を用いる、請求項記載の固形製剤の製造方法。
【請求項9】
前記豆由来タンパク質含有素材は、23~27kDaの分子量であるフェリチンを10質量%以上含有する該素材である、請求項記載の固形製剤の製造方法。
【請求項10】
前記豆由来タンパク質含有素材は、豆由来フェリチン鉄を鉄含量として3質量%以上含有する該素材である、請求項又は記載の固形製剤の製造方法。
【請求項11】
前記原料Bは、前記フラクトオリゴ糖を48~52質量%含有し、前記アカシア食物繊維を42~48質量%含有してなるものである、請求項記載の固形製剤の製造方法。
【請求項12】
前記固形製剤は、前記豆抽出物を40~65質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~35質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~35質量%含有してなるものである、請求項記載の固形製剤の製造方法。
【請求項13】
前記固形製剤は、前記豆抽出物を25~50質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~30質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~30質量%含有し、前記リンゴ食物繊維を10~20質量%含有してなるものである、請求項記載の固形製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、栄養成分を日常的に簡便に摂取できるようにした固形製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、鉄分の補給に関し、フェリチン鉄を利用することが知られている。フェリチン鉄は、24個のサブユニットから成る球状タンパク質とそのかご状の構造の内部に鉄を保持してなるタンパク質-鉄の複合体である。フェリチンは生体内において鉄と結合してこれを水溶性かつ非毒性に保ち、濃縮して貯蔵するkakkための役割を担っている。また、鉄の過不足を抑える役割もあると考えられている。
【0003】
フェリチン鉄の利用に関しては、例えば、特許文献1には、豆果からフェリチン鉄含有素材を調製することが記載されており、これを栄養補助食品(サプリメント)等に用いることについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5896543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者らの検討によると、フェリチン鉄含有素材として利用される大豆抽出物は、タンパク質含量が高く、打錠機の杵や臼に結着しやすいため、その製剤化に難があった。
【0006】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、錠剤等への製剤化を容易に行うことができるようにした豆抽出物の固形製剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ね、特定のオリゴ糖・食物繊維を利用することにより上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、その第1の観点において、豆抽出物とフラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを含有する固形製剤を提供するものである。
【0009】
上記固形製剤においては、前記豆抽出物としてタンパク質含量が50質量%以上である豆由来タンパク質含有素材を含有することが好ましい。その場合、前記豆由来タンパク質含有素材は、23~27kDaの分子量であるフェリチンを10質量%以上含有する該素材であることが好ましい。また、豆由来フェリチン鉄を鉄含量として3質量%以上含有する該素材であることが好ましい。
【0010】
上記固形製剤においては、更にリンゴ食物繊維を含有せしめてもよい。
【0011】
上記固形製剤においては、前記豆抽出物を40~65質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~35質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~35質量%含有することが好ましい。
【0012】
上記固形製剤において、前記リンゴ食物繊維を含有する場合は、前記豆抽出物を25~50質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~30質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~30質量%含有し、前記リンゴ食物繊維を10~20質量%含有することが好ましい。
【0013】
一方、本発明は、その第2の観点において、豆抽出物を含有し粉末に調製された原料Aと、フラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを含有し顆粒に調製された原料Bとを混合して混合原料を得る原料混合工程と、前記混合原料を所定形状に打錠する打錠工程と、を備えた固形製剤の製造方法を提供するものである。
【0014】
上記固形製剤の製造方法においては、前記豆抽出物としてタンパク質含量が50質量%以上である豆由来タンパク質含有素材を用いることが好ましい。その場合、前記豆由来タンパク質含有素材は、23~27kDaの分子量であるフェリチンを10質量%以上含有する該素材であることが好ましい。また、豆由来フェリチン鉄を鉄含量として3質量%以上含有する該素材であることが好ましい。
【0015】
上記固形製剤の製造方法においては、前記原料混合工程において、更に粉末に調製されたリンゴ食物繊維を混合して、前記混合原料を得るようにしてもよい。
【0016】
上記固形製剤の製造方法においては、前記原料Bは、前記フラクトオリゴ糖を48~52質量%含有し、前記アカシア食物繊維を42~48質量%含有してなるものであることが好ましい。
【0017】
上記固形製剤の製造方法において、前記固形製剤は、前記豆抽出物を40~65質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~35質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~35質量%含有してなるものであることが好ましい。
【0018】
上記固形製剤の製造方法において、前記リンゴ食物繊維を含有する場合は、前記固形製剤は、前記豆抽出物を25~50質量%含有し、前記フラクトオリゴ糖を15~30質量%含有し、前記アカシア食物繊維を15~30質量%含有し、前記リンゴ食物繊維を10~20質量%含有してなるものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、豆抽出物にフラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維を組合わせて利用したので、錠剤等への製剤化が容易となる。加えて、リンゴ食物繊維を利用することにより、錠剤等への製剤化が更に容易となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に用いる豆抽出物としては、豆由来の栄養成分を含む食用素材であればよく、特に限定されないが、例えば、豆科植物を原料にして調製された豆由来タンパク質含有素材であってもよい。なお、豆由来タンパク質には鉄結合性タンパク質であるフェリチンが含まれる。その豆科植物としては、大豆、レンズ豆、インゲン豆、ヒヨコ豆、ソラ豆、アズキ豆、エンドウ豆、落花生、花豆、緑豆、樹豆、ササゲ(大角豆)、ルーピン等が挙げられる。また、原料とする豆科植物の部位としては、豆果以外にも、葉、茎、蔓、鞘、根、種子、花等の豆果以外の部位を原料にしてもよく、それら部位の複数の組み合わせであってもよい。更に、スプラウトを原料にしてもよい。
【0021】
上記豆由来タンパク質含有素材は、タンパク質含量が50質量%以上である該素材であることが好ましい。また、23~27kDaの分子量であるフェリチンを10質量%以上含有する該素材であることが好ましい。また、豆由来フェリチン鉄を鉄含量として3質量%以上含有する該素材であることが好ましい。その場合、鉄含量としては、典型的に3.5~6.5質量%、より典型的に4~6質量%などであり得る。なお、大豆由来のフェリチン鉄含有素材として「まめ鉄」(商品名、SloIron社製)などが市販されているので、そのような市販品を利用してもよい。
【0022】
一般に、豆由来の栄養成分を含む食用素材には、フェリチン鉄やその他のタンパク質以外にも豆由来のリン脂質やイソフラボン類化合物が含まれている場合がある。本発明に用いる豆抽出物には、脂質含量として、5質量%以下が典型的であり、0.5~3.5質量%がより典型的である。また、イソフラボン類化合物含量として、2質量%以下が典型的であり、0.5質量%以下がより典型的である。
【0023】
豆抽出物として上記組成のものを得るには、特に限定されないが、例えば、豆原料の水溶性抽出物に対し、塩析によりタンパク質画分を濃縮する処理を施したり、1種類又は複数種類のグリコシダーゼ酵素により糖質を分解する処理を施したりしたうえ、限外濾過等の分子量分画手段に供することによって調製することができる。その場合、豆原料の水溶性抽出物に対し、塩析処理と酵素処理の両方の処理を施してもよく、その処理順序は、塩析処理が先でも酵素処理が先でも、いずれでもかまわない。グリコシダーゼ酵素としては、例えば、α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、α-ガラクトシダーゼ、β-ガラクトシダーゼ、β-グルコシダーゼ、キシラナーゼ、セルラーゼ、セロビオヒドロラーゼ、キシロシダーゼ、マンナナーゼ、グルクロニシダーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、ガラクタナーゼ、ペクチンリアーゼ等が挙げられる。
【0024】
本発明に用いるフラクトオリゴ糖としては、難消化性のオリゴ糖であるフラクトオリゴ糖を含む食用素材であればよく、特に限定されないが、例えば、ショ糖に対して酵素反応によってフルクトースを転移させることによって得られたフラクトオリゴ糖含有素材であってもよい。これによれば、吸湿性の原因となるイヌリンを実質的に含まない素材を用いることができる。より具体的には、そのフラクトオリゴ糖としては、ショ糖にフラクトースが1~3分子結合した1-ケストース(GF2)、ニストース(GF3)、フラクトフラノシルニストース(GF4)、これらの混合物などを主成分とするものであってよい。なお、フラクトオリゴ糖含有素材として「メイオリゴP」や「メイオリゴG」(商品名、いずれも株式会社明治フードマテリア)などが市販されているので、そのような市販品を利用してもよい。
【0025】
本発明に用いるアカシア食物繊維としては、マメ科アカシア属の植物(アカシア)の樹木から浸出した樹液から得られる、アラビアガムとも呼ばれる高分子多糖類を含む食用素材であればよく、特に限定されないが、樹液の乾燥物であるガム玉から脱塩や脱色などの工程を経ずに用いてもよい。これによれば、異風味の少ない素材を用いることができる。より具体的には、アカシア食物繊維を構成するその高分子多糖類の分子量範囲としては、典型的に分子量380~850kDaであってよく、より典型的に分子量400~650kDaであってよい。なお、アカシア食物繊維含有素材として「ファイバーガムP」や「ファイバーガムTAN」(商品名、いずれもネキシラ社)などが市販されているので、そのような市販品を利用してもよい。
【0026】
本発明に用いるリンゴ食物繊維としては、リンゴ果実を破砕・粉砕して、乾燥させ、更に粉末化してなる食用素材であればよく、特に限定されないが、果肉、果皮、種子など果実を構成しているそれら部位の利用比を変える等して、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維との構成比を調整してなるものを用いてもよい。より具体的には、リンゴ食物繊維含有素材中、不溶性食物繊維の含有量としては、典型的に30~50質量%であってよく、より典型的に35~45質量%であってよい。また、水溶性食物繊維の含有量としては、典型的に10~30質量%であってよく、より典型的に10~15質量%であってよい。また、リンゴ食物繊維含有素材中、水溶性食物繊維のうちペクチンの含有量としては、典型的に0.1~10質量%であってよく、より典型的に0.1~5質量%であってよい。なお、食物繊維を多く含むリンゴ食物繊維含有素材として「ビタセルAF401」や「ビタセルAF401/30」(商品名、いずれもレッテンマイヤージャパン社社)などが市販されているので、そのような市販品を利用してもよい。
【0027】
本発明は、上記に説明したような豆抽出物に、上記に説明したようなフラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維を組合わせて、これら食用素材を含有せしめてなる固形製剤を提供するものである。この固形製剤によれば、混合原料を打錠機に供した場合も、杵や臼への結着がなく剥離性が良好である。よって、その製剤化が容易である。また、限定されない任意の態様にあっては、更に、上記に説明したようなリンゴ食物繊維を含有せしめてもよい。これによれば、混合原料を打錠機に供した場合も、杵や臼への結着がなく剥離性が更に良好となる。よって、その製剤化が更に容易となる。
【0028】
一般に、サプリメントに用いられる錠剤の製剤加工には、混合末の流動性、打錠時の結着性、打錠機からの剥離性など、使用する原材料に様々な特性が求められる。例えば、打錠機からの剥離性については、ステアリン酸カルシウムやショ糖エステルなどの滑沢剤を用いれば容易にそれらの特性が得られる。一方、化学物質過敏症者にとっては、ステアリン酸カルシウム、ショ糖エステルやナタネ硬化油(ナタネ油を水素添加したもの)などは忌避すべき物質であり利用できない。また、例えば、有機大豆のような有機農産物に由来する食品素材を選択する消費者からも強いニーズがある。
【0029】
そこで、本発明により適用される固形製剤は、ステアリン酸カルシウム、ショ糖エステル等の滑沢剤を含まないものであることが好ましい。
【0030】
一方、豆抽出物をできるだけ多く配合した製品となす観点からは、豆抽出物を40~65質量%含有し、フラクトオリゴ糖を15~35質量%含有し、アカシア食物繊維を15~35質量%含有することが好ましい。また、リンゴ食物繊維を含有する場合に、豆抽出物を25~50質量%含有し、フラクトオリゴ糖を15~30質量%含有し、アカシア食物繊維を15~30質量%含有し、リンゴ食物繊維を10~20質量%含有することが好ましい。
【0031】
本発明により提供される固形製剤は、慣用の製剤技術で製造することができる。例えば、錠剤の製造ラインに上記に説明した食用素材を混合した原料を供することなどで行えばよい。
【0032】
本発明の限定されない任意の態様にあっては、その製造方法は、豆抽出物を含有し粉末に調製された原料Aと、フラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを含有し顆粒に調製された原料Bとを混合して混合原料を得る原料混合工程と、得られた混合原料を所定形状に打錠する打錠工程とを備えるものであることが好ましい。この場合、混合原料には、任意に粉末に調製されたリンゴ食物繊維を含有せしめてもよい。
【0033】
この態様によれば、顆粒に調製された原料Bが比較的多孔質な構造であるため、粉末に調製された他の原料がその多孔質な構造に包接されるなどの機構により、より分散して混合させやすく、ひいては原料同士の結着が向上して、打錠性も良好となる。この場合、フラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを顆粒に調製する方法としては、特に制限はなく任意であるが、例えば、フラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維を含む原料水溶液を真空乾燥したり噴霧乾燥したりして、乾燥後、適宜、解砕、粉砕するなどして調製することができる。原料Bの顆粒の粒子サイズとしては、18メシュパス40メッシュオンなどであり得る。また、原料Aやリンゴ食物繊維など、その原料Bの顆粒と混合する粉末原料の粒子サイズとしては、60メシュパス200メッシュオンなどであり得る。
【0034】
本発明により提供される固形製剤は、例えば、健康食品、サプリメント、栄養補助食品、機能性食品、医薬品、医薬部外品、動物用健康食品、動物用サプリメント、動物用栄養補助食品、動物用機能性食品、動物用医薬品、等の各種の製品形態で、あるいはそれら製品と組み合わせて使用されることが可能である。また、一般の飲食品や動物用餌として、あるいは一般の飲食品や動物用餌と組み合わせて使用されることが可能である。
【0035】
なお、本明細書において記載した鉄の量は、周知の分析方法である、例えば、原子吸光光度法もしくはICP質量分析法の方法で測定することができる。
【0036】
なお、豆抽出物を分析するにあたり、その豆抽出物を限外ろ過膜などの分子量分画手段にかけて、その高分子層と低分子層とに分離したうえ、上記分析方法により鉄量を分析することによって、その高分子層の分析からはフェリチン鉄として含まれる鉄量を求めることができる。また、低分子層の分析からは、遊離鉄及び鉄塩の合計の鉄量を求めることができる。
【0037】
また、食物繊維の量の分析は、食品分析分野で周知の分析方法により測定することができる。例えば、低分子の水溶性食物繊維を除く総食物繊維は、酵素-重量法(プロスキー法)などにより測定することができる。低分子の水溶性食物繊維を含む総食物繊維は、酵素-HPLC法(AOAC2001.03法)などにより測定することができる。低分子の水溶性食物繊維を含む水溶性食物繊維は、酵素-HPLC法(AOAC2011.25法)などにより測定することができる。不溶性食物繊維は、酵素-HPLC法(AOAC2011.25法)などにより測定することができる。水溶性食物繊維のうちぺクチンは、m-ヒドロキシジフェニル法などにより測定することができる。
【0038】
また、タンパク質の量の分析は、食品分析分野で周知の分析方法により測定することができる。例えば、窒素定量換算法やケルダール法や燃焼法などにより測定することができる。
【0039】
また、脂質の量は、食品分析の周知の分析方法である、例えば、酸分解法や溶媒抽出-重量法などにより測定することができる。
【0040】
また、イソフラボン類化合物の量は、特定濃度に調製されたイソフラボン類化合物の標準品を指標にしたHPLC分析法で測定することができる。
【0041】
また、タンパク質や多糖類の分子量の測定は、GPC法(GPCカラムを用いたHPLC法)などにより測定することができる。
【実施例
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。ただし、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
【0043】
[試験例1]
〔1-1.材料〕
・原料A:大豆豆果由来抽出物(株式会社アンチエイジング・プロ)(粉末形状:鉄として5質量%以上、フェリチンとして10質量%以上、タンパク質として52質量%含有、粒子サイズ:160メシュパス80個%以上)
・原料B:フラクトオリゴ糖・アカシア食物繊維含有素材(商品名「オリゴとアカシア」、株式会社明治フードマテリア)(顆粒形状:フラクトオリゴ糖として45質量%以上、アカシア食物繊維として45質量%以上含有、粒子サイズ規格:18メッシュ以下)
【0044】
〔1-2.試験群〕
(A)原料A:60質量部 原料B:40質量部
(B)原料A:50質量部 原料B:50質量部
(C)原料A:40質量部 原料B:60質量部
(D)原料A:30質量部 原料B:70質量部
【0045】
〔1-3.打錠〕
原料Aと原料Bとを混合して混合原料を得、これを卓上型試作打錠機/MMP2(株式会社富士薬品機械)に供して、直径:7mm、厚み:4.5mm±0.3mm、1粒当たりの重量250mgの錠剤を打錠した。なお、打錠圧は7~10kNとした。
【0046】
〔1-4.評価〕
(A)原料A:60質量部 原料B:40質量部
打錠機の杵や臼に付着する打錠障害(スティッキング)はみられず、打錠性が良好であった。ただし、硬度や結着性には改善の余地があった。
(B)原料A:50質量部 原料B:50質量部
上記(A)同様に、打錠性は良好であった。
(C)原料A:40質量部 原料B:60質量部
上記(A)同様に、打錠性は良好であった。ただし、小頻度に打錠障害(スティッキング)がみられ、剥離性に改善の余地があった。
(D)原料A:30質量部 原料B:70質量部
上記(A)同様に、打錠性は良好であった。ただし、小頻度に打錠障害(スティッキング)がみられ、剥離性に改善の余地があった。
【0047】
[試験例2]
〔2-1.材料〕
・原料C:リンゴ食物繊維含有素材(商品名「ビタセル AF401」、レッテンマイヤージャパン社)(粉末形状:リンゴ食物繊維として50質量%以上含有、粒子サイズ:30μm未満)
【0048】
〔2-2.試験群〕
試験例1で打錠性にやや改善の余地が認められた「(D)原料A:30質量部 原料B:70質量部」の混合原料について、更にリンゴ食物繊維を添加し、打錠機に供する混合原料とした。
【0049】
(D1)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:5質量部
(D2)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:10質量部
(D3)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:15質量部
(D4)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:20質量部
(D5)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:30質量部
【0050】
〔2-3.打錠〕
原料Aと原料Bと原料Cとを混合して混合原料を得、これを卓上型試作打錠機/MMP2(株式会社富士薬品機械)に供して、直径:7mm、厚み:4.5mm±0.3mm、1粒当たりの重量250mgの錠剤を打錠した。また、試験群によっては錠剤の大きさを変え、直径:5mm、厚み:4.2mm、1粒当たりの重量110mgの錠剤、又は直径:6mm、厚み:4.5mm、1粒当たりの重量140mgの錠剤を打錠した。なお、打錠圧は7~10kNとした。
【0051】
〔2-4-1.評価1〕
・直径7mm(厚み:4.5mm※厚み/直径=0.64):
(D1)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:5質量部
試験例1の上記(D)同様に、小頻度に打錠障害(スティッキング)がみられ、剥離性に改善の余地があった。
(D2)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:10質量部
上記(D1)に比べ、剥離性が改善した。
(D4)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:20質量部
上記(D1)に比べ、剥離性が改善した。
(D5)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:30質量部
上記(D1)に比べ、剥離性が改善した。ただし、硬度や結着性には改善の余地があった。
【0052】
〔2-4-2.評価2〕
・直径5mm(厚み:4.2mm※厚み/直径=0.84):
(D2)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:10質量部
試験例1の上記(D)の評価と同様に、小頻度に打錠障害(スティッキング)がみられ、剥離性に改善の余地があった。
(D3)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:15質量部
上記(D2)に比べ、剥離性が改善した。
(D4)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:20質量部
上記(D2)に比べ、剥離性が改善した。
【0053】
〔2-4-3.評価3〕
・直径6mm(厚み:4.5mm※厚み/直径=0.75):
(D2)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:10質量部
上記評価2に比べ錠剤の大きさを大きくしたことにより剥離性が改善したが、小頻度に打錠障害(スティッキング)がみられ、剥離性に改善の余地があった。
(D3)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:15質量部
上記(D2)に比べ、剥離性が改善した。
(D4)原料A:30質量部 原料B:70質量部 原料C:20質量部
上記(D2)に比べ、剥離性が改善した。
【0054】
以上から、豆抽出物にフラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維を配合することにより、ステアリン酸カルシウムやショ糖エステルなどの滑沢剤を利用せずとも、安定に固形製剤を製造できることが明らかとなった。加えて、リンゴ食物繊維を配合することで、製剤化効率を更に向上させることができることが明らかとなった。
【要約】
【課題】錠剤等への製剤化を容易に行うことができるようにした豆抽出物の固形製剤を提供する。
【解決手段】豆抽出物とフラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを含有する固形製剤である。また、豆抽出物を含有し粉末に調製された原料Aと、フラクトオリゴ糖とアカシア食物繊維とを含有し顆粒に調製された原料Bとを混合して混合原料を得る原料混合工程と、前記混合原料を所定形状に打錠する打錠工程と、を備えた固形製剤の製造方法である。
【選択図】なし