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特許7513330行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】行政管理システム、行政管理方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/26 20240101AFI20240702BHJP
【FI】
G06Q50/26
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023191193
(22)【出願日】2023-11-08
【審査請求日】2023-11-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 2023年2月9日~2023年10月31日の間に株式会社WiseVineがオンライン説明会、ウェブサイト、メール送信等にて公開した。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】518355630
【氏名又は名称】株式会社WiseVine
(74)【代理人】
【識別番号】110004163
【氏名又は名称】弁理士法人みなとみらい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉本 翔生
【審査官】小原 正信
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-207064(JP,A)
【文献】特開2002-251504(JP,A)
【文献】特開2013-196632(JP,A)
【文献】特開2003-288443(JP,A)
【文献】【公式】Asana 基本の使い方を徹底解説!基礎から応用までカバー,ワークマネジメントオンライン[オンライン],リードプラス株式会社,2023年04月13日,インターネット<URL:https://www.work-management.jp/blog/asana-basic-instructions.html>,[検索日:2024年1月25日]チームメンバーと取り組んでいるの仕事は何ですか?プロジェクトを作ってみよう
【文献】鈴木 雅弘 ほか,時系列に並んだ金融文書からの差分抽出タスクの提案,[オンライン],人工知能学会全国大会論文集,2023年06月09日,インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/pjsai/JSAI2023/0/JSAI2023_1E3GS602/_pdf/-char/ja>,[検索日:2024年1月25日]
【文献】ドリルダウンとは?QlikViewやQlik Senseでの実現方法は?,Qlik Trainingブログ[オンライン],株式会社アシスト,2020年11月10日,インターネット<URL:https://www.ashisuto.co.jp/qlik-training_blog/article/what-drilldown.html>,[検索日:2024年1月25日]
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
行政データの管理を行う行政管理システムであって、
複数種類のデータ項目を有する行政データと、行政活動の段階を用いて設定されたデータ項目の集合である段階別データ項目セットを記憶し
示要求を行った利用者の行政活動における段階に対応する段階別データ項目セットに基づいて、表示処理する前記データ項目を決定し、
前記行政データとして、少なくとも執行年度及び予算種別の組み合わせ毎に、1又は複数の内訳項目として個別出費項目情報を紐づけた事務事業情報を登録し、
予算編成段階においては、前記段階別データ項目セットを参照して、予算編成段階における前記事務事業情報のデータ項目を表示処理して、個別出費項目情報毎に、予算額と、その予算額に対応し、執行段階に利用される予算科目体系項目、及び決算段階に利用される地方財政状況調査項目を含む個別出費項目情報に係るデータ項目を登録し、
執行段階において、前記予算編成段階で登録済の前記予算科目体系項目及び/又は前記地方財政状況調査項目の指定を受け付けて、前記地方財政状況調査項目に基づいて集計される支出・収入情報を登録する、行政管理システム。
【請求項2】
別々の時点における対応した行政データの紐付を記憶し、
それぞれの行政データの前記データ項目を突合して、行政データに含まれた対応するデータ項目同士を並べ、対応するデータ項目における差分を表示処理する、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項3】
行政データは、複数階層のツリー構造でマスタデータとして定義された体系項目に係るデータ項目を含み、
前記体系項目、並びに、少なくとも執行年度及び予算種別を含む集計軸に基づいて、行政データの件数、行政データに内包される内訳項目の件数、若しくは、行政データに紐づいた積算可能な1又は複数のデータ項目を集計処理する、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項4】
帳票種別毎に必要となる前記データ項目の集合である帳票別データ項目セットを記憶し、
指定された帳票種別に対応する前記帳票別データ項目セットに基づいて選択される前記データ項目をレイアウトした帳票を表示処理する、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項5】
前記内訳項目は、行政データのそれぞれに対して1又は複数ずつ登録され、下位予算科目に係る予算科目体系項目が対応付けられた個別出費項目、並びに、個別出費項目のそれぞれに対して1又は複数ずつ登録され、予算情報が対応付けられた積算項目を含み、
執行段階において、前記個別出費項目を対象として、前記支出・収入情報を登録する、請求項1に記載の行政管理システム。
【請求項6】
行政データの件数、内訳項目の件数、行政データに紐づいた予算情報、行政データに紐づいた支出・収入情報の1又は複数を集計処理する、請求項1又は請求項5に記載の行政管理システム。
【請求項7】
行政データの管理を行う行政管理方法であって、
コンピュータが、複数種類のデータ項目を有する行政データと、行政活動の段階を用いて設定されたデータ項目の集合である段階別データ項目セットを記憶し、
利用者端末からの表示要求を受け付け、表示要求を行った利用者の行政活動における段階に対応する段階別データ項目セットに基づいて、表示させる前記データ項目を決定して、表示処理し、
前記行政データとして、少なくとも執行年度及び予算種別の組み合わせ毎に、1又は複数の内訳項目として個別出費項目情報を紐づけた事務事業情報を登録し、
予算編成段階においては、前記段階別データ項目セットを参照して、予算編成段階における前記事務事業情報のデータ項目を表示処理して、個別出費項目情報毎に、予算額と、その予算額に対応し、執行段階に利用される予算科目体系項目、及び決算段階に利用される地方財政状況調査項目を含む個別出費項目情報に係るデータ項目を登録し、
執行段階において、前記予算編成段階で登録済の前記予算科目体系項目及び/又は前記地方財政状況調査項目の指定を受け付けて、前記地方財政状況調査項目に基づいて集計される支出・収入情報を登録する、行政管理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の行政管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行政管理システム、行政管理方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自治体等を含む行政組織における行政活動を効率化する為の情報処理技術が知られている。
【0003】
特許文献1では、地方自治体の財政計画はマクロ的視点から、個別事務事業の予算査定はミクロ的視点から行われており、両者は連動していない問題の解決に向けて、個別事務事業における、歳入・歳出計画作成をルール化、綿密化、IT化して、地方自治体全体の財政計画と事務事業の管理・評価を関連付けることにより、個別計画と全体戦略の整合性を保持し、事業積上型の長期的な財政推計を可能にする技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-293321号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
先行技術では、予算査定や行革計画に係る処理の単純化が達成された。しかしながら、行政組織における行政活動の効率的な推進を行うことはできない。
【0006】
本発明は、上述した課題に鑑みて、行政組織において、行政活動を効率的に推進する技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[1]行政データの管理を行う行政管理システムであって、
複数種類のデータ項目を有する行政データと、利用者の属性を用いて設定されたデータ項目の集合である属性別データ項目セット、及び/又は、行政活動の段階を用いて設定されたデータ項目の集合である段階別データ項目セットを記憶し、
表示要求を行った利用者の属性に対応する前記属性別データ項目セット、及び/又は、表示要求を行った利用者の行政活動における段階に対応する段階別データ項目セットに基づいて、表示処理する前記データ項目を決定する、行政管理システム。
[2]別々の時点における対応した行政データの紐付を記憶し、
それぞれの行政データの前記データ項目を突合して、行政データに含まれた対応するデータ項目同士を並べ、対応するデータ項目における差分を表示処理する、[1]に記載の行政管理システム。
[3]行政データは、複数階層のツリー構造でマスタデータとして定義された体系項目に係るデータ項目を含み、
前記体系項目、並びに、少なくとも執行年度及び予算種別を含む集計軸に基づいて、行政データの件数、行政データに内包される内訳項目の件数、若しくは、行政データに紐づいた積算可能な1又は複数のデータ項目を集計処理する、[1]又は[2]に記載の行政管理システム。
[4]帳票種別毎に必要となる前記データ項目の集合である帳票別データ項目セットを記憶し、
指定された帳票種別に対応する前記帳票別データ項目セットに基づいて選択される前記データ項目をレイアウトした帳票を表示処理する、[1]~[3]の何れかに記載の行政管理システム。
[5]行政データのそれぞれに対して、予算編成段階において、下位予算科目に係る予算科目体系項目、並びに予算情報が対応付けられた内訳項目を登録し、
執行段階において、前記内訳項目を対象として、行政データに対する支出・収入情報を登録する、[1]~[4]の何れかに記載の行政管理システム。
[6]前記内訳項目は、行政データのそれぞれに対して1又は複数ずつ登録され、前記下位予算科目に係る予算科目体系項目が対応付けられた個別出費項目、並びに、個別出費項目のそれぞれに対して1又は複数ずつ登録され、予算情報が対応付けられた積算項目を含み、
執行段階において、前記個別出費項目を対象として、前記支出・収入情報を登録する、[5]に記載の行政管理システム。
[7]行政データの件数、内訳項目の件数、行政データに紐づいた予算情報、行政データに紐づいた支出・収入情報の1又は複数を集計処理する、[6]又は[7]に記載の行政管理システム。
[8]行政データの管理を行う行政管理方法であって、
コンピュータが、複数種類のデータ項目を有する行政データと、利用者の属性を用いて設定されたデータ項目の集合である属性別データ項目セット及び/又は、行政活動の段階を用いて設定されたデータ項目の集合である段階別データ項目セットを記憶し、
利用者端末からの表示要求を受け付け、表示要求を行った利用者の属性に対応する前記属性別データ項目セット、及び/又は、表示要求を行った利用者の行政活動における段階に対応する段階別データ項目セットに基づいて、表示させる前記データ項目を決定して、表示処理する行政管理方法。
[9] [8]に記載の行政管理方法を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
【0008】
[1]に係る発明により、行政データを利用者の属性に応じて提示することができ、行政活動を効率的に推進することができる。
【0009】
[2]に係る発明により、行政データの新規登録や査定等に際して、データ項目の比較を行うことができ、行政活動を効率的に推進することができる。
【0010】
[3]に係る発明により、体系項目に基づいて行政データの集計や行政活動の進捗等の把握を行うことができ、行政活動を効率的に推進することができる。
【0011】
[4]に係る発明により、帳票の種別に応じて出力するデータ項目を決定し、行政活動を効率的に推進することができる。
【0012】
[5]に係る発明により、予算編成段階で登録される情報と、予算執行段階で登録される情報を対応付けることができ、予算と支出の突合が容易となる。
【0013】
[6]に係る発明により、個別出費項目を対象として支出を対応付けることで、予算執行を効率的に行うことができる。
【0014】
[7]に係る発明により、特に、執行段階における進捗把握を効率化することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、行政組織において、行政活動を効率的に推進する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態1に係るシステム構成図。
図2】実施形態1に係るハードウェア構成図。
図3】実施形態1に係る事務事業情報の登録に関する概念図。
図4】実施形態1に係る事務事業情報の繋がりに関する概念図。
図5】実施形態1に係る登録画面の画面表示例。
図6】実施形態1に係る表示されるデータ項目の一例。
図7】実施形態1に係る閲覧画面の画面表示例。
図8】実施形態1に係る差分画面の画面表示例。
図9】実施形態1に係る表示軸指定画面の画面表示例。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
以下、図面を用いて、本発明の行政管理システム、行政管理方法および、行政管理プログラムについて説明する。なお、以下に示す実施形態は本発明の一例であり、本発明を以下の実施形態に限定するものではなく、様々な構成を採用することもできる。
【0018】
本実施形態では行政管理システムの構成、動作等について説明するが、同様の構成の方法、装置、コンピュータのプログラムおよび当該プログラムを格納したプログラム記録媒体なども、同様の作用効果を奏することができる。以下で説明する本実施形態にかかる一連の処理は、コンピュータで実行可能なプログラムとして提供され、CD-ROMやフレキシブルディスクなどの非一過性コンピュータ可読記録媒体、更には通信回線を経て提供可能である。
【0019】
<1.1.用語等の定義1>
本明細書で使用される用語及び語句の定義は次のとおりである。
行政組織とは、国や地方自治体などの官公庁、省庁、公共団体等を含む行政を運営する組織であり、実施形態1では地方自治体を例とする。本発明に係る行政管理システムは行政組織で利用され、行政活動の運用・管理に利用される。
政策体系とは、政策-施策-事務事業の3階層で区分された課題体系である。例えば、施策及び事務事業の間に細施策等の階層が設けられる等、4階層以上で区分がされ、事務事業の管理が行われてもよい。
政策とは、特定の行政課題に対応するための基本的な方針実現を目的とする行政活動の大きなまとまりであり、制定された行政区分(市区町村等)におけるまちづくりの方向性や目的を示すものである。
施策とは、政策における基本的な方針に基づく、具体的な方針の実現を目的とした行政活動のまとまりであり、政策を実現するための方策や対策を示すものである。
事務事業とは、施策における具体的な方針を具体化する為の個々の行政手段としての事務及び事業である。事務事業は、行政区分に所属する各局における予算を元に、各局により実施される。本実施形態では、個々の事務事業を更に1又は複数の細事業に分解した4階層で課題体系を区分することとする。細事業は、事務事業に係る行政手段としての事務及び事業を、具体的に分解した区分である。
【0020】
行政オブジェクトとは、行政活動の中で扱う目的物を指す。本実施形態では、行政オブジェクトとして、個別の事務事業を管理することとするが、例えば、議員の質問に対して行政機関等の執行機関が作成を行う本会議答弁や委員会答弁、事務事業の計画・執行・評価段階や、議会・委員会等で収集され、次期以降の行政課題立案の元となる課題等についても行政オブジェクトとして扱ってもよい。また、行政組織が国の場合、直轄事業や外郭団体事業等を含む事業、その他、行政活動全般の目的物を行政オブジェクトとすることができる。行政オブジェクトは、データベースDBにおいて行政データとして管理される。
【0021】
<1.2.行政活動の概略>
地方自治体における行政活動の流れについて、一例を説明する。
まず、計画段階として、次期執行年度(例えば、翌年度)に実施する事務事業の計画書の作成等を実施する。次いで、予算編成段階では、次期執行年度に実施する事務事業の予算要求書の作成や、予算要求書に対する査定、予算案の作成、議会提出等を実施する。そして、執行年度になると、執行段階として、議会承認された事務事業に対して予算執行を行う。評価段階では、執行した事務事業に対する行政評価書の作成などを実施する。
【0022】
<1.3.用語等の定義2>
トピックとは、行政オブジェクトを目的物として実行される行政活動の段階的な区分を示す。トピックは行政オブジェクトの種類毎に1又は複数定義され得る。本実施形態では、例えば、事務事業を目的物とする場合は「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示」、「予算編成>議決」、「予算執行」、「決算」、「行政評価」等の経時的に並んだ複数の区分をトピックと定義する。上記は一例であり、これらとは異なる区分、抽象化された区分、細分化された区分等が定義されてもよい。
また、トピックの細分化は、トピックを複数のレイヤーで階層化することで行われてもよい。例えば、「予算編成>○○」トピックに代えて「当初予算編成(以降“当初”と呼称する)>○○」及び「補正予算編成(以降“補正”と呼称する)>○○」等の区分が定義されてもよいし、「予算編成」の配下のレイヤーにおいて「当初>○○」及び「補正>○○」の下位トピックが定義されてもよい。また、配下のレイヤーにも経時的に並んだ複数の区分がトピックとして定義されてもよい。例えば、「予算編成」の配下のレイヤーに、「要求」、「査定」、「内示」、「議決」等の区分が定義されてもよい。
【0023】
イシューとは、各行政オブジェクトに関して発生する行政活動を進行する上での主題を意味する。イシューは、個別の、或いは一群の行政オブジェクトに対応付けられ、特定の担当者に対して割り当てがされる。本実施形態では、イシューは、特定トピックの行政オブジェクト、或いは、特定トピックに属した一群の行政オブジェクトについて提起されるものとする。
【0024】
ワークフローとは、反復可能に定義された行政活動の流れを意味する。本実施形態では、ワークフローは、ある目的を達成する為に実行される複数の段階WSを含み、それぞれの段階WSnにおいて担当者に割り振られたイシューを消化していくことで進行する。あるトピックにおいて実行されるワークフローの段階は、当該トピックに係る行政活動の更に細かい段階と把握される。
【0025】
データ項目とは、行政オブジェクトに関して登録・管理される種々のデータである。
必須データ項目とは、データ項目のうち、登録が必須となるデータ項目の区分である。
任意データ項目とは、データ項目のうち、属性名が事前に定義され、有効化・無効化によってデータ値の入力や入力されたデータ項目の表示が可能となるデータ項目の区分である。
追加データ項目とは、データ項目のうち、独自の属性名を登録してデータ値の入力や入力されたデータ項目の表示が可能となるデータ項目の区分である。
【0026】
<2.1.システム構成>
図1は、行政管理システム1のシステム構成図を示す。行政管理システム1は、図1に示すように、行政管理装置2と、利用者端末3と、データベースDBと、を備え、各構成部はそれぞれ通信ネットワークNWに接続される。例えば、通信ネットワークNWは、総合行政ネットワーク(LGWAN:Local Government Wide Area Network)を含み、総合行政ネットワークを経由して、行政管理装置2とデータベースDB、行政管理装置2と利用者端末3が接続される。
【0027】
行政管理システム1(行政管理装置2)は、少なくとも事務事業を含む行政オブジェクトに係る行政活動を運用・管理する為のプラットフォームを提供する。行政管理装置2は、機能構成要素として、行政データ管理部21、イシュー管理部23、集計処理部26、表示処理部27、及び設定管理部28を備える。
【0028】
利用者端末3は、行政組織に属する利用者等が利用する端末装置である。利用者端末3は、少なくとも行政組織内に複数設置される。
【0029】
本実施形態において、利用者は、行政組織内の特別職(首長等)や、財政課等、官房部門の利用者、課長、部長、土木部(局・課)や農林水産部(局・課)等、原局・原課の利用者・統括(課長、部長等)などを含む。例えば、原課利用者は、事務事業の計画書等の事業帳票の作成や、予算要求書作成、予算執行、行政評価書作成などの業務を実施する。官房利用者は、原課利用者への予算要求書作成依頼、予算要求書の評価などの業務を実施する。課長・部長、特別職は、利用者による成果物の確認、計画書に基づく重点事業選定、優先順位付け、財政課利用者により承認された予算要求書の査定などの業務を実施する。行政管理システム1は、各利用者に対して所定の操作権限を設けており、操作権限に応じた所定の機能の許可や制限を制御している。なお、特に、ワークフローのある段階で処理を行う利用者を担当者と呼称する。
【0030】
<2.2.ハードウェア構成>
図2(a)は、行政管理装置2のハードウェア構成図を示す。行政管理装置2は、ハードウェア構成として、制御部201と、記憶部202と、通信部203と、を備える。本実施形態において、行政管理装置2は、サーバやパーソナルコンピュータなどのコンピュータ装置を用いることができる。なお、行政管理装置2は、複数のコンピュータ装置により構成されてもよく、全体として上述の機能構成要素(21-27)を実現できれば、図2(a)に示す構成に限定されるものではない。
【0031】
制御部201は、CPUなどの1又は複数のプロセッサにより構成され、行政管理プログラムやOS(Operating System)、その他のアプリケーションを実行することで、行政管理装置2における全体処理を制御する。記憶部202は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)などの1又は複数のメモリによって構成され、行政管理プログラムおよび各種データを記憶する。通信部203は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、利用者端末3、及びデータベースDBとのデータ通信を実現する。制御部201は、行政管理プログラムを実行することで、コンピュータを行政管理装置2として機能させ、行政管理方法を実行させる。
【0032】
データベースDBは、図示例ではLGWAN等を含む通信ネットワークNW経由でアクセス可能なデータベースサーバであるが、例えば、行政管理装置2を構成する制御部201及び記憶部202を用いて実現されてもよいし、行政管理装置2とLAN等を介して接続されてもよい。
【0033】
図2(b)は、利用者端末3等の端末装置9のハードウェア構成図を示す。端末装置9は、ハードウェア構成として、制御部901と、記憶部902と、通信部903と、入力部904と、表示部905と、を備える。本実施形態において、端末装置9は、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、タブレット端末などを用いることができる。
【0034】
制御部901は、CPUなどの1つ以上のプロセッサにより構成され、OS、その他のアプリケーションを実行することで、端末装置9における全体処理を制御する。記憶部902は、HDD、SSD、フラッシュメモリ、RAMなどであって、ブラウザアプリケーション、および各種データを記憶する。通信部903は、通信ネットワークNWとの通信制御を行い、行政管理装置2とのデータ通信を実現する。入力部904は、操作者による操作要求を受け付ける入力インターフェイスであって、タッチパネル、マウス、キーボードなどにより構成される。表示部905は、制御部901による処理結果を表示するディスプレイなどにより構成される。
【0035】
<2.3.表示処理部27>
表示処理部27は、行政データの管理プラットフォームを利用者端末3に表示させる。行政データの管理プラットフォームは、利用者端末3からの要求に基づいて、種々のデータの登録、編集、削除(以降、登録等とする)やワークフロー管理、データ表示、データ出力等に利用される。本実施形態では、管理プラットフォームは、ウェブブラウザアプリケーションの態様で利用される。利用者は、自身のアカウントを利用して管理プラットフォームを利用し、後述する情報処理は、該管理プラットフォームを介して実行される。
【0036】
<3.1.データ構造>
まず、本実施形態に係る行政管理システムにおけるデータ構造について説明する。
【0037】
データベースDBには、組織マスタ、利用者マスタ、政策・施策マスタ、科目マスタ、行政目標マスタ、権限マスタが格納されると共に、過年度の事務事業情報(行政データ)が格納される。
【0038】
組織マスタには、行政組織内又は行政組織内外の組織に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の組織体系を表す組織体系項目が格納される。本実施形態では、組織マスタには、組織体系項目として、組織情報、及び部門情報が格納される。組織情報は、組織の識別情報(組織ID)、及び組織名が格納される。部門情報は、組織における部門(部局課室等)の識別情報(部門ID)、部門が属する組織の識別情報(組織ID)、部門が属する上位部門の識別情報(部門ID)、及び部門名が格納される。後述する利用者の所属部門や、政策・施策・事務事業の担当部門等は、組織体系項目に基づいて、各種情報に識別可能に登録される。
利用者マスタには、組織内の利用者情報が格納される。利用者情報は、利用者の識別情報(利用者ID)、氏名、所属部門(組織体系項目)、等を有する。なお、1又は複数の利用者の集合である利用者グループが定義可能であってもよい。利用者グループ情報は、例えば、利用者グループの識別情報(利用者グループID)と、利用者グループに属する利用者の識別情報等によって事前定義されてもよいし、組織体系項目等の共通の属性を有した利用者を利用者グループとして扱ってもよい。事前定義される利用者グループに含める利用者は任意に選択可能であってもよいし、共通の属性を有する利用者グループの中から選択可能であってもよい。利用者グループは、任意に設定されたグループ名やグループの特徴を表す属性名によって指定される。
【0039】
政策・施策マスタには、政策・施策に関するデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の政策・施策体系を表す政策・施策体系項目が格納される。本実施形態では、政策・施策マスタには、政策・施策体系項目として、政策情報及び施策情報が格納される。政策情報/施策情報は、政策/施策の識別情報(政策ID/施策ID)、政策番号/施策番号、政策名/施策名、担当部門(部局課室等)、政策の目的/施策の目的、政策概要/施策概要、を含む。また更に、施策情報は、対応する主要政策の識別情報(政策ID)を含む。
【0040】
科目マスタには、科目体系項目を示すデータ項目のマスタデータが格納される。本実施形態では、予算科目体系・地方財政状況調査項目体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の予算科目体系を表す予算科目体系項目、及びツリー構造の地方財政状況調査項目体系を表す地方財政状況調査項目が格納される。
本実施形態では、予算科目マスタには、予算科目体系項目として、予算科目情報が格納される。予算科目情報は、予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目が属する上位予算科目の識別情報(予算科目ID)、予算科目種別(本実施形態では、款項目節細節の何れか)、及び予算科目名を含む。予算科目種別は、決算時における目的に相当する上位の科目である款項目(上位予算科目)と、性質に相当する下位の科目である節細節(下位予算科目)を含むものとする。行政組織が国の場合、項-目等が上位予算科目、目配下の科目を下位予算科目とすることができる。
地方財政状況調査項目マスタには、地方財政状況調査項目として、歳出内訳目的情報、及び、予算性質情報が格納される。歳出内訳目的は、事務事業に紐付けされる歳出の目的を示し、決算トピックにおける地方財政状況調査等に利用される。歳出内訳目的情報は、歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)、歳出内訳目的が属する上位歳出内訳目的の識別情報(歳出内訳目的ID)、対応する予算科目(款項目の何れか)の識別情報(予算科目ID)、歳出内訳目的の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類の三種類)、及び歳出内訳目的名を含む。予算性質は、節細節配下に設定される予算の性質を示し、予算性質情報は、予算性質の識別情報(予算性質ID)、上位予算性質の識別情報(予算性質ID)、予算性質が属する(対応する)予算科目(節又は細節)の識別情報(予算科目ID)、予算性質の種別(本実施形態では、大分類・中分類・小分類・細分類の四種類)、及び予算性質名を含む。
【0041】
行政目標マスタには、行政目標体系を示すデータ項目のマスタデータとして、データ項目間の紐付けによってツリー構造の行政目標体系を表す行政目標体系項目が格納される。行政目標は、各事務事業の達成のためのKPIを、即ち、事務事業の執行期間中に達成すべきタスクを定義するものであり、政策、施策、及び事務事業毎に1又は複数設定されると共に、上位の政策・施策体系と対応した階層構造を採る。本実施形態では、行政目標マスタには、行政目標体系項目として、行政目標情報が格納される。行政目標情報は、行政目標の識別情報(行政目標ID)と、行政目標体系項目が紐づく政策、施策、又は事務事業の識別情報、行政目標の内容、並びに、行政目標を達成する期限等を有する。
【0042】
<3.2.マスタデータの登録>
設定管理部28は、組織情報、部門情報、利用者情報、政策情報、施策情報、予算科目情報、歳出内訳目的情報、予算性質情報、及び行政目標情報に係る入力を利用者端末3より受け付けて、データベースDBへの登録等を行う。
【0043】
<3.3.事務事業情報の登録等>
次いで、本実施形態に係る行政管理システムにおける事務事業情報の登録等について説明する。
【0044】
事務事業には、予算額と、執行時に利用され、歳出額が対応付けられる款項目節細節(予算科目体系項目)と、決算時に利用され、地方財政状況調査作成の為の歳出内訳目的及び予算性質(地方財政状況調査項目)とが、予算要求段階から対応付けされる。
また、事務事業には、事務事業に係る行政活動や、予算の用途に係る出費項目、予算の財源等、各事務事業に内包された分解可能性を有する要素である内訳項目が設定される。
内訳項目として、款項目(予算科目体系項目)が対応付けられた事務事業には、1又は複数の細事業が紐付けられる。細事業には、節細節(予算科目体系項目)が対応付けられた予算の出費目的や出費先を示す個別出費項目が紐づけられる。個別出費項目は、予算額等を示す積算項目、並びに、その財源を示す財源内訳を含む。
また、個別の事務事業、細事業又は個別出費項目には、組織体系項目、政策・施策体系項目、科目体系項目、及び行政目標体系項目が紐づけられる。本実施形態では、事務事業に対して1又は複数の組織体系項目、1又は複数の政策・施策体系項目、1又は複数の行政目標体系項目、並びに、款項目に係る予算科目体系項目(上位予算科目)が紐付けられると共に、その内訳項目である個別出費項目に対して、節細節に係る予算科目体系項目(下位予算科目)が紐付けられるデータ構造を採る。また、任意のトピックにおいて、個別の事務事業、細事業又は個別出費項目に、その内容を表すラベルが設定されてもよい。本実施形態では、事務事業に対して、重点事業であることを示すラベルが、個別出費項目には義務的経費であることを示すラベルや、継続事業等の予算額の増減を示すラベル等が設定される。
【0045】
事務事業情報は、個々の事務事業に関する行政データであり、執行年度毎に登録される。本実施形態では、事務事業情報は、事務事業に係る基本情報(事務事業基本情報)と、当該事務事業に関する行政目標情報、予算情報、財源情報、及び支出・収入情報を含む。
事務事業情報の基本情報(事務事業基本情報)は、事務事業の内容に関する情報であり、基本情報の(即ち事務事業情報の)識別情報(事務事業ID)、関連行政データ、事務事業名、当該事務事業が属する主要政策・施策(政策・施策体系項目)、事業開始年度、執行(予定)年度、予算区分(当初予算、補正予算号数)、トピック、事務事業の予算額、事務事業の歳入額、予算名、所属部局庁(組織体系項目)、担当部門(組織体系項目)、会計区分、事務事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、款項目(上位予算科目:予算科目体系項目)、歳出内訳目的の大分類・中分類・小分類(地方財政状況調査項目)、経費分類、事務事業の予算額等を含むと共に、任意項目として、事務事業目的、事務事業概要、根拠法令、関連する計画・通知等、現状・課題、事業終了(予定)年度、備考欄、重点課題(行政目標体系項目)、0、1又は複数の追加データ項目等、事業に係る種々の情報を含む。
【0046】
予算情報は、例えば、トピック毎(例えば、「予算編成>要求」、「予算編成>査定」、「予算編成>内示・議決」)の予算額、個別の出費項目名、及び出費項目の節細節(予算科目体系項目)、予算性質の大分類・中分類・小分類・細分類(地方財政状況調査項目)を含む。予算額は、予算編成の「要求」段階において見積もられた予算額である要求額、「査定」段階において要求額から必要に応じて調整された予算額である査定額、「内示」された予算額である内示額等であり、本実施形態では、各事務事業情報は、有する個別出費項目毎に、各段階の予算額のそれぞれを保持可能に構成される。
財源情報は、個々の予算額に対する1又は複数の財源を示し、例えば、財源名、予算情報に対して充当される歳入額、及び節細節(予算科目体系項目)を含む。例えば、歳入額も予算額と同様に各トピックと紐づき、例えば、予算編成の「要求」段階において見積もられた歳入額である歳入要求額、「査定」段階において歳入要求額から必要に応じて調整された歳入額である歳入査定額、「内示」された歳入額である歳入内示額をそれぞれ保持可能に構成される。
【0047】
本実施形態では、事務事業は、内訳項目によって4階層のツリー構造に細分化(事務事業>細事業>個別出費項目>積算項目)される。事務事業は1又は複数の細事業を、細事業は1又は複数の個別出費項目を含む構造を採り、事務事業情報は、事務事業の内容を表す事務事業レイヤーのデータ項目である事務事業基本情報、細事業の内容を表す細事業レイヤーのデータ項目である細事業情報、及び個別出費項目の内容を表す個別出費項目レイヤーのデータ項目を含む。積算項目は個別出費項目に1又は複数含まれ、積算されることで事務事業又は上位の内訳項目の予算額を示す積算項目情報により登録される。財源内訳は個別出費項目に0又は1含まれ、事務事業又は上位の内訳項目の歳入額を示す財源内訳情報によって登録される。
【0048】
細事業情報は、細事業の識別情報(細事業ID)、関連する事務情報の識別情報(事務事業ID)、細事業名、細事業概要、細事業ステータス(例えば、「新規」、「拡充」、「縮小」、「休止」、「廃止」)、細事業の予算額等、細事業に係る種々の情報を含む。
【0049】
個別出費項目は、対応する細事業に係る行政活動に必要となる出費項目を示し、個別出費項目情報は、個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、関連する細事業の識別情報(細事業ID)、個別出費項目名、個別出費項目の予算額、個別出費項目グループラベル、個別出費項目概要、節細節(下位予算科目:予算科目体系項目)、性質(予算性質:地方財政状況調査項目)を含む。
積算項目は、個別出費項目に含まれた個別具体的な出費項目であり、積算項目情報は、積算項目の識別情報(積算項目ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、積算項目名称、各トピックにおける予算額、執行予定四半期、積算項目概要、積算根拠(数式等)を含む。
財源内訳は、個別出費項目の財源を示し、財源情報は、財源の識別情報(財源ID)、関連する個別出費項目の識別情報(個別出費項目ID)、財源名称、各トピックにおける歳入額、財源充当率、財源区分、款項目節細節(予算科目:予算科目体系項目)、担当部門(組織体系項目)、充当根拠、充当理由を含む。
本実施形態では、財源情報として、特定財源に係る財源内訳を登録することとし、1つの個別出費項目情報に対して、全ての予算額が一般財源から賄われる場合には財源情報が登録されず、特定財源、若しくは、特定財源及び一般財源から賄われる場合に、1つの財源情報が登録される。一般財源に係る財源内訳は、予算額と歳入額の差分、又は予算額と財源充当率から得られる。
【0050】
個別出費項目、若しくは個別出費項目及び積算項目に基づいて、事務事業に対する節細節を、予算編成段階から設定することができる。後述の執行処理では、この事務事業その予算科目体系項目及び/又は地方財政状況調査項目を指定して、予算執行を行うことができ、決算段階での予算と支出の突合が不要となる。歳出内訳目的及び予算性質は、それぞれ上位予算科目及び下位予算科目に対応する項目であるが、行政組織が国の場合にも、上位予算科目及び下位予算科目に対応する財政関連項目がマスタデータとして設定され、事業や個別出費項目に対応付けられてよい。
【0051】
本実施形態では、事務事業は4階層のツリー構造に細分化されており、事務事業の予算額は事務事業配下の細事業の予算額の総額、細事業の予算額は細事業配下の個別出費項目の予算額の総額、個別出費項目の予算額は個別出費項目配下の積算項目の予算額の総額によって与えられる。即ち、事務事業情報の登録に際して、行政データ管理部21は、積算項目の予算額について登録することで、個別出費項目、細事業、及び事務事業の予算額についても登録がされる。歳入額についても同様である。
【0052】
<3.4.行政データ管理部21>
行政データ管理部21は、種々の行政データに係る入力を利用者端末3より受け付けて、データベースDBへの行政データの登録等を行う。以下では、事務事業に関する行政データである事務事業情報の登録等について説明する。
【0053】
<3.5.イシュー管理部23>
イシュー管理部23は、事務事業又は細事業(行政オブジェクト)、担当者、及びトピックに対応付けられたイシューを登録する。イシューが登録されると、担当者に対してイシューが登録されたことが通知され、担当者はイシューの内容を確認して、事務事業情報の登録やその承認等の行政活動を行う。イシュー管理部23は、利用者からのイシューの作成要求やワークフローの開始要求に基づいてイシュー情報をデータベースDBに格納することで、イシューを登録する。
【0054】
イシュー情報は、イシューの識別情報(イシューID)、対応する行政オブジェクトの識別情報(事務事業ID)、イシューのタイトル及び内容、担当者、イシューの作成者、イシューステータス、期限、添付資料、作業項目、イシューグループの識別情報(イシューグループID)を有する。例えば、予算編成のワークフローを実行する際には、各原局原課の利用者に対して、「予算編成>要求」(当初予算要求の為の事務事業情報の登録)トピックのイシュー(イシューグループ)がアサインされ、官房部門の利用者や首長に対して、「予算編成>査定」、「予算編成>内示」トピック等のイシューがアサインされ、イシューグループが対象とする各事務事業について一連のイシューが完了することで、ワークフローが完了する。
【0055】
イシュー管理部23は、イシューステータスの設定を行う。イシューステータスは、例えば、「要作業」、「差戻」、「完了」等である。例えば、イシュー管理部23は、イシューの担当者からの完了操作によってイシューステータスを変更する。イシュー管理部23は、イシューに関する処理状態に基づいて、ワークフローの処理状態を決定する。イシューに関する処理状態とは、イシューのイシューステータス、イシューの担当者(ワークフローの段階)等である。
【0056】
イシュー管理部23は、例えば官房部門の利用者から、原局原課の利用者を担当者とし、事務事業情報の登録を目的とした「予算編成>要求」トピックのイシューの登録要求を受け付けてイシュー情報を登録する。これにより、「予算編成>要求」トピックのワークフローが開始される。イシューに係る通知を受けた担当者は、自身に発行されたイシューに係る情報を利用者端末3に表示させ、事務事業の登録画面を介して、事務事業情報を登録する。担当者は、利用者端末3に表示された事務事業の登録画面を介して事務事業情報に係る各データ項目を入力し、行政データ管理部21に送信する。
【0057】
<3.6.ワークフローの実行>
特定のトピックに関して、その中で更に段階的に実行される複数のイシューを登録し、一連のイシューが完了することで、ワークフローが完了する。複数の事務事業又は細事業(行政オブジェクトグループ)に対する行政活動を行う場合は、行政オブジェクトグループに属する行政オブジェクトの各々について、イシューの集合(イシューグループ)を定義し、それぞれの行政オブジェクトについて一連のイシューが完了することで、ワークフローが完了する。
【0058】
本実施形態では、ワークフローを開始する際に、段階的に実行される複数のイシューについて、各段階の担当者となる複数の利用者を指定し、イシューの登録を行う。ある担当者が自身の次の段階で担当者となる利用者を指定してイシューの登録を行うことで段階的にイシューが実行されてもよく、ワークフローの開始時に少なくとも最初と最後の担当者を含む、複数の利用者が指定されると共に、ワークフローの実行中にイシューの段階が挿入されてもよい。なお、利用者が自身を担当者としてイシューを登録可能であってもよい。
【0059】
なお、事務事業情報に係るデータ項目のうち、一部のデータ項目は、トピック、予算種別及び組織体系項目に応じて入力が制限される。例えば、「予算編成>要求」トピックにおいて、原局原課の担当者は、事務事業情報のうち、事業要求に係る情報(事務事業名や、要求額、財源情報の要求歳出額等)のデータ項目は入力可能に構成される一方で、事業要求に対する査定に係る査定情報(査定額や査定歳出額等)は入力ができない。査定を担当する官房部門の担当者は、査定情報については入力可能に構成される一方で、要求情報については入力ができない。
【0060】
<3.7.予算計上された事務事業情報の参照>
事務事業情報は、新規事務事業に係る事務事業情報を登録する場合と、これまでに予算計上或いは、中止等された事務事業に係る事務事業情報を登録する場合と、がある。より詳細には、(1)新規事務事業に係る当初予算要求の為の事務事業情報(当初新規)と、(2)前年に予算計上された事務事業に係る当初予算要求の為の事務事業情報(当初継続)と、(3)1又は複数年隔年で実施される事務事業に係る当初予算要求の為の事務事業情報(当初隔年)、(4)これらが予算計上された後に要求される補正予算に係る事務事業情報(補正)と、が含まれる。
【0061】
(1)事務事業情報(新規)を登録する場合、行政データ管理部21は、利用者端末3に表示された事務事業の登録画面を介して、新規事務事業に係るデータ項目についての入力を受け付け、事務事業情報(新規)を登録する。イシュー管理部23は、イシューの担当者より、事務事業情報(新規)登録の完了操作を受け付けて、承認段階の担当者に対して、イシューの実施要求を行う。
【0062】
(2)事務事業情報(当初継続)を登録する場合、行政データ管理部21は、ワークフローの開始時や「予算編成>要求」トピックよりも前のトピックにおいて、前年に予算計上された各事務事業に係る事務事業情報のデータ項目を複製して、事務事業情報(当初継続)を登録する。そして、前年度に予算計上された事務事業に係るデータ項目について入力・編集・削除を受け付け、事務事業情報(当初継続)を更新する。イシュー管理部23は、イシューの担当者より、事務事業情報(当初継続)登録の完了操作を受け付けて、承認段階の担当者に対して、イシューの実施要求を行う。
【0063】
(3)事務事業情報(当初隔年)を登録する場合、行政データ管理部21は、担当者から過年度の事務事業の指定を受け付け、指定された過年度の事務事業に係る事務事業情報のデータ項目を複製して、事務事業情報(当初隔年)を登録する。そして、指定された過年度の事務事業に係るデータ項目について入力・編集・削除を受け付け、事務事業情報(当初隔年)を更新する。イシュー管理部23は、イシューの担当者より、事務事業情報(当初継続)登録の完了操作を受け付けて、承認段階の担当者に対して、イシューの実施要求を行う。
【0064】
(4)事務事業情報(補正)を登録する場合、行政データ管理部21は、担当者から本年度の事務事業の指定を受け付け、指定された本年度の事務事業に係る事務事業情報のデータ項目を複製して、事務事業情報(補正)を登録する。そして、指定された本年度の事務事業に係るデータ項目について入力・編集・削除を受け付け、事務事業情報(補正)を更新する。イシュー管理部23は、イシューの担当者より、事務事業情報(補正)登録の完了操作を受け付けて、承認段階の担当者に対して、イシューの実施要求を行う。
が含まれる。
【0065】
図3は、これまでに予算計上された事務事業に係る事務事業情報から、新たな事務事業情報を登録する際の概念図である。行政データ管理部21は、ある年度に、内示された当初予算に係る事務事業情報に加えて、同年度に、同じ事務事業について内示された0、1又は複数の補正予算に係る事務事業情報を参照して、新たな事務事業情報を登録する。
【0066】
図3(a)は補正予算要求の為の事務事業情報(補正)を登録する場合の概念図である。2023年度の事務事業1に係る6月補正予算要求の為の事務事業情報(2023年度6月補正)を新規登録する場合、行政データ管理部21は、2023年度の事務事業1について計上された当初予算に係る事務事業情報(2023年度当初)を参照する。図示例に示すように、事務事業情報(2023年度当初)は、事務事業1に係る事務事業レイヤーの各種データ項目、細事業A、Bに係る細事業レイヤーの各種データ項目、及び個別出費項目A1、A2、B1に係る個別出費項目レイヤーの各種データ項目と共に、個別出費項目A1に含まれた積算項目A11及び財源内訳A12、個別出費項目A2に含まれた積算項目A21及び財源内訳A22、並びに個別出費項目B1に含まれた積算項目B11及び財源内訳B12を含む。事務事業1に係る事務事業情報(2023年度6月補正)を新規登録する場合、行政データ管理部21は、事務事業1に係る事務事業情報(2023年度当初)に含まれた事務事業レイヤーの各種データ項目、細事業A、Bに係る細事業レイヤーの各種データ項目、個別出費項目A1、A2、B1に係る個別出費項目レイヤーの各種データ項目を複製して、事務事業1に係る事務事業情報(2023年度6月補正)を新規登録すると共に、利用者による事務事業1に係る事務事業情報(2023年度6月補正)に対する登録等を受け付け、事務事業1に係る事務事業情報(2023年度6月補正)を更新する。図示例では、利用者は個別出費項目A1に積算項目A13及び財源内訳A14を追加し、新たに個別出費項目A3のデータ項目を登録すると共に、個別出費項目A3に含まれた積算項目A31及び財源内訳A32を追加し、補正予算要求を行わない個別出費項目A2、B1に係る個別出費項目レイヤーの各種データ項目を削除して、事務事業1に係る事務事業情報(2023年度6月補正)を更新する。
【0067】
図3(b)は事務事業情報(当初継続)を登録する場合の概念図である。本年度(2024年度)の事務事業1に係る事務事業情報(2024年度当初継続)を新規登録する場合、行政データ管理部21は前年度(2023年度)の事務事業1に係る事務事業情報(2023年度当初)と共に、事務事業1について計上されている6月補正予算に係る事務事業情報(2023年度6月補正)を参照する。事務事業1に係る事務事業情報(2024年度当初継続)を新規登録する場合、行政データ管理部21は、事務事業1に係る事務事業情報(2023年度6月補正)に含まれた事務事業レイヤーの各種データ項目、細事業Aに係る細事業レイヤーの各種データ項目、個別出費項目A1、A3に係る個別出費項目レイヤーの各種データ項目、個別出費項目A1、A3に含まれた積算項目A13、A31、財源内訳A14、A32、事務事業情報(2023年度当初)に含まれた細事業Bに係る細事業レイヤーの各種データ項目、個別出費項目A2、B1に係る個別出費項目レイヤーの各種データ項目、個別出費項目A1、A2、B1に含まれた積算項目A11、A21、B11、財源内訳A12、A22、B12を複製して、事務事業1に係る事務事業情報(2024年度当初継続)を新規登録すると共に、利用者による事務事業1に係る事務事業情報(2024年度当初継続)に対する登録等を受け付け、事務事業1に係る事務事業情報(2024年度当初継続)を更新する。
なお、事務事業情報(当初隔年)を新規登録する場合は、行政データ管理部21は指定された年度の事務事業1に係る事務事業情報と共に、事務事業1について計上されている補正予算に係る事務事業情報を参照する。
【0068】
<3.8.関連行政データによるデータ構造例>
図4は、事務事業情報の繋がりの一例を示す図である。本実施形態では、図4に示すような参照構造により、各年度の事務事業情報が対応付けされる。事務事業が継続する場合、共通の事務事業IDが使用することで、継続した人まとまりの事務事業をグループ化することができる。なお、事務事業IDと、執行年度を示す文字列を組み合わせることで、年度毎の事務事業を一意に区別できる。本実施形態のように、同執行年度に当初補正区分毎に複数の事務事業情報を登録する場合には、更に、当初補正区分を示す文字列を組み合わせることで年度毎の事務事業を一意に区別できる。
【0069】
事務事業が分割や統合される場合、事務事業情報同士が、関連行政データによって対応付けされる。例えば、図示するように、2022年度に実施した事務事業A、Bを統合して2023年度に事務事業Aとして予算要求する場合、本実施形態では、新たに事務事業情報(2023年度の事務事業B)を登録し、事務事業情報(2023年度の事務事業A)における関連行政データとして、事務事業情報(2023年度の事務事業B)の事務事業ID(02)及び執行年度(2023年度)を登録する。事務事業情報(2023年度の事務事業B)のステータスは「廃止」とする。
例えば、図示するように、2023年度に実施した事務事業Aを分割して2024年度に事務事業A、C、Dとして予算要求する場合、本実施形態では、事務事業情報(2024年度の事務事業A、C、D)を登録し、事務事業情報(2024年度の事務事業C、D)における関連行政データとして、事務事業情報(2024年度の事務事業A)の事務事業ID(01)及び執行年度(2024年度)を登録する。
【0070】
<3.9.事務事業情報の登録画面>
次いで、図5を用いて、事務事業情報に係るデータ項目の入力について説明する。
【0071】
図5は、事務事業情報の登録等を行う為の登録画面の画面表示例である。表示処理部は、利用者端末3からの登録画面の画面表示要求を受け付けて、登録画面を表示させる。登録画面W3には、事務事業に係る複数のデータ項目の入力欄が配置されると共に、事務事業情報に含まれる少なくとも一部のデータ項目一覧が表示されている。データ項目の入力欄は、事務事業レイヤーのデータ項目入力欄、細事業レイヤーのデータ項目入力欄、及び個別出費項目レイヤーのデータ項目入力欄を含む。図示例は、事務事業情報(新規)を登録する場合の画面表示例であるが、事務事業情報(当初継続)、事務事業情報(当初隔年)、事務事業情報(補正)等、過去に予算計上された事務事業に基づいて事務事業情報が登録される場合、指定された同年度のそれらの少なくとも一部データ項目が複製され、各入力欄にプリセットされた状態で編集、削除等可能に表示される。
また、事務事業の款項目(予算科目体系項目)が入力されると、それに基づいて、歳出内訳目的(地方財政状況調査項目)の一部又は全部が入力欄に自動挿入されたり、プルダウンメニュー等の択一選択式の入力欄において歳出内訳目的がフィルタして提示される。更に、個別出費項目の節細節(予算科目体系項目)が入力されると、それに基づいて、個別出費項目の性質(予算性質:地方財政状況調査項目)の一部又は全部が入力欄に自動挿入されたり、択一選択式の入力欄においてフィルタして提示される。
【0072】
データ項目一覧は、1又は複数の必須データ項目の他に、1又は複数の任意データ項目を含んでもよい。また、任意データ項目に加えて、又は代えて、1又は複数の追加データ項目を追加可能であってもよい。本実施形態では、任意データ項目又は追加データ項目がある利用者によって追加されると、その利用者が属する部門等の利用者グループに対してのみ閲覧が可能なデータ項目セット(属性別データ項目セット)に、データ項目が追加される。
【0073】
<4.1.事務事業情報の閲覧画面>
次いで、図6~9を用いて、事務事業情報に係るデータ項目の閲覧について説明する。
【0074】
権限マスタには、行政データ、及び行政データとして登録管理される種々のデータ項目に対する閲覧権限を示す閲覧権限情報が格納される。本実施形態では、個々の行政データに対して複数の利用者及び/又は利用者グループへの閲覧権限が設定され、閲覧権限情報として格納される。また、少なくとも、行政データ中の一部のデータ項目に対して、当該行政データの閲覧権限が付与された複数の利用者及び/又は利用者グループのうち、所定の属性を有した利用者に対する閲覧権限が付与されるものとする。
なお、イシューに対しても閲覧権限情報を設定して、閲覧権限を付与してもよい。また、本実施形態では、閲覧権限マスタに閲覧権限情報が格納されるものとして説明するが、個々の行政データやイシューが閲覧権限情報を含むデータ構造であってもよい。
【0075】
利用者の属性に応じて定義された行政データ表示の為のデータ項目セットを属性別データ項目セットと呼称する。本実施形態では、行政データ中の任意データ項目及び追加データ項目に対して、属性別データ項目セットが定義されるものとする。属性とは、例えば、利用者の所属部門(組織体系項目)や、その他、任意の利用者グループである。なお、表示処理部27は、利用者の属性に応じて定義されたデータ項目セットに加えて、又は代えて、ワークフローの段階等、行政活動の段階に応じて定義されたデータ項目セット(段階別データ項目セット)に基づいて、行政データの表示処理を行ってもよい。
【0076】
図6は、属性別データ項目セットに応じて表示されるデータ項目の一例を示す図である。属性Aの利用者が事務事業情報の表示処理を要求すると、利用者端末3には、全ての必須データ項目と、任意データ項目1、2と、追加データ項目A1、A2と、が表示される。一方で、属性Bの利用者が事務事業情報の表示処理を要求すると、利用者端末3には、全ての必須データ項目と、任意データ項目2、3と、追加データ項目B1、B2と、が表示される。また、属性Cの利用者が事務事業情報の表示処理を要求すると、利用者端末3には、全ての必須データ項目と、任意データ項目1と、が表示される。
【0077】
行政活動の段階に応じて定義された行政データの表示処理の為のデータ項目セットを段階別データ項目セットと呼称する。行政活動の段階とは、行政オブジェクトのトピックや事務事業ステータス、イシューステータス、ワークフローの段階等によって区分される。段階別データ項目セットは、これらの何れか1つ、又は複数の行政活動の段階の組み合わせに応じて定義されるデータ項目の集合である。データベースDBにおいて、段階別データ項目セットを定義する段階別データ項目セット情報が格納される。段階別データ項目セット情報は、データ項目セットに含まれる複数のデータ項目と、その段階を示す情報(トピックやワークフローの段階等)を含む。
【0078】
利用者が担当者に対して行政活動の段階に応じたデータ項目の登録を要求するイシュー、イシュー管理部23は、事務事業、担当者、及びトピックが対応付けられたイシュー情報を登録する。指定された担当者は、登録されたイシューを確認して、対応付けられた事務事業に係る登録画面の表示要求を行い、表示処理部27は、利用者端末3に登録画面を表示させる。
【0079】
例えば、予算要求(予算編成>要求)のワークフローにおいて、ワークフローにおける上位の承認者となる特別職の利用者(首長等)に対しては、原局原課や官房部門の利用者に対して表示する内容よりも、よりマクロに事務事業情報を表示させることができる。また、予算要求(予算編成>要求)トピックにおいて表示する事務事業情報と、査定(予算編成>査定)トピックや、内示(予算編成>内示)トピックにおいて表示する事務事業情報を異ならせることができる。
【0080】
図7は、登録された事務事業情報を閲覧する為の閲覧画面W7の画面表示例である。利用者が事務事業情報の表示処理を要求すると、表示処理部27は、属性別データ項目セットに基づいて指定された0、1、又は複数の任意データ項目、並びに、0、1、又は複数の追加データ項目を含む事務事業情報を表示処理し、利用者端末3に閲覧画面W7が表示される。利用者は、閲覧画面W7において、事務事業の表示軸指定を行うことで、表示軸に対応する事務事業レイヤーの情報、並びに、内訳項目に係る事務事業情報が表示処理される。表示軸は、例えば、執行年度、予算種別、及びトピック(要求、査定、内示)の組み合わせにより設定される。また、閲覧画面W7において、差分追加を押下することで、登録された事務事業情報を並べて閲覧する為の差分画面W8が表示される。
【0081】
<4.2.事務事業情報の差分画面>
図8は差分画面W8の画面表示例である。利用者が差分画面W8の表示処理を要求すると、表示処理部27は、利用者が閲覧画面W7で指定した所定の事務事業について、複数(図示例では2)の表示枠に画面分割を行って、それぞれの表示枠に事務事業情報を表示処理し、利用者端末3に閲覧画面W7が表示される。利用者は、それぞれの表示枠について事務事業の表示軸指定を行うことで、事務事業情報の表示軸を指定することができる。両表示枠に表示された事務事業情報は、少なくとも一部共通するデータ項目(必須データ項目等)を備える為、個々のデータ項目を並べて配置することができる。一部の表示軸でのみ値の登録がされたデータ項目(任意データ項目又は追加データ項目。図示例では、事務事業概要)については、値の登録がされていない表示軸においても、対応するデータ項目名及びマージンを表示させることで、表示軸間でデータ項目同士を整列させることができる。
【0082】
図示例の如く、同一のデータ項目間で表示軸毎に値が異なる同一差分データ項目(図8中、1点鎖線部分参照)については、表示処理部27は、1又は複数の表示枠におけるデータ項目を強調して表示処理する。また、対応するデータ項目間で表示軸毎に値が異なる対応差分データ項目(図8中、2点鎖線部分参照)についても、表示処理部27は、一方又は双方の表示枠におけるデータ項目を強調して表示処理する。対応差分データ項目は、例えば、要求額、査定額、内示額、歳入要求額、歳入査定額、歳入内示額等である。
【0083】
図示例では、同一差分データ項目は、比較元の表示枠において有彩薄墨に呈色される共に、更に、値が数値(金額)の同一差分データ項目に対しては、その増減に応じて文字色が変更されている。また、対応差分データ項目は、比較元及び比較先の表示枠において有彩薄墨に呈色される。比較元及び比較先の表示枠における対応差分データ項目が、区別可能に強調表示されるのが好ましく、図示例では、比較元の対応差分データ項目は、同一差分データ項目と同じ有彩薄墨に呈色され、比較先の対応差分データ項目は、比較元と異なる有彩薄墨に呈色される。
【0084】
図7,8では、閲覧画面W7、差分画面W8上の表示軸指定を操作することで表示軸を変更したが、表示軸指定に代えて、又は加えて、図9に示す表示軸指定画面W9を利用して、表示軸を変更可能であってもよい。表示軸指定画面W9は、タイムライン上で表示軸を指定する為の画面である。図示例は、差分表示時の比較元、比較先について表示軸を指定する場合について例示しているが、個別の表示軸の指定に際しても、同等の画面表示を行ってもよい。利用者は、表示軸指定画面W9をスクロールし、比較元並びに、1又は複数の比較先毎に、タイムライン上に並べられた執行年度、予算種別、及びトピックの組み合わせを選択して表示軸を指定する。表示軸指定画面W9は、例えば、差分画面W8(閲覧画面W7)と並べて配置されたり、差分画面W8(閲覧画面W7)から遷移可能に構成される。
【0085】
<5.1.執行処理>
行政データ管理部21は、節細節(下位予算科目)が紐付けられた内訳項目の指定、及び支出・収入情報に係る入力を利用者端末3より受け付けて、事務事業に係る内訳項目及び支出・収入情報を対応付けて登録する。
【0086】
支出・収入情報は、執行期間中に、予算執行の段階で随時登録される支出及び/又は収入に係る情報である。支出・収入情報は、支出又は収入の識別情報(支出・収入ID)、執行対象予算の内訳項目の識別番号、支出・収入項目名、支出・収入額、及び節細節(予算科目体系項目)等を含む。執行対象予算として、本実施形態では、支出・収入情報に個別出費項目が紐付けられるものとするが、積算項目を紐づけるようにしてもよい。
【0087】
<5.2.集計処理部26>
集計処理部26は、事務事業又は内訳項目の件数、及び/又は、事務事業に紐づいた予算情報、財源情報及び支出・収入情報の1又は複数を集計処理する。例えば、図示しない事務事業の検索画面において、所定の集計軸及び条件で検索された事務事業(細事業)の積算項目及び財源内訳を集計処理し、表示処理部27は集計処理結果を表示処理する。集計軸は、例えば、執行年度、予算種別、ステータス、及びトピックである。条件は、例えば、予算情報に対応付けられたマスタデータ化されたデータ項目(組織体系項目、政策・施策体系項目、予算科目体系項目、地方財政状況調査項目、及び、行政目標体系項目)、重点事業か否か(重点事業ラベル)、の1又は複数を含むことができる。これによって、事業横断的に、事務事業等の件数や予算額、歳入額、支出額を集計処理することができる。なお、条件は、その他、キーワードや金額、その他の数値等であってもよい。
【0088】
集計処理部26は、ツリー構造における上位のデータ項目について集計処理を行う場合、集計処理結果には、そのデータ項目配下のデータ項目が対応付けられた事務事業等の件数や、予算情報、財源情報が集計される。例えば、A政策(政策・施策体系項目)について集計処理した場合、A政策配下のA1~An施策配下の事務事業の件数や予算額、歳入額が集計処理される。例えば、B節(予算科目体系項目)について集計処理した場合、B節の個別出費項目の件数や予算額、財源内訳の歳入額が集計処理される。また、例えば、特定の条件に該当する事務事業グループについて、内示額、及び支出額を集計することができ、予算執行の状況を、予算執行の段階において随時ウォッチングすることもできる。
【0089】
<実施形態2>
次いで、実施形態2において、行政オブジェクトに関する種々の帳票を生成する場合について説明する。なお、実施形態1と同様の構成については説明を省略する。
【0090】
本実施形態では、行政データ管理部21は、行政評価の段階において、事業の予算編成と執行等の情報を取得して、行政評価を行う為の帳票である行政評価帳票を生成する。また、行政データ管理部21は、予算編成の段階において、事業の予算編成の情報を取得して、予算議案書を生成する。
【0091】
<6.1.データベースDB>
本実施形態に係るデータベースDBには、組織マスタ、利用者マスタ、政策・施策マスタ、科目マスタ、権限マスタ、事務事業情報(行政データ)が格納されると共に、帳票項目マスタが格納される。
【0092】
<6.2.帳票別の表示画面>
各種帳票の出力内容に応じて定義されたデータ項目セットを、帳票別データ項目セットと呼称する。帳票は、例えば、行政評価帳票や予算議案書等である。
【0093】
本実施形態では、帳票項目マスタにおいて、帳票別データ項目セットを定義する帳票別データ項目セット情報が格納される。帳票別データ項目セット情報は、帳票名と、データ項目セットに含まれる複数のデータ項目を含む。
【0094】
利用者が、利用者端末3を介して、帳票種別と、事務事業、若しくは、抽出軸及び/又は条件と、を指定すると、表示処理部27は、データベースDBに格納された事務事業情報、及び帳票別データ項目セットに基づいて、指定された種別の帳票を表示処理し、利用者端末3に帳票画面を表示させる。なお、データベースに格納された既知のデータ項目以外に、帳票を作成する為に必要となるデータ項目がある場合、担当者に対して不足するデータ項目の登録を要求するイシューを登録してもよい。当該イシューには、不足するデータ項目の入力フォームへのリンクや、不足するデータ項目のデータ項目名が含まれてもよく、指定された担当者は、登録されたイシューを確認して、対応付けられた事務事業に係る登録画面の表示要求を行い、表示処理部27は、利用者端末3に登録画面を表示させる。
【符号の説明】
【0095】
1 行政管理システム
2 行政管理装置
21 行政データ管理部
23 イシュー管理部
26 集計処理部
27 表示処理部
3 利用者端末
【要約】
【課題】行政組織において、行政活動を効率的に推進する技術を提供すること。
【解決手段】行政データの管理を行う行政管理システムであって、複数種類のデータ項目を有する行政データと、利用者の属性を用いて設定されたデータ項目の集合である属性別データ項目セット、及び/又は、行政活動の段階を用いて設定されたデータ項目の集合である段階別データ項目セットを記憶し、表示要求を行った利用者の属性に対応する前記属性別データ項目セット、及び/又は、表示要求を行った利用者の行政活動における段階に対応する段階別データ項目セットに基づいて、表示処理する前記データ項目を決定する。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9