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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】コンベアシステム
(51)【国際特許分類】
   B65G 13/06 20060101AFI20240702BHJP
   B65G 39/10 20060101ALI20240702BHJP
   B65G 43/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65G13/06
B65G39/10
B65G43/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2023571284
(86)(22)【出願日】2023-06-13
(86)【国際出願番号】 JP2023021941
【審査請求日】2023-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】592141020
【氏名又は名称】株式会社協和製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】山本 真也
(72)【発明者】
【氏名】三枝 勇介
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特許第5673686(JP,B2)
【文献】特表2021-528338(JP,A)
【文献】特開平07-232816(JP,A)
【文献】特表2009-509890(JP,A)
【文献】特開2002-012315(JP,A)
【文献】特開2005-231745(JP,A)
【文献】特開2000-153906(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 13/06
B65G 39/10
B65G 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンベア用モータ内蔵ローラと、切替装置とを備えるコンベアシステムであって、
前記コンベア用モータ内蔵ローラは、
通信部と、
ローラ管と、
互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、
前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、
前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じて前記モータを制御する制御部と、
前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された前記制御内容を、前記切替装置に出力する第1処理部とを備え、
前記切替装置は、
記憶部と、
前記コンベア用モータ内蔵ローラから前記制御内容が入力された場合に、前記制御内容を前記記憶部に記憶する第2処理部とを備え、
前記第1処理部は、さらに、通信異常の有無を判定し、前記通信異常と判定した場合に、前記通信異常を前記切替装置に出力し、
前記第2処理部は、さらに、前記コンベア用モータ内蔵ローラから前記通信異常が入力された場合に、前記制御部に、前記記憶した制御内容に応じて前記モータを制御させる、
コンベアシステム。
【請求項2】
前記コンベア用モータ内蔵ローラは、前記切替装置を内蔵する、
請求項1に記載のコンベアシステム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のコンベアシステムであって、
一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路として対象物を移動するローラコンベア装置のコンベア装置をさらに備え、
前記複数のローラは、前記コンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む、
コンベアシステム。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載のコンベアシステムであって、
一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置のコンベア装置をさらに備え、
前記複数のローラは、前記コンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む、
コンベアシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラと制御源を切り替える切替装置とを備えるコンベアシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンベア装置は、例えば生産現場や流通現場等で、対象物を移動するために、多用されている。このコンベア装置には、大別すると、ローラコンベア装置と、ベルトコンベア装置とがある。前記ローラコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路(搬送路)として対象物(搬送物)を移動(搬送)する装置である。前記ベルトコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動する装置である。これらローラコンベア装置およびベルトコンベア装置における前記複数のローラには、モータを内蔵し、前記モータで生成される駆動力によって回転するモータ内蔵ローラ(駆動ローラ)と、前記モータ内蔵ローラの回転に従って例えば懸架されたベルトや移動する対象物等を介して回転するローラ(従動ローラ、フリーローラ)とがある。このモータ内蔵ローラのモータは、前記モータ内蔵ローラの外部、例えばコンベア枠(コンベアフレーム)に取り付けられたモータ駆動装置(モータ制御装置)によって駆動される(例えば特許文献1および特許文献2参照)。また、前記モータ駆動装置を、モータ内蔵ローラ内に組み込むことにより、コンベア装置が簡素化できる。
【0003】
一方、近年、IoT(Internet of Things)により、様々なモノが通信ネットワークに接続されようになってきている。このモノを通信ネットワークに接続する方法の1つに、IO-Linkが知られている。このIO-Linkは、デバイスとの通信のためにIEC61131-9で標準化されたI/O接続技術であり、前記デバイスにIO-Link規格に従う通信インターフェースを持たせ、上位システムとの間で通信信号を双方向で実施できるようにした技術である。このIO-Link規格に従う通信インターフェースを持つデバイスは、IO-Linkデバイスと呼ばれ、このIO-Linkデバイスは、ハブ機能を備え、通信ネットワークに接続されるIO-Linkマスターに接続され、IO-Linkマスターおよび通信ネットワークを介して上位システムと通信する。
【0004】
ところで、前記モータ駆動装置をIO-Linkデバイスとすることで、前記モータ駆動装置をIO-Linkマスターおよび通信ネットワークを介して上位システムで集中制御することが考えられる。この場合、前記通信ネットワークに通信異常(通信障害)が生じると、前記コンベア装置が停止あるいは無制御の状態で稼働してしまう虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-068501号公報
【文献】特開2018-177441号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、通信異常が生じた場合でも、所定の制御態様でコンベア装置を稼働できるコンベアシステムを提供することである。
【0007】
本発明にかかるコンベアシステムは、コンベア用モータ内蔵ローラと切替装置とを備える。前記コンベア用モータ内蔵ローラは、通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じてモータを制御する制御部をローラ管の内部に備え、前記通信部で受信した制御信号に収容された前記制御内容を、前記切替装置に出力し、前記切替装置は、この制御内容を記憶する。そして、前記コンベア用モータ内蔵ローラは、通信異常を判定すると、前記通信異常を前記切替装置に出力し、前記切替装置は、前記信号異常が入力された場合に、前記制御部に、前記記憶した制御内容に応じて前記モータを制御させる。このようなコンベアシステムは、通信異常が生じた場合でも、所定の制御態様でコンベア装置を稼働できる。
【0008】
上記並びにその他の本発明の目的、特徴及び利点は、以下の詳細な記載と添付図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態におけるコンベア装置の平面図である。
図2】前記コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラの構成を説明するための一部断面図である。
図3】前記コンベア用モータ内蔵ローラの通信制御処理部および切替装置の構成を説明するためのブロック図である。
図4】一例として、前記通信制御処理部の回路構成を示す回路図である。
図5図4に示す回路図のLevel Shifter54、55を説明するための図である。
図6】前記通信制御処理部の動作を示すフローチャートである。
図7】ハブ(IO-Linkマスター)MS/コンベア管理装置SV、前記通信制御処理部4および切替装置CDの各動作を示す第1シーケンス図である。
図8】ハブ(IO-Linkマスター)MS/コンベア管理装置SV、前記通信制御処理部4および切替装置CDの各動作を示す第2シーケンス図である。
図9】第1変形形態におけるコンベア装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明の1または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0011】
実施形態におけるコンベアシステムは、コンベア用モータ内蔵ローラと、切替装置とを備える。本実施形態では、このコンベアシステムは、ローラコンベア装置のコンベア装置をさらに備える。前記コンベア用モータ内蔵ローラは、通信部と、ローラ管と、互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じて前記モータを制御する制御部と、前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された前記制御内容を、前記切替装置に出力する第1処理部とを備える。前記切替装置は、記憶部と、前記コンベア用モータ内蔵ローラから前記制御内容が入力された場合に、前記制御内容を前記記憶部に記憶する第2処理部とを備える。前記第1処理部は、さらに、通信異常の有無を判定し、前記通信異常と判定した場合(前記通信異常有りと判定した場合)に、前記通信異常を前記切替装置に出力する。前記第2処理部は、さらに、前記コンベア用モータ内蔵ローラから前記通信異常が入力された場合に、前記制御部に、前記記憶した制御内容に応じて前記モータを制御させる。前記ローラコンベア装置のコンベア装置は、一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路として対象物を移動する。前記複数のローラは、前記コンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む。以下、これらコンベア用モータ内蔵ローラ、切替装置およびコンベア装置について、より具体的に説明することによって、コンベアシステムについて、より具体的に説明する。
【0012】
図1は、実施形態におけるコンベア装置の平面図である。図2は、前記コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラの構成を説明するための一部断面図である。図3は、前記コンベア用モータ内蔵ローラの通信制御処理部および切替装置の構成を説明するためのブロック図である。なお、図3には、後述の第2変形形態の構成が破線で示されている。図4は、一例として、前記通信制御処理部の回路構成を示す回路図である。図5は、図4に示す回路図のLevel Shifter54、55を説明するための図である。図5Aは、Level Shifter54を説明するための図であり、その横軸は、入力電圧であり、その縦軸は、設定回転方向(目標回転方向(正転CW、逆転CCW))に対応する出力電圧である。図5Bは、Level Shifter55を説明するための図であり、その横軸は、入力電圧であり、その縦軸は、設定速度(目標速度)[min-1](設定回転速度(目標回転速度)[rpm])に対応する出力電圧である。
【0013】
実施形態におけるコンベア装置CSは、例えば、図1に示すように、一方向に沿って並置される複数のローラMR、FRを備え、前記複数のローラMR、FRの上を移動路(搬送路)として対象物(搬送物)Obを移動するローラコンベア装置CSである。図1では、対象物Obは、2点鎖線で示されている。
【0014】
より具体的には、ローラコンベア装置CSは、1対の第1および第2コンベア枠(コンベアフレーム)CFa、CFbと、1または複数のコンベア用モータ内蔵ローラMRと、1または複数の従動ローラFRと、1または複数のベルトBTとを備える。
【0015】
第1および第2コンベア枠CFa、CFbは、コンベア用モータ内蔵ローラ(モータローラ、以下、「C-M内蔵ローラ」と適宜略記する)MRおよび従動ローラ(フリーローラ)FRを回転可能に支持する一方向に長尺な部材であり、前記一方向に直交する方向で所定の間隔(第1間隔)を空けて互いに対向し、かつ、前記一方向で平行となるように配置される。前記第1間隔は、このローラコンベア装置CSで搬送される搬送物Obのサイズに応じた適宜な間隔であり、前記第1間隔に応じてC-M内蔵ローラMRおよび従動ローラFRそれぞれの長さが設定される。第1および第2コンベア枠CFa、CFbは、例えば、強度を高めるために、断面略コ字形状(E字における中央の“-”を除去した形状)であり、例えばSPC(Steel Plate Cold(冷間圧延鋼板))等の鉄系の金属(合金を含む)で形成される。第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれには、前記一方向に沿って、所定の間隔(第2間隔)を空けて、後述の、C-M内蔵ローラMRの第1および第2支持軸2a、2bや従動ローラFRの第1および第2支持軸AXa、AXbを挿通するための複数の貫通開口(不図示)が形成されている。C-M内蔵ローラMRにおける第1および第2支持軸2a、2bそれぞれは、第1および第2コンベア枠CFa、CFにおける各貫通開口に挿通され、各固定金具(不図示)によって第1および第2コンベア枠CFa、CFそれぞれに固定される。従動ローラFRにおける第1および第2支持軸AXa、AXbそれぞれは、例えば、第1および第2コンベア枠CFa、CFbにおける各貫通開口に挿通され、第1および第2支持軸AXa、AXbに形成された各ねじ溝に各ナット(不図示)を螺合することによって第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれに固定される。
【0016】
複数のC-M内蔵ローラMRは、一方向に沿って並置された2個の従動ローラFRを介して、前記一方向に沿って並置される。すなわち、複数のC-M内蔵ローラMRは、所定数、図1に示す例では3個おきに前記一方向に沿って並置され、互いに隣接する2個のC-M内蔵ローラMRの間に、2個の従動ローラFRが前記一方向に沿って並置される。したがって、これら複数のC-M内蔵ローラMRおよび複数の従動ローラFRは、前記一方向に直交する方向で互いに平行となっている。これら複数のC-M内蔵ローラMRおよび複数の従動ローラFRにおいて、1個のC-M内蔵ローラMRは、これを挟んで前記一方向で隣接する2個の従動ローラFRそれぞれと一方端部に巻き掛けられたベルトBTによって連結され、前記1個のC-M内蔵ローラMRが回転すると、前記ベルトBTによって前記1個のC-M内蔵ローラMRの回転が前記2個の従動ローラFRそれぞれに伝達され、前記2個の従動ローラFRそれぞれは、回転する。これによって複数のC-M内蔵ローラMRおよび複数の従動ローラFRの上に載置された対象物(搬送物)Obが移動可能(搬送可能)となっている。
【0017】
このようなローラコンベア装置CSに用いられるコンベア用モータ内蔵ローラMRは、例えば、図2に示すように構成されている。より具体的には、C-M内蔵ローラMRは、例えば機械構造用炭素鋼等の鉄系の金属(合金を含む)等で形成された所定長(第1長さ)の円筒状のローラ管1を備える。ローラ管1の一方端部には、この一方端部を閉塞するための部材である第1キャップ部材7aが固定的に取り付けられ、その他方端部には、この他方端部を閉塞するための部材である第2キャップ部材7bが固定的に取り付けられる。第1キャップ部材7a内には、第1軸受(不図示)が設けられ、前記第1軸受は、例えば機械構造用炭素鋼(例えばS45C)等の鉄系の金属(合金を含む)等で形成された円筒状の連結部材9を介して、第1支持軸2aを回転可能に軸支する。連結部材9は、第1支持軸2aを挿通して第1支持軸2aに固定的に取り付けられる。第1キャップ部材7aには、ローラ管1の中心軸に沿って貫通し、連結部材9を介して第1支持軸2aを挿通する貫通開口が設けられる。同様に、第2キャップ部材7b内には、第2軸受(不図示)が設けられ、前記第2軸受は、第2支持軸2bを回転可能に軸支する。第2キャップ部材9bには、前記中心軸に沿って貫通し、第2支持軸2bを挿通する貫通開口が設けられる。第1支持軸2aは、例えば鉄系の金属(合金を含む)で形成され、後述の通信制御処理部4に接続されるケーブルCBを挿通するために中空な柱状部材である。第2支持軸2bは、円柱状の部材である。
【0018】
このような構成によって、ローラ管1は、第1および第2コンベア枠CFa、CFbそれぞれから立設する第1および第2支持軸2a、2bによって回転可能に軸支されている。
【0019】
C-M内蔵ローラMRは、ローラ管1にモータ3を内蔵する。より具体的には、ローラ管1より小径であり、例えばアルミニウム等の金属(合金を含む)等で形成された所定長(第2長さ)の円筒状の内部フレーム8内に、モータ3は、収容され、内部フレーム8は、ローラ管1が当該内部フレーム8に対し回転可能となるように、ローラ管1の内周面から隙間を空けてローラ管1内に収容される。
【0020】
内部フレーム8における他方側の他方部分には、遊星歯車等で構成された減速機5が内部フレーム8内に固定的に収容され、減速機5の出力軸には、円柱状の中間プレート6が固定的に連結され、中間プレート6は、その外周面がローラ管1の内周面に固定的に連結される。減速機5の一方側には、内部フレーム8内に固定的に収容されたモータ3が配設され、モータ3の出力軸は、減速機5の入力部に連結される。このような構成によってモータ3の出力軸が回転すると、減速機5を介して中間プレート6が回転し、この中間プレート6の回転に伴ってローラ管1が回転する。このようにモータ3は、内部フレーム8を介してローラ管1の内部に配設され、ローラ管1を回転させる駆動力を生成する。モータ3は、適宜なタイプのモータであってよいが、図2に示す例では、ラジアルギャップのインナーロータ型のモータであり、そのロータには、複数の永久磁石を備え、そのステータには、複数のコイルを備え、複数のコイルそれぞれに通電することによって生じる回転磁界と前記複数の永久磁石の各磁界との相互作用により前記ロータが回転し、前記出力軸が回転する。
【0021】
内部フレーム8の一方端部には、この一方端部を閉塞する連結部材9が固定的に取り付けられる。これによって、内部フレーム8は、連結部材9を介して第1支持軸2aに固定される。
【0022】
モータ3と連結部材9との間には、通信制御処理部4が配設される。通信制御処理部4は、外部の装置と通信し、切替装置CDとの間でデータを入出力し、モータ3を制御して駆動するための回路である。より具体的には、通信制御処理部4は、例えば図3に示すように、ケーブルCBによってハブ(Hub)MSおよび切替装置CDそれぞれに接続され、制御部40と、第1処理部461と、通信部50とを備える。本実施形態では、前記外部の装置は、C-M内蔵ローラMRを集中管理するコンベア管理装置(上位装置)SVである。コンベア管理装置SVは、例えば通信機能を備えたコンピュータによって構成され、例えばC-M内蔵ローラMRのモータ3に対する制御内容を収容した制御信号を送信する。コンベア装置CSには、通常、比較的多数のC-M内蔵ローラMRが配設されるので、コンベア管理装置SVで集中的に管理することで、これらC-M内蔵ローラMRを効率的に管理することができる。ハブMSは、例えばLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークNWを介してコンベア管理装置SVに接続される。
【0023】
通信部50は、外部の装置と通信するものである。本実施形態では、C-M内蔵ローラMRは、通信部50によって、ケーブルCB、ハブMSおよび通信ネットワークNWを介して、コンベア管理装置SVに通信可能に接続され、コンベア管理装置SVと通信する。通信部50は、双方向通信およびデータ入出力のうちの一方を択一的に実行するインターフェースであり、通信部50は、コンベア管理装置SVと1対1で双方向通信を行い、切替装置CDとデータ入出力を行う。このような通信部50は、例えば、IO-Link規格に従うインターフェースである。この場合では、ハブMSは、いわゆるIO-Linkマスターを備えて構成される。
【0024】
制御部40は、通信部50で受信した制御信号に収容された制御内容に応じて前記モータ3を制御するものである。制御部40は、例えば、モータ3を起動、増速、定速、減速、停止、正転CWおよび逆転CCW等するように、制御内容に応じて制御する。このため、前記制御内容として、前記制御信号には、設定速度(目標速度)[min-1](設定回転速度(目標回転速度)[rpm])(設定速度0[min-1]を含む)および設定回転方向(目標回転方向)が収容される。
【0025】
第1処理部461は、通信部50で受信した制御信号に収容された前記制御内容を、切替装置CDに出力するものである。
【0026】
このような通信制御処理部4の具体的な回路については、後述する。
【0027】
切替装置CDは、通信部50の通信状態に応じて制御源(制御元)を切り替える装置であり、通信部50で通信信号を送受信できる通信正常の場合にはコンベア管理装置SVの制御信号に収容された制御内容で制御部40がモータ3を制御するように、制御源をコンベア管理装置SVに切り替え、例えば通信ネットワークNWの通信異常(通信障害)等により通信部50で通信信号を送受信できない通信異常の場合には当該切替装置CDに記憶された制御内容で制御部40がモータ3を制御するように、制御源を当該切替装置CDに切り替える。切替装置CDは、例えば、図3に示すように、第2処理部61と、記憶部62とを備え、例えばワンチップコンピュータ等を備えて構成される。記憶部62は、制御内容等のデータを記憶するものである。第2処理部61は、C-M内蔵ローラMRから制御内容が入力された場合に、前記制御内容を前記記憶部62に記憶するものである。
【0028】
そして、本実施形態では、通信制御処理部4における第1処理部461は、さらに、通信異常の有無を判定し、前記通信異常を判定した場合に、前記通信異常を切替装置CDに出力する。切替装置CDは、さらに、C-M内蔵ローラMRから通信異常が入力された場合に、前記制御部40に、記憶部62に記憶した制御内容に応じてモータを制御させる。
【0029】
通信制御処理部4の具体的な回路について説明する。通信制御処理部4は、例えば、図4に示すように、コンデンサ51、IO-Link Trans’IC(以下、「Trans’IC」と適宜略記する)52と、Comm’MCU53と、Level Shifter(以下、「Shifter」と適宜略記する)54、55と、インバータ(Inverter)41と、電流センサ(Current Sensor)42と、ホールセンサ(Hall Sensor)43と、電圧センサ(Voltage Sensor)44と、温度センサ(Thermal Sensor)45と、Motor Control MCU(以下、「MC-MCU」と適宜略記する)46と、5個の第1ないし第5ピン(Pin、端子)PN1~PN5を備えるコネクタCNとを備え、コネクタCNによってケーブルCBに接続される。
【0030】
第1ピンPN1は、電力端子であり、電源ラインLN1に接続され、第3ピンPN3は、接地端子であり、接地ラインLN2に接続され、第1および第3ピンPN1、PN3には、モータ3を駆動するための電力が供給される。第1および第3ピンPN1、PN3は、ケーブルCBにおける2本の電源線に接続される。本実施形態では、24[V]、3[A]の直流電力が供給される。電源ラインLN1と接地ラインLN2との間には、平滑用のコンデンサ51が接続される。電源ラインLN1および接地ラインLN2それぞれは、MC-MCU46およびインバータ41それぞれに接続され、これらそれぞれに直流電力が供給される。Trans’IC52は、第5ピンPN5および接地ラインLN2それぞれに接続され、第5ピンPN5から例えば24[V]で直流電力が供給される。Comm’MCU53には、Trans’IC52から例えば5[V]で直流電力が供給される。
【0031】
MC-MCU46は、例えば品番NM18101YのICチップで構成され、Trans’IC52、Comm’MCU53、Shifter54、55、インバータ41、電流センサ42、ホールセンサ43、電圧センサ44および温度センサ45それぞれと接続される。電流センサ42は、モータ3に供給される電力の電流を測定し、測定結果の電流値をMC-MCU46に出力する。ホールセンサ43は、モータ3のロータ位置を測定するために、磁力(磁束密度)を測定し、測定結果の磁力をMC-MCU46に出力する。ホールセンサ43は、例えば、モータ3におけるロータの外周に周方向に沿って120度の間隔で配置された3個の図略のホールセンサ43-1~43-3を備え、MC-MCU46は、これら出力された各測定結果の各磁力H1~H3に基づき60度ごとにロータ位置を求める。電圧センサ44は、モータ3に供給される電力の電圧を測定し、測定結果の電圧値をMC-MCU46に出力する。温度センサ45は、モータ3の温度(モータ3の周囲環境の温度)を測定し、測定結果の温度をMC-MCU46に出力する。MC-MCU46は、Comm’MCU53からの制御内容(設定速度(目標速度)および設定回転方向(目標回転方向))、または、Shifter54m、55からの制御内容(設定速度(目標速度)および設定回転方向(目標回転方向))となるように、電流センサ42で測定した電流値、電圧センサ44で測定した電圧値、および、ホールセンサ43の測定結果に基づき求めたロータ位置、に基づいてインバータ41を制御することによって、モータ3を制御する。インバータ41は、給電された直流電力を、MC-MCU46の制御に応じたU相、V相およびW相の三相交流電力に変換し、この変換した三相交流電力をモータ3に出力する。これによってモータ3は、前記制御内容に応じた動作を行う。MC-MCU46は、温度センサ45で測定した測定結果の温度が、予め設定された閾値(温度判定閾値)を超えた場合には、モータ3を停止するように、モータ3を、インバータ41を介して制御する。これによってC-M内蔵ローラMRにおける加熱の進行を防止できる。
【0032】
第4ピンPN4は、信号端子であり、Trans’IC52およびMC-MCU46それぞれに接続される。MC-MCU46は、通信異常の有無を判定する。通信正常の場合には、第4ピンPN4には、通信信号が入出力され、前記通信信号がTrans’IC52に入出力され、そして、MC-MCU46によって制御内容が出力され、切替装置CDに前記制御内容が出力される。通信異常の場合には、第4ピンPN4には、MC-MCU46によって、前記通信異常を表す信号(異常通知信号)が出力され、切替装置CDに前記異常通知信号が出力される。通信復旧の場合(通信異常が判定された後に通信正常が判定された場合)には、第4ピンPN4には、MC-MCU46によって、前記通信復旧を表す信号(復旧通知信号)が出力され、切替装置CDに前記復旧通知信号が出力される。MC-MCU46が直接的に通信異常の有無を判定してもよいが、IO-Linkを用いる本実施形態では、一次的にはIO-LinkマスターのハブMSが通信ネットワークNWの通信異常の有無を検出し、その結果をTrans’IC52に通知し、Trans’IC52がComm’MCU53を介してMC-MCU46に通知し、MC-MCU46は、この通知により、通信異常の有無を判定する。IO-LinkマスターのハブMSは、通信信号を送信し、受信応答が無いと、リトライし、リトライに2回、失敗すると通信異常と判定する。一方、IO-LinkマスターのハブMSは、所定時間の経過後、通信信号を送信し、受信応答があって通信に成功すると、通信復旧と判定し、その結果をTrans’IC52に通知し、Trans’IC52がComm’MCU53を介してMC-MCU46に通知し、MC-MCU46は、この通知により、通信復旧と判定する。
【0033】
MC-MCU46は、Trans’IC52およびComm’MCU53それぞれにイネーブル信号を出力し、Trans’IC52およびComm’MCU53それぞれを有効化または無効化する。
【0034】
Trans’IC52は、例えば品番MAX22515のICチップで構成され、第4ピンPN4およびComm’MCU53それぞれに接続される。Trans’IC52は、IO-Link規格に従って通信信号を送受信するものであり、通信信号に収容された通信内容(例えば制御内容、通信異常および通信正常等)がComm’MCU53を介してMC-MCU46に出力される。
【0035】
Comm’MCU53は、例えば品番M251FC2AEのICチップで構成され、Trans’IC52およびMC-MCU46それぞれに接続される。Trans’IC52で入出力されるUART(Universal Asynchronous Receiver/Trasmitter)フレームのプロトコルとMC-MCU46で入出力されるUARTフレームのプロトコルとが異なるため、Comm’MCU53は、Trans’IC52とMC-MCU46との間でUARTフレームのプロトコルを相互に変換するものであり、Comm’MCU53は、Trans’IC52とMC-MCU46との間でデータの入出力を可能とする。
【0036】
第2ピンPN2は、信号端子であり、Shifter54の入力に接続され、Sifter54の出力は、MC-MCU46に接続される。第2ピンPN2には、切替装置CDから、設定回転方向を表す信号(設定回転方向信号)が入力される。前記設定回転方向信号は、前記設定回転方向に対応する電圧値の電圧である。本実施形態では、例えば、図5Aに示すように、前記設定回転方向が正転CWである場合には、前記設定回転方向信号は、6.5[V]以上の電圧であり、Shifter54は、6.5[V]以上(6.5~24[V])の電圧が入力されると、前記設定回転方向が正転CWであることを表すハイレベル(Hiレベル)の電圧を出力し、このハイレベルの電圧がMC-MCU46に入力される。これにより、MC-MCU46は、前記制御内容の前記設定回転方向が正転CWであることを認識する。一方、前記設定回転方向が逆転CCWである場合には、前記設定回転方向信号は、4.5[V]以下の電圧であり、Shifter54は、4.5[V]以下(0~4.5[V])の電圧が入力されると、前記設定回転方向が逆転CCWであることを表すローレベル(Lowレベル)の電圧を出力し、このローレベルの電圧がMC-MCU46に入力される。これにより、MC-MCU46は、前記制御内容の前記設定回転方向が逆転CCWであることを認識する。
【0037】
第2ピンPN2は、IO-Link規格に従いTrans’IC52にも接続される。
【0038】
第5ピンPN5は、信号端子であり、Shifter55の入力に接続され、Sifter55の出力は、MC-MCU46に接続される。第5ピンPN5には、切替装置CDから、制御源を表す信号(制御源信号)および設定速度を表す信号(設定速度信号)のいずれか一方が択一的に入力される。前記制御源信号は、制御源がコンベア管理装置SVであること(すなわち、通信正常の場合の制御源)に対応する電圧値の電圧である。本実施形態では、例えば、図5Bに示すように、18[V]以上(18~24[V])の電圧であり、Shifter55は、18[V]以上の電圧が入力されると、出力しない。切替装置CDは、稼働時にはデフォルトで18[V]以上(18~24[V])の電圧を第5ピンPN5に出力する。前記設定速度信号は、前記設定速度に対応する電圧値の電圧である。本実施形態では、例えば、図5Bに示すように、2~10[V]の電圧範囲で設定速度に対応した電圧値が予め規定されており、Shifter55は、前記設定速度に対応した電圧値の電圧が入力されると、0~最大速度[m/min-1]の速度範囲で回転速度に対応した電圧値が予め規定されており、前記設定速度の回転速度に対応した電圧値の電圧を出力する。さらに、10~13[V]は、設定速度が最大速度であると予め規定されており、Shifter55は、10~13[V]の電圧が入力されると、最大速度に対応した電圧値の電圧を出力する。このような前記設定速度の回転速度に対応した電圧値の電圧がMC-MCU46に入力される。これにより、MC-MCU46は、前記制御内容の前記設定速度を認識する。なお、制御源が切替装置CDであることは、通信制御処理部4に明示的に示されないが、2~13[V]の電圧範囲で設定速度に対応した電圧値が第5ピンPN5に入力されることで、黙示的に通信制御処理部4に示される。
【0039】
第5ピンPN2は、Trans’IC52にも接続され、通信正常の場合に、18[V]以上の電圧、好ましくは24[V]で直流電力が供給される。
【0040】
第4、第2および第5ピンPN4、PN2、PN5は、ケーブルCBにおける3本の信号線に接続される。
【0041】
このような回路の通信制御処理部4では、Trans’IC52、Comm’MCU53およびShifter54、55は、通信部50の一例に相当する。インバータ41、電流センサ42、ホールセンサと、電圧センサ44、温度センサ45およびMC-MCU46は、制御部40の一例に相当する。MC-MCU46は、第1処理部461の一例に相当し、第1処理部461は、プログラムの実行により、MC-MCU46に機能的に構成される。
【0042】
なお、通信制御処理部4で生じる熱を放熱するために、ヒートシンク(不図示)が設けられてよく、さらに、通信制御処理部4、前記ヒートシンクおよび連結部材9がこの順で連接的に配設されてもよい。これによって、通信制御処理部4で生じた熱は、通信制御処理部4から、前記ヒートシンク、連結部材9、第1支持軸2aおよび第1コンベア枠CFaにこの順で順次に熱伝導し、第1コンベア枠CFaで放熱される。
【0043】
次に、本実施形態の動作について説明する。図6は、前記通信制御処理部の動作を示すフローチャートである。図7は、ハブ(IO-Linkマスター)MS/コンベア管理装置SV、前記通信制御処理部4および切替装置CDの各動作を示す第1シーケンス図である。図8は、ハブ(IO-Linkマスター)MS/コンベア管理装置SV、前記通信制御処理部4および切替装置CDの各動作を示す第2シーケンス図である。
【0044】
このような構成のコンベアシステムでは、稼働を始めると、切替装置CDは、デフォルトで18[V]以上(18~24[V])の電圧を第5ピンPN5に出力する。図6ないし図8において、通信制御処理部4は、第5ピンPN5の電圧値を参照することによって通信が正常であるか否かを判定する(S1、C1)。この判定の結果、通信正常の場合(Yes)には、通信制御処理部4は、制御内容をコンベア管理装置SVに問い合わせる通信信号(制御問合せ通信信号)を送信する(S2、C1)。一方、前記判定の結果、非通信正常の場合(通信異常の場合)(No)には、通信制御処理部4は、次に、処理S7(C21)を実行する。
【0045】
前記制御問合せ通信信号は、IO-LinkマスターMSおよび通信ネットワークNWを介してコンベア管理装置SVに送信され、コンベア管理装置SVは、前記制御問合せ通信信号を受信する(C3)。コンベア管理装置SVは、送信元のC-M内蔵ローラMRに対応した制御内容を収容した通信信号(制御返信通信信号)を、送信元のC-M内蔵ローラMRにおける通信制御処理部4に送信する(C4)。
【0046】
前記制御返信通信信号は、通信ネットワークNWおよびIO-LinkマスターMSを介して、通信制御処理部4に送信され、通信制御処理部4は、前記制御返信通信信号を受信する(S3、C5)。
【0047】
通信制御処理部4は、前記制御返信通信信号を受信すると、この受信した制御返信通信信号に収容された制御内容でモータ3を制御し(S4、C6)、前記受信した制御返信通信信号に収容された制御内容を切替装置CDに出力(通知)し(S5、C7)、第5ピンPN5の電圧値を参照することによって通信が正常であるか否かを判定する(S6、C8)。この判定の結果、通信正常の場合(Yes)には、通信制御処理部4は、処理を処理S2(C2)に戻す(C9)。これによって処理S2ないし処理S6の各処理が繰り返され、通信正常の場合には、通信制御処理部4は、IO-LinkマスターMSおよび通信ネットワークNWを介したコンベア管理装置SVとの通信でモータ3を制御する。一方、前記判定の結果、非通信正常の場合(通信異常の場合)(No)には、通信制御処理部4は、次に、処理S7(C21)を実行する。モータ3の制御中に、IO-LinkマスターのハブMSから通信異常が受信されている場合には、通信制御処理部4は、前記非通信正常(通信異常)と判定する。
【0048】
一方、前記処理S5(C7)で切替装置CDに出力した、前記受信した制御返信通信信号に収容された制御内容は、切替装置CDに入力され、切替装置CDは、制御内容の入力を受け付け(C10)、第2処理部61によって、この入力された制御内容を記憶部62に記憶する(C11)。
【0049】
前記処理S7(C21)では、通信制御処理部4は、通信異常を表す前記異常通知信号を切替装置CDに出力する。
【0050】
前記異常通知信号は、切替装置CDに入力され、切替装置CDは、異常通知信号の入力を受け付け(C22)、第2処理部61によって、記憶部62に記憶した制御内容を通信制御処理部4に出力する(C23)。より具体的には、本実施形態では、切替装置CDは、記憶部62に記憶した制御内容の設定回転方向に対応した電圧値の電圧を第2ピンPN2に出力し、記憶部62に記憶した制御内容の設定速度に対応した電圧値の電圧を第5ピンPN5に出力する。
【0051】
前記制御内容の出力は、通信制御処理部4に入力され、通信制御処理部4は、この入力された制御内容でモータ3を制御する(S8、C24)。より具体的には、本実施形態では、第2ピンPN2に入力された、設定回転方向に対応した電圧値の電圧が4.5[V]以下である場合には、Shifter54は、設定回転方向が逆転CCWであることを表すローレベル(Lowレベル)の電圧を出力し、MC-MCU46は、逆転CCWとなるようにインバータ41を介してモータ3を制御する。第2ピンPN2に入力された、設定回転方向に対応した電圧値の電圧が6.5[V]以上である場合には、Shifter54は、設定回転方向が正転CWであることを表すハイレベル(Hiレベル)の電圧を出力し、MC-MCU46は、正転CWとなるようにインバータ41を介してモータ3を制御する。Shifter55は、第5ピンPN2に入力された、設定速度に対応した電圧値の電圧に応じた回転速度の電圧値の電圧を出力し、MC-MCU46は、設定速度の回転速度となるようにインバータ41を介してモータ3を制御する。これにより通信異常の場合でも、モータ3が制御され、コンベア装置CSの稼働が維持される。
【0052】
続いて、通信制御処理部4は、通信が復旧したか否かを判定する(S8、C25)。この判定の結果、通信復旧の場合(Yes)には、通信制御処理部4は、通信復旧を表す前記復旧通知信号を切替装置CDに出力し(S10、C26)、処理を処理S1(C1)に戻す。モータ3の制御中に、IO-LinkマスターのハブMSから通信復旧(通信正常)が受信されている場合には、通信制御処理部4は、前記通信復旧と判定する。一方、前記判定の結果、非通信復旧の場合(通信異常の場合)(No)には、通信制御処理部4は、処理を処理S8(C24)に戻す。これにより切替装置CDからの出力によるモータ3の制御が続行される。
【0053】
一方、前記復旧通知信号は、切替装置CDに入力され、切替装置CDは、前記復旧通知信号の入力を受け付け(C28)、第2処理部61によって、18[V]以上の電圧を第5ピンPN5に出力する(C28)。
【0054】
このように動作することで、C-M内蔵ローラMRと切替装置CDとを備える実施形態のコンベアシステムは、通信異常が生じた場合でも、所定の制御態様でコンベア装置CSを稼働できる。
【0055】
なお、実施形態におけるコンベアシステムは、ベルトコンベア装置のコンベア装置に用いられてもよい(第1変形形態)。すなわち、この第1変形形態におけるコンベアシステムは、コンベア用モータ内蔵ローラMRと、切替装置CDと、ベルトコンベア装置のコンベア装置とを備え、前記コンベア装置における複数のローラは、前記コンベア用モータ内蔵ローラMRを、1または複数、含む。この第1変形形態のコンベアシステムにおけるコンベア用モータ内蔵ローラMRおよび切替装置CDは、それぞれ、上述の実施形態のコンベアシステムにおけるコンベア用モータ内蔵ローラMRおよび切替装置CDと同様であるので、その説明を省略し、ここでは、ベルトコンベア装置のコンベア装置について説明する。
【0056】
図9は、第1変形形態におけるコンベア装置の平面図である。この第1変形形態におけるコンベア装置CSaは、例えば、図9に示すように、一方向に沿って並置される複数のローラMR、FRと、前記複数のローラMR、FRに掛け渡された搬送ベルトBTaとを備え、前記搬送ベルトBTaの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置である。より具体的には、このコンベア装置CSaは、1対の第1および第2コンベア枠CFa、CFbと、1または複数のコンベア用モータ内蔵ローラMRと、1または複数の従動ローラFRと、搬送ベルトBTaとを備える。これら第1および第2コンベア枠CFa、CFb、コンベア用モータ内蔵ローラMRおよび従動ローラFRは、それぞれ、上述の実施形態における第1および第2コンベア枠CFa、CFb、コンベア用モータ内蔵ローラMRおよび従動ローラFRと同様であるので、その説明を省略する。
【0057】
すなわち、上述の実施形態におけるコンベア装置CSは、3個おきにC-M内蔵ローラMRを備え、C-M内蔵ローラMRとこれに隣接する従動ローラFRとが一方端部に巻き掛けられたリング状(環状)のベルトBTによって連結されたが、この第1変形形態におけるコンベア装置CSaは、一方向に沿って並置される複数のローラMR、FRのうちの両端それぞれに配設されるローラがC-M内蔵ローラMRであり、これらに巾広の搬送ベルトBTaが掛け渡されている。なお、両端のC-M内蔵ローラMRの間に並置される複数の従動ローラFRのうちの1または複数がC-M内蔵ローラMRに置き換えられてもよい。
【0058】
この第1変形形態によれば、ベルトコンベア装置のコンベア装置をさらに備えるコンベアシステムが提供できる。このベルトコンベア装置のコンベア装置をさらに備えるコンベアシステムは、通信異常が生じた場合でも、所定の制御態様でコンベア装置を稼働できる。
【0059】
また、上述の実施形態および第1変形形態では、切替装置CDは、C-M内蔵ローラMRと別体に設けられているが、一体であってもよい。すなわち、C-M内蔵ローラMRは、切替装置CDを内蔵してもよい(第2変形形態)。このようなC-M内蔵ローラMRは、切替装置CDの機能を持ち、例えば、通信部50と、ローラ管1と、互いに対向するように配設され、ローラ管1を回転可能に軸支する1対の支持軸2a、2bと、ローラ管1の内部に配設され、ローラ管1を回転させる駆動力を生成するモータ3と、ローラ管1の内部に配設され、通信部50で受信した制御信号に収容された制御内容に応じてモータ3を制御する制御部71と、ローラ管1の内部に配設され、通信部50で受信した制御信号に収容された制御内容を記憶する記憶部72とを備え、制御部71は、さらに、通信異常の有無を判定し、通信異常を判定した場合に、記憶部72に記憶した制御内容に応じてモータ3を制御する。前記制御部71および前記記憶部72は、例えば図3に破線で示すように、制御部40および第1処理部461に代え、通信制御処理部4に設けられる。
【0060】
このような第2変形形態では、C-M内蔵ローラMRが切替装置CDを内蔵するので、上記コンベアシステムは、簡素化できる。
【0061】
あるいは、切替装置CDは、ハブ(IO-Linkマスター)MSと一体であってもよい(第3変形形態)。
【0062】
本明細書は、上記のように様々な態様の技術を開示しているが、そのうち主な技術を以下に纏める。
【0063】
一態様にかかるコンベアシステムは、コンベア用モータ内蔵ローラと、切替装置とを備える。前記コンベア用モータ内蔵ローラは、通信部と、ローラ管と、互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じて前記モータを制御する制御部と、前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された前記制御内容を、前記切替装置に出力する第1処理部とを備える。前記切替装置は、記憶部と、前記コンベア用モータ内蔵ローラから前記制御内容が入力された場合に、前記制御内容を前記記憶部に記憶する第2処理部とを備える。そして、前記第1処理部は、さらに、通信異常の有無を判定し、前記通信異常と判定した場合に、前記通信異常を前記切替装置に出力し、前記第2処理部は、さらに、前記コンベア用モータ内蔵ローラから前記通信異常が入力された場合に、前記制御部に、前記記憶した制御内容に応じて前記モータを制御させる。好ましくは、上述のコンベアシステムにおいて、前記通信部は、双方向通信およびデータ入出力のうちの一方を択一的に実行するインターフェースである。好ましくは、上述のコンベアシステムにおいて、前記通信部は、IO-Link規格に従うインターフェースである。
【0064】
このようなコンベアシステムでは、コンベア用モータ内蔵ローラは、モータを制御する制御部を内蔵し、前記制御部によって、通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じて前記モータを制御し、前記制御内容を切替装置へ出力し、前記切替装置は、その入力された前記制御内容を記憶する。そして、コンベア用モータ内蔵ローラは、通信異常を判定すると、前記通信異常を前記切替装置へ出力し、前記切替装置は、前記通信異常の入力を受け付けると、前記制御部に、前記記憶した制御内容に応じて前記モータを制御させる。このように制御源が、通信正常の場合の制御信号から、通信異常の場合の切替装置に切り替えられるので、上記コンベアシステムは、通信異常が生じた場合でも、所定の制御態様でコンベア装置を稼働できる。
【0065】
他の一態様では、上述のコンベアシステムにおいて、前記コンベア用モータ内蔵ローラは、前記切替装置を内蔵する。すなわち、コンベア用モータ内蔵ローラは、通信部と、ローラ管と、互いに対向するように配設され、前記ローラ管を回転可能に軸支する1対の支持軸と、前記ローラ管の内部に配設され、前記ローラ管を回転させる駆動力を生成するモータと、前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じて前記モータを制御する制御部と、前記ローラ管の内部に配設され、前記通信部で受信した制御信号に収容された制御内容を記憶する記憶部とを備え、前記制御部は、さらに、通信異常の有無を判定し、前記通信異常を判定した場合に、前記記憶した制御信号に応じて前記モータを制御する。
【0066】
このようなコンベアシステムでは、コンベア用モータ内蔵ローラが切替装置を内蔵するので、上記コンベアシステムは、簡素化できる。
【0067】
他の一態様では、これら上述のコンベアシステムにおいて、一方向に沿って並置される複数のローラを備え、前記複数のローラの上を移動路として対象物を移動するローラコンベア装置のコンベア装置をさらに備え、前記複数のローラは、前記コンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む。
【0068】
これによれば、ローラコンベア装置のコンベア装置をさらに備えるコンベアシステムが提供できる。
【0069】
他の一態様では、これら上述のコンベアシステムにおいて、一方向に沿って並置される複数のローラと、前記複数のローラに掛け渡された搬送ベルトとを備え、前記搬送ベルトの上を移動路として対象物を移動するベルトコンベア装置のコンベア装置をさらに備え、前記複数のローラは、前記コンベア用モータ内蔵ローラを、1または複数、含む。
【0070】
これによれば、ベルトコンベア装置のコンベア装置をさらに備えるコンベアシステムが提供できる。
【0071】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および/または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明によれば、コンベア装置に用いられるコンベア用モータ内蔵ローラと制御源を切り替える切替装置とを備えるコンベアシステムが提供できる。

【要約】
本発明のコンベアシステムは、コンベア用モータ内蔵ローラ(C-M内蔵ローラ)と切替装置とを備える。前記C-M内蔵ローラは、通信部で受信した制御信号に収容された制御内容に応じてモータを制御する制御部をローラ管内に備え、前記通信部で受信した制御信号に収容された前記制御内容を、前記切替装置に出力し、前記切替装置は、この制御内容を記憶する。そして、前記C-M内蔵ローラは、通信異常を判定すると、前記通信異常を前記切替装置に出力し、前記切替装置は、これに応じて、前記制御部に、前記記憶した制御内容に応じて前記モータを制御させる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9