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特許7513335クランプ装置、エンドエフェクタおよびロボット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】クランプ装置、エンドエフェクタおよびロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2024008481
(22)【出願日】2024-01-24
【審査請求日】2024-04-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】722003657
【氏名又は名称】株式会社シュヴァルベル
(72)【発明者】
【氏名】岩井 真悟
【審査官】樋口 幸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-131719(JP,A)
【文献】特開2006-346247(JP,A)
【文献】特開2023-130116(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のアームと、第2のアームと、本体部とを備え、
前記第1のアームと前記第2のアームとは前記本体部を貫通する連結部材を介して回転可能に結合されており、
前記第1のアームと前記本体部とは、ねじりコイルばねの端がそれぞれ接続されており、
前記ねじりコイルばねのコイル部には前記連結部材が挿入され、
前記第1のアームの背面に設けられた溝部にアクチュエータのロッドが押し当たると、前記第1のアームとともに前記第2のアームも回転して、前記第2のアームの先端に取り付けられた押さえ部によりワークの一面を押下し、
前記回転と逆に回転すると、前記ねじりコイルばねが付勢して前記第1のアーム及び前記第2のアームが元の位置に戻る、
クランプ装置。
【請求項2】
前記本体部は、前記ねじりコイルばねの端を接続するための挿通穴を複数有する、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項3】
前記第1のアームは、前記ねじりコイルばねの端を接続するための挿通穴を複数有する、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項4】
前記押さえ部が弾性部材からなる、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項5】
前記押さえ部の先端が円形状を含む、請求項1に記載のクランプ装置。
【請求項6】
第1のアームと、第2のアームと、本体部と、前記本体部に取り付けられる係止部材とを備え、
前記第1のアームと前記第2のアームとは前記本体部を貫通する連結部材を介して回転可能に結合されており、
前記第1のアームと前記本体部とは、ねじりコイルばねの端がそれぞれ接続されており、
前記ねじりコイルばねのコイル部には前記連結部材が挿入され、
前記第1のアームとともに前記第2のアームも回転すると、前記第2のアームの先端に取り付けられた押さえ部によりワークの一面を押下し、
前記回転と逆に回転すると、前記ねじりコイルばねが付勢して前記第1のアーム及び前記第2のアームが元の位置に戻り、
前記第2のアームは、前記元の位置において前記係止部材により係止される、
クランプ装置。
【請求項7】
前記本体部は、前記ねじりコイルばねの端を接続するための挿通穴を複数有する、請求項に記載のクランプ装置。
【請求項8】
前記第1のアームは、前記ねじりコイルばねの端を接続するための挿通穴を複数有する、請求項に記載のクランプ装置。
【請求項9】
前記押さえ部が弾性部材からなる、請求項に記載のクランプ装置。
【請求項10】
前記押さえ部の先端が円形状を含む、請求項6に記載のクランプ装置。
【請求項11】
2つのクランプ装置と、2つの把持爪とを有するエンドエフェクタであって、
前記クランプ装置は、
第1のアームと、第2のアームと、本体部とを備え、
前記第1のアームと前記第2のアームとは前記本体部を貫通する連結部材を介して回転可能に結合されており、
前記第1のアームと前記本体部とは、ねじりコイルばねの端がそれぞれ接続されており、
前記ねじりコイルばねのコイル部には前記連結部材が挿入され、
前記第1のアームとともに前記第2のアームも回転すると、前記第2のアームの先端に取り付けられた押さえ部によりワークの一面を押下し、
前記回転と逆に回転すると、前記ねじりコイルばねが付勢して前記第1のアーム及び前記第2のアームが元の位置に戻り、
前記2つの把持爪が前記ワークを把持しているときに前記押さえ部が前記ワークの一面を押下できる位置に前記クランプ装置がそれぞれ取り付けられており、
前記第1のアームは互いに、別の連結部材を介して結合される、
エンドエフェクタ。
【請求項12】
エンドエフェクタであって、
第1のアームと、第2のアームと、本体部とを備え、
前記第1のアームと前記第2のアームとは前記本体部を貫通する連結部材を介して回転可能に結合されており、
前記第1のアームと前記本体部とは、ねじりコイルばねの端がそれぞれ接続されており、
前記ねじりコイルばねのコイル部には前記連結部材が挿入され、
前記第1のアームの背面に設けられた溝部にアクチュエータのロッドが押し当たると、前記第1のアームとともに前記第2のアームも回転して、前記第2のアームの先端に取り付けられた押さえ部によりワークの一面を押下し、
前記回転と逆に回転すると、前記ねじりコイルばねが付勢して前記第1のアーム及び前記第2のアームが元の位置に戻る、
クランプ装置を備え、
前記ワークを把持したときに前記押さえ部が前記ワークの一面を押下できる位置に前記クランプ装置が取り付けられる、エンドエフェクタ。
【請求項13】
エンドエフェクタであって、
第1のアームと、第2のアームと、本体部と、前記本体部に取り付けられる係止部材とを備え、
前記第1のアームと前記第2のアームとは前記本体部を貫通する連結部材を介して回転可能に結合されており、
前記第1のアームと前記本体部とは、ねじりコイルばねの端がそれぞれ接続されており、
前記ねじりコイルばねのコイル部には前記連結部材が挿入され、
前記第1のアームとともに前記第2のアームも回転すると、前記第2のアームの先端に取り付けられた押さえ部によりワークの一面を押下し、
前記回転と逆に回転すると、前記ねじりコイルばねが付勢して前記第1のアーム及び前記第2のアームが元の位置に戻り、
前記第2のアームは、前記元の位置において前記係止部材により係止される、
クランプ装置を備え、
前記ワークを把持したときに前記押さえ部が前記ワークの一面を押下できる位置に前記クランプ装置が取り付けられる、エンドエフェクタ。
【請求項14】
請求項11乃至13のいずれか一項に記載のエンドエフェクタを備えるロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クランプ装置、エンドエフェクタおよびロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
今日製造ラインにおいて、人の作業によらない自動化による効率化を目的としてロボットが導入されている。例えば、ワークをある場所から別の場所へとワークを移送するためにロボットを導入して作業が自動化されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1に記載のロボットの先端にはエンドエフェクタが取り付けられており、エンドエフェクタがワークを把持してワークを別の場所へ移送する。このようなワークを把持して移送するロボットに関し、ワークの把持を確実に行うために様々な工夫がなされている(例えば、特許文献2参照。)。特許文献2に記載のロボットは、ワークを把持するアームに押圧体を備えて、押圧体を調整しつつワークを把持する発明が開示されている。これにより把持力を高めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-138937号公報
【文献】特開2022-142908号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、ワークを固定するものとしてはクランプ装置が知られている。例えば上記の特許文献1に記載されているようなロボットのエンドエフェクタにクランプ装置を備えることができれば、より強固にワークを把持することができる。よって、例えばエンドエフェクタに簡単に取り付けられるクランプ装置があればワークを固定し把持力を高めることができるので、そのようなクランプ装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明に係るクランプ装置は、第1のアームと、第2のアームと、本体部とを備え、前記第1のアームと前記第2のアームとは前記本体部を貫通する連結部材を介して回転可能に結合されており、前記第1のアームと前記本体部とは、ねじりコイルばねの端がそれぞれ接続されており、前記ねじりコイルばねのコイル部には前記連結部材が挿入され、前記第1のアームとともに前記第2のアームも回転すると、前記第2のアームの先端に取り付けられた押さえ部によりワークの一面を押下し、前記回転と逆に回転すると、前記ねじりコイルばねが付勢して前記第1のアーム及び前記第2のアームが元の位置に戻る、クランプ装置である。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係るクランプ装置は上記課題に鑑みてなされたものであり、例えばエンドエフェクタにも簡単に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施形態に係るロボットの側面図である。
図2】本発明の実施形態に係るエンドエフェクタの斜視図である。
図3】本発明の実施形態に係るエンドエフェクタの斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係るエンドエフェクタの別の斜視図である。
図5】本発明の実施形態に係る交換爪の斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係るクランプ装置の斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係るクランプ装置の分解図である。
図8】本発明の実施形態に係るねじりコイルばねを説明するための図である。
図9】本発明の実施形態に係るクランプ装置の動作を説明するための図である。
図10】本発明の実施形態に係るエンドエフェクタがワークを把持する動作を説明するための斜視図である。
図11】本発明の実施形態に係るクランプ装置によりワークがクランプする動作を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。本実施形態において、本発明に係るクランプ装置は、ロボットのエンドエフェクタに設置されることを想定している。なお、図面において符号a~dを用いることがあるが、同一数字であれば機能や役割は同様のものである。
【0009】
図1は、本発明のクランプ装置が設置されたエンドエフェクタを備えるロボット10の側面図である。図1に示すようにロボット10は多関節式であり、ロボットアーム30a~30cは関節部40a~40dを介してそれぞれ連結される。エンドエフェクタ20は、ワークを把持するためのものであり、関節部40dを介してロボットアーム30cと接続される。ロボットアーム30aは、関節部40aを介して、水平方向に回転可能な固定回転部50に取り付けられる。なお、ロボットのアームや関節部の具体的形式や形態は特に限定されず、エンドエフェクタを取り付けて動作させることができれば、どのような形態であってもよい。
【0010】
図2は、本発明の実施形態に係るエンドエフェクタ20の斜視図である。図2に示すようにエンドエフェクタ20は、クランプ装置(210a、210b)と、グリッパ装置220と、把持爪(230a、230b)と、から構成される。クランプ装置(210a、210b)は左右対称の関係にある。また、把持爪(230a、230b)も左右対称の関係にある。把持爪(230a、230b)の材質は、ワークの荷重に耐えうるものであればよく、例えばアルミやプラスチック等の樹脂である。クランプ装置(210a、210b)も同様である。
【0011】
図3は、本発明の実施形態に係るエンドエフェクタ20の斜視図である。図3(A)に示すように、把持爪230aは、外爪231aと交換爪232aとから構成され、把持爪230bは、外爪231bと交換爪232bとから構成される。なお、図1に示すエンドエフェクタ20は、外爪231の外側の面を示している。把持爪(230a、230b)は、少なくともワークを収め入れて保持するワーク保持部250と結合されており、ワークを把持するために用いられる。図4は、本発明の実施形態に係るエンドエフェクタの斜視図であり、図4に示すように、交換爪232aは外爪231aから脱着可能である。また、交換爪232bは外爪231bから脱着可能である。なお、外爪231は、グリッパ装置220の可動部221に固定されており、具体的には、図3(B)に示すように、外爪231aと可動部221aとが結合し、外爪231aと可動部221aとが結合しており、可動部221と連動して移動する。外爪231aはねじ穴を備えており、可動部221aに対してねじ止めすることにより結合される。外爪231b及び可動部221bも同様である。
【0012】
グリッパ装置220はモーターを備えており、このモーターにより可動部221を±X方向に動かすことができ、これにより把持爪(230a、230b)を開閉させる。可動部221は、互いに異なる方向に移動する可動部221a及び221bからなる。例えば、可動部221aが、図3(B)に示す+X方向に移動すると、可動部221bは-X方向に移動する。なお、グリッパ装置220は、例えば空圧グリッパを用いてもよく、圧縮空気を利用して可動部221をX方向に動かすことができる。
【0013】
図4は、本発明の実施形態に係るエンドエフェクタ20の斜視図であり、交換爪(232a、232b)が外爪(231a、231b)から取り外されている様子を示している。図4に示すように、交換爪232bは、2つの突起部234を有している。交換爪231bは、2つの穴部233を有している。突起部234は先端が半球状に形成された円柱形状であり、穴部233はこの円柱よりも大きな直径を有する円状の穴となっている。突起部234を穴部233に挿通することにより、交換爪232bを外爪231bに取り付けることができる。一方、交換爪232bが外爪231bに取り付けられている状態のときに、穴部233から突起部234を引き抜くことにより、交換爪232bを外爪231bから引き抜くことができる。なお、外爪231bが突起部を備えて、交換爪232bが穴部を有するようにしてもよい。なお、交換爪と外爪が取り外し可能でなくても本発明の実施は可能である。
【0014】
外爪231bと交換爪232bとをより強固に結合させるためにキャッチシリンダを用いることができる。具体的には、外爪231bにキャッチシリンダ235を取り付け、交換爪232bにキャッチシリンダ受け部236を取り付ける。キャッチシリンダ235は、不図示のエアチューブを介して供給されるエアの供給口と鋼球を備える先端部とを有する。エアが供給されると鋼球がキャッチシリンダ235の先端部で半径方向に収まり、エアが供給されていないときは鋼球がキャッチシリンダ235の先端部で半径方向に突出する。キャッチシリンダ受け部236は、この突出した鋼球を収める収納リング239を内部に備えており、キャッチシリンダ235の鋼球が突出しているときに鋼球を係止してロックすることができる。キャッチシリンダ受け部236は、キャッチシリンダ235にエアが供給されているときにキャッチシリンダ235の先端部を挿通することができ、または引き抜くこともできる。
【0015】
交換爪232bを外爪231bに装着するときは、キャッチシリンダ235にエアを供給しながらキャッチシリンダ受け部236に挿通した後にエアの供給を止める。交換爪232bが外爪231bに装着されているときに、キャッチシリンダ235にエアを供給することにより交換爪232bを外爪231bから引き抜くことが可能となる。なお、外爪231b及び交換爪232bと、外爪231a及び交換爪232aとは左右対称形であり、外爪231a及び交換爪232aにも同様にキャッチシリンダ235及びキャッチシリンダ受け部236を設けることができる。
【0016】
図5は、交換爪232の斜視図を示す。図5(A)は、交換爪232bの斜視図であり、図5(A)は、交換爪232aの斜視図である。図5(A)に示すように、クランプ装置210bが交換爪232b上に取り付けられている。また、図5(B)に示すように、クランプ装置210aが交換爪232a上に取り付けられている。クランプ装置210bの取り付け位置は、第2のアーム212が回転して押さえ部材217が確実にワークに確実に当接する位置である。
【0017】
図6は、本発明の実施例に係るクランプ装置210bの斜視図を示す。図6において、ねじりコイルばね215および連結部材の点線部分は透視した部分である。なお、クランプ装置210aはクランプ装置210bの左右対称形であり、構成要素の機能はクランプ装置210bと同一である。
【0018】
図6に示すように、クランプ装置210bは、第1のアーム211と、第2のアーム212と、本体部213と、係止部材214と、ねじりコイルばね215と、連結部材216と、押さえ部材217と、から構成される。
【0019】
第1のアーム211と第2のアーム212とは、連結部材216により連結されている。第1のアーム211と第2のアーム212とはそれぞれ円柱形状の中空部分を有しており、円柱形状の連結部材216が第1のアーム211と第2のアーム212のそれぞれに挿通されて固定されている。連結部材216は、本体部213が有する中空部分に挿通されており、本体部213内で回転可能になっている。連結部材216は凸部(図7参照)を有し、第2のアーム212の凹部(図7参照)に嵌め合わせることができる。
【0020】
第1のアーム211は、本体部213に対して外爪231b側に取り付けられる。第2のアーム212の先端には、押さえ部材217が取り付けられている。押さえ部材217の一部は円弧になっており、第2のアーム212とともに押さえ部材217が回転するとワークに当接してその状態の時にワークの一面を上から押下するものである。押さえ部材217は樹脂等の弾性のある部材を用いることにより、厚みの異なる複数のワークに対しても対応できるようになる。
【0021】
第1のアーム211と本体部213との間には、ねじりコイルばね215が取り付けられる。第1のアーム211と本体部213との間は、コイル部215aのコイル幅T(図8(B)参照)よりも少なくとも離れている。連結部材216はコイル部215aを通っている。
【0022】
図7は、本発明の実施形態に係るクランプ装置の分解図である。図6及び図7に示すように、本体部213は、ねじりコイルばね215の折曲部215e(図8(A)参照)を挿通できる挿通穴218を1つ以上備えている。例えば、図7に示すように、ねじりコイルばね215の折曲部215eを挿通できる挿通穴218-1~-3のように3つある。本発明の実施の形態では、図6に示すように、挿通穴218-1にねじりコイルばね215の折曲部215eが挿通されている。第1のアーム211には、ねじりコイルばね215の折曲部215d(図8(A)参照)を挿通できる挿通穴219を1つ以上備えており、いずれかの挿通穴219に折曲部215dが挿通される。これにより、ねじりコイルばね215が第1のアームと本体部213に対して接続される。なお、複数の挿通穴を設けることにより、ねじりコイルばね215の自由角度(図8(C)参照)やワーク厚みが変化しても、挿通穴を変更することにより柔軟に対応することができる。
【0023】
図6及び図7に示すように、係止部材214は、板状の形状であり、本体部213にねじ止めされる。係止部材214は、第2のアーム212を係止するものである。ブッシュ261は、連結部材216を支えて回転をスムーズにするためのものである。カラー262は、連結部材216にねじ止めされて、連結部材216の回転軸方向へのスライドを防止するものである。
【0024】
図8は、本発明の実施形態に係るねじりコイルばね215を示す図である。図8(A)に示すように、ねじりコイルばね215は、コイル部215aと、このコイル部215aの両端部から接線方向に延びる2つのアーム(215b及び215c)とから構成される。アーム215b及びアーム215cの先端はそれぞれ直角に曲げられた折曲部215d及び215eを有した一段曲げの構造になっている。
【0025】
図8(B)は、ねじりコイルばね215の正面図であり、図8(C)は、ねじりコイルばね215の側面図である。図8(B)に示すように、コイル部215aはらせん状のコイルであり、そのコイル幅はTである。
【0026】
次に、クランプ装置210の動作について説明する。まず、図10(A)に示すような、所定の厚みを有する四角形型のワークWを用いて説明する。図10(A)の状態からグリッパ装置220を動作させて把持爪230a及び230bを移動させることにより、図10(B)に示すようにワークWを把持することができる。このときのクランプ装置210bは図9(A)のようになっている。ここで、図9(A)-(C)は、左側は図2に示す+Xから見たクランプ装置210bの側面図であり、右側は図2に示す-Xから見たクランプ装置210bの側面図である。なお、図9において、ねじりコイルばね215を透視した図となっている。
【0027】
図9(A)に示す状態を原点位置とする。図9(A)に示す状態においてアクチュエータ240bを動作させてロッド241bが伸長すると、ロッド241bの先端が第1のアーム211に押し当たる。なお、アクチュエータ240bは、図3(A)に示すように、外爪231b上に設けられた架台に設置される。アクチュエータ240aも同様である。
【0028】
さらにロッド241bが伸長すると、第1のアーム211を図9(B)の左側に示すように時計回りに回転するように押していく。これに合わせて、第1のアーム211に連結されている第2のアーム212も同方向に回転する。なお、図9(B)の右側に示す側面図では、第2のアーム212は反時計回りに回転していることになる。図11(A)及び(B)は、このときのクランプ装置210bの状態を示す斜視図である。なお図11(A)において、説明のため把持爪230aを省略している。図11(A)に示すように、図9(B)の状態では、ロッド241bが第1のアーム211の溝部を押しているのが分かる。この溝部により、ロッド241bの伸長の度合いに応じて当たる位置をスライドさせることができる。
【0029】
図9(B)の状態からロッド240bがさらに伸長すると、図9(C)の左側の側面図に示すように第1のアーム211がさらに時計回りの方向に回転しており、押さえ部材217がワークに当接する位置でロッド240bの伸長は止まる。この位置をクランプ位置とする。なお、図9(C)の右側に示す側面図のように、第2のアーム212が図9(B)の状態からさらに反時計回りに回転している。
【0030】
図9(C)に示す状態の時に、ワークは、押さえ部材217により上方向(図2に示すZ方向)への移動が抑制されてクランプされている。クランプを解除する場合、アクチュエータ240bのロッド240bを短縮させる。ロッド240bが短縮すると、第1のアーム211及び第2のアーム212は、ねじりコイルばね215のねじり角が狭まるようにしてねじりコイルばね215に付勢されながら原点位置まで戻る。これにより、ワークを押さえていた押さえ部材218がワークから離れてクランプが解除される。さらにロッド240bが短縮すると図9(A)に示すように第1のアーム211及び第2のアーム212は、原点位置まで戻る。なお、図9(A)-(C)においてロッド241bは不図示とした。
【0031】
原点位置まで戻すときに、ロッド241bが第1のアーム211から離れるとねじりコイルばね215に付勢されて、図9(A)の右側に示すクランプ装置210bの第1のアーム211は時計周り方向に付勢されるが、係止部材214により第2のアーム212はそれ以上回転することなく係止される。そして第1のアームも図9(A)に示す原点位置まで戻る。このようにして係止部材214により振動を防止することができる。
【0032】
(変形例1)
本発明の実施の形態では、図3(A)に示すように、2つのアクチュエータ240a及び240bを用いているが、アクチュエータを1つにし、図2に示すクランプ装置210a及び210bのそれぞれの第1のアーム211に連結部材を結合して、この1つのアクチュエータ240のロッド241によりクランプ装置210a及び210bのそれぞれの第1のアーム211が回転するようにしてもよい。
【0033】
(変形例2)
本発明の実施の形態では、クランプ装置210が交換爪232上に取り付けられているが、これに限らず、他の機器等にワークの受け部の真上に押さえ部材217が配置されるように配置すればエンドエフェクタに限らずに本発明と同じクランプ動作をすることができる。
【0034】
(変形例3)
本発明の実施の形態では、第1のアーム211をアクチュエータ240のロッド241により回転させているが、これに限らず手動で回転させて、図9(C)に示す位置まで回転した時にねじりバネ215が付勢して原点位置に戻るのを防ぐための係止部材を追加してロックし、クランプを解除するときはこの係止部材から外すようにして原点位置まで戻すようにしてもよい。
【0035】
(その他)
図10に示すように、本発明の実施の形態では、ワークは所定の厚みを有する4角形型の形状であるが、これに限定されず、ワーク保持部250の形状を変更することにより例えば丸型のワークにも適用できる。図面に関し、ケーブル類やエアチューブ等は省略している。
【符号の説明】
【0036】
10 ロボット
20 エンドエフェクタ
30 ロボットアーム
40 関節部
50 固定回転部
210 クランプ装置
211 第1のアーム
212 第2のアーム
213 本体部
214 係止部材
215 ねじりコイルばね
215a コイル部
215b,c アーム
215d,e 折曲部
216 連結部材
217 押さえ部材
218 挿通穴
219 挿通穴
220 グリッパ装置
221 可動部
230 把持爪
231 外爪
232 交換爪
233 穴部
234 突起部
235 キャッチシリンダ
236 キャッチシリンダ受け部
240 アクチュエータ
241 ロッド
250 ワーク保持部
261 ブッシュ 連結部材が回転しやすくするもの
262 カラー

【要約】
【課題】エンドエフェクタ等に簡単に設置することができるクランプ装置を提供する。
【解決手段】本願発明に係るクランプ装置は、第1のアーム211と、第2のアーム212と、本体部213とを備え、第1のアーム211と第2のアーム212とは本体部213を貫通する連結部材216を介して回転可能に結合されており、第1のアーム211と本体部213とは、ねじりコイルばね215の端がそれぞれ接続されており、ねじりコイルばね215のコイル部には連結部材216が挿入され、第1のアーム211とともに第2のアーム212も回転すると、第2のアーム212の先端に取り付けられた押さえ部217によりワークの一面を押下し、逆に回転すると、ねじりコイルばね215が付勢して第1のアーム211及び第2のアーム212が元の位置に戻る。
【選択図】図6

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11