(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ポリスイッチを含むPTCデバイス
(51)【国際特許分類】
H01C 7/02 20060101AFI20240702BHJP
H01C 17/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01C7/02
H01C17/00 100
(21)【出願番号】P 2021552783
(86)(22)【出願日】2019-03-22
(86)【国際出願番号】 CN2019079251
(87)【国際公開番号】W WO2020191522
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-10
(73)【特許権者】
【識別番号】521397234
【氏名又は名称】リテルヒューズ エレクトロニクス (シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ジアンフア
(72)【発明者】
【氏名】ワン、ビン
(72)【発明者】
【氏名】リ、ピンホン
(72)【発明者】
【氏名】フ、チェン
【合議体】
【審判長】岩間 直純
【審判官】畑中 博幸
【審判官】山本 章裕
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0146432(US,A1)
【文献】特開2005-093983(JP,A)
【文献】特開2000-150203(JP,A)
【文献】特開平11-087105(JP,A)
【文献】特開平10-144504(JP,A)
【文献】特開2002-367801(JP,A)
【文献】特開2007-027299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護コンポーネントと、
前記保護コンポーネントの第1主側面に沿って延在する第1電極層であって、第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含む第1電極層と、
前記保護コンポーネントの第2主側面に沿って延在する第2電極層であって、第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含み、前記第1間隙は前記第2間隙と位置合わせされる、第2電極層と、
前記第1電極層の上に配置された第1絶縁層及び前記第2電極層の上に配置された第2絶縁層と、
前記保護コンポーネントの端部の周りに延在するはんだパッドであって、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上にさらに延在する、はんだパッドと
を備える、保護デバイスアセンブリであって、
前記第1セクションは第1電極幅を有し、前記第2セクションは第2電極幅を有し、前記第3セクションは第3電極幅を有し、前記第4セクションは第4電極幅を有し、前記第1電極幅および前記第3電極幅は、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の各外面に沿って延在する前記はんだパッドの幅より大き
く、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、前記保護コンポーネント、前記第1電極層、及び前記第2電極層の各々を囲む封入被覆材を形成し、前記封入被覆材は、耐酸化性エポキシである第1層と、耐湿性エポキシである第2層と、耐腐食性エポキシである第3層とを含む3層構造体である、保護デバイスアセンブリ。
【請求項2】
前記保護コンポーネントの第2端部の周りに延在する第2はんだパッドであって、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上に延在する、第2はんだパッドをさらに備える、請求項1に記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項3】
プリント回路基板をさらに備え、前記はんだパッド及び前記第2はんだパッドはハンダにより前記プリント回路基板に接続される、請求項2に記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項4】
前記第1間隙は第1間隙幅を有し、前記第2間隙は第2間隙幅を有し、前記第1間隙幅は前記第2間隙幅に実質的に等しい、請求項1から3のいずれか一項に記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項5】
前記第1セクションは前記第3セクションに対して縦に位置合わせされ、前記第2セクションは前記第4セクションに対して縦に位置合わせされる、請求項1から4のいずれか一項に記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項6】
前記第1電極幅は前記第3電極幅に略等しく、前記第2電極幅は前記第4電極幅に略等しい、請求項1から5のいずれか一項に記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項7】
前記第1電極幅は前記第4電極幅に略等しく、前記第2電極幅は前記第3電極幅に略等しい、請求項6に記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項8】
前記保護コンポーネントは、前記第2主側面に対向する前記第1主側面と、第2端部に対向する前記端部と、第2側面に対向する第1側面とを含み、前記封入被覆材は、前記第1主側面、前記第2主側面、前記第1側面、及び前記第2側面の各々の上に延在する、請求項
1から7の何れか1つに記載の保護デバイスアセンブリ。
【請求項9】
正温度係数(PTC)保護コンポーネントと、
前記PTC保護コンポーネントの第1主側面に沿って延在する第1電極層であって、第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含む第1電極層と、
前記PTC保護コンポーネントの第2主側面に沿って延在する第2電極層であって、第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含み、前記第1間隙は前記第2間隙と位置合わせされる、第2電極層と、
前記第1電極層の上に配置された第1絶縁層及び前記第2電極層の上に配置された第2絶縁層であって、前記第1間隙内に前記第1絶縁層が形成され、前記第2間隙内に前記第2絶縁層が形成された、第1絶縁層及び第2絶縁層と、
前記PTC保護コンポーネントの端部の周りに延在するはんだパッドであって、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上にさらに延在する、はんだパッドと
を備える、PTCデバイスであって、
前記第1セクションは第1電極幅を有し、前記第2セクションは第2電極幅を有し、前記第3セクションは第3電極幅を有し、前記第4セクションは第4電極幅を有し、前記第1電極幅および前記第3電極幅は、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の各外面に沿って延在する前記はんだパッドの幅より大き
く、
前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層は、前記PTC保護コンポーネント、前記第1電極層、及び前記第2電極層の各々を囲む封入被覆材を形成し、前記封入被覆材は、耐酸化性エポキシである第1層と、耐湿性エポキシである第2層と、耐腐食性エポキシである第3層とを含む3層構造体である、PTCデバイス。
【請求項10】
前記PTC保護コンポーネントの第2端部の周りに延在する第2はんだパッドであって、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上に延在する、第2はんだパッドをさらに備える、請求項
9に記載のPTCデバイス。
【請求項11】
前記第1間隙は第1間隙幅を有し、前記第2間隙は第2間隙幅を有し、前記第1間隙幅は前記第2間隙幅に実質的に等しい、請求項
9又は
10に記載のPTCデバイス。
【請求項12】
前記第1セクションは前記第3セクションに対して縦に位置合わせされ、前記第2セクションは前記第4セクションに対して縦に位置合わせされる、請求項
9から
11のいずれか一項に記載のPTCデバイス。
【請求項13】
前記第1電極幅は前記第3電極幅に略等しく、前記第2電極幅は前記第4電極幅に略等しい、請求項
9から
12のいずれか一項に記載のPTCデバイス。
【請求項14】
前記PTC保護コンポーネントは、前記第2主側面に対向する前記第1主側面と、第2端部に対向する前記端部と、第2側面に対向する第1側面とを含み、前記封入被覆材は、前記第1主側面、前記第2主側面、前記第1側面、及び前記第2側面の各々の上に延在する、請求項
9から13のいずれか一項に記載のPTCデバイス。
【請求項15】
正温度係数(PTC)デバイスを形成する方法であって、
PTC保護コンポーネントを提供する段階と、
前記PTC保護コンポーネントの第1主側面に沿って第1電極層を提供する段階であって、前記第1電極層は、第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含む、段階と、
前記PTC保護コンポーネントの第2主側面に沿って第2電極層を提供するであって、前記第2電極層は、第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含み、前記第1間隙は前記第2間隙と位置合わせされる、段階と、
前記第1電極層の上に第1絶縁層を提供し、及び前記第2電極層の上に第2絶縁層を提供する段階と、
前記PTC保護コンポーネントの端部の周りにはんだパッドを提供する段階であって、前記はんだパッドは前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上にさらに延在する、段階と
、
前記PTC保護コンポーネント、前記第1電極層、及び前記第2電極層の各々の周りに封入被覆材を提供する段階であって、前記封入被覆材は、耐酸化性エポキシである第1層と、耐湿性エポキシである第2層と、耐腐食性エポキシである第3層とを含む3層構造体である、段階と
を備える、方法であって、
前記第1セクションは第1電極幅を有し、前記第2セクションは第2電極幅を有し、前記第3セクションは第3電極幅を有し、前記第4セクションは第4電極幅を有し、前記第1電極幅および前記第3電極幅は、前記第1絶縁層および前記第2絶縁層の各外面に沿って延在する前記はんだパッドの幅より大きい、方法。
【請求項16】
前記PTC保護コンポーネントの第2端部の周りに延在する第2はんだパッドを形成する段階であって、前記第2はんだパッドは、前記第1絶縁層及び前記第2絶縁層の上に延在する、段階をさらに備える、請求項
15に記載の方法。
【請求項17】
前記はんだパッド及び前記第2はんだパッドは、前記封入被覆材の上に延在する、請求項
16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般的に、ポリマー性温度係数デバイス、より具体的には、ポリスイッチを含む小さいパッケージサイズのデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
1つの既知のリセット可能なヒューズは、正温度係数(「PTC」)デバイスである。PTCサーミスタ材料は、多くの導電性材料と密接な物理的特性、すなわち、導電性材料の抵抗率が温度によって増加することに依存する。導電性充填剤の分散配置を介して導電性になった結晶性ポリマーは、このPTC効果を示す。ポリマーは一般に、ポリエチレン、ポリプロピレン、及びエチレン/プロピレンコポリマーなどのポリオレフィンを含む。チタン酸バリウムなどの特定のドープセラミックも、PTC挙動を示す。
【0003】
導電性充填剤は、材料の温度が上昇するにつれて、PTCサーミスタ材料の抵抗率を増加させる。特定の値を下回る温度において、PTCサーミスタ材料は、比較的低い、一定の抵抗率を示す。しかしながら、PTCサーミスタ材料の温度がこの点を越えて上昇すると、抵抗率は、温度がわずかに上昇するだけでも急激に増加する。
【0004】
PTCサーミスタ材料により保護されている負荷が短絡すると、PTCサーミスタ材料を通して流れる電流が増加し、PTCサーミスタ材料の温度(上述のi2R加熱に起因する)は、臨界温度まで急激に上昇する。臨界温度において、PTCサーミスタ材料は、多くの電力を散逸して、材料が熱を生成する速度を、材料がその周囲に熱を奪われ得る速度より大きくさせる。電力散逸は、短期間(例えば、数分の1秒)のみ発生する。しかしながら、増加した電力散逸は、PTCサーミスタ材料の温度及び抵抗を上昇させ、回路における電流を比較的低い値に限定する。したがって、PTCサーミスタ材料は、ヒューズの形成として動作する。
【0005】
回路における電流を遮断すると、又は、短絡の原因となる条件を除去すると、PTCサーミスタ材料は、その臨界温度以下に冷却され、それが通常動作する低い抵抗状態になる。結果は、リセット可能な過電流回路保護材料である。
【0006】
通常条件下のより低い抵抗においてPTCサーミスタ材料が動作するとしても、PTCサーミスタ材料の通常の動作抵抗は、リセット不可能な金属性ヒューズなどの他の種類のヒューズのそれより高い。動作抵抗がより高いと、結果として、同様の定格のリセット不可能な金属性ヒューズより、PTCサーミスタ材料にわたる電圧降下がより高い。電圧降下及び電力散逸は、特定の回路の駆動機能並びにバッテリの寿命を最大化しようと試みている、回路の設計者にとってますます重要になっている。
【0007】
したがって、向上された小さいパッケージサイズのデバイスが必要となる。
【発明の概要】
【0008】
1又は複数の実施形態において、保護デバイスアセンブリは、保護コンポーネントと、保護コンポーネントの第1主側面に沿って延在する第1電極層とを含む。第1電極層は、第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含み得る。アセンブリはさらに、保護コンポーネントの第2主側面に沿って延在する第2電極層を含み得、当該第2電極層は第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含み、ここで第1間隙は第2間隙と位置合わせされる。アセンブリはさらに、第1電極層の上に配置された第1絶縁層と、第2電極層の上に配置された第2絶縁層とを含み得る。アセンブリはさらに、保護コンポーネントの端部の周りに延在するはんだパッドを含み得、当該はんだパッドはさらに、第1絶縁層と第2絶縁層との上に延在する。
【0009】
1又は複数の実施形態において、正温度係数(PTC)デバイスは、PTC保護コンポーネントと、PTC保護コンポーネントの第1主側面に沿って延在する第1電極層とを含み、ここで第1電極層は、第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含む。PTCデバイスはさらに、PTC保護コンポーネントの第2主側面に沿って延在する第2電極層を含み得、当該第2電極層は第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含み、ここで第1間隙は第2間隙と位置合わせされる。PTCデバイスはさらに、第1電極層の上に配置された第1絶縁層と、第2電極層の上に配置された第2絶縁層とを含み得、ここで第1絶縁層は第1間隙内に形成され、第2絶縁層は第2間隙内に形成される。PTCデバイスはさらに、PTC保護コンポーネントの端部の周りに延在するはんだパッドを含み得、当該はんだパッドはさらに、第1絶縁層と第2絶縁層との上に延在する。
【0010】
1又は複数の実施形態において、正温度PTCデバイスを形成する方法は、PTC保護コンポーネントを提供する段階と、PTC保護コンポーネントの第1主側面に沿って第1電極層を形成する段階とを含み得る。第1電極層は、第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含み得る。方法はさらに、PTC保護コンポーネントの第2主側面に沿って第2電極層を形成する段階であって、当該第2電極層は第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含む、段階を含み得、ここで第1間隙は第2間隙と位置合わせされる。方法はさらに、第1電極層の上に第1絶縁層を提供する段階と、第2電極層の上に第2絶縁層を提供する段階とを含み得る。方法はさらに、PTC保護コンポーネントの端部の周りにはんだパッドを形成する段階を含み得、当該はんだパッドはさらに、第1絶縁層と第2絶縁層との上に延在する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
添付図面は、それらの原理を実際的な適用のために考案された、これまでに開示された実施形態の例示的なアプローチを示す。
【0012】
【
図1】本開示の例示的なアプローチに係るアセンブリの側断面図である。
【0013】
【
図2】本開示の例示的なアプローチに係る
図1のアセンブリのデバイスの斜視図である。
【0014】
【
図3A】本開示の例示的なアプローチに係る
図1のアセンブリのデバイスの側断面図である。
【0015】
【
図3B】本開示の例示的なアプローチに係る代替的なデバイスの側断面図である。
【0016】
【
図4】本開示の例示的なアプローチに係る封入被覆材を含むデバイスの斜視図である。
【0017】
【
図5】本開示の例示的なアプローチに係る
図4のデバイスの分解図である。
【0018】
【
図6A】本開示の例示的なアプローチに係る
図4のデバイスの断面図である。
【
図6B】本開示の例示的なアプローチに係る
図4のデバイスの断面図である。
【0019】
【
図7A】本開示の例示的なアプローチに係る様々なデバイスの断面図である。
【
図7B】本開示の例示的なアプローチに係る様々なデバイスの断面図である。
【
図7C】本開示の例示的なアプローチに係る様々なデバイスの断面図である。
【
図7D】本開示の例示的なアプローチに係る様々なデバイスの断面図である。
【0020】
【
図8】本開示の例示的なアプローチに係るPTCデバイスを形成するプロセスを示す。
【0021】
図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる図示表現であり、本開示の特有のパラメータを表現することは意図されていない。図面は、本開示の典型的な実施形態を示すことを意図しており、したがって範囲を限定するものとみなされるべきではない。図面において、同様の番号は同様の要素を表す。
【0022】
さらに、図面の一部における特定の要素は、説明の明確さのために省略されてもよく、又は、縮尺通りに図示されなくてもよい。さらに、明確さのために、一部の参照番号は、特定の図面では省略され得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示に係る実施形態はこれより、添付図面を参照して、以下により十分に説明される。装置、デバイス、及び方法は、多くの異なる形態で具現化され得、ここに記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示が十分且つ完全であるとともに、システムの範囲と方法とを当業者に十分に伝達するように提供される。
【0024】
図1及び
図2を参照すると、本開示に係る装置100及びデバイス102の実施形態が示される。示されるように、デバイス102は、PTCデバイス又はポリマー性PTCデバイスであり得る。いくつかの実施形態において、デバイス102は、米国電子工業会(EIA)の表面実装デバイス、タイプ0201であり得る。デバイス102は、第1絶縁層106と第2絶縁層108との間に配置された保護コンポーネント104を含む。いくつかの実施形態において、第1絶縁層106及び第2絶縁層108は、FR-4材料又はポリイミドなどの同じ材料で作製される。示されたデバイス102は、例えば、二次セルの充電/放電回路に位置づけられるとともに、過剰電流が回路を通過する場合、そのような電流を遮断する回路保護デバイスとして使用され得る。示されるように、デバイス102は、ハンダ112によりプリント回路基板(PCB)110に接続され得る。
【0025】
いくつかの実施形態において、保護コンポーネント104は、ヒューズ、PTC、NTC、IC、センサ、MOSFET、抵抗器、及びキャパシタから成る非限定的な群から選択される。これらの保護コンポーネントのうち、IC及びセンサは能動的保護コンポーネントとみなされ、一方、PTC、NTC、及びヒューズは受動的コンポーネントとみなされる。示された実施形態において、保護コンポーネント104は、ポリマー性PTCであり得る。しかしながら、この配置が非限定的であることと、保護コンポーネントの数及び構成は用途によって変動し得ることが理解されるであろう。
【0026】
保護コンポーネント104のPTC材料は、ポリマー及び導電性充填剤を含む正温度係数導電性組成物で作製され得る。PTC材料のポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリオクチレン、ポリ塩化ビニリデン及びそれらの混合物から成る群から選択された結晶性ポリマーであり得る。導電性充填剤はポリマーにおいて分散され得、カーボンブラック、金属粉末、導電性セラミック粉末、及びそれらの混合物から成る群から選択される。さらに、PTC材料の感度及び物理的特性を向上させるために、PTC導電性組成物は、光開始剤、架橋剤、結合剤、分散剤、安定剤、抗酸化剤、及び/又は非導電性耐弧フィルタなどの添加物を含む場合もある。
【0027】
示されるように、第1電極層114は保護コンポーネント104の第1主側面116に沿って延在し得、第1電極層114は、第1間隙118により第2部分114Bから分離された第1セクション114Aを含む。第2電極層120は保護コンポーネント104の第2主側面122に沿って延在し得、第2電極層120は、第2間隙124により第4セクション120Bから分離された第3セクション120Aを含む。示されるように、第1間隙118は、第2間隙124と実質的に位置合わせされる(例えば、y方向に沿って縦に)。第1絶縁層106は第1電極層114の上に配置され得、一方、第2絶縁層108は第2電極層120の周りに/上に配置され得る。その結果、第2電極層120は、保護コンポーネント104の第2主側面122と第2絶縁層108との間にある。示されるように、第1絶縁層106は第1間隙118内に存在する又は形成される。また、第2絶縁層108は、第2間隙124内に存在する又は形成される。言い換えると、第1及び第2間隙118及び124は、第1及び第2絶縁層106及び108の領域をそれぞれ表し、ここで第1及び第2電極層114、120の導電性材料は存在しない。
【0028】
第1電極層114及び第2電極層120は、銅から作製され得る。しかしながら、代替的な材料が使用され得ることが理解されるであろう。例えば、第1及び第2電極層114、120は、銀、銅、ニッケル、スズ、及びそれらの合金などの1又は複数の金属で作製され得、第1並びに第2主側面116、122及び/又は第1絶縁層106並びに第2絶縁層108の表面に、任意の数の方法で適用され得る。例えば、第1電極層114及び第2電極層120は、電気めっき、スパッタリング、印刷、又は積層を介して適用され得る。
【0029】
さらに示されるように、第1はんだパッド128は保護コンポーネント104の第1端部130の周りに延在し得、第2はんだパッド132は、保護コンポーネント104の第2端部134の周りに延在し得る。いくつかの実施形態において、第1はんだパッド128及び第2はんだパッド132は、第1絶縁層106及び第2絶縁層108に沿って形成され得る。第1及び第2はんだパッド128、132は、例えば、標準的なめっき技術により形成された終端であり得る。終端は、電解銅、電解スズ、銀、ニッケル、若しくは他の金属、又は、所望の合金などの複数の金属層であり得る。終端はサイズ設定され、デバイス102が表面実装方式でPCB110に搭載されることを可能にするよう構成される。
【0030】
ここで
図3Aを参照すると、本実施形態の実施形態に係るデバイス102がより詳細に説明される。示されるように、保護コンポーネント104は、第2主側面122に対向する第1主側面116と、第2端部134に対向する第1端部130と、第2側面に対向する第1側面140(不図示)とを含む。この実施形態において、第1電極層114の第1セクション114Aと第2セクション114Bとの間の第1間隙118は第1間隙幅である「w1」を有する。第2電極層120の第3セクション120Aと第4セクション120Bとの間の第2間隙124は、第2間隙幅「w2」を有する。示されるように、w1はw2に実質的に等しい。他の実施形態において、w1はw2に等しくない。
【0031】
さらに示されるように、第1セクション114Aは第1電極幅である「ew1」を有し、第2セクション114Bは第2電極幅である「ew2」を有し、第3セクション120Aは第3電極幅である「ew3」を有し、第4セクション120Bは第4電極幅である「ew4」を有する。いくつかの実施形態において、ew1はew3に略等しく、ew2はew4に略等しい。いくつかの実施形態において、ew1=ew2=ew3=ew4である。非限定的であるが、ew1とew3とは、第1絶縁層106及び第2絶縁層108の外面144及び146に沿ってそれぞれ水平に(例えば、x方向に)延在する第1はんだパッド128の幅より大きくてよい。同様に、ew2及びew4は、外面144及び146に沿って延在する第2はんだパッド132の幅より大きくてよい。さらに、第1セクション114Aは第3セクション120Aに対して実質的に縦に位置合わせされ得、一方、第2セクション114Bは第4セクション120Bに対して実質的に縦に位置合わせされ得る。
【0032】
構成されたように、使用中に、電流I1は第1セクション114Aから第2セクション114B又は第3セクション120Aのいずれかに流れ得る。同様に、電流は第3セクション120Aから第1セクション114A又は第4セクション120Bに流れ得る。しかしながら、ここでの実施形態はこの文脈に限定されない。電流が第1間隙118にわたって第1セクション114Aから第2セクション114Bに水平に(例えば、x方向に)流れることを可能にすることにより、デバイス102は、より堅牢な構造体を提供し、より良好なプロセス制御を可能にする。いくつかの実施形態において、w1及びw2は、電流が水平に流れる得ることを保証するために選択され得る。
【0033】
図3Bにおいて、第1セクション114Aは第1電極幅である「ew1」を有し、第2セクション114Bは第2電極幅である「ew2」を有し、第3セクション120Aは第3電極幅である「ew3」を有し、第4セクション120Bは第4電極幅である「ew4」を有する。示されるように、ew1はew3に等しくなく、ew2はew4に等しくない。代わりに、ew1はew4に略等しくてよく、ew2はew3に略等しくてよい。非限定的であるが、ew1は、第1はんだパッド128の第1はんだパッド幅である「spw1」に略等しくてよく、ew3は、第1はんだパッド128の第3はんだパッド幅である「spw3」に略等しくてよい。同様に、ew2は、第2はんだパッド132の第2はんだパッド幅「spw2」より大きくてよく、一方、ew4は、第2はんだパッド132の第4はんだパッド幅「spw4」より大きくてよい。さらに、第1セクション114Aは第3セクション120Aに対して実質的に縦に位置合わせされ得、一方、第2セクション114Bは第4セクション120Bに対して実質的に縦に位置合わせされ得る。しかしながら、ew2はew4より大きく、ew3はew1より大きい。結果として、第1間隙118は第2間隙124から水平に、例えば、x方向に沿ってオフセットされ得る。いくつかの実施形態において、w1はw2に実質的に等しい。他の実施形態において、w1はw2に等しくない。
【0034】
構成されたように、使用中に、電流は第1セクション114Aから第2セクション114B又は第3セクション120Aのいずれかに流れ得る。同様に、電流は第3セクション120Aから第1セクション114A、第2セクション114B又は第4セクション120Bに流れ得る。第1セクション114Aと第4セクション120Bとの間の距離に起因して、電流がこれらの2つのコンポーネントの間に流れにくい。しかしながら、ここでの実施形態はこの文脈に限定されない。電流が第1間隙118にわたって第1セクション114Aから第2セクション114Bに水平に(例えば、x方向に)、そして第2間隙124にわたって第3セクション120Aから第4セクション120Bに水平に流れることを可能にすることにより、デバイス102は、より堅牢な構造体を提供し、より良好なプロセス制御を可能にする。いくつかの実施形態において、w1及びw2は、電流が水平に流れる得ることを保証するために選択され得る。
【0035】
ここで
図4から6Bを参照すると、本開示の実施形態に係るデバイス202がより詳細に説明される。デバイス202は、上記のデバイス102と多くの態様において同様であり得る。したがって、簡潔さのために、デバイス202の特定の態様のみが以下で説明される。示されるように、デバイス202は、第1電極層214と第2電極層220との間に配置された保護コンポーネント204を含み得る。第1電極層214は、保護コンポーネント204の第1主側面216に沿って横方向に(例えば、x方向に)延在し得、一方、第2電極層220は、保護コンポーネント204の第2主側面222に沿って横方向に延在し得る。
【0036】
この実施形態において、第1絶縁又は封入層250Aと第2絶縁又は封入層250Bとは共に、保護コンポーネント204、第1電極層214、及び第2電極層220の各々を囲む封入被覆材250を形成する。示されるように、封入被覆材250は、保護コンポーネント204の4つの側、例えば、第1主側面216、第2主側面222、第1端部230、及び第2端部234を介して延在する。他の実施形態において、封入被覆材250は、保護コンポーネント204の6つの側全てを介して延在し得る。非限定的であるが、封入被覆材250は、電気絶縁性エポキシであり得、これは保護コンポーネント204、第1電極層214、及び第2電極層220を介して、印刷、噴射、注入又は別様に適用される。第1及び第2はんだパッド228、232は次に、封入被覆材250を介して位置付け/形成され得る。封入被覆材250は、デバイス202の抵抗を(例えば、0.1~0.25オーム)減らし、長期間にわたって(例えば、1000時間)それを比較的に一定に維持し得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、封入被覆材250は、異なる機能を提供する異なる層を有する多層構造体であり得る。例えば、1つの例示的な封入被覆材250の3層構造体は、耐酸化性エポキシである第1層と、耐湿性エポキシである第2層と、耐腐食性エポキシである第3層とを含み得る。しかしながら、この3層配置は非限定的であることと、封入被覆材250の数及び層は適用によって変動し得ることとが理解されるであろう。
【0038】
ここで
図7Aから7Dを参照すると、本開示の様々な代替的な実施形態に係るデバイス302が示される。当該実施形態の各々において、参照番号304は保護コンポーネントであり、参照番号306は第1絶縁層であり、参照番号308は第2絶縁層であり、参照番号314は第1電極層であり、参照320は第2電極層であり、参照番号328は第1はんだパッドであり、参照番号332は第2はんだパッドである。デバイス302は、上記のデバイス102及び202と多くの態様において同様であり得る。したがって、簡潔さのために、デバイス302は以下に説明されなり。
【0039】
ここで
図8を参照すると、本開示の実施形態に係る正温度PTCを形成する方法400が説明される。ブロック401において、方法400は、PTC保護コンポーネントを提供する段階を含み得る。ブロック403において、方法は、PTC保護コンポーネントの第1主側面に沿って第1電極層を形成する段階であって、当該第1電極層は第1間隙により第2セクションから分離された第1セクションを含む、段階を含み得る。ブロック405において、方法400は、PTC保護コンポーネントの第2主側面に沿って第2電極層を形成する段階であって、当該第2電極層は第2間隙により第4セクションから分離された第3セクションを含む、段階を含み得、ここで第1間隙は第2間隙と位置合わせされる。
【0040】
いくつかの実施形態において、第1間隙は第2間隙と実質的に等しい。いくつかの実施形態において、第1セクションは第1電極幅を有し、第2セクションは第2電極幅を有し、第3セクションは第3電極幅を有し、第4セクションは第4電極幅を有する。第1電極幅は第3電極幅に略等しく、第2電極幅は第4電極幅に略等しい。さらに、第1電極層の第1セクションは、第2電極層の第3セクションに対して実質的に垂直に位置合わせされ得る。またさらに、第1電極層の第2セクションは、第2電極層の第4セクションに対して実質的に垂直に位置合わせされ得る。
【0041】
ブロック407において、方法400は、第1電極層の上に第1絶縁層を提供する段階と、第2電極層の上に第2絶縁層を提供する段階とを含み得る。いくつかの実施形態において、第1絶縁層及び第2絶縁層は、FR-4材料又はポリイミドなどの同じ材料で作製される。
【0042】
ブロック409において、方法400は、PTC保護コンポーネントの端部の周りにはんだパッドを提供する段階を含み得、当該はんだパッドはさらに、第1絶縁層と第2絶縁層との上に延在する。いくつかの実施形態において、第2はんだパッドはPTC保護コンポーネントの第2端部の周りに延在し、第2はんだパッドはまた、第1絶縁層及び第2絶縁層の上に延在する。いくつかの実施形態において、第1及び第2はんだパッドを形成する段階の前に、保護コンポーネントと、第1電極層と、第2電極層との各々の周りに封入被覆材が提供される。第1及び第2はんだパッドは次に、封入被覆材の上に提供され得る。
【0043】
上述の記載は例示及び説明の目的で提示され、ここに開示された1つの形成又は複数の形成に本開示を限定することは意図されていない。例えば、本開示の様々な特徴は、本開示を整理する目的で、1又は複数の態様、実施形態、又は構成に一緒にグループ化され得る。しかしながら、本開示の特定の態様、実施形態、又は構成の様々な特徴は、代替の態様、実施形態、又は構成と組み合わせ得ることを理解されたい。さらに、後続の請求項は、本参照によりこの発明を実施するための形態に組み込まれ、各請求項は本開示の別個の実施形態として独立している。
【0044】
本明細書で用いられる場合、単数形で記載され、「a」又は「an」という単語で始まる要素又は段階が、複数の要素又は段階を除外しないものと、そのような除外が明示的に記載されない限り理解されたい。さらに、本開示の「1つの実施形態」に対する参照は、記載の特徴も組み込む追加的な実施形態の存在を除外するものとして解釈されることは意図されていない。
【0045】
本明細書における、含む(including)」、又は「備える(comprising)」、「有する(having)」及びその変形形態の使用は、その後に列挙される項目及びその等価物並びに追加の項目を包含することが意図されている。したがって、用語「含む(including)」、「備える(comprising)」、又は「有する(having)」及びその変形形態は、オープンエンド表現であり、本明細書では相互に入れ替え可能に使用することができる。
【0046】
フレーズ「少なくとも1つの」、「1又は複数の」及び「及び/又は」は、本明細書で使用される際、接続的及び非接続的の両方で機能するオープンエンド表現である。例えば、表現「A、B及びCの少なくとも1つ」、「A、B又はCの少なくとも1つ」、「A、B及びCの1又は複数」、「A、B又はCの1又は複数」並びに「A、B及び/又はC」のそれぞれは、Aのみ、Bのみ、Cのみ、AとBを合わせる、AとCを合わせる、BとCを合わせる、又はA、B及びCを合わせることを意味する。
【0047】
全ての指向性の指示語(例えば、近位、遠位、上部、下部、上向き、下向き、左、右、横方向、長手方向、前方、後方、頂部、底部、上、下、垂直方向、水平方向、半径方向、軸方向、時計回り、及び反時計回り)は、本開示の読み手の理解を助けるために識別の目的のためだけに使用されており、とりわけ本開示の位置、配向又は使用について限定を生むものではない。接続についての言及(例えば、取り付け、結合、接続、接合)が、広く解釈されることになり、別途指示されない限り、要素の集合の間に中間部材を含んでもよく、また要素間の相対運動を含んでもよい。したがって、接続指示語は、2つの要素が直接、互いに固定された関係で接続されることを必ずしも暗示するものではない。
【0048】
さらに、識別指示語(例えば、一次、二次、第1の、第2の、第3の、第4のなど)は、重要度又は優先度を暗示することは意図されていないが、1つの機能を別のものから区別するのに使用される。図面は例示のみを目的とし、本明細書に添付の図面に反映された寸法、位置、順番、及び相対的な大きさは変動し得る。
【0049】
さらに、用語「実質的」又は「実質的に」並びに用語「おおよそ」又は「ほぼ」は、一部の実施形態では相互に入れ替え可能に使用することができ、当業者によって容認可能な任意の相対的測定法を使用して記述することができる。例えば、これらの用語は、意図される機能を提供することが可能な偏差を示すために、基準パラメータに対する比較として機能することができる。非限定的であるが、基準パラメータからの偏差は、例えば、1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などの分量であってよい。
【0050】
またさらに、例示的な方法400が一連の動作又はイベントとして上述されているが、具体的に述べられていない限り、本開示はそのような動作又はイベントの示された順序に限定されない。例えば、いくつかの動作は、本開示に従って、異なる順番で及び/又は本明細書に例示及び/又は説明されたものとは別の他の動作又はイベントと同時に発生し得る。加えて、全ての例示された動作又はイベントが、本開示に係る方法論を実装するために必要とされない場合がある。さらに、方法400は、本明細書に例示及び説明された構造体の形成及び/又はプロセスと関連して実装され得、並びに、例示されていない他の構造体と関連して、実装され得る。
【0051】
本開示は、本明細書に記載される特有の実施形態によって範囲が制限されるべきではない。実際に、本開示の他の様々な実施形態及び本開示に対する修正形態も、本明細書に記載されるものに加えて、上述の説明及び添付図面から当業者に明らかになるであろう。したがって、そのような他の実施形態及び修正形態は、本開示の範囲内にあることが意図されている。さらに、本開示は、特定の目的のために特定の環境での特定の実装例の文脈で本明細書に記載されてきた。当業者は、有用性がそれに限定されないことを認識し、本開示は、任意の数の目的のために任意の数の環境において有益に実装されてよい。したがって、以下に記載される特許請求の範囲は、本明細書に記載されるような本開示の全容及び精神を考慮して解釈されるべきである。