(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】タイヤトレッドゴム組成物
(51)【国際特許分類】
C08L 9/06 20060101AFI20240702BHJP
C08L 9/00 20060101ALI20240702BHJP
C08L 7/00 20060101ALI20240702BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20240702BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20240702BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C08L9/06
C08L9/00
C08L7/00
C08K3/36
C08K3/04
B60C1/00 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022136348
(22)【出願日】2022-08-29
(62)【分割の表示】P 2020561915の分割
【原出願日】2019-05-01
【審査請求日】2022-08-29
(32)【優先日】2018-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515168916
【氏名又は名称】ブリヂストン アメリカズ タイヤ オペレーションズ、 エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【氏名又は名称】加藤 和詳
(72)【発明者】
【氏名】アンガー、アンソニー エム.
(72)【発明者】
【氏名】クレックナー、ジェームス ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ガリツィオ、ベンジャミン シー.
【審査官】赤澤 高之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/199688(WO,A1)
【文献】特表2018-502980(JP,A)
【文献】国際公開第2017/038001(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/209264(WO,A1)
【文献】特開2018-002867(JP,A)
【文献】特開2015-212320(JP,A)
【文献】特表2014-518913(JP,A)
【文献】国際公開第2013/001826(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 9/06
C08L 9/00
C08L 7/00
C08K 3/36
C08K 3/04
B60C 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤトレッドゴム組成物であって、
a.100部のエラストマー成分であって、
i.20%以下のビニル結合含量、25~35%のスチレンモノマー量、及び-40~-50℃のTgを有する
30~
50部のスチレン-ブタジエンゴムと、
ii.少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する30~50部のポリブタジエンゴムと、
iii.20~35部のグアユール天然ゴムと、を含む、100部のエラストマー成分と、
b.81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c.1~15phrのカーボンブラック充填剤と、
d.30~50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、
e.10~30phrの油と、
f.硬化パッケージと、を含み、
(d)及び(e)の総量が59phr以下である、タイヤトレッドゴム組成物。
【請求項2】
(d)の前記炭化水素樹脂が芳香族樹脂を含む、請求項1に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【請求項3】
(i)の前記スチレン-ブタジエンゴムが、スチレン-ブタジエンゴム100部あたり30~40部の少なくとも1種の油で油展されている、請求項1又は請求項2に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【請求項4】
15~25phrの総油含量を有する、請求項3に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物を含むトレッドを含む、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、タイヤトレッドで使用するゴム組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
タイヤは、路面に接触するトレッドを含めて多くの構成要素を含んでいる。タイヤトレッドを含むゴム組成物に使用される特定の成分は、様々であり得る。タイヤトレッドゴム組成物の配合は、1つの特性(例えば、転がり抵抗)に改善をもたらす配合への変更が、別の特性(例えば、乾燥牽引力)の劣化をもたらし得るので、複雑な科学である。
【発明の概要】
【0003】
本明細書では、タイヤトレッドで使用するゴム組成物が開示される。
【0004】
第1の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)(i)30~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する30~60部のポリブタジエンゴムと、を含む、100部のエラストマー成分と、(b)81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)0~40phrの油と、(f)硬化パッケージと、を含む。第1の実施形態によると、(d)及び(e)の総量は、59phr以下である。
【0005】
第2の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー成分であって、(i)20%以下のビニル結合含量及び約-40~約-50℃のTgを有する40~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部のポリブタジエンゴムと、を含み、(i)及び(ii)の総量が90~100部である、100部のエラストマー成分と、(b)81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)0~40phrの油と、(f)硬化パッケージと、を含む。第2の実施形態によると、(d)及び(e)の総量は、59phr以下である。
【0006】
第3の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー成分であって、(i)20%以下のビニル結合含量及び約-40~約-50℃のTgを有する40~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部のポリブタジエンゴムと、を含み、(i)及び(ii)の総量が90~100部である、100部のエラストマー成分と、(b)81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する11~30phrの少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂と、(e)0~30phrの油と、(f)硬化パッケージと、を含む。第3の実施形態によると、(d)及び(e)の総量は、49phr以下である。
【0007】
第4の実施形態では、第1の実施形態、第2の実施形態、又は第3の実施形態によるタイヤトレッドゴム組成物を含むトレッドを含むタイヤが開示される。
【0008】
第5の実施形態では、第1、第2、又は第3の実施形態のいずれか1つによるタイヤトレッドゴム組成物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、第1、第2、又は第3の実施形態に対して本明細書にそれぞれ記載される成分を利用することを含む。言い換えれば、第5の実施形態によると、タイヤトレッドゴム組成物は、第1、第2、又は第3の実施形態に対して本明細書に記載される成分から作製される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書では、タイヤトレッドで使用するゴム組成物が開示される。
【0010】
第1の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)(i)30~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する30~60部のポリブタジエンゴムと、を含む、100部のエラストマー成分と、(b)81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)0~40phrの油と、(f)硬化パッケージと、を含む。第1の実施形態によると、(d)及び(e)の総量は、59phr以下である。
【0011】
第2の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー成分であって、(i)20%以下のビニル結合含量及び約-40~約-50℃のTgを有する40~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部のポリブタジエンゴムと、を含み、(i)及び(ii)の総量が90~100部である、100部のエラストマー成分と、(b)81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、(e)0~40phrの油と、(f)硬化パッケージと、を含む。第2の実施形態によると、(d)及び(e)の総量は、59phr以下である。
【0012】
第3の実施形態では、タイヤトレッドゴム組成物が開示される。組成物は、(a)100部のエラストマー成分であって、(i)20%以下のビニル結合含量及び約-40~約-50℃のTgを有する40~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部のポリブタジエンゴムと、を含み、(i)及び(ii)の総量が90~100部である、100部のエラストマー成分と、(b)81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、(c)15phr以下のカーボンブラック充填剤と、(d)約30~約50℃のTgを有する11~30phrの少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂と、(e)0~30phrの油と、(f)硬化パッケージと、を含む。第3の実施形態によると、(d)及び(e)の総量は、49phr以下である。
【0013】
第4の実施形態では、第1の実施形態、第2の実施形態、又は第3の実施形態によるタイヤトレッドゴム組成物を含むトレッドを含むタイヤが開示される。
【0014】
第5の実施形態では、第1、第2、又は第3の実施形態のいずれか1つによるタイヤトレッドゴム組成物を調製するためのプロセスが提供され、プロセスは、第1、第2、又は第3の実施形態に対して本明細書にそれぞれ記載される成分を利用することを含む。言い換えれば、第5の実施形態によると、タイヤトレッドゴム組成物は、第1、第2、又は第3の実施形態に対して本明細書に記載される成分から作製される。
定義
【0015】
本明細書に記載される用語は、実施形態を説明するためだけのものであり、全体として本発明を限定すると解釈すべきではない。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「大部分」は、50%超を指す。
【0017】
本明細書で使用されるとき、略記Mnは、数平均分子量に使用される。
【0018】
本明細書で使用されるとき、略記Mpは、ピーク分子量に使用される。
【0019】
本明細書で使用されるとき、略記Mwは、重量平均分子量に使用される。
【0020】
本明細書で特に指示がないかぎり、用語「ムーニー粘度」とは、ムーニー粘度、ML1+4を意味する。ゴム組成物のムーニー粘度は、加硫又は硬化に先立って測定されることを、当業者は理解するであろう。
【0021】
本明細書で使用するとき、用語「天然ゴム」は、パラゴムノキ属のゴムの木及びパラゴムノキ属以外の原料(例えば、グアユールの低木及びタンポポ(例えば、TKS)など)の原料から採取することができるものなど、天然由来のゴムを意味する。言い換えれば、用語「天然ゴム」は、合成ポリイソプレンを除くものと解釈すべきである。
【0022】
本発明で使用する場合、用語「phr」とは、ゴム100部あたりの部を意味する。100部のゴムは、本明細書において100部のエラストマー成分とも称される。
【0023】
本明細書で使用するとき、用語「ポリイソプレン」は、合成ポリイソプレンを意味する。言い換えれば、この用語は、イソプレンモノマーから製造されたポリマーを示すために用いられ、天然由来のゴム(例えば、パラゴムノキ天然ゴム、グアユール起源の天然ゴム、又はタンポポ起源の天然ゴム)を含むと解釈すべきではない。ただし、用語「ポリイソプレン」は、イソプレンモノマーの天然源から製造されるポリイソプレンを含むと解釈すべきである。
【0024】
本明細書で使用されるとき、用語「トレッド」は、通常の膨張及び負荷下で路面と接触するタイヤの部分、並びに任意のサブトレッドの両方を指す。
タイヤトレッドゴム組成物
【0025】
上述のように、第1~第3の実施形態は、タイヤトレッドゴム組成物を対象とする。対象ゴム組成物は、一般に、対象ゴム組成物のうちの1つを成形及び硬化することによるトレッドパターンの形成を含むプロセスによって、タイヤ用のトレッドを調製する際に使用される。したがって、タイヤトレッドは、タイヤトレッドゴム組成物のうちの1つの硬化形態を含む。タイヤトレッドゴム組成物は、形成済みであるがまだタイヤに組み込まれていないトレッドの形態で存在し得、及び/又はタイヤの一部を形成するトレッド内に存在し得る。
【0026】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態によれば、全ゴム組成物のTgは様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約-50~約-30℃のTgを有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、-50~-30℃(例えば、-50、-49、-48、-47、-46、-45、-44 -43、-42、-41、-40、-39、-38、-37、-36、-35、-34、-33、-32、-31、又は-30℃)、約-45~約-35℃、又は-45~-35℃(例えば、-45、-44、-43、-42、-41、-40、-39、-38、-37、-36、又は-35℃)のTgを有する。
エラストマー成分
【0027】
上述のように、第1~第4の実施形態によれば、タイヤトレッドゴム組成物は、100部のエラストマー成分を含む。エラストマー成分の成分としては、スチレン-ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、及びいくつかの実施形態では、天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせが挙げられる。総量100部のエラストマー又はゴムが使用され、その結果、他の成分の量は、phrの量で、又はゴム100部(又はエラストマー成分100部)あたりの部数で列挙され得る。非限定例として、75部のスチレン-ブタジエンゴム、25部のポリブタジエンゴム、及び85部の補強シリカ充填剤を含有するゴム組成物については、シリカ充填剤の量は、85phrと記載されることができる。
【0028】
上述のように、第1の実施形態によれば、100部のエラストマー成分は、(i)30~60部(例えば、30、35、40、45、50、55、又は60部)のスチレン-ブタジエンゴム、並びに(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する30~60部(例えば、30、35、40、45、50、55、又は60部)のポリブタジエンゴムを含む。第1の実施形態の特定の実施形態では、(i)及び(ii)の総量は、90~100部(例えば、90、95、99又は100部)、又は更に100部であり、特定のそのような実施形態では、(i)は、40~60部(例えば、40、45、50、55、又は60部)の量で存在し、20%以下(例えば、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%又はそれより下)のビニル結合含量及び約-40~約-50℃(例えば、-40、-41、-42、-43、-44、-45、-46、-47、-48、-49、又は-50℃)のTgを有し、(ii)は、40~60部(例えば、40、45、50、55、又は60部)の量で存在する。第1の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分は、天然ゴム及びポリイソプレンを含まない(すなわち、0部のそれらを含有する)。第1の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分は、30~50部(例えば、30、35、40、45、又は50部)の量で(i)を含み、(ii)は30~50部(例えば、30、35、40、45、又は50部)の量で存在し、エラストマー成分は、(iii)20~40部(例えば、20、25、30、35、又は40部)の天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせを更に含む。第1の実施形態の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物中に存在する任意の天然ゴム及び/又はポリイソプレンは、エポキシ化されておらず、特定のそのような実施形態では、トレッドゴム組成物は、10phr以下のエポキシ化天然ゴム又はエポキシ化ポリイソプレン、好ましくは5phr以下のエポキシ化天然ゴム又はエポキシ化ポリイソプレン、より好ましくは0phrのエポキシ化天然ゴム又はエポキシ化ポリイソプレンを含有する。第1の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー成分は、上記の量で(i)及び(ii)から(のみ)なる。第1の実施形態の他の実施形態では、100部のエラストマー成分は、上記の量で(i)、(ii)、及び(iii)から(のみ)なる。第1の実施形態の更に他の実施形態では、100部のエラストマー成分は、(i)、(ii)及び(iii)に加えて、1種又は複数種の追加のゴム(iv)を含む。第1の実施形態によれば、1種又は複数種の追加のゴム(iv)が存在する場合、その量は、一般に、20部以下、15部以下、10部以下、又は5部以下に限定される。第1の実施形態の特定の実施形態では、1種又は複数種の追加のゴム(iv)がジエンモノマー含有ゴムから選択され、特定のそのような実施形態では、1種又は複数種の追加のゴム(iv)は、スチレン-イソプレンゴム、ブタジエン-イソプレン-ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム(ハロゲン化及び非ハロゲン化の両方)、ネオプレン(ポリクロロプレン)、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第1の実施形態の更に他の実施形態では、1種又は複数種の追加のゴムは、スチレン-ブタジエンゴム(i)以外の1種若しくは複数種のスチレン-ブタジエンゴム、例えば、-40℃超若しくは-50℃未満のTgを有するSBRから、ポリブタジエンゴム(ii)以外の1種若しくは複数種のポリブタジエンゴム、例えば、95%未満のシス結合含量を有するBR、例えば、低いシス1,4結合含量(例えば、50%未満、45%未満、40%未満などのシス1,4結合含量を有するポリブタジエン)及び/若しくは-101℃未満のTgを有するポリブタジエンから、天然ゴム若しくはポリイソプレン(iii)以外のジエンモノマー含有ゴムから、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0029】
上述のように、第2及び第3の実施形態によれば、100部のエラストマー成分は、(i)20%以下(例えば、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、10%又はそれより下)のビニル結合含量及び約-40~約-50℃(例えば、-40、-41、-42、-43、-44、-45、-46、-47、-48、-49、又は-50℃)のTgを有する40~60部(例えば、40、45、50、55、又は60部)のスチレン-ブタジエンゴムと、(ii)少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部(例えば、40、45、50、55、又は60部)のポリブタジエンゴムと、を含み、(i)及び(ii)の総量は、90~100部(例えば、90、95、99、又は100部)である。エラストマーについて本明細書で言及されるTg値は、油展を全く伴わずにエラストマー上で行われたTg測定を表す。言い換えれば、油展エラストマーでは、上記のTg値は、油展前のTg、又は同じエラストマーの非油展バージョンを指す。エラストマー又はポリマーTg値は、TA Instruments(New Castle,Delaware)製などの示差走査熱量測定(DSC)計器を使用して測定され得、測定は、-120℃で冷却してから10℃/分の温度上昇を使用して実施する。その後、正接をDSC曲線の急上昇前後のベースラインに引く。DSC曲線上の温度(2つの接点の中間に対応する点で読み取る)をTgとして使用することができる。第2及び第3の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分は、天然ゴム又はポリイソプレンを含まない(すなわち、0phrのそれを含有する)ものとして理解することができる。第2及び第3の実施形態の好ましい実施形態では、トレッドゴム組成物中に存在する任意の天然ゴム及び/又はポリイソプレンは、エポキシ化されておらず、特定のそのような実施形態では、トレッドゴム組成物は、10phr以下のエポキシ化天然ゴム又はエポキシ化ポリイソプレン、好ましくは5phr以下のエポキシ化天然ゴム又はエポキシ化ポリイソプレン、より好ましくは0phrのエポキシ化天然ゴム又はエポキシ化ポリイソプレンを含有する。第2及び第3の実施形態の特定の実施形態では、(i)は、45~55部(例えば、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、又は55部)の量で存在し、(ii)は、45~55部(例えば、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、又は55部)の量で存在する。第2及び第3の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、15%以下のビニル結合含量を有する。第2及び第3の実施形態の特定の実施形態では、100部のエラストマー成分は、上記の量で(i)及び(ii)から(のみ)なる。第2及び第3の実施形態の他の実施形態では、100部のエラストマー成分は、(i)及び(ii)に加えて、1種又は複数種の追加のゴムを10部未満(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1部)の量で含む。第2及び第3の実施形態によれば、1種又は複数種の追加のゴムが存在する場合、その量は、10未満に、又は更に5部以下に限定される。第2及び第3の実施形態の特定の実施形態では、1種又は複数種の追加のゴムがジエンモノマー含有ゴムから選択され、特定のそのような実施形態では、1種又は複数種の追加のゴムは、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレン-イソプレンゴム、ブタジエン-イソプレン-ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエンゴム、ブチルゴム(ハロゲン化及び非ハロゲン化の両方)、エチレン-プロピレンゴム(EPR)、エチレン-ブチレンゴム(EBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。第2及び第3の実施形態の更に他の実施形態では、1種又は複数種の追加のゴムは、スチレン-ブタジエンゴム(i)以外の1種若しくは複数種のスチレン-ブタジエンゴム、例えば、-40℃超若しくは-50℃未満のTg及び/若しくは20%超(例えば、25%、30%、35%、40%、45%、50%、20~50%など)のビニル結合含量を有するSBRから、ポリブタジエンゴム(ii)以外の1種若しくは複数種のポリブタジエンゴム、例えば、95%未満のシス結合含量を有するBR、例えば、低いシス1,4結合含量(例えば、50%未満、45%未満、40%未満などのシス1,4結合含量を有するポリブタジエン)及び/若しくは-101℃未満のTgを有するポリブタジエンから、天然ゴム若しくはポリイソプレン(iii)以外のゴムを含有するジエンモノマーから、又はこれらの組み合わせから選択される。
【0030】
第1~第4の実施形態によれば、エラストマー成分は、(i)としてスチレン-ブタジエンゴムを含む。第1~第4の実施形態によれば、エラストマー成分の(i)はスチレン-ブタジエンゴムからなる。1種又は2種以上(例えば、2種、3種、又はそれより上)のスチレン-ブタジエンゴムが(i)として使用され得る。(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合又は乳化重合のいずれかによって調製され得る。第1~第4の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(i)で使用されるスチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合によって調製されるものだけである。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、(i)で使用されるスチレン-ブタジエンゴムは、乳化重合によって調製されるものだけである。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、2種以上のスチレン-ブタジエンゴムが(i)のために使用される場合、ゴムは、溶液重合SBRと乳化重合SBRとの組み合わせである(例えば、1種の溶液SBRと1種の乳化SBR)。第1~第4の実施形態の特定の好ましい実施形態では、エラストマー成分は、20部未満(例えば、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は0部)の乳化SBR、15部未満の乳化SBR、10部未満の乳化SBR、5部以下の乳化SBR(例えば、5、4、3、2、1又は0部)、又は0部の乳化SBRを含有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(上述したような)乳化SBRの量の制限は、ゴム組成物の剛性に、及び良好な転がり抵抗性能を達成するのに有利であり得る。
【0031】
第1~第4の実施形態によれば、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、官能化又は非官能化され得る。本明細書で使用されるとき、「官能化」という用語は、官能基及びカップリング剤の両方の使用を包含すると理解されるべきである。1種又は2種以上の官能基が各SBRに利用され得る。一般に、官能基は、ポリマーの先端部に、ポリマーの末端部に、ポリマー鎖の骨格に沿って、又はこれらの組み合わせで存在し得る。ポリマーの一方又は両方の末端に存在する官能基は、一般に、官能性開始剤、官能性停止剤、又はその両方の使用の結果である。代替として又は更に、官能基は、カップリング剤を使用した複数のポリマー鎖の結合の結果として存在し得る(以下に記載される)。第1~第4の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(i)の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムは、好ましくはシリカ反応性官能基で、官能化されている。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)は1種のスチレン-ブタジエンゴムから(のみ)なり、特定のそのような実施形態では、スチレン-ブタジエンゴムは、シリカ反応性官能基で官能化されている。第1~第4の実施形態の他の好ましい実施形態では、(i)は、官能化されていない(すなわち、官能基もカップリング剤も含有しない)1種のスチレン-ブタジエンゴムから(のみ)なる。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、(i)は2種以上のスチレン-ブタジエンゴム(例えば、2種、3種、又はそれより上)からなり、特定のそのような実施形態では、スチレン-ブタジエンゴムのうちの少なくとも1種は、シリカ反応性官能基で官能化されている。シリカ反応性官能基の非限定例として、一般に、窒素含有官能基、ケイ素含有官能基、酸素又は硫黄含有官能基、及び金属含有官能基が挙げられ、以下でより詳細に記載する。
【0032】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態の(i)において官能化SBRが使用される場合、官能化は、官能基をポリマーの一方若しくは両方の末端に付加することによって、官能基をポリの骨格に付加することによって(又は前述の組み合わせによって)、又は2つ以上のポリマー鎖をカップリング剤に結合することによって、又はこれらの組み合わせによって達成することができ、そのような効果は、リビングポリマーをカップリング剤、官能化剤、又はこれらの組み合わせで処理することによって達成することができ、これは、他の鎖を結合及び/又は官能化するのに役立つ。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)の官能化SBRは、1つ又は複数の官能基を含むが、結合されていない(すなわち、いかなるカップリング剤も含んでいない)。カップリング剤及び/又は官能化剤は、様々なモル比で使用することができる。あるいは、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)の官能化スチレン-ブタジエンゴムは、単にカップリング剤の使用の結果に由来するシリカ反応性であり得る。本明細書においてカップリング剤及び官能化基(及びそのために使用される化合物)の両方の使用が参照されるが、当業者は、特定の化合物が両方の機能を果たし得ることを理解する。つまり、特定の化合物は、ポリマー鎖を結合すること、及び官能基と共にポリマー鎖を提供することの両方ができる。当業者はまた、ポリマー鎖を結合する能力はポリマー鎖と反応したカップリング剤の量に依存し得ることを理解する。例えば、反応開始剤のリチウムの当量とカップリング剤の脱離基(例えば、ハロゲン原子)の当量との1対1の比でカップリング剤を添加する場合、有利な結合を達成することができる。カップリング剤の非限定例としては、金属ハライド、半金属ハライド、アルコキシシラン、アルコキシスタンナン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態において(i)のスチレン-ブタジエンゴム中のシリカ反応性官能基として利用することができる窒素含有官能基の非限定例としては、置換又は非置換アミノ基、アミド残基、イソシアネート基、イミダゾリル基、インドリル基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、及びケチミン基が挙げられるが、これらに限定されない。上記置換又は非置換アミノ基は、一級アルキルアミン、二級アルキルアミン、又は環状アミン、及び、置換又は非置換イミン由来のアミノ基を含むと理解されたい。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の窒素含有官能基のリストから選択される1つのシリカ反応性官能基において含む。
【0034】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、イミノ基の形態で窒素を含む化合物からのシリカ反応性官能基を含む。このようなイミノ含有官能基は、ポリマー鎖の活性末端を、以下の式(I)を有する化合物と反応させることによって付加され得る。
【化1】
式中、R、R’、R’’、及びR’’’はそれぞれ独立して、アルキル基、アリル基、及びアリール基からなる群から選択される1~18個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する基から選択され、m及びnは、それぞれ、1~20(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20)及び1~3(1、2、又は3)の整数である。R、R’、R’’、及びR’’’のそれぞれは、好ましくはヒドロカルビルであり、ヘテロ原子を含有しない。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、各R及びR’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは1~3個の炭素原子(例えば、1、2、又は3個の炭素原子)を有するアルキル基から独立して選択される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、mは2~6(例えば、2、3、4、5、又は6)、好ましくは2~3の整数である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、R’’’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは2~4個の炭素原子(例えば、2、3、又は4個の炭素原子)を有する基から選択される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、R’’は、1~6個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、好ましくは1~3個の炭素原子(例えば、1、2、又は3個の炭素原子)、最も好ましくは1個の炭素原子(例えば、メチル)を有するアルキル基から選択される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、nは3であり、トリアルコキシシラン部分などのトリヒドロカルボキシシラン部分を有する化合物をもたらす。(i)のスチレン-ブタジエンゴムのためのシリカ反応性官能基を提供するのに適している、イミノ基を有し、上記の式(I)を満たす化合物の非限定例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル(triethoxysily1))-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及びN-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0035】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態において(i)のスチレン-ブタジエンゴム中のシリカ反応性官能基として利用することができるケイ素含有官能基の非限定例としては、有機シリル又はシロキシ基が挙げられるが、これらに限定されず、より正確には、このような官能基は、アルコキシシリル基、アルキルハロシリル基、シロキシ基、アルキルアミノシリル基、及びアルコキシハロシリル基から選択され得る。任意選択的に、有機シリル又はシロキシ基はまた、1つ又は複数の窒素を含有し得る。ジエン系エラストマーの官能化での使用に好適なケイ素含有官能基として、この開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,369,167号に開示されるものも挙げられる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述のケイ素含有官能基のリストから選択される少なくとも1つのシリカ反応性官能基を含む。
【0036】
(i)のスチレン-ブタジエンゴムがシリカ反応性官能基を含む、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、官能基は、好ましくは、シロキシ基(例えば、ヒドロカルビルオキシシラン含有化合物)を有するケイ素含有化合物から生じ、化合物は、任意選択的に、少なくとも1つの官能基を有する一価の基を含む。このようなケイ素含有官能基は、ポリマー鎖の活性末端を、以下の式(II)を有する化合物と反応させることによって付加され得る。
【化2】
式中、A
1は、エポキシ、イソシアネート、イミン、シアノ、カルボン酸エステル、カルボン酸無水物、環状三級アミン、非環状三級アミン、ピリジン、シラザン及び硫化物から選択される少なくとも1つの官能基を有する一価の基を表し、R
cは、単結合、又は1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する二価炭化水素基を表し、R
dは、1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する一価脂肪族炭化水素基、6~18個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する一価芳香族炭化水素基又は反応性基を表し、R
eは、1~20個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20個の炭素原子)を有する一価脂肪族炭化水素基、又は6~18個の炭素原子(例えば、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、又は18個の炭素原子)を有する一価芳香族炭化水素基を表し、bは0~2の整数であり、2つ以上のR
d又はOR
eが存在するとき、各R
d及び/又はOR
eは、互いに同じであっても異なっていてもよく、並びに活性プロトンは、分子)及び/又はその部分縮合生成物内に含まれない。本明細書で使用されるとき、部分縮合生成物は、ヒドロカルビルオキシシラン化合物中のSiOR基の一部(全てではない)が、縮合によってSiOSi結合になっている生成物を指す。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(a)R
cが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、又は2~3個の炭素原子(例えば、2又は3個の炭素原子)を有する二価炭化水素基を表すこと、(b)R
eが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、若しくは1~2個の炭素原子を有する一価脂肪族炭化水素基、又は6~8個の炭素原子を有する一価芳香族炭化水素基を表すこと、(c)R
dが、1~12個の炭素原子(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12個の炭素原子)、2~6個の炭素原子(例えば、2、3、4、5、又は6個の炭素原子)、若しくは1~2個の炭素原子を有する一価脂肪族炭化水素基、又は6~8個の炭素原子を有する一価芳香族炭化水素基を表すこと、のうちの少なくとも1つが満たされ、特定のそのような実施形態では、(a)、(b)及び(c)のそれぞれが満たされ、R
c、R
e及びR
dは、前述の基のうちの1つから選択される。
【0037】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのエポキシ基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、2-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、(2-グリシドキシエチル)メチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)-メチルジメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル(メチル)ジメトキシシランなどが挙げられる。これらの中でも、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン及び2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが特に適している。
【0038】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのイソシアネート基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルメチルジエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。
【0039】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのイミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルエチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-エチリデン-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(4-N,N-ジメチルアミノベンジリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N-(シクロヘキシリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、及び上記のトリエトキシシリル化合物にそれぞれ対応するトリメトキシシリル化合物、メチルジエトキシシリル化合物、エチルジメトキシシリル化合物などが挙げられる。これらの中でも、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン及びN-(1-メチルプロピリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミンが特に適している。また、イミン(アミジン)基含有化合物としては、好ましくは、1-[3-トリメトキシシリル]プロピル]-4,5-ジヒドロイミダゾール、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピル(トリエトキシ)シラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチル(トリメトキシ)シラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール、N-(3-メチルジエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールなどが挙げられ、これらの中でも、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾール及びN-(3-イソプロポキシシリルプロピル)-4,5-ジヒドロイミダゾールが好ましい。
【0040】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのカルボン酸エステル基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリイソプロポキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランが好ましい。
【0041】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのカルボン酸無水物基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3-メチルジエトキシシリルプロピルコハク酸無水物などが挙げられ、これらの中でも3-トリエトキシシリルプロピルコハク酸無水物が好ましい。
【0042】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのシアノ基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-シアノエチルプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。
【0043】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(iii)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つの環状三級アミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリメトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシラン、(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリメトキシシラン、2-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)エチルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリメトキシシラン、3-(1-ピロリジニル)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘプタメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ドデカメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシメチルシラン、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルジエトキシエチルシラン、3-[10-(トリエトキシシリル)デシル]-4-オキサゾリンなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、3-(1-ヘキサメチレンイミノ)プロピルトリエトキシシラン及び(1-ヘキサメチレンイミノ)メチルトリエトキシシランを列挙することができる。
【0044】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つの非環状三級アミン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルトリメトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリエトキシシラン、2-ジメチルアミノエチルトリメトキシシラン、3-ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、3-ジブチルアミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられ、これらの中でも、3-ジメチルアミノプロピルトリエトキシシラン及び3-ジエチルアミノプロピルトリエトキシシランが適している。
【0045】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムの官能基は、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのピリジン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、2-トリメトキシシリルエチルピリジンなどが挙げられる。
【0046】
(i)のスチレン-ブタジエンゴムがシリカ反応性官能基を含有する第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、官能基は、好ましくは、式(II)によって表される化合物から生じ、式中、A1は少なくとも1つのシラザン基を有する。このような化合物の非限定的な具体例としては、N,N-ビス(トリメチルシリル)-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジメトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノエチルメチルジエトキシシランなどが挙げられる。N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N-ビス(トリメチルシリル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、又は1-トリメチルシリル-2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタンが特に好ましい。
【0047】
(上に詳述されているように)式(II)によるシリカ反応性官能基が使用され、式中、A1が1つ又は複数の保護された窒素を含有する、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、窒素は、保護された窒素を一級窒素に変換するために、加水分解又は他の手順によって脱保護又は脱ブロックされ得る。非限定例として、2つのトリメチルシリル基に結合した窒素は、脱保護され、一級アミン窒素に変換され得る(そのような窒素は、依然として式(II)の化合物の残部に結合されている)。したがって、スチレン-ブタジエンゴムのシリカ反応性官能基が式(II)による化合物の使用から生じ、式中、A1が1つ又は複数の保護された窒素を含有する、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、官能化ポリマーは、化合物の脱保護(又は加水分解)バージョンから生じる官能基を含有するものとして理解することができる。
【0048】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態において(i)のスチレン-ブタジエンゴム中のシリカ反応性官能基として利用することができる酸素又は硫黄含有官能基の非限定例としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エポキシ基、グリシドキシ基、ジグリシジルアミノ基、環状ジチアン由来官能基、エステル基、アルデヒド基、アルコキシ基、ケトン基、チオカルボキシル基、チオエポキシ基、チオグリシドキシ基、チオジグリシジルアミノ基、チオエステル基、チオアルデヒド基、チオアルコキシ基、及びチオケトン基が挙げられるが、これらに限定されない。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、前述のアルコキシ基は、ベンゾフェノン由来のアルコール由来アルコキシ基であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の酸素又は硫黄含有官能基のリストから選択される少なくともシリカ反応性官能基を含む。
【0049】
第1~第4の実施形態によれば、(i)のシリカ反応性官能基を有する1種又は複数種のスチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合又は乳化重合のいずれかによって調製され得る。第1~第4の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(i)で使用されるシリカ反応性官能基を有するスチレン-ブタジエンゴムは、溶液重合によって調製されるものだけである。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、(i)で使用されるシリカ反応性官能基を有するスチレン-ブタジエンゴムは、乳化重合によって調製されるものだけである。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、シリカ反応性官能基を有する2種以上のスチレン-ブタジエンゴムが(i)のために使用される場合、ゴムは、溶液重合SBRと乳化重合SBRとの組み合わせである(例えば、1種の溶液SBRと1種の乳化SBR)。上述のように、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分中に存在するスチレン-ブタジエンゴム(シリカ反応性官能基を有するSBRを含む)は、溶液SBRのみである(すなわち、乳化SBRは存在しない)。
【0050】
第1~第4の実施形態の1つ又は複数の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムのためのカップリング剤は、式(1)のR*
nM1Y(4-n)、式(2)のM1Y4、及び式(3)のM2Y3によって表される化合物を含む群から選択される金属ハライド又は半金属ハライドを含み、式中、各R*は独立して、1~20個の炭素原子を有する1価の有機基であり、M1はスズ原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であり、M2はリン原子であり、Yはハロゲン原子であり、nは0~3の整数である。
【0051】
式(1)で表される代表的な化合物としては、ハロゲン化有機金属化合物が挙げられ、式(2)及び(3)で表される化合物としては、ハロゲン化金属化合物が挙げられる。
【0052】
M1がスズ原子を表す場合、式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルスズクロリド、トリブチルスズクロリド、トリイソプロピルスズクロリド、トリヘキシルスズクロリド、トリオクチルスズクロリド、ジフェニルスズジクロリド、ジブチルスズジクロリド、ジヘキシルスズジクロリド、ジオクチルスズジクロリド、フェニルスズトリクロリド、ブチルスズトリクロリド、オクチルスズトリクロリドなどであり得る。更に、式(2)で表される化合物としては、スズテトラクロリド、スズテトラブロミドなどが挙げられ得る。
【0053】
M1がケイ素原子を表す場合、式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルクロロシラン、トリヘキシルクロロシラン、トリオクチルクロロシラン、トリブチルクロロシラン、トリメチルクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、ジヘキシルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン、ジブチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、メチルトリクロロシランなどであり得る。更に、式(2)で表される化合物としては、ケイ素テトラクロリド(silicon tetrachloride)、ケイ素テトラブロミド(silicon tetrabromide)などが挙げられ得る。M1がゲルマニウム原子を表す場合、式(1)で表される化合物は、例えば、トリフェニルゲルマニウムクロリド、ジブチルゲルマニウムジクロリド、ジフェニルゲルマニウムジクロリド、ブチルゲルマニウムトリクロリドなどであり得る。更に、式(2)で表される化合物としては、ゲルマニウムテトラクロリド、ゲルマニウムテトラブロミドなどが挙げられ得る。式(3)で表される化合物としては、リンテトラクロリド(Phosphorous trichloride)、リンテトラブロミド(phosphorous tribromide)などが挙げられ得る。1つ以上の実施形態では、金属ハライド及び/又は半金属ハライドの混合物を使用することができる。
【0054】
第1~第4の実施形態の1つ又は複数の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムのためのカップリング剤は、式(4)のR*
nM1(OR^)4-nによって表される化合物を含む群から選択されるアルコキシシラン又はアルコキシスタンナンを含み、式中、各R*は独立して1~20個の炭素原子を有する1価の有機基であり、M1はスズ原子、ケイ素原子、又はゲルマニウム原子であり、OR^はアルコキシ基であり、R^は1価の有機基であり、nは0~3の整数である。
【0055】
式(4)で表される例示的な化合物としては、テトラエチルオルソシリケート、テトラメチルオルソシリケート、テトラプロピルオルソシリケート、テトラエトキシスズ、テトラメトキシスズ、及びテトラプロポキシスズが挙げられる。
【0056】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態によれば、エラストマー成分中に(i)として存在するスチレン-ブタジエンゴムは、様々なMw、Mn、及び多分散度(Mw/Mn)を有し得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分の(i)は、350,000~550,000(例えば、350,000、375,000、400,000、425,000、450,000、475,000、500,000、525,000、又は550,000グラム/モル)のMw又は600,000~950,000グラム/モル(例えば、600,000、625,000、650,000、675,000、700,000、725,000、750,000、775,000、800,000、825,000、850,000、875,000、900,000、925,000、又は950,000グラム/モル)のMwを有する少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含み、特定のそのような実施形態では、(i)は、SBRを1種のみ含み、前述の範囲のうちの1つの範囲内のMwを有する。第3の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分の(i)は、600,000~950,000(例えば、600,000、625,000、650,000、675,000、700,000、725,000、750,000、775,000、800,000、825,000、850,000、875,000、900,000、925,000、又は950,000グラム/モル)又は700,000~900,000グラム/モル(例えば、700,000、725,000、750,000、775,000、800,000、825,000、850,000、875,000、又は900,000グラム/モル)のMwを有する少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含み、特定のそのような実施形態では、(i)は、SBRを1種のみ含み、前述の範囲のうちの1つの範囲内のMwを有する。本明細書において言及されているMw値は、重量平均分子量であり、これは、スチレン-ブタジエン標準及び対象のポリマーに対してマルク-ハウインク定数により較正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することにより決定することができる。
【0057】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分の(i)は、175,000~425,000(例えば、175,000、200,000、225,000、250,000、275,000、300,000、325,000、350,000、375,000、400,000、又は425,000グラム/モル)のMnを有する少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含み、特定のそのような実施形態では、(i)は、SBRを1種のみ含み、前述の範囲内のMnを有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分の(i)は、175,000~300,000グラム/モル(例えば、175,000、200,000、225,000、250,000、275,000、又は300,000グラム/モル)又は175,000~250,000グラム/モル(例えば、175,000、200,000、225,000、又は250,000グラム/モル)のMnを有する少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含み、特定のそのような実施形態では、(i)は、SBRを1種のみ含み、前述の範囲のうちの1つの範囲内のMnを有する。本明細書において言及されているMn値は、数平均分子量であり、これは、スチレン-ブタジエン標準及び対象のポリマーに対してマルク-ハウインク定数により較正したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用することにより決定することができる。
【0058】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分の(i)は、1.5~2.5(例えば、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、又は2.5)、好ましくは1.7~2.5(例えば、1.7、1.8、1.9、2、2.1、2.2、2.3、2.4、又は2.5)のMw/Mn(多分散度)を有する少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムを含み、特定のそのような実施形態では、(i)は、SBRを1種のみ含み、前述の範囲のうちの1つの範囲内のMw/Mnを有する。
【0059】
本明細書に開示される第1の実施形態によれば、(i)の少なくとも1種のスチレン-ブタジエンゴムのビニル結合含量(すなわち、1,2-ミクロ構造)は様々であり得る。上述のように、第2及び第3の実施形態によれば(並びに第1及び第4の実施形態の特定の実施形態では)、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、20%以下(例えば、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、又はそれより下)のビニル結合含量を有する。第1及び第4の実施形態の他の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、30%以下(例えば、30%、25%、20%、15%、又はそれより下)、又は25%以下(例えば、25%、24%、23%、22%、21%、20%、15%又はそれより下)のビニル結合含量を有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、10~20%(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、又は20%)、又は10~15%(例えば、10、11、12、13、14、又は15%)のビニル結合含量を有する。(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の範囲のうちの1つの範囲内のビニル結合含量を、任意選択的に上記のMw、Mn、Mw/Mn、Tg、及び/又はスチレンモノマー含量の範囲のうちの1つ又は複数と組み合わせて、有し得る。本明細書で言及されるビニル結合含量は、SBRポリマー鎖のブタジエン部分におけるビニル結合含量ではなく、SBRポリマー鎖中の総ビニル結合含量についてであるものとして理解されるべきであり、H1-NMR及びC13-NMRによって(例えば、300MHz Gemini 300 NMR Spectrometer System(Varian)を使用して)測定することができる。本明細書に開示される第1~第4の実施形態によれば、(i)で使用されるスチレン-ブタジエンゴムのスチレンモノマー含量(すなわち、ブタジエン単位とは対照的にスチレン単位を含むポリマー鎖の重量パーセント)は様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、約15~約45重量%、15~45重量%(例えば、15%、20%、25%、30%、35%、40%、又は45%)、20~40重量%(例えば、20%、25%、30%、35%、又は40%)、又は25~35重量%(例えば、25%、26%、27%、28%、29%、30%、31%、32%、33%、34%、又は35%)のスチレンモノマー含量を有する。(i)のスチレン-ブタジエンゴムは、前述の範囲のうちの1つの範囲内のスチレンモノマー含量を、任意選択的に、以下に記載されるMw、Mn、及び/又はMw/Mnの範囲のうちの1つ又は複数と組み合わせて、並びに特定の実施形態では、任意選択的に、上に記載したTgの範囲及び/又は以下に記載されるビニル結合含量のうちの1つと組み合わせて、有し得る。
【0060】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、エラストマー成分の平均Tgは、-70~-85℃(例えば、-70、-71、-72、-73、-74、-75、-76、-77、-78、-79、-80、-81、-82、-83、-84、又は-85℃)、又は-75~-80℃(例えば、-75、-76、-77、-78、-79、又は-80)である。エラストマー成分の平均Tgは、100部のエラストマー成分中に存在する各ゴムのTgを使用し、それらの相対重量パーセントを考慮して計算することができる。1つ(又は複数)のゴムが油展されている場合、ゴムの量のみ(すなわち、いかなる量の油も除外する)が、エラストマー成分の平均Tgを計算するのに利用される。1つ(又は複数)のゴムが油展されている場合、非油展ゴムのTgが、エラストマー成分の平均Tgを計算するのに利用される。
【0061】
第1~第4の実施形態によれば、エラストマー成分の(i)は、少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより上)のシス結合含量、及び-101℃未満(例えば、-102、-103、-104、-105、-106、-107、-108、-109℃又はそれより下)のTg又は-101~-110℃、-105~-110℃、若しくは-105~-108℃のTgを有するポリブタジエンゴムからなる。シス結合含量は、シス1,4-結合含量を指す。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ポリブタジエンゴムは、少なくとも98%(例えば、98%、99%、又はそれより上)又は少なくとも99%(例えば、99%、99.5%、又はそれより上)のシス1,4-結合含量を有し得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物に使用される任意のポリブタジエンゴムは、-105℃以下(例えば、-105、-106、-107、-108、-109℃又はそれより下)のTgを有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物に使用される任意のポリブタジエンゴムは、3重量%未満(例えば、3%、2%、1%、0.5%、又はそれより下)、好ましくは1重量%未満(例えば、1%、0.5%、又はそれより下)又は0重量%のシンジオタクチック1,2-ポリブタジエンを含有する。一般に、第1~第4の実施形態によれば、少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する1種又は2種以上のポリブタジエンゴムが、(i)のために使用され得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(i)は、少なくとも95%(例えば、95%、96%、97%、98%、99%、又はそれより上)のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する1種のポリブタジエンゴムのみからなる。
充填剤
【0062】
本明細書で使用するとき、「補強カーボンブラック充填剤」、「補強シリカ充填剤」、及び「補強充填剤」について使用される用語「補強」は、一般に、補強として従来説明されている充填剤、並びに半補強と従来説明される場合がある充填剤の両方の充填剤を包含すると理解されたい。従来、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(N2SA)が、約100m2/g超、場合によっては、100m2/g超、約125m2/g超、125m2/g超、又は更に約150m2/g超、又は150m2/g超である、微粒子材料を指すために使用される。あるいは(又は加えて)、用語「補強充填剤」を伝統的に用いて、約10nm~約50nm(10nm~50nmを含む)の粒径を有する微粒子材料を指すためにも使用できる。伝統的に、用語「半補強充填剤」は、粒径、表面積(N2SA)のいずれか、又は両方において、非補強充填剤(以下で考察するとおり)と補強充填剤との中間である充填剤を指すために使用される。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、用語「補強充填剤」は、窒素吸着比表面積(N2SA)が、約20m2/g以上(20m2/g以上を含む)、約50m2/g超、50m2/g超、約100m2/g超、100m2/g超、約125m2/g超、及び125m2/g超である、微粒子材料を指すために使用される。本明細書に開示される第1~第4の実施形態のうち特定の実施形態では、用語「補強充填剤」は、約10nm~約1000nm(10nm~1000nmを含む)、約10nm~約50nm(10nm~50nmを含む)の粒径を有する、微粒子材料を指すために使用される。
補強シリカ充填剤
【0063】
上述のように、第1~第4の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、少なくとも1種の補強シリカ充填剤を81~120phr(例えば、81、84、85、89、90、91、94、95、99、100、101、104、105、109、110、111、114、115、119、又は120、phr)の量で含む。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1種の補強シリカ充填剤を90~110phr(例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、又は110phr)の量で含む。第1~第4の実施形態によれば、1種又は2種以上の補強シリカ充填剤が利用され得、2種以上の補強シリカ充填剤が利用されるそれらの実施形態では、前述の量は、全ての補強シリカ充填剤の総量を指す。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、補強シリカ充填剤が1種のみ利用される。
【0064】
第1~第4の実施形態によれば、少なくとも1種の補強シリカ充填剤のための特定の種類のシリカは、様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態での使用に適した補強シリカ充填剤の非限定例としては、沈殿非晶質シリカ、湿性シリカ(水和ケイ酸)、乾燥シリカ(無水ケイ酸)、フュームドシリカ、ケイ酸カルシウムなどが挙げられるが、これらに限定されない。第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用する他の好適な補強シリカ充填剤としては、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3など)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、ケイ酸カルシウム(Ca2SiO4など)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5、Al4.3SiO4.5H2Oなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al2O3.CaO2SiO2など)などが挙げられるが、これらに限定されない。列挙された補強シリカ充填剤の中で、沈殿非晶質湿式プロセス、含水シリカ充填剤が好ましい。このような補強シリカ充填剤は、水中の化学反応により生成され、そこから一次凝集体へと強力に結合し、順次、二次凝集体へとわずかに強く結合する一次粒子を伴う超微粒の球状粒子として、沈殿される。表面積は、BET法で測定すると、様々な補強シリカ充填剤の補強特性を特徴付ける好ましい測定値である。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約100m2/g~約400m2/g、100m2/g~400m2/g、約100m2/g~約350m2/g、又は100m2/g~350m2/gの表面積(BET法によって測定される)を有する補強シリカ充填剤を含む。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約170m2/g~約350m2/g、170m2/g~350m2/g(例えば、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、又は350m2/g)、約170m2/g~約320m2/g、及び170m2/g~320m2/g(例えば、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、又は320m2/g)の範囲が含まれる、約150m2/g~約400m2/g、150m2/g~400m2/g(例えば、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、330、340、350、360、370、380、390、又は400m2/g)のBET表面積を有する補強シリカ充填剤を含み、特定のそのような実施形態では、ゴム組成物中に存在する唯一のシリカ充填剤は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のBET表面積を有する。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の他の実施形態では、ゴム組成物は、約100m2/g~約140m2/g、100m2/g~140m2/g(例えば、100、105、110、115、120、125、130、135、又は140m2/g)、約100m2/g~約125m2/g、100m2/g~125m2/g(例えば、100、105、110、115、120、又は125m2/g)、約100m2/g~約120m2/g、又は100~120m2/g(例えば、100、105、110、115、又は120m2/g)のBET表面を有する補強シリカ充填剤を含む。特定のそのような実施形態では、ゴム組成物中に存在する唯一のシリカ充填剤は、前述の範囲のうちの1つの範囲内のBET表面積を有する。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、約5.5~約8、5.5~8(例えば、5.5、5.7、5.9、6.1、6.3、6.5、6.7、6.9、7.1、7.3、7.5、7.7、7.9、又は8)、約6~約8、6~8(例えば、6、6.2、6.4、6.6、6.8、7、7.2、7.4、7.6、7.8、又は8)、約6~約7.5、6~7.5、約6.5~約8、6.5~8、約6.5~約7.5、6.5~7.5、約5.5~約6.8、又は5.5~6.8のpHを有する補強シリカ充填剤を含む。第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用することができる市販の補強シリカ充填剤のいくつかとしては、PPG Industries(Pittsburgh,Pa.)によって製造された、Hi-Sil(登録商標)EZ120G、Hi-Sil(登録商標)EZ120G-D、Hi-Sil(登録商標)134G、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G、Hi-Sil(登録商標)EZ 160G-D、Hi-Sil(登録商標)190、Hi-Sil(登録商標)190G-D、Hi-Sil(登録商標)EZ 200G、Hi-Sil(登録商標)EZ 200G-D、Hi-Sil(登録商標)210、Hi-Sil(登録商標)233、Hi-Sil(登録商標)243LD、Hi-Sil(登録商標)255CG-D、Hi-Sil(登録商標)315-D、Hi-Sil(登録商標)315G-D、Hi-Sil(登録商標)HDP 320Gなど、が挙げられるが、これらに限定されない。同様に、複数の有用な商用の異なる補強シリカ充填剤もまた、Evonik Corporation(例えば、Ultrasil(登録商標)320 GR、Ultrasil(登録商標)5000 GR、Ultrasil(登録商標)5500 GR、Ultrasil(登録商標)7000 GR、Ultrasil(登録商標)VN2 GR、Ultrasil(登録商標)VN2、Ultrasil(登録商標)VN3、Ultrasil(登録商標)VN3 GR、Ultrasil(登録商標)7000 GR、Ultrasil(登録商標)7005、Ultrasil(登録商標)7500 GR、Ultrasil(登録商標)7800 GR、Ultrasil(登録商標)9500 GR、Ultrasil(登録商標)9000 G、Ultrasil(登録商標)9100 GR)及びSolvay(例えば、Zeosil(登録商標)1115MP、Zeosil(登録商標)1085GR、Zeosil(登録商標)1165MP、Zeosil(登録商標)1200MP、Zeosil(登録商標)Premium、Zeosil(登録商標)195HR、Zeosil(登録商標)195GR、Zeosil(登録商標)185GR、Zeosil(登録商標)175GR、及びZeosil(登録商標)165 GR)から入手可能である。
【0065】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、1種又は2種以上のシリカカップリング剤もまた、(任意選択的に)利用され得る。シリカカップリング剤は、ゴム組成物中のシリカ充填剤の凝集の防止又は低減に有用である。シリカ充填剤粒子の凝集は、ゴム組成物の粘度を上昇させると考えられ、したがって、この凝集を防止することにより、粘度が低下し、ゴム組成物の加工性及びブレンドが改善される。
【0066】
概して、シラン及び構成成分、又はポリマー、特に加硫性ポリマーと反応可能な部分を有するものなどの任意の従来のシリカカップリング剤の種類が使用可能である。シリカカップリング剤は、シリカとポリマーとの間の連結架橋として作用する。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用する好適なシリカカップリング剤としては、アルキルアルコキシ、メルカプト、ブロックされたメルカプト、硫化物含有(例えば、一硫化系アルコキシ含有、二硫化系アルコキシ含有、四硫化系アルコキシ含有)、アミノ、ビニル、エポキシ、及びこれらの組み合わせなどの基を含むものが挙げられる。ある種の実施形態では、シリカカップリング剤は、前処理されたシリカの形態でゴム組成物に添加されてもよい。当該前処理されたシリカは、ゴム組成物に添加される前にシランで前処理されている。前処理されたシリカを使用することにより、1つの成分に2つの成分(すなわち、シリカとシリカカップリング剤)を添加することが可能になり、これによって概してゴムの配合が容易になる傾向がある。
【0067】
アルキルアルコキシシランは、一般式R10
pSi(OR11)4-pを有しており、R11はそれぞれ、独立して、一価の有機基であり、pは整数1~3であるが、ただし、少なくとも1つのR10はアルキル基であることを条件とする。好ましくは、pは1である。一般に、各R10は、C1~C20脂肪族、C5~C20環式脂肪族、又はC6~C20芳香族を独立して含み、各R11は、C1~C6脂肪族を独立して含む。特定の例示的な実施形態では、各R10は、C6~C15脂肪族を独立して含み、追加的な実施形態では、各R10は、C8~C14脂肪族を独立して含む。メルカプトシランは、一般式HS-R13-Si(R14)(R15)2を有し、R13は、二価の有機基であり、R14は、ハロゲン原子又はアルコキシ基であり、各R15は、独立してハロゲン、アルコキシ基又は一価の有機基である。ハロゲンは塩素、臭素、フッ素又はヨウ素である。アルコキシ基は、好ましくは、1~3個の炭素原子を有する。ブロックされたメルカプトシランは、一般式B-S-R16-Si-X3を有しており、シリル基がシリカ-シラン反応におけるシリカとの反応に利用可能であり、ブロック基Bがメルカプト水素原子を置換して硫黄原子とポリマーとの反応を遮断する。上述の一般式において、Bは、不飽和ヘテロ原子の形態であり得る、又は単結合を介して硫黄に直接結合される炭素であり得るブロック基である。R16はC1~C6直鎖又は分岐アルキリデンであり、各XはC1~C4アルキル又はC1~C4アルコキシからなる群から独立して選択される。
【0068】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態での使用に適したアルキルアルコキシシランの非限定例としては、以下に限定されないが、オクチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシ-シラン、エチルトリメトキシシラン、シクロヘキシル-トリブトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、メチルオクチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ノニルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラデシルトリメトキシシラン、オクタデシル-トリメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0069】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態での使用に適したビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ポリスルフィドの非限定例としては、ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィド及びビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドが挙げられる。ビス(トリアルコキシシリルオルガノ)ジスルフィドの具体的な非限定例としては、以下に限定されないが、3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリ-t-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(トリヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、2,2’-ビス(ジメチルメトキシシリルエチル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジフェニルシクロヘキソキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(エチル-ジ-sec-ブトキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(プロピルジエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、12,12’-ビス(トリイソプロポキシシリルプロピル)ジスルフィド、3,3’-ビス(ジメトキシフェニルシリル-2-メチルプロピル)ジスルフィド及びそれらの混合物が挙げられる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態での使用に適したビス(トリアルコキシシリルオルガノ)テトラスルフィドシリカカップリング剤の非限定例としては、以下に限定されないが、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(2-トリエトキシシリルエチル)テトラスフィド(tetrasufide)、ビス(3-トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、2-トリエトキシシリル-N,N-ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3-トリメトキシシリルプロピル-ベンゾチアゾールテトラスルフィド、3-トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィド、及びそれらの混合物が挙げられる。ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドは、Evonik Degussa Corporation製のSi69(登録商標)として市販されている。
【0070】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態での使用に適したメルカプトシランの非限定例としては、以下に限定されないが、1-メルカプトメチルトリエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、18-メルカプトオクタデシルジエトキシクロロシラン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0071】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態での使用に適したブロックされたメルカプトシランの非限定例としては、米国特許第6,127,468号、同第6,204,339号、同第6,528,673号、同第6,635,700号、同第6,649,684号、及び同第6,683,135号(これらの開示内容は参照により本明細書に組み込まれる)に記載されたものが挙げられるが、これらに限定されない。ブロックされたメルカプトシランの代表例としては、2-トリエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリメトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、トリエトキシシリルメチル-チオアセテート、トリメトキシシリルメチルチオアセテート、トリイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、メチルジエトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジメトキシシリルメチルチオアセテート、メチルジイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルエトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルメトキシシリルメチルチオアセテート、ジメチルイソプロポキシシリルメチルチオアセテート、2-トリイソプロポキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジエトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(メチルジイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルエトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルメトキシシリル)-1-エチルチオアセテート、2-(ジメチルイソプロポキシシリル)-1-エチルチオアセテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジエトキシシリル-1-プロピル-チオアセテート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-メチルジイソプロポキシシリル-1-プロピルチオアセテート、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-4-チオアセチルシクロヘキサン、1-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-3-チオアセチルシクロヘキサン、2-トリエトキシシリル-5-チオアセチルノルボルネン、2-トリエトキシシリル-4-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシシリル-1-エチル)-5-チオアセチルノルボルネン、2-(2-トリエトキシ-シリル-1-エチル)-4-チオアセチルノルボルネン、1-(1-オキソ-2-チア-5-トリエトキシシリルフェニル)安息香酸、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-ヘキシルチオアセテート、8-トリエトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、6-トリエトキシシリル-1-ヘキシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-5-オクチルチオアセテート、8-トリメトキシシリル-1-オクチルチオアセテート、1-トリメトキシシリル-7-オクチルチオアセテート、10-トリエトキシシリル-1-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-9-デシルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-2-ブチルチオアセテート、1-トリエトキシシリル-3-メチル-3-ブチルチオアセテート、3-トリメトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピル-1-プロピルチオパルミテート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオオクタノエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオベンゾエート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルチオ-2-エチルヘキサノエート、3-メチルジアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、3-トリアセトキシシリル-1-プロピルチオアセテート、2-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、2-トリアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-メチルジアセトキシシリル-1-エチルチオアセテート、1-トリアセトキシシリル-1-エチル-チオアセテート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルジチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルジチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、トリス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)テトラチオホスフェート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)メチルトリチオホスホネート、ビス-(3-トリエトキシシリル-1-プロピル)エチルトリチオホスホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジメチルジチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルジエチルジチオホスフィネート、トリス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)トリチオホスフェート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-メチルジチオホスホネート、ビス-(3-メチルジメトキシシリル-1-プロピル)-エチルジチオホスホネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジメチルチオホスフィネート、3-メチルジメトキシシリル-1-プロピルジエチルチオホスフィネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメチルチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルメタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルエタンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルベンゼンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルトルエンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルナフタレンチオスルホネート、3-トリエトキシシリル-1-プロピルキシレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルメチルチオサルフェート、トリエトキシシリルメチルメタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルエタンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルベンゼンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルトルエンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルナフタレンチオスルホネート、トリエトキシシリルメチルキシレンチオスルホネートなどが挙げられるが、これらに限定されない。様々なブロックされたメルカプトシランの混合物を使用することができる。ある種の例示的な実施形態において使用するのに好適なブロックされたメルカプトシランの更なる例には、Momentive Performance Materials Inc.(Albany、NY)から市販されている、NXT(商標)シラン(3-オクタノイルチオ-1-プロピルトリエトキシシラン)である。
【0072】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用するのに適した前処理されたシリカ(すなわち、シランで前表面処理されたシリカ)の非限定例としては、以下に限定されないが、メルカプトシランで前処理されたCiptane(登録商標)255 LD及びCiptane(登録商標)LP(PPG Industries)シリカ、並びにオルガノシランビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si69)とUltrasil(登録商標)VN3シリカとの間の反応の生成物であるCoupsil(登録商標)8113(Degussa)が挙げられる。Coupsil 6508、Agilon 400(商標)シリカ(PPG Industries製)、Agilon 454(登録商標)シリカ(PPG Industries製)、及び458(登録商標)シリカ(PPG Industries製)。シリカが前処理されたシリカを含む実施形態では、前処理されたシリカは、シリカ充填剤について既に開示されている量で使用される(すなわち、約5~約200phrなど)。
【0073】
第1~第4の実施形態の一実施形態においてシリカカップリング剤が利用される場合、使用される量は様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、いかなるシリカカップリング剤も含有していない。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、シリカカップリング剤は、シリカカップリング剤の総量とシリカ充填剤との比が、約0.1:100~約1:5(すなわち、シリカ100部あたり約0.1~約20重量部)(0.1:100~1:5を含む)、約1:100~約1:10(1:100~1:10を含む)、約1:100~約1:20(1:100~1:20を含む)、約1:100~約1:25(1:100~1:25を含む)、並びに約1:100~約0:100(1:100~0:100を含む)となるように、十分な量で存在する。第1~第4の実施形態による特定の実施形態では、ゴム組成物は、約0.1~約15phrのシリカカップリング剤を含み、これには、0.1~15phr(例えば、0.1、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15phr)、約0.1~約12phr、0.1~12phr、約0.1~約10phr、0.1~10phr、約0.1~約7phr、0.1~7phr、約0.1~約5phr、0.1~5phr、約0.1~約3phr、0.1~3phr、約1~約15phr、1~15phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15phr)、約1~約12phr、1~12phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12phr)、約1~約10phr、1~10phr(例えば、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、又は10phr)、約1~約7phr、1~7phr、約1~約5phr、1~5phr、約1~約3phr、1~3phr、約3~約15phr、3~15phr、約3~約12phr、3~12phr、約3~約10phr、3~10phr、約3~約7phr、3~7phr、約3~約5phr、3~5phr、約5~約15phr、5~15phr、約5~約12phr、5~12phr、約5~約10phr、5~10phr、約5~約7phr、又は5~7phrが含まれる。
カーボンブラック充填剤
【0074】
第1~第4の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、限られた量(存在する場合)のカーボンブラック充填剤、すなわち、15phr以下のカーボンブラック充填剤(例えば、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は更に0phr)、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1、又は更に0phr)のカーボンブラック充填剤、又は5phr以下(例えば、5、4、3、2、1又は更に0phr)のカーボンブラック充填剤を含有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、0phrのカーボンブラック充填剤を含有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、補強カーボンブラック充填剤を指すと理解されるべきである。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、非補強カーボンブラック充填剤を指すと理解されるべきである。第1~第4の実施形態の更に他の実施形態では、前述の限られた量のカーボンブラック充填剤は、全てのカーボンブラック充填剤(すなわち、補強及び非補強カーボンブラック充填剤の両方)を指すと理解されるべきである。
【0075】
カーボンブラック充填剤が存在する、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、利用される特定の1つの種類又は複数の種類のカーボンブラックは様々であり得る。一般に、第1~第4の実施形態の特定の実施形態のゴム組成物中の補強充填剤として使用する好適なカーボンブラックは、少なくとも約20m2/g(少なくとも20m2/gを含む)及び、より好ましくは、少なくとも約35m2/g~約200m2/g以上(35m2/g~200m2/gを含む)の表面積を有するものを含めた、一般に入手可能な商用製造されたカーボンブラックのいずれかを含む。カーボンブラックについて本明細書において使用される表面積の値は、臭化セチルトリメチル-アンモニウム(CTAB)技法を使用するASTM D-1765によって決定される。有用なカーボンブラックの中には、ファーネスブラック、チャネルブラック、及びランプブラックがある。より詳細には、有用なカーボンブラックの例としては、超耐摩耗性ファーネス(SAF)ブラック、高耐摩耗性ファーネス(HAF)ブラック、良押出性ファーネス(FEF)ブラック、微細ファーネス(FF)ブラック、準超耐摩耗性ファーネス(ISAF)ブラック、中補強性ファーネス(SRF)ブラック、中加工性チャネルブラック、難加工性チャネルブラック、及び導電性チャネルブラックが挙げられる。利用され得る他のカーボンブラックとしては、アセチレンブラックが挙げられる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、前述のブラックの2種以上の混合物を含む。好ましくは、第1~第4の実施形態によれば、カーボンブラック充填剤が存在する場合、1つの種類(又は等級)の補強カーボンブラックのみからなる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用する典型的で好適なカーボンブラックは、ASTM D-1765-82aによって指定されている、N-110、N-220、N-339、N-330、N-351、N-550、及びN-660である。使用されるカーボンブラックは、ペレット化形状又は非ペレット化綿状塊とすることができる。好ましくは、一層均質な混合を行うため、非ペレット化カーボンブラックが好ましい。
他の補強充填剤
【0076】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、カーボンブラックでもシリカでもない補強充填剤を含む(すなわち、追加の補強充填剤)。1種又は2種以上の追加の補強充填剤が利用され得るが、それらの総量は、好ましくは、10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0phr)、又は5phr以下(例えば、5、4、3、2、1,又は0phr)に限定される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、追加の補強充填剤を含有しない(すなわち、0phr)。言い換えれば、そのような実施形態では、シリカ及び任意選択的にカーボンブラック以外の補強充填剤は存在しない。
【0077】
追加の補強充填剤が利用される、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、1種の又は複数種の追加の補強充填剤は、様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態のトレッドゴム組成物中に使用する好適な追加の補強充填剤の非限定例としては、以下に限定されないが、アルミナ、水酸化アルミニウム、クレイ(補強等級)、水酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、二酸化チタン、補強酸化亜鉛、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
非補強充填剤
【0078】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1種の非補強充填剤を更に含む。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、トレッドゴム組成物は、非補強充填剤を含有しない(すなわち、0phr)。少なくとも1種の非補強充填剤が利用される、第1~第4の実施形態の実施形態では、少なくとも1種の非補強充填剤は、クレイ(非補強等級)、黒鉛、二酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、デンプン、窒化ホウ素(非補強等級)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム(非補強等級)、ケイ酸カルシウム、炭化ケイ素、粉砕ゴム、及びこれらの組み合わせから選択され得る。用語「非補強充填剤」は、約20m2/g未満(20m2/g未満を含める)、及び特定の実施形態では、約10m2/g未満(10m2/g未満を含める)となる窒素吸着比表面積(N2SA)を有する微粒子材料を指すために使用される。微粒子材料のN2SA表面積は、ASTM D6556を含めた様々な標準的方法に準拠して決定することができる。ある特定の実施形態では、用語「非補強充填剤」は、代替として又は更に、約1000nmより大きな(1000nm超を含む)粒径を有する微粒子材料を指す。非補強充填剤がゴム組成物中に存在する、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、非補強充填剤の総量は様々であり得るが、好ましくは10phr以下(例えば、10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1phr)であり、特定の実施形態では、1~10phr、5phr以下(例えば、5、4、3、2、又は1phr)、1~5phr、又は1phr以下である。
炭化水素樹脂
【0079】
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、(d)約30~約50℃、又は30~50℃(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、42、44、45、46、48、又は50℃)のTgを有する、11~35phr(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35phr)の少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む。同じく上述のように、第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、(d)約30~約50℃、又は30~50℃(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、42、44、45、46、48、又は50℃)のTgを有する、20~35phr(例えば、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35phr)の少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む。炭化水素樹脂のTgは、エラストマーのTg測定について上述した手順に従って、DSCによって測定することができる。第1の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、約35~約50℃、35~50℃(例えば、30、32、34、35、36、38、40、42、44、45、46、48、又は50℃)、約35~約45℃、又は35~45℃(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、又は45℃)のTgを有する。第1の実施形態の特定の実施形態では、(d)は、15~30phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30phr)、又は20~25phr(例えば、20、21、22、23、24、又は25phr)の量で存在する。以下でより詳細に記載されるように、第1及び第2の実施形態の特定の好ましい実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂を含む。
【0080】
上述のように、第2の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、約30~約50℃、又は30~50℃のTgを有する、11~35phr(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、又は35phr)の少なくとも1種の炭化水素樹脂を含む。第2の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1種の炭化水素樹脂は、約35~約50℃、35~50℃(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50℃)、約35~約45℃、又は35~45℃(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、44、又は45℃)のTgを有する。第2の実施形態の特定の実施形態では、(d)は、15~30phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30phr)、又は20~25phr(例えば、20、21、22、23、24、又は25phr)の量で存在する。以下でより詳細に記載されるように、第2の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂を含む。
【0081】
上述のように、第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、約30~約50℃、又は30~50℃(例えば、(例えば、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50℃)のTgを有する、11~30phr(例えば、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30phr)の少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂を含む。第3の実施形態の特定の実施形態では、少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂は、約35~約50℃、35~50℃(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50℃)、約35~約45℃、又は35~45℃(例えば、35、36、37、38、39、40、41、42、44、又は45℃)のTgを有する。第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)は、15~30phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30phr)、又は15~25phr(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、又は25phr)の量で存在する。以下でより詳細に記載されるように、第3の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、1種又は複数種の芳香族樹脂から(のみ)なる。
【0082】
本明細書に開示される第4の実施形態には、第1の実施形態、第2の実施形態、又は第3の実施形態のトレッドゴム組成物が組み込まれているので、第4の実施形態の実施形態に存在する少なくとも1種の炭化水素樹脂(d)の量、種類、特性などは、上述及び後述される、第1、第2、又は第3の実施形態の少なくとも1種の炭化水素樹脂(d)に対応すると理解されるべきである。
【0083】
後に更に記載されるように、第1~第4の実施形態によれば、トレッドゴム組成物に使用される炭化水素樹脂(d)の量を制御することに加えて、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量を、本明細書の他の箇所に記載される量の範囲内に制御することも望ましい。
【0084】
第1~第4の実施形態によれば、1種又は2種以上の炭化水素樹脂がトレッドゴム組成物に利用され得、炭化水素樹脂の1つ又は複数の特定の種類は、様々であり得る。2種以上の炭化水素樹脂が利用される場合、上に記載の量は、全ての炭化水素樹脂の総量を指すと理解されるべきである。
【0085】
第1、第2、及び第4の実施形態の特定の実施形態では、並びに第3の実施形態によれば、(d)の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂を、任意追加的に、脂肪族樹脂、環式脂肪族樹脂、及びテルペン樹脂から選択される1種又は複数種の追加の樹脂と組み合わせて、含み、1種又は複数種の追加の樹脂が存在する、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、そのような追加の樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の10重量%以下、好ましくは5重量%以下)である。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、(d)の炭化水素樹脂は、芳香族樹脂からなる。芳香族樹脂が使用される場合、1種又は2種以上の芳香族樹脂が利用され得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂は、いかなるテルペン樹脂も除外する(すなわち、0phrのテルペン樹脂がトレッドゴム組成物中に存在する)。本明細書で使用されるとき、用語「芳香族樹脂」は、芳香族ホモポリマー樹脂及び芳香族コポリマー樹脂の両方を含むと理解されるべきである。芳香族コポリマー樹脂は、最大量の任意の種類のモノマーが芳香族である、1種又は複数種の芳香族モノマーと1種又は複数種の他(非芳香族)のモノマーとの組み合わせを含む炭化水素樹脂を指す。芳香族コポリマー樹脂は、25重量%の環式脂肪族モノマー及び30重量%の脂肪族モノマーに加えて、45重量%の芳香族モノマーを有する炭化水素樹脂、並びに、30重量%の環式脂肪族モノマー及び15重量%の脂肪族モノマーに加えて、55重量%の芳香族モノマーを有する炭化水素樹脂を含み得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(c)の炭化水素樹脂は、全モノマーの重量の大部分(例えば、51%、55%、60%、65%など)が芳香族である、1種又は複数種の芳香族コポリマー樹脂を含む。第1~第4の実施形態の特定の実施形態において炭化水素樹脂(d)として使用するのに適した芳香族樹脂の非限定例としては、クマロン-インデン樹脂及びアルキル-フェノール樹脂、並びに、以下のモノマーのうちの1つ又は複数を含むものなど、ビニル芳香族ホモポリマー又はコポリマー樹脂が挙げられる:α-メチルスチレン、スチレン、オルト-メチルスチレン、メタ-メチルスチレン、パラ-メチルスチレン、ビニルトルエン、パラ(tert-ブチル)スチレン、メトキシスチレン、クロロスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルメシチレン、ジビニルベンゼン、ビニルナフタレン、又はC9留分若しくはC8~C10留分から得られる任意のビニル芳香族モノマー。ビニル芳香族コポリマー樹脂の非限定例としては、ビニル芳香族/テルペンコポリマー樹脂(例えば、リモネン/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/C5留分樹脂(例えば、C5留分/スチレンコポリマー樹脂)、ビニル芳香族/脂肪族コポリマー樹脂(例えば、CPD/スチレンコポリマー樹脂、及びDCPD/スチレンコポリマー樹脂)が挙げられる。アルキル-フェノール樹脂の非限定例としては、p-tert-ブチルフェノール-アセチレン樹脂、アルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂(例えば、低重合度を有する樹脂)などのアルキルフェノール-アセチレン樹脂が挙げられる。例示的なそのような芳香族樹脂は、Chemfax、Dow Chemical Company、Eastman Chemical Company、Idemitsu、Neville Chemical Company、Nippon、Polysat Inc.、Resinall Corp.、及びZeonを含む様々な企業から様々な商品名で市販されている。
【0086】
第1~第4の実施形態の好ましい特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、上述のビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α-メチルスチレン)のうちの1つ又は複数に基づく芳香族樹脂を含み、特定のそのような実施形態では、芳香族樹脂中のモノマーの少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は更に100重量%は、芳香族モノマーである。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、上述のビニル芳香族モノマー(例えば、スチレン、α-メチルスチレン)のうちの1つ又は複数に基づく芳香族樹脂からなり、特定のそのような実施形態では、芳香族樹脂中のモノマーの少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、少なくとも98重量%、少なくとも99重量%、又は更に100重量%は、芳香族モノマーである。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(d)の芳香族樹脂は、上記の芳香族樹脂のうちの1つの水素添加形態(すなわち、水素添加芳香族樹脂)を含み得る。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、(d)の芳香族樹脂は、いかなる水素添加芳香族樹脂も除外し、言い換えれば、このような実施形態では、芳香族樹脂は水素添加されていない。
【0087】
上述のように、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、(i)芳香族樹脂を(ii)脂肪族樹脂と組み合わせて含む。脂肪族樹脂の非限定例としては、C5留分ホモポリマー及びコポリマー樹脂が挙げられる。(d)で使用される任意の脂肪族樹脂の量は、好ましくは限定される。第1~第4の実施形態によれば、芳香族樹脂と組み合わせて使用される任意の脂肪族樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下又は10重量%以下)である。
【0088】
上述のように、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、(i)芳香族樹脂を(ii)環式脂肪族樹脂と組み合わせて含む。環式脂肪族樹脂の非限定例としては、シクロペンタジエン(「CPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、ジシクロペンタジエン(「DCPD」)ホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせが挙げられる。(d)で使用される任意の環式脂肪族樹脂の量は、好ましくは限定される。第1~第4の実施形態によれば、芳香族樹脂と組み合わせて使用される任意の環式脂肪族樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下又は10重量%以下)である。
【0089】
上述のように、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、(d)の少なくとも1種の炭化水素樹脂は、(i)芳香族樹脂を(ii)テルペン樹脂と組み合わせて含む。テルペン樹脂の非限定例としては、α-ピネン樹脂、β-ピネン樹脂、リモネン樹脂(例えば、L-リモネン、D-リモネン、L-異性体とD-異性体とのラセミ混合物であるジペンテン)、β-フェランドレン、δ-3-カレン、δ-2-カレン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。(d)で使用される任意のテルペン樹脂の量は、好ましくは限定される。第1~第4の実施形態によれば、芳香族樹脂と組み合わせて使用される任意のテルペン樹脂の総量は、好ましくは5phr以下、5phr未満、4phr未満、3phr未満、2phr未満、又は1phr未満(及び各場合において、(d)の炭化水素樹脂の全体量の20重量%以下、好ましくは15重量%以下又は10重量%以下)である。上述のように、第1~第4の実施形態の好ましい実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、テルペン樹脂を含まない(すなわち、0phr)。
【0090】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、約70~約100℃、70~100℃(例えば、70、75、80、85、90、95、又は100℃)、好ましくは約75~約95℃又は75~95℃(例えば、75、80、85、90、又は95℃)の軟化点を有する。一般に、炭化水素樹脂の軟化点は、Tgがその軟化点よりも低くなるような、かつTgが低いほど軟化点が低くなるような、そのTgとの関係を有する。非限定例として、70及び100℃のTgを有する2種の炭化水素樹脂の場合、70℃のTgを有する樹脂は、100℃のTgを有する樹脂よりも低い軟化点を有する。
【0091】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、以下のうちの少なくとも1つを満たす:(a)1000~約4000グラム/モル、1000~4000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、又は4000グラム/モル)、約1000~約3000グラム/モル、1000~3000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、又は3000グラム/モル)、約1000~約2500グラム/モル、1000~2500グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、又は2500グラム/モル)、約1000~約2000グラム/モル、1000~2000グラム/モル(例えば、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、又は2000グラム/モル)、約1100~約1800グラム/モル、若しくは1100~1800グラム/モル(例えば、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、又は1800グラム/モル)のMw、(b)約700~約1500グラム/モル、700~1500グラム/モル(例えば、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、又は1500グラム/モル)、約800~約1400グラム/モル、800~1400グラム/モル(例えば、800、900、1000、1100、1200、1300、又は1400グラム/モル)、約800~約1300グラム/モル、800~1300グラム/モル(例えば、800、900、1000、1100、1200、又は1300グラム/モル)、約900~約1200グラム/モル、若しくは900~1200グラム/モル(例えば、900、950、1000、1050、1100、1150、又は1200グラム/モル)のMn、又は(c)約1~約2、1~2(例えば、1、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、又は2)、約1.1~約1.8、1.1~1.8(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、又は1.8)、約1.1~約1.7、1.1~1.7(例えば、1.1、1.2、1.3、1.4、1.5、1.6、又は1.7)、約1.2~約1.5、若しくは1.2~1.5(例えば、1.2、1.3、1.4、又は1.5)の多分散度(Mw/Mn)。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、上記の範囲のうちの1つによるMwを、上記の範囲のうちの1つによるMnと組み合わせて、更に上記の範囲のうちの1つによるMw/Mnと組み合わせて、有する。
【0092】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)は、少なくとも約40重量%、少なくとも40重量%(例えば、40、45、50、51、55、60重量%、又はそれより上)、約40重量%~約65重量%、40~65重量%(例えば、40、42、44、45、46、48、50、52、54、55、56、58、60、62、64、又は65重量%)、少なくとも約45重量%、少なくとも45重量%(例えば、45、50、51、55、60重量%、又はそれより上)、約45重量%~約65重量%、45~65重量%(例えば、45、47、49、50、51、53、55、57、59、60、61、63、又は65重量%)、少なくとも51重量%(例えば、51、55、60、65重量%、又はそれより上)、約51%~約65%(例えば、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、又は65%)、51~65%、約51%~約60%、51~60%(例えば、51%、52%、53%、54%、55%、56%、57%、58%、59%、又は60%)、約51%~約55%、又は51~55%(例えば、51、52、53、54、又は55%)の芳香族モノマーを有する(上述したような)芳香族樹脂を含む。芳香族モノマー含量の量は、それぞれの炭化水素樹脂の総重量に基づいた重量パーセントである。
油
【0093】
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば、並びに第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、0~40phr(例えば、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0phr)の油を含む。第1、第2、及び第4の実施形態の特定の実施形態では、並びに第3の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、30phr以下の油(例えば、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0phr)、24phr以下の油(例えば、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、1又は0phr)を含む。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、トレッドゴム組成物は、10~40phr(例えば、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、又は10phr)、10~30(例えば、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、15、14、13、12、11、又は10phr)、15~40(例えば、40、39、38、37、36、35、34、33、32、31、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、又は15phr)、又は15~30phr(例えば、30、29、28、27、26、25、24、23、22、21、20、19、18、17、16、又は15phr)の油を含む。用語「油」は、遊離油(通常、配合プロセス中に添加される)及び伸展油(ゴムを伸展させために使用される)の両方を包含することを意味する。したがって、例えば、特定の実施形態においてトレッドゴム組成物が30phr以下の油を含むことを主張することにより、任意の遊離油及び任意の伸展油の総量が30phr以下であると理解されるべきである。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、前述の量(例えば、0~40phr、30phr以下、24phr以下など)のうちの1つで遊離油のみを含有する。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、トレッドゴム組成物は、前述の量(例えば、0~40phr、30phr以下、24phr以下など)のうちの1つで伸展油のみを含有する。油展ゴムが使用される、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、油展ゴムを調製するために使用される油の量は、様々であり得、そのような実施形態では、油展ゴム(ポリマー)中に存在する伸展油の量は、ゴム100部あたり10~50部の油(例えば、ゴム100部あたり10、15、20、25、30、35、40、45又は50部の油)、好ましくはゴム100部あたり10~40部の油又はゴム100部あたり20~40部のゴムである。非限定例として、伸展油は、トレッドゴム組成物全体でSBRが40部の量で使用されている(i)のSBR中にゴム100部あたり油40部の量で使用され得、したがって、油展SBRによってトレッドゴム組成物に寄与する油の量は、16phrとして記載され得る。油展ゴムが、本明細書に開示されるトレッドゴム組成物のエラストマー成分中に使用されている場合、(i)、(ii)及び(iii)について指定された量は、油展ゴムの量ではなく、ゴムのみの量を指すと理解されるべきである。本明細書で使用されるとき、油は、石油系油(例えば、芳香油、ナフテン油、及び低PCA油)及び植物油(野菜、木の実、及び種子から採取することができるものなど)の両方を指す。植物油は一般にトリグリセリドを含み、この用語は、合成トリグリセリド、及び実際に植物から供給されたものを含むと理解されるべきである。
【0094】
第1~第4の実施形態によれば、1種又は複数種の油がトレッドゴム組成物中に存在する場合、様々な種類の加工油及び伸展油が利用され得、これには、芳香油、ナフテン油、及び低PCA油(石油由来又は植物由来)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な低PCA油としては、IP346法によって測定すると、3重量%未満の多環式芳香族含有物を有するものが挙げられる。IP346法の手順は、Institute of Petroleum(英国)発行のStandard Methods for Analysis&Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts,2003,62nd editionに見出すことができる。例示的な石油由来の低PCA油としては、軽度抽出溶媒和物(MES)、処理留出物芳香族抽出物(TDAE)、TRAE、及び重ナフテン系が挙げられる。例示的なMES油は、CATENEX SNR(SHELL製)、PROREX 15及びFLEXON 683(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 200(BP製)、PLAXOLENE MS(TOTAL FINA ELF製)、TUDALEN 4160/4225(DAHLEKE製)、MES-H(REPSOL製)、MES(Z8製)、並びにOLIO MES S201(AGIP製)として市販されている。例示的なTDAE油は、TYREX 20(EXXONMOBIL製)、VIVATEC 500、VIVATEC 180、及びENERTHENE 1849(BP製)、並びにEXTENSOIL 1996(REPSOL製)として入手可能である。例示的な重ナフテン系油は、SHELLFLEX 794、ERGON BLACK OIL、ERGON H2000、CROSS C2000、CROSS C2400、及びSAN JOAQUIN 2000Lとして入手可能である。例示的な低PCA油としてはまた、野菜、木の実、及び種子から採取することができるものなど、様々な植物由来の油も挙げられる。非限定例としては、以下に限定されないが、ダイズ油、ヒマワリ油(高オレイン酸ヒマワリ油を含む)、サフラワー油、コーン油、亜麻仁油、綿実油、菜種油、カシュー油、ゴマ油、ツバキ油、ホホバ油、マカダミアナッツ油、ココナツ油、及びヤシ油が挙げられる。前述の加工油を、伸展油として、すなわち、油展ポリマー又はコポリマーの調製のために、又は加工油若しくは遊離油(free oil)として使用することもできる。
【0095】
1種又は複数種の油がトレッドゴム組成物中に存在する、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、使用される1種又は複数種の油のTgは、様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、利用される任意の油は、約-40~約-100℃、-40~-100℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、-85、-90、-95、又は-100℃)、約-40~約-90℃、-40~-90℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、-85、又は-90℃)、約-45~約-85℃、-45~-85℃(例えば、-45、-50、-55、-60、-65、-70、-75、-80、又は-85℃)、約-50~約-80℃、又は-50~-80℃(例えば、-50、-55、-60、-65、-70、-75、又は-80℃)のTgを有する。
【0096】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、5phr未満(例えば、4.5、4、3、2、1、又は0phr)のMES又はTDAE油を含有する、好ましくはMES又はTDAE油が含有しない(すなわち、0phr)。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、石油系油を含有せず(すなわち、0phr)、代わりに、利用される任意の油は植物油である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、上述の量のうちの1つでダイズ油を含有する。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、ヒマワリ油を含有しない(すなわち、0phr)。
【0097】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、1種又は複数種のエステル系可塑剤を含む。好適なエステル系可塑剤は当業者に既知であり、リン酸エステル、フタル酸エステル、アジピン酸エステル、及びオレイン酸エステル(すなわち、オレイン酸由来)が挙げられるが、これらに限定されない。エステルは少なくとも1つの-OHが-O-アルキル基で置換されている酸から誘導される化学化合物であることを考慮すると、トレッドゴム組成物中で使用する好適なエステル可塑剤では様々なアルキル基が使用され得、これには、C1~C20(例えば、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C7、C8、C9、C10、C11、C12、C13、C14、C15、C16、C17、C18、C19、C20)、又はC6~C12の概ね直鎖又は分枝鎖のアルキルが含まれる。前述のエステルのうちの特定のものは、2つ以上の-OH基を有する酸に基づき、したがって、1つ又は2つ以上のO-アルキル基(例えば、リン酸トリアルキル、フタル酸ジアルキル、アジピン酸ジアルキル)を収容することができる。好適なエステル系可塑剤の非限定例としては、リン酸トリオクチル、フタル酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、オレイン酸ノニル、オレイン酸オクチル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。前述のうちの1つ又は複数など、エステル系可塑剤の使用は、エステル系可塑剤の比較的低いTgに少なくとも部分的に起因して、このようなエステル可塑剤を含有するトレッドゴム組成物から作製されるタイヤの雪又は氷性能に有益であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、-40℃~-70℃(例えば、-40、-45、-50、-55、-60、-65、又は-70℃)、又は-50℃~-65℃(例えば、-50、-51、-52、-53、-54、-55、-56、-57、-58、-59、-60、-61、-62、-63、-64、又は-65℃)のTgを有する1種又は複数種のエステル系可塑剤を含む。1種又は複数種のエステル系可塑剤が利用される、第1~第4の実施形態のそれらの実施形態では、利用される量は様々であり得る。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、1種又は複数種のエステル系可塑剤は、1~12phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、又は12phr)、1~10、phr(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10phr)、2~6phr(例えば、2、3、4、5、又は6phr)又は2~5phr(例えば、2、3、4、又は5phr)の総量で利用される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、1種又は複数種のエステル系可塑剤は、油と組み合わせて使用され、油は1~30phr以下、又は1~30phrの量で存在する。第1~第4の実施形態の他の実施形態では、1種又は複数種のエステル系可塑剤は、トレッドゴム組成物中にいかなる油も存在することなく(すなわち、0phrの油)、使用される。
【0098】
上述のように、第1及び第2の実施形態によれば(及び第4の実施形態の特定の実施形態では)、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量は、59phr以下(例えば、59、55、54、50、49、45、44、40、39、35、34、30、29、25、24、若しくは20phr、又はそれより下)である。第1、第2、及び第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量は、50phr以下(例えば、50、49、45、44、40、39、35、34、30、29、25、24、若しくは20phr、又はそれより下)である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量は、45phr以下(例えば、45、44、40、39、35、34、30、29、25、24、若しくは20phr、又はそれより下)、40phr以下(例えば、40、39、35、34、30、29、25、24、若しくは20phr、又はそれより下)、35phr以下(例えば、35、34、30、29、25、24、若しくは20phr、又はそれより下)、又は30phr以下(例えば、30、29、25、24、若しくは20phr、又はそれより下)である。第1、第2、及び第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量は、15~59phr(例えば、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、50、54、55、又は59phr)又は15~50phr(例えば、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、又は50phr)である。上述のように、第3の実施形態によれば(及び第4の実施形態の特定の実施形態では)、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量は、49phr以下である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、炭化水素樹脂(d)及び油(e)の総量は、15~45phr(例えば、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、又は45phr)、15~40phr(例えば、15、19、20、24、25、29、30、34、35、39、又は40phr)、15~35phr(例えば、15、19、20、24、25、29、30、34、又は35phr)、15~30phr(例えば、15、19、20、24、25、29、又は30phr)、20~59phr(例えば、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、50、54、55、又は59phr)、20~50phr(例えば、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、45、49、又は50phr)、20~45phr(例えば、20、24、25、29、30、34、35、39、40、44、又は45phr)、20~40phr(例えば、20、24、25、29、30、34、35、39、又は40phr)、20~35phr(例えば、20、24、25、29、30、34、又は35phr)、又は20~30phr(例えば、20、24、25、29、又は30phr)である。
硬化パッケージ
【0099】
上述のとおり、本明細書に開示される第1~第4の実施形態によれば、トレッドゴム組成物は、硬化パッケージを含む(更に含む)。硬化パッケージの含有成分は、第1~第4の実施形態によって様々であり得るが、一般に、硬化パッケージは、加硫剤、加硫促進剤、加硫活性化剤(例えば、酸化亜鉛、ステアリン酸など)、加硫阻害剤、及びスコーチ防止剤のうちの少なくとも1つを含む。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、硬化パッケージは、少なくとも1つの加硫剤と、少なくとも1つの加硫促進剤と、少なくとも1つの加硫活性化剤と、任意選択的に、加硫阻害剤及び/又はスコーチ防止剤とを含む。加硫促進剤及び加硫活性化剤は、加硫剤のための触媒として働く。様々な加硫阻害剤及びスコーチ防止剤は、当分野で公知であり、所望の加硫特性に基づいて、当業者により選択され得る。
【0100】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用する好適な加硫剤の種類の例としては、硫黄又は過酸化物系の硬化性構成成分が挙げられる。したがって、ある種のこのような実施形態では、硬化性構成成分としては、硫黄系硬化剤又は過酸化物をベースとする硬化剤が挙げられる。第1~第4の実施形態の好ましい実施形態では、加硫剤は、硫黄系硬化剤を含み、特定のそのような実施形態では、加硫剤は、硫黄系硬化剤から(のみ)なる。特定の好適な硫黄加硫剤の例としては、「ゴム製造業者(rubbermaker)」の可溶性硫黄、二硫化アミン、ポリマー性ポリスルフィド、又は硫黄オレフィン付加物などの硫黄供与性硬化剤、及び不溶性のポリマー性硫黄が挙げられる。好ましくは、硫黄加硫剤は、可溶性硫黄、又は可溶性硫黄ポリマーと不溶性硫黄ポリマーとの混合物である。硬化に用いられる好適な加硫剤及びその他の組成物(例えば、加硫阻害剤、スコーチ防止剤)の一般的な開示として、Kirk-Othmer、「Encyclopedia of Chemical Technology」第3版、Wiley Interscience,N.Y.、1982年、Vol.20、pp.365~468、特に「Vulcanization Agents and Auxiliary Materials」、pp.390~402、又はA.Y.Coran、「Encyclopedia of Polymer Science and Engineering」第2版(1989年、John Wiley & Sons,Inc.)を参照可能であり、これらは参照により本明細書に組み込まれる。加硫剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。一般に、加硫剤は、第1~第4の実施形態の特定の実施形態において0.1~10phrの範囲の量で使用され得、これには、1~7.5phrが含まれ、1~5phr、好ましくは1~3.5phrが含まれる。
【0101】
加硫促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を改善させるために使用される。本明細書に開示される第1~第4の実施形態の特定の実施形態で使用する好適な加硫促進剤の例としては、チアゾール加硫促進剤、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2,2’-ジチオビス(ベンゾチアゾール)(MBTS)、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(CBS)、N-tert-ブチル-2-ベンゾチアゾール-スルフェンアミド(TBBS)、及び同様のものなど、グアニジン加硫促進剤、例えば、ジフェニルグアニジン(DPG)など、チウラム加硫促進剤、カルバメート加硫促進剤などが挙げられるが、これらに限定されない。一般的に、使用される加硫促進剤の分量は、0.1~10phr、好ましくは0.5~5phrの範囲である。好ましくは、第1~第4の実施形態のトレッドゴム組成物に使用される任意の加硫促進剤は、一硫化チウラム及び多硫化チウラムなどの任意のチウラム(その例としては、TMTM(テトラメチルチウラムモノスルフィド)、TMTD(テトラメチルチウラムジスルフィド)、DPTT(ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド)、TETD(テトラエチルチウラムジスルフィド)、TiBTD(テトライソブチルチウラムジスルフィド)、及びTBzTD(テトラベンジルチウラムジスルフィド)が挙げられる)を除外し、言い換えれば、第1~第4の実施形態のトレッドゴム組成物は、好ましくは、チウラム促進剤を含有しない(すなわち、0phr)。
【0102】
加硫活性化剤は、加硫を補助するために使用される添加剤である。一般的に、加硫活性化剤は、無機構成成分及び有機構成成分の両方を含む。酸化亜鉛は、最も広く使用されている無機加硫活性化剤である。ステアリン酸、パルミチン酸、ラウリン酸、及びこれらのそれぞれの亜鉛塩を含む様々な有機加硫活性化剤が、一般的に使用されている。一般に、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、使用される加硫活性化剤の量は、0.1~6phr(例えば、0.1、0.5、1、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、又は6phr)、好ましくは0.5~4phr(例えば、0.5、1、1.5、2、2.5、3 3.5、又は4phr)の範囲である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、1種又は複数種のチオ尿素化合物(前述の量で使用される)を含む1種又は複数種の加硫活性化剤が使用され、任意選択的に前述の加硫活性化剤のうちの1つ又は複数と組み合わせられる。一般に、チオ尿素化合物は、構造(R1)(R2)NS(=C)N(R3)(R4)を有する化合物として理解することができ、式中、R1、R2、R3、及びR4のそれぞれは、H、アルキル、アリール、及びN含有置換基(例えば、グアニル)から独立して選択される。任意選択的に、前述の構造のうちの2つが、ジチオビ尿素化合物中でNを介して(R基のうちの1つを除去して)一緒に結合することができる。特定の実施形態では、R1又はR2のうちの1つ、及びR3又はR4のうちの1つは、それらの間の1つ又は複数のメチレン基(-CH2-)と一緒に結合することができる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、チオ尿素は、前述の基のうちの1つから選択されるR1、R2、R3及びR4のうちの1つ又は2つを有し、残りのR基は水素である。例示的なアルキルとしては、メチル、エチル、プロピル、イソ-プロピル、ブチル、イソ-ブチル、ペンチル、ヘキシル、及びシクロヘキシルなどのC1~C6直鎖、分枝鎖、又は環状基が挙げられる。例示的なアリールとしては、フェニル、トリル、及びナフチルなどのC6~C12芳香族基が挙げられる。例示的なチオ尿素化合物としては、ジアルキルチオ尿素及びジアリールチオ尿素などのジヒドロカルビルチオ尿素が挙げられるが、これらに限定されない。特定のチオ尿素化合物の非限定例としては、チオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素(DEU)、N,N’-ジメチルチオ尿素、N,N’-ジブチルチオ尿素、エチレンチオ尿素、N,N’-ジイソプロピルチオ尿素、N,N’-ジシクロヘキシルチオ尿素、1,3-ジ(o-トリル)チオ尿素、1,3-ジ(p-トリル)チオ尿素、1,1-ジフェニル-2-チオ尿素、2,5-ジチオビ尿素、グアニルチオ尿素、1-(1-ナフチル)-2-チオ尿素、1-フェニル-2-チオ尿素、p-トリルチオ尿素、及びo-トリルチオ尿素のうちの1つ又は複数が挙げられる。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、活性化剤は、チオ尿素、N,N’-ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N’-ジフェニルチオ尿素、及びN-N’-ジメチルチオ尿素から選択される少なくとも1種のチオ尿素化合物を含む。
【0103】
加硫阻害剤は、加硫プロセスを制御するため、一般的には、所望の時間及び/又は温度に達するまで加硫を遅らせるか又は阻害するために使用される。一般的な加硫阻害剤としては、以下に限定されないが、Santogard製のPVI(シクロヘキシルチオフタルミド)が挙げられる。一般に、第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、加硫阻害剤の量は、0.1~3phr、好ましくは0.5~2phrである。
ゴム組成物の調製
【0104】
本明細書に開示される第1~第4の実施形態のトレッドゴム組成物の調製に関与する特定の工程は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ段階及び最終生産用混合段階で成分を混合することを含む、従来実施されている方法の工程である。同様に、第1~第4の実施形態のトレッドゴム組成物の調製に関与する例示的な特定の工程の本明細書における説明は、第5の実施形態のプロセスに等しく適用可能であるものとして理解されるべきである。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、例えば、Banburyミキサー又はミル粉砕用ロールで、成分を一緒に混錬するなどによる当分野において公知の方法によって、ゴム組成物(上で開示した)の成分を混合することにより調製される。このような方法は、一般に、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階と、最終生産用混合段階とを含む。非生産用マスターバッチ段階という語句は、当業者に既知であり、一般に、加硫剤又は加硫促進剤を添加しない混合段階(単数又は複数)であると理解されている。用語、最終生産用混合段階も当業者に既知であり、一般に、ゴム組成物中に加硫剤及び加硫促進剤を添加する混合段階であると理解されている。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、2回以上の非生産用マスターバッチ混合段階を含むプロセスにより調製される。
【0105】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、マスターバッチ混合段階が、タンデム混合又は相互噛合混合のうちの少なくとも1つを含むプロセスによって調製される。タンデム混合は、2つの混合チャンバを有し、各チャンバが1組の混合用ローターを有する、ミキサーを使用することを含むものとして理解することができ、一般に、2つの混合チャンバは、一次ミキサーである上部混合器と一緒に積層され、下部ミキサーは、上部又は一次ミキサーからバッチを受け入れる。ある特定の実施形態では、一次ミキサーは噛み合うローターを利用し、他の実施形態では、一次ミキサーは接線方向のローターを利用する。好ましくは、下部ミキサーは、噛み合うローターを利用する。噛み合い混合は、噛み合うローターを有するミキサーの使用を含むものとして理解され得る。噛み合うローターとは、ローターが互いに噛み合うように、セット内の1つのローターの大径が、セット内の対向するローターの小径と相互作用する。噛み合うローターは、ローター間の相互作用により、均一の速度で駆動されなければならない。噛み合うローターとは対照的に、接線方向ローターとは、各々のローターが、側面と称され得る空洞内で互いに独立して回転する、1組のローターを指す。一般に、接線方向のローターを有するミキサーは、ラムを含むのに対し、ラムは、噛み合うローターを有するミキサーでは必要ではない。
【0106】
一般に、ゴム(又はポリマー)及び少なくとも1種の補強充填剤(及び任意のシランカップリング剤及び油)を非生産用又はマスターバッチ混合段階(単数又は複数)で添加する。一般に、硬化パッケージの少なくとも加硫剤成分及び加硫促進成分を最終又は生産用混合段階で添加する。
【0107】
第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用マスターバッチ混合段階が約130℃~約200℃の温度で実施されるプロセスを使用して調製される。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、ゴム組成物の望ましくない事前硬化を回避するために加硫温度を下回る温度で実施する最終生産用混合段階を使用して調製される。したがって、生産用又は最終混合段階の温度は、約120℃を超えるべきではなく、通常、約40℃~約120℃、又は約60℃~約110℃、とりわけ約75℃~約100℃である。第1~第4の実施形態の特定の実施形態では、トレッドゴム組成物は、少なくとも1回の非生産用混合段階と少なくとも1回の生産用混合段階とを含むプロセスによって調製される。シリカ充填剤の使用は、任意選択的に、そのような充填剤の一部又は全部を別個に添加するための別個の再粉砕段階を必要とし得る。この段階は、多くの場合、マスターバッチ段階で採用される温度と同様であるが、多くの場合わずかに低い温度で実施され、すなわち、約90℃から約150℃の落下温度まで上昇させる。
タイヤトレッド特性
【0108】
タイヤにおける第1~第3の実施形態のタイヤトレッドゴム組成物の使用は、改善された又は望ましいトレッド特性を有するタイヤをもたらし得る。これらの改善された又は望ましい特性としては、転がり抵抗、雪若しくは氷牽引摩擦、湿潤牽引摩擦、又は乾燥操縦性のうちの1つ又は複数を挙げることができる。これらの特性は、様々な方法によって測定され得るが、転がり抵抗、雪又は氷牽引摩擦、湿潤牽引摩擦、及び乾燥操縦性について本明細書で言及される値は、以下の温度において以下の手順に従って測定されるtanδ値を指す。tanδ値は、動的機械熱分光計(Gabo Qualimeter Testanlagen GmbH(Ahiden,Germany)のEplexor(登録商標)500N)を用いて以下の条件下で測定することができる:測定モード:引張試験モード、測定周波数:52Hz、50~-5℃の0.2%ひずみ及び-5~65℃の1%ひずみを適用、-30℃、0℃、30℃、及び60℃の測定温度、試料形状:幅4.75mm×長さ29mm×厚さ2.0mm。測定は、硬化したゴムの試料(170℃で15分間硬化)に対して行われる。-30℃におけるゴム組成物のtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその雪又は氷牽引摩擦を示し、0℃におけるtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその湿潤牽引摩擦を示し、30℃におけるtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその乾燥操縦性を示し、60℃におけるそのtanδは、タイヤトレッド内に組み込まれているときのその転がり抵抗を示す。
【0109】
第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、ゴム組成物は、0.18~0.25(例えば、0.18、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、0.24、又は0.25)、0.19~0.24(例えば、0.19、0.2、0.21、0.22、0.23、又は0.24)、又は0.2~0.23(例えば、0.2、0.21、0.22、0.23、又は0.24)の60℃におけるtanδの値を有する。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの値は、(a)60℃におけるtanδ値の少なくとも1.5倍(例えば、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、又はそれより上)、好ましくは60℃におけるtanδ値の1.5倍~2倍の-30℃におけるtanδの値、(b)60℃におけるtanδ値の少なくとも1.4倍(例えば、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、又はそれより上)、好ましくは60℃におけるtanδ値の1.4倍~2倍の0℃におけるtanδの値、又は(c)60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、2倍、2.1倍、2.2倍、2.3倍、2.4倍、2.5倍、2.6倍、2.7倍、2.8倍、2.9倍、3倍、又はそれより上)、好ましくは60℃におけるtanδ値の1.1倍~2倍の30℃におけるtanδの値、のうちの少なくとも1つと組み合わされ、特定のそのような実施形態では、60℃におけるtanδの値は、(a)、(b)、及び(c)のそれぞれと組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.18~0.25、0.19~0.24、又は0.2~0.23)は、(a)60℃におけるtanδ値の1.5倍~2倍(例えば、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、又は2倍)、又は60℃におけるtanδ値の1.6~1.9倍(例えば、1.6倍、1.7倍、1.8倍、又は1.9倍)の-30℃におけるtanδの値と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.18~0.25、0.19~0.24、又は0.2~0.23)は、(b)60℃におけるtanδ値の1.4倍~2倍(例えば、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、又は2倍)、又は1.6~1.8倍(例えば、1.6倍、1.7倍、又は1.8倍)の0℃におけるδについての値と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.18~0.25、0.19~0.24、又は0.2~0.23)は、(c)60℃におけるtanδ値の1.1~2倍(例えば、1.1倍、1.2倍、1.3倍、1.4倍、1.5倍、1.6倍、1.7倍、1.8倍、1.9倍、又は2倍)の30℃におけるδについての値と組み合わされる。第1~第3の実施形態の特定の実施形態では、60℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ(例えば、0.18~0.25、0.19~0.24、又は0.2~0.23)は、-30℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ、0℃におけるtanδの前述の値のうちの1つ、及び30℃におけるtanδの前述の値のうちの1つと組み合わされる。
【0110】
本出願は、本明細書において開示されている組成物及び方法の実施形態が開示される数値範囲全体で実行できるため、明確な範囲限界が明細書内に言葉どおりに言及されていなくても、開示される数値範囲内の任意の範囲を支持する、いくつかの数値範囲限界を開示している。実質的に任意の複数又は単数の用語を本明細書で用いることに関して、当業者は、状況又は用途に適切となるように、複数から単数へ、又は単数から複数へ置き換えることができる。様々な単数又は複数の置き換えは、簡潔にするため、本明細書では明示的に記述されている場合がある。
【0111】
一般的に、当業者は、本明細書及び特に添付の特許請求の範囲で使用された用語は、概して「オープン」な用語を意図していることを理解するだろう。例えば、用語「含む」は、「含むがこれらに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「挙げられる」は、「挙げられるがこれらに限定されない」と解釈されるべきである。更に、当業者は、前置きされた請求項の記載において特定の数が意図される場合、そのような意図は当該請求項中に明示的に記載されるものとし、そのような記載がない場合は、そのような意図も存在しないことを理解するだろう。例えば、理解を助けるものとして、以下の添付の特許請求の範囲には、請求項の記載を前置きするために、前置き語句「少なくとも1つ」及び「1つ又は複数」の使用を含む場合がある。しかしながら、かかる語句の使用は、同じ請求項が、前置き語句「1つ又は2つ以上」又は「少なくとも1つ」、及び、「a」又は「an」などの不定冠詞を含む場合であっても、不定冠詞「a」又は「an」による請求項の記載の前置きが、そのように前置きされた請求項の記載を含む任意の特定の請求項を、かかる記載を1つのみ含む発明に限定することを意味するものとして解釈されてはならず(例えば、「a」又は「an」は、典型的には、「少なくとも1つ」又は「2つ以上」を意味すると解釈されるべきである)、請求項の記載の前置きに使用される定冠詞の使用についても同じことが言える。加えて、前置きされた請求項の記載において特定の数が明示的に記載される場合でも、当業者は、このような記載が、少なくとも記載される番号を意味するものと解釈されるべきであることを理解している(例えば、他の修飾語句を持たない明らかな記載である「2つの記載」は、典型的には、少なくとも2つ以上の記載を意味する)。更に、「A、B、及びCなどのうち少なくとも1つ」に類似する慣例表現を用いる場合、一般に、このような構成は、当業者がその慣例を理解し得るという意味において意図される(例えば、「A、B、及びCのうち少なくとも1つを有するシステム」として、Aのみ、Bのみ、Cのみ、A及びBを共に、A及びCを共に、B及びCを共に、並びに/又は、A、B、及びCを共になどを有するシステムが挙げられ得るが、これらに限定されない)。更に、当業者は、事実上、2つ以上の代替用語を示す任意の離接的単語又は語句は、明細書、請求項、又は図面を問わず、これらの用語のうちの1つ、これらの用語のうちのいずれか、又はこれらの用語の両方を含む可能性を企図すると理解されるべきであることを、理解するであろう。例えば、語句「A又はB」は、「A」又は「B」又は「A及びB」の可能性を含むと理解されるだろう。
【0112】
特許、特許出願、非特許文献を含むが、これらに限定されない全ての参考文献は、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0113】
組成物及び方法の様々な態様並びに実施形態を本明細書に開示してきたが、他の態様及び実施形態が、当業者には明らかであろう。本明細書で開示されている様々な態様及び実施形態は、例示目的であり、特許請求の範囲により示されている真の範囲及び趣旨を限定することを意図していない。
本発明は以下の態様を含む。
<1>
タイヤトレッドゴム組成物であって、
a.100部のエラストマー成分であって、
i.30~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、
ii.少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する30~60部のポリブタジエンゴムと、を含む、100部のエラストマー成分と、
b.81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c.15phr以下のカーボンブラック充填剤と、
d.約30~約50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、
e.0~40phrと、
f.硬化パッケージと、を含み、
(d)及び(e)の総量が59phr以下である、タイヤトレッドゴム組成物。
<2>
(i)及び(ii)の総量が100部である、<1>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<3>
前記エラストマー成分が天然ゴム及びポリイソプレンを含まない、<1>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<4>
前記エラストマー成分が、20~40phrの天然ゴム、ポリイソプレン、又はこれらの組み合わせを更に含み、(i)が30~50部の量で存在し、(ii)が30~50部の量で存在する、<1>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<5>
(d)の前記炭化水素樹脂が芳香族樹脂を含む、<1>~<4>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<6>
タイヤトレッドゴム組成物であって、
a.100部のエラストマー成分であって、
i.20%以下のビニル結合含量及び約-40~約-50℃のTgを有する40~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、
ii.少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部のポリブタジエンゴムと、を含み、
(i)及び(ii)の総量が100部である、100部のエラストマー成分と、
b.81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c.15phr以下のカーボンブラック充填剤と、
d.約30~約50℃のTgを有する11~35phrの少なくとも1種の炭化水素樹脂と、
e.0~40phrと、
f.硬化パッケージと、を含み、
(d)及び(e)の総量が59phr以下、好ましくは50phr未満である、タイヤトレッドゴム組成物。
<7>
(d)の前記少なくとも1種の炭化水素樹脂が、芳香族樹脂を含む、<6>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<8>
前記芳香族炭化水素樹脂が、約35~約50℃のTgを有する、<7>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<9>
タイヤトレッドゴム組成物であって、
a.100部のエラストマー成分であって、
i.20%以下のビニル結合含量及び約-40~約-50℃のTgを有する40~60部のスチレン-ブタジエンゴムと、
ii.少なくとも95%のシス結合含量及び-101℃未満のTgを有する40~60部のポリブタジエンゴムと、を含み、
(i)及び(ii)の総量が100部である、100部のエラストマー成分と、
b.81~120phrの量の少なくとも1種の補強シリカ充填剤と、
c.15phr以下のカーボンブラック充填剤と、
d.約30~約50℃のTgを有する11~30phrの少なくとも1種の芳香族炭化水素樹脂と、
e.0~30phrの油と、
f.硬化パッケージと、を含み、
(d)及び(e)の総量が49phr以下である、タイヤトレッドゴム組成物。
<10>
前記芳香族炭化水素樹脂が、約35~約50℃のTgを有する、<9>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<11>
(i)の前記SBRが、25~35重量%のスチレンモノマー含量を有する、<1>~<10>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<12>
(i)の前記SBRが、SBR100部あたり30~40部の少なくとも1種の油で油展されている、<1>~<11>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<13>
15~25phrの総油含量を有する、<1>~<12>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<14>
(d)の前記炭化水素樹脂が、5phr未満のテルペン樹脂、好ましくは0phrのテルペン樹脂を含む、<1>~<13>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<15>
(d)及び(e)の前記総量が50phr未満である、<1>~<14>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<16>
存在する任意の油が、50重量%以下のオレイン酸を含有する、<1>~<15>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<17>
(d)及び(e)が、45phr以下の総量で存在する、<1>~<16>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<18>
(c)が、10phr以下のカーボンブラック充填剤を含む、<1>~<17>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<19>
前記ゴム組成物が、0.18~0.25の60℃におけるtanδの値を有し、
a.前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.5倍、好ましくは前記60℃におけるtanδ値の1.5倍~2倍の-30℃におけるtanδの値を有すること、
b.前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.4倍、好ましくは前記60℃におけるtanδ値の1.4倍~2倍の0℃におけるtanδの値を有すること、又は
c.前記60℃におけるtanδ値の少なくとも1.1倍、好ましくは前記60℃におけるtanδ値の1.1倍~2倍の30℃におけるtanδの値を有すること、のうちの少なくとも1つを満たす、<1>~<18>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<20>
(a)、(b)、及び(c)のそれぞれを満たす、<19>に記載のタイヤトレッドゴム組成物。
<21>
<1>~<20>のいずれか一項に記載のタイヤトレッドゴム組成物を含むトレッドを含む、タイヤ。