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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】バラストタンク
(51)【国際特許分類】
   B63B 13/00 20060101AFI20240702BHJP
   B63B 13/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B63B13/00 Z
B63B13/02
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018238621
(22)【出願日】2018-12-20
(65)【公開番号】P2020100216
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-04-14
【審判番号】
【審判請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】503218067
【氏名又は名称】住友重機械マリンエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162640
【弁理士】
【氏名又は名称】柳 康樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165526
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 寛
(72)【発明者】
【氏名】岡田 太一
(72)【発明者】
【氏名】中澤 和弘
【合議体】
【審判長】一ノ瀬 覚
【審判官】北中 忠
【審判官】横溝 顕範
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-208569(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103204226(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2013-0020207(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外壁と、内壁と、前記外壁及び前記内壁の間に設けられたサイドストリンガーと、を備えるバラストタンクであって、
前記外壁及び前記内壁には、それぞれ多数段のロンジが船体長手方向に固定され、
前記サイドストリンガーには水抜き開口が設けられ、
前記水抜き開口は、バラストタンクの平面視において、前記サイドストリンガーの直上のロンジの水平方向の範囲内に存在するように、前記サイドストリンガーの両側縁に設けられ、
前記バラストタンクは前記船体長手方向に複数のサイドフロアで複数の区画に区切られ、
一対の前記サイドフロアで区切られる一区画内では、前記サイドストリンガーの少なくとも一方の側縁に複数の前記水抜き開口が前記船体長手方向に並ぶように設けられており、
前記水抜き開口の、前記外壁及び前記内壁のうちの一方の前記側縁側の壁からの、前記平面視における離間距離を第1の寸法とし、
前記水抜き開口の前記ロンジの先端からの、前記平面視における離間距離を第2の寸法とした場合、
前記第2の寸法は、前記第1の寸法よりも小さい、バラストタンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バラストタンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載のバラストタンクが知られている。このバラストタンクは、外壁と、内壁と、前記外壁及び前記内壁の間に設けられたサイドストリンガーと、を備える。外壁及び内壁には、それぞれ多数段のロンジが船体長手方向に固定される。また、サイドストリンガーには水抜き開口が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平11-208569号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、バラストタンクを有する船舶においては船体構造の軽量化を図ることが求められていた。その一方で、バラストタンクの水抜き開口構造の排水性能も維持することが求められていた。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、排水機能を維持しながら、船体構造の軽量化を図ることができるバラストタンクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のバラストタンクは、外壁と、内壁と、外壁及び内壁の間に設けられたサイドストリンガーと、を備えるバラストタンクであって、外壁及び内壁には、それぞれ多数段のロンジが船体長手方向に固定され、サイドストリンガーには水抜き開口が設けられ、水抜き開口は、バラストタンクの平面視において、サイドストリンガーの直上のロンジの水平方向の範囲内に存在するように、サイドストリンガーの両側縁に設けられ、バラストタンクは船体長手方向に複数のサイドフロアで複数の区画に区切られ、一対のサイドフロアで区切られる一区画内では、サイドストリンガーの少なくとも一方の側縁に複数の水抜き開口が設けられている。
【0007】
本発明のバラストタンクでは、水抜き開口は、バラストタンクの平面視において、サイドストリンガーの直上のロンジの水平方向の範囲内に存在するように、サイドストリンガーの両側縁に設けられる。この場合、水抜き開口は、上方でロンジに覆われるような構成となるため、船舶建造時やタンク検査のために作業員がサイドストリンガー上を歩行するときに、水抜き開口に格子や網などの防護部材を設けなくとも、作業員が誤って水抜き開口に脚を入れることを防止できる。ここで、例えば、一区画内に一つの水抜き開口が設けられている場合、水抜き開口の横方向(船体幅方向)の寸法が一定範囲の大きさになるため、ロンジの横方向(船体幅方向)の寸法を小さくして軽量化を図ることができない。これに対し、本発明に係るバラストタンクでは、一対のサイドフロアで区切られる一区画内に、サイドストリンガーの少なくとも一方の側縁に複数の水抜き開口が設けられている。この場合、一つの大きな水抜き開口を複数の水抜き開口に分割することで、排水性能は維持しつつも、一つあたりの水抜き開口の横方向(船体幅方向)の寸法を小さくすることができる。このように、一つあたりの水抜き開口の横方向(船体幅方向)の寸法が小さくなることで、当該水抜き開口を覆うロンジの寸法も小さくすることが可能となる。従って、ロンジの寸法を小さくすることで、船体構造の軽量化を図ることができる。以上により、排水機能を維持しながら、船体構造の軽量化を図ることができる。
【0008】
本発明のバラストタンクは、複数のサイドストリンガーによって上下方向に少なくとも二段の区画に区切られ、上側の区画の(下側の境界となる)サイドストリンガーの一方の側縁に設けられた水抜き開口の数は、下側の区画の(下側の境界となる)サイドストリンガーの一方の側縁に設けられた水抜き開口の数よりも多くてよい。上側の区画は、作用する水圧が低いことにより要求強度が低い。従って、上側の区画での水抜き開口の数を多くすることで、低い要求強度に対応するようにロンジの寸法を小さくすることができる。
【0009】
本発明のバラストタンクにおいて、サイドストリンガーの外壁側の側縁に設けられた水抜き開口の数は、内壁側の側縁に設けられた水抜き開口の数よりも多くてよい。外壁には、内壁のように波などの負荷が作用しないため、要求強度が低い。従って、外壁側での水抜き開口の数を多くすることで、低い要求強度に対応するようにロンジの寸法を小さくすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、排水機能を維持しながら、船体構造の軽量化を図ることができるバラストタンクを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係るバラストタンクが適用される船舶の一例を示す概略側面図である。
図2図1に示すII-II線に沿った断面図である。
図3図2に示すIII部分の拡大図である。
図4】本発明の実施形態及び比較例に係るバラストタンクの水抜き開口構造を示す図である。
図5】水抜き開口の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明のバラストタンクの好適な実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」の語は船体の進行方向に対応するものであり、「横」の語は船体の左右(幅)方向に対応するものであり、「上」「下」の語は船体の上下方向に対応するものである。船体が前後に延びる方向を「船体長手方向D1」と称し、船体の左右方向を「横方向D2」と称する場合がある。また、図面においては、便宜上、各部材の板厚を省略する場合がある。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係るバラストタンクが適用される船舶の一例を示す概略側面図である。図2は、図1に示すII-II線に沿った断面図である。船体構造1が適用される船舶は、原油や液体ガス等の石油系液体貨物を運搬する船舶であり、例えば、オイルタンカーである。なお、船舶は、オイルタンカーに限定されず、例えば、ダブルハルバルクキャリアであってもよい。
【0014】
船舶10は、図1に示すように、船体11と、推進器12と、を備えている。船体11は、船首部13と、船尾部14と、を有している。船首部13は、船体11の前方側に位置している。船尾部14は、船体11の後方側に位置している。船首部13は、例えば満載喫水状態における造波抵抗の低減が図られた形状を有している。推進器12は、船体11を推進させるものであり、例えばスクリューシャフトが用いられている。推進器12は、船尾部14における喫水線SLよりも下方に設置されている。また、船尾部14における喫水線SLよりも下方には、推進方向を調整するための舵15が設置されている。
【0015】
船体11は、図2に示すように、カーゴオイルタンク16と、バラストタンク17と、を備えている。カーゴオイルタンク16は、船舶10によって運搬される石油系貨物を積載する。バラストタンク17は、カーゴオイルタンク16に積載された石油系貨物の重量に応じた量のバラスト水を収容する。例えば、バラストタンク17は、石油系貨物の重量が小さい場合にはバラストポンプ(不図示)によって海水W(バラスト水)を吸い上げ、収容されているバラスト水を増加させる。一方、積載された石油系貨物の重量が大きい場合には、バラスト水を海に排出し、収容されているバラスト水を減少させる。これにより、船舶10全体としての重量は、船舶10の安全性を確保できると共に十分な喫水を確保できる重量となるように調整される。
【0016】
カーゴオイルタンク16は、図2に示すように、船体11の内側に設けられている。カーゴオイルタンク16の天井面は、上甲板18で構成されている。カーゴオイルタンク16の側方側及び下方側は、船体11の外壁20及び内壁30によって二重船殻が構成されている。また、カーゴオイルタンク16の側方側及び下方側には、二重船殻内を船体11の船体長手方向D1に隔てるサイドフロア40が設けられている(図1参照)。
【0017】
バラストタンク17は、図2に示すように、カーゴオイルタンク16の側方側及び下方側に設けられている。すなわち、船体11の二重船殻を構成する外壁20及び内壁30で囲まれる領域がバラストタンク17とされている。バラストタンク17は、船体11の船側部11aにおいて上下方向に延びると共に、船体11の船底部11bにおいて横方向D2に延びている。
【0018】
次に、図3を参照して、バラストタンク17について詳細に説明する。図3は、図2に示すIII部分の拡大図である。
【0019】
バラストタンク17は、図3に示すように、外壁20及び内壁30と、サイドフロア40と、サイドストリンガー50と、を備えている。
【0020】
外壁20は、船側外板21と、船底外板22と、を有している。船側外板21は、船体11の船側部11aにおいて船体11の船体長手方向D1に延在している。船底外板22は、船体11の船底部11bにおいて船体11の船体長手方向D1に延在している。また、内壁30は、縦隔壁31と、内底板32と、を有している。縦隔壁31は、船体11の船側部11aにおいて船体11の船体長手方向D1に延在している。内底板32は、船体11の船底部11bにおいて船体11の船体長手方向D1に延在している。内底板32は、縦隔壁31に向かって上方に傾斜する傾斜面32sを有している。内底板32の傾斜面32sと縦隔壁31とは、接合部33により接合されている。
【0021】
サイドフロア40、及びボトムフロア43は、図3に示すように、船体11の横断面視において外壁20及び内壁30が延びる方向に延在している。すなわち、サイドフロア40は、船側部11aにおいて上下方向に延在しており、ボトムフロア43は船底部11bにおいて横方向D2に延在している。サイドフロア40は、船側外板21及び縦隔壁31の間を船体11の船体長手方向D1に隔てると共に、船体11の船体長手方向D1に通過可能に形成されている。これにより、バラストタンク17は、船体長手方向D1に複数のサイドフロア40で複数の区画に区切られる。なお、図4(a)では、一つあたりの区画が「E」で示されている。サイドフロア40には、船体11の船体長手方向D1に通過可能とするための交通孔41が設けられている。交通孔41は、バラストタンク17内の保守・点検に作業者が利用するための通路としての機能を有している。交通孔41は、サイドフロア40を貫通して形成されている。これにより、交通孔41によって、サイドフロア40で区切られた区画同士の間で行き来を行うことができる。
【0022】
サイドストリンガー50は、外壁20及び内壁30の間に設けられている。サイドストリンガー50は、バラストタンク17内において船側外板21及び縦隔壁31に亘って水平に設置されている。サイドストリンガー50は、船体の内部に構造体としての縦桁として構成される。サイドストリンガー50は、両端部において船側外板21及び縦隔壁31に接合されて、バラストタンク17内をサイドフロア40の延在方向に交差する方向に隔てている。すなわち、船側部11aにおいて、サイドストリンガー50は、バラストタンク17内を上下方向に隔てている。船側部11aのサイドストリンガー50は、船側外板21及び縦隔壁31を連結した状態で船体11の船体長手方向D1に延在している。サイドストリンガー50は、床部材を構成している。床部材を構成しているサイドストリンガー50は、上面において歩路面を有している。歩路面は、バラストタンク17内の保守・点検の際、交通孔41を通過する作業者が歩く面としての機能を有している。以上により、バラストタンク17は、複数のサイドストリンガー50によって上下方向に少なくとも二段の区画に区切られる。本実施形態では、バラストタンク17の船側部11aは、二段の区画に区切られているが、更に多数の区画に区切られてよい。なお、上側の区画を上側区画UEとし、下側の区画を下側区画DEと称する場合もある。図3では、下側区画DEのサイドストリンガー50及びロンジ55を「サイドストリンガー50A」「ロンジ55A」としている。また、上側区画UEのサイドストリンガー50及びロンジ55を「サイドストリンガー50B」「ロンジ55B」としている。ただし、以降の説明では、下側区画DE及び上側区画UEの構成を包括的に説明する場合は、単に「サイドストリンガー50」「ロンジ55」と称する場合がある。
【0023】
船側外板21及び縦隔壁31には、補強材として、それぞれ多数段のロンジ55が船体長手方向D1に固定されている。ロンジ55は、船側外板21及び縦隔壁31のそれぞれからバラストタンク17内に突出している。ロンジ55は、サイドフロア40の延在方向における所定の位置において、サイドフロア40の延在方向に交差する方向に互いに対向して一対設置されている。すなわち、船体11の船側部11aにおいて、ロンジ55は、上下方向の同位置に一対設置されている。また、船体11の船側部11aにおいて、ロンジ55は、横方向D2に互いに対向している。ロンジ55は、例えば、断面略T形状に形成されている。ロンジ55は、断面略T形状のフランジ面が互いに対向するように、船側外板21及び縦隔壁31にそれぞれ設置されている。
【0024】
図4(a)及び図4(b)を参照して、本実施形態に係るバラストタンク17が備える水抜き開口構造100について説明する。図4(a)は、本実施形態に係るバラストタンク17の水抜き開口構造100を上方から見た平面図である。図4(b)は、本実施形態に係るバラストタンク17の水抜き開口構造100を船体長手方向D1から見た概略断面図である。なお、図4(a)及び図4(b)は、下側区画DEのサイドストリンガー50A付近の構成を示している。上側区画UEのサイドストリンガー50B付近についても、図4(a)及び図4(b)の水抜き開口構造100と同趣旨の構造が設けられるため、説明を省略する。
【0025】
図4(a)に示すように、バラストタンク17は、水抜き開口構造100を備える。水抜き開口構造100は、前述のサイドフロア40、サイドストリンガー50A、及びロンジ55Aを備えており、サイドストリンガー50Aに水抜き開口60が設けられている。バラストタンク17は船体長手方向D1に複数のサイドフロア40で複数の区画Eに区切られる。一つあたりの区画Eは、船体長手方向D1方向に互いに隣合って対向する一対のサイドフロア40と、床側のサイドストリンガー50Aと、当該サイドストリンガー50Aと上側で対向する天井(一段上側のサイドストリンガー50Bの場合もあれば、他の天井部材である場合もある)と、船側外板21及び縦隔壁31と、によって囲まれる一つの空間によって形成される。バラストタンク17は、船体長手方向D1に並ぶように配置された複数の区画Eを有する。また、バラストタンク17は、上下方向に複数段の区画Eを有する(図3参照)。
【0026】
サイドストリンガー50Aは、船側外板21側の側縁50Aa、及び縦隔壁31側の側縁50Abを有する。すなわち、図3に示すように、下側区画DEでは、「E1」で示す位置が、サイドストリンガー50Aの船側外板21側の側縁50Aaに対応する。下側区画DEでは、「E2」で示す位置が、サイドストリンガー50Aの縦隔壁31側の側縁50Abに対応する。なお、上側区画UEでは、「E3」で示す位置が、サイドストリンガー50Bの船側外板21側の側縁50Baに対応する。上側区画UEでは、「E4」で示す位置が、サイドストリンガー50Bの縦隔壁31側の側縁50Bbに対応する。
【0027】
図4(a)(b)に示すように、このようなサイドストリンガー50Aの両側縁50Aa,50Abには、水抜き開口60が設けられる。水抜き開口60は、サイドストリンガー50Aを貫通する貫通孔によって構成される。水抜き開口60は、サイドストリンガー50Aによって区切られる二つの空間を連通させる。従って、サイドストリンガー50Aによって区切られる区画E内のバラスト水を抜くとき、バラスト水は、水抜き開口60を通過して、サイドストリンガー50Aの下側の空間へ抜けてゆく。また、バラストタンク17にバラスト水を貯めるとき、サイドストリンガー50Aの下側の空間から満ちてきたバラスト水は、水抜き開口60を通過して、サイドストリンガー50Aによって区切られる区画E内の空間に供給される。なお、図4(a)(b)では、船体のうちの横方向D2における一端側のバラストタンク17のみが示されているが、他端側のバラストタンク17も同趣旨の構成を有している。
【0028】
水抜き開口60は、バラストタンク17の平面視において、サイドストリンガー50Aの直上のロンジ55Aの水平方向の範囲内に存在するように、サイドストリンガー50Aの両側縁50Aa,50Abに設けられる。側縁50Aaに設けられる水抜き開口60は、船側外板21に固定されたロンジ55Aと、上下方向から見て重なる位置に配置されている。すなわち、側縁50Aaに設けられる水抜き開口60は、船側外板21に固定されたロンジ55Aの先端よりも、船側外板21側の位置に配置されており、ロンジ55Aの先端から縦隔壁31側へはみ出ないように配置されている。側縁50Abに設けられる水抜き開口60は、縦隔壁31に固定されたロンジ55Aと、上下方向から見て重なる位置に配置されている。すなわち、側縁50Abに設けられる水抜き開口60は、縦隔壁31に固定されたロンジ55Aの先端よりも、縦隔壁31側の位置に配置されており、ロンジ55Aの先端から船側外板21側へはみ出ないように配置されている。
【0029】
上述のような構成により、水抜き開口60は、ロンジ55Aによって上方を覆われる構成となる。従って、船舶建造時やタンク検査のために作業員がサイドストリンガー50A上を歩行するときに、水抜き開口60がロンジ55Aで覆われる構成となっているため、作業員が誤って水抜き開口60に脚を入れることを防止できる。このため、水抜き開口60には、格子や網などの防護部材を設ける必要がない。
【0030】
一対のサイドフロア40で区切られる一区画E内では、サイドストリンガー50Aの側縁50Aa,50Abのそれぞれに対して複数の水抜き開口60が設けられている。ここでは、一区画E内の側縁50Aa,50Abに対してそれぞれ二つの水抜き開口60が設けられている。複数の水抜き開口60は、船体長手方向D1において互いに異なる位置に配置されることで、船体長手方向D1に並ぶように配置されている。このように、一区画E内で複数の水抜き開口60を設けることで、一つあたりの水抜き開口60の横方向D2における寸法を小さくすることができる。この場合、ロンジ55Aで覆う対象物である水抜き開口60が小さくなることで、それに伴い、ロンジ55Aの横方向D2における寸法も小さくして、軽量化を図ることが可能となる。
【0031】
次に、図5を参照して、水抜き開口60の構成について更に詳細に説明する。図5(a)は、一区画E内に二つの水抜き開口60を示す拡大図である。図5(a)に示すように、船体長手方向D1における一方の水抜き開口60を「60A」とし、他方の水抜き開口60を「60B」とする。なお、図5(a)を用いてなされる寸法関係の説明は、下側区画DEの側縁50Aa,50Abの水抜き開口60、及び上側区画UEの側縁50Ba,50Bbの水抜き開口60のいずれに対しても成り立つものである。よって、図5(a)では、側縁50Aa,50Abと側縁50Ba,50Bbとを区別することなく「側縁50a,50b」と称して説明を行う。また、図5(a)では、側縁50aと側縁50bとで共通の構成を示しているものとする。側縁50aを示しているときと、側縁50bを示しているときとでは、前後の関係が互いに逆向きになる。なお、以降の説明では、横方向D2のうち、壁21,31側を「横方向D2における外側」と称し、壁21,31から遠ざかる側を「横方向D2における内側」と称する場合がある。
【0032】
水抜き開口60A,60Bは、船体長手方向D1に延びる長円状の形状を有する。従って、水抜き開口60A,60Bは、横方向D2における外側の端部60aと、内側の端部60bと、船体長手方向D1における一方側の端部60cと、他方側の端部60dと、を有する。端部60a,60bは、船体長手方向D1と平行をなすように直線状に延びる。なお、以降の説明では、水抜き開口60Aの寸法関係について説明するが、水抜き開口60Bについても同趣旨の関係が成り立つものとする。
【0033】
水抜き開口60Aの船体長手方向D1に沿った長さを「寸法L1」とし、横方向D2に沿った長さを「寸法L2」とした場合、「寸法L1≧寸法L2」となる。また、「寸法L2/寸法L1」の比率は、強度確保の観点から、所定の範囲内(例えば、0.5~1.0という比率の範囲内)に制限される。すなわち、寸法L2が極端に小さいような水抜き開口60Aを設けることは制限される。
【0034】
水抜き開口60Aの壁21,31からの離間距離を「寸法L3」とする。寸法L3は、壁21,31に対してサイドストリンガー50を固定する際の加工を考慮して設定されてよい。例えば、壁21,31に対してサイドストリンガー50を溶接して固定する場合、水抜き開口60Aが壁21,31に近すぎることによって溶接作業が阻害されない程度に、水抜き開口60Aを壁21,31から離間させる必要がある。寸法L3は、水抜き開口60Aの寸法L2よりも大きくてもよく、同じであってもよく、小さくてもよい。ただし、寸法L1~L6の決定全てについて強度の確保は必要である。
【0035】
水抜き開口60Aのロンジ55の先端からの離間距離を「寸法L4」とする。寸法L4は、上述の寸法L3とは異なり、製造上の制約条件などはないため、ロンジ55に要求される補強性能との関係で調整することができる。従って、船体構造の軽量化を図るために、ロンジ55を短くするために、寸法L4を小さくしてもよい。具体的には、寸法L4は、寸法L3よりも小さくてよい。このような寸法関係を採用した場合、水抜き開口60Aは、ロンジ55と重なる領域のうち、ロンジ55の先端寄りの位置(横方向D2の内側寄りの位置)に配置されるような位置関係となる。寸法4は、水抜き開口60Aの寸法L2より小さくてもよい。ただし、ロンジ55の補強性能が要求される箇所などでは、ロンジ55の長さをある程度長くすることで、寸法L4がある程度大きくなってもよい。従って、寸法L4は、寸法L3よりも大きくてよく、寸法L3と同じであってもよい。また、寸法L4は、水抜き開口60Aの寸法L2よりも大きくてよく、寸法L2と同じであってもよい。
【0036】
なお、本実施形態では、水抜き開口60を二つの水抜き開口60A,60Bに分割することで、一つあたりの水抜き開口60A,60Bの寸法L2を小さくしている。従って、ロンジ55の横方向D2の寸法のうち、水抜き開口60A,60Bが占める寸法の割合が半分より小さくてもよく、「寸法L2<寸法L3+寸法L4」という関係が成り立ってもよい。ただし、「寸法L2>寸法L3+寸法L4」という関係が成り立ってもよく、「寸法L2=寸法L3+寸法L4」という関係が成り立ってもよい。
【0037】
水抜き開口60Aの最寄りのサイドフロア40からの離間距離を「寸法L5」とする。寸法L5は、サイドストリンガー50に対してサイドフロア40を固定する際の加工を考慮して設定されてよい。例えば、サイドストリンガー50に対してサイドフロア40を溶接して固定する場合、水抜き開口60Aがサイドフロア40に近すぎることによって溶接作業が阻害されない程度に、水抜き開口60Aをサイドフロア40から離間させる必要がある。寸法L5は、水抜き開口60Aの寸法L1よりも大きくてもよく、同じであってもよく、小さくてもよい。
【0038】
水抜き開口60Aと水抜き開口60Bとの間の離間距離を「寸法L6」とする。寸法L6は、強度の観点からある程度の長さを確保すればよい。寸法L6は、水抜き開口60Aの寸法L1よりも大きくてもよく、同じであってもよく、小さくてもよい。寸法L6は、寸法L5よりも大きくてもよく、同じであってもよく、小さくてもよい。
【0039】
上述のように、水抜き開口60Bについても、水抜き開口60Aと同趣旨の寸法関係が成り立つ。すなわち、水抜き開口60Bは、水抜き開口60Aと同形状、同寸法であり、壁21,31及びロンジ55の先端からの離間距離も水抜き開口60Aと同じであり、最寄りのサイドフロア40からの離間距離も水抜き開口60Aと同じである。例えば、水抜き開口60Aの方が水抜き開口60Bよりも大きいことにより、水抜き開口60Aの端部60bが水抜き開口60Bの端部60bよりも横方向D2の内側まで延びている場合、ロンジ55の横方向D2の寸法は、大きい水抜き開口60Aの端部60bの位置を基準として設定される。この場合、小さい水抜き開口60Bに対しては、ロンジ55の横方向D2の寸法が過剰に大きくなってしまう。従って、水抜き開口60Aの端部60aと水抜き開口60Bの端部60aの横方向D2における位置を極力同じ位置とし、水抜き開口60Aと水抜き開口60Bに配分される面積を極力均一とし、且つ、水抜き開口60Aの端部60b及び水抜き開口60Bの端部60bの横方向D2における位置を同一とする。これにより、水抜き開口60A及び水抜き開口60Bの一方の寸法L2だけが大きくなることを回避することで、ロンジ55の横方向D2の寸法を小さくすることができる。ただし、水抜き開口60Aと水抜き開口60Bの形状、大きさなどは同一でなくともよく、側縁50a,50b内での横方向D2における位置も互いに異なっていてもよい。
【0040】
前述のように、図3に示す「E1」「E2」「E3」「E4」の箇所に水抜き開口60が設けられるが、「E1」「E2」「E3」「E4」の箇所における水抜き開口60の数は、全て同じ数(例えば、図5(a)に示すように二つ)であってよい。ただし、「E1」「E2」「E3」「E4」の箇所における水抜き開口60の数は、互いに異なっていてもよい。すなわち、船体は位置によって要求される強度も異なってくるため、要求強度に対してロンジ55の強度が過剰である箇所では、ロンジ55の軽量化のために水抜き開口60の数を増やすことも可能である。このような箇所に対しては、例えば、図5(b)に示すように、一区画Eに三つの水抜き開口60A,60B,60Cを設けてもよい。この場合、一つあたりの水抜き開口60A,60B,60Cの横方向D2における寸法L2が、図5(a)の場合よりも更に小さくすることができる。この場合、寸法L3,L4が同じであったとしても、ロンジ55の横方向D2の寸法(=寸法L2+寸法L3+寸法L4)は、図5(b)の構成の方が図5(a)の構成よりも短くなる。なお、一区画Eに対して四つ以上の水抜き開口60を設けてもよい。
【0041】
例えば、上側区画UEに作用する水圧は下側区画DEよりも小さいため、上側区画UEに要求される強度は、下側区画DEよりも低くなる。従って、上側区画UEのサイドストリンガー50Bの側縁50Ba(E3の箇所)に設けられた水抜き開口60の数は、下側区画DEのサイドストリンガー50Aの側縁50Aa(E1の箇所)に設けられた水抜き開口60の数よりも多くてよい。これにより、上側区画UEの船側外板21側のロンジ55Bの横方向D2の長さが、下側区画DEの船側外板21のロンジ55Aの横方向D2の長さよりも短くなってよい。また、上側区画UEのサイドストリンガー50Bの側縁50Bb(E4の箇所)に設けられた水抜き開口60の数は、下側区画DEのサイドストリンガー50Aの側縁50Ab(E2の箇所)に設けられた水抜き開口60の数よりも多くてよい。これにより、上側区画UEの縦隔壁31側のロンジ55Bの横方向D2の長さが、下側区画DEの縦隔壁31側のロンジ55Aの横方向D2の長さよりも短くなってよい。なお、図3では、上側区画UEの縦隔壁31側のロンジ55Bが下側区画DEの縦隔壁31側のロンジ55Aよりも短くなっている様子を示している。これに加え、またはこれに代えて、上述のように、上側区画UEの船側外板21側のロンジ55Bが下側区画DEの船側外板21側のロンジ55Aよりも短くなってよい。
【0042】
また、船側外板21には波浪による負荷が加算される一方、縦隔壁31にはそのような負荷が作用しない。よって、縦隔壁31に要求される強度は、船側外板21よりも一般的に低くなる。従って、下側区画DEにおいて、サイドストリンガー50Aの縦隔壁31側の側縁50Ab(E2の箇所)に設けられた水抜き開口60の数は、船側外板21側の側縁50Aa(E1の箇所)に設けられた水抜き開口60の数よりも多くてよい。これにより、下側区画DEの縦隔壁31側のロンジ55Aの横方向D2の長さが、下側区画DEの船側外板21のロンジ55Aの横方向D2の長さよりも短くなってよい。また、上側区画UEにおいて、サイドストリンガー50Bの縦隔壁31側の側縁50Bb(E4の箇所)に設けられた水抜き開口60の数は、船側外板21側の側縁50Ba(E3の箇所)に設けられた水抜き開口60の数よりも多くてよい。これにより、上側区画UEの縦隔壁31側のロンジ55Bの横方向D2の長さが、上側区画UEの船側外板21のロンジ55Bの横方向D2の長さよりも短くなってよい。なお、図3では、上側区画UEの縦隔壁31側のロンジ55Bが上側区画UEの船側外板21側のロンジ55Bよりも短くなっている様子を示している。これに加え、またはこれに代えて、上述のように、下側区画DEの縦隔壁31側のロンジ55Aが下側区画DEの船側外板21側のロンジ55Aよりも短くなってよい。
【0043】
水抜き開口構造100の製造手順について説明する。ただし、ここでは製造手順の一例を示しているに過ぎず、各部材の取り付けや組立の手順は特に限定されるものではない。まず、サイドストリンガー50を構成する板部材を所望の形状に形成し、当該板部材に対して、水抜き開口60を形成する。このサイドストリンガー50を船側外板21と縦隔壁31との間に配置し、両端部を溶接などによって各壁21,31に固定する。このとき、水抜き開口60は各壁21,31から十分離間しているため、溶接作業を阻害しない。次に、サイドフロア40を設け、ロンジ55を設ける。これによって、各区画Eでの最下部のロンジ55によって、水抜き開口60を上方から覆う。
【0044】
次に、本実施形態に係るバラストタンク17の作用・効果について説明する。
【0045】
本実施形態のバラストタンク17では、水抜き開口60は、バラストタンク17の平面視において、サイドストリンガー50の直上のロンジ55の水平方向の範囲内に存在するように、サイドストリンガー50の両側縁50a,50bに設けられる。この場合、水抜き開口60は、上方でロンジ55に覆われるような構成となるため、船舶建造時やタンク検査のために作業員がサイドストリンガー50上を歩行するときに、水抜き開口60に格子や網などの防護部材を設けなくとも、作業員が誤って水抜き開口に脚を入れることを防止できる。
【0046】
ここで、図4(c)(d)を参照して、比較例に係る水抜き開口構造について説明する。図4(c)は、比較例に係るバラストタンク217の水抜き開口構造200を上方から見た平面図である。図4(d)は、比較例に係るバラストタンク217の水抜き開口構造200を船体長手方向D1から見た概略断面図である。すなわち、図4(a)及び図4(b)は、比較例に係るバラストタンク217のうち、図3の下側区画DEのサイドストリンガー50A付近に対応する箇所における構成を示している。比較例に係る水抜き開口構造200では、一区画E内において、サイドストリンガー50Aの側縁50Aa,50Abには、一つの大きな水抜き開口70が設けられている。当該水抜き開口70を覆うロンジ55Aの横方向D2の寸法を小さくして軽量化を図ることについて検討する。上から見てロンジ55Aの先端から水抜き開口70がはみ出るまでロンジ55Aの寸法を小さくすると、作業者の脚が水抜き開口70に入ってしまう可能性が高くなる。水抜き開口70を壁21,31に寄せようとする場合、サイドストリンガー50を壁21,31に溶接する固定する作業が行いにくくなる。従って、水抜き開口70を一定範囲以上に壁21,31に近付けることができない。水抜き開口70全体を船体長手方向D1に細長くして横方向D2の寸法を小さくしようとする場合、強度上の観点から、一定以上に細長くすることができない。水抜き開口70の面積自体を小さくすることで横方向D2の寸法を小さくしようとした場合、水抜き開口の排水性能が低下してしまう。以上の様に、比較例に係る水抜き開口構造200では、排水機能を維持しながら、船体構造の軽量化を図ることができることが困難であった。
【0047】
これに対し、本実施形態に係るバラストタンク17の水抜き開口構造100では、一対のサイドフロア40で区切られる一区画E内に、サイドストリンガー50の側縁50a,50bに複数の水抜き開口60が設けられている。この場合、一つの大きな水抜き開口70を複数の水抜き開口60に分割する。例えば、二つの水抜き開口60A,60Bの合計の面積が一つの水抜き開口70の面積と同程度となるように、水抜き開口60A、60Bの大きさを設定する(図5(a)参照)。この場合、「寸法L2/寸法L1」が強度を満足する範囲内のものであったとしても、一つあたりの水抜き開口60A,60Bの面積自体が小さくなっているため、寸法L2の絶対値を小さくすることができる。これにより、排水性能は維持しつつも、一つあたりの水抜き開口60の横方向D2の寸法を小さくすることができる。このように、一つあたりの水抜き開口の横方向の寸法が小さくなることで、当該水抜き開口60を覆うロンジ55の寸法も小さくすることが可能となる。例えば、比較例に係る水抜き開口構造でのロンジ55の先端の位置を「SL1」とする(図4(d)参照)。本実施形態では、水抜き開口60の横方向D2の寸法が水抜き開口70よりも小さいため、SL1の位置までロンジ55を延ばすと、水抜き開口60をロンジ55覆う範囲の大きさが過剰となる。すなわち、ロンジ55の先端をSL1の位置まで延ばさなくとも、水抜き開口60全体を覆うことができるため、ロンジの寸法を小さくすることが可能となる(図4(b)参照)。従って、ロンジ55の寸法を小さくすることで、船体構造の軽量化を図ることができる。以上により、排水機能を維持しながら、船体構造の軽量化を図ることができる。
【0048】
本実施形態のバラストタンク17において、バラストタンク17は、複数のサイドストリンガー50によって上下方向に少なくとも二段の区画Eに区切られ、上側区画UEのサイドストリンガー50の側縁50a,50bに設けられた水抜き開口60の数は、下側区画DEのサイドストリンガー50の側縁50a,50bに設けられた水抜き開口60の数よりも多くてよい。上側区画UEは、作用する水圧が低いことにより一般的に要求強度が低い。すなわち、上側区画UEのロンジ55の横方向D2の寸法と下側区画DEのロンジ55の横方向D2の寸法とが同じであった場合、上側区画UEでの強度が要求強度に対して過剰となる。従って、上側区画UEでの水抜き開口60の数を多くすることで、低い要求強度に対応するようにロンジ55の寸法を下側区画DEのロンジ55よりも小さくすることができる。
【0049】
本実施形態のバラストタンク17において、サイドストリンガー50の縦隔壁31側の側縁50bに設けられた水抜き開口60の数は、船側外板21側の側縁50aに設けられた水抜き開口60の数よりも多くてよい。縦隔壁31には、船側外板21のように波などの負荷が作用しないため、一般的に要求強度が低い。すなわち、縦隔壁31に対するロンジ55の横方向D2の寸法と船側外板21に対するロンジ55の横方向D2の寸法とが同じであった場合、縦隔壁31での強度が要求強度に対して過剰となる。従って、縦隔壁31側での水抜き開口60の数を多くすることで、低い要求強度に対応するようにロンジ55の寸法を船側外板21側のロンジ55よりも小さくすることができる。
【0050】
本発明は、上述の実施形態に限定されるものではない。
【0051】
例えば、船体長手方向D1及び上下方向の全ての区画Eで、本願の水抜き開口構造が採用されていなくてよく、少なくとも一つの区画Eで採用されていればよい。すなわち、一部の区画Eでは、水抜き開口が1つであってもよい。また、一区画Eの中で、側縁50a,50bに一方に複数の水抜き開口60が形成され、他方には一つの水抜き開口70が形成されていてもよい。
【0052】
また、水抜き開口の形状は、長円でなくともよく、楕円、矩形、その他多角形などであってもよい。
【符号の説明】
【0053】
17…バラストタンク、21…船側外板、31…縦隔壁、40…サイドフロア、50…サイドストリンガー、55…ロンジ、60…水抜き開口、100…水抜き開口構造。
図1
図2
図3
図4
図5