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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】縫製管理システム及び縫製管理方法
(51)【国際特許分類】
   D05B 19/02 20060101AFI20240702BHJP
   G05B 19/418 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
D05B19/02
G05B19/418 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019069806
(22)【出願日】2019-04-01
(65)【公開番号】P2020168056
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2022-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003399
【氏名又は名称】JUKI株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(74)【代理人】
【識別番号】100132067
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 喜雅
(72)【発明者】
【氏名】渥美 匡
【審査官】横山 綾子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008608(JP,A)
【文献】特開2018-180589(JP,A)
【文献】特開2018-084911(JP,A)
【文献】特開昭60-234687(JP,A)
【文献】特開2009-265719(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D05B 19/02
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫製ラインにおいて、仕様生成工程を実行する仕様生成工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、裁断工程を実行する裁断工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、縫製工程を実行する縫製工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、仕上げ工程を実行する仕上げ工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、検査工程を実行する検査工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、梱包工程を実行する梱包工程実行装置と、
前記裁断工程実行装置に接続されるとともに、前記裁断工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記裁断工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、裁断工程補助端末と、
前記縫製工程実行装置に接続されるとともに、前記縫製工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記縫製工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、縫製工程補助端末と、
前記仕上げ工程実行装置に接続されるとともに、前記仕上げ工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記仕上げ工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、仕上げ工程補助端末と、
前記検査工程実行装置に接続されるとともに、前記検査工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記検査工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、検査工程補助端末と、
前記梱包工程実行装置に接続されるとともに、前記梱包工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記梱包工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、梱包工程補助端末と、
前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれから送信された前記生産管理情報を受信するとともに、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の全工程による製品の単位、及び、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の各工程による部品の単位で、前記生産管理情報を管理する管理装置と、
を具備し、
前記縫製工程実行装置のオペレータの位置情報を検出する縫製工程用位置検出装置を更に具備し、
前記管理装置は、前記縫製工程用位置検出装置が検出した前記縫製工程実行装置の前記オペレータの位置情報を前記生産管理情報として管理し、
前記管理装置は、前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれからの前記生産管理情報に基づいて、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによるスキルを推定し、
前記管理装置は、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによる前記スキルに基づいて、前記縫製ラインにおける縫製品質及び/又は生産効率を分析し、
前記縫製工程実行装置の前記稼働情報は、品番ID、工数ID、オペレータID、縫製工程実行装置ID、標準縫製時間及び標準縫製速度、稼働縫製時間及び稼働縫製速度、出来高、不良数、エラー、前記オペレータの位置情報、並びに、完成日時を含む情報である、
ことを特徴とする縫製管理システム。
【請求項2】
前記裁断工程補助端末は、前記生産管理情報として、前記裁断工程実行装置の識別情報を送信し、
前記縫製工程補助端末は、前記生産管理情報として、前記縫製工程実行装置の識別情報を送信し、
前記仕上げ工程補助端末は、前記生産管理情報として、前記仕上げ工程実行装置の識別情報を送信し、
前記検査工程補助端末は、前記生産管理情報として、前記検査工程実行装置の識別情報を送信し、
前記梱包工程補助端末は、前記生産管理情報として、前記梱包工程実行装置の識別情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1に記載の縫製管理システム。
【請求項3】
縫製ラインにおいて、仕様生成工程を実行する仕様生成工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、裁断工程を実行する裁断工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、縫製工程を実行する縫製工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、仕上げ工程を実行する仕上げ工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、検査工程を実行する検査工程実行装置と、
前記縫製ラインにおいて、梱包工程を実行する梱包工程実行装置と、
前記裁断工程実行装置に接続されるとともに、前記裁断工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記裁断工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、裁断工程補助端末と、
前記縫製工程実行装置に接続されるとともに、前記縫製工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記縫製工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、縫製工程補助端末と、
前記仕上げ工程実行装置に接続されるとともに、前記仕上げ工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記仕上げ工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、仕上げ工程補助端末と、
前記検査工程実行装置に接続されるとともに、前記検査工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記検査工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、検査工程補助端末と、
前記梱包工程実行装置に接続されるとともに、前記梱包工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記梱包工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、梱包工程補助端末と、
を具備する縫製管理システムによる縫製管理方法であって、
前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれから送信された前記生産管理情報を受信するとともに、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の全工程による製品の単位、及び、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の各工程による部品の単位で、前記生産管理情報を管理し、
前記縫製管理システムは、前記縫製工程実行装置のオペレータの位置情報を検出する縫製工程用位置検出装置を更に具備し、
前記縫製工程用位置検出装置が検出した前記縫製工程実行装置の前記オペレータの位置情報を前記生産管理情報として管理し、
前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれからの前記生産管理情報に基づいて、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによるスキルを推定し、
前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによる前記スキルに基づいて、前記縫製ラインにおける縫製品質及び/又は生産効率を分析し、
前記縫製工程実行装置の前記稼働情報は、品番ID、工数ID、オペレータID、縫製工程実行装置ID、標準縫製時間及び標準縫製速度、稼働縫製時間及び稼働縫製速度、出来高、不良数、エラー、前記オペレータの位置情報、並びに、完成日時を含む情報である、
ことを特徴とする縫製管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縫製管理システム及び縫製管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、縫製する際の一連の縫製手順や縫製データの選択を簡便且つ確実に行うことができ、加えて、縫製作業中の縫製履歴データ等の生産管理データを容易に収集可能な縫製管理システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。この縫製管理システムでは、縫製予定情報を格納する第1格納領域と、縫製データを格納する第2格納領域と、生産管理情報を格納する第3格納領域とを有する着脱可能な記録媒体を備える。これにより、縫製作業中の生産管理情報を縫製作業毎やミシン毎等に記録媒体に蓄積して精度の高い多角的な情報分析が可能となることから、縫製作業における生産管理の生産性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-276453号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した縫製管理システムにおいて、記録媒体に蓄積される生産管理情報には、縫製作業を行うオペレータの縫製スキルを含むオペレータ関連情報が含まれていない。このため、オペレータの縫製スキルまで加味した上で縫製ラインにおける縫製品質や生産効率を向上することは想定されていない。縫製工場においては、オペレータの縫製スキルまで加味した上で縫製ラインにおける縫製品質や生産効率を向上することが要請されている。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、縫製ラインにおける縫製品質及び生産効率を向上することができる縫製管理システム及び縫製管理方法を提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の縫製管理システムは、縫製ラインにおいて、仕様生成工程を実行する仕様生成工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、裁断工程を実行する裁断工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、縫製工程を実行する縫製工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、仕上げ工程を実行する仕上げ工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、検査工程を実行する検査工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、梱包工程を実行する梱包工程実行装置と、前記裁断工程実行装置に接続されるとともに、前記裁断工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記裁断工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、裁断工程補助端末と、前記縫製工程実行装置に接続されるとともに、前記縫製工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記縫製工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、縫製工程補助端末と、前記仕上げ工程実行装置に接続されるとともに、前記仕上げ工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記仕上げ工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、仕上げ工程補助端末と、前記検査工程実行装置に接続されるとともに、前記検査工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記検査工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、検査工程補助端末と、前記梱包工程実行装置に接続されるとともに、前記梱包工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記梱包工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、梱包工程補助端末と、前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれから送信された前記生産管理情報を受信するとともに、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の全工程による製品の単位、及び、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の各工程による部品の単位で、前記生産管理情報を管理する管理装置と、を具備し、前記縫製工程実行装置のオペレータの位置情報を検出する縫製工程用位置検出装置を更に具備し、前記管理装置は、前記縫製工程用位置検出装置が検出した前記縫製工程実行装置の前記オペレータの位置情報を前記生産管理情報として管理し、前記管理装置は、前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれからの前記生産管理情報に基づいて、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによるスキルを推定し、前記管理装置は、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによる前記スキルに基づいて、前記縫製ラインにおける縫製品質及び/又は生産効率を分析し、前記縫製工程実行装置の前記稼働情報は、品番ID、工数ID、オペレータID、縫製工程実行装置ID、標準縫製時間及び標準縫製速度、稼働縫製時間及び稼働縫製速度、出来高、不良数、エラー、前記オペレータの位置情報、並びに、完成日時を含む情報である、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一態様の縫製管理方法は、縫製ラインにおいて、仕様生成工程を実行する仕様生成工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、裁断工程を実行する裁断工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、縫製工程を実行する縫製工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、仕上げ工程を実行する仕上げ工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、検査工程を実行する検査工程実行装置と、前記縫製ラインにおいて、梱包工程を実行する梱包工程実行装置と、前記裁断工程実行装置に接続されるとともに、前記裁断工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記裁断工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、裁断工程補助端末と、前記縫製工程実行装置に接続されるとともに、前記縫製工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記縫製工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、縫製工程補助端末と、前記仕上げ工程実行装置に接続されるとともに、前記仕上げ工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記仕上げ工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、仕上げ工程補助端末と、前記検査工程実行装置に接続されるとともに、前記検査工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記検査工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、検査工程補助端末と、前記梱包工程実行装置に接続されるとともに、前記梱包工程実行装置のオペレータの識別情報及び前記梱包工程実行装置の稼働情報を含んだ生産管理情報を送信する、梱包工程補助端末と、を具備する縫製管理システムによる縫製管理方法であって、前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれから送信された前記生産管理情報を受信するとともに、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の全工程による製品の単位、及び、前記縫製ラインにおける前記裁断工程実行装置と前記縫製工程実行装置と前記仕上げ工程実行装置と前記検査工程実行装置と前記梱包工程実行装置の各工程による部品の単位で、前記生産管理情報を管理し、前記縫製管理システムは、前記縫製工程実行装置のオペレータの位置情報を検出する縫製工程用位置検出装置を更に具備し、前記縫製工程用位置検出装置が検出した前記縫製工程実行装置の前記オペレータの位置情報を前記生産管理情報として管理し、前記裁断工程補助端末、前記縫製工程補助端末、前記仕上げ工程補助端末、前記検査工程補助端末、及び、前記梱包工程補助端末のそれぞれからの前記生産管理情報に基づいて、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによるスキルを推定し、前記裁断工程実行装置、前記縫製工程実行装置、前記仕上げ工程実行装置、前記検査工程実行装置、及び、前記梱包工程実行装置のそれぞれの前記オペレータによる前記スキルに基づいて、前記縫製ラインにおける縫製品質及び/又は生産効率を分析し、前記縫製工程実行装置の前記稼働情報は、品番ID、工数ID、オペレータID、縫製工程実行装置ID、標準縫製時間及び標準縫製速度、稼働縫製時間及び稼働縫製速度、出来高、不良数、エラー、前記オペレータの位置情報、並びに、完成日時を含む情報である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、縫製ラインで縫製される製品又は当該製品を構成する部品の工程単位で、オペレータの識別情報及び装置本体の稼働情報を含む生産管理情報が管理されることから、製品の工程又は部品の工程毎に縫製ラインで作業するオペレータの縫製スキルを推定することができる。これにより、縫製ラインにおける人員配置等を設定することにより、縫製ラインにおける縫製品質や生産効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施の形態の縫製管理システムのネットワーク構成図である。
図2】本実施の形態に係る縫製管理システムが有するミシンの構成を示すブロック図である。
図3】本実施の形態に係る縫製管理システムが有する携帯端末の構成を示すブロック図である。
図4】本実施の形態に係る縫製管理システムが有する管理サーバの構成を示すブロック図である。
図5】本実施の形態に係る管理サーバのテーブル保持部に保持される生産管理情報テーブルの一例の説明図である。
図6】本実施の形態に係る管理サーバにおける分析処理を説明するためのフロー図である。
図7】本実施の形態に係る管理サーバのテーブル保持部に保持される縫製スキルテーブルの一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して、縫製管理システムについて説明する。図1は、本実施の形態の縫製管理システム1のネットワーク構成図である。図1に示すように、縫製管理システム1は、縫製工場SP(SP1~SP3)内に構築される縫製ラインSLに適用され、縫製ラインSLにおける縫製品質や生産効率の向上を図るものである。図1においては、縫製工場SP1のみに縫製ラインSLの詳細を示し、縫製工場SP2、SP3については省略している。
【0011】
図1に示す縫製工場SP(SP1~SP3)は、インターネット等のネットワークNW1に接続されている。縫製工場SPの関係者(例えば、縫製工場SPの所有企業の社員や縫製工場SPへの設備供給者)は、管理端末MTから縫製工場SPの稼働状況等を確認することができる。例えば、管理端末MTは、後述する縫製工場SP内の管理サーバ8が管理する情報を取得することで、縫製工場SPの稼働状況等を確認することができる。また、管理端末MTから縫製ラインSLにおける各種パラメータの設定を変更することもできる。なお、管理端末MTは、一般的なパーソナルコンピュータ(PC)やタブレットPC若しくはスマートフォンなどで構成される。
【0012】
縫製ラインSLには、単一又は複数の縫製製品(以下、単に「製品」という)を生産するための複数の工程が含まれている。図1に示す縫製ラインSLには、仕様生成工程2、裁断工程3、縫製工程4、仕上げ工程5、検査工程6及び梱包工程7が含まれる。なお、縫製ラインSLを構成する工程については、図1に示す例に限定されず、適宜変更が可能である。また、ここでは、図1に示す複数の工程を含むラインを縫製ラインSLと呼ぶが、その称呼についてはこれに限定されず、適宜変更が可能である。また、以下の説明においては、製品を生産する過程の対象物について、適宜、縫製物という。
【0013】
縫製ラインSLに含まれる各種の工程の実行領域には、該当する作業工程を実行するために必要な設備が設置される。本実施の形態に係る縫製管理システム1では、これらの設備が直接又は間接的に縫製工場SP内に構築されたネットワーク(例えば、LANやWAN)NW2を介して接続されている。このネットワークNW2には、システム全体の管理を行う管理装置としての管理サーバ8が接続されている。詳細について後述するように、管理サーバ8は、各工程の設備から出力される各種情報を管理すると共に、管理した情報に基づいて縫製ラインSL上のオペレータの縫製スキルや縫製ラインSLにおける縫製品質や生産効率を分析する。以下、縫製ラインSLに含まれる各工程の内容と設置される設備について説明する。
【0014】
仕様生成工程2は、縫製ラインSLで縫製される製品の仕様書を生成すると共に、生成した仕様書に従って製品を縫製するための縫製データ、製品の梱包までに必要な各種設備に設定されるパラメータ(以下、「設定パラメータ」という)及び標準時間を設定する工程である。例えば、仕様生成工程2の実行領域には、設備として、CAD(Computer-Aided Design)やCAM(Computer-Aided Manufacturing)等のアプリケーションを搭載するパーソナルコンピュータ(PC)などが備えられる。このPCは、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。仕様生成工程2のPCは、仕様書、縫製データ、設定パラメータ、標準時間を管理サーバ8に出力する。
【0015】
裁断工程3は、仕様書やCAD/CAMデータに基づいて生地を裁断する工程である。例えば、裁断工程3の実行領域には、設備として、延反機、放反/縮絨機、裁断機及び裁断機に有線又は無線で接続された携帯端末30などが備えられる。携帯端末30は、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。裁断工程3において、ロール状に巻き付けられた生地は、放反/縮絨機で放反され、生地のゆがみやシワが除去された状態で裁断機により裁断される。裁断後の生地には、RFIDタグが取り付けられる。RFIDタグには、製品又は部品の識別情報を示す品番IDが記録される。裁断機に接続された携帯端末30は、端末本体で読み込んだ品番IDや、裁断機から出力される裁断枚数などの情報を管理サーバ8に出力する。
【0016】
縫製工程4は、仕様書や縫製データ及び設定パラメータに基づいて、裁断工程3で裁断された生地に対して縫製を行う工程である。縫製工程4の実行領域には、単一又は複数の縫製装置としてのミシン9及びミシン9に有線又は無線で接続された携帯端末40や、縫製物の搬送装置などが備えられる。ミシン9及び携帯端末40は、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。ミシン9は、稼働データ、エラーデータ、出来高データなどの情報を管理サーバ8に出力する。また、ミシン9は、ミシン9に接続された携帯端末40で読み込んだ品番IDやオペレータIDなどの情報を管理サーバ8に出力する。
【0017】
縫製工程4の実行領域の所定位置には、オペレータの位置情報を検出する位置検出装置41が設置されている。位置検出装置41は、オペレータが携帯するIDカード内のオペレータIDを非接触で読み取る。位置検出装置41は、検出可能領域内の任意の位置のオペレータの位置を検出可能に構成される。位置検出装置41は、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。位置検出装置41は、検出したオペレータの位置情報を、ネットワークNW2を介して管理サーバ8に出力する。位置検出装置41による位置検出方法には、RFID、ビーコン、GPS又は画像認識など任意の方法を採用することができる。
【0018】
仕上げ工程5は、仕様書に基づいて、縫製工程4で縫製された縫製物に対してアイロンプレス、ボタン付け、糸切り等検査工程前の最終仕上げを行う工程である。仕上げ工程5の実行領域には、アイロンプレス機等及びこれらに有線又は無線で接続された携帯端末50などが備えられる。携帯端末50は、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。アイロンプレス機等に接続された携帯端末50は、端末本体で読み込んだ品番IDやオペレータIDに加え、アイロンプレス機等から出力された出来高データなどの情報を管理サーバ8に出力する。
【0019】
検査工程6は、仕様書に基づいて、仕上げ工程5で最終仕上げされた縫製物の検査を行う工程である。検査工程6の実行領域には、検査台、検査機、検針器及びこれらに接続された携帯端末60などが備えられる。携帯端末60は、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。検査機は、検査者による縫製物の検査結果や検査を行った縫製物の枚数等を入力可能に構成される。検査機等に接続された携帯端末60は、端末本体で読み込んだ品番IDやオペレータIDに加え、検査機から出力された検査結果、出来高データ及び不具合データなどの情報を管理サーバ8に出力する。
【0020】
梱包工程7は、仕様書に基づいて、検査工程6で検査された縫製物に対して梱包を行う工程である。梱包工程7の実行領域には、タグ付け機やこれに有線又は無線で接続された携帯端末70などが備えられる。携帯端末70は、縫製管理システム1のネットワークNW2に接続されている。タグ付け機に接続された携帯端末70は、端末本体で読み込んだ品番IDやオペレータIDに加え、タグ付け機から出力された出来高データ及び完成日時などの情報を管理サーバ8に出力する。
【0021】
本実施の形態に係る縫製管理システム1は、管理サーバ8と各種工程の一部又は全部の設備とを含んで構成される。例えば、縫製管理システム1は、設備の一例として、縫製工程4におけるミシン9及び位置検出装置41、並びに、各種工程の携帯端末30、40、50、60、70を含んで構成される。しかしながら、縫製管理システム1の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。
【0022】
ここで、本実施の形態に係る縫製管理システム1を構成するミシン9及び携帯端末30、40、50、60、70の構成について、図2及び図3を参照して説明する。なお、携帯端末30、40、50、60、70は、基本的に共通の構成を有するため、携帯端末30を代表して説明する。図2は、本実施の形態に係る縫製管理システム1が有するミシン9の構成を示すブロック図である。図3は、本実施の形態に係る縫製管理システム1が有する携帯端末30の構成を示すブロック図である。
【0023】
図2に示すように、ミシン9は、ミシン9全体を制御する制御部91と、制御部91に接続された記憶部92、表示部93、入力部94、インターフェイス部(I/F部)95、操作部96、駆動部97及び通信部98とを有している。制御部91は、CPUなどの中央演算手段で構成される。記憶部92は、制御部91が実行するプログラムを記憶すると共に、制御部91のワーク領域として機能する。
【0024】
表示部93は、ミシン9の動作に必要な情報を表示する。例えば、表示部93は、ミシン9を操作するための操作画面や、縫製物の品番ID及び縫製物に対する設定パラメータなどを表示する。入力部94は、オペレータからの指示の入力を受け付ける。例えば、入力部94は、オペレータからミシン9に対する設定パラメータの変更指示の入力を受け付ける。なお、図2では、表示部93及び入力部94を別々の構成としているが、これに限定されない。例えば、タッチパネル等で表示部93及び入力部94の機能を兼ね備えてもよい。
【0025】
I/F部95は、外部端末と制御部91との間のインターフェイスを構成する。I/F部95には、携帯端末40が接続されている。I/F部95を介してミシン9と携帯端末40との間の情報がやり取りされる。例えば、携帯端末40で読み込んだ品番IDやオペレータIDなどがミシン9に出力され、ミシン9における稼働データや出来高データなどが携帯端末40に出力される。
【0026】
操作部96は、オペレータからの駆動操作を受け付ける。例えば、操作部96は、オペレータからの運針の駆動操作(例えば、運針開始/終了操作、運針方向指示操作など)を受け付ける。駆動部97は、オペレータからの駆動操作に応じてミシン針等を駆動する。通信部98は、縫製管理システム1のネットワークNW2を介して管理サーバ8等との間で通信を行う。例えば、通信部98は、携帯端末40を介して読み込んだ品番IDやオペレータID、並びに、駆動部97における稼働情報やミシン9における出来高データを管理サーバ8に送信する。
【0027】
このような構成を有し、ミシン9は、操作部96からのオペレータの指示に応じて縫製を行う。縫製時の駆動は、仕様生成工程2で設定された設定パラメータに従って行われる。例えば、設定パラメータとして設定された縫製物の送り速度や運針速度に応じて縫製が行われる。ミシン9における設定パラメータは、オペレータの縫製スキルに応じて入力部94から変更可能である。オペレータにより変更された設定パラメータは、通信部98を介して管理サーバ8に出力される。また、予め設定された設定パラメータ(或いは、変更後の設定パラメータ)に応じた駆動部97の稼働情報は、通信部98を介して管理サーバ8に出力される。
【0028】
図3に示すように、携帯端末30は、端末全体を制御する制御部31と、制御部31に接続された記憶部32、表示部33、入力部34、インターフェイス部(I/F部)35、RFIDリーダ部36及び通信部37とを有している。制御部31は、CPUなどの中央演算手段で構成される。記憶部32は、制御部31が実行するプログラムを記憶すると共に、制御部31のワーク領域として機能する。
【0029】
表示部33は、携帯端末30の動作に必要な情報を表示する。例えば、表示部33は、携帯端末30を操作するための操作画面や、後述するRFIDリーダ部36で読み込んだ品番ID及びオペレータIDなどを表示する。入力部34は、オペレータからの操作指示等の入力を受け付ける。例えば、入力部34は、オペレータからオペレータIDや品番IDの読み込み指示を受け付ける。なお、図3では、表示部33及び入力部34を別々の構成としているが、これに限定されない。例えば、タッチパネル等で表示部33及び入力部34の機能を兼ね備えてもよい。
【0030】
I/F部35は、外部端末と制御部31との間のインターフェイスを構成する。I/F部35には、裁断機が接続されている。I/F部35を介して裁断機と携帯端末30との間の情報がやり取りされる。例えば、裁断機における裁断枚数などが携帯端末30に出力される。RFIDリーダ部36は、オペレータが携帯するIDカード内のオペレータIDや、生地に取り付けられたRFIDタグ内の品番IDを非接触で読み取る。通信部37は、縫製管理システム1のネットワークNW2を介して管理サーバ8等との間で通信を行う。例えば、通信部37は、RFIDリーダ部36を介して読み込んだオペレータIDや品番ID、並びに、I/F部35を介して受け取った裁断機の裁断枚数等の情報を管理サーバ8に送信する。
【0031】
このような構成を有し、携帯端末30は、I/F部35を介して裁断機による裁断枚数を受信する。また、携帯端末30は、入力部34からの指示に応じて、オペレータが携帯するIDカード内のオペレータIDや、生地に取り付けられたRFIDタグ内の品番IDを読み取る。これらの裁断枚数及びオペレータIDや品番IDは、通信部37を介して管理サーバ8に出力される。
【0032】
縫製工程4、仕上げ工程5、検査工程6及び梱包工程7の携帯端末40、50、60、及び70は、I/F部を介して接続される対象が異なると共に、その接続対象と通信する情報が異なる。携帯端末40にはミシン9が接続され、ミシン9に対して品番IDなどを出力する。携帯端末50にはアイロンプレス機が接続され、出来高データなどを受け取る。携帯端末60には検査機等が接続され、検査結果、出来高データ及び不具合データなどを受け取る。携帯端末70にはタグ付け機が接続され、出来高データ及び完成日時などを受け取る。
【0033】
管理サーバ8は、各種工程の設備から出力された情報を管理する。これらの情報は、縫製ラインSLにおける生産を管理するための情報として利用される。以下においては、説明の便宜上、これらの情報を「生産管理情報」と呼ぶものとする。管理サーバ8は、縫製ラインSLで縫製される製品単位、或いは、当該製品を構成する部品単位でこれらの生産管理情報を管理する。そして、管理サーバ8は、この生産管理情報に基づいてオペレータの縫製スキルを推定、管理し、その推定結果に応じて縫製ラインSLにおける縫製品質や生産効率を分析する。なお、管理サーバ8で管理される生産管理情報については後述する。
【0034】
図4は、本実施の形態に係る縫製管理システム1を構成する管理サーバ8の構成を示すブロック図である。図4に示すように、管理サーバ8は、サーバ全体を制御する制御部81と、制御部81に接続された記憶部82、表示部83、入力部84、通信部85、テーブル管理部86及びテーブル保持部87とを有している。制御部81は、CPUなどの中央演算手段で構成される。記憶部82は、制御部81が実行するプログラムを記憶すると共に、制御部81のワーク領域として機能する。
【0035】
表示部83は、管理サーバ8の動作に必要な情報を表示する。例えば、表示部83は、管理サーバ8を操作するための操作画面や、生産管理情報に基づく縫製ラインSLの分析結果を表示するための分析結果画面などを表示する。入力部84は、管理サーバ8の管理者からの操作指示等の入力を受け付ける。例えば、入力部84は、管理者からの縫製ラインSLの分析指示を受け付ける。なお、図4では、表示部83及び入力部84を別々の構成としているが、これに限定されない。例えば、タッチパネル等で表示部83及び入力部84の機能を兼ね備えてもよい。
【0036】
通信部85は、縫製管理システム1のネットワークNW2を介して、縫製ラインSLの各種工程の設備との間で通信を行う。例えば、通信部85は、縫製工程4のミシン9からオペレータIDや駆動部97における稼働情報を含む生産管理情報を受信する。テーブル管理部86は、通信部85で受信した生産管理情報から生産管理情報テーブルを生成し、生産管理情報を管理する。テーブル保持部87は、テーブル管理部86で生成された生産管理情報テーブルや後述する縫製スキルテーブルを保持する。
【0037】
ここで、テーブル保持部87に保持される生産管理情報テーブルの一例について、図5を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係る管理サーバ8のテーブル保持部87に保持される生産管理情報テーブル500の一例の説明図である。なお、テーブル保持部87に保持される生産管理情報テーブル500の登録内容については、図5に示す内容に限定されず、適宜変更が可能である。
【0038】
図5に示す生産管理情報テーブル500には、製品であるTシャツの一部品に関連付けられた品番ID(TP01~TP03)に関する生産管理情報が登録されている。例えば、品番ID「TP01」、「TP02」及び「TP03」は、それぞれ製品であるTシャツの「身頃」、「袖」及び「衿」に相当する縫製作業が関連付けられている。品番ID「TP01」には、前身頃と後身頃を縫製する作業が関連付けられている。品番ID「TP02」及び「TP03」には、それぞれ前後の身頃部分に袖及び衿を縫製する作業が関連付けられている。これらの品番IDの内容は、仕様生成工程2のPCからの情報に基づいて決定され、裁断工程3の携帯端末30からの情報に基づいて登録される。
【0039】
また、生産管理情報テーブル500には、標準データとして標準パラメータ1(パラメータ1)として標準縫製時間が登録され、標準パラメータ2(パラメータ2)として標準縫製速度が登録されている。標準パラメータ1には、早い縫製時間を示す「TS3」、遅い縫製時間を示す「TS1」及びこれらの中間の縫製時間を示す「TS2」が設定されるものとする。また、標準パラメータ2には、早い縫製速度を示す「NS3」、遅い縫製速度を示す「NS1」及びこれらの中間の縫製速度を示す「NS2」が設定されるものとする。これらの標準パラメータ1、2の内容は、仕様生成工程2のPCからの情報に基づいて登録される。
【0040】
生産管理情報テーブル500において、それぞれの品番ID「TP01」、「TP02」及び「TP03」には、異なる3人のオペレータが、異なる3機のミシン9を用いて縫製作業を行った場合の生産管理情報が登録されている。3人のオペレータには、それぞれオペレータID(OP1~OP3)が関連付けられている。3機のミシン9には、それぞれミシンID(M1~M3)が関連付けられている。これらのオペレータID及びミシンIDは、縫製管理システム1の管理者等により予め設定され、縫製工程4のミシン9からの情報に基づいて登録される。
【0041】
さらに、生産管理情報テーブル500には、稼働データ1としてミシン9における実際の縫製時間が登録され、稼働データ2としてミシン9における実際の縫製速度が登録されている。なお、稼働データ1、2に登録される内容は、それぞれ標準パラメータ1、2と同一である。すなわち、縫製時間として「TS1」、「TS2」又は「TS3」が登録され、縫製速度として「NS1」、「NS2」又は「NS3」が登録される。これらの稼働データ1、2の内容は、縫製工程4のミシン9からの情報に基づいて登録される。
【0042】
さらに、生産管理情報テーブル500には、ミシン9のオペレータの位置情報が登録されている。位置情報に登録される内容は、縫製工程4に設置された位置検出装置41の位置を基準として、東西南北方向にどれだけ離間したかが登録される。例えば、番号#2の生産管理情報では、「N1:E1」と登録されている。これは、位置検出装置41の位置から北方向に1ブロック、東方向に1ブロックだけ離間した位置にオペレータが移動したことを示している。ここで、「ブロック」とは、予め定められた距離の単位である。同様に、番号#6の生産管理情報では、「N2:W2」と登録されている。これは、位置検出装置41の位置から北方向に2ブロック、西方向に2ブロックだけ離間した位置にオペレータが移動したことを示している。これらの位置情報の内容は、縫製工程4の位置検出装置41からの情報に基づいて登録される。
【0043】
さらに、生産管理情報テーブル500には、製品(縫製物)の出来高データ、検査結果(不良数)データ、不具合(エラー)データ及び完成日時データが登録されている。出来高データには、ミシン9で縫製が完了した製品の数量が登録され、検査結果データには、製品の検査結果が登録される。前者には、実際の製品の枚数が登録され、後者には、例えば不良率(もしくは良品率)が登録される。また、不具合データには、ミシン9における不具合の発生回数が登録され、完成日時データには梱包作業まで完了した日時が登録される。前者には、実際のミシン9の不具合(例えば、縫製物の送りエラーや運針エラー)の発生回数が登録される。出来高データは、縫製工程4のミシン9からの情報に基づいて登録される。検査結果データ及び不具合データの内容は、検査工程6の携帯端末60からの情報に基づいて登録される。完成日時データの内容は、梱包工程7の携帯端末70からの情報に基づいて登録される。
【0044】
図5に示す生産管理情報テーブル500では、番号#1~#3に示すように、品番ID「TP01」には、3人の異なるオペレータ(OP1~OP3のオペレータ)が3機の異なるミシン9(M01~M03)を用いて同じ工程(ST1)の縫製作業を行っていることが分かる。また、OP1、OP2のオペレータが標準パラメータ1、2で設定された縫製時間(TS2)、縫製速度(NS2)に対して、実際にはTS3の縫製時間、NS3の縫製速度で作業していることが分かる。一方、OP3のオペレータが縫製パラメータ1、2で設定された縫製時間(TS2)、縫製速度(NS2)に対して、実際にはTS1の縫製時間、NS1の縫製速度で作業していることが分かる。これらは、オペレータにより縫製時間及び縫製速度が異なることを意味する。
【0045】
また、OP1、OP3のオペレータが基準位置(位置検出装置41の設置位置)から移動していないのに対し、OP2のオペレータが基準位置から北東側に1ブロック分移動していたことが分かる。さらに、OP1、OP2及びOP3のオペレータの製品の出来高データがそれぞれ100枚、80枚及び60枚であることが分かる。さらに、OP1及びOP2のオペレータの製品の検査結果が不良数「0」であるのに対し、OP3の製品の検査結果が不良数「3」であることが分かる。さらに、M01及びM02のミシン9に不具合が発生していないのに対し、M03のミシン9に不具合が10回発生したことが分かる。さらに、OP1のオペレータによる製品の完成時間が最も早く(2018年12月3日11時15分)、OP2、OP3のオペレータによる製品の完成時間がその順に続くことが分かる(それぞれ同日11時30分、11時45分)。
【0046】
ここで、このような生産管理情報の登録態様について図1図4及び図5を参照して説明する。例えば、縫製工程4において、オペレータが携帯端末40のRFIDリーダ部で品番ID及びオペレータIDを読み取ると、これらの情報がミシン9を介して生産管理情報として管理サーバ8に出力され、記憶部82に記録される。この際、携帯端末40が接続されたミシン9のミシンIDも管理サーバ8に出力され、記憶部82に記録される。なお、記憶部82には、仕様生成工程2から出力された縫製データや標準パラメータなどの情報も記録されている。品番ID、工程ID、オペレータID及びミシンIDが記憶部82に記録されると、テーブル管理部86は、品番IDに基づいて標準パラメータ1、2を呼び出し、これらの情報を生産管理情報テーブル500に登録する。これにより、品番ID、標準パラメータ1、標準パラメータ2、オペレータID及びミシンIDが生産管理情報テーブル500に登録される。
【0047】
そして、縫製工程4において、実際の縫製作業が行われると、この縫製作業に伴う稼働データ及び出来高データが管理サーバ8に出力され、記憶部82に記録される。また、縫製工程4における位置検出装置41からオペレータの位置情報が管理サーバ8に出力され、記憶部82に記録される。これらが記憶部82に記録されると、テーブル管理部86は、稼働データ、出来高データやオペレータの位置情報を生産管理情報テーブル500に登録する。これにより、稼働データ1、稼働データ2、オペレータの位置情報及び出来高データが生産管理情報テーブル500に登録される。
【0048】
さらに、検査工程6において、製品(縫製物)の検査が行われると、携帯端末60から製品の検査結果データ及びミシン9における不具合データが管理サーバ8に出力され、記憶部82に記録される。これらが記憶部82に記録されると、テーブル管理部86は、検査結果データ及び不具合データを生産管理情報テーブル500に登録する。これにより、検査結果データ及び不具合データが生産管理情報テーブル500に登録される。
【0049】
さらに、梱包工程7において、縫製物の梱包が行われると、携帯端末70から完成日時データが管理サーバ8に出力され、記憶部82に記録される。完成日時データが記憶部82に記録されると、テーブル管理部86は、完成日時データを生産管理情報テーブル500に登録する。これにより、完成日時データが生産管理情報テーブル500に登録される。このようにして図5に示す生産管理情報テーブル500の全ての生産管理情報が登録される。
【0050】
このように生産管理情報テーブルに登録された生産管理情報に基づいて、管理サーバ8は、オペレータの縫製スキルを推定し、その推定結果に応じて縫製ラインSLにおける縫製品質や生産効率を分析する。以下、このような管理サーバ8における分析処理について図6を参照して説明する。図6は、本実施の形態に係る管理サーバ8における分析処理を説明するためのフロー図である。図6においては、生産管理情報を「管理情報」と示し、生産管理情報テーブル500を「テーブル」と示している。
【0051】
図6に示すように、管理サーバ8において、制御部81は、常に縫製管理システム1の各種工程の設備から生産管理情報を受信するか監視している(ステップ(以下、「ST」という)601)。各種工程の設備から生産管理情報を受信しない場合には(ST601:No)、制御部81は、この監視動作を継続する。なお、ST601で判定される生産管理情報の内容は、管理サーバ8にて、縫製管理システム1の管理者等により予め設定されている。
【0052】
一方、各種工程の設備から生産管理情報を受信すると(ST601:Yes)、テーブル管理部86は、生産管理情報テーブル500にその生産管理情報を登録する(ST602)。生産管理情報は、制御部81の制御の下、通信部85を介して記憶部82に記録される。テーブル管理部86は、記憶部82に記憶された生産管理情報を、品番IDに基づいて生産管理情報テーブル500の各種の項目に登録する。
【0053】
生産管理情報が登録されていく過程で、制御部81は、管理者から入力部84を介して縫製ラインSLにおける縫製品質及び生産効率の分析指示を受け付けるか判定する(ST603)。縫製品質及び生産効率の分析指示を受け付けない場合には(ST603:No)、制御部81は、この判定動作を継続する。この判定動作を継続する間には、更に生産管理情報が生産管理情報テーブル500に登録されていく。
【0054】
縫製品質及び生産効率の分析指示を受け付けた場合(ST603:Yes)、制御部81は、生産管理情報テーブル500に登録された生産管理情報に基づいてオペレータの縫製スキルを推定する(ST604)。縫製スキルは、オペレータが様々なミシンを使用できることや、様々な工程に対応できることなどを総合的に見て推定するが、ここでは一工程の縫製スキルの推定について説明する。ST604で推定される縫製スキルとは、予め定めた時間内で、所定基準を満たした製品をどれだけ縫製することができるかを示すものである。
【0055】
ここでは、生産管理情報テーブル500に登録された番号#1~#3の生産管理情報を例にオペレータの縫製スキルを推定する場合について考える。この場合、制御部81は、図5に示す生産管理情報の内容に基づいて、OP1及びOP2のオペレータの縫製スキルが一定の水準以上であることを推定する一方、OP3のオペレータの縫製スキルが一定の水準を下回ることを推定する。
【0056】
例えば、制御部81は、生産管理情報テーブル500に登録されている稼働データ1、2の内容(より具体的には、標準パラメータ1、2と比較した稼働データ1、2の内容)からオペレータの縫製スキルを推定することができる。この場合、OP1及びOP2が標準パラメータ1、2の内容(TS2、NS2)に対して稼働データ1、2の内容(TS3、NS3)で作業しているのに対し、OP3が標準パラメータ1、2の内容(TS2、NS2)に対して稼働データ1、2の内容(TS1、NS1)で作業している。このため、制御部81は、OP1及びOP2のオペレータの縫製スキルが一定の水準以上である一方、OP3のオペレータの縫製スキルが一定の水準を下回ることを推定する。
【0057】
また、制御部81は、生産管理情報テーブル500に登録されているオペレータの製品の検査結果からオペレータの縫製スキルを推定することができる。この場合、OP1及びOP2のオペレータの製品の検査結果が不良数「0」であるのに対し、OP3のオペレータの製品の検査結果が不良数「3」である。このため、制御部81は、OP1及びOP2のオペレータの縫製スキルが一定の水準以上である一方、OP3のオペレータの縫製スキルが一定の水準を下回ることを推定する。製品の検査結果に基づいて推定されたオペレータの縫製スキルは、オペレータにより縫製された製品の品質(縫製品質)を表しているということができる。
【0058】
さらに、制御部81は、生産管理情報テーブル500に登録されている出来高データからオペレータの縫製スキルを推定することができる。この場合、OP1、OP2及びOP3のオペレータの製品の出来高データがそれぞれ100枚、80枚及び60枚である。このため、制御部81は、OP1、OP2及びOP3の順にオペレータの縫製スキルが低くなることを推定する。製品の出来高データに基づいて推定されたオペレータの縫製スキルは、オペレータにおける作業効率を表しているということができる。
【0059】
なお、これらのようにオペレータの縫製スキルを推定する際、制御部81は、ミシンIDで特定されるミシン9の不具合データ(ミシン9で発生した不具合の発生回数)を考慮することが好ましい。例えば、ミシン9の不具合データが出来高データや検査結果データに与えた影響を考慮することにより、オペレータの本来の縫製スキルを正確に推定することが可能となる。
【0060】
以上の説明では、説明の便宜上、オペレータの縫製スキルが一定の水準以上か、一定の水準を下回るかについて説明している。すなわち、オペレータの縫製スキルを2段階で推定する場合について示している。しかしながら、オペレータの縫製スキルの推定基準については、これに限定されない。オペレータの縫製スキルを正確に推定する上で、予め定めた複数段階の基準で数値化することは実施の形態として好ましい。この場合、オペレータの縫製スキルは、生産管理情報テーブル500に含まれる各種の生産管理情報の内容を総合的に判断して数値化される。
【0061】
例えば、生産管理情報における出来高データの値を基準とし、各項目の内容に応じて加減点することが考えられる。例えば、標準パラメータ1、2の縫製時間、縫製速度を上昇させた場合にそれぞれ加点(例えば5点加点)する一方、下降させた場合にそれぞれ減点(例えば5点減点)する。また、検査結果データの不良数に応じて加減点する。さらに、不具合データの値は、その値分だけ加点する。
【0062】
このように加減点する場合、OP1、OP2及びOP3のオペレータの縫製スキルは、それぞれ以下ように求められる。
(OP1のオペレータの縫製スキル)
100(出来高データ)+10(設定パラメータ1、2の変更)+0(検査結果データ)+0(不具合データ)=100
(OP2のオペレータの縫製スキル)
80(出来高データ)+10(設定パラメータ1、2の変更)+0(検査結果データ)+0(不具合データ)=80
(OP3のオペレータの縫製スキル)
60(出来高データ)-10(設定パラメータ1、2の変更)-3(検査結果データ)+10(不具合)=57
したがって、この場合には、OP1の縫製スキルが最も高く、これに次いでOP2及びOP3の縫製スキルが高いと推定される。このように推定された縫製スキルが縫製スキルテーブルに登録される(図7参照)。図7に示すように、縫製スキルテーブルでは、オペレータID及び工程IDに関連付けて縫製スキル(より具体的には、縫製スキルに対応する値)が登録されている。
【0063】
オペレータの縫製スキルを推定した後、制御部81は、縫製ラインSLの縫製品質を分析する(ST605)。例えば、制御部81は、ST604で推定したオペレータの縫製スキルを総合的に判断して縫製ラインSLの縫製品質を分析する。例えば、制御部81は、縫製ラインSLに配置されたオペレータにおける、上述した縫製スキルの数値を考慮することで縫製ラインSLの縫製品質を分析することができる。制御部81は、オペレータの縫製スキル値が所定値以上であれば、縫製ラインSLにおける縫製品質が高いと分析する一方、当該値が所定値を下回れば、縫製ラインSLにおける縫製品質が低いと分析することができる。
【0064】
なお、縫製ラインSLの縫製品質を分析する際、生産管理情報にて直接的に縫製品質を表す項目の値(例えば、検査結果データの値)を増加させる係数を乗算することは実施の形態として好ましい。この場合には、縫製ラインSLにおける縫製品質をより正確に分析することが可能となる。
【0065】
縫製ラインSLにおける縫製品質を分析した後、制御部81は、縫製ラインSLの生産効率を分析する(ST606)。例えば、制御部81は、ST604で推定したオペレータの縫製スキルを総合的に判断して縫製ラインSLの作業効率を分析する。例えば、制御部81は、縫製ラインSLに配置されたオペレータにおける、上述した縫製スキルの数値を加算することで縫製ラインSLの作業効率を分析することができる。制御部81は、オペレータの縫製スキルの加算値が所定値以上であれば、縫製ラインSLにおける作業効率が高いと分析する一方、当該加算値が所定値を下回れば、縫製ラインSLにおける作業効率が低いと分析することができる。
【0066】
なお、縫製ラインSLの作業効率を分析する際、生産管理情報にて直接的に作業効率を表す項目の値(例えば、出来高データの値)を増加させる係数を乗算することは実施の形態として好ましい。この場合には、縫製ラインSLにおける作業効率をより正確に分析することが可能となる。
【0067】
このような分析結果を表示部83に表示することにより、管理サーバ8の管理者は、縫製ラインSLにおける縫製品質及び生産効率の分析結果を確認することができる。そして、分析結果に応じて縫製ラインSLにおける縫製品質や生産効率の低い箇所を特定することができる。これにより、管理者は、例えば、オペレータの配置転換や、縫製スキルのトレーニング等の縫製品質及び生産効率を向上するための対策を施すことができる。
【0068】
このように本実施の形態に係る縫製管理システム1においては、縫製ラインSLで縫製される製品を生産する工程毎に、オペレータID及びミシン9の稼働情報を含む生産管理情報が管理されることから、工程毎に縫製ラインSLで作業するオペレータによるミシン9の稼働状況を特定でき、オペレータの縫製スキルを推定することができる。これにより、管理サーバ8は、縫製ラインSLにおける人員配置等を設定することにより、縫製ラインSLにおける縫製品質や生産効率を向上することができる。
【0069】
特に、縫製管理システム1において、ミシン9は、ミシンIDを生産管理情報として管理サーバ8に送信する。管理サーバ8は、ミシン9から送信されたミシンIDを生産管理情報テーブルに登録し、管理する。このため、管理サーバ8は、特定のミシン9と組み合わせた場合のオペレータの縫製スキルを工程毎に推定することができる。また、ミシンIDとその稼働情報とが管理されることから、管理サーバ8は、ミシン9の不具合の発生状況を推定することができる。
【0070】
また、縫製管理システム1において、ミシン9は、出来高データを生産管理情報として管理サーバ8に送信する。管理サーバ8は、ミシン9から送信された出来高データを生産管理情報テーブルに登録し、管理する。このように生産管理情報テーブルにおいて、ミシン9で縫製された製品数(出来高)が生産管理情報として管理されることから、管理サーバ8は、製品数に応じて工程毎にオペレータの作業効率に関する縫製スキルを適切に推定することができる。
【0071】
さらに、縫製管理システム1においては、検査工程6に製品の検査結果の入力を受け付ける検査装置としての検査機を備えている。検査機から入力された検査結果は、携帯端末60を介して管理サーバ8に送信される。管理サーバ8は、携帯端末60から送信された検査結果データを生産管理情報テーブルに登録し、管理する。このように管理サーバ8で製品の検査結果が管理されることから、管理サーバ8は、検査結果に応じて品番毎にオペレータの縫製品質に関する縫製スキルを適切に推定することができる。
【0072】
さらに、縫製管理システム1においては、オペレータの位置情報を検出する検出装置として位置検出装置41を備えている。位置検出装置41で検出されたオペレータの位置情報は、管理サーバ8に出力される。管理サーバ8は、このオペレータの位置情報を生産管理情報テーブルに登録し、管理する。これにより、管理サーバ8は、オペレータの位置情報と製品の縫製状況との関係を推定することができる。
【0073】
本開示の技術は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【0074】
例えば、上記実施の形態においては、ミシン9に接続された携帯端末40でオペレータID及び品番IDを読み取る場合について説明している。しかしながら、オペレータID及び品番IDを読み取る構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、ミシン9がオペレータID及び品番IDを読み取る構成を備えていてもよい。また、上記実施の形態においては、ミシン9に縫製管理システム1のネットワークNW2を介して管理サーバ8等との間で通信を行う通信部98を設けているが、通信部98を持たないミシンについては携帯端末40にその通信機能を持たせてもよい。また、上記実施の形態においては、縫製ラインSLを構成する各種工程に携帯端末30、50、60、70を備える構成としているが、裁断機やアイロンプレス機、検査機など各種工程で使用される設備に、ネットワークを介して管理サーバ8等との間で通信を行う通信機能を持たせる場合には、携帯端末を備えない構成としてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態においては、生産管理情報テーブルにて、品番IDに応じて製品を構成する部品の工程単位で生産管理情報を管理する場合について説明している。しかしながら、生産管理情報の管理方法については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、製品に関連付けられる品番IDに応じて製品の工程単位で生産管理情報を管理するようにしてもよい。
【0076】
さらに、上記実施の形態においては、管理サーバ8が縫製工場SP1の縫製ラインSLのネットワークNW2に接続される場合について説明している。しかしながら、管理サーバ8の構成については、これに限定されるものではなく適宜変更が可能である。例えば、管理サーバ8は、複数の縫製工場を接続するネットワークNW1に接続されていてもよい。また、管理サーバ8の機能はクラウド上に設けてもよい。また、管理サーバ8は、縫製ラインSLに独立して構成される場合に限らず、例えば、仕様生成工程2の実行領域に配置されるPCにその機能を持たせてもよい。
【0077】
下記に、上記の実施の形態における特徴点を整理する。
上記実施の形態に記載の縫製管理システムは、オペレータの識別情報及び装置本体の稼働情報を含む生産管理情報を送信する縫製装置と、縫製ラインで縫製される製品の工程又は当該製品を構成する部品の工程単位で生産管理情報を管理する管理装置と、を具備することを特徴とする。この構成によれば、縫製ラインで縫製される製品の工程又は当該製品を構成する部品の工程単位で、オペレータの識別情報及び縫製装置の稼働情報を含む生産管理情報が管理されることから、製品毎又は部品毎に縫製ラインで作業するオペレータによる縫製装置の稼働状況を特定でき、オペレータの縫製スキルを推定することができる。これにより、縫製ラインにおける人員配置等を設定することにより、縫製ラインにおける縫製品質や生産効率を向上することができる。
【0078】
上記実施の形態に記載の縫製管理システムにおいて、縫製装置は、生産管理情報として、装置本体の識別情報を送信する。この構成によれば、縫製装置の識別情報が生産管理情報として管理されることから、特定の縫製装置と組み合わせた場合のオペレータの縫製スキルを製品の工程又は部品の工程毎に推定することができる。また、縫製装置の識別情報とその稼働情報とが管理されることから、縫製装置の不具合の発生状況を推定することができる。
【0079】
上記実施の形態に記載の縫製管理システムにおいて、縫製装置は、生産管理情報として、装置本体で縫製された製品数を送信する。この構成によれば、縫製装置で縫製された製品数(出来高)が生産管理情報として管理されることから、製品数に応じた製品の工程又は部品の工程毎のオペレータの縫製スキルを推定することができる。
【0080】
上記実施の形態に記載の縫製管理システムにおいて、縫製ラインで縫製された製品の検査結果の入力を受け付ける検査装置を更に具備し、管理装置は、検査装置から入力された検査結果を生産管理情報として管理する。この構成によれば、製品の検査結果が生産管理情報として管理されることから、管理装置で製品の検査結果を管理することができるので、検査結果に応じて品番毎にオペレータの縫製品質に関する縫製スキルを適切に推定することができる。
【0081】
上記実施の形態に記載の縫製管理システムにおいて、管理装置は、生産管理情報に基づいてオペレータによる縫製スキルを推定する。この構成によれば、生産管理情報に基づいてオペレータの縫製スキルが推定されることから、オペレータの工程に対する適正を特定することできるので、当該オペレータの配置転換や縫製スキルのトレーニング等の縫製品質及び生産効率を向上するための対策を施すことができる。
【0082】
上記実施の形態に記載の縫製管理システムにおいて、管理装置は、オペレータの縫製スキルに基づいて縫製ラインにおける縫製品質及び/又は生産効率を分析する。この構成によれば、オペレータの縫製スキルに基づいて縫製ラインにおける縫製品質及び/又は生産が分析されることから、縫製ラインにおける縫製品質や生産効率が低い箇所を特定することできるので、オペレータの配置転換等の縫製品質や生産効率を向上するための対策を施すことができる。
【0083】
上記実施の形態に記載の縫製管理方法は、縫製ライン上で縫製を行う縫製装置と、縫製ラインにおける各種情報を管理する管理装置とを用いた縫製管理方法であって、縫製装置から、オペレータの識別情報及び当該縫製装置の稼働情報を含む生産管理情報を送信するステップと、管理装置で、縫製ラインで縫製される製品の工程又は当該製品を構成する部品の工程単位で生産管理情報を管理するステップと、を有することを特徴とする。この構成によれば、縫製ラインで縫製される製品の工程又は当該製品を構成する部品の工程単位で、オペレータの識別情報及び縫製装置の稼働情報を含む生産管理情報が管理されることから、製品の工程又は部品の工程毎に縫製ラインで作業するオペレータによる縫製装置の稼働状況を特定でき、オペレータの縫製スキルを推定することができる。これにより、縫製ラインにおける人員配置等を設定することにより、縫製ラインにおける縫製品質や生産効率を向上することができる。
【符号の説明】
【0084】
1 :縫製管理システム
30 :携帯端末
31 :制御部
32 :記憶部
33 :表示部
34 :入力部
35 :I/F部
36 :RFIDリーダ部
37 :通信部
40、50、60、70 :携帯端末
41 :RFIDリーダ
8 :管理サーバ
81 :制御部
82 :記憶部
83 :表示部
84 :入力部
85 :通信部
86 :テーブル管理部
87 :テーブル保持部
9 :ミシン
91 :制御部
92 :記憶部
93 :表示部
94 :入力部
95 :I/F部
96 :操作部
97 :駆動部
98 :通信部
SL :縫製ライン
SP、SP1~SP3 :縫製工場
図1
図2
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図5
図6
図7