(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】鋼の造塊用湯道煉瓦
(51)【国際特許分類】
B22C 9/08 20060101AFI20240702BHJP
C04B 35/043 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B22C9/08 E
C04B35/043
(21)【出願番号】P 2019168890
(22)【出願日】2019-09-17
【審査請求日】2022-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000220767
【氏名又は名称】東京窯業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【氏名又は名称】長谷 久生
(72)【発明者】
【氏名】有賀 喜久雄
(72)【発明者】
【氏名】伊佐地 恭介
(72)【発明者】
【氏名】工藤 重樹
(72)【発明者】
【氏名】西尾 竜哉
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-109510(JP,A)
【文献】特開昭55-023010(JP,A)
【文献】特開昭55-023011(JP,A)
【文献】特開昭54-099112(JP,A)
【文献】実開昭58-160649(JP,U)
【文献】特公昭47-013176(JP,B1)
【文献】特開平06-218494(JP,A)
【文献】特開昭49-005407(JP,A)
【文献】特開2000-351046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 9/08
C04B 35/043
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯口から注がれた溶融金属を鋳型へと注入させるための湯道の形成に用いられる造塊用湯道煉瓦の製造方法であって、
マグネシア質材、フォルステライト質材であるズン岩またはズン橄欖岩、および溶融石英質材を主原料とし、それらの主原料の原料全体における含有率を80質量%以上にするとともに、
原料中のマグネシア質材の含有量を25質量%以上60質量%未満とし、かつ、原料中のフォルステライト質材であるズン岩またはズン橄欖岩の含有量を25質量%以上60質量%未満とし、なおかつ、原料中の溶融石英質材の含有量を5質量%以上25質量%未満とし、
前記主原料を含有させた原料を、混練して成形し、乾燥させた後に、1,250℃~1,450℃の温度で60時間~100時間に亘って焼成することを特徴とする鋼の造塊用湯道煉瓦の製造方法。
【請求項2】
原料中に、改質材である酸化クロム質材、含ジルコニア質材、長石質材、陶石質材、および/または、成形性助材である木節粘土質材を添加することを特徴とする請求項1に記載の鋼の造塊用湯道煉瓦の製造方法。
【請求項3】
溶融石英質として、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材、粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材を用いるとともに、フォルステライト質材、マグネシア質材として、粗粒子部材、中粒子部材、および粒子径が0.1mm未満の微粒子材を用いることを特徴とする請求項1、または2に記載の鋼の造塊用湯道煉瓦の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造・造塊用の施設において、湯口から注がれた溶融金属を鋳型へと注入させるための湯道の形成に用いられる造塊用湯道煉瓦に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、鋼材として、種々な使用条件に対応し得る特殊な鋼材が開発されており、このような特殊な鋼材の開発に対応して、二次精錬等の新しい製鋼技術も開発されている。そして、それらの鋼材や製鋼技術の開発に伴って、製鋼時の溶湯温度が次第に上昇してきているため、下注鋳造等の鋳造・造塊に用いられる湯道煉瓦に対して、耐熱性、耐食性、耐熱衝撃性の面で高い品質が求められている。
【0003】
湯道煉瓦は、従来、炭化硅素質材、含ジルコニア質材、酸化クロム質材等を添加したシャモット質材やロー石質材によって製造されていたが、必ずしも耐食性が十分とはいえなかった。それゆえ、特許文献1の如く、耐食性の高いマグネシア質材によって湯道煉瓦を製造する技術も開発されてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した特許文献1の如きマグネシア質材によって形成された湯道煉瓦は、良好な耐食性(耐溶損性)を発現するものの、マグネシア質材の熱間線膨張率が高いことに起因して、耐熱衝撃性が不十分であるため、操業時の受熱変化に対応することができず、使用中に亀裂や割れ等が発生して正常な操業に支障を来すことがあった。
【0006】
本発明の目的は、特許文献1の如き従来の鋼の造塊用湯道煉瓦が有する問題点を解消し、良好な耐食性と、操業時の受熱変化に対応し得る良好な耐熱衝撃性とを兼備した鋼の造塊用の湯道煉瓦を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、湯口から注がれた溶融金属を鋳型へと注入させるための湯道の形成に用いられる造塊用湯道煉瓦の製造方法であって、マグネシア質材、フォルステライト質材であるズン岩またはズン橄欖岩、および溶融石英質材を主原料とし、それらの主原料の原料全体における含有率を80質量%以上にするとともに、原料中のマグネシア質材の含有量を25質量%以上60質量%未満とし、かつ、原料中のフォルステライト質材であるズン岩またはズン橄欖岩の含有量を25質量%以上60質量%未満とし、なおかつ、原料中の溶融石英質材の含有量を5質量%以上25質量%未満とし、前記主原料を含有させた原料を、混練して成形し、乾燥させた後に、1,250℃~1,450℃の温度で60時間~100時間に亘って焼成することを特徴とするものである。
【0011】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、原料中に、改質材である酸化クロム質材、含ジルコニア質材、長石質材、陶石質材、および/または、成形性助材である木節粘土質材を添加することを特徴とする。
【0012】
請求項1、または2に記載の製造方法によって製造される鋼の造塊用湯道煉瓦は、気孔率が15%以上30%未満であり、圧縮強さが14MPa以上40MPa未満であるとともに、1,000℃における熱間線膨張率が1.00%未満であるものとすることができる。
【0013】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または2に記載された発明において、溶融石英質として、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材、粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材を用いるとともに、フォルステライト質材、マグネシア質材として、粗粒子部材、中粒子部材、および粒子径が0.1mm未満の微粒子材を用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る鋼の造塊用湯道煉瓦は、優れた耐食性と、操業時の受熱変化に対応し得る良好な耐熱衝撃性とを兼備しているため、鋳造用の施設等において、破損することなく好適に使用することができる。また、本発明に係る鋼の造塊用湯道煉瓦の製造方法によれば、優れた耐食性と良好な耐熱衝撃性とを兼備した鋼の造塊用湯道煉瓦を、安価かつ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】鋼の造塊用湯道煉瓦のうち、直管形状のものの一例を示す説明図である(aは正面図であり、bは右側面図であり、cはbにおけるA-A線断面図である)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係る鋼の造塊用湯道煉瓦(以下、単に、湯道煉瓦という)およびその製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明においては、各成分の特性、含有量、添加量に関する“~”は、原則的に、左側の数値以上右側の数値以下を意味するものとする。
【0017】
本発明に係る湯道煉瓦とは、マグネシア質材、フォルステライト質材、および、溶融石英質材を主原料の必須材とするものである。すなわち、本発明に係る湯道煉瓦は、主原料として、マグネシア質材中に、熱間線膨張率の異なるフォルステライト質材(ズン岩質材等)および溶融石英質材を混合させることにより、主原料粒子の熱間での異なる挙動を利用することによって、耐熱衝撃性を飛躍的に向上させたものである。なお、本発明に係る良好な耐熱衝撃性と十分な耐食性とを兼備した湯道煉瓦を得るためには、主原料の含有率は、80質量%以上であることが必要であり、85質量%以上であるとより好ましい。
【0018】
本発明で用いるフォルステライト質材とは、フォルステライト(2MgO-SiO
2
)を主構成物とする耐火材であり、橄欖岩、その中でもMgOの多いズン岩、またはズン橄欖岩を主な原料とするものである。また、マグネシア質材とは、MgOを80質量%以上含有するマグネシアクリンカー(海水マグネシアクリンカー、天然マグネシアクリンカー)、電融マグネシア、軽焼マグネシア等のことである。一方、溶融石英質材とは、結晶性シリカ粉(珪石)を酸水素炎(酸素と水素を混合して燃焼させた炎)や電気炉等で溶解させた後に固化させた非晶質材のことである。
【0019】
原料中のマグネシア質材の含有量は、25質量%以上60質量%未満であると好ましい。マグネシア質材の含有量が、25質量%未満であると、製造される湯道煉瓦の溶損量が大きくなり、耐食性に問題が生じるので好ましくなく、反対に、マグネシア質材の含有量が、60質量%以上であると、製造される湯道煉瓦の耐熱衝撃性が不十分となりやすく、亀裂や割れ等の発生度が高くなるので好ましくない。原料中のマグネシア質材の含有量は、30質量%以上55質量%未満であるとより好ましい。
【0020】
また、原料中のフォルステライト質材の含有量は、25質量%以上60質量%未満であると好ましい。フォルステライト質材の含有量が、25質量%未満であると、製造される湯道煉瓦の耐熱衝撃性が不十分となりやすく、亀裂や割れ等の発生度が高くなるので好ましくなく、反対に、フォルステライト質材の含有量が、60質量%以上であると、溶損量が大きくなり、耐食性に問題が生じるので好ましくない。原料中のフォルステライト質材の含有量は、30質量%以上55質量%未満であるとより好ましい。
【0021】
一方、原料中の溶融石英質材の含有量は、5質量%以上25質量%未満であると好ましい。溶融石英質材の含有量が、5質量%未満であると、製造される湯道煉瓦の耐熱衝撃性が不十分となりやすく、亀裂や割れ等の発生度が高くなるので好ましくなく、反対に、溶融石英質材の含有量が、25質量%以上であると、溶損量が大きくなり、耐食性に問題が生じるので好ましくない。原料中の溶融石英質材の含有量は、10質量%以上20質量%未満であるとより好ましい。
【0022】
さらに、本発明に係る湯道煉瓦は、原料中に、改質材および/または成形性助材が添加されていると好ましい。改質材としては、対耐化学反応改善材には酸化クロム質材、含ジルコニア質材、物理的特性改善材(焼結性改善材)には長石質材、陶石質材等を用いることができ、成形性助材としては、木節粘土質材等を用いることができる。
【0023】
また、本発明に係る湯道煉瓦は、マグネシア質材、フォルステライト質材、溶融石英質材を主原料とし、必要に応じて改質材、成形性助材を混合した混合組成物中に、水および/またはバインダーを加えて混合、混練し、その混合・混練物を坏土として、鋳込み成形、押出し成形、プレス成形、あるいはそれらの組合せによって所定の形状(
図1の如く、略中央に長手方向に沿った丸状溝(すなわち、長手方向と直交する方向の鉛直断面が略円形の溝)の湯道Pを設けた横長な直方体状等)に成形し、得られた成形品を乾燥させた後に、単独窯やトンネルキルン等によって、1,250℃~1,450℃の温度で60時間~100時間に亘って焼成することによって製造することができる。なお、本発明に係る湯道煉瓦は、
図1の如く、角柱状(角筒状)のものに限定されず、円柱状(円筒状)のもの等でも良い。また、本発明に係る湯道煉瓦には、
図1の如く、前後に接合用の凹凸ソケット等を設けることも可能である。
【0024】
さらに、本発明に係る湯道煉瓦を上記の如く製造する際には、マグネシア質材、フォルステライト質材、溶融石英質材の各主原料を、必要に応じて粉砕・分級することによって粒子の径を調整するのが望ましいが、その際には、溶融石英質として、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材、粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材を用いるとともに、フォルステライト質材、マグネシア質材として、粗粒子部材、中粒子部材、および粒子径が0.1mm未満の微粒子材を用いるのが好ましい。
【0025】
一方、本発明に係る湯道煉瓦は、気孔率(成形品のもの)が15%以上30%未満であると好ましい。気孔率が15%未満であると、耐熱衝撃性が不十分となりやすいので好ましくなく、反対に、気孔率が30%以上であると、組織が粗すぎることに起因して溶損量が大きくなり、耐食性に問題が生じるので好ましくない。加えて、湯道煉瓦の気孔率は、23%以上28%未満であるとより好ましい。
【0026】
また、本発明に係る湯道煉瓦は、圧縮強さが14МPa以上40МPa未満であると好ましい。圧縮強さが14МPa未満であると、熱間摩耗に耐えられなくなり、耐食性が不良となって機械的損耗が増大しやすいので好ましくなく、反対に、圧縮強さが40МPa以上であると、靭性が低下して耐熱衝撃性が不良となりやすいので好ましくない。圧縮強さは、19МPa以上37МPa未満であるとより好ましい。
【0027】
さらに、本発明に係る湯道煉瓦は、熱間線膨張率(1,000℃)が1.00%以下であると好ましい。 熱間線膨張率が1.00%を上回ると、耐熱衝撃性が低下して、亀裂や割れが発生する可能性が大きくなるので好ましくない。湯道煉瓦の熱間線膨張率は、低いほど好ましい。
【実施例】
【0028】
以下、本発明に係る湯道煉瓦について実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。また、実施例・比較例における物性、特性の評価方法は以下の通りである。
【0029】
<見掛気孔率>
JIS-R-2205(真空法)に準じた方法によって測定した。
【0030】
<圧縮強度>
JIS-R-2206に準じた方法によって測定した。
【0031】
<熱間線膨張率>
JIS-R-2207に準じた方法によって測定した。
【0032】
<耐熱衝撃性>
試料を1500℃の電気炉内で30分間加熱した後に炉外に取り出し、送風機により急冷する、というサイクルを5回繰り返して行った。そして、5サイクル繰り返した後の試料の状態によって、下記の2段階で評価した。
○:5サイクル繰り返しても試料が破砕しなかった
×:5サイクル繰り返す前に試料が破砕した
【0033】
<耐食性(溶損量)>
1,590℃の溶鉄で満たされた高周波誘導炉内に、直方体状(縦×横×高さ=40mm×40mm×150mm)の試料を吊り下げた状態で10時間浸漬させた。しかる後、浸漬後の試料の断面から溶損量(mm)を測定した。そして、測定された溶損量によって下記の2段階で評価した(なお、後述する表3におけるマイナスの溶損量は、試料が膨張したことを示している)。
○:溶損量が0.5mm以下であった
×:溶損量が0.5mmを上回った
【0034】
<各原料の化学組成>
実施例・比較例で用いた各主原料の化学組成を表1に示す。また、実施例・比較例で用いた改質材、成形性助材の化学組成を表2に示す。
【0035】
【0036】
【0037】
また、実施例・比較例においては、焼結マグネシア質材、ズン岩質材(フォルステライト質材)、および溶融石英質材の各主原料を、2種類の粉砕機によって粉砕・分級することによって、粒子径が異なるものに分別して使用した。すなわち、各原料を、粉砕機としてインペラーブレーカーを用いて粉砕し、振動篩を用いて分級することによって(一次粉砕)、粒子径が1.0mm以上の粗粒子材・粒子径が0.1mm以上の1.0mm未満の中粒子材を形成した後、その一次粉砕された原料を、ボールミルを用いて粉砕することによって(二次粉砕)、粒子径が0.1mm未満の微粒子材を形成し、それらの粗粒子材、中粒子材、微粒子材を利用に供した。
【0038】
[実施例1]
上記の如く粒子の大きさを調整した主原料である焼結マグネシア質材、ズン岩質材(フォルステライト質材)および溶融石英質材と、成形助材(木節粘土質材)とを、以下の配合比で混合した後、その混合組成物中に所定量の水(8~12重量部)および所定量のバインダー(0.3~2重量部)を添加して、混練機内で十分に混練することによって、主原料、改質材、成形助材の各粒子の表面をバインダーによって被覆させてなる坏土(半湿式用材)を得た。
・焼結マグネシア質材の中粒子材:10質量部
・焼結マグネシア質材の微粒子材:30質量部
・ズン岩質材の粗粒子材:35質量部
・ズン岩質材の中粒子材:10質量部
・溶融石英質材の粗粒子材:5質量部
・成形助材:10質量部
なお、原料の混合、混練時には、粗粒子材・中粒子材を先に混練機に投入して混合した後に、バインダーを添加してから微粒子剤を投入し、再度十分に混練した。
【0039】
そして、その坏土(半湿式用材)を用い、フリクションプレスにて加圧成形を行うことによって、
図1の如き形状を有する湯道煉瓦の成形品を得た。さらに、その成形された湯道煉瓦を、トンネルキルンを用いて、約1,400℃で焼成することによって実施例1の湯道煉瓦(焼成品)を作製した。上記した方法によって評価した。また、上記の如く得られた湯道煉瓦(焼成品)を、直方体状(縦×横×長さ=40mm×40mm×150mm)に切り出すことによって、実施例1の特性評価用のサンプルを得た。そして、作製された湯道煉瓦およびサンプルの特性を、上記した方法によって評価した。実施例1の湯道煉瓦の評価結果を、原料の組成、サンプルの物性とともに表3に示す。
【0040】
[実施例2~7]
湯道煉瓦の成形品の原料の組成を、それぞれ、表3のように変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2~7の湯道煉瓦および物性評価用サンプルを得た。なお、実施例3においては、成形用の坏土(半湿式用材)を調製する際に混合組成物中に改質材としてCr2O3質材を3重量部添加し、実施例4においては、成形用の坏土(半湿式用材)を調製する際に混合組成物中に改質材として長石を5重量部添加した。そして、それらの湯道煉瓦の特性およびサンプルの物性を、上記した方法によって評価した。実施例2~7の湯道煉瓦の評価結果を、原料の組成、サンプルの物性とともに表3に示す。
【0041】
[比較例1~5]
湯道煉瓦の成形品の原料の組成を、それぞれ、表3のように変更した以外は実施例1と同様にして、比較例1~5の湯道煉瓦および物性評価用サンプルを得た。そして、それらの湯道煉瓦の特性およびサンプルの物性を、上記した方法によって評価した。比較例1~5の湯道煉瓦の評価結果を、原料の組成、サンプルの物性とともに表3に示す。
【0042】
【0043】
表3から、実施例1~7で得られた湯道煉瓦は、いずれも、耐食性に優れているとともに、耐熱衝撃性が良好であることが分かる。これに対して、フォルステライト質材・溶融石英質材を含有していない原料によって製造された比較例1の湯道煉瓦、および、溶融石英質材を含有していない原料によって製造された比較例2,3の湯道煉瓦は、いずれも、耐熱衝撃性が不良であることが分かる。また、溶融石英の含有量が多すぎる原料によって製造された比較例5の湯道煉瓦は、耐食性が不十分であることが分かる。さらに、マグネシア質材・溶融石英質材を含有していない原料によって製造された比較例4の湯道煉瓦は、耐食性が不十分である上、耐熱衝撃性が不良であることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る湯道煉瓦は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、各種の造塊・鋳造用の施設で用いる湯道煉瓦として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0045】
1・・湯道煉瓦
P・・湯道