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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】ワークを検出する検出システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/04 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B25J19/04
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019177214
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021053718
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】大場 雅文
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-111140(JP,A)
【文献】特開平09-131683(JP,A)
【文献】特開平03-234491(JP,A)
【文献】特開2017-011573(JP,A)
【文献】特開平08-063214(JP,A)
【文献】特開平03-280106(JP,A)
【文献】特開2018-111156(JP,A)
【文献】特開2019-076972(JP,A)
【文献】特開平04-244391(JP,A)
【文献】米国特許第10116870(US,B1)
【文献】特開2013-129034(JP,A)
【文献】特開2019-198916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
G05B 11/00 - 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動するワークの高さを計測する高さ計測センサを具備し、
前記高さ計測センサは、その計測方向が前記ワークの支持面に対して垂直になるように配置された距離センサであるか、または、その投光方向が前記ワークの搬送方向に対して直交するように配置されると共に前記ワークの高さ方向に並置された複数の光電センサであり、
さらに、
前記ワークの二次元情報を計測する二次元センサと、
前記高さ計測センサ及び前記二次元センサの少なくとも一方を用いた計測の実行タイミングを管理する実行管理部と、
計測した前記高さと計測した前記二次元情報とに基づいて少なくとも前記ワークの位置を検出するワーク検出部と、
を備え、
前記ワーク検出部は、計測した前記高さに対応する位置に検出平面を設定し、設定した前記検出平面と計測した前記二次元情報における前記ワークの上面の重心位置とに基づいて、前記ワークの前記上面の三次元位置を検出する、検出システム。
【請求項2】
前記実行管理部は、前記高さ計測センサ又は前記二次元センサの情報に基づいて前記実行タイミングを管理する、請求項1に記載の検出システム。
【請求項3】
前記実行管理部は、前記高さ計測センサで所定の高さを計測したタイミングに基づいて前記二次元センサを用いた計測を実行するか、又は前記二次元センサで前記ワークを計測したタイミングに基づいて前記高さ計測センサを用いた計測を実行する、請求項1又は2に記載の検出システム。
【請求項4】
前記実行管理部は、所定時間進んだら、又は所定距離だけ前記ワークが移動したら、又は継続的に、前記高さ計測センサ又は前記二次元センサを用いた計測を実行する、請求項1から3のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項5】
前記ワーク検出部は、前記二次元センサの視野内で前記ワークが移動する間に前記ワークの位置を検出する、請求項1から4のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項6】
前記ワークの到来を検知する到来検知センサをさらに備え、前記実行管理部は、前記到来検知センサの情報に基づいて前記高さ計測センサ及び前記二次元センサを用いた計測を実行する、請求項1から5のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項7】
前記ワーク毎に、計測した前記高さと計測した前記二次元情報を関連付ける関連付け部をさらに備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項8】
前記ワークの移動量を検知する移動量検知部と、
検出した前記ワークの位置及び検知した前記移動量に基づいて前記ワークを追いかけながら作業を行う機械と、
をさらに備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項9】
前記ワークは物品又は前記物品を載置可能なトレイを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の検出システム。
【請求項10】
前記機械はロボット又は産業機械を含む、請求項8に記載の検出システム。
【請求項11】
少なくとも1つのプロセッサと、
少なくとも1つのプログラムを記憶する少なくとも1つのメモリと、
を備え、
前記少なくとも1つのプロセッサにより実行される前記少なくとも1つのプログラムは、
ワークの高さ情報を取得することと、
前記ワークの二次元情報を取得することと、
前記高さ情報の高さに対応する位置に検出平面を設定することと、
前記検出平面と前記二次元情報における前記ワークの上面の重心位置とに基づいて、前記ワークの前記上面の三次元位置を検出することと、
の指令を含む、制御装置。
【請求項12】
前記ワークの高さ情報を取得するタイミングと、前記ワークの二次元情報を取得するタイミングとの少なくとも一方を管理することの指令をさらに含む、請求項11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記ワークの高さ情報又は前記ワークの二次元情報に基づいて、前記ワークの高さ情報を取得するタイミングと、前記ワークの二次元情報を取得するタイミングとの少なくとも一方を管理する、請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
前記ワークの高さ情報を取得するタイミングに基づいて前記ワークの二次元情報を取得するか、又は前記ワークの二次元情報を取得するタイミングに基づいて前記ワークの高さ情報を取得する、請求項11から13のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークを検出する検出システムに関し、特に高さ計測センサを二次元センサと組み合わせてワークを検出する検出システムに関する。
【背景技術】
【0002】
移動するワークに対して産業用ロボット等の機械を用いて作業を行う場合、高価な三次元センサを使用せずに安価な二次元センサのみを用いてワークを検出することがある。また、安価な高さ計測センサを二次元センサと組み合わせてワークを検出することもある。斯かる検出システムとしては、例えば後述の文献が公知である。
【0003】
特許文献1には、搬送面の床面からの高さ寸法が未知である場合に、カメラに別途設けたレーザスキャナ等で搬送面とカメラ位置との間の離間距離を検出し、離間距離に基づいて自機械座標系におけるワークの高さ位置も含めたワークの現在位置情報を検出することが開示されている。
【0004】
特許文献2には、画像センサと測距センサを組み合わせたワーク計測装置と、搬送装置から供給される搬送速度情報や画像取得装置から供給されるセンシング情報に基づいてワークのピッキング予測位置や到達予測時刻等を求める到達予測部と、が開示されている。
【0005】
特許文献3には、搬送されてくる荷物を搬送経路の上流側上方において撮像して画像処理装置に出力するカメラと、出力された画像情報を画像解析して荷物の位置・姿勢及び形状(荷物の上面の形状)等を検知する画像処理装置と、搬送経路を挟んで両側に向い合せで配置された、投光部及び受光部の間に亘るレーザ光の光路を、搬送されてくる荷物で遮蔽されたレーザ光の高さ位置に基づいて荷物の高さ方向の寸法を検出する高さセンサと、が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2019-076972号公報
【文献】特開2019-025618号公報
【文献】再表2013/150598号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ワークの高さを考慮せずに二次元情報からワークの位置を検出すると、検出したワークの位置が視差の影響でワークの実位置からずれてしまい、機械が誤った目標位置へ移動してワークに対する作業を失敗することがある。図6は従来のワーク検出手法の一例を示している。図6には2つのワーク60、61が描かれており、ワーク60、61は、高さHa、Hbが異なっていて、ワーク60、61の上面の重心位置A、BがXY平面上で同じ位置にある。このとき、ワーク61の高さHbでワーク60の位置を検出してしまうと、ワーク60の上面のXY平面上の重心位置は、誤った位置A'として検出され、ワーク60、61の実位置A、Bからずれてしまうことになる。他方、検出したワークのサイズから高さを予測してワークの上面の重心位置を検出する場合、二次元センサ62におけるレンズ収差の影響でワーク60の高さHaを正確に予測できないことがある。
【0008】
また、高さ計測センサを二次元センサと組み合わせてワークを検出する場合、ワーク速度やワーク量等に起因して一方のセンサでワークを検知できても他方のセンサでワークを見逃してしまい、ワークの位置を計測できなくなることもある。
【0009】
そこで、高価な三次元センサを使用せずに信頼性の高い検出システムを提供する技術が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の一態様は、移動するワークの高さを計測する高さ計測センサを具備し、前記高さ計測センサは、その計測方向が前記ワークの支持面に対して垂直になるように配置された距離センサであるか、または、その投光方向が前記ワークの搬送方向に対して直交するように配置されると共に前記ワークの高さ方向に並置された複数の光電センサであり、さらに、前記ワークの二次元情報を計測する二次元センサと、前記高さ計測センサ及び前記二次元センサの少なくとも一方を用いた計測の実行タイミングを管理する実行管理部と、計測した前記高さと計測した前記二次元情報とに基づいて少なくとも前記ワークの位置を検出するワーク検出部と、を備え、前記ワーク検出部は、計測した前記高さに対応する位置に検出平面を設定し、設定した前記検出平面と計測した前記二次元情報における前記ワークの上面の重心位置とに基づいて、前記ワークの前記上面の三次元位置を検出する、検出システムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本開示の一態様によれば、高さ計測センサと二次元センサとを用いた計測の実行タイミングを管理するため、センサによるワークの見逃しを抑制できる。またワークの高さを考慮してワークの位置を検出するため、ワークの位置を正確に検出できることになる。ひいては、高価な三次元センサを使用せずに信頼性の高い検出システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態における検出システムの概略構成を示す斜視図である。
図2】検出システムの構成の変形例を示す斜視図である。
図3】一実施形態における検出システムの機能ブロック図である。
図4】他の実施形態における検出システムの機能ブロック図である。
図5】検出システムの概略動作を示すフローチャートである。
図6】従来のワーク検出手法の一例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を詳細に説明する。各図面において、同一又は類似の構成要素には同一又は類似の符号が付与されている。また、以下に記載する実施形態は、特許請求の範囲に記載される発明の技術的範囲及び用語の意義を限定するものではない。なお、本書における用語「ワークの高さ」とは、ワークの支持面からワークの遠位面までの距離のことをいい、ワークの鉛直方向の高さに限定されないことに留意されたい。
【0014】
図1は本実施形態における検出システム1の概略構成を示している。検出システム1は、高さ計測センサ11と、二次元センサ12と、これら2つのセンサを制御する制御装置13と、を備えている。ワーク10は、段ボール等の物品であるが、物品を載置可能なトレイ等でもよい。高さの異なる複数のワーク10が搬送部14によって一列又は複数列で搬送される。搬送部14は、ワーク10を支持する支持面を備えた、コンベヤ、AGV(automated guided vehicle)等でよい。コンベヤの場合、搬送部14は円弧状の循環コンベヤでもよい。
【0015】
高さ計測センサ11は、レーザ式、超音波式等の距離センサであるが、投光部及び受光部を備えた光電センサ等でもよい。距離センサの場合、その計測方向がワーク10の支持面に対して垂直になるように配置し、予め計測したワーク10の支持面までの距離からワーク10の遠位面(本例ではワーク10の上面)までの距離を減算することにより、ワーク10の高さを計測する。光電センサの場合、その投光方向がワーク10の搬送方向Xに対して直交するように配置すると共に、複数の光電センサをワーク10の高さ方向に並置し、投光した光がワーク10によって遮断された光電センサの位置からワーク10の高さを計測する。また、ワーク10が複数列で搬送される場合、列数に応じて高さ計測センサ11を用意するとよい。
【0016】
二次元センサ12は、ワーク10の二次元情報(例えば画像)を出力する二次元カメラでよく、その光軸がワーク10の高さ方向になるように配置するとよい。二次元センサ12は、ワーク10の搬送方向Xにおいて、高さ計測センサ11の下流側に配置されるが、高さ計測センサ11の上流側に配置してもよい。
【0017】
制御装置13は、CPU(central processing unit)等のプロセッサを備えた公知の制御装置でよく、高さ計測センサ11及び二次元センサ12の少なくとも一方を用いた計測の実行タイミングを管理すると共に、計測した高さと計測した二次元情報に基づいて少なくともワーク10の位置(及び必要に応じてワークの姿勢)を検出する。
【0018】
検出システム1は、ワーク10の移動量を検知する移動量検知部17をさらに備えていてもよい。移動量検知部17は、搬送部14の回転軸に取付けたロータリーエンコーダ等でよい。或いは、制御装置13が二次元センサ12の情報からワーク10の移動量を検知してもよい。制御装置13は、検出したワーク10の位置と検知したワーク10の移動量に基づき、移動するワーク10に対して機械15を追従させながらツール16を制御する。これにより、機械15がワーク10を追いかけながら作業を行うようになる。
【0019】
機械15は、パラレルリンク型ロボットであるが、多関節ロボット等の他の産業用ロボットでもよいし、又は工作機械、建設機械等の他の産業機械でもよい。ツール16は、吸着式ハンドであるが、複数の爪部を備えたハンドでもよく、ワーク10を搬送部14から別の場所へ又は別の場所から搬送部14へ搬送するために使用される。ワーク10に対する作業内容に応じて、ツール16は、他のツール、例えばシーリングツール、溶接ツール、ねじ締結ツール、半田付けツール、レーザ加工ツール等でもよい。
【0020】
図2は検出システム1の構成の変形例を示している。検出システム1は、ワーク10の到来を検知する到来検知センサ18をさらに備えていてもよい。到来検知センサ18は、投光部及び受光部を備えた光電センサ、接触子を備えた接触センサ等でよい。光電センサの場合、その投光方向がワーク10の搬送方向Xに対して直交するように配置し、接触センサの場合、その接触子がワーク10に接触するように配置するとよい。到来検知センサ18は、ワーク10の搬送方向Xにおいて上流側に配置した高さ計測センサ11又は二次元センサ12と概ね同じ位置に配置するとよい。図1の構成では、制御装置13が、高さ計測センサ11又は二次元センサ12の情報に基づき、高さ計測センサ11又は二次元センサ12を用いた計測の実行タイミングを管理するのに対し、図2の構成では、制御装置13が、到来検知センサ18の情報に基づき、高さ計測センサ11及び二次元センサ12を用いた計測の実行タイミングを管理する。
【0021】
図3は一実施形態における検出システムの機能ブロックを示している。制御装置13は、高さ計測センサ11及び二次元センサ12の少なくとも一方を用いた計測の実行タイミングを管理する実行管理部30を備えている。実行管理部30は、図1図2に示す検出システムの構成に応じて、例えば下記のようにセンサを用いた計測の実行タイミングを管理する。
【0022】
(高さ計測センサと二次元センサのみを用いる構成)
(1)高さ計測センサ11をワークの搬送方向で二次元センサ12の上流側に配置する場合、実行管理部30は、所定時間進む度に、又は所定距離だけワークが進む度に、又は継続的に、高さ計測センサ11を用いた計測を実行し、高さ計測センサ11で所定の高さを検知したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら、二次元センサ12を用いた計測を実行する。所定時間又は所定距離は、ワーク速度、センサ間の距離等に応じて適宜規定されるが、二次元センサ12の視野内に高さ計測センサ11があれば0時間又は0距離でよい。
【0023】
(2)高さ計測センサ11をワークの搬送方向で二次元センサ12の下流側に配置する場合、実行管理部30は、所定時間進む度に、又は所定距離だけワークが進む度に、又は継続的に、二次元センサ12を用いた計測を実行し、二次元センサ12でワークを検知したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら、高さ計測センサ11を用いた計測を実行する。前述と同じく、所定時間又は所定距離は、ワーク速度、センサ間の距離等に応じて適宜規定されるが、二次元センサ12の視野内に高さ計測センサ11があれば0時間又は0距離でよい。
【0024】
(高さ計測センサ及び二次元センサに加えて到来検知センサを用いる構成)
(3)高さ計測センサ11をワークの搬送方向で二次元センサ12の上流側に配置する場合、実行管理部30は、到来検知センサ18でワークの到来を検知したタイミングで高さ計測センサ11を用いた計測を実行し、ワークの到来を検知したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら、二次元センサ12を用いた計測を実行する。前述と同じく、所定時間又は所定距離は、ワーク速度、センサ間の距離等に応じて適宜規定されるが、二次元センサ12の視野内に高さ計測センサ11があれば0時間又は0距離でよい。
【0025】
(4)高さ計測センサ11をワークの搬送方向で二次元センサ12の下流側に配置する場合、実行管理部30は、到来検知センサ18でワークの到来を検知したタイミングで二次元センサ12を用いた計測を実行し、ワークの到来を検知したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら、高さ計測センサ11を用いた計測を実行する。前述と同じく、所定時間又は所定距離は、ワーク速度、センサ間の距離等に応じて適宜規定されるが、二次元センサ12の視野内に高さ計測センサ11があれば0時間又は0距離でよい。
【0026】
制御装置13は、計測した高さと計測した二次元情報に基づいて少なくともワークの位置(及び必要に応じてワークの姿勢)を検出するワーク検出部32をさらに備えている。例えば図6に示すワーク60の場合、計測した高さHaに検出平面を設定し、設定した検出平面と計測した二次元画像上のワーク60の位置(例えば二次元画像上のワークの上面の重心位置(u,v))から少なくともワーク60の三次元位置A(xa,ya、Ha)を検出する。なお、二次元画像上のワークの位置(u,v)の検出は、ブロブ、パターンマッチング等の公知の画像処理技術を利用できる。また、高さ計測センサ11をワークの搬送方向で二次元センサ12の上流側に配置する場合、ワークの二次元情報を計測する前にワークの高さを取得しているため、ワーク検出部32は、二次元センサ12の視野内でワークが移動する間にワークの位置を検出してもよい。
【0027】
ワーク速度やワーク量に起因して高さ計測センサ11と二次元センサ12とを用いた計測の実行タイミングがまちまちになるため、制御装置13は、ワーク毎に、計測した高さと計測した二次元情報を関連付ける関連付け部31をさらに備えていてもよい。関連付け部31は、計測した高さと計測した二次元情報を、二次元配列、データベース等に格納して関連付けておく。
【0028】
制御装置13は、機械15及びツール16を制御するため、少なくともワークの現在位置(及び必要に応じてワークの移動量)をセンサ座標系から機械座標系に変換する変換部33をさらに備えていてもよい。ワークの現在位置は、検出したワークの位置とその際に検知したワークの移動量から推定できる。また、ワークの移動量は、移動量検知部17で検知してもよいし、又は二次元センサ12で計測した二次元情報から検知してもよい。
【0029】
機械15及びツール16を制御するため、制御装置13はさらに、少なくとも動作プログラム21を記憶する記憶部22と、動作プログラム21に基づいて機械15及びツール16の動作を制御する動作制御部23と、機械駆動モータ24を駆動する機械駆動部25と、ツール駆動モータ26を駆動するツール駆動部27と、を備えているとよい。動作プログラム21は、作業内容に応じて機械15の基本的な動作指令を記述したプログラムであり、動作制御部23は、動作プログラム21に基づいて機械駆動部25又はツール駆動部27に動作指令を送出する。機械駆動部25又はツール駆動部27は、動作指令に基づいて機械駆動モータ24又はツール駆動モータ26に電気を供給する。
【0030】
変換部33は、ワークが機械15の作業可能領域内に進入すると、少なくともワークの現在位置(及び必要に応じてワークの移動量)をセンサ座標系から機械座標系に変換して動作制御部23に送出し続ける。動作制御部23は、ワークの現在位置を機械の目標位置とする動作指令を機械駆動部25へ送出し続けると共に、ツール駆動部27を制御する。これにより、機械15がワークを追いかけながら作業を行うことになる。特定のワークに対する作業が完了すると、変換部33は次のワークの現在位置を機械座標系に変換して動作制御部23に送出し続け、前述の動作を繰返す。
【0031】
図4は他の実施形態における検出システム1の構成を示している。この構成では、検出システム1がCPU等のプロセッサを備えた上位コンピュータ装置34を備えており、上位コンピュータ装置34は各制御装置13と通信可能に接続される。上位コンピュータ装置34は、高さ計測センサ11、二次元センサ12、到来検知センサ18、移動量検知部17といった各種センサから取得した情報を高速に処理し、処理結果に基づいて種々の指令を各制御装置13へ伝達するように構成される。実行管理部30、関連付け部31、ワーク検出部32、及び変換部33は、制御装置13に夫々設けられるのではなく、上位コンピュータ装置34に集約される。これにより、複数の制御装置13の間で、種々のプログラム、種々のデータ等が共有可能になり、検出システム1の保守性を高めることができる。
【0032】
図5は検出システム1の概略動作を示している。ステップS10では、到来検知センサを用いてワークの到来を検知する。ステップS11では、ワークの到来を検知したタイミングで高さ計測センサを用いた計測を実行し、ワークの高さを計測する。但し、到来検知センサを用いない場合には、ステップS10が不要となり、所定時間進む度に、又は所定距離だけワークが進む度に、又は継続的に、高さ計測センサを用いた計測を実行してもよい。
【0033】
ステップS12では、ワークの到来を検知したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら二次元センサを用いた計測を実行し、ワークの二次元情報を計測する。但し、到来検知センサを用いない場合には、高さ計測センサで所定の高さを検知したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら、二次元センサを用いた計測を実行してもよい。また、高さ計測センサをワークの搬送方向で二次元センサの下流側に配置する場合には、ステップS11とステップS12の順序を入れ替え、二次元センサでワークを検出したタイミングから所定時間進んだら又は所定距離だけワークが移動したら、高さ計測センサを用いた計測を実行してもよい。
【0034】
ステップS13では、計測した高さと計測した二次元情報からワークの位置(及び必要に応じてワークの姿勢)を検出する。なお、ワーク速度やワーク量に起因して高さ計測センサと二次元センサとを用いた計測の実行タイミングがまちまちとなるため、ステップS12とステップS13の間で、ワーク毎に、計測した高さと計測した二次元情報を関連付けておいてもよい。ステップS14では、移動量検知部でワークの移動量を検知する。但し、二次元センサの情報からワークの移動量を検知してもよい。ステップS15では、ワークの位置及びワークの移動量に基づいて機械がワークを追従し、ステップS16でワークに対して作業を行う。
【0035】
以上の実施形態によれば、高さ計測センサと二次元センサを用いた計測の実行タイミングを管理するため、センサによるワークの見逃しを抑制できる。また、ワークの高さを考慮してワークの位置を検出するため、ワークの位置を正確に検出できることになる。ひいては、高価な三次元センサを使用せずに信頼性の高い検出システムを提供できる。
【0036】
前述の「~部」は、半導体集積回路で構成されてもよいし、プロセッサで実行されるプログラムで構成されてもよい。また前述のフローチャートを実行するプログラムは、コンピュータ読取り可能な非一時的記録媒体、例えばCD-ROM等に記録して提供してもよい。
【0037】
本明細書において種々の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載された範囲内において種々の変更を行えることを認識されたい。
【符号の説明】
【0038】
1 検出システム
10 ワーク
11 高さ計測センサ
12 二次元センサ
13 制御装置
14 搬送部
15 機械
16 ツール
17 移動量検知部
18 到来検知センサ
21 動作プログラム
22 記憶部
23 動作制御部
24 機械駆動モータ
25 機械駆動部
26 ツール駆動モータ
27 ツール駆動部
30 実行管理部
31 関連付け部
32 ワーク検出部
33 変換部
34 上位コンピュータ装置
60、61 ワーク
62 二次元センサ
X 搬送方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6