(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】動的な厚さ制御を伴う複合材部品樹脂注入
(51)【国際特許分類】
B29C 70/44 20060101AFI20240702BHJP
B29C 70/54 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B29C70/44
B29C70/54
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019205583
(22)【出願日】2019-11-13
【審査請求日】2022-10-19
(32)【優先日】2019-01-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・ジェームズ・ミューレ
(72)【発明者】
【氏名】イアン・クックソン
(72)【発明者】
【氏名】ジェシカ・クレア・オア
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・ハウ
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-500998(JP,A)
【文献】国際公開第2016/092670(WO,A1)
【文献】特開2013-75471(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/44
B29C 70/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合材部品を製造する方法(200)であって、前記方法(200)が、
ツールマンドレル(130)上にプリフォーム(120)を提供するステップと、
前記複合材部品の目標形状に従って前記プリフォーム(120)の周りにセンサ(190)を配置するステップと、
真空バッグ(140)で
前記ツールマンドレル(130)を封止して、前記プリフォーム(120)を
密封する
チャンバ(144)を形成するステップと、
注入を受けた複合材プリフォーム(120)を形成する目的で樹脂(110)を前記プリフォーム(120)に注入するために、
熱源および圧力源を制御して熱および圧力を前記チャンバ(144)に加えるステップと、
前記複合材プリフォーム(120)の硬化を完了する前に前記複合材プリフォーム(120)の厚さを監視するステップと、
以前の複合材部品製造の履歴データに対して前記複合材プリフォーム(120)の前記厚さを分析するステップと、
前記複合材部品の厚さが所定の公差を満たすように、前記厚さに基づいて、前記複合材プリフォーム(120)の硬化を完了する前に
前記圧力源を調節して前記チャンバ内の前記圧
力を調整するステップと
を含む、方法(200)。
【請求項2】
前記複合材プリフォーム(120)の前記厚さおよび前記履歴データに基づいて、硬化を完了する前に適用される前記
熱および前記圧力の少なくとも一方の調整値を計算するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項3】
前記複合材プリフォーム(120)の物理的特性と前記以前の複合材部品製造の硬化厚さとの間の前記履歴データ中の相関に基づいて前記調整値を計算するステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項4】
前記複合材プリフォーム(120)の物理的特性と前記以前の複合材部品製造の硬化厚さとの間の前記履歴データ中の相関に基づいて前記調整値を計算するステップであって、前記物理的特性が、樹脂年齢、樹脂混合プロセス、および樹脂生産源の1つ以上を含む、ステップ
をさらに含む、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項5】
測定値をコントローラーに提供するステップであって、前記測定値が、前記厚さ、前記チャンバ(144)の測定温度(310)、前記チャンバ(144)の測定圧力、前記複合材プリフォーム(120)中の前記樹脂(110)の測定粘度、および時間の1つ以上を含む、ステップと、
前記測定値、および前記以前の複合材部品製造の1つ以上の以前の測定値と硬化厚さとの間の前記履歴データ中の相関に基づいて、硬化を完了する前に適用される前記
熱および前記圧力の少なくとも一方の前記調整値を前記コントローラーで計算するステップと
をさらに含む、請求項2に記載の方法(200)。
【請求項6】
前記注入に使用される前記樹脂(110)の特性を前記コントローラーに提供するステップと、
前記樹脂(110)の前記特性および前記履歴データ中の前記相関に基づいて、硬化を完了する前に適用される前記
熱および前記圧力の少なくとも一方の前記調整値を計算するステップと
をさらに含む、請求項5に記載の方法(200)。
【請求項7】
前記注入後かつ前記硬化前に前記
熱および前記圧力の前記少なくとも一方の調整を指示するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項8】
前記複合材部品の部品厚さが硬化後に確認される位置で前記プリフォーム(120)の周りに前記センサ(190)を配置するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項9】
所定の部品断面厚さを有する硬化部品として前記複合材部品を生産するために前記調整により前記厚さを制御するステップ
をさらに含む、請求項1に記載の方法(200)。
【請求項10】
繊維層のプリフォーム(120)を支持するツールマンドレル(130)と、
チャンバ(144)を形成するように前記ツールマンドレル(130)を封止して前記プリフォーム(120)を密封する真空バッグ(140)と、
前記チャンバ(144)への
熱を制御する熱源(150)と、
前記チャンバ(144)に圧力を加える圧力源(160)と、
前記チャンバ(144)に加えられる
前記熱および前記圧力によって樹脂(110)を前記プリフォーム(120)中に供給する樹脂(110)供給源であって、前記プリフォーム(120)中への前記樹脂(110)の注入が、注入を受けた複合材プリフォーム(120)を形成する、樹脂(110)供給源と、
複合材部品の目標形状に従って前記プリフォーム(120)の周りに配置され、前記複合材プリフォーム(120)の硬化を完了する前に前記複合材プリフォーム(120)の厚さを監視するセンサ(190)と、
前記センサ(190)によって測定される前記複合材プリフォーム(120)の前記厚さに基づいて、
前記複合材部品の厚さが所定の公差を満たすように、前記複合材プリフォーム(120)の硬化を完了する前に
、前記圧力源を調節して前記チャンバ内の前記圧力
を調整
することを指示するコントローラーと
を備え
、
前記コントローラーが、以前の複合材部品製造の履歴データに対して前記複合材プリフォーム(120)の前記厚さを分析するように構成されている、複合材製造システム(100)。
【請求項11】
前記コントローラーが
、前記複合材プリフォーム(120)の前記厚さおよび前記履歴データに基づいて、硬化を完了する前に適用される前記
熱および前記圧力の少なくとも一方の調整値を計算するように構成されている、
請求項10に記載の複合材製造システム(100)。
【請求項12】
前記履歴データが、樹脂年齢、樹脂混合プロセス、樹脂生産源、および樹脂粘度の1つ以上と以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させている、
請求項11に記載の複合材製造システム(100)。
【請求項13】
前記センサ(190)が、前記複合材部品の部品厚さが硬化後に確認される位置に配置される、
請求項10に記載の複合材製造システム(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材部品の分野に関し、特に、複合材部品の樹脂注入に関する。
【背景技術】
【0002】
翼の構成要素などの航空機部品は、多くの場合、多孔質材料の積層物(プリフォームとして知られている)に液体樹脂が充填される樹脂注入プロセスによって作製される複合材部品で構成される。注入後、樹脂マトリックスは、結合した材料を固化して、一体化した硬質複合材にするために硬化される。その結果、航空宇宙産業などの高性能用途に有用な強化された物理的特性(例えば、堅牢性、軽量性、過酷な環境に対する耐性など)を示す構造材料を製造するコスト効率の良い方法が得られる。
【0003】
現在の樹脂注入技術では、温度および圧力のプロファイルは、樹脂がプリフォームに流入して充填されることを可能にするように設定される。注入が完了した後、プロファイルは、硬化するために温度を上昇させ、次に、複合材部品を離型するために硬化後に冷却する。しかしながら、温度および圧力の規定のプロファイルに厳密に準拠する場合でも、多くの変量により、部品の硬化厚さは、部品の厳格な設計公差から外れる可能性がある。
【0004】
わずかに不適合である厚さを有する複合材部品の製造であっても、部品または部品の断片を適切に取り付けて完全に組み立てるためにどちらも費用のかかるシムまたは再加工手順を必要とするため、非常に費用がかかる。現在の樹脂注入技術では、部品の高い不合格率および廃棄率につながり得る、厚さのばらつきのある複合材部品が生産されている。したがって、複合材部品の製造業者は、最終的な硬化厚さが厳格な公差要件を一貫して満たしてシムまたは再加工の必要性が軽減される、樹脂注入を伴う部品の製造の改善を求めている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書で説明されている実施形態は、複合材部品の動的厚さ制御を提供する。注入の過程で、また注入と硬化との間の移行期間に変化を受ける、樹脂粘度および分圧などの重要な変量は、製造された部品のバッチ間で硬化部品全体で一貫性のないプライごとの厚さおよび繊維体積分率をもたらし得る。したがって、注入中および/または注入と硬化との間の移行期間に樹脂注入プリフォームの厚さを監視するために、センサのネットワークが、プリフォームの周りに配置される。センサは、厚さのデータおよび制御プロセスへのフィードバックを生成する。制御プロセスは、所定の材料系(例えば、樹脂および強化材)に従って、所定の厚さを満たすように、適用される圧力および/または加熱速度の変化を計算する。計算は、所定の樹脂および強化材の硬化部品の厚さと、適用される圧力、粘度、および温度プロファイルとを相関させる経験的な一連の作業に基づく。したがって、適用される圧力および温度は、硬化時に硬化厚さが所定の公差範囲内に収まるように制御されることを保証するために、注入中および/または注入と硬化との間の移行期間にその場で変更される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態は、複合材部品を製造する方法である。本方法は、ツールマンドレル上にプリフォームを提供するステップと、複合材部品の目標形状に従ってプリフォームの周りにセンサを配置するステップと、チャンバを形成するように真空バッグでプリフォームを封止するステップとを含む。本方法はまた、注入を受けた複合材プリフォームを形成する目的で樹脂をプリフォームに注入するために温度および圧力をチャンバに加えるステップと、硬化を完了する前に複合材プリフォームの厚さを監視するステップと、厚さに基づいて、硬化を完了する前に温度および圧力の少なくとも一方を調整するステップとを含む。
【0007】
さらなる実施形態は、複合材製造システムであって、繊維層のプリフォームを支持するように構成されたツールマンドレルと、チャンバを形成するようにツールマンドレルを封止してプリフォームを密封するように構成された真空バッグと、チャンバへの温度を制御するように構成された熱源と、チャンバに圧力を加えるように構成された圧力源と、チャンバに加えられる熱および圧力によって樹脂をプリフォーム中に供給するように構成された樹脂供給源であって、プリフォーム中への樹脂の注入が、注入を受けた複合材プリフォームを形成する、樹脂供給源とを含む、複合材製造システムである。複合材製造システムは、複合材部品の目標形状に従ってプリフォームの周りに配置され、硬化を完了する前に複合材プリフォームの厚さを監視するように構成されたセンサと、センサによって測定される複合材プリフォームの厚さに基づいて、硬化を完了する前に温度および圧力の少なくとも一方の調整を指示するように構成されたコントローラーとを含む。
【0008】
別の実施形態は、複合材部品を製造する方法である。本方法は、成形ツール上にプリフォームを提供するステップと、樹脂が注入されたプリフォームの厚さを測定するためにプリフォームの周りにセンサを配置するステップと、温度および圧力のプロファイルに従って樹脂をプリフォームに注入するステップとを含む。本方法は、注入と硬化との間の移行期間中に、樹脂が注入されたプリフォームの厚さを監視するステップと、以前の複合材部品製造の履歴データに対してプリフォームの厚さを分析するステップと、履歴データに対する厚さの分析に基づいてプリフォームの硬化厚さを予測するステップと、プリフォームの予測硬化厚さに基づいて注入と硬化との間の移行期間中に温度および圧力のプロファイルを調整するステップとをさらに含む。
【0009】
他の例示的な実施形態(例えば、前述の実施形態に関連する方法およびコンピュータ可読媒体)は、以下で説明され得る。述べられた特徴、機能、および利点は、様々な実施形態で個別に達成され得るし、あるいはさらに他の実施形態で組み合わされてもよく、なお、これらのさらなる詳細は、以下の説明および図面を参照して理解され得る。
【0010】
次に、添付の図面を参照して単に例として本開示の一部の実施形態を説明する。同じ参照番号は、すべての図面で同じ要素または同じタイプの要素を表す。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】例示的な実施形態における複合材製造システムの側面図である。
【
図2】例示的な実施形態において動的厚さ制御を伴う樹脂注入によって複合材部品を製造するための方法を示すフローチャートである。
【
図3】例示的な実施形態において複合材部品の注入および硬化のために経時的に適用する温度および圧力のプロファイルを示す。
【
図4】例示的な実施形態におけるチャンバ制御システムのブロック図である。
【
図5】例示的な実施形態において複合材部品を製造するための方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面および以下の説明は、本開示の特定の例示的な実施形態を示す。したがって、当業者は、本明細書で明示的に説明または示されていないが、本開示の原理を具体化し、本開示の範囲内に含まれる様々な構成を考案できることが理解されよう。さらに、本明細書で説明されている例は、本開示の原理の理解を助けることを意図しており、そのような具体的に記載された例および条件に限定されないと解釈されるべきである。結果として、本開示は、以下に説明される特定の実施形態または例に限定されず、特許請求の範囲およびその均等物によって限定される。
【0013】
図1は、例示的な実施形態における複合材製造システム100の側面図である。複合材製造システム100は、航空機の複合材部品などの複合材構造を製造するように構成される。そうする際に、複合材製造システム100は、プリフォーム120に樹脂110を注入するために熱および圧力を加える。樹脂が注入された後、複合材製造システム100は、樹脂注入材料を固化構造に硬化させ、それにより所望の複合材部品を形成する。
【0014】
一般に、複合材製造システム100は、ツールマンドレル130、真空バッグ140、1つ以上の熱源150、1つ以上の圧力源160、樹脂供給源170、およびチャンバ制御システム180を含む。ツールマンドレル130(マンドレル、モールドツール、または成形ツールと呼ばれることもある)は、プリフォーム120を支持するベースまたは表面を提供する。プリフォーム120は、ツールマンドレル130上にレイアップされ、真空バッグ140の下に配置される、炭素繊維またはガラス繊維などの繊維の層またはプライを含み得る。真空バッグ140は、チャンバ144を形成するように、封止部材142を介してツールマンドレル130を封止して、プリフォーム120を密封する。
【0015】
注入時、チャンバ制御システム180は、熱および圧力をチャンバ144に加え、それにより樹脂110を樹脂供給源170から樹脂分配媒体174を介してプリフォーム120に流入させるために熱源150および圧力源160を制御する。圧力源160(例えば、真空ポンプ)は、樹脂110を樹脂供給源170から樹脂分配媒体174の樹脂入口172に引き込む圧力差を生成するために入口取付具132および/または出口取付具134と結合される。樹脂分配媒体174は、一般的に、樹脂110がプリフォーム120に流入して分散することを可能にするように、樹脂出口および/または透過膜を有するチャネルを含む。プリフォーム120に樹脂110が十分に注入された後、プリフォーム120は、複合材部品を形成するために硬化温度および/または圧力で硬化され得る。
【0016】
以前の製造システムでは、注入および硬化は、所定の温度および圧力のプロファイルに従って実行される。しかしながら、温度および圧力の所定の経過が厳密に辿られても、多くの重要な変量が、複合材部品の最終的な厚さに望ましくない影響を与え得る。重要な変量の例としては、樹脂粘度、分圧、オーブン気流、およびツール設計が挙げられる。例えば、樹脂リザーバに加えられる注入圧力が一定であっても、水分の存在および温度の上昇により、樹脂の流頭の前方およびプリフォーム内の分圧は、注入の過程で変化を受ける。さらに、樹脂の熱活性化化学反応により、樹脂粘度も、注入中に変化し得る。
【0017】
したがって、複合材製造システム100は、樹脂110が注入されるプリフォーム120の厚さを測定するように構成されるセンサ190で強化される。センサ190によって生成されるデータを使用して、チャンバ制御システム180は、複合材部品の硬化プロセスを完了する前にチャンバ144内の温度/圧力を動的に調整するために熱源150および/または圧力源160を調節するように構成される。これにより、最終的な複合材部品の厚さが、その部品の設計仕様に従って所定の公差を満たすことが保証される。したがって、複合材製造システム100は、部品厚さ公差から外れることに起因する、費用のかかるシムまたは再加工手順および製造廃棄物を削減するまたはなくす点で技術的利益を提供する。
【0018】
一般に、センサ190は、樹脂110が注入されるプリフォーム120の厚さを監視するためにプリフォーム120の周りに配置される。注入中の期間および注入後かつ硬化前の期間、樹脂110が注入されたプリフォーム120は、複合材プリフォームと呼ばれ得る。硬化後、樹脂110が注入されたプリフォーム120は、複合材部品と呼ばれ得る。一実施形態では、センサ190は、複合材部品の部品厚さが硬化後に確認される位置でプリフォーム120の周りに配置される。すなわち、センサ190は、複合材部品の所望の厚さおよび/または目標形状を表すように戦略的に配置され得る。厚さは、所望に応じて部品の任意の方向にわたって部品の寸法を含み得、複数の厚さ位置が分析され得る。
【0019】
一実施形態では、センサ190は、最終的な部品の厚さが公差適合性に関して検査される様々な位置(例えば、
図1のような3つの公差検査位置)でプリフォーム120の両側に配置される複数のペアのセンサを含む。センサペア間の距離は、複合材部品のために設計された厚さ公差または公差範囲を表し得る。代替的または追加的に、1つ以上のセンサ190は、プリフォーム120の片側から複合材プリフォームの厚さを測定するように構成されるセンサを含んでもよい。センサ190としては、誘電センサ、超音波センサ、または複合材プリフォームの厚さの測定に適した他のタイプのセンサが挙げられ得る。
【0020】
1つ以上のセンサ190は、代替的または追加的に、樹脂110の温度、圧力、および/または粘度などの代替メトリックを測定するように構成されてもよい。センサ190は、代替的または追加的に、ツールマンドレル130、樹脂分配媒体174、真空バッグ140、ならびに/またはチャンバ144およびプリフォーム120の様々な位置に設けられてもよい。センサ190は、1つ以上の有線または無線接続を介してチャンバ制御システム180と通信可能に結合され得る。チャンバ制御システム180の動作の詳細は以下でより詳細に説明される。
【0021】
図1の複合材製造システム100は、記述目的のために提供されている例示の製造システムであり、本明細書で説明されている実施形態は、業界において様々な名称で知られている多くの樹脂注入の変種に適用され得ることが理解されよう。適用可能な樹脂注入の変種の例としては、制御大気圧樹脂注入(CAPRI:Controlled Atmospheric Pressure Resin Infusion)、樹脂トランスファー注入(RTI:Resin Transfer Infusion)、樹脂トランスファー成形(RTM:Resin Transfer Molding)、樹脂射出成形(RIM:Resin Injection Molding)、真空補助樹脂トランスファー成形(VaRTM:Vacuum-assisted Resin Transfer Molding)、および真空注入プロセス(VIP:Vacuum Infusion Process)が挙げられる。したがって、代替の樹脂リザーバ貯蔵および供給機構、代替の圧力源の接続および位置、代替の熱源の構成要素(例えば、オーブン、一体型、または誘導加熱)および位置などを含む、複合材製造システム100の追加または代替の構成要素が可能である。
【0022】
さらに、複合材製造システム100は、離型後に取り外して処分され得る、ピールプライ、真空ライン、ブリーザなどの、図示を容易にするために示されていない様々な消耗品を含み得る。樹脂分配ライン、真空バッグ、封止部材などの追加および代替のタイプおよび位置も可能である。
図1は、図示を容易にするために単純な形状を示しているが、プリフォーム120および結果として得られる複合材部品は、構造の複数の寸法にわたって異なる厚さを有する複雑な形状を含み得る。例えば、複合材製造システム100はコールプレートを含み得、および/またはツールマンドレル130は、複合材プリフォームの表面が滑らかな空気力学的表面を形成し、所望の外形または形状を維持することを保証するために、内型ラインを有するマンドレルを備え得る。したがって、プリフォーム120への樹脂110の分配速度は、不均一であり、プリフォーム120全体の異なる厚さに部分的に依存し得る。
【0023】
プリフォーム120は、一般に、所望の向きに積み重ねられ、所望の形状に切断されて形成され、デバルクされた繊維の積層体(例えば、テープ、織物、および/または編組繊維)を含み得る。プリフォーム120は、乾燥繊維材料、結合繊維材料、またはこれらの何らかの組み合わせを含み得る。プリフォーム120はまた、金属、発泡体、接着剤、プリプレグ、センサ、および他の特殊材料などの追加の材料を組み込み得る。さらに、プリフォーム120は、注入されたプリフォームの温度が上昇したときに軟化または溶融する熱可塑性物質(例えば、ポリアミド)の中間層またはベールを含み得る。中間層構造の物理的状態のこの変化は、ベールの厚さを変え、したがって、積層体の硬化されたプライごとの厚さの変化をもたらして硬化部品の厚さに影響を与え得る。
【0024】
樹脂110は、複合材部品(例えば、航空機で使用するための)に固化するために固化する、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂などの任意の液体樹脂を含み得る。熱硬化性樹脂の場合、固化は、硬化と呼ばれる一方向のプロセスであるが、熱可塑性樹脂の場合、樹脂は、再加熱されると液体に戻り得る。したがって、樹脂110は、ポリイミド、エポキシ、熱可塑性樹脂、または複合材部品の作製に適した任意の他の樹脂であり得る。複合材製造システム100の動作の例示的な詳細は、
図2に関して述べられる。
【0025】
図2は、例示的な実施形態において動的厚さ制御を伴う樹脂注入によって複合材部品を製造するための方法200を示すフローチャートである。方法200のステップは、
図1の複合材製造システム100を参照して説明されているが、当業者は、方法200が所望に応じて他のシステムで実行され得ることを理解するであろう。本明細書で説明されているフローチャートのステップは、すべてを含むわけではなく、図示されていない他のステップを含み得、代替の順序で実行され得る。
【0026】
ステップ202において、プリフォーム120が、ツールマンドレル130に提供される。ステップ204において、センサ190が、複合材部品の目標形状に従って配置される。ステップ206において、プリフォーム120が、チャンバ144を形成するように真空バッグ140で封止される。ステップ208において、温度および圧力が、注入を受けた複合材プリフォームを形成する目的で樹脂110をプリフォーム120に注入するためにチャンバ144に加えられる。
【0027】
ステップ210において、複合材プリフォームの厚さが、硬化前に監視される。すなわち、センサ190は、注入中、注入と硬化との間の移行期間中、ならびに/または硬化サイクル中および複合材プリフォームの硬化完了前に複合材プリフォームの厚さのデータを生成し得る。注入、移行期間、および硬化のタイミングは以下でより詳細に説明される。センサ190は、複合材プリフォームの厚さのリアルタイムフィードバックをチャンバ制御システム180に提供し得る。
【0028】
ステップ212において、チャンバ制御システム180は、センサ190によって提供される厚さ情報に基づいて、硬化を完了する前に温度および圧力の少なくとも一方を調整する。したがって、温度/圧力は、硬化を完了する前に複合材プリフォームの厚さを監視し、硬化を完了する前に必要に応じて温度/圧力を調整することによってその場で動的に制御される。したがって、方法200は、複合材部品の最終的な硬化厚さに影響を与える、あり得る制御されない変量の数に関係なく、所定の公差範囲内に収まるように厚さを能動的に制御することによって、従来の技術に勝る大きな利点を提供する。調整される温度/圧力の計算に関するさらなる詳細は以下でより詳細に説明される。
【0029】
図3は、例示的な実施形態において複合材部品の注入および硬化のために経時的に適用する温度310および圧力320/330のプロファイル300を示す。チャンバ制御システム180は、時間の関数として注入および硬化を制御するためにプロファイル300の温度310、入口圧力320、および出口圧力330を適用するように熱源150および圧力源160に指示するよう構成される。特に、チャンバ制御システム180は、(i)時間t
1からt
2までの注入温度T
i、(ii)時間t
3からt
4までの硬化温度T
c、(iii)t
2からt
3までの、注入と硬化との間の移行期間におけるT
iとT
cとの間の温度加熱速度、(iv)時間t
4からt
5までの、T
cと離型温度T
dとの間の温度冷却速度、(v)時間t
1からt
3までの曲線下面積、および(vi)時間t
1からt
4までの入口圧力320を制御する。
【0030】
t1からt2までの注入中、圧力源160によって加えられる圧力320/330は、樹脂110をリザーバ(例えば、樹脂供給源170)から樹脂分配媒体174を介してプリフォーム120に引き込む。このプロセス中、真空バッグ140からの圧力により、樹脂がプリフォーム120に過剰に充填されることが防止される。流体がプリフォーム120を濡らすにつれて抵抗が増加して圧力が低下するため、注入が進むにつれて注入速度は徐々に遅くなる。すなわち、先に説明したように、樹脂リザーバに加えられる注入圧力が一定であっても、水分の存在および温度の上昇により、樹脂の流頭の前方およびプリフォーム120内の分圧は、注入の過程で変化を受ける。さらに、樹脂110の熱活性化化学反応により、樹脂粘度も、注入中に変化し得る。
【0031】
したがって、所定の仕様に合わせて複合材部品を生産するために上記のプロセスパラメータ(i)~(vi)が事前に決定されていても、樹脂110の物理的特性およびプリフォーム120の中間層の物理的特性などの重要な変量はそれにもかかわらず、硬化した複合材部品の厚さに影響を与え得る。したがって、時間t4で部品の硬化を完了する前に、チャンバ制御システム180は、制御されていない変量を補償し、部品が硬化される前に部品を厚さ公差内に戻すためにプロファイル300の温度310および圧力320/330を調整し得る。以下でさらに詳細に説明するように、チャンバ制御システム180は、一部の実施形態では、注入が完了してから硬化が始まるまでの移行期間(例えば、時間t2からt3まで)に厚さを動的に制御する。
【0032】
図4は、例示的な実施形態におけるチャンバ制御システム400のブロック図である。チャンバ制御システム400は、センサ190から厚さデータ402を受信し、熱源150および/または圧力源160にそれぞれ適用するために調整温度値404および/または調整圧力値406を計算するように構成される。特に、チャンバ制御システム400は、複合材部品の以前の製造の経験的モデル430を参照することによって調整値を計算するように構成される。リアルタイムで厚さデータ402を収集して、それを経験的モデル430に対して処理することによって、チャンバ制御システム400は、好適には、厚さ公差から外れ得るまたは厚さ公差から外れる可能性があり得ることを検出し、最終的な厚さに硬化される前に部品を公差内に戻すことが可能になる。
【0033】
チャンバ制御システム400は、ハードウェア、ソフトウェア、またはハードウェアとソフトウェアとの組み合わせを備え得る。例えば、チャンバ制御システム400は、機能を実行することができる任意の電子回路および/または光学回路を含むプロセッサ410を含み得る。プロセッサ410は、1つ以上の中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、制御回路などを含み得る。プロセッサの一部の例としては、Intel(登録商標)Core(商標)プロセッサ、Advanced Reduced Instruction Set Computing(RISC)Machines(ARM(登録商標))プロセッサなどが挙げられる。チャンバ制御システム400は、データを記憶することができる任意の電子回路、光学回路、および/または磁気回路を含み得るメモリ420も含み得る。チャンバ制御システム400は、データを送信または受信するためのインタフェース440と、情報を表示し、ユーザ入力を受信するためのグラフィカルユーザインタフェース442とをさらに含み得る。
【0034】
図5は、別の例示的な実施形態において動的厚さ制御を伴う樹脂注入によって複合材部品を製造するための方法500を示すフローチャートである。方法500のステップは、
図1の複合材製造システム100、
図3のプロファイル300、ならびに
図1および
図4のチャンバ制御システム180/400を参照して説明されているが、当業者は、方法500が所望に応じて他のシステムで、また代替プロファイルで実行され得ることを理解するであろう。この実施形態では、センサ190は所望に応じてプリフォーム120に対して配置されており、チャンバ制御システム400は適用される適切な温度/圧力プロファイルおよび複合材部品の位置に関する所望の厚さ公差を受け取っていると仮定する。さらに、この実施形態では、複合材部品を生産するためのプロファイル300に従って注入プロセスが開始されていると仮定する。
【0035】
ステップ502において、チャンバ制御システム400は、プリフォーム120に樹脂110が完全に注入されたことを検出する。ステップ504において、チャンバ制御システム400は、注入と硬化との間の移行期間中に複合材プリフォームの厚さを(例えば、センサ190によって)監視する。したがって、注入後、チャンバ制御システム180は、センサ190によってリアルタイムで受信される厚さデータ402の処理を開始し得る。
【0036】
ステップ506において、チャンバ制御システム400は、以前の複合材部品製造の履歴データに対して複合材プリフォームの厚さを分析する。すなわち、チャンバ制御システム400は、複合材プリフォームの現在の厚さを処理する際に経験的モデル430を用い得る。経験的モデル430は、以前の複合材プリフォーム特性の重要な物理的特性または変量と、以前の複合材部品製造の結果として得られた硬化厚さとを相関させた履歴データを含み得る。複合材プリフォームの物理的特性の例は、温度の関数としての樹脂110の比粘度である。例えば、樹脂110の年齢、樹脂110の生産源、および/または樹脂110が混合された方法(混合プロセス)は、樹脂110の比粘度に寄与し得る。したがって、チャンバ制御システム400は、以前に注入された樹脂の以前の物理的特性および対応する以前の厚さの結果に対して、プリフォーム120に注入される樹脂110の物理的特性の関数として現在の厚さを処理するように構成され得る。別の実施形態では、チャンバ制御システム400は、以前の厚さの結果の物理的特性および以前のプリフォーム中間層特性の対応する物理的特性との比較において、中間層の物理的特性(例えば、中間層の軟化温度および/またはプリフォーム120の透過性)の関数として測定厚さを処理するように構成される。
【0037】
代替的または追加的に、経験的モデル430は、製造プロセスパラメータと以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させた履歴データを含み得る。例えば、センサ(例えば、センサ190)は、厚さ、チャンバの測定温度、チャンバの測定圧力、複合材プリフォーム中の樹脂の測定粘度、および時間の1つ以上を含む測定値をコントローラー(例えば、チャンバ制御システム400)に提供し得る。したがって、チャンバ制御システム400は、時間に対する厚さ、圧力、および温度の比較を含む、以前の製造のパラメータとの比較において製造パラメータを処理し得る。したがって、一部の実施形態では、チャンバ制御システム400は、測定値、および以前の複合材部品製造の1つ以上の以前の測定値(例えば、以前に経験的モデル430に記録および記憶された)と硬化厚さとの間の履歴データ中の相関に基づいて、硬化を完了する前に適用される温度および圧力の少なくとも一方の調整値を計算し得る。
【0038】
ステップ508において、チャンバ制御システム400は、履歴データに対する厚さの分析に基づいてプリフォームの硬化厚さを予測する。そうする際に、チャンバ制御システム400は、複合材部品の予測厚さの計算に基づいて、厚さ公差から外れる可能性があることを検出し得る。一部の実施形態では、チャンバ制御システム400は、厚さ公差から外れる可能性に関する通知を生成してもよい。例えば、チャンバ制御システム400は、厚さ公差から外れ得るまたは厚さ公差から外れる可能性があり得ることをトリガにし、フラグにし、および/またはグラフィカルユーザインタフェース442に表示してもよい。
【0039】
次に、ステップ510において、チャンバ制御システム400は、プリフォームの予測硬化厚さに基づいて、移行期間中に温度および圧力のプロファイルを調整する。したがって、チャンバ制御システム400は、硬化完了前に厚さを公差内に修正し直し得る。言い換えれば、チャンバ制御システム400は、所定の部品断面厚さを有する硬化部品として複合材部品を生産するために調整により厚さを制御するように構成される。好適には、方法500を使用して、温度および圧力のプロファイルが、硬化前に厚さを公差内に修正し直すために注入と硬化との間の移行期間中に調整される。
【0040】
図に示されているか、または本明細書で説明されている様々な制御要素(例えば、電気構成要素または電子構成要素)のいずれも、ハードウェア、ソフトウェアを実施するプロセッサ、ファームウェアを実施するプロセッサ、またはこれらの何らかの組み合わせとして実施され得る。例えば、要素は、専用のハードウェアとして実施され得る。専用のハードウェア要素は、「プロセッサ」、「コントローラー」、または同様の用語で呼ばれ得る。プロセッサによって提供される場合、機能は、単一の専用プロセッサによって、単一の共有プロセッサによって、またはそれらの一部が共有され得る複数の個々のプロセッサによって提供され得る。さらに、「プロセッサ」または「コントローラー」という用語の明示的な使用は、ソフトウェアを実行できるハードウェアのみを指すと解釈されるべきではなく、デジタル信号プロセッサ(DSP)ハードウェア、ネットワークプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC)もしくは他の回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、ソフトウェアを記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、不揮発性記憶装置、ロジック、または他の物理ハードウェア構成要素もしくはモジュールを暗黙的に含み得るが、これらに限定されない。
【0041】
また、制御要素は、要素の機能を実行するためにプロセッサまたはコンピュータによって実行可能な命令として実施されてもよい。命令のいくつかの例としては、ソフトウェア、プログラムコード、およびファームウェアが挙げられる。命令は、プロセッサによって実行されたときに、要素の機能を実行するようにプロセッサに指示するために動作可能である。命令は、プロセッサによって読み取り可能な記憶装置に記憶され得る。記憶装置のいくつかの例は、デジタルもしくはソリッドステートメモリ、磁気ディスクおよび磁気テープなどの磁気記憶媒体、ハードドライブ、または光学的に読み取り可能なデジタルデータ記憶媒体である。
【0042】
さらに、本開示は、以下の条項による実施形態を含む。
【0043】
条項1.複合材部品を製造する方法であって、該方法が、ツールマンドレル上にプリフォームを提供するステップと、複合材部品の目標形状に従ってプリフォームの周りにセンサを配置するステップと、チャンバを形成するように真空バッグでプリフォームを封止するステップと、注入を受けた複合材プリフォーム形成する目的で樹脂をプリフォームに注入するために温度および圧力をチャンバに加えるステップと、複合材プリフォームの硬化を完了する前に複合材プリフォームの厚さを監視するステップと、厚さに基づいて、複合材プリフォームの硬化を完了する前に温度および圧力の少なくとも一方を調整するステップとを含む、方法。
【0044】
条項2.以前の複合材部品製造の履歴データに対して複合材プリフォームの厚さを分析するステップと、複合材プリフォームの厚さおよび履歴データに基づいて、硬化を完了する前に適用される温度および圧力の少なくとも一方の調整値を計算するステップとをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0045】
条項3.複合材プリフォームの物理的特性と以前の複合材部品製造の硬化厚さとの間の履歴データ中の相関に基づいて調整値を計算するステップをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0046】
条項4.複合材プリフォームの物理的特性と以前の複合材部品製造の硬化厚さとの間の履歴データ中の相関に基づいて調整値を計算するステップであって、物理的特性が、樹脂年齢、樹脂混合プロセス、および樹脂生産源の1つ以上を含む、ステップをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0047】
条項5.測定値をコントローラーに提供するステップであって、測定値が、厚さ、チャンバの測定温度、チャンバの測定圧力、複合材プリフォーム中の樹脂の測定粘度、および時間の1つ以上を含む、ステップと、測定値、および以前の複合材部品製造の1つ以上の以前の測定値と硬化厚さとの間の履歴データ中の相関に基づいて、硬化を完了する前に適用される温度および圧力の少なくとも一方の調整値をコントローラーで計算するステップとをさらに含む、条項2に記載の方法。
【0048】
条項6.注入に使用される樹脂の特性をコントローラーに提供するステップと、樹脂の特性および履歴データ中の相関に基づいて、硬化を完了する前に適用される温度および圧力の少なくとも一方の調整値を計算するステップとをさらに含む、条項5に記載の方法。
【0049】
条項7.注入後かつ硬化前に温度および圧力の少なくとも一方の調整を指示するステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0050】
条項8.複合材部品の部品厚さが硬化後に確認される位置でプリフォームの周りにセンサを配置するステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0051】
条項9.所定の部品断面厚さを有する硬化部品として複合材部品を生産するために調整により厚さを制御するステップをさらに含む、条項1に記載の方法。
【0052】
条項10.繊維層のプリフォームを支持するように構成されたツールマンドレルと、チャンバを形成するようにツールマンドレルを封止してプリフォームを密封するように構成された真空バッグと、チャンバへの温度を制御するように構成された熱源と、チャンバに圧力を加えるように構成された圧力源と、チャンバに加えられる熱および圧力によって樹脂をプリフォーム中に供給するように構成された樹脂供給源であって、プリフォーム中への樹脂の注入が、注入を受けた複合材プリフォームを形成する、樹脂供給源と、複合材部品の目標形状に従ってプリフォームの周りに配置され、複合材プリフォームの硬化を完了する前に複合材プリフォームの厚さを監視するように構成されたセンサと、センサによって測定される複合材プリフォームの厚さに基づいて、複合材プリフォームの硬化を完了する前に温度および圧力の少なくとも一方の調整を指示するように構成されたコントローラーとを備える、複合材製造システム。
【0053】
条項11.コントローラーが、以前の複合材部品製造の履歴データに対して複合材プリフォームの厚さを分析し、複合材プリフォームの厚さおよび履歴データに基づいて、硬化を完了する前に適用される温度および圧力の少なくとも一方の調整値を計算するように構成されている、条項10に記載の複合材製造システム。
【0054】
条項12.履歴データが、樹脂年齢、樹脂混合プロセス、および樹脂生産源の1つ以上と以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させている、条項11に記載の複合材製造システム。
【0055】
条項13.履歴データが、樹脂粘度と以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させている、条項11に記載の複合材製造システム。
【0056】
条項14.センサが、複合材部品の部品厚さが硬化後に確認される位置に配置される、条項10に記載の複合材製造システム。
【0057】
条項15.複合材部品を製造する方法であって、該方法が、成形ツール上にプリフォームを提供するステップと、樹脂が注入されたプリフォームの厚さを測定するためにプリフォームの周りにセンサを配置するステップと、温度および圧力のプロファイルに従って樹脂をプリフォームに注入するステップと、注入と硬化との間の移行期間中に、樹脂が注入されたプリフォームの厚さを監視するステップと、以前の複合材部品製造の履歴データに対してプリフォームの厚さを分析するステップと、履歴データに対する厚さの分析に基づいてプリフォームの硬化厚さを予測するステップと、プリフォームの予測硬化厚さに基づいて注入と硬化との間の移行期間中に温度および圧力のプロファイルを調整するステップとを含む、方法。
【0058】
条項16.履歴データが、樹脂年齢、樹脂混合プロセス、および樹脂生産源の1つ以上と以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させている、条項15に記載の方法。
【0059】
条項17.履歴データが、樹脂粘度と以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させている、条項15に記載の方法。
【0060】
条項18.履歴データが、測定温度、測定圧力、樹脂の測定粘度、および時間の1つ以上と以前の複合材部品製造の硬化厚さとを相関させている、条項15に記載の方法。
【0061】
条項19.複合材部品の部品厚さが硬化後に確認される位置でプリフォームの周りにセンサを配置するステップをさらに含む、条項15に記載の方法。
【0062】
条項20.予測硬化厚さが複合材部品に対して指定された公差範囲外であるとの通知を生成するステップをさらに含む、条項15に記載の方法。
【0063】
特定の実施形態が、本明細書では説明されているが、本開示の範囲は、それらの特定の実施形態に限定されない。本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲およびその均等物によって規定される。
【符号の説明】
【0064】
100 複合材製造システム
110 樹脂
120 プリフォーム
130 ツールマンドレル
132 入口取付具
134 出口取付具
140 真空バッグ
142 封止部材
144 チャンバ
150 熱源
160 圧力源
170 樹脂供給源
172 樹脂入口
174 樹脂分配媒体
180 チャンバ制御システム
190 センサ
300 プロファイル
310 温度
320 入口圧力
330 出口圧力
400 チャンバ制御システム
402 厚さデータ
404 調整温度値
406 調整圧力値
410 プロセッサ
420 メモリ
430 経験的モデル
440 インタフェース
442 グラフィカルユーザインタフェース