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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】クリーンベンチ装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/06 20060101AFI20240702BHJP
   B01L 1/00 20060101ALI20240702BHJP
   H05F 3/04 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
F24F7/06 C
B01L1/00 B
H05F3/04 D
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020008983
(22)【出願日】2020-01-23
(65)【公開番号】P2021116944
(43)【公開日】2021-08-10
【審査請求日】2022-11-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390008235
【氏名又は名称】ファナック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 堅一
(72)【発明者】
【氏名】土屋 均
(72)【発明者】
【氏名】永田 裕二
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-296044(JP,A)
【文献】特開2003-309064(JP,A)
【文献】特開2004-033498(JP,A)
【文献】実開昭61-010446(JP,U)
【文献】特開2015-111031(JP,A)
【文献】特開2010-238669(JP,A)
【文献】特開2008-145052(JP,A)
【文献】特開2016-029324(JP,A)
【文献】特開2002-228220(JP,A)
【文献】特開2009-257680(JP,A)
【文献】特開2008-298337(JP,A)
【文献】米国特許第04267769(US,A)
【文献】韓国公開特許第10-2006-0116770(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 7/06
B01L 1/00
H05F 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1清浄室と、
前記第1清浄室の天井部に設けられ、該第1清浄室の内部に清浄化した空気を供給する第1清浄空気供給部と、
前記第1清浄室の内側に配設され、作業台を内部に有する第2清浄室と、
前記第2清浄室の天井部に設けられ、前記第1清浄空気供給部から供給される空気が導入されるとともに、前記第2清浄室の内部に清浄化した空気を送出する第2清浄空気供給部と、
前記第1清浄室の内側に形成される空気流路と、を備え、
前記空気流路は、前記第1清浄空気供給部から前記第2清浄空気供給部を通過して前記第2清浄室の内部に入り、さらに前記作業台の下方に出てから、前記第2清浄室の外側の空間であって前記第1清浄室の内側の空間を上昇して前記第2清浄空気供給部に再度導入される経路を有し、
前記第2清浄室の室内の環境をモニタする測定装置をさらに有し、前記第1清浄空気供給部および前記第2清浄空気供給部の運転状況が、前記測定装置の測定値をフィードバックしながら制御される、クリーンベンチ装置。
【請求項2】
前記作業台は、該作業台の上方の空間と下方の空間とを連通する多孔質プレートを含む、請求項1に記載のクリーンベンチ装置。
【請求項3】
前記第2清浄室に異物除去装置が設けられる、請求項1または2に記載のクリーンベンチ装置。
【請求項4】
前記第2清浄室に、前記作業台に供給される物品の電荷を中和させる除電装置が設けられる、請求項1~3のいずれかに記載のクリーンベンチ装置。
【請求項5】
前記除電装置は、直流電圧が印加される直流方式である、請求項4に記載のクリーンベンチ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーンベンチ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、半導体部品や光学機械部品等の精密部品を組み立てる際には、部品への異物の付着や浸入等を抑制して高品質を維持するために、クリーン環境下で組み立てを行う場合がある。クリーン環境としては、室内全体が所定レベルの清浄度に維持されるクリーンルームが一般的であるが、通常の室内の一部にクリーンエリアを局所的に形成してスペースやコストの効率化を図るいわゆるクリーンベンチも使用されている。
【0003】
上記クリーンベンチのような局所クリーン化を図る装置として、特許文献1には、クリーン作業を行うための上側の第1室と、隔壁によって第1室と仕切られるとともに第1室に連通する連通口を有し、連通口を通して第1室にワークを供給および搬出する搬送機構が設けられた下側の第2室と、を備えた装置が開示されている。当該装置においては、第2室にはワークを洗浄する洗浄ユニットが設けられ、その洗浄ユニットで洗浄されたワークが第2室から第1室に搬送される。また、第1室に設けられたクリーンユニットから第1室内に清浄な空気が供給され、その清浄な空気は、隔壁の連通口を通って搬送機構ないしは第2室に向かって流れるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-101526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されるような装置においては、クリーン作業を行う第1室の清浄度は、第1室に清浄な空気を供給するクリーンユニットの性能に依存するとともに、その性能以上の空気清浄度は得にくい。よって第1室の空気清浄度を向上させるには、より高性能のクリーンユニットを第1室に設置すれば可能となる。しかし、そのようなクリーンユニットは高額であるため、クリーンベンチでありながらコストが掛かってしまうという不都合を招く。また、第1室の上に第2室が設けられる2段構造のため、コンパクトに構成することが難しいものである。したがって、低コスト化およびコンパクト化が図られながら高い空気清浄度が得られるクリーンベンチ装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るクリーンベンチ装置は、第1清浄室と、前記第1清浄室の天井部に設けられ、該第1清浄室の内部に清浄化した空気を供給する第1清浄空気供給部と、前記第1清浄室の内側に配設され、作業台を内部に有する第2清浄室と、前記第2清浄室の天井部に設けられ、前記第1清浄空気供給部から供給される空気が導入されるとともに、前記第2清浄室の内部に清浄化した空気を送出する第2清浄空気供給部と、前記第1清浄室の内側に形成される空気流路と、を備え、前記空気流路は、前記第1清浄空気供給部から前記第2清浄空気供給部を通過して前記第2清浄室の内部に入り、さらに前記作業台の下方に出てから、前記第2清浄室の外側の空間であって前記第1清浄室の内側の空間を上昇して前記第2清浄空気供給部に再度導入される経路を有する。
【発明の効果】
【0007】
一態様によれば、低コスト化およびコンパクト化が図られながら高い空気清浄度が得られるクリーンベンチ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の一実施形態に係るクリーンベンチ装置を示す正面図である。
図2図1のII-II矢視図である。
図3図2のIII-III矢視に対応する部分のクリーンベンチ装置の縦断面図であって、第1清浄室内の空気流路の経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(実施形態)
以下、本開示の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1図3は、本開示の一実施形態に係るクリーンベンチ装置1を示している。図1に示すように、クリーンベンチ装置1は、例えば空気が清浄化されない通常の室内(一般室の室内)RのフロアFに設置される。
【0010】
図1図3に示すように、クリーンベンチ装置1は、第1清浄室10と、第1清浄空気供給部11と、第1清浄室10の内側に配設される第2清浄室20と、第2清浄空気供給部21と、第1清浄室10の内側に形成される空気流路30と、を備える。また、クリーンベンチ装置1は、第1清浄室10の内側に、組立部2、搬送部3および搬入出部4を備える。
【0011】
図1および図2に示すように、第1清浄室10は、ラック部12と、天井部13と、ラック部12の周囲を覆うカーテン部14と、を有する。ラック部12は、四隅に立設される柱部12aと、各柱部12aの下端を連結して矩形状の枠を形成する底部12bと、底部12bの四隅に設けられてフロアFに接地する脚部12cと、を有する。天井部13は、四隅の各柱部12aの上端に固定されて設けられている。天井部13は、フレーム13aと、フレーム13aに張られる透明なシート(不図示)と、を有する。カーテン部14は、複数に分割された透明なシートで構成されている。カーテン部14は、ラック部12の柱部12aの間を覆う状態に設けられている。
【0012】
図1に示すように、カーテン部14の下端とフロアFとの間には、第1清浄室10の室内10aの空気が排出される隙間14aが形成される。第1清浄室10の室内10aは、天井部13とカーテン部14とにより室内Rとほぼ隔てられた内部空間を有する。カーテン部14は、作業者Mが外部から腕を入れて第1清浄室10の内部で手作業が行えるようにする作業者M用の手袋部を有していてもよい。
【0013】
図2に示すように、第1清浄室10は、前側(図2で下側)の左右に、搬入出口19をそれぞれ有する。左右の搬入出口19は、後述するように組立部2で組み立てられた部品(不図示)を当該クリーンベンチ装置1の外部に搬出する部分である。
【0014】
第1清浄空気供給部11は、第1清浄室10の天井部13の上に設けられている。第1清浄空気供給部11は、FFU(ファンフィルターユニット)等の電動式空気ろ過装置である。第1清浄空気供給部11には、例えば空調機によって温度および湿度が制御された空気がダクトを通じて供給される。第1清浄空気供給部11は、供給された空気中に存在する浮遊粒子等の有害な異物を除去して清浄化し、清浄化した空気を、第1清浄室10の室内10aに下方に向けて吹き出して供給する。
【0015】
第2清浄室20は、組立部2を構成する。組立部2は、第2清浄室20の室内20aにおいて所定の部品を組立ロボット29によって組み立てる場所である。
【0016】
図2に示すように、第2清浄室20は、第1清浄室10の室内10aの後側(図2で上側)に配置されている。図1および図2に示すように、後壁部22aと、左右の側壁部22bと、天井部23と、作業台24と、を有する。天井部23は、壁部22の上端に固定されて設けられている。
【0017】
図3に示すように、作業台24は、直方体の箱状の形状を有する架台25の上に設置された状態で第2清浄室20の室内20aに設けられている。架台25は、脚部25cを介してフロアFに設置される。架台25の底部には、開口部25bが設けられている。第2清浄室20の室内20aは、後壁部22a、左右の側壁部22b、天井部23および作業台24によって区画される。第2清浄室20は、前方に開口する前方開口部20bを有する。
【0018】
作業台24は、作業台24の上方の空間(第2清浄室20の室内20a)と下方の空間(架台25の内部空間25a)とを連通する多孔質プレート26を含んで構成される。多孔質プレート26は、第2清浄室20の室内20aと架台25の内部空間25aとを連通する多数の孔26aを有する。
【0019】
図2に示すように、第2清浄室20の室内20aにおける作業台24の後部には、多関節アーム型の組立ロボット29が配置されている。組立ロボット29は、作業台24の上に供給される部品を組み立てる。
【0020】
図1に示すように、第2清浄室20の室内20aには、異物除去装置40および除電装置(イオナイザ)50が設けられている。
【0021】
異物除去装置40としては、第2清浄室20の室内に浸入したり、作業台24に供給された部品に付着したりする塵埃等の異物を吸引して除去するバキュームブラシが挙げられる。異物除去装置40は、作業者Mが操作するように設けられてもよく、また、組立ロボット29に付随して設けられ、組立ロボット29により操作可能なものであってもよい。異物除去装置40は、イオナイザ等の除電機能を備えたものであってよい。その場合、部品に付着した異物を吸引して除去できるとともに、部品の電荷が中和されて異物の再付着が抑制される。
【0022】
除電装置50は、作業台24に供給される部品の電荷を中和させる装置であり、部品が静電気で帯電することを抑制する。除電装置50としては、コロナ放電の発生により周囲の空気をイオン化して除電する一般周知の形式のものが用いられる。
【0023】
除電装置50としては、直流電圧が印加されることにより放出されるイオンの極性が、プラスの電極とマイナスの電極を備えた直流方式と、交流電圧が印可されることによりプラスとマイナスの各イオンが1つの電極から交互に放出される交流方式がある。交流方式は、比較的局所的に除電する特性を有するため、本実施形態では、第2清浄室20の室内20aを全体的にイオン化する直流方式のものが好ましく用いられる。
【0024】
図1に示すように、第2清浄空気供給部21は、第2清浄室20の天井部23の上であって、第1清浄空気供給部11の直下に配置されている。第2清浄空気供給部21は、第1清浄空気供給部11と同様の構成を有する電動式空気ろ過装置である。図3に示すように、天井部23は、空気送出口23aを有する。第2清浄空気供給部21は、第1清浄空気供給部から第1清浄室10の室内10aに供給される空気(清浄化した空気)が導入されるとともに、第2清浄室20の室内20aに清浄化した空気を下方に向けて噴出し供給する。
【0025】
空気流路30は、図3の白抜き矢印で示す経路31を有する。経路31は、第1清浄空気供給部11から第2清浄空気供給部21を通過して第2清浄室20の室内20aに入り、次いで作業台24の下方に出てから、第2清浄室20の外側であって第1清浄室10の内側の空間を上昇して第2清浄空気供給部21に再度導入される経路である。第1清浄空気供給部11から第1清浄室10の室内10aに供給される清浄な空気の一部は、第1清浄室10の室内において経路31をループ状に循環する。
【0026】
詳述すると経路31を循環する空気は、次のように流れる。第1清浄空気供給部11から第1清浄室10の室内10aに供給される清浄な空気は、第1清浄空気供給部11から第2清浄空気供給部21に導入されて第2清浄空気供給部21を通過することにより、第2清浄空気供給部21によってさらに清浄化されて第2清浄室20の室内20aに供給される。第2清浄室20の室内20a内に供給された空気は、その室内20aに充満した状態となる。第2清浄室20の室内20aに充満した空気の一部は、作業台24を構成する多孔質プレート26の多数の孔26aを通過して架台25の内部空間25aに入る。内部空間25aに入った空気は、架台25の開口部25bから架台25の下方に流出して側方に流れ、その後、カーテン部14と、架台25および第2清浄室20との間を上昇し、第2清浄空気供給部21に再度導入される。また、第2清浄室20の室内20aに充満した空気の一部は、第2清浄室20の前方開口部20bから第1清浄室10の室内10aに排出される。
【0027】
第1清浄室10の室内10aおよび第2清浄室20の室内20aは、第1清浄空気供給部11から供給される空気で加圧され、正圧の状態に維持される。このため、カーテン部14の一部を開閉して部品や作業者Mが出入りした場合も、第1清浄室10の室内10aに塵埃等の異物の浸入が抑えられるようになっている。第1清浄室10の室内10aを正圧にする空気の一部は、カーテン部14とフロアFとの間の隙間14aから当該クリーンベンチ装置1の外部に流出する。
【0028】
搬送部3は、組立部2の作業台24の上で組み立てられた部品を搬入出部4に搬送する部分である。図2に示すように、搬送部3は、組立部2から搬入出部4にわたって設けられた搬送テーブル61を有する。搬送テーブル61は、1軸の駆動機能を備えたNCテーブル等から構成される。組立部2の作業台24の上で組み立てられた部品は、搬送テーブル61に載せられ、部品と搬送テーブル61が通過可能な前方開口部20bを通過して搬入出部4に搬送される。
【0029】
搬入出部4は、搬送部3で搬送される部品を左右の搬入出口19に搬出する部分である。図2に示すように、搬入出部4は、左右の搬入出テーブル65と、搬送テーブル61で搬送される部品を左右の搬入出テーブル65に移す多関節アーム型の移送ロボット66とを有する。搬入出テーブル65は、ベルト式のコンベヤ等から構成される。搬入出部4は、搬送テーブル61で搬送される部品を移送ロボット66がいずれか一方の搬入出テーブル65に移し換え、搬入出テーブル65により搬入出口19に搬出する。搬入出口19において、部品が搬入出テーブル65から作業者Mに受け渡される。図1に示すように、移送ロボット66は、脚部67cを介してフロアFに設置されるロボット台67の上に配置される。
【0030】
本実施形態に係るクリーンベンチ装置1では、組立部2において部品が組み立てられる。組み立て前の部品は、第1清浄室10の外部から作業者Mにより搬入出口19に供給され、搬入出テーブル65で移送ロボット66の稼動範囲に搬送された後に移送ロボット66により搬入出部4に移送された後、搬送テーブル61により組立ロボット29の組立位置に供給される。上述したようにカーテン部14が作業者M用の手袋部を有する場合、移送ロボット66による作業を、当該手袋部に腕を入れた作業者Mによって手作業で行うようにしてもよい。部品を組み立てる際には、組立ロボット29が異物除去装置40を用いて部品を清浄にしながら、部品を組み立てる。作業台24上で組み立てられた部品は、搬送部3の搬送テーブル61により搬入出部4に搬送される。搬入出部4では、搬送テーブル61で搬送される部品を移送ロボット66がいずれか一方の搬入出テーブル65に移し換え、搬入出テーブル65により搬入出口19に搬出する。搬入出口19において、部品が搬入出テーブル65から作業者Mに受け渡される。
【0031】
本実施形態のクリーンベンチ装置1は、第2清浄室20の室内20aの環境をモニタできる各種測定装置を適宜設けることができる。そのような測定装置としては、室内20aに浮遊する塵埃や粉じん等の量を計測するダストカウンタ、温度計および湿度計、圧力測定装置などが挙げられる。例えば第1清浄空気供給部11および第2清浄空気供給部21の運転状況は、当該測定装置の測定値をフィードバックしながら制御される。
【0032】
以上の構成を備える本実施形態に係るクリーンベンチ装置1によれば、以下の効果が奏される。
【0033】
本実施形態に係るクリーンベンチ装置1は、第1清浄室10と、第1清浄室10の天井部13に設けられ、第1清浄室10の室内10aに清浄化した空気を供給する第1清浄空気供給部11と、第1清浄室10の室内10aに配設され、作業台24を内部に有する第2清浄室20と、第2清浄室20の天井部23に設けられ、第1清浄空気供給部11から供給される空気が導入されるとともに、第2清浄室20の室内20aに清浄化した空気を送出する第2清浄空気供給部21と、第1清浄室10の室内10aに形成される空気流路30と、を備え、空気流路30は、第1清浄空気供給部11から第2清浄空気供給部21を通過して第2清浄室20の室内20aに入り、作業台24の下方に出てから、第2清浄室20の外側の空間であって第1清浄室10の内側の空間を上昇して第2清浄空気供給部21に再度導入される経路31を有する。
【0034】
部品が組み立てられる第2清浄室20の室内20aに供給される空気は、第1清浄空気供給部11で清浄化された空気がさらに第2清浄空気供給部21で清浄化されて第2清浄室20に供給される。また、経路31を循環する空気が、第2清浄空気供給部21で常に清浄化されて第2清浄室20に供給される。このため、第2清浄室20の空気は高い清浄度が得られる。例えば、第1清浄空気供給部11および第2清浄空気供給部21の双方がともにクラス1000(米国連邦規格)程度の清浄度の空気を供給可能な性能を備えたものである場合、第2清浄室20の室内20aはクラス100程度の空気清浄度が可能となる。したがって、クラス100程度の清浄度が得られる高性能の空気清浄装置を用いることなく、低コストで高い清浄度の空気を第2清浄室20の室内20aに供給することができる。また、このように第2清浄室20の室内20aを高い空気清浄度に保持することができることから、搬送作業等の一部を作業者Mが行っても、クリーンベンチ装置1内の清浄度が低下することが抑制される。また、クリーンベンチ装置1は、第1清浄室10の室内10aに第2清浄室20が配設された二重構造となっている。これにより、装置全体のコンパクト化が図られる。すなわち本実施形態に係るクリーンベンチ装置1は、低コスト化およびコンパクト化が図られながら高い空気清浄度が得られる。
【0035】
本実施形態に係るクリーンベンチ装置1において、作業台24は、作業台24の上方の空間(第2清浄室20の室内20a)と下方の空間(架台25の内部空間25a)とを連通する多孔質プレート26を含んで構成される。多孔質プレート26は、第2清浄室20の室内20aと架台25の内部空間25aとを連通する多数の孔26aを有する。
【0036】
これにより、第2清浄室20の室内20aに存在する異物は、下方に流れる空気の流れとともに多孔質プレート26の孔26aを通過して架台25の内部空間25aに流出する。このため、第2清浄室20の室内20aから異物が速やかに除去され、第2清浄室20の清浄な状態が保持される。
【0037】
本実施形態に係るクリーンベンチ装置1は、第2清浄室20に異物除去装置40が設けられる。
【0038】
これにより、第2清浄室20の室内20aに存在する異物が異物除去装置40で除去され、第2清浄室20の清浄度の低下を抑制することができる。異物除去装置40が上述したバキュームブラシの場合、作業台24の上で組み立てられる部品にバキュームブラシを接触させて異物を除去することにより、部品に付着する異物を効果的に除去することができる。
【0039】
本実施形態に係るクリーンベンチ装置1は、第2清浄室20に、作業台24に供給される物品の電荷を中和させる除電装置50が設けられる。
【0040】
除電装置50により、第2清浄室20の室内20aに供給された部品の電荷が中和され、部品が静電気で帯電することが抑えられる。このため、第2清浄室20の室内20aに浸入した異物が静電気により部品に付着することが抑えられ、部品の汚染が抑制される。
【0041】
本実施形態に係るクリーンベンチ装置1において、除電装置50は、直流電圧が印加される直流方式が好ましく用いられる。
【0042】
除電装置50が直流方式である場合には、第2清浄室20の室内20aが全体的にイオン化されて除電環境にすることができる。このため、第2清浄室20の室内20aにおいて異物が部品に付着しにくくなり、異物は空気の流れにより多孔質プレート26の孔26aを通過して第2清浄室20から速やかに排除される。これにより第2清浄室20の室内20aは高い清浄度が保持される。
【0043】
本開示は、上記実施形態に制限されることなく本開示の範囲内であれば適宜変更が可能である。
例えば、第1清浄室10は周囲がカーテン部14で覆われ、天井部13もシートで覆われた形態であるが、第1清浄室10を室内Rから区画する部材はカーテン部14やシートに限定されず、透明なボード等の他の部材で構成してもよい。
第2清浄室20は前方開口部20bを有し前方に開口しているが、前方開口部20bをドア等で開閉可能として密閉度を上げて、第2清浄室20の室内20aの清浄度をさらに向上させるようにしてもよい。
異物除去装置40としては上述したバキュームブラシに限定はされず、第2清浄室20の室内20a内に存在する塵埃等の異物を除去できるものであれば、いかなる態様のものであってよい。
【符号の説明】
【0044】
1 クリーンベンチ装置
10 第1清浄室
11 第1清浄空気供給部
13 天井部
20 第2清浄室
21 第2清浄空気供給部
24 作業台
26 多孔質プレート
30 空気流路
31 経路
40 異物除去装置
50 除電装置
図1
図2
図3