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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】熱電モジュール
(51)【国際特許分類】
   H10N 10/813 20230101AFI20240702BHJP
   H10N 10/17 20230101ALI20240702BHJP
   H02N 11/00 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H10N10/813
H10N10/17 A
H02N11/00 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020020580
(22)【出願日】2020-02-10
(65)【公開番号】P2020155770
(43)【公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】10-2019-0016245
(32)【優先日】2019-02-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0007448
(32)【優先日】2020-01-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2020-0015059
(32)【優先日】2020-02-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】517099982
【氏名又は名称】エルジー イノテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100203035
【弁理士】
【氏名又は名称】五味渕 琢也
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100202267
【弁理士】
【氏名又は名称】森山 正浩
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(72)【発明者】
【氏名】チョン,ソンチェ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ソンチョル
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-021241(JP,A)
【文献】特開2006-319262(JP,A)
【文献】特開2002-353524(JP,A)
【文献】国際公開第2015/001523(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10N 10/813
H10N 10/17
H02N 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1貫通ホールを含む第1金属基板;
前記第1金属基板上に配置された第1絶縁層;
前記第1絶縁層上に配置され複数の第1電極を含む第1電極部;
前記第1電極部上に配置された複数のP型およびN型熱電レッグ;
前記複数のP型およびN型熱電レッグ上に配置され複数の第2電極を含む第2電極部;
前記第2電極部上に配置された第2絶縁層;および
前記第2絶縁層上に配置され第2貫通ホールを含む第2金属基板;を含み、
前記第1金属基板は第1電極部が配置された有効領域および前記有効領域の外郭に形成された外郭領域を含み、
前記第2金属基板は第2電極部が配置された有効領域および前記有効領域の外郭に形成された外郭領域を含み、
前記第1貫通ホールは前記第1金属基板の前記有効領域内に形成され 、
前記第2貫通ホールは前記第2金属基板の前記有効領域内に形成され、
前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールは互いに対応する位置に形成され
前記第2金属基板の両面のうち前記第2絶縁層に向かうように配置された面で前記第2貫通ホールの直径は、前記第1金属基板の両面のうち前記第1絶縁層に向かうように配置された面で前記第1貫通ホールの直径より大きい、熱電モジュール。
【請求項2】
前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを通過して前記第1金属基板と前記第2金属基板を固定する締結部材をさらに含む、請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項3】
前記第1金属基板に配置された複数の第1電極の一部の長さ方向は残りの一部の長さ方向と異なり、
前記第2金属基板に配置された複数の第2電極の一部の長さ方向は残りの一部の長さ方向と異なり、
前記長さ方向は各電極の長幅方向である請求項に記載の熱電モジュール。
【請求項4】
前記第1電極部のうち縁領域を除いた複数の第1電極のうち少なくとも二つの電極は長さ方向が第1方向に垂直な第2方向に配置され、残りの電極は長さ方向が前記第1方向に配置され、
前記第2電極部のうち縁領域を除いた複数の第2電極のうち少なくとも二つの電極は長さ方向が第1方向に垂直な第2方向に配置され、残りの電極は長さ方向が前記第1方向に配置される、請求項3に記載の熱電モジュール。
【請求項5】
前記縁領域を除いた複数の第1電極のうち長さ方向が前記第2方向に配置される第1電極の個数は2の倍数個であり、
前記縁領域を除いた複数の第2電極のうち長さ方向が前記第2方向に配置される第2電極の個数は2の倍数個である、請求項4に記載の熱電モジュール。
【請求項6】
前記複数の第2電極のうち前記縁領域で互いに対向する二つの列または二つの行に配置された第2電極の少なくとも一部は長さ方向が前記第2方向に配置される、請求項5に記載の熱電モジュール。
【請求項7】
前記第1金属基板は前記第1貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第1電極の面をつなぐ仮想の線がなす空間である第1ホール配置領域を含み、
前記第2金属基板は前記第2貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第2電極の面をつなぐ仮想の線がなす空間である第2ホール配置領域を含み、
前記第1ホール配置領域に隣接した少なくとも一つの第1電極は長さ方向が前記第2方向に配置され、
前記第2ホール配置領域に隣接した少なくとも一つの第2電極は長さ方向が前記第2方向に配置された、請求項6に記載の熱電モジュール。
【請求項8】
前記少なくとも一つの第1電極は前記第1ホール配置領域を定義する仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間と少なくとも一部が重なるように配置され、
前記少なくとも一つの第2電極は前記第2ホール配置領域を定義する仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間と少なくとも一部が重なるように配置された、請求項7に記載の熱電モジュール。
【請求項9】
前記第1貫通ホールは複数個を含み、
前記第1ホール配置領域は前記複数個の前記第1貫通ホール周辺にそれぞれ形成され、
前記第2貫通ホールは複数個を含み、
前記第2ホール配置領域は前記複数個の前記第2貫通ホール周辺にそれぞれ形成された、請求項8に記載の熱電モジュール。
【請求項10】
前記複数個の前記第1貫通ホールおよび前記複数個の前記第2貫通ホールは互いに対応する位置に形成された、請求項9に記載の熱電モジュール。
【請求項11】
前記第1金属基板の外郭領域に配置された第3貫通ホールをさらに含む、請求項10に記載の熱電モジュール。
【請求項12】
前記第1金属基板の面積に対する前記第2金属基板の面積の比は0.5~0.95である、請求項11に記載の熱電モジュール。
【請求項13】
前記締結部材と隣接して配置された絶縁挿入部材をさらに含む、請求項12に記載の熱電モジュール
【請求項14】
前記絶縁挿入部材の一部は前記第2貫通ホール内に配置された、請求項13に記載の熱電モジュール。
【請求項15】
前記第1金属基板は、前記第1貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第1電極の面をつなぐ仮想の線がなす空間である第1ホール配置領域を含み、
前記第2金属基板は、前記第2貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第2電極の面をつなぐ仮想の線がなす空間である第2ホール配置領域を含み、
前記第1ホール配置領域で前記第1貫通ホールと前記第1電極間の最短距離は、前記第2ホール配置領域で前記第2貫通ホールと前記第2電極間の最短距離より大きい、請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項16】
前記第1金属基板は前記複数の第1電極のうち、前記第1貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第1電極の面のうち前記第1貫通ホールと最も隣接する面をつなぐ仮想の線がなす空間である第1ホール配置領域を含み、
前記第1ホール配置領域の大きさは前記複数の第1電極のうちいずれか一つの大きさの4倍以上であり、
1kV以上の耐電圧特性を有する、請求項1に記載の熱電モジュール。
【請求項17】
前記第1金属基板と前記第1絶縁層間に配置された第3絶縁層をさらに含む、請求項16に記載の熱電モジュール。
【請求項18】
前記第2金属基板は互いに離隔した複数の第2金属基板を含み、各第2金属基板は少なくとも一つの第2貫通ホールを含む、請求項17に記載の熱電モジュール。
【請求項19】
互いに離隔した複数の第2金属基板間に絶縁部材が配置された、請求項18に記載の熱電モジュール。
【請求項20】
請求項~請求項14のいずれか一項に記載された熱電モジュール;および
前記第1金属基板と結合された冷却部を含み、
前記締結部材の一部は前記冷却部内に配置された、発電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電モジュールに関し、より詳細には熱電モジュールの締結構造に関する。
【背景技術】
【0002】
熱電現象は材料内部の電子(electron)と正孔(hole)の移動によって発生する現象であって、熱と電気間の直接的なエネルギー変換を意味する。
【0003】
熱電素子は熱電現象を利用する素子を総称し、P型熱電材料とN型熱電材料を金属電極間に接合させてPN接合対を形成する構造を有する。
【0004】
熱電素子は、電気抵抗の温度変化を利用する素子、温度差によって起電力が発生する現象であるゼーベック効果を利用する素子、電流による吸熱または発熱が発生する現象であるペルティエ効果を利用する素子などに区分され得る。
【0005】
熱電素子は家電製品、電子部品、通信用部品などに多様に適用されている。例えば、熱電素子は冷却用装置、温熱用装置、発電用装置などに適用され得る。これに伴い、熱電素子の熱電性能に対する要求はますます高くなっている。
【0006】
熱電素子は基板、電極および熱電レッグを含み、上部基板と下部基板の間に複数の熱電レッグがアレイ形態に配置され、複数の熱電レッグと上部基板の間に複数の上部電極が配置され、複数の熱電レッグと下部基板の間に複数の下部電極が配置される。
【0007】
熱電素子の上部基板と下部基板のうち一つは高温部となり、他の一つは低温部となる。この時、高温部の基板と低温部の基板の間に温度差が発生することにより、高温部の基板に熱変形が発生して基板の接合界面に応力が集中する現象が発生し得る。これによって接合界面部分に剥離およびクラックが発生して製品の品質を落とし得る。
【0008】
特に、高温部の基板の縁は中央部に比べて熱変形量が高い部分であって、高温部の基板と低温部の基板の縁を締結する場合、熱変形によって接合界面部分に応力の集中が加重され得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明が達成しようとする技術的課題は熱電モジュールの締結構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一実施例に係る熱電モジュールは、第1貫通ホールを含む第1金属基板;前記第1金属基板上に配置された第1絶縁層;前記第1絶縁層上に配置され複数の第1電極を含む第1電極部;前記第1電極部上に配置された複数のP型およびN型熱電レッグ;前記複数のP型およびN型熱電レッグ上に配置され複数の第2電極を含む第2電極部;前記第2電極部上に配置された第2絶縁層;および前記第2絶縁層上に配置され第2貫通ホールを含む第2金属基板;を含み、前記第1金属基板は第1電極部が配置された有効領域および前記有効領域の外郭に形成された外郭領域を含み、前記第2金属基板は第2電極部が配置された有効領域および前記有効領域の外郭に形成された外郭領域を含み、前記第1貫通ホールは前記第1金属基板の前記有効領域内に形成され 、前記第2貫通ホールは前記第2金属基板の前記有効領域内に形成され、前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールは互いに対応する位置に形成される。
【0011】
前記第1貫通ホールおよび前記第2貫通ホールを通過して前記第1金属基板と前記第2金属基板を固定する締結部材をさらに含むことができる。
【0012】
前記第2金属基板は互いに離隔した複数の第2金属基板を含み、各第2金属基板は少なくとも一つの第2貫通ホールを含むことができる。
【0013】
互いに離隔した複数の第2金属基板間に絶縁部材が配置され得る。
【0014】
前記絶縁部材の厚さは前記複数の第2金属基板の厚さより小さくてもよい。
【0015】
前記第1金属基板に配置された複数の第1電極の一部の長さ方向は残りの一部の長さ方向と異なり、前記第2金属基板に配置された複数の第2電極の一部の長さ方向は残りの一部の長さ方向と異なり、前記長さ方向は各電極の長幅方向である得る。
【0016】
前記第1電極部のうち縁領域を除いた複数の第1電極のうち少なくとも二つの電極は長さ方向が第1方向に垂直な第2方向に配置され、残りの電極は長さ方向が前記第1方向に配置され、 前記第2電極部のうち縁領域を除いた複数の第2電極のうち少なくとも二つの電極は長さ方向が第1方向に垂直な第2方向に配置され、残りの電極は長さ方向が前記第1方向に配置され得る。
【0017】
前記縁領域を除いた複数の第1電極のうち長さ方向が前記第2方向に配置される第1電極の個数は2の倍数個であり、前記縁領域を除いた複数の第2電極のうち長さ方向が前記第2方向に配置される第2電極の個数は2の倍数個であり得る。
【0018】
前記複数の第2電極のうち前記縁領域で互いに対向する二つの列または二つの行に配置された第2電極の少なくとも一部は長さ方向が前記第2方向に配置され得る。
【0019】
前記第1金属基板は前記第1貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第1電極の面をつなぐ仮想の線がなす空間である第1ホール配置領域を含み、前記第2金属基板は前記第2貫通ホールと最も隣接し互いに隣り合うように配置される第2電極の面をつなぐ仮想の線がなす空間である第2ホール配置領域を含み、前記第1ホール配置領域に隣接した少なくとも一つの第1電極は長さ方向が前記第2方向に配置され、前記第2ホール配置領域に隣接した少なくとも一つの第2電極は長さ方向が前記第2方向に配置され得る。
【0020】
前記少なくとも一つの第1電極は前記第1ホール配置領域を定義する仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間と少なくとも一部が重なるように配置され、前記少なくとも一つの第2電極は前記第2ホール配置領域を定義する仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間と少なくとも一部が重なるように配置され得る。
【0021】
前記第1貫通ホールは複数個を含み、前記第1ホール配置領域は前記複数個の前記第1貫通ホール周辺にそれぞれ形成され、前記第2貫通ホールは複数個を含み、前記第2ホール配置領域は前記複数個の前記第2貫通ホール周辺にそれぞれ形成され得る。
【0022】
前記複数個の前記第1貫通ホールおよび前記複数個の前記第2貫通ホールは互いに対応する位置に形成され得る。
【0023】
前記第1金属基板の外郭領域に配置された第3貫通ホールをさらに含むことができる。
【0024】
前記第1金属基板の面積に対する前記第2金属基板の面積の比は0.5~0.95であり得る。
【0025】
前記締結部材と隣接して配置された絶縁挿入部材をさらに含むことができる。
【0026】
前記第1貫通ホールの直径と前記第2貫通ホールの直径は互いに異なり得る。
【0027】
前記第2貫通ホールの直径は前記第1貫通ホールの直径の1.1倍~2.0倍であり得る。
【0028】
前記絶縁挿入部材の一部は前記第2貫通ホール内に配置され得る。
【0029】
前記第1金属基板と前記第1絶縁層間に配置された第3絶縁層をさらに含むことができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明の実施例によると、高温部の基板および低温部の基板の有効領域の一部を占有するように互いに締結させることによって、高温部の基板の熱変形を減らし、接合部位に応力が集中することを防止し、熱電モジュールの高温での信頼性と耐久性を高めることができる。
【0031】
本発明の実施例によると、それぞれのホール配置領域が形成された制限された空間内で、空間を無駄に使うことなく複数のP型およびN型熱電レッグの最適配置を可能にして、熱電モジュールの発電性能を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】本発明の第1実施例に係る熱電モジュールの側面図。
図2】本発明の第1実施例に係る熱電モジュールの斜視図。
図3】本発明の第1実施例に係る熱電モジュールの分解斜視図。
図4】本発明の第1実施例に係る熱電モジュールが冷却部に設置される状態を図示した側面図。
図5】本発明の第2実施例に係る熱電モジュールの斜視図。
図6】本発明の第2実施例に係る熱電モジュールが冷却部に設置される状態を図示した側面図。
図7】複数の第1金属基板と第2金属基板上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する第1例を図示した図面。
図8図7で示した複数の第1電極と複数の第2電極を重ねた状態を図示した図面。
図9】第1金属基板と第2金属基板上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する実施例を図示した図面。
図10】第1金属基板と第2金属基板上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する実施例を図示した図面。
図11】第1金属基板と第2金属基板上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する実施例を図示した図面。
図12】第1金属基板と第2金属基板上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する実施例を図示した図面。
図13】本発明の実施例に係る発電モジュールの締結構造を図示する図面。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0034】
ただし、本発明の技術思想は説明される一部の実施例に限定されず、互いに異なる多様な形態で具現され得、本発明の技術思想の範囲内であれば、実施例間にその構成要素の一つ以上を選択的に結合、置換して使うことができる。
【0035】
また、本発明の実施例で使われる用語(技術および科学的用語を含む)は、明白に特に定義されない限り、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に一般的に理解され得る意味で解釈され得、辞書に定義された用語のように一般的に使われる用語は関連技術の文脈上の意味を考慮してその意味を解釈できるであろう。
【0036】
また、本発明の実施例で使われた用語は実施例を説明するためのものであって、発明を制限しようとするものではない。
【0037】
本明細書で、単数型は文面で特に言及しない限り複数型も含むことができ、「Aおよび(と)B、Cのうち少なくとも一つ(または一つ以上)」と記載される場合、A、B、Cで組み合わせられるすべての組み合わせのうち一つ以上を含むことができる。
【0038】
また、本発明の実施例の構成要素の説明において、第1、第2、A、B、(a)、(b)等の用語を使うことができる。
【0039】
このような用語はその構成要素を他の構成要素と区別するためのものに過ぎず、その用語によって該当構成要素の本質や順番または順序などに限定されない。
【0040】
そして、ある構成要素が他の構成要素に「連結」、「結合」または「接続」されると記載された場合、その構成要素はその他の構成要素に直接的に連結、結合または接続される場合だけでなく、その構成要素とその他の構成要素の間にあるさらに他の構成要素によって「連結」、「結合」または「接続」される場合も含み得る。
【0041】
また、各構成要素の「上(うえ)または下(した)」に形成または配置されると記載される場合、上(うえ)または下(した)は二つの構成要素が互いに直接接触する場合だけでなく、一つ以上のさらに他の構成要素が二つの構成要素の間に形成または配置される場合も含む。また、「上(うえ)または下(した)」と表現される場合、一つの構成要素を基準として上側方向だけでなく下側方向の意味も含み得る。
【0042】
図1は本発明の第1実施例に係る熱電モジュールの側面図であり、図2は本発明の第1実施例に係る熱電モジュールの斜視図であり、図3は本発明の第1実施例に係る熱電モジュールの分解斜視図であり、図4は本発明の第1実施例に係る熱電モジュールが冷却部に設置される状態を図示した側面図である。
【0043】
図1図4を参照すると、熱電モジュールは一つの第1金属基板110、第1樹脂層120、複数の第1電極130、複数のP型熱電レッグ140、複数のN型熱電レッグ150、複数の第2電極160、第2樹脂層170、一つの第2金属基板180、締結部材190および断熱材200を含み、第1金属基板110および第2金属基板180は締結部材190を貫通させるための少なくとも一つの貫通ホールを含むことができる。
【0044】
本発明の他の実施例によると、一つの熱電モジュールは一つの第1金属基板110、複数の第2金属基板180および一つの第1金属基板110と複数の第2金属基板180の間に配置された第1樹脂層120、複数の第1電極130、複数のP型熱電レッグ140、複数のN型熱電レッグ150、複数の第2電極160、第2樹脂層170を含み、第1金属基板110および第2金属基板180は締結部材190を貫通させるための少なくとも一つの貫通ホールを含むことができる。
【0045】
第1金属基板110は板状に形成される。また、第1金属基板110は冷却部Cまたは発熱部(図示されず)上に固定され得る。後述する本発明に係る実施例は第1金属基板110が冷却部Cに固定された例で説明される。この時、冷却部Cには第1金属基板110に形成された第1貫通ホール111に対応する位置にホール20hが形成され、後述する締結部材190が第1貫通ホール111を通過してホール20hに挿入され得る。図9図11の実施例でのように、第1金属基板110には外郭領域すなわち、複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150が配置されていない領域にも第3貫通ホール113がさらに形成され得、この時、締結部材190は第3貫通ホール113および第3貫通ホール113と対応する位置に形成された冷却部Cのホール20hに挿入され得る。そして、第1金属基板110と冷却部Cの間に放熱パッドHがさらに配置されてもよい。
【0046】
第1金属基板110はアルミニウム、アルミニウム合金、銅および銅合金のうち少なくとも一つを含むことができる。この時、熱電モジュールに電圧を印加すると、第1金属基板110はペルティエ効果(Peltier effect)により熱を吸収して低温部として作用し、第2金属基板180は熱を放出して高温部として作用することができる。一方、第1金属基板110および第2金属基板180に互いに異なる温度を加えると、温度差によって高温領域の電子が低温領域に移動して熱起電力が発生する。これをゼーベック効果(Seebeck effect)といい、これによる熱起電力によって熱電素子の回路内に電気が発生する。
【0047】
第1金属基板110は少なくとも一つの第1貫通ホール111を含む。第1貫通ホール111は後述する第2金属基板180に形成された第2貫通ホール181に対応する位置に形成される。そして、第1貫通ホール111は第1金属基板110の外郭と所定間隔をおいて形成され得る。この時、第1貫通ホール111と第2貫通ホール181に締結部材190が通過しながら、締結部材190によって第1金属基板110と第2金属基板180が固定され得る。この時、複数の第1電極130と接する第1金属基板110の第1面に形成された第1貫通ホール111の直径および複数の第2電極160と接する第2金属基板180の第1面に形成された第2貫通ホール181の直径は互いに同じであり得るが、後述する絶縁挿入部材の配置形態、位置などにより複数の第1電極130と接する第1金属基板110の第1面に形成された第1貫通ホール111の直径および複数の第2電極160と接する第2金属基板180の第1面に形成された第2貫通ホール181の直径は互いに異なり得る。
【0048】
第1金属基板110上には第1樹脂層120が塗布され複数の第1電極130が配置される。
【0049】
ここで、第1金属基板110は第1樹脂層120と直接接触することができる。このために、第1金属基板110は両面のうち第1樹脂層120が配置される面、すなわち第1金属基板110の第1樹脂層120と向かい合う面の全体または部分に表面粗さが形成され得る。これによると、第1金属基板110と第1樹脂層120間の熱圧着時に第1樹脂層120が浮く問題を防止することができる。本明細書で、表面粗さは凹凸を意味し、表面粗度と混用されることもある。
【0050】
第1樹脂層120および第2樹脂層170は樹脂および無機充填材を含む樹脂組成物からなり得、樹脂はエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂であり得る。ここで、無機充填材は樹脂組成物の68~88vol%で含まれ得る。無機充填材が68vol%未満で含まれると、熱伝導効果が低くなり得、無機充填材が88vol%を超過して含まれると樹脂層と金属基板間の接着力が低くなり得、樹脂層が容易に壊れ得る。
【0051】
エポキシ樹脂はエポキシ化合物および硬化剤を含むことができる。この時、エポキシ化合物10体積比に対して硬化剤1~10体積比で含まれ得る。ここで、エポキシ化合物は結晶性エポキシ化合物、非結晶性エポキシ化合物およびシリコーンエポキシ化合物のうち少なくとも一つを含むことができる。結晶性エポキシ化合物はメソゲン(mesogen)構造を含むことができる。メソゲン(mesogen)は液晶(liquid crystal)の基本単位であり、剛性(rigid)構造を含む。そして、非結晶性エポキシ化合物は分子のうちエポキシ基を二つ以上有する通常の非結晶性エポキシ化合物であり得、例えばビスフェノールAまたはビスフェノールFから誘導されるグリシジルエーテル化物であり得る。ここで、硬化剤はアミン系硬化剤、フェノール系硬化剤、酸無水物系硬化剤、ポリメルカプタン系硬化剤、ポリアミノアミド系硬化剤、イソシアネート系硬化剤およびブロックイソシアネート系硬化剤のうち少なくとも一つを含むことができ、2種類以上の硬化剤を混合して使用してもよい。
【0052】
無機充填材は酸化アルミニウムおよび窒化物を含むことができ、窒化物は無機充填材の55~95wt%で含まれ得、より好ましくは60~80wt%であり得る。窒化物がこのような数値範囲で含まれる場合、熱伝導度および接合強度を高めることができる。ここで、窒化物は、窒化ホウ素および窒化アルミニウムのうち少なくとも一つを含むことができる。ここで、窒化ホウ素は板状の窒化ホウ素が凝集された窒化ホウ素凝集体であり得る。
【0053】
この時、窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50は250~350μmであり、酸化アルミニウムの粒子の大きさD50は10~30μmであり得る。窒化ホウ素凝集体の粒子の大きさD50と酸化アルミニウムの粒子の大きさD50がこのような数値範囲を満足する場合、窒化ホウ素凝集体と酸化アルミニウムがエポキシ樹脂組成物内に均一に分散され得、これに伴い樹脂層が全体として均一な熱伝導効果および接着性能を有することができる。
【0054】
本発明の実施例によると、第1金属基板110側および第2金属基板180側のうち少なくとも一つは複数の樹脂層を含んでもよい。例えば、第1樹脂層120および複数の第1電極130の間には第3樹脂層(図示されず)がさらに配置され得る。または複数の第2電極160と第2樹脂層170の間には第4樹脂層(図示されず)がさらに配置され得る。この時、第1樹脂層120と第3樹脂層(図示されず)の組成、ヤング率、熱膨張係数および厚さのうち少なくとも一つは互いに異なり得る。第2樹脂層170と第4樹脂層(図示されず)の組成、ヤング率、熱膨張係数および厚さのうち少なくとも一つは互いに異なり得る。例えば、第1樹脂層120および第3樹脂層(図示されず)のうち一つが樹脂組成物である場合、他の一つは組成、ヤング率、熱膨張係数および厚さのうち少なくとも一つが異なる樹脂組成物であるか、酸化アルミニウム層であるか、シリコンとアルミニウムを含む複合体(composite)を含むことができる。ここで、複合体はシリコンとアルミニウムを含む酸化物、炭化物および窒化物のうち少なくとも一つであり得る。例えば、複合体はAl-Si結合、Al-O-Si結合、Si-O結合、Al-Si-O結合およびAl-O結合のうち少なくとも一つを含むことができる。このように、Al-Si結合、Al-O-Si結合、Si-O結合、Al-Si-O結合およびAl-O結合のうち少なくとも一つを含む複合体は絶縁性能が優秀であり、これに伴い高い耐電圧性能を得ることができる。または複合体はシリコンおよびアルミニウムと共にチタニウム、ジルコニウム、ホウ素、亜鉛などをさらに含む酸化物、炭化物、窒化物でもある。このために、複合体は無機バインダーおよび有無機混合バインダーのうち少なくとも一つとアルミニウムを混合した後、熱処理する過程を通じて得られ得る。無機バインダーは、例えばシリカ(SiO)、金属アルコキシド、酸化ホウ素(B)および酸化亜鉛(ZnO)のうち少なくとも一つを含むことができる。無機バインダーは無機粒子であるものの、水に触れるとゾルまたはゲル化されてバインディングの役割をすることができる。この時、シリカ(SiO)、金属アルコキシドおよび酸化ホウ素(B)のうち少なくとも一つは金属との密着力を高める役割をし、酸化亜鉛(ZnO)は樹脂層の強度を高め、熱伝導率を高める役割をすることができる。本明細書で、耐電圧性能は所定の電圧および所定の電流下で所定期間の間絶縁破壊なく維持される特性を意味し得る。例えば、AC2.5kVの電圧および1mAの電流下で10秒の間絶縁破壊なく維持される場合、耐電圧は2.5kVと言える。または第2樹脂層170および第4樹脂層(図示されず)のうち一つが樹脂組成物である場合、他の一つは組成、ヤング率、熱膨張係数および厚さのうち少なくとも一つが異なる樹脂組成物であるか、酸化アルミニウム層であるか、シリコンとアルミニウムを含む複合体(composite)を含むことができる。ここで各樹脂層は絶縁層と混用され得る。
【0055】
複数の第1電極130は第1樹脂層120上に配置される。そして第1電極130上には複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150が配置される。この時、第1電極130はP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150と電気的に連結される。ここで、第1電極130は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0056】
複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150は第1電極130上に配置される。この時、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150は第1電極130とはんだ付け(Soldering)によって接合され得る。
【0057】
この時、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150はビズマス(Bi)およびテルル(Te)を主原料で含むビスマステルライド(Bi-Te)系熱電レッグであり得る。P型熱電レッグ140は全体重量100wt%に対してアンチモン(Sb)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Se-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。N型熱電レッグ150は全体重量100wt%に対してセレニウム(Se)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、銀(Ag)、鉛(Pb)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、テルル(Te)、ビズマス(Bi)およびインジウム(In)のうち少なくとも一つを含むビスマステルライド(Bi-Te)系主原料物質99~99.999wt%とBiまたはTeを含む混合物0.001~1wt%を含む熱電レッグであり得る。例えば、主原料物質がBi-Sb-Teであり、BiまたはTeを全体重量の0.001~1wt%でさらに含むことができる。
【0058】
P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150はバルク型または積層型で形成され得る。一般的にバルク型P型熱電レッグ140またはバルク型N型熱電レッグ150は熱電素材を熱処理してインゴット(ingot)を製造し、インゴットを粉砕し篩い分けして熱電レッグ用粉末を取得した後、これを焼結し、焼結体をカッティングする過程を通じて得られ得る。積層型P型熱電レッグ140または積層型N型熱電レッグ150はシート状の基材上に熱電素材を含むペーストを塗布して単位部材を形成した後、単位部材を積層しカッティングする過程を通じて得られ得る。
【0059】
この時、一対のP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150は同じ形状および体積を有するか、互いに異なる形状および体積を有し得る。例えば、P型熱電レッグ140とN型熱電レッグ150の電気伝導特性が異なるため、N型熱電レッグ150の高さまたは断面積をP型熱電レッグ140の高さまたは断面積と異なるように形成してもよい。
【0060】
本発明の一実施例に係る熱電素子の性能は熱電性能指数で示すことができる。熱電性能指数(ZT)は数1のように示すことができる。
【0061】
【数1】
【0062】
ここで、αはゼーベック係数[V/K]であり、σは電気伝導度[S/m]であり、ασはパワー因子(Power Factor、[W/mK])である。そして、Tは温度であり、kは熱伝導度[W/mK]である。kはa・cp・ρで示すことができ、aは熱拡散度[cm/S]であり、cpは比熱[J/gK]であり、ρは密度[g/cm]である。
【0063】
熱電素子の熱電性能指数を得るために、Zメーターを利用してZ値(V/K)を測定し、測定したZ値を利用してゼーベック指数(ZT)を計算することができる。
【0064】
P型熱電レッグ140またはN型熱電レッグ150は円筒状、多角柱状、楕円形柱状などを有することができる。またはP型熱電レッグ140またはN型熱電レッグ150は積層型構造を有してもよい。例えば、P型熱電レッグまたはN型熱電レッグはシート状の基材に半導体物質が塗布された複数の構造物を積層した後、これを切断する方法で形成され得る。これに伴い、材料の損失を防止し電気伝導特性を向上させることができる。
【0065】
複数の第2電極160は複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150の上に配置される。この時、P型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150は第2電極160にソルダリングによって接合され得る。ここで、第2電極160は銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)およびニッケル(Ni)のうち少なくとも一つを含むことができる。
【0066】
第2樹脂層170は複数の第2電極160上に配置される。そして、第2樹脂層170上には複数の第2金属基板180が配置される。
【0067】
第2金属基板180は一つの第1金属基板110に向き合って第2樹脂層170上に配置される。第2金属基板180はアルミニウム、アルミニウム合金、銅、または銅合金からなり得る。
【0068】
第1金属基板110の面積と第2金属基板180の面積は同じであり得、前述した通り、第1金属基板110に第3貫通ホール113が形成された場合、第1金属基板110の面積は第2金属基板180の面積よりも大きくてもよい。この時、第1金属基板110の面積に対する第2金属基板180の面積比は0.50~0.95、好ましくは0.60~0.90、さらに好ましくは0.70~0.85であり得る。
【0069】
他の実施例として、相対的により大きい面積が必要な応用分野または熱変形による影響をさらに最小化しなければならない場合、第2金属基板180は一つの第1金属基板110に対して複数に分割して備えられ得る。この時、第1金属基板110の面積に対する各第2金属基板180の面積比は0.10~0.50、好ましくは0.15~0.45、さらに好ましくは0.2~0.40であり得る。例えば、一つの第1金属基板110上には二つの第2金属基板180が配置され得る。この時、第2金属基板180は互いに離隔するように配置され得る。例えば、第1金属基板110は面積100mm×100mmであり、第2金属基板180はそれぞれ面積が45mm×100mmであり、互いに離隔した第2金属基板180の間の間隔は約10mmであり得る。
【0070】
他の例として、一つの第1金属基板110上には4個の第2金属基板180が配置されてもよい。この時、第2金属基板180は互いに離隔するように配置され得る。例えば、第1金属基板110は面積100mm×100mmであり、第2金属基板180はそれぞれ面積が45mm×45mmであり、互いに離隔した第2金属基板180の間の間隔は約10mmであり得る。
【0071】
他の例として、複数の第2金属基板180の間の間隔は5mm未満であり得る。例えば、第1金属基板110は面積100mm×100mmであり、第2金属基板180は面積が49.5mm×49.5mmであり、複数の第2金属基板180の間の間隔は2mmであり、複数の第2金属基板180の間を連結する連結部材230は幅が2mmに形成され得る。
【0072】
この時、第1金属基板110の厚さは0.1mm~2mmであり得る。また、第2金属基板180の厚さは第1金属基板110の厚さと同じであるかより大きくてもよい。第2金属基板180の厚さが第1金属基板110厚さよりも大きい場合、第2金属基板180の厚さは第1金属基板110の厚さの1.1~2.0倍であり得る。ここで、第2金属基板180は締結部材190によって曲げ可能性があるので、第1金属基板110より厚さが大きく形成され得る。
【0073】
第2金属基板180には少なくとも一つの第2貫通ホール181が形成される。この時、第2貫通ホール181は各第2金属基板180の外郭領域B2の内側の領域である有効領域B1の一部を占有するように形成され得る。ここで、有効領域はペルティエ効果またはゼーベック効果を実質的に具現できる複数のP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150が配置された領域と定義され得、本有効領域内にターミナル電極が配置され得る。ターミナル電極は外部の端子または電線と連結されるように有効領域から延長され得、複数のP型熱電レッグ140およびN型熱電レッグ150のうち少なくとも一つまたは複数の第1電極130と複数の第2電極160のうち少なくとも一つと電気的に連結され得る。本領域で複数の第1電極130と複数の第2電極160のそれぞれは互いに垂直に重なり得る。第2金属基板180に形成された第2貫通ホール181は第2金属基板180の外郭から所定間隔をおいて形成され得、第2貫通ホール181が複数の場合、第2金属基板180の外郭から等間隔でそれぞれ離隔配置され得る。第2貫通ホール181は第1貫通ホール111と重なるように配置され、締結部材190は互いに対応する第1貫通ホール111と第2貫通ホール181を通過することができる。このように締結部材190は第1金属基板110と第2金属基板180の有効領域A1、B1内の一部を占有するように、第1金属基板110と第2金属基板180を互いに固定させることによって、熱変形を減らし接合部位に応力が集中することを防止することができる。
【0074】
図示してはいないが、第1金属基板110と第2金属基板180の有効領域A1、B1に影響を与えないように、各基板の外郭領域のA2、B2一部すなわち、基板の縁領域を締結する場合、各基板間の固定力は相対的に高くなり得るが、熱電モジュールを100℃以上の高温環境に露出させてゼーベック効果を利用したり、100℃以上の熱を発生させるペルティエ効果を利用する応用分野では、かえって低温部領域と高温部領域が受ける相対的な熱量の差によって熱電モジュールの損傷が引き起こされ得る。例えば、ゼーベック効果を利用する熱電モジュールの場合、高温部金属基板は熱によって膨張し、低温部金属基板は別途の冷却部材によって収縮して、前記基板の縁領域には熱応力が集中する。この時に発生した熱応力は、各基板の間に配置された電極、熱電レッグ、樹脂層にも伝達されて脆弱な界面から剥離およびクラックなどが発生され得、その結果、熱電モジュールの損傷によって熱電効率は急減し得る。図示してはいないが、第1金属基板110と第2金属基板180の間にはシーリング部材がさらに配置されてもよい。シーリング部材は第1金属基板110と複数の第2金属基板180の間で、第1電極130、P型熱電レッグ140、N型熱電レッグ150および第2電極160の側面に配置され得る。これに伴い、第1電極130、P型熱電レッグ140、N型熱電レッグ150および第2電極160は外部の湿気、熱、汚染などからシーリングされ得る。ここで、シーリング部材は、複数の第1電極130の最外郭、複数のP型熱電レッグ140および複数のN型熱電レッグ150の最外郭および複数の上部電極160の最外郭の側面から所定距離離隔して配置されるシーリングケース、シーリングケースと第1金属基板110の間に配置されるシーリング材およびシーリングケースと第2金属基板180の間に配置されるシーリング材を含むことができる。このように、シーリングケースはシーリング材を媒介として第1金属基板110および第2金属基板180と接触することができる。これに伴い、シーリングケースが第1金属基板110と第2金属基板180と直接接触する場合、シーリングケースを通じて熱伝導が起こるようになり、その結果、第1金属基板110と第2金属基板180間の温度差が低くなる問題を防止することができる。ここで、シーリング材はエポキシ樹脂およびシリコーン樹脂のうち少なくとも一つを含むか、エポキシ樹脂およびシリコーン樹脂のうち少なくとも一つが両面に塗布されたテープを含むことができる。シーリング材はシーリングケースと第1金属基板110の間およびシーリングケースと第2金属基板180の間を気密とさせる役割をし、第1電極130、P型熱電レッグ140、N型熱電レッグ150および第2電極160のシーリング効果を高めることができ、仕上げ材、仕上げ層、防水材、防水層などと混用され得る。ここで、シーリングケースと第1金属基板110の間をシーリングするシーリング材は第1金属基板110の上面に配置され、シーリングケースと第2金属基板180の間をシーリングするシーリング材は第2金属基板180の側面に配置され得る。このために、第1金属基板110の面積は第2金属基板180の全体面積より大きくてもよい。一方、シーリングケースには電極に連結されたリード線を引き出すためのガイド溝が形成され得る。このために、シーリングケースはプラスチックなどからなる射出成形物であり得、シーリングカバーと混用され得る。ただし、シーリング部材に関する以上の説明は例示に過ぎず、シーリング部材は多様な形態に変形され得る。図示してはいないが、シーリング部材を囲むように断熱材がさらに含まれてもよい。またはシーリング部材は断熱成分を含んでもよい。
【0075】
図7を参照すると、第1金属基板110には第1貫通ホール111に隣接して第1ホール配置領域112が形成される。第1ホール配置領域112は第1貫通ホール111と最も隣接するものの、互いに隣り合う電極の面をつなぐ仮想の線201、202、203、204がなす空間と定義され得る。第1ホール配置領域112は多角形の形態で形成され得、好ましくは四角形の形態で形成され得る。この時、第1ホール配置領域112内には複数の第1電極130は配置されないこともある。また、第2金属基板180には第1金属基板110と向き合う面に第2貫通ホール181に隣接して第2ホール配置領域182が形成される。第2ホール配置領域182は第2貫通ホール181と最も隣接するものの、互いに隣り合う電極の面をつなぐ仮想の線211、212、213、214がなす空間と定義され得る。第2ホール配置領域182は多角形の形態で形成され得、好ましくは四角形の形態で形成され得る。この時、第2ホール配置領域182内には複数の第2電極160は配置されないこともある。
【0076】
締結部材190は第1金属基板110と少なくとも一つの第2金属基板180を固定させる。この時、締結部材190の一部は第2貫通ホール181と第1貫通ホール111を通過し、端部が冷却部Cのホール20hに挿入結合される。
【0077】
図4を参照すると、締結部材190は第1部材191と第2部材192を含むことができる。第1部材191は第2貫通ホール181と第1貫通ホール111を貫通し、一端部冷却部Cに埋め立てられて固定される。この時、第1部材191の外周にはねじ山が形成され得る。第1部材191の直径は第2貫通ホール181および第1貫通ホール111の直径と同じであるか第2貫通ホール181および第1貫通ホール111の直径より小さく形成され得る。
【0078】
第2部材192は、第1部材191の他の端部から延びて第2貫通ホール181の直径より大きい直径で形成される。第2部材192は第2金属基板180が第1金属基板110から広がることを防止する。
【0079】
第2金属基板180が複数の場合、断熱材200は複数の第2金属基板180の間の離隔空間に配置され得る。ここで断熱材200はエポキシ樹脂、シリコーン樹脂およびセラミックウールのうち少なくとも一つを含むことができ、断熱材200は前述したシーリング部材および後述する連結部材230と混用され得る。
【0080】
ヒートシンク220は第2金属基板180上に配置され得る。例えば、ヒートシンク220は第2金属基板180の両面のうち第2樹脂層170が配置される面の反対面に配置され得る。この時、第2金属基板180とヒートシンク220は一体に形成されてもよい。図示してはいないが、第1金属基板110にもヒートシンクが形成され得る。ヒートシンク220はそれぞれ平板状の複数の平面基材221が平行に配置され、平面基材221の間の空間が空気の流路を形成する構造を有することができる。この時、平面基材221の間の間隔は10mm未満であり得る。
【0081】
以下では、熱電モジュールの他の実施例に係る熱電モジュール20について図5および図6を参照して説明する。
【0082】
図5は本発明の第2実施例に係る熱電モジュールの斜視図であり、図6は本発明の第2実施例に係る熱電モジュールが冷却部に設置される状態を図示した側面図である。
【0083】
図5および図6を参照すると、熱電モジュール20は複数の第2金属基板180の間を連結させる連結部材230をさらに含むことができる。
【0084】
連結部材230は複数の第2金属基板180の間を接合するグルー(Glue)であり得る。この時、熱電モジュール20は複数の第2金属基板180の離隔空間に断熱処理を省略できるが、前述したように、第1金属基板110と第2金属基板180の間には断熱材200が配置され得る。
【0085】
図示してはいないが、熱電モジュールは連結部材230を省略し、複数の第2金属基板180の一部からそれぞれ延びた延長部材によって互いに連結形成され得る。
【0086】
この時、延長部材は第2金属基板180の厚さより小さく形成され得る。例えば、第2金属基板180の厚さは0.2mm~4mmであり得、延長部材の厚さは0.1mm~2mmであり得る。ここで、延長部材の厚さに対する前記複数の第2金属基板の厚さ比は1~2以下であり得る。
【0087】
連結部材230の一面は第2金属基板180の一面に比べ、陥没しながら溝241が形成され得る。この時、連結部材230は十字状に形成され得る。例えば、第1金属基板110の面積が100mm×100mmであり、第2金属基板180の面積が45mm×45mmであり、厚さが0.2mm~4mmであるとき、連結部材230は幅が10mmであり、厚さが0.1mm~2mmであり、連結部材230によって形成された溝は深さが0.1mm~2mm以下であり得る。このように連結部材230と第2金属基板180の厚さの差によって溝が形成され、第2金属基板180の中央部の厚さが薄くなり、第2金属基板180の熱変形が緩和される効果を有することができる。
【0088】
本明細書で、互いに離隔した複数の第2金属基板180の間に配置され、複数の第2金属基板180を連結する断熱材200、連結部材230および延長部材を通称して連結部材と言え、連結部材は絶縁物質を含む絶縁部材であり得る。
【0089】
以下では、複数の第1電極130と複数の第2電極160の配置方法に対する多様な実施例に関して、図7図11を参照して説明する。
【0090】
図7は第1金属基板110と第2金属基板180上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する第1実施例を図示した図面であり、図8図7で示した複数の第1電極と複数の第2電極を重ねた状態を図示した図面であり、図9図11は第1金属基板110と第2金属基板180上に第1電極と第2電極を配置する方法に対する多様な実施例を図示した図面である。
【0091】
図7図11を参照すると、複数の第1電極130は第1金属基板110が第2金属基板180と向き合う一面に配置され、複数の第2電極160は第2金属基板180が第1金属基板110と向き合う一面に配置される。この時、複数の第1電極130は第1ホール配置領域112を空けて配置され、複数の第2電極は第2ホール配置領域182を空けて配置され得、第1ホール配置領域112の位置と第2ホール配置領域182の位置は互いに対応する。
【0092】
ここで、複数の第1電極130と複数の第2電極160のそれぞれは長方形の形状に形成され、長幅W1と短幅W2が区分される。この時、配置されるレッグの形状により第1電極130と第2電極160の短幅W2に対する長幅W1の比は可変的であり得、好ましくは第1電極130と第2電極160の短幅W2に対する長幅W1の比は2.05~4.50であり得る。本明細書で、長幅の方向を長さ方向と指しし得る。
【0093】
図示してはいないが、第1金属基板110および第2金属基板180の有効領域に貫通ホール111、181が形成されていない場合、複数の第1電極130の長さ方向はすべて第1方向Yに配置され得る。この時、複数の第2電極160のうち有効領域の縁領域で互いに対向する二つの列または二つの行に配置された電極の少なくとも一部は第1方向Yと垂直な第2方向Xに配置され、残りの電極は電極の短幅W2だけ複数の第1電極130から移動して少なくとも一部が重なり得る。これを通じて第1金属基板110および第2金属基板180の間の複数のP型およびN型熱電レッグをすべて直列に連結することができる。
【0094】
本発明の実施例に係る第1金属基板110および第2金属基板180の有効領域に少なくとも一つの貫通ホール111、181が形成された場合、第1電極130と複数の第2電極160のうち縁領域の電極を除いた電極の長さ方向は、第1方向Yおよび第1方向Yと垂直な第2方向Xを混在させて配置することができる。
【0095】
この時、複数の第1電極130または複数の第2電極160のうち、縁領域を除いた少なくとも二つの電極は第1方向Yと垂直な第2方向Xに配置され、残りの電極は第2方向Xと垂直な第1方向Yに配置され得る。
【0096】
前記第1ホール配置領域112または第2ホール配置領域182と隣接した少なくとも一つの電極は長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され、前記少なくとも一つと隣接した他の一つも長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。この時、前記少なくとも二つの第1電極130と前記少なくとも二つの第2電極160は互いに重ならないか、一部が重なり得る。
【0097】
詳しくは、第1ホール配置領域112に隣接した複数の第1電極130のうち少なくとも二つの第1電極130a、130bは、長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。そして、残りの第1電極130は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。
【0098】
この時、第2ホール配置領域182に隣接した複数の第2電極160のうち少なくとも二つの第2電極160a、160bは第2方向Xに配置され得る。また、有効領域の縁に配置された複数の第2電極160cのうち互いに対向する二つの行も、長さ方向が第2方向Xに配置され得る。そして、残りの第2電極160は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。この時、第2方向Xに配置された第1電極130a、130bと、第2方向に配置された第2電極160a、160bは互いに重ならないか、一部が重なるように配置され得る。ここで、複数の第1電極130と複数の第2電極160の配置形態は互いに変えて適用可能である。
【0099】
より詳細に説明すると、図8に図示された通り、複数の第1電極130のうち縁領域を除いた少なくとも二つは、第1ホール配置領域112を定義する各仮想の線201、202、203、204から延びた延長線がなす仮想の空間(H1またはH2)と少なくとも一部が重なって第2方向Xに配置され得、複数の第2電極160のうち縁領域を除いた少なくとも二つは、第2ホール配置領域182を定義する各仮想の線211、212、213、214から延びた延長線がなす仮想の空間(H3またはH4)と少なくとも一部が重なって第2方向Xに配置され得る。これを通じて、それぞれのホール配置領域が形成された制限された空間内で、複数のP型およびN型熱電レッグの最適配置が可能である。ここで、第1ホール配置領域112および第2ホール配置領域182の個数、位置および形状などにより、第2方向Xに配置された電極の個数は増加し得る。この時、第2方向Xに配置された電極の個数は2の倍数個であり得、第2方向Xに配置された電極のうち少なくとも二つは前記H1~H4と少なくとも一部が重なって配置され得る。
【0100】
本明細書で複数の第1電極130と複数の第2電極160のそれぞれの電極配置形態は互いに変えて適用され得、第1方向Yおよび第2方向Xはこれに限定されない。
【0101】
図9を参照すると、複数の第1電極130のうち第1ホール配置領域112と隣接した二つの第1電極130d、130fは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得、前記二つの第1電極130d、130fと隣接した二つの第1電極130c、130eも長さ方向が同様に第2方向Xに配置され得る。そして、残りの第1電極130は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。
【0102】
この時、複数の第2電極160のうち第2ホール配置領域182と隣接した二つの第2電極160d、160eは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得、第2ホール配置領域182と隣接した他の二つの第2電極160f、160gも長さ方向が同様に第2方向Xに配置され得る。また、縁領域で互いに対向する二つの行に配置された第2電極160hも長さ方向が第2方向へ向かうように配置され得る。そして、残りの第2電極160は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。
【0103】
図10を参照すると、第1金属基板110と第2金属基板180には第1貫通ホール111と第2貫通ホール181が複数個で形成され得、これに伴い、第1ホール配置領域112と第2ホール配置領域182も複数個で形成され得る。この時、複数の第1電極130のうち各第1ホール配置領域112と隣接した二つの第1電極130g、130hは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得、前記二つの第1電極130g、130hと隣接した二つの第1電極130i、130jも長さ方向が同様に第2方向Xに配置され得る。この時、第1ホール配置領域112は複数で形成され、複数の第1電極130のうち2の倍数個は第2方向Xに向かうように配置され得る。さらに詳しくは、複数の第1電極130のうち少なくとも8個の第1電極130g、・・・、130nは第2方向Xに向かうように配置され得る。また、残りの第1電極130は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。
【0104】
この時、第2電極160のうち各第2ホール配置領域182と第1方向Yに隣接した二つの第2電極160i、160jは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得、第2ホール配置領域182と隣接した他の二つの第2電極160k、160lも長さ方向が同様に第2方向Xに配置され得る。
【0105】
この時、第2ホール配置領域182は複数で形成され、複数の第2電極160のうち2の倍数個は長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。さらに詳しくは、複数の第2電極160のうち少なくとも8個の第2電極160i、・・・、160pは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。また、縁領域で互いに対向する二つの行に配置された第2電極160qも長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。また、残りの第2電極160は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。
【0106】
図11を参照すると、第1ホール配置領域112は複数で形成され、複数の第1電極130のうち一つの第1ホール配置領域112と離隔した4個の第1電極130o、・・・、130rは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。ここで、第1ホール配置領域112と前記第1電極130o、・・・、130rの間には複数の電極が配置され得る。ただし、前記第1電極130o、・・・、130rは第1ホール配置領域112を定義する各仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間と少なくとも一部が重なって第2方向Xに配置され得る。また、複数の第1電極130のうち他の一つの第1ホール配置領域112と第1方向に隣接した4個の第1電極130s、・・・、130vは第2方向Xに配置され得る。
【0107】
この時、第2電極160のうち各第2ホール配置領域182と第1方向Yに隣接した4個の第2電極160r、・・・、160uと4個の第2電極160v、・・・、160yは長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。
【0108】
図12を参照すると、第1金属基板110と第2金属基板180には第1貫通ホール111と第2貫通ホール181が複数個で形成され得、これに伴い、第1ホール配置領域112と第2ホール配置領域182も複数個で形成され得る。例えば、第1金属基板110は4個の第1貫通ホール111および4個の第1ホール配置領域112を含むことができ、第2金属基板180は4個の第2貫通ホール181および4個の第2ホール配置領域182を含むことができる。
【0109】
この時、複数の第1電極130のうち各第1ホール配置領域112と隣接した二つの第1電極130-1、130-2は長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得、各第1ホール配置領域112と隣接した他の二つの第1電極130-3、130-4も長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。これに伴い、複数の第1電極130のうち2の倍数個は第2方向Xに向かうように配置され得る。さらに詳しくは、複数の第1電極130のうち少なくとも16個の第1電極130-1、・・・、130-4は第2方向Xに向かうように配置され得る。また、残りの第1電極130は長さ方向が第1方向Yに向かうように配置され得る。
【0110】
また、第1ホール配置領域112のうちいずれか一つと隣接して第2方向Xに向かうように配置される4個の第1電極130-1、・・・、130-4のうち少なくとも一つに隣接した2n個(nは1以上の整数)の第1電極130-2nも長さ方向が第2方向Xに向かうように配置され得る。ここで、2n個の第1電極130-2nが配置される位置は複数の第2電極180の配置構造により多様に変形され得る。
【0111】
また、ここで、第1ホール配置領域112と2n個の第1電極130-2nの間には複数の電極が配置され得る。ただし、2n個の第1電極130-2nは第1ホール配置領域112を定義する各仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間と少なくとも一部が重なって第2方向Xに配置され得る。
【0112】
図12では2n個の第1電極130-2nが第2方向Xに配置されたもので例示されているが、これに制限されず、2n個の第2電極が第1方向Yに配置されてもよい。
【0113】
第1金属基板110と複数の第1電極130の間に配置された第1樹脂層120と第2金属基板180と複数の第2電極160の間に配置された第2樹脂層170が図12にのみ図示されているがこれに制限されず、図7図11の実施例では説明の便宜のために省略されており、同一または類似する構造の第1樹脂層120および第2樹脂層180が図7図11の実施例においても適用され得る。
【0114】
これと同様に、ターミナル電極500が図12にのみ図示されているが、これに制限されず、同一または類似する構造のターミナル電極500が図7図11の実施例においても適用され得る。
【0115】
図7図12で図示された通り、縁領域で互いに対向するように第2方向Xに配置された二つの行は、第1金属基板110に配置された第1電極130に含まれるか、または第2金属基板180に配置された第2電極160に含まれ得る。
【0116】
この時、複数の第1電極130と接する第1金属基板110の第1面に形成された第1貫通ホール111の直径d1および複数の第2電極160と接する第2金属基板180の第1面に形成された第2貫通ホール181の直径d2は互いに同じでもよいが、後述する絶縁挿入部材の配置形態、位置などにより複数の第1電極130と接する第1金属基板110の第1面に形成された第1貫通ホール111の直径d1および複数の第2電極160と接する第2金属基板180の第1面に形成された第2貫通ホール181の直径d2は互いに異なってもよい。
【0117】
一方、図7図12で図示された通り、第1ホール配置領域112の面積は一つの第1電極130の面積の4倍以上、好ましくは6倍以上、さらに好ましくは8倍以上であり得る。第1ホール配置領域112の面積が一つの第1電極130の面積の4倍未満の場合、AC 1kV以上の高電圧下で電流が第1貫通ホール111を通じて第1金属基板110に移動して熱電モジュールの電気的破壊が引き起こされ得る。したがって、高電圧下での応用分野においては、熱電モジュールの電気的破壊を防止するために十分な絶縁距離の確保が重要である。第1ホール配置領域112の面積が一つの第1電極130の面積の8倍以上である場合、AC 2.5kV以上の高電圧下でも電気的破壊が発生しない。これと同様に、第2金属基板180に形成された第2ホール配置領域182の面積も一つの第2電極160の面積の4倍以上、好ましくは6倍以上、さらに好ましくは8倍以上であり得る。
【0118】
また、図7図12に図示された通り、複数の第1電極130のうち第1金属基板110の第1縁(図示されず)と最も隣接して配置される電極はいずれも周期的に配置され得、第1金属基板110の第1縁と最も隣接して配置された電極面を繋ぐ仮想線の開始点と終点間の経路が折り曲げ領域のない直線となるように配置され得る。すなわち、第1金属基板110の第1縁と最も隣接したすべての第1電極130において、各第1電極130の4個の電極面のうち第1金属基板110の第1縁と最も隣接した電極面は一方向に沿って、除去された領域なしに第1金属基板110の第1縁と同一の間隔を有して配置されることを意味し得る。例えば、第1金属基板110の第1縁と最も隣接して配置された電極面を繋ぐ仮想線の開始点と終点間の経路が直線である場合、複数の第1電極130のうち第1列(図示されず)のすべての電極は周期的に配置されていることを意味し得る。これによると、第1金属基板110に複数の第1電極130を配置する時に工程の複雑度を減少させることができ、第2金属基板180に配置される第2電極160および第1電極130と第2電極160の間に配置される熱電レッグの配置構造を単純化することができる。また、第1金属基板110の縁および第1金属基板110の縁と最も隣接して配置された第1電極130間の最短距離が一定に維持されるため、第1金属基板110の縁と最も隣接して配置された第1電極130は均一な電気的特性を有することができる。
【0119】
もし、第1金属基板110の第1縁と最も隣接して配置された電極面を繋ぐ仮想線の開始点と終点間の経路が折り曲げ領域を含む場合、複数の第1電極130のうち第1列の電極のうちの一部が除去されたり、陥没した領域が含まれて配置の周期性が喪失されることを意味し得る。折り曲げ領域で第1金属基板110の第1縁と最も隣接して配置された電極面は、第1列の次の列である第2列(図示されず)に配置された電極面であり得る。ここで、第2列は第1列に比べて第1金属基板110の第1縁とさらに遠く配置される列であり、最外郭の列でなくてもよい。貫通ホールを追加に配置するために、折り曲げ領域を含むように第1電極130を配置することはできるものの、これによると、前述した通り、高電圧下での応用分野において、十分な絶縁距離が確保されないため熱電モジュールの電気的破壊が発生したり、第1電極部の有効領域が減少するため、その結果、熱電モジュールの効率が低下し得る。
【0120】
これと同様に、複数の第1電極130のうち第1金属基板110の第1縁と向き合う第2縁(図示されず)と最も隣接した電極(第N列)、複数の第1電極130のうち第1金属基板110の第1縁と第2縁の間の第3縁(図示されず)と最も隣接した電極(第1行)および複数の第1電極130のうち第1金属基板110の第3縁と向き合う第4縁(図示されず)と最も隣接した電極(第M行)は、いずれも第1金属基板110の各縁と最も隣接した電極面を繋ぐ仮想線の開始点と終点間の経路が折り曲げ領域のない直線となるように配置され得るが、ターミナル電極の配置などの設計により、最外郭の列または最外郭の行のうちいずれか一つ、例えば第1列、第N列、第1行および第M行のうちいずれか一つのみが例外的な経路を有することができる。例えば、ターミナル電極は最外郭の列または最外郭の行である、第1列、第N列、第1行および第M行のうちいずれか一つに配置された第1電極130に連結されたり、第1列、第N列、第1行および第M行のうちいずれか一つに配置された第1電極130から延長され得る。これに伴い、最外郭の列および最外郭の行のうちターミナル電極が配置される一つの列または行を除いた残りの列または行は、第1金属基板110の対応する各縁と一定の間隔を有するように配置され得る。
【0121】
図13は、本発明の一実施例に係る熱電素子の接合構造を示す。
【0122】
図13を参照すると、熱電素子100は複数の締結部材400によって締結され得る。複数の締結部材400はヒートシンク220と第2金属基板180を締結したり、ヒートシンク220、第2金属基板180と第1金属基板(図示されず)を締結したり、ヒートシンク220、第2金属基板180、第1金属基板(図示されず)と冷却部(図示されず)を締結したり、第2金属基板180、第1金属基板(図示されず)と冷却部(図示されず)を締結したり、第2金属基板180と第1金属基板(図示されず)を締結することができる。
【0123】
このために、ヒートシンク220、第2金属基板180、第1金属基板(図示されず)、冷却部(図示されず)には締結部材400が貫通する貫通ホールSが形成され得る。ここで、貫通ホールSは前述した第2貫通ホール181および第1貫通ホール111を含むことができる。ここで、第2貫通ホール181と締結部材400の間には別途の絶縁挿入部材410がさらに配置され得る。別途の絶縁挿入部材410は締結部材400の外周面を囲む絶縁挿入部材または貫通ホールSの壁面を囲む絶縁挿入部材であり得る。これによると、熱電素子の絶縁距離を広げることが可能である。
【0124】
一方、絶縁挿入部材410の形状は図13(a)および図13(b)に例示された通りであり得る。例えば、図13(a)に例示された通り、絶縁挿入部材410は第2金属基板180に形成された貫通ホールS領域に段差を形成して貫通ホールSの壁面の一部を囲むように配置され得る。または絶縁挿入部材410は第2金属基板180に形成された貫通ホールS領域に段差を形成して貫通ホールSの壁面に沿って第2電極(図示されず)が配置される第1面まで延びるように配置されてもよい。
【0125】
図13(a)を参照すると、第2金属基板180の第2電極と接する第1面の貫通ホールSの直径d2’は、第1金属基板の第1電極と接する第1面の貫通ホールの直径と同じであり得る。この時、絶縁挿入部材410の形状により、第2金属基板180の第1面に形成された貫通ホールSの直径d2’は、第1面の反対面である第2面に形成された貫通ホールSの直径d2と異なり得る。図示してはいないが、貫通ホールS領域に段差を形成せずに第2金属基板180の上面の一部にのみ絶縁挿入部材410が配置されたり、第2金属基板180の上面から貫通ホールSの壁面の一部又は全部まで絶縁挿入部材410が延びるように配置される場合、第2金属基板180の第1面に形成された貫通ホールSの直径d2’は、第1面の反対面である第2面に形成された貫通ホールSの直径d2と同じでもよい。
【0126】
図13(b)を参照すると、絶縁挿入部材410の形状によって、第2金属基板180の第2電極と接する第1面の貫通ホールSの直径d2’は、第1金属基板の第1電極と接する第1面の貫通ホールの直径より大きくてもよい。この時、第2金属基板180の第1面の貫通ホールSの直径d2’は第1金属基板の第1面の貫通ホールの直径の1.1~2.0倍であり得る。第2金属基板180の第1面の貫通ホールSの直径d2’が第1金属基板の第1面の貫通ホールの直径の1.1倍未満であると、絶縁挿入部材410の絶縁効果が小さいため熱電素子の絶縁破壊が引き起こされ得、第2金属基板180の第1面の貫通ホールSの直径d2’が第1金属基板の第1面の貫通ホールの直径の2.0倍を超過すると、貫通ホールSが占める領域の大きさが相対的に増加することになるため第2金属基板180の有効面積が減少するようになり、熱電素子の効率が低下し得る。
【0127】
そして、絶縁挿入部材410の形状によって、第2金属基板180の第1面に形成された貫通ホールSの直径d2’は第1面の反対面である第2面に形成された貫通ホールSの直径d2と異なり得る。前述した通り、第2金属基板180の貫通ホールS領域に段差が形成されない場合、第2金属基板180の第1面に形成された貫通ホールSの直径d2’は第1面の反対面である第2面に形成された貫通ホールSの直径d2と同じでもよい。
【0128】
本発明の実施例は、第1電極130または第2電極160のうちで、第1ホール配置領域112または第2ホール配置領域182と離隔してもそれぞれのホール配置領域を定義する各仮想の線から延びた延長線がなす仮想の空間内には、少なくとも二つの電極の少なくとも一部が重なって第2方向Xに配置されるため、それぞれのホール配置領域が形成された制限された空間内で、空間を無駄に使うことなく、複数のP型およびN型熱電レッグの最適配置が可能である。
【0129】
本発明の実施例に係る熱電素子は発電用装置、冷却用装置、温熱用装置などに作用され得る。具体的には、本発明の実施例に係る熱電素子は主に光通信モジュール、センサ、医療機器、測定機器、航空宇宙産業、冷蔵庫、チラー(chiller)、自動車通風シート、カップホルダー、洗濯機、乾燥機、ワインセラー、浄水器、センサ用電源供給装置、サーモパイル(thermopile)等に適用され得る。
【0130】
ここで、本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される例として、PCR(Polymerase Chain Reaction)機器がある。PCR機器はDNAを増幅してDNAの塩基序列を決定するための装備であり、精密な温度制御が要求され、熱循環(thermal cycle)が必要な機器である。このために、ペルチィエ系熱電素子(Peltier-based thermoelectric element)が適用され得る。
【0131】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用される他の例として、光検出器がある。ここで、光検出器は赤外線/紫外線検出器、CCD(Charge Coupled Device)センサ、X-ray検出器、TTRS(Thermoelectric Thermal Reference Source)等がある。光検出器の冷却(cooling)のためにペルチィエ系熱電素子が適用され得る。これに伴い、光検出器の内部の温度上昇による波長変化、出力低下および解像力の低下などを防止することができる。
【0132】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、免疫分析(immunoassay)分野、インビトロ診断(In vitro Diagnostics)分野、温度制御および冷却システム(general temperature control and cooling systems)、物理治療分野、液状チラーシステム、血液/プラズマ温度制御分野などがある。これに伴い、精密な温度制御が可能である。
【0133】
本発明の実施例に係る熱電素子が医療機器に適用されるさらに他の例として、人工心臓がある。これに伴い、人工心臓に電源を供給することができる。
【0134】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される例として、星追跡システム、熱イメージングカメラ、赤外線/紫外線検出器、CCDセンサ、ハッブル宇宙望遠鏡、TTRSなどがある。これに伴い、イメージセンサーの温度を維持することができる。
【0135】
本発明の実施例に係る熱電素子が航空宇宙産業に適用される他の例として、冷却装置、ヒーター、発電装置などがある。
【0136】
この他にも本発明の実施例に係る熱電素子は、その他の産業分野に発電、冷却および温熱のために適用され得る。
【0137】
前記では本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、該当技術分野の熟練した当業者は、下記の特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更できることが理解できるであろう。
【符号の説明】
【0138】
C:冷却部
10:熱電モジュール
110:第1金属基板
111:第1貫通ホール
112:第1ホール配置領域
120:第1樹脂層
130:複数の第1電極
140:複数のP型熱電レッグ
150:複数のN型熱電レッグ
160:複数の第2電極
170:第2樹脂層
180:第2金属基板
181:第2貫通ホール
182:第2ホール配置領域
190:締結部材
200:断熱材
220:ヒートシンク
230:連結部材

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13