IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ・ボーイング・カンパニーの特許一覧

特許7513404固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ
<>
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図1
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図2
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図3
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図4
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図5
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図6
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図7
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図8
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図9
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図10
  • 特許-固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】固相付加製造のためのツールヘッドアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B23K 20/12 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B23K20/12 344
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020029446
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2020175441
(43)【公開日】2020-10-29
【審査請求日】2023-01-27
(31)【優先権主張番号】16/391,065
(32)【優先日】2019-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ラヴィ・ヴェルマ
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0200275(US,A1)
【文献】国際公開第2017/194792(WO,A1)
【文献】特開2003-062681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 20/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固相付加製造装置(100)のためのツールヘッドアセンブリ(104)であって、前記ツールヘッドアセンブリ(104)が、
内部に材料を受け入れる材料通路(120)を備えたツールヘッド(110)であって、前記ツールヘッド(110)は、前記材料通路(120)から前記材料を前記固相付加製造装置(100)の基板(102)上に堆積させて前記基板(102)上に前記材料の少なくとも1つの層(142)を形成するように構成され、前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)の長さに沿って延伸する外側長手方向表面(132)と、縁部(136)で外側長手方向表面(132)と交差する端面(134)とを含み、前記ツールヘッド(110)の肩部(130)は、前記端面(134)及び前記縁部(136)によって画定され、前記肩部(130)は、前記材料と接触し、前記ツールヘッド(110)の回転が前記材料を摩擦攪拌する、ツールヘッド(110)と、
前記少なくとも1つの層(142)が前記基板(102)上に堆積される際に、前記少なくとも1つの層(142)の側面(154)に沿って延伸するように構成されたバリア(112)であって、前記バリア(112)は、前記材料が前記肩部(130)の縁部(136)を越えて押し出されるのを制限するように構成される、バリア(112)と
を備える、ツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項2】
前記バリア(112)が第1のバリア(112a)であり、前記側面(154)が第1の側面(154a)であり、前記少なくとも1つの層(142)が前記第1の側面(154a)の反対側に延伸する第2の側面(154b)を備え、前記ツールヘッドアセンブリ(104)は、前記少なくとも1つの層(142)が前記基板(102)上に堆積される際に、前記少なくとも1つの層(142)の前記第2の側面(154b)に沿って延伸する第2のバリア(112b)を備える、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項3】
前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)が前記基板(102)上に前記材料の前記少なくとも1つの層(142)を堆積させる際に前記基板(102)の長手方向軸線(106)に沿って移動するように構成され、前記バリア(112)は、前記基板の前記長手方向軸線(106)に沿って前記ツールヘッド(110)とともに移動するように構成される、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項4】
前記バリア(112)が軸受(152)を備える、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項5】
前記バリア(112)は、前記少なくとも1つの層(142)の堆積中に前記バリア(112)が前記少なくとも1つの層(142)の長さに沿って移動する際に回転軸線(156)の周りを自由に回転するローラーを備える、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項6】
前記バリアが、前記基板(102,302)の長手方向軸線(306)に沿って延伸するレール(352)を備え、前記レール(352)は、前記長手方向軸線(306)に沿った位置に固定されている、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項7】
前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)が前記基板(102,302)上に前記材料の前記少なくとも1つの層(142)を堆積させる際に前記基板(102,302)の長手方向軸線(306)に沿って移動するように構成され、前記バリア(112)は、前記長手方向軸線(306)に沿って前記ツールヘッド(110)とともに移動するように構成されたレール(352)を備える、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項8】
前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)が前記基板(102,302)上に前記材料の前記少なくとも1つの層(142)を堆積させる際に前記基板(102,302)の長手方向軸線(306)に沿って移動するように構成され、前記バリア(112)は、前記長手方向軸線(306)に沿って前記ツールヘッド(110)とともに移動するように構成されたレール(352)を備え、前記レール(352)は湾曲した形状を含む、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項9】
前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)が前記基板(102,302)上に前記材料の前記少なくとも1つの層(142)を堆積させる際に前記基板(102,302)の長手方向軸線(306)に沿って移動するように構成され、前記バリア(112)は、前記バリア(112)が前記長手方向軸線(306)に沿って前記ツールヘッド(110)と整列するように、前記ツールヘッド(110)と並んで配置される、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項10】
前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)が前記基板(102,302)上に前記材料の前記少なくとも1つの層(142)を堆積させる際に前記基板(102,302)の長手方向軸線(306)に沿って移動するように構成され、前記バリア(112)は前記長手方向軸線(306)に沿って前記ツールヘッド(110)の後ろに配置される、請求項1に記載のツールヘッドアセンブリ(104)。
【請求項11】
固相付加製造のための方法であって、
材料を基板(102)に堆積させ、それにより前記基板(102)上に前記材料の少なくとも1つの層(142)を形成するために前記材料をツールヘッド(110)から供給するステップと、
前記材料が前記基板(102)上に堆積される際に前記ツールヘッド(110)を回転させるステップと、
前記ツールヘッド(110)の回転が前記材料を摩擦攪拌するように前記材料を前記ツールヘッド(110)の肩部(130)に接触させるステップであって、前記ツールヘッド(110)は、前記ツールヘッド(110)の長さに沿って延伸する外側長手方向表面(132)と、縁部(136)で外側長手方向表面(132)と交差する端面(134)とを含み、前記肩部(130)は、前記端面(134)及び前記縁部(136)によって画定されている、ステップ
前記材料を制限するために、前記材料が前記基板(102)上に堆積される際に、前記少なくとも1つの層(142)の側面(154)に沿って延伸するバリア(112)を使用して、前記材料が前記ツールヘッド(110)の前記肩部(130)の縁部(136)を越えて押し出されるのを制限するステップと
を含む、
方法。
【請求項12】
前記材料を供給するステップが、前記基板(102)の長手方向軸線(106)に沿って前記ツールヘッド(110)を移動させるステップを含み、前記材料を制限するステップが、前記ツールヘッド(110)とともに前記基板(102)の前記長手方向軸線(106)に沿って前記バリア(112)を移動させるステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記材料を供給するステップが、前記基板(102)の長手方向軸線(106)に沿って前記ツールヘッド(110)を移動させるステップを含み、前記材料を制限するステップが、前記ツールヘッド(110)の後ろで前記長手方向軸線(106)に沿って前記バリア(112)を追跡するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
付加製造プロセスは、基板上に1つ又は複数の材料層を堆積させて、例えば、オブジェクトの製造、既存のオブジェクトの被覆、又はオブジェクトの既存の構造の修復など、構造を付加的に構築する。固相付加製造プロセスは、ステレオリソグラフィ、選択的レーザ焼結(SLS)、溶融フィラメント製造(FFF)、及び選択的レーザ溶融(SLM)プロセスなど、供給材料を溶解する他の付加製造プロセスとは対照的に、仕上げ層を形成するために供給材料を可塑化することを含む。固相付加製造プロセスの一例は、付加的摩擦攪拌(AFS)であり、これは一般に摩擦攪拌付加製造(FSAM)とも呼ばれる。AFSプロセスでは、回転ツールヘッドを使用して、供給材料(ロッド、粉末など)を回転させ、基板(又は最後に堆積した層)に押し付ける。軸方向の負荷と回転の下で、供給材料は局所的に加熱され、可塑化され、供給材料はツールヘッドの肩部の下で外側に押し出される。ツールヘッドが遠ざかると(例えば、横方向など)、ツールヘッドは基板に溶着した材料の層(又は最後に堆積した層)を残す。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
ただし、既存のシステムでは、AFSプロセスは比較的大量のばりを生成する可能性があり、1つ又は複数の二次加工プロセスでこのばりを除去して構造を仕上げる必要がある。例えば、可塑化された供給材料は、可塑化された材料と肩部との間に生じる摩擦によってのみ、ツールヘッドの肩部の縁部を越えて流れることを制限される。その結果、AFSプロセス中に、可塑化された供給材料が肩部の縁部を越えて押し出され(例えば、肩部の下から押し出され)、それによってばりが形成される。AFSプロセスによって生成されるばりは、例えばプロセス中に消費される(すなわち、堆積する)供給材料の50%ほどの比較的大量であり得る。ばりの除去に必要な二次加工プロセスは、AFSプロセスを使用して構造を構築するのに必要なコストと時間を増加させる。より少ないばりを生成するために、AFSプロセス中に堆積される層の厚さは薄くなった。ただし、層の厚さが薄くなると、構造を構築するのに必要な層の数が増加し、より時間がかかり、コストもかかる。
【課題を解決するための手段】
【0003】
一態様では、固相付加製造装置のためのツールヘッドアセンブリが提供される。ツールヘッドアセンブリは、内部に材料を受け入れるように構成された材料通路を有するツールヘッドを含む。ツールヘッドは、材料通路から固相付加製造装置の基板上に材料を堆積させて、基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するように構成される。ツールヘッドは材料に接触するように構成された肩部を含み、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌するようにする。ツールヘッドアセンブリは、少なくとも1つの層が基板上に堆積されるときに少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するように構成されたバリアを含み、バリアは、材料が肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するように構成される。
【0004】
別の態様では、固相付加製造装置が提供される。固相付加製造装置は、基板と、内部に材料を受け入れるように構成された材料通路を有するツールヘッドとを含む。ツールヘッドは、材料を材料通路から基板上に堆積させて、基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するように構成される。ツールヘッドは材料に接触するように構成された肩部を含み、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌するようにする。固相付加製造装置は、少なくとも1つの層が基板上に堆積されるときに少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するように構成されたバリアを含み、バリアは、材料が肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するように構成される。
【0005】
別の態様では、固相付加製造のための方法が提供される。この方法は、材料を基板に堆積させ、それにより基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するために材料をツールヘッドから供給するステップと、材料が基板上に堆積されるときにツールヘッドを回転させるステップと、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌するように材料をツールヘッドの肩部に接触させるステップと、材料が基板上に堆積されて材料を制限するときに、少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するバリアを使用して、材料がツールヘッドの肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】固相付加製造(SSAM)装置の実装形態の斜視図である。
図2図1に示すSSAM装置の断面図である。
図3図1及び図2に示すSSAM装置の平面図である。
図4】SSAM装置の別の実装形態の断面図である。
図5】SSAM装置のさらに別の実装形態の平面図である。
図6図5に示すSSAM装置の立面図である。
図7】SSAM装置の別の実装形態の平面図である。
図8】SSAM装置のさらに別の実装形態の斜視図である。
図9】実装形態によるSSAMのための方法を示すフローチャートである。
図10】航空機の実装形態の概略図である。
図11】航空機の製造及び保守点検方法の実装形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
添付の図面と併せて読めば、上述の概要、ならびに特定の実施形態及び実装形態の以下の詳細な説明がより良く理解されよう。本明細書で使用される場合、「a」又は「an」に続いて単数形で記載される要素又はステップは、要素又はステップの複数を排除するものではないと理解されるべきである。また、「一実施形態」又は「一実装形態」への言及は、記載した形態を組み込んだ付加的な実施形態又は実装形態の存在を除外するものとして解釈されるものではない。さらに、特に明示的に述べられていない限り、特定の特性を有するある要素又は複数の要素を「含む(comprising)」又は「有する(having)」実施形態は、その特性を有していない追加の要素を含んでもよい。
【0008】
例えば、「上」、「下」、「上方」、「下方」、「垂直方向」などのさまざまな空間及び方向の用語が、本開示の実施形態及び実装形態を説明するために使用されるが、このような用語は図示された向きに関して単に使用されることが理解される。向きは反転、回転、又は変更することができ、構造が180度反転した場合は上面が下面になり、構造が90度回転した場合は左側又は右側になる。
【0009】
本開示の特定の実装形態は、固相付加製造(SSAM)装置のためのツールヘッドアセンブリを提供する。ツールヘッドアセンブリは、内部に材料を受け入れるように構成された材料通路を有するツールヘッドを含む。ツールヘッドは、材料通路から固相付加製造装置の基板上に材料を堆積させて、基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するように構成される。ツールヘッドは材料に接触するように構成された肩部を含み、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌するようにする。ツールヘッドアセンブリは、少なくとも1つの層が基板上に堆積されるときに少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するように構成されたバリアを含み、バリアは、材料が肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するように構成される。
【0010】
本開示の特定の実装形態は、より少ないばりを生成するSSAMプロセスを可能にする。本開示の特定の実装形態は、SSAMプロセスを使用して構築された構造を仕上げるために必要な1つ又は複数の二次仕上げプロセス(例えば、機械加工プロセスなど)の期間を短縮する。本開示の特定の実装形態は、SSAMプロセスを使用して構築された構造を仕上げるために必要な二次仕上げプロセスの数を減らす。本開示の特定の実装形態は、1つ又は複数の二次仕上げプロセスの必要性を排除する。本開示の特定の実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するのに必要な時間量を削減する。本開示の特定の実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するコストを削減する。
【0011】
ここで図を参照すると、固相付加製造(SSAM)装置100の実装形態の斜視図が図1に提供され、図2及び図3は、それぞれ、SSAM装置100の断面図及び平面図を提供する。図1図3を参照すると、SSAM装置100は、基板又は既存のオブジェクト上に材料の1つ又は複数の層を堆積させることにより構造を付加的に構築するように構成される。例えば、いくつかの実装形態ではSSAM装置100を使用してオブジェクトを製造し、他の実装形態ではSSAM装置100を使用して既存のオブジェクトをクラッディング材料でクラッドするか、既存のオブジェクトの構造を修復する。本明細書に示され説明される実装形態では、SSAM装置100は、AFSプロセスを使用して構造を構築するように構成された付加的摩擦攪拌(AFS)装置である。しかし、本明細書の教示によって導かれる当業者は、SSAM装置100が、一般に摩擦攪拌付加製造(FSAM)とも呼ばれるAFSプロセスに限定されないことを理解するであろう。むしろ、本開示は、任意の他のタイプのSSAMプロセスに適用可能である。
【0012】
図1図3に示されるように、SSAM装置100は、基板102とツールヘッドアセンブリ104とを含む。基板102は、中心長手方向軸線106に沿って長さを延ばし、堆積表面108を含む。本明細書(例えば、以下の請求項や発明を実施するための形態の残りの部分など)で使用されるように、「基板」は、(1)オブジェクトを製造するために1つ又は複数の層が堆積される基板(例えば、基板102);及び(2)クラッディング、修復などのために1つ又は複数の層が堆積される既存のオブジェクト、を指すために交換可能に使用される。さらに、本明細書(例えば、以下の請求項や発明を実施するための形態の残りの部分など)で使用されるように、「基板」「上に」材料を堆積させることは、(1)基板102の堆積表面108に材料を直接堆積させること;及び(2)以前に堆積された材料の介在層(例えば、最後に堆積した層、最上層、露出した表面を有する層など)に材料を直接的に堆積させることにより基板102上に材料を間接的に堆積させること、を指すために交換可能に使用される。SSAM装置100によって実行されるSSAMプロセスは、開放された雰囲気でのプロセスである(すなわち、密閉されたエンクロージャの使用を必要としない)。それにもかかわらず、いくつかの実装形態では、基板102及びツールヘッドアセンブリ104は、密閉されたエンクロージャ(図示せず、例えば不活性ガスなどを含む)内に保持される。
【0013】
ツールヘッドアセンブリ104は、ツールヘッド110と、1つ又は複数のバリア112とを含む。以下により詳細に説明されるように、1つ又は複数のバリア112は、SSAMプロセスによって生成されるばりの量を減らすように構成される。ツールヘッド110は、中心長手方向軸線114に沿って端部116から反対側の端部118まで長さを延ばしている(図1及び図2に示すが、図3には見えない)。ツールヘッド110は、入口122からノズル124まで中心長手方向軸線114に沿ってツールヘッド110の長さにわたって延伸する材料通路120を含む(図2に示すが、図1及び図3には見えない)。材料通路120の入口122は、材料通路120が供給源から供給材料を受け取るように、供給材料の供給源(図示せず)に動作可能に接続される。言い換えれば、供給源からの供給材料は、入口122を通って材料通路120に供給される。以下に説明するように、供給材料は、ノズル124を通って材料通路120を出て、それにより基板102上に堆積する。いくつかの実装形態では、供給材料は粉末であるが、他の実装形態では、供給材料は、例えばワイヤ、ロッド、液体など、SSAM装置100によって材料を堆積させることを可能にする任意の他の形態を有する。SSAM装置100を使用して構造を構築するために使用できる材料の例には、金属、複合金属、他の複合材料、ポリマー、プラスチック、エポキシなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
ツールヘッド110は、SSAM装置100の動作中に回転するように構成される。例えば、ツールヘッド110は、駆動手段(図示せず;例えば、モータ、エンジンなど)に動作可能に接続されたスピンドル(図示せず)に固定される。駆動手段はスピンドルを回転させ、スピンドルは中心長手方向軸線114の周りにツールヘッド110を回転させる。他の実装形態では、他の任意のタイプの機構が追加的又は代替的に使用されて、中心長手方向軸線114の周りにツールヘッド110を回転させる。本明細書に示される実装形態では、ツールヘッド110は、矢印126によって示されるように、反時計回り方向に中心長手方向軸線114の周りを回転する。他の実装形態では、ツールヘッド110は、中心長手方向軸線114を中心に時計回り方向に回転するように構成されるか、時計回りと反時計回りの両方の方向に回転するように構成される。SSAM装置100の動作中の中心長手方向軸線114の周りのツールヘッド110の回転は、以下でさらに詳細に説明される。
【0015】
ツールヘッド110の材料通路120は、ツールヘッド110が本明細書に開示されるように機能することを可能にする任意の断面形状を含む。いくつかの実装形態では、材料通路120は、その長さの少なくとも一部に沿って、供給材料の形状を補完する断面形状を含み(例えば、供給材料がロッドなどである実装形態)、ツールヘッド110とともに中心長手方向軸線114の周りの供給材料の回転を促進する。言い換えれば、いくつかの実装形態では、材料通路120と供給材料の断面形状は相補的であり、したがって、供給材料は、最小限の、又は全くない滑り量でツールヘッド110とともに回転するために、材料通路120と連動する。特定の一例では、材料通路120は、その長さの少なくとも一部に沿って長方形断面形状(例えば、正方形など)を含み、供給材料は、長方形の断面形状(例えば、正方形など)を有するロッドであり、ロッドは材料通路120と回転的に連動する。他の実装形態では、追加又は代替として、他の補完的な形状が使用される。供給材料がロッド以外のものである少なくともいくつかの実装形態では、ワイヤ、粉末、液体、又は別の形態の供給材料は、例えば供給材料と材料通路120との間の摩擦により、SSAM装置100の動作中にツールヘッド110とともに回転する。
【0016】
ツールヘッド110はまた、SSAM装置100の動作中に基板102の長さに沿って移動するように構成される。例えば、スピンドルは、基板102の中心長手方向軸線106に沿って移動し、それにより、次に、中心長手方向軸線106に沿ってツールヘッド110を移動させる(例えば、図1及び図3に示されるが、図2には示されていない矢印128の方向に)。別の実装形態では、例えば、モータ、エンジン、リニアアクチュエータ(例えば、ねじ式リニアアクチュエータ、油圧リニアアクチュエータ、空気圧リニアアクチュエータ、磁気可動リニアアクチュエータ、電気可動リニアアクチュエータ、リニアモータ、ソレノイド、車輪及び車軸アクチュエータ、カムアクチュエータ、電気機械式リニアアクチュエータ、伸縮式リニアアクチュエータなど)である任意の適切な駆動機構を使用して、SSAM装置100の動作中に中心長手方向軸線106に沿ってツールヘッド110を移動させる。SSAM装置100の動作中の基板102の長さに沿ったツールヘッド110の移動は、以下でさらに詳細に説明される。
【0017】
ツールヘッド110の端部118は、肩部130(図1及び図2に示されるが、図3には見えない)を含む。具体的には、ツールヘッド110は、ツールヘッド110の長さに沿って(すなわち、中心長手方向軸線114に沿って)延伸する外側長手方向表面132と、縁部136で外側長手方向表面132と交差する端面134(図1及び図2に示されるが、図3には見えない)とを含む。ツールヘッド110の端部118は、端面134、縁部136、及び外側長手方向表面132の一部を含む。ツールヘッド110の肩部130は、端面134及び縁部136によって画定される。肩部130は、堆積される各層の上限を画定する。以下でさらに詳細に説明するように、供給材料が基板102上に堆積されて層を形成すると、肩部130は堆積された材料と接触し、ツールヘッド110の回転が材料を摩擦攪拌する。
【0018】
ツールヘッド110は、図1図3に示される形状に限定されず、他の実装形態において任意の他の適切な形状を有する。例えば、図4は、テーパ形状を含むツールヘッド210を有するツールヘッドアセンブリ204を含むSSAM装置200の別の実装形態を示している。ツールヘッド210は、中心長手方向軸線214に沿って端部216から反対側の端部218まで長さを延ばしている。ツールヘッド210は、入口222からノズル224まで中心長手方向軸線214に沿ってツールヘッド210の長さにわたって延伸する材料通路220を含む。ツールヘッド210は、中心長手方向軸線214に沿って延伸する外側長手方向表面232と、縁部236で外側長手方向表面232と交差する端面234とを含む。ツールヘッド210の端部218は肩部230を含み、より具体的には、肩部230は端面234及び縁部236によって画定される。図4に見られるように、外側長手方向表面232は、ツールヘッド210の端部218で中心長手方向軸線214に向かって内向きにテーパが付けられている。
【0019】
再び図1図3を参照すると、動作中、供給材料源からの供給材料は、ツールヘッド110の材料通路120に供給される。ツールヘッド110が基板102の長さに沿って(例えば、矢印128の方向などに)移動すると、供給材料がノズル124を通ってツールヘッド110の材料通路120から出て、供給材料が基板102上に押し付けられる(すなわち、堆積される)。図1図3に示される実装形態では、供給材料は、基板102上に以前に堆積された介在層142cの上面140上に直接堆積され、供給材料は基板102上に間接的に堆積されて層142dを形成する。介在層142cは、図1図3に示される実装態様では最後に堆積された層であるが、他の実装態様では、層142dは、最後に堆積された層ではない層の露出表面上に堆積される。
【0020】
ツールヘッド110が基板102に沿って移動して供給材料を基板102上に堆積させるときに、ツールヘッド110は供給材料を摩擦攪拌する。具体的には、ツールヘッド110は、中心長手方向軸線114に沿って矢印138の方向に軸方向に負荷がかけられ(図1及び図2に示すが、図3にはラベル付けされていない)、供給材料が、ツールヘッド110の肩部130の下(すなわち、介在層142cの上面140と肩部130の端面134との間)で外側に押し出される。ツールヘッド110の肩部130と堆積材料との間の接触、中心長手方向軸線114の周りのツールヘッド110(及び少なくともいくつかの実施形態では供給材料)の回転、及び軸方向の負荷から生じる下向きの圧力は摩擦を発生させ、摩擦により加熱され、それにより堆積した材料が可塑化される。可塑化された材料が冷えると、可塑化された材料は固化して可塑化された材料を介在層142cに融着させ、それにより仕上げ層142dを形成する(仕上げ層142dは図1図3では部分的にのみ仕上げられているように示されている)。したがって、ツールヘッド110が基板102に沿って移動すると、ツールヘッド110は、介在層142cに融着された材料の層(すなわち、仕上げ層142d)を残す。任意選択で、ツールヘッド110は、材料の攪拌を容易にするために矢印138の方向に肩部130から外側に延伸するピン又は他の突起(図示せず)を含む。
【0021】
図1図3に示されるように、堆積される層142dは第4の層である。具体的には、図1図3のSSAM装置100のSSAMプロセスを使用して構築される構造144は、第1の層142a、第2の層142b、第3の層142c(例えば、介在層142c)、及び第4の層142d(例えば、仕上げ層142d)を含む。仕上げられると、構造144は、任意の数の層142(例えば、4つ以上の層など)を含む。他の実装形態では、構造144は、4層未満の任意の数の層142(例えば、3層、2層、又は1層)を含む。
【0022】
本明細書に示される実装形態は、矢印128の方向に中心長手方向軸線106に沿って移動して、細長いストリップの形状を有する図示の例示的な層(例えば、図示の層142a~142dなど)を形成するツールヘッド110を示している。本明細書に示される実装形態を使用して構築された層(例えば、層142など)の比較的単純な平行六面体形状及び全体の構造(例えば、構造144など)は、単に一般的なSSAM装置100の動作を示す例として意図されている。言い換えれば、SSAM装置100は、本明細書に示される形状を有する層の堆積又は構造の構築に限定されない。むしろ、ツールヘッド110は、基板102に沿った任意の方向(直線であるか、中心長手方向軸線106に対して平行、垂直、又は斜めであるか、などにかかわらず)に移動して、任意の形状を有する層を形成し、任意の形状の構造を構築するように構成される。例えば、いくつかの実装形態では、ツールヘッド110は、矢印128の方向に移動することに加えて、又はその代わりに、中心長手方向軸線106に沿って反対方向146(図1及び図3に示されるが、図2にはラベル付けされていない)に移動するように構成される。いくつかの実装形態では、ツールヘッド110は、中心長手方向軸線106に沿って移動することに加えて、又はその代わりに、基板102の幅に沿って(すなわち、中心長手方向軸線148に沿って)移動するように構成される。さらに、いくつかの実装形態では、ツールヘッド110は、例えば1つ又は複数の湾曲部を含む経路に沿って、波の経路に沿って、1つ又は複数の屈曲部、角部などを含む経路に沿って、線形ではない(すなわち直線ではない)1つ又は複数の方向に(すなわち経路に沿って)移動するように構成される。
【0023】
矢印128の方向に加えて、又はその代わりに、ツールヘッド110を基板102に沿って1つ又は複数の他の方向(中心長手方向軸線106に平行かにかかわらず)に移動させることにより、SSAM装置100は、本明細書に示される層と比較して、異なる向き、形状、及び/又は同様のもの(例えば、より複雑な層形状、異なる仕上げ構造形状など)を有する1つ又は複数の層を形成することができる。特定の一例では、いくつかの層は、中心長手方向軸線106に沿ってツールヘッド110を移動させることにより堆積され、一方、他の層は、例えば網状構造を構築するために中心長手方向軸線148に沿ってツールヘッド110を移動させることにより堆積される。別の例は、1つ又は複数の湾曲した形状を含む構造を構築するために、1つ又は複数の湾曲部を含む経路に沿ってツールヘッド110を移動させることを含む。さらに別の例は、1つ又は複数の屈曲部、角部などを含む経路に沿ってツールヘッド110を移動させて、非線形経路に沿って延伸することを含む構造を構築することを含む。
【0024】
上述のように、ツールヘッドアセンブリ104は、SSAMプロセスによって生成されるばりの量を低減する1つ又は複数のバリア(例えば、バリア112)を含む。図1図3に示される実装形態では、バリア112のそれぞれは、支持シャフト150及び軸受152を含む。図1図3に見られるように、バリア112のそれぞれの軸受152は、堆積される層(例えば、層142d)の対応する側面154に沿って延伸する。具体的には、バリア112aの軸受152aは、層142dの側面154aに沿って延伸し、バリア112bの軸受152bは、層142dの側面154bに沿って延伸する。図1図3に見られるように、層142dの側面154aは、側面154bの反対側に延伸している。バリア112a及び112bのそれぞれは、本明細書では「第1」及び/又は「第2」のバリアと呼ばれることがある。側面154a及び154bのそれぞれは、本明細書では「第1」及び/又は「第2」の側面と呼ばれることがある。
【0025】
図1図3の実装形態において、バリア112のそれぞれの軸受152は、回転軸線156の周りを自由に回転するように構成されたローラーである。動作中、バリア112は、ツールヘッド110が基板102に対して移動する場合に(例えば、中心長手方向軸線106に沿って、中心長手方向軸線148に沿ってなど)、ツールヘッド110とともに移動して、基板102上に層142dを堆積させる。バリア112が基板102に沿ってツールヘッド110とともに移動する際、軸受152aと152bとの間の摩擦、堆積される材料、及び/又は軸受152aと152bとツールヘッド110の外側長手方向表面132との間の摩擦により、軸受152a及び152bは、対応する回転軸線156の周りでそれぞれの方向158及び160に回転する。したがって、各軸受152のローラーは、ツールヘッド110による層142dの堆積中にバリア112が層142dの長さに沿って移動するとき、回転軸線156の周りを回転する。
【0026】
層142dがツールヘッド110によって基板102上に堆積されると、軸受152a及び152bはそれぞれの側面154a及び154bに沿って延伸し、軸受152は層142dの可塑化された材料が肩部130の縁部136を越えて押し出されるのを制限する。具体的には、軸受152は、側面154に沿って物理的バリアを提供し、縁部136を通過して流れ、それにより肩部130の下から押し出される可塑化された材料の量を低減する。したがって、バリア112は、層142dが基板102上に堆積されるときに生成されるばりの量を低減する。したがって、構造144の各連続層142が基板102上に堆積されると、バリア112は、可塑化された材料が肩部130の下から押し出されるのを制限し、それによって構造144上に形成されるばりの量を低減する。いくつかの実装形態では、バリア112は、SSAM堆積プロセスによって生成されるばりの量を少なくとも約50%、約25%~約75%、少なくとも約90%など低減する。
【0027】
完全に構築された構造144のばりの量を低減することにより、バリア112のいくつかの実装形態は、SSAM装置100を使用して構築された構造144を仕上げるために必要な1つ又は複数の二次仕上げプロセス(例えば、機械加工プロセスなど)の期間及び/又は数を減らす。いくつかの実装形態では、バリア112は、1つ又は複数の二次仕上げプロセスの必要性を排除する。したがって、SSAM装置100のいくつかの実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造144を構築するのに必要な時間量を削減し、及び/又はSSAMプロセスを使用して構造144を構築するコストを削減する。
【0028】
いくつかの実施形態では、層142dの厚さT(図1及び図2に示されるが、図3にはラベル付けされていない)に対する1つ又は複数の軸受152の高さH(図1及び図2に示されるが、図3にはラベル付けされていない)は、層142dの堆積中に生成されるばりの量の低減を促進するように選択される。例えば、いくつかの実装形態では、軸受152が層142cの上面140を過ぎて中心長手方向軸線114に沿って延伸する(図1及び図2に示す)、及び/又は肩部130の縁部136を過ぎて中心長手方向軸線114に沿って延伸するように、軸受152の1つ又は複数は層142dの厚さTと比較してより大きい高さHを有する。他の実装形態では、軸受152の1つ又は複数の高さHは層142dの厚さTにほぼ等しく、軸受152の上面及び下面が、それぞれ層142cの縁部136及び上面140とほぼ整列するようになっている。
【0029】
図1図3に示される実装形態では、軸受152のローラーは、軸受152が支持シャフト150に対して自由に回転するように、対応する支持シャフト150に取り付けられる。他の実装形態では、支持シャフト150は、回転軸線156の周りを自由に回転するように構成され、軸受152のローラーは、支持シャフト150にしっかりと固定され、ともに回転する。
【0030】
上述したように、バリア112は、ツールヘッド110が基板102に対して移動するときにツールヘッド110とともに移動し、層142dを基板102上に堆積させる。いくつかの実装形態では、バリア112のうちの1つ又は複数が、ツールヘッド110とともに共通の固定具(図示せず)に取り付けられ、層142dを堆積させるために共通の固定具がツールヘッド110及びバリア112の両方を基板102に沿って移動させる。さらに、いくつかの実装形態では、バリア112のうちの1つ又は複数が、ツールヘッド110を移動させて層142dを堆積させる固定具とともに移動するように構成される異なる固定具(図示せず)に取り付けられる。
【0031】
図1図3に示される実装形態では、2つのバリア112a及び112bが提供されるが、いくつかの実装形態では、構造144の1つ又は複数の層142の堆積中に1つのバリア112のみが使用される。例えば、基板102上に以前に堆積された層142に直接隣接する(例えば、隣り合うなど)層142を堆積させるとき、いくつかの実装形態では、以前に堆積された層142の側面(図示せず)は、バリア112の1つの代わりに堆積される層142の1つの側面154に沿ったバリアとして使用される。
【0032】
上記の説明から明らかなように、バリア112は、層142の幅W(すなわち、対向する側面154間の距離)を制御する。図1図3に示される実装形態では、軸受152の周囲を画定する軸受152の半径方向最外表面162は、図2及び図3に最もよく示されているように、中心長手方向軸線148に沿ってツールヘッド110の肩部130の縁部136とほぼ整列する。いくつかの実装形態では、1つ又は複数の軸受152の半径方向最外表面162は、ツールヘッド110の中心長手方向軸線114に概ね向かう方向に縁部136を越えて延伸し、1つ又は複数の軸受152が肩部130の端面134の下に延伸するように選択的に配置可能である。言い換えれば、中心長手方向軸線148に沿って縁部136と整列する代わりに、1つ又は複数の軸受152の半径方向最外表面162は、中心長手方向軸線148に沿って縁部136からツールヘッド110の中心長手方向軸線114に向かってオフセットしている。
【0033】
1つ又は複数の軸受152の半径方向最外表面162を延伸させることにより、SSAM装置100は、肩部130の端面134の幅(例えば、直径など)より小さい幅Wを1つ又は複数の層142に提供することができる。さらに、いくつかの実装形態では、1つ又は複数の軸受152の半径方向最外表面162は、層142の堆積中に中心長手方向軸線148に沿って選択的に移動可能であり(すなわち、ツールヘッド110が基板102に沿って移動して層142を堆積させるとき)、例えば、層142の長さに沿って可変幅W(例えば、テーパ幅Wなど)で堆積される層142を提供し、スカラップ及び/又は他の非線形プロファイルなどで堆積される層142の側面154の一方又は両方を提供する。
【0034】
いくつかの実装形態では、バリア112は、1つ又は複数の層142の側面154の形状を制御するために使用される。例えば、1つ又は複数の軸受152の半径方向最外表面162は、いくつかの実装形態では凹形又は凸形を有し、それぞれ相補的な凸形又は凹形で堆積される層142の対応する側面154を提供する。
【0035】
構造144の第1の層142aを堆積させる場合、いくつかの実装形態では、軸受152の下面164(図1及び図2に示されるが、図3には見えない)は、基板102の堆積表面108から離間し(すなわち、方向166で中心長手方向軸線114に沿ってオフセットしている)、基板102が回転軸線156の周りの軸受152の回転と干渉するのを防ぐ。堆積表面108から離間することに加えて、又はその代わりに、いくつかの実装形態では、軸受152は、1つ又は複数の摩擦低減要素(例えば、コーティング、潤滑剤など)を備え、軸受152が第1の層142aの堆積中に回転軸線156の周りを自由に回転できるようにする。
【0036】
バリア112は、図1図3に示されるようにローラーを含むことに限定されない。むしろ、他の実装形態では、バリア112の1つ又は複数は、追加的又は代替的に、バリア112が本明細書で説明及び/又は図示されるように機能することを可能にする任意の他のタイプの転動要素及び/又は軸受を含む。バリア112として使用するのに適した他のタイプの転動要素及び/又は軸受の例には、転動要素軸受、ボール軸受、ころ軸受などが含まれるが、これらに限定されない。
【0037】
さらに、バリア112は、転動要素及び/又は軸受を含むことに限定されず、むしろ、バリア112の他の実装形態は、バリア112が本明細書で説明及び/又は図示されるように機能することを可能にする任意の他の構造を含む。例えば、図5及び図6は、SSAM装置300の別の実装形態を示している。SSAM装置300は、ツールヘッド310と、SSAMプロセスによって生成されるばりの量を低減する1つ又は複数のバリア312とを有するツールヘッドアセンブリ304を含む。図5及び図6に示される実装形態では、各バリア312は、堆積される層342dの対応する側面354に沿って延伸するレール352を含む。具体的には、バリア312aのレール352aは層342dの側面354aに沿って延伸し、バリア312bのレール352bは層342dの側面354bに沿って延伸する。バリア312a及び312bのそれぞれは、本明細書では「第1」及び/又は「第2」のバリアと呼ばれることがある。側面354a及び354bのそれぞれは、本明細書では「第1」及び/又は「第2」の側面と呼ばれることがある。
【0038】
図5及び図6の実装形態において、図5に最もよく見られるように、レール352の各々は湾曲した形状を含む。しかし、他の実装形態では、レール352のうちの1つ又は複数は、ほぼ真っ直ぐに(例えば、SSAM装置100の基板302の中心長手方向軸線306にほぼ平行に)延伸する。レール352は、ツールヘッド310が基板302に対して移動するときにツールヘッド310とともに移動して、層342dを基板302上に堆積させるように構成される。層342dがツールヘッド310によって基板302上に堆積されると、レール352a及び352bは、それぞれの側面354a及び354bに沿って延伸し、レール352は、層342dの可塑化された材料がツールヘッド310の肩部330の縁部336(図5に示されているが、図6では見えない)を越えて押し出されるのを制限する。具体的には、レール352は、側面354に沿って物理的バリアを提供し、縁部336を通過して流れ、それにより肩部330の下から押し出される可塑化された材料の量を低減する。したがって、レール352は、層342dが基板302上に堆積されるときに生成されるばりの量を低減する。したがって、構築される構造の各連続層342が基板302上に堆積されると、バリア312は、可塑化された材料が肩部330の下から押し出されることを制限し、それにより構造上に形成されるばりの量を低減する。いくつかの実装形態では、バリア312は、SSAM堆積プロセスによって生成されるばりの量を少なくとも約50%、約25%~約75%、少なくとも約90%など低減する。
【0039】
完全に構築された構造のばりの量を低減することにより、バリア312は、SSAM装置300を使用して構築された構造を仕上げるのに必要な1つ又は複数の二次仕上げプロセス(例えば、機械加工プロセスなど)の期間及び/又は数を減らす。いくつかの実装形態では、バリア312は、1つ又は複数の二次仕上げプロセスの必要性を排除する。したがって、SSAM装置300のいくつかの実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するのに必要な時間量を削減し、及び/又はSSAMプロセスを使用して構造を構築するコストを削減する。
【0040】
図7は、SSAM装置400の別の実装形態を示している。SSAM装置400は、ツールヘッド410と、SSAMプロセスによって生成されるばりの量を低減する1つ又は複数のバリア412とを有するツールヘッドアセンブリ404を含む。図7に示される実装形態では、各バリア412は、SSAM装置400の基板402の中心長手方向軸線406に沿って延伸するレール452を含む。図7に示されるように、各レール452が層442dの最終的な全長のほぼ全体に沿って堆積される層442dの対応する側面454に沿って延伸するように、各レール452は中心長手方向軸線406に沿った位置に固定される。図7に示される各バリア412は、本明細書では「第1」及び/又は「第2」のバリアと呼ばれることがあり、図7に示される各側面454は、本明細書では「第1」及び/又は「第2」の側面と呼ばれることがある。
【0041】
動作中、層442dがツールヘッド410によって基板402上に堆積されると、レール452は側面454に沿って延伸し、レール452は、層442dの可塑化された材料が、ツールヘッド410の肩部(見えない)の縁部436を越えて押し出されるのを制限する。具体的には、レール452は、側面454に沿って物理的バリアを提供し、縁部436を通過して流れ、それにより肩部の下から押し出される可塑化された材料の量を低減する。したがって、レール452は、層442dが基板402上に堆積されるときに生成されるばりの量を低減する。したがって、構築中の構造の各連続層442が基板402上に堆積されると、バリア412は、結果として得られる完全に構築された構造上に形成されるばりの量を低減する。いくつかの実装形態では、バリア412は、SSAM堆積プロセスによって生成されるばりの量を少なくとも約50%、約25%~約75%、少なくとも約90%など低減する。
【0042】
完全に構築された構造のばりの量を低減することにより、バリア412のいくつかの実装形態は、SSAM装置400を使用して構築された構造を仕上げるのに必要な1つ又は複数の二次仕上げプロセス(例えば、機械加工プロセスなど)の期間及び/又は数を減らす。いくつかの実装形態では、バリア412は、1つ又は複数の二次仕上げプロセスの必要性を排除する。したがって、SSAM装置400のいくつかの実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するのに必要な時間量を削減し、及び/又はSSAMプロセスを使用して構造を構築するコストを削減する。
【0043】
再び図1図3を参照すると、バリア112は、バリア112a及び112bがそれぞれ基板102の中心長手方向軸線106に沿ってツールヘッド110と整列するように、ツールヘッド110と並んで配置される。図8は、SSAM装置500のバリア512がSSAM装置500のツールヘッド510の後ろに配置されている、SSAM装置500の別の実装形態を示している。具体的には、SSAM装置500は、ツールヘッド510と、SSAMプロセスによって生成されるばりの量を低減する1つ又は複数のバリア512とを含むツールヘッドアセンブリ504を含む。図8に示される実装形態では、各バリア512は、支持シャフト550と、回転軸線556の周りを自由に回転するように構成されたローラーである軸受552とを含む。図8に見られるように、各バリア512の軸受552は、堆積される層542dの対応する側面554(そのうちの1つのみが見える)に沿って延伸する。図8に示される各バリア512は、本明細書では「第1」及び/又は「第2」のバリアと呼ばれることがある。層542dの側面554のそれぞれは、本明細書では「第1」及び/又は「第2」の側面と呼ばれることがある。
【0044】
図8の実装形態は、任意選択で、1つ又は複数の他のバリア568を含む。本明細書に示されるように、1つ又は複数の他のバリア568は、支持シャフト570と、回転軸線574の周りを自由に回転するように構成されたローラーである軸受572とを含む。しかし、1つ又は複数の他のバリア568はローラーに限定されない。むしろ、他の実装形態では、1つ又は複数の他のバリア568は、追加的又は代替的に、1つ又は複数の他のバリア568が本明細書で説明及び/又は図示されるように機能することを可能にする任意の他のタイプの転動要素及び/又は軸受(例えば、転動要素軸受、ボール軸受、ころ軸受など)を含む。さらに、1つ又は複数の他のバリア568は、転動要素及び/又は軸受を含むことに限定されず、むしろ、他のバリア568の実装形態は、1つ又は複数の他のバリア568が本明細書で説明及び/又は図示されるように機能することを可能にする任意の他の構造を含む。
【0045】
上記で簡単に説明したように、SSAM装置500のバリア512は、SSAM装置500のツールヘッド510の後ろに配置される。具体的には、図8に示すように、バリア512は、SSAM装置500の基板502の中心長手方向軸線506に沿って矢印546の方向にツールヘッド510からオフセットしている。図8にも見られるように、1つ又は複数の他のバリア568も、方向546の中心長手方向軸線506に沿ってツールヘッド510からオフセットしている。動作中、ツールヘッド510が基板502に対して移動すると、バリア512及び568はツールヘッド510とともに移動し、層542dを基板502上に堆積させる。基板502に沿って移動する間、バリア512及び568はツールヘッド510の後ろを追跡する。言い換えれば、ツールヘッド510は、層542dの堆積中にバリア512及び568の前方に移動する。バリア512がツールヘッド510の後ろに移動すると、バリア512は、層542dの可塑化された材料がツールヘッド510の肩部530の縁部536を越えて押し出されるのを制限する。したがって、バリア512は、層542dが基板502上に堆積されるときに生成されるばりの量を低減する。したがって、バリア512は、SSAM装置500によって構築された構造上に形成されるばりの量を低減する。いくつかの実装形態では、バリア512は、SSAM堆積プロセスによって生成されるばりの量を少なくとも約50%、約25%~約75%、少なくとも約90%など低減する。
【0046】
SSAMプロセスによって生成されるばりの量を低減することにより、バリア512のいくつかの実装形態は、SSAM装置500を使用して構築された構造を仕上げるのに必要な1つ又は複数の二次仕上げプロセス(例えば、機械加工プロセスなど)の期間及び/又は数を減らす。いくつかの実装形態では、バリア512は、1つ又は複数の二次仕上げプロセスの必要性を排除する。したがって、SSAM装置500のいくつかの実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するのに必要な時間量を削減し、及び/又はSSAMプロセスを使用して構造を構築するコストを削減する。
【0047】
層542dの堆積中に1つ又は複数の他のバリア568がツールヘッド510の後ろに移動すると、1つ又は複数の他のバリア568の軸受572は、層542dの上面576に沿って層542dの可塑化された材料を制限し、例えば、層542dに所定の厚さTを提供し、層542dの上面576に所定の表面仕上げを提供する。
【0048】
バリア512及び568は、バリア512及び/又は568が本明細書で説明されるように機能することを可能にする任意の距離で、ツールヘッド510から中心長手方向軸線506に沿ってオフセットされる。いくつかの実装形態では、ツールヘッド510からの中心長手方向軸線506に沿ったバリア512及び568の距離は、層542の1つ又は複数を堆積させる間などの、基板502に沿ったツールヘッド510の移動速度に基づいて、SSAMプロセスの温度に基づいて選択される。
【0049】
図9は、一実装形態によるSSAMのための方法600を示すフローチャートである。方法600は、602で、材料を基板上に堆積させ、それにより基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するためにツールヘッドを通して材料を供給するステップを含む。いくつかの実装形態では、602で材料を供給するステップは、602aで、基板の長手方向軸線に沿ってツールヘッドを移動させるステップを含む。604で、方法600は、材料が基板上に堆積されるときにツールヘッドを回転させるステップを含む。606で、方法600は、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌するように、材料をツールヘッドの肩部と接触させるステップを含む。
【0050】
方法600は、608で、材料が基板上に堆積されて材料を制限する場合に、少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するバリアを使用して、材料がツールヘッドの肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するステップを含む。いくつかの実装形態では、608での制限するステップは、608aで、ツールヘッドで基板の長手方向軸線に沿ってバリアを移動させるステップを含む。608での制限するステップは、608bで、いくつかの実装形態では、ツールヘッドの後ろで長手方向軸線に沿ってバリアを追跡するステップを含む。さらに、いくつかの実装形態では、608での制限するステップは、608cで、軸受、ローラー、及び/又はレールを設けるステップを含む。
【0051】
ここで図10を参照すると、本開示の例は、複数の高レベルシステム704及び内部706を備えた機体702を含む航空機700の1つ又は複数の部分を構築するためにSSAMプロセスを使用する文脈で説明され得る。高レベルシステム704の例には、推進システム708、電気システム710、作動油システム712、制御システム714、及び環境システム716の1つ又は複数が含まれる。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙の例が示されているが、本原理は、限定されないが、自動車産業や海洋産業などの他の産業にも適用され得る。
【0052】
本開示の例は、図11に示されるように、航空機の製造及び保守点検方法800の文脈で説明することができる。製造前に、例示的な方法800は、航空機(例えば、図10に示される航空機700など)及び材料調達804の仕様及び設計802を含むことができる。製造中に、構成要素及び部分組立品の製造806と航空機のシステム統合808が行われる。その後、航空機は、認証及び搬送810を経て就航中812になることができる。顧客の就航中、航空機は、(修正、再構成、改修などを含み得る)日常の整備及び保守点検814のためにスケジュールされている。
【0053】
例示的な方法800の各プロセスを、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)が実行することができる。この説明の目的のために、システムインテグレータは、非限定的に、任意の数の航空機製造業者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者は、非限定的に、任意の数のベンダ、下請業者、及びサプライヤを含んでもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織等であってもよい。
【0054】
本明細書で説明されるシステムには、任意の数の他のシステムを含めることができることに留意されたい。また、航空宇宙の例が示されているが、本原理は、限定されないが、自動車産業や海洋産業などの他の産業にも適用され得る。
【0055】
本明細書に示され又は記載されたシステム及び方法を、製造及び保守点検方法800のいずれか1つ又は複数のステージの間に使用することができる。例えば、構成要素及び部分組立品の製造806に対応する構成要素又は部分組立品を、航空機が就航中に生産された構成要素又は部分組立品と同様の方法で製造することができる。また、システム、方法、又はそれらの組み合わせの1つ又は複数の態様は、例えば、航空機の組み立てを実質的に促進するか又はコストを削減することにより、部分組立品の製造806及びシステム統合808の製造状態中に利用できる。同様に、装置又は方法の実現の1つ又は複数の態様、又はそれらの組み合わせは、航空機が就航中、例えば、整備及び保守点検814中に、例えば制限なく利用することができる。
【0056】
本開示のさまざまな実装形態は、より少ないばりを生成するSSAMプロセスを可能にする。さらに、本開示のさまざまな実装形態は、SSAMプロセスを使用して構築された構造を仕上げるために必要な1つ又は複数の二次仕上げプロセス(例えば、機械加工プロセスなど)の期間を短縮する。本開示のさまざまな実装形態は、SSAMプロセスを使用して構築された構造を仕上げるために必要な二次仕上げプロセスの数を減らす。本開示のさまざまな実装形態は、1つ又は複数の二次仕上げプロセスの必要性を排除する。本開示のさまざまな実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するのに必要な時間量を削減する。さらに、本開示のさまざまな実装形態は、SSAMプロセスを使用して構造を構築するコストを削減する。
【0057】
次の条項では、さらなる態様について説明する。
【0058】
条項セットA:
A1.固相付加製造装置のためのツールヘッドアセンブリが、
内部に材料を受け入れるように構成された材料通路を備えたツールヘッドであって、ツールヘッドは、材料通路から材料を固相付加製造装置の基板上に堆積させて基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するように構成され、ツールヘッドは材料に接触するように構成された肩部を備え、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌する、ツールヘッドと、
少なくとも1つの層が基板上に堆積されるときに、少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するように構成されたバリアであって、バリアは材料が肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するように構成される、バリアと
を備える、ツールヘッドアセンブリ。
【0059】
A2.バリアが第1のバリアであり、側面が第1の側面であり、少なくとも1つの層が第1の側面の反対側に延伸する第2の側面を備え、ツールヘッドアセンブリは、少なくとも1つの層が基板上に堆積されると、少なくとも1つの層の第2の側面に沿って延伸するように構成された第2のバリアを備える、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0060】
A3.ツールヘッドは、ツールヘッドが基板上に材料の少なくとも1つの層を堆積させるときに基板の長手方向軸線に沿って移動するように構成され、バリアは基板の長手方向軸線に沿ってツールヘッドとともに移動するように構成される、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0061】
A4.バリアが軸受を備える、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0062】
A5.バリアは、少なくとも1つの層の堆積中にバリアが少なくとも1つの層の長さに沿って移動するときに回転軸線の周りを自由に回転するように構成されたローラーを備える、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0063】
A6.バリアが、ローラー、転動要素軸受、ボール軸受、又はころ軸受のうちの少なくとも1つを含む転動要素を備える、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0064】
A7.バリアが、基板の長手方向軸線に沿って延伸するレールを備え、レールは、長手方向軸線に沿った位置に固定されている、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0065】
A8.ツールヘッドは、ツールヘッドが基板上に材料の少なくとも1つの層を堆積させるときに基板の長手方向軸線に沿って移動するように構成され、バリアは、ツールヘッドとともに長手方向軸線に沿って移動するように構成されたレールを備える、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0066】
A9.ツールヘッドは、ツールヘッドが基板上に材料の少なくとも1つの層を堆積させるときに基板の長手方向軸線に沿って移動するように構成され、バリアは、ツールヘッドとともに長手方向軸線に沿って移動するように構成されたレールを備え、レールは湾曲した形状を含む、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0067】
A10.ツールヘッドは、ツールヘッドが基板上に材料の少なくとも1つの層を堆積させるときに基板の長手方向軸線に沿って移動するように構成され、バリアは、バリアが長手方向軸線に沿ってツールヘッドと整列するようにツールヘッドと並んで配置される、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0068】
A11.ツールヘッドは、ツールヘッドが基板上に材料の少なくとも1つの層を堆積させるときに基板の長手方向軸線に沿って移動するように構成され、バリアは長手方向軸線に沿ってツールヘッドの後ろに配置される、条項A1に記載のツールヘッドアセンブリ。
【0069】
条項セットB:
B1.固相付加製造装置であって、
基板と、
内部に材料を受け入れるように構成された材料通路を備えたツールヘッドであって、ツールヘッドは、材料通路から材料を基板上に堆積させて基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するように構成され、ツールヘッドは材料に接触するように構成された肩部を備え、ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌する、ツールヘッドと、
少なくとも1つの層が基板上に堆積されるときに、少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するように構成されたバリアであって、バリアは材料が肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するように構成される、バリアと
を備える、固相付加製造装置。
【0070】
B2.バリアが第1のバリアであり、側面が第1の側面であり、少なくとも1つの層が第1の側面の反対側に延伸する第2の側面を備え、ツールヘッドは、少なくとも1つの層が基板上に堆積されると、少なくとも1つの層の第2の側面に沿って延伸するように構成された第2のバリアを備える、条項B1に記載の固相付加製造装置。
【0071】
B3.基板が長手方向軸線に沿って伸びて延伸し、ツールヘッドは、ツールヘッドが基板上に材料の少なくとも1つの層を堆積させるときに基板の長手方向軸線に沿って移動するように構成され、バリアは、基板の長手方向軸線に沿ってツールヘッドとともに移動するように構成される、条項B1に記載の固相付加製造装置。
【0072】
B4.バリアは、少なくとも1つの層の堆積中にバリアが少なくとも1つの層の長さに沿って移動するときに回転軸線の周りを自由に回転するように構成されたローラーを備える、条項B1に記載の固相付加製造装置。
【0073】
B5.バリアが、レール又は転動要素のうちの少なくとも1つを備える、条項B1に記載の固相付加製造装置。
【0074】
条項セットC:
C1:固相付加製造のための方法であって、
材料を基板に堆積させ、それにより基板上に材料の少なくとも1つの層を形成するために材料をツールヘッドから供給するステップと、
材料が基板上に堆積されるときにツールヘッドを回転させるステップと、
ツールヘッドの回転が材料を摩擦攪拌するように材料をツールヘッドの肩部に接触させるステップと、
材料が基板上に堆積されて材料を制限するときに、少なくとも1つの層の側面に沿って延伸するバリアを使用して、材料がツールヘッドの肩部の縁部を越えて押し出されるのを制限するステップと
を含む、方法。
【0075】
C2.材料を供給するステップが、基板の長手方向軸線に沿ってツールヘッドを移動させるステップを含み、材料を制限するステップが、ツールヘッドで基板の長手方向軸線に沿ってバリアを移動させるステップを含む、条項C1に記載の方法。
【0076】
C3.バリアが、軸受、ローラー、又はレールの少なくとも1つを設けるステップを含む、条項C1に記載の方法。
【0077】
C4.材料を供給するステップが、基板の長手方向軸線に沿ってツールヘッドを移動させるステップを含み、材料を制限するステップが、ツールヘッドの後ろで長手方向軸線に沿ってバリアを追跡するステップを含む、条項C1に記載の方法。
【0078】
本明細書で使用される、タスク又は動作を実行する「ように構成された(configured to)」構造、制限、又は要素は、特に構造的に形成され、構築され、又はタスクもしくは動作に対応するように適合されている。明確にする目的及び誤解を避けるために、タスク又は動作を実行するように変更されることが単に可能なオブジェクトは、本明細書で使用されるタスク又は動作を実行する「ように構成され(configured to)」ていない。
【0079】
当業者には明らかであるように、本明細書で与えられる任意の範囲又は値は、求められる効果を失うことなく拡張又は変更することができる。
【0080】
主題は構造的特徴及び/又は方法論的行為に特有の言語で説明されているが、添付の特許請求の範囲で定義される主題は必ずしも上記の特定の特徴又は行為に限定されないことを理解されたい。むしろ、上記の特定の特徴及び行為は、特許請求の範囲を実装する例示的な形態として開示されている。
【0081】
上述の利益及び利点は、一実施形態に関連するか、又はいくつかの実施形態に関連し得ることが理解されよう。実施形態は、述べられた問題のいずれか又はすべてを解決するもの、又は述べられた利益及び利点のいずれか又はすべてを有するものに限定されない。さらに、「ある」アイテムへの言及は、それらのアイテムの1つ又は複数を指すことが理解されよう。
【0082】
本明細書で例示及び説明される実施形態ならびに本明細書で具体的に説明されないが特許請求の範囲の範囲内の実施形態は、油圧アキュムレータの二重使用のための手段を構成する。
【0083】
本明細書では、「含む」という用語は、1つ又は複数の追加の特徴又は行為の存在を除外することなく、その後に続く特徴又は行為を含めることを意味するために使用される。
【0084】
本明細書で図示及び説明される開示の例における動作の実行の順序は、特に指定されない限り必須ではない。すなわち、動作は、特に指定されない限り、任意の順序で実行することができ、本開示の例は、本明細書に開示されるものよりも多い又は少ない動作を含むことができる。例えば、別の動作(例えば、異なるステップ)の前、同時、又は後に特定の動作を実行することは、本開示の態様の範囲内であると考えられる。
【0085】
本開示の態様の要素又はその例を紹介するとき、冠詞「a」、「an」、「the」、及び「said」は、1つ又は複数の要素があることを意味するものとする。「備える」、「含む」、及び「有する」という用語は、包括的であることを意図しており、リストされた要素以外の追加の要素が存在する可能性があることを意味する。「例示的(exemplary)」という用語は、「の例(an example of)」を意味するものである。「A、B、及びCの1つ又は複数」という語句は、「Aの少なくとも1つ及び/又はBの少なくとも1つ及び/又はCの少なくとも1つ」を意味する。
【0086】
本開示の態様を詳細に説明したが、添付の特許請求の範囲で定義される本開示の態様の範囲から逸脱することなく修正及び変更が可能であることは明らかである。本開示の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構造、製品、及び方法にさまざまな変更を加えることができるため、上記の説明に含まれ、添付の図面に示されているすべての事項は、限定的な意味ではなく、例示として解釈されるものとする。
【0087】
上記の説明は例示であって限定されないことを意図することが理解されるべきである。例えば、上述の実施形態(及び/又はその態様)を、互いに組み合わせて使用することができる。加えて、本開示のさまざまな実施形態の教示に、その範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を適合するために、多くの変更がなされ得る。本明細書中に記載される材料の寸法及びタイプは、本開示のさまざまな実施形態のパラメータを画定することを意図されているが、本実施形態は、決して限定的ではなく例示的な実施形態である。多くの他の実施形態は、上記の説明を検討することにより当業者には明らかにされよう。本開示のさまざまな実施形態の範囲は、したがって、その請求項が権利を有する均等物の全範囲とともに、添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。添付の特許請求の範囲において、「含む(including)」や「ここで(in which)」という用語は、普通の英語の各用語「備える(comprising)」や「ここで(wherein)」と同等として使用される。また、用語「第1(first)」、「第2(second)」、及び「第3(third)」などは、単にラベルとして使用され、これらの対象に数の要件を課すことを意図するものではない。さらに、以下の特許請求の範囲の制限は、ミーンズプラスファンクション形式で書かれておらず、このクレームの限定がさらなる構造の機能ボイドの記述に続く「手段(means for)」のフレーズを明示的に使用しない限り、米国特許法第112条(f)に基づいて解釈されるものではない。
【0088】
この記載は、ベストモードを含む本開示のさまざまな実施形態を開示するために例を使用し、また、当業者が、任意のデバイス又はシステムを作製及び使用すること、ならびに任意の組み込まれた方法を実行することを含む、本開示のさまざまな実施形態を実施することを可能にする。本開示のさまざまな実施形態の特許可能な範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者が想到する他の例を含むことができる。例が特許請求の範囲の文言と異ならない構造要素を有する場合、又は例が特許請求の範囲の文言と実質的でない差を有する同等の構造的要素を含む場合、このような他の例は、特許請求の範囲の範囲内にあることが意図されている。
【符号の説明】
【0089】
100 固相付加製造(SSAM)装置
102 基板
104 ツールヘッドアセンブリ
106 中心長手方向軸線
108 堆積表面
110 ツールヘッド
112,112a,112b バリア
114 中心長手方向軸線
116,118 端部
120 材料通路
122 入口
124 ノズル
130 肩部
132 外側長手方向表面
134 端面
136 縁部
140 上面
142 連続層
142a 第1の層
142b 第2の層
142c 第3の層、介在層
142d 第4の層、仕上げ層
144 構造
148 中心長手方向軸線
150 支持シャフト
152,152a,152b 軸受
154,154a,154b 側面
156 回転軸線
162 半径方向最外表面
164 下面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11