(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】接合体の製造方法、接合体、及び導電粒子含有ホットメルト接着シート
(51)【国際特許分類】
C09J 5/06 20060101AFI20240702BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20240702BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20240702BHJP
C09J 9/02 20060101ALI20240702BHJP
C09J 167/00 20060101ALI20240702BHJP
C09J 177/00 20060101ALI20240702BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20240702BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20240702BHJP
H01B 1/00 20060101ALI20240702BHJP
H01B 5/16 20060101ALI20240702BHJP
C09J 7/35 20180101ALI20240702BHJP
【FI】
C09J5/06
H01R43/00 H
H01R11/01 501A
H01R11/01 501C
C09J9/02
C09J167/00
C09J177/00
C09J11/04
H01B1/22 D
H01B1/00 C
H01B5/16
C09J7/35
(21)【出願番号】P 2020098843
(22)【出願日】2020-06-05
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000108410
【氏名又は名称】デクセリアルズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113424
【氏名又は名称】野口 信博
(74)【代理人】
【識別番号】100185845
【氏名又は名称】穂谷野 聡
(72)【発明者】
【氏名】熊倉 博之
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智幸
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-026963(JP,A)
【文献】特開2014-017248(JP,A)
【文献】特開2020-033427(JP,A)
【文献】特開2018-135422(JP,A)
【文献】特開2014-060025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 7/35
C09J 9/02
C09J 167/00
C09J 177/00
C09J 11/04
C09J 5/06
H01R 43/00
H01R 11/01
H01B 1/22
H01B 1/00
H01B 5/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子部品と第2の電子部品とを、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着剤シートを介して熱圧着し、前記第1の電子部品の導通部と前記第2の電子部品の導通部とを接続させる接合体の製造方法であって、
前記導電粒子含有ホットメルト接着剤の溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、
120℃における溶融粘度に対する
100℃における溶融粘度の比が10以上である接合体の製造方法。
【請求項2】
前記結晶性ポリアミド樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との質量比が、10:90~90:10である請求項
1記載の接合体の製造方法。
【請求項3】
前記導電粒子は、導電材料に異なる導電材料を被覆した金属被覆金属粒子である請求項1
又は2記載の接合体の製造方法。
【請求項4】
前記導電粒子の平均粒子径が、前記導電粒子含有ホットメルト接着シートの厚みの70%以上である請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の接合体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の電子部品及び前記第2の電子部品の少なくとも一方の基材が、ポリ塩化ビニルである請求項1乃至
4のいずれか1項に記載の接合体の製造方法。
【請求項6】
前記熱圧着の温度が、110~130℃である請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の接合体の製造方法。
【請求項7】
第1の電子部品と、第2の電子部品と、第1の電子部品の導通部と第2の電子部品の導通部とを接続する接着層とを備え、
前記接着層は、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有し、溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である接合体。
【請求項8】
前記第1の電子部品及び前記第2の電子部品の少なくとも一方の基材が、ポリ塩化ビニルである請求項
7記載の接合体。
【請求項9】
結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有し、溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である導電粒子含有ホットメルト接着シート。
【請求項10】
前記結晶性ポリアミド樹脂と前記結晶性ポリエステル樹脂との質量比が、10:90~90:10である請求項
9記載の導電粒子含有ホットメルト接着シート。
【請求項11】
前記導電粒子は、導電材料に異なる導電材料を被覆した金属被覆金属粒子である請求項
9又は
10記載の導電粒子含有ホットメルト接着シート。
【請求項12】
前記導電粒子の平均粒子径が、当該導電粒子含有ホットメルト接着シートの厚みの70%以上である請求項
9乃至
11のいずれか1項に記載の導電粒子含有ホットメルト接着シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、導電粒子含有ホットメルト接着シートを用いた接合体の製造方法及び接合体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品同士を接続する手段として、異方性導電フィルム(ACF)、異方性導電ペースト(ACP)などの接続材料が用いられている。ACFは、例えば、熱硬化性樹脂を含んだ絶縁性バインダーに導電性粒子が分散されてなるフィルム状の接続材料である。ACPは、例えば、熱硬化性樹脂を含んだ絶縁性バインダーに導電性粒子が分散されてなるペースト状の接続材料である。異方導電接続したい電子部品同士の電極部分を、ACFやACPを介して熱圧着することにより、熱硬化性樹脂を含んだバインダーを熱硬化させて接続を行う。これらのACFやACPは、導電粒子を含有した接着フィルムや接着剤の一例である。
【0003】
近年、電子部品同士の接続には、低温、低圧力、および短時間での接続が要求されている。低温での接続は、電子部品の熱的ダメージを低減する観点、接続の際の加熱温度のバラツキを防ぐ観点、実装設備への負荷の低減の観点などから要求されている。低圧力での接続は、基板の特性(基板の薄さや構成、材質)から生じるダメージの観点などから要求されている。短時間での接続は、生産性の観点などから要求されている。
【0004】
しかし、従来のACFでは、熱硬化性樹脂を用いるため、低温及び短時間での接続に対応しようとすると、保管中に硬化が生じるために、保管期間を短くする必要があり、実用上適さないことがあった。また、生産性の観点から、常温での1~2年間程度の保存安定性が要求されることがあるが、熱硬化性樹脂を用いたACFでは、対応が難しいことがあった。
【0005】
そこで、十分な接続抵抗を維持しつつ、低温、低圧力、及び短時間での接続を可能とするACFとして、結晶性樹脂と非晶性樹脂からなる熱可塑性ACFが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このようなACFやACPは、それぞれ対向する複数の端子を備える第1の電子部品と第2の電子部品との異方導電接続に用いられ、また、第1の電子部品又は第2の電子部品の少なくともいずれか一方が全面電極を備える場合の異方導電接続にも用いられる。なお、いずれの端子も全面電極である電気的接続に用いられるのも、当然である。
【0006】
しかしながら、これらのACFであっても、被着体がPVC(polyvinyl chloride)等の難接着性材料となった場合には、十分な接続信頼性が得られないことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第5964187号
【文献】特開2017-117468号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる接合体の製造方法、接合体、導電粒子含有ホットメルト接着シートを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本技術に係る接合体の製造方法は、第1の電子部品と第2の電子部品とを、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着剤シートを介して熱圧着し、前記第1の電子部品の導通部と前記第2の電子部品の導通部とを接続させる接合体の製造方法であって、前記導電粒子含有ホットメルト接着剤の溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である。
【0010】
本技術に係る接合体は、第1の電子部品と、第2の電子部品と、第1の電子部品の導通部と第2の電子部品の導通部とを接続する接着層とを備え、前記接着層は、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有し、溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である。
【0011】
本技術に係る導電粒子含有ホットメルト接着シートは、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有し、溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である。
【発明の効果】
【0012】
本技術によれば、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る接合体の一例を模式的に示す断面図である。
【
図2】
図2は、スマートカードの一例を示す概略斜視図である。
【
図3】
図3は、カード部材のICチップ領域の一例を示す上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本技術の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1.接合体
2.接合体の製造方法
3.導電粒子含有ホットメルト接着シート
4.実施例
【0015】
<1.接合体>
本実施の形態に係る接合体は、第1の電子部品と、第2の電子部品と、第1の電子部品の導通部と第2の電子部品の導通部とを接続する接着層とを備え、接着層は、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有し、溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である。これにより、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。
【0016】
100℃における接着層の粘度は、好ましくは8000~800000Pa・s、より好ましくは15000~500000Pa・s、さらに好ましくは20000~300000Pa・sである。また、120℃における接着層の粘度は、好ましくは100~20000Pa・s、より好ましくは500~15000Pa・s、さらに好ましくは1000~8000Pa・sである。ここで、接着層の溶融粘度は、例えば、回転式レオメーター(HAAKE社製)を用い、ギャップ0.2mm、温度範囲60~200℃、昇温速度5℃/分、測定周波数1Hz、測定プレート直径8mmの条件で測定することができる。なお、溶融粘度の温度は、基材の特性や接続の量産性などの諸条件に応じて設定することができるため、接続対象物及びその接続の諸条件によって変更してもよい。
【0017】
図1は、本実施の形態に係る接合体の一例を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、接合体は、第1の導通部11を有する第1の電子部品10と、第2の導通部21を有する第2の電子部品20と、第1の電子部品10の導通部11と第2の電子部品21の導通部21とを接続する導電粒子含有ホットメルト接着シートよりなる接着層30とを備える。ここで、第1の導通部11及び第2の導通部21は、特に限定されるものではなく、電極、ワイヤー、端子列などであってもよく、種々の形態から選択できる。
【0018】
第1の電子部品10としては、第2の電子部品を搭載可能なスマートカード(Smart card)カード部材や、基板(所謂、プリント配線板:PWB)として広義に定義できる、例えば、リジット基板、ガラス基板、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、セラミック基板、プラスチック基板などが挙げられる。
【0019】
また、第2の電子部品20としては、スマートカードのICチップ、LED(Light Emitting Diode)、ドライバーIC(Integrated Circuit)等のチップ(素子)、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)、樹脂成形された部品など、配線(導通材)が設けられたものが挙げられる。
【0020】
接着層30は、後述するように、バインダー中に導電粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着シートが膜状となったものである。接着層30は、第1の電子部品10の第1の導通部11と第2の電子部品20の第2の導通部21とを導電粒子31により導通させるとともに、第1の電子部品10と第2の電子部品との間をバインダーにより接着する。第1の導通部11と第2の導通部21とが、共に対向し、それぞれに個々に独立した電極の集合から構成される場合、異方導電接続となり、本技術に係る導電粒子含有ホットメルト接着シートを用いることができる。また、本技術に係る導電粒子含有ホットメルト接着シートは、第1の導通部11と第2の導通部21とが、それぞれ全面電極で構成される場合の(等方)導電接続に用いることもできる。さらに、本技術に係る導電粒子含有ホットメルト接着シートは、一方の導通部が個々に独立した電極の集合からなり、他方の導通部が全面電極のものについても用いることができる。これは、公知の異方性導電フィルムについても同様のことが言える。なお、技術上、導通に関しては「異方性」がより困難であることは、言うまでもない。
【0021】
本実施の形態に係る接合体は、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、溶融粘度が所定の関係を有するバインダー中に導電粒子を含有する接着層を備えるため、樹脂の流動性を向上させ、PVC(polyvinyl chloride)等の難接着性材料であっても、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。これは、バインダーの溶融粘度が所定の関係を有することにより、樹脂の濡れ性が向上したものと考えられる。
【0022】
次に、接合体の具体例として、第1の電子部品10としてカード部材を用い、第2の電子部品としてICチップを用いた、スマートカードについて説明する。スマートカード(Smart card)は、情報(データ)の記録や演算をするために集積回路(IC:Integrated circuit)を組み込んだカードであり、「ICカード(Integrated circuit card)」、「チップカード(Chip card)」とも呼ばれる。また、スマートカードは、1つのICチップで、接触型、非接触型の2つのインターフェースを持つデュアルインターフェイスカードであってもよく、接触型ICチップと非接触型ICチップとが搭載されたハイブリッドカードであってもよい。このスマートカードに用いられるICチップは、一般的なディスプレイ用途等のICチップとは異なり、端子列が複数存在しないのが一般的である。以下に説明するICチップは、スマートカードに用いられるICチップとして説明する。
【0023】
図2は、スマートカードの一例を示す概略斜視図であり、
図3は、カード部材のICチップ領域の一例を示す上面図である。スマートカードは、カード部材40と、ICチップ50とを備える。カード部材40は、第1の基材と、アンテナを備える第2基材と、第3の基材とがこの順番に積層された積層体である。ICチップ50は、表面に複数の接触端子51を有し、裏面に例えば全面に電極を有する。
【0024】
第1の基材、第2の基材、及び第3の基材は、例えば、樹脂からなる複数の層が積層されて構成される。各層を構成する樹脂としては、例えば、PVC(ポリ塩化ビニル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PET-G、PC(ポリカーボネート)などが挙げられる。基材を、複数の層から構成することにより、1つの層から構成する場合に比べて、剛性が必要以上に高くなるのを防ぐことができる。
【0025】
第1の基材は、ICチップ50の形状に対応する開口41を有し、開口41は、第2の基材を露出させ、ICチップ領域を形成する。第2の基材は、第1の基材と第3の基材との間に配され、例えば樹脂からなる層の内部に、外周部を複数周回するアンテナパターン42を有する。また、第2の基材は、開口41に面するICチップ領域において、例えば埋設されたアンテナパターンの一部が露出するようにICチップ50の裏面に対応して削られ、凹部を形成する。すなわち、第2の基材の凹部は、開口41の形状に対応しており、ICチップ領域には、アンテナパターン42の第1の露出部42a及び第2の露出部14bが形成されている。アンテナパターン42の金属ワイヤーとしては、例えば銅線などが挙げられる。
【0026】
また、第2の基材は、ICチップ領域に非貫通孔である溝や複数の孔を有することが好ましい。これにより、接着層の樹脂が溝や孔に流入し、接着層との密着力を向上させることができる。また、溝や孔の開口部の最短長さは、導電粒子の平均粒子径よりも小さいことが好ましい。具体的な溝や孔の開口部の最短長さの下限は、導電粒子の平均粒子径の20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、40%以上であることが特に好ましい。また、具体的な孔の開口部の最短長さの上限は、導電粒子の平均粒子径の80%以下であることが好ましく、70%以下であることがより好ましく、60%以下であることが特に好ましい。これにより、溝や孔に導電粒子が嵌まりやすくなり、導電粒子の捕捉性が向上し、ICチップとの優れた電気的接続を得ることができる。
【0027】
接着層は、開口41のICチップ領域とICチップ50との間に介在し、ICチップ50の電極とアンテナパターン42の第1の露出部42a及び第2の露出部42bとを電気的に接続する。なお、ICチップ50とアンテナパターン42との接続は、異方性でない場合がある。
【0028】
具体例として示すスマートカードは、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、溶融粘度が所定の関係を有するバインダー中に導電粒子を含有する接着層を備えるため、PVC(polyvinyl chloride)等の難接着性材料であっても、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。これは、バインダーの溶融粘度が所定の関係を有することにより、樹脂の濡れ性が向上したものと考えられる。なお、本技術は、スマートカード以外の一般的な異方性接続体、例えばリジット基板とFPCからなるFOBに適用できるが、詳細については省略する。また、本技術の適用範囲は、接合体の製造方法についても、略同様である。
【0029】
<2.接合体の製造方法>
本実施の形態に係る接合体の製造方法は、第1の電子部品と第2の電子部品とを、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着剤シートを介して熱圧着し、第1の電子部品の導通部と第2の電子部品の導通部とを接続させる接合体の製造方法であって、導電粒子含有ホットメルト接着剤の溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、熱圧着の温度における溶融粘度に対する熱圧着の温度の-20℃における溶融粘度の比が10以上である。これにより、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。この粘度を示す温度の条件は、接合体の製造方法によって変更することができる。
【0030】
以下、
図1を参照して、第2の電子部品に導電粒子含有ホットメルト接着シートを貼り付ける貼付工程(A)、第1の電子部品に第2の電子部品を載置する載置工程(B)、及び、第1の電子部品と第2の電子部品とを熱圧着する圧着工程(C)について説明する。
【0031】
[貼付工程(A)]
貼付工程(A)では、第2の電子部品20の接続面に、導電粒子含有ホットメルト接着シートを貼り付ける。貼付工程(A)は、導電粒子含有ホットメルト接着シートを第2の電子部品の接続面にラミネートするラミネート工程であってもよく、第2の電子部品20の接続面に導電粒子含有ホットメルト接着シートを低温で貼着する仮貼り工程であってもよい。
【0032】
貼付工程(A)がラミネート工程である場合、加圧式ラミネータを用いても、真空加圧式ラミネータを用いてもよい。貼付工程(A)がラミネート工程であることにより、仮貼り工程に比べ、比較的広い面積を一括で搭載できる。また、貼付工程(A)が仮貼り工程である場合、従前の装置からツールの設置や変更といった最低限の変更だけですむため、経済的なメリットを得ることができる。
【0033】
貼付工程(A)において、導電粒子含有ホットメルト接着シートに到達する温度は、バインダーが流動する温度以上であることが好ましい。ここで、バインダーが流動する温度は、導電粒子含有ホットメルト接着シートの溶融粘度が100~1000000Pa・sとなる温度であってもよく、好ましくは1000~100000Pa・sとなる温度である。これにより、導電粒子含有ホットメルト接着シートを第2の電子部品20の接続面に貼付することができる。なお、導電粒子含有ホットメルト接着シートの溶融粘度は、例えば、回転式レオメーター(HAAKE社製)を用い、ギャップ0.2mm、温度範囲60~200℃、昇温速度5℃/分、測定周波数1Hz、測定プレート直径8mmの条件で測定することができる。
【0034】
[載置工程(B)]
載置工程(B)では、例えば吸着機構を備えるツールを用いて第2の電子部品20をピックアップし、第1の電子部品10と第2の電子部品20とを位置合わせし、導電粒子含有ホットメルト接着シートを介して第2の電子部品20を載置する。
【0035】
[圧着工程(C)]
圧着工程(C)では、圧着装置を用いて、第1の電子部品10と第2の電子部品20とを熱圧着する。圧着工程(C)では、導電粒子含有ホットメルト接着シートのバインダーを十分に排除させ、第1の電子部品10の導通部と第2の電子部品20の導通部との間に導電粒子31を挟持させる。
【0036】
圧着工程(C)において、導電粒子含有ホットメルト接着シートに到達する温度は、貼付工程(A)と同様に、バインダーが流動する温度以上であることが好ましい。具体的な導電粒子含有ホットメルト接着シートに到達する温度は、好ましくは100~180℃、より好ましくは100~150℃、さらに好ましくは110~130℃である。これにより、第1の電子部品10や第2の電子部品20の熱衝撃を抑制して接合体の変形を防ぎ、接続対象物への熱ダメージを抑制することができる。また、圧着工程(C)では、導電粒子含有ホットメルト接着シートのバインダーを十分に排除させるために、熱圧着を複数回行ってもよい。
【0037】
本実施の形態に係る接合体の製造方法は、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含み、溶融粘度が所定の関係を有するバインダー中に導電粒子を含有する導電粒子含有ホットメルト接着シートを用いているため、PVC(polyvinyl chloride)等の難接着性材料であっても、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。これは、バインダーの溶融粘度が所定の関係を有することにより、樹脂の濡れ性が向上したものと考えられる。
【0038】
<3.導電粒子含有ホットメルト接着シート>
本施の形態に係る導電粒子含有ホットメルト接着シートは、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を含むバインダー中に導電粒子を含有し、溶融粘度を昇温速度5℃/分の条件にて測定したとき、120℃における溶融粘度に対する100℃における溶融粘度の比が10以上である。これにより、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。この粘度を示す温度の条件は、接合体の製造方法によって変更することができる。
【0039】
導電粒子含有ホットメルト接着シートの厚みの下限は、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上、より好ましくは30μm以上である。また、導電粒子含有ホットメルト接着シートの厚みの上限は、好ましくは100μm以下、より好ましくは80μm以下、さらに好ましくは60μm以下である。これにより、カード部材にICチップを熱圧着させるスマートカードの製造に好適に用いることができる。
【0040】
[バインダー]
バインダーは、結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂を少なくとも含む。結晶性ポリアミドの市販品の具体例としては、例えば、アルケマ株式会社製の「HX2519」、「M1276」などが挙げられる。なお、結晶性樹脂は、例えば、示差走査熱量測定において、昇温過程で吸熱ピークを観察することにより確認することができる。
【0041】
また、バインダーは、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、結晶性樹脂、非晶性樹脂など、目的に応じて適宜選択することができる。結晶性樹脂としては、結晶領域を有する樹脂であれば、特に制限はなく、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリウレタン樹脂などが挙げられる。ポリエステル樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂などが挙げられ、ポリオレフィン樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブチレン樹脂などが挙げられる。また、非晶性樹脂としては、結晶性樹脂の説明において例示したものと同様のものが挙げられる。
【0042】
バインダーに占める結晶性ポリアミド樹脂及び結晶性ポリエステル樹脂の合計量は、50~100wt%であることが好ましく、80~100wt%であることがより好ましく、90~100wt%であることがさらに好ましい。また、結晶性ポリアミド樹脂と結晶性ポリエステル樹脂との質量比は、好ましくは10:90~90:10、より好ましくは10:90~75:25、さらに好ましくは25:75~75:25である。これにより、溶融粘度の所定の関係が得られ易くなり、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。
【0043】
[導電粒子]
導電粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属粒子、導電材料に異なる導電材料を被覆した金属被覆金属粒子、絶縁材料に導電材料を被覆した粒子、例えば、金属被覆樹脂粒子や金属被覆ガラス粒子などが挙げられる。表面の酸化防止や導電性の観点から、導電粒子の最外層は、ニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの群より選択される1種以上であることが好ましい。
【0044】
金属粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ニッケル、コバルト、銀、銅、金、パラジウム、半田などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの金属粒子は、抵抗値の低下や表面酸化を防ぐ目的で、その表面に銀、金、パラジウムといった金属粒子と異なる金属層を施していてもよい。金属粒子に異なる金属層が設けられた(例:メッキされた)ものを用いることにより、導通性能を向上させることができる。金属粒子の最外層に、より導電性の高い異なる金属層が設けられることで、低抵抗化と共に、導通部における材質の組み合わせの選択を広げ、腐食などの問題を回避しやすくなる。更に、表面に金属突起があってもよく、絶縁処理を施したものを用いてもよい。
【0045】
金属被覆樹脂粒子としては、樹脂粒子の表面を金属で被覆した粒子であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂粒子の表面をニッケル、銀、半田、銅、金、及びパラジウムの少なくともいずれかの金属で被覆した粒子などが挙げられる。更に、表面に金属突起があってもよく、絶縁処理を施したものを用いてもよい。低抵抗を考慮した接続の場合、樹脂粒子の表面を銀で被覆した粒子が好ましい。
【0046】
樹脂粒子への金属の被覆方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、無電解めっき法、スパッタリング法などが挙げられる。また、樹脂粒子の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、スチレン-ジビニルベンゼン共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン-シリカ複合樹脂などが挙げられる。
【0047】
導電粒子の配合量の質量比範囲の下限は、バインダー100重量部に対して、好ましくは20質量部以上、より好ましくは25質量部以上、さらに好ましくは30質量部以上であり、導電粒子の配合量の質量比範囲の上限は、バインダー100重量部に対して、好ましくは450質量部以下、より好ましくは320質量部以下、さらに好ましくは100質量部以下である。導電粒子の配合量は、体積換算とすることもできる。
【0048】
導電粒子の配合量が少なすぎると優れた導通性が得られなくなり、配合量が多すぎると十分な接着力が得られず、優れた導通信頼性が得られ難くなる。なお、導電粒子がバインダー中に存在する場合には、体積比を用いてもよく、導電粒子含有ホットメルト接着シートを製造する場合(導電粒子がバインダーに存在する前)には、質量比を用いてもよい。質量比は、配合物の比重や配合比などから体積比に変換することができる。
【0049】
また、導電粒子は、導電粒子含有ホットメルト接着シートの樹脂中に混練りされて分散されていてもよく、離間した状態に配置されていてもよい。この配置は、一定の規則で配置されていてもよい。規則的配置の態様としては、正方格子、六方格子、斜方格子、長方格子等の格子配列を挙げることができる。また、導電粒子は、複数個が凝集した凝集体として配置されていてもよい。この場合、導電粒子含有ホットメルト接着シートの平面視における凝集体の配置は、前述の導電粒子の配置と同様に、規則的配置でもランダム配置でもよい。
【0050】
導電粒子の平均粒子径は、導電粒子含有ホットメルト接着シートの厚みの70%以上であることが好ましく、80%以上であることがより好ましく、95%以上であることがさらに好ましい。これにより、熱圧着時に容易に導電粒子を第1の電子部品の導電部と第2の電子部品の導電部との間に挟持することができる。
【0051】
導電粒子の平均粒子径の下限は、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上である。また、導電粒子の平均粒子径の上限は、好ましくは50μm以下、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下である。また、導電粒子の最大径は、平均粒子径の200%以下、好ましくは平均粒子径の150%以下、より好ましくは平均粒子径の120%以下とすることができる。導電粒子の最大径が、上記範囲であることにより、導電粒子を第1の電子部品の導通部と第2の電子部品の導通部との間に挟持させ、導電粒子の接触により導電部間を接続させることができる。
【0052】
また、導電粒子は、複数個が凝集した凝集体であってもよい。複数の導電粒子が凝集した凝集体である場合、凝集体の大きさを前述の導電粒子の平均粒子径と同等にしてもよい。なお、凝集体の大きさは、電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察して求めることができる。
【0053】
ここで、導電粒子の平均粒子径は、金属顕微鏡、光学顕微鏡、SEM(Scanning Electron Microscope)等の電子顕微鏡などを用いた観察画像において、例えばN=20以上、好ましくはN=50以上、さらに好ましくはN=200以上で測定した粒子の長軸径の平均値であり、粒子が球形の場合は、粒子の直径の平均値である。また、観察画像を公知の画像解析ソフト(「WinROOF」:三谷商事(株)、「A像くん(登録商標)」:旭化成エンジニアリング株式会社など)を用いて計測された測定値、画像型粒度分布測定装置(例として、FPIA-3000(マルバーン社))を用いて測定した測定値(N=1000以上)であってもよい。観察画像や画像型粒度分布測定装置から求めた平均粒子径は、粒子の最大長の平均値とすることができる。なお、導電粒子含有ホットメルト接着シートを作製する際には、簡易的にレーザー回折・散乱法によって求めた粒度分布における頻度の累積が50%になる粒径(D50)、算術平均径(体積基準であることが好ましい)などのメーカー値を用いることができる。
【0054】
[他の添加剤]
導電粒子含有ホットメルト接着シートには、上述したバインダー及び導電粒子に加えて、本技術の効果を損なわない範囲で様々な添加剤を配合することができる。例えば、ガスバリア性及弾性率を向上させるため、ナノサイズ(1次粒子径が1nm以上1000nm未満)のシリカを分散させてもよい。また、例えば、本技術の効果を損なわない範囲で熱硬化性樹脂や硬化剤を添加してもよい。
【0055】
本実施の形態に係る導電粒子含有ホットメルト接着シートは、結晶性ポリアミドを含み、溶融粘度が所定の関係を有するバインダー中に導電粒子を含有するため、PVC(polyvinyl chloride)等の難接着性材料であっても、樹脂の流動性を向上させ、優れた接着強度及び接続信頼性を得ることができる。これは、バインダーの溶融粘度が所定の関係を有することにより、樹脂の濡れ性が向上したものと考えられる。
【0056】
[導電粒子含有ホットメルト接着シートの製造方法]
導電粒子含有ホットメルト接着シートの製造方法は、バインダーの各樹脂成分を溶剤に溶解しワニスを調製するワニス調製工程と、導電粒子を加えて導電粒子含有樹脂組成物を得る導電粒子含有樹脂組成物調製工程と、導電粒子含有樹脂組成物を剥離性基材上に所定厚みとなるように塗布し、乾燥させる乾燥工程とを有する。なお、導電粒子含有ホットメルト接着シート内の導電粒子を離間させて配置する場合や規則的に配置する場合は、導電粒子を加えずにシートを設け、別途公知の方法で導電粒子を配置させればよい。
【0057】
各樹脂成分に使用する溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メチルエチルケトン:トルエン:シクロヘキサノンの50:40:10(質量比)の混合溶剤、トルエン:酢酸エチルの50:50(質量比)の混合溶剤などを用いることができる。
【0058】
また、剥離性基材としては、例えば、水に対する接触角が80°以上であるものが挙げられ、剥離性基材の具体例としては、例えば、シリコーン系フィルム、フッ素系フィルム、シリコーン系フィルムや、フッ素系などの離型剤で離型処理されたPET、PEN、グラシン紙などが挙げられる。また。剥離性基材の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20μm~120μmであることが好ましい。
【0059】
また、導電粒子含有ホットメルト接着シートは、テープ状に成型され、巻芯に巻装されたフィルム巻装体として供給されてもよい。巻芯の直径は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50~1000mmであることが好ましい。フィルム長についても特に制限はないが、5m以上であれば製造装置による試作検討ができ、1000m以下であれば作業性や取り扱い性の負担が重くなりすぎない。
【実施例】
【0060】
<4.実施例>
本実施例では、導電粒子含有ホットメルト接着シートを作製し、これを用いて接合体を作成した。そして、接合体の初期の接着強度の評価、及び接続信頼性の評価を行った。なお、本実施例は、これらに限定されるものではない。
【0061】
[導電粒子含有ホットメルト接着シートの作製]
下記樹脂を準備した。
・M1276(アルケマ社製、結晶性ポリアミド)→固形分/エタノール/トルエン=30/35/35にて溶液化
・TPAE826-4S(T&K TOKA社製、非晶性ポリアミドエラストマー)→固形分/エタノール/トルエン=30/35/35にて溶液化
・PES111EE(東亜合成社製、結晶性ポリエステル)→固形分/シクロヘキサノン=25/75にて溶液化
・PES120L(東亜合成社製、結晶性ポリエステル)→固形分/シクロヘキサノン=25/75にて溶液化
・PES310S30(東亜合成社製、非晶性ポリエステル溶剤溶解品、固形分/トルエン/MEK=30/56/14)
・PES360HVXM30(東亜合成社製、非晶性ポリエステル溶剤溶解品、固形分/トルエン/エチルベンゼン/MIBK/キシレン/MEK=30/30/15/15/7.5/2.5)
【0062】
表1及び表2に示すように、上記樹脂を固形分で所定の配合量(質量部)になるように混合及び撹拌し、混合ワニスを得た。続いて、得られた混合ワニスに、球状AgメッキCu粒子(平均粒径38μm、Ag含有量10%)を、混合ワニスの固形分100質量部に対し36質量部加え、導電粒子含有樹脂組成物を得た。得られた導電粒子含有樹脂組成物を、50μm厚みのPETフィルム上に、乾燥後の平均厚みが40μmとなる様に塗布し、70℃にて5分間、続けて120℃にて5分間乾燥させ、導電粒子含有ホットメルト接着シートを作製した。
【0063】
[溶融粘度の測定]
レオメーターMARS3(HAAKE社製)に8mm径センサーとプレートを装着し、導電粒子含有ホットメルト接着シートをセットした。そして、ギャップ0.2mm、昇温速度5℃/min、周波数1Hz、測定温度範囲60~200℃の条件にて溶融粘度を測定し、100℃粘度(V1)と120℃粘度(V2)を読み取り、その比(V1/V2)を算出した。なお、実施例及び比較例の100℃における粘度(V1)は、20000~300000Pa・sであり、実施例及び比較例の120℃における粘度(V2)は、1000~8000Pa・sであった。
【0064】
[接合体の作製]
第1の電子部品として、プリント配線板〔0.4mmピッチ(ライン/スペース=0.2/0.2mm)、ガラスエポキシ基材厚み1.0mm、銅パターン厚み35μm、ニッケル/金メッキ処理〕を用いた。
【0065】
第2の電子部品として、フレキシブルプリント基板〔0.4mmピッチ(ライン/スペース=0.2/0.2mm)、PVC(polyvinyl chloride)基材厚み50μm、銅パターン厚み12μm、ニッケル/金メッキ処理〕を用いた。
【0066】
プリント配線板の導通部上に、導電粒子含有ホットメルト接着シートを幅2.0mmにカットして、120℃、1MPa、1秒間の条件で仮圧着を行った。続いて、導電粒子含有ホットメルト接着シート上に、フレキシブルプリント基板を配置した。続いて、緩衝材(シリコーンラバー、厚み0.2mm)を介して、加熱ツール(幅2.0mm)により120℃、2MPa、3秒間の条件で、フレキシブルプリント基板を加熱及び押圧し、接合体を得た。
【0067】
[接着強度の評価]
フレキシブルプリント基板をプリント配線板から90°方向で剥離する90°剥離試験(JIS K6854-1)を行った。剥離試験において、1cm幅にカットした試験片にて接着強度を測定し、接着強度を以下の評価基準で評価した。
A:接着強度が15N/cm以上
B:接着強度が10N/cm以上、15N/cm未満
C:接着強度が10N/cm未満
【0068】
[接続信頼性の評価]
接合体の高温高湿試験(60℃95%RH環境下で500時間放置)後、及びヒートサイクル試験(-40℃30分間、100℃30分間で500サイクル放置)後について、デジタルマルチメーターを用いて、4端子法にて電流1mAを流した時の抵抗値を測定した。30チャンネルについて抵抗値を測定し、最大の抵抗値を以下の評価基準で評価した。
A:抵抗値が0.1Ω未満
B:抵抗値が0.1Ω以上、0.15Ω未満
C:抵抗値が0.15Ω以上
【0069】
表1に、実施例1~6の導電粒子含有ホットメルト接着シートの配合、溶融粘度、接着強度の評価、及び接続信頼性の評価を示す。また、表2に、比較例1~5の導電粒子含有ホットメルト接着シートの配合、溶融粘度、接着強度の評価、及び接続信頼性の評価を示す。実用上、全パラメータがB以上であることが好ましい。
【0070】
【0071】
【0072】
比較例1、2では、V1/V2の値が10以上であり、仮圧着温度付近での粘度変化が大きい事から被着体に対して良好な濡れ性を示すものの、接着強度は実施例に比較して低く、十分な接続信頼性が得られなかった。比較例3~5では、V1/V2の値が10未満であり、仮圧着温度付近での粘度変化が小さい事から、接着強度が低く、また、十分な接続信頼性が得られなかった。一方、実施例1~6では、V1/V2の値が10以上であり、仮圧着温度付近での粘度変化が大きい事から被着体に対して良好な濡れ性を示し、接着強度、接続信頼性共に良好な結果を示した。
【符号の説明】
【0073】
10 第1の電子部品、11 第1の導通部、20 第2の電子部品、21 第2の導通部、30 接着層、31 導電粒子、40 カード部材、41 開口、42 アンテナパターン、42a 第1の露出部、42b 第2の露出部、50 ICチップ、51 接触端子