(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】引き分け戸
(51)【国際特許分類】
E06B 3/82 20060101AFI20240702BHJP
E05B 9/08 20060101ALI20240702BHJP
E05C 1/06 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E06B3/82
E05B9/08 B
E05B9/08 E
E05C1/06 B
(21)【出願番号】P 2020116057
(22)【出願日】2020-07-06
【審査請求日】2023-05-29
(73)【特許権者】
【識別番号】307038540
【氏名又は名称】三和シヤッター工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【氏名又は名称】畑添 隆人
(72)【発明者】
【氏名】宮田 勇優
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-21273(JP,A)
【文献】実開平5-73183(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 9/08
E05C 1/06
E06B 1/00-11/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1扉体と第2扉体からなる引き分け戸において、
第1扉体の戸先側端部は、戸先側見込面と、当該戸先側見込面の見込幅方向の一端から見付方向に突出する突出部と、を備え、
第2扉体の戸先側端部は、戸先側見込面と、当該戸先側見込面の見込幅方向の一端に形成した窪み部と、を備え、
全閉時には、第1扉体の戸先側見込面と第2扉体の戸先側見込面が近接し、第1扉体の突出部が、第2扉体の窪み部に位置してあいじゃくり構造を形成するようになっており、
前記第1扉体の前記戸先側端部の表面は、当該第1扉体の表面材から一体形成されており、
前記第2扉体の前記戸先側端部の表面は、当該第2扉体の表面材から一体形成されて
おり、
前記第1扉体の戸先側部位及び前記第2扉体の戸先側部位には、それぞれ、該第1扉体、該第2扉体の上端、あるいは/および、下端から突出するロッドを備えた錠装置が内蔵されており、
前記第1扉体及び前記第2扉体のそれぞれの戸先側見込面の高さ方向の所定部位には、前記錠装置の要素を挿入するための開口が形成されており、
前記開口は、前記表面材と同じ部材からなるカバーによって閉塞されている、
引き分け戸。
【請求項2】
前記カバーは、前記表面材と同じ部材からなる表面板と、前記表面板の裏面の略全面に設けた補強板材と、からなる、
請求項
1に記載の引き分け戸。
【請求項3】
前記第2扉体の前記窪み部は、見付部と見込部から平面視L形状に凹んでおり、
前記第2扉体の前記開口は、前記戸先側見込面から前記窪み部の前記見付部に連続状に一体形成されており、
前記カバーは、見込部と見付部とから平面視L形状に形成されており、前記見込部が前記戸先側見込面に形成された開口の見込部分を塞ぎ、前記見付部が前記窪み部の前記見付部に形成された開口の見付部分を塞いでいる、
請求項
1、2いずれか1項に記載の引き分け戸。
【請求項4】
前記第2扉体の前記窪み部の前記見込部を形成する表面材の端部には、前記戸先側見込面から離れる方向に延びる折り曲げ片が一体形成されており、
前記カバーの前記見付部の端部と前記折り曲げ片が面接触している、
請求項
3に記載の引き分け戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引き分け戸に関するものである。
【背景技術】
【0002】
防火性能が必要とされる引戸にロッド錠を納める場合には、引戸の戸先側フレームを切り欠いてロッド錠を取り付け、小口面にエッジ材を取り付ける構造が一般的である。引き分け仕様では、2つの扉体の戸先側部位であいじゃくり構造を形成する必要があるため、エッジ材を扉体の見付方向に突出させるか、エッジや扉体を特別な構造とする必要がある。扉体の戸先側部位に取り付けたエッジ材から形成されたあいじゃくり構造については、特許文献1を参照することができる。
【0003】
しかしながら、扉体の戸先側部位に取り付けたエッジ材は、扉体の外観との間で意匠的な統一性がなく、また、エッジ材を用意して扉体の戸先側部位に取り付ける工程が必要となるため、意匠面やコスト面で課題がある。
【文献】実公平4-33352
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、引き分け戸において、扉体の戸先側部位にあいじゃくり構造を形成するものでありながら、扉体の戸先側部位の意匠性が向上された引き分け戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が採用した技術手段は、
第1扉体と第2扉体からなる引き分け戸において、
第1扉体の戸先側端部は、戸先側見込面と、当該戸先側見込面の見込幅方向の一端から見付方向に突出する突出部と、を備え、
第2扉体の戸先側端部は、戸先側見込面と、当該戸先側見込面の見込幅方向の一端に形成した窪み部と、を備え、
全閉時には、第1扉体の戸先側見込面と第2扉体の戸先側見込面が近接し、第1扉体の突出部が、第2扉体の窪み部に位置してあいじゃくり構造を形成するようになっており、
前記第1扉体の前記戸先側端部の表面は、当該第1扉体の表面材から一体形成されており、
前記第2扉体の前記戸先側端部の表面は、当該第2扉体の表面材から一体形成されている、
引き分け戸、である。
【0006】
1つの態様では、前記第1扉体の戸先側部位及び前記第2扉体の戸先側部位には、それぞれ、該第1扉体、該第2扉体の上端、あるいは/および、下端から突出するロッドを備えた錠装置が内蔵されており、
前記第1扉体及び前記第2扉体のそれぞれの戸先側見込面の高さ方向の所定部位には、前記錠装置の要素を挿入するための開口が形成されており、
前記開口は、前記表面材と同じ部材からなるカバーによって閉塞されている。
扉体がロッド錠を備えている場合には、扉体の戸先側見込面に形成した開口から錠装置の要素を挿入するが、当該開口を表面材と同じ部材からなるカバーによって閉塞することで、外観において戸先側見込面を形成する表面材と一体化し、意匠性が向上する。
【0007】
1つの態様では、前記カバーは、前記表面材と同じ部材からなる表面板と、前記表面板の裏面の略全面に設けた補強板材と、からなる。
扉体の表面材は薄肉鋼板からなるため、表面板と補強板材とから一体化されたカバーを用いることで、カバーが凹むようなことを防止する。
1つの態様では、カバーは、扉体の戸先側縦フレームに固定した連結片に対して固定される。
【0008】
1つの態様では、前記第2扉体の前記窪み部は、見付部と見込部から平面視L形状に凹んでおり、
前記第2扉体の前記開口は、前記戸先側見込面から前記窪み部の前記見付部に連続状に一体形成されており、
前記カバーは、見込部と見付部とから平面視L形状に形成されており、前記見込部が前記戸先側見込面に形成された開口の見込部分を塞ぎ、前記見付部が前記窪み部の前記見付部に形成された開口の見付部分を塞いでいる。
第2扉体の戸先側見込面の見込幅は、窪み部が形成されることによって、第1扉体の戸先側見込面の見込幅よりも小さいが、戸先側見込面から窪み部の見付部にかけて連続状に開口を一体形成することで、当該開口の幅を可及的に大きくしている。
【0009】
1つの態様では、前記第2扉体の前記窪み部の前記見込部を形成する表面材の端部には、前記戸先側見込面から離れる方向に延びる折り曲げ片が一体形成されており、
前記カバーの前記見付部の端部と前記折り曲げ片が面接触している。
1つの態様では、開口の見付部分が形成される表面材の部分の端部は、前記折り曲げ片と面接触しており、同様に、開口の見付部分を塞ぐカバーの見付部(表面材と同じ材料)の端部が前記折り曲げ片と面接触することで、窪み部の隅部が高さ方向に亘って統一的なスッキリとした外観となり、意匠性が向上する。
【発明の効果】
【0010】
本発明では、扉体の戸先側部位にあいじゃくり構造を形成するものでありながら、扉体の戸先側部位が、扉体の表面材と同じ表面材から一体形成されているので、扉体の戸先側端部の外観がスッキリしたものとなり、意匠面において優れている。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る引き分け戸(開口部全閉状態)の正面図である。
【
図2】本実施形態に係る引き分け戸の錠本体部位の横断面図である(
図7、
図9におけるIII矢視断面)。
【
図3】引き分け戸(召し合わせ部の上方部位)の上枠内を示す部分正面図である。
【
図4】本実施形態に係る引き分け戸(開口部全閉状態)の縦断面図である。
【
図5】
図2の召し合わせ部の部分拡大図である(
図7、
図9におけるIII矢視断面)。
【
図6】第1扉体の戸先側部位の横断面図であり、上図は、
図7のII矢視断面であり、下図は、
図7のI矢視図(平面図)である。
【
図7】左図は、第1扉体の戸先側端部を側方から見た図、右図は、第1扉体の戸先側部位の部分正面図である。
【
図7A】
図7と類似の図であって、カバーを取り外した状態を示す図である。
【
図8】第2扉体の戸先側部位の横断面図であり、上図は、
図9のII矢視断面であり、下図は、
図9のI矢視図(平面図)である。
【
図9】左図は、第2扉体の戸先側端部を側方から見た図、右図は、第2扉体の戸先側部位の部分の背面図である。
【
図9A】
図9と類似の図であって、カバーを取り外した状態を示す図である。
【
図10】左図は、第2扉体用のカバーを示し、右図は、第1扉体用のカバーを示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[A]引き分け戸の全体構成
本実施形態に係る引き分け戸について説明する。
図1に示すように、上枠1と、左右の戸袋部1A、1Bと、床面FLと、の間に開口部が形成されており、2枚の扉体2、3によって、前記開口部を引き分け式に開閉するようになっている。第1扉体2は、一方の戸袋部1Aに収納された開放姿勢と、開口部の幅方向の一方の半部に位置する閉鎖姿勢との間で開口幅方向にスライド移動可能となっている。第2扉体3は、他方の戸袋部1Bに収納された開放姿勢と、開口部の幅方向の他方の半部に位置する閉鎖姿勢との間で開口幅方向にスライド移動可能となっている。本実施形態では、第1扉体2と第2扉体3は、同幅であるが、一方の幅寸法が他方の幅寸法より小さいものでもよい。
【0013】
図1、
図3、
図4に示すように、第1扉体2及び第2扉体3は、上吊式引戸であって、第1扉体2及び第2扉体3の上端には、それぞれハンガーローラHRが設けてある。上枠1内には、開口幅方向に延びる2本のレール10が設けてあり、第1扉体2はハンガーローラHRが一方のレール10上を転動することでスライド移動して開口部の一方の半部を開閉し、第2扉体3はハンガーローラHRが他方のレール10上を転動することでスライド移動して開口部の他方の半部を開閉する。床面FLの所定部位には振れ止めローラR1が設けてあり、第1扉体2及び第2扉体3の移動時に、第1扉体2及び第2扉体3の下端部位に設けたレールR2が振れ止めローラR1に案内されるようになっている。第1扉体2及び第2扉体3の見付面の戸先側部位の所定高さには取手Hが設けてあり、第1扉体2及び第2扉体3は、取手Hを掴んで手動で開放するようになっている。第1扉体2、第2扉体3は、それぞれ、自動閉鎖機構(図示せず)を備えており、扉体開放後に取手Hから手を離すと、第1扉体2、第2扉体3は自動で戸袋部1A、1B内から移動して閉鎖姿勢となる。
【0014】
図3に示すように、上枠1内の幅方向略中央部位には、第1扉体2に対応する第1戸当たり部11、第2扉体3に対応する第2戸当たり部12が離間して設けてある。第1扉体2が全閉位置まで移動すると、第1扉体2の上端の戸先側に設けたストッパS1が第1戸当たり部11に当接して全閉位置で停止し、第2扉体3が全閉位置まで移動すると、第2扉体3の上端の戸先側に設けたストッパS2が第2戸当たり部12に当接して全閉位置で停止し、開口部全閉状態となる。開口部全閉状態では、第1扉体2のストッパS1が第1戸当たり部11に当接し、第2扉体3のストッパS2が第2戸当たり部12にそれぞれ当接することで、第1扉体2と第2扉体3の戸先側部位が隙間を形成して近接対向するようになっている。
【0015】
本実施形態に係る引き分け戸は防火仕様である。開口部全閉状態において、第1扉体2の戸先側部位と、第2扉体3の戸先側部位と、の召し合わせ部には、第1扉体2の戸先側部位の突出部Aと、第2扉体3の戸先側部位の窪み部Bと、から、いわゆるあいじゃくり構造が形成されており、室内側を貫通する防火上不利な隙間が生じることを防止している(
図5参照)。
【0016】
第1扉体2及び第2扉体3は、それぞれ、開口部全閉状態を維持するための錠装置を備えている。錠装置は、第1扉体2、第2扉体3の戸先側部位の高さ方向略中央部位に内蔵された錠本体L1と、錠本体L1の上端から戸先側部位の内部で上方に延びるロッドL2と、錠本体L1と扉上端との間に位置するガイドL3と、を備え、第1扉体2、第2扉体3の見付面の戸先側部位からの鍵ないしツマミの回動操作に連動して、ロッドL2が上動位置(施錠位置)と下動位置(解錠位置)の間で上下動可能となっている。
図3では、ロッドL2は下動位置(解錠位置)にあり、この状態からロッドL2が上動することで、上枠1内部に設けた被係止部L4にロッドL2の上端が挿入した状態となって、第1扉体2、第2扉体3の開放方向への移動が規制される。なお、本実施形態に係るロッド錠は、ロッドL2が上側に突出するようになっているが、ロッドが上側及び下側の両方、あるいは、下側にのみ突出するものでもよい。
【0017】
[B]第1扉体の戸先側部位の構成
第1扉体2は、四周状のフレーム(骨材)と、四周状のフレームで囲まれた空間に充填された充填材(例えば、ペーパコア)Cと、フレーム及び充填材Cに接着されて、第1扉体2の表面を形成する第1表面材20、第2表面材21と、からなる。第1表面材20、第2表面材21は、薄肉の金属製板材であり、いわゆる化粧鋼鈑である。
図6、
図7を参照しつつ、第1扉体2の戸先側部位の構成について説明する。
【0018】
第1扉体2の戸先側縦フレーム4は、第1扉体2の高さ方向に亘って延びており、扉厚方向に延びる見込辺40と、見込辺40の第1側から戸先側に向かって延びる第1見付辺41と、見込辺40の第2側から戸先側に向かって延びる第2見付辺42と、から断面視略コ字形状を有しており、第2見付辺42の見付寸法は、第1見付辺41の見付寸法よりも大きく、第1見付辺41の先端よりも突出する突出部位を備えている。戸先側縦フレーム4の第1見付辺41は、上側フレーム22の第1見付辺220の戸先側部位の直下に位置しており、第2見付辺42は、上側フレーム22の第2見付辺221の戸先側部位の直下に位置している(
図6下図参照)。
【0019】
第1扉体2の戸先側縦フレーム4は、補強フレーム5を備えている。補強フレーム5は、扉厚方向に延びる見込辺50と、見込辺の第2側から戸尻側に向かって延びる見付辺51と、から断面視略L形状を備え、見込辺50の第1側には折り曲げ辺52が一体形成されており、見付辺51の先端には折り曲げ辺53が一体形成されている。
【0020】
補強フレーム5の見込辺50の見込寸法は、戸先側縦フレーム4の見込辺40の見込寸法よりも小さく、補強フレーム5の見付辺51は、戸先側縦フレーム4の見付辺42の内面に離間対向している。補強フレーム5の見込辺50の折り曲げ辺52は、戸先側縦フレーム4の第1見付辺41の先端部位の内面に当接して固定(溶接や接着)されており、補強フレーム5の見付辺51の折り曲げ辺53は、戸先側縦フレーム4の見込辺40に当接して固定(溶接や接着)されている。
【0021】
本実施形態では、戸先側縦フレーム4の高さ方向の2箇所に錠装置の要素が設けてあり、補強フレーム5はかかる2箇所の部位には設けられていない。すなわち、本実施形態では、3本の補強フレーム5が、戸先側縦フレーム4の高さ方向に亘って(錠装置の要素を設けた部位を除いて)固定されている。
【0022】
第1表面材20は、第1扉体2の第1側の見付面を形成する主面部200を備えており、主面部200の戸先側部位は、戸先側縦フレーム4の第1見付辺41の外面に当接しており、第1表面材20の戸先側には、主面部200に対して折り曲げられて第1扉体2の戸先側見込面を形成する折り曲げ部201が一体形成されており、折り曲げ部201は、補強フレーム5の見込辺50に当接している。折り曲げ部201の見込寸法は、補強フレーム5の見込辺50の見込寸法よりも大きく、折り曲げ部201の先端には戸尻側に向かって延びる折り曲げ辺202が形成されており、折り曲げ辺202は、補強フレーム5の見付辺51に離間対向している。
【0023】
第2表面材21は、第1扉体2の第2側の見付面を形成する主面部210を備えており、主面部210の戸先側部位は、戸先側縦フレーム4の第2見付辺42の外面に当接しており、第2表面材21の戸先側には、戸先側縦フレーム4の第2見付辺42の突出部位に沿って折り返してなる折り返し部211が一体形成されており、折り返し部211は、第2見付辺42の先端側の内面に沿って延び、第1表面材20の折り曲げ辺202と当接している。
【0024】
第1扉体2の戸先側部位の表面は、第1表面材20の主面部200の戸先側部位と、第1表面材20の折り曲げ部201と、第2表面材21の主面部210の戸先側部位と、第2表面材21の折り返し部211とから形成されており、第1表面材20の折り曲げ部201が、第1扉体2の戸先側見込面となっている。第1扉体2の戸先側端部の表面の第1側の部分は主として第1表面材20から一体形成されており、第1扉体2の戸先側端部の表面の第2側の部分は主として第2表面材21から一体形成されている。
【0025】
図7に示すように、第1扉体2の戸先側部位には、錠装置の錠本体L1、ロッドL2のガイドL3が内蔵されている。
図7Aに示すように、第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)には、高さ方向に間隔を存して2つの縦長方形状の開口2010、2011が切欠き形成されている。開口2010の縁部を2010´、開口2011の縁部を2011´で示している。下側に位置する開口2010の高さ寸法は、上側に位置する開口2011の高さ寸法よりも大きく、開口2010と開口2011は同幅である。なお、開口2010と開口2011の高さ寸法を同一にしてもよい。錠本体L1、ガイドL3は、戸先側見込面(折り曲げ部201)に切り欠き形成した各開口2010、2011から第1扉体2の戸先側部位の内部に挿入される。第1扉体2の戸先側部位において、各開口2010、2011が形成された高さ位置には、補強フレーム5は設けられていない。したがって、各開口2010、2011から錠本体L1、ガイドL3を挿入する際に、補強フレーム5の見込辺50が妨げとなることはない。
【0026】
戸先側縦フレーム4の高さ方向の中間部位より下方に位置して、見込辺40には錠本体L1を取り付けるための開口400が形成されており(
図7A参照)、第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)の開口2010から挿入した錠本体L1を見込辺40の開口400から挿入して見込辺40に固定する。また、錠本体L1を挿入するための開口2010の上方に位置して、ガイドL3を挿入するための開口2011が形成されている。ガイドL3は弾性材からなり、見込辺40に接着される。戸先側縦フレーム4の所定高さ位置には、第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)に形成した各開口2010、2011に対応するように、上下の連結片43、44が固定されている。
【0027】
上側の連結片43は、水平部430と、水平部430の先端から垂下する被取付片431と、水平部430の基端から垂直に立ち上がる取付片432と、からなり、取付片432を介して戸先側縦フレーム4の見込辺40に固定されている。下側の連結片44は、水平部440と、水平部440の先端から垂直に立ち上がる被取付片441と、水平部440の基端から垂下する取付片442と、からなり、取付片442を介して戸先側縦フレーム4の見込辺40に固定されている。連結片43、44の固定時において、水平部430、440の一方の側縁を第1見付辺41の内面に当接させることで見込方向に位置決めされる(
図6上図参照)。上側連結片43の被取付片431には螺子孔S´が形成されており、下側連結片44の被取付片441には螺子孔S´が形成されている。
【0028】
第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)には、開口2010、2011を塞ぐようにカバー8が取り付けられている。
図10右図に示すように、カバー8は、第1表面材20と同じ部材からなる表面板(化粧鋼鈑)80と、表面板80の裏面の略全面に設けた補強板材81と、からなる。カバー8は、各開口2010、2011にぴったり嵌る形状及び寸法となっており、各開口2010、2011を塞いだ時に、第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)と面一となる。カバー8の上側部位及び下側部位には、挿通孔82、83が貫設されており、カバー8が開口2010、2011を塞いだ状態で、カバー8の上側部位を上側の連結片43の被取付片431に当接させ、カバー8の下側部位を下側の連結片44の被取付片441に当接させ、螺子Sによってカバー8を固定する。この時、第1扉体2の戸先側見込面とカバー8は、螺子Sの頭部のフラット面を含み面一となっている。
【0029】
第1扉体2は、戸先側縦フレーム4の他に、上側フレーム22、下側フレーム23、戸尻側縦フレーム24を備えており、第1表面材20の上側部位は折り曲げられて上端面の部分を形成し、第1表面材20の戸尻側部位は折り曲げられて戸尻側端部の部分を形成し、第1表面材20の下端部位は折り曲げられて下端部位の部分を形成し、第2表面材21の上側部位は折り曲げられて上端面の部分を形成し、第2表面材21の戸尻側部位は折り曲げられて戸尻側端部の部分を形成し、第2表面材21の下端部位は折り曲げられて下端部位の部分を形成するが、これらの構成は、表面材を備えた扉体の一般的な構成なので、詳細な説明は省略する。
【0030】
[C]第2扉体の戸先側部位の構成
第2扉体3は、四周状のフレーム(骨材)と、四周状のフレームで囲まれた空間に充填された内部充填材(例えば、ペーパコア)Cと、フレーム及び内部充填材Cに接着されて、第2扉体3の表面を形成する第1表面材30、第2表面材31と、からなる。第1表面材30、第2表面材31は、薄肉の金属製板材であり、いわゆる化粧鋼鈑である。
図8、
図9を参照しつつ、第2扉体3の戸先側部位の構成について説明する。
【0031】
第2扉体3の戸先側縦フレーム6は、第1扉体3の高さ方向に亘って延びており、扉厚方向に延びる見込辺60と、見込辺60の第1側から戸先側に向かって延びる第1見付辺61と、見込辺60の第2側から戸先側に向かって延びる第2見付辺62と、から断面視略コ字形状を有しており、第2見付辺62の見付寸法は、第1見付辺61の見付寸法よりも小さく、第1見付辺61の先端に対して戸尻側に退避している。戸先側縦フレーム6の第1見付辺61は、上側フレーム32の第1見付辺320の戸先側部位の直下に位置しており、第2見付辺62は、上側フレーム32の第2見付辺321の戸先側部位の直下に位置している(
図8下図参照)。
【0032】
戸先側縦フレーム6は、補強フレーム7を備えている。補強フレーム7は、扉厚方向に延びる見込辺70と、見込辺70の第2側から戸尻側に向かって延びる見付辺71と、から断面視略L形状を備え、見込辺70の第1側には折り曲げ辺72が一体形成されており、見付辺71の先端には折り曲げ辺73が一体形成されている。
【0033】
補強フレーム7の見込辺70の見込寸法は、戸先側縦フレーム6の第2見込辺60の見込寸法よりも小さく、補強フレーム7の見付辺71は、戸先側縦フレーム6の見付辺62の内面に離間対向している。補強フレーム7の見込辺70の折り曲げ辺72は、戸先側縦フレーム6の第1見付辺61の先端部位の内面に当接して固定(溶接や接着)されており、補強フレーム7の見付辺71の折り曲げ辺73は、戸先側縦フレーム6の見込辺60に当接して固定(溶接や接着)されている。
【0034】
本実施形態では、戸先側縦フレーム6の高さ方向の2箇所に錠装置の要素が設けてあり、補強フレーム7はかかる2箇所の部位には設けられていない。すなわち、本実施形態では、3本の補強フレーム7が、戸先側縦フレーム4の高さ方向に亘って(錠装置の要素を設けた部位を除いて)固定されている。
【0035】
第1表面材30は、第2扉体3の第1側の見付面を形成する主面部300を備えており、主面部300の戸先側部位は、戸先側縦フレーム6の第1見付辺61の外面に当接しており、第1表面材30の戸先側には、主面部300に対して折り曲げられて第2扉体3の戸先側見込面を形成する折り曲げ部301が一体形成されており、折り曲げ部301は、補強フレーム7の見込辺70に当接している。折り曲げ部301の見込寸法は、補強フレーム7の見込辺70の見込寸法よりも大きく、折り曲げ部301の先端には戸尻側に向かって延びる折り曲げ辺302が形成されており、折り曲げ辺302は、補強フレーム7の見付辺71に離間対向しており、折り曲げ辺302の先端側は見付辺71に向かって傾斜する傾斜片303となっている。
【0036】
第2表面材31は、第2扉体3の第2側の見付面を形成する主面部310を備えており、主面部310の戸先側部位は、戸先側縦フレーム6の第2見付辺62の外面に当接しており、第2表面材31の戸先側には、戸先側縦フレーム6の第2見付辺62の先端から折り曲げてなる折り曲げ部311が形成されており、折り曲げ部311の先端は戸尻側に向かって延びる折り曲げ片312が一体形成されており、折り曲げ片312は、第1表面材30の折り曲げ辺302と当接している。
【0037】
第2扉体3の戸先側部位の表面は、第1表面材30の主面部300の戸先側部位と、第1表面材30の折り曲げ部301と、折り曲げ辺302と、第2表面材31の主面部310の戸先側部位と、第2表面材31の折り曲げ部311と、から形成されており、第1表面材30の折り曲げ部301が、第1扉体2の戸先側見込面となっている。第2扉体3の戸先側端部の表面の第1側の部分は主として第1表面材30から一体形成されており、第2扉体3の戸先側端部の表面の第2側の部分は主として第2表面材31から一体形成されている。
【0038】
図9に示すように、第2扉体3の戸先側部位には、錠装置の錠本体L1、ロッドL2のガイドL3が内蔵されている。
図9Aに示すように、第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)には、高さ方向に間隔を存して2つの縦長方形状の開口3010A、3011Aが切欠き形成されており、さらに、この開口3010A、3011Aは、戸先側見込面(折り曲げ部301)から折り曲げ辺302を切り欠いて連続状に一体形成されている。折り曲げ辺302に形成された切り欠き部(開口)を3010B、3011Bで示す。折り曲げ辺302を一体で切り欠くことで、開口の幅寸法を大きく取るようにしている。錠本体L1は、開口3010A(見込部分)と開口3010B(見付部分)とから連続状に一体形成された開口3010から第2扉体3の戸先側部位の内部に挿入される。ガイドL3は、開口3011A(見込部分)と開口3011B(見付部分)とから連続状に一体形成された開口3011から第2扉体3の戸先側部位の内部に挿入される。なお、図示の態様では、開口3010の高さ寸法は、開口3011の高さ寸法よりも大きいが、開口3010と開口3011の高さ寸法を同一にしてもよい。第2扉体3の戸先側部位において、各開口3010、3011が形成された高さ位置には、補強フレーム7は設けていない。したがって、各開口3010、3011から錠本体L1、ガイドL3を挿入する際に、補強フレーム7の見込辺70が妨げとなることはない。
【0039】
戸先側縦フレーム6の高さ方向の中間部位より下方に位置して、見込辺60には錠本体L1を取り付けるための開口600が形成されており、第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)及び折り曲げ辺302に形成された開口3010から挿入した錠本体L1を見込辺60の開口600から挿入して見込辺60に固定する。また、錠本体L1を挿入するための開口3010の上方に位置して、ガイドL3を挿入するための開口3011が形成されている。ガイドL3は弾性材からなり、見込辺60に接着される。戸先側縦フレーム6の所定高さ位置には、第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)及び折り曲げ辺302に形成した各開口3010、3011に対応するように、上下の連結片63、64が固定されている。
【0040】
上側の連結片63は、水平部630と、水平部630の先端から垂下する被取付片631と、水平部630の基端から垂直に立ち上がる取付片632と、からなり、取付片632を介して戸先側縦フレーム6の見込辺60に固定されている。下側の連結片64は、水平部640と、水平部640の先端から垂直に立ち上がる被取付片641と、水平部640の基端から垂下する取付片642と、からなり、取付片642を介して戸先側縦フレーム6の見込辺60に固定されている。連結片63、64の固定時において、水平部630、640の一方の側縁を第1見付辺61の内面に当接させることで見込方向に位置決めされる(
図8上図参照)。上側連結片63の被取付片631には螺子孔S´が形成されており、下側連結片64の被取付片641には螺子孔S´が形成されている。
【0041】
第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)及び折り曲げ辺302には、開口3010、3011を塞ぐようにカバー9が取り付けられている。本実施形態に係る開口3010、3011は、折り曲げ部301のみならず折り曲げ辺302及び傾斜片303を含んで一体的に切り欠くことで断面視L形状となっている。
図10左図に示すように、カバー9は、見込部9Aと見付部9Bとから断面視L形状に形成されており、見込部9Aが戸先側見込面(折り曲げ部301)に形成された開口3010A、3011A(開口3010、3011の見込部分)を塞ぎ、見付部9Bが窪み部Bの見付部(折り曲げ辺302)に形成された開口3010B、3011B(開口3010、3011の見付部分)を塞いでいる。
【0042】
カバー9は、第1表面材30と同じ部材からなる断面視L形状の表面板(化粧鋼鈑)90と、表面板90の裏面の略全面に設けた断面視L形状の補強板材91と、からなる。カバー9の見込部9Aは、戸先側見込面(折り曲げ部301)に形成された開口3010A、3011A(開口3010、3011の見込部分)にぴったり嵌る形状及び寸法となっており、開口3010A、3011Aを塞いだ時に、見込部9Aが第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)と面一となる。カバー9の見付部9Bは、窪み部Bの見付部(折り曲げ辺302)に形成された開口3010B、3011B(開口3010、3011の見付部分)を塞ぐ形状及び寸法を有していると共に、先端側が窪み部Bの見付部を越えて突出しており、突出部分は第2表面材31の折り曲げ片312に当接している。開口3010B、3011Bを塞いだ時に、見付部9Bが第2扉体3の窪み部Bの見付部(折り曲げ辺302)と面一となる。
【0043】
カバー9の見込部9Aの上側部位及び下側部位には、挿通孔92、93が貫設されており、カバー9が開口3010、3011を塞いだ状態で、カバー9の見込部9Aの上側部位を上側の連結片63の被取付片631に当接させ、カバー9の見込部9Aの下側部位を下側の連結片64の被取付片641に当接させ、螺子Sによってカバー8を固定する。この時、第2扉体3の戸先側見込面とカバー9の見込部9Aは、螺子Sの頭部のフラット面を含み面一となっており、第2扉体3の窪み部Bの見付部とカバー9の見付部9Bは面一となっている。
【0044】
第2扉体3は、戸先側縦フレーム6の他に、上側フレーム32、下側フレーム33、戸尻側縦フレーム34を備えており、第1表面材30の上側部位は折り曲げられて上端面の部分を形成し、第1表面材30の戸尻側部位は折り曲げられて戸尻側端部の部分を形成し、第1表面材30の下端部位は折り曲げられて下端部位の部分を形成し、第2表面材31の上側部位は折り曲げられて上端面の部分を形成し、第2表面材31の戸尻側部位は折り曲げられて戸尻側端部の部分を形成し、第2表面材31の下端部位は折り曲げられて下端部位の部分を形成するが、これらの構成は、表面材を備えた扉体の一般的な構成なので、詳細な説明は省略する。
【0045】
[D]召し合わせ部のあいじゃくり構造
第1扉体2の戸先側端部は、戸先側見込面(折り曲げ部201)と、戸先側見込面の見込幅方向の一端から見付方向に突出する突出部A(第2見付辺42の突出部位と、突出部位の周囲の表面材、すなわち、主面部210の戸先側部位、折り返し部211)と、を備えている。第2扉体3の戸先側端部は、戸先側見込面(折り曲げ部301)と、戸先側見込面の見込幅方向の一端に形成した窪み部Bと、を備え、窪み部Bは、第2扉体3の角部において、見付部(折り曲げ辺302)と見込部(折り曲げ部311)から平面視L形状に凹んでいる。
図5に示すように、開口部全閉時では、第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)と第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)が近接し、第1扉体2の突出部Aが、第2扉体3の窪み部Bに位置してあいじゃくり構造を形成するようになっている。
【0046】
[E]扉体の戸先側端部の意匠性
第1扉体2の戸先側端部の表面の第1側の部分は主として第1表面材20から一体形成されており、第1扉体2の戸先側端部の表面の第2側の部分は主として第2表面材21から一体形成されている。第1扉体2の戸先側見込面(折り曲げ部201)に形成された開口2010、2011を、戸先側見込面(折り曲げ部201)と面一で塞いでいるカバー8の表面板80は、第1表面材20と同一の化粧鋼鈑から形成されている。こうすることで、第1扉体2の戸先側端部はスッキリとした外観となり、意匠性が向上する。
【0047】
第2扉体3の戸先側端部の表面の第1側の部分は主として第1表面材30から一体形成されており、第2扉体3の戸先側端部の表面の第2側の部分は主として第2表面材31から一体形成されている。第2扉体3の戸先側見込面(折り曲げ部301)及び窪み部Bの見付部(折り曲げ辺302)に形成された開口3010、3011を、戸先側見込面(折り曲げ部301)及び窪み部Bの見付部(折り曲げ辺302)と面一で塞いでいるカバー9の表面板90は、第1表面材30と同一の化粧鋼鈑から形成されている。こうすることで、第2扉体3の戸先側端部はスッキリとした外観となり、意匠性が向上する。
【0048】
第2扉体3の窪み部Bの見込部を形成する折り曲げ辺302の先端側部位は、窪み部Bの見付部を形成する折り曲げ部311から戸尻側に延びる折り曲げ片312に面接触しており、カバー9の見付部9Bの先端部位も、折り曲げ片312に面接触している。こうすることで、窪み部Bの隅部が高さ方向に亘って統一的なスッキリとした外観となり、意匠性が向上する。
【符号の説明】
【0049】
2 第1扉体
3 第2扉体
20 第1表面材
200 主面部(見付面)
201 折り曲げ部(戸先側見込面)
2010 開口
2011 開口
21 第2表面材
210 主面部(見付面)
30 第1表面材
301 折り曲げ部(戸先側見込面)
3010 開口
3010A 開口(開口の見込部分)
3011 開口
3011A 開口(開口の見込部分)
302 折り曲げ辺(窪み部の見付部)
3010B 開口(開口の見付部分)
3011B 開口(開口の見付部分)
300 主面部(見付面)
31 第2表面材
310 主面部(見付面)
311 折り曲げ部(窪み部の見込部)
312 折り曲げ片
8 カバー
80 表面板
81 補強板材
9 カバー
9A 見込部
9B 見付部
90 表面板
91 補強板材
A 突出部
B 窪み部
L1 錠本体
L2 ロッド
L3 ガイド