(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】超音波素子評価試験装置および方法
(51)【国際特許分類】
G01F 25/10 20220101AFI20240702BHJP
G01F 1/66 20220101ALI20240702BHJP
G01N 29/30 20060101ALI20240702BHJP
G01N 29/024 20060101ALI20240702BHJP
H04R 1/44 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
G01F25/10 Z
G01F1/66 101
G01N29/30
G01N29/024
H04R1/44 330K
(21)【出願番号】P 2020121254
(22)【出願日】2020-07-15
【審査請求日】2023-06-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】安永 武史
(72)【発明者】
【氏名】夏 園
【審査官】羽飼 知佳
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-279223(JP,A)
【文献】特開2004-309337(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66- 1/667
G01F 25/10-25/17
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験装置であって、
前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与えるように構成された温度制御装置と、
前記第1、第2の超音波素子の温度を取得するように構成された温度取得部と、
前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎に算出するように構成された平均値算出部と、
全温度帯および全温度サイクルにおける前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をドリフト幅として算出し、このドリフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価するように構成された評価部とを備えることを特徴とする超音波素子評価試験装置。
【請求項2】
配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験装置であって、
前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与えるように構成された温度制御装置と、
前記第1、第2の超音波素子の温度を取得するように構成された温度取得部と、
前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎および温度サイクル毎に算出するように構成された平均値算出部と、
同一温度における前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をシフト幅として温度毎に算出し、これらシフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価するように構成された評価部とを備えることを特徴とする超音波素子評価試験装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の超音波素子評価試験装置において、
前記温度制御装置は、前記上り勾配と前記下り勾配の温度範囲が同一で、前記上り勾配の時間変化率と前記下り勾配の時間変化率とが絶対値が同一で極性が逆になるように、前記流量計測部に温度サイクルを与えることを特徴とする超音波素子評価試験装置。
【請求項4】
配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験方法であって、
前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与える第1のステップと、
前記第1、第2の超音波素子の温度を取得する第2のステップと、
前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎に算出する第3のステップと、
全温度帯および全温度サイクルにおける前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をドリフト幅として算出する第4のステップと、
前記ドリフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する第5のステップとを含むことを特徴とする超音波素子評価試験方法。
【請求項5】
配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験方法であって、
前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与える第1のステップと、
前記第1、第2の超音波素子の温度を取得する第2のステップと、
前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎および温度サイクル毎に算出する第3のステップと、
同一温度における前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をシフト幅として温度毎に算出する第4のステップと、
前記シフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する第5のステップとを含むことを特徴とする超音波素子評価試験方法。
【請求項6】
請求項4または5記載の超音波素子評価試験方法において、
前記第1のステップは、前記上り勾配と前記下り勾配の温度範囲が同一で、前記上り勾配の時間変化率と前記下り勾配の時間変化率とが絶対値が同一で極性が逆になるように、前記流量計測部に温度サイクルを与えるステップを含むことを特徴とする超音波素子評価試験方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波流量計に係り、特に超音波流量計の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験装置および方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波を用いて流量を計測する超音波流量計が知られている(特許文献1参照)。超音波流量計は、
図10に示すように、測定対象の流体が流れる配管10に対し1対の超音波素子11,12を配置する。上流側の超音波素子11を例えば500kHzの共振周波数で駆動し、超音波素子11から超音波を送信させる。
【0003】
超音波が配管10内の流体中を伝搬して下流側の超音波素子12を励起する。この超音波素子12の出力を増幅することで受信信号が得られる。超音波の送信タイミングから受信信号の到達タイミングの時間計測を行うことで、超音波の伝搬時間を計測できる。同様に、下流側の超音波素子12から超音波を送信し、上流側の超音波素子11で受信して、超音波の伝播時間を計測する。
【0004】
超音波素子11から超音波素子12までの順方向(流体が流れる方向)の超音波の伝搬時間と超音波素子12から超音波素子11までの逆方向の超音波の伝搬時間とを比較することで、伝搬時間差Δtが求められる。流体の流量がゼロの場合、原理的には伝搬時間差がゼロになるが、流体が流れている場合、流量に応じて伝搬時間差Δtが生じる。したがって、伝搬時間差Δtから流体の流量を算出することができる。
【0005】
このような超音波流量計に用いる超音波素子には、温度変化による特性の変化がある。超音波素子によっては温度変化によって伝搬時間差Δtが変化する現象が起こる。温度変化によって伝搬時間差Δtが変化すると、計測精度が悪化してしまうので事前に超音波素子を評価する必要がある。
【0006】
超音波素子の温度特性試験を行う際、評価する項目としては、Δtシフト、Δtドリフトがある。Δtシフトは、同じ温度における伝搬時間差Δtの値が異なる現象である。Δtドリフトは、温度に応じて伝搬時間差Δtの値が異なる現象である。超音波素子にΔtシフト、Δtドリフトが生じないかどうかを、温度特性試験にかけて一対の超音波素子を評価する。
【0007】
一般的に、超音波素子の温度特性の評価試験は温度を一定に保持して行われる(特許文献2参照)。
図11(A)、
図11(B)は従来の評価試験方法を説明する図である。従来の評価試験方法では、超音波流量計を温度制御装置に入れて、配管内の流体の流量が0の状態で、
図11(A)に示すように温度をステップ状に変化させ、一定温度に保持さている部分での伝搬時間差Δtを計測する。
【0008】
このような温度上昇と温度下降の温度サイクルを複数回繰り返して、各サイクルで伝搬時間差Δtを計測する。同じ温度における伝搬時間差Δtの最大値と最小値との差がΔtシフト幅SW、異なる温度における伝搬時間差Δtの最大値と最小値との差がΔtドリフト幅DWである。こうして、超音波素子にΔtシフト、Δtドリフトが生じていないかどうかを評価する。
【0009】
しかしながら、一定温度で保持する場合、保持した温度のみでしか伝搬時間差Δtを計測することができず、他の温度でも評価しようとすると長時間の評価試験になってしまうという課題があった。
【0010】
そこで、別の方法として、温度を変化させながら伝搬時間差Δtを計測する試験方法が考えられる。しかしながら、温度を変化させながら超音波素子の温度特性を調べる場合、超音波素子によっては温度を一定に保持したときと伝搬時間差Δtが異なるものがあり、超音波素子の温度特性を正確に把握できないという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】特開2019-184488号広報
【文献】特開2008-157850号広報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、温度を一定に保持して行う従来の評価試験方法と比較して超音波素子の全温度帯の温度特性を連続的に、かつ迅速に評価することができる超音波素子評価試験装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験装置であって、前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与えるように構成された温度制御装置と、前記第1、第2の超音波素子の温度を取得するように構成された温度取得部と、前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎に算出するように構成された平均値算出部と、全温度帯および全温度サイクルにおける前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をドリフト幅として算出し、このドリフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価するように構成された評価部とを備えることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明は、配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験装置であって、前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与えるように構成された温度制御装置と、前記第1、第2の超音波素子の温度を取得するように構成された温度取得部と、前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎および温度サイクル毎に算出するように構成された平均値算出部と、同一温度における前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をシフト幅として温度毎に算出し、これらシフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価するように構成された評価部とを備えることを特徴とするものである。
また、本発明の超音波素子評価試験装置の1構成例において、前記温度制御装置は、前記上り勾配と前記下り勾配の温度範囲が同一で、前記上り勾配の時間変化率と前記下り勾配の時間変化率とが絶対値が同一で極性が逆になるように、前記流量計測部に温度サイクルを与えることを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明は、配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験方法であって、前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与える第1のステップと、前記第1、第2の超音波素子の温度を取得する第2のステップと、前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎に算出する第3のステップと、全温度帯および全温度サイクルにおける前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をドリフト幅として算出する第4のステップと、前記ドリフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する第5のステップとを含むことを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明は、配管の上流側に配置された第1の超音波素子から超音波を送信して前記配管の下流側に配置された第2の超音波素子で受信する順方向のときの超音波の第1の伝搬時間と、前記第2の超音波素子から超音波を送信して前記第1の超音波素子で受信する逆方向のときの超音波の第2の伝搬時間とを計測して、前記第1の伝搬時間と前記第2の伝搬時間との伝搬時間情報に基づいて前記配管内の流体の流量を算出する流量計測部で使用する、前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する超音波素子評価試験方法であって、前記第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に温度が上昇する上り勾配と温度が下降する下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与える第1のステップと、前記第1、第2の超音波素子の温度を取得する第2のステップと、前記温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後または予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に、前記上り勾配と前記下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎および温度サイクル毎に算出する第3のステップと、同一温度における前記伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をシフト幅として温度毎に算出する第4のステップと、前記シフト幅に基づいて前記第1、第2の超音波素子の温度特性を評価する第5のステップとを含むことを特徴とするものである。
また、本発明の超音波素子評価試験方法の1構成例において、前記第1のステップは、前記上り勾配と前記下り勾配の温度範囲が同一で、前記上り勾配の時間変化率と前記下り勾配の時間変化率とが絶対値が同一で極性が逆になるように、前記流量計測部に温度サイクルを与えるステップを含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に上り勾配と下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与え、第1、第2の超音波素子の温度を取得し、上り勾配と下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎に算出し、全温度帯および全温度サイクルにおける伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をドリフト幅として算出することにより、簡易的かつ迅速に超音波素子の伝搬時間差ドリフトを評価することができる。
【0018】
また、本発明では、第1、第2の超音波素子を含む流量計測部に上り勾配と下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与え、第1、第2の超音波素子の温度を取得し、上り勾配と下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差の平均値を温度毎および温度サイクル毎に算出し、同一温度における伝搬時間差の平均値の最大値と最小値との差をシフト幅として温度毎に算出することにより、簡易的かつ迅速に超音波素子の伝搬時間差繰り返し再現性(伝搬時間差シフト)を評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】超音波流量計の超音波素子に生じる伝搬時間差の温度ヒステリシスを説明する図である。
【
図2】
図2は、本発明の第1の実施例に係る超音波素子評価試験装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、本発明の第1の実施例に係る評価試験における温度制御装置の動作を説明するフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施例に係る評価試験における超音波流量計の温度変化の1例を示す図、および各温度における超音波流量計の伝搬時間差の1例を示す図である。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施例に係る評価試験における温度取得部と平均値算出部と評価部と評価結果出力部の動作を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施例におけるΔtドリフト幅の算出方法を説明する図である。
【
図7】
図7は、本発明の第2の実施例に係る評価試験における温度取得部と平均値算出部と評価部と評価結果出力部の動作を説明するフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の第2の実施例におけるΔtシフト幅の算出方法を説明する図である。
【
図9】
図9は、本発明の第1、第2の実施例に係る超音波素子評価試験装置を実現するコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、従来の超音波流量計の動作原理を説明する図である。
【
図11】
図11は、従来の超音波流量計の超音波素子の評価試験方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[発明の原理]
発明者は、鋭意研究の結果、超音波流量計の一対の超音波素子に
図1(A)に示すように上り勾配と下り勾配の温度勾配を与えると、
図1(B)に示すように上り勾配と下り勾配で伝搬時間差Δtが異なるという温度ヒステリシスが生じることを見出した。
図1(A)、
図1(B)の例では、Tu0が上り勾配の場合を示し、Td0が下り勾配の場合を示している。
図1(A)、
図1(B)によれば、温度が一定の部分では、伝搬時間差Δtが安定することが分かる。伝搬時間差Δtの温度ヒステリシスは、超音波素子の個体差によって生じたり生じなかったりする。
【0021】
2つの超音波素子の温度が異なる場合、上り勾配と下り勾配で伝搬時間差が異なる(ヒステリシス)といった問題が発生する。このヒステリシスは、2つの超音波素子に温度が伝わる度合いに差があり、同時に2つの超音波素子の温度特性が上り勾配と下り勾配で異なることが原因であると考えられる(熱伝導の差により片方の超音波素子に温度が早く伝わることによりヒステリシスが発生する)。また、ヒステリシスの他の原因として、1つの超音波素子に熱が伝わる際、超音波素子の熱が直接伝わる部分と伝わりづらい部分で温度の分布があることが考えられる。この超音波素子単体における温度分布により超音波特性の上りと下りで超音波素子としての温度特性が異なり、伝搬時間差にヒステリシスが発生すると考えられる。
そして、発明者は、超音波流量計の一対の超音波素子に上り勾配と下り勾配の時間変化率が逆の温度勾配を同じ温度範囲で与えると、上り勾配の期間中のある温度Tにおける伝搬時間差Δtと下り勾配の期間中の同温度Tにおける伝搬時間差Δtとの平均値が、この温度Tで一定に保持されているときの伝搬時間差Δtとほとんど一致することを発見した。
【0022】
したがって、本発明によれば、上り勾配と下り勾配の温度勾配を繰り返し与えることで、同温度での伝搬時間差Δt繰り返し再現性(Δtシフト)を評価できる。また、連続的に温度を変化させて伝搬時間差Δtを計測するため、Δtドリフトに関しても全ての温度帯で評価できる。このように、本発明では、簡易的かつ迅速に超音波素子の温度特性を評価することができる。
【0023】
[第1の実施例]
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
図2は本発明の第1の実施例に係る超音波素子評価試験装置の構成を示すブロック図である。超音波素子評価試験装置は、評価対象の超音波流量計1を収容し、超音波流量計1に上り勾配と下り勾配の温度サイクルを複数サイクル与える温度制御装置2と、順逆両方向を1組とする計測が上り勾配の期間中と下り勾配の期間中にそれぞれ複数組行われた結果を超音波流量計から取得し、超音波の伝搬時間から音速を算出して音速から換算した温度を超音波流量計1の一対の超音波素子の温度とする温度取得部3と、計測データ記憶のための記憶部4と、温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後に、上り勾配と下り勾配のそれぞれ同一温度における伝搬時間差Δtの平均値を算出する平均値算出部5と、全温度帯および全温度サイクルにおける伝搬時間差Δtの平均値の最大値と最小値との差をドリフト幅として算出し、ドリフト幅に基づいて超音波流量計1の一対の超音波素子の温度特性を評価する評価部6と、評価部6による評価結果を出力する評価結果出力部7とから構成される。
【0024】
超音波流量計1は、流体で満たされた配管10と、配管10の上流と下流に配置された1対の超音波素子11,12と、一方の超音波素子から超音波を送信させる送信部13と、他方の超音波素子で受信された超音波受信信号を増幅する受信部14と、超音波素子11,12と送信部13と受信部14との接続を切り替える切替部15と、順方向と逆方向の超音波の伝搬時間差Δtを算出して、伝搬時間差Δtから流体の流量を算出する流量算出部16とを備えている。
【0025】
超音波流量計1の送信部13と受信部14と切替部15とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)などのICに搭載される。流量算出部16は、例えばマイクロコンピュータによって実現される。なお、
図1では、記載を容易にするため、超音波流量計1の送信部13と受信部14と切替部15と流量算出部16とを温度制御装置2の外部に記載しているが、超音波流量計1(流量計測部)の全ての構成を温度制御装置2内に収容するようにしても構わない。
また、本発明では、1対の超音波素子11,12を含む流量計測部を備えているものであれば超音波流量計1でなくてもよく、流量計測部を備えた評価装置の温度を温度制御装置2によって制御するようにしてもよい。
【0026】
上流側の超音波素子11から超音波を送信して、下流側の超音波素子12で受信する順方向のとき、切替部15は、送信部13と超音波素子11とを接続し、超音波素子12と受信部14とを接続する。このとき、送信部13は、超音波素子11に対して駆動用の送信パルスを供給する。これにより、超音波素子11は、送信部13からの送信パルスに応じて、配管10内の流体に対して斜め方向に超音波を送信する。超音波素子12は、超音波素子11から送出され、配管10の内壁で反射した超音波を受信する。受信部14は、超音波素子12の出力信号を増幅して超音波受信信号を出力する。
【0027】
反対に、下流側の超音波素子12から超音波を送信して、上流側の超音波素子11で受信する逆方向のとき、切替部15は、送信部13と超音波素子12とを接続し、超音波素子11と受信部14とを接続する。このとき、送信部13は、超音波素子12に対して駆動用の送信パルスを供給する。これにより、超音波素子12は、送信部13からの送信パルスに応じて、配管10内の流体に対して斜め方向に超音波を送信する。超音波素子11は、超音波素子12から送出され、配管10の内壁で反射した超音波を受信する。受信部14は、超音波素子11の出力信号を増幅して超音波受信信号を出力する。
【0028】
流量算出部16は、超音波素子11から超音波を送信した時刻から受信部14で受信信号を得るまでの時間を順方向の超音波の伝搬時間tf(第1の伝搬時間)とし、同様に超音波素子12から超音波を送信した時刻から受信部14で受信信号を得るまでの時間を逆方向の超音波の伝搬時間tr(第2の伝搬時間)として、伝搬時間tfと伝搬時間trとの差を伝搬時間差Δtとして算出する。また、流量算出部16は、伝搬時間差Δtから流体の流量を算出する。
【0029】
温度制御装置2は、槽内の空気を加熱するヒータ20と、槽内の空気を冷却する冷却器21と、槽内の温度を測定する温度センサ22と、槽内の温度が目標温度になるようにヒータ20と冷却器21とを制御する制御部23とを備えている。
【0030】
図3は超音波素子の温度特性の評価試験における温度制御装置2の動作を説明するフローチャートである。
温度制御装置2の制御部23は、外部から設定される目標温度に従って温度勾配を繰り返し発生させる。制御部23は、目標温度が上昇する上り勾配では(
図3ステップS100においてYES)、目標温度と温度センサ22によって計測される温度とが一致するようにヒータ20を制御する(
図3ステップS101)。また、制御部23は、目標温度が下降する下り勾配では(
図3ステップS100においてNO)、目標温度と温度センサ22によって計測される温度とが一致するように冷却器21を制御する(
図3ステップS102)。
【0031】
図4(A)は本実施例の評価試験における超音波流量計1の温度変化の1例を示す図、
図4(B)は各温度における超音波流量計1の伝搬時間差Δtの1例を示す図である。なお、
図4(A)のTu0が従来の評価試験における上り勾配、Td0が従来の評価試験における下り勾配、Tuが本実施例の評価試験における上り勾配、Tdが本実施例の評価試験における下り勾配を示している。
【0032】
温度制御装置2の制御部23は、
図4(A)のTu,Tdで示すように上り勾配と下り勾配の温度サイクルを複数サイクル繰り返し発生させる。本実施例では、上り勾配Tuと下り勾配Tdの温度範囲を同一としている。
図4(A)の例では、-30℃から60℃の温度範囲となっている。また、本実施例では、上り勾配Tuの時間変化率(温度勾配の傾き)と下り勾配Tdの時間変化率を、絶対値が同一で極性が逆になるようにしている。
図4(A)の例では、上り勾配Tuの時間変化率が90℃/h、下り勾配Tdの時間変化率が-90℃/hである。
【0033】
図5は評価試験における温度取得部3と平均値算出部5と評価部6と評価結果出力部7の動作を説明するフローチャートである。
超音波流量計1の送信部13と受信部14と切替部15と流量算出部16とは、上り勾配Tuの期間中に順逆両方向の計測を複数回行い、同様に下り勾配Tdの期間中に順逆両方向の計測を複数回行う。
【0034】
すなわち、超音波流量計1の計測周期は、上り勾配Tuと下り勾配Tdのそれぞれの所要時間(
図4(A)の例では1h)よりも短い。したがって、上り勾配Tuと下り勾配Tdのそれぞれの期間中に順方向の超音波の伝搬時間tfと逆方向の超音波の伝搬時間trと、これら伝搬時間tf,trから算出された伝搬時間差Δtとの組が複数組得られることになる。
なお、本実施例の評価試験においては、配管10中の流体の流量を0とする。
【0035】
超音波素子評価試験装置の温度取得部3は、伝搬時間tf,trの組に基づいて超音波流量計1の配管10内の流体中を伝搬した超音波の音速を算出する(
図5ステップS200)。超音波素子11から配管10の内壁を経由して超音波素子12に至るまでの伝搬距離は既知である。温度取得部3は、伝搬距離を伝搬時間tfとtrの平均値で割ることにより、音速を算出することができる。
【0036】
そして、温度取得部3は、音速から換算した温度を超音波素子11,12の温度とする(
図5ステップS201)。配管10内の流体中を伝搬した超音波の音速は流体の温度に依存する。したがって、既知の流体について、音速から温度を算出することが可能である。
【0037】
こうして、上り勾配Tuと下り勾配Tdのそれぞれの期間中に伝搬時間tf,trから算出された温度と伝搬時間差Δtとの組が複数組得られる。温度取得部3は、温度と伝搬時間差Δtとを対応付けて記憶部4に格納する(
図5ステップS202)。
温度取得部3は、以上のような音速と温度の算出を順逆両方向の計測によって伝搬時間tf,trが得られる度に行う。
【0038】
図4(A)、
図4(B)に示した温度は、温度取得部3によって得られた温度である。
図4(B)のΔtuは上り勾配Tu中の各温度の伝搬時間差Δtを示し、Δtdは下り勾配Td中の各温度の伝搬時間差Δtを示している。
本実施例では、上り勾配Tuと下り勾配Tdを合わせて1サイクルとし、2サイクル以上の温度勾配を超音波流量計1に与えるものとする。
【0039】
超音波素子評価試験装置の平均値算出部5は、上り勾配Tuと下り勾配Tdの温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後に(
図5ステップS203においてYES)、記憶部4に記憶されている温度と伝搬時間差Δtに基づいて、上り勾配Tuと下り勾配Tdのそれぞれ同一温度における伝搬時間差Δtの平均値Δtaveを温度毎に算出する(
図5ステップS204)。
【0040】
こうして、
図4(B)に示すように伝搬時間差Δtの平均値Δtaveを温度毎に求めることができる。
平均値算出部5は、伝搬時間差Δtの平均値Δtaveと温度とを対応付けて記憶部4に格納する(
図5ステップS205)。
【0041】
次に、超音波素子評価試験装置の評価部6は、
図6に示すように全温度帯および全温度サイクルにおける伝搬時間差Δtの平均値Δtaveの最大値と最小値との差をΔtドリフト幅DWとして算出する(
図5ステップS206)。
【0042】
評価部6は、算出したΔtドリフト幅DWに基づいて評価対象の超音波素子11,12にΔtドリフトが生じていないかどうかを評価する(
図5ステップS207)。具体的には、評価部6は、算出したΔtドリフト幅DWが所定のドリフトしきい値を超えている場合、超音波素子11,12にΔtドリフトが生じていると判断し、Δtドリフト幅DWがドリフトしきい値以下の場合、Δtドリフトが生じていないと判断する。
【0043】
超音波素子評価試験装置の評価結果出力部7は、評価部6によるΔtドリフトの評価結果を出力する(
図5ステップS208)。出力方法の例としては、例えば評価結果の表示、評価結果の外部への送信などがある。
【0044】
こうして、本実施例の評価試験が終了する。本実施例では、簡易的かつ迅速に超音波素子11,12のΔtドリフトを評価することができる。また、本実施例では、連続的に温度を変化させて全温度帯で伝搬時間差Δtを計測するため、一定温度で保持して伝搬時間差Δtを計測する従来の評価試験方法に比べて、評価する温度範囲での見落としがなくなる。
【0045】
なお、評価部6は、同一温度における伝搬時間差Δtの平均値Δtaveが所定の閾値よりも大きい場合、超音波素子11,12を異常品と判断し、評価結果出力部7が評価部6による判断結果を出力するようにしてもよい。
【0046】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例について説明する。本実施例は、超音波素子11,12のΔtシフトを評価する例である。本実施例においても、超音波流量計と超音波素子評価試験装置の構成は第1の実施例と同様であるので、
図2の符号を用いて説明する。
超音波素子の評価試験における温度制御装置2の動作は、第1の実施例の
図3で説明したとおりである。
【0047】
図7は本実施例の評価試験における温度取得部3と平均値算出部5と評価部6と評価結果出力部7の動作を説明するフローチャートである。
超音波素子評価試験装置の温度取得部3の動作(
図7ステップS200~S202)は、第1の実施例と同じである。
【0048】
本実施例の平均値算出部5は、上り勾配Tuと下り勾配Tdの温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後に(
図7ステップS203においてYES)、記憶部4に記憶されている温度と伝搬時間差Δtに基づいて、上り勾配Tuと下り勾配Tdのそれぞれ同一温度における伝搬時間差Δtの平均値Δtaveを温度毎および温度サイクル毎に算出する(
図7ステップS204a)。平均値算出部5は、伝搬時間差Δtの平均値Δtaveと温度と温度サイクルの識別情報とを対応付けて記憶部4に格納する(
図7ステップS205a)。
【0049】
本実施例の評価部6は、
図8に示すように同一温度における伝搬時間差Δtの平均値Δtaveの最大値と最小値との差をΔtシフト幅SWとして温度毎に算出する(
図7ステップS209)。
【0050】
図8の例では、Δtu1は1サイクル目の上り勾配Tu中の各温度の伝搬時間差Δt、Δtd1は1サイクル目の下り勾配Td中の各温度の伝搬時間差Δt、Δtave1は1サイクル目の伝搬時間差Δtの平均値、Δtu2は2サイクル目の上り勾配Tu中の各温度の伝搬時間差Δt、Δtd2は2サイクル目の下り勾配Td中の各温度の伝搬時間差Δt、Δtave2は2サイクル目の伝搬時間差Δtの平均値を示している。
【0051】
評価部6は、算出したΔtシフト幅SWに基づいて評価対象の超音波素子11,12にΔtシフトが生じていないかどうかを評価する(
図7ステップS210)。具体的には、評価部6は、算出した温度毎のΔtシフト幅SWのうち少なくとも一部の温度でΔtシフト幅SWが所定のシフトしきい値を超えている場合、超音波素子11,12にΔtシフトが生じていると判断し、温度毎の全てのΔtシフト幅SWがシフトしきい値以下の場合、Δtシフトが生じていないと判断する。
【0052】
本実施例の評価結果出力部7は、第1の実施例と同様に評価部6によるΔtシフトの評価結果を出力する(
図7ステップS211)。
こうして、本実施例の評価試験が終了する。本実施例では、1サイクルが短時間で済むため、簡易的かつ迅速に超音波素子11,12のΔt繰り返し再現性(Δtシフト)を評価することができる。
【0053】
なお、第1の実施例と第2の実施例を別々に実施する例で説明したが、第1の実施例のΔtドリフトの評価と本実施例のΔtシフトの評価を同時に実施してもよいことは言うまでもない。
また、第1、第2の実施例では、順逆両方向を1組とする計測が上り勾配の期間中と下り勾配の期間中にそれぞれ複数組行われた結果を取得し、伝搬時間tf,trから音速を算出して音速から換算した温度を超音波素子11,12の温度としている。本発明は、これに限るものではなく、温度取得部3は、基板など超音波流量計1に取り付けられた温度センサなどにより計測される温度や温度制御装置2内に設置されている温度センサにより計測される温度を、超音波素子11,12の温度として取得するようにしてもよい。
また、第1、第2の実施例では、平均値算出部5は、温度サイクルが予め規定されたサイクル数だけ終了した後に平均値を算出しているが、予め規定されたサイクル数の途中まで終了した後に平均値を算出するようにしてもよい。
【0054】
第1、第2の実施例で説明した超音波素子評価試験装置は、CPU(Central Processing Unit)と記憶装置とインタフェースとを備えたコンピュータと、これらのハードウェア資源を制御するプログラムによって実現することができる。このコンピュータの構成例を
図9に示す。
【0055】
コンピュータは、CPU100と、記憶装置101と、インタフェース装置(I/F)102とを備えている。I/F102には、超音波流量計1などが接続される。このようなコンピュータにおいて、本発明の超音波素子評価試験方法を実現させるためのプログラムは記憶装置101に格納される。CPU100は、記憶装置101に格納されたプログラムに従って第1、第2の実施例で説明した処理を実行する。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、超音波流量計の超音波素子の温度特性を評価する技術に適用することができる。
【符号の説明】
【0057】
1…超音波流量計、2…温度制御装置、3…温度取得部、4…記憶部、5…平均値算出部、6…評価部、7…評価結果出力部、10…配管、11,12…超音波素子、13…送信部、14…受信部、15…切替部、16…流量算出部、20…ヒータ、21…冷却器、22…温度センサ、23…制御部。