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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】発光素子
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/44 20100101AFI20240702BHJP
   H01L 33/20 20100101ALI20240702BHJP
   H01S 5/028 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H01L33/44
H01L33/20
H01S5/028
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020125509
(22)【出願日】2020-07-22
(65)【公開番号】P2021114596
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】10-2020-0006124
(32)【優先日】2020-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】512187343
【氏名又は名称】三星ディスプレイ株式會社
【氏名又は名称原語表記】Samsung Display Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1, Samsung-ro, Giheung-gu, Yongin-si, Gyeonggi-do, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002619
【氏名又は名称】弁理士法人PORT
(72)【発明者】
【氏名】パク ジョンウン
(72)【発明者】
【氏名】イ チャンヒ
(72)【発明者】
【氏名】キム ダクキ
(72)【発明者】
【氏名】ジュン ユンク
(72)【発明者】
【氏名】コ ユンヒュク
(72)【発明者】
【氏名】ハ ジェコク
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/080709(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/060223(WO,A1)
【文献】特開2018-170389(JP,A)
【文献】特開2013-211399(JP,A)
【文献】特開2019-068026(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0019369(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0850482(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配置される活性層と、
前記活性層上に配置される第2半導体層と、
前記第1半導体層、前記活性層、及び前記第2半導体層のそれぞれの外周面を取り囲む絶縁膜と、
高分子鎖を含み、前記絶縁膜の表面の少なくとも一部上に配置される高分子膜と、を含み、
前記高分子鎖は、
下記化学式1で表される繰り返し単位を含み、
【化1】
[化学式1]
前記化学式1において、R 、R ’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基であることを特徴とする発光素子。
【請求項2】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配置される活性層と、
前記活性層上に配置される第2半導体層と、
前記第1半導体層、前記活性層、及び前記第2半導体層のそれぞれの外周面を取り囲む絶縁膜と、
高分子鎖を含み、前記絶縁膜の表面の少なくとも一部上に配置される高分子膜と、を含み、
前記高分子鎖は、
下記化学式2で表される繰り返し単位を含み、
【化2】
[化学式2]
前記化学式2において、R 、R ’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基であることを特徴とする発光素子。
【請求項3】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配置される活性層と、
前記活性層上に配置される第2半導体層と、
前記第1半導体層、前記活性層、及び前記第2半導体層のそれぞれの外周面を取り囲む絶縁膜と、
高分子鎖を含み、前記絶縁膜の表面の少なくとも一部上に配置される高分子膜と、を含み、
前記高分子鎖は、
下記化学式3で表される繰り返し単位を含み、
【化3】
[化学式3]
前記化学式3において、R 、R ’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基であることを特徴とする発光素子。
【請求項4】
前記第2半導体層上に配置される電極層をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発光素子。
【請求項5】
前記高分子膜は、
前記絶縁膜の表面と前記高分子鎖の末端とを連結するリンカー化合物をさらに含むことを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発光素子。
【請求項6】
前記リンカー化合物は、
炭素数1~20のアルキレン基、-(CH)n-NR-(nは1以上の整数であり、Rは水素または炭素数1~20のアルキル基)で表されるアルキルアミン基、炭素数1~20のエステル基、炭素数1~20のケトン基、炭素数1~20のアミド基、及びシロキサン基のうち少なくとも1つを含む化合物であることを特徴とする請求項に記載の発光素子。
【請求項7】
前記高分子鎖の分子量は2,000g/mol以上1,000,000g/mol以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発光素子。
【請求項8】
前記高分子膜の厚さは10nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の発光素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光素子、発光素子の製造方法、及び発光素子を含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light Emitting Diode、以下、LEDという)は、劣悪な環境条件下でも比較的良好な耐久性を示し、寿命及び輝度の側面でも優れた性能を有する。最近では、このようなLEDを様々な表示装置に適用するための研究が活発に行われている。
【0003】
当該研究の一環として、無機結晶構造、例えば、窒化物系半導体を成長させた構造を利用してマイクロスケールまたはナノスケール程度に小さい超小型棒状LEDを製作する技術が開発されている。例えば、棒状LEDは自発光表示装置の画素を構成することができる程度に小さなサイズで製作されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0007376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、溶液内で分散性及び分散安定性に優れた発光素子、発光素子の製造方法、及び発光素子を含む組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施例による発光素子は、第1半導体層と、上記第1半導体層上に配置される活性層と、上記活性層上に配置される第2半導体層と、上記第1半導体層、上記活性層、及び上記第2半導体層のそれぞれの外周面を取り囲む絶縁膜と、高分子鎖を含み、上記絶縁膜の表面の少なくとも一部上に配置される高分子膜と、を含んでもよい。
【0007】
本発明の一実施例において、上記発光素子は、上記第2半導体層上に配置される電極層をさらに含んでもよい。
【0008】
本発明の一実施例において、上記高分子膜は、上記絶縁膜の表面と上記高分子鎖の末端とを連結するリンカー化合物をさらに含んでもよい。
【0009】
本発明の一実施例において、上記リンカー化合物は、炭素数1~20のアルキレン基、-(CH)n-NR-(nは1以上の整数であり、Rは水素または炭素数1~20のアルキル基)で表されるアルキルアミン基、炭素数1~20のエステル基、炭素数1~20のケトン基、炭素数1~20のアミド基、及びシロキサン基のうち少なくとも1つを含む化合物であってもよい。
【0010】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖は、主鎖内に脂肪族炭化水素の繰り返し単位を含んでもよい。
【0011】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖の主鎖は炭素数が10以上であってもよい。
【0012】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖は、主鎖内に芳香族環を含有する繰り返し単位を含んでもよい。
【0013】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖の主鎖は10以上の芳香族環を含んでもよい。
【0014】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖の主鎖は、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、及びチオール基のうち少なくとも1つの置換基が結合されてもよい。
【0015】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖は、下記化学式1で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0016】
【化1】
【0017】
上記化学式1において、R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基である。
【0018】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖は下記化学式2で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0019】
【化2】
【0020】
上記化学式2において、R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基である。
【0021】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖は下記化学式3で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0022】
【化3】
【0023】
上記化学式3において、R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基である。
【0024】
本発明の一実施例において、上記高分子鎖の分子量は2,000g/mol以上1,000,000g/mol以下であってもよい。
【0025】
本発明の一実施例において、上記高分子膜の厚さは10nm以上100nm以下であってもよい。
【0026】
本発明の一実施例による発光素子の製造方法は、基板上に第1半導体層、活性層、第2半導体層が順に積層された発光積層体を形成する段階と、上記発光積層体をエッチングして発光積層パターンを形成する段階と、上記発光積層パターン上に絶縁膜を形成する段階と、高分子鎖を含む高分子膜を上記絶縁膜の表面の少なくとも一部に形成する段階と、を含んでもよい。
【0027】
本発明の一実施例において、上記高分子膜を形成する段階は、上記絶縁膜の表面にリンカー化合物を導入する段階を含んでもよい。
【0028】
本発明の一実施例において、上記高分子膜を形成する段階は、単量体が重合されて形成された上記高分子鎖の末端を上記リンカー化合物に結合させてもよい。
【0029】
本発明の一実施例において、上記高分子膜を形成する段階は、上記リンカー化合物で単量体を重合させて上記高分子鎖を形成してもよい。
【0030】
本発明の一実施例による組成物は、溶媒及び発光素子を含んでもよい。上記発光素子は、第1半導体層と、上記第1半導体層上に配置される活性層と、上記活性層上に配置される第2半導体層と、上記第1半導体層、上記活性層、及び上記第2半導体層のそれぞれの外周面を取り囲む絶縁膜と、高分子鎖を含み、上記絶縁膜の表面の少なくとも一部上に配置される高分子膜と、を含んでもよい。
【0031】
本発明の一実施例において、上記溶媒は、アルキル基を含有するアルキル系溶媒、エーテル基を含有するエーテル系溶媒、エステル基を含有するエステル系溶媒、アミン基を含有するアミン系溶媒、アミド基を含有するアミド系溶媒、アルコール基を含有するアルコール系溶媒、ウレタン基を含有するウレタン系溶媒、ウレア基を含有するウレア系溶媒、イミド基を含有するイミド系溶媒、アクリル基を含有するアクリル系溶媒、チオール基を含有するチオール系溶媒のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一実施例によると、溶媒に対する分散性に優れた発光素子を提供してもよい。
【0033】
具体的には、本発明の一実施例によると、高分子鎖を含む高分子膜を発光素子に提供することにより、溶媒に対する分散性及び分散安定性を向上させてもよい。
【0034】
但し、本発明の効果は上述した効果に限定されず、本発明の思想及び領域から外れない範囲内で多様に拡張されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明の一実施例による発光素子を示した斜視図である。
図2a図1のI-I’線に沿って切開した本発明の様々な実施例による発光素子を示した断面図である。
図2b図1のI-I’線に沿って切開した本発明の様々な実施例による発光素子を示した断面図である。
図3】本発明の一実施例による絶縁膜の表面に配置される高分子膜を概略的に示した断面図である。
図4a】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4b】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4c】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4d】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4e】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4f】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4g】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4h】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4i】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4j】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図4k】発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
図5】本発明の一実施例による発光素子を含む組成物を示したものである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明は多様に変更し、また、様々な形態を有することができるため、特定の実施例を図面に例示し以下で詳細に説明する。しかし、これは本発明を特定の開示形態に限定するものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれる全ての変更、均等物ないし代替物を含むと理解すべきである。
【0037】
各図面を説明するにあたり、類似する構成要素には類似する参照符号を使用した。添付の図面における構造物の寸法は、本発明を明確にするために拡大して示した。第1、第2などの用語は様々な構成要素を説明するために用いられるが、上記構成要素は上記用語により限定されてはならない。上記用語は一構成要素を他の構成要素と区別するためだけに用いられる。例えば、本発明の権利範囲から外れない範囲内で、第1構成要素は第2構成要素と称されてもよく、これと同様に第2構成要素も第1構成要素と称されてもよい。単数の表現は文脈上明らかに違う意味を持たない限り、複数の表現を含む。
【0038】
本出願において、「含む」または「有する」などの用語は、明細書上に記載された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部品、またはこれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部品またはこれらの組み合わせの存在または付加可能性を事前に排除するものではないと理解すべきである。また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるというときは、他の部分の「真上に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が介在されている場合も含む。また、本明細書において、ある層、膜、領域、板などの部分が他の部分上(on)に形成されたというときは、上記形成された方向は上部方向のみに限らず、側面や下部方向に形成されたものを含む。逆に、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「下に」あるというときは、他の部分の「真下に」ある場合のみならず、その中間に他の部分が介在されている場合も含む。
【0039】
本出願において、用語「繰り返し単位」は、重合体内で単量体が反応した形態を意味することができ、具体的には、その単量体が重合反応を経て、その重合体の骨格、例えば、高分子鎖の主鎖を形成している形態を意味することができる。
【0040】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例をより詳細に説明する。
【0041】
図1は本発明の一実施例による発光素子を示した斜視図であり、図2a及び図2bは図1のI-I’の線に沿って切開した本発明の様々な実施例による発光素子を示した断面図であり、図3は本発明の一実施例による絶縁膜の表面に配置される高分子膜を概略的に示した断面図である。
【0042】
図1には、本発明の一実施例による発光素子LDが円柱状の発光素子として図示されているが、本発明による発光素子LDの種類及び/または形状はこれに限定されない。
【0043】
図1図2bを参照すると、本発明の一実施例による発光素子LDは、第1半導体層11と、第2半導体層13と、上記第1及び第2半導体層11、13の間に介在された活性層12と、を含む。実施例に応じて、発光素子LDは、長さ方向に第1半導体層11、活性層12及び第2半導体層13が順に積層された積層構造を含んでもよい。
【0044】
発光素子LDは一方向に沿って延長された棒状に提供されてもよい。発光素子LDの延長方向を長さ方向とすると、発光素子LDは上記長さ方向に沿って一側端部と他側端部を有することができる。実施例に応じて、発光素子LDの一側端部には第1及び第2半導体層11、13の何れか1つが配置され、上記発光素子LDの他側端部には上記第1及び第2半導体層11、13の残り1つが配置されてもよい。
【0045】
発光素子LDは棒状に製造された棒状発光ダイオードであってもよい。本明細書において、「棒状」とは、円柱または多角柱などの長さ方向に長い(即ち、縦横比が1より大きい)ロット状(rod-like shape)またはバー状(bar-like shape)を包括し、その断面の形状は特に限定されない。例えば、発光素子LDの長さは、その直径(または横断面の幅)より大きくてもよい。以下、便宜のために、発光素子LDが円柱状である例について説明する。
【0046】
実施例に応じて、発光素子LDは、ナノスケールないしマイクロスケール程度に小さなサイズ、例えば、それぞれナノスケールまたはマイクロスケール範囲の直径及び/または長さを有することができる。但し、本発明において発光素子LDのサイズはこれに限定されない。例えば、発光素子LDを用いた発光装置を光源として利用する各種装置、例えば、表示装置などの設計条件に応じて発光素子LDのサイズは多様に変更できる。
【0047】
第1半導体層11は、一例として、少なくとも1つのn型半導体層を含んでもよい。例えば、第1半導体層11は、InAlGaN、GaN、AlGaN、InGaN、AlN、InNの何れか1つの半導体材料を含み、Si、Ge、Snなどの第1導電性ドーパントがドープされたn型半導体層を含んでもよい。但し、第1半導体層11を構成する物質はこれに限定されず、その他にも様々な物質で第1半導体層11を構成することができる。
【0048】
活性層12は第1半導体層11上に配置され、単一または多重量子井戸構造で形成されてもよい。一実施例において、活性層12の上部及び/または下部には導電性ドーパントがドープされたクラッド層(図示せず)が形成されてもよい。例えば、クラッド層は、AlGaN層またはInAlGaN層で形成されることができる。実施例に応じて、AlGaN、AlInGaNなどの物質が活性層12の形成に用いられてもよく、その他にも様々な物質が活性層12を構成することができる。
【0049】
発光素子LDの両端に所定電圧以上の電界を印加すると、活性層12において電子-正孔対が結合して上記発光素子LDが発光する。このような原理を利用して発光素子LDの発光を制御することで、上記発光素子LDを表示装置の画素を始めとした様々な発光装置の光源として利用することができる。活性層12は、第1半導体層11と接触する一面及び第2半導体層13と接触する他面を含んでもよい。
【0050】
第2半導体層13は活性層12上に配置され、第1半導体層11と異なるタイプの半導体層を含んでもよい。例えば、第2半導体層13は少なくとも1つのp型半導体層を含んでもよい。例えば、第2半導体層13は、InAlGaN、GaN、AlGaN、InGaN、AlN、InNの少なくとも1つの半導体材料を含み、Mgなどの第2導電性ドーパントがドープされたp型半導体層を含んでもよい。但し、第2半導体層13を構成する物質はこれに限定されず、その他にも様々な物質が第2半導体層13を構成することができる。
【0051】
図2bを参照すると、本発明の一実施例において、発光素子LDは第2半導体層13上に配置される電極層16を含んでもよい。即ち、発光素子LDは、第1半導体層11、活性層12、第2半導体層13、及び電極層16が順に積層された積層構造を含んでもよい。以下の実施例では、第1半導体層11、活性層12、第2半導体層13、及び電極層16を含む積層構造は発光積層パターンと称する。
【0052】
当該発光積層パターンは円柱状であってもよく、発光素子LDも発光積層パターンに対応する円柱状であってもよい。また、発光積層パターンに含まれた第1半導体層11、活性層12、第2半導体層13、及び電極層16が円柱状である。
【0053】
発光素子LDの一側端部には第1半導体層11が配置され、発光素子LDの他側端部には電極層16が配置されてもよい。発光素子LDは発光素子LDの両端部に位置し、外部に露出された第1半導体層11の下部面と電極層16の上部面を含んでもよい。第1半導体層11の下部面と電極層16の上部面は、外部の伝導性物質と接触して電気的に接続される面であってもよい。
【0054】
発光素子LDが円柱状である場合、円柱の下部には第1半導体層11が配置され、上記円柱の上部には電極層16が配置されることができる。発光素子LDが円柱状である場合、第1半導体層11の下部面と電極層16の上部面はそれぞれ円形であってもよい。
【0055】
実施例に応じて、発光素子LDが楕円柱状である場合には、第1半導体層11の下部面と電極層16の上部面はそれぞれ楕円形であってもよい。また、他の実施例に応じて、発光素子LDが多角柱状である場合は、第1半導体層11の下部面と電極層16の上部面はそれぞれ多角形であってもよい。
【0056】
電極層16は第2半導体層13に電気的に接続されるオーミック(Ohmic)コンタクト電極であってもよいが、これに限定されない。実施例に応じて、電極層16はショットキー(Schottky)コンタクト電極であってもよい。電極層16は金属または金属酸化物を含んでもよく、例えば、Cr、Ti、Al、Au、Ni、ITO、IZO、ITZO及びこれらの酸化物または合金などを単独または混合して使用することができる。また、電極層16は実質的に透明または半透明であってもよい。これにより、発光素子LDの活性層12で生成される光を、電極層16を透過して発光素子LDの外部に放出することができる。
【0057】
図1図2bに示したように、発光素子LDは発光積層パターンの表面に提供された絶縁膜14をさらに含んでもよい。絶縁膜14は透明な絶縁物質を含んでもよい。例えば、絶縁膜14はSiO、Si、Al及びTiOからなる群より選択される1つ以上の絶縁物質を含んでもよいが、これに限定されず、絶縁性を有する様々な材料を用いることができる。
【0058】
絶縁膜14は、活性層12が第1半導体層11及び第2半導体層13以外の導電性物質と接触して発生し得る電気的短絡を防止する。また、絶縁膜14を形成することによって発光素子LDの表面欠陥を最小化し、寿命と効率を向上させることができる。また、複数の発光素子LDが密接に配置される場合、絶縁膜14は発光素子LDの間で発生し得る所望しない短絡を防止することができる。
【0059】
絶縁膜14は、少なくとも活性層12の外周面を取り囲むように発光積層パターンの表面に形成されてもよく、その他にも第1半導体層11及び第2半導体層13の領域と電極層16の外周面をさらに取り囲むことができる。
【0060】
本発明の一実施例において、絶縁膜14は異なる極性を有する発光素子LDの両端部のうち少なくとも1つの端部を露出することができる。図1図2bには、絶縁膜14が第1半導体層11及び第2半導体層13の外周面の全てを取り囲んでいる形態が図示されているが、これとは異なり、絶縁膜14は長さ方向において発光素子LDの両端部に位置する第1半導体層11及び第2半導体層13のうち上記第1半導体層11の一部をカバーせずに外部に露出することができる。
【0061】
絶縁膜14は発光積層パターンの表面に直接接する内側面と、上記内側面に対向する外側面と、を含んでもよい。また、絶縁膜14は、発光素子の長さ方向に交差する一方向(例えば、水平方向)に平行な上部面と下部面を含んでもよい。このとき、上記絶縁膜14の表面は、上記外側面、上記上部面、及び上記下部面を含むものであってもよい。
【0062】
図1図2bを参照すると、本発明の一実施例において、絶縁膜14の表面の少なくとも一部上に高分子膜15が配置されてもよい。発光素子LDの絶縁膜14の表面に高分子膜15を提供することで、後述する組成物内で発光素子LDの分散性を向上させることができる。また、高分子膜15が提供された発光素子LDは、組成物内で優れた分散安定性を有し、長い時間が経過した場合も発光素子LDが組成物に沈まず、組成物内に均質に分散することができる。
【0063】
図1図2bには、絶縁膜14の表面のうち外側面に高分子膜15が配置されるものが図示されているが、高分子膜15が配置される位置は限定しない。例えば、高分子膜15は、絶縁膜14の外側面、上面、及び下面の全てに配置されてもよい。
【0064】
本発明の一実施例において、高分子膜15は、図3に示したように高分子鎖PCを含んでもよい。このとき、高分子鎖PCを絶縁膜14上に提供することができる。具体的には、高分子膜15はリンカー化合物を含み、リンカー化合物は絶縁膜14の表面と高分子鎖PCの末端を連結することができる。即ち、リンカー化合物を介して絶縁膜14の表面に高分子鎖PCを導入することができる。
【0065】
リンカー化合物は、絶縁膜14の表面及び高分子鎖PCの末端と結合することができる官能基を含んでもよい。具体的には、リンカー化合物は、炭素数1~20のアルキレン基、-(CH)n-NR-(nは1以上の整数であり、Rは水素または炭素数1~20のアルキル基)で表されるアルキルアミン基、炭素数1~20のエステル基、炭素数1~20のケトン基、炭素数1~20のアミド基、及びシロキサン基のうち少なくとも1つを含む化合物であってもよい。但し、リンカー化合物の種類は上記のものに限定されず、絶縁膜14を構成する物質の種類、高分子鎖PCの重合に使用される単量体の種類に応じてリンカー化合物の種類を選択することができる。
【0066】
本発明の一実施例では、リンカー化合物としてシロキサン基を含む化合物を使用することができる。例えば、シロキサン基を含むリンカー化合物として、下記化合物1、化合物2、化合物3の何れか1つを使用することができる。
【0067】
【化4】
【0068】
【化5】
【0069】
【化6】
【0070】
以下では、リンカー化合物としてシロキサン基を含む化合物を使用した実施例をベースにして説明する。
【0071】
絶縁膜14の表面処理によってリンカー化合物を絶縁膜14の表面に導入することができる。例えば、絶縁膜14の表面処理によって、上記化合物1~化合物3において、シロキサン基のシロキサン結合(Si-O)の酸素に結合されたメチル基(-CH)が離脱し、酸素と絶縁膜14の表面とを結合することができる。上記化合物1~化合物3において、ハロゲン原子(Br、I)が結合された炭素は求電子性(electrophilicity)を有し、求電子性を有する炭素からハロゲン原子が離脱し、その位置に高分子鎖PCの末端を結合することができる。
【0072】
これにより、図3に示したように、リンカー化合物(例えば、化合物1)の一末端を絶縁膜14の表面に結合し、リンカー化合物の他の末端を高分子鎖PCと結合することができる。
【0073】
リンカー化合物に高分子鎖PCを結合させる方法には、当業界で使用される重合反応またはカップリング反応などを利用することができる。例えば、リンカー化合物の末端に高分子鎖PCの重合に使用される単量体を結合させた後、リンカー化合物の末端で単量体の重合反応を行って高分子鎖PCを成長させることができる。また、単量体が重合されて形成された高分子鎖PCの末端とリンカー化合物の末端の間でカップリング反応を行い、リンカー化合物に高分子鎖PCを結合させることができる。但し、リンカー化合物に高分子鎖PCを結合させる方法は上記の方法に限定されない。
【0074】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは主鎖内に脂肪族炭化水素の繰り返し単位を含んでもよい。即ち、高分子鎖PCの主鎖は脂肪族炭化水素単量体由来の重合単位を含んでもよい。脂肪族炭化水素の繰り返し単位は、高分子鎖PCの主鎖のバックボーン(back bone)を形成することができる。本発明において、脂肪族炭化水素の繰り返し単位は、主鎖の繰り返し単位内に芳香族基を含有しないことを意味することができる。また、脂肪族炭化水素の繰り返し単位は、極性置換基及び/または非極性置換基を含有することができる。
【0075】
脂肪族炭化水素の繰り返し単位を含む高分子鎖PCの主鎖は、炭素数が10以上であってもよい。即ち、脂肪族炭化水素の繰り返し単位からなる高分子鎖PCの主鎖は、10個以上の炭素を含むことができる。炭素数が10以上の主鎖を含む高分子鎖PCを発光素子LDの絶縁膜14の表面に提供することにより、溶媒に対する発光素子LDの溶解度を増加させることができる。
【0076】
本発明の一実施例において、高分子鎖の主鎖は、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、及びチオール基のうち少なくとも1つの置換基が結合されてもよい。
【0077】
具体的に、脂肪族炭化水素の繰り返し単位は、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、及びチオール基のうち少なくとも1つの置換基を含んでもよい。
【0078】
後述するように、組成物内に含まれる溶媒の種類に応じて、脂肪族炭化水素の繰り返し単位に含まれる置換基の種類を設定することができる。一方、上記とは異なり、脂肪族炭化水素の繰り返し単位に含まれる置換基の種類に応じて、組成物に含まれる溶媒の種類を設定することができる。即ち、高分子鎖PCの主鎖に含まれる置換基と溶媒に含まれる官能基の種類を考慮し、組成物内で分散性に優れた発光素子を具現することができる。
【0079】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは、主鎖内に芳香族環を含有する繰り返し単位を含んでもよい。即ち、高分子鎖PCの主鎖は、芳香族環を含有する単量体由来の重合単位を含んでもよい。芳香族環を含有する繰り返し単位は、高分子鎖PCの主鎖のバックボーンを形成することができる。また、芳香族環を含有する繰り返し単位は、極性置換基及び/または非極性置換基を含有することができる。
【0080】
芳香族環を含有する繰り返し単位を含む高分子鎖PCの主鎖は、10以上の芳香族環を含んでもよい。また、芳香族環を含有する繰り返し単位を含む高分子鎖PCの主鎖は、炭素数が10以上であってもよい。このとき、高分子鎖PCの主鎖の炭素数は、芳香族環に含まれる炭素を除き、主鎖内に含まれる炭素の数を意味することができる。
【0081】
芳香族環の数が10以上で、炭素数が10以上の主鎖を含む高分子鎖PCを発光素子LDの絶縁膜14の表面に提供することにより、溶媒に対する発光素子LDの分散性をより改善させることができる。
【0082】
本発明の一実施例において、芳香族環を含有する繰り返し単位は、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、及びチオール基のうち少なくとも1つの置換基を含んでもよい。
【0083】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCの分子量は、2,000g/mol以上1,000,000g/mol以下であってもよい。具体的には、高分子鎖PCの分子量は、3,000g/mol以上900,000g/mol以下、5,000g/mol以上800,000g/mol以下、10,000g/mol以上600,000g/mol以下、50,000g/mol以上500,000g/mol以下、または100,000g/mol以上350,000g/mol以下であってもよい。
【0084】
より具体的には、高分子鎖PCの分子量は、2,000g/mol以上10,000g/mol以下、15,000g/mol以上50,000g/mol以下、100,000g/mol以上500,000g/mol以下、または600,000g/mol以上1,000,000g/mol以下であってもよい。高分子鎖PCの分子量は単量体の重合反応を調節することで制御することができる。
【0085】
高分子鎖PCの分子量を上述した範囲に調節することにより、溶媒に対する優れた溶解性を有する発光素子LDを具現することができる。これにより、発光素子LDを溶媒中で均質に分散することができる。
【0086】
本発明の一実施例において、高分子膜15の厚さは、10nm以上100nm以下であってもよい。具体的には、高分子膜15の厚さは、20nm以上80nm以下、30nm以上70nm以下、または35nm以上50nm以下であってもよい。より具体的には、高分子膜15の厚さは、10nm以上25nm以下、30nm以上50nm以下、または75nm以上100nm以下であってもよい。
【0087】
高分子膜15の厚さが上述した範囲内である場合、溶媒に対する発光素子LDの分散性をより向上させることができる。また、高分子膜15の厚さを上述した範囲に調節することにより、発光素子LDの表面欠陥を最小化し、寿命と効率を向上させることができる。
【0088】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは、下記化学式1で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0089】
【化7】
【0090】
上記化学式1において、R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基である。
【0091】
好ましくは、上記化学式1において、上記R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~10のアルキル基、炭素数2~10のエーテル基、炭素数2~10のエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、またはアクリル基であってもよい。
【0092】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは、下記化学式2で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0093】
【化8】
【0094】
上記化学式2において、R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基である。
【0095】
好ましくは、上記化学式2において、上記R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~5のアルキル基、炭素数2~5のエーテル基、炭素数2~5のエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1~5のアルコキシ基、またはアクリル基であってもよい。
【0096】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは下記化学式2-1で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0097】
【化9】
【0098】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは下記化学式3で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0099】
【化10】
【0100】
上記化学式3において、R、R’は、それぞれ独立して水素、炭素数3~20のアルキル基、炭素数2~20のエーテル基、炭素数2~20のエステル基、炭素数1~20のアミン基、炭素数2~20のアミド基、ヒドロキシ基、炭素数1~20のアルコキシ基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、アクリル基、またはチオール基である。
【0101】
好ましくは、上記化学式3において、上記R、R’は、それぞれ独立して炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のエーテル基、炭素数1~510のエステル基、ヒドロキシ基、炭素数1~10のアルコキシ基、またはアクリル基であってもよい。
【0102】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは下記化学式3-1で表される繰り返し単位を含んでもよい。
【0103】
【化11】
【0104】
本発明の一実施例によると、上述したように化学式1~化学式3で表される繰り返し単位のうち少なくとも1つを含む高分子鎖PCを発光素子LDの絶縁膜14の表面に導入することにより、溶媒に対する分散性に優れた発光素子LDを効果的に具現することができる。
【0105】
上述した発光素子LDは、様々な表示装置の発光源として利用することができる。
【0106】
図4a~4kは発光素子の製造方法を順に示した断面図である。
【0107】
図1図2b、図4aを参照すると、発光素子LDを支持するように構成される基板1を用意する。
【0108】
基板1はGaAs、GaP、InP、サファイア(sapphire)基板であってもよい。基板1はエピタキシャル成長のためのウェハであってもよい。基板1は表面上にGaAs層を有するZnO基板を含んでもよい。また、表面上にGaAs層を有するGe基板及びSiウェハ上にバッファ層を介してGaAs層を有するSi基板も適用することができる。
【0109】
基板1は公知の製法で製作された市販品の単結晶基板を使用してもよい。発光素子LDを製造するための選択比を満たし、エピタキシャル成長が円滑に行われるのであれば、基板1の材料はこれに限定されない。以下の実施例では、基板1はサファイア基板である例について説明する。
【0110】
基板1のエピタキシャル成長をさせる表面は平滑であることが好ましい。基板1は、上記基板1が適用される製品に応じてサイズと直径が変わってもよく、エピタキシャル成長による積層構造による曲げが低減できる形態に製造されてもよい。基板1の形状は円形に限定されず、長方形などの多角形であってもよい。
【0111】
図1図2b、図4bを参照すると、基板1上に犠牲層3を形成する。犠牲層3は基板1上にMOCVD方法、MBE方法、VPE方法、LPE方法などで形成されてもよい。
【0112】
基板1と犠牲層3は互いに接触して配置されてもよい。犠牲層3は発光素子LDを製造する過程で発光素子LDと基板1の間に位置し、上記発光素子LDと上記基板1を物理的に離隔させることができる。
【0113】
犠牲層3は多様な形態の構造を有することができ、単層構造または多層構造からなってもよい。犠牲層3はGaAs、AlAsまたはAlGaAsで形成されてもよい。一方、発光素子LDの製造方法に応じて、基板1上に犠牲層3を形成する段階を省略することもできる。この場合、基板1上に第1半導体層11を形成することができる。
【0114】
図1図2b、図4cを参照すると、犠牲層3上に第1半導体層11を形成する。第1半導体層11は、犠牲層3と同様にエピタキシャル成長により形成されてもよく、MOCVD方法、MBE方法、VPE方法、LPE方法などで形成されてもよい。実施例に応じて、第1半導体層11と犠牲層3の間には、バッファ層、非ドープ半導体層などの結晶性向上のための追加の半導体層がさらに形成されてもよい。
【0115】
第1半導体層11は、III(Ga、Al、In)-V(P、As)族からなる半導体材料を含んでもよく、Si、Ge、Snなどの第1導電性ドーパントがドープされた半導体層を含んでもよい。例えば、第1半導体層11は、SiでドープされたGaP、GaAs、GaInP、AlGaInPのうち少なくとも1つの半導体材料を含んでもよい。即ち、第1半導体層11は少なくとも1つのn型半導体層を含んでもよい。第1半導体層11を構成する物質はこれに限定されず、その他にも様々な物質が第1半導体層11を構成することができる。
【0116】
図1図2b、図4dを参照すると、第1半導体層11上に活性層12を形成する。活性層12は電子と正孔が再結合される領域であり、上記電子と正孔が再結合することによって低いエネルギー準位に遷移し、それに相応する波長を有する光を放出することができる。
【0117】
活性層12は第1半導体層11上に形成されてもよく、単一または多重量子井戸構造で形成されることができる。活性層12の位置は発光素子LDの種類に応じて多様に変わってもよい。
【0118】
活性層12は、GaInP、AlGaInP、GaAs、AlGaAs、InGaAs、InGaAsP、InP、InAsの少なくとも1つの物質を含んでもよい。活性層12は、400nm~900nmの波長を有する光を放出することができる。活性層12は、二重ヘテロ構造(double heterostructure)を使用することができる。実施例に応じて、活性層12の上部面及び/または下部面には導電性ドーパントがドープされたクラッド層(図示せず)がさらに形成されてもよい。
【0119】
図1図2b、図4eを参照すると、活性層12上に第2半導体層13を形成する。第2半導体層13は、第1半導体層11と異なるタイプの半導体層を含んでもよい。第2半導体層13は、III(Ga、Al、In)-V(P、As)族からなる半導体材料を含んでもよく、Mgなどの第2導電性ドーパントがドープされた半導体層を含んでもよい。例えば、第2半導体層13は、MgでドープされたGaP、GaAs、GaInP、AlGaInPのうち少なくとも1つの半導体材料を含んでもよい。即ち、第2半導体層13はp型半導体層を含んでもよい。第2半導体層13を構成する物質はこれに限定されず、その他にも様々な物質が第2半導体層13を構成することができる。
【0120】
図1図2b、図4fを参照すると、第2半導体層13上に電極層16を形成する。電極層16は金属または金属酸化物を含んでもよい。例えば、電極層16は、Cr、Ti、Al、Au、Ni、ITO、IZO、ITZO及びこれらの酸化物または合金などを単独または混合して使用することができる。本発明の一実施例において、電極層16は、活性層12で生成されて発光素子LDの外部に放出される光の損失を最小化し、第2半導体層13への電流広がり(spreading)効果を向上させるために、インジウムスズ酸化物(ITO)のように透明な金属酸化物からなってもよい。
【0121】
上述したように、基板1上に順に積層された第1半導体層11、活性層12、第2半導体層13、及び電極層16は発光積層体を構成する。
【0122】
図1図2b、図4gを参照すると、発光積層体を垂直方向にエッチングして発光積層パターン10を形成することができる。発光積層体の上部にマスク(図示せず)を配置してから1次エッチング工程を行い、ナノスケールまたはマイクロスケール間隔で上記発光積層体をパターニングし複数個の発光積層パターン10を形成する。
【0123】
本発明の一実施例において、マスクは複数の開口部(図示せず)を含んでもよく、上記開口部に対応する発光積層体の一部の領域がエッチングされて第1半導体層11の一部の領域を外部に露出させる溝部が形成されることができる。図4gを参照すると、基板1の一面と対向する第1半導体層11の一部の領域が外部に露出されることができる。
【0124】
マスクの開口部に対応する発光積層体の一部の領域はエッチングされ、上記マスクの開口部に対応しない発光積層体の一部の領域はエッチングされない。実施例に応じてはその逆も可能である。即ち、マスクの開口部に対応する発光積層体の一部の領域がエッチングされず、上記マスクの開口部に対応しない発光積層体の一部の領域がエッチングされてもよい。
【0125】
1次エッチングは、RIE(reactive ion etching:反応性イオンエッチング)、RIBE(reactive ion beam etching:反応性イオンビームエッチング)またはICP-RIE(inductively coupled plasma reactive ion etching:誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング)のようなドライエッチング法が用いられてもよい。当該ドライエッチング法はウェットエッチング法とは違って、一方性エッチングが可能であり、発光積層パターン10の形成に相応しい。
【0126】
本発明の一実施例において、発光積層パターン10のそれぞれはナノスケールまたはマイクロスケールのサイズを有することができる。
【0127】
1次エッチング工程を行った後、発光積層パターン10上に残った残余物(図示せず)は、通常のウェットエッチングまたはドライエッチング方法によって除去されてもよいが、これに限定されず、通常の除去方法で除去されてもよい。ここで、残余物はマスク工程時に必要なエッチングマスク、絶縁物質などを含んでもよい。
【0128】
図1図2b、図4hを参照すると、発光積層パターン10、及び外部に露出された第1半導体層11の領域上に絶縁膜14を形成する。即ち、絶縁膜14は、第1半導体層11、活性層12、第2半導体層13、電極層16をカバーして、第1半導体層11、活性層12、第2半導体層13、電極層16が外部に露出されないようにすることができる。
【0129】
絶縁膜14を形成する方法は、基板1上に付着された発光積層パターン10上に絶縁物質を塗布する方法を用いてもよいが、これに限定されない。絶縁膜14として使用できる物質は、SiO、Si、Al及びTiOからなる群より選択される何れか1つ以上を含んでもよいが、これに限定されない。例えば、Al膜はALD(atomic layer deposition:原子層堆積)方式により形成してもよく、TMA(trimethyl aluminum)とHOソースをパルス形態で供給して化学的な吸着と脱着を利用して薄膜を形成してもよい。絶縁膜14の厚さは30nm~150nmであってもよいが、これに限定されるものではない。
【0130】
図1図2b、図4iを参照すると、2次エッチング工程を行って絶縁膜14の一部を除去することができる。2次エッチング工程により、電極層16を取り囲む絶縁膜14の部分と基板1の一面と対向する第1半導体層11の一領域をカバーする絶縁膜14の部分を除去することができる。これにより、絶縁膜14は、発光積層パターン10の外側面に提供されることができる。即ち、2次エッチング工程を行うことで、基板1上に絶縁膜14に取り囲まれた発光積層パターン10が形成されることができる。
【0131】
図1図2b、図4jを参照すると、化学的分離(Chemical lift-off;CLO)方式を利用して絶縁膜14に取り囲まれた発光積層パターン10を基板1から分離することができる。化学的分離は、発光積層パターン10の第1半導体層11と犠牲層3上に形成された第1半導体層11の境界面で行われてもよい。図4jを参照すると、化学的分離が行われることにより、発光積層パターン10に含まれない第1半導体層11の一部は犠牲層3上に残る。
【0132】
基板1から分離された発光積層パターン10は、電極層16と絶縁膜14の表面、第1半導体層11の下部面が外部に露出された状態であってもよい。
【0133】
図1図2b、図4kを参照すると、発光積層パターン10の絶縁膜14の表面に高分子膜15を形成して発光素子LDを製造することができる。高分子膜15は絶縁膜14の表面の少なくとも一部に形成されてもよく、図4kには絶縁膜14の外側面、上部面、下部面の全てに高分子膜15が形成された実施例が示されている。
【0134】
本発明の一実施例では、高分子膜15を形成する段階で絶縁膜14の表面にリンカー化合物を導入することができる。上記リンカー化合物は、図1図3を通じて説明したリンカー化合物と同一であってもよい。上述したように、絶縁膜14の表面処理によってリンカー化合物の一末端が絶縁膜14の表面に結合されることができる。
【0135】
本発明の一実施例において、高分子膜15を形成する段階は、リンカー化合物を介して高分子鎖PCを絶縁膜14の表面に導入させることができる。具体的には、高分子鎖PCの末端は、リンカー化合物の他の末端に結合されることができる。図3に示したように、リンカー化合物は高分子鎖PCと絶縁膜14の表面を連結することができる。
【0136】
リンカー化合物に高分子鎖PCを結合させる方法には、当業界で使用される重合反応またはカップリング反応などを利用することができる。例えば、リンカー化合物の末端に高分子鎖PCの重合に使用される単量体を結合させた後、リンカー化合物の末端で単量体の重合反応を行って高分子鎖PCを成長させることができる。また、単量体が重合されて形成された高分子鎖PCの末端とリンカー化合物の末端の間でカップリング反応を行い、リンカー化合物に高分子鎖PCを結合させることができる。但し、リンカー化合物に高分子鎖PCを結合させる方法は限定されない。
【0137】
図5は、本発明の一実施例による発光素子を含む組成物を示したものである。
【0138】
本実施例では、重複する説明を避けるために、上述した一実施例で言及していない構成を中心に説明する。本実施例において特に説明しない部分は上述した一実施例に従い、同じ符号は同じ構成要素を、類似する符号は類似する構成要素を示す。
【0139】
図1図3図5を参照すると、組成物Cは溶媒S及び発光素子LDを含んでもよい。組成物Cは、表示装置を製造する過程で発光素子LDを提供するために使用されるインク組成物であってもよい。
【0140】
本発明の一実施例において、溶媒Sは、アルキル基を含有するアルキル系溶媒、エーテル基を含有するエーテル系溶媒、エステル基を含有するエステル系溶媒、アミン基を含有するアミン系溶媒、アミド基を含有するアミド系溶媒、アルコール基を含有するアルコール系溶媒、ウレタン基を含有するウレタン系溶媒、ウレア基を含有するウレア系溶媒、イミド基を含有するイミド系溶媒、アクリル基を含有するアクリル系溶媒、チオール基を含有するチオール系溶媒のうち少なくとも1つを含んでもよい。
【0141】
組成物C内に含まれる溶媒Sの種類に応じて、高分子鎖PCの主鎖を構成する繰り返し単位、及び繰り返し単位内に含まれる置換基の種類を設定することができる。一方、上記とは違って、高分子鎖PCの主鎖を構成する繰り返し単位、及び繰り返し単位内に含まれる置換基を種類に応じて、組成物Cに含まれる溶媒Sの種類を設定することができる。
【0142】
即ち、高分子鎖PCの主鎖に含まれる繰り返し単位、及び置換基と溶媒Sに含まれる官能基の種類を考慮して、溶媒Sに対する分散性に優れた発光素子LDを含む組成物Cを具現することができる。
【0143】
溶媒Sに対する溶解性に優れた高分子鎖PCを含む高分子膜15を発光素子LDに提供することにより、組成物C内で発光素子LDを均質に分散することができ、長い時間が経過しても溶媒内で発光素子LDが沈殿したり、固まることを抑制することができる。当該組成物Cを利用することで、表示装置の画素別に一定な数の発光素子LDを提供することができる。
【0144】
本発明の一実施例において、高分子鎖PCは有機塩または無機塩の形態で提供されてもよい。高分子鎖PCが有機塩または無機塩の形態で溶媒S内に提供されることにより、発光素子LDの分散性をより向上させることができる。
【0145】
以上の詳細な説明は本発明を例示し説明するものである。また、上述した内容は本発明の好ましい実施形態を示して説明するものに過ぎず、上述したように、本発明は様々な他の組み合わせ、変更、及び環境で使用することができ、本明細書に開示された発明の概念の範囲、開示内容と均等な範囲及び/または当業界の技術または知識の範囲内で変更または修正が可能である。従って、以上の発明の詳細な説明は開示された実施状態に本発明を制限するものではない。また、添付の特許請求の範囲は他の実施状態も含むと解釈すべきである。
【符号の説明】
【0146】
LD 発光素子
11 第1半導体層
12 活性層
13 第2半導体層
14 絶縁膜
15 高分子膜
PC 高分子鎖
16 電極層
C 組成物
S 溶媒
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図4d
図4e
図4f
図4g
図4h
図4i
図4j
図4k
図5