(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】高所作業装置の伸縮脚装置における安全確認装置
(51)【国際特許分類】
E06C 7/06 20060101AFI20240702BHJP
E06C 7/42 20060101ALI20240702BHJP
E06C 1/22 20060101ALI20240702BHJP
E04G 1/30 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
E06C7/06
E06C7/42
E06C1/22
E04G1/30 A
(21)【出願番号】P 2020151770
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】水野 武史
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-325287(JP,A)
【文献】特開平10-266750(JP,A)
【文献】特開2018-188907(JP,A)
【文献】国際公開第2007/115956(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06C 1/00-9/14
E04G 1/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
主脚に摺動自在に嵌挿された伸縮脚と、前記伸縮脚を摺動不能とするロック動作と摺動自在とするアンロック動作を行うロック機構と、前記ロック機構の動作を行わせる操作手段を備えた高所作業装置の伸縮脚装置において、前記ロック機構の動作状態を表示する安全確認装置であり、
前記ロック機構のロック動作又はアンロック動作に連動するアクチュエータ手段(25)と、前記アクチュエータ手段で作動させられることにより外部に向けてロック機構がロック状態又はアンロック状態にあることを表示するインジケーター手段(27)により構成
されており、
前記ロック機構は、スプリング手段(15)により正転方向(F)に回動させられることにより前記ロック動作を行うと共に、前記操作手段により逆転方向(R)に回動させられることにより前記アンロック動作を行うロック体(13)により構成され、カバー壁(11a)を有するハウジング(11)に内装されており、
前記アクチュエータ手段(25)は、前記ロック体(13)が逆転方向(R)に回動したとき前記カバー壁(11a)に向かう前進回動方向(f)に移動し、正転方向(F)に回動したとき前記カバー壁(11a)から後退する後進回動方向(r)に移動する作動片(24)により構成され、
前記インジケーター手段(27)は、前記アクチュエータ手段(25)が前進回動方向(f)に移動したとき前進方向(MF)に移動することにより前記カバー壁(11a)の挿通孔(30)から外部に向けて突出すると共に、該アクチュエータ手段(8)が後進回動方向(r)に移動したとき後進移動方向(MR)に移動することにより前記挿通孔の内部に向けて移動するボタン体(26)により構成され、
前記挿通孔(30)に対するボタン(26)の移動位置を視認させることにより、ロック機構がロック状態又はアンロック状態にあることを表示するように構成されて成ることを特徴とする高所作業装置の伸縮脚装置における安全確認装置。
【請求項2】
前記ロック体(13)が
前記ロック動作を行うロック状態から
前記アンロック動作を行うアンロック状態まで逆転方向(R)に回動されたとき、前記アクチュエータ手段(25)は、インジケーター手段(27)の従動面(32)に沿って始発位置から終点位置までの距離(L)を摺動するように構成されており、
前記インジケーター手段の従動面(32)は、前記始発位置から終点位置に至り次第に後進移動方向(MR)に向けて傾斜するカム面(33)を形成して成ることを特徴とする
請求項1に記載の高所作業装置の伸縮脚装置における安全確認装置。
【請求項3】
前記ロック体(13)は、半径方向に延びるバネ受け片(16)を設け、該ロック体を軸支する支軸(12a)に装着された
前記スプリング手段(15)を構成するコイルバネ(15a)から延びる弾発アーム部(15c)を前記バネ受け片(16)に弾接させることにより正転方向(F)に付勢されており、
前記アクチュエータ手段(25)を構成する作動片(24)は、前記バネ受け片(16)に設けられて成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の高所作業装置の伸縮脚装置における安全確認装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脚立や、作業台や、梯子等の高所作業装置に設けられた伸縮脚装置における安全確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、高所作業装置における伸縮脚装置は、主脚と、該主脚に沿って摺動自在な伸縮脚から成り、伸縮脚に前記摺動方向に列設された多数のラック歯を設けると共に、主脚に取付けたブラケットに前記ラック歯に対して係脱自在に係止するロック歯を備えたロックレバーを回動自在に軸支している。従って、前記ロックレバーによる係止を解除し、伸縮脚を摺動することにより、脚体を所定の長さとした状態で、ロックレバーを再び係止すれば、作業者の搭乗位置を所望の高さとした状態で高所作業を行うことができる。
【0003】
例えば、脚立の場合、
図1に示すように、左右に配置される第1脚体1aと第2脚体1bを備え、両脚体1a、1bの上端部を相互に枢結手段(図示省略)により枢結することにより、開閉可能に構成され、開いた状態で連結される係脱自在な開き止め装置2を設けている。
【0004】
第1脚体1a及び第2脚体1bは、それぞれ一対の脚柱1c、1cの間に天板3を設けると共に、最下位の桟部材4aと上方の踏桟4b(両者を区別しない場合は「横桟4」という。)を架設することにより梯子状に形成されており、各脚柱1cは、主脚5に伸縮脚6を摺動自在に嵌挿した伸縮脚装置を構成している。
【0005】
伸縮脚6には、前記摺動方向に列設された多数のラック歯を有する帯状のラック7が設けられており、これに対して、主脚5の下端近傍には、桟部材4aの下側の固定位置から前記ラック歯に係脱自在に係止するロック歯を備えたロック体(図示せず)により構成されたロック機構が設けられている。
【0006】
ロック機構は、回動自在に軸支されたロック体にスプリングを設け、常時はロック歯がラック歯に係止する方向に弾発付勢され、伸縮脚を摺動不能にロックしている。ロック体には、操作レバーが設けられており、作業者が手指で操作レバーを押動してロック体をスプリングに抗して回動させ、ロック歯をラック歯から離脱させたアンロック状態とすることにより、伸縮脚6を主脚5に摺動自在とするように構成されている。
【0007】
ところで、ロック機構は、伸縮脚6の伸縮ストロークを確保するため、つまり、伸縮脚6の最大伸長状態と最小収縮状態の何れの場合もロック歯をラック歯に係脱可能とするために、図示矢印Aで示すような主脚5の下端近傍に設けられている。そして、ロック機構の操作は、ロック体のレバーで行うように構成されている。
【0008】
そこで、伸縮脚6の伸縮を行うためには、作業者が主脚5の下端近傍位置に設けられたレバーを操作してロック体を回動させる際、高所作業台を持ち上げるか又は自らが低い姿勢を強いられることになり、煩雑な作業を要する問題がある。
【0009】
このため、近年は、ロック機構のロック動作とアンロック動作を行わせる操作手段(図示せず)を図示矢印Bで示すような高所作業装置の高位置に配設することにより、低位置のロック機構を高位置から遠隔操作することができるようにした伸縮脚装置が提案されているところである(特許文献1及び特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2018-188907号公報
【文献】特開2019-60080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1や特許文献2によれば、高所作業装置の低位置に配設されたロック機構のロック動作とアンロック動作を高位置に設けた操作手段により遠隔操作することができる。従って、伸縮脚の伸縮に際して、作業者が高所作業台を持ち上げたり、自身が低い姿勢としたりするような必要はなく、簡単容易に作業を行うことができる利点がある。
【0012】
ところが、遠隔操作の場合、作業者がロック機構のロック動作又はアンロック動作を行ったつもりでも、実際に動作が完了したかどうかを確認することが困難なため、高所作業中の作業者の不安を払拭することができない。例えば、伸縮脚を伸長した状態でロックしたつもりでも、実際にはロックされていないときは、その状態で高所作業を行うと、突然、伸縮脚が収縮して転倒する等の危険を招来するおそれがある。
【0013】
本発明は、この点に鑑み、ロック機構によるロック動作又はアンロック動作の状態を表示するインジケーター手段を設けることにより、作業者が安心して作業を安全に行うことができるようにした高所作業装置の伸縮脚装置における安全確認装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明が手段として構成したところは、主脚に摺動自在に嵌挿された伸縮脚と、前記伸縮脚を摺動不能とするロック動作と摺動自在とするアンロック動作を行うロック機構と、前記ロック機構の動作を行わせる操作手段を備えた高所作業装置の伸縮脚装置において、前記ロック機構の動作状態を表示する安全確認装置であり、前記ロック機構のロック動作又はアンロック動作に連動するアクチュエータ手段(25)と、前記アクチュエータ手段で作動させられることにより外部に向けてロック機構がロック状態又はアンロック状態にあることを表示するインジケーター手段(27)により構成されており、前記ロック機構は、スプリング手段(15)により正転方向(F)に回動させられることにより前記ロック動作を行うと共に、前記操作手段により逆転方向(R)に回動させられることにより前記アンロック動作を行うロック体(13)により構成され、カバー壁(11a)を有するハウジング(11)に内装されており、前記アクチュエータ手段(25)は、前記ロック体(13)が逆転方向(R)に回動したとき前記カバー壁(11a)に向かう前進回動方向(f)に移動し、正転方向(F)に回動したとき前記カバー壁(11a)から後退する後進回動方向(r)に移動する作動片(24)により構成され、前記インジケーター手段(27)は、前記アクチュエータ手段(25)が前進回動方向(f)に移動したとき前進方向(MF)に移動することにより前記カバー壁(11a)の挿通孔(30)から外部に向けて突出すると共に、該アクチュエータ手段(8)が後進回動方向(r)に移動したとき後進移動方向(MR)に移動することにより前記挿通孔の内部に向けて移動するボタン体(26)により構成され、前記挿通孔(30)に対するボタン(26)の移動位置を視認させることにより、ロック機構がロック状態又はアンロック状態にあることを表示するように構成されて成る点にある
【0016】
好ましくは、前記ロック体が前記ロック動作を行うロック状態から前記アンロック動作を行うアンロック状態まで逆転方向(R)に回動されたとき、前記アクチュエータ手段は、インジケーター手段の従動面に沿って始発位置から終点位置までの距離(L)を摺動するように構成されており、前記インジケーター手段の従動面は、前記始発位置から終点位置に至り次第に後進移動方向(MR)に向けて傾斜するカム面を形成している。
【0017】
前記ロック体は、半径方向に延びるバネ受け片を設け、該ロック体を軸支する支軸に装着された前記スプリング手段を構成するコイルバネから延びる弾発アーム部を前記バネ受け片に弾接させることにより正転方向(F)に付勢され、前記アクチュエータ手段を構成する作動片は、前記インジケーター手段に向けて前記バネ受け片に設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、作業者が高所作業装置の伸縮脚装置を伸縮させるために操作手段を介してロック機構をロックし又はアンロックする際において、安全確認装置のインジケーター手段27を目視するだけで、ロック機構が間違いなくロック動作状態又はアンロック動作状態とされているかどうかを確認することができるので、安心して安全に高所作業を行うことができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】従来の伸縮脚装置を備えた脚立の1例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の1実施形態が実施される脚立の一部を示しており、(A)は伸縮脚装置と横桟を分解状態で示す斜視図、(B)は伸縮脚装置の横断面図である。
【
図3】脚立の一部を示しており、横桟を取付けた伸縮脚装置と、本発明の1実施形態を含むロック機構を内装したハウジングと、操作手段の一部を分解状態で示す斜視図である。
【
図4】脚立の一部を示しており、(A)は安全確認装置を備えたロック機構を内装したハウジングが主脚と横桟の交差個所の上側に装着されると共にロック機構に操作手段が連結された状態を示す斜視図、(B)は伸縮脚装置に操作手段が組込まれた状態を示す横断面図である。
【
図5】本発明の1実施形態に係る安全確認装置を備えたロック機構を分解状態で示す斜視図である。
【
図6】ロック機構の動作と安全確認装置の作用を示しており、ロック動作状態を示す縦断面図である。
【
図7】ロック機構の動作と安全確認装置の作用を示しており、アンロック動作状態を示す縦断面図である。
【
図8】インジケーター手段に設けられたカム面の1実施例を示しており、(A)はアクチュエータ手段とカム面の関係を示す説明図、(B)はロック動作状態における作用を示す断面図、(C)はアンロック動作状態における作用を示す断面図である。
【
図9】インジケーター手段に設けられたカム面の別の実施例を示しており、(A)はアクチュエータ手段とカム面の関係を示す説明図、(B)はロック動作状態における作用を示す断面図、(C)はアンロック動作状態における作用を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下図面に基づいて本発明の実施形態を詳述する。
【0021】
本発明を実施する高所作業装置は、脚立や、作業台や、梯子等、特に限定されるものではないが、以下、脚立を1例として説明する。本発明においても、
図1に示した従来技術と同様に、脚立の脚柱1cは、主脚5に伸縮脚6を摺動自在に嵌挿することにより、伸縮脚装置を構成している。
【0022】
図2に示すように、主脚5と伸縮脚6は、何れもアルミニウム等の押出部材により形成された型材により構成されており、主脚5は、脚立ないし梯子の内側に開口する溝型部材により形成され、伸縮脚6は、主脚5の溝内部に摺動自在に嵌挿される中空部材により形成されている。
【0023】
伸縮脚6は、主脚5の溝部の開口する側に位置して、一対の帯状壁部6a、6aの間に凹設された溝形通路6bを形成し、該溝形通路6bに装入して固定された帯板状のラック7の表面にラック歯7aを形成しており、多数のラック歯7aを伸縮脚6の摺動方向に列設している。
【0024】
主脚5の下端近傍部には、桟部材4aを構成する横桟4の端部が交差して臨まされ、該横桟4の踏面を形成する上壁部8aの端縁には、前記伸縮脚6のラック7に向けて開口する切欠き部9が形成されている。
【0025】
図2及び
図3に示すように、横桟4は、主脚5に対して、一対のブラケット10、10により固着される。ブラケット10は、主脚5の両側壁にリベット等により固着される基板部10aと、基板部10aから折曲されて伸縮脚6の前記帯状壁部6aに対面させられる受板部10bと、基板部10aから主脚5を超えて延設された側板部10cと、側板部10cの下端部から横桟4の前後壁部8b、8cに沿って延びるアーム板部10dを一体に形成しており、一対のブラケット10、10のアーム板部10d、10dをそれぞれ横桟4の前壁部8b及び後壁部8cにリベット等により固着している。このようにして、横桟4を左右の主脚5に架設し連結している。
【0026】
(ロック機構)
ロック機構は、前記主脚5と横桟4の交差する連結個所の上側に配置されるハウジング11に内装されている。ハウジング11は、主脚5に固着された一対のブラケット10、10の側板部10c、10cの間に装入され、貫通ボルト12により固定される。
【0027】
図5ないし
図7に示すように、ロック機構は、前記貫通ボルト12を支軸12aとして回動自在に軸支されたロック体13により構成されている。ロック体13は、斜め下向きに延設されたロックアーム14の先端部に複数のロック歯14aを設けており、支軸12aに軸支された状態で、ロックアーム14が前記横桟4の切欠き部9に挿入される。
【0028】
ロック体13は、ロックアーム14をラック7に近接させる方向に回動したとき(以下、この回動方向を「正転方向」という。)ロック歯14aをラック歯7aに係止するロック動作を行い、ロックアーム14をラック7から離反させる方向に回動したとき(以下、この回動方向を「逆転方向」という。)ロック歯14aをラック歯7aから離脱するアンロック動作を行う。
【0029】
ロック体13は、常時はスプリング15により正転方向に付勢されている。
図5に示すように、スプリング15は、ロック体13の両側に位置して支軸12aに装着されたコイルバネ15a、15aにより構成され、それぞれのコイルバネ15aの一方の端部から延びる受動アーム部15bを弾性変形させた状態でブラケット10の受板部10bに接支させ、他方の端部から延びる弾発アーム部15cをロック体13に設けたバネ受け片16に弾接させ、これによりロック体13を正転方向に回動させるように付勢している。尚、図示実施形態の場合、スプリング15は、1本のバネ線材により形成されており、一対のコイルバネ15a、15aから延びる弾発アーム部15c、15cは相互に連結部15dを介して連続する門形に形成されている。
【0030】
(操作伝動機構)
前記ロック体13がスプリング15の付勢力を受けることによりロック歯14aをラック歯7aに係止させたロック状態から、該ロック体13を逆転方向に回動させることによりアンロック状態を可能にするための操作伝動機構が設けられている。
【0031】
図5ないし
図7に示すように、ロック体13は、斜め下向きに延設されたロックアーム14の反対方向に向けて、該ロック体13から斜め上向きに延びるアンロックアーム17を延設しており、該アンロックアーム17を引き上げると、ロック体13が逆転方向に回動され、アンロック動作を行うように構成されている。しかしながら、本発明において、アンロックアーム17は、従来技術におけるレバーのような操作手段を構成するものではない。操作手段は、上述の特許文献1や特許文献2と同様に、作業装置の高位置に配置されており、操作手段の手動操作をアンロックアーム17に伝達することによりアンロック動作を行わせるため、操作伝動機構が設けられている。
【0032】
図示実施形態の場合、操作伝動機構は、操作手段により上下移動させられる遠隔操作板18と、該遠隔操作板18の下端部に係止されることにより追従移動するフック部材19と、該フック部材19に吊持された作動体20と、作動体20を前記アンロックアーム17に連結するリンクロッド21により構成されており、リンクロッド21は、下端部がアンロックアーム17にピン22を介して枢結され、上端部が作動体20にピン23を介して枢結されている。
【0033】
これらのうち、リンクロッド21は、ロック機構(ロック体13及びスプリング15)と共にハウジング11に内装されており、作動体20及びフック部材19は、ハウジング11の上部に連設状態で配置されている。
【0034】
(操作手段)
前記遠隔操作板18は、
図4に示すように、主脚5の溝部の開口を塞ぐように配設され、主脚5の内側カバーを構成している。図示実施形態の場合、主脚5の溝部の開口両側縁にレール部5a、5aを突設し、伸縮脚6の全幅を被うようにして遠隔操作板18をレール部5a、5aの間に摺動自在に挿入しており、遠隔操作板18の両側縁をレール部5a、5aにより抱持している。
【0035】
操作手段は、作業装置の高位置に設けられ、遠隔操作板18の上端部を引き上げ可能とする摘み部材や、レバー部材や、ハンドル部材のような部材により任意に構成することができる。このため、図示省略しているが、特許文献1又は特許文献2に示されるような公知の操作手段を採用することができる。
【0036】
図6は、ロック体13がロック動作位置P1とされた状態を示しており、ロック歯13aがラック7のラック歯7aに係止させられている。スプリング15により付勢されているので、ロック動作位置P1がロック体13の常態である。
【0037】
図7は、ロック体13がアンロック動作位置P2とされた状態を示している。作業者が作業装置の高い位置に設けられた操作手段を操作することにより遠隔操作板18を引き上げると、これに追従して、フック部材19、作動体20及びリンクロッド21が引き上げられ、アンロックアーム17を上動させることによりロック体13をスプリング15に抗して逆転方向に回動させ、ロック歯13aをラック歯7aから離脱させる。
【0038】
作業者が操作手段を解放すると、スプリング15の付勢力によりロック体13が正転方向に回動し、ロック歯13aをラック歯7aに係止することにより、再びロック動作位置P1の状態とされる。その際、ロック体13のアンロックアーム17の回動により、リンクロッド21、作動体20、フック部材19が引き下げられ、遠隔操作板18の下動により操作手段が元の姿勢に戻される。
【0039】
しかしながら、もしも、操作手段の動きの不具合や、遠隔操作板18とロック体13の間に構成された操作伝動機構の動きに不具合が発生すると、ロック体13がロック動作位置P1に戻らない誤動作を招来するおそれがある。また、ロック歯13aがラック歯7aに係止せず、ラック歯7aの頂面に当接した状態で停止した場合も、ロック体13がロック動作位置P1まで戻らない状態を生じることになる。
【0040】
(安全確認装置)
このため、このようなロック機構を遠隔操作可能とした伸縮脚装置において、ロック機構がロック状態にあること又はアンロック状態にあることを表示する安全確認装置を設けている。
【0041】
図5ないし
図7に示すように、安全確認装置は、前記ロック体13から延設された作動片24により構成されたアクチュエータ手段25と、ロック体13の正転方向の回動時にアクチュエータ手段24が前進回動したとき従動させられるボタン体26により構成されたインジケーター手段27と、ロック体13の逆転方向の回動時にアクチュエータ手段24が後進回動したときインジケーター手段24を追従させるコイルバネ28により構成された復帰手段29を備えている。
【0042】
図6ないし
図8に示すように、インジケーター手段27を構成するボタン体26は、伸縮脚6に対面するハウジング11のカバー壁11aを貫通する挿通孔30に摺動自在に挿通されている。図示のように、挿通孔30は、カバー壁11aの内側に突出する筒状のボス部30aを形成していることが好ましく、ボス部30aにコイルバネ28を外挿することにより前記復帰手段29が構成される。
【0043】
アクチュエータ手段25を構成する作動片24は、ロック体13のバネ受け片16を利用して設けられている。図例の場合、バネ受け片16から分岐して形成され、バネ受け片16と作動片24の間に形成されたV形の溝31にスプリング15の弾発アーム部15cの連結部15dを挿入係止するように構成しているが、これに限定されるものではなく、バネ受け片16の一部により作動片24を形成しても良い。
【0044】
インジケーター手段27を構成するボタン体26は、尾端にフランジ部26aを形成することにより、ボス部30aに外挿されたコイルバネ28を該フランジ部26aとカバー壁11aの間で圧縮させ、これにより、常時、フランジ部26aを作動片24の先端部に弾接させている。
【0045】
図8に示すように、バネ受け片16から分岐した作動片24は、ロック体13がロック歯14aをラック歯7aに係止させたロック動作位置P1にあるとき、
図8(A)に実線で示すように、ボタン体26の中心軸線に平行な姿勢とされてフランジ部26aに接しており、ロック体12がロック動作位置P1からアンロック動作位置P2に向けて逆転方向Rに回動するとき、
図8(A)に鎖線で示すように、斜め上向き姿勢となるように姿勢変更しながら前進回動方向fに移動する。このとき、ボタン体26は、作動片24の先端でフランジ部26aが押動されながら、前進方向MFに移動し、先端部26bを挿通孔30から外部に向けて突出する。従って、作業者は、ボタン体26の先端部26bが挿通孔30から突出されている状態を視認することにより、ロック機構がアンロック動作状態であることを確認することができる(
図7及び
図8(C)参照)。
【0046】
上記とは反対に、ロック体13がアンロック動作位置P2からロック動作位置P1に向けて正転方向Fに回動するとき、作動片24は、ボタン体26から後退する後進回動方向rに移動する。このとき、ボタン体26は、コイルバネ28により、作動片24の移動に追従して後進方向MRに移動する。図示実施形態の場合、ボタン体26の先端部26aが挿通孔30の内部に没入し又は挿通孔30の開口と面一状態になる位置まで後退する。従って、作業者は、この状態を視認することにより、ロック機構がロック動作状態であることを確認することができる(
図6及び
図8(B)参照)。
【0047】
図示実施形態の場合、ボタン体26の先端部26aが挿通孔30に没入された状態によりロック動作状態を表示する構成としているが、必ずしも、没入状態にすることは必要でなく、突出状態であっても、ロック動作状態とアンロック動作状態の間において、挿通孔30に対する相対的に異なる位置を示すことにより、ロック状態又はアンロック状態の何れであるかを表示するように構成したものであれば良い。
【0048】
そして、このようなロック機構の動作状態の確認は、主脚5と横桟4の交差する連結個所の上側に配置されたハウジング11のカバー壁11aを目視するだけで良いので、作業者が作業装置の高い位置に設けられた操作手段を操作する際においても、容易に視認し確認することできる。この際、例えば、カバー壁11aと、ボタン体26の先端部26bの間において、異なる着色を施しておけば、視認することが更に容易となる。
【0049】
アクチュエータ手段25を構成する作動片24の前進回動方向fの移動を受けて、ボタン体26が前進方向MFに移動する距離を十分確保するため、
図8(A)に示すように、ボタン体26のフランジ部26aは、前進回動方向fに関して、作動片24の先端部が当接して摺動する始発位置から終点位置までの距離Lを有する従動面32を設け、従動面32に前記始発位置から終点位置に至り次第に後進方向MRに向けて傾斜するカム面33を形成している。
【0050】
図8(A)に示す1実施例の場合、カム面33は、ほぼ平坦なテーパ面により形成されているが、
図9(A)に示す別の実施例の場合、カム面33は、後進方向MRに向けて膨隆する円弧面により形成されており、これにより、ボタン体26の前進方向MFの移動距離が大きくすることが可能になる。
【0051】
(その他の構成)
上述した実施形態に係る安全確認装置は、インジケーター手段27をボタン体26により構成すると共に、ロック体13の回動姿勢に基づいて機械的にボタン体26を運動させることにより、ロック機構のロック動作状態とアンロック動作状態を確認するように構成しているが、インジケーター手段27は、ロック体13の回動姿勢に基づいてON/OFFされる電気回路を備えた点灯手段により構成しても良い。
【符号の説明】
【0052】
1a 第1脚体
1b 第2脚体
1c 脚柱
2 開き止め装置
3 天板
4 横桟
4a 桟部材
4b 踏桟
5 主脚
5a レール部
6 伸縮脚
6a 帯状壁部
6b 溝形通路
7 ラック
7a ラック歯
8a 上壁部
8b 前壁部
8c 後壁部
9 切欠き部
10 ブラケット
10a 基板部
10b 受板部
10c 側板部
10d アーム板部
11 ハウジング
11a カバー壁
12 貫通ボルト
12a 支軸
13 ロック体
14 ロックアーム
14a ロック歯
15 スプリング
15a コイルバネ
15b 受動アーム部
15c 弾発アーム部
15d 連結部
16 バネ受け片
17 アンロックアーム
18 遠隔操作板
19 フック部材
20 作動体
21 リンクロッド
22、23 ピン
24 作動片
25 アクチュエータ手段
26 ボタン体
26a フランジ部
26b 先端部
27 インジケーター手段
28 コイルバネ
29 復帰手段
30 挿通孔
30a ボス部
31 V形溝
32 従動面
33 カム面