(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】袋体セット、および袋体配置方法
(51)【国際特許分類】
E21F 15/00 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
E21F15/00
(21)【出願番号】P 2020154815
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-09-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000077
【氏名又は名称】アキレス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077573
【氏名又は名称】細井 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100123009
【氏名又は名称】栗田 由貴子
(72)【発明者】
【氏名】豊田 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】郡司 秀樹
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-190135(JP,A)
【文献】実開昭59-073499(JP,U)
【文献】特開平07-292932(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21F 1/00-17/18
E02D 3/12
E02D 17/00-17/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体と、
長尺の第一半筒体および前記第一半筒体と対になる第二半筒体と、を備え、
前記袋体は、袋体本体と、前記袋体本体の長手方向に対し垂直方向に伸長する流入部と、を有し、
前記袋体本体が前記長手方向において蛇腹に折り畳まれて
おり、
前記第一半筒体および前記第二半筒体は、これらの間に前記袋体が収納された筒状体を構成可能であることを特徴とする袋体セット。
【請求項2】
前記流入部の側面には前記袋体本体の前記長手方向を示す方向確認線が設けられている請求項1に記載の袋体
セット。
【請求項3】
請求項
1または2に記載の袋体セットを用い、
対向して筒状をなす前記第一半筒体および前記第二半筒体の間に、前記袋体本体が収納された筒状体を準備し、
地盤面から地下空洞に連続する挿入孔に、前記筒状体の他端側である第二端部を挿入先端として、前記筒状体を前記挿入孔に挿入し、
前記挿入先端が前記地下空洞に到達後、前記第一半筒体および前記第二半筒体を地上に引き抜くことを特徴とする袋体配置方法。
【請求項4】
前記筒状体をなす前記第一半筒体および前記第二半筒体が互いに離間しないよう前記筒状体の外側から固定する固定部を設け、
前記挿入孔に前記筒状体を挿入する際、前記固定部が設けられた部分が挿入孔に挿入される前に当該固定部の固定状態を解除する請求項
3に記載の袋体配置方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業場所から離間して存在する地下空洞などの空間を部分的に埋めるために用いられる袋体、当該袋体を含む袋体セット、および当該袋体を空間に配置するための袋体配置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭鉱跡や地中の土が流出して発生した地下空洞は、陥没などの虞があるため危険であり、何らかの手当てが求められる。これに対し、充填剤を用いて上記地下空洞を充填し埋める対策が提案されている。
【0003】
たとえば、下記特許文献1には、地下空洞の閉鎖すべき箇所に、当該箇所を閉塞可能な大きさに復元可能な袋体を配置し、これにエアを供給して膨張させ、その膨張状態を保持しつつ当該袋体に発泡性充填材を供給してバルクヘッドを形成し、地下空間の一部を閉塞する技術が開示されている。
同文献によれば、直方形状の袋体を、まず平板状に折り畳み、次いで長手方向中央に向かって両端から巻き付けて細状とし、ワイヤを細状に巻かれた袋体の上下方向に沿わせた状態で、結束フィルム等で細状の状態を維持するよう結束することが説明されている。上記ワイヤは、先端に引っ掛け部を有し、上方に引き上げることで結束フィルム等を切断するための解放手段である。そして上述のとおり結束された袋体を、地下空間(坑道)まで到達するよう地盤に形成された挿入孔に挿入し、地下空間に配置するとともに、上記ワイヤを引き上げることで結束フィルム等を切断し、袋体の結束を開放する。ついで、結束が解放された上記袋体に、エアを供給して膨張させ、膨張状態を維持しつつ発泡性充填材を供給することで、地下空空洞を部分的に閉塞するバルクヘッドを形成することができる旨、同文献に説明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述する従来技術には以下の問題点があった。
即ち、特許文献1に記載の技術では、袋体は、長手方向の両端部から中央に向かって巻き付けて細状にされており、端部が当該細状の中心に位置した状態で結束される。そのため、結束が解放されてエアが充填されても、端部までエアが到達しにくく、元の直方体の形状に上手く展開できない場合があり問題であった。また元の直方体に展開できなかった場合には、不完全な形状の袋体に発泡性充填材が供給されることとなり、いびつな形状のバルクヘッドが形成され、地下空洞の所定の空間をしっかりと閉塞できない虞があった。
【0006】
また、特許文献1では、結束フィルム等で結束された細状の袋体を挿入孔に挿入して地下空洞まで降下させて袋体を地下空洞に配置する。しかし、挿入孔は地盤に形成された穴であるため、壁面に石などの突起物などがあり、これに袋体が引っかかって破れてしまう虞があった。
加えて、特許文献1では、包袋を地下空洞に配置した後、当該袋体の結束状態を開放するために、上記ワイヤを上方に引き上げて、結束フィルム等を切断する必要があるが、このときの操作により、ワイヤの先端に設けられた引っ掛け部によって袋体自体が破れてしまう虞があった。
【0007】
本発明は上述の課題に鑑みてなされたものである。即ち、本発明は、作業場所から離間して存在する地下空洞などの空間に配置され良好に展開可能な袋体の提供、ならびに破損なく空間に袋体を配置可能な袋体セットおよび袋体配置方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の袋体セットは、袋体本体と、上記袋体本体の長手方向に対し垂直方向に伸長する流入部と、を有し、上記袋体本体が上記長手方向において蛇腹に折り畳まれていることを特徴とする袋体と、長尺の第一半筒体および上記第一半筒体と対になる第二半筒体と、を備える。
【0009】
本発明の袋体セットは、上記第一半筒体および上記第二半筒体は、これらの間に上記袋体が収納された筒状体を構成可能であることを特徴とする。
【0010】
本発明の袋体配置方法は、本発明の袋体セットを用い、対向して筒状をなす上記第一半筒体および上記第二半筒体の間に、上記袋体本体が収納された筒状体を準備し、地盤面から地下空洞に連続する挿入孔に、上記筒状体の他端側である第二端部を挿入先端として、上記筒状体を上記挿入孔に挿入し、上記挿入先端が上記地下空洞に到達後、上記第一半筒体および上記第二半筒体を地上に引き抜くことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の袋体は、長手方向において蛇腹状に折り畳まれてコンパクト化されているため、地下空洞などの空間に配置された際、自然と長手方向に押し広がりやすく、気体や充填材が充填された際、スムーズに元の形状に展開することができる。そのため、予定した形状の充填領域を形成することができ、地下空洞の所定の空間をしっかりと閉塞することができる。
また本発明の袋体セットは、蛇腹状に折り畳まれている本発明の袋体と、当該袋体を内包可能な第一半筒体および第二半筒体と、を備え、これら第一半筒体および第二半筒体に袋体を収納した筒状体をなすことができる。これによって、袋体自体に結束手段を用いなくても、蛇腹状に折り畳まれた状態を上記筒状体内において維持することができる。また第一半筒体および第二半筒体の少なくともいずれか一方を除去することによって、袋体本体を何ら破損させることなく容易に蛇腹状の状態を解放することができる。
かかる筒状体を用いる本発明の袋体配置方法であれば、地上と地下空洞などの空間とを連通する挿入孔に挿入した際に、袋体と挿入孔の内壁とが直接に接することを回避することができる。また、第一半筒体および第二半筒体に袋体が収納されるため、上述する従来技術のように、袋体に直接に結束手段を用いる必要がなく、当該結束部材を除去する際に袋体を破く虞がない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第一実施形態である袋体をなす、折り畳まれる前の袋体の斜視図である。
【
図2】本発明の第一実施形態である袋体の折り畳み工程の例を説明する斜視図である。
【
図3】本発明の第一実施形態である袋体の折り畳み工程の例を説明する上面図である。
【
図4】(4A)および(4B)は本発明の第一実施形態である袋体の上面図である。
【
図5】(5A)は本発明の第二実施形態である袋体セットの斜視図であり、(5B)は(5A)に示す袋体セットであって筒状体を構成した袋体セットの斜視図である。
【
図6】(6A)から(6C)は本発明の第三実施形態である袋体配置方法の工程を示す説明図である。
【
図7】本発明の第三実施形態である袋体配置方法により配置された袋体に充填剤を充填した状態を示す説明図である。
【
図8】本発明の第三実施形態の変形例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の袋体、袋体セット、および袋体配置方法について図面を用いて説明する。すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は適宜に省略する。尚、本発明の説明に関し用いる図面は、本発明および本発明に含まれる部材の寸法および形状を限定するものではない。
尚、本明細書において用いられるいくつかの用語は以下のとおりである。本発明に関し、蛇腹とは、一方向に山折りと谷折りと、を繰り返えしてなる折り畳み方法、あるいはそのように折り畳まれた折り畳み部分をいう。また流動体とは、袋体本体に充填される流動状の物質を指し、気体、非固形状の充填材などを含む。また袋体本体の長手方向とは、当該袋体本体の長尺方向を指す。ただし、袋体本体が立方体である場合には、流入部と直交する任意の辺の伸長方向を指し、また袋体本体が球体である場合には、流入部と直交する半径方向を指す。一方、袋体の短手方向とは、上記長手方向に直交する方向を指す。尚、長手方向と短手方向とを同一面内にみたときに、流入部の伸長方向は、当該面に対し交差方向(例えば鉛直方向)に伸長する方向を指す。また本発明に関し上下方向とは、特に断りがない場合には、本発明の袋体が空洞に配置され展開された状態における天地方向を指す。
【0014】
[第一実施形態]
まず本発明の袋体100の例として第一実施形態を
図1から
図4を用いて説明する。
図1は、本発明の第一実施形態である袋体100をなす、折り畳まれる前の袋体100の斜視図である。
図2、3は、袋体100の折り畳み工程の例を説明する斜視図である。
図4Aおよび
図4Bは本発明の第一実施形態である袋体100を床面に置いた状態において当該床面を下側として観察した上面図である。
【0015】
袋体100は、展開した状態で内部に適宜の充填材が充填されるか、あるいは内部に充填材を充填することで展開される袋状の構造物である。袋体100の用途は広範であるが、たとえば、袋体100は、地下空洞などの空間の一部を埋めるために用いられる空洞充填用として使用可能である。特に、袋体100は、上記空間と作業場が離れており、作業場と空間との間を通じる挿入孔から当該空間に挿入され当該空間の一部を充填するために使用される袋体として適している。上記地下空洞などの空間は、人工的に作られた空間であってもよいし自然に発生した空間であってもよく、また地盤中に存在する空間に限定されず、コンクリートなどの人工物中に存在する空間を含む。
以下では、本発明の実施形態として、地盤面(G.L.)から挿入孔320を通って地下空洞300に配置される袋体100の例を主として説明する。地盤面(G.L.)、挿入孔320、地下空洞300についてはたとえば
図6(A)が参照される。
【0016】
袋体100は、袋体本体10と、袋体本体10の長手方向d1に対し垂直方向に伸長する流入部20と、を備える。袋体100は、空間の一部を埋めるためのものであるため、展開した状態で挿入孔の径よりも大きく設計される。そのため展開した状態では、挿入孔320に挿入して地下空洞300に配置することが困難である。そこで本発明では、袋体本体10が長手方向d1において蛇腹に折り畳まれた状態の袋体100を提供する。換言すると、本発明の袋体100は、袋体本体10が流入部20の伸長方向(垂直方向d2)と同方向に細状となるよう蛇腹に折り畳まれた状態をなす。
ここで長手方向d1とは、袋体本体10の長尺方向を指す。袋体本体10は、一方方向に伸長する空洞の一部を充填するために用いられるものであるため、袋体本体10の長尺方向は、一般的には、当該空洞の伸長方向と略同方向に沿って配置が予定される。例えば
図1に示すとおり袋体本体が直方体である場合には、直方体の長尺方向を長手方向d1とする。ただし、袋体本体10が立方体である場合には、流入部20の伸長方向(垂直方向d2)と直行する任意の辺の伸長方向を長手方向d1とする。
【0017】
袋体本体10の畳み方の一例について説明する。
まず袋体本体10は、
図2に示すとおり長手方向d1および流入部20の伸長方向に対し直行する方向である短手方向d3の厚みを小さくするよう折り畳まれる。このときの折り畳み方は特に限定されず、たとえば
図2のように直方体である袋体本体10の上側面10a、および下側面10bを袋体本体10の中心側に折り畳むことができる。これによって、直方体である袋体本体10の上側面10aおよび下側面10bは、横側面10c(対向する2対の横側面のうち面積が大きい方の一対の横側面)に被覆されるよう折り畳まれる。袋体本体10の上側面10aには、後述する流入部20が取り付けられている。流入部20の取付け部24は構造的に他の部分に比べて弱いため、当該取付け部24を含む上側面10aまたは下側面10bを、一対の横側面10cの間に配置して折り畳むことで、取付け部24の破損が防止され好ましい。ただし本発明は、袋体本体10を平板状にできる範囲において短手方向における折り畳み方は特に限定されない。
【0018】
図3は、短手方向d3において折り畳まれ平板状になった袋体本体10を床面に配置し、当該床面を下にして上面から観察した上面図である。この状態で、適宜、袋体本体10の内部の空気を吸引し、あるいは押し出すなどして、内部の空気をなるべく減量させた状態で、袋体本体10を蛇腹に折り畳むとよい。袋体本体10の蛇腹折は、
図3に示すように、長手方向d1において、山折り部30および谷折り部32の繰り返しにより実施される。本実施形態では、山折り部30によって形成された山の伸長方向および谷折り部32によって形成された谷の伸長方向は、流入部20の伸長方向(垂直方向d2)と略同方向となっている。
【0019】
本実施形態では、袋体本体10は、袋体本体10の長手方向d1の中間部に設けられた流入部20を基準として紙面右側の右辺12および紙面左側の左辺14のそれぞれ端部から流入部20に向かって蛇腹に折り畳む態様を示している。袋体本体10は、このように流入部20を基準として長手方向d1の両端部から流入部20に向かって蛇腹に折り畳まれることで、地下空洞で長手方向d1に均等に展開させることができる。
なお、上記中間部とは、長手方向d1における右辺12の端部と左辺14の端部の間における任意の部分を指し、本実施形態では具体的には、中間部として、右辺12の端部と左辺14の端部の中点付近に流入部20が設けられた例を図示している。ただし、使用が予定される地下空洞300の形状や、挿入孔320と地下空洞300の位置関係などを鑑みて、流入部20は、上記中点よりも右辺12の端部寄りまたは左辺14の端部寄りに設けられても良い。
【0020】
上述のとおり、山折りと谷折りを繰り返して蛇腹に折り畳まれた本実施形態の袋体100を
図4に示す。
図4では、右辺12を蛇腹折して構成された部分を右辺蛇腹部16として示している。袋体100は、
図4Aに示すとおり、右辺蛇腹部16と左辺蛇腹部18とが重ならない状態、または
図4Bに示すとおり、右辺蛇腹部16と左辺蛇腹部18とが重なった状態のいずれでもよい。本明細書では、袋体100において、右辺蛇腹部16と左辺蛇腹部18とが重なった袋体本体10を蛇腹部40と呼ぶ場合がある。なお、本実施形態では、長手方向d1の中点に付近に流入部20が設けられているため、
図4Bのように右辺蛇腹部16と左辺蛇腹部18とを重ねる場合には、流入部20の下端領域も長手方向d1に折り畳まれる。
【0021】
上述のとおり折り畳まれた袋体本体10を備える袋体100は、
図6Cに示すように地下空洞内に配置され、蛇腹状体から解放されると、折り畳まれた状態から自然と長手方向d1に緩むため、気体あるいは充填材などの流動体を袋体本体10に充填しやすい。加えて、充填時、袋体本体10における上記流動体の進入方向と、袋体本体10の展開方向とが、概ね同方向(つまり長手方向d1方向)となるため、袋体本体10は元の形状に展開しやすい。したがって本発明の袋体100を用いることによって、地下空洞300の一部を設計通りに良好に埋めることが可能である。
以下に、袋体100の詳細について説明する。
【0022】
(袋体本体)
袋体100において、袋体本体10は蛇腹に折り畳まれた部分であり、蛇腹の状態が解放され流動体が充填された場合に、充填領域を構成しうる部分である。
したがって袋体本体10の形状は、特に限定されず、地下空洞の形状を念頭に適宜設計することができる。たとえば、
図1に示すように袋体本体10は、直方体であってもよいし、あるいは図示省略するが、立方体、円筒体、短手方向d3に切断されてなる断面が任意の形状(たとえば楕円、六角形などの多角形など)であってもよい。また、袋体本体10は、長手方向において上記断面の形状が一定であってもよいし、異なっていても良い。たとえば、上記断面は、長手方向d1の端部領域が、長手方向d1の中間部よりも小径に作られても良い。
【0023】
蛇腹の折幅はとくに限定されず、挿入孔320の孔径や、後述する筒状体50の径の大きさを鑑み適宜決定することができる。一般的に、地下空洞に充填用の袋体を設置するために形成される挿入孔320の孔径は、100mm以上200mm以下程度である。そのため、かかる孔径を考慮した場合、蛇腹の折幅はたとえば30mm以上170mm以下であることが好ましく、40mm以上135mm以下であることがより好ましく、50mm以上100mm以下であることがさらに好ましい。蛇腹の折幅は、上記数値範囲より小さいと折り畳む際に折り畳みにくい場合があり、また上記数値範囲より大きいと、挿入孔320に挿入するために後述する円筒体に収納させにくい場合があり、また空間に配置された際に長手方向d1に自然と展開しにくい場合がある。尚、本実施形態では、蛇腹の折幅は一定としたが、折幅に大小を設けても構わない。
【0024】
袋体本体10の寸法は、流動体が充填されて元の形状に展開されたときに、地下空洞の所望の部分を埋められる寸法であればよい。
たとえば、袋体本体10の垂直方向d2の寸法である高さ寸法の寸法は、埋められることが予定される地下空洞300の高さの1.00倍以上であり、1.05倍以上1.35倍以下であることが好ましく、1.1倍以上1.3倍以下であることがより好ましい。ここで地下空洞300の高さとは、地下空洞300の埋められることが予定される領域における最高高さを指す。
また同様に、袋体本体10の短手方向d3の寸法である厚み寸法は、埋められることが予定される地下空洞300の短手方向の距離の1.00倍以上であり、1.05倍以上1.35倍以下であることが好ましく、1.1倍以上1.3倍以下であることがより好ましい。ここで地下空洞300の短手方向の距離とは、埋められることが予定される地下空洞300の伸長方向を長手方向としたときの短手方向における距離を指し、当該短手方向の距離の最大距離を指す。
【0025】
袋体本体10の長手方向d1における寸法は、地下空洞の形状や伸長方向の長さなどを勘案して適宜決定することができる。端部まで流動体を良好に充填させるという観点からは、たとえば長手方向d1の寸法は、50cm以上400cm以下であることが好ましい。
【0026】
袋体本体10を構成する部材は、蛇腹状に折り畳み、かつ蛇腹の状態から展開可能な部材から適宜選択される。また充填する流動体の種類などを勘案して、ガス透過性の部材を選択することもできるし、ガス透過性が実質的にない部材を選択することもできる。
上記部材としては、たとえば、ウレタン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、オレフィン系樹脂から形成された樹脂シートや、基材に樹脂層が設けられたターポリン、または基布にゴム層が設けられたゴム引布などが、実質的に透過性がなく、また破れ難い適度な厚みに設計しやすい観点から好ましく、なかでも穴が開きにくく、また一部に穴や亀裂が発生しても当該穴や当該亀裂が広がり難く、また擦れにも強いという観点からはウレタン系樹脂を用いて形成されたウレタンシートがより好ましい。上記ウレタンシートの中でも、引裂強度(JIS K 7128-2)が50kgf/cm以上150kgf/cm以下のものが、シートの一部に穴や亀裂が発生しても当該穴や当該亀裂が広がり難い点から、袋体本体10の構成部材として好ましい。
【0027】
袋体本体10の構成部材として用いられる上記樹脂シートの厚みは、地下空洞において展開する際などに破れ難い等の観点から80μm以上であることが好ましく、100μm以上であることがより好ましい。また上記樹脂シートの厚みは、蛇腹に折りやすく袋体本体10をコンパクトに細状化可能であるという観点からは、300μm以下であることが好ましく、280μm以下であることがより好ましい。
【0028】
また、上記樹脂シートは、少なくとも一方側面に、微細な凹凸加工処理がなされていることが好ましく、両面に凹凸加工処理がなされていることがより好ましい。上記凹凸加工処理とは、シートの表面を凹凸差が0.5μm~5μm程度となるように加工する処理のことをいい、たとえば梨地処理などが挙げられるがこれに限定されない。
樹脂シートを用いて構成され蛇腹に折り畳まれた袋体本体10を備える袋体100は、保管時等に湿気等により袋体本体10の内部に水分が発生してしまい、対向する内壁面同士が密着してしまう場合がある。内壁面同士が密着してしまうと、流動体を袋体本体10に充填する際に、袋体本体10をスムーズに展開させ難い場合がある。これに対し、樹脂シートの凹凸加工処理がなされた面が内側面側に配置されるよう構成された袋体本体10であれば、対向する内壁面同士の接触面積を減らすことができる。そのため、上述のような密着が生じ難く、また密着しても、密着面積が少ないので、流動体を袋体本体10に充填することで速やかに対向する内壁面同士を離間させ、良好に展開させることができる。
また袋体本体10は蛇腹に折り畳まれるため、谷折り部32で谷折りされて対向する外壁面同士が当接し、密着してしまう場合がある。これに対し、樹脂シートの凹凸加工処理がなされた面が外側面側に配置されるよう構成された袋体本体10であれば、対向する外壁面同士の接触面積を減らすことができる。そのため、地下空洞に配置され、蛇腹を規制する力が解除されたとき、自然に、長手方向d1に押し広げられ、その後の展開をしやすくすることができ好ましい。
【0029】
(流入部)
次に流入部20について説明する。
流入部20は、袋体100において、袋体本体10の長手方向d1に対し垂直方向d2に伸長する部分であり、地下空洞300に袋体本体10が配置され、流動体を充填する際の当該流動体の流路となる長尺の管をなしうる部分である。ここで、流入部20が管をなしうるとは、流入部20が実際に所定の径を維持した管またはパイプあってもよいし、あるいは、上述する袋体本体10と同様の折り畳み可能なシート部材で構成され、使用時に有径の筒状体(即ち管状体)をなすものであってもよいという意味である。
本実施形態では具体的には、袋体本体10と同様の部材で構成された樹脂シートからなる流入部20を採用するものである。かかる流入部20は、二枚の樹脂シートの幅方向端部を貼り合わせて形成した長尺の管状体、あるいは1枚の樹脂シートを幅方向に二つ折りして重なり合う幅方向端部を貼り合わせて形成した長尺の管状体、あるいは製造時において周方向に切れ目なく成形された管状体などであってよい。たとえば、流入部20の長尺方向の一方側の端部が袋体本体10に設けられた孔に対し溶着等されて取付け部24が構成される。
【0030】
流入部20を通じて流動体を袋体本体10に充填する場合、流入部20に直接に流動体を流し込むことができる。
あるいは、流入部20に図示省略する流入管を挿入し、当該流入管に流動体を流動させて袋体本体10に流動体を充填してもよい。この場合、流入管とともに、先端に小型カメラが設置されたカメラ装置を流入部20に導入し、当該小型カメラによって地下空洞300における作業を観察することもできる。
【0031】
流入部20の寸法は、流動体を袋体本体10に充填できる範囲において、挿入孔320の寸法を鑑みて決定するとよい。即ち、流入部の長さ寸法は、挿入孔320の長さ以上であることが好ましく、また流入部の幅寸法は、挿入孔320の孔径以下であることが好ましく、当該孔径未満であることがより好ましい。
【0032】
流入部20の袋体本体10に対する取付け位置は、特に限定されず、袋体本体10に流動体を充填することが可能な範囲で適宜決定してよい。たとえば、袋体本体10が空洞に設置された際、挿入孔320に対向する側面に流入部20が取り付けられるとよい。本実施形態では、袋体本体10の上側面10aに流入部20の下端が取り付けられている。所定の側面に流入部20を取付ける際の取付け部24の位置は、当該側面において特に限定されないが、本実施形態では袋体本体10の上側面10aの中央に取付け部24が設けられている。
本実施形態は、地盤面G.L.より下方に形成された地下空洞を充填する例を用いて説明しているため、流入部20は上述のとおり袋本体10の上側面10aに取り付けられているが、たとえば、天井面より上方に形成された空洞を充填する場合には、流動部20は下側面10bに取り付けられてもよいし、壁面より横方向に形成された空洞を充填する場合には、流動部20は横側面10cに取り付けられてもよい。
本実施形態では流入部20は1つであるが、流入部20は2つ以上であってもよい。つまり、気体の流入経路と充填材の流入経路とを分けてもよいし、充填材を充填するときの脱気用に充填材の流入経路と分けて、別の流入部20を設けてもよい。
【0033】
本実施形態では流入部20の側面には袋体本体10の長手方向d1を示す方向確認線22が設けられている。方向確認線22は、側面視において長手方向d1と同方向に伸長し両端に外向きの矢印が記載されており、当該長手方向d1が確認し易いように構成されている。かかる方向確認線22を有することで、地下空洞300に袋体本体10を配置する際、袋体本体10の長手方向d1と地下空洞300の伸長方向とが略平行となるよう調整しやすい。
方向確認線22は、少なくとも流入部20の上端側であって、袋体本体10を地下空洞300に配置した際に、挿入孔320よりも地上側に出ている領域に設けられることが好ましく、また所定間隔で上端から下端において、複数設けられても良い。
【0034】
[第二実施形態]
次に本発明の袋体セット200の例として第二実施形態を、
図5を用いて説明する。
図5Aは本発明の第二実施形態である袋体セット200の斜視図であり、
図5Bは
図5Aに示す袋体セット200であって筒状体50を構成した状態の斜視図である。
図5A、
図5Bでは、方向確認線22の図示は省略している。
【0035】
筒状体セット200は、上述する本発明の袋体100と、長尺の第一半筒体52および第一半筒体52と対になる第二半筒体54と、を備える。第一半筒体52および第二半筒体54は、
図5Bに示すとおり、これらの間に袋体本体10を収納し、筒状体50を構成する。筒状体セット200では、蛇腹状に折り畳まれた袋体本体10を第一半筒体52および第二半筒体54に収納することで、袋体本体10を直接に結束することなく蛇腹の折り畳み状態を維持することが可能である。また、袋体本体10は蛇腹に折り畳まれて嵩張るため、直接に挿入孔320に挿入すると挿入孔の内壁面に存在する凹凸に引っかかるなどして破損しやすい。しかし本実施形態では、筒状体50の内部に収納した状態で、挿入孔320に挿入可能であるため当該凹凸に袋体本体10が引っかかることが回避される。さらに、筒状体50から、第一半筒体52および第二半筒体54の少なくともいずれか一方を除去することによって、袋体本体10を何ら破損させることなく容易に蛇腹状に折り畳まれた状態から解放させることができる。
【0036】
第一半筒体52および第二半筒体54は、自立性のある部材がから構成されることが好ましく、両者は個別に成形されてもよいし、パイプ状の部材を縦方向に分割し、一方を第一半筒体52とし他方を第二半筒体54としてもよい。本実施形態では第一半筒体52および第二半筒体54は、長さ方向に対して垂直に切断してなる切断面が同一形状である。
自律性のある部材から構成された第一半筒体52および第二半筒体54とは、外力が働かない状態では長尺の形態を維持できる程度に硬度を有することを意味する。このように自立性のある第一半筒体52および第二半筒体54は、筒状体50を構成した状態で、下方向に伸長する挿入孔320だけではなく、横方向や上方向に伸長する挿入孔320(図示省略)にも容易に挿入させることができる。
【0037】
第一半筒体52および第二半筒体54を構成する部材は、特に限定されないが比較的軽量で硬質性、耐久性もあり、成形も容易であることから、樹脂であることが好ましい。上記樹脂としては、塩化ビニル系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などが例示され、中でも塩化ビニル系樹脂が好ましい。塩化ビニル系樹脂からなる第一半筒体52および第二半筒体54は、外表面の擦れに強く、挿入孔320に挿入する際に破損等が起こりにくい。また汎用される塩化ビニル系樹脂パイプ(いわゆる、塩ビ管あるいは塩ビパイプ)を入手し、長尺方向に分割にすることで容易に第一半筒体52および第二半筒体54を得ることができる。
【0038】
筒状体50は、筒形状であって内部に蛇腹に折り畳まれた袋体本体10を収納できるとともに挿入孔320に挿入可能な範囲において、その寸法および形状は限定されない。
たとえば筒状体50は、
図5Bに示すとおり円筒形状であることが好ましい。筒状体50の外径は、特に限定されず、挿入孔320に挿入可能な範囲で適宜決定される。また筒状体50の内径も特に限定されず、蛇腹に折り畳まれた袋体本体10を収納可能な範囲で適宜決定することができる。尚、蛇腹部40をなす袋体本体10は、筒状体50の内部に収納される際、さらに長手方向d1において折り畳まれるなどして相対的にさらに細状となるよう折られてもよい。
【0039】
筒状体50の長さ寸法は、特に限定されないが、使用が予定される地下空洞300に通じる挿入孔320の長さ以上であることが好ましく、当該長さよりも大きいことがより好ましい。本実施形態では、挿入孔320よりも長さ寸法が大きく、かつ流入部20の長さよりも短い長さ寸法の筒状体50を例示している。図示する筒状体50の第一端部501からは流入部20が露出している。
【0040】
本実施形態では、袋体本体10が内部に収納された状態で互いに対向して筒状体50を構成する第一半筒体52および第二半筒体54は、筒状を維持するために、固定具58により互いが固定されてなる固定部56が設けられている。固定具58は、取り外し可能であるものであればよく、たとえば、輪ゴム、テープ、面ファスナー、結束フィルムまたは結束バンドなどを用いることができる。
【0041】
[第三実施形態]
次に本発明の袋体配置方法の例として第三実施形態を、
図6から
図8を用いて説明する。
図6Aから
図6Cは本発明の第三実施形態である袋体配置方法の工程を示す説明図である。
図7は第三実施形態である袋体配置方法により配置された袋体に充填剤を充填した状態を示す説明図である。
図8は、第三実施形態の変形例を説明する説明図である。
【0042】
本実施形態の袋体配置方法は、上述する本発明の袋体セット200を用いる。袋体セット200が、
図5Aに示す状態である場合には、袋体100における袋体本体10の長手方向d1に対し直行する垂直方向d2と、第一半筒体52および第二半筒体54の長尺方向とを揃え、対向して筒状をなす第一半筒体52および第二半筒体54の間に、袋体本体10を収納して筒状体50を構成する。
このとき、袋体100に設けられた流入部20の上端部領域は、適宜、筒状体50の一端側である第一端部501から露出させておくとよい。
【0043】
そして、
図6A、
図6Bに示すとおり、地盤面G.L.から地下空洞300に連続する挿入孔320に、筒状体50の他端側である第二端部502を挿入先端として筒状体50を挿入する。挿入先端(第二端部502)が地下空洞300に到達後、第一半筒体52および第二半筒体54を地上に引き抜くことで、地下空洞300に袋体本体10を配置することができる(
図6C参照)。
【0044】
かかる袋体配置方法によれば、袋体本体10を挿入孔320に挿入する際に、袋体本体10と挿入孔320の内壁とが直接に接することが回避される。そのため、当該内壁との接触により袋体本体10が破れる虞がない。
また、袋体本体10は、蛇腹に折り畳まれた状態で、第一半筒体52および第二半筒体54に収納されるため、袋体本体10に直接に結束手段を用いずとも、
図6Cに示すように第一半筒体52および第二半筒体54が地上に引き抜かれるまで、第一半筒体52と第二半筒体54との間で蛇腹の状態が維持される。加えて、地下空洞300において、第一半筒体52および第二半筒体54が取り除かれると、蛇腹状に折り畳まれた袋体本体10は、自然と外方向(長手方向d1)に広がる。そのため、流入部20を通じて流動体が袋体本体10に充填された際に、折り畳まれる前の袋体本体10の形状にスムーズに展開させることができる。
【0045】
また袋体本体10に対し直接には、蛇腹状に折り畳まれた状態を維持するための結束手段を用いる必要がないので、地下空洞300に配置された後、結束手段の除去により袋体本体10を破く虞がない。
【0046】
上述のとおり破損せず、かつ展開しやすい状態で地下空洞300に配置された袋体本体10は、その後に、
図7に示すとおり流動体60が充填されることによって、地下空洞300の所定の領域を良好に埋めることができる。
【0047】
尚、本発明の袋体配置方法によって地下空洞300に配置された袋体本体10に充填される流動体60は、特に限定されず、最終的に袋体本体10の内部において固化して地下空洞300の所定の領域を埋める充填領域を構成可能なものであればよい。
たとえば、従来技術に記載されるとおり、まず袋体本体10に空気などの気体を流入して袋体本体10を元の形状に展開させ、その状態を維持しながら、充填材を充填してもよいが、本実施形態の袋体10は、上述するとおり元の形状に良好に展開するため、空気を流入する工程を割愛し、最初から(即ち
図6Cの状態から)袋体10に充填材を充填してもよい。
充填材は、流動性があり、所定時間経過後に固化する材料であり、たとえば2液混合型の発泡ウレタン系充填材であってもよいし、流動化処理土を用いてもよい。ここでいう固化とは流動状態であった材料が流動性を失うことをいい、樹脂材料の硬化を含む。
【0048】
上記流動化処理土とは、土と固化材と水とで調整された流動化物であり、充填後、時間の経過とともに固化して、地盤と同程度の単位重量を発揮可能な材料である。上記固化剤としては、セメント系固化材や石灰系固化剤が例示されるがこれに限定されない。
【0049】
ところで、本実施形態では、
図5Bに参照されるように、筒状体50をなす第一半筒体52および第二半筒体54が互いに離間しないよう筒状体50の外側から固定する固定部56が設けられるとよい。固定部56は、任意の固定具58により筒状体50の長尺方向の任意の箇所において筒状体50の周方向に取付けられ、第一半筒体52および第二半筒体54の対向状態を維持する部材である。固定具58の例としては、第二実施形態で説明したものと同様である。この固定部56は、筒状体50を挿入孔320に挿入し、地上に引き抜かれるまでの間に除去するとよい。
【0050】
上述のとおり固定部56が設けられた筒状体50を用いて挿入孔320に挿入する場合、
図8Aに示すとおり、固定部56が設けられた部分が挿入孔320に挿入される前に、固定具58を取り外すなどして、当該固定部56の固定状態を解除するとよい。
図8Aでは、筒状体50の第二端部502近傍において筒状体50の周方向に貼り付けられた粘着テープである固定具58を挿入孔320に挿入する直前に取り除いた状態を示している。ここで固定状態を解除するとは、固定部56をなす固定具58を完全に取り除く態様およびその一部を切断して第一半筒体52および第二半筒体54が互いに離間可能な状態にする態様のいずれも含む。
尚、図示省略するが、筒状体50の長尺方向に複数の固定部56が設けられている場合には、各固定部56が挿入孔320に挿入される前に順次、その固定状態を解除していけばよい。
【0051】
上述のとおり、挿入孔320に挿入される前に固定部56の固定状態を解除することによって、挿入孔320内では、第一半筒体52と第二半筒体54とが互いに離間可能な状態となる。この結果、
図8Bに示すとおり、挿入孔320の内部において、蛇腹に折り畳まれた袋体本体10が長手方向d1に広がろうとし、この力によって筒状体50を構成する第一半筒体52および第二半筒体54は互いに離間する方向に押し広げられる。このように、挿入孔320を通過する段階で、袋体本体10の蛇腹状態を緩やかに開放することによって、袋体本体10が地下空洞300に配置され、第一半筒体52および第二半筒体54が取り除かれた際、より良好に袋体10を元の形状に展開させやすく好ましい。
【0052】
上述するとおり、本発明は、作業場から離れたところに形成された空間の一部を充填する際に利用される。代表的な一例として、地下空洞の一部を充填する例をもって本発明の実施態様を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえばトンネルにおいて、天井部に空洞がある場合には、天井面から当該空洞まで連通する挿入孔を形成し、本発明の袋体セットを用いて天井側に形成された空洞に本発明の袋体を配置して充填材を充填することもできる。かかる態様では、流動部は袋体の下側面に設けられる。
本発明の袋体セットおよびこれを用いた本発明の袋体配置方法は、蛇腹状に折り畳まれた本発明の袋体を筒状体の内部に配置せしめ、当該筒状体自体を挿入孔に挿入させて袋体を空洞に配置するため、挿入方向が鉛直下方でなくても袋体を傷つけず、スムーズに挿入させることができる。
また、橋梁等の中空部を有するコンクリート構造物等を補修する際において、コンクリート構造物等から当該中空部まで連通する挿入孔を形成し、本発明の袋体セットを用いて中空部に本発明の袋体を配置して充填材を充填した後、コンクリート構造物の補修をすることもできる。
【0053】
上記実施形態は、以下の技術思想を包含するものである。
(1)袋体本体と、
前記袋体本体の長手方向に対し垂直方向に伸長する流入部と、を有し、
前記袋体本体が前記長手方向において蛇腹に折り畳まれていることを特徴とする袋体。
(2)前記流入部の側面には前記袋体本体の前記長手方向を示す方向確認線が設けられている上記(1)に記載の袋体。
(3)上記(1)または(2)に記載の袋体と、
長尺の第一半筒体および前記第一半筒体と対になる第二半筒体と、を備えることを特徴とする袋体セット。
(4)上記(3)に記載の袋体セットを用い、
対向して筒状をなす前記第一半筒体および前記第二半筒体の間に、前記袋体本体が収納された筒状体を準備し、
地盤面から地下空洞に連続する挿入孔に、前記筒状体の他端側である第二端部を挿入先端として、前記筒状体を前記挿入孔に挿入し、
前記挿入先端が前記地下空洞に到達後、前記第一半筒体および前記第二半筒体を地上に引き抜くことを特徴とする袋体配置方法。
(5)前記筒状体をなす前記第一半筒体および前記第二半筒体が互いに離間しないよう前記筒状体の外側から固定する固定部を設け、
前記挿入孔に前記筒状体を挿入する際、前記固定部が設けられた部分が挿入孔に挿入される前に当該固定部の固定状態を解除する上記(4)に記載の袋体配置方法。
【符号の説明】
【0054】
10・・・袋体本体
10a・・・上側面
10b・・・下側面
10c・・・横側面
12・・・右辺
14・・・左辺
16・・・右辺蛇腹部
18・・・左辺蛇腹部
20・・・流入部
22・・・方向確認線
24・・・取付け部
30・・・山折り部
32・・・谷折り部
40・・・蛇腹部
50・・・筒状体
52・・・第一半筒体
54・・・第二半筒体
56・・・固定部
58・・・固定具
60・・・流動体
100・・・袋体
200・・・袋体セット
300・・・地下空洞
310・・・地盤
320・・・挿入孔
400・・・挿入体
501・・・第一端部
502・・・第二端部
d1・・・長手方向
d2・・・垂直方向
d3・・・短手方向
G.L.・・・地盤面