(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】シート結束体
(51)【国際特許分類】
B65D 71/02 20060101AFI20240702BHJP
A47K 10/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D71/02
A47K10/20 Z
(21)【出願番号】P 2020156872
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】川村 剛一
【審査官】家城 雅美
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-165763(JP,A)
【文献】実開平06-044781(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2014/0116913(US,A1)
【文献】登録実用新案第3217096(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 67/00-79/02
A47K 10/20
B65D 83/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層されたシート積層体と、
前記シート積層体に巻き付けられた帯状部材と、を有し、
前記帯状部材には、前記帯状部材の巻き付け方向と交差する方向に延びる開裂用切目線が形成され
、
前記帯状部材が、
前記シート積層体の上面と対面する上面部と、
前記シート積層体の下面と対面する下面部と、
前記シート積層体の側面と対面する側面部と、を有し、
前記開裂用切目線は、前記帯状部材の前記側面部に形成されており、
前記開裂用切目線が、前記帯状部材の前記上面部および前記下面部に対して傾斜するように延びる、シート結束体。
【請求項2】
前記開裂用切目線が、前記帯状部材を横断する、請求項1に記載のシート結束体。
【請求項3】
前記開裂用切目線が、前記側面部の上下方向の中央に形成されている、請求項
1または2に記載のシート結束体。
【請求項4】
前記開裂用切目線は、
前記帯状部材の前記上面部および前記下面部の少なくともいずれかから前記側面部に亘って延びる、請求項
1または2に記載のシート結束体。
【請求項5】
前記帯状部材が、前記シート積層体の短手方向に巻き付けられ、
前記帯状部材の前記巻き付け方向と交差する方向の幅が、シート積層体の長手方向の長さよりも短い、請求項1乃至
4のいずれか一項に記載のシート結束体。
【請求項6】
ディスペンサーに収容される、請求項1乃至
5のいずれか一項に記載のシート結束体であって、
前記帯状部材は、前記開裂用切目線が形成された開裂面を有し、
前記ディスペンサーは、
前記ディスペンサーの取出口が形成された第1面と、
前記第1面と連続し且つ前記第1面と交差する第2面とを有し、
前記シート結束体が前記ディスペンサーに収容された状態で前記開裂面が前記第2面と対面する位置に設けられている、シート結束体。
【請求項7】
前記帯状部材が、紙製である、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のシート結束体。
【請求項8】
前記帯状部材が、樹脂製である、請求項1乃至
6のいずれか一項に記載のシート結束体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート結束体に関する。
【背景技術】
【0002】
ペーパータオル等のシートは、複数枚のシートが積層されたシート積層体が紙帯等の帯状部材で束ねられたシート結束体として製造され、流通する。このようなシート結束体は、使用時に帯状部材が取り外されて、ディスペンサー等に収容される(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、シートの補充が容易なシート結束体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
第1の態様に係るシート結束体は、複数枚のシートが積層されたシート積層体と、前記シート積層体に巻き付けられた帯状部材と、を有し、前記帯状部材には、前記帯状部材の巻き付け方向と交差する方向に延びる開裂用切目線が形成されている。
【0006】
本明細書において、シート積層体は、複数枚のシートが折り畳まれて高さ方向に積層された直方体形状の積層体を示す。ここで、シート積層体は、ディスペンサー等のシートを一枚ずつ取り出せる装置または手段に収容して使用する。なお、ディスペンサーは、シート積層体が収容される本体と、シートを収容する収容口と、シート積層体が収容されたシート積層体からシートを取り出す取出口とを有する。
【0007】
帯状部材は、帯のような所与の幅と長さを有する部材を示す。シート結束体は、シート積層体が帯状部材で結束された状態を示す。開裂用切目線は、カットとタイ(2つのカット間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイが破断すると両隣のカットが連続したカットになるミシン目等の切目線である。
【0008】
巻き付け方向は、シート積層体に巻き付けられる帯状部材の長手方向を示す。巻き付け方向と交差する方向は、帯状部材の長手方向に直交または筋交いに交わる方向を示す。
【0009】
第1の態様では、帯状部材の巻き付け方向と交差する方向に延びる開裂用切目線が形成されていることで、シート結束体をディスペンサーに収容した状態で帯状部材を開裂することができる。これにより、シート結束体をディスペンサーに収容した後もシート積層体から帯状部材を取り外すことができる。そのため、第1の態様では、シート積層体を結束したままディスペンサーに収容することができるので、シートの補充が容易である。
【0010】
第2の態様に係るシート結束体は、前記開裂用切目線が、前記帯状部材を横断する。本明細書において、帯状部材を横断するとは、開裂用切目線が帯状部材の幅方向のいずれか一方の端縁から他方の端縁まで帯状部材の幅方向に延びることを示す。
【0011】
第2の態様では、開裂用切目線が帯状部材を横断することで、シート結束体をディスペンサーに収容した状態で帯状部材が開裂しやすくなる。そのため、シート結束体をディスペンサーに収容した後のシート積層体からの帯状部材の取り外しが容易になる。
【0012】
第3の態様に係るシート結束体は、前記帯状部材が、前記シート積層体の側面と対面する側面部を有し、前記開裂用切目線は、前記側面部に形成されている。本明細書において、シート積層体の側面は、シート積層体の上面と下面の間に構成される4つの側面のうちいずれか一つの側面を示す。側面部は、シート積層体の上面と下面の間に構成される4つの側面のうちいずれか一つの側面と対面する帯状部材の一部を示す。
【0013】
第3の態様では、開裂用切目線が帯状部材の側面部に形成されていることで、帯状部材の開裂用切目線が形成された部分は、シート積層体の上面または下面に対面しない。シート積層体の上面および下面は、シート積層体が収容されるディスペンサーの収容口またはシートが取り出されるディスペンサーの取出口に対向しやすいことから、帯状部材を開裂する際に手指で摘ままれる部分、または摘ままれる部分から最も遠い部分となる。
【0014】
このため、手指で摘ままれる部分に開裂用切目線が存在すると、開裂用切目線が開裂した後の帯状部材がディスペンサー内に詰まりやすい。また、手指で摘ままれる部分から最も遠い部分に開裂用切目線が存在すると、開裂用切目線が開裂しにくくなる。これに対して、開裂用切目線を帯状部材の側面部に設けると、開裂用切目線が開裂しやすくなり、また開裂用切目線が開裂した後も帯状部材がディスペンサー内に詰まりにくくなる。第3の態様では、ディスペンサーに収容された状態での帯状部材の取り外しが容易である。
【0015】
第4の態様に係るシート結束体は、前記開裂用切目線が、前記側面部の上下方向の中央に形成されている。本明細書において、側面部の上下方向の中央は、側面部の上下方向におけるシート積層体の上面部側の端縁からの距離と下面部側の端縁からの距離が略同じになる位置を示す。第4の態様では、開裂用切目線が帯状部材の側面部の上下方向の中央に形成されていることで、手指で摘ままれる部分が帯状部材の上面部または下面部のいずれであっても、帯状部材をバランスよく開裂することができる。
【0016】
第5の態様に係るシート結束体は、前記帯状部材が、前記シート積層体の上面と対面する上面部と、前記シート積層体の下面と対面する下面部と、を有し、前記開裂用切目線は、前記上面部および前記下面部の少なくともいずれかから前記側面部に亘って延びる。
【0017】
本明細書において、上面部は、シート積層体の上面に対面する帯状部材の一部を示す。下面部は、シート積層体の下面に対面する帯状部材の一部を示す。上面部および下面部の少なくともいずれかから側面部に亘るとは、帯状部材の上面部から側面部にかかる部分、または帯状部材の下面部から側面部にかかる部分に、開裂用切目線が設けられていることを示す。
【0018】
第5の態様では、開裂用切目線が帯状部材の上面部および下面部の少なくともいずれかから側面部に亘って延びることで、開裂用切目線が帯状部材の側面部に設けられた上で上面部または下面部にも設けられるものとなる。これにより、開裂用切目線の一部が形成された上面部または下面部が帯状部材を開裂する際に手指で摘ままれる部分となる場合は、帯状部材は開裂しやすくなる。また、開裂用切目線の一部が形成された上面部または下面部が手指で摘ままれる部分から最も遠い部分となる場合でも、側面部が開裂した後上面部または下面部まで帯状部材が開裂するため、開裂用切目線が開裂した後に帯状部材がディスペンサー内にさらに詰まりにくくなる。
【0019】
第6の態様に係るシート結束体は、前記帯状部材が、前記シート積層体の短手方向に巻き付けられ、前記帯状部材の前記巻き付け方向と交差する方向の幅が、シート積層体の長手方向の長さよりも短い。ここで、シート積層体の短手方向は、帯状部材の巻き付け方向に対応する。また、シート積層体の長手方向は、帯状部材の前記巻き付け方向と交差する方向に対応する。帯状部材の前記巻き付け方向と交差する方向の幅は、帯状部材の短手方向に沿う方向に対応する。
【0020】
第6の態様では、帯状部材の前記巻き付け方向と交差する方向の幅が、シート積層体の長手方向の長さよりも短いことで、開裂用切目線を開裂する際に帯状部材が摘まみやすい。そのため、帯状部材の開裂が容易になり、開裂後の帯状部材の取り出しが容易になる。
【0021】
第7の態様に係るシート結束体は、ディスペンサーに収容される、上述のシート結束体であって、前記帯状部材は、前記開裂用切目線が形成された開裂面を有し、前記ディスペンサーは、前記ディスペンサーの取出口が形成された第1面と、前記第1面と連続し且つ前記第1面と交差する第2面とを有し、前記シート結束体が前記ディスペンサーに収容された状態で前記開裂面が前記第2面と対面する位置に設けられている。
【0022】
本明細書において、開裂面は、シート積層体のいずれかの面と対面し且つ開裂用切目線が形成される帯状部材の一部を示す。第1面は、取出口が形成されたディスペンサー(本体)の一部を示す。第2面は、取出口が形成された面と交差し且つ取出口が形成されないディスペンサー(本体)の一部を示す。
【0023】
第7の態様では、シート結束体がディスペンサーに収容された状態で帯状部材の開裂面がディスペンサーの取出口が形成された第1面と交差する第2面に対面する位置に設けられていることで、ディスペンサーの取出口が形成されていない面に対して帯状部材の開裂用切目線が形成された開裂面を対面させることができる。
【0024】
このような構成により、第7の態様では、シート積層体がディスペンサーに収容された状態で、帯状部材を開裂する際に帯状部材の手指で摘ままれる部分の近傍に開裂用切目線が設けられたものとなる。そのため、第7の態様では、開裂用切目線が開裂しやすく、また開裂用切目線が開裂した後も帯状部材がディスペンサー内に詰まりにくいため、ディスペンサーに収容された状態での帯状部材の取り外しがさらに容易である。
【0025】
第8の態様に係るシート結束体は、前記帯状部材が、紙製である。本明細書において、紙製とは、材質が紙であることを示す。第8の態様では、帯状部材が紙製であるため、化石燃料の使用削減に寄与し、マイクロプラスチック等の問題を解消することができる。そのため、第8態様によれば、環境にやさしいシート結束体を提供することができる。
【0026】
第9の態様に係るシート結束体は、前記帯状部材が、樹脂製である。本明細書において、樹脂製とは、材質がポリエチレン等の樹脂であることを示す。第9の態様では、帯状部材が、樹脂製であるため、シート結束体がディスペンサーに収容された状態で、開裂後の帯状部材をシート積層体から取り外す際に、シート積層体およびディスペンサーの内壁に対する樹脂製の帯状部材の摩擦抵抗が小さくなる。そのため、第9の態様では、ディスペンサーに収容されたシート積層体からの帯状部材の取り外しが容易である。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、シートの補充が容易なシート結束体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図7】シート結束体が収容されるディスペンサーを示す図。
【
図8】
図1のシート結束体がディスペンサーに収容された状態を示す図。
【
図9】
図1のシート結束体が二つ重ねられてディスペンサーに収容された状態を示す図。
【
図10】
図9で帯状部材が取り外される状態を示す図。
【
図12】
図10で帯状部材が取り外された後にシートが取り出される状態を示す図。
図1のシート結束体がディスペンサーに収容された状態で帯状部材が取り外される状態を示す図。
【
図13】第2実施形態に係るシート結束体の斜視図。
【
図14】第3実施形態に係るシート結束体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、特に説明がない限り、同一の又は対応する構成については、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図では、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。各図において、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、シート結束体の左右方向をX方向とし、前後方向をY方向とし、上下方向をZ方向とする。
【0030】
図1は、第1実施形態に係るシート結束体の斜視図であり、
図2は、
図1で結束されるシート積層体の斜視図である。第1実施形態のシート結束体100は、シート積層体10と帯状部材20とを有する。シート結束体100は、本発明に係るシート結束体の一例であり、シート積層体10及び帯状部材20は、本発明に係るシート結束体を構成するシート積層体および帯状部材の一例である。
【0031】
シート積層体10は、複数枚のシートPが積層されている。シート積層体10は、複数枚のシートPが折り重なってシート結束体100の高さ方向(Z方向)に積層された直方体形状の積層体を示す。シート積層体10の形態は、特に限定されず、例えば、1枚(または1組)のシートSが半分に折り返され、折り返されたシートSの半分が別の折り返されたシートSに挟まれた状態で、各シートSが上下に重なるように積層されたものを用いることができる(
図2)。
【0032】
このようなシート積層体10では、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたるため、シートPを1枚(または1組)引き出すと次の1枚(または1組)のシートPが引き出される。このようにシート積層体からシートが引き出される形式は、ポップアップ式と呼ばれている。なお、シートP(シート積層体10)の形態は、このようなポップアップ式に限定されず、複数枚のシートSが単に積層されたものを用いてもよい。
【0033】
シート積層体10は、例えば、ディスペンサー40等のシートPを一枚ずつ取り出せる装置または手段に収容して使用する。ここで、ディスペンサー40は、シート積層体10が収容される本体41と、本体41を覆う蓋部42、シートPを収容する収容口43と、シート積層体10が収容されたシート積層体10からシートPを取り出す取出口44とを有する(
図7、
図12)。
【0034】
シートP(シート積層体10)の用途は、特に限定されず、ペーパータオル、ワイパー(ウエス)タオル、キッチンペーパー、ティシューペーパー、トイレットペーパー等に用いることができる。また、シートP(シート積層体10)の用途は、産業用、家庭用に限定されない。
【0035】
シートSの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙シートである。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0036】
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを任意の比率で使用することができる。特に、広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成であることが好ましい。針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、50:50~80:20であるのが好ましい。なお、シートS(紙シート)のパルプ組成に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0037】
シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、紙の場合は12~80g/m2、不織布の場合は20~100g/m2のものが好ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定される。
【0038】
また、シートS(紙シート)の厚みは、特に限定されるものではないが、例えば、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSを構成する紙シートの紙厚は、1プライあたり、好ましくは50~500μmであり、より好ましくは60~330μm程度である。
【0039】
また、シートSを構成する紙シートには、エンボス加工が施されていても良い。このようなエンボス加工は、加圧エンボス付与方法により紙シートを押圧するもの、ピンエンボス付与方法によりピンを紙シートに刺して紙シートの一方の面上に凹凸または孔を形成するもの、ヒートエンボス付与方法により水溶性の接着剤(デンプン等)を加熱融解して積層された紙シートを接着するもの等がある。
【0040】
シートSのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライ(シングルタイプ)または2プライ(ダブルタイプまたは2枚重ね)である。なお、2プライ(2枚重ね)以上のシートSにエンボス加工を行う場合は、紙シートを2プライ(2枚重ね)にした状態で上述のピンエンボスまたはヒートエンボスを付与することができる。
【0041】
また、シート積層体10の寸法は、シート結束体100の長手方向(X方向)の長さL1を150mm以上350mm以下、短手方向(Y方向)の幅W1を50mm以上150mm以下、高さ方向(Z方向)の高さH1を30mm以上100mm以下とすることができる(
図2)。このようなシート積層体10は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0042】
帯状部材20は、シート積層体10に巻き付けられている。帯状部材20は、帯のような所与の幅と長さを有する部材である。シート結束体100では、帯状部材20がシート積層体10に巻き付けられた状態で、帯状部材20の長手方向の両端部(図示せず)が接合されて、シート積層体10が帯状部材20によって結束されている(
図1~
図6)。
【0043】
帯状部材20の材質は、特に限定されない。例えば、化石燃料の使用削減、マイクロプラスチック等の海洋汚染の抑制等の観点から、帯状部材20は紙製にするのが好ましい。ここで、紙製とは、材質が紙であることを示す。また、後述のように帯状部材20の取り外しを容易にする観点から、帯状部材20は、樹脂製にしてもよい。ここで、樹脂製とは、材質がポリエチレン等の樹脂であることを示す。
【0044】
帯状部材20に用いられる紙の材質は、特に限定されないが、例えば、シート積層体10の形態保持性、収容性の観点から、例えば、クラフト紙、フィルムラミ紙(クラフト紙とポリエチレン等の樹脂フィルムを貼合したもの)等の用紙を用いることができる。帯状部材20を構成する用紙のパルプ組成は、限定されないが、例えば、0:100~80:20であり、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率が低いパルプ組成である。また、帯状部材20に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0045】
帯状部材20を構成する用紙の坪量は、特に限定されず、例えば、20g/m2以上200g/m2以下である。ここで、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定することができる。また、帯状部材20を構成する用紙の紙厚は、特に限定されず、例えば、20μm以上200μm以下である。ここで、紙厚は、JIS P 8111(1998)の環境下で測定することができる。
【0046】
帯状部材20を構成する用紙の強度は、縦方向の引張強度が1.5kN/m以上10kN/m以下、横方向の引張強度が1kN/m以上8kN/m以下で、縦方向の引裂強度が100mN以上1500mN以下、横方向の引裂強度が120mN以上2100mN以下である。ここで、用紙の強度は、JIS P 8113(2006)の環境下で測定することができる。
【0047】
なお、帯状部材20を形成する用紙は、上述したクラフト紙、フィルムラミ紙の他にも、麻、非木材パルプ(バガス、ケナフ等)、生分解性材料(生分解性プラスチック、生分解性紙等)、バイオマス材料(バイオマスフィルム等の再生可能な生物由来の有機性資源で化石資源を除いたもの)を用いて製造された用紙でもよい。
【0048】
本実施形態のシート結束体100では、帯状部材20が、上面部21、下面部22、側面部23、側面部24を有する。上面部21は、シート積層体10の上面11と対面し、下面部22は、シート積層体10の下面12と対面する。側面部23は、シート積層体10の長側面13と対面し、側面部24は、シート積層体10の長側面14と対面する。長側面13、14は、シート積層体10の上面11と下面12の間に構成される。
【0049】
なお、帯状部材20は、シート積層体10の長側面13、14と対面する代わりに、シート積層体10の短側面15、短側面16に対面するものでもよい。短側面15、16は、シート積層体10の上面11と下面12の間に構成され、且つ長側面13と長側面14の間に構成される。
【0050】
帯状部材20の寸法は、特に限定されない。例えば、帯状部材20の上面部21および下面部22の幅L2は、シート積層体10の長さL1に対して30%以上100%以下であり、好ましくは50%以上90%以下、より好ましくは60%以上80%以下である。なお、帯状部材20の上面部21および下面部22の部分長さW2は、シート積層体10の幅W1と実質的に同じである。また、帯状部材20の側面部23、24の部分長さH2は、シート積層体10の高さH1と実質的に同じである(
図2、
図3、
図5)。
【0051】
シート結束体100では、帯状部材20が、シート積層体10の短手方向(Y方向)に巻き付けられ、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)の幅L2が、シート積層体10の長手方向(X方向)の長さL1よりも短くなっている(
図3、
図5)。
【0052】
ここで、巻き付け方向(Y方向およびZ方向)は、シート積層体10に巻き付けられる帯状部材20の長手方向を示す。巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)は、帯状部材20の長手方向に直交または筋交いに交わる方向を示す。また、シート積層体10の短手方向(Y方向)は、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)に対応する。シート積層体10の長手方向(X方向)は、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)に対応する。さらに、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)の幅L2は、帯状部材20の短手方向に沿う方向に対応する。
【0053】
本実施形態のシート結束体100では、帯状部材20には、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)に延びる開裂用切目線30が形成されている。ここで、開裂用切目線30は、カットCとタイT(2つのカットC間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになるミシン目等の切目線である(
図1、
図5)。
【0054】
開裂用切目線30は、帯状部材20の側面部23に形成され、帯状部材20を横断する。ここで、帯状部材20を横断するとは、開裂用切目線30が帯状部材20の幅方向(短手方向)のいずれか一方の端縁E1から他方の端縁E2まで帯状部材20の幅方向(短手方向)に延びることを示す(
図1、
図5)。
【0055】
開裂用切目線30は、側面部23の上下方向(Z方向)の中央(中間部23A)に形成されている。ここで、側面部23の上下方向(Z方向)の中央は、側面部23の上下方向(Z方向)におけるシート積層体10の上面部21側の端縁E3からの距離D1と下面部22側の端縁E4からの距離D2が略同じになる位置(中間部23A)を示す(
図5)。本実施形態では、帯状部材20の側面部23の中間部23Aに上面部21または下面部22と平行に延びる開裂用切目線30が形成されている。
【0056】
本実施形態に係るシート結束体100は、ディスペンサー40に収容される。本実施形態では、ディスペンサー40シート結束体100が二つ重ねられた状態でディスペンサー40に収容されている(
図1、
図7~
図9)。ここで、ディスペンサー40は、ディスペンサー40の取出口44が形成された第1面(底面41A)と、第1面(底面41A)と連続し且つ第1面(底面41A)と交差する第2面(正面41B)とを有する(
図7)。
【0057】
シート結束体100は、このディスペンサー40に収容された状態で、帯状部材20が開裂面を有する。開裂面は、開裂用切目線30が形成された側面部23に対応する。具体的には、シート結束体100がディスペンサー40に収容された状態で、開裂面(側面部23)が第2面(正面41B)と対面する位置に設けられている(
図8、
図9)。
【0058】
ここで、開裂面は、シート積層体10のいずれかの面と対面し且つ開裂用切目線30が形成される帯状部材20の一部(側面部23)を示す。第1面は、取出口44が形成されたディスペンサー40(本体41)の一部(底面41A)を示す。第2面は、取出口44が形成された面と交差し且つ取出口44が形成されないディスペンサー40(本体41)の一部(正面41B)を示す(
図7~
図9)。
【0059】
以下、第1実施形態の効果について説明する。第1実施形態では、上述のように、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)に延びる開裂用切目線30が形成されていることで、シート結束体100をディスペンサー40に収容した状態で帯状部材20を開裂することができる(
図1、
図5、
図7~
図11)。
【0060】
具体的には、シート結束体100がディスペンサー40に収容された状態で、ユーザー(手指)Uが帯状部材20を摘まんで引っ張ると、開裂用切目線30が開裂する(
図9、
図10)。そして、ユーザー(手指)Uが開裂した帯状部材20を引っ張ると、開裂用切目線30が帯状部材20の長手方向の両端Bとなった破断片Fがシート積層体10から取り外される(
図10、
図11)。そうすると、結束が解かれたシート積層体10がディスペンサー40に収容された状態となり、ディスペンサー40の取出口44からシートPを取り出すことができるものとなる(
図12)。
【0061】
これにより、第1実施形態では、シート結束体100をディスペンサー40に収容した後もシート積層体10から帯状部材20を取り外すことができる。そのため、本実施形態では、シート積層体10を結束したままディスペンサー40に収容することができるので、シートP(シート積層体10)の補充が容易である(
図1、
図2、
図7~
図12)。
【0062】
本実施形態では、上述のように、開裂用切目線30が帯状部材20を横断することで、シート結束体100をディスペンサー40に収容した状態で帯状部材20が開裂しやすくなる。そのため、シート結束体100をディスペンサー40に収容した後のシート積層体10からの帯状部材20の取り外しが容易になる(
図1、
図5、
図7~
図11)。
【0063】
本実施形態では、上述のように、開裂用切目線30が帯状部材20の側面部23に形成されていることで、帯状部材20の開裂用切目線30が形成された部分(側面部23)は、シート積層体10の上面11または下面12に対面しない(
図1、
図8、
図9)。
【0064】
なお、シート積層体10の上面11および下面12は、シート積層体10が収容されるディスペンサー40の収容口43またはシートPが取り出されるディスペンサー40の取出口44に対向しやすいことから、帯状部材20を開裂する際に手指で摘ままれる部分(下面部22)、または摘ままれる部分から最も遠い部分(上面部21)となる。このため、手指で摘ままれる部分(下面部22)に開裂用切目線30が存在すると、開裂用切目線30が開裂した後の帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりやすい。また、手指で摘ままれる部分から最も遠い部分(上面部21)に開裂用切目線30が存在すると、開裂用切目線30が開裂しにくくなる。
【0065】
これに対して、本実施形態のように、開裂用切目線30を帯状部材20の側面部23に設けると、開裂用切目線30が開裂しやすくなり、また開裂用切目線30が開裂した後も帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりにくくなる。本実施形態では、ディスペンサー40に収容された状態での帯状部材20の取り外しが容易である(
図9~
図11)。
【0066】
本実施形態では、上述のように、開裂用切目線が帯状部材20の側面部23の上下方向(Z方向)の中央に形成されていることで、手指で摘ままれる部分(下面部22)が帯状部材20の上面部21または下面部22のいずれであっても、帯状部材20をバランスよく開裂することができる(
図1、
図5、
図9~
図11)。
【0067】
本実施形態では、上述のように、帯状部材20の巻き付け方向(Y方向およびZ方向)と交差する方向(X方向)の幅L2、シート積層体10の長手方向(X方向)の長さL1よりも短いことで、開裂用切目線30を開裂する際に帯状部材20が摘まみやすい。そのため、帯状部材20の開裂が容易になり、開裂後の帯状部材20の取り出しが容易になる(
図1、
図3~
図6、
図8~
図11)。
【0068】
本実施形態では、上述のように、シート結束体100がディスペンサー40に収容された状態で帯状部材20の開裂面(側面部23)がディスペンサー40の取出口44が形成された第1面(底面41A)と交差する第2面(正面41B)に対面する位置に設けられている。このような構成により、ディスペンサー40の取出口44が形成されていない面(本体41の正面41B)に対して帯状部材20の開裂用切目線30が形成された開裂面(側面部23)を対面させることができる(
図8、
図9)。
【0069】
そのため、本実施形態では、シート積層体10がディスペンサー40に収容された状態で、帯状部材20を開裂する際に帯状部材20の手指で摘ままれる部分(下面部22)の近傍に開裂用切目線30が設けられたものとなる。これにより、本実施形態では、開裂用切目線30が開裂しやすく、また開裂用切目線30が開裂した後も帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりにくいため、ディスペンサー40に収容された状態での帯状部材20の取り外しがさらに容易である(
図8~
図11)。
【0070】
本実施形態では、上述のように、帯状部材20を紙製にした場合、化石燃料の使用削減に寄与し、マイクロプラスチック等の問題を解消することができる。そのため、本実施形態によれば、環境にやさしいシート結束体100を提供することができる。
【0071】
また、上述のように、帯状部材20を樹脂製にした場合は、シート結束体100がディスペンサー40に収容された状態で、開裂後の帯状部材20をシート積層体10から取り外す際に、シート積層体10およびディスペンサー40の内壁41Cに対する樹脂製の帯状部材20の摩擦抵抗が小さくなる。そのため、本実施形態によれば、ディスペンサー40に収容されたシート積層体10からの帯状部材20の取り外しが容易である。
【0072】
図13は、第2実施形態に係るシート結束体の斜視図である。なお、
図13において、
図1と共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態のシート結束体200では、帯状部材20の側面部23に形成された開裂用切目線30が、帯状部材20の上面部21および下面部22に対して傾斜するように延びる。本実施形態では、開裂用切目線30が、帯状部材20の側面部23の短側面15側の端縁E1の下面部22寄りから短側面16側の端縁E2の上面部21寄りに延びている(
図13)。
【0073】
第2実施形態では、このように傾斜する開裂用切目線30が形成されていることで、開裂用切目線30の長さを長くすることができる。また、開裂用切目線30が帯状部材20の一部が側面部23の上面部21寄りに形成され、帯状部材20の他の一部が側面部23の下面部22寄りに形成される。そのため、帯状部材20を開裂する際に手指で摘ままれる部分(下面部22)および摘ままれる部分から最も遠い部分(上面部21)のいずれの近傍にも、開裂用切目線30を設けることができる。
【0074】
このような構成により、第2実施形態では、開裂用切目線30が開裂しやすく、また開裂用切目線30が開裂した後も帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりにくい。そのため、第2実施形態では、ディスペンサー40に収容された状態での帯状部材20の取り外しがさらに容易である(
図13)。
【0075】
図14は、第3実施形態に係るシート結束体の斜視図である。なお、
図14において、
図1と共通する部分については、同一の符号を付して説明を省略する。第3実施形態のシート結束体300では、帯状部材20の側面部23に形成された開裂用切目線30が、波形Wに形成されている。具体的には、開裂用切目線30が、側面部23の短側面15側の端縁E1から短側面16側の端縁E2に向かって波線状に延びている(
図14)。
【0076】
第3実施形態では、このように開裂用切目線30が波形Wを構成することでも、開裂用切目線30の長さを長くすることができる。また、開裂用切目線30が帯状部材20の山部Mが側面部23の上面部21寄りに形成され、帯状部材20の谷部Vが側面部23の下面部22寄りに形成される。そのため、帯状部材20を開裂する際に手指で摘ままれる部分(下面部22)および摘ままれる部分から最も遠い部分(上面部21)のいずれの近傍にも、開裂用切目線30を設けることができる。
【0077】
このような構成により、第3実施形態では、開裂用切目線30が開裂しやすく、また開裂用切目線30が開裂した後も帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりにくい。そのため、第3実施形態によれば、ディスペンサー40に収容された状態での帯状部材20の取り外しがさらに容易である(
図13)。
【0078】
【0079】
第4実施形態のシート結束体400は、帯状部材20が、シート積層体10の上面11と対面する上面部21と、シート積層体10の下面12と対面する下面部22と、を有し、開裂用切目線30は、上面部21および下面部22の少なくともいずれかから側面部23に亘って延びる(
図15~
図17)。
【0080】
ここで、上面部21および下面部22の少なくともいずれかから側面部23に亘るとは、帯状部材20の上面部21から側面部23にかかる部分、または帯状部材20の下面部22から側面部23にかかる部分に、開裂用切目線30(切目線部分31、32)が設けられていることを示す(
図15~
図17)。具体的には、開裂用切目線30の切目線部分31が、帯状部材20の上面部21の短側面15側の端縁E5
から側面部23側の端縁E6に延びる(
図16)。さらに、開裂用切目線30の切目線部分32が、帯状部材20の側面部23の上面部21側の端縁E3(上面部21の端縁E6)から側面部23の短側面16側の下面部22寄りの端縁E5に延びている(
図17)。
【0081】
第4実施形態では、開裂用切目線30(切目線部分31、32)が帯状部材20の上面部21から側面部23に亘って延びることで、開裂用切目線30の切目線部分32が帯状部材20の側面部23に設けられた上で、開裂用切目線30の切目線部分31が上面部21にも設けられるものとなる(
図15~
図17)。
【0082】
これにより、開裂用切目線30の一部(切目線部分31)が形成された上面部21が手指で摘ままれる部分から最も遠い部分となり、帯状部材20が側面部23から上面部21まで開裂するため、開裂用切目線30(切目線部分31、32)が開裂した後に帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりにくくなる。
【0083】
なお、開裂用切目線30の切目線部分31が形成された上面部21が帯状部材20を開裂する際に手指で摘ままれる部分となる場合は、帯状部材20の上面部21が開裂しやすくなる。また、この場合も、帯状部材20が上面部21から側面部23まで開裂するため、開裂用切目線30(切目線部分31、32)が開裂した後に帯状部材20がディスペンサー40内に詰まりにくくなる。
【0084】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
100、200、300、400 シート結束体
10 シート積層体
P シート
11 上面
12 下面
13 長側面
14 長側面
15 短側面
16 短側面
20 帯状部材
F 破断片
21 上面部
22 下面部
23 側面部
23A 中間部
24 側面部
E1、E2、E3、E4、E5、E6 端縁
30 開裂用切目線
B 開裂端
31、32 切目線部分
C カット
T タイ
40 ディスペンサー
41 本体
41A 底面(第1面)
42B 正面(第2面)
41C 内壁
42 蓋部
43 収容口
44 取出口
L1 長さ
L2 幅
W1 幅
W2 部分長さ
H1 高さ
H2 部分長さ
U ユーザー(手指)