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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】X線CT装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/03 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
A61B6/03 570B
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020181052
(22)【出願日】2020-10-29
(65)【公開番号】P2022071921
(43)【公開日】2022-05-17
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 岳人
(72)【発明者】
【氏名】坂口 卓弥
(72)【発明者】
【氏名】奥田 良
【審査官】佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-201710(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0036418(US,A1)
【文献】特開2009-078126(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0182135(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0301622(US,A1)
【文献】国際公開第2010/001840(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0242942(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106780651(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心臓弁を含む投影データを取得する第1の取得部と、
前記投影データに対応する前記心臓弁の動作状態を取得する第2の取得部と、
記心臓弁の動作状態を、予め心臓弁の開閉状態に基づいて定義された複数の動作状態に分類する分類部と、
前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する設定部と、
前記複数の再構成条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを前記投影データから再構成する再構成処理部と
を備える、X線CT装置。
【請求項2】
前記再構成条件は、画像データを再構成する心位相の数を含む、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態を少なくとも開往期の状態及び閉往期の状態に分類し、
前記設定部は、前記開往期の状態に対して設定する前記心位相の数を、前記閉往期の状態に対して設定する前記心位相の数より少なく設定する、
請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態を開往期の状態、開口期の状態、閉往期の状態及び閉口期の状態に分類し、
前記設定部は、前記開往期の状態、前記開口期の状態、前記閉往期の状態及び前記閉口期の状態のうちの少なくとも一つに対して、他の状態とは異なる再構成条件を設定する、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態の複雑さに関する情報を取得し、当該情報に基づいて、前記心臓弁の動作状態を前記複数の動作状態に分類する、
請求項1~4のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記第2の取得部は、前記心臓弁以外の生体組織の動作状態をさらに取得し、
前記分類部は、前記心臓弁の開閉状態及び前記心臓弁以外の生体組織の動作状態に基づいて、前記心臓弁の動作状態を前記複数の動作状態に分類する、
請求項1~5のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記第2の取得部は、前記心臓弁以外の生体組織の動作状態として、肺の動作状態を取得し、
前記分類部は、前記心臓弁の開閉状態と前記肺の動作状態との組み合わせに基づいて、前記心臓弁の動作状態を分類する、
請求項6に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記第2の取得部は、前記肺の動作状態として呼吸状態を取得し、
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態を開往期の状態、開口前期の状態、開口後期の状態、閉往期の状態、及び、閉口期の状態に分類し、
前記開口前期は、開口期のうち前記呼吸状態が吸気状態となる期間であり、
前記開口後期は、開口期のうち前記呼吸状態が呼気状態となる期間である、
請求項7に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記再構成条件は、再構成関数、再構成処理方法、スライス厚、スライスピッチ、マトリックスサイズ、及び、セグメント再構成における1セグメントの角度範囲のうちの少なくとも一つを含む、
請求項1~8のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項10】
前記第2の取得部は、前記投影データが収集された際に取得された情報に基づいて、前記心臓弁の動作状態を取得する、
請求項1~9のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項11】
前記第2の取得部は、前記投影データが収集された際に取得された心電情報又は心音情報に基づいて前記心臓弁の動作状態を取得する、
請求項10に記載のX線CT装置。
【請求項12】
前記第2の取得部は、前記投影データに基づいて、前記心臓弁の動作状態を取得する
請求項1~9のいずれか一つに記載のX線CT装置。
【請求項13】
複数の画像データを取得する第1の取得部と、
前記複数の画像データにおける心臓弁の動作状態を取得する第2の取得部と、
記心臓弁の動作状態を、予め心臓弁の開閉状態に基づいて定義された複数の動作状態に分類する分類部と、
前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の保管条件を設定する設定部と、
前記複数の保管条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを保管する保管部と
を備える、X線CT装置。
【請求項14】
前記保管条件は、保管する画像データの量又は質である、
請求項13に記載のX線CT装置。
【請求項15】
心臓弁の動作に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記心臓弁の動作に関する情報に基づいて前記心臓弁の動作状態を取得する第2の取得部と、
記心臓弁の動作状態を、予め心臓弁の開閉状態に基づいて定義された複数の動作状態に分類する分類部と、
前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の収集条件を設定する設定部と、
前記複数の収集条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する投影データを収集するように制御する制御部と
を備える、X線CT装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的に、CT(Computed Tomography)検査では、保存容量や利便性のために、CT撮像の際に得られる投影データは保管されず、投影データから再構成された一部の画像データのみがPACS(Picture Archiving and Communication System)等に保管されることが多い。特に、心臓のCT検査では、心拍動の影響等を考慮して、比較的画質が良いいくつかの心位相で再構成された画像データのみが保管されることが多い。このため、CT検査で撮像された画像データを後利用する際に、適切な画像データが再構成されて保管されていないことがあり得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-408号公報
【文献】特開2014-185991号公報
【文献】特開2020-25702号公報
【文献】特開2013-59695号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るX線CT装置は、第1の取得部と、第2の取得部と、分類部と、設定部と、再構成処理部とを備える。第1の取得部は、心臓弁を含む投影データを取得する。第2の取得部は、前記投影データに対応する前記心臓弁の動作状態を取得する。分類部は、前記心臓弁の開閉状態に基づいて、前記心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。設定部は、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する。再構成処理部は、前記複数の再構成条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを前記投影データから再構成する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る第2の取得機能によって行われる動作状態の取得の例を説明するための図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る分類機能によって行われる動作状態の分類の例を説明するための図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る設定機能によって行われる再構成条件の設定の例を説明するための図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の処理回路によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
図6図6は、第1の実施形態の変形例3に係る分類機能によって行われる動作状態の分類の例を説明するための図である。
図7図7は、第1の実施形態の変形例4に係る再構成条件の設定の例を説明するための図である。
図8図8は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の処理回路によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
図9図9は、第3の実施形態に係るX線CT装置1の処理回路によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、X線CT装置の実施形態について詳細に説明する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図である。
【0009】
例えば、図1に示すように、本実施形態に係るX線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを備える。
【0010】
ここで、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向と定義する。また、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向と定義する。
【0011】
架台装置10は、患者等である被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線を検出して、コンソール装置40に出力する装置である。具体的には、架台装置10は、X線管11と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ウェッジ16と、X線絞り17と、DAS(Data Acquisition System)18とを備える。なお、図1では、図示の便宜上、X軸方向から見た架台装置10とZ軸方向から見た架台装置10とを示しているが、実際には、X線CT装置1は一つの架台装置10を備えている。
【0012】
X線管11は、熱電子を発生する陰極(フィラメント)と、当該熱電子の衝突を受けてX線を発生する陽極(ターゲット)とを有する真空管である。具体的には、X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極から陽極に向けて熱電子を照射することによってX線を発生する。例えば、X線管11は、回転する陽極に熱電子を照射することによってX線を発生させる回転陽極型のX線管である。
【0013】
X線検出器12は、X線管11から照射されて被検体Pを通過したX線を検出する複数の検出素子を有し、各検出素子が、検出したX線の線量に応じた電気信号をDAS18へ出力する。具体的には、X線検出器12は、X線管11の焦点を中心とした円弧の周方向に沿ったチャネル方向に複数の検出素子が並べられた検出素子列を複数有し、各検出素子列がスライス方向(列方向、row方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
【0014】
例えば、X線検出器12は、コリメータと、シンチレータアレイと、検出素子アレイとを有する間接変換型の検出器である。コリメータは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置されており、散乱X線を吸収するX線遮蔽板を有する。例えば、コリメータは、1次元コリメータ又は2次元コリメータである。なお、コリメータは、グリッドとも呼ばれる。シンチレータアレイは、検出素子アレイのX線入射側の面に配置されており、複数のシンチレータを有する。各シンチレータは、入射したX線の線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。検出素子アレイは、複数の検出素子を有し、各検出素子が、シンチレータから出力される光の光量に応じた電気信号に変換する。例えば、検出素子アレイは、複数の検出素子が同一平面上で1次元(n行×1列)又は2次元(n行×m列)に配列されたサブアレイをチャネル方向及びスライス方向に複数並べて配置することによって構成される。また、例えば、検出素子は、フォトダイオード(Photo Diode:PD)や光電子増倍管(Photo Multiplier Tube:PMT)等の受光素子である。
【0015】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを回転軸(Z軸)回りに回転させる円環状のフレームである。具体的には、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持した状態で、固定フレーム(図示は省略)に回転軸回りに回転可能に支持されている。そして、回転フレーム13は、制御装置15による制御によって回転軸回りに回転することで、X線管11とX線検出器12とを回転軸回りに回転させる。また、回転フレーム13は、X線管11及びX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14及びDAS18をさらに備えて支持する。
【0016】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線出力に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であってもよい。なお、X線高電圧装置14は、架台装置10内で、回転フレーム13に設けられてもよいし、回転フレーム13を回転可能に支持する固定フレーム(図示は省略)に設けられてもよい。
【0017】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線の線量を調節するためのフィルターである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルターである。例えば、ウェッジ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルターである。なお、ウェッジ16は、ウェッジフィルター(wedge filter)や、ボウタイフィルター(bow-tie filter)とも呼ばれる。
【0018】
X線絞り17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等を含み、複数の鉛板等を組み合わせることによってスリットを形成している。
【0019】
DAS18は、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に基づいて、検出データを生成する処理回路である。具体的には、DAS18は、X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号を増幅し、増幅された電気信号をアナログ信号からデジタル信号に変換することによって、検出データを生成する。ここで、DAS18によって生成された検出データは、回転フレーム13に設けられた発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば、支持フレーム等)に設けられたフォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へ転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式が採用されても構わない。
【0020】
制御装置15は、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構と、当該駆動機構を制御する処理回路とを有する。制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた、後述する入力インタフェース43からの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インタフェース43によって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現される。なお、制御装置15は、架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。
【0021】
寝台装置30は、スキャン対象である被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動するモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0022】
コンソール装置40は、利用者によるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された検出データを用いてCT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インタフェース43と、処理回路44とを備える。なお、ここでは、コンソール装置40と架台装置10とが別体である場合の例を説明するが、架台装置10にコンソール装置40又はコンソール装置40の構成要素の一部が含まれていてもよい。
【0023】
メモリ41は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスク等により実現される。メモリ41は、例えば、投影データやCT画像データを記憶する。
【0024】
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成されたCT画像や、利用者からの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。なお、例えば、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられていてもよい。また、例えば、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されていてもよい。
【0025】
入力インタフェース43は、利用者からの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インタフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像データを再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等を利用者から受け付ける。例えば、入力インタフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、音声入力回路等により実現される。なお、例えば、入力インタフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、例えば、入力インタフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されてもよい。また、入力インタフェース43は、マウスやキーボード等の物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、コンソール装置40とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インタフェース43の例に含まれる。
【0026】
処理回路44は、X線CT装置1全体の動作を制御する。具体的には、処理回路44は、制御機能441と、前処理機能442と、再構成処理機能443と、画像処理機能444と、表示制御機能445と、第1の取得機能446と、第2の取得機能447と、分類機能448と、設定機能449とを有する。
【0027】
例えば、処理回路44は、プロセッサにより実現される。その場合に、処理回路44が有する処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41に記憶される。そして、処理回路44は、メモリ41から各プログラムを読み出して実行することで、各プログラムに対応する処理機能を実現する。換言すると、処理回路44は、各プログラムを読み出した状態で、図1の処理回路44内に示される各処理機能を有することとなる。
【0028】
制御機能441は、入力インタフェース43を介して利用者から受け付けた入力操作に基づいて、X線CT装置1の各部を制御する。例えば、制御機能441は、収集条件に基づいてX線高電圧装置14、制御装置15及びDAS18を制御することで、投影データの収集を制御する。また、例えば、制御機能441は、再構成条件に基づいて再構成処理機能443を制御することで、CT画像データの再構成を制御する。
【0029】
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施した投影データを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)及び前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0030】
再構成処理機能443は、前処理機能442によって生成された投影データに対して、フィルター補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行い、CT画像データ(再構成画像データ)を生成する。
【0031】
画像処理機能444は、再構成処理機能443によって生成されたCT画像データを、任意断面の断面画像データや任意視点方向のレンダリング画像データ等に変換する。具体的には、画像処理機能444は、入力インタフェース43を介して利用者から受け付けた入力操作に基づいて、CT画像データに公知の3次元画像処理を施すことによって、任意断面の断層像データや任意視点方向のレンダリング画像データ等に変換する。例えば、ここでいう3次元画像処理は、ボリュームレンダリングやサーフェスレンダリング、画像値投影処理、MPR(Multi-Planar Reconstruction)処理、CPR(Curved MPR)処理等である。なお、3次元画像処理は、再構成処理機能443が直接行っても構わない。
【0032】
表示制御機能445は、再構成処理機能443及び画像処理機能444によって生成された各種画像データに基づいて、ディスプレイ42に画像を表示させる。例えば、表示制御機能445は、CT画像データに基づくCT画像、任意断面の断面画像データに基づく断面画像や、任意視点方向のレンダリング画像データに基づく任意視点方向のレンダリング画像等をディスプレイ42に表示させる。また、例えば、表示制御機能445は、操作画面を表示するための画像をディスプレイ42に表示させる。
【0033】
なお、第1の取得機能446、第2の取得機能447、分類機能448、設定機能449及び保管機能44Aについては、後に詳細に説明する。
【0034】
このような構成のもと、本実施形態に係るX線CT装置1は、CT検査で用いられ、各種のCT画像データ(以下、画像データ)を再構成することが可能となっている。
【0035】
ここで、一般的に、CT検査では、保存容量や利便性のために、CT撮像の際に得られる投影データは保管されず、投影データから再構成された一部の画像データのみがPACS等に保管されることが多い。
【0036】
特に、心臓のCT検査では、心拍動の影響等を考慮して、比較的画質が良いいくつかの心位相で再構成された画像データのみが保管されることが多い。例えば、心拍動の影響等の例として、心臓弁(大動脈弁、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁)は、完全な閉口状態から完全な開口状態に移行するまでの期間と、完全な閉口状態から完全な開口状態に移行するまでの期間とで振る舞いが異なることが知られている。
【0037】
このため、CT検査で撮像された画像データを後利用する際に、適切な画像データが再構成されて保管されていないことがあり得る。一方、このような事態を避けるために再構成及び保管する画像データの量を増加させた場合には、過剰な画像データの再構成及び保管によって必要以上に時間を要したり、保存容量の過剰な利用や利便性の低下を招いたりすることがあり得る。
【0038】
このようなことから、本実施形態に係るX線CT装置1は、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができるように構成されている。
【0039】
具体的には、処理回路44が有する第1の取得機能446が、心臓弁を含む投影データを取得する。また、第2の取得機能447が、第1の取得機能446によって取得された投影データに対応する心臓弁の動作状態を取得する。また、分類機能448が、心臓弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。また、設定機能449が、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する。また、再構成処理機能443が、設定機能449によって設定された複数の再構成条件に基づいて、複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを第1の取得機能446によって取得された投影データから再構成する。
【0040】
ここで、第1の取得機能446は、第1の取得部の一例である。また、第2の取得機能447は、第2の取得部の一例である。また、分類機能448は、分類部の一例である。また、設定機能449は、設定部の一例である。また、再構成処理機能443は、再構成処理部の一例である。
【0041】
このような構成によれば、心臓弁の動作情報を考慮して画像データを再構成することによって、再構成される画像データの量や質を適切にすることができる。これにより、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができるようになる。
【0042】
以下、本実施形態に係るX線CT装置1が有する各機能について詳細に説明する。なお、以下では、大動脈弁を対象とした場合の例を説明するが、本実施形態はこれに限られず、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁のように他の心臓弁を対象とした場合でも同様に適用することができる。
【0043】
第1の取得機能446は、大動脈弁を含む投影データを取得する。
【0044】
具体的には、第1の取得機能446は、CT検査において被検体をスキャンして得られた投影データをメモリ41から取得する。または、第1の取得機能446は、過去に得られた投影データをデータサーバ等から取得してもよい。
【0045】
例えば、第1の取得機能446は、入力インタフェース43を介して利用者から開始指示を受け付けた場合に、投影データを取得する。または、第1の取得機能151は、投影データが保管されるメモリ41を監視しておき、新しい投影データが保管された際に自動的に処理を始めるようにしてもよい。
【0046】
第2の取得機能447は、第1の取得機能446によって取得された投影データに対応する大動脈弁の動作状態を取得する。
【0047】
具体的には、第2の取得機能447は、投影データに対応する大動脈弁の開閉状態を特定することで、大動脈弁の動作状態を取得する。
【0048】
例えば、第2の取得機能447は、投影データが収集された際に取得された情報に基づいて、大動脈弁の動作状態を取得する。
【0049】
図2は、第1の実施形態に係る第2の取得機能447によって行われる動作状態の取得の例を説明するための図である。
【0050】
一般的に、心臓のCT検査では、ノイズの少ない画像を得るために、心臓の動きに合わせて撮像を行う心電同期撮像が実施される。そこで、例えば、第2の取得機能447は、投影データが収集された際に取得された心電情報に基づいて、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。
【0051】
例えば、図2に示すように、一般的に、心電図のS波からT波までの期間では、大動脈弁は開口しており、T波から次の心拍のS波までの期間では、大動脈弁は閉口していることが知られている。このことから、例えば、第2の取得機能447は、心電図がS波からT波までの期間に収集された投影データについては、大動脈弁が開口している状態であると特定することで、大動脈弁の動作状態を特定する。また、例えば、第2の取得機能447は、T波から次の心拍のS波までの期間に収集された投影データについては、大動脈弁が開口している状態であると特定することで、大動脈弁の動作状態を取得する。
【0052】
または、第2の取得機能447は、投影データが取得された際に取得された心音情報に基づいて、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。
【0053】
例えば、図2に示すように、一般的に、正常な心音は心音図のI音~IV音に分類され、I音は、大動脈弁が開口するタイミングで生じ、II音(正確にはIIA音)は、大動脈弁が閉口するタイミングで生じることが知られている。このことから、例えば、第2の取得機能447は、I音が生じてからII音が生じるまでの間に取得された投影データについては、大動脈弁が開口している状態であると特定することで、大動脈弁の動作状態を取得する。また、例えば、第2の取得機能447は、II音が生じてから次の心拍のI音が生じるまでの間に取得された投影データについては、大動脈弁が閉口している状態であると特定することで、大動脈弁の動作状態を取得する。
【0054】
または、第2の取得機能447は、投影データが取得された際に取得された心房圧又は心室圧の情報に基づいて、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。
【0055】
または、第2の取得機能447は、上述した手法を組み合わせて、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。例えば、第2の取得機能447は、複数の心電図と心音図とを組み合わせて、心音図におけるI音の起点から心電図におけるS波の終点までの期間を開往期として特定することで、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。
【0056】
または、第2の取得機能447は、第1の取得機能446によって取得された投影データに基づいて、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。
【0057】
例えば、第2の取得機能447は、機械学習技術を用いて、大動脈弁の動作状態を取得してもよい。この場合、第2の取得機能447は、予め、大動脈弁の動作状態が判明している大量の投影データと、各投影データの性質の違いとを学習用データとして収集する。また、第2の取得機能447は、収集した学習用データを用いて既知の機械学習技術によって機械学習を行うことで、投影データから大動脈弁の動作状態を推定する学習モデルを構築する。そして、第2の取得機能447は、構築した学習モデルを用いて、第1の取得機能446によって取得された未知の投影データから動作状態を推定することで、大動脈弁の動作状態を取得する。
【0058】
なお、大動脈弁の動作状態を取得する方法は、上記の例に限られず、投影データに基づいて大動脈弁の動作状態を取得できる方法であれば、どのような方法であってもよい。
【0059】
分類機能448は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。
【0060】
例えば、分類機能448は、対象の生体組織に対して予め設定された条件を用いて動作状態を分類してもよいし、利用者からの指定に基づいて動作状態を分類してもよい。または、分類機能448は、第2の取得機能447によって取得された動作状態を解析し、その該解析結果に基づいて動作状態を分類してもよい。例えば、分類機能448は、心電情報を周波数解析し、予め定めた周波数成分の量に基づいて動作状態を分類してもよい。
【0061】
例えば、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を少なくとも開往期の状態及び閉往期の状態に分類する。
【0062】
図3は、第1の実施形態に係る分類機能448によって行われる動作状態の分類の例を説明するための図である。
【0063】
例えば、図3に示すように、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を開往期の状態、開口期の状態、開往期の状態及び閉口期の状態に分類する。
【0064】
ここで、開往期は、閉口状態から開口状態に移行するまでの期間である(図3に示すt1~t4)。また、開口期は、大動脈弁が開口している期間である(図3に示すt4~t8)。また、閉往期は、大動脈弁が開口状態から閉口状態に移行するまでの期間である(図3に示すt8~t12)。また、閉口期は、大動脈弁が閉口している期間である(図3に示すt12~t1)。このとき、例えば、分類機能448は、図2に示した心電図と大動脈弁の開閉状態との関係や、心音図と大動脈弁の開閉状態との関係を用いることで、大動脈弁の動作状態を分類する。
【0065】
そして、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類した後に、各動作状態に対応する投影データを特定する。
【0066】
なお、大動脈弁の動作状態を分類する方法及び分類の程度は、上記の例に限られず、どのような方法及び程度であってもよい。
【0067】
例えば、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を開口状態と閉口状態の2つの状態に分類してもよいし、開口状態をさらに細かく分類し、開口早期状態、開口中期状態及び開口後期状態の三つの状態に分類してもよい。このとき、例えば、分類機能448は、特徴となる心電又は心音の信号からの経過時間に基づいて、大動脈弁の動作状態を分類する。
【0068】
設定機能449は、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する。
【0069】
具体的には、設定機能449は、複数の動作状態それぞれに対して異なる再構成条件を設定する。例えば、設定機能449は、開往期の状態、開口期の状態、閉往期の状態及び閉口期の状態のうちの少なくとも一つに対して、他の状態とは異なる再構成条件を設定する。再構成条件は、予め設定しておいてもよいし、ユーザインタフェースを用いて再構成する際にユーザに各種条件を設定又は修正させることができるようにしてもよい。
【0070】
ここで、例えば、再構成条件は、画像データを再構成する心位相の数を含む。例えば、設定機能449は、開往期の状態に対して設定する心位相の数を、閉往期の状態に対して設定する心位相の数より少なく設定する。
【0071】
例えば、設定機能449は、心電同期再構成を行うための再構成条件を設定する。心電同期再構成では、心電計の情報と投影データとから心電に対応する特定の時点(心位相)における静止画を再構成することができる。
【0072】
図4は、第1の実施形態に係る設定機能449によって行われる再構成条件の設定の例を説明するための図である。
【0073】
例えば、図4に示すように、第1の取得機能446によって、RR間隔の0~60%の期間の投影データが取得されていたとする。また、分類機能448によって、0~5%の期間が開往期の状態、5~45%の期間が開口期の状態、45~50%の期間が閉往期の状態、50~60%の期間が閉口期の状態と特定され、各期間の状態に大動脈弁の動作状態が分類されていたとする。
【0074】
なお、各期間の起点や幅は、上記の例に限られず、どのような起点や幅であってもよい。また、各期間は、必ずしも連続した期間でなくてもよく、離れた期間が同一の動作状態として分類されてもよい。例えば、0~10%の期間と30~40%の期間とが同一の動作状態に分類されてもよい。
【0075】
ここで、一般的に、投影データとして一定の期間の投影データが取得されている場合であっても、再構成されて保管される画像データは一部の時点のデータであることが多い。例えば、0~60%の期間の投影データが取得している場合であっても、再構成されて保管される画像データは10%時点と50%時点の2つの時点のみであるということがあり得る。また、投影データが収集された全ての期間に対応する画像(例えば、1%刻みで0~60%の期間の61個の画像等)を再構成することも理論上は可能であるが、データの保管量が増えて利便性が低下するため、一般的に実施されることはない。
【0076】
そこで、例えば、設定機能449は、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対して、再構成する心位相の数や幅を設定する。
【0077】
例えば、設定機能449は、「開往期と閉往期とは2%刻みでそれぞれ3位相、開口期と閉口期とは各期間の中央の1位相」という再構成条件を設定する。これは、開往期と閉往期とは複雑な動きを伴うことから、後処理を考慮して細かく画像データを再構成して保管しておき、一方、開口期と閉口期とは比較的動きが安定していることから、粗く画像データを再構成して保管しておくことを想定した再構成条件である。
【0078】
または、設定機能449は、大動脈弁は開往期と比べて閉往期の方がより複雑な動きをすることが知られていることから、例えば、閉往期については1%刻みで6位相分のデータを再構成するように再構成条件を設定してもよい。
【0079】
再構成処理機能443は、設定機能449によって設定された複数の再構成条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを第1の取得機能446によって取得された投影データから再構成する。
【0080】
具体的には、再構成処理機能443は、分類機能448によって分類された動作状態ごとに、設定機能449によって設定された再構成条件を用いて、各動作状態に対応する投影データから画像データを再構成する。
【0081】
例えば、図4に示す例のように、第1の取得機能446によって、RR間隔の0~60%の期間の投影データが取得されていたとする。また、分類機能448によって、0~5%の期間が開往期の状態、5~45%の期間が開口期の状態、45~50%の期間が閉往期の状態、50~60%の期間が閉口期の状態と特定され、各期間の状態に大動脈弁の動作状態が分類されていたとする。そして、設定機能449によって、「開往期と閉往期とは2%刻みでそれぞれ3位相、開口期と閉口期とは各期間の中央の1位相」という再構成条件が設定されていたとする。この場合に、再構成処理機能443は、0%、2%、4%、25%、45%、47%、49%、55%の八つの心位相に対応する画像データを投影データから再構成する。
【0082】
保管機能44Aは、再構成処理機能443によって再構成された複数の画像データをPACS等に保管する。
【0083】
例えば、上記の例の場合、保管機能44Aは、0%、2%、4%、25%、45%、47%、49%、55%の心位相に対応する八つの画像データを保管する。
【0084】
図5は、第1の実施形態に係るX線CT装置1の処理回路44によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0085】
例えば、図5に示すように、まず、処理回路44は、大動脈弁を含む投影データを取得する(ステップS11)。このステップは、第1の取得機能446に対応するステップである。例えば、処理回路44は、第1の取得機能446に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0086】
続いて、処理回路44は、取得された投影データに対応する大動脈弁の動作状態を取得する(ステップS12)。このステップは、第2の取得機能447に対応するステップである。例えば、処理回路44は、第2の取得機能447に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0087】
続いて、処理回路44は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する(ステップS13)。このステップは、分類機能448に対応するステップである。例えば、処理回路44は、分類機能448に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0088】
続いて、処理回路44は、分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する(ステップS14)。このステップは、設定機能449に対応するステップである。例えば、処理回路44は、設定機能449に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0089】
続いて、処理回路44は、設定された複数の再構成条件に基づいて、分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを投影データから再構成する(ステップS15)。このステップは、再構成処理機能443に対応するステップである。例えば、処理回路44は、再構成処理機能443に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0090】
続いて、処理回路44は、再構成された複数の画像データをPACS等に保管する(ステップS16)。このステップは、保管機能44Aに対応するステップである。例えば、処理回路44は、保管機能44Aに対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0091】
上述したように、第1の実施形態では、第1の取得機能446は、大動脈弁を含む投影データを取得する。また、第2の取得機能447は、第1の取得機能446によって取得された投影データに対応する大動脈弁の動作状態を取得する。また、分類機能448は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。また、設定機能449は、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する。また、再構成処理機能443は、設定機能449によって設定された複数の再構成条件に基づいて、複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを第1の取得機能446によって取得された投影データから再構成する。
【0092】
このような構成によれば、大動脈弁の動作情報を考慮して画像データを再構成することによって、再構成される画像データの量や質を適切にすることができる。これにより、本実施形態では、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができる。
【0093】
また、後利用の可能性と保存容量及び利便性とを考慮した適切な種類及び量の画像データを再構成して保管することができる。また、後利用の際に適切な医用画像を用いることができるため、より適切に診断、治療計画及び治療効果判定を実施又は支援することができる。
【0094】
(第1の実施形態の変形例1)
なお、上述した第1の実施形態では、対象の生体組織が心臓弁である場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本実施形態が対象とする生体組織は、時間方向の動き又は流れが存在する臓器や体液等であれば、どのような生体組織であってもよい。
【0095】
例えば、上述した実施形態は、対象の生体組織が肺である場合にも適用することができる。この場合、例えば、分類機能448は、肺の動作状態を吸気状態と呼気状態とに分類する。ここで、吸気状態は、呼吸によって肺が萎んだ状態から膨らんだ状態となるまでの期間の状態であり、呼気状態は、呼吸によって肺が膨らんだ状態から萎んだ状態となるまでの期間の状態である。このとき、例えば、分類機能448は、被検体の呼吸状態を監視する機器が撮像時に用いられている場合に、当該機器によって得られる情報に基づいて動作状態を取得してもよい。
【0096】
また、例えば、上述した実施形態は、X線によるビデオ嚥下造影検査にも適用することができる。ここで、嚥下造影検査は、X線透視下で造影剤を混ぜた食材を被検体(患者)が飲み込むことにより、嚥下機能を検査するものである。この場合、例えば、分類機能448は、嚥下造影検査における撮像時の被検体の動作状態を口腔相の状態、咽頭相の状態、及び、食道相の状態に分類する。このとき、例えば、分類機能448は、造影剤を混ぜた食材の位置と食道の位置との相対的な位置関係に基づいて被検体の動作状態を分類してもよい。
【0097】
(第1の実施形態の変形例2)
また、上述した実施形態では、分類機能448が、単に心臓弁の解剖学的な位置や周期的な動きに基づいて動作状態を分類する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、分類機能448は、心臓弁の動きの複雑さに基づいて動作状態を分類してもよい。
【0098】
この場合、例えば、分類機能448は、心臓弁の動作状態の複雑さに関する情報を取得し、当該情報に基づいて、第2の取得機能447によって取得された心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。
【0099】
例えば、分類機能448は、心臓弁の周期的な動きと動きの複雑さとを対応付けた条件を予め設定しておき、当該条件に基づいて動作状態を分類してもよい。または、分類機能448は、心臓弁の動きの複雑さの指標となり得るモーションアーチファクトの量を投影データから推定し、当該モーションアーチファクトの量に基づいて複雑さを算出することで、動作状態を分類してもよい。
【0100】
例えば、大動脈弁を対象とした場合、閉往期>開往期>開口期=閉口期の順に複雑さが異なる。そこで、例えば、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を複雑状態(閉往期)、標準状態(開往期)、単純状態(開口期、閉口期)の三つの状態に分類してもよい。
【0101】
(第1の実施形態の変形例3)
なお、上述した第1の実施形態では、分類機能448が、大動脈弁の開閉状態に基づいて大動脈弁の動作状態を分類する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、分類機能448は、さらに心臓弁以外の生体組織の動作状態に基づいて、心臓弁の動作状態を分類してもよい。
【0102】
この場合、第2の取得機能447は、心臓弁以外の生体組織の動作状態をさらに取得する。そして、分類機能448は、心臓弁の開閉状態及び心臓弁以外の生体組織の動作状態に基づいて、心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。
【0103】
例えば、大動脈弁を対象とし、大動脈弁以外の生体組織を肺とした場合、第2の取得機能447は、大動脈弁の動作状態と肺の動作状態とを取得する。このとき、例えば、第2の取得機能447は、心電図や心音図から大動脈弁の動作状態を取得し、肺の動作状態として呼吸状態を取得する。そして、例えば、分類機能448は、大動脈弁の開閉状態と肺の動作状態との組み合わせに基づいて、大動脈弁の動作状態を分類する。
【0104】
図6は、第1の実施形態の変形例3に係る分類機能448によって行われる動作状態の分類の例を説明するための図である。
【0105】
例えば、図6に示すように、大動脈弁の開口期の途中で吸気状態と呼気状態とが切り替わる場合に、分類機能448は、吸気状態と呼気状態とが切り替わるタイミングに合わせて開口期の状態をさらに二つの状態に分けて、大動脈弁の動作状態を分類してもよい。すなわち、この場合には、分類機能448は、開口期のうち肺の呼吸状態が吸気状態となる期間を開口前期、開口期のうち肺の呼吸状態が呼気状態となる期間を開口後期とし、大動脈弁の動作状態を開往期の状態、開口前期の状態、開口後期の状態、閉往期の状態、及び、閉口期の状態の五つの状態に分類する。
【0106】
また、例えば、心電同期撮像によって、複数の心拍に対して複数回X線が曝射されて複数の投影データが収集され、当該複数の投影データから画像データが再構成される場合に、分類機能448は、開往期の状態、開口期の状態、閉往期の状態、及び、閉口期の状態の四つの状態をそれぞれ呼吸状態に基づいて二つの状態に分けて、大動脈弁の動作状態を分類してもよい。
【0107】
なお、ここでは、大動脈弁以外の組織及びその動作状態として肺の呼吸状態が用いられる場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、大動脈弁と同一の臓器内(例えば心臓)における他の生体組織(例えば、僧房弁や三尖弁、又は、心臓全体の動き等)に基づいて、大動脈弁の動作状態が分類されてもよい。または、例えば、被検体の体全体の動き(体動)を大動脈弁以外の生体組織として用いて、大動脈弁の動作状態が分類されてもよい。この場合、例えば、筋電計や監視カメラ等を用いることで、被検体の体全体の動作状態を分類することができる。
【0108】
(第1の実施形態の変形例4)
また、上述した第1の実施形態では、設定機能449によって設定される再構成条件が画像データを再構成する心位相の数を含む場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、再構成条件として、心位相の数以外の条件が設定されてもよい。
【0109】
この場合、例えば、再構成条件は、再構成関数、再構成処理方法、スライス厚、スライスピッチ、マトリックスサイズ、及び、セグメント再構成における1セグメントの角度範囲のうちの少なくとも一つを含んでもよい。または、例えば、再構成条件は、複数の種類の条件から構成されてもよい。
【0110】
例えば、再構成条件として、コンボリューション逆投影法又はフィルター補正逆投影法におけるコンボリューション関数(フィルタ関数、再構成関数)が設定されてもよい。例えば、閉往期の投影データについては高周波強調関数を用いて再構成が行われるように再構成条件が設定されてもよい。これは、時間分解能と弁の動きの複雑さとの関係から閉往期は弁尖がブレて描出されることがあり、標準的な低コントラスト分解能に優れたsmoothな関数を用いると弁尖の信号が消えてしまうことがあるためである。
【0111】
または、例えば、再構成条件として、再構成処理方法(画像再構成方法)が設定されてもよい。例えば、開往期の投影データについてはノイズをよりよく低減できる手法を用いて再構成が行われるように再構成条件が設定されてもよい。または、例えば、再構成条件として、スライス厚、スライスピッチ、マトリックスサイズ等のように、空間分解能に大きな影響を与える条件が設定されてもよい。
【0112】
または、例えば、動作状態ごとに必要な時間分解能が異なることから、再構成条件として、セグメント再構成における1セグメントの角度範囲が設定されてもよい。
【0113】
図7は、第1の実施形態の変形例4に係る再構成条件の設定の例を説明するための図である。
【0114】
例えば、図7に示すように、セグメント再構成では、複数の心拍において(図7の上段に示す)、所定の心位相の期間で1セグメントの角度範囲分の投影データが収集されることによって(図7の中段に示す)、180度+ファン角分の投影データが収集される(図7の下段に示す)。そして、収集された180度+ファン角分の投影データから、一つの画像データが再構成される。
【0115】
このようなセグメント再構成が行われる場合に、例えば、分類された複数の動作状態それぞれに対して、1セグメントの角度範囲が異なるように再構成条件が設定されてもよい。例えば、大動脈弁の動きが最も複雑である閉往期の状態に対して、他の期間と比べて1セグメントの角度範囲が細かくなるように再構成条件が設定されてもよい。
【0116】
なお、再構成条件として設定される条件は、上記の例に限られず、投影データを再構成する際に設定される条件であれば、どのような条件であってもよい。または、例えば、再構成条件として、複数の種類の条件を組み合わせた条件が設定されてもよい。
【0117】
また、上述した各種の再構成条件は、例えば、予め撮像プロトコルとして設定しておくようにしてもよいし、予め定義されたユーザインタフェースを用いて利用者が再構成時に任意に設定できるようにしてもよい。
【0118】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、心臓弁の動作状態に基づいて画像データの再構成条件を設定する場合の例を説明したが、第2の実施形態では、再構成条件は一定とし、心臓弁の動作状態に基づいて画像データの保管条件を設定する場合の例を説明する。なお、以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態と共通する内容については詳細な説明を省略する。
【0119】
本実施形態では、処理回路44が有する第1の取得機能446が、複数の画像データを取得する。また、第2の取得機能447が、第1の取得機能446によって取得された複数の画像データにおける心臓弁の動作状態を取得する。また、分類機能448が、心臓弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。また、設定機能449が、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の保管条件を設定する。また、保管機能44Aが、設定機能449によって設定された複数の保管条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを保管する。
【0120】
ここで、第1の取得機能446は、第1の取得部の一例である。また、第2の取得機能447は、第2の取得部の一例である。また、分類機能448は、分類部の一例である。また、設定機能449は、設定部の一例である。また、保管機能44Aは、保管部の一例である。
【0121】
このような構成によれば、心臓弁の動作情報を考慮して画像データを保管することによって、保管される画像データの量や質を適切にすることができる。これにより、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができるようになる。
【0122】
以下、本実施形態に係るX線CT装置1が有する各機能について詳細に説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同様に、大動脈弁を対象とした場合の例を説明するが、本実施形態はこれに限られず、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁のように他の心臓弁を対象とした場合でも同様に適用することができる。
【0123】
第1の取得機能446は、大動脈弁を含む複数の画像データを取得する。
【0124】
具体的には、第1の取得機能446は、CT検査において被検体をスキャンして得られた投影データから再構成処理機能443によって再構成された複数の画像データをメモリ41から取得する。または、第1の取得機能446は、過去に得られた画像データをPACS等から取得してもよい。
【0125】
ここで、本実施形態で用いられる複数の画像データは、同一の再構成条件を用いて再構成されていることとする。例えば、各画像データは、5%刻みのように細かい単位で再構成されていることとする。
【0126】
第2の取得機能447は、第1の取得機能446によって取得された複数の画像データにおける大動脈弁の動作状態を取得する。
【0127】
例えば、第2の取得機能447は、第1の実施形態と同様の方法により、複数の画像データにおける大動脈弁の動作状態を取得する。
【0128】
分類機能448は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。
【0129】
例えば、分類機能448は、第1の実施形態と同様の方法により、大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。例えば、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を開往期の状態、開口期の状態、開往期の状態及び閉口期の状態に分類する。
【0130】
設定機能449は、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の保管条件を設定する。
【0131】
具体的には、設定機能449は、複数の動作状態それぞれに対して異なる保管条件を設定する。例えば、設定機能449は、開往期の状態、開口期の状態、閉往期の状態及び閉口期の状態のうちの少なくとも一つに対して、他の状態とは異なる保管条件を設定する。
【0132】
ここで、例えば、保管条件は、保管する画像データの量又は質である。
【0133】
例えば、設定機能449は、動作状態が複雑な閉往期及び開往期については多数の心位相の画像データを保管し、動作状態が比較的安定的な開口期及び閉口期については少数の心位相のデータを保管するように保管条件を設定する。
【0134】
または、例えば、設定機能449は、動作状態が複雑な閉往期及び開往期については後で自由に再構成できるように投影データそのものを保管し、それ以外の期間については再構成された画像データを保管するように保管条件を設定してもよい。
【0135】
保管機能44Aは、設定機能449によって設定された複数の保管条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データをPACS等に保管する。
【0136】
図8は、第2の実施形態に係るX線CT装置1の処理回路44によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0137】
例えば、図8に示すように、まず、処理回路44は、大動脈弁を含む複数の画像データを取得する(ステップS21)。このステップは、第1の取得機能446に対応するステップである。例えば、処理回路44は、第1の取得機能446に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0138】
続いて、処理回路44は、取得された複数の画像データにおける大動脈弁の動作状態を取得する(ステップS22)。このステップは、第2の取得機能447に対応するステップである。例えば、処理回路44は、第2の取得機能447に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0139】
続いて、処理回路44は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する(ステップS23)。このステップは、分類機能448に対応するステップである。例えば、処理回路44は、分類機能448に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0140】
続いて、処理回路44は、分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の保管条件を設定する(ステップS24)。このステップは、設定機能449に対応するステップである。例えば、処理回路44は、設定機能449に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0141】
続いて、処理回路44は、設定された複数の保管条件に基づいて、分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データをPACS等に保管する(ステップS25)。このステップは、保管機能44Aに対応するステップである。例えば、処理回路44は、保管機能44Aに対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0142】
上述したように、第2の実施形態では、第1の取得機能446は、複数の画像データを取得する。また、第2の取得機能447は、第1の取得機能446によって取得された複数の画像データにおける大動脈弁の動作状態を取得する。また、分類機能448は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。また、設定機能449は、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の保管条件を設定する。また、保管機能44Aは、設定機能449によって設定された複数の保管条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを保管する。
【0143】
このような構成によれば、大動脈弁の動作情報を考慮して画像データを保管することによって、保管される画像データの量や質を適切にすることができる。これにより、本実施形態では、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができる。
【0144】
また、後利用の可能性と保存容量及び利便性とを考慮した適切な種類及び量の画像データを再構成して保管することができる。また、後利用の際に適切な医用画像を用いることができるため、より適切に診断、治療計画及び治療効果判定を実施又は支援することができる。
【0145】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。上述した第1の実施形態では、心臓弁の動作状態に基づいて画像データの再構成条件を設定する場合の例を説明したが、第2の実施形態では、心臓弁の動作状態に基づいて投影データの収集条件を設定する場合の例を説明する。なお、以下では、第1の実施形態と異なる点を中心に説明することとし、第1の実施形態と共通する内容については詳細な説明を省略する。
【0146】
本実施形態では、処理回路44が有する第1の取得機能446が、心臓弁の動作に関する情報を取得する。また、第2の取得機能447が、第1の取得機能446によって取得された情報に基づいて心臓弁の動作状態を取得する。また、分類機能448が、心臓弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。また、設定機能449が、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の収集条件を設定する。また、制御機能441が、設定機能449によって設定された複数の収集条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する投影データを収集するように制御する。
【0147】
ここで、第1の取得機能446は、第1の取得部の一例である。また、第2の取得機能447は、第2の取得部の一例である。また、分類機能448は、分類部の一例である。また、設定機能449は、設定部の一例である。また、制御機能441は、制御部の一例である。
【0148】
このような構成によれば、心臓弁の動作情報を考慮して投影データを収集することによって、再構成される画像データの量や質を適切にすることができる。これにより、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができるようになる。
【0149】
以下、本実施形態に係るX線CT装置1が有する各機能について詳細に説明する。なお、以下では、第1の実施形態と同様に、大動脈弁を対象とした場合の例を説明するが、本実施形態はこれに限られず、僧帽弁、三尖弁、肺動脈弁のように他の心臓弁を対象とした場合でも同様に適用することができる。
【0150】
第1の取得機能446は、大動脈弁の動作に関する情報を取得する。
【0151】
例えば、第1の取得機能446は、大動脈弁の動作に関する情報として、CT検査において本撮像が行われる前に被検体を低線量でスキャンして収集された投影データを取得する。または、第1の取得機能446は、大動脈弁の動作に関する情報として、本撮像が行われる前に被検体から収集した心電情報や心音情報等を取得する。
【0152】
第2の取得機能447は、第1の取得機能446によって取得された情報に基づいて大動脈弁の動作状態を取得する。
【0153】
例えば、第2の取得機能447は、第1の実施形態と同様の方法により、本撮像が行われる前に収集された投影データに基づいて、大動脈弁の動作状態を取得する。または、例えば、第2の取得機能447は、第1の実施形態と同様の方法により、心電情報や心音情報等の情報に基づいて、大動脈弁の動作状態を取得する。
【0154】
分類機能448は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。
【0155】
例えば、分類機能448は、第1の実施形態と同様の方法により、大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。例えば、分類機能448は、大動脈弁の動作状態を開往期の状態、開口期の状態、開往期の状態及び閉口期の状態に分類する。
【0156】
設定機能449は、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の収集条件を設定する。
【0157】
例えば、設定機能449は、動作が複雑で十分な分解能が必要な動作状態については高線量で投影データを収集し、それ以外の動作状態については低線量で投影データを収集するように収集条件を設定する。
【0158】
制御機能441は、設定機能449によって設定された複数の収集条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する投影データを収集するように制御する。
【0159】
再構成処理機能443は、制御機能441によって収集された投影データから複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを再構成する。
【0160】
例えば、上記の例の場合、再構成処理機能443は、動作が複雑で十分な分解能が必要な動作状態については高線量で収集された投影データから画像データを再構成し、それ以外の動作状態については低線量で収集された投影データから画像データを再構成する。
【0161】
保管機能44Aは、再構成処理機能443によって再構成された複数の画像データをPACS等に保管する。
【0162】
図9は、第3の実施形態に係るX線CT装置1の処理回路44によって行われる処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0163】
例えば、図9に示すように、まず、処理回路44は、大動脈弁の動作に関する情報を取得する(ステップS31)。このステップは、第1の取得機能446に対応するステップである。例えば、処理回路44は、第1の取得機能446に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0164】
続いて、処理回路44は、取得された情報に基づいて大動脈弁の動作状態を取得する(ステップS32)。このステップは、第2の取得機能447に対応するステップである。例えば、処理回路44は、第2の取得機能447に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0165】
続いて、処理回路44は、大動脈弁の開閉状態に基づいて、取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する(ステップS33)。このステップは、分類機能448に対応するステップである。例えば、処理回路44は、分類機能448に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0166】
続いて、処理回路44は、分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の収集条件を設定する(ステップS34)。このステップは、設定機能449に対応するステップである。例えば、処理回路44は、設定機能449に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0167】
続いて、処理回路44は、設定された複数の収集条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する投影データを収集するように制御する(ステップS35)。このステップは、制御機能441に対応するステップである。例えば、処理回路44は、制御機能441に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0168】
続いて、処理回路44は、収集された投影データから複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを再構成する(ステップS36)。このステップは、再構成処理機能443に対応するステップである。例えば、処理回路44は、再構成処理機能443に対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0169】
続いて、処理回路44は、再構成された複数の画像データをPACS等に保管する。このステップは、保管機能44Aに対応するステップである。例えば、処理回路44は、保管機能44Aに対応するプログラムをメモリ41から読み出して実行することで、このステップを実行する。
【0170】
上述したように、第3の実施形態では、第1の取得機能446は、大動脈弁の動作に関する情報を取得する。また、第2の取得機能447が、第1の取得機能446によって取得された情報に基づいて大動脈弁の動作状態を取得する。また、分類機能448が、大動脈弁の開閉状態に基づいて、第2の取得機能447によって取得された大動脈弁の動作状態を複数の動作状態に分類する。また、設定機能449が、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する複数の収集条件を設定する。また、制御機能441が、設定機能449によって設定された複数の収集条件に基づいて、分類機能448によって分類された複数の動作状態それぞれに対応する投影データを収集するように制御する。
【0171】
このような構成によれば、大動脈弁の動作情報を考慮して投影データを収集することによって、再構成される画像データの量や質を適切にすることができる。これにより、本実施形態では、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができる。
【0172】
また、後利用の可能性と保存容量及び利便性とを考慮した適切な種類及び量の画像データを再構成して保管することができる。また、後利用の際に適切な医用画像を用いることができるため、より適切に診断、治療計画及び治療効果判定を実施又は支援することができる。
【0173】
なお、上述した実施形態及び変形例では、本願が開示する技術をX線CT装置に適用した場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。本願が開示する技術は、対象とする生体組織の動作に関する情報を取得可能又は予測可能な医用画像診断装置であれば、同様に適用することが可能である。例えば、本願が開示する技術は、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置や超音波診断装置、PET(Positron Emission Tomography)装置、X線診断装置、SPECT(Single Photon Emission Computed Tomography)装置等の他の医用画像診断装置にも同様に適用することができる。
【0174】
また、上述した実施形態及び変形例において、処理回路は、単一のプロセッサによって実現されるものに限られず、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサがプログラムを実行することによって各処理機能を実現するものであってもよい。また、処理回路が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。また、処理回路が有する各処理機能は、回路等のハードウェアとソフトウェアとの混合によって実現されても構わない。また、ここでは、各処理機能に対応するプログラムが単一のメモリに記憶される場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、各処理機能に対応するプログラムが複数のメモリに分散して記憶され、処理回路が、各メモリから各プログラムを読み出して実行する構成としても構わない。
【0175】
また、上述した実施形態及び変形例では、本明細書における第1の取得部、第2の取得部、分類部、設定部、再構成処理部、保管部及び制御部を、それぞれ、処理回路の第1の取得機能、第2の取得機能、分類機能、設定機能、再構成処理機能、保管機能及び制御機能によって実現する場合の例を説明したが、実施形態はこれに限られない。例えば、本明細書における第1の取得部、第2の取得部、分類部、設定部、再構成処理部、保管部及び制御部は、実施形態で述べた第1の取得機能、第2の取得機能、分類機能、設定機能、再構成処理機能、保管機能及び制御機能によって実現する他にも、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、又は、ハードウェアとソフトウェアとの混合によって同機能を実現するものであっても構わない。
【0176】
また、上述した実施形態の説明で用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、又は、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。ここで、メモリにプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、プロセッサは、回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。また、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて一つのプロセッサとして構成され、その機能を実現するようにしてもよい。
【0177】
ここで、プロセッサによって実行されるプログラムは、ROM(Read Only Memory)等に予め組み込まれて提供される。なお、このプログラムは、これらの装置にインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、CPUが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
【0178】
また、上述した実施形態及び変形例において、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散又は統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を、各種の負荷や使用状況等に応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散又は統合して構成することができる。更に、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部又は任意の一部が、CPU及び当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、或いは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0179】
また、上述した実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行なうこともでき、或いは、手動的に行なわれるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行なうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0180】
なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0181】
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、後利用のために適切な画像データを再構成又は保管することができる。
【0182】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0183】
以上の実施形態に関し、発明の一側面及び選択的な特徴として以下の付記を開示する。
【0184】
(付記1)
心臓弁を含む投影データを取得する第1の取得部と、
前記投影データに対応する前記心臓弁の動作状態を取得する第2の取得部と、
前記心臓弁の開閉状態に基づいて、前記心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する分類部と、
前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の再構成条件を設定する設定部と、
前記複数の再構成条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを前記投影データから再構成する再構成処理部と
を備える、X線CT装置。
(付記2)
前記再構成条件は、画像データを再構成する心位相の数を含んでもよい。
(付記3)
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態を少なくとも開往期の状態及び閉往期の状態に分類し、
前記設定部は、前記開往期の状態に対して設定する前記心位相の数を、前記閉往期の状態に対して設定する前記心位相の数より少なく設定してもよい。
(付記4)
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態を開往期の状態、開口期の状態、閉往期の状態及び閉口期の状態に分類し、
前記設定部は、前記開往期の状態、前記開口期の状態、前記閉往期の状態及び前記閉口期の状態のうちの少なくとも一つに対して、他の状態とは異なる再構成条件を設定してもよい。
(付記5)
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態の複雑さに関する情報を取得し、当該情報に基づいて、前記心臓弁の動作状態を前記複数の動作状態に分類してもよい。
(付記6)
前記第2の取得部は、前記心臓弁以外の生体組織の動作状態をさらに取得し、
前記分類部は、前記心臓弁の開閉状態及び前記心臓弁以外の生体組織の動作状態に基づいて、前記心臓弁の動作状態を前記複数の動作状態に分類してもよい。
(付記7)
前記第2の取得部は、前記心臓弁以外の生体組織の動作状態として、肺の動作状態を取得し、
前記分類部は、前記心臓弁の開閉状態と前記肺の動作状態との組み合わせに基づいて、前記心臓弁の動作状態を分類してもよい。
(付記8)
前記第2の取得部は、前記肺の動作状態として呼吸状態を取得し、
前記分類部は、前記心臓弁の動作状態を開往期の状態、開口前期の状態、開口後期の状態、閉往期の状態、及び、閉口期の状態に分類し、
前記開口前期は、開口期のうち前記呼吸状態が吸気状態となる期間であり、
前記開口後期は、開口期のうち前記呼吸状態が呼気状態となる期間であってもよい。
(付記9)
前記再構成条件は、再構成関数、再構成処理方法、スライス厚、スライスピッチ、マトリックスサイズ、及び、セグメント再構成における投影角範囲のうちの少なくとも一つを含んでもよい。
(付記10)
前記第2の取得部は、前記投影データが収集された際に取得された情報に基づいて、前記心臓弁の動作状態を取得してもよい。
(付記11)
前記第2の取得部は、前記投影データが収集された際に取得された心電情報又は心音情報に基づいて前記心臓弁の動作状態を取得してもよい。
(付記12)
前記第2の取得部は、前記投影データに基づいて、前記心臓弁の動作状態を取得してもよい。
(付記13)
複数の画像データを取得する第1の取得部と、
前記複数の画像データにおける心臓弁の動作状態を取得する第2の取得部と、
前記心臓弁の開閉状態に基づいて、前記心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する分類部と、
前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の保管条件を設定する設定部と、
前記複数の保管条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の画像データを保管する保管部と
を備える、X線CT装置。
(付記14)
前記保管条件は、保管する画像データの量又は質であってもよい。
(付記15)
心臓弁の動作に関する情報を取得する第1の取得部と、
前記心臓弁の動作に関する情報に基づいて前記心臓弁の動作状態を取得する第2の取得部と、
前記心臓弁の開閉状態に基づいて、前記心臓弁の動作状態を複数の動作状態に分類する分類部と、
前記複数の動作状態それぞれに対応する複数の収集条件を設定する設定部と、
前記複数の収集条件に基づいて、前記複数の動作状態それぞれに対応する投影データを収集するように制御する制御部と
を備える、X線CT装置。
【符号の説明】
【0185】
1 X線CT装置
44 処理回路
441 制御機能
443 再構成処理機能
446 第1の取得機能
447 第2の取得機能
448 分類機能
449 設定機能
44A 保管機能
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9