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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スティック型包装体
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/48 20060101AFI20240702BHJP
   B65D 75/62 20060101ALI20240702BHJP
   B65D 33/16 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B65D75/48
B65D75/62 A
B65D33/16
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020198794
(22)【出願日】2020-11-30
(65)【公開番号】P2022086656
(43)【公開日】2022-06-09
【審査請求日】2023-07-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 (その1)■販売日 令和2年4月24日■販売した場所 株式会社伊藤園(東京都渋谷区本町3丁目47-10)■公開者 サンスター株式会社■販売した物の内容サンスター株式会社が、株式会社伊藤園に、竹田耕平及び貞光孝昭が発明した液状内容物を包装したスティック型包装体を販売した。(その2)■販売日 令和2年5月20日■販売した場所 相日防災株式会社(神奈川県小田原市羽根尾225-1)■公開者 サンスター株式会社■販売した物の内容サンスター株式会社が、相日防災株式会社に、竹田耕平及び貞光孝昭が発明した液状内容物を包装したスティック型包装体を卸した。(その3)■販売日令和2年6月1日■販売した場所 株式会社東洋内燃工業社(神奈川県川崎市宮前区神木本町2丁目20-1)■公開者 サンスター株式会社■販売した物の内容サンスター株式会社が、株式会社東洋内燃工業社に、竹田耕平及び貞光孝昭が発明した液状内容物を包裝したスティック型包装体を販売した。
(73)【特許権者】
【識別番号】000106324
【氏名又は名称】サンスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹田 耕平
(72)【発明者】
【氏名】貞光 孝昭
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-160617(JP,A)
【文献】特開2006-044704(JP,A)
【文献】特開2006-044793(JP,A)
【文献】特開2011-225221(JP,A)
【文献】特開2002-046712(JP,A)
【文献】特開平07-017568(JP,A)
【文献】特開昭52-128790(JP,A)
【文献】実開昭54-154923(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/40-7548
B65B 51/10
B65D 33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
細長い包装フィルムが長さ方向に沿った縁部同士を溶着した背貼り部を有する筒状体に形成され、前記筒状体の長さ方向の両端部において前記包装フィルム同士が溶着されることによりシール部が形成されたスティック型包装体であって、
前記シール部は、前記スティック型包装体の長さ方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部と、幅方向に沿うとともに長さ方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部とが組み合わせて形成され、前記長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の少なくとも一部に、線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を有し、
前記帯状溶着部は、前記シール部の幅方向の両端と中央部とに設けられ、
前記長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の幅は、0.2mm以上0.8mm以下であり、
前記帯状溶着部の幅は、1.0mm以上3.0mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体。
【請求項2】
前記帯状溶着部が、前記シール部の長さ方向の全長にわたって設けられていることを特徴とする、請求項に記載のスティック型包装体。
【請求項3】
片方の前記シール部に、前記包装フィルム同士が溶着されないことで構成される吐出部が、長さ方向の端部に向けて突出するように設けられていることを特徴とする請求項に記載のスティック型包装体。
【請求項4】
前記吐出部が、前記シール部における幅方向の一側に寄った位置に形成され、前記吐出部の長さ方向の端部に向けて突出した部分の、長さ方向の端部との距離が最も短い部分が正面視における幅方向の端部上に設けられているとともに、開封用のノッチ部が、前記シール部における前記幅方向の端部の他方の端部に設けられていることを特徴とする請求に記載のスティック型包装体。
【請求項5】
細長い包装フィルムを、長さ方向に沿った縁部同士を溶着した背貼り部を有する筒状体に形成し、前記筒状体の長さ方向の両端部において前記包装フィルム同士を溶着することによりシール部を形成するスティック型包装体の製造方法であって、
前記シール部の形成は、前記スティック型包装体の長さ方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部を形成する第1の工程と、幅方向に沿うとともに長さ方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部を形成する第2の工程からなり、前記長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の少なくとも一部に、線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を有し、
前記シール部の幅方向の両端と中央部とに前記帯状溶着部を設け、
前記長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の幅は、0.2mm以上0.8mm以下であり、
前記帯状溶着部の幅は、1.0mm以上3.0mm以下であることを特徴とする、スティック型包装体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状内容物を包装するスティック型包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
細長い包装フィルムの長さ方向に沿った縁部同士を溶着した背貼り部を有する筒状体に、液状内容物を充填し、長さ方向の両端で包装フィルム同士を溶着したシール部を有するスティック型包装体が知られている。このようなスティック型包装体は携帯性に優れ、内容物と外気との接触による品質低下の抑制が可能であることから、洗口液、液体歯磨き、化粧水、乳液、液体サプリメント、シャンプー等、液体内容物の包装に用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-160617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このようなスティック型包装体においては、充填時に長さ方向両端のシール部の内側に液体内容物が付着することで、溶着時に液体内容物の体積膨張が発生することにより溶着不良をきたし、輸送時や保管時の液漏れを生じることがあった。従来、この溶着不良による液漏れの発生を抑制するため、包装体の長さ方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部と、幅方向に沿うとともに長さ方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部とを組み合わせて用いることが知られているが、完全に液漏れを防止することはできていなかった。
【0005】
本発明の目的は、長さ方向両端からの液漏れを抑制した、液体内容物を包装するスティック型包装体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題に鑑みて鋭意研究を進めた結果、驚くべきことに、スティック型包装体の長さ方向に沿うとともに幅方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部と、幅方向に沿うとともに長さ方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部からなるシール部において、長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の少なくとも一部に、他の線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を設けることで、上記課題を解決できることを見出した。
【0007】
本発明は、例えば以下に記載の発明を包含する。
項1.
細長い包装フィルムが、長さ方向に沿った縁部同士を溶着した背貼り部を有する筒状体に形成され、前記筒状体の長さ方向の両端部において前記包装フィルム同士が溶着されることによりシール部が形成されたスティック型包装体であって、
前記シール部は、前記スティック型包装体の長さ方向に沿うとともに幅方向Xに間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部と、幅方向に沿うとともに長さ方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部とが組み合わせて形成され、前記長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の少なくとも一部に、線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を有することを特徴とする、スティック型包装体。
項2.
前記帯状溶着部が、前記シール部の幅方向の両端に設けられていることを特徴とする、項1に記載のスティック型包装体。
項3.
前記帯状溶着部が、前記シール部の幅方向中央部にさらに設けられていることを特徴とする、項2に記載のスティック型包装体。
項4.
前記帯状溶着部が、前記シール部の長さ方向の全長にわたって設けられていることを特徴とする、項3に記載のスティック型包装体。
項5.
片方の前記シール部に、前記包装フィルム同士が溶着されないことで構成される吐出部が、長さ方向の端部に向けて突出するように設けられていることを特徴とする項4に記載のスティック型包装体。
項6.
前記吐出部が、前記シール部における幅方向の一側に寄った位置に形成され、前記吐出部の長さ方向の端部に向けて突出した部分の、長さ方向の端部との距離が最も短い部分が正面視における幅方向の端部上に設けられているとともに、開封用のノッチ部が、前記シール部における前記幅方向の端部の他方の端部に設けられていることを特徴とする項5に記載のスティック型包装体。
項7.
細長い包装フィルムを、長さ方向に沿った縁部同士を溶着した背貼り部を有する筒状体に形成し、前記筒状体の長さ方向の両端部において前記包装フィルム同士を溶着することによりシール部を形成するスティック型包装体の製造方法であって、
前記シール部の形成は、前記スティック型包装体の長さ方向に沿うとともに幅方向Xに間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部を形成する第1の工程と、幅方向に沿うとともに長さ方向に間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部を形成する第2の工程からなり、前記長さ方向に沿う線状パターンの溶着部の少なくとも一部に、線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を有することを特徴とする、スティック型包装体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るスティック型包装体によれば、長さ方向両端のシール部からの液漏れを抑制した、液体内容物を包装するスティック型包装体を提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るスティック型包装体の正面図
図2】同背面図
図3】同側面図
図4図1のV1-V1断面図
図5図1のV2-V2断面図
図6図1のシール部拡大図
図7】本発明の他の実施形態に係るシール部拡大図
図8】本発明の他の実施形態に係るシール部拡大図
図9】実施例1のシール部拡大図
図10】比較例1のシール部拡大図
図11a】本発明の他の実施形態のシール部拡大図
図11b】本発明の他の実施形態のシール部拡大図
図11c】本発明の他の実施形態のシール部拡大図
図11d】本発明の他の実施形態のシール部拡大図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に包含される各実施形態について、図面を参照しながらさらに詳細に説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるわけではなく、本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
【0011】
図1および図2に示すように、スティック型包装体1は、細長い包装フィルムの長さ方向Yに沿った縁部同士が溶着されることで、背貼り部4を有する筒状体2が形成され、この筒状体2の内部に液状内容物4が充填されるとともに、筒状体2の長さ方向Yの両端部において包装フィルム同士が溶着されることで、シール部3が形成されている。
【0012】
スティック型包装体1の大きさは特に限定されず、充填する内容物の用量に適した大きさおよび容量とすることができる。例えば、スティック型包装体1の大きさは、長さ方向Yに123~143mm、より好ましくは128~138mm、さらに好ましくは130~136mmであり、幅方向Xに21.5~27.5mm、より好ましくは22.5~26.5mm、さらに好ましくは23.5~25.5mmである。
【0013】
背貼り部4の幅は特に限定されないが、例えば、9~13mm、より好ましくは9.5~12.5mm、さらに好ましくは10~12mmである。幅が6mmより短い場合、十分な溶着強度が確保できず、包装体に押圧がかかった際に背貼り部が剥がれる恐れがある。幅が包装体の幅の約半分を超える場合、1つの包装体に用いる包装フィルムの量が多くなり生産効率が損なわれるうえ、製品としての外観が好ましくないものになる。
【0014】
シール部3は、図6に示すように、スティック型包装体1の長さ方向Yに沿うとともに幅方向Xに間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部6と、幅方向Xに沿うとともに長さ方向Yに間隔をあけた複数の線状パターンの溶着部7とを組み合わせて形成され、長さ方向に沿う線状パターンの溶着部6の少なくとも一部に、他の線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部9を有する。
【0015】
溶着部6のそれぞれの線状パターンの幅a、および溶着部7のそれぞれの線状パターンの幅bは、特に限定されないが、例えば、0.2~0.8mm、より好ましくは0.3~0.7mm、さらに好ましくは0.4~0.6mmである。また、各溶着部同士の間に存在する非溶着部6´の幅a´、および非溶着部7´の幅b´は、特に限定されないが、例えば、0.2~1.8mm、より好ましくは0.5~1.5mm、さらに好ましくは0.8~1.2mmである。上記aとb、およびa´とb´はそれぞれ同じ幅で構成してもよく、異なる長さで構成してもよい。
【0016】
帯状溶着部9の幅cは、少なくとも溶着部6の幅aより大きく構成され、例えば、1.0~3.0mm、より好ましくは1.2~2.8mm、さらに好ましくは1.5~2.5mmである。また、帯状溶着部9はシール部3に1箇所あるいは複数箇所設けても良い。
【0017】
帯状溶着部9は、長さ方向Yに沿う方向にのみ設けられることが好ましい。幅方向Xに沿う方向に帯状溶着部を設けると、溶着部に液体内容物が付着した状態で溶着した場合に、液体内容物が溶着部から逃れる空間がないため、溶着部界面に液体内容物が多量に残存し溶着不良となるおそれがある。
【0018】
シール部3の長さ方向Yの長さは特に限定されないが、例えば、5~11mm、より好ましくは6~10mm、さらに好ましくは7~9mmである。シール部3の長さが5mmより短い場合、十分な溶着強度が確保できず、包装体に押圧がかかった際にシール部が剥がれる恐れがある。シール部の長さが11mmを超える場合、1つの包装体に用いる包装フィルムの量が多くなり生産効率が損なわれるうえ、製品としての外観が好ましくないものになる。
【0019】
また、シール部3の長さ方向Yの長さは、スティック状包装体1の幅方向の全長にわたって同じ長さとしても良く、開封時に液体が吐出される開口部の長さを制限するために、一部の長さを変化させてもよい。より具体的には、図7よび図8に示すように、シール部3の幅方向Xの両端の位置を変えたもの、シール部3側に突出するように山形の吐出部13を設けたものが挙げられる。図7および図8に示す実施形態において、シール部3と液体充填部11との境界線12は、直線や円弧などの曲線を適宜用いて構成することができるが、開封の切欠となるノッチ部10より包装体の幅方向Xに伸びる直線を引いた際に液体充填部11にかかる長さfは、例えば、10~16mm、より好ましくは11~15mm、さらに好ましくは12~14mmである。また、包装体の開封時に吐出部13を構成する液体充填部11の長さeは、例えば、7~13mm、より好ましくは8~12mm、さらに好ましくは9~11mmである。また、シール部3の長さ方向Yの最も短い部分の長さは5~11mm、より好ましくは6~10mm、さらに好ましくは7~9mmである。
【0020】
本発明の他の実施形態を図11a~11dに示した。
(a)は、長さ方向に沿う線状パターンにおいて、シール部の幅方向の両端に、他の線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を設けた形態である。
(b)は、長さ方向に沿う線状パターンにおいて、シール部の幅方向の両端に、他の線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を設け、当該帯状溶着部がシール部の末端まで達していない形態である。
(c)は、長さ方向に沿う線状パターンにおいて、シール部の幅方向の両端と、背貼り根元部を通過する長さ方向の延長線上に、他の線状パターンの溶着部より幅広な帯状溶着部を設け、当該帯状溶着部がシール部の末端まで達していない形態である。
(d)は、長さ方向に沿う線状パターンにおいて、シール部の幅方向の両端と、背貼り根元部を通過する長さ方向の延長線上に、他の線状パターンの溶着部より幅広かつ曲面を有する帯状溶着部を設けた形態である。
【0021】
本発明のスティック型包装体1の製造方法一例について簡単に説明する。スティック型包装体1の製造には、例えば、縦型多列自動充填包装機を用いることができる。細長いシート状の包装フィルムを筒状に保持し、その長さ方向Yに沿った縁部同士を溶着することで背貼り部4を形成する。次に、スティック型包装体1の長さ方向Yに沿う線状パターンの溶着部7を溶着し、そこへ液体内容物を充填する。充填後、溶着部6に重ねて、スティック型包装体1の幅方向Xに沿う線状パターンの溶着部8を溶着し、シール部3が形成される。最後に、シール部3により連接された部分を切断し、スティック型包装体1を得る。必要に応じてシール部3の角を曲線あるいは円弧状に加工することができる。
【0022】
本発明に用いられる包装フィルムは、特に限定されないが、例えば遮光性やガスバリア性に優れたアルミ蒸着フィルムやアルミ箔をラミネート加工したフィルムを用いることができる。これらフィルムは、一般的にポリエチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン等からなる表層;アルミ蒸着あるいはアルミ箔等からなるバリア層;ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ナイロン等からなる内層;ポリエチレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂等からなるシーラント層で構成される。
【0023】
前記表層および内層の厚みは特に限定されないが、例えば、9~15μm、より好ましくは10~14μm、さらに好ましくは11~13μmである。
【0024】
前記バリア層の厚みは特に限定されないが、例えば、アルミ蒸着の場合は9~15μm、より好ましくは10~14μm、さらに好ましくは11~13μmであり、アルミ箔の場合は6~12μm、より好ましくは7~11μm、さらに好ましくは8~10μm、である。
【0025】
前記シーラント層の厚みは特に限定されないが、例えば、30~80μm、より好ましくは40~70μm、さらに好ましくは45~65μmである。
【0026】
本発明のスティック型包装体1に充填される液状内容物4は、特に限定されないが、例えば、洗口液、液体歯磨き、化粧水、乳液、液体サプリメント、シャンプー等が挙げられる。中でも、洗口液、液体歯磨き、化粧水、液体サプリメント等は、粘度が非常に低いうえに、製剤中に含まれる界面活性剤により表面張力が低下しているため、わずかな隙間からでも液漏れを生じるため、本発明のスティック型包装体への充填が好ましい。
【0027】
本発明のスティック型包装体1に充填される液体内容物6に含まれる界面活性剤は、特に限定されないが、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤または両性界面活性剤を配合することができる。具体的には、ノニオン界面活性剤としてはショ糖脂肪酸エステル、マルトース脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル等の糖脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド類、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレン付加係数が4~15、アルキル基の炭素数が10~18であるポリオキシエチレンアルキルエーテル系またはポリオキシエチレン付加係数が10~18、アルキル基の炭素数が9であるポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、セバシン酸ジエチル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレンラノリン、ポリエチレンステロール、ポリエチレンラノリンアルコール、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。アニオン界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩、ラウリルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホコハク酸塩、ココイルサルコシンナトリウム、ラウロイルメチルアラニンナトリウム等のアシルアミノ酸塩、ココイルメチルタウリンナトリウム等が挙げられる。両性イオン界面活性剤としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等の酢酸ベタイン型活性剤、N-ココイル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のイミダゾリン型活性剤、N-ラウリルジアミノエチルグリシン等のアミノ酸型活性剤等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独または2種以上を組み合わせて配合することができる。
【0028】
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term “comprising” includes “consisting essentially of” and “consisting of.”)。また、本発明は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
【実施例
【0029】
以下、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
【0030】
図9に示すように、長さ方向Yに沿う方向に帯状溶着部9を設けた実施例1、および図10に示すように帯状溶着部を設けない比較例1のスティック型包装体に、内容物を充填しないサンプルと、精製水を充填したサンプルを常法により製造した。包装体について、シール部3の長さは8mm、包装体の幅は24.5mm、溶着部の幅は0.5mm、非溶着部の幅は1.0mmである。
【0031】
本実施例に用いた包装フィルムは、表層および内層がポリエチレンテレフタレート、バリア層がアルミ蒸着、そしてシーラント層からなり、総厚が約93μmである。
【0032】
[シールチェッカー]
内容物を充填しないサンプルの筒状部3を幅方向Xに切断し、開口側シール部14と非開口側シール部15を、境界線12から1mmを残して切断し、試験片とした。試験片の内側にシールチェッカー(富士インパルス社製)を吹き付け、正立状態で15分間静置した後、各サンプルの端部より漏れがないか、紙製タオルを押し当てて目視にて確認した。
【0033】
[押圧チェック]
精製水を充填したサンプルの開口側シール部14と非開口側シール部15を、境界線12から1mmを残して切断し、試験片とした。試験片の中央部を手で押した後、各サンプルの端部より漏れがないか、紙製タオルを押し当てて目視にて確認した。
【0034】
実施例および比較例それぞれ12個ずつサンプルを製造し、上記試験により漏れが確認されたサンプル数を表1に示した。
【0035】
【表1】
【0036】
表1の通り、比較例のスティック型包装体はシールチェッカーと、精製水を充填した押圧チェックのいずれでも漏れが発生しているが、実施例のスティック型包装体では、漏れが全く生じていないことが分かる。
【0037】
以下、本発明のスティック型包装体に充填することができる液体内容物の例を示す。なお各処方の配合量は特に記載のない限り質量%を示す。
【0038】
液体歯磨剤1
70%ソルビトール液 10
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 5
フッ化ナトリウム 0.05
グルコン酸クロルヘキシジン 0.05
ウンデカラクトン 0.05
香料 0.05
サッカリンナトリウム 0.01
クエン酸 適量
精製水 残部
合計 100
【0039】
液体歯磨剤1
グリセリン 10
1,3-プロパンジオール 3
低分子量寒天 5
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.2
塩化セチルピリジニウム 0.05
l-メントール 0.05
トラネキサム酸 0.05
サッカリンナトリウム 0.02
パラオキシ安息香酸メチル 0.01
香料 0.05
クエン酸 適量
精製水 残部
合計 100
【0040】
洗口液1
エタノール 10
グリセリン 5
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.5
パラオキシ安息香酸メチル 0.1
香料 0.2
ヘスペリジン 1
ビタミンE 0.05
ビタミンC 0.01
精製水 残部
合計 100
【0041】
洗口液1
ラウリル硫酸ナトリウム 0.35
ポリオキシエチレン(3)モノアルキル(12-14)
エーテルスルホコハク酸二ナトリウム 0.02
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 1
グリセリン 8
1,3-プロパンジオール 3
モノラウリン酸ショ糖脂肪酸エステル 0.3
イソプロピルメチルフェノール 0.05
クエン酸 0.01
クエン酸3ナトリウム 0.1
安息香酸ナトリウム 0.2
香料 0.1
精製水 残部
合計 100
【符号の説明】
【0042】
1・・・スティック型包装体
2・・・筒状体
3・・・シール部
4・・・背貼り部
5・・・背貼り根元部
6・・・液体内容物
7・・・長さ方向Yに沿う線状パターンの溶着部
7´・・長さ方向Yに沿う線状パターンの非溶着部
8・・・幅方向Xに沿う線状パターンの溶着部
8´・・幅方向Xに沿う線状パターンの非溶着部
9・・・長さ方向Yに沿う帯状溶着部
10・・ノッチ部
11・・液体充填部
12・・境界線
13・・吐出部
14・・開口側シール部
15・・非開口側シール部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11a
図11b
図11c
図11d