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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】スポット溶接装置
(51)【国際特許分類】
   B23K 9/007 20060101AFI20240702BHJP
   B23K 10/00 20060101ALI20240702BHJP
   B23K 26/382 20140101ALI20240702BHJP
   B23K 28/02 20140101ALI20240702BHJP
   B23K 37/00 20060101ALI20240702BHJP
   B23K 37/04 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B23K9/007
B23K10/00 501Z
B23K26/382
B23K28/02
B23K37/00 A
B23K37/04 H
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020558507
(86)(22)【出願日】2019-04-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 IL2019050423
(87)【国際公開番号】W WO2019202589
(87)【国際公開日】2019-10-24
【審査請求日】2022-04-11
(31)【優先権主張番号】258747
(32)【優先日】2018-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IL
(73)【特許権者】
【識別番号】520403288
【氏名又は名称】ウェルドボット リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ギラッド、メナヘム
(72)【発明者】
【氏名】ルビン、アルフォンソ
(72)【発明者】
【氏名】ステイン、タル
(72)【発明者】
【氏名】ベンヤミン、ガディ
(72)【発明者】
【氏名】エイナヴ、オメル
【審査官】山内 隆平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-186809(JP,A)
【文献】特開昭51-146351(JP,A)
【文献】特開昭58-119470(JP,A)
【文献】特開2000-271748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 9/007
B23K 10/00
B23K 26/382
B23K 28/02
B23K 37/00
B23K 37/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属板を合わせて溶接するためのスポット溶接装置であって、
-溶接トーチと、溶接された作業箇所を保護するように構成されたシールド不活性ガス又は半不活性ガスのガス源と、を含む、MAG溶接装置と、
-前記溶接された金属板のうちの少なくとも1つに孔を形成するための装置と、
-前記溶接された金属板に圧力を加えるフットプレッシャ装置と、
-前記MAG溶接装置及び孔を形成するための装置、及び、前記フットプレッシャ装置を組み立てるための少なくとも1つのフレーム部と、を備え
前記金属板はある特定の大きさのギャップにより離間している、スポット溶接装置。
【請求項2】
前記フットプレッシャ装置は、前記溶接された金属板上の溶接プロセスの前、最中、及び後に圧力を加えるように構成され、前記フレーム部が、前記フットプレッシャ装置を前記スポット溶接装置と組み立て、前記フレーム部が、前記MAG溶接装置及びフットプレッシャ装置を組み立てるためのベース要素と、前記MAG溶接装置、孔を形成するための装置、及び位置合わせ装置を一緒に搬送するための第2の専用フレーム部と、を備え、前記フットプレッシャ装置が、ハンドルと、フットプレッシャ構成要素と、を含み、前記フットプレッシャ構成要素が、その縁部においてハンドル構成要素に接続された少なくとも1本の金属フィンガを更に備え、前記フットプレッシャ構成要素が、互いに平行な2本の真っ直ぐなフィンガを含み、前記フィンガは、前記フィンガの遠位縁部において、前記フィンガに対して垂直に位置付けられた要素で互いに接続されている、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項3】
前記MAG溶接装置の軸を整列させるように構成された位置合わせ装置と、互いに平面的に孔を形成するための装置とを更に備え、前記整列軸がフットプレッシャ装置を通過し、前記孔を形成するための装置が、プラズマ源装置、高出力レーザー切断装置、熱穿孔装置、機械的穿孔装置、及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項4】
前記MAG溶接装置の動作の前記溶接及びタイミングシーケンスを制御するためのコントローラモジュールと、孔を形成するための装置と、フットプレッシャ装置と、を更に備える、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項5】
前記MAG溶接装置、前記孔を形成するための装置、及びフットプレッシャ装置に機械的に取り付けられたロボット搬送手段を更に備える、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項6】
前記フットプレッシャ装置が、前記スポット溶接装置の構成要素の横方向の並進及び/又は回転運動のために構成されたロボット搬送手段によって制御及び操作される、請求項2に記載のスポット溶接装置。
【請求項7】
前記ロボット搬送手段がロボットアームである、請求項5に記載のスポット溶接装置。
【請求項8】
前記MAG溶接装置及び孔を形成するための装置は、前記ロボット搬送手段の移動方向に複数の周波数及び複数の関連する相対位相で回転するように構成されている、請求項5に記載のスポット溶接装置。
【請求項9】
前記孔を形成するための装置が、複数の周波数及び位相で前記ロボット搬送手段の方向に回転するように構成され、前記MAG溶接装置は、前記ロボット搬送手段の方向に対して垂直方向に複数の周波数及び位相で回転するように構成されている、請求項8に記載のスポット溶接装置。
【請求項10】
複数のフレックス接合部が、前記フットプレッシャ装置及び/又はMAG溶接装置と一体化され、前記フレックス接合部は、前記フットプレッシャ装置及び/又は前記MAG溶接装置の溶接トーチの間の相対運動を可能にするように構成されている、請求項2に記載のスポット溶接装置。
【請求項11】
2枚の隣接する溶接された金属板に制御された力を加えるためのプログラム可能なフットプレッシャコントローラと、前記フットプレッシャ装置によって適用される圧力パラメータ上にフィードバックデータを提供するために、前記スポット溶接装置に組み込まれた少なくとも1つの圧力センサ又は力センサと、前記フットプレッシャコントローラによって制御される加圧力の有無において、溶接プロセスの前、最中、及び完了後に、溶接領域付近の隣接する金属板間の垂直セパレーションギャップにフィードバックを提供するための少なくとも1つの距離センサと、を更に備え、前記垂直セパレーションギャップが、前記溶接プロセスの前、最中、及び後に制御、修正、及び最適化される、請求項2に記載のスポット溶接装置。
【請求項12】
溶接シームを撮像し、加圧力あり及び加圧力なしの前記溶接シームの幾何学的直径を計算するための、複数の光学センサ及び撮像装置を更に備える、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項13】
溶接シーム上の加圧力の影響をモデリング及び確認し、加えられた外部圧力をきっかけに起こる望ましくない副作用のリスクを評価するためのソフトウェアを更に含む、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項14】
予め定義されたプロセスアルゴリズムに従って溶接プロセスの実行を制御するためのコントローラモジュールを更に備え、前記プロセスアルゴリズムが、前記スポット溶接装置及び前記金属板に孔を形成するための装置によって適用される熱及び/又はエネルギー入力の組み合わせのための、様々な溶接パラメータの予め定義されたタイミングシーケンスを含み、1つの動作に対応する前記動作及び1つの装置の終了タイミングが、第2の装置の動作開始の次に続くタイミングまで遅延又は進行し、前記MAG溶接装置及び前記金属板に孔を形成するための前記装置のための前記タイミングシーケンスは、溶接スポットの周囲で前記溶接MAG装置及び孔を形成するための装置に、前記MAG溶接装置、孔を形成するための装置、及びシールドガス源の前記タイミングシーケンスの関連タイミングと共に適用される回転運動を含み、前記孔を形成するための装置は、プラズマ源装置である、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項15】
モジュール及びその前記装置が、同時に動作するように構成され、前記モジュール及び装置の動作時間が部分的に又は完全に重なり合う、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項16】
前記MAG溶接装置及び前記金属板に孔を形成するための前記装置による前記溶接のタイミングシーケンスは、「円形形状」構造のために構成され、キャリアロボット制御システムによって実行され、前記金属板内に孔を形成するための前記装置がプラズマ源装置であり、前記装置が、一方の他方に対する反対の位相で同じ又は異なる周波数で振動する、請求項14に記載のスポット溶接装置。
【請求項17】
前記MAG溶接装置及び前記金属板に孔を形成するための前記装置のためのタイミングシーケンスは、「線形ステッチ」構造用に構成され、キャリアロボット制御システムによって実行され、前記金属板に孔を形成するための前記装置がプラズマ源装置である、請求項14に記載のスポット溶接装置。
【請求項18】
前記孔を形成するための装置が、金属エッチングプロセスのための少なくとも1つのセンサを更に備え、それにより、前記金属板のオーバーエッチング又はアンダーエッチングを回避し、前記金属板の底部で前記金属エッチングプロセスを停止させることを可能にし、前記センサが、光学センサ、電気抵抗性の容量又は誘導センサ、溶接スポットの基準画像との比較を用いた又は用いない撮像センサ、表面の電気力を測定するコンタクトチップ又はコンタクトレスチップに基づくセンサ、及び金属板の積層体を含む金属製ワークピースの内部の前記孔の金属エッチング処理を特徴付けるように構成されたセンサから選択される、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項19】
前記スポット溶接装置が、溶接スポットの形状、色、金属層、トポグラフィを前記溶接スポット及び溶接プロセスの品質、完全性、及び信頼性の指標としてチェックするための少なくとも1つのセンサを更に備える、請求項1に記載のスポット溶接装置であって、前記センサが、光学センサ、電気抵抗性の容量又は誘導センサ、前記溶接スポットの基準画像との比較を用いた又は用いない撮像センサ、前記溶接スポット及び溶接プロセスの品質、完全性、及び信頼性を特徴付けるための表面の電気力を測定するコンタクトチップ又はコンタクトレスチップに基づくセンサである、請求項1に記載のスポット溶接装置。
【請求項20】
前記MAG溶接装置及びプラズマ装置が、同時にプラズマ及びMAGアーク加工両方の組み合わせを使用して、前記2枚の板を片側で溶接する単一のハイブリッドトーチに組み合わされる、請求項3に記載のスポット溶接装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接装置、特に、単一の溶接電極/トーチを利用して、垂直に隣接する金属板又はプレートを一緒に溶接するスポット溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スポット溶接は、接触する金属表面点が、電流に対する抵抗から得られる熱によって接合されるプロセスである。従来技術で報告されている関連する溶接セットアップは、少なくとも2つの電極によって加えられた圧力下で一緒に保持された少なくとも2つの金属ワークピースを含む。関連する方法は、溶接電流を小さなスポットに集中させ、同時に板を一緒にクランプする少なくとも2つの電極を利用する。スポットに送達される熱エネルギーの量は、電極間の抵抗によって決定され、この抵抗は、材料特性及び厚さによって限定される電流の大きさ及び持続時間によって、また溶接電極の種類によっても決まる。この方法において、溶接異常は、金属を溶融させない又は溶接不良をもたらす、エネルギー及び熱を過度に少なく加えることに起因する場合がある。他の異常は、過度に多くの金属を溶融させ、溶融した材料を排出し、溶接部ではなくむしろ孔を形成する、エネルギーを過剰に加えることに起因する場合がある。別の問題は、スポット溶接が少なくとも2つの溶接電極を必要とし、2枚の溶接された金属板の2つの側面におけるこれらの間の位置合わせにおける高精度を必要とすることである。従来技術の溶接方法は、溶接電極の位置ずれに起因するいくつかの望ましくない副作用を被っており、溶接電極の溶接信頼性及び完全性を低下させる恐れがある。溶接品質上の他の品質低下のインパクタは、金属製ワークピース及び関連金属板の局所的電気特性の不均一性及び変化を含む、金属スポット領域の溶接されたバルク及び表面における寄生抵抗及び局所的な幾何学的不均一性などのいくつかの他のパラメータによって動作し得る。これらの不均一性は、溶接された層の不安定な局所伝導率を更にもたらす場合があり、溶接電流を高すぎる又は低すぎる値の範囲でシフトさせる場合がある、不十分な、かつ又は非共形の(non-conformal)金属の層又はカバーから生じることがある。これにより、溶接品質が低下する。また、スポット溶接が必要とされる多くの場合、溶接領域へのアクセス性は、2枚の板を含む金属製ワークピースの一方の側からのみ有効になっている。
【0003】
したがって、本発明の目的は、スポット溶接のために単一の電極のみを利用する、効率的かつ信頼性の高い装置及び方法を提供することである。
【0004】
本発明の更に別の目的は、1つの側からのみアクセスすることによって隣接する金属板を溶接することが可能なスポット溶接方法及び装置を提供することであり、これは溶接された板表面へのアクセス性がないときに必要性が高い。
【0005】
本発明の更に別の目的は、溶接スポット領域及び垂直に離間した溶接された金属板間のギャップにおける、幾何学的不均一及び電気的不均一並びにアーチファクトに対する感度が低いロバストスポット溶接方法及び装置を提供することである。
【0006】
本発明のこの目的及び他の目的並びに実施形態は、説明が進むにつれて明らかになるものとする。
【発明の概要】
【0007】
一実施形態では、本発明は、一方の側で2枚の板を溶接するためのプラズマ技術及びMAG技術の両方の組み合わせを使用することによって、2枚以上の金属板のスポット溶接又はステッチ溶接のための手段及び方法を提供する。本発明の別の実施形態では、2つの技術は物理的に分離している。いくつかの実施形態では、2つの技術は、一方の側で2枚の板を溶接するために同時に作用するプラズマ及びMAGアークの両方の組み合わせを使用することによって、単一のハイブリッドトーチに組み合わされる。本発明の別の実施形態では、一連の動作及び特定の幾何学的設計により、対応するプロセスが可能になる。
【0008】
装置
本発明の一実施形態では、スポット溶接装置は、
-溶接トーチを備えるMAG溶接装置と、
-溶接された作業箇所を保護するシールド不活性又は半不活性ガスを放出するガス源と、
-溶接された金属のうちの少なくとも1つを貫通して孔を形成するためのプラズマ源装置と、
-スポット溶接装置の構成要素を組み立てるための少なくとも1つのフレーム部と、を備える。
【0009】
本発明の別の実施形態では、スポット溶接装置は、溶接された金属板の溶接プロセス前、溶接プロセス中に圧力を加えるためのフットプレッシャ装置を備える。
【0010】
本発明の更に別の実施形態では、溶接フットプレッシャ装置は、ハンドル及びフットプレッシャ構成要素を含み、フットプレッシャ構成要素は、ハンドル構成要素にその縁部で接続される少なくとも1つの金属フィンガを更に備える。本発明の別の特定の実施形態では、フットプレッシャ構成要素は、2本の平行なフィンガを含み、その遠位縁部において、フィンガに対して水平に配置された要素と更に接続され、それによって、プラズマ装置出力及び溶接トーチ熱の自由な通過を可能にする矩形形状の開口孔を形成する。
【0011】
本発明の更なる実施形態では、スポット溶接装置は、特定のギャップによって垂直に離間した少なくとも2枚の金属板を備えるワークピースに利用される。また本発明の更なる実施形態では、溶接金属製ワークピースは、(GAP、GAP~GAPn-1)としてマークされた垂直セパレーションギャップによって離間された、関連する幅(h、h~h)を有する少なくとも2枚の金属板(10a、10b~10n)を含む。
【0012】
本発明の別の実施形態では、溶接スポット装置は、MAG溶接装置の軸を位置合わせするように構成された位置合わせ装置と、フットプレッシャ装置を通過するプラズマ源装置とを更に備える。
【0013】
本発明の別の実施形態では、上記フレーム部は、ベース要素を含み、ベース要素は、MAG溶接装置、フットプレッシャ装置、並びにMAG溶接装置、プラズマ源装置、及び位置合わせ装置を支える専用フレーム部を組み立てる。
【0014】
方法
関連するスポット溶接方法は、以下の主要な工程を含む。
・プレッシャフット装置で少なくとも2枚の金属板上に圧力を加えて、溶接された板間のギャップを調整する工程、
・上側板上にプラズマで初期孔を作成して、MAG溶接トーチ及び電極が、一方の側からのアクセスを可能にして、上部金属板及び下部金属板に接触する工程、
・MAG溶接プロセスで孔を充填し、溶接する工程、
・金属板上の圧力をフットプレッシャ装置で解放する工程。
【0015】
スポット溶接装置及び方法の特徴
スポット溶接装置及び方法の能力及び性能を改善するために、本発明のいくつかの追加の態様及び実施形態は、以下の主要な特徴を備える。
【0016】
・溶接プロセス制御及びタイムシーケンスアルゴリズム:
本発明の一実施形態では、スポット溶接装置は、溶接プロセスのためのコントローラモジュール、並びに、特にMAG溶接装置、プラズマ源装置、及びフットプレッシャ装置のタイミングシーケンスを更に備える。
【0017】
本発明の別の特定の実施形態では、スポット溶接装置は、プロセスを制御し、予め定義されたプロセスアルゴリズムを実行するコントローラモジュールを備える。本発明の更なる実施形態では、上記プロセスアルゴリズムは、溶接技術及びプラズマ技術によって適用される異なる熱及び/又はエネルギー入力の特定の組み合わせのための様々な溶接パラメータに関する規定のタイミングシーケンスを含む。
【0018】
更なる実施形態では、プロセスアルゴリズムは、金属板間のセパレーションギャップ並びに必要なスポットの直径及び幾何学的形状を考慮する。本発明の更なる実施形態では、全ての2枚の溶接された板間のギャップは、溶接プロセスの前、間、及び後に制御、修正、調節、及び最適化される。
【0019】
本発明の一実施形態では、プラズマ源装置の電源投入は、溶接プロセスの開始時にシーケンスの最初になるようにタイムスケジュールされている。
【0020】
本発明の別の実施形態では、いくつかのモジュール又は装置が同時に動作し、それらの関連する動作時間が部分的又は完全に重なり合う場合がある。本発明の別の特定の実施形態では、1つの特定の装置の1つの動作の終了時間は、基準装置の次に続く動作の対応する次に続く開始のタイミングに関して遅延又は先行する。
・本発明の好ましい一実施形態では、MAG及びプラズマ源装置による溶接プロセスのタイミングシーケンスは、以下の工程を含む。プラズマ源装置は、T0でオンにされる。
・プラズマ源装置は、T_Plasmaの動作時間にわたって、2枚の隣接する垂直に離間した金属板の場合、上面(10a)を通じて、n枚の隣接する垂直に離間した金属板(10a~10n)を含む積層体の場合、n-1枚の上部金属板を通じて、又は金属積層体(10a~10n)全体を通じて、開口部を形成する。
・MAG溶接装置は、T0+ΔT1でオンにされ、ここでΔT1は、プラズマに対する対応の時間遅延である。
・MAG溶接装置プロセスは、T_MAGの動作時間にわたって、孔及びギャップを溶接材料で充填する。
【0021】
本発明の更なる実施形態では、シーケンス、タイミング、スケジューリング、電力入力値、及びプロセスパラメータは、アルゴリズムによって最適化されて、きれいで強力かつ信頼性の高い溶接を提供する。
【0022】
本発明のまた更なる実施形態では、MAG溶接装置は、充填、スポット完全性、及び強度を改善するため、かつ/又は大きなスポット領域を覆うために、プラズマ装置軸の周りを回転するように構成されている。
【0023】
本発明の更に別の実施形態では、MAG及びプラズマ装置は、ロボットキャリア及び制御システムによって実行される「円形形状」スポット溶接構造のために互いに相対的に1つ構成されている。
【0024】
本発明の好ましい一実施形態では、溶接プロセスは、MAG及びプラズマ源装置のタイムシーケンス並びに溶接シーム方向に沿ったロボットキャリアの速度/速さVを含む。本発明の更なる実施形態では、溶接プロセスは、「線形ステッチ」溶接構造のために構成され、以下の工程を含む。
・所望の始点の上にロボット/システムを位置決めする工程。
・プラズマ源装置をT0に、T_Plasmaの時間を通してオンにする工程。
・2枚の隣接する垂直に離間した金属板のうちの金属板の上面(10a)を通じて、n枚の垂直に離間した金属板(10a~10n)を含む積層体の隣接した垂直に離間された金属板のn-1個の上面を通じて、又は金属板の金属製積層体(10a~10n)全体を通じて、T_Plasmaの動作時間にわたってプラズマ源装置で開口部を形成する工程。
・T1=T0+ΔT1でMAG溶接装置をオンにし、時間T_MAGにわたってMAG溶接装置を動作させる工程であって、ΔT1は、TV0としてもマークされる、プラズマに対する時間遅延である工程。
・MAG溶接装置を使用して、開口部及びギャップを溶接材料で充填する工程。
・時間遅延ΔT1後に、シーム軌道に沿ってロボットを移動させ、時間T_Motionにわたって、動作させる工程。
・プラズマ源及びMAG溶接装置を連続的に動作させ、プラズマ源装置が溶接軌道に沿ってMAG溶接装置を導く工程。
・終点到着時に、プラズマ源装置を停止させる工程。
・MAG溶接装置及びロボットを時間T_endまで連続的に移動させ、MAG溶接装置が終点に位置付けられ、ロボットが差分距離Δを移動するまで充填する工程。
・任意選択的に、アルゴリズムによってシーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを最適化して、きれいで強力かつ信頼性の高い溶接を提供する工程。
【0025】
本発明の更なる好ましい実施形態では、以下の同期規則のうちの1つ又は複数、及び上記で詳述した異なる時間スケール間の対応する関係が、溶接プロセスシーケンス及び関連する装置に適用される。
i.ΔT1=T_V0=T_M0。
ii.T_MAG=T_Motion。
iii.T_MAG=T_Plasma。
iv.T_Plasma=T_Motion。
v.T_Plasma+Tend=T_MAG+TM0。
T_Plasma+Tend=T_Motion+TV0。
【0026】
本発明の別の好ましい実施形態では、溶接プロセスは、MAG及びプラズマ源装置のシーケンス並びに溶接シーム方向に沿ったロボットキャリアの速度/速さVを設定する。溶接MAG及びプラズマ源装置の溶接プロセスタイミングシーケンスは、「線形ステッチ」溶接構造のために設計され、以下の工程を含む。
・ロボット/システムは、所望の始点の上に位置する。
・プラズマ源装置は、T0でオンにされ、T_Plasmaの時間にわたって動作する。
・ロボットは、T0+TVOに、T_Motionの時間にわたって動作するシーム軌道に沿って移動し始め、ここでTVOは、プラズマのターンオン時間に対するロボット移動の遅延時間である。
・プラズマ源装置は、時間動作T_Plasmaにわたって、2枚の隣接する垂直に離間した金属板では上部金属板(10a)の上面を通じて、n枚の隣接する垂直に離間した金属板(10a~10n)を含む積層体ではn-1枚の上部金属板を通じて、又は金属積層体(10a~10n)全体を通じて、開口孔を形成する。
・MAG溶接装置は、T1でオンにされ、T_MAGの時間にわたって動作し、ここでΔT1は、プラズマターンオン動作時間に対するMAGターンオン時間の遅延時間、すなわち、T1=T0+ΔT1である。
・MAG溶接装置は、開口部及びギャップを溶接材料で充填する。
・プラズマ源装置及びMAG溶接装置は動作し続け、プラズマ源装置は、溶接軌道に沿ってMAG溶接装置を導く。
・プラズマ源装置は、終点に到達すると停止する。
・MAG溶接装置及びロボットは、時間T_endを超えて更に移動し続け、MAG装置は、終点に位置付けられるまで孔を充填し、ロボットは、差分Δの長手方向直径を有する線形ステッチシーム軌道を移動する。
・任意選択的に、シーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを、アルゴリズムによって最適化して、きれいで強力かつ信頼性の高い溶接を提供する。
【0027】
本発明の更なる好ましい実施形態では、異なる時間スケール間の同期規則を決定する以下の関係のうちの1つ又は複数が、溶接プロセスシーケンスに適用される。
i.T1=T0+ΔT1。
ii.T_MAG=T_Plasma。
iii.T_Plasma+T_end=T_MAG+ΔT1。
iv.T_Plasma+T_end=T_Motion。
【0028】
本発明の別の好ましい実施形態では、溶接プロセスタイムシーケンスは、次の工程を含む「線形ステッチ」溶接構造のための、溶接MAG及びプラズマ源装置のタイムシーケンス並びに溶接シーム方向に沿ったロボットキャリアの速度/速さVを含む。
・ロボット/システムは、T_Plasmaの時間動作期間にわたって所望の始点の上に位置する。
・プラズマは、T0でオンにされる。
・プラズマは、金属板内に開口部を形成する。
・ロボットは、T_Motionの時間動作期間にわたって時間T2まで、シーム軌道に沿って移動する。
・MAGは、T1=T0+ΔT1でオンにされ、T_MAGの時間動作期間にわたって動作し、ΔT1は、プラズマターンオン動作時間に対するMAGターンオン時間の遅延時間であり、主に、ワークピース上のMAGとプラズマ接触点との間の離間距離である、d及びロボット速度Vに依存する。
・MAGプロセスは、開口部及びギャップを溶接材料で充填する。
・プラズマ及びMAGは、軌道に沿って動作し続ける(プラズマがMAGを先導する)。
・プラズマは、終点に到達すると停止する。
・MAG及びロボットは、ロボットが距離dを移動し、MAGが終点に位置付けられるまで移動及び充填を継続する。
・任意選択的に、シーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを、アルゴリズムによって最適化して、きれいで強力な溶接を提供する。
【0029】
本発明の更なる好ましい実施形態では、以前の異なる時間スケール間の以下の関係のうちの1つ又は複数を、溶接プロセスシーケンスに強いる/適用することができる。
【0030】
本発明の更なる好ましい実施形態では、上記で詳述した異なる時間スケール間の以下の同期関係のうちの1つ又は複数が、溶接プロセスシーケンスに適用される。
i.ΔT1=T_Plasma+T_Motion。
ii.T2=T0+T_Plasma。
【0031】
・プログラム可能なフットプレッシャ装置:
本発明の一実施形態では、スポット溶接装置は、2枚の溶接された金属板に制御された印加力を加えるように構成されたプログラム可能なフットプレッシャ装置を備える。
【0032】
本発明の更なる実施形態では、少なくとも1つの圧力センサ又は力センサが、フットコントローラ装置又はスポット溶接装置の他の要素と一体化され、フットプレッシャ装置によって適用される圧力パラメータに関するフィードバックデータを提供する。
【0033】
本発明のまた更なる実施形態では、スポット溶接装置は、カメラなどの複数の光学センサ及び撮像装置を備えて、加圧力あり及び加圧力なしの溶接シームの幾何学的直径を撮像し、計算する。本発明のこれらの特徴及び関連する実施形態は、溶接プロセスにおける加圧力の影響、及び溶接プロセス全体にわたるシーム特性を正確にモデル化し、確認し、加えられた外部圧力をきっかけに起こり得る望ましくない副作用のリスクを評価するために提供される。関連するモデリング及び評価は、溶接プロセス中にプログラム可能な加圧力を最適化するために更に使用される。
【0034】
・溶接された金属板間の数ミリメートルの制御された閾値セパレーションギャップ:
本発明の別の実施形態では、溶接スポット装置は、溶接された板金の一方の側からの溶接されたワークピースへのアクセスを可能にし、垂直ギャップセパレーションは、数ミリメートルの閾値セパレーションギャップまでのギャップに制限される。本発明の更なる特定の実施形態では、閾値ギャップ値範囲は、サブミリメートルのギャップサイズから10mmまで変化し、一般的に、スポット溶接作業の難易度は、溶接垂直セパレーションギャップに反比例する。本発明の更なる実施形態では、機械的圧力は、垂直セパレーションギャップの大きさを低減し、したがってスポット溶接プロセスを可能にするか、又は促進するために、溶接スポット作業の前、最中、及び後に金属板上に垂直に加えられる。本発明の更なる好ましい実施形態では、機械的圧力は、板の金属積層体上にその上側において、少なくとも1つの金属フィンガを有する機械的フットプレッシャ装置を使用して上部金属板に沿って加えられる。
【0035】
本発明の更なる実施形態では、少なくとも1つの距離センサが溶接スポット装置と一体化され、溶接領域付近の金属板間の垂直セパレーションギャップに関するフィードバックを提供する。この距離センサは、フットコントローラによる加圧力あり及び加圧力なしの、溶接プロセスの完了前、最中、及び完了後のギャップ測定を提供する。
【0036】
・トーチとプレッシャフットとの間の相対運動を提供するためのフレックス接合:
本発明の別の実施形態では、フット装置及び/又は溶接トーチ装置の間の相対運動を可能にするために、複数のフレックス接合部がフットプレッシャ装置及び/又はMAG溶接装置と一体化される。
【0037】
・円形又は螺旋状スポット溶接運動(ロボットベース):
本発明の更に別の実施形態では、円形又は螺旋状の溶接運動が、専用のロボット制御運動によって溶接スポットに適用される。本発明の更なる実施形態では、任意の所定の運動が、上記ロボット手段によってスポット溶接に適用される。
【0038】
・スポット溶接装置構成要素の回転及び並進:
本発明の一実施形態では、MAG溶接装置は、充填及びスポット完全性及び強度を改善するか、又は大きなスポット領域を覆うように、プラズマ軸の周りを回転するように構成されている。
【0039】
本発明の別の実施形態では、スポット溶接装置は、MAG溶接装置、プラズマ源装置、及びフットプレッシャ装置に機械的に取り付けられたアーム又は他の車両などの搬送手段を更に備え、これらの搬送手段はその横方向の並進及び/又は回転運動を可能にするロボット手段によって制御及び操作される。
【0040】
本発明の一実施形態では、MAG溶接及びプラズマ源装置は、ロボット搬送手段の方向に沿って複数の周波数及び相対位相で回転するように構成されている。
【0041】
本発明の別の実施形態では、プラズマ源装置は、複数の相及び周波数でロボット搬送手段の方向に回転するように構成されている。MAG溶接装置は、ロボット搬送手段に対して垂直方向に沿って複数の周波数及び位相で回転するように構成されている。
【0042】
本発明の更に別の実施形態では、MAG溶接装置は、「線形ステッチ」溶接構造のために設計された構成で、プラズマ軸の周りを回転して、充填及びスポット完全性及び強度を改善し、かつ/又は大きなスポット領域を覆うように構成されている。本発明の別の実施形態では、MAG溶接装置は、溶接シームに沿って速度Vで移動しながら、プラズマ軸に対して垂直方向周り又はプラズマ軸に平行ではない別の軸の周りを、ある周波数で回転するように構成されている。「円形スポット」溶接構造用に設計された本発明の更に別の実施形態では、MAG溶接及びプラズマ源装置の両方が溶接スポットの周りを回転するように構成され、それらの軸は、溶接されることになる平行な隣接する金属板間の垂直ギャップの中心で一致するように位置付けられている。
【0043】
プラズマ装置-S/W(ソフトウェア/ハードウェア)設計
本発明の一態様では、スポット溶接装置の最適化は、以下に列挙される全てのスポット溶接モジュールに対する迅速な応答時間を必要とする。これらのモジュールは、提案された解決策及び溶接プロセス(「スポット溶接」)を実施するためにスポット溶接装置と一体化される。「高速」応答時間が必要であり、したがって、以下のタイミング及びモジュールの改善されたタイミングの応答が必要とされる。
・パイロットアーク
・メインアーク
・電流源(例えば、Miller Power Source)
・ガス分配ユニット(シールド+アルゴン)
【0044】
本発明の別の実施形態では、スポット溶接装置は、金属板に孔を形成するための装置を備え、プラズマモジュールはその一例である。したがって、プラズマ装置に加えて、隣接する金属板の一方の側に孔を形成するためのこのような装置は、高出力レーザー切断装置、熱穿孔装置、機械的穿孔装置、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0045】
本発明の一実施形態では、MAG装置溶接ヘッドは、異なる幾何学的形状を有するスポットをもたらす様々な幾何学形状を含む。本発明の更なる実施形態では、MAGプラズマヘッドは、同じスポット又は連続するスポット上で同時に回転するように構成され、プラズマ源は、溶接シーム又は異なる方向に沿って横方向に移動することができる。
【0046】
本発明の一実施形態では、孔を形成するための装置は、少なくとも1つの金属エッチング処理用センサを更に備え、それにより、金属板のオーバーエッチング又はアンダーエッチングを回避し、底部金属板上の金属エッチングプロセスを停止させることができる。本発明の更なる実施形態では、金属エッチング処理用センサは、光学センサ、電気抵抗性の容量若しくは誘導センサ、溶接スポットの基準画像との比較を用いた若しくは用いない撮像センサ、表面の電気力を測定するコンタクトチップ若しくはコンタクトレスチップに基づくセンサ又は金属板の積層体を含む金属製ワークピースの内部の孔の金属エッチング処理を特徴付けることができる任意の他のセンサである。
【0047】
本発明の一実施形態では、スポット溶接装置は、溶接スポット及び溶接プロセスの品質、完全性、及び信頼性の指標として使用される、溶接スポット形状、色、金属層、トポグラフィ、及び他の関連特性をチェックするための少なくとも1つのセンサを更に備える。本発明の更なる実施形態では、センサは、光学センサ、電気抵抗性の容量若しくは誘導センサ、溶接スポットの基準画像との比較を用いた若しくは用いない撮像センサ、表面の電気力を測定するコンタクトチップ若しくはコンタクトレスチップに基づくセンサ、又は溶接スポット及び溶接プロセスの品質、完全性、及び信頼性を測定することができる任意の他のセンサであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0048】
図1A】出口及びフットプレッシャ装置を含むスポット溶接装置の側面及び斜視拡大図を示す。
図1B】出口及びフットプレッシャ装置を含むスポット溶接装置の側面及び斜視拡大図を示す。
図2A】スポット溶接装置の「プレッシャフット」装置、並びに加えられた機械的圧力あり及びなしの2枚の溶接された金属板の2つの断面図を示す。
図2B】スポット溶接装置の「プレッシャフット」装置、並びに加えられた機械的圧力あり及びなしの2枚の溶接された金属板の2つの断面図を示す。
図3A】溶接MAG及びプラズマ源装置によるプロセスのタイミングシーケンスグラフと共に、「円形スポット」形状溶接構造のスポット溶接装置セットアップの側面図を示す。
図3B】溶接MAG及びプラズマ源装置によるプロセスのタイミングシーケンスグラフと共に、「円形スポット」形状溶接構造のスポット溶接装置セットアップの側面図を示す。
図4A】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図4B】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図4C】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図4D】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図4E】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図4F】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図4G】溶接MAG及びプラズマ源装置及びロボットキャリア速度による溶接プロセスの関連するタイムシーケンスグラフと共に、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のオプションの構成及び関連する方法の側面図を示す。
図5A】シールドガス源及びプラズマ源を含む溶接MAGによる溶接プロセスのタイミングシーケンスグラフと共に、溶接スポットの周囲で溶接MAG及びプラズマ源装置に回転振幅運動が適用される「円形スポット」形状溶接構造のスポット溶接セットアップの側面図を示す。
図5B】シールドガス源及びプラズマ源を含む溶接MAGによる溶接プロセスのタイミングシーケンスグラフと共に、溶接スポットの周囲で溶接MAG及びプラズマ源装置に回転振幅運動が適用される「円形スポット」形状溶接構造のスポット溶接セットアップの側面図を示す。
図6A】本発明のスポット溶接法及び装置によって溶接された2枚の金属クーポン/板サンプルの上面及び側面斜視図画像を示す。
図6B】本発明のスポット溶接法及び装置によって溶接された2枚の金属クーポン/板サンプルの上面及び側面斜視図画像を示す。
【図面の詳細な説明】
【0049】
スポット装置及び方法の詳細な説明は、このセクションに提供される。以下の部分は、添付図面を参照し、本発明の範囲を限定することなく、本発明の特定の実施例及び好ましい実施形態を説明する。
【0050】
図1Aは、本発明の一実施形態におけるスポット溶接装置(100)の側面図を示す。図1Bは、スポット溶接装置の側面斜視図拡大画像を示す。スポット溶接装置は、以下のメインモジュールを備える。溶接された金属板(複数可)内に孔を形成するためのプラズマ源装置(1)用の入口及び関連アダプタ、溶接トーチ及び溶接された作業箇所を保護する不活性又は半不活性ガスで遮蔽するためのガス源を含むMAG(金属不活性ガス)溶接装置(2)用の入り口及び関連アダプタ、フットプレッシャ装置(3)、MAG溶接ヘッド要素(4、4’)を冷却するために水を循環させるための2つの入口及び出口。これらのモジュールは、ロボット処理アーム、車両、又は別の搬送手段との機械的接続を有する保持装置として構成されており、プラズマ源装置(1)及びフットプレッシャ装置(3)を更に組み立てる、二重目的のベース要素を備える専用のキャリアフレーム部(5)と、プラズマ源装置(1)、MAG(金属不活性ガス)溶接装置(2)及び冷却水循環配管エントリ要素(4、4’)を一緒に組み立てて搬送する追加のフレーム部と、を一緒に組み立てる。
【0051】
スポット溶接装置(100)のアセンブリは、溶接の幾何学的位置で的確にプラズマ源及びMAG溶接装置を組み立て、位置合わせするように特別に構成され、フットプレッシャ装置(3)は、溶接プロセス中に2枚の溶接された金属板上に圧力を効果的に加えるように、数ミリメートル上方に位置付けられる。
【0052】
プラズマ装置(1)の上側は、2つの円筒状の入れ子式内側(1a)及び外側(1b)要素/アセンブリを備える入口を備える。内側入れ子式要素/アセンブリ(1a)は、2つの部品(1f)及び(1f’)から構成される、外側に適合した円筒状アセンブリ/要素に挿入される。これら2つの部品(1f)及び(1f’)は、内部に埋め込まれた内側入れ子式要素(1a)の周囲の、複数のねじ(1e’)を有する円筒状のフランジ要素(1e)で機械的にロックされる。更に、部品(1f)及び(1f’)を含むアセンブリの上側は、その上部外側にねじ付き領域を有し、内側入れ子式要素(1a)に円形フランジ(1c)の対応する内側ねじ付き側部で機械的に取り付けられる。
【0053】
特殊なフレームハウジング要素(6)は、プラズマ源装置(1)及びMAG溶接装置(2)の中央部を組み立てるように構成され、装置中央部に機械的保護を提供する効率的なメンテナンスハウジング要素をもたらす。フレーム装置は、その縁部に追加要素(7)を備え、追加要素は、溶接ヘッドのための冷却媒体又はリザーバとして使用される小さな水容器を埋め込む。容器(7)はまた、溶接スポット位置に近接してMAGガスを濃縮するためにも使用される。図には示されていない水容器は、送水管エントリ要素(4a、4a’)の出口に2つの金属送水管(4c、4c’)で接続される。フレームハウジング要素(6)は、フランジ適合要素(8a、8b)及びメディエータ部(9)を用いて容器(7)に機械的に接続され、メディエータ部(9)は、これらの部品を2つの対応するクリップ(9a、9b)でそれぞれ取り付ける。送水管エントリ要素(4、4’)は、適合フランジ要素(8a)にコネクタ金属要素(4b)で機械的に接続される。
【0054】
クリップ(9a、9b)は、プラズマエッチングプロセスとMAG溶接プロセスとの間の相互妨害及び望ましくないクロストークを効率的に除去し最小化するために、溶接スポットに近接してプラズマを操作する磁場をシフトダウンするように特別に構成されている。MAG溶接及びプラズマ源装置(1、2)の中央部は、対応するフレーム部(6a、6b)の内側に埋め込まれ、それらの底縁部側部品は、縁部底部(7)の下方の部品(7b)及び(7a)の内側に埋め込まれている。MAG溶接トーチ及びプラズマ源装置の機能的出口は、それらの対応する出口(2d、1d)に位置付けられる。アセンブリ全体は、複数のねじ(6a’)、(6b’)及び(9a’)と共に機械的に保持される。
【0055】
その上側において、MAG溶着装置(2)は、円形のベース要素アセンブリ(2c)に挿入され、円形の対応するフランジ要素(2b)が取り付けられており、これはベース要素(2c)の上部にネジ留めされ、フレーム部(6b)に対し、MAG溶接装置の垂直位置の修正を可能にする。ベース要素アセンブリ(2c)は、円形フランジ要素(2e)を用いてフレーム部(6b)に接続される。アセンブリ全体は、複数のねじ(6b’)で関連するフレーム部(6b)にロックされる。フレーム部(6)アセンブリは、プラズマ源装置(1)及びMAG溶接装置(2)支持し、それらを2つの異なる方向に沿って更に整列させ、溶接幾何学的点で一致するようにそれらのターゲットを更に任意選択的に調整する。
【0056】
プレッシャフットモジュール(3)は、管形状ベース要素(5)を用いて、プラズマ源アセンブリ部(1b)に接続される。ベース要素(5)は、2つのフランジ(5a、5b)を用いてプラズマ源アセンブリ(1)の上側に接続され、2つのフランジ(5a、5b)は、2つのねじ(5a’、5b’)で管形状の上側に機械的にロックされる。プレッシャフット装置は、ベース支持要素(3a)を用いてベース要素(5)に接続され、ベース支持要素(3a)は、フットプレッシャ装置ハンドル部を保持するように構成された回転軸要素(3a’)を更に備える。フットプレッシャハンドルは、複数の可撓性継手(3b’、3d’)と相互接続された複数のアセンブリ(3b)~(3e)を備え、アクセル(axel)部(3a’)に取り付けられ、それを中心に回転することができる。この設計により、溶接された金属板の頂面に対するフットプレッシャ縁部(3g、3g’)とその垂直位置との角度を更に変更することができる。図1Bの斜視側面図画像で示されるプレッシャフット装置のフット要素は、2本のフィンガ(3g)及び(3g’)の形状を有し、これらは長方形の金属板要素(3h)を用いてそれらの縁部で接続されている。このプレッシャフットモジュールによって、溶接された金属板上部に有効圧力を加えること、並びに更に2枚の溶接された金属板の間に位置する溶接スポットへの、溶接装置トーチ及びプラズマ源出力の開放性自由空間の通過の両方が可能になる。フットフィンガ(3g)及び(3g’)は、フランジ要素(3f’)を用いてベース部(3f)に接続され、そのベース部(3f)は、メディエータのフランジ要素(3e’)を用いてハンドル部要素(3e)に接続される。本発明の別の実施形態では、フランジ要素(3e’)は、フットプレッシャ要素が、対応するハンドル部に対して垂直平面の周りを回転することを可能にするアクセルを含む。最後に、フットプレッシャ要素のこの設計により、ワークピース金属板、溶接トーチ、及びプラズマ源に対するフットプレッシャの配向及び高さを修正することが可能となる。加えて、金属板を含む金属製ワークピースに圧力を選択的に加えることも可能になる。
【0057】
図1Cは、本発明の別の好ましい実施形態におけるスポット溶接装置(100’)の側面図を示す。図1Dは、図1Cに例示したスポット溶接装置の側面斜視拡大画像を示す。このセットアップでは、スポット溶接装置は、溶接された金属板(10a、10b)に孔を形成するためのプラズマ源装置(1)の入口及び関連アダプタと、溶接された作業箇所を保護する不活性又は半不活性ガスで遮蔽するための溶接トーチ及びガス源を含むMAG溶接装置(2)の入口及び関連アダプタと、を備える。このセットアップでは、スポット溶接装置(100’)は、図1A図1Bに示すように、フットプレッシャなしで板の溶接を実施する。図1Cに示すように、スポット溶接装置は、ロボット処理アーム、車両、又は別の搬送手段と機械的に接続されたスポット溶接装置にキャリアを取り付ける「U字型」ハンドル部を備える特定の設計で、キャリアフレーム部(5)と組み立てられる。U字型ハンドル部は、3つの要素(5e、5f、5g)からなり、その上側において、対応するねじ(5b’)によって機械的に取り付けられるフランジ要素(5b)によって要素(5e)を用いてMAG溶接アダプタ(2)に取り付けられる。底部側では、別のフランジ要素(5h)に接続され、別のねじ(5i)で取り付けられる要素(5g)で接続される。ハンドル部は、その一方の側で、2つの要素(5d、5c)を備える外部ロボットアームにねじ(5c’)で取り付けられ、「U字型」ハンドル部の遠位側に取り付けられる。
【0058】
図2Aは、一緒に溶接される上下平行金属板(10a、10b)と共にフットプレッシャモジュール(3)の構成の断面図を示す。この図では、金属板は、厚さ、h、セパレーション内部/中間垂直セパレーションギャップDを有し、Fは、金属板平面に対して垂直方向にプレッシャフット装置によって加えられる力ベクトルの方向である。図2Bは、フットプレッシャ装置(3)を用いた上下の予め溶接された金属板(10a、10b)と共にフットプレッシャモジュール(3)の構成を示し、(D、D)は、加圧力あり及び加圧力なしの垂直セパレーションギャップである。このモデルは、平行な金属板が、図に示されていない特定の接触点(複数可)、線、又は平面で一緒に機械的に保持されると仮定する。
【0059】
図2Bはまた、外力F、及び関連する圧力を加えることによって、2枚の金属板が一緒に曲げられ、垂直セパレーションギャップとしてもマークされる中間距離は、それぞれDからDに変更されることを示している。したがって、十分に高い圧力及び力Fでは、スポット溶接プロセスに必要とされる、より小さい垂直セパレーションギャップD>Dに到達することができる。十分に高い機械的圧力を加えることが非常に重要であり、加圧力が十分に高くない場合、金属板MAGhtの望ましくない歪みが結果として生じ、スポット溶接プロセスの品質及び又は完全性を損なう場合がある。
【0060】
以下では、「円形形状」及び/又は「線形ステッチ」形状溶接構造のためのスポット溶接装置について、特にMAG溶接及びプラズマ装置、並びにロボット搬送手段について、いくつかの構成及びタイミングシーケンスの詳細な説明が提供される。対応する溶接プロセスの構成及びタイミングシーケンスは、本発明の範囲を限定することなく、本発明のいくつかの好ましい実施形態における添付図面を参照した実施例である。更に、プロセスシーケンスは、以下のガイドライン規則に従って設計される。
・プラズマ源装置は、プロセスの開始時にある。
・1つの動作の終了及び1つの特定の装置は、別の開始と完全に同期される必要はなく、対応する次に続く動作及び関連装置に遅延又は進行することができる。
【0061】
図3Aは、本発明の1つの好ましい実施形態における「円形形状」スポット溶接構造のためのスポット溶接装置セットアップの正面図を示す。このスポット溶接装置は、この図には示されていない、プラズマ源(1)、溶接MAG(2)及びフットプレッシャ(3)装置を備える。この構成では、MAG及びプラズマ源の軸は、互いに溶接される2枚の平行な金属板間である垂直ギャップの中心で一致するように配置される。このギャップはまた、溶接スポットの幾何学的位置(11)でもある。プラズマ装置(1)及びMAG(2)はまた、溶接金属にMAGが導入される孔の完全な形成のために、その長手方向回転軸を中心に回転するように構成されてもよい。特に、その軸を中心としたプラズマ装置の回転は、孔の所望の寸法及びアスペクト比を確保し、残屑及び残渣を廃棄し、MAGの回転がプラズマによって最初に作り出された溶接孔の完全な充填を達成するために使用される縁部を平滑化することを確実にする。
【0062】
図3Bは、溶接MAG及びプラズマ源装置の溶接プロセスタイミングシーケンスのグラフを示す。
【0063】
このようなタイミングシーケンスは、「円形形状」スポット溶接構造のために設計され、ロボットキャリア及び制御システムで実行され、以下の工程を含む。
・プラズマ源装置は、T0でオンにされる。
・プラズマ源装置は、T_Plasmaの時間動作期間にわたって、2枚の隣接した垂直に離間された金属板の上部金属板(10a)の上面において、又はn枚の隣接する垂直に離間した金属板(10a~10n)のn-1枚の上部金属板を通じて、又は複数の金属板を含む金属積層体全体を通じて、開口部を形成する。
・MAG溶接装置は、T0+ΔT1でオンにされ、ΔT1は、プラズマに対する対応する時間遅延である。
・MAG溶接装置プロセスは、T_MAGの時間動作期間にわたって、孔及びギャップを溶接材料で充填する。
【0064】
シーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを、上記で詳述したアルゴリズムによって最適化して、きれいで強力かつ信頼性の高い溶接を提供する。
【0065】
更に、MAG溶接装置は、充填及びスポット完全性及び強度を改善するか、又は大きなスポット領域を覆うように、プラズマ軸の周りを回転するように構成されている。
【0066】
図4Aは、本発明の別の好ましい実施形態における「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置セットアップの側面図を示す。スポット溶接装置は、この図には示されていないプラズマ源及びMAG溶接装置(1)、(2)並びにフットプレッシャ装置(3)を備える。溶接された金属製ワークピースは、GAPとしてマークされた垂直セパレーションギャップによって離間された関連する幅(h、h)を有する少なくとも2枚の金属板(10a、10b)を備える。この構成では、溶接スポット装置は、車両又は2枚の金属板に対して垂直方向に沿った任意の他の搬送手段上の速度Vで移動するロボットアームによって搬送される。本発明の更なる実施形態では、プラズマ及びMAGの軸は、任意選択的な離間距離(12)、Δで配置され、それらの対応するスポットは、2枚の平行な予め溶接された金属板間の垂直ギャップの中心に、それぞれ幾何学的位置(12a、12b)に位置する。したがって、それらは、それらの位置の幾何学的形状に起因して、同じ溶接点で交わる。溶接ステッチ形成は、線形ステッチ幾何学的形状を形成する、連続する逐次的な一連の溶接スポットとして考えることができる。この目的を達成するために、搬送手段は、キャリアロボットアーム又は車両搬送手段を備え、これは、対応する垂直線形ステッチ線に沿って、2枚の溶接された金属板に対してスポット溶接装置を搬送する。
【0067】
図4Bは、MAG溶接及びプラズマ源装置の溶接プロセスタイミングシーケンス並びに溶接シーム方向に沿ったロボットキャリアの速度/速さVの対応するグラフを示す。「線形ステッチ」溶接構造のために設計された溶接MAG及びプラズマ源装置の溶接プロセスタイミングシーケンスは、図4Bに示される以下の工程を含む。
・ロボット/システムは、所望の始点の上に位置する。
・プラズマ源装置は、T0でT_Plasmaの期間にわたってオンにされる。
・プラズマ源装置は、上面(10a)に、又は2枚以上の(more then two)金属板の場合、複数の金属板を含む金属積層体(10a~10n)を通じて、開口部を形成する。
・MAG溶接装置は、T1=T0+ΔT1でオンにされ、T_MAGの時間にわたって動作し、ここでΔT1は、TV0としてもマークされる、プラズマに対する時間遅延である。
・MAG溶接装置は、開口部及びギャップを溶接材料で充填する。
・ロボットは、時間遅延ΔT1後に、シーム軌道に沿って移動し、T_Motionの時間にわたって動作する。
・プラズマ源及びMAG溶接装置は動作し続け、プラズマ源装置は、溶接軌道に沿ってMAG溶接装置を導く。
・プラズマ源装置は、終点に到達すると停止する。
・MAG溶接装置及びロボットは、MAG溶接装置が終点に位置付けられ、ロボットが差分距離Δを移動するまで、時間Tendにわたって移動し続け、更に充填し続ける。
・シーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを、アルゴリズムによって最適化して、きれいで強力かつ信頼性の高い溶接を提供する。
【0068】
本発明の更なる好ましい実施形態では、以下の同期規則のうちの1つ又は複数(one or e several)、及び上記で詳述した異なる時間スケール間の対応する関係が、溶接プロセスシーケンス及び関連する装置に適用され得る。
i.ΔT1=TV0=TM0。
ii.T_MAG=T_Motion。
iii.T_MAG=T_Plasma。
iv.T_Plasma=T_Motion。
v.T_Plasma+Tend=T_MAG+TV0。
vi.T_Plasma+Tend=T_Motion+TM0。
【0069】
図4Cは、「線形ステッチ」形状溶接構造のスポット溶接装置のセットアップの別の任意の図の側面図を示す。スポット溶接装置は、画像に示されていないプラズマ源及びMAG溶接装置(1)、(2)並びにフットプレッシャ装置(3)を備える。溶接された金属製ワークピースは、(GAP)、...(GAPn-1)としてマークされた関連する垂直セパレーションギャップによって離間された関連する幅(h)、(h~h)を有する少なくとも2枚の金属板(10a)、(10b~10n)の積層体を含む。この構成では、プラズマ及びMAG装置の軸は、横方向距離(d)によって離間され、それらの関連する軸は、角度によって離間される(a、プラズマとMAGとの間の実際の角度は90°-aである)。スポット間の金属板の任意選択的な離間距離(12)、つまりΔは、幾何学的位置(12a、12b)に位置し、それぞれ任意選択的に2枚の平行な予め溶接された金属板(10a)と(10b~10n)との間の垂直ギャップの中心に位置する。この構成では、溶接スポット装置は、金属板に対して垂直方向に沿って車両又は他の任意の搬送手段によって速度Vで搬送される。搬送手段は、キャリアロボットアーム又は車両搬送手段を含み、これは、対応する垂直線形ステッチ線に沿って、溶接スポット装置を2枚の溶接された金属板に対して搬送する。
【0070】
図4Dは、溶接シーム方向に沿った溶接MAG及びプラズマ源装置の溶接プロセスタイミングシーケンス、並びにキャリアロボット速度/速さVの対応するグラフを示す。溶接プロセスのタイミングシーケンスは、図4Dに示すように、「線形ステッチ」溶接構造のために設計され、以下の工程を含む。ロボット/システムが所望の始点の上方に位置する。
・プラズマ源装置は、T0でオンにされ、T_Plasmaの時間にわたって動作する
・ロボットは、シーム軌道に沿ってT0+TVOで移動し始め、T_Motionの時間にわたって動作し、TVOは、プラズマのターンオン時間に対するロボット移動の遅延時間である。グラフ及び関連するシーケンスは、TVO=0のある特定の場合を表す。
・プラズマ源装置は、上部金属板(10a)の上面に、又は2枚以上の金属板の場合には、複数枚の金属板(10a~10n)を含む金属板の積層体を通じて、開口孔を形成する。
・MAG溶接装置は、T1でオンにされ、T_MAGの時間にわたって動作し、ここで、ΔT1は、プラズマターンオン動作時間に対するMAGターンオン時間の遅延時間、すなわち、T1=T0+ΔT1である。
・MAG溶接装置は、開口部及びギャップを溶接材料で充填する。
・プラズマ源装置及びMAG溶接装置は動作し続け、プラズマ源装置は、溶接軌道に沿ってMAG溶接装置を導く。
・プラズマ源装置は、終点に到達すると停止する。
・MAG溶接装置及びロボットは、時間Tendを超えて更に移動し続け、MAG溶接装置が終点に位置付けられるまで、ロボットが差分Δの長手方向直径を有する線形ステッチ軌道を移動するまで、充填し続ける。
・シーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを、アルゴリズムによって最適化して、きれいで強力かつ信頼性の高い溶接を提供する。
【0071】
本発明の更なる好ましい実施形態では、上記で詳述した異なる時間スケール間の以下の同期関係規則のうちの1つ又は複数を、溶接プロセスシーケンスに強いる/適用することができる。
i.T1=T0+ΔT1。
ii.T_MAG=T_Plasma。
iii.T_Plasma+Tend=T_MAG+ΔT1。
iv.T_Plasma+Tend=T_Motion。
v.TVO=0
【0072】
MAG溶接及びプラズマ装置のための「ライナーステッチ」構造に関する動的スポット溶接及び関連状態を図4E図4Fに示す。図4Eに示すスポット溶接構成は、図4Cに示されるものと同様である。
【0073】
図4Gは、MAG溶接及びプラズマ源装置の溶接プロセスタイミングシーケンス並びに溶接シーム方向に沿ったキャリアロボットの速度/速さVの対応するグラフを示す。このシーケンスは、図4Dに示される「線形ステッチ」溶接構造のために設計され、以下の工程を含む。
・ロボット/システムは、所望の始点の上に位置する。
・プラズマは、T0でオンにされる。
・プラズマは、T_Plasmaの時間動作期間にわたって金属板に開口部を形成する、
・ロボットは、T_Motionの時間動作期間にわたって、時間T2でシーム軌道に沿って移動する。
・MAGは、T1=T0+ΔT1でオンにされ、T_MAGの時間動作期間にわたって動作し、ΔT1は、プラズマターンオン動作時間に対するMAGターンオン時間の遅延時間であり、主に、ワークピース上のMAGとプラズマ接触点との間の離間距離である、d、及びまたロボット速度Vにも依存する。
・MAG装置は、開口部及びギャップを溶接材料で充填する。
・プラズマ及びMAGは、軌道に沿って動作し続ける(プラズマがMAGを先導する)。
・プラズマは、終点に到達すると停止する。
・MAG及びロボットは、ロボットがdの距離を移動し、MAGが終点に位置付けられるまで移動及び充填を継続する。
・シーケンス、タイミング、電力入力、及びプロセスパラメータを、アルゴリズムによって最適化して、きれいで強力な溶接を提供する。
【0074】
本発明の更なる好ましい実施形態では、以前の異なる時間スケール間の以下の関係のうちの1つ又は複数を、溶接プロセスシーケンスに強いる/適用することができる。
i.ΔT1=T_Plasma+T_Motion。
ii.T2=T0+Plasma。
【0075】
本発明の更なる実施形態では、MAG又はプラズマは、充填及びスポット完全性及び強度を改善するか、又は大きなスポット領域を覆うように、ステッチ軸線に沿って振動するように構成されている。本発明のまた更なる実施形態では、MAG溶接装置は、「線形ステッチ」溶接構造のために設計された構成で、プラズマ軸の周りを回転して、充填及びスポット完全性及び強度を改善するか、又は大きなスポット領域を覆うように構成されている。本発明の更なる実施形態では、MAG溶接装置は、溶接シームに沿って速度Vで移動しながら、プラズマ軸に対して垂直方向周り又はプラズマ軸に平行ではない別の軸の周りを、ある周波数で回転するように構成されている。
【0076】
本発明の別の特定の実施形態では、プロセスは、磁場を利用して、MAGとプラズマアークとの間の相互作用を最小化し、プロセスを安定化させることができる。
【0077】
「円形スポット」溶接構造用に設計された本発明の別の実施形態では、MAG溶接及び/又はプラズマ源装置の両方が溶接スポットの周りを回転するように構成され、それらの軸は、溶接されるべき2枚の平行な隣接する金属板間の垂直ギャップの中心で一致するように位置付けられている。関連構成は、図5A図5Bに提示される。
【0078】
図5A図5Bは、シールドガス源を含む溶接プロセスシーケンスの対応するタイミンググラフと共に、溶接スポットの周りの溶接MAG及びプラズマ源装置の両方に回転運動が適用されるスポット溶接セットアップの正面図を示す。この構成は、「円形形状スポット」溶接構造用に設計されている。図5Aは、MAG溶接装置が振幅半径R及び特定の周波数で回転する構成を示し、ここでプラズマ装置は、同じ周波数で反対の位相で振幅半径Rで回転する。溶接プロセスのタイミングシーケンスは、図5Bに示され、以下の工程を含む。
・MAGシールドガスは、T=0でプロセスの開始時にオンにされ、T=T2の溶接プロセスサイクル全体にわたってこの状態に維持される。
・プラズマ源装置は、T0でオンにされ、1回又は複数回の回転サイクルにおいて、上部金属板の上面に開口部を形成する。
・プラズマ源装置は、時間T0+Δでオフにされ、Δは、プラズマ源装置の回転サイクル時間である。
・MAG溶接装置は、時間T1でオンにされ、1回又は複数回の回転サイクルにおいて、上部金属板の上面の開口部に溶接を形成する。
・MAG溶接装置は、時間T1+Δでオフにされ、ここでΔは、プラズマ源装置の回転サイクル時間である。
【0079】
本発明の更なる実施形態では、MAG溶接装置及び「線形ステッチ」形状溶接構造のための図5A図5Bに示されたものと同様の構成タイミングシーケンスを有するプラズマ装置の両方に回転運動が適用される。本発明の一実施形態では、MAG装置溶接ヘッドは、異なる幾何学的スポット形状を有するスポットを生成するための様々な幾何学的形状で構成されている。本発明の更なる実施形態では、MAG及びプラズマヘッドは、同じスポット又は連続するスポットの周りで同時に回転するように構成され、プラズマ源は、異なる方向に関して又は異なる方向に沿って溶接シームに沿って横方向に移動することができる。
【0080】
スポット溶接法を実証するために、2つの異なる位置に沿った2枚の金属クーポン/板は、金属板の縁部の近くにある。図6A図6Bは、金属板の縁部に近い2つの異なる位置(13、13’)でスポット溶接法によって溶接された2つの金属クーポン/板サンプル(10a、10b)の上面及び側面斜視図画像を示す。円形溶接スポットは、これらの画像に示される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図3A
図3B
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5A
図5B
図6A
図6B