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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電力制御システムおよび電力制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 3/38 20060101AFI20240702BHJP
   H02J 7/35 20060101ALI20240702BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H02J3/38 130
H02J7/35 K
H02J3/32
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020571216
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(86)【国際出願番号】 JP2020004165
(87)【国際公開番号】W WO2020162461
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2023-01-18
(31)【優先権主張番号】P 2019018719
(32)【優先日】2019-02-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100131705
【弁理士】
【氏名又は名称】新山 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】奈須野 善之
(72)【発明者】
【氏名】森 治也
【審査官】杉田 恵一
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-293930(JP,A)
【文献】特開2002-374629(JP,A)
【文献】特開2012-130096(JP,A)
【文献】特開2017-108475(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0015703(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0072287(US,A1)
【文献】国際公開第2017/179178(WO,A1)
【文献】池上貴志,片岡和人,岩船由美子,萩本和彦,逆潮流電力制約下における太陽光発電導入住宅での蓄電池の充放電運用手法の評価,電気学会論文誌C,日本,一般社団法人電気学会,2013年10月01日,Vol.113, No.10,pp.1884-1896
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/38
H02J 7/35
H02J 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発電装置が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、単一の需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する監視部と、
前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力を抑制し、前記第1閾値は、前記電力系統に対する逆潮流が発生しないような値に設定される、出力制御部と、
前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力により、蓄電池に対する充電を行い、前記第2閾値は、前記蓄電池に対する充電を行ったからといって、購入電力が発生しないような値に設定される、蓄電制御部と、
前記電力系統が停電した場合に、前記発電装置を電力系統から切り離す切替部と、
前記電力系統が停電した場合に、前記発電装置の出力する発電電力を、前記蓄電池に適合する電圧に変換して出力する変換部と、
前記電力系統が停電した場合に、前記変換部が出力する変換後の発電電力を前記蓄電池に対して供給するための供給経路を形成することにより、前記蓄電池に対する充電を行う経路管理部と、
を備える
電力制御システム。
【請求項2】
発電装置が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、単一の需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する監視部と、
前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力を抑制し、前記第1閾値は、前記電力系統に対する逆潮流が発生しないような値に設定される、出力制御部と、
前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力により、蓄電池に対する充電を行い、前記第2閾値は、前記蓄電池に対する充電を行ったからといって、購入電力が発生しないような値に設定される、蓄電制御部と、
前記発電装置の出力する発電電力を負荷機器に対して供給するパワーコンディショナと、
前記電力系統が停電した場合に、前記パワーコンディショナが前記負荷機器に対して供給する発電電力を前記蓄電池に適合する電圧に変換して出力する変換部と、
前記電力系統が停電した場合に、前記変換部が出力する変換後の発電電力を前記蓄電池に対して供給するための供給経路を形成することにより、前記蓄電池に対する充電を行う経路管理部と、
を備る電力制御システム。
【請求項3】
前記電力系統が停電した場合に、前記発電装置の出力する交流の発電電力を直流に変換し、該変換後の発電電力を前記変換部に対して出力する整流部を更に備える、
請求項1又は2に記載の電力制御システム。
【請求項4】
前記経路管理部は、前記蓄電池の蓄電量が所定量以上となった場合に、前記供給経路を遮断することにより、前記蓄電池に対する充電を停止する、
請求項1又は2に記載の電力制御システム。
【請求項5】
前記監視部が監視対象とする前記発電電力量および前記監視部が監視対象とする前記購入電力量のいずれか又は双方を予測する予測部を更に備える、
請求項1~のいずれか1項に記載の電力制御システム。
【請求項6】
前記予測部は、気象情報を取得し、該取得した気象情報に基づいて、前記監視部が監視対象とする前記発電電力量および前記監視部が監視対象とする前記購入電力量のいずれか又は双方を予測する、
請求項に記載の電力制御システム。
【請求項7】
電力制御システムが実行する電力制御方法であって、
監視部が、発電装置が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、単一の需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する監視工程と、
出力制御部が、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力を抑制し、前記第1閾値は、前記電力系統に対する逆潮流が発生しないような値に設定される、出力制御工程と、
蓄電制御部が、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力により、蓄電池に対する充電を行い、前記第2閾値は、前記蓄電池に対する充電を行ったからといって、購入電力が発生しないような値に設定される、蓄電制御工程と、
切替部が、前記電力系統が停電した場合に、前記発電装置を電力系統から切り離す切替工程と、
変換部が、前記電力系統が停電した場合に、前記発電装置の出力する発電電力を、前記蓄電池に適合する電圧に変換して出力する変換工程と、
経路管理装置が、前記電力系統が停電した場合に、前記変換部が出力する変換後の発電電力を前記蓄電池に対して供給するための供給経路を形成することにより、前記蓄電池に対する充電を行う経路管理工程と、
を含む
電力制御方法。
【請求項8】
電力制御システムが実行する電力制御方法であって、
監視部が、発電装置が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、単一の需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する監視工程と、
出力制御部が、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力を抑制し、前記第1閾値は、前記電力系統に対する逆潮流が発生しないような値に設定される、出力制御工程と、
蓄電制御部が、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力により、蓄電池に対する充電を行い、前記第2閾値は、前記蓄電池に対する充電を行ったからといって、購入電力が発生しないような値に設定される、蓄電制御工程と、
パワーコンディショナが、前記発電装置の出力する発電電力を負荷機器に対して供給するパワーコンディショナ工程と、
変換部が、前記電力系統が停電した場合に、前記パワーコンディショナが前記負荷機器に対して供給する発電電力を前記蓄電池に適合する電圧に変換して出力する変換工程と、
経路管理部が、前記電力系統が停電した場合に、前記変換部が出力する変換後の発電電力を前記蓄電池に対して供給するための供給経路を形成することにより、前記蓄電池に対する充電を行う経路管理工程と、
を含む
電力制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力制御システムおよび電力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーを用いた発電装置は、電力会社のみならず、一般需要者にも広く普及している。例えば、再生可能エネルギーとして、太陽光を用いる場合、一般需要者であるユーザは、自身の敷地内の建築物の屋根等に太陽光発電装置を設置する。そして、ユーザは、太陽光発電装置により発電される発電電力により、自身が利用する負荷機器を稼動させる。
【0003】
また場合により、ユーザは、自身で消費しきれない発電電力の余剰分を電力系統に逆潮流させることにより、電力会社に売電をすることができる。
しかしながら、電力会社との契約条件等によっては、地域の送配電網の安定化のために、電力系統への逆潮流に関して出力制限を受ける場合がある。あるいは、電力会社との契約条件等によっては、電力系統への逆潮流が一切認められない場合もある。
【0004】
このような場合、電力会社との契約条件等を満たすために、逆潮流を防止する構成とする必要がある。例えば、逆電力継電器であるRPR(Reverse Power Relay)センサを受電点に配置し、RPRセンサの検出値が制限値を越えると発電装置を全停止させる構成とする必要がある。あるいは、例えば、消費電力と発電電力との差分を監視し、差分が所定の値より小さくなった場合に、発電装置用のパワーコンディショナにより、発電電力の出力を抑制する構成とする必要がある。このような構成とするための技術は、例えば、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2012-130096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示の技術等の従来の技術では、発電装置を全停止したり、発電装置の出力を抑制したりするため、本来利用できるはずであった再生可能エネルギーの一部が無駄となる。そのため、需要家にとって損失が発生してしまう。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものである。そして、その目的は、再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力を、より有効に活用するための、電力制御システムおよび電力制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電力制御システムは、発電装置が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する監視部と、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力を抑制する出力制御部と、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力により、蓄電池に対する充電を行う蓄電制御部と、を備える。
【0009】
本発明に係る電力制御方法は、電力制御システムが実行する電力制御方法であって、監視部が、発電装置が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する監視工程と、出力制御部が、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力を抑制する出力制御工程と、蓄電制御部が、前記監視部の監視結果に基づいて、前記購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、前記発電装置の出力する発電電力により、蓄電池に対する充電を行う蓄電制御工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力を、より有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る電力制御システムの全体構成の一例を示すブロック図である。
図2】本発明の一実施形態に係る蓄電制御装置の構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係るクラウドサーバの構成の一例を示すブロック図である。
図4】本発明の一実施形態において、停電時に発電電力の供給経路を切り替えるための構成要素を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係る電力制御システムが実行する、動作処理の流れを説明するフローチャートである。
図6】本発明の一実施形態において、停電時に発電電力の供給経路を切り替えるための構成要素の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施形態の一例について説明する。
[システム構成]
図1は、本実施形態に係る電力制御システムSの全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、電力制御システムSは、太陽光発電装置11、発電装置用パワーコンディショナ12、蓄電池21、蓄電池用パワーコンディショナ22、負荷機器30、蓄電制御装置40、電力系統51、需要家側配線52、クラウドサーバ60、外部サーバ70、および管理端末80を含む。なお、図中では「パワーコンディショナ」を「PCS」と表記する。
【0013】
ここで、太陽光発電装置11、発電装置用パワーコンディショナ12、蓄電池21、蓄電池用パワーコンディショナ22、負荷機器30、および蓄電制御装置40は、例えば、需要家の敷地内に設置して利用される。ここで、需要家は、例えば、工場等を運営する事業者であってもよいし、住宅を利用する一般ユーザであってもよい。
【0014】
この需要家の敷地内には、電力系統51と電力系統連系型で接続された需要家側配線52が敷設される。そして、太陽光発電装置11、発電装置用パワーコンディショナ12、蓄電池21、蓄電池用パワーコンディショナ22、負荷機器30、および蓄電制御装置40は、この需要家側配線52のAC端に並列接続され、太陽光発電装置11が発電した発電電力あるいは電力系統51を介して電力会社から購入した購入電力の供給を受けて駆動する。
【0015】
ここで、以下の説明の前提として、需要家は、電力会社との契約により、電力系統51への逆潮流に関して出力制限を受けていることを想定する。なお、本実施形態では、再生可能エネルギーとして、太陽光を用いて発電を行う場合を想定するが、これは説明のための一例に過ぎない。本実施形態は、風力、水力、地熱、およびバイオマス等の、太陽光以外の再生可能エネルギーを用いて発電を行う場合にも適用することができる。
【0016】
クラウドサーバ60および外部サーバ70は、電力制御システムSの運営事業者により利用される。
管理端末80は、電力制御システムSの運営事業者あるいは需要家により利用される。
【0017】
これら電力制御システムSに含まれる各機器は、ネットワークNを介して相互に通信可能に接続される。この各機器の間での通信は、任意の通信方式に準拠して行われてよく、その通信方式は特に限定されない。また、各機器の間での通信は、ネットワークNを介することなく機器同士で直接行われてもよい。例えば、蓄電制御装置40と、需要家側配線52に接続される他の各機器との通信は、図示を省略した信号線を用いて直接行われてもよい。
【0018】
このような構成を有する電力制御システムSは、太陽光発電装置11が再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力量と、需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを監視する。また、電力制御システムSは、監視結果に基づいて、購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、太陽光発電装置11の出力する発電電力を抑制する。更に、電力制御システムSは、監視結果に基づいて、購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、太陽光発電装置11の出力する発電電力により、蓄電池21に対する充電を行う。
【0019】
そのため、電力制御システムSによれば、購入電力が減少した場合に逆潮流を防止するために発電電力を抑制する処理に先立って、蓄電池21に対する充電を行うことができる。従って、電力制御システムSによれば、本来利用できるはずであった再生可能エネルギーの一部が無駄となる、という上述した課題を解決することができる。また、これに伴い需要家にとって損失が発生することを防止することができる。
すなわち、電力制御システムSによれば、再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力を、より有効に活用することができる。
【0020】
次に、電力制御システムSに含まれる各機器について詳細に説明をする。
太陽光発電装置11は、太陽光の光エネルギーを、光起電力効果により電力に変換することによって発電を行う装置である。太陽光発電装置11は、例えば、太陽電池モジュールを直列につなげた太陽電池ストリングを1つの回線とし、それぞれの回線を接続箱に接続することにより、各太陽電池モジュールにより発電した直流電流を1つにまとめる。この1つにまとめられた直流電流は、接続箱内の逆流防止用のダイオードおよび開閉器等を介して、発電装置用パワーコンディショナ12に対して出力される。
【0021】
発電装置用パワーコンディショナ12は、太陽光発電装置11から出力される直流電流を、施設や住居等で一般に用いられる交流電流に変換するインバータを含む。発電装置用パワーコンディショナ12が変換した交流電流は、蓄電池用パワーコンディショナ22、負荷機器30および蓄電制御装置40に対して供給される。
【0022】
蓄電池21は、電力を蓄電する二次電池である。蓄電池用パワーコンディショナ22が蓄電池21に蓄電をすることにより、例えば、停電の際に負荷機器30を使用したり、昼間に発電された余剰電力を夜間に使用したりすることが可能となる。また、単価の安い夜間電力を充電して昼間に使用することが可能となる。
例えば、本実施形態では、上述したように、購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、太陽光発電装置11の出力する発電電力により、蓄電池21に対する充電が行われる。これにより、発電電力を、より有効に活用することができる。
【0023】
蓄電池用パワーコンディショナ22は、蓄電池21に蓄えられていた直流電流を、住居等で一般に用いられる交流電流に変換するインバータを含む。蓄電池用パワーコンディショナ22が変換した交流電流は負荷機器30および蓄電制御装置40に対して供給される。
なお、本実施形態では、発電装置用パワーコンディショナ12と蓄電池用パワーコンディショナ22とは、太陽光発電装置11と蓄電池21とに対応して、別体として設けられているが、これに限定されるものでない。例えば、太陽光発電装置11と蓄電池21とに対応する1台のハイブリッド型パワーコンディショナで、発電装置用パワーコンディショナ12と蓄電池用パワーコンディショナ22とを実現するようにしてもよい。
【0024】
負荷機器30は、太陽光発電装置11が発電した電力、および電力会社から購入(すなわち、買電)した電力によって稼働する複数の電気機器を含む。負荷機器30に含まれる電気機器は特に限定されず、例えば、工場で稼働する各種機械やエアコン、あるいは、冷蔵庫、テレビ、および電気給湯器(例えば、エコキュート)等の電気機器が負荷機器30に含まれる。
【0025】
蓄電制御装置40は、クラウドサーバ60が監視結果に基づいて決定した制御設定に基づいて、発電装置用パワーコンディショナ12を制御することにより、太陽光発電装置11の出力する発電電力を抑制する。また、蓄電制御装置40は、クラウドサーバ60が監視結果に基づいて決定した制御設定に基づいて、蓄電池用パワーコンディショナ22を制御することにより、太陽光発電装置11の出力する発電電力により、蓄電池21に対する充電を行う。
【0026】
また、蓄電制御装置40は、太陽光発電装置11の運用に関する各種の実績情報を収集する。蓄電制御装置40は、例えば、発電装置用パワーコンディショナ12を介して、太陽光発電装置11の発電電力量の実績を収集する。また、蓄電制御装置40は、蓄電池21、負荷機器30、および蓄電制御装置40に供給される電力を監視することにより、電力消費量の実績を収集する。更に、蓄電制御装置40は、電力系統を監視することにより、購入電力量(すなわち、買電量)の実績を収集する。
蓄電制御装置40は、このようにして収集した実績情報を、クラウドサーバ60に対して送信する。
【0027】
クラウドサーバ60は、蓄電制御装置40から受信した実績情報や、後述の外部サーバ70から取得した気象情報を分析することにより、太陽光発電装置11が太陽光を利用して発電する発電電力量と、需要家が電力系統を介して購入する購入電力量とを予測する。そして、クラウドサーバ60は、予測結果を監視し、監視結果に基づいて、購入電力量が第1閾値を下回ると判定された場合に、太陽光発電装置11の出力する発電電力を抑制するための制御設定を、蓄電制御装置40に対して送信する。更に、クラウドサーバ60は、監視結果に基づいて、購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定された場合に、太陽光発電装置11の出力する発電電力により、蓄電池21に対する充電を行うための制御設定を、蓄電制御装置40に対して送信する。
【0028】
すなわち、本実施形態では、発電電力量と、購入電力量とを予測しておくことにより、適切なタイミングで、太陽光発電装置11の出力する発電電力を抑制したり、蓄電池21に対する充電したりすることができる。これにより、適切なタイミングで行われる制御によって、発電電力を有効に活用することができる。
なお、これら蓄電制御装置40およびクラウドサーバ60の更なる詳細については、図2および図3を参照して後述する。
【0029】
外部サーバ70は、気象情報を提供するサーバである。外部サーバ70は、太陽光発電装置11が設置された地域の気象情報を、クラウドサーバ60に対して送信する。外部サーバ70は、例えば、気象庁等が運用するものであってもよい。あるいは、電力制御システムSの運営事業者自身や、この運営事業者と提携する事業者が運用するものであってもよい。
【0030】
管理端末80は、クラウドサーバ60を管理するための端末である。電力制御システムSの運営事業者あるいは需要家は、管理端末80を利用することにより、クラウドサーバ60の記憶する、電力量の実績情報や電力量の予測結果等を参照することができる。また、運営事業者あるいは需要家は、管理端末80を利用することにより、需要家が利用する各機器に関する情報(例えば、太陽光発電装置11の機種や設置された太陽光パネルの数)や、電力会社との契約条件等の情報を、クラウドサーバ60に登録および更新することができる。更に、管理端末80を利用することにより、第1閾値や第2閾値を設定したり、これらの閾値を決定する基準等を適宜変更したりすることができる。
【0031】
ネットワークNは、例えば、インターネット、LAN(Local Area Network)、および携帯電話網の何れかまたはこれらを組み合わせたネットワークにより実現される。
【0032】
以上、電力制御システムSに含まれる各機器について説明をした。なお、図中では、各機器を1台ずつ図示しているがこれは例示に過ぎず、電力制御システムSには、これら各機器が任意の台数含まれていてよい。また、需要家側配線52には、図1に図示をした構成要素以外に、停電時に発電電力の供給経路を切り替えるための構成要素も接続されるが、これらの構成要素については、図4を参照して後述する。
【0033】
[蓄電制御装置の構成]
次に、蓄電制御装置40の構成について、図2のブロック図を参照して説明をする。図2に示すように、蓄電制御装置40は、CPU(Central Processing Unit)41と、ROM(Read Only Memory)42と、RAM(Random Access Memory)43と、通信部44と、記憶部45と、入力部46と、表示部47と、を備えている。これら各部は、信号線によりバス接続されており、相互に信号を送受する。
【0034】
CPU41は、ROM42に記録されているプログラム、または、記憶部45からRAM43にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM43には、CPU41が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0035】
通信部44は、CPU41が、電力制御システムSに含まれる他の装置との間で通信を行うための通信制御を行う。
記憶部45は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、各種データを記憶する。
【0036】
入力部46は、各種ボタンおよびタッチパネル、またはマウスおよびキーボード等の外部入力装置で構成され、ユーザの指示操作に応じて各種情報を入力する。
表示部47は、液晶ディスプレイ等で構成され、CPU41が出力する画像データに対応する画像を表示する。
【0037】
また、蓄電制御装置40が本実施形態特有の動作処理を行う場合、図2に示すように、CPU41において、実績情報収集部411と、出力制御部412と、蓄電制御部413とが機能する。
また、記憶部15の一領域には、実績情報記憶部451と、制御設定記憶部452とが設定される。
【0038】
実績情報記憶部451は、後述の実績情報収集部411が収集した、太陽光発電装置11の運用に関する各種の実績情報を記憶する。
制御設定記憶部452は、クラウドサーバ60から受信した制御設定を記憶する。
【0039】
実績情報収集部411は、太陽光発電装置11の運用に関する各種の実績情報を収集する部分である。実績情報収集部411は、例えば発電装置用パワーコンディショナ12を介して、太陽光発電装置11の発電電力量の実績を収集する。また、実績情報収集部411は、蓄電池21、負荷機器30、および蓄電制御装置40に供給される電力を監視することにより、電力消費量の実績を収集する。更に、実績情報収集部411は、電力系統を監視することにより、購入電力量の実績を収集する。
【0040】
なお、実績情報収集部411は、電力を計測する住居内の電力計、または電力会社の設置したスマートメータから実績情報を取得してもよい。また、実績情報収集部411は、HEMS(Home Energy Management System)に接続し、HEMSから実績情報を収集してもよい。更に、実績情報収集部411は、負荷機器30に含まれる電気機器から、ECHONET Lite(登録商標)等の規格に準拠した通信により、実績情報を収集してもよい。
【0041】
あるいは、実績情報収集部411が、例えば、固定コイルと可動コイルの組からなる電力計としての機能を更に備えていてもよい。そして、実績情報収集部411は、この電力計の機能によって実績情報収集部411自身が計測を実行することにより、実績情報を取得してもよい。
【0042】
実績情報収集部411は、収集した実績情報を、実績情報記憶部451に記憶させる。また、実績情報収集部411は、51に記憶させた実績情報を、太陽光発電装置11の識別情報と紐付けた上で、所定の条件に基づいてクラウドサーバ60に対して送信する部分である。例えば、実績情報送信部112は、実績情報を、所定の時間間隔でクラウドサーバ60に対して送信する。
なお、実績情報のクラウドサーバ60への送信は、このように実績情報収集部411により行われてもよいがこれに限らない。例えば、蓄電制御装置40以外の各機器(太陽光発電装置11等)から、実績情報収集部411を介することなく、直接クラウドサーバ60に対して実績情報が送信されてもよい。
【0043】
出力制御部412は、制御設定記憶部452が記憶する制御設定に基づいて、発電装置用パワーコンディショナ12を制御することにより、太陽光発電装置11の出力する発電電力を抑制する。
【0044】
蓄電制御部413は、制御設定記憶部452が記憶する制御設定に基づいて、蓄電池用パワーコンディショナ22を制御することにより、太陽光発電装置11の出力する発電電力により、蓄電池21に対する充電を行う。これらの制御設定は、上述したようにクラウドサーバ60が監視結果や、所定の閾値に基づいて決定した制御設定である。
【0045】
[クラウドサーバ60の構成]
次に、クラウドサーバ60の構成について、図3のブロック図を参照して説明をする。図3に示すように、クラウドサーバ60は、CPU61と、ROM62と、RAM63と、通信部64と、記憶部65と、入力部66と、表示部67と、を備えている。これら各部は、信号線によりバス接続されており、相互に信号を送受する。
【0046】
ここで、これら各部のハードウェアとしての機能は、上述の蓄電制御装置40が備える、符号のみが異なる同名の各部のハードウェアとしての機能と同等である。従って、重複する説明を省略する。
【0047】
また、クラウドサーバ60が本実施形態特有の動作処理を行う場合、図3に示すように、CPU61において、電力量予測部611と、監視部612と、経路管理部613とが機能する。
また、記憶部65の一領域には、実績情報記憶部651と、気象情報記憶部652と、電力量予測記憶部653とが設定される。
【0048】
実績情報記憶部651は、蓄電制御装置40から受信した各種の実績情報や、管理端末80から取得した、需要家が利用する各機器に関する情報や、電力会社との契約条件等の情報を記憶する。
【0049】
気象情報記憶部652は、外部サーバ70から受信した気象情報を記憶する。気象情報は、太陽光発電装置11が設置された地域の気象情報であり、例えば、天気、日照時間、日照量、温度、および湿度等の情報である。また、気象情報は、気象庁等の専門機関により予測された未来の気象情報を含む。例えば、現在から未来の一週間後までの気象情報であって、30分毎の予測値を含む。また、未来の気象情報と、過去の気象情報との比較を行うために、過去の気象情報が含まれていてもよい。
【0050】
電力量予測記憶部653は、後述の電力量予測部611が予測した電力量を記憶する。例えば、太陽光発電装置11が太陽光を利用して発電する発電電力量と、需要家が電力系統を介して購入する購入電力量であって、30分毎の予測値を記憶する。
【0051】
電力量予測部611は、上記のように、電力量として、例えば、太陽光発電装置11が太陽光を利用して発電する発電電力量と、需要家が電力系統を介して購入する購入電力量であって、30分毎の予測値を予測する。予測は、実績情報記憶部651に記憶されている実績情報等の情報と、気象情報記憶部652に記憶されている気象情報に基づいて行われる。
【0052】
例えば、太陽光発電の場合、日照量や気温等の気象に依存して発電量は変化する。例えば、日照量との相関関係がもっとも強く、日照量が多くなるにつれて発電量が増加する。また、温度が高くなるにつれて発電量が減少する。すなわち、日射量が多く、気温が低い時にもっとも発電量が多くなる。また、気温が高い場合であっても、風が強いと太陽電池モジュールの温度が多少下がるので、その分だけ、発電量が増加する。そこで、電力量予測部611は、例えば、未来の或る時間帯についての発電量を予測する場合、その未来の或る時間帯の日照量や気温や風況の予測値と、太陽光発電装置11の機種や設置された太陽光パネルの数等の情報に基づいて、その未来の或る時間帯についての発電量を予測する。
【0053】
他にも、例えば、風力発電の場合、発電量は、風況に依存して変化する。そこで、電力量予測部611は、例えば、風の強さ、一定以上の強さの風が吹いている時間の長さ等の予測値に基づいて、発電量の予測値を予測する。
【0054】
また、太陽光発電や風力発電の何れの場合についても、太陽光パネルの設置角度および設置方位等の設置状態の違いにより、発電量が変わる。そのため、同一の太陽光発電装置11であって、同一の気象情報であっても発電量に違いが出る。そこで、過去の発電量をもとにした予測を更に行うようにすると、より予測の精度を向上させることができる。この場合、電力量予測部611は、例えば、未来の或る時間帯についての発電量を予測する場合、その未来の或る時間帯の日照量や気温や風況の予測値と似通っている過去の時間帯の発電量を、その未来の或る時間帯の発電量の予測値とする。
なお、太陽光や風力以外の、他の再生可能エネルギーを利用して発電する場合についても、その再生可能エネルギーの発電量と相関関係のある気象情報の予測値に基づくことにより、発電量の予測値を予測することができる。
【0055】
また、購入電力量の予測値は、需要家の消費する電力量の予測値(すなわち、電力需要の予測値)から、発電量の予測値を減算することにより算出することができる。なぜなら、この減算後の電力量とは、発電では不足するため購入する必要が生じる電力量だからである。
ここで、需要家の消費する電力量は、負荷構成の違いにより様々な傾向を示すので、過去の消費した電力量に基づいて予測する。そのために、電力量予測部611は、需要家の過去の消費電力量の統計に基づいて、需要家の消費する電力量の予測を行う。例えば、未来の或る時間帯と、同時間帯の需要家の過去の消費電力量の平均値を、この未来の或る時間帯の需要家の消費する電力量の予測値とする。
【0056】
この場合に、気象情報や工場の操業情報をもとにした予測を更に行うようにすると、より予測の精度を向上させることができる。例えば、冬場気温が低い時は、暖房需要増加に伴い消費電菱量が増加する。これは、工場であっても、住宅であっても同じ傾向となる。この場合、電力量予測部611は、例えば、未来の或る時間帯の気温の予測値に基づいて需要家の過去の消費電力量の統計を補正することにより、需要家の消費する電力量を予測することができる。
【0057】
電力量予測部611は、このようにして予測した、発電電力量と購入電力量の予測値であって、例えば、30分毎の予測値を電力量予測記憶部653に記憶させる。
【0058】
監視部612は、電力量予測部611が予測して、電力量予測記憶部653に記憶させた、発電電力量と購入電力量の予測値を監視する。そして、監視部612は、監視結果に基づいて、発電電力量が出力を抑制すべき量を超えており、購入電力量が第1閾値を下回ると判定される時間帯がある場合には、その時間帯に太陽光発電装置11の出力する発電電力を抑制するための制御設定生成し、蓄電制御装置40に対して送信する。
【0059】
また、監視部612は、監視結果に基づいて、発電電力量がゼロではなく、購入電力量が前記第1閾値よりも大きな閾値である第2閾値を下回ると判定される時間帯がある場合には、その時間帯に太陽光発電装置11の出力する発電電力により、蓄電池21に対する充電を行うための制御設定生成し、蓄電制御装置40に対して送信する。
【0060】
なお、この第1閾値は、電力系統51に対する逆潮流が発生しないような値に設定される。また、この第2閾値は、蓄電池21に対する充電を行ったからといって、購入電力が発生しないような値に設定される。例えば、これらの閾値は、本実施形態を実装する環境等に応じて、電力制御システムSの運営事業者により設定される。
【0061】
経路管理部613は、電力系統51が停電した場合に、需要家側配線52に接続された各機器への発電電力の供給経路を切り替える。このような停電時の切り替えを行う理由について説明をする。
本実施形態では、電力系統51に電力会社から電力が供給されている通常の状態を前提としている。しかしながら、一般的に、電力系統が停電した場合は、エネルギー発電設備および蓄電池設備を解列する(すなわち、切り離すか、または停止する)ことが義務づけられている。これは、送配電網の修理時における修理担当者の感電等の災害を防ぐためである。
【0062】
従って、本実施形態においても、停電時は、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51から切り離す必要がある。しかしながら、仮に、太陽光発電装置11および蓄電池21が、電力系統51を介してしか接続されていない場合、蓄電池21を再充電する術がなくなってしまう。そこで、本実施形態では、電力系統51が停電した場合に、需要家側配線52に接続された各機器間の経路を切り替えることにより、蓄電池21を再充電することを可能とする。
【0063】
このような、停電時に発電電力の供給経路を切り替えるための構成要素について図4を参照して後述する。図4に示すように、本実施形態は、供給経路を切り替えるための構成要素として、第1切替部91、整流部92、電圧変換部93、第2切替部94、および第3切替部95を含む。これらは、経路管理部613の制御に基づいて、供給経路の切り替えを実現する。
【0064】
前提として、通常時(すなわち、非停電時)は、上述したように、太陽光発電装置11が太陽光を利用して発電した発電電力は、第1切替部91、発電装置用パワーコンディショナ12、需要家側配線52、および第3切替部95を介して、蓄電池用パワーコンディショナ22や、負荷機器30や、蓄電制御装置40に対して供給される。
【0065】
そして、停電が発生した場合、経路管理部613は、第1切替部91、第2切替部94および第3切替部95を切り替えることにより、供給経路の切り替えを実現する。
具体的には、経路管理部613は、第1切替部91を切り替えることにより、太陽光発電装置11が太陽光を利用して発電した発電電力が、整流部92に出力されるようにする。整流部92は、太陽光発電装置11からの発電電力が、交流である場合に設けられる。そして、整流部92は、交流の発電電力を直流に変換し、変換後の発電電力を電圧変換部93に対して出力する。ただし、太陽光発電装置11からの発電電力が、直流である場合には、整流部92を省略することができる。そのため、図中では、整流部92を破線で示す。
電圧変換部93は、直流の発電電力を、蓄電池21に適合する電圧に変換して、第2切替部94に対して出力する。
【0066】
経路管理部613は、第2切替部94を切り替えることにより、電圧変換部93により変換後の発電電力が、蓄電池21に出力されるようにする。これにより、発電電力で蓄電池21を充電することができる。また、経路管理部613は、蓄電池21の蓄電量を監視し、蓄電量が所定量以上となった場合に、第2切替部94を切り替えることにより、第2切替部94を遮断し、電圧変換部93により変換後の発電電力が、蓄電池21に出力されないようにする。これにより蓄電池21が過充電されてしまうことを防止できる。そして、経路管理部613は、蓄電量が再度所定量未満となった場合に、第2切替部94を切り替えることにより、再度充電を行う。
このようにして、経路管理部613が供給経路の切り替えを行うことにより、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51から切り離した状態で、発電電力で蓄電池21を充電できる。
【0067】
また、経路管理部613は、蓄電池用パワーコンディショナ22を制御することにより、蓄電池21に蓄電された蓄電電力が、第3切替部95に出力されるようにする。また、経路管理部613は、第3切替部95を切り替えることにより、蓄電池21に蓄電された蓄電電力が、負荷機器30や蓄電制御装置40に対して供給されるようにする。すなわち、自立経路96として図示した経路にて、蓄電電力が供給されるようにする。
このようにして、経路管理部613が供給経路の切り替えを行うことにより、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51から切り離した状態で、蓄電電力を負荷機器30や蓄電制御装置40に対して供給できる。
【0068】
[動作処理]
以上、蓄電制御装置40およびクラウドサーバ60の構成について詳細に説明をした。次に、図5のフローチャートを参照して、本実施形態が実行する動作処理の流れについて説明する。なお、実績情報収集部411による、クラウドサーバ60に対しての実績情報の送信や、外部サーバ70による、クラウドサーバ60に対しての気象情報の送信や、管理端末80によるクラウドサーバ60に対しての管理は、図5のフローチャートに示す処理と並行して適宜実行される。
【0069】
ステップS11において、電力量予測部611は、発電電力量と購入電力量を予測する。
ステップS12において、監視部612は、ステップS11にて予測された発電電力量と購入電力量の予測値を監視する。
【0070】
ステップS13において、監視部612は、購入電力量が第1閾値や第2閾値を下回るか否かを判定する。購入電力量が第1閾値や第2閾値を下回る場合は、ステップS13においてYesと判定され、処理はステップS14に進む。一方で、購入電力量が第1閾値や第2閾値を下回らない場合は、ステップS13においてNoと判定され、処理はステップS16に進む。
【0071】
ステップS14において、監視部612は、ステップS13での判定結果に応じた制御を行うための制御設定を生成し、この生成した制御設定を蓄電制御装置40に対して送信する。
【0072】
ステップS15において、出力制御部412または蓄電制御部413は、ステップS13にて送信された制御設定に基づいて、発電電力の出力制御または蓄電池21への充電制御を実行する。そして、処理はステップS11に戻って繰り返される。
【0073】
ステップS16において、経路管理部613は、電力系統51に停電が発生したか否かを判定する。電力系統51に停電が発生した場合は、ステップS16においてYesと判定され、処理はステップS17に進む。一方で、電力系統51に停電が発生していない場合は、ステップS16においてNoと判定され、処理はステップS11に戻って繰り返される。
【0074】
ステップS17において、経路管理部613は、第1切替部91および第3切替部95を切り替えることにより、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51から切り離す。
【0075】
ステップS18において、経路管理部613は、蓄電池21の蓄電量が所定量以上か否かを判定する。蓄電量が所定量以上の場合は、ステップS18においてYesと判定され、処理はステップS20に進む。一方で、蓄電量が所定量以上でない場合は、ステップS18においてNoと判定され、処理はステップS19に進む。
【0076】
ステップS19において、経路管理部613は、第2切替部94を切り替えることにより、蓄電池21への充電を行う。
ステップS20において、経路管理部613は、第2切替部94を切り替えることにより、蓄電池21への充電を停止する。
【0077】
ステップS21において、経路管理部613は、電力系統51が停電から復帰したか否かを判定する。電力系統51が停電から復帰した場合は、ステップS21においてYesと判定され、処理はステップS22に進む。一方で、電力系統51が停電から復帰していない場合は、ステップS21においてNoと判定され、処理はステップS18に戻って繰り返される。
【0078】
ステップS22において、経路管理部613は、第1切替部91および第3切替部95を切り替えることにより、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51に再接続する。そして、処理はステップS11に戻って繰り返される。
【0079】
以上説明した動作処理により、本来利用できるはずであった再生可能エネルギーの一部が無駄となる、という上述した課題を解決することができる。また、これに伴い需要家にとって損失が発生することを防止することができる。
また、以上説明した動作処理により、停電時において、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51から切り離した状態で、発電電力で蓄電池21を充電できる。また、太陽光発電装置11および蓄電池21を、電力系統51から切り離した状態で、蓄電電力を負荷機器30や蓄電制御装置40に対して供給できる。
すなわち、停電時に逆潮流を発生させることなく、発電電力により負荷機器30や蓄電制御装置40を駆動させることが可能となる。
つまり、本実施形態である電力制御システムSによれば、再生可能エネルギーを利用して発電する発電電力を、より有効に活用することができる。
【0080】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、この実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、さらに、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略および置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態およびその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲および要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、本発明の実施形態を以下の変形例のように変形してもよい。
【0081】
上述した実施形態において、図4に示すような構成により、経路管理部613による供給経路の切り替えを実現していた。これに限らず、他の構成により、経路管理部613による供給経路の切り替えを実現してもよい。他の構成の一例を、図6に示す。なお、以下の説明では、図4に示す構成と、図6に示す構成の相違点について説明し、共通する点については再度の説明を省略する。
【0082】
図4に示す構成では、電力系統51に停電が発生した場合に、経路管理部613は、第1切替部91を切り替えることにより、太陽光発電装置11を電力系統51から切り離していた。そして、これにより、発電電力が電力系統51に逆潮流することを防止していた。
これに対して、図6に示す構成では、第1切替部91を省略する。そして、電力系統51に停電が発生した場合に、経路管理部613は、発電装置用パワーコンディショナ12を制御することにより、発電電力の出力先を整流部92および負荷機器97へと切り替える。すなわち、自立経路98として図示した経路にて、充電電力が供給されるようにする。このようにして、経路管理部613が供給経路の切り替えを行うことにより、太陽光発電装置11を、電力系統51から切り離した状態で、蓄電電力を負荷機器30や蓄電制御装置40や負荷機器97に対して供給できる。すなわち、図6に示した構成においても、図4に示した構成と同等の効果を奏することが可能となる。
【0083】
なお、発電装置用パワーコンディショナ12の出力は交流であるので、整流部92は必須の構成要素となる。一方で、自立経路98に直接接続される負荷機器97については、省略してもよい。そのため、図中では、負荷機器97を破線で示す。
【0084】
また、他の変形例として、上述した実施形態では、クラウドサーバ60を設け、クラウドサーバ60にて、電力量の予測や、監視に基づく制御設定の生成を行っていた。これに限らず、クラウドサーバ60のこれらの機能の一部または全部を蓄電制御装置40に実装するようにしてもよい。
【0085】
更に、他の変形例として、上述した実施形態で想定したような、電力会社との契約条件により逆潮流に制限が設けられている場合以外に、上述した実施形態を適用するようにしてもよい。例えば、逆潮流による売電が認められているが、その売電価格が低いような場合に、上述した実施形態を適用するようにしてもよい。
あるいは、需要家が、災害時等の対策として、売電よりも蓄電池21を充電することを優先したいような場合に、上述した実施形態を適用するようにしてもよい。例えば、冷凍倉庫を管理する事業者や、畜産業を行う事業者等の災害時での被害が大きくなるような事業者が需要家の場合に、上述した実施形態を適用するようにしてもよい。
【0086】
これら変形例として例示したように、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、上述の実施形態では、クラウドサーバ等の装置により実施形態を実現したが、特にこれに限定されず、情報処理機能を有する電子機器一般で実現することができる。
【0087】
また、上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
換言すると、図2および図3に図示した機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電力制御システムSに備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図5の例に限定されない。
【0088】
例えば、本実施形態に含まれる機能的構成を、演算処理を実行するプロセッサによって実現することができ、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサおよびマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field-Programmable Gate Array)等の処理回路とが組み合わせられたものを含む。
【0089】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークまたは記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0090】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されることによりユーザに提供されてもよく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供されてもよい。装置本体とは別に配布される記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、または光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disc),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini Disc)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている図2のROM42および図3のROM62、または図2の記憶部45および図3の記憶部65に含まれるハードディスク等で構成される。
【0091】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置および複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【符号の説明】
【0092】
11 太陽光発電装置
12 発電装置用パワーコンディショナ
21 蓄電池
22 蓄電池用パワーコンディショナ
30 負荷機器
40 蓄電制御装置
41、61 CPU
42、62 ROM
43、63 RAM
44、64 通信部
45、65 記憶部
46、66 入力部
47、67 表示部
51 電力系統
52 需要家側配線
60 クラウドサーバ
70 外部サーバ
80 管理端末
91 第1切替部
92 整流部
93 電圧変換部
94 第2切替部
95 第3切替部
96、98 自立経路
97 負荷機器
411 実績情報収集部
412 出力制御部
413 蓄電制御部
451 実績情報記憶部
452 制御設定記憶部
611 電力量予測部
612 監視部
613 経路管理部
651 実績情報記憶部
652 気象情報記憶部
653 電力量予測記憶部
S 電力制御システム
N ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6