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特許7513533リポタンパク質Aの形成を減少させるための組成物及び方法、ならびに大動脈弁硬化症及び大動脈弁狭窄症の治療
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  • 特許-リポタンパク質Aの形成を減少させるための組成物及び方法、ならびに大動脈弁硬化症及び大動脈弁狭窄症の治療 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】リポタンパク質Aの形成を減少させるための組成物及び方法、ならびに大動脈弁硬化症及び大動脈弁狭窄症の治療
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240702BHJP
   A61P 9/10 20060101ALI20240702BHJP
   G01N 33/53 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 14/775 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
A61K39/395 N ZNA
A61P9/10
G01N33/53 W
C07K14/775
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020573242
(86)(22)【出願日】2019-07-01
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-04
(86)【国際出願番号】 US2019040196
(87)【国際公開番号】W WO2020010024
(87)【国際公開日】2020-01-09
【審査請求日】2022-07-01
(31)【優先権主張番号】62/693,218
(32)【優先日】2018-07-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/697,353
(32)【優先日】2018-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520464500
【氏名又は名称】アブセントラ,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リアン,バートランド シー.
【審査官】佐々木 大輔
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/083225(WO,A1)
【文献】特表2014-527967(JP,A)
【文献】Current Cardiology Reports,2002年,Vol.4,pp.111-117
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 39/00-39/44
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
FASTA
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アポリポタンパク質B100(ApoB100)の断片に結合することができる抗体又はその抗体断片を含む、大動脈弁硬化症又は大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、その進行を減速する、又はその可能性を低減させることを、それを必要とする対象にて行う方法において使用するための医薬組成物であって、
前記方法は、アポリポタンパク質B100(ApoB100)の断片に結合することができる抗体又はその抗体断片を含む有効量の医薬組成物を対象に投与することを含み、
ApoB100の前記断片は、配列番号1のアミノ酸配列又はその活性部位を含み、
前記抗体又はその抗体断片は、配列番号2の配列を有する重鎖相補性決定領域 1(HCDR 1)、配列番号3の配列を有するHCDR 2及び配列番号4の配列を有するHCDR 3、配列番号5の配列を有する軽鎖相補性決定領域 1(LCDR 1)、配列番号6の配列を有するLCDR 2及び配列番号7の配列を有するLCDR 3を含み、且つ、
前記対象は、大動脈弁硬化症又は大動脈弁狭窄症と診断されている、
前記医薬組成物。
【請求項2】
前記方法が、有効量の前記医薬組成物を投与する前に、高レベルのLp(a)を有する対象を選択することをさらに含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記方法が、前記投与後の対象におけるLp(a)のレベルを測定することをさらに含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記対象が、前記投与後に減少した量のリポタンパク質(a)(Lp(a))を有すると判断される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
ApoB100の前記断片がアルデヒド誘導体である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記抗体が、配列番号8の可変重鎖領域(VH)、配列番号9の可変軽鎖領域(VL)、又はその双方を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記抗体が、配列番号10の重鎖、配列番号11の軽鎖、又はその双方を含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記抗体がオルチクマブである、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、医薬的に許容される担体又は賦形剤をさらに含む、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記対象がヒトであり、前記抗体がオルチクマブであり、且つ、該オルチクマブが約330mg/月の用量で約3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月又は12ヶ月の間皮下投与される、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項11】
オルチクマブが、少なくとも5mg/kgの初回用量と、任意で、それに続く複数回の後続用量であって、それぞれ少なくとも2mg/kg/週、少なくとも2.5mg/kg/2週間、又は少なくとも6mg/kg/月の量で投与される、請求項5記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記抗体又はその抗体断片が、1~10μg/kg、10~100μg/kg、100~500μg/kg、200~500μg/kg、300~500μg/kg、400~500μg/kg、1~5mg/kg、5~10mg/kg、10~15mg/kg、15~20mg/kg、20~25mg/kg、25~50mg/kg、50~75mg/kgで投与される、請求項1記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願には、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる2018年7月2日に出願された米国仮特許出願第62/693,218号及び2018年7月12日に出願された米国仮特許出願第62/697,353号の米国特許法第119条のもとでの優先権の主張が含まれる。
【0002】
配列リストの参照
2019年6月17日に作成された12,288バイトのサイズの「配列表-070017-000029WO00_ST25」という名前のテキストファイルとして2019年7月1日に提出された配列表は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0003】
発明の分野
本発明は、リポタンパク質(a)の形成を減少させるための介入及び治療に関する。
【背景技術】
【0004】
本明細書における刊行物はすべて、各個々の刊行物または特許出願が具体的に且つ個々に参照によって組み込まれることが指示されたかのような同じ程度に参照によって組み込まれる。以下の記載には本発明を理解することにおいて有用であり得る情報が含まれている。本明細書で提供される情報のいずれかが先行技術であること、もしくは現在請求されている発明に関連すること、または具体的にもしくは暗黙的に参照されている刊行物が先行技術であることを認めるものではない。
【0005】
冠状動脈疾患(CAD)は、現在、先進国及び発展途上国における死亡率及び罹患率の最も一般的な原因の1つである。世界人口の約20%がLp(a)の上昇を有しており、これにより、心血管疾患の最も一般的な独立した遺伝的リスクマーカーの1つとなっている。Lp(a)の上昇は、心血管疾患のリスク及び大動脈弁硬化症(AVS)の悪化の加速の双方の一因である。大動脈弁(AV)硬化症(AVS)は、米国で65歳以上の推定4名に1名が罹患しているAV疾患の一形態である。人口の高齢化及び非侵襲的画像のより広範な使用により、AVSの発生率が増加している。AVSは通常は、弁尖の可動域または有意な弁間圧勾配を損なうことなく、大動脈弁尖が石灰化されたものとして定義される。これは、カルシウム沈着から始まる段階的な進行を特徴とし、最終的には左心室からの流出を妨げる大動脈弁狭窄症(AS)に変化し得る。
【0006】
Lp(a)は血漿リポタンパク質であり、コレステロールが豊富で低密度のリポタンパク質(LDL)様の粒子を含み、図1に示すとおり、1分子のアポリポタンパク質B100(ApoB100)及びアポリポタンパク質(a)(apo(a))がジスルフィド結合を介して接着している。Lp(a)及びLDLの構造の明確な違いは、糖タンパク質apo(a)が存在することであり、これは、Lp(a)にその特徴的な特性を付与し、プラスミンの前駆体であるプラスミノーゲン、線維素溶解酵素と構造的に類似している。これにより、Lp(a)がフィブリンならびに内皮細胞及び単球の膜タンパク質に結合できるようになる。Lp(a)の主要な合成部位は、ApoB100も合成する肝細胞である。次に、分泌時に、Apo(a)は血漿LDLと組み立てられ、LDLのApoB100とapo(a)のクリングルIVとの間にジスルフィド結合を形成することによってLp(a)を形成する。アポリポタンパク質(a)遺伝子型のみでも、合成速度及びapo(a)部分のサイズの双方を決定するため、血中濃度の90%を占める。
【0007】
Lp(a)はLDL及びプラスミノーゲンの双方に似ているため、理論によって拘束されることなく、アテローム性動脈硬化症と血栓症との間のリンクとして機能し得ると仮定されている。フィブリン及び細胞膜の表面でのLp(a)の蓄積、ならびにプラスミン生成の阻害は、血管損傷部位でのフィブリン及びコレステロールの沈着に有利に働く。血漿から動脈内膜に移行した後、Lp(a)は、apo(a)及びアポリポタンパク質B成分を介して細胞外マトリックスに結合するため、LDLよりもはるかに多く保持され、アテローム性動脈硬化症のプラークに寄与する。
【0008】
Lp(a)は、コレステロール、LDL、HDL、トリグリセリド、C応答性タンパク質(CRP)などの他の心臓リスク因子とは関連がないため、アテローム性動脈硬化症及び心血管疾患の独立した遺伝的リスクマーカーである。血中のLp(a)レベルに影響を与える要因はほとんどない。その血中レベルは、アポリポタンパク質(a)遺伝子(LPA)の変異を介して遺伝的に決定される。Lp(a)の34の異なるアイソフォームがアポリポタンパク質(a)のサイズに基づいて観察されており、血漿Lp(a)の個体間変動の90%以上がアポリポタンパク質(a)遺伝子に起因し、70%がアポリポタンパク質(a)アイソフォームのサイズに関連している。Lp(a)レベルは、2歳までに得られる。特定の個体における経時的なLp(a)レベルの一貫性が高い場合には、Lp(a)が生活様式の変更または確立された心臓のリスク因子のいずれとも有意な相関関係を有さないことを示している。
【0009】
Lp(a)の上昇は、心血管疾患(CVD)のリスク管理に課題を呈する。世界人口の少なくとも20%が50mg/dLを超えるLp(a)レベルを有することが見出されており、これは、CVDの重大なリスク因子である。実際、近年では、血漿脂質及び他のCVDバイオマーカーの分析のために参照された50万人以上の患者の大規模なデータベースで、24%が50mg/Dlを超えるレベルであることが報告された。特にCVDリスクが高い915名の患者の三次医療センターデータベースでは、29.2%が50mg/dLを超えるレベルを有していた。現在の治療アプローチでは、Lp(a)を低下させることは非常に困難であり、これは、上昇したLp(a)の臨床管理及びCVDにおけるLp(a)の機構的病因の理解に対する障壁となる。
【0010】
Lp(a)の上昇及び酸化リン脂質-apoBレベルは、より速い大動脈弁狭窄症の進行及び大動脈弁置換術の必要性に関連している。いくつかの臨床研究により、Lp(a)及びそれに関連する酸化リン脂質が、石灰化大動脈弁狭窄症(CAVS)の原因となる遺伝的リスク因子であることが明らかになっている。
【0011】
したがって、本発明の目的は、Lp(a)のレベルを低下させるため、及び/または大動脈弁狭窄症、大動脈弁硬化症、もしくはその双方のリスクを治療及び管理するための組成物及び方法を提供することである。
【発明の概要】
【0012】
以下の実施形態及びその態様は、例示的であり、且つ説明に役立つ、範囲を限定するものではないことが意図される組成物及び方法と併せて記載され、説明される。
【0013】
リポタンパク質(a)(Lp(a))の形成を減少させるかまたは阻害することにより、大動脈弁狭窄症または大動脈弁硬化症を治療する、重症度を軽減する、進行を減速するかまたはその可能性を低減することを、それを必要とする対象にて行うための方法が提供される。一実施形態では、この方法は、アポリポタンパク質B100(ApoB100)またはApoB100の断片(例えば、P45;配列番号1)に結合することができる抗体または抗体断片を含む有効量の組成物を対象に投与することを含み、それにより、(LDLの構成要素としての)ApoB100とapo(a)との会合を減少させ、その結果として、Lp(a)の形成を、例えば、約10%、20%、30%、40%または50%低下させる。いくつかの実施形態では、この方法は、有効量の医薬組成物を投与する前に、高レベルのLp(a)を有する対象を選択することをさらに含む。いくつかの実施形態では、この方法は、投与後及び/または投与前の対象におけるLp(a)のレベルを測定することをさらに含む。他の実施形態では、対象は、投与後にリポタンパク質(a)(Lp(a))の量が減少している、投与前にLp(a)の量が増加している、またはその双方であると判断される。いくつかの態様では、抗体または抗体断片の投与後のLp(a)の減少した量またはレベルは、投与前の同じ対象の量に関連するか、あるいは大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症を有していない対象または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症からの治療に成功した対象からの量に関連する。他の態様では、Lp(a)の上昇した量またはレベルは、大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症を有さないか、または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症からの治療に成功した対象の量またはレベルに関連する。
【0014】
対象におけるリポタンパク質(a)(Lp(a))のレベルを低下させるための方法も提供され、この方法には、ApoB100のP45断片に結合することができる抗体または抗体断片を対象に投与することが含まれる。追加の実施形態では、Lp(a)のレベルを低下させるための方法における対象が、投与前に心血管疾患、あるいは大動脈硬化症及び/または狭窄症と診断されるか、またはその症状を示すこととなる。他の実施形態は、Lp(a)のレベルを低下させるための方法を提供し、投与前にLp(a)のレベルが上昇した対象を選択することをさらに含む。この方法の追加の態様には、投与後及び/または投与前の対象におけるLp(a)のレベルを測定することが含まれる。または、対象は、投与後にリポタンパク質(a)(Lp(a))の量が減少していると判断される。
さらなる実施形態は、開示された方法のいずれかにおける抗体または抗体断片は、それぞれ配列番号2、3及び4のHCDR 1(HCDR1)、HCDR 2(HCDR2)及びHCDR 3(HCDR3)の配列からなる群から選択される1つ、2つまたは3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号5、6及び7のLCDR 1(LCDR1)、LCDR 2(LCDR2)及びLCDR 3(LCDR3)の配列からなる群から選択される1つ、2つまたは3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含むものとする。
【0015】
一実施形態では、大動脈弁狭窄症または大動脈弁硬化症を治療する、その重症度を軽減する、その進行を減速する、またはその可能性を低減することを、それを必要とする対象にて行う方法は、有効量のオルチクマブ(BI-204;MLDL 1278A;RG7418、抗-oxLDLとしても知られている)を投与することを含み、これにより、Lp(a)の形成を減少させるかまたは阻害する。
【0016】
アポリポタンパク質(a)と低密度リポタンパク質(LDL)との間の結合を減少させ、リポタンパク質(a)(Lp(a))の形成を阻害する分子または化合物を同定するための方法も提供し、この方法には、目的の分子または化合物をLDL及びアポリポタンパク質(a)の混合物と接触させることと;目的の分子または化合物を含まない混合物と比較して、目的の分子または化合物と混合物との接触が、アポリポタンパク質(a)とLDLとの間の結合の減少、Lp(a)の量の減少、またはその双方をもたらすか否かを判断することと、を含み、アポリポタンパク質(a)とLDLとの間の結合の減少、またはLp(a)の量の減少は、目的の分子または化合物がアポリポタンパク質(a)とLDLとの間の結合を減少させ、Lp(a)の形成を阻害するかまたはLp(a)の量を減少させることを示す。
【0017】
本発明の他の特徴及び利点は、例として本発明の実施形態の種々の特徴を説明している添付の図面と併せて以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0018】
例示的な実施形態は参照される図にて説明されている。本明細書で開示されている実施形態及び図は制約ではなく説明に役立つと見なされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】Manocha A,et al.,Ind J Clin Biochem.31:13(2016)に記載されているリポタンパク質(a)[Lp(a)]の構造を示す概略図である。
図2A】1μMオルチクマブ(BI-204、「BI204」)または100mMイプシロンアミノカプロン酸(EACA)(リジン類似体)の存在下または非存在下で、17kDaアポリポタンパク質(a)を含む50nMフルオレセイン標識LDLの滴定曲線を示す線グラフである。
図2B】100mM ε-アミノカプロン酸(EACA)または抗体なし(「対照」と表示)と比較した、1000nMオルチクマブの存在下での17K apo(a)の滴定を示す線グラフを示す図である。1000nMのオルチクマブまたは100mM EACAの存在下で、蛍光標識LDL(Flu-LDL;50nM)を17K r-apo(a)(0、10、50、100、200、500、または1000nM)と組み合わせた。
図2C】最大1000nMの抗apo(a)ポリクローナル抗体または100mM EACAと比較した、1000nMのオルチクマブの存在下での17K apo(a)の滴定を示す線グラフを示す図である。抗体の非存在下で観察された蛍光は、apo(a)によるFlu-LDL蛍光の消光が最も少ない場合、抗体及びEACAの存在下での蛍光を判断する際の補正係数として使用した。グラフの線は、長方形の双曲線にフィットするデータの非線形回帰を示す。
図3】固定濃度のFlu-LDL及びapo(a)の存在下でのオルチクマブの滴定を示す図である。蛍光標識LDL(Flu-LDL;50nM)を、0、0.064、0.32、1.6、8、40、200、及び1000nMの濃度のオルチクマブ(「BI」)の存在下で17K r-apo(a)(500nM)と組み合わせ、ポリクローナル抗apoB-100(ApoB)抗体を、同じ濃度での陽性対照として使用し、ε-アミノカプロン酸(EACA)も、0、0.0064、0.032、0.16、0.8、4、20、及び100mMでの陽性対照として使用した。Flu-LDLの絶対蛍光値は上の破線で表し、17-K r-apo(a)の消光効果は下の点線で表す。グラフの線は、長方形の双曲線にフィットするデータの非線形回帰を示す。
図4】一定のFlu-LDL及びapo(a)を使用した低濃度での抗体の滴定を示す図である。蛍光標識LDL(Flu-LDL;30nM)を、オルチクマブ(「BI」)の存在下で、濃度0.4096、1.024、2.56、6.4、16、40、及び100nM(図4A)で、17K r-apo(a)(300nM)と組み合わせた。ポリクローナル抗apoB-100(ApoB)抗体を、同じ濃度の陽性対照として使用し、ε-アミノカプロン酸(EACA)は、0.4096、1.024、2.56、6.4、16、40、100mMの陽性対照としても使用した(図4B)。Flu-LDLの絶対蛍光値は上の破線で表し、17K r-apo(a)の消光効果は下の点線で表す。
図5】Flu-LDLに対する抗体の干渉を示す図である。蛍光標識LDL(Flu-LDL;100nM)を、17Kまたは17KΔ7,8のいずれかの0.1、1、10、100、及び1000nMまたは500nMの濃度でオルチクマブ(「BI」)と単独で組み合わせた。Flu-LDLの絶対蛍光値は、点線(標識「Flu-LDLのみ」の横)で示し、17-K r-apo(a)及び17KΔ7,8の消光効果は、それぞれ、一番下(標識「17Kを含む」の横)及び中央(標識「17KΔ7,8を含む」の横)の破線で示す。
図6】Lp(a)共有結合アセンブリの経時的ウエスタンブロットを示す図である。17K r-apo(a)(5nM)を、無血清HEK293細胞馴化培地で100nM LDLとともに、37℃で0時間、2時間、4時間、6時間、及び8時間インキュベートした。共有結合Lp(a)形成の程度を、ウエスタンブロット分析によって評価した。結果は、3つの独立した実験の代表である。
図7】抗体阻害を伴うLp(a)共有結合アセンブリのウエスタンブロットを示す図である。17K r-apo(a)(5nM)を、無血清HEK293細胞馴化培地において100nM LDLとともに、示された濃度の抗apo(a)、抗apoB Abまたはオルチクマブの存在下で、37℃で4時間インキュベートした。共有結合Lp(a)の形成の程度は、ウエスタンブロット分析によって評価した。
図8】他の濃度で抗体を阻害したLp(a)共有結合アセンブリのウエスタンブロットを示す図である。17K r-apo(a)(5nM)を、無血清HEK293細胞馴化培地において100nM LDLとともに、示された濃度のオルチクマブの存在下、37℃で4時間インキュベートした。抗apo(a)抗体は、対照として使用した。共有結合Lp(a)の形成の程度は、ウエスタンブロット分析によって評価した。結果は、3つの独立した実験の代表である。
図9】8時間でのLp(a)共有結合アセンブリのウエスタンブロットを示す図である。17K r-apo(a)(5nM)を、無血清HEK293細胞馴化培地において100nM LDLとともに、示された濃度のオルチクマブの存在下、37℃で0時間または8時間インキュベートした。共有結合Lp(a)の形成の程度は、ウエスタンブロット分析によって評価した。結果は、3つの独立した実験の代表である。図10では、各ウエスタンブロットのバンド強度を定量化した。
図10】様々な濃度のオルチクマブの存在下での共有結合Lp(a)アセンブリの定量化を示す図である。ImageLabソフトウェア(Bio-Rad)を使用して、ウエスタンブロット(8時間のインキュベーションから)のバンド強度を定量化し、%r-Lp(a)を計算した。グラフ及び分析結果は、Prism7.0を使用して生成した。示されているデータは、3回の独立した実験の平均±SDである。は、抗体非含有に対するp<0.05を示す(Tukey事後検定を使用した双方向ANOVA)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本明細書で引用されている参考文献はすべて、まるで完全に記述されたかのように全体として参照によって組み込まれる。特に定義されない限り、本明細書で使用される専門用語及び科学用語は本発明が属する当該技術分野の当業者によって一般に理解されるものと同じ意味を有する。Singleton et al.,Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,3rd ed.,Revised,J.Wiley & Sons(New York,NY,2006);March,Advanced Organic Chemistry Reactions,Mechanisms and Structure,7th ed.,J.Wiley & Sons(New York,NY,2013);及びSambrook and Russel,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,4th ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press(Cold Spring Harbor,NY,2012)は本出願で使用されている用語の多数に対する一般的な指針を当業者に提供する。抗体の調製の仕方の参考文献については、D.Lane,Antibodies:A Laboratory Manual,2nd ed.(Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor NY,2013);Kohler and Milstein(1976),Eur.J.Immunol.6:511;Queen et al.米国特許第5,585,089号;及びRiechmann et al.,Nature,332:323(1988);米国特許第4,946,778号;Bird,Science,242:423-42(1988);Huston et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883(1988);Ward et al.,Nature,334:544-54(1989);Tomlinson I.and Holliger P.(2000)Methods Enzymol,326,461-479;Holliger P.(2005)Nat.Biotechnol.Sep;23(9):1126-36)を参照のこと。
【0021】
当業者は本明細書に記載されているものに類似するまたはそれらと同等である、本発明の実践で使用されてもよい多数の方法及び材料を認識するであろう。実際、本発明は記載されている方法及び材料に決して限定されない。本発明の目的で以下の用語が以下で定義されている。
【0022】
本明細書で使用されるとき、「抗体(単数)」または「抗体(複数)」という用語は、広義であり、ポリクローナル抗体、マウスの、ヒトの、ヒト適応、ヒト化された及びキメラのモノクローナル抗体を含むモノクローナル抗体、抗体断片、二重特異性または多重特異性の抗体、二量体、四量体または多量体の抗体、ならびに単鎖抗体を含む免疫グロブリン分子を含む。
【0023】
免疫グロブリンは重鎖定常領域のアミノ酸配列に応じて5つの主要なクラス、すなわち、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMに割り当てることができる。IgA及びIgGはさらにアイソタイプIgA、IgA、IgG、IgG、IgG及びIgGとして細分される。脊椎動物種の抗体軽鎖はその定常領域のアミノ酸配列に基づいて2つの明瞭に異なる型、すなわち、カッパ(κ)及びラムダ(λ)の一方に割り当てることができる。
【0024】
「抗体断片」という用語は、例えば、重鎖相補性決定領域(HCDR)1、2及び3、軽鎖相補性決定領域(LCDR)1、2及び3、重鎖可変領域(V)または軽鎖可変領域(V)のような重鎖及び/または軽鎖の抗原結合部位を保持する免疫グロブリン分子の一部を指す。抗体断片には、V、V、C及びCHIのドメインからなる一価の断片であるFab断片;ヒンジ領域にてジスルフィド結合によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab)断片;V及びCHIのドメインからなるFd断片;抗体の単一アームのV及びVのドメインからなるFv断片;Vドメインからなるドメイン抗体(dAb)断片(Ward et al(1989)Nature 341:544-546)が含まれる。Vドメイン及びVドメインを操作し、合成リンカーを介して一緒に連結して、V/Vドメインは分子内で対合して、またはVドメインとVドメインが別々の単鎖抗体構築物によって発現される場合、分子間で対合して一価の抗原結合部位、例えば、PCT国際公開番号WO1998/44001、WO1988/01649、WO1994/13804、及びWO1992/01047にて記載された、単鎖Fv(scFv)またはジアボディを形成する、種々の型の単鎖抗体設計を形成することができる。これらの抗体断片は当業者に周知の技法を用いて得られ、断片は完全長抗体と同じ方法で有用性についてスクリーニングされる。
【0025】
抗体可変領域は3つの「抗原結合部位」によって中断される「フレームワーク」領域からなる。抗原結合部位は相補性決定領域(CDR)のような種々の用語を用いて定義されており、Vにおける3つ(HCDR1、HCDR2、HCDR3)及びVにおける3つ(LCDR1、LCDR2、LCDR3)は配列の多様性に基づき(Wu and Kabat J Exp Med 132:211-50,1970;Kabat et al,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.,1991)または「超可変領域」、「HVR」もしくは「HV」、Vにおける3つ(H1、H2、H3)及びVにおける3つ(L1、L2、L3)はChothia及びLesk(Chothia and Lesk Mol Biol 196:901-17,1987)によって定義されたような構造にて超可変である抗体の可変ドメインの領域を指す。他の用語には「IMGT-CDR」(Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003)及び「特異性決定残基利用」(SDRU)(Almagro,Mol Recognit 17:132-43,2004)が含まれる。International ImMunoGeneTics(IMGT)データベースは抗原結合部位の標準化された番号付け及び定義を提供する。CDR、HV、及びIMGTの概要説明の間の対応は、Lefranc et al.,Dev Comparat Immunol 27:55-77,2003に記載されている。
【0026】
「フレームワーク」または「フレームワーク配列」は、抗原結合部位であると定義されたもの以外の可変領域の残りの配列である。抗原結合部位は上記に記載されているように種々の用語によって定義することができるので、フレームワークの正確なアミノ酸配列は、抗原結合部位がどのように定義されたかによって決まる。
【0027】
「ヒト化抗体」は、抗原結合部位が非ヒト種に由来し、可変領域フレームワークがヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体を指す。ヒト化抗体は、フレームワークが発現されたヒト免疫グロブリンまたは生殖細胞系遺伝子配列の正確なコピーではなくてもよいように、フレームワーク領域に置換を含んでもよい。
【0028】
「ヒト適応」抗体または「ヒトフレームワーク適応(HFA)」抗体は、米国特許公開US2009/0118127に記載された方法に従って適応させたヒト化抗体を指す。ヒト適応抗体は、CDR1及びCDR2のループと軽鎖CDR3ループの一部との最大のCDR及びFR類似性、長さ互換性ならびに配列類似性に基づいてアクセプターヒトフレームワークを選択することによってヒト化される。
【0029】
「ヒト抗体」は、フレームワーク及び抗原結合部位の双方がヒト起源の配列に由来する重鎖及び軽鎖の可変領域を有する抗体を指す。抗体が定常領域を含有する場合、定常領域もまたヒト起源の配列に由来する。
【0030】
ヒト抗体は、ヒト起源の配列に「由来する」重鎖または軽鎖の可変領域を含み、抗体の可変領域は、ヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子または再構成された免疫グロブリン遺伝子を使用するシステムから得られる。そのようなシステムには、ファージ上に表示されるヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリー、及び本明細書に記載されているようなヒト免疫グロブリン遺伝子座を保有するマウスのようなトランスジェニック非ヒト動物が含まれる。「ヒト抗体」は、例えば、フレームワークまたは抗原結合部位における天然に存在する体細胞突然変異または置換の意図的な導入のために、ヒト生殖細胞系または再構成された免疫グロブリン配列と比較した場合、アミノ酸の差異を含有してもよい。通常、ヒト抗体は、ヒト生殖細胞系または再構成された免疫グロブリン遺伝子によってコードされるアミノ酸配列とアミノ酸配列で少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%同一である。場合によっては、「ヒト抗体」は、例えば、Knappik et al.,J Mol Biol 296:57-86,2000)に記載されているようなヒトフレームワーク配列分析に由来するコンセンサスフレームワーク配列、または、例えば、Shi et al.,J Mol Biol 397:385-96,2010及びIntl. Pat. Publ.No.WO2009/085462に記載されているようなファージ上に表示されるヒト免疫グロブリン遺伝子ライブラリーに組み込まれた合成HCDR3を含有してもよい。抗原結合部位が非ヒト種に由来する抗体は、ヒト抗体の定義には含まれない。
【0031】
本明細書で使用されるとき「組換え抗体」という用語には、例えば、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックもしくはトランス染色体である動物(例えば、マウス)またはそれから調製されるハイブリドーマ(以下でさらに説明)から単離される抗体、抗体を発現するように形質転換された宿主細胞から単離される抗体、組換えコンビナトリアル抗体ライブラリーから単離される抗体、及びヒト免疫グロブリン遺伝子配列の他のDNA配列に対するスプライシングを含む他の手段によって調製され、発現され、作成されまたは単離される抗体、あるいは二重特異性抗体のようなFabアーム交換を用いて試験管内で生成される抗体のような、組換え手段によって調製され、発現され、作成されまたは単離される抗体すべてが含まれる。
【0032】
本明細書で使用されるとき「モノクローナル抗体」という用語は単一分子組成の抗体分子の調製物を指す。モノクローナル抗体組成物は、特定のエピトープに対して単一の結合特異性及び親和性を示し、または二重特異性モノクローナル抗体の場合、2つの異なるエピトープに対して二重の結合特異性を示す。
【0033】
本明細書で使用されるとき「エピトープ」という用語は抗体が特異的に結合する抗原の一部を意味する。エピトープはふつう、アミノ酸または糖側鎖のような部分の化学的に活性がある(例えば、極性、非極性または疎水性)表面群から成り、特定の3次元構造特性と同様に特定の電荷特性を有することができる。エピトープは立体的な空間単位を形成する隣接する及び/または隣接しないアミノ酸で構成することができる。隣接していないエピトープについては、抗原の線形配列の異なる部分に由来するアミノ酸がタンパク質分子の折り畳みを介して3次元空間にて近接する。
【0034】
本明細書で使用されるとき「変異体」は、1つ以上の修飾、例えば、置換、挿入または欠失によって参照ポリペプチドまたは参照ポリヌクレオチドとは異なるポリペプチドまたはポリヌクレオチドを指す。
【0035】
「投与すること」及び/または「投与する」は本明細書で使用されるとき、医薬組成物を患者に送達するための任意の経路を指す。送達経路には、非侵襲性の経口(口から)、局所(皮膚)、経粘膜(鼻、頬/舌下、膣、眼及び直腸)及び吸入経路、と同様に非経口経路、及び当該技術分野で知られている他の方法が挙げられてもよい。非経口は、眼窩内、注入、動脈内、頚動脈内、被膜内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内、髄腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経気管を含む、一般に注射に関連する送達経路を指す。非経口経路を介して、組成物は、注入用もしくは注射用の溶液もしくは懸濁液の形態、または凍結乾燥粉末としての形態であってもよい。
【0036】
「有益な結果」には、病状の重症度の軽減もしくは緩和、病状の悪化の防止、病状の治癒、病状の発症の防止、病状を発症する患者の機会の低下、及び/または患者の寿命もしくは平均余命の延長が含まれてもよいが、決してこれらに限定されない。いくつかの実施形態では、病状は関節リウマチ、または関節リウマチと加速されたアテローム性動脈硬化症の合併である。
【0037】
本明細書で使用されるとき「有効量」という用語は、本明細書に開示される1つ以上の抗体もしくはペプチド、またはそれらの突然変異体、変異体、類似体もしくは誘導体を含み、疾患または障害の少なくとも1つ以上の症状を減少させるための医薬組成物の量を指し、所望の効果を提供するのに十分な量の薬理学的組成物に関する。本明細書で使用されるとき「治療有効量」という表現は、任意の医療に適用できる合理的な利益/リスクの比率で障害を治療するのに十分な組成物の量を意味する。一実施形態では、医薬(治療用)組成物は、ApoB100に対する抗体を含むか、その抗体からなるか、または本質的にその抗体からなる。様々な実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物はさらに薬学的に許容される担体を含む。いくつかの実施形態では、治療用医薬組成物は、例えば、アテローム性動脈硬化症もしくは血栓症などの心血管疾患、及び/または関連する症状を治療する、阻害する、軽減する、及び/またはその重症度及び/または期間を低減することを、それを必要とする対象にて行うのに使用される。
【0038】
症状の治療上または予防上で有意な軽減は、対照もしくは未治療の対象または本明細書に記載されている組成物を投与する前の対象の状態と比べて、測定されたパラメーターにて、例えば、少なくとも約10%、少なくとも約20%、少なくとも約30%、少なくとも約40%、少なくとも約50%、少なくとも約60%、少なくとも約70%、少なくとも約80%、少なくとも約90%、少なくとも約100%、またはそれ以上である。測定されるまたは測定可能なパラメーターには、臨床的に検出可能な疾患のマーカー、例えば、生体マーカー、と同様に臨床的に認められた症状のスケールあるいは関節リウマチ及び/または加速性アテローム性動脈硬化症のマーカーに関連するパラメーターのレベルの上昇または低下が挙げられる。しかしながら、本明細書で開示されているような組成物及び製剤の合計1日使用量は、合理的な医学的判断の範囲内で主治医によって決定されることが理解されるであろう。求められる正確な量は、治療される疾患の種類、対象の性別、年齢、及び体重のような要因に応じて異なるであろう。
【0039】
「対象」または「個体」または「動物」または「患者」または「哺乳動物」は、診断、予後、または治療が望まれる任意の対象、特に哺乳動物対象を意味する。哺乳動物対象には、ヒト、家畜、農業用動物、動物園動物、スポーツ動物、愛玩動物、例えば、イヌ、ネコ、モルモット、ウサギ、ラット、マウス、ウマ、ウシ、チチウシ;類人猿、サル、オランウータン及びチンパンジーのような霊長類;イヌやオオカミのようなイヌ科動物;ネコ、ライオン及びトラのようなネコ科動物;ウマ、ロバ及びシマウマのようなウマ科動物;ウシ、ブタ及びヒツジのような食用動物;シカやキリンのような有蹄動物;マウス、ラット、ハムスター及びモルモットのようなげっ歯類、等々が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、哺乳動物はヒト対象である。
【0040】
「治療する」、「治療」、「治療すること」、または「改善」という用語は、疾患、障害、または病状に関連して使用される場合、治療上の処置及び予防的または予防上の措置の双方を指し、目的は症状または状態の進行または重症度を予防する、反転する、緩和する、改善する、抑制する、軽減する、減速する、または停止することである。「治療すること」という用語は、状態の少なくとも1つの副作用または症状を軽減するまたは緩和することを含む。1つ以上の症状または臨床マーカーが減少した場合には、治療は一般に「有効」である。あるいは、病状の進行が減速するかまたは停止すれば、治療は「効果的」である。すなわち、「治療」には、症状またはマーカーの改善だけでなく、治療の非存在下で予想される症状の進行または悪化の停止または少なくとも減速も含まれる。また、「治療」は、有益な結果を追求するもしくは得ること、または治療が最終的に上手く行かなくても、個人が状態を発症する可能性を下げることを意味してもよい。治療を必要とする者には、状態を既に持つ者、と同様に状態を有する傾向にある者、または状態を予防する必要がある者が挙げられる。
【0041】
「統計的に有意」または「有意に」という用語は、差異があるという統計的証拠を指す。それは、帰無仮説が実際に真である場合に、帰無仮説を棄却する決定を下す確率として定義される。決定はp値を用いて行われることが多い。
【0042】
「選択的に結合する」または「特異的に結合する」とは、本明細書に記載の抗体またはその抗体断片が、細胞表面に存在する分子などの標的に、K 10-5M(10000nM)以下、例えば、10-6M、10-7M、10-8M、10-9M、10-10M、10-11M、10-12M以下で結合する能力を指す。特異的結合は、例えば、ポリペプチド剤の親和性及び結合力、ならびにポリペプチド剤の濃度によって影響を受け得る。当業者は、好適な細胞結合アッセイにおけるポリペプチド剤の滴定のような任意の好適な方法を用いて、本明細書に記載されているポリペプチド剤が標的を選択的に結合する適切な条件を決定することができる。
【0043】
本明細書で使用される「心血管疾患」は、心臓及び血管の障害を指し、動脈、静脈、細動脈、細静脈、及び毛細血管の障害を指す。心血管疾患の非限定的な例としては、うっ血性心不全、不整脈、心膜炎、急性心筋梗塞、心筋梗塞、冠動脈疾患、冠状動脈性心臓病、虚血性心疾患、心筋症、脳卒中、高血圧性心疾患、心不全、肺性心疾患、虚血性症候群、冠状動脈微小血管疾患、心不整脈、リウマチ性心臓病、大動脈瘤、心房細動、先天性心疾患、心内膜炎、炎症性心臓病、心内膜炎、炎症性心臓肥大、心筋炎、心臓弁膜症、脳血管障害、及び末梢動脈疾患、またはそれらの任意の組み合わせが挙げられる。いくつかの実施形態では、開示された方法によって治療される心血管疾患は、大動脈弁狭窄症または大動脈弁硬化症を含む。
【0044】
「大動脈硬化症」は、カルシウムの沈着及び大動脈壁または大動脈弁の肥厚である。「大動脈弁硬化症」は、通常は心室流出路の閉塞がない場合の、カルシウムの沈着及び大動脈弁の肥厚を指す。臨床的には、大動脈弁硬化症は、大動脈領域でのソフトな駆出性収縮期心雑音、第2心音の正常な分裂、及び正常なボリュームの頸動脈などの症状の存在下で疑われ得るが、心エコー検査によって最もよく検出できる。
【0045】
「大動脈弁狭窄症」とは、狭化した弁口での血流速度の増加を指し、これは左心室流出路閉塞の一般的な原因である。大動脈弁狭窄症の一般的な原因は、石灰沈着性弁膜症であり、次いで先天性大動脈二尖弁である。リウマチ性心臓病の場合の別の一般的な原因。大動脈弁狭窄症はふつう、定期的な心臓検査での収縮期心雑音に基づいて疑われる。以下の所見が存在する場合には、重度の大動脈弁狭窄症の可能性を示し得る。頸動脈への放射線による収縮期心雑音の長期駆出、頸動脈の立ち上がりの遅延;2番目の心音の単一のまたは逆説的な分裂。経胸壁心エコー検査(TTE)は、大動脈弁狭窄症の診断に一般的に使用される。
【0046】
本明細書で使用される「と組み合わせて」という用語は、2つ以上の治療薬を、混合物中一緒に、単剤として同時に、または任意の順序で単剤として順次対象に投与できることを意味する。
【0047】
方法及びシステム
種々の実施形態は、アポリポタンパク質B100(apoB100)の少なくとも1つの断片に結合し、対象のLp(a)のレベルを低下させる抗体または抗体断片を含む医薬組成物を対象に投与することによって、大動脈硬化症(例えば、大動脈弁硬化症)または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、その進行を減速するまたはその可能性を低減することを、対象にて行う方法を提供する。
【0048】
種々の実施形態は、対象、任意により、心血管疾患と診断されているかまたはその症状を示している対象に、アポリポタンパク質B100(apoB100)の少なくとも1つの断片に結合する抗体または抗体断片を含む医薬組成物を投与することを含む、対象にてリポタンパク質(a)(Lp(a))のレベルを低下させる方法を提供する。これらの実施形態のさらなる態様は、対象が大動脈硬化症及び/または大動脈弁狭窄症と診断されているか、またはその症状を示していると定めている。この方法のさらに別の態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することが含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続する場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0049】
種々の実施形態は、本明細書に開示される方法において、apoB100のネイティブの及び/または酸化されたエピトープP45に結合する抗体または抗体断片を提供する。種々の実施形態は、本明細書で開示されている方法における抗体または抗体断片がapoB100のネイティブの及び/または酸化されたエピトープP45のみに結合すると定めている。apoB100のP45はIEIGLEGKGFEPTLEALFGK(配列番号1)のポリペプチド配列を有する。酸化されたエピトープまたは酸化されたリポタンパク質には、リシン及びヒスチジンにマロン-ジ-アルデヒド(MDA)基を運ぶためのエピトープもしくはリポタンパク質の修飾、銅による酸化によって誘導される修飾(例えば、CuOxLDL)、ヒドロキシノネナールを運ぶための修飾、またはアルデヒドのハプテンを運ぶための修飾が含まれるが、これらに限定されない。別の実施形態は、本明細書で開示されている方法における抗体または抗体断片がApoB100の1つ以上の断片にさらに結合すると定めている。
【0050】
ApoB100はP1-P302として同定され得るペプチド断片を含有するが、それは、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願公開番号US/2017/0340702ならびに米国特許第7,468,183号及び同第7,704,499号に記載されているような、隣接するペプチド間で重複するアミノ酸を有する。
【0051】
様々な実施形態は、大動脈硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度またはその可能性を低減することを、対象にて行う方法が、オルチクマブ、あるいはオルチクマブのそれと同一の重鎖及び/または軽鎖を有する、またはオルチクマブのそれと同一の相補性決定領域を有するオルチクマブの変異体を投与することを含むが、これらに限定されないと定めている。
【0052】
種々の実施形態は、対象におけるLp(a)のレベルを低下させる方法が、オルチクマブ、あるいはオルチクマブのそれと同一の重鎖及び/または軽鎖を有する、またはオルチクマブのそれと同一の相補性決定領域を有するオルチクマブの変異体を投与することを含むが、これらに限定されないと定めている。実施形態のさらなる態様は、対象が投与前に大動脈硬化症または大動脈弁狭窄症と診断されるかまたはその症状を示し、投与後に症状が改善することを含み、本方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する対象及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈する対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。
【0053】
オルチクマブは、それぞれ配列番号2、3及び4に記述されるような重鎖相補性決定領域(HCDR)1(HCDR1)、2(HCDR2)及び3(HCDR3)と、それぞれ配列番号5、6及び7に記述されるような軽鎖相補性決定領域(LCDR)1(LCDR1)、2(LCDR2)及び3(LCDR3)とを含有するヒトモノクローナル抗体である。オルチクマブは配列番号8の可変重鎖領域(V)アミノ酸配列、配列番号9の可変軽鎖領域(V)アミノ酸配列を含有する。オルチクマブは配列番号10の重鎖アミノ酸配列、配列番号11の軽鎖アミノ酸配列を含有する。オルチクマブのアミノ酸配列は、WO2009/083225及び米国特許出願公開第US20110014203号にも記載されており、これらは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
HCDR1、すなわち配列番号2はFSNAWMSWVRQAPGである。
【0055】
HCDR2、すなわち配列番号3はSSISVGGHRTYYADSVKGRである。
【0056】
HCDR3、すなわち配列番号4はARIRVGPSGGAFDYである。
【0057】
LCDR1、すなわち配列番号5はCSGSNTNIGKNYVSである。
【0058】
LCDR2、すなわち配列番号6はANSNRPSである。
【0059】
LCDR3、すなわち配列番号7はCASWDASLNGWVである。
【0060】
可変重鎖領域(V)、すなわち配列番号8は示されているとおりである:
【0061】
可変軽鎖領域(V)、すなわち配列番号9は、示されているとおりである:
【0062】
重鎖、すなわち、配列番号10は示されているとおりである:
【0063】
軽鎖、すなわち配列番号11は示されているとおりである:
【0064】
apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含む、大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症を治療するまたはその重症度またはその可能性を低減する、及び/またはLp(a)のレベルを低下させることを、対象にて行う方法が提供され、抗体はそれぞれ配列番号2~7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3の1つ以上を含有しており、任意により、投与前に高レベルのLp(a)を有する対象または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を示す対象を選択することを含む。
【0065】
「HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3の1つ以上」を含有する抗体は、抗体がCDR(すなわち、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3)の1つ、任意の2つ、任意の3つ、任意の4つ、任意の5つまたは6つすべてを含有する実施形態を包含する。本発明の一態様は、抗体オルチクマブの対応するCDRのアミノ酸配列を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含む抗体を提供し;さらに好ましくは、抗体が、抗体オルチクマブの対応するCDRの配列を有する2つまたは3つまたは4つまたは5つのCDRを有する;抗体が抗体オルチクマブの対応するCDRの配列を有する3または4のCDRを有するならば、抗体が抗体オルチクマブの対応するCDRの配列を有する3つの重鎖CDRすべてまたは3つの軽鎖CDRすべてを有することが好ましい;したがって、本発明のこの態様が、抗体オルチクマブの対応する3つの軽鎖CDRの配列を有する3つの軽鎖CDR、または抗体オルチクマブの対応する3つの重鎖CDRの配列を有する3つの重鎖CDRを含む抗体を含む;一層さらに好ましくは、抗体が抗体オルチクマブの対応するCDRの配列を有する3つの軽鎖CDR及び3つの重鎖CDRを含む;抗体が抗体オルチクマブの対応するCDRの配列を有する6つのCDRすべてを含むわけではない場合、1つ、2つ、3つ、4つまたは5つの「非同一」CDRの一部またはすべてが抗体オルチクマブの対応するCDRの配列の変異体(「変異体」によって我々は、変異体が対応するCDRの配列と少なくとも50%の配列同一性、さらに好ましくは少なくとも70%、一層さらに好ましくは少なくとも80%または少なくとも90%または少なくとも95%の配列同一性を有する、最も好ましくは、変異体は、抗体オルチクマブの対応するCDRの配列と96%または97%または98%または99%の配列同一性を有する;通常、「変異体」CDR配列は抗体オルチクマブの対応するCDRの配列と5または4または3または2またはたった1のアミノ酸残基の差異を有するという意味を含む)を含むことが好ましい;且つ、本発明のこの態様は抗体オルチクマブを含むと定めている。例えば、実施形態の一態様は投与される抗体が配列番号2に記述されているようなHCDR1を含有すると定めている。
別の態様は投与される抗体が配列番号3に記述されているようなHCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号4に記述されているようなHCDR3を含有すると定めている。さらに別の態様は投与される抗体が配列番号5に記述されているようなLCDR1を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号6に記述されているようなLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号7に記述されているようなLCDR3を含有すると定めている。さらに別の態様は投与される抗体が配列番号2に記述されているようなHCDR1と配列番号3に記述されているようなHCDR2とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号2に記述されているようなHCDR1と配列番号4に記述されているようなHCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号2に記述されているようなHCDR1と配列番号5に記述されているようなLCDR1とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号2に記述されているようなHCDR1と配列番号6に記述されているようなLCDR2とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号2に記述されているようなHCDR1と配列番号7に記述されているようなLCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号3に記述されているようなHCDR2と配列番号4に記述されているようなHCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号3に記述されているようなHCDR2と配列番号5に記述されているようなLCDR1とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号3に記述されているようなHCDR2と配列番号6に記述されているようなLCDR2とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号3に記述されているようなHCDR2と配列番号7に記述されているようなLCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号4に記述されているようなHCDR3と配列番号5に記述されているようなLCDR1とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号4に記述されているようなHCDR3と配列番号6に記述されているようなLCDR2とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号4に記述されているようなHCDR3と配列番号7に記述されているようなLCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号5に記述されているようなLCDR1と配列番号6に記述されているようなLCDR2とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号5に記述されているようなLCDR1と配列番号7に記述されているようなLCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体が配列番号6に記述されているようなLCDR2と配列番号7に記述されているようなLCDR3とを含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~4に記述されているようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3及び5に記述されているようなHCDR1、HCDR2及びLCDR1を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3及び6に記述されているようなHCDR1、HCDR2及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は、投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4及び5に記述されているようなHCDR1、HCDR3及びLCDR1を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4及び6に記述されているようなHCDR1、HCDR3及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR3及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、5及び6に記述されているようなHCDR1、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、5及び7に記述されているようなHCDR1、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、6及び7に記述されているようなHCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、4及び5に記述されているようなHCDR2、HCDR3及びLCDR1を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、4及び6に記述されているようなHCDR2、HCDR3及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、4及び7に記述されているようなHCDR2、HCDR3及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、5及び6に記述されているようなHCDR2、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、5及び7に記述されているようなHCDR2、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、6、及び7に記述されているようなHCDR2、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号4、5、及び6に記述されているようなHCDR3、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号4、5、及び7に記述されているようなHCDR3、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号4、6、及び7に記述されているようなHCDR3、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号5~7に記述されているようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。さらに別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~5に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3及びLCDR1を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~4及び6に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~4及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3、5及び6に記述されているようなHCDR1、HCDR2、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3、5及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3、6及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4、5及び6に記述されているようなHCDR1、HCDR3、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4、5及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR3、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4、6及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR3、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、5、6及び7に記述されているようなHCDR1、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3~6に記述されているようなHCDR2、HCDR3、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3~5及び7に記述されているようなHCDR2、HCDR3、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、4、6及び7に記述されているようなHCDR2、HCDR3、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3、5、6及び7に記述されているようなHCDR2、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号4、5、6及び7に記述されているようなHCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。さらに別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~6に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1及びLCDR2を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~5及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3、4、6及び7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、3、5~7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2、4~7に記述されているようなHCDR1、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号3~7に記述されているようなHCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。さらに別の態様は投与される抗体がそれぞれ配列番号2~7に記述されているようなHCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2及びLCDR3を含有すると定めている。
【0066】
大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する方法は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体は、配列番号8に記述されているような可変重鎖領域(V)、及びそれぞれ配列番号5~7に記述されているようなLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む可変軽鎖領域(V)を含有すると定めている。この方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続する場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0067】
さらなる態様は、大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、またはその重症度を軽減する方法が、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号9の可変軽鎖領域(V)と、それぞれ配列番号2~4に記述されているようなHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含有する可変重鎖領域(V)とを含有すると定めている。この方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続する場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0068】
本発明のさらに別の態様は、大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の可能性を低減することを、対象にて行う方法が、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号8の可変重鎖領域(V)と配列番号9の可変軽鎖領域(V)とを含有すると定めている。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0069】
大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の可能性を低減する、あるいはLp(a)のレベルを低下させることを、対象にて行う方法が提供され、この方法は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体は、配列番号8に記述されている可変重鎖領域(V)とそれぞれ配列番号5~7に記述されているLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む可変軽鎖領域(V)とを含有する。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。これらの方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0070】
さらなる態様は、大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の可能性を低減することを、対象にて行う方法が、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号9に記述されている可変軽鎖領域(V)とそれぞれ配列番号2~4に記述されているHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む可変重鎖領域(V)とを含有すると定めている。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0071】
本発明のさらに別の態様は、大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を有する可能性を低減することを、対象にて行う方法が、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号8の可変重鎖領域(V)と配列番号9の可変軽鎖領域(V)とを含有すると定めている。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0072】
大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症を治療する、またはその重症度もしくはその可能性を低減する、及び/またはLp(a)のレベルを低下させることを、対象にて行う方法も提供され、この方法は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体は、配列番号10の重鎖とそれぞれ配列番号5~7に記述されているLCDR1、LCDR2及びLCDR3を含む軽鎖とを含有する。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0073】
実施形態のさらなる態様は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号10の重鎖と配列番号9の可変軽鎖領域(V)とを含有すると定めている。実施形態の別の態様は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号11の軽鎖とそれぞれ配列番号2~4に記述されているHCDR1、HCDR2及びHCDR3を含む重鎖とを含有すると定めている。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0074】
さらに別の態様は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号11の軽鎖と配列番号8の可変重鎖領域(V)とを含有すると定めている。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0075】
あるいは、本方法は、apoB100の配列番号1に記述されている断片に結合する有効量の抗体または抗体断片を対象に投与することを含み、抗体が配列番号10の重鎖と配列番号11の軽鎖とを含有する。この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。本方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0076】
患者の選択
実施形態は、Lp(a)の形成を阻害することによって心血管疾患(例えば、大動脈弁狭窄症または大動脈弁硬化症)を治療するための方法が、疾患と診断されているかまたは疾患の症状を示す対象に医薬組成物を投与することを含むことを定めている。
【0077】
この治療方法のさらなる態様は、高レベルのLp(a)を有する及び/または大動脈弁硬化症及び/または大動脈弁狭窄症の症状を呈している対象を特定することまたは選択すること、次いで対象に有効量の抗体または抗体断片を投与することを含む。
【0078】
治療する方法または発症の可能性を低減する方法のいずれかの追加の態様としては、投与後のLp(a)のレベル及び/または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症の症状を定量化することがさらに含まれ、Lp(a)のレベルまたは症状が持続するかまたは現れる場合は、抗体または抗体断片の投与を継続する。
【0079】
いくつかの態様では、抗体または抗体断片の投与後のLp(a)の減少した量またはレベルは、投与前の同じ対象の量に関連するか、あるいは大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症を有していない対象または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症からの治療に成功した対象からの量に関連する。
【0080】
他の態様では、Lp(a)の上昇した量またはレベルは、大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症を有さないか、または大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症からの治療に成功した対象の量またはレベルに関連する。
【0081】
併用療法
いくつかの実施形態は、Lp(a)の形成を阻害するかもしくは低減するための抗体もしくは抗体断片、及び/または本明細書に記載の大動脈弁狭窄症もしくは大動脈弁硬化症の治療における抗体もしくは抗体断片が、冠状動脈疾患(CAD)の既存の治療と併用して使用されると定めている。例えば、大動脈弁狭窄症または大動脈弁硬化症を有する対象を治療するための方法は、任意により、手術(血管形成術及びステント留置術、線維素溶解療法、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)、冠状動脈バイパス移植(CABG)、頸動脈内膜剥離術など)に加えて、有効量の抗ApoB100ならびに有効量の1つ以上のスタチン、抗血小板剤、ベータ遮断薬、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬、及びカルシウムチャネル遮断薬を投与することを含む。
【0082】
抗体または抗体断片を含む医薬組成物は、任意により、Lp(a)の形成を阻害するかまたは低減するための、CADのための1つ、2つ、3つ、またはそれ以上の既存の治療を含み、大動脈弁狭窄症または大動脈弁硬化症の治療において、抗体または抗体の混合物の吸収を増強するために一般的に使用されるアジュバントとともに提供される。種々の実施形態では、本発明による組成物は任意の投与経路を介した送達のために製剤化され得る。「投与経路」は、例えば、エアロゾル、鼻内、経口、経粘膜、経皮、非経口または経腸など、当技術分野で公知である任意の投与経路を指し得る。「非経口」は、眼窩内、注入、動脈内、被膜内、心臓内、皮内、筋肉内、腹腔内、肺内、脊髄内、胸骨内(intrasternal)、髄腔内、子宮内、静脈内、くも膜下、被膜下、皮下、経粘膜、または経気管を含む、一般に注射に関連する投与経路を指す。非経口経路を介して、組成物は、注入用もしくは注射用の溶液もしくは懸濁液の形態、または凍結乾燥粉末としての形態であってもよい。非経口経路を介して注入用もしくは注射用の溶液もしくは懸濁液の形態であってもよい。経腸経路を介して、医薬組成物は、錠剤、ゲルカプセル剤、糖被覆錠剤、シロップ、懸濁液、溶液、粉剤、顆粒剤、エマルション、ミクロスフェアもしくはナノスフェア、または制御放出を可能にする脂質小胞もしくはポリマー小胞の形態であることができる。通常、組成物は注射によって投与される。
【0083】
投与量
一実施形態では、ApoB100の配列番号1断片に結合する抗体または抗体変異体の有効量は、少なくとも4μg/mL、好ましくは少なくとも12μg/mLの血漿濃度を生じる。いくつかの実施形態は、Lp(a)を阻害するかまたは減少させるための組成物が、少なくとも8mgのオルチクマブ/患者のkg(例えば、83kgの平均的なヒト患者に対して664mg)であると定めている。いくつかの実施形態は、Lp(a)を阻害するかまたは減少させるための組成物が、5mgのオルチクマブ/患者のkg(例えば、83kgの平均的なヒト患者に対して415mg)~8mg/kgの間であると定めている。いくつかの実施形態は、上記の投与量での毎月の投与計画でオルチクマブを投与することを提供する。
【0084】
他の実施形態は、2mg/kg/週(83kgの平均的なヒト患者に対して166mg)以上;好ましくは4mg/kg/週(83kgの平均的なヒト患者に対して332mg)で抗ApoB100を毎週投与すると定めている。別の態様では、抗ApoB100または抗apo(a)抗体の組成物は、>2.5mg/kg/2週(例えば、83kgの平均的なヒト患者に対して208mg)にて隔週で投与される。さらに別の態様では、抗ApoB100または抗apo(a)抗体は、約6mg/kg/月(例えば、83kgの平均的なヒト患者に対して498mg)で毎月投与される。例えば、毎月の投薬は12ヵ月間または3ヵ月間実施されてもよい。
【0085】
いくつかの実施形態は、有効量の組成物が、約800~900mg、900~1000mg、1000~1100mg、1100~1200mg、1200~1300mg、1300~1400mg、1400~1500mg、または1500~1600mgの少なくとも初回用量の抗体を含むと定めている。いくつかの態様では、本明細書に記載されている方法における有効量は、約1000~1500mgのオルチクマブの初回用量、続いて2、3、4もしくは5週間毎週投与される、及び/または1、2もしくは3ヵ月間毎月さらに投与される700~900mgの抗体の後続用量を含む。
【0086】
別の例示的実施形態は、ApoB100の配列番号1断片に結合する抗体または抗体断片の段階的漸増用量を提供する。この実施形態では、ApoB100またはapo(a)に対する抗体の単回用量投与の例示的な(出発)用量は0.005~0.01mg/kgの間であり(例えば、静脈内で);単回用量投与で投与される他の例示的な投与量レベルは0.01~0.15mg/kgの間、0.15~0.75mg/kgの間、0.75~2.5mg/kgの間、2.5~7.5mg/kgの間、及び7.5~30mg/kgの間(例えば、静脈内で)である。例えば、単回用量の静脈内投与におけるApoB100またはapo(a)に対する抗体の出発用量は0.007mg/kgであり;他の例示的な投与量は後続の単回用量の静脈内投与における0.05、0.25、1.25、5.0または15.0mg/kgであることができる。別の実施形態では、ApoB100またはapo(a)に対する抗体の単回用量の皮下投与は0.5~5mg/kgの間であり、且つ、複数回用量の皮下投与も0.5~5mg/kgの間である。例えば、1.25mg/kgでのApoB100またはapo(a)に対する抗体が皮下投与される。種々の実施形態では、投与量は各投与の日の特定された時間範囲の範囲内で投与され、複数回用量治療(例えば、4用量、3用量、5用量、または6用量)における各用量は±1日の時間ウインドウで1週間間隔にて投与される。別の例では、ApoB100またはapo(a)に対する抗体は300mg~450mgの間(例えば、360mg)でヒト対象に投与され、任意で300mg~450mgの間(例えば、360mg)でのヒト対象への別の用量がそれに続き、その際、第2の用量は第1の用量から少なくとも70日間(最大91日まで)離す。ApoB100またはapo(a)に対する抗体は、さらに希釈することなく皮下投与での使用のために100~170mg/mL(例えば、150mg/mL)の濃度で製剤化されてもよく、または静脈内点滴のために大容量に希釈されてもよい。
【0087】
さらなる実施形態は、約10~50μg/期間、50~100μg/期間、100~150μg/期間、150~200μg/期間、100~200μg/期間、200~300μg/期間、300~400μg/期間、400~500μg/期間、500~600μg/期間、600~700μg/期間、700~800μg/期間、800~900μg/期間、900~1000μg/期間、1000~1100μg/期間、1100~1200μg/期間、1200~1300μg/期間、1300~1400μg/期間、1400~1500μg/期間、1500~1600μg/期間、1600~1700μg/期間、1700~1800μg/期間、1800~1900μg/期間、1900~2000μg/期間、2000~2100μg/期間、2100~2200μg/期間、2200~2300μg/期間、2300~2400μg/期間、2400~2500μg/期間、2500~2600μg/期間、2600~2700μg/期間、2700~2800μg/期間、2800~2900μg/期間または2900~3000μg/期間の範囲内である有効量の、配列番号1に結合し、且つ配列番号2~11の1つ以上の配列を有する抗体または抗体断片を対象に投与することを含む。期間は、1日、1週間、1ヵ月、または別の長さの時間である。一態様は、抗体(例えば、オルチクマブ)が期間ごとに上述の投与量のいずれかの毎週、隔週、または毎月の頻度で投与されることである。
【0088】
いくつかの実施形態では、方法は、酸化されたLDLの阻害剤(例えば、オルチクマブ)を対象に1~5日間、1~5週間、1~5ヵ月、または1~5年間投与することを含む。例えば、抗体は、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回の用量で対象に投与され、各用量は少なくとも3日、5日、1週間、2週間、1ヵ月、2ヵ月、またはそれらの組み合わせによって区切られる。他の実施形態では、第2の用量は、第1の用量の約2~3週間または約3週間後に投与され、第3の用量は、第1の用量の約5~6週間または約6週間後、等に投与される。別の実施形態では、第2の用量は第1の用量の約2~3ヵ月後、約2ヵ月後、約3ヵ月後または約4ヵ月後に投与され、第3の用量は第1の用量の約4~6ヵ月後、約5~6ヵ月後、約5ヵ月後または約6ヵ月後に投与される。
【0089】
医薬組成物または薬物
種々の実施形態では、本発明は、本明細書に記載の方法で使用するための医薬組成物を提供する。医薬組成物は、ApoB100に対する抗体または抗体断片などのLp(a)の形成を阻害するまたは低減する組成物、及び薬学的に許容される担体を含む。
【0090】
さらなる実施形態は、対象において大動脈弁硬化症もしくは大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度もしくはその可能性を低減する、及び/またはLp(a)のレベルを低下する際に使用するための組成物または医薬品を提供し、薬物の組成物は、上記に開示されているようなApoB100の配列番号1のエピトープに結合する抗oxLDL抗体を投与量(またはバイアル)あたり300mg~400mg、好ましくは約330mgの量にて、任意で薬学的に許容される担体とともにそれぞれ(例えば、対象への毎月の皮下投与のために)1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヵ月以上含有する。他の実施形態は、組成物または薬物が、上記に開示されているようなApoB100の配列番号1のエピトープに結合する抗oxLDL抗体を、1回投与量(またはバイアル)における患者のkgあたり少なくとも5、6、7または8mgのオルチクマブの量で、及び任意で少なくとも2mg/kg/週、少なくとも2.5mg/kg/2週、または少なくとも6mg/kg/月のさらに多い投与量で3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヵ月以上含有すると定めている。さらなる実施形態は、組成物または薬物が、100~170mg/mLの濃度(例えば、150mg/mL)で且つさらに希釈せずに皮下投与で使用するために、または静脈内点滴用に大容量に希釈して使用するために抗体(オルチクマブ等)を含有すると定めている。
【0091】
本明細書で使用されるとき「薬学的に許容される担体」は、対象とする化合物をある組織、器官、または身体の一部から別の組織、器官、または身体の一部に運ぶことまたは輸送することに関与する薬学的に許容される物質、組成物またはビヒクルを指す。例えば、担体は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、溶媒、もしくはカプセル化材料、またはそれらの組み合わせであってもよい。賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶性セルロース、希釈剤、造粒剤、潤滑剤、結合剤、崩壊剤、湿潤剤、乳化剤、着色剤、離型剤、コーティング剤、甘味剤、香味剤、芳香剤、防腐剤、抗酸化剤、可塑剤、ゲル化剤、増粘剤、硬化剤、硬化剤、懸濁剤、界面活性剤、保湿剤、担体、安定剤、及びそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。一般に、担体の各成分は、製剤の他の成分と相溶性でなければならないという点で「薬学的に許容可能」でなければならない。また、接触してもよい組織または器官と接触して使用するのに好適でなければならず、これは、それが毒性、刺激、アレルギー反応、免疫原性、または治療効果を過度に上回る任意のその他の合併症のリスクを伴ってはならないことを意味する。
【0092】
本発明に係る医薬組成物は治療有効量で送達されてもよい。正確な治療有効量は、所与の対象における治療の有効性に関して最も効果的な成績をもたらす組成物の量である。この量は、治療用化合物の特性(活性、薬物動態、薬力学、及び生物学的利用率を含む)、対象の生理学的状態(年齢、性別、疾患の種類及び病期、一般的な体調、所与の投与量に対する応答性、ならびに薬物の種類を含む)、製剤中の薬学的に許容される担体(単数)または担体(複数)の性質、及び投与経路を含むが、これらに限定されない種々の要因に応じて変化するであろう。臨床及び薬理学の当業者は、例えば、化合物の投与に対する対象の応答をモニターし、それに応じて投与量を調整することによって日常的な実験を介して治療有効量を決定することができるであろう。追加の助言については、Remington:The Science and Practice of Pharmacy(Gennaro ed.20th edition,Williams & Wilkins PA,USA)(2000)を参照のこと。
【0093】
方法にて抗体を調製する
いくつかの実施形態では、前述の方法は特定の抗原エピトープに結合する抗体を含み、抗体は1つ以上の定義された配列を含有する。例えば、最新の組換えライブラリー技術を用いて、ネイティブのApoB、酸化されたApoB、またはMDA修飾されたApoBに対する治療用抗体を調製する。マウスハイブリドーマ細胞は大量の同一抗体を産生する一方で、これらの非ヒト抗体は人体によって異物として認識され、その結果、アレルギー反応を誘発することに加えてそれらの有効性及び血漿半減期が低下する。この問題を解決するために、アプローチの1つは、抗体のマウス可変ドメインがヒト定常領域に移され、主にヒトである抗体を生じるキメラ抗体を作成することである。このアプローチのさらなる改良は、抗原と接触したマウス抗体の領域、いわゆる相補性決定領域(CDR)がヒト抗体フレームワークに移され、ヒト化抗体を生じるヒト化抗体を開発することである。別のアプローチは、特定の抗体を生成するための動物の免疫付与に依存しない組換え技術を用いて完全にヒトの抗体を作り出すことである。代わりに、組換えライブラリーは膨大な数の既製の抗体変異体を含み、ライブラリーは任意の抗原に特異的な少なくとも1つの抗体を有する可能性がある。抗体断片が繊維状ファージ粒子の表面上でファージコートタンパク質との融合物として発現され、表示されるファージディスプレイシステムが使用されてもよい一方で、ファージディスプレイシステムは表示された分子をコードする遺伝子情報を同時に運ぶ。特定の抗原に特異的な抗体断片を表示するファージは、問題の抗原に結合することを介して選択されてもよい。次いで、単離されたファージを増幅してもよく、選択した抗体可変ドメインをコードする遺伝子を任意で、例えば、完全長免疫グロブリンのような他の抗体型に移し、当該技術分野で周知の適切なベクター及び宿主細胞を用いて大量に発現させてもよい。ファージ粒子上に表示される抗体特異性の型は異なってもよい。最も一般的に使用される型は双方とも抗体の可変抗原結合ドメインを含有するFab及び単鎖(scFv)である。単鎖型は、柔軟なリンカーを介して可変軽鎖ドメイン(V)に連結された可変重鎖ドメイン(V)で構成される。分析試薬または治療剤として使用する前に、表示された抗体の特異性は、FabまたはscFvのような可溶性型に移行させ、そのように分析される。後の工程では、望ましい特性を有すると同定された抗体断片を、完全長抗体のようなさらに他の型に移行させてもよい。
【0094】
ハイブリドーマを用いた抗体産生
細胞融合は免疫学の分野での当業者に周知の標準的な手順によって達成される。融合相手の細胞株及び融合方法及びハイブリドーマを選択すること及びmAbをスクリーニングすることは当該技術分野で周知である。例えば、これらの参照の内容が参照によって完全に本明細書に組み込まれる、Ausubel,下記、Harlow,下記、及びColligan,下記を参照のこと。
【0095】
抗ApoB100抗体、または抗apo(a)抗体は、抗体を分泌するハイブリドーマまたはトランスフェクトーマの細胞をマウスの腹腔内に注入し、適切な時間の後、高力価のmAbを含有する腹水を採取し、そこからmAbを単離することによって大量に作り出すことができる。非マウスハイブリドーマ(例えば、ラットまたはヒト)によるmAbのそのような生体内産生については、ハイブリドーマ細胞は好ましくは照射されたマウスまたは無胸腺のヌードマウスにおいて増殖させる。あるいは、抗体は、ハイブリドーマまたはトランスフェクトーマの細胞を試験管内で培養し、分泌されたmAbを細胞培養培地から単離する、または真核細胞もしくは原核細胞において組換え的に単離することによって作り出すことができる。
【0096】
抗ApoB100の組換え発現
ApoB100と結合する組換えマウスまたはキメラマウス-ヒトまたはヒト-ヒト抗体は、本明細書で提供されている教示に基づく既知の技術を用いて本発明に従って提供することができる。例えば、Ausubel et al.,eds.Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience,N.Y.(1987,1992,1993);及びSambrook et al.Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)を参照のこと。
【0097】
抗ApoB100抗体または抗apo(a)抗体をコードするDNAは、重鎖定常領域(Hc)、重鎖可変領域(Hc)、軽鎖可変領域(Lv)及び軽鎖定常領域(Lc)のうちの少なくとも1つをコードするゲノムDNAまたはcDNAであることができる。マウスV領域抗原結合セグメントをコードするDNAの供給源として染色体遺伝子断片を使用する代わりの便利な方法は、例えば、Liu et al.((Proc.Natl.Acad.Sci.,USA,84:3439(1987)及びJ.Immunology 139:3521(1987)によって報告されているような、キメラ免疫グロブリン遺伝子の構築にcDNAを使用することである。cDNAの使用は、所望のタンパク質の合成を達成するために、宿主細胞に適切な遺伝子発現要素を遺伝子と組み合わせることを必要とする。cDNA配列の使用は、適切なRNAスプライシングシステムを欠く細菌または他の宿主でcDNA配列を発現させることができるという点で、ゲノム配列(イントロンを含有する)よりも有利である。
【0098】
スクリーニングアッセイ
種々の実施形態は、アポリポタンパク質(a)と低密度リポタンパク質(LDL)との間の結合を減少させ、リポタンパク質(a)(Lp(a))の形成を阻害する分子または化合物を同定するための方法を提供する。本方法は、目的の分子または化合物をLDLとアポリポタンパク質(a)との混合物と接触させることと、目的の分子または化合物と混合物との接触が、目的の分子または化合物を含まない混合物の場合と比較して、アポリポタンパク質(a)とLDLとの間の結合の減少、Lp(a)の量の減少、またはその双方をもたらすか否かを決定することと、を含み、アポリポタンパク質(a)とLDLとの間の結合の減少、またはLp(a)の量の減少は、目的の分子または化合物がアポリポタンパク質(a)とLDLの間の結合を減少させ、且つLp(a)の形成を阻害するかまたはその量を減少させていることを示す。
【0099】
いくつかの実施形態では、分子または化合物は、小分子、ポリペプチド、ペプチド、抗体またはそれらの断片、及び核酸分子からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、目的の分子または化合物は、ApoB100に結合する。
【0100】
さらなる実施形態では、目的の分子または化合物は、大動脈弁硬化症または大動脈弁狭窄症の可能性を低減させるかまたは進行を減速させる。
【0101】
目的の化合物または分子を同定する方法の例示的なアッセイとしては、サンプルからのこれらの生体分子のサイズに基づいて、その構成要素(apo(a)及び/またはLDL)と比較してLp(a)を分離及び定量化するためのウエスタンブロット分析または質量分析、Lp(a)の構成要素の量を定量化するための結合アッセイ、構成要素を蛍光標識し、結合するときの構成要素の物理的近接性の指標としての蛍光シグナルの消光または出現を定量化することが挙げられる。例示的なアッセイのさらなる詳細は、以下の実施例に見ることができる。
【実施例
【0102】
以下の実施例は請求されている発明をさらに良好に説明するため提供されるのであって、本発明の範囲を限定すると解釈されるべきではない。特定の材料が言及されている限りにおいて、それは単に説明を目的とするものであり、本発明を限定することを意図するものではない。当業者は、本発明の能力を行使することなく、且つ本発明の範囲から逸脱することなく、同等の手段または反応物を開発してもよい。
【0103】
実施例1:ApoB100とapo(a)との間の会合を遮断し、それによってLp(a)のアセンブリを阻害する抗体。
図2は、アポリポタンパク質B100分子の結合部位に結合できる抗体を使用して、アポリポタンパク質B100とアポリポタンパク質(a)のアセンブリ、それによるLp(a)の形成が防止されたことを示している。ECACは、アミノ酸リジンの誘導体及び類似体であるイプシロン-アミノカプロン酸を指し、その特定の残基に結合するタンパク質の効果的な阻害剤となる。オルチクマブ(BI204)は、ヒツジポリクローナル抗apo(a)抗体(「抗apo(a)」と表記)と同様のLp(a)形成への阻害効果を示した。
【0104】
このように、出願人は、オルチクマブがApoB100の結合、したがってLp(a)の形成を防ぐことができることを実証し、これは、病態生理学的メカニズム及び疾患の臨床治療において重要な診断及び治療上の意味を有すると考えられている。
【0105】
実施例2:オルチクマブによりLp(a)形成を遮断することによるAVS進行の防止。
次の計画による第2相臨床試験:N=血清中のLp(a)が上昇し軽度のAVS(心エコー検査で定義)を伴う58歳未満の初期AVS対象である100名の患者。Lp(a)は、LDL-cの総量として測定される。エンドポイントは、心エコー検査によって測定された、AVSの進行の減速を評価することである。
【0106】
実施例3:apo(a)とLDLとの間の非共有結合及び共有結合の阻害、それによるLp(a)のアセンブリの阻害。
apo(a)とLDLとの間の非共有結合及び共有結合の阻害は、それぞれ蛍光分析及びウエスタンブロット分析によって評価した。オルチクマブは、非共有結合の阻害に非常に効果的であることが実証された。しかし、抗体による蛍光干渉は、非共有結合への影響を決定的にするものではなかった。共有結合は、すべての濃度(0.01、0.1、1、及び10μM)でオルチクマブによって阻害された。
【0107】
apo(a)とLDLとの間の非共有相互作用:
LDLは、連続密度勾配超遠心分離を使用して健康ドナーの血漿から精製され、チオール指向プローブ5’-ヨードアセトアミドフルオレセインを使用して標識した。組換えapo(a)変異体(r-apo(a):17K及び17KΔLBS7,8)は、安定して発現しているHEK293細胞株から採取した無血清馴化培地から精製した。リシン類似体、ε-アミノカプロン酸(EACA)、市販のヒツジポリクローナル抗apo(a)抗体、及び市販のヤギポリクローナル抗apoB-100抗体を陽性対照として使用した。滴定は、96ウェル丸底白色プレートで室温で行い、タンパク質は20mM HEPES pH7.4、150mM NaCl、0.01%Tween20(HBST)で希釈した。蛍光の測定は、SPECTRAMAX(登録商標)M2e(Molecular Devices)を使用して実施した。励起波長及び発光波長はそれぞれ495nm及び530nmであり、535-nmカットオフフィルターが発光ビームに配置されている。
【0108】
apo(a)とLDLとの間の共有相互作用:
精製されたLDL(100nM)及び17K apo(a)(5nM)を、0、0.01、0.1、1.0、及び10μMのオルチクマブの存在下で、HEK293細胞からの馴化無血清培地(OptiMEM;Gibco)とともに37℃でインキュベートした。反応物は1時間ごとに完全に混合し、4×SDS-PAGEサンプルバッファーを添加することにより4時間後または8時間後に停止させた。次に、サンプルを95℃で5分間煮沸し、6%ポリアクリルアミドゲルでSDS-PAGEに供した。電気泳動後、分離したタンパク質をPVDFメンブレンで電気泳動させ、遮断し、apo(a)に特異的なモノクローナル抗体(A5)とともにインキュベートした。HRP標識ヤギ抗マウスIgG二次抗体を使用して化学発光試薬の存在下でシグナルを発生させ、ChemiDoc system(Bio-Rad)を使用して画像をキャプチャした。ウエスタンブロットのバンド強度(BI)は、次式を使用して組換えLp(a)形成用のIMAGELABソフトウェアを使用して定量化した。%r-Lp(a)=BI(Lp(a))/[BI(Lp(a))+BI(apo(a))]。3つの独立した実験の平均±SDを図10に示す。GraphPad Prism7.0でデータを分析するために、Tukey事後検定を用いる双方向ANOVAを使用した。
【0109】
apo(a)とLDLとの間の非共有相互作用:
非共有結合の阻害は、蛍光標識されたLDL(Flu-LDL)を使用した蛍光アッセイで測定した。このアッセイでは、apo(a)とLDLとの間で非共有結合が発生したときに、蛍光が消光される。Flu-LDL(50nM)は、オルチクマブ(1000nM)の存在下で、0、10、50、100、200、500、及び1000nMで17K r-apo(a)と組み合わせた。非共有結合を阻害するリジン類似体EACAを100mMの濃度で使用した。図2Bは、右への曲線のシフト及び見かけのKdの増加に反映されるように、オルチクマブが結合を阻害したことを示している。図2Cでは、非共有結合を阻害するポリクローナル抗apo(a)抗体も陽性対照として使用した。この図のデータは、オルチクマブによる非共有結合の阻害が抗apo(a)抗体と同等であることを示している。抗体の非存在下(図2Bでの「対照」)で観察された蛍光は、apo(a)によるFlu-LDL蛍光の消光が最も少ない場合、抗体及びEACAの存在下での蛍光を判断する際の補正係数として使用した。グラフの線は、長方形の双曲線にフィットするデータの非線形回帰を示す。
【0110】
次に、apo(a)とLDLの間の非共有結合を、滴定濃度のオルチクマブと、Flu-LDLの10倍モル過剰の固定濃度の17K r-apo(a)を使用して評価した。非共有相互作用に干渉する市販のポリクローナル抗apoB抗体を陽性対照として使用した。この実験では、オルチクマブは17K apo(a)によるFlu-LDLの消光を軽減することができた(図3)。しかし、オルチクマブの阻害効果は、ポリクローナル抗apoB抗体またはEACAの阻害効果よりもはるかに低かった。
【0111】
0~200nMの濃度で応答をより適切に捕らえるために、低濃度のオルチクマブ、Flu-LDL、及び17K r-apo(a)を使用した(図4A)。17K r-apo(a)及びLDLの濃度は固定されたままで、17K r-apo(a)ではFlu-LDLの10倍モル過剰であった。EACAまたはポリクローナル抗ApoB抗体(「ApoB」と表記)(図4B)と比較して、オルチクマブは、Flu-LDL及びapo(a)の合計レベルを低下させた後でも、蛍光を消光(阻害)することはできなかった。しかし、オルチクマブが存在することにより、オルチクマブが0.4nMほどの低濃度であっても蛍光を干渉した(図4A)。
【0112】
Flu-LDLを単独で使用して、またはオルチクマブ、17K r-apo(a)、及び17K Δ7,8 apo(a)の存在下で、オルチクマブに応答したLDL蛍光の干渉をさらに調査した。Flu-LDL単独と比較して、オルチクマブはFlu-LDLの蛍光をより高いレベルまで増加させた(図5)。この蛍光の増加は、以前の結果の解釈に影響を与え得る。
【0113】
Apo(a)とLDLとの間の共有相互作用
Apo(a)とLDLとの間の共有結合は、ウエスタンブロットでのLp(a)タンパク質の出現によって経時的に評価した。無血清HEK293細胞馴化培地を使用して、17K r-apo(a)をLDLと0~8時間インキュベートした後、Lp(a)形成を評価した。単離されたLp(a)、17K apo(a)単独、及び培地単独を対照として使用した。データは、Lp(a)の形成が4時間で発生し始め、最大の形成が8時間で生じることを示している(図6)。
【0114】
次に、apo(a)とLDLとの間の共有結合の阻害に対するオルチクマブの効果をウエスタンブロット分析によって評価した。17K r-apo(a)(5nM)を、無血清HEK293細胞馴化培地中でLDL(100nM)とともに、0.1、1、5、及び10μMのオルチクマブの存在下で37℃で4時間インキュベートした。Lp(a)バンドの消失は、10μMのオルチクマブで観察された(図7)。
【0115】
ウエスタンブロット分析は、0.01μM、0.1μM、1μM、または10μMのオルチクマブを使用して繰り返し、対照として抗apo(a)のみを含めた。抗apo(a)抗体と比較して、共有結合Lp(a)の減少においてオルチクマブのみが同様に挙動する(図8)。
【0116】
Lp(a)形成の阻害が、Lp(a)形成が最大であると考えられる後の時点で生じるか否かを判断するために、無血清HEK293細胞馴化培地中において0.01、0.1、1、及び10μMのオルチクマブの存在下での5nM 17K r-apo(a)及び100nM LDLの0時間及び8時間のインキュベーション後にウエスタンブロット実験を繰り返した(図9)。次に、結果を定量化し(図10)、分析した。データは、オルチクマブが使用された最高濃度(10μM)及び低濃度(0.01、0.1、及び1μM)でLp(a)形成を有意に阻害したことを示している。10μMでは、Lp(a)形成の阻害率はオルチクマブにより73.46%であった(それぞれp<0.0001)。1μMでは、Lp(a)の形成はオルチクマブによりそれぞれ34.99%(それぞれp<0.0001)、0.1μMでは、オルチクマブにより25.8%(p=0.0027)、0.01μMでは、オルチクマブにより21.37%(p=0.0177)阻害された。
【0117】
Lp(a)は、心血管疾患の独立した原因となるリスク因子であり、最も一般的な遺伝性のリスク因子である。Lp(a)アセンブリは、2段階プロセスでapo(a)とapoBとの相互作用によって生じる。最初のステップでは、apo(a)のクリングルIV-7とクリングルIV-8とapoBのN末端との間で非共有相互作用が生じ、これにより、クリングルIV-9とapoBとの間にジスルフィド結合が形成されることによって、共有結合アセンブリの2番目のステップが促進される。非共有結合及び共有結合Lp(a)アセンブリ(すなわち、生産)を干渉することは、Lp(a)レベルの低下に臨床的に重要である。
【0118】
この研究では、試験管内でLp(a)の非共有結合及び共有結合アセンブリを遮断するヒトapoB-100エピトープ残基661~680に対して生成されるオルチクマブの能力の試験を行った。
【0119】
非共有結合アッセイでは、17K apo(a)によって消光されたFlu-LDLの蛍光を回復する抗体の能力を評価した。まず、オルチクマブ(1000nM)が17K apo(a)滴定においてapo(a)とFlu-LDLの相互作用を干渉し、抗apo(a)抗体と同様の効果を示すことを見い出した。次に、オルチクマブを滴定して用量反応曲線を作成した。最大の応答は、オルチクマブにより1000nMで見られた。低濃度(≦100nM)では、オルチクマブは蛍光の消光に影響を与えなかった。最後に、品質管理のステップとして、オルチクマブをFlu-LDLのみで実施した。この実験は、増強された蛍光シグナルによって示されるように、オルチクマブの存在下でのFlu-LDLの干渉を示した。したがって、蛍光干渉により、特にIC50値を測定する場合には、非共有結合アセンブリのシステムでのこれらの抗体の検証がより複雑になる。
【0120】
精製された17クリングルapo(a)(5nM)と精製されたヒトLDL(100nM)との間の共有結合アセンブリは、試験管内で生じ、SDS-PAGE及びウエスタンブロッティングを使用して解像され得るLp(a)を形成する。このアッセイを使用して、Lp(a)の形成が時間の経過とともに生じ、4時間のインキュベーション後に最初の顕著なバンドが現れることを示す。したがって、4時間で、Lp(a)アセンブリの阻害は、0、0.01、0.1、1.0、及び10μMの濃度でオルチクマブを使用して評価した。オルチクマブは、Lp(a)アセンブリの阻害において、抗apoBまたは抗apo(a)対照抗体と同じくらい効果的であった。8時間後、試験を行った最低濃度(0.01μM)でオルチクマブがLp(a)共有結合アセンブリを減少させることを実証できた。したがって、オルチクマブはLp(a)の共有結合アセンブリを阻害することが示されている。本発明の分析は、オルチクマブが試験管内でLp(a)アセンブリを遮断する阻害剤として作用できることを示している。
【0121】
Lp(a)アセンブリでのオルチクマブの生物学的機能を検証するために、細胞ベース及び生体内システムが想定されている。考えられるシステムとしては、内因性apoB100及び異所性apo(a)を発現するヒト肝細胞癌細胞培養モデル、またはヒトapo(a)及びヒトapoB(またはこれらの動物から単離された初代肝細胞)を発現するヒトLp(a)トランスジェニックマウスが挙げられる。
【0122】
現在、AVSの治療に承認されている薬剤はない。アンチセンス遺伝子治療はapo(a)をノックアウトするために調査されているが、アンチセンス遺伝子治療による新生物形成に関する懸念がある。
【0123】
本発明の種々の実施形態は上記の詳細な説明に記載されている。これらの説明は上記の実施形態を直接説明している一方で、当業者は本明細書に示され、記載されている特定の実施形態に対する修正及び/または変形を思いついてもよいことが理解される。この説明の視野の範囲内に入るそのような修正または変形は、同様にそこに含まれることが意図されている。特に言及されない限り、本明細書及びクレームにおける単語及び語句には該当する技術分野(複数可)の当業者に通常の且つ慣習的な意味を与えることが本発明者らの意図である。
【0124】
出願の時点で出願人に知られている本発明の種々の実施形態の前述の説明が提示されており、例証及び説明の目的を対象としている。本説明は、網羅的であることを意図するものではなく、本発明を開示される正確な形態に限定するものでもなく、上記の教示に照らして多くの修正及び変形が可能である。記載されている実施形態は、本発明の原理及びその実際的な応用を説明するのに、ならびに当業者が種々の実施形態で、且つ企図される特定の使用に適しているとして種々の修正とともに本発明を利用するのを可能にするのに役立つ。したがって、本発明は、本発明を実施するために開示されている特定の実施形態に限定されないことが意図されている。
【0125】
本発明の特定の実施形態を示し、説明してきたが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広範な態様から逸脱することなく変更及び修正が行われてもよく、したがって、添付のクレームは、本発明の真の精神及び範囲の範囲内にあるものとして、その範囲内にそのような変更及び修正すべてを包含するものであることが当業者に明白であろう。一般に、本明細書で使用される用語は概して、「限定されない」用語(例えば、用語「含む(including)」は、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」、等、として解釈されるべきである)として意図されることは当業者には理解されるであろう。
【0126】
「含む(comprising)」または「含む(comprises)」という用語は、実施形態にとって有用である組成物、方法、及びそれらの各構成要素(複数可)に関して使用されるが、有用であろうとなかろうと、特定されていない要素を含むことに対して制限はない。一般に、本明細書で使用される用語は概して、「限定されない」用語(例えば、用語「含む(including)」は、「含むが、これに限定されない」と解釈されるべきであり、用語「有する(having)」は、「少なくとも有する」と解釈されるべきであり、用語「含む(includes)」は「含むが、これに限定されない」、等、として解釈されるべきである)として意図されることは当業者には理解されるであろう。含む(including)、含有する(containing)または有する(having)のような用語の同義語としての「含む(comprising)」という開放型用語は、本発明を説明し、請求するのに本明細書で使用されるが、本発明またはその実施形態は代わりに、「からなる(consisting of)」または「本質的にからなる(consisting essentially of)」のような代替用語を用いて記載されてもよい。
以下、本発明の実施形態を示す。
[1]大動脈弁硬化症または大動脈弁狭窄症を治療する、その重症度を軽減する、その進行を減速する、またはその可能性を低減させることをそれを必要とする対象にて行う方法であって、
アポリポタンパク質B100(ApoB100)の断片に結合することができる抗体または抗体断片を含む有効量の医薬組成物を前記対象に投与することを含み、
ApoB100の前記断片が配列番号1のアミノ酸配列またはその活性部位を含み、前記抗体または前記抗体断片がそれぞれ配列番号2、3及び4のHCDR 1(HCDR1)、HCDR 2(HCDR2)及びHCDR 3(HCDR3)の配列からなる群から選択される1つ、2つまたは3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号5、6及び7のLCDR 1(LCDR1)、LCDR 2(LCDR2)及びLCDR 3(LCDR3)の配列からなる群から選択される1つ、2つまたは3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む、前記方法。
[2]前記有効量の前記医薬組成物を投与する前に、高レベルのLp(a)を有する対象を選択することをさらに含む、[1]に記載の方法。
[3]前記投与後の前記対象におけるLp(a)の前記レベルを測定することをさらに含む、[1]に記載の方法。
[4]前記対象が前記投与後に減少した量のリポタンパク質(a)(Lp(a))を有すると判断される、[1]に記載の方法。
[5]ApoB100の前記断片がアルデヒド誘導体である、[1]に記載の方法。
[6]前記抗体が配列番号8の可変重鎖領域(V H )、配列番号9の可変軽鎖領域(V L )、またはその双方を含む、[1]に記載の方法。
[7]前記抗体が配列番号10の重鎖、配列番号11の軽鎖、またはその双方を含む、[1]に記載の方法。
[8]前記抗体がオルチクマブである、[1]に記載の方法。
[9]前記医薬組成物が医薬的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、[1]に記載の方法。
[10]前記対象がヒトであり、前記抗体がオルチクマブであり、オルチクマブが約330mg/月の用量で約3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月または12ヶ月の間皮下投与される、[1]に記載の方法。
[11]前記オルチクマブが少なくとも5mg/kgの初回用量と、任意で、それに続く複数回の後続用量、それぞれ少なくとも2mg/kg/週、少なくとも2.5mg/kg/2週間、または少なくとも6mg/kg/月の量で投与される、[5]に記載の方法。
[12]前記抗体または抗体断片が1~10μg/kg、10~100μg/kg、100~500μg/kg、200~500μg/kg、300~500μg/kg、400~500μg/kg、1~5mg/kg、5~10mg/kg、10~15mg/kg、15~20mg/kg、20~25mg/kg、25~50mg/kg、50~75mg/kgで投与される、[1]に記載の方法。
[13]対象のリポタンパク質(a)(Lp(a))のレベルを低下させる方法であって、
前記対象におけるLp(a)の前記レベルを低下させるのに有効な量の医薬組成物を前記対象に投与することを含み、
前記医薬組成物がアポリポタンパク質B100(ApoB100)の断片に結合することができる抗体または抗体断片を含み、ApoB100の前記断片が配列番号1のアミノ酸配列またはその活性部位を含み、前記抗体または前記抗体断片がそれぞれ配列番号2、3及び4のHCDR 1(HCDR1)、HCDR 2(HCDR2)及びHCDR 3(HCDR3)の配列からなる群から選択される1つ、2つまたは3つの重鎖相補性決定領域(HCDR)と、それぞれ配列番号5、6及び7のLCDR 1(LCDR1)、LCDR 2(LCDR2)及びLCDR 3(LCDR3)の配列からなる群から選択される1つ、2つまたは3つの軽鎖相補性決定領域(LCDR)とを含む、前記方法。
[14]前記投与後の前記対象におけるLp(a)の前記レベルを測定することをさらに含み、Lp(a)の前記レベルが、前記投与前の前記レベルと比較して、少なくとも20%、30%、40%、または50%減少する、[13]に記載の方法。
[15]前記対象が心血管疾患と診断されているか、またはその症状を示している、[13]に記載の方法。
[16]前記心血管疾患が石灰化大動脈弁硬化症または狭窄症を含み、前記対象が前記投与前と比較して前記石灰化大動脈弁硬化症または狭窄症の症状が軽減するか、または進行が減速する、[15]に記載の方法。
[17]前記抗体が配列番号8の可変重鎖領域(V H )、配列番号9の可変軽鎖領域(V L )、またはその双方を含む、[13]に記載の方法。
[18]前記抗体がオルチクマブであり、前記オルチクマブが少なくとも5mg/kgの初回用量と、任意で、それに続く複数回の後続用量、それぞれ少なくとも2mg/kg/週、少なくとも2.5mg/kg/2週間、または少なくとも6mg/kg/月の量で投与される、[13]に記載の方法。
[19]ApoB100の断片に結合することができる抗体または抗体断片を含む前記有効量の前記医薬組成物を投与する前に、高レベルのLp(a)を有する対象を選択することをさらに含む、[11]に記載の方法。
[20]アポリポタンパク質(a)と低密度リポタンパク質(LDL)との間の結合を減少させ、リポタンパク質(a)(Lp(a))の形成を阻害する分子または化合物を特定するための方法であって、
目的の分子または化合物をLDLとアポリポタンパク質(a)との混合物と接触させることと、
前記目的の分子または化合物と前記混合物との前記接触が、前記目的の分子または化合物を含まない混合物の場合と比較して、アポリポタンパク質(a)とLDLとの間の前記結合の減少、Lp(a)の量の減少、またはその双方をもたらすか否かを決定することと、を含み、
アポリポタンパク質(a)とLDLとの間の前記結合の減少、またはLp(a)の前記量の減少が、前記目的の分子または化合物がアポリポタンパク質(a)とLDLの間の前記結合を減少させ、且つLp(a)の前記形成を阻害するかまたは前記量を減少させていることを示す、前記方法。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【配列表】
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