(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】磁場補償装置
(51)【国際特許分類】
G01R 33/02 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
G01R33/02 X
G01R33/02 V
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021035823
(22)【出願日】2021-03-05
(62)【分割の表示】P 2018089279の分割
【原出願日】2018-05-07
【審査請求日】2021-03-05
【審判番号】
【審判請求日】2023-01-10
(31)【優先権主張番号】10 2017 004 349.3
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】312016609
【氏名又は名称】ティディケイ-ミクロナス ゲー・エム・ベー・ハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】イェアク フランケ
【合議体】
【審判長】石井 哲
【審判官】萩田 裕介
【審判官】伊藤 幸仙
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-152208(JP,A)
【文献】国際公開第2010/143666(WO,A1)
【文献】特開2014-70914(JP,A)
【文献】特開2001-264360(JP,A)
【文献】特開2010-85228(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R33/02
G01R15/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
概略直線状の第1の磁束ガイド部材(20)と、
概略直線状の第2の磁束ガイド部材(30)と、
単一の磁場センサ(50)と、
補償コイル(40)と、
制御ユニットと、
を有する磁場補償装置(10)であって、
・前記第1の磁束ガイド部材(20)は、X方向に形成された長手方向軸線と、第1の頭頂部側の端部(22)と、を有しており、
・前記第2の磁束ガイド部材(30)は、X方向に形成された長手方向軸線を有しており、前記第1の磁束ガイド部材(20)および前記第2の磁束ガイド部材(30)は、相互にY方向において間隔を空けて設けられており、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材(30)の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されており、
・前記補償コイル(40)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の周囲およ
び前記第2の磁束ガイド部材(30)の周囲にボビンを介することなく形成されており、
・前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)および前記補償コイル(40)と電気的に相互作用関係にあり、前記制御ユニットは、前記磁場センサ(50)の測定信号に基づいて、前記補償コイル(40)を流れる補償電流(IFB)を閉ループ制御して、前記磁場センサ(50)の場所においてX方向に形成された外部磁場に対して磁場を実質的に補償するように構成されており、
前記第2の磁束ガイド部材(30)においては、X軸の方向に磁場が形成されており、
前記磁場センサ(50)は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記頭頂部側の端部に配置されており、
前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、それぞれ半導体基板に集積されており、
前記第1の磁束ガイド部材(20)と前記第2の磁束ガイド部材(30)との間に、前記Y方向に形成された長手方向軸線を有する
概略直線状の第3の磁束ガイド部材(100)が設けられており、
前記X方向において、前記第2の磁束ガイド部材(30)の長さは、前記第1の磁束ガイド部材(20)の長さよりも長い、
磁場補償装置(10)。
【請求項2】
前記第2の磁束ガイド部材(30)は、前記補償コイル(40)を完全に貫通している、
請求項1記載の磁場補償装置(10)。
【請求項3】
前記補償コイル(40)は、すべての磁束ガイド部材(20,30,100)の周囲に形成されている、
請求項1または2記載の磁場補償装置(10)。
【請求項4】
前記X方向に形成された長手方向軸線を有する
概略直線状の第4の磁束ガイド部材(300)が設けられており、
前記第4の磁束ガイド部材(300)は、前記Y方向とは逆向きに、前記第1の磁束ガイド部材(20)から間隔を空けて設けられており、
前記第1の磁束ガイド部材(20)の前記長手方向軸線および前記第4の磁束ガイド部材(300)の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に形成されている、
請求項1から3までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項5】
前記Y方向に形成された長手方向軸線を有する
概略直線状の第5の磁束ガイド部材(400)が設けられている、
請求項1から4までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項6】
前記第1および第2の磁束ガイド部材(20,30)は、2つの部分部材から形成され、
前記第1および第2の磁束ガイド部材(20,30)のアセンブリおよび前記補償コイル(40)のアセンブリは、Y-Z面について鏡面対称に形成されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項7】
前記2つの部分部材は、相互に磁気的に結合されている、
請求項6記載の磁場補償装置(10)。
【請求項8】
前記磁場センサ(50)と、前記第1の磁束ガイド部材(20)と、前記第2の磁束ガイド部材(30)と、前記補償コイル(40)と、前記制御ユニットと、は、同一の半導体基板に集積されている、
請求項1から7までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項9】
前記第1および第3の磁束ガイド部材(20,100)は、相互に磁気的に結合され、前記第2および第3の磁束ガイド部材(30,100)は、相互に磁気的に結合されている、または、
前記第1および第3の磁束ガイド部材(20,100)同士の間に間隙が形成されており、
前記間隙は、前記第1の磁束ガイド部材(20)の直径の4倍よりも小さく形成されている、または、前記第1の磁束ガイド部材(20)の直径よりも小さく形成されている、
請求項1から8までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項10】
前記補償コイル(40)によって前記第1の磁束ガイド部材(20)に形成された磁場の方向は、前記補償コイル(40)によって前記第2の磁束ガイド部材(30)に誘導された磁場の方向とは逆向きである、
請求項1から9までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【請求項11】
前記磁場センサ(50)は、ホールセンサとして、または、GMRセンサとして、または、TMRセンサとして形成されている、
請求項1から10までのいずれか1項記載の磁場補償装置(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場補償装置に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第8754642号明細書(US 8 754 642 B2)、米国特許第8519704号明細書(US 8 519 704 B2)、米国特許第3323056号明細書(US 3 323 056)、および欧州特許出願公開第2833109号明細書(EP 2 833 109 A1)から、集積された離散的な補償装置が公知である。
【0003】
ドイツ連邦共和国、エアランゲン(Erlangen)での2007年3月15日のEPCE Seminar Sensors in Power electronicにおけるD. Heuman et al著の『Closed loop current Sensors with magentic probe』からは、さらに別の磁場補償装置が公知である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の背景を踏まえて、本発明の課題は、先行技術を発展させた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題は、請求項1に記載の特徴を有する磁場補償装置によって解決される。本発明の有利な実施形態は、従属請求項の主題である。
【0006】
本発明の主題によれば、磁場補償装置であって、X方向に形成された長手方向軸線および第1の頭頂部側の端部を有するロッド状の第1の磁束ガイド部材と、X方向に形成された長手方向軸線を有するロッド状の第2の磁束ガイド部材と、を有する、磁場補償装置が提供される。
【0007】
前記第1の磁束ガイド部材および前記第2の磁束ガイド部材は、相互にY方向において間隔を空けて設けられており、前記第1の磁束ガイド部材の前記長手方向軸線および前記第2の磁束ガイド部材の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されている。
【0008】
前記磁場補償装置は、磁場センサと、前記第1の磁束ガイド部材の周囲および/または前記第2の磁束ガイド部材の周囲に形成された補償コイルと、前記磁場センサおよび前記補償コイルと電気的に相互作用関係にある制御ユニットと、も含む。
【0009】
前記制御ユニットは、前記磁場センサの測定信号に基づいて、前記補償コイルを流れる補償電流を閉ループ制御して、前記磁場センサの場所においてX方向に形成された外部磁場に対して磁場を実質的に補償するように構成されている。
【0010】
前記第2の磁束ガイド部材においては、X軸の方向に磁場が形成されている。
【0011】
前記磁場センサは、前記第1の磁束ガイド部材の前記頭頂部側の端部に配置されている。
【0012】
前記磁場センサと、前記第1の磁束ガイド部材と、前記第2の磁束ガイド部材と、前記補償コイルと、前記制御ユニットとは、それぞれ主に半導体基板に集積されている。
【0013】
補償コイルを用いて、外部磁場を補償するために、第1の磁束ガイド部材において、第2の磁束ガイド部材と比較して逆向きの磁場が誘導される。換言すれば、補償コイルは、2つの磁束ガイド部材において逆向きの巻回方向を有する。
【0014】
制御ユニットが、好適には、補償電流の大きさから外部磁場の強度を求めるようにも構成されていることを言及しておく。以下では、磁場補償装置の物理的構造の外部に発生源を有する外部磁場は、一次磁場とも呼ばれる。一次磁場の強度は、好適には基準値を用いて求められる。
【0015】
2つの磁束ガイド部材を、1つの導体路平面のみに形成することも、またはそれぞれ異なる導体路平面に形成することもできる。補償コイルを、第2の磁束ガイド部材または両方の磁束ガイド部材も包囲されるように、導体路およびビアを用いて実現することもできる。とりわけ、制御ユニットは、集積回路として形成されている。好適には、個々の構成要素がすべて共通して1つの半導体モジュールにモノリシックに集積されている。
【0016】
磁場センサの位置の場所における磁場の補償によって、ほぼまたは正確にゼロ磁場が生成されることを言及しておく。本発明では、X軸の方向における磁場の強度が求められるが、とりわけ配置を別の空間方向に回転させることによって、別の空間方向における磁場の強度を同様にして求めることができることは言うまでもない。
【0017】
外部磁場、つまり一次磁場が大きくなればなるほど、補償コイルによって生成される磁場をより大きくしなければならないことも言及しておく。補償コイルの磁場の磁力線は、第2の磁束ガイド部材において正のX方向に形成されている。換言すれば、外部磁場と補償コイルの磁場とが同一方向に重なり合っている。これに対して、外部磁場と補償コイルの磁場とが逆向きに重なり合っており、補償し合っている。
【0018】
磁束ガイド部材が、適切な材料、とりわけ強磁性の材料から形成されていることは言うまでもない。好適には、ヒステリシスの小さい軟磁性の材料が使用される。換言すれば、磁束ガイド部材の少なくとも一部は、補償コイルのコイルコアとして機能する。
【0019】
磁束ガイド部材が補償コイルのすべての磁場成分を収集し、これによって効率、すなわち補償磁場(単位mT)/補償電流(単位mA)の比が改善されることも理解される。
【0020】
それと同時に、磁束ガイド部材の一部が、外部磁場を弱化または改善することができる。これによって効率、すなわち一次磁場(単位mT)/補償電流(単位mA)の比が向上する。
【0021】
磁場補償装置の利点は、磁場補償装置によって補償電流の大きさから、電流が流れている導体の一次磁場を正確かつ確実に求めることができることである。この場合、導体は、磁場補償装置の内部には配置されていない。
【0022】
さらなる利点は、磁場センサを流れる動作電流をそれぞれ非常に小さく保つことができることである。これによって、補償コイルおよび磁気センサの加熱を回避することができ、求める精度が向上する。
【0023】
2つの磁束ガイド部材が磁気的に結合されていない場合、またはわずかにしか磁気的に結合されていない場合には、補償コイルの一部が第1の磁束ガイド部材の周囲にも配置されることも言及しておく。この場合、第1の磁束ガイド部材の周囲に配置された補償コイルの部分は、第2の磁束ガイド部材の周囲に形成された補償コイルの部分と比較して逆向きの巻回方向を有する。
【0024】
補償コイルに電流が流れると、第1の磁束ガイド部材において、第2の磁束ガイド部材と比較して逆向きの磁場が誘導されるか、または換言すれば、補償コイルにおける補償電流の向きに応じて、磁束方向が、一方の磁束ガイド部材においては正のX方向において形成され、他方の磁束ガイド部材においては負のX方向において形成される。しかしながら、本発明では、第1の磁束ガイド部材において負のX方向に形成された磁束方向が誘導されるように、そしてこの負のX方向に形成された磁束方向が、正のX方向に形成された磁場を補償するように、磁場補償装置が補償コイルによって形成されている。
【0025】
好適には、第2の磁束ガイド部材は、補償コイルによって主にまたは完全に包囲されている。
【0026】
1つの発展形態では、前記X方向において、前記第2の磁束ガイド部材の長さは、前記第1の磁束ガイド部材の長さよりも長い。2つの磁束ガイド部材の長さの比によって、減衰または増幅を調整することができる。
【0027】
上述した長さの比では、減衰と増幅との間の挙動がほぼ同じ大きさである。1つの実施形態では、第1の磁束ガイド部材は、第2の磁束ガイド部材よりも短い。
【0028】
1つの発展形態では、2つの前記磁束ガイド部材の長さは、ほぼ同じ長さであるか、または正確に同じ長さである。
【0029】
別の1つの発展形態では、前記第2の磁束ガイド部材が、前記補償コイルを完全に貫通している。
【0030】
1つの実施形態では、前記Y方向に形成された長手方向軸線を有するロッド状の第3の磁束ガイド部材が設けられている。好適には、前記第3の磁束ガイド部材は、前記第1の磁束ガイド部材および/または前記第2の磁束ガイド部材に磁気的に結合されている。
【0031】
別の1つの実施形態では、前記補償コイルは、前記第3の磁束ガイド部材の周囲および/または前記第1の磁束ガイド部材の周囲に形成されている。
【0032】
1つの発展形態では、前記X方向に形成された長手方向軸線を有するロッド状の第4の磁束ガイド部材が設けられており、前記第4の磁束ガイド部材は、前記Y方向とは逆向きに、前記第1の磁束ガイド部材から間隔を空けて設けられており、前記第1の磁束ガイド部材の前記長手方向軸線および前記第4の磁束ガイド部材の前記長手方向軸線は、相互に実質的に平行に形成されている。
【0033】
別の1つの発展形態では、前記Y方向に形成された長手方向軸線を有するロッド状の第5の磁束ガイド部材が設けられている。好適には、前記第5の磁束ガイド部材は、前記第1の磁束ガイド部材および/または前記第4の磁束ガイド部材に磁気的に結合されている。
【0034】
1つの実施形態では、前記磁束ガイド部材のアセンブリおよび前記補償コイルのアセンブリは、2つの関連する部分アセンブリが形成されるように、Y-Z面について鏡面対称に形成されている。
【0035】
別の1つの発展形態では、前記2つのアセンブリは、相互に磁気的に結合されている。
【0036】
好適には、前記磁束ガイド部材は、それぞれ一体形に形成されている。
【0037】
1つの実施形態では、前記磁場センサと、前記第1の磁束ガイド部材と、前記第2の磁束ガイド部材と、前記補償コイルと、前記制御ユニットとは、同一の半導体基板に集積されている。
【0038】
別の1つの実施形態では、前記磁場センサは、前記半導体基板に形成されたMRセンサとして、またはホールセンサとして、またはフラックスゲートセンサとして形成されている。
【0039】
1つの発展形態では、前記磁束ガイド部材は、相互に導磁的に結合されているか、または前記磁束ガイド部材同士の間に間隙が形成されており、前記磁束ガイド部材同士の間の前記間隙は、前記第1の磁束ガイド部材の直径の4倍よりも小さく形成されているか、または前記第1の磁束ガイド部材の直径の1倍よりも小さく形成されている。
【0040】
好適には、すべての前記磁束ガイド部材および前記磁気センサは、前記補償コイルによって完全に、またはほぼ完全に包囲されている。
【0041】
別の1つの実施形態では、前記第2の磁束ガイド部材は、前記補償コイルによって包囲されていない。
【0042】
1つの実施形態では、前記補償コイルの巻線は、延びに沿って異なる横断面積を有する。好適には、補償コイルの中央では、巻線の横断面積が最も小さい。1つの発展形態では、巻線の横断面積は、補償コイルの中央における巻線の横断面積と比較して、補償コイルの2つの端部に向かって増加していき、すなわち、補償コイルの2つの端部では、巻線の横断面積が最も大きい。
【0043】
好適には、補償コイルの巻線の横断面積は、磁場センサの近傍においては最も小さく、第1の磁束ガイド部材の2つの部分の2つの端部においては最も大きい。
【0044】
1つの発展形態では、第1の磁束ガイド部材および磁場センサのみが完全に、またはほぼ完全に包囲されているが、第2の磁束ガイド部材または場合によっては他の磁束ガイド部材は包囲されていない。
【0045】
1つの発展形態では、2つの異なる種類の磁場センサが形成されている。この場合、これら2つの種類の磁場センサは、第1の磁束ガイド部材の頭頂部側の端部に配置されているか、または2つの磁束ガイド部材の間の間隙に配置されている。
【0046】
以下では、本発明を、図面を参照しながらより詳細に説明する。この場合、同じ種類の部分には、同一の参照符号が付されている。図示された実施形態は、非常に概略的である。すなわち、間隔、横方向寸法、および縦方向寸法は、縮尺通りではなく、別段の記載がない限り、相互に対して導出可能な幾何学的関係性を有さない。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【
図1b】補償場が印加された状態での第1の実施形態の断面図である。
【
図2】補償場が印加された状態での第2の実施形態の断面図である。
【
図3】補償場が印加された状態での第3の実施形態の断面図である
【
図4】補償場が印加された状態での第4の実施形態の断面図である。
【
図5】補償場が印加された状態での本発明による第5の実施形態の断面図である。
【
図6】補償場が印加された状態での第6の実施形態の断面図である。
【
図7】補償場が印加された状態での第7の実施形態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0048】
図1aは、電流が流れていない状態での、磁場補償装置10の第1の実施形態の断面図を示す。図面を見やすくするために、デカルト座標系が示されている。
【0049】
磁場補償装置10は、頭頂部側の端部22を有するロッド状の第1の磁束ガイド部材20と、ロッド状の第2の磁束ガイド部材30と、補償コイル40と、磁場センサ50と、図示していない制御ユニットと、を含む。以下では端面とも記す、第1の磁束ガイド部材20の頭頂部側の端部22には、磁場センサ50が配置されている。図面を見やすくするために、補償コイル40においては上側の巻線部分のみが図示されている。
【0050】
磁場センサ50と、第1の磁束ガイド部材20と、第2の磁束ガイド部材30と、補償コイル40と、図示していない制御ユニットと、は、それぞれ主にまたは完全に半導体基板に集積されていることを言及しておく。磁束ガイド部材20および30は、同一のまたは異なる導体路平面に形成されている。補償コイル40を、導体路およびビアを用いて実現することができる。制御ユニットは、集積回路として形成されている。1つの実施形態では、個々の構成要素がすべて共通して1つの半導体モジュールに、好適にはモノリシックに集積されている。
【0051】
第1の磁束ガイド部材20および第2の磁束ガイド部材30は、それぞれX方向に形成された長手方向軸線を有し、第1の磁束ガイド部材20および第2の磁束ガイド部材30は、相互にY方向において間隔を空けて設けられており、第1の磁束ガイド部材20の長手方向軸線および第2の磁束ガイド部材30の長手方向軸線は、相互に実質的に平行に配置されている。X方向において、第2の磁束ガイド部材30の長さは、第1の磁束ガイド部材20の長さよりも長い。
【0052】
補償コイル40は、第2の磁束ガイド部材30をほぼ完全に包囲している。好適には、補償コイル40は、少なくとも部分的に第1の磁束ガイド部材20も包囲しており、また図示していない実施形態では磁場センサ50も包囲している。
【0053】
第1の磁束ガイド部材20および磁場センサの周囲に配置された補償コイル40の部分は、第2の磁束ガイド部材30の周囲に形成された補償コイル40の部分と比較して逆向きの巻回方向を有する。
【0054】
これによって、補償コイルを流れる補償電流が、以下のことをもたらす。つまり、第1の磁束ガイド部材20において、第2の磁束ガイド部材30と比較して逆向きの磁場が誘導されるか、または換言すれば、補償コイルにおける補償電流の向きに応じて、磁束方向が、2つの磁束ガイド部材20、30のうちの一方においては正のX方向において形成され、2つの磁束ガイド部材20、30のうちの他方においては負のX方向において形成される。
【0055】
磁場補償装置10は、正のX方向において形成された外部の一次磁場HPに配置されている。したがって、第1の磁束ガイド部材20および第2の磁束ガイド部材30においては、それぞれ正のX方向において形成された一次磁束BPが誘導される。
【0056】
図1bは、補償場が印加された状態での、すなわち電流が流れている状態での、
図1aに図示した本発明による第1の実施形態の断面図を示す。
【0057】
制御ユニットは、磁場センサ50および補償コイル40と電気的に相互作用関係にある。制御ユニットは、磁場センサ50の測定信号に基づいて、一次磁場BPの強度を検出するように構成されており、制御ユニットはさらに、補償コイル40に補償電流IFBを流すことによって、X方向に形成された外部の一次磁場BPが、磁場センサ50の場所において補償電流IFBによって第1の磁束ガイド部材20において二次磁場BFBを誘導するように構成されており、制御ユニットはさらに、磁場センサ50の場所においてX方向にいわゆるゼロ磁場が生じるように、補償電流IFBの大きさを閉ループ制御するように構成されている。
【0058】
換言すれば、本発明では、第1の磁束ガイド部材20においては、負のX方向において形成された二次磁束BFBが誘導され、また第2の磁束ガイド部材30においては、正のX方向において形成された二次磁束BFBが誘導される。第2の磁束ガイド部材30においては、一次磁場BPおよび二次磁場BFBが同一方向を向いている。
【0059】
制御ユニットはさらに、補償電流IFBの大きさから一次磁場BPの大きさを求めるように構成されている。
【0060】
図2には、補償場が印加されている状態での、第2の実施形態の断面図が図示されている。以下では、前述の実施形態との相異のみを説明する。
【0061】
第1の磁束ガイド部材20と第2の磁束ガイド部材30との間には、Y方向に形成された長手方向軸線を有するロッド状の第3の磁束ガイド部材100が設けられている。第3の磁束ガイド部材100は、補償コイルの効率を改善するために、第1の磁束ガイド部材20および第2の磁束ガイド部材30に導磁的に結合されており、つまり素材結合されている。
【0062】
補償コイル40は、第2の磁束ガイド部材30の周囲に形成されており、また第3の磁束ガイド部材100の周囲に部分的に形成されている。3つの磁束ガイド部材20、30および100は、U字状に配置されている。
【0063】
図3には、補償場が印加されている状態での、第3の実施形態の断面図が図示されている。以下では、
図2の実施形態との相異のみを説明する。
【0064】
第3の磁束ガイド部材100は、第2の磁束ガイド部材30に磁気的に結合されており、他方、第3の磁束ガイド部材100と第1の磁束ガイド部材20との間には、第1の磁束ガイド部材20の直径よりも小さい間隙が形成されている。第1の磁束ガイド部材20と第3の磁束ガイド部材100との間の間隙が非常に小さいことによって、2つの磁束ガイド部材がさらに磁気的に結合されている。
【0065】
図4には、補償場が印加されている状態での、第4の実施形態の断面図が図示されている。以下では、
図2の実施形態との相異のみを説明する。
【0066】
補償コイル40は、3つすべての磁束ガイド部材20、30および100の周囲に形成されており、また好適には磁場センサの周囲にも形成されている。
【0067】
図5には、補償場が印加されている状態での、第5の実施形態の断面図が図示されている。以下では、
図3の実施形態との相異のみを説明する。
【0068】
図5のアセンブリは、Y-Z平面において形成される面について鏡面対称に広がっており、鏡面は、X方向において、
図3に図示した構造のコピーが形成されるように配置されている。磁場センサ50は、第1の磁束ガイド部材20の2つの部分の2つの頭頂部側の端部の間に配置されている。換言すれば、鏡面は、磁場センサ50の中心を通っている。
【0069】
補償コイル40は、本実施形態では延長されている第2の磁束ガイド部材30のみを完全に包囲している。第1の磁束ガイド部材20の2つの部分の間には、第3の磁束ガイド部材100の2つの部分に対してそれぞれ1つの小さい間隙が形成されている。
【0070】
図6には、補償場が印加されている状態での、第6の実施形態の断面図が図示されている。以下では、
図5の実施形態との相異のみを説明する。
【0071】
図6のアセンブリは、Y-Z平面において形成される面について鏡面対称に広がっており、鏡面は、X方向において、
図2に図示した構造のコピーが形成されるように配置されている。磁場センサ50は、第1の磁束ガイド部材20の2つの部分の2つの頭頂部側の端部の間に配置されている。
【0072】
補償コイル40は、本実施形態では延長されている第2の磁束ガイド部材30のみを完全に包囲している。第2の磁束ガイド部材30は、鏡面の箇所に形成された小さい間隙を備えた2つの部分を有する。しかしながら、第2の磁束ガイド部材の2つの部分は、相互に磁気的に結合されている。
【0073】
図7には、補償場が印加されている状態での、第7の実施形態の断面図が図示されている。以下では、
図6の実施形態との相異のみを説明する。
【0074】
本実施形態では、第2の磁束ガイド部材30の2つの部分が相互に結合されている。補償コイル40は、延長された第2の磁束ガイド部材30と、第3の磁束ガイド部材100の2つの部分と、をほぼ完全に包囲している。
【0075】
図8は、第8の実施形態の断面図を示す。以下では、前述の実施形態との相異のみを説明する。図面を見やすくするために、磁束ガイド部材のみが図示されている。
【0076】
図8のアセンブリは、X-Z平面において形成される面について鏡面対称に広がっており、鏡面は、Y方向において、
図2に図示した構造のコピーが形成されるように配置されており、鏡面は、磁場センサ50の中心を通っている。
【0077】
換言すれば、X方向に形成された長手方向軸線を有するロッド状の第4の磁束ガイド部材300が設けられている。第4の磁束ガイド部材300は、Y方向とは逆向きに、第1の磁束ガイド部材20から間隔を空けて設けられており、第1の磁束ガイド部材20の長手方向軸線および第4の磁束ガイド部材300の長手方向軸線は、相互に実質的に平行に形成されている。ロッド状の第5の磁束ガイド部材400には、Y方向に形成された長手方向軸線が設けられている。第5の磁束ガイド部材400は、第1の磁束ガイド部材20および第4の磁束ガイド部材300と導磁的に結合されており、つまり直接的に結合されている。
【0078】
図9は、第9の実施形態の断面図を示す。以下では、
図8との関係において示した実施形態との相異のみを説明する。
【0079】
図9のアセンブリは、Y-Z平面において形成される面について鏡面対称に広がっており、鏡面は、X方向において、
図8に図示した構造のコピーが形成されるように配置されており、鏡面は、磁場センサ50の中心を通っている。第4の磁束ガイド部材300の2つの部分の間には、小さい間隙が形成されている。しかしながら、第4の磁束ガイド部材300の2つの部分は、磁気的に結合されている。
【0080】
図10は、第10の実施形態の断面図を示す。以下では、
図5との関係において示した実施形態との相異のみを説明する。図面を見やすくするために、電流が流れていない図が選択されている。
【0081】
第1の磁束ガイド部材20の2つの部分は、第2の磁束ガイド部材30よりも短い。本実施形態では、補償コイル40が、第1の磁束ガイド部材20および磁場センサ50のみを包囲しており、それぞれ異なる横断面積を備えた複数の巻線を有している。この場合、横断面積は、磁場センサ50の近傍においては最も小さく、第1の磁束ガイド部材20の2つの部分の2つの端部においては最も大きい。