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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】色変換装置及び色変換方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/60 20060101AFI20240702BHJP
   G06T 1/00 20060101ALI20240702BHJP
   B41J 2/525 20060101ALI20240702BHJP
   B41J 2/21 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
H04N1/60
G06T1/00 510
B41J2/525
B41J2/21
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021045742
(22)【出願日】2021-03-19
(65)【公開番号】P2022144649
(43)【公開日】2022-10-03
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000137823
【氏名又は名称】株式会社ミマキエンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100166545
【弁理士】
【氏名又は名称】折坂 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142653
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 直樹
(72)【発明者】
【氏名】勝澤 祐太
【審査官】益戸 宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-199634(JP,A)
【文献】特表2012-514739(JP,A)
【文献】特開2011-223145(JP,A)
【文献】特開2007-142953(JP,A)
【文献】特開2007-106113(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第106739484(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/60
G06T 1/00
B41J 2/525
B41J 2/21
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
色を示す入力値である入力色に対して色を示す出力値である出力色を出力する色変換装置であって、
前記入力色に対応する設定値が設定されているテーブルを格納するテーブル格納部と、
前記テーブル格納部に格納されている前記テーブルを用いて前記入力色に対応する前記出力色を決定する色変換部と
を備え、
前記テーブルは、所定の色空間において色を示す複数のパラメータである複数の色指定値のそれぞれをインデックスとして前記入力色に対応する前記設定値を示すテーブルであり、
前記テーブル格納部は、前記インデックスとして用いる前記色指定値の刻み幅が互いに異なる複数の前記テーブルを格納し、
前記色変換部は、
前記色指定値の刻み幅が相対的に小さい第1の前記テーブルに対し、前記入力色に対応する前記設定値が設定されているか否かの判定を行い、
前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応する前記設定値が設定されている場合には、前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応して設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定し、
前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応する前記設定値が設定されていない場合には、前記色指定値の刻み幅が相対的に大きい第2の前記テーブルにおいて前記入力色に対応して設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定することを特徴とする色変換装置。
【請求項2】
前記テーブル格納部は、前記第1のテーブルとして、少なくとも一部の前記色指定値における少なくとも一部の範囲に前記設定値が設定されていないテーブルを格納することを特徴とする請求項1に記載の色変換装置。
【請求項3】
前記テーブル格納部は、前記第2のテーブルとして、いずれの前記入力色に対しても対応する前記設定値が設定されているテーブルを格納することを特徴とする請求項2に記載の色変換装置。
【請求項4】
前記テーブルにおける前記設定値は、前記入力色と前記出力色との差分を示す値であり、
前記色変換部は、前記テーブルにおける前記設定値が示す前記差分に基づいて前記入力色を補正することで、前記出力色を決定することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の色変換装置。
【請求項5】
前記テーブル格納部は、前記色指定値の刻み幅が互いに異なる3つ以上の前記テーブルを格納し、
前記色変換部は、前記入力色に対応する前記設定値が設定されている前記テーブルのうち、前記刻み幅が最も小さい前記テーブルに設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の色変換装置。
【請求項6】
前記入力色として、測色機を用いて測色される色を示す値を用い、
前記色変換部は、前記出力色として、所定の条件によって前記入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値を決定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の色変換装置。
【請求項7】
前記入力色は、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色を示し、
前記色変換部は、前記出力色として、時間の経過によって前記入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値を決定することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の色変換装置。
【請求項8】
前記入力色は、前記インクジェットプリンタを用いて印刷された直後の色を示し、
前記色変換部は、前記出力色として、フォトブリーチ現象によって色の変化が生じた状態での色の予測値を決定することを特徴とする請求項7に記載の色変換装置。
【請求項9】
色を示す入力値である入力色に対して色を示す出力値である出力色を出力する色変換装置であって、
前記入力色に対応する設定値が設定されているテーブルを格納するテーブル格納部と、
前記テーブル格納部に格納されている前記テーブルを用いて前記入力色に対応する前記出力色を決定する色変換部と
を備え、
前記入力色は、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色を示し、
前記色変換部は、前記出力色として、時間の経過によって前記入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値を決定することを特徴とする色変換装置。
【請求項10】
色を示す入力値である入力色に対して色を示す出力値である出力色を出力する色変換方法であって、
前記入力色に対応する設定値が設定されているテーブルを用いて前記入力色に対応する前記出力色を決定し、
前記テーブルは、所定の色空間において色を示す複数のパラメータである複数の色指定値のそれぞれをインデックスとして前記入力色に対応する前記設定値を示すテーブルであり、
前記テーブルとして、前記インデックスとして用いる前記色指定値の刻み幅が互いに異なる複数の前記テーブルを用い、
前記出力色を決定する動作において、
前記色指定値の刻み幅が相対的に小さい第1の前記テーブルに対し、前記入力色に対応する前記設定値が設定されているか否かの判定を行い、
前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応する前記設定値が設定されている場合には、前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応して設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定し、
前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応する前記設定値が設定されていない場合には、前記色指定値の刻み幅が相対的に大きい第2の前記テーブルにおいて前記入力色に対応して設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定することを特徴とする色変換方法。
【請求項11】
色を示す入力値である入力色に対して色を示す出力値である出力色を出力する色変換方法であって、
前記入力色に対応する設定値が設定されているテーブルを用いて前記入力色に対応する前記出力色を決定し、
前記入力色は、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色を示し、
前記出力色を決定する動作において、前記出力色として、時間の経過によって前記入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値を決定することを特徴とする色変換方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、色変換装置及び色変換方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットプリンタ用のインクとして、紫外線硬化型インク(UVインク)が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。紫外線インクを用いて印刷を行う場合、紫外線を照射することでインクを瞬時に硬化させることが可能であるため、印刷対象の媒体(メディア)へインクを吐出した後(プリント後)に乾燥工程を行うことが不要になる。また、これにより、例えば、プリント後、すぐに、媒体に対する加工(後加工)や施工等を行うことができる。また、このような特長から、紫外線硬化型インクについては、例えば、生産性が高いインク等と考えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-26063号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
紫外線硬化型インクを用いて印刷を行う場合、時間の経過によってインクの色が変化する場合がある。また、その結果、媒体へインクを吐出した直後におけるインクの色と、時間が経過した後のインクの色との間に、差が生じる場合がある。より具体的に、紫外線硬化型インクは、通常、重合を開始させるための成分である開始剤(重合開始剤)を含む。そして、この場合、印刷時に紫外線を照射した後に開始剤の影響で生じるフォトブリーチ現象等により、インクの色(色味)が変化する場合がある。また、この場合、例えば開始剤の種類や添加量等により、色が安定するまでの時間や色の変化の度合いが異なることが考えられる。例えば、インクの色が安定するまでには、通常、8~24時間程度の時間がかかる。
【0005】
また、この場合、このような色の変化が生じることで、所望の色での印刷を行うことが難しくなることが考えられる。例えば、印刷した直後に色の検査を行う場合等において、検査の結果に問題がなくても、数時間後又は数日後等に色味の変化が生じ、検査に合格しない品質に変化する場合がある。また、インクジェットプリンタを用いて印刷を行う場合、色見本となるカラーチャートを印刷して、測色を行うことで、色の調整(カラーマッチング)を行う場合がある。そして、上記のような色の変化が生じる場合、このようにカラーマッチングを行ったとしても、高い精度での色の調整を行うことが難しくなる。
【0006】
また、このような問題に対しては、例えば、印刷した直後に色の検査やカラーマッチング等を行うのではなく、時間の経過によって色が安定した後に、検査やカラーマッチング等を行えばよいようにも思われる。しかし、この場合、検査やカラーマッチング等が完了するまでの時間が長くなり、生産性が大幅に低下することになる。そこで、本発明は、上記の課題を解決できる色変換装置及び色変換方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の発明者は、上記のような色の変化に関連する問題を解決するために、変化前の色に基づいて変化後の色を予測することを考えた。より具体的に、この場合、例えば、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色(印刷直後の色)に基づき、時間の経過によって変化した後の色を予測することが考えられる。また、この場合、印刷直後の色と補正値とを対応付けたテーブル等を用いて色の予測を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、フォトブリーチ現象等によりインクの色の変化が生じる場合にも、変化後の色を適切に予測することができる。また、これにより、例えば、印刷直後の色に基づき、色の検査やカラーマッチング等を適切に行うことができる。
【0008】
また、本願の発明者は、更なる鋭意研究により、単にテーブルを用いるのではなく、印刷直後の色を指定するインデックスの刻み幅(テーブルの分割数)が互いに異なる複数のテーブルを用いることで、より適切に色の予測を行い得ることを見出した。より具体的に、色の予測を高い精度で行うためには、テーブルにおけるインデックスの刻み幅を小さくすることで分割数を多くしたテーブルを用いることが好ましい。しかし、インクジェットプリンタで表現可能な色の範囲(ガマット)の全体について、インデックスの刻み幅を小さくすると、全てのインデックスに対応する値を設定することが難しくなる。例えば、測色を行った結果に基づいてテーブルを作成する場合、刻み幅の小さなテーブルにおいて全てのインデックスに対応する値を設定しようとすると、測色に要する工数が極めて大きくなることが考えられる。一方で、人間の視覚の感度等を考えた場合、インクジェットプリンタで表現可能な色の範囲において、通常、色によって、再現性の重要度が異なると考えられる。そのため、全ての色に対して刻み幅の小さなテーブルを用いなくても、人間の視覚の感度に対して十分な精度での色の予測を行うことが可能である。そして、この場合、上記のように複数のテーブルを用いることで、より適切に色の予測を行うことができる。
【0009】
また、本願の発明者は、このようにして複数のテーブルを用いる構成について、紫外線硬化型インクに生じる色の変化を予測する場合に限らず、色の変換を行う様々な用途においても有用であることを見出した。そして、更なる鋭意研究により、このような効果を得るために必要な特徴を見出し、本発明に至った。
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、色を示す入力値である入力色に対して色を示す出力値である出力色を出力する色変換装置であって、前記入力色に対応する設定値が設定されているテーブルを格納するテーブル格納部と、前記テーブル格納部に格納されている前記テーブルを用いて前記入力色に対応する前記出力色を決定する色変換部とを備え、前記テーブルは、所定の色空間において色を示す複数のパラメータである複数の色指定値のそれぞれをインデックスとして前記入力色に対応する前記設定値を示すテーブルであり、前記テーブル格納部は、前記インデックスとして用いる前記色指定値の刻み幅が互いに異なる複数の前記テーブルを格納し、前記色変換部は、前記色指定値の刻み幅が相対的に小さい第1のテーブルに対し、前記入力色に対応する前記設定値が設定されているか否かの判定を行い、前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応する前記設定値が設定されている場合には、前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応して設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定し、前記第1のテーブルにおいて前記入力色に対応する前記設定値が設定されていない場合には、前記色指定値の刻み幅が相対的に大きい第2のテーブルにおいて前記入力色に対応して設定されている前記設定値を用いて、前記出力色を決定することを特徴とする。
【0011】
このように構成した場合、例えば、テーブルに設定されている設定値を用いて、入力色に対応する出力色を適切に決定することができる。また、これにより、例えば、入力色を出力色に変換する色の変換を適切に行うことができる。また、この場合において、色指定値の刻み幅が互いに異なるテーブルを用いることで、例えばテーブルの作成に要する工数を削減して、より容易かつ適切に色の変換を行うことができる。そのため、このように構成すれば、例えば、入力色に対応する出力色の予測を適切に行うことができる。
【0012】
ここで、この構成において、入力色としては、例えばLab色空間での色を示す値を用いることが考えられる。この場合、色指定値としては、L値、a値、及びb値を用いることが考えられる。また、この構成において、色変換部の動作については、例えば、第1のテーブルにおいて入力色に対応する設定値が設定されているか否かに応じて出力色の決定の仕方を異ならせていると考えることができる。
【0013】
また、この構成において、第1のテーブルとしては、例えば、少なくとも一部の色指定値における少なくとも一部の範囲に設定値が設定されていないテーブルを用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、インデックスの刻み幅が小さなテーブルに設定する設定値の数を減らすことで、テーブルの作成に要する工数を適切に削減することができる。また、第2のテーブルとしては、いずれの入力色に対しても対応する設定値が設定されているテーブルを用いることが考えられる。この場合、いずれの入力色に対しても対応する設定値が設定されていることについては、例えば、入力色として用いると想定される全ての値(色)に対して対応する設定値が設定されていること等と考えることができる。このように構成すれば、第1のテーブルに対応する設置値が設定されていない入力色に対しても、第2のテーブルに設定されている設定値を用いて、出力色を適切に決定することができる。
【0014】
また、この構成において、テーブルにおける設定値としては、例えば、入力色と出力色との差分を示す値を用いることが考えられる。この場合、色変換部は、例えば、テーブルにおける設定値が示す差分に基づいて入力色を補正することで、出力色を決定する。このように構成すれば、例えば、入力色に対応する出力色を適切に決定することができる。また、テーブル格納部は、例えば、色指定値の刻み幅が互いに異なる3つ以上のテーブルを格納してもよい。この場合、色変換部は、例えば、入力色に対応する設定値が設定されているテーブルのうち、刻み幅が最も小さいテーブルに設定されている設定値を用いて、出力色を決定する。このように構成すれば、例えば、色の変換に使用する設定値の精度を入力色によって柔軟に変化させることができる。また、これにより、例えば、色によって異なる必要な変換の精度等に応じて、色の変換をより適切に行うことができる。
【0015】
また、この構成において、入力色としては、例えば、測色機を用いて測色される色を示す値を用いることが考えられる。また、色変換部は、出力色として、例えば、所定の条件によって入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値を決定する。入力色に対応する色が変化した状態については、例えば、入力色の取得時に測色機を用いて測色された色が変化した状態等と考えることができる。このように構成すれば、例えば測色を行った後に生じる色の変化を考慮して、色の予測を適切に行うことができる。
【0016】
また、この構成で色の予測を行う用途に関し、入力色としては、例えば、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色を示す値を用いること等が考えられる。そして、この場合、色変換部は、出力色として、例えば、時間の経過によって入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値を決定する。このように構成すれば、例えば、インクジェットプリンタで印刷を行った直後の色に基づき、その後に色の変化が生じた後の色を適切に予測することができる。また、これにより、例えば、インクジェットプリンタで印刷を行った直後の色に基づき、色の検査やカラーマッチング等を適切に行うことができる。
【0017】
また、より具体的に、この場合、入力色としては、例えば、インクジェットプリンタを用いて印刷された直後の色を示す値を用いる。そして、色変換部は、出力色として、例えば、フォトブリーチ現象によって色の変化が生じた状態での色の予測値を決定する。この場合、インクジェットプリンタを用いて印刷された直後の色については、例えば、フォトブリーチ現象が発生していない状態での色等を考えることができる。このように構成すれば、例えば、フォトブリーチ現象の影響を適切に予測することができる。
【0018】
また、本発明の特徴については、例えば、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色が時間の経過によって変化することに着目して考えることもできる。また、この特徴については、例えば、フォトブリーチ現象等による紫外線硬化型インクの色の変化に着目した特徴等と考えることができる。また、本発明の構成として、上記と同様の特徴を有する色変換方法等を用いることも考えられる。これらの場合も、例えば、上記と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、例えば、入力色に対応する出力色の予測を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする図である。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。
図2】本例においてテーブルを作成する動作の一例を示すフローチャートである。
図3】テーブルを作成する動作について更に詳しく説明をする図である。図3(a)は、ステップS104及びS106の動作の例を具体的に示す。図3(b)は、ステップS108及びS110の動作の例を具体的に示す。図3(c)は、ステップS112の動作の例を具体的に示す。
図4】色の予測を行う動作の一例を示すフローチャートである。
図5】テーブル300を用いて色の予測を行う動作について更に詳しく説明をする図である。図5(a)は、ステップS204の動作の例を具体的に示す。図5(b)は、ステップS206の動作の例を具体的に示す。図5(c)は、ステップS208の動作の例を具体的に示す。
図6】複数のテーブル300を用いることに関して更に詳しく説明をする図である。図6(a)は、複数のテーブル300の構成の一例を示す。図6(b)は、複数のテーブル300を用いて補正値を決定する動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る印刷システム10について説明をする。図1(a)は、印刷システム10の構成の一例を示す。図1(b)は、印刷システム10における印刷装置12の構成の一例を示す。図1(c)は、印刷装置12におけるヘッド部102の構成の一例を示す。以下において説明をする点を除き、印刷システム10は、公知の印刷システムと同一又は同様の特徴を有してよい。本例において、印刷システム10は、インクジェット方式での印刷を行うシステムであり、印刷装置12及び制御PC14を備える。印刷装置12は、印刷システム10において印刷を実行するインクジェットプリンタであり、図1(b)に示すように、ヘッド部102、プラテン104、走査駆動部106、及び制御部110を有する。
【0022】
ヘッド部102は、印刷対象の媒体(メディア)50に対してインクを吐出する構成である。また、本例において、ヘッド部102は、図1(c)に示すように、キャリッジ120、複数のインクジェットヘッド122、複数の紫外線光源124、及び測色機126を有する。キャリッジ120は、ヘッド部102における他の構成を保持する保持部材である。複数のインクジェットヘッド122は、互いに異なる色のインクを吐出する吐出ヘッドである。また、本例において、ヘッド部102は、図中にインクジェットヘッド122y、m、c、k(以下、インクジェットヘッド122y~kという)と区別して示すように。イエロー色(Y色)のインクを吐出するインクジェットヘッド122y、マゼンタ色(M色)のインクを吐出するインクジェットヘッド122m、シアン色(C色)のインクを吐出するインクジェットヘッド122c、及びブラック色(K色)のインクを吐出するインクジェットヘッド122yを有する。また、本例において、インクジェットヘッド122y~kのそれぞれは、紫外線が照射されることで硬化する紫外線硬化型インクを吐出する。インクジェットヘッド122y~kは、印刷装置12において予め設定された副走査方向(X方向)の位置を揃えて、副走査方向と直交する主走査方向(Y方向)へ並べて配設される。また、インクジェットヘッド122y~kのそれぞれは、媒体50と対向する面に、副走査方向へ複数のノズルが並ぶノズル列を有する。ヘッド部102の構成の変形例において、ヘッド部102は、上記以外の色のインクを吐出するインクジェットヘッド122を有してもよい。また、複数のインクジェットヘッド122の配置等について、上記の配置等と異ならせてもよい。
【0023】
複数の紫外線光源124は、紫外線硬化型インクを硬化させる紫外線を硬化させる光源であり、インクジェットヘッド122y~kから吐出されて媒体50に着弾したインクへ紫外線を照射して、硬化させることにより、媒体50にインクを定着させる。また、本例において、複数の紫外線光源124のそれぞれは、インクジェットヘッド122y~kの並びに対し、主走査方向における一方側及び他方側のそれぞれに配設される。測色機126は、媒体50上のインクの色を測定(測色)する構成である。本例において、測色機126については、例えば、キャリッジ120に保持されたオンキャリッジの測色機等と考えることができる。測色機126を用いる用途等については、後に更に詳しく説明をする。
【0024】
プラテン104は、ヘッド部102と対向させて媒体50を保持する台状部材である。本例において、プラテン104は、上面に媒体50を載置することで、ヘッド部102と対向させて媒体50を保持する。走査駆動部106は、媒体50に対して相対的に移動する走査動作をインクジェットヘッド122y~kに行わせる駆動部である。本例において、走査駆動部106は、走査動作として、主走査動作及び副走査動作をインクジェットヘッド122y~kに行わせる。この場合、主走査動作とは、媒体50に対して相対的に主走査方向へ移動しつつインクを吐出する動作のことである。本例において、走査駆動部106は、ヘッド部102の全体を主走査方向へ移動させつつインクジェットヘッド122y~kにインクを吐出させることで、インクジェットヘッド122y~kに主走査動作を行わせる。また、副走査動作とは、媒体50に対して相対的に副走査方向へ移動する動作のことである。本例において、走査駆動部106は、主走査動作の合間にインクジェットヘッド122y~kに副走査動作を行わせることで、媒体50の送り動作の駆動を行う。また、この場合、走査駆動部106は、例えば、図示を省略したローラ等を用いて媒体50を搬送することで、インクジェットヘッド122y~kに副走査動作を行わせる。
【0025】
制御部110は、例えば印刷装置12のCPU等を含む部分であり、印刷装置12の各部の動作を制御することで、印刷装置12に印刷の動作を実行させる。また、本例において、制御部110は、制御PC14の制御に応じて、印刷装置12に印刷の動作を実行させる。
【0026】
制御PC14は、印刷装置12の動作を制御するコンピュータであり、例えば所定のプログラムに従って動作することで、印刷すべき画像を示す印刷データを印刷装置12へ供給する。また、これにより、制御PC14は、印刷装置12における印刷の動作を制御する。本例によれば、例えば、印刷の動作を印刷装置12に適切に実行させることができる。
【0027】
また、本例において、制御PC14は、所定のプログラムに従って、色変換装置としても動作する。この場合、色変換装置については、例えば、色を示す入力値である入力色に対して色を示す出力値である出力色を出力する装置等と考えることができる。また、後に詳しく説明をするように、本例において、入力色としては、印刷装置12によって印刷される色を示す値を用いる。この場合、入力色について、例えば、紫外線硬化型インクを用いるインクジェットプリンタで印刷される色を示す値等と考えることができる。また、この場合、制御PC14の少なくとも一部について、色変換部202及びテーブル格納部204として機能すると考えることができる。この場合、例えば、制御PC14のCPUが色変換部202として機能すると考えることができる。また、制御PC14におけるストレージ(HDD又はSSD等)やメモリ等がテーブル格納部204として機能すると考えることができる。
【0028】
また、この場合、色変換部202については、例えば、所定のテーブルを用いて入力色に対応する出力色を決定する構成等と考えることができる。テーブル格納部204については、例えば、テーブルを格納する構成等と考えることができる。また、この場合、色変換部202の動作について、例えば、テーブル格納部204に格納されているテーブルを用いて色の変換を行う動作等と考えることもできる。また、本例において、テーブルとしては、入力色に対応する設定値が設定されているテーブルを用いる。
【0029】
続いて、色変換装置としての制御PC14の動作等について、更に詳しく説明をする。先ず、本例において色の変換を行う理由等について、説明をする。上記においても説明をしたように、本例において、印刷装置12は、紫外線硬化型インクを用いて、媒体50への印刷を行う。そして、この場合、フォトブリーチ現象等により、印刷後にインクの色(色味)が変化する場合がある。より具体的に、本例において、印刷装置12で用いる紫外線硬化型インクは、ラジカル重合型の紫外線硬化がインクであり、インクの色材、モノマー又はオリゴマー等の重合性成分、及び重合の開始剤(重合開始剤)等を含む。この場合、媒体50への着弾の直後のインクへ紫外線光源124により紫外線を照射すると、通常、数m秒以内程度の間に開始剤がラジカルを発生する。そして、このラジカルが重合性成分と反応することで、例えば紫外線を照射してから数秒以内程度の間に、重合性成分が重合して、インクを硬化させる。また、この場合、ラジカルが発生するタイミングでは、例えば、インクの色が黄色味を帯びるインクの黄変が生じることになる。そして、重合性物質が重合するタイミングでは、通常、例えば、黄変が一旦消失することになる。しかし、紫外線硬化型インクを用いる場合、硬化後にも残る開始剤の影響により、数分~数日程度の間にフォトブリーチ現象が発生して、媒体50に定着した後のインクの色(色味)に変化が生じる場合がある。また、この場合、例えば開始剤の種類や添加量等により、色が安定するまでの時間や色の変化の度合いが異なることが考えられる。より具体的に、インクの色が安定するまでには、通常、8~24時間程度の時間がかかる。
【0030】
そして、このような色の変化が生じると、例えば、所望の色での印刷を行うことが難しくなること等が考えられる。また、例えば印刷した直後に色の検査を行う場合等において、検査の結果に問題がなくても、数時間後又は数日後等に色味の変化が生じ、検査に合格しない品質に変化する場合がある。また、印刷システム10において印刷を行う場合、例えば、色見本となるカラーチャートを印刷して、測色を行うことで、色の調整(カラーマッチング)を行うこと等も考えられる。そして、この場合、上記のような色の変化が生じると、カラーマッチングを行ったとしても、高い精度での色の調整を行うことが難しくなる。また、例えば色が安定した後にカラーマッチングを行おうとすれば、カラーマッチングの作業が完了するまでの時間が増大することになる。
【0031】
これに対し、本例においては、フォトブリーチ現象による変化後の色の予測を制御PC14で行うことで、これらの問題に対する対応を行っている。より具体的に、本例において、印刷装置12において、測色機126を用いて、媒体50への印刷を行った直後のインクの色の測色を行う。そして、制御PC14において、媒体50への印刷を行った直後のインクの色の測色結果に対し、予め作成されたテーブルを用いて、フォトブリーチ現象による変化後の色の予測を行う。このように構成すれば、例えば、予測結果の色を所望の色に合わせることで、所望の色での印刷を適切に行うことができる。また、この場合、予測結果の色を用いて検査やカラーマッチング等を行うことで、色が安定する前に検査やカラーマッチング等を適切に行うことができる。
【0032】
また、この場合、テーブルについては、例えば、図2に示す動作によって作成することが考えられる。図2は、本例においてテーブルを作成する動作の一例を示すフローチャートである。図2に示すフローチャートについては、例えば、色の補正に用いるテーブルを作成するテーブル作成処理の工程におけるアルゴリズムを示すフローチャート等と考えることもできる。
【0033】
本例においては、色の予測に用いるテーブルについて、印刷の直後及び色の安定後に測色を行い、色の変化を確認することで作成する。より具体的に、この場合、所定のカラーチャートを印刷装置12により印刷し(S102)、印刷の直後に、印刷されたカラーチャートに対する測色を行う(S104)。この場合、例えば、印刷装置12におけるプラテン104上に設置されている媒体50に対し、測色機126を用いて、測色を行うことが考えられる。また、カラーチャートについては、例えば、様々な色を示す色見本等と考えることができる。また、カラーチャートとしては、例えば、カラーマッチングの実行時に用いる公知のカラーチャート等を好適に用いることができる。より具体的に、カラーチャートとしては、例えば、ECI2002のカラーチャート等を好適に用いることができる。また、印刷されたカラーチャートに対する測色については、例えば、カラーチャートが示す様々な色に対する測色等と考えることができる。また、印刷の直後に行う測色については、例えば、フォトブリーチ現象による色の変化が生じる前に行う測色等と考えることができる。また、実用上、印刷の直後に行う測色については、例えば、作業者等の目視による観察等で実質的に色の変化が生じていないと判断できる期間内に行うことが考えられる。
【0034】
また、ステップS104での測色を行った後には、フォトブリーチ現象による色の変化が落ち着くのを待って、色が安定した段階で、再度の測色を行う(S106)。この場合も、例えば、印刷装置12におけるプラテン104上に設置されている媒体50に対し、測色機126を用いて、測色を行うことが考えられる。また、色の安定までの多くの時間がかかる場合等には、プラテン104上から取り外した媒体50に対し、印刷装置12に設置されている測色機126以外の測色機を用いて測色を行うこと等も考えられる。また、この場合、色が安定したことについては、例えば、作業者等の目視による観察等で実質的に色が安定したと判断できた状態等と考えることができる。
【0035】
また、印刷直後及び色安定後の色の測色をステップS104及びS106で測色を行った後には、これらの測色結果に基づき、テーブルを作成する。また、本例において、テーブルを作成するために行う処理については、制御PC14において行う。より具体的に、この場合、制御PC14は、空のテーブルを用意し(S108)、ステップS104で測色した色がテーブルのどの領域に入るかを求めることで、ステップS104での測色の結果(測色値)をテーブルに対応付ける(S110)。そして、印刷直後及び色安定後の色に基づき、ステップS104での測色値に対応する補正値を算出して、ステップS104での測色値と対応付けて、テーブルに補正値を格納する(S112)。また、本例において、テーブルに格納する補正値は、入力色に対応する設定値の一例である。このように構成すれば、例えば、フォトブリーチ現象による変化後の色を予測するために用いるテーブルを適切に作成することができる。また、この場合、図2に示すフローチャートにおける各ステップでの動作について、より具体的には、図3に示すように実行することが考えられる。
【0036】
図3は、テーブルを作成する動作について更に詳しく説明をする図であり、図2に示すフローチャートにおける各ステップでの動作の一例をより具体的に示す。図3(a)は、ステップS104及びS106の動作の例を具体的に示す。図3(b)は、ステップS108及びS110の動作の例を具体的に示す。図3(c)は、ステップS112の動作の例を具体的に示す。
【0037】
本例において、ステップS104及びS106での測色では、測色の結果を示す測色値として、Lab表色系で色を示すLab値を取得する。より具体的に、図3(a)においては、印刷直後の色の測色値の例として、L値、a値、b値がA1、B1、C1になる第1の色と、L値、a値、b値がD1、E1、F1になる第2の色とを図示している。また、これらの色がフォトブリーチ現象により変化して、安定した後の色の測色値の例として、第1の色の変化後の色の測色値においてL値、a値、b値がA2、B2、C2になり、第2の色の変化後の色の測色値においてL値、a値、b値がD2、E2、F2になる例を図示している。
【0038】
また、本例において、ステップS108では、空のテーブルとして、図3(b)に示すように、Lab表色系において色を示す複数のパラメータであるL値、a値、及びb値をインデックスとして用いるテーブル300を作成する。テーブル300については、例えば、Lab空間を分割したテーブル等と考えることができる。また、本例において、Lab表色系は、所定の色空間の一例である。L値、a値、及びb値は、複数の色指定値の一例である。また、本例において用いるテーブル300については、例えば、複数の色指定値のそれぞれをインデックスとして入力色に対応する設定値を示すテーブル等と考えることができる。また、本例において、この入力色については、Lab色空間での色を示す値を用いると考えることができる。
【0039】
また、本例において用いるテーブル300については、例えば、入力色に対して所定の設定値(補正値)が対応付けられたルックアップテーブル等と考えることもできる。ルックアップテーブルについては、例えば、値の対応付けを行った配列状のデータ構造等と考えることもできる。また、本例のように、L値、a値、及びb値をテーブルのインデックスとして用いる場合、テーブル300について、3次元配列のデータ構造を有していると考えることができる。また、テーブル300については、インデックスとして用いるパラメータに対して所定の刻み幅で設定値が設定されると考えることができる。また、この場合、それぞれの設定値が設定される位置について、テーブル300におけるセル302と考えることができる。また、セル302については、例えば、テーブル300において値が設定されるフィールド等と考えることもできる。また、図3(b)では、テーブル300におけるそれぞれのセル302について、番号1~27を付すことで区別して図示をしている。また、この場合、番号1~27を付したセル302について、テーブル300における一部のセル302を抜き出して図示していると考えることができる。
【0040】
また、本例において、テーブル300としては、例えば、ICCプロファイルと同一又は同様の形式のデータ構造のテーブル等を用いることが考えられる。また、後に更に詳しく説明をするように、本例において、色の予測時には、インデックスの刻み幅が互いに異なる複数のテーブルを用いる。そのため、テーブルの作成時にも、インデックスの刻み幅が互いに異なる複数のテーブルを作成する。このような複数のテーブルを用いることに関連する事項については、後に更に詳しく説明をする。
【0041】
また、このようなテーブル300を用いる場合、ステップS110では、ステップS104での測色値がいずれのセル302に対応するかを識別することで、ステップS104での測色値をテーブルに対応付ける。例えば、図3(b)では、L値、a値、b値がA1、B1、C1になる第1の色が番号12を付したセル302に対応し、L値、a値、b値がD1、E1、E1になる第2の色が番号7を付したセル302に対応する場合の例を示している。
【0042】
また、ステップS112では、上記においても説明をしたように、ステップS104での測色値に対応する補正値を算出する。より具体的に、本例においては、例えば図3(c)の右側部分に示すように、補正値として、ステップS104及びS106での測色値の差分を算出する。そして、ステップS104での測色値に対応するセル302の設定値(補正値)として測色値に対応する差分を設定することで、ステップS104での測色値と対応付けて、テーブル300に補正値を格納する。この場合、ステップS104及びS106での測色値の差分については、例えば、色の予測時(変換時)における入力色と出力色との差分を示す値に相当すると考えることができる。
【0043】
また、更に具体的に、この場合、例えば、上記において説明をした第1の色に対応する番号12を付したセル302に対しては、第1の色に対応する補正値を設定する。また、第2の色に対応する番号7を付したセル302に対しては、第2の色に対応する補正値を設定する。また、テーブル300におけるインデックスの刻み幅によっては、ステップS104での複数の測色値が1つのセル302に対応すること等も考えられる。この場合、セル302に対応する設定値としては、例えば、そのセル302に対応する複数の測色値に対応する複数の補正値の平均値を用いることが考えられる。このように構成すれば、例えば、測色結果から得られる補正値をテーブル300に適切に設定することができる。
【0044】
続いて、テーブル300を用いて色の予測を行う動作について、説明をする。図4は、色の予測を行う動作の一例を示すフローチャートである。この場合、色の予測を行うことについては、例えば、色の変換を行う動作や色の補正を行う動作等と考えることもできる。また、図4に示すフローチャートについては、例えば、フォトブリーチ現象による変化後の色を予測する予測処理の工程におけるアルゴリズムを示すフローチャート等と考えることもできる。
【0045】
本例において、テーブル300を用いて色の予測を行う場合、先ず、所定のカラーチャートを印刷装置12により印刷し(S202)、印刷の直後に、印刷されたカラーチャートに対する測色を行う(S204)。この場合、カラーチャートについては、テーブル300の作成時に印刷するカラーチャートと同一又は同様のカラーチャートを用いることが考えられる。より具体的に、ステップS202及びS204の動作については、例えば、テーブル300を作成する動作におけるステップS102及びS104の動作と同一又は同様に行うことができる。また、本例では、ステップS204での測色により得られる測色値について、色の予測に用いる入力色と考えることができる。また、入力色について、印刷装置12における測色機126を用いて測色される色を示す値等と考えることができる。また、入力色について、例えば、印刷装置12を用いて印刷された直後の色を示す値等と考えることもできる。
【0046】
また、本例においては、制御PC14において、カラーチャートが示す様々な色に対する複数の測色値を入力色として用いて、それぞれの測色値に対応する出力色を予測する。また、この予測の動作では、テーブル300を用いて、それぞれの入力色に対応する補正値を取得する(S206)。この場合、それぞれの入力色に対応する補正値については、例えば、テーブル300において入力色に対応するセル302に格納(設定)されている補正値等と考えることができる。
【0047】
また、このようにして入力色に対応する補正値を取得した後には、補正値を用いて入力色に対する補正を行うことで色変換の処理を行って、出力色を算出する(S208)。この場合、出力色については、例えば、入力色に対応する色がフォトブリーチ現象で変化した後の色を示すと考えることができる。出力色については、例えば、所定の条件によって入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値等と考えることもできる。入力色に対応する色が変化した状態については、例えば、入力色の取得時に測色機126を用いて測色された色が変化した状態等と考えることができる。また、出力色について、例えば、時間の経過によって入力色に対応する色が変化した状態での色の予測値等と考えることもできる。また、上記においても説明をしたように、本例において、補正値については、入力色と出力色との差分を示す値等と考えることができる。そのため、ステップS208での制御PC14の動作については、例えば、テーブル300における設定値が示す差分に基づいて入力色を補正することで出力色を決定する動作等と考えることができる。
【0048】
また、本例でのステップS208において、制御PC14は、ステップS204で測色することで得られる複数の入力色のそれぞれに対応する出力色を算出する。本例によれば、例えば、印刷直後の色に対する測色値と、テーブル300に格納されている補正値を用いて、印刷後に色が安定した状態での色の予測を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、測色を行った後に生じる色の変化を考慮して、色の予測を適切に行うことができる。また、本例において、ステップS204で測色を行う印刷直後の色については、例えば、フォトブリーチ現象が発生していない状態での色等を考えることができる。ステップS208において算出する出力色については、例えば、フォトブリーチ現象によって色の変化が生じた状態での色の予測値等と考えることができる。そのため、本例によれば、例えば、フォトブリーチ現象の影響を適切に予測することができる。また、この場合、図4に示すフローチャートにおける各ステップでの動作について、より具体的には、図5に示すように実行することが考えられる。
【0049】
図5は、テーブル300を用いて色の予測を行う動作について更に詳しく説明をする図であり、図4に示すフローチャートにおける各ステップでの動作の一例をより具体的に示す。図5(a)は、ステップS204の動作の例を具体的に示す。図5(b)は、ステップS206の動作の例を具体的に示す。図5(c)は、ステップS208の動作の例を具体的に示す。
【0050】
本例において、ステップS204での測色では、テーブル300を作成する動作でのステップS104等での測色と同様に、測色の結果を示す測色値として、Lab表色系で色を示すLab値を取得する。より具体的に、図5(a)においては、ステップS204で取得する測色値の例として、L値、a値、b値がA3、B3、C3になる色と、L値、a値、b値がD3、E3、F3になる色とを図示している。
【0051】
また、ステップS206では、制御PC14において、例えば図5(b)に示すように、ステップS204で取得した測色値に対応する補正値を取得する。この場合、ステップS204で取得した測色値を入力色として用い、測色値がテーブル300のどのセル302に入るかを求めることで、テーブル300において入力色に対応するセル302を検索する。そして、そのセル302に格納(設定)されている設定値を入力色に対応する補正値として取得する。また、より具体的に、図5(b)においては、図3(c)において番号12及び7を付したセル302がステップS204で取得した測色値に対応するセル302になっている場合について、測色値と補正値との対応関係の例を示している。
【0052】
また、ステップS208では、制御PC14において、例えば図5(c)に示すように、ステップS204で取得した測色値を入力色として、ステップS206で取得した補正に基づき、入力色に対する補正を行い、出力色を算出する。また、より具体的に、本例においては、例えば図中に示すように、入力色を示すLab値に対して補正値を加算することで、出力値を算出する。このように構成すれば、例えば、印刷後に色が安定した状態での色を示す出力値を適切に算出することができる。
【0053】
また、より具体的に、本例においては、上記においても説明をしたように、インデックスの刻み幅が互いに異なる複数のテーブル300を用いて、色の予測を行う。また、テーブル300の作成時にも、インデックスの刻み幅が互いに異なる複数のテーブル300を作成する。そこで、以下、複数のテーブル300を用いることに関連する事項について、更に詳しく説明をする。
【0054】
図6は、複数のテーブル300を用いることに関して更に詳しく説明をする図である。図6(a)は、複数のテーブル300の構成の一例を示す。上記においても説明をしたように、本例においては、Lab表色系で色を示す色指定値であるL値、a値、及びb値をインデックスとして用いるテーブル300を用いる。この場合、テーブル300について、例えば、L値、a値、及びb値のそれぞれが所定の刻み幅のセル302に分割されており、それぞれのセル302に対して補正値が設定されているデータ構造等と考えることができる。また、この場合、それぞれのセル302について、例えば、テーブル300において補正値(設定値)を記憶する単位等と考えることができる。また、上記においても説明をしたように、本例において、複数のテーブル300としては、インデックスとして用いるこれらの値の刻み幅が互いに異なる複数のテーブル300を用いる。
【0055】
また、図6(a)においては、本例において用いる複数のテーブル300の例として、インデックスの刻み幅が互いに異なるテーブル300a、bを図示している。また、図示の便宜上、本来は3次元配列のデータ構造になっているテーブル300a、bについて、L値、a値、及びb値のうちのいずれかの2つの値のみに着目して、2次元配列のデータ構造に簡略化して図示をしている。また、図示した場合において、テーブル300aは、色指定値の刻み幅が相対的に小さい第1のテーブルの一例である。テーブル300aについては、例えば、分割数が相対的に多いテーブル等と考えることもできる。また、テーブル300bは、色指定値の刻み幅が相対的に大きい第2のテーブルの一例である。テーブル300bについては、例えば、分割数が相対的に少ないテーブル等と考えることもできる。
【0056】
また、この場合において、刻み幅が小さいテーブル300aとしては、Lab値の少なくとも一部の範囲に対して補正値が設定されていないテーブルを用いる。この場合、Lab値の少なくとも一部の範囲に対して補正値が設定されていないことについては、例えば、分割された複数のセル302のうちの少なくとも一部に対して補正値が設定されていないこと等と考えることができる。また、この場合、テーブル300aについて、例えば、少なくとも一部の色指定値における少なくとも一部の範囲に設定値が設定されていないテーブル等と考えることもできる。また、図6(a)においては、テーブル300aにおける複数のセル302について、番号1~9を付すことで区別して図示をしている。また、それぞれのセル302を示す番号について、補正値が設定されているセル302を示す番号には下線を付して示し、補正値が設定されていないセル302を示す番号には下線付さずに示している。より具体的に、図示した場合において、テーブル300aでは、番号4、9を付して示すセル302以外のセル302に対してのみ、補正値が設定されている。
【0057】
これに対し、刻み幅が大きいテーブル300bとしては、入力色の範囲として取り得るLab値の全ての範囲に対して補正値が設定されているテーブルを用いる。この場合、入力色の範囲として取り得るLab値の全ての範囲については、例えば、印刷装置12で表現可能な色の範囲(ガマット)に応じて予め設定された入力色の範囲等と考えることができる。また、テーブル300bについては、例えば、いずれの入力色に対しても対応する設定値が設定されているテーブル等と考えることもできる。また、テーブル300bについて、例えば、入力色として用いると想定される全ての値(色)に対して対応する設定値が設定されているテーブル等と考えることもできる。また、図6(a)においては、テーブル300bにおける複数のセル302について、番号1~4を付すことで区別して図示をしている。また、この場合も、テーブル300aと同様に、それぞれのセル302を示す番号について、補正値が設定されているセル302を示す番号には下線を付して示している。より具体的に、図示した場合において、テーブル300bでは、番号1~4を付して示す全てのセル302に対して、補正値が設定されている。
【0058】
このように構成した場合、例えば、インデックスの刻み幅が小さなテーブル300aに設定する補正値の数を減らすことで、テーブル300aの作成に要する工数を適切に削減することができる。また、この場合において、テーブル300aにおいて対応する補正値が設定されていないLab値に対しても、テーブル300bに設定されている補正値を用いて、入力色に対する補正を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、入力色に対応する出力色を適切に決定することができる。また、より具体的に、この場合、例えば、入力色に対応する補正値の有無の確認を分割数の多いテーブルから順に行い、そのテーブルに補正値が設定されていない場合には、分割数がより少ないテーブルから補正値を探すことが考えられる。例えば、図6(a)では、テーブル300aにおいて補正値が設定されていないセル302である4番及び9番のセル302のLab値を示す入力色402について、テーブル300bにおける1番、3番、又は4番のセル302に設定されている補正値を用いる場合の動作の例を示している。
【0059】
また、図6(a)においては、図示の便宜上、2種類のテーブル300a、bのみを図示している。しかし、例えばより高い精度での色の補正を行う場合等には、より多くのテーブル300を用いることが好ましい。この場合、制御PC14は、テーブル格納部204として、色指定値の刻み幅が互いに異なる3つ以上のテーブル300を格納する。また、制御PC14は、色変換部202としての動作において、例えば、入力色に対応する補正値が設定されているテーブル300のうち、刻み幅が最も小さいテーブル300に設定されている補正値を用いて、出力色を決定する。このように構成すれば、例えば、色の補正(変換)に使用する補正値の精度を入力色によって柔軟に変化させることができる。また、これにより、例えば、色によって異なる必要な変換の精度等に応じて、色の変換をより適切に行うことができる。
【0060】
また、より具体的に、この場合、制御PC14では、例えば、図6(b)にフォローチャートで示す動作によって、入力色に対応する補正値を決定する。図6(b)は、複数のテーブル300を用いて補正値を決定する動作の一例を示すフローチャートであり、図4に示したフローチャートにおけるステップS206において入力色に対応する補正値を取得する動作に関し、複数のテーブル300を用いる場合の動作の例をより具体的に示す。上記においても説明をしたように、本例において、制御PC14は、カラーチャートが示す様々な色に対する複数の測色値を入力色として用いて、それぞれの測色値に対応する出力色を予測する。また、この場合、出力色について、テーブル300に設定されている補正値を用いて入力色に対する補正(変換)を行うことで、決定する。また、この場合において、例えば図6(a)に示すテーブル300a、bのような複数のテーブル300を用い、入力色の補正に用いる補正値として、いずれかのテーブル300において入力色を示すLab値に対応するセル302に設定されている値を用いる。
【0061】
より具体的に、この場合、制御PC14は、複数のテーブル300の中から、最初のテーブル300を選択する(S302)。また、上記の説明等から理解できるように、本例において、制御PC14は、ステップS302において選択する最初のテーブル300として、インデックスの刻み幅が最も小さなテーブル300(分割数が最も多いテーブル300)を選択する。そして、テーブル300を選択した後、制御PC14は、そのテーブル300において入力色に対応する補正値が設定されているか否かの判定を行う(S304)。この場合、テーブル300において入力色に対応する補正値が設定されていることについては、例えば、入力色を示すLab値に対応するセル302に補正値が設定されていること等と考えることができる。
【0062】
また、本例において、制御PC14は、選択しているテーブル300に入力色に対応する補正値が設定されているか否かに応じて、その後の動作を異ならせる。例えば、選択しているテーブル300に入力色に対応する補正値が設定されている場合(S304:Yes)、入力色に対応する補正値として、そのテーブル300において設定されている補正値を設定する。また、これにより、制御PC14は、入力色に対応する補正値を決定する(S306)。また、ステップS304において、選択しているテーブル300に入力色に対応する補正値が設定されていない場合(S304:No)、ステップS308に進み、次のテーブル300を選択する(S308)。また、この場合、制御PC14は、次のテーブル300として、それまでに選択されていたテーブル300の次にインデックスの幅が小さいテーブル300を選択する。また、次のテーブル300を選択した後には、ステップS304へ進み、以降の動作を繰り返す。
【0063】
また、本例において、複数のテーブル300のうち、インデックスの刻み幅が最も大きいテーブル300(分割数が最も少ないテーブル300)としては、図6(a)に示すテーブル300bのように、入力色の範囲として取り得るLab値の全ての範囲に対して補正値が設定されているテーブルを用いる。また、それ以外のテーブル300としては、図6(a)に示すテーブル300aのように、Lab値の少なくとも一部の範囲に対して補正値が設定されていないテーブルを用いる。このように構成すれば、例えば、図6(b)に示すフローチャートの動作により、入力色に対応する補正値として、刻み幅が最も小さいテーブル300に設定されている補正値を適切に選ぶことができる。また、これにより、例えば、テーブル300に設定されている補正値を用いて入力色を出力色に変換する色の変換を適切に行い、入力色に対応する出力色を適切に決定することができる。また、この場合、上記のようにして入力色に対応する補正値を決定する動作については、カラーチャートに対する測色を行うことで得られる複数の入力色のそれぞれに対して行う。このように構成すれば、例えば、カラーチャートの測色結果に対応する出力色を適切に決定することができる。
【0064】
ここで、図6(b)に示すフローチャートの動作について、図6(a)に示す2つのテーブル300(テーブル300a、b)を用いる場合についてより具体的に考えると、制御PC14の動作に関し、例えば、テーブル300aに対し、入力色に対応する補正値が設定されているか否かの判定を行うと考えることができる。そして、テーブル300aにおいて入力色に対応する補正値が設定されている場合、制御PC14は、テーブル300aにおいて入力色に対応して設定されている補正値を用いて、出力色を決定する。また、テーブル300aにおいて入力色に対応する補正値が設定されていない場合、制御PC14は、テーブル300bにおいて入力色に対応して設定されている補正値を用いて、出力色を決定する。また、この場合、制御PC14の動作について、例えば、テーブル300aにおいて入力色に対応する補正値が設定されているか否かに応じて出力色の決定の仕方を異ならせていると考えることもできる。
【0065】
以上のように、本例によれば、例えば、フォトブリーチ現象等による色の変化が生じるインクを用いる場合において、変化後の色の予測を適切に行うことができる。また、これにより、例えば、印刷装置12によって印刷を行った直後の色に基づき、色の検査やカラーマッチング等を適切に行うことができる。
【0066】
続いて、上記において説明をした各構成に関する補足説明等を行う。上記においても説明をしたように、本例においては、テーブル300に設定されている補正値に基づいて入力色を補正することで、出力色の予測を行う。そして、この場合、アルゴリズム上、テーブル300の分割数を増やすほど予測精度が向上すると考えることができる。しかし、分割数が多いテーブル300を用いる場合、全てのセル302に対して補正値を設定するためには、多くの手間がかかることになる。これに対し、本例においては、上記においても説明をしたように、分割数が互いに異なる複数のテーブル300を用い、かつ、分割数が多いテーブル300に対しては一部のセル302にのみ補正値を設定することで、より容易かつ適切に出力色を予測することができる。
【0067】
また、この点に関し、分割数が多いテーブル300の一部のセル302に補正値を設定することのみを考えた場合、一見すると、複数のテーブル300を用いることなく、1つのテーブル300のみを用いて適宜補間処理を行えばよいようにも思われる。より具体的に、この場合、テーブル300において補正値が設定されていないセル302に対し、周囲のセル302に設定されている補正値に基づいて補正値を算出すればよいようにも思われる。しかし、本例において用いるテーブル300のように、L値、a値、及びb値の3種類の値をインデックスとして用いる場合、周囲のセル302に設定されている補正値に基づく補間の処理について、複雑な処理になることが考えられる。また、この場合、周囲のセル302としてどのセル302を用いるかについて、必ずしも簡単に決定することはできない。これに対し、本例においては、複数のテーブル300を上記のように用いることで、入力色に対応する補正値をより容易かつ適切に決定することができる。
【0068】
また、上記においても説明をしたように、本例においては、フォトブリーチ現象等によって色の変化が生じた後のインクの色を予測することで、例えば、色が安定するのを待つことなく、カラーマッチング等を適切に行うことができる。また、この場合、印刷直後の色の測色値をそのまま用いる場合と比べ、カラーマッチングの精度を向上させることが可能になる。より具体的に、本願の発明者らは、カラーマッチングの精度について、印刷直後の色の測色値をそのまま用いる場合(予測なしの場合)と、上記のような補正を行う場合(予測ありの場合)とを比較する実験を行った。また、この実験において、カラーマッチングの動作としては、カラーチャートの印刷(出力)及び測色の動作を複数回繰り返すことで目標の色を印刷装置12に出力させるターゲットカラーマッチングの動作を用いた。そして、この実験において、予測なしでカラーマッチングを行う場合に生じる色差ΔEは、平均で5.51、最大で11.95、最小で1.95になった。また、予測ありでカラーマッチングを行う場合に生じる色差ΔEは、平均で1.79、最大で3.51、最小で0.70になった。この実験の結果からも、本例によって高い精度のカラーマッチングを行い得ることが確認できる。
【0069】
また、上記においては、複数のテーブル300を用いて行う色の予測の対象について、主に、フォトブリーチ現象によって生じる色の変化について、説明をした。しかし、複数のテーブル300を用いて上記のように行う色の予測については、フォトブリーチ現象によって生じる色の変化以外の対象に適用することも可能である。より具体的に、例えば、印刷装置12において転写用のインクを用いて転写用の媒体(転写媒体)への印刷を行い、印刷装置12での印刷を行った後に転写媒体から被転写媒体への画像の印刷を行う場合、転写の前後でインクの色に変化が生じることがある。そして、この場合、転写前の色を入力色とし、転写後の色を出力色として、複数のテーブル300を用い、上記と同一又は同様にして、色の予測を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、実際に転写を行うことなく、転写後の色の予測を適切に行うことができる。
【0070】
また、印刷装置12において印刷を行う印刷の成果物である印刷物に対しては、例えば透明フィルム等を貼り付けるラミネート処理を行う場合がある。また、この場合、ラミネート処理を行うことで、色の見え方に変化が生じる場合がある。そして、この場合、例えば、ラミネート処理を行う前に見える色を入力色とし、ラミネート処理を行った後に見える色を出力色として、複数のテーブル300を用い、上記と同一又は同様にして、色の予測を行うことが考えられる。このように構成すれば、例えば、ラミネート処理を行うことなく、ラミネート処理を行った後の色の予測を適切に行うことができる。
【0071】
また、複数のテーブル300を用いた色の予測については、時間の経過や所定の処理等によって色が変化する場合の変化後の色を予測に限らず、例えば、様々な条件の違い等によって生じる色の違いを予測するために用いることも考えられる。また、この場合、複数のテーブル300について、条件の違いに合わせて色を変換するために用いると考えることもできる。また、この場合、複数のテーブル300について、例えば、測色機のイコライゼーションを行う場合に用いること等が考えられる。
【0072】
また、上記においては、印刷装置12について、主に、媒体に対してインクを吐出する場合の構成を説明した。この場合、印刷装置12について、例えば、媒体上に2次元の画像を描くインクジェットプリンタ等と考えることができる。しかし、印刷装置12の変形例においては、印刷装置12として、立体的な造形物を造形する3Dプリンタ(3D印刷装置)等を用いることも考えられる。そして、この場合も、複数のテーブル300を用いた色の予測を行うことが考えられる。より具体的に、印刷装置12において立体的な造形物を造形する場合、造形の材料となるインクをインクジェットヘッドから吐出してインクの層を形成し、複数のインクの層を重ねることで、積層造形法で造形物を造形することが考えられる、そして、この場合、インクの層が積層される積層方向における上側になる造形物の天面と、造形物の側面との間で、色味に差が生じる場合がある。そして、この場合、例えば、天面の色を入力色とし、側面の色を出力色として、複数のテーブル300を用い、上記と同一又は同様にして、色の変換(予測)を行うことが考えられる。また、この場合、反対に、側面の色を入力色とし、天面の色を出力色とすること等も考えられる。このように構成すれば、例えば、造形物における天面の色と側面の色との関係について、容易かつ適切に予測を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、例えば色変換装置に好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0074】
10・・・印刷システム、12・・・印刷装置、14・・・制御PC、50・・・媒体、102・・・ヘッド部、104・・・プラテン、106・・・走査駆動部、110・・・制御部、120・・・キャリッジ、122・・・インクジェットヘッド、124・・・紫外線光源、126・・・測色機、202・・・色変換部、204・・・テーブル格納部、300・・・テーブル、302・・・セル、402・・・入力色
図1
図2
図3
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図5
図6