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特許7513605新規な抗体ならびにそれを調製および使用するための方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】新規な抗体ならびにそれを調製および使用するための方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/13 20060101AFI20240702BHJP
   C07K 16/30 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 16/46 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 14/765 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 19/00 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 14/55 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 14/54 20060101ALI20240702BHJP
   C07K 16/28 20060101ALI20240702BHJP
   C12N 15/62 20060101ALI20240702BHJP
   C12N 15/26 20060101ALI20240702BHJP
   C12N 15/24 20060101ALI20240702BHJP
   C12N 15/14 20060101ALI20240702BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C12N15/13
C07K16/30 ZNA
C07K16/46
C07K14/765
C07K19/00
C07K14/55
C07K14/54
C07K16/28
C12N15/62 Z
C12N15/26
C12N15/24
C12N15/14
A61K39/395 T
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021526401
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019042493
(87)【国際公開番号】W WO2020018852
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-07-19
(31)【優先権主張番号】62/700,174
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/792,798
(32)【優先日】2019-01-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520347328
【氏名又は名称】アスクジーン・ファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AskGene Pharma, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ル,ユエフォン
(72)【発明者】
【氏名】ル,ジェン-フォン
(72)【発明者】
【氏名】シャネベック,カート
(72)【発明者】
【氏名】リ,ルー
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】チョウ,シーウェン
(72)【発明者】
【氏名】ラン,ヤン
【審査官】大久保 智之
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-517354(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0055944(US,A1)
【文献】特表2015-517476(JP,A)
【文献】特表2018-513146(JP,A)
【文献】特表2019-535234(JP,A)
【文献】特表2016-517447(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0374789(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0157711(US,A1)
【文献】Cancer Research,2011年,Vol.71, No.2,pp.516-527,https://aacrjournals.org/cancerres/article/71/2/516/568756/Highly-Specific-Auto-Antibodies-against-Claudin-18参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-90
C07K 14/00-19/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトCLDN18.2タンパク質に結合するヒト化抗体であって、
配列番号257のアミノ酸配列を有する重鎖可変ドメインと、
配列番号260のアミノ酸配列を有する軽鎖可変ドメインと、
を含む、抗体。
【請求項2】
単鎖Fv抗体(scFv)、Fab抗体、Fab’抗体、および(Fab’)2抗体から選択される形態を有する、請求項1に記載の抗体。
【請求項3】
前記抗体は、ヒトCLDN18.1への結合よりも強い親和性でヒトCLDN18.2に結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項4】
前記抗体は、ヒトCLDN18.1への結合よりも少なくとも100倍高い親和性でヒトCLDN18.2に結合する、請求項1に記載の抗体。
【請求項5】
前記抗体は、ヒトCLDN18.2に結合するがヒトCLDN18.1に結合しない、請求項1に記載の抗体。
【請求項6】
前記抗体は1種以上の細胞毒性薬に結合されている、請求項に記載の抗体。
【請求項7】
前記抗体の重鎖および/または軽鎖はヒトアルブミンに融合されており、前記アルブミンドメインは1種以上の細胞毒性薬に結合されている、請求項に記載の抗体。
【請求項8】
IL-2またはIL-15の1種以上の拮抗薬をさらに含む、請求項1に記載の抗体。
【請求項9】
前記抗体の重鎖および/または軽鎖は抗原結合ドメインに融合されており、前記抗原結合ドメインはヒトCD3に結合する、請求項に記載の抗体。
【請求項10】
前記抗体の重鎖および/または軽鎖は1つ以上の抗原結合ドメインに融合されており、前記抗原結合ドメインはヒトPD-L1、CD47またはシグナル調節タンパク質α(SIRPα)に結合する、請求項に記載の抗体。
【請求項11】
請求項1に記載の抗体を含む、医薬組成物。
【請求項12】
前記抗体の重鎖および/または軽鎖は、1種以上のIL-2ポリペプチド、1種以上のIL-2類似体、1種以上のIL-15ポリペプチド、または1種以上のIL-15類似体に融合されている、請求項に記載の抗体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年7月18日に出願された米国仮特許出願第62/700,174号および2019年1月15日に出願された同第62/792,798号の優先権を主張するものであり、それぞれの内容全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
以下は本発明を理解するのに有用であり得る情報を含む。それらの情報は、本明細書において提供されている情報のいずれかがここに記載もしくは特許請求されている発明の先行技術または関連技術であること、あるいは具体的または暗黙的に参照されているいずれかの刊行物または文献が先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
毎年世界的に100万件に近い胃癌の新しい症例が確認されていることが最近分かった。胃癌の世界的な死亡率は2012年には700,000件超であった(http://globocan.iarc.fr/old/FactSheets/cancers/stomach-new.asp)。米国癌協会によれば2018年には、米国で約26,400人の人々が胃癌であると診断され、その予測死亡者数は約10,800人であった。人口全体の割合としての胃癌の発生率はアジアではより高く、それは2012年に世界的に報告された全ての胃癌症例の約40%であり、すなわちおよそ400,000件の症例が中国において発生したものであることが分かった。2012年には中国で325,000人の人々が胃癌で死亡した。これらの人口統計データにより、胃癌は限られた治療選択肢しかなく既存の治療法が十分でないために未だ対処されていない深刻な疾患であり、新しい治療用化合物および治療法が緊急に必要とされていることは明らかである。
【0004】
胃癌を治療するために、5-Fuとシスプラチンとの組み合わせは多くの国々で第一選択治療であることが多い。しかし中国ではパクリタキセルとシスプラチンとの組み合わせを使用して胃癌患者を治療することが多く、これはより良好な治療効果を有すると言われている。
【0005】
抗体は様々な癌のために現在広く使用されている比較的新しいクラスの標的治療用化合物である。抗体ベースの治療薬は多くの従来の非抗体型癌治療薬と比較して、より高い特異性およびより低い副作用を有する可能性がある。一般に抗体ベースの治療薬の潜在的標的は正常細胞と新生細胞とを識別することを必要とする。驚くことではないが、細胞表面タンパク質は腫瘍細胞上で露出されている可能性がある抗体ベースの標的化の開発の潜在的領域である。クローディン(Claudin)18.2は、胃および食道癌のための抗体療法のための標的であることが最近発見された(J Hematol Oncol.2017(1):105)。それは膵臓癌のための抗体薬物を開発するための標的でもあった。クローディン18.2は、少なくとも24種の密接に関連する膜貫通タンパク質を有するタンパク質のクローディンファミリーに属する(概説のために、Ouban A,Ahmed AA.:「Claudins in human cancer:a review(ヒトの癌におけるクローディン:概説)」,Histol Histopathol.2010 Jan;25(1):83-90を参照)。
【0006】
クローディンは傍細胞イオン輸送を調節する密着結合タンパク質である。特定のクローディンタンパク質メンバーは悪性腫瘍において差次的に発現される。クローディン18.2の場合、それは短命の分化した胃上皮細胞上で排他的に発現される高度に選択的な胃系統抗原であり、それは抗体薬物に対して限られた到達性しか有しない(Sahin Uら「Claudin 18 splice variant 2 is a pan-cancer target suitable for therapeutic antibody development(クローディン18スプライスバリアント2は治療的抗体の開発に適した膵臓癌標的である)」.Clin Cancer Res 2008,14:7624-34、およびTureci Oら「Claudin-18 gene structure,regulation,and expression is evolutionary conserved in mammal(クローディン18遺伝子の構造、調節および発現は哺乳類において進化的に保存されている)」.Gene 2011,481:83-92)。クローディン18.2は悪性転換の過程で維持され、従ってヒト胃癌細胞の表面で頻繁に提示される(Wollら:「Claudin 18.2 is a target for IMAB362 antibody in pancreatic neoplasms(クローディン18.2は膵臓腫瘍においてIMAB362抗体の標的である)」.Int.J.Cancer:134,731-739,2014)。
【0007】
IMAB362と命名されたクローディン18.2に対する抗体が米国特許第8,168,427号において最近開示された。2016年に公表された第2相研究(https://meetinglibrary.asco.org/record/122651/abstract)では、標準的な化学療法に追加されたIMAB362で治療した進行型もしくは再発性胃癌および胃食道接合部癌腫を有する患者は、標準的なEOX(エピルビシン、オキサリプラチンおよびカペシタビン)のみを摂取した患者と比較して進行のリスクの53%の低下および死亡のリスクの49%の低下を実証した。しかし、標的クローディン18.2への特定の抗体IMAB362の結合親和性は比較的中程度であるように思われ、必要とされる投与量は比較的高いように思われた。さらに臨床開発中の抗体は、反復投与後に免疫原性リスクを潜在的に有する可能性があるキメラ分子であった。
【0008】
より高い有効性、より低い投与量/コストおよび/またはより低い免疫原性リスクを有するクローディン18.2に対する新しい抗体が必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書に記載および特許請求されている発明は、限定されるものではないが、この簡単な概要に記載または説明または言及されているものを含む多くの属性および実施形態を有する。本明細書に記載および特許請求されている発明は、本概要に特定されている特徴または実施形態に(よって)限定されず、これは限定のためではなく例示のためにのみ含められている。
【0010】
本明細書に記載および提供されているものはクローディン18.2のための新規な抗体である。本明細書においてさらに詳細に記載されているように、本発明に係る抗体は、限定されるものではないが、以下の特性:i)クローディン18.2への高い相対的結合親和性、ii)ヒト抗体もしくはヒト化抗体、iii)向上した抗体-薬物コンジュゲート能力、iv)免疫療法との向上した併用、v)向上したADCC機能、およびvi)向上した治療効果を含む。
【0011】
一態様では、本発明は、以下からなる群から選択されるヒトクローディン(CLDN)18.2タンパク質に結合する抗体を提供する。
(1)配列番号47に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号48に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号49に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号50に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号51に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号52に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(2)配列番号53に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号54に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号55に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号56に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号57に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号58に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(3)配列番号59に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号60に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号61に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号62に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号63に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号64に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(4)配列番号65に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号66に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号67に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号68に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号69に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号70に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(5)配列番号71に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号72に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号73に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号74に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号75に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号76に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(6)配列番号77に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号78に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号79に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号80に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号81に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号82に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(7)配列番号83に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号84に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号85に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号86に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号87に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号88に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(8)配列番号89に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号90に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号91に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号92に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号93に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号94に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(9)配列番号95に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号96に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号97に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号98に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号99に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号100に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(10)配列番号101に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号102に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号103に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号104に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号105に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号106に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(11)配列番号107に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号108に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号109に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号110に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号111に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号112に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(12)配列番号113に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号114に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号115に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号116に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号117に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号118に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(13)配列番号119に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号120に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号121に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号122に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号123に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号124に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(14)配列番号125に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号126に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号127に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号128に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号129に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号130に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(15)配列番号131に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号132に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号133に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号134に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号135に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号136に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(16)配列番号137に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号138に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号139に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号140に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号141に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号142に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(17)配列番号143に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号144に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号145に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号146に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号147に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号148に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(18)配列番号149に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号150に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号151に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号152に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号153に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号154に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(19)配列番号155に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号156に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号157に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号158に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号159に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号160に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(20)配列番号161に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号162に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号163に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号164に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号165に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号166に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(21)配列番号167に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号168に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号169に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号170に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号171に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号172に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(22)配列番号173に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号174に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号175に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号176に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号177に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号178に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(23)配列番号179に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、配列番号180に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR2および配列番号181に示されているアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号182に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1、配列番号183に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2および配列番号184に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(24)配列番号207に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号208に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR2および配列番号209に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号210に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号211に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2および配列番号212に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(25)配列番号213に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号214に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR2および配列番号215に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号216に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号217に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2および配列番号218に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(26)配列番号213に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号214に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR2および配列番号247に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号216に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号217に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2および配列番号218に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(27)配列番号219に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号220に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR2および配列番号221に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号222に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号223に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2および配列番号224に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(28)配列番号225に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号226に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR2および配列番号227に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号228に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号229に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2および配列番号230に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体、
(29)配列番号231に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR1、配列番号232に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR2および配列番号233に示されているアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む重鎖可変領域と、配列番号234に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1、配列番号235に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2および配列番号236に示されているアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む軽鎖可変領域とを含む抗体。
【0012】
一態様では、本発明は配列番号1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、237、238、239、240、241および248からなる群から選択される重鎖可変領域を含むヒトCLDN18.2タンパク質に結合する抗体を提供し、別の態様では、本発明は配列番号24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、242、243、244、245および246からなる群から選択される軽鎖可変領域を含むヒトCLDN18.2タンパク質に結合する抗体を提供する。
【0013】
一実施形態では、本抗体はヒト化されている。別の実施形態では、本抗体のCDR領域は置換、突然変異、欠失または付加された1つ、2つ、3つ、4つまたは5つのアミノ酸を有する。
【0014】
一実施形態では、本抗体はヒト化されており、これは配列番号193~197、205および206から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖と、配列番号187~191、199~203および204から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖とを含む。
【0015】
一実施形態では、本抗体はヒト化されており、これは配列番号252および253から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖と、配列番号249、250および251から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖とを含む。
【0016】
一実施形態では、本抗体はヒト化されており、これは配列番号254~258および259から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号260、261および262から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0017】
一実施形態では、本抗体はヒト化されており、これは配列番号263、264および265からなる群から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と、配列番号266、267、268および269からなる群から選択されるものと少なくとも95%、少なくとも99%または100%同一のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。
【0018】
一実施形態では、本抗体は、単鎖Fv抗体(scFv)、Fab抗体、Fab’抗体、(Fab’)2抗体、ドメイン抗体、ナノボディ、ミニボディ(minibody)、マキシボディ(maxibody)およびダイアボディから選択される。
【0019】
一態様では、上の前記抗体は1種以上の細胞毒性薬に結合されている。一実施形態では、前記抗体の重鎖および/または軽鎖はヒトアルブミンに融合されており、かつ前記アルブミンドメインは1種以上の細胞毒性薬に結合されている。
【0020】
一態様では、本抗体は免疫賦活剤に融合されている。いくつかの実施形態では、前記抗体の重鎖および/または軽鎖は1種以上のIL-2ポリペプチド、1種以上のIL-2類似体、1種以上のIL-15ポリペプチドまたは1種以上のIL-15類似体に融合されている。いくつかの実施形態では、前記抗体は、IL-2またはIL-15の1種以上の拮抗薬をさらに含む。いくつかの実施形態では、前記抗体の重鎖および/または軽鎖は抗原結合ドメインに融合されており、前記抗原結合ドメインはヒトCD3に結合する。いくつかの実施形態では、前記抗体の重鎖および/または軽鎖は1つ以上の抗原結合ドメインに融合されており、前記抗原結合ドメインはヒトPD-L1、CD47またはシグナル調節タンパク質α(SIRPα)に結合する。
【0021】
別の態様では、本発明は上に記載されている抗体を含む医薬組成物を提供する。
【0022】
別の態様では、本発明は、上に記載されている医薬組成物をそれを必要とする対象に投与する工程を含む、膵臓、胃、食道および肝臓癌からなる群から選択される癌を治療する方法を提供する。
【0023】
別の態様では、本発明は、上の前記医薬組成物を胃、食道、膵臓および肝臓癌からなる群から選択される癌に適した化学療法レジメンと組み合わせてそれを必要とする患者に投与する工程を含む、癌を治療する方法をさらに提供する。
【0024】
いくつかの実施形態では、前記化学療法レジメンは、ヌクレオシド類似体、白金化合物、カンプトテシン類似体、タキサン、それらのプロドラッグ、それらの塩およびそれらの組み合わせから選択される。
【0025】
いくつかの実施形態では、前記化学療法レジメンは、ゲムシタビン、5-フルオロウラシル、オキサリプラチン、イリノテカン、パクリタキセル、それらのプロドラッグ、それらの塩およびそれらの組み合わせからなる。
【0026】
いくつかの実施形態では、前記化学療法レジメンは、オキサリプラチンとパクリタキセルとの組み合わせあるいはそれらのプロドラッグまたは塩からなる。
【0027】
添付の図面は本発明の態様を示す。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1:B細胞のELISAベースのスクリーニング。CLDN18.2に選択的に結合するがCLDN18.1には結合しないB細胞を同定した。
図2図2:B細胞クローンのFACSベースのスクリーニング。各クローンからの上澄みを、CLDN18.2(左、青色)およびCLDN18.1(右、橙黄色)を発現している安定な細胞株に結合するそれらの能力についてFACSを用いて試験した。
図3図3:本抗体と抗原CLDN18.2との間の結合親和性の測定。1種の特定のクローン(5)に対する結合動態が図3Aに示されており、選択したクローンの結合動態を示す表が図3Bに示されている。
図4図4:腫瘍細胞株NUGC4を用いた抗体のADCC分析。細胞傷害の誘導倍数がY軸に示され、かつ試験した異なるモノクローナル抗体の量がX軸にプロットされており、試験したクローンは46H2L5(●)、48H1L6(■)、272H1L5(▲)、42H1L11(緑色の▽)、32H1L1(◆)、215H5L3(〇)および対照(青色の▼)である。この図に示されている実験では、FACS分析の72時間前にHEK293細胞をヒトおよびマウスのクローディン18.2およびクローディン18.1でトランスフェクトした。
図5図5:FACSによる20種の免疫したマウスの血清試料の分析。
図6図6:CLDN18.2に特異的に結合しているがCLDN18.1に結合していない最初の融合により同定された3種類のハイブリドーマのFACSスクリーニング。
図7図7:CLDN18に特異的に結合している陽性ハイブリドーマにより同定されたクローンのサブクローンのFACS分析。
図8図8:培養した陽性ハイブリドーマのサブクローンからの上澄みのFACS分析。図8Aは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.2へのハイブリドーマの上澄みの結合の滴定曲線を示す。図8Bは、18.1に対してCLDN18.2を発現しているHEK293細胞への上澄みの結合の特異性を示す。図8Cは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.1に対してCLDN18.2への上澄みの結合のFACS強度を示す。
図9図9:陽性のサブクローンからクローニングした遺伝子で一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞の上澄みのFACS分析。図9Aは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.2へのクローンの上澄みの結合の滴定曲線を示す。図9Bは、18.1に対してCLDN18.2を発現しているHEK293細胞への上澄みの結合の特異性を示す。図9Cは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.1に対してCLDN18.2への上澄みの結合のFACS強度を示す。
図10図10:キメラ分子のADCCレポーターアッセイ。
図11図11:FACSによって分析した場合のHEK293細胞(図11A)およびNUGC4胃癌細胞(図11B)上で発現されているCLDN18.2へのヒト化抗体の結合。
図12図12:CLDN18.2を発現している標的細胞HEK293(図12A)、胃癌細胞NUGC4(図12B)および胃癌細胞DAN-G(図12C)を用いたヒト化抗体M5およびBについてのADCCレポーターアッセイの結果。
図13図13:ヒト化分子B、M1およびM5のCDCの結果。図13AはCLDN18.2を発現している標的HEK293細胞に対する参照に対してBおよびM1を用いた場合の結果を示し、図13BはCLDN18.2を発現している標的HEK293細胞に対する参照に対してM5を用いた場合の結果を示し、図13Cは標的NUGC4細胞に対する参照に対してBおよびM1を用いた場合の結果を示す。
図14図14:ヒト化マウスおよびウサギ抗体の特異性の結果。図14Aはクローディンファミリータンパク質へのヒト化抗体M1、M5およびBのFACS結合を示し、図14Bは抗FLAG抗体のFACS結合を示す(CLDN7およびCLDN18.2分子はFLAGに融合されていなかったことに留意されたい)。
図15図15:カニクイザルのPK研究からの結果。
図16図16:動物モデル有効性研究からの結果。
【0029】
上に説明されている図面はその例示的な実施形態の少なくとも1つにおける本発明の態様を示し、それらはさらに以下の発明を実施するための形態において詳細に定められている。異なる図の中で同じ符号によって参照されている本発明の特徴、要素および態様は、1つ以上の実施形態に係る同じ、同等もしくは同様の特徴、要素または態様を表す。
【発明を実施するための形態】
【0030】
本発明は、癌などの疾患に罹患している対象の治療のための組成物および方法に関し、この方法は、内因性免疫応答を増強し、すなわち内因性応答の活性化を刺激するか内因性応答の抑制を阻害する治療的有効量の抗CLDN18.2抗体またはその一部を含む組成物を対象に投与することを含む。一実施形態では、抗体は、49E05、49E12、50H08、52E07、52G02、54B08、54C02、59A08、59E07、59F10、59G03、77B06、80D08、80G08、81E11、82C08、82F02、99A09、SD215、SD232、SD272、SD312、SD331、79C4、11E12、83G3、30B5または85H12と命名されている。これらの抗体は、以下の表4~表26、表29~表32および表33に列挙されているそれぞれのCDRを有する。別の実施形態では、抗体49E05、49E12、50H08、52E07、52G02、54B08、54C02、59A08、59E07、59F10、59G03、77B06、80D08、80G08、81E11、82C08、82F02、99A09、SD215、SD232、SD272、SD312、SD331、79C4、11E12、83G3、30B5および85H12は、以下の表2、表3、表34および表35に列挙されているそれぞれの軽鎖および重鎖可変領域を有する。
【0031】
抗CLDN18.2抗体を発現するハイブリドーマ系統11E12は、特許寄託番号PTA-125950で2019年6月12日にアメリカ培養細胞系統保存機関[ATCC;10801 University Blvd.、バージニア州マナッサス 20110-2209(米国)]に寄託された。
【0032】
特定の他の実施形態では、当該対象は、癌を有する患者から得られた試験組織試料においてCLDN18.2の表面発現を測定すること、例えば細胞表面でCLDN18.2を発現する試験組織試料中の細胞の割合を決定し、かつCLDN18.2が試験組織試料中の細胞の表面で発現されているという評価に基づいて治療のための患者を選択することを含む方法において治療に適したものとして選択される。
【0033】
クローディン18(CLD18)分子(ジェンバンク受入番号:スプライスバリアント1(CLD18A1):NP_057453、NM_016369およびスプライスバリアント2(CLD18A2):NM_001002026、NP_001002026)は、およそ27.9/27.7KDの分子量を有する内在性膜貫通タンパク質である。クローディンは上皮および内皮の密着結合内に位置する内在性膜タンパク質である。
【0034】
「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指すように本明細書では同義で使用される。この用語は、その1つ以上のアミノ酸残基が対応する天然に生じるアミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸ポリマーならびに天然に生じるアミノ酸ポリマーおよび天然に生じないアミノ酸ポリマーにも適用される。ポリペプチドを得る(例えば、産生する、単離する、精製する、合成する、および組換えで製造する)ための方法は当業者によく知られている。
【0035】
「アミノ酸」という用語は、天然に生じるアミノ酸および合成のアミノ酸ならびに天然に生じるアミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然に生じるアミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるものならびに後で修飾されるアミノ酸、例えばヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタミン酸およびO-ホスホセリンである。アミノ酸類似体とは、天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造、すなわち水素、カルボキシル基、アミノ基およびR基に結合した炭素を有する化合物、例えばホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムを指す。そのような類似体は、修飾されたR基(例えばノルロイシン)または修飾されたペプチド骨格を有するが天然に生じるアミノ酸と同じ基本的な化学構造を保持している。アミノ酸模倣体とは、アミノ酸の一般的な化学構造とは異なる構造を有するが天然に生じるアミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
【0036】
アミノ酸は本明細書では、IUPAC-IUB生化学命名委員会(Biochemical Nomenclature Commission)によって推奨されているそれらの一般に公知の3文字記号または1文字記号のいずれかによって言及されている場合がある。ヌクレオチドは同様にそれらの一般に受け入れられている1文字コードによって言及されている場合がある。
【0037】
本組成物は一般に、タンパク質およびペプチド中にタンパク質またはペプチドの活性を変えないアミノ酸置換を含む(H.Neurath,R.L.Hill,The Proteins,Academic Press,ニューヨーク,1979)。一実施形態では、これらの置換は「保存的」アミノ酸置換である。最も一般に生じる置換は、両方向でのAla/Ser、Val/Ile、Asp/Glu、Thr/Ser、Ala/Gly、Ala/Thr、Ser/Asn、Ala/Val、Ser/Gly、Ala/Pro、Lys/Arg、Asp/Asn、Leu/Ile、Leu/Val、Ala/GluおよびAsp/Glyである。
【0038】
アミノ酸配列の「保存的に修飾されたバリアント」については、当業者であれば、コードされる配列中の単一のアミノ酸または少ない割合のアミノ酸を変化、付加または欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列に対する個々の置換、欠失または付加が「保存的に修飾されたバリアント」であり、ここではその変化により化学的に類似したアミノ酸によるアミノ酸の置換が生じることが分かるであろう。機能的に類似したアミノ酸を提供する保存的置換表が当該技術分野でよく知られている。そのような保存的に修飾されたバリアントは本発明の多型バリアント、種間相同体および対立遺伝子に追加されるものであり、それらを排除するものではない。
【0039】
以下の8つの群:1)アラニン(A)とグリシン(G)、2)アスパラギン酸(D)とグルタミン酸(E)、3)アスパラギン(N)とグルタミン(Q)、4)アルギニン(R)とリジン(K)、5)イソロイシン(I)とロイシン(L)とメチオニン(M)とバリン(V)、6)フェニルアラニン(F)とチロシン(Y)とトリプトファン(W)、7)セリン(S)とトレオニン(T)、ならびに8)システイン(C)とメチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照)はそれぞれ、互いに対して保存的置換であるアミノ酸を含む。
【0040】
本明細書で使用される類似体は、参照ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列とは異なるペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質配列を示す。そのような差異はアミノ酸の付加、欠失または置換、リン酸化、硫酸化、アクリル化(acrylation)、グリコシル化、メチル化、ファルネシル化、アセチル化およびアミド化などであってもよく、非天然アミノ酸構造の使用または他のそのような修飾は当該技術分野で知られている。
【0041】
一実施形態では、本発明の抗CLDN18.2抗体は、49E05、49E12、50H08、52E07、54B08、54C02、59A08、59E07、59F10、59G03、77B06、80D08、80G08、81E11、82C08、82F02、99A09、SD215、SD232、SD272、SD312、SD331、79C4、11E12、83G3、30B5または85H12のいずれかで命名されており、かつそれぞれが重鎖CDRおよび軽鎖CDRを含み、ここでは重鎖CDRは、以下の表4~表26に列挙されているそれぞれのCDRと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含み、かつ軽鎖CDRは、以下の表4~表26に列挙されているそれぞれのCDRと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0042】
別の実施形態では、本発明の抗CLDN18.2抗体は、49E05、49E12、50H08、52E07、54B08、54C02、59A08、59E07、59F10、59G03、77B06、80D08、80G08、81E11、82C08、82F02、99A09、SD215、SD232、SD272、SD312、SD331、79C4、11E12、83G3、30B5または85H12のいずれかで命名されており、かつそれぞれが重鎖可変領域および軽鎖可変領域を含み、ここでは重鎖可変領域は、以下の表2に列挙されているそれぞれの重鎖可変領域と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含み、かつ軽鎖可変領域は、以下の表3に列挙されているものから選択されるそれぞれの軽鎖可変領域と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0043】
さらなる実施形態では、ヒト化抗CLDN18.2抗体は重鎖および軽鎖を含み、ここでは重鎖は、以下の表27に列挙されている配列番号187~191、199~203、204、249、250および251から選択されるそれぞれの重鎖可変領域と少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含み、かつ軽鎖は、以下の表28に列挙されている配列番号193~197、205、206、252および253から選択されるそれぞれの軽鎖可変領域と少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。
【0044】
「抗体」は、抗原に特異的に結合してそれを認識する免疫グロブリン遺伝子またはその断片からのフレームワーク領域を含むポリペプチドを指す。認識される免疫グロブリン遺伝子としては、κ、λ、α、γ、δ、εおよびμ定常領域遺伝子ならびに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が挙げられる。軽鎖はκまたはλのいずれかとして分類される。重鎖はγ、μ、α、δまたはεとして分類され、次いでこれらはそれぞれ免疫グロブリンクラスすなわちIgG、IgM、IgA、IgDおよびIgEを定める。典型的には、抗体の抗原結合領域は結合の特異性および親和性において最も重要である。
【0045】
例示的な免疫グロブリン(抗体)構造単位は四量体を含む。各四量体はポリペプチド鎖の2つの同一の対からなり、各対は1つの「軽」鎖(約25kD)および1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のN末端は主に抗原認識に寄与する約100~110個またはそれ以上のアミノ酸の可変領域を定める。可変軽鎖(VL)および可変重鎖(VH)という用語はこれらの軽鎖および重鎖をそれぞれ指す。
【0046】
抗体は例えば、インタクトな免疫グロブリンまたは各種ペプチダーゼによる消化によって生成される多くの十分に特性評価されている断片として存在する。従って、例えばペプシンはヒンジ領域におけるジスルフィド結合の下で抗体を消化してF(ab)’2、すなわちそれ自体がジスルフィド結合によってVH--CH1に結合された軽鎖であるFabの二量体を生成する。F(ab)’2を穏やかな条件下で還元してヒンジ領域におけるジスルフィド結合を破壊し、それによりF(ab)’2二量体をFab’モノマーに変換してもよい。Fab’モノマーは本質的にヒンジ領域の一部を有するFabである(Fundamental Immunology(基礎免疫学),Paul編,第3版 1993を参照)。各種抗体断片はインタクトな抗体の消化に関して定められているが、当業者であればそのような断片を化学的に合成するか、あるいは組換えDNA法を用いて新たに合成することができることが分かるであろう。従って本明細書で使用される抗体という用語は、全抗体の修飾によって生成された抗体断片または組換えDNA法を用いて新たに合成されたもの(例えば一本鎖Fv)またはファージディスプレイライブラリーを用いて同定されたものも含む(例えば、McCaffertyら,Nature 348:552-554(1990)を参照)。
【0047】
従って本発明のいずれかの態様において、抗体という用語は、ミニボディ、ダイアボディおよびトリアボディ(triabody)なども包含する。ダイアボディは高い結合活性および特異性を有する小さい二価の生体特異性抗体断片である。それらの高い信号雑音比は典型的には、特異的抗原の診断および治療標的化のためのそれらの可能性を高めるより良好な特異性および速い血液クリアランスのおかげでより良好である(Sundaresanら.,J Nucl Med 44:1962-9(2003))。さらにこれらの抗体は、小さい一本鎖Fvから様々なイソ型を有するインタクトなIgGにまで及ぶ異なる種類の抗体断片として必要であれば操作することができるので有利である(Wu&Senter,Nat.Biotechnol.23:1137-1146(2005))。いくつかの実施形態では、抗体断片はダイアボディの一部である。いくつかの実施形態におけるいずれかの態様では、本発明は本発明に従って使用するために高い結合活性抗体を提供する。
【0048】
本発明によって提供されるCDR領域は、限定されるものではないが、抗体、scFv、トリアボディ、ダイアボディおよびミニボディなどの抗CLDN18.2結合タンパク質を構築するために使用してもよい。特定の実施形態では、本発明の抗CLDN18.2タンパク質は、以下に列挙されている表4~表26からの少なくとも1つのCDR領域あるいは表4~表26に列挙されているCDR領域と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を含む。抗CLDN18.2結合タンパク質は、本明細書において提供されている抗体からの例えばCDR-H1、CDR-H2、CDR-H3、CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3またはそれらの組み合わせを含んでいてもよい。本発明の特定の実施形態では、抗CLDN18.2結合タンパク質は、本明細書において提供されている抗体の3種類全てのCDR-H配列、本明細書において提供されている抗体の3種類全てのCDR-L配列または両方を含んでいてもよい。抗CLDN18.2のCDR配列は抗体骨格またはその断片に使用してもよく、同様にヒト化抗体すなわちヒト化配列を含む抗体を含んでもよい。いくつかの実施形態では、CDR領域はKabat定義、Chothia定義、AbM定義、接触定義または任意の他の好適なCDR番号付システムを用いて定めてもよい。
【0049】
いくつかの実施形態では、本発明は、表4~表26のCDRまたは表4~表26のCDRと少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を有する抗体(例えばダイアボディ、ミニボディ、トリアボディ)またはそれらの断片を提供する。他の実施形態では、ダイアボディは、表2および表3の軽鎖および重鎖または表2および表3の配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%または100%の配列同一性を有する配列を有する。
【0050】
最初にHollingerら,PNAS(USA)90(14):6444-6448(1993)によって記載されたダイアボディは、本明細書に開示されている重鎖および軽鎖を用い、かつ本明細書に開示されている個々のCDR領域を用いて構築してもよい。典型的にはダイアボディ断片は、短すぎて同じ鎖上の2つのドメイン間で対形成することができないリンカーによって軽鎖可変領域(VL)に結合された重鎖可変領域(VH)を含む。従って1つの断片のVHおよびVL領域は別の断片の相補的なVHおよびVL領域と対形成することを強いられ、それにより2つの抗原結合部位が形成される。トリアボディは同様に3つの抗原結合部位と共に構築することができる。Fv断片は、非共有結合性相互作用によって互いに保持されたVL領域およびVH領域を含む完全な抗原結合部位を含む。本発明によって包含されるFv断片はVHおよびVL領域がグルタルアルデヒド、分子間ジスルフィドまたは他のリンカーにより架橋されている構築物も含む。重鎖および軽鎖の可変領域を互いに融合させて親免疫グロブリンの元の特異性を保持する一本鎖可変断片(scFv)を形成することができる。Gruberら,J.Immunol.152(12):5368-74(1994)によって最初に記載された一本鎖Fv(scFv)二量体は、本明細書に開示されている重鎖および軽鎖を用い、かつ本明細書に開示されている個々のCDR領域を用いて構築してもよい。当該技術分野で知られている多くの技術を使用して本発明の特異的結合構築物を調製することができる(米国特許出願公開第20070196274号および米国特許出願公開第20050163782号を参照、それらの内容全体が全ての目的のために、特にミニボディおよびダイアボディ設計に関して参照により本明細書に組み込まれる)。
【0051】
ダイアボディは化学的架橋結合またはハイブリッドハイブリドーマ技術によって作製することができる。あるいはダイアボディ分子は組換え技術によって産生することができる。VHおよびVL領域を結合するリンカーの長さをscFv断片を産生するために日常的に使用される約15個のアミノ酸から約5個のアミノ酸まで減少させることにより二量体化を促進することができる。これらのリンカーはVHおよびVL領域の鎖内組み立てに有利である。あらゆる好適な短いリンカーを使用することができる。このようにして2つの断片が集合して二量体分子になる。リンカー長さを0~2個のアミノ酸までさらなる減少させることにより三量体(トリアボディ)または四量体(四重特異性抗体)分子を作製することができる。
【0052】
抗体(例えば組換えモノクローナルもしくはポリクローナル抗体)の調製のために、当該技術分野で知られている多くの技術を使用することができる(例えば、Kohler&Milstein,Nature 256:495-497(1975);Kozborら,Immunology Today 4:72(1983);Coleら,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(モノクローナル抗体および癌療法),Alan R.Liss,Inc.,pp.77-96(1985);Coligan,Current Protocols in Immunology(免疫学における現在のプロトコル)(1991);Harlow&Lane,Antibodies,A Laboratory Manual(抗体の使用:研究室マニュアル)(1988)、ならびにGoding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice(モノクローナル抗体:原理および実践)(第2版 1986)を参照)。目的の抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子は細胞からクローニングすることができ、例えばモノクローナル抗体をコードする遺伝子をハイブリドーマからクローニングし、組換えモノクローナル抗体を産生するために使用することができる。モノクローナル抗体の重鎖および軽鎖をコードする遺伝子ライブラリーもハイブリドーマまたは血漿細胞から作製することができる。重鎖および軽鎖遺伝子産物のランダムな組み合わせにより、異なる抗原特異性を有する抗体の大きなプールを生成する(例えば、Kuby,Immunology(第3版 1997)を参照)。一本鎖抗体または組換え抗体の産生のための技術(米国特許第4,946,778号、米国特許第4,816,567号)を改変して本発明のポリペプチドに対する抗体を産生することができる。また遺伝子導入マウスまたは他の哺乳類などの他の生物を使用してヒト化もしくはヒト抗体を発現させてもよい(例えば、米国特許第5,545,807号;第5,545,806号;第5,569,825号;第5,625,126号;第5,633,425号;第5,661,016号;Marksら,Bio/Technology 10:779-783(1992);Lonbergら,Nature 368:856-859(1994);Morrison,Nature 368:812-13(1994);Fishwildら,Nature Biotechnology 14:845-51(1996);Neuberger,Nature Biotechnology 14:826(1996);およびLonberg&Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995を参照))。あるいは、ファージディスプレイ技術を使用して選択された抗原に特異的に結合する抗体およびヘテロメリックFab断片を同定することができる(例えば、McCaffertyら、Nature 348:552-554(1990);Marksら、Biotechnology 10:779-783(1992)を参照)。抗体を二重特異性にする、すなわち2つの異なる抗原を認識することができるようにすることもできる(例えば、国際公開第93/08829号;Trauneckerら,EMBO J.10:3655-3659(1991);およびSureshら,Methods in Enzymology(酵素学における方法)121:210(1986)を参照)。抗体は異種結合体、例えば2つの共有結合された抗体または免疫毒素であってもよい(例えば、米国特許第4,676,980号、国際公開第91/00360号および国際公開第92/200373号を参照)。
【0053】
非ヒト抗体をヒト化または霊長類化するための方法は当該技術分野でよく知られている。一般にヒト化抗体は非ヒトである供給源からそこに導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、典型的には移入可変領域にちなんで移入残基(import residue)と呼ばれることが多い。ヒト化は、齧歯類CDRまたはCDR配列をヒト抗体の対応する配列の代わりに使用することにより、本質的にWinterおよび共同研究者の方法に従って行うことができる(例えば、Jonesら,Nature 321:522-525(1986);Riechmannら,Nature 332:323-327(1988);Verhoeyenら,Science 239:1534-1536(1988);およびPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照)。従って、そのようなヒト化抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号)、ここではインタクトなヒト可変領域よりも実質的に少ないアミノ酸残基が非ヒト生物種からの対応する配列によって置換されている。実際にはヒト化抗体は典型的には、いくつかのCDR残基および場合によりいくつかのFR残基が齧歯類抗体内の類似した部位からの残基によって置換されているヒト抗体である。
【0054】
「キメラ抗体」は、「(a)抗原結合部位(可変領域)を異なるまたは変化させたクラス、エフェクター機能および/または生物種の定常領域あるいはキメラ抗体に新しい特性を与える完全に異なる分子、例えば酵素、毒素、ホルモン、増殖因子、薬物などに結合させるように、定常領域またはその一部が変化、置換または交換されている」、あるいは「(b)可変領域またはその一部が異なるまたは変化させた抗原特異性を有する可変領域により変化、置換または交換されている」抗体分子である。
【0055】
抗体に「特異的に(または選択的に)結合するまたは「~と特異的に(または選択的に)免疫反応性である」という語句は、タンパク質またはペプチドについて言及している場合には、異種タンパク質集団および他の生物学的製剤中のタンパク質の存在の決定因となる結合反応を指す。従って指定された免疫学的検定条件下では、特定の抗体はバックグラウンドの少なくとも2倍、より典型的にはバックグラウンドの10~100倍超で特定のタンパク質に結合する。そのような条件下での抗体への特異的結合は、特定のタンパク質へのその特異性のために選択される抗体を必要とする。例えばポリクローナル抗体は、選択された抗原と特異的に免疫反応性であり、かつ他のタンパク質とはそうではないポリクローナル抗体のみを得るために選択することができる。この選択は他の分子と交差反応する抗体を除去することにより達成してもよい。様々な免疫学的検定方式を使用して特定のタンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択してもよい。例えば、タンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択するために固相ELISA免疫学的検定が日常的に使用されている(例えば、特異的免疫反応性を決定するために使用することができる免疫学的検定方式および条件の説明については、Harlow&Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(抗体の使用:研究室マニュアル)(1998)を参照)。
【0056】
「免疫応答」は、侵入病原体、病原体に感染した細胞または組織、癌性もしくは他の異常細胞、あるいは自己免疫、神経変性または病的炎症の場合は正常なヒト細胞または組織の選択的標的化、そこへの結合、損傷、その破壊および/または脊椎動物の体からの除去をもたらす免疫系の細胞(例えば、Tリンパ球、Bリンパ球、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好酸球、肥満細胞、樹状細胞および好中球)ならびにこれらの細胞のいずれかまたは肝臓によって産生される可溶性巨大分子(Ab、サイトカインおよび補体を含む)の作用を指す。
【0057】
「免疫調節剤」は、免疫応答を調節する物質、薬剤、シグナル伝達経路またはその成分を指す。免疫応答を「調節する」「変更する」または「調整する」は、免疫系の細胞またはそのような細胞の活性におけるあらゆる変化を指す。そのような調節としては、各種細胞型の数の増加または減少、これらの細胞の活性の増加または減少、あるいは免疫系の中で生じ得るあらゆる他の変化によって明らかにすることができる免疫系の刺激または抑制が挙げられる。阻害性および刺激性免疫調節剤の両方が同定されており、そのうちのいくつかは癌、感染症または神経変性微小環境において向上した機能を有し得る。
【0058】
「免疫療法」という用語は、免疫応答を誘導、向上、抑制またはそれ以外の方法で変更することを含む方法によって、疾患に罹患しているか、疾患に罹患するリスクがあるか、あるいは疾患が再発するリスクがある対象の治療を指す。対象の「治療」または「治療法」は、疾患に関連する症状、合併症、病状または生化学的徴候の発症、進行、発生、重症度または再発を、回復、軽減、寛解、阻害、減速または予防する目的で当該対象に対して行われる任意の種類の介入またはプロセスあるいは当該対象への活性薬剤の投与を指す。
【0059】
「内因性免疫応答を増強させる」は、対象における既存の免疫応答の有効性または効力の増加を意味する。この有効性および効力における増加は、例えば内因性宿主免疫応答を抑制する機序を克服することにより、あるいは内因性宿主免疫応答を高める機序を刺激することにより達成してもよい。
【0060】
細胞表面CLDN18.2発現に関する「所定の閾値」は、その上で試料が細胞表面CLDN18.2発現について陽性であるとスコア化される腫瘍細胞および腫瘍浸潤性炎症細胞を含む試験組織試料中の細胞の割合を指す。細胞表面発現について、細胞表面でCLDN18.2を発現している細胞の所定の閾値は、細胞の総数の少なくとも約0.01%から少なくとも約20%の範囲である。好ましい実施形態では、細胞表面でCLDN18.2を発現している細胞の所定の閾値は細胞の総数の少なくとも約0.1%から少なくとも約10%の範囲である。より好ましくは、所定の閾値は少なくとも約5%である。さらにより好ましくは、所定の閾値は少なくとも約1%である。
【0061】
所望の配列および対照配列を含む好適なベクターの構築は、当該技術分野において良く理解されている標準的なライゲーションおよび制限技術を用いる(Maniatisら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(分子クローニング:研究室マニュアル),Cold Spring Harbor Laboratory,ニューヨーク(1982)を参照)。単離したプラスミド、DNA配列または合成のオリゴヌクレオチドを所望の形態で切断、調整および再連結させる。
【0062】
核酸は別の核酸配列と機能的関係で配置されている場合には「操作可能に連結」されている。例えばプレ配列または分泌リーダー(secretory leader)のためのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合にはポリペプチドのためのDNAと操作可能に連結されており、プロモーターまたはエンハンサーはコード配列の転写に影響を与える場合にはその配列に操作可能に連結されており、あるいはリボソーム結合部位はコード配列が翻訳を容易にするように位置している場合にはそこに操作可能に連結されている。一般に「操作可能に連結されている」は、連結されているDNA配列が互いに近く、かつ分泌リーダーの場合は隣接し、かつ読み取り相(reading phase)の中にあることを意味する。但しエンハンサーは隣接している必要はない。連結は好都合な制限部位におけるライゲーションによって達成される。そのような部位が存在しない場合には、従来の実践に従って合成のオリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーが使用される。
【0063】
「保存的に修飾されたバリアント」はアミノ酸および核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関しては、保存的に修飾されたバリアントは同一もしくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸を指し、核酸がアミノ酸配列をコードしない場合には本質的に同一の配列を指す。遺伝暗号の縮重が原因で多数の機能的に同一の核酸があらゆる所与のタンパク質をコードする。例えばコドンGCA、GCC、GCGおよびGCUは全てアミノ酸アラニンをコードする。従ってアラニンがコドンによって指定されている全ての位置において、コードされるポリペプチドを変えることなくそのコドンを記載されている対応するコドンのいずれかに変えることができる。そのような核酸の変化は「サイレント変化」であり、これは保存的に修飾された変化の1種である。ポリペプチドをコードする本明細書中の全ての核酸配列は核酸の全ての可能なサイレント変化も記述する。当業者であれば、核酸中の各コドン(通常はメチオニンのための唯一のコドンであるAUG、および通常はトリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)を修飾して機能的に同一の分子を得ることができることが分かるであろう。従ってポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変化は、発現産物に関しては各記述されている配列において暗示されているが実際のプローブ配列に関してはそうではない。
【0064】
「同一の」または「同一性」パーセントという用語は、2つ以上の核酸またはポリペプチド配列の文脈では、以下に記載されているデフォルトパラメータと共にBLASTまたはBLAST2.0配列比較アルゴリズムを用いるか、手動アライメントおよび目視検査によって測定した場合に同じであるか、同じ指定された割合(すなわち、比較ウィンドウまたは指定された領域にわたって最大一致のために比較およびアライメントした場合に、指定された領域にわたって約60%の同一性、好ましくは65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれより高い同一性)のアミノ酸残基またはヌクレオチドを有する2つ以上の配列または部分配列を指す。その際、そのような配列を「実質的に同一」であると言う。この定義は、試験配列の相補体を指したりそれに適用したりしてもよい。この定義は欠失および/または付加を有する配列ならびに置換を有する配列も含む。以下に記載するように、好ましいアルゴリズムはギャップなども考慮することができる。好ましくは、同一性は少なくとも約25個のアミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたって、あるいはより好ましくは50~100個のアミノ酸もしくはヌクレオチド長である領域にわたって存在する。
【0065】
配列比較のために、典型的には1つの配列は試験配列と比較される参照配列として機能する。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験および参照配列をコンピュータに入力し、部分配列座標を指定し、かつ必要であれば配列アルゴリズムプログラムパラメータを指定する。好ましくはデフォルトプログラムパラメータを使用することができ、あるいは他のパラメータを指定することができる。次いで配列比較アルゴリズムにより、プログラムパラメータに基づいて参照配列に対する試験配列の配列同一性パーセントを計算する。
【0066】
本明細書で使用される「比較ウィンドウ」は、20から参照配列の全長まで、通常は約25~100または50~約150、より通常は約100~約150からなる群から選択される連続位置の数のいずれか1つのセグメントの参照を含み、ここでは2つの配列を最適にアライメントした後に、配列を同じ数の連続位置の参照配列と比較することができる。比較のための配列のアライメント方法は当該技術分野でよく知られている。比較のために配列の最適なアライメントは、例えばSmith&Waterman,Adv.Appl.Math.2:482(1981)の局所相同性アルゴリズム、Needleman&Wunsch,J.Mol.Biol.48:443(1970)の相同性アライメントアルゴリズム、Pearson&Lipman,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444(1988)の類似性検索方法、これらのアルゴリズムのコンピュータ化実装(the Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,Wis.におけるGAP、BESTFIT、FASTAおよびTFASTA)、あるいは手動アライメントおよび目視検査(例えば、Current Protocols in Molecular Biology(分子生物学における現在のプロトコル)(Ausubelら編,1995年補遺)を参照)によって行うことができる。
【0067】
配列同一性パーセントおよび配列類似性を決定するのに適したアルゴリズムの好ましい例はBLASTおよびBLAST2.0アルゴリズムであり、これらはAltschulら,Nuc.Acids Res.25:3389-3402(1977)およびAltschulら,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)にそれぞれ記載されている。BLASTおよびBLAST2.0を本明細書に記載されているパラメータと共に使用して本発明の核酸およびタンパク質の配列同一性パーセントを決定する。BLAST分析を行うためのソフトウェアはアメリカ国立生物工学情報センターを通して公的に入手可能である。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードとアライメントした場合にいくつかの正の値の閾値スコアTに一致するかそれを満たすクエリー配列中の長さWの短いワードを特定することにより最初に高スコア配列対(HSP:high scoring sequence pair)を特定することを含む。Tを隣接ワード(neighborhood word)スコア閾値と呼ぶ(Altschulら,上記)。これらの最初の隣接ワードのヒットはそれらを含むより長いHSPを見つけるための検索を開始するためのシードとして機能する。このワードのヒットは累積アライメントスコアを増加させることができる限り各配列に沿って両方向に拡張させる。累積スコアは、ヌクレオチド配列のためにパラメータM(一対の一致している残基のための報酬スコア;常に>0)およびN(一致していない残基のためのペナルティスコア;常に<0)を用いて計算する。アミノ酸配列の場合、スコア行列を使用して累積スコアを計算する。累積アライメントスコアがその最大達成値から量Xだけ低下した場合、1つ以上の負のスコアの残基アライメントの蓄積により累積スコアがゼロ以下になった場合、あるいはいずれか一方の配列の終端に達した場合に、各方向へのワードヒットの拡張を停止する。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXはアライメントの感度および速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列のため)はデフォルトとして、11のワード長さ(W)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列の場合、BLASTPプログラムはデフォルトとして、3のワード長さおよび10の期待値(E)ならびにBLOSUM62スコア行列(Henikoff&Henikoff,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915(1989)を参照)の50のアライメント(B)、10の期待値(E)、M=5、N=-4および両鎖の比較を使用する。
【0068】
「核酸」は、デオキシリボヌクレオチドまたはリボヌクレオチドおよび単鎖もしくは二本鎖の形態のそれらのポリマーならびにその補体を指す。その用語は、合成、天然および非天然の公知のヌクレオチド類似体あるいは修飾された骨格残基または結合を含む核酸を包含し、これらは参照核酸と同様の結合特性を有し、かつ参照ヌクレオチドと同様の方法で代謝される。そのような類似体の例としては、限定されるものではないが、ホスホロチオエート、ホスホロアミダイト、メチルホスホネート、キラル-メチルホスホネート、2-O-メチルリボヌクレオチド、ペプチド-核酸(PNA)が挙げられる。
【0069】
特に記載がない限り、特定の核酸配列はその保存的に修飾されたバリアント(例えば縮重コドン置換)および相補的配列ならびに明示的に示されている配列も暗黙的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は1つ以上の選択された(または全ての)コドンの第3の位置が混合塩基および/またはデオキシイノシン残基で置換されている配列を作製することにより達成してもよい(Batzerら,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsukaら,J.Biol.Chem.260:2605-2608(1985);Rossoliniら,Mol.Cell.Probes 8:91-98(1994))。核酸という用語は、遺伝子、cDNA、mRNA、オリゴヌクレオチドおよびポリヌクレオチドと同義で使用される。
【0070】
特定の核酸配列は「スプライスバリアント」も暗黙的に包含する。同様に、核酸によってコードされる特定のタンパク質は核酸のスプライスバリアントによってコードされるあらゆるタンパク質を暗黙的に包含する。「スプライスバリアント」はその名前が示唆するように遺伝子の選択的スプライシングの産物である。転写後に、異なる(他の)核酸が異なるポリペプチドをコードする産物をスプライスするように、最初の核酸転写物をスプライスしてもよい。スプライスバリアントの産生の機序は様々であるが、エクソンの選択的スプライシングが挙げられる。読み過し転写による同じ核酸に由来する代替のポリペプチドもこの定義によって包含される。スプライス産物の組換え型を含むスプライシング反応のあらゆる産物がこの定義に含まれる。カリウムチャネルスプライスバリアントの例は、Leicherら,J.Biol.Chem.273(52):35095-35101(1998)において考察されている。
【0071】
「異種」という用語は、核酸の一部を参照して使用される場合、核酸が本質的に互いに対して同じ関係で見い出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す。例えば核酸は典型的には、新しい機能性核酸(例えば1つの供給源からのプロモーターおよび別の供給源からのコード領域)を作るように配置された無関係の遺伝子からの2つ以上の配列を有して組換えで産生される。同様に異種タンパク質は、タンパク質が本質的に互いに対して同じ関係で見い出されない2つ以上の部分配列を含むことを示す(例えば融合タンパク質)。
【0072】
「癌」は、限定されるものではないが、固形腫瘍、肛門、腎臓、乳房、心臓、頸部、卵巣、原発性腹膜、結腸直腸、肺、子宮、子宮内膜、食道、眼、卵管、胆嚢、胃、精巣、腎臓、膀胱、胆管、骨、黒色腫、カポジ肉腫、尿路、尿道、陰茎、外陰、膣、頸部、副甲状腺、陰茎、下垂体、結腸、喉、甲状腺、卵巣、前立腺、中皮腫、膵臓、直腸、胃、脳、頭頸部、小腸、皮膚、子宮、精巣、食道および肝臓の癌などのヒトの癌および癌腫、肉腫、腺癌などを指す。癌はバーキットリンパ腫、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、有毛細胞白血病および急性骨髄性白血病などのリンパ腫および白血病も含むことができる。肺癌は小細胞肺癌および非小細胞肺癌を含むことができる。
【0073】
上記実施形態のいずれかにおいて、1つ以上の癌療法、例えば化学療法、放射線療法、免疫療法、外科手術またはホルモン療法を本発明の抗体と共に同時投与することができる。
【0074】
一実施形態では、化学療法剤はアルキル化剤、すなわちナイトロジェンマスタード、ニトロソ尿素、テトラジン、アジリジン、シスプラチンおよび誘導体ならびに非古典的アルキル化剤である。ナイトロジェンマスタードとしては、メクロレタミン、シクロホスファミド、メルファラン、クロラムブシル、イホスファミドおよびブスルファンが挙げられる。ニトロソ尿素としては、N-ニトロソ-N-メチル尿素(MNU)、カルムスチン(BCNU)、ロムスチン(CCNU)およびセムスチン(MeCCNU)、フォテムスチンおよびストレプトゾシンが挙げられる。テトラジンとしては、ダカルバジン、ミトゾロミドおよびテモゾロミドが挙げられる。アジリジンとしては、チオテパ、マイトマイシンおよびジアジコン(AZQ)が挙げられる。シスプラチンおよび誘導体としては、シスプラチン、カルボプラチンおよびオキサリプラチンが挙げられる。一実施形態では、化学療法剤は代謝拮抗剤、すなわち抗葉酸剤(例えばメトトレキサート)、フルオロピリミジン(例えばフルオロウラシルおよびカペシタビン)、デオキシヌクレオシド類似体およびチオプリンである。別の実施形態では、化学療法剤はビンカアルカロイド(例えばビンクリスチンおよびビンブラスチン)ならびにタキサン(例えばパクリタキセルおよびドセタキセル)などの微小管阻害薬である。別の実施形態では、化学療法剤はドキソルビシン、ミトキサントロン、ブレオマイシン、アクチノマイシンおよびマイトマイシンなどのトポイソメラーゼ阻害剤または抗悪性腫瘍性抗生物質である。
【0075】
患者に本抗体または抗体断片を接触させることは、本抗体を患者に静脈内、腹膜内、筋肉内、腫瘍内または皮内投与することによって行うことができる。いくつかの実施形態では本抗体を癌治療薬と同時投与する。
【0076】
本明細書で使用される「再折り畳み」という用語は、タンパク質構造がその機能的形状すなわち立体構造をとるプロセスを指す。それはポリペプチドが折り重なってランダムコイルからその特徴的かつ機能的3次元構造になる物理的プロセスである。それは塩基性pH(典型的にはpH8.0~10.0、pH8.5~10またはpH8.5~9.6)、低い温度(典型的には0.0℃~10.0℃または2.0℃~8.0℃)で、好ましくは好適な濃度の酸化還元対の存在および/または酸素の存在、および/または好適な濃度の銅イオンなどの触媒の存在により生じる。
【0077】
本明細書で使用される「組換え体」という用語は、哺乳類発現系、昆虫細胞発現系、酵母発現系および細菌発現系から選択される生物学的宿主により産生されるポリペプチドを指す。
【0078】
本明細書で使用される「製剤」という用語は、投与することができ、対応する受容体に結合し、かつ所望の活性を生じさせるシグナル伝達経路を開始するための能力を有する互いに組み合わせられた本明細書に開示されている抗体および賦形剤を指す。本製剤は任意に他の薬剤を含むことができる。
【0079】
本明細書は対象に投与するための医薬組成物も提供する。本明細書に開示されている医薬組成物は、薬学的に許容される担体、賦形剤または希釈液もさらに含んでいてもよい。本明細書で使用される「薬学的に許容される」という用語は、本組成物が有害な副作用を生じることなく治療効果を達成するのに十分であり、かつ疾患の種類、患者の年齢、体重、健康状態、性別、および薬物感受性、投与経路、投与様式、投与頻度、治療持続期間、本明細書に開示されている組成物と併用または同時使用される薬物ならびに医学において公知の他の因子に応じて容易に決定できることを意味する。
【0080】
本明細書に開示されている抗体を含む医薬組成物は薬学的に許容される担体をさらに含んでいてもよい。経口投与のための担体としては、限定されるものではないが、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、賦形剤、可溶化剤、分散剤、安定化剤、懸濁化剤、着色料および着香料が挙げられる。注射可能な製剤のための担体としては、緩衝剤、保存料、鎮痛薬、可溶化剤、等張剤および安定化剤が挙げられる。局所投与用製剤のための担体としては基剤、賦形剤、滑沢剤および保存料が挙げられる。
【0081】
開示されている組成物は、上記薬学的に許容される担体と組み合わせて様々な剤形に製剤化されていてもよい。例えば経口投与のために、本医薬組成物は錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップまたはカシェ剤に製剤化されていてもよい。注射可能な製剤のために、本医薬組成物は単回投与剤形としてアンプルに、あるいは複数回投与容器の中に製剤化されていてもよい。また本医薬組成物は、溶液、懸濁液、錠剤、丸剤、カプセルおよび長時間作用性製剤に製剤化されていてもよい。
【0082】
他方で、本医薬製剤のために適した担体、賦形剤および希釈液の例としては、限定されるものではないが、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、澱粉、アカシアゴム、アルギン酸塩、ゼラチン、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、セルロース、メチルセルロース、微結晶性セルロース、ポリビニルピロリドン、水、メチルヒドロキシベンゾエート、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムおよび鉱油が挙げられる。さらに本医薬製剤は、充填剤、抗凝固剤、滑沢剤、湿潤剤、着香料および消毒薬をさらに含んでいてもよい。
【0083】
さらに本明細書に開示されている医薬組成物は、錠剤、丸剤、粉末、顆粒、カプセル、懸濁液、内服のための液体、乳濁液、シロップ、無菌水溶液、非水性溶媒、凍結乾燥製剤および坐薬からなる群から選択されるあらゆる製剤を有していてもよい。
【0084】
本組成物は患者の体に適した単回投与剤形に製剤化されていてもよく、好ましくは限定されるものではないが、皮膚、静脈内、筋肉内、動脈内、髄内、心室内、肺内、経皮、皮下、腹膜内、鼻腔内、結腸内、局所、舌下、膣内または直腸内投与などによる経口もしくは非経口経路によって投与されるように、製薬分野における典型的な方法に従ってペプチド薬物にとって有用な製剤に製剤化されている。
【0085】
本組成物は生理食塩水または有機溶媒などの様々な薬学的に許容される担体と混合することにより使用してもよい。安定性または吸収率を高めるために、グルコース、スクロースまたはデキストランなどの炭水化物、アスコルビン酸またはグルタチオンなどの抗酸化剤、キレート剤、低分子量タンパク質または他の安定化剤を使用してもよい。
【0086】
本明細書に開示されている医薬組成物の投与用量および頻度は、治療される疾患、投与経路、患者の年齢、性別および体重ならびに疾患重症度などの各種因子と共に有効成分の種類によって決定される。
【0087】
本明細書に開示されている組成物の総有効用量は単回投与で患者に投与してもよく、あるいは分割治療プロトコルに従って長期間にわたって複数回投与で投与してもよい。本明細書に開示されている医薬組成物では、有効成分の含有量は疾患重症度によって異なってもよい。好ましくは、本明細書に開示されているペプチドの総1日用量は患者の体重の1kg当たりおよそ0.0001μg~500mgであってもよい。但し、本ペプチドの有効用量は本医薬組成物の投与経路および治療頻度に加えて患者の年齢、体重、健康状態、性別、疾患重症度、食事および分泌率などの各種因子を考慮して決定される。これを考慮すれば、当業者は本明細書に開示されている医薬組成物の特定の使用に適した有効用量を容易に決定することができる。本明細書に開示されている医薬組成物はそれが好適な効果を示す限り、特に製剤および投与経路および投与様式において限定されない。
【0088】
さらに本医薬組成物は単独で投与してもよく、あるいは予防もしくは治療効果を示す他の医薬製剤と併用または同時投与してもよい。
【0089】
さらに別の態様では、本明細書は、キメラタンパク質またはそれを含む本医薬組成物を対象に投与する工程を含む、癌、感染性疾患または神経変性疾患を予防または治療するための方法を提供する。
【0090】
本明細書で使用される「予防」という用語は、当該疾患の発生を抑制または遅延させる全ての行為を意味する。
【0091】
本明細書で使用される「治療」という用語」は、それにより当該疾患の症状が軽減、改善または寛解されたことのある全ての行為を意味する。本明細書における「治療」は、癌、神経変性疾患または感染症の症状が本明細書に開示されている抗体の投与によって軽減、改善または寛解されることを意味する。
【0092】
本明細書で使用される「投与」という用語は、特定の好適な方法による所定の量の物質の患者の体内への導入を意味する。本明細書に開示されている組成物はそれが所望の組織に到達することができる限り、一般的な経路、例えば限定されるものではないが、腹膜内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、経口、局所、鼻腔内、肺内または直腸内投与のいずれかにより投与することができる。但しペプチドは経口投与すると消化されるため、経口投与のための組成物の有効成分は胃の中での分解に対して保護されるようにコーティングまたは製剤化されていなければならない。
【0093】
本明細書における「対象」という用語は、癌、神経変性疾患または感染症を有していると疑われるかそうであると診断されたものである。但し、本明細書に開示されている医薬組成物で治療されるあらゆる対象が限定されることなく含まれる。本明細書に開示されている抗CLDN18.2抗体を含む医薬組成物は、癌、神経変性疾患または感染症を有していると疑われる対象に投与される。
【0094】
本明細書の治療方法は、本抗体を含む組成物を薬学的に有効な量で投与する工程を含んでもよい。総1日用量は医師による適切な医学的判断により決定し、かつ1回または数回投与すべきである。任意の特定の患者のための具体的な治療的に有効な用量レベルは、達成される応答の種類および程度、他の薬剤がそれと共に使用されるか否かに従う具体的な組成、患者の年齢、体重、健康条件、性別および食事、投与の時間および経路、本組成物の分泌率、治療法の期間、本明細書に開示されている組成物と併用または同時使用される他の薬物ならびに医学分野で周知の同様の因子などの医学分野において周知の各種因子よって異なってもよい。
【0095】
さらに別の態様では、本明細書は、癌、神経変性疾患または感染症の予防または治療のための薬物の調製における本治療用タンパク質またはそれを含む医薬組成物の使用を提供する。
【0096】
一実施形態では、本組成物の用量は毎日、週2回、週1回、隔週または月1回で投与してもよい。治療の期間は1週間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、4ヶ月、6ヶ月、8ヶ月、1年またはそれ以上の長さであってもよい。最初の用量は維持用量よりも多くてもよい。一実施形態では、当該用量は少なくとも0.01mg、少なくとも0.25mg、少なくとも0.3mg、少なくとも0.5mg、少なくとも0.75mg、少なくとも1mg、少なくとも1.25mg、少なくとも1.5mg、少なくとも2mg、少なくとも2.5mg、少なくとも3mg、少なくとも4mg、少なくとも5mg、少なくとも6mg、少なくとも7mg、少なくとも8mg、少なくとも9mg、少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも20mg、少なくとも25mg、少なくとも30mg、少なくとも35mg、少なくとも40mg、少なくとも50mg、少なくとも55mg、少なくとも60mg、少なくとも65mgまたは少なくとも70mgの週用量である。一実施形態では、週用量は最大で0.5mg、最大で0.75mg、最大で1mg、最大で1.25mg、最大で1.5mg、最大で2mg、最大で2.5mg、最大で3mg、最大で4mg、最大で5mg、最大で6mg、最大で7mg、最大で8mg、最大で9mg、最大で10mg、最大で15mg、最大で20mg、最大で25mg、最大で30mg、最大で35mg、最大で40mg、最大で50mg、最大で55mg、最大で60mg、最大で65mgまたは最大で70mgであってもよい。特定の態様では、週用量は0.25mg~2.0mg、0.5mg~1.75mgの範囲であってもよい。他の態様では、週用量は10mg~70mgの範囲であってもよい。
【0097】
本実施形態の他の態様では、本明細書における抗体は、癌の重症度を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%低下させる。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書における抗体は、癌の重症度を例えば約5%~約100%、約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%、約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%低下させる。
【0098】
本明細書に開示されている抗体は、ヒト、ネコ、イヌ、ウマ、ヒツジ、ウシ、ヤギ、ブタまたは他の動物などのヒトもしくは非ヒト哺乳類への通例の投与を可能にするのに十分な量で治療用化合物を含んでいてもよい。
【0099】
本明細書の態様は部分的に、癌などの疾患に罹患しているヒトもしくは非ヒト哺乳類の個体を治療することを開示している。本明細書で使用される「治療する」という用語は、ヒトもしくは非ヒト哺乳類において癌の臨床的症状を減少または排除すること、あるいはヒトもしくは非ヒト哺乳類において癌の臨床的症状の発症を遅延または防止することを指す。例えば「治療する」という用語は、癌によって特徴づけられる病気の症状を減少させること、限定されるものではないが、当該疾患の重症度の例えば少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%の減少を意味することができる。癌に関連する実際の症状はよく知られており、限定されるものではないが、当該疾患の位置、当該疾患の原因、当該疾患の重症度および/または当該疾患によって冒されている組織もしくは臓器などの因子を考慮に入れることにより当業者によって決定することができる。当業者であれば特定の種類の疾患に関連する適当な症状または指標を知っており、個体が本明細書に開示されている治療の候補であるかを決定する方法を知っているであろう。
【0100】
本実施形態の態様では、本明細書における本発明の抗体の治療的有効量は、癌の重症度を例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%低下させる。本実施形態の他の態様では、本明細書における本発明の抗体の治療的有効量は、癌の重症度を例えば最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%低下させる。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書における本発明の抗体の治療的有効量は、癌の重症度を例えば約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%または約30%~約50%低下させる。
【0101】
本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている抗体は一般に、約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲にある。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば少なくとも0.001mg/kg/日、少なくとも0.01mg/kg/日、少なくとも0.1mg/kg/日、少なくとも1.0mg/kg/日、少なくとも5.0mg/kg/日、少なくとも10mg/kg/日、少なくとも15mg/kg/日、少なくとも20mg/kg/日、少なくとも25mg/kg/日、少なくとも30mg/kg/日、少なくとも35mg/kg/日、少なくとも40mg/kg/日、少なくとも45mg/kg/日または少なくとも50mg/kg/日であってもよい。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている抗体の有効量は、例えば約0.001mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.001mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.001mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている治療用化合物の有効量は、例えば約0.01mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.01mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.01mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている抗体は、例えば約0.1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約0.1mg/kg/日~約75mg/kg/日または約0.1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
【0102】
本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている抗体の有効量は、例えば約1mg/kg/日~約10mg/kg/日、約1mg/kg/日~約15mg/kg/日、約1mg/kg/日~約20mg/kg/日、約1mg/kg/日~約25mg/kg/日、約1mg/kg/日~約30mg/kg/日、約1mg/kg/日~約35mg/kg/日、約1mg/kg/日~約40mg/kg/日、約1mg/kg/日~約45mg/kg/日、約1mg/kg/日~約50mg/kg/日、約1mg/kg/日~約75mg/kg/日または約1mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている抗体の有効量は、例えば約5mg/kg/日~約10mg/kg/日、約5mg/kg/日~約15mg/kg/日、約5mg/kg/日~約20mg/kg/日、約5mg/kg/日~約25mg/kg/日、約5mg/kg/日~約30mg/kg/日、約5mg/kg/日~約35mg/kg/日、約5mg/kg/日~約40mg/kg/日、約5mg/kg/日~約45mg/kg/日、約5mg/kg/日~約50mg/kg/日、約5mg/kg/日~約75mg/kg/日または約5mg/kg/日~約100mg/kg/日の範囲であってもよい。
【0103】
液体および半固体製剤では、本明細書に開示されている抗体の濃度は典型的には約50mg/mL~約1,000mg/mLであってもよい。本実施形態の態様では、本明細書に開示されている抗体の治療的有効量は、例えば約50mg/mL~約100mg/mL、約50mg/mL~約200mg/mL、約50mg/mL~約300mg/mL、約50mg/mL~約400mg/mL、約50mg/mL~約500mg/mL、約50mg/mL~約600mg/mL、約50mg/mL~約700mg/mL、約50mg/mL~約800mg/mL、約50mg/mL~約900mg/mL、約50mg/mL~約1,000mg/mL、約100mg/mL~約200mg/mL、約100mg/mL~約300mg/mL、約100mg/mL~約400mg/mL、約100mg/mL~約500mg/mL、約100mg/mL~約600mg/mL、約100mg/mL~約700mg/mL、約100mg/mL~約800mg/mL、約100mg/mL~約900mg/mL、約100mg/mL~約1,000mg/mL、約200mg/mL~約300mg/mL、約200mg/mL~約400mg/mL、約200mg/mL~約500mg/mL、約200mg/mL~約600mg/mL、約200mg/mL~約700mg/mL、約200mg/mL~約800mg/mL、約200mg/mL~約900mg/mL、約200mg/mL~約1,000mg/mL、約300mg/mL~約400mg/mL、約300mg/mL~約500mg/mL、約300mg/mL~約600mg/mL、約300mg/mL~約700mg/mL、約300mg/mL~約800mg/mL、約300mg/mL~約900mg/mL、約300mg/mL~約1,000mg/mL、約400mg/mL~約500mg/mL、約400mg/mL~約600mg/mL、約400mg/mL~約700mg/mL、約400mg/mL~約800mg/mL、約400mg/mL~約900mg/mL、約400mg/mL~約1,000mg/mL、約500mg/mL~約600mg/mL、約500mg/mL~約700mg/mL、約500mg/mL~約800mg/mL、約500mg/mL~約900mg/mL、約500mg/mL~約1,000mg/mL、約600mg/mL~約700mg/mL、約600mg/mL~約800mg/mL、約600mg/mL~約900mg/mLまたは約600mg/mL~約1,000mg/mLであってもよい。
【0104】
投与は単回投与または累積(連続投与)であってもよく、当業者によって容易に決定することができる。例えば癌の治療は、本明細書に開示されている治療用化合物または医薬組成物の有効用量の1回投与を含んでもよい。あるいは癌の治療は、例えば1日1回、1日2回、1日3回、数日に1回または週1回などのある範囲の期間にわたって行われる医薬組成物の有効用量の複数回投与を含んでもよい。投与のタイミングは個体の症状の重症度などの因子によって個体間で異なってもよい。例えば、本明細書に開示されている抗体の有効用量は不確定期間にわたって、あるいは個体がもはや治療法を必要としなくなるまで個体に1日1回投与することができる。当業者であれば治療過程にわたって個体の状態を監視することができること、および投与される本明細書に開示されている抗体の有効量をそれに応じて調整することができることを理解しているであろう。
【0105】
一実施形態では、本明細書に開示されている抗体は、癌に罹患している個体における癌細胞の数または腫瘍サイズを同じ治療を受けていない患者と比較して例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%または少なくとも95%減少させることができる。本実施形態の他の態様では、抗体は、癌に罹患している個体において癌細胞の数または腫瘍サイズを同じ治療を受けていない患者と比較して例えば約10%~約100%、約20%~約100%、約30%~約100%、約40%~約100%、約50%~約100%、約60%~約100%、約70%~約100%、約80%~約100%、約10%~約90%、約20%~約90%、約30%~約90%、約40%~約90%、約50%~約90%、約60%~約90%、約70%~約90%、約10%~約80%、約20%~約80%、約30%~約80%、約40%~約80%、約50%~約80%または約60%~約80%、約10%~約70%、約20%~約70%、約30%~約70%、約40%~約70%または約50%~約70%減少させることができる。
【0106】
さらなる実施形態では、抗体およびその誘導体は2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月またはそれ以上の半減期を有する。
【0107】
一実施形態では、抗体の投与期間は1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月またはそれ以上である。さらなる実施形態では、投与を停止する期間は1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日、8日、9日、10日、11日、12日、13日、14日、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、9週間、10週間、11週間、12週間、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、12ヶ月またはそれ以上である。
【0108】
本実施形態の態様では、本明細書に開示されている抗体は個体における癌細胞集団および/または腫瘍細胞サイズを例えば少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも100%減少または維持する。本実施形態の他の態様では、本明細書に開示されている抗体は個体における疾患または癌細胞集団および/または腫瘍細胞サイズを例えば最大で10%、最大で15%、最大で20%、最大で25%、最大で30%、最大で35%、最大で40%、最大で45%、最大で50%、最大で55%、最大で60%、最大で65%、最大で70%、最大で75%、最大で80%、最大で85%、最大で90%、最大で95%または最大で100%減少または維持する。本実施形態のさらに他の態様では、本明細書に開示されている抗体は個体における癌細胞集団および/または腫瘍細胞サイズを例えば約10%~約100%、約10%~約90%、約10%~約80%、約10%~約70%、約10%~約60%、約10%~約50%、約10%~約40%、約20%~約100%、約20%~約90%、約20%~約80%、約20%~約20%、約20%~約60%、約20%~約50%、約20%~約40%、約30%~約100%、約30%~約90%、約30%~約80%、約30%~約70%、約30%~約60%または約30%~約50%減少または維持する。
【0109】
典型的には治療の候補である任意の個体は、いくつかの形態の癌(癌が良性であるか悪性あるかを問わない)、腫瘍(固体またはそれ以外)、腫瘍またはいくつかの他の形態の癌に位置しない癌細胞を有する候補である。術前評価は典型的には、当該処置の全ての関連するリスクおよび利点を開示する徹底的なインフォームドコンセントに加えて日常的な病歴および身体検査を含む。
【実施例
【0110】
以下の非限定的な実施例は、現在企図されている代表的な実施形態のより完全な理解を容易にするために例示のみを目的として提供されている。これらの実施例は単なる例示のためのものであって本発明の範囲の限定するものではない。
【0111】
従って、これらの実施例は本明細書に記載されている実施形態を決して限定するように解釈されるべきではない。
【0112】
CLD18.2に対するウサギ抗体の作製
実施例1:CLDN18.1およびCLDN18.2の発現および精製
CLDN18.2および18.1をPet28ベクター(MilliporeSigma社)を用いて大腸菌BL21 DE3において過剰発現させた。25mMのTris、100mMのNaCl(pH7.5)中の細胞溶解物を2000×gで20分間遠心分離した。上澄みを100,000×gで1時間の超遠心分離によってさらに分離して膜粒子を得た。溶解物緩衝液中に1%のn-ドデシル-β-D-マルトピラノシド(DDM)を使用して膜を4℃で一晩可溶化した。非可溶化膜を100,000×gで1時間の超遠心分離により除去した。上澄みを15mMのイミダゾールの存在下でHisPur Cobalt樹脂(Thermo Scientific社)カラムに充填した。そのカラムを0.1%DDM、PBS中に15mMのイミダゾールで洗浄した。クローディンタンパク質を0.05%DDM、0.002%ヘミコハク酸コレステリルトリス塩(CHS)、200mMのイミダゾールを含むPBSを用いて溶出した。精製したタンパク質は短期間での使用のために2~8℃またはより長い期間の貯蔵のために-80℃で保存した。
【0113】
実施例2:免疫化
ニュージーランド白ウサギをヒトCLD18.2をコードする真核生物発現ベクターまたはその断片で免疫した。ウサギ血清中のヒトCLD18.2に対する抗体の存在をFACS分析によって監視した。ヒトCLD18.2を含む構築物をコードする核酸で一過性にトランスフェクトしたHEK293細胞を用いて免疫蛍光を決定した。精製したCLDN18.2タンパク質および/または代わりとしてヒトCLD18.2をコードする核酸で一過性にトランスフェクトした1×10個のHEK293細胞の腹膜内注射により、検出可能な免疫応答を有するウサギを追加免疫した。
【0114】
実施例3:B細胞のクローニング
完全培地は、RPMI1640(Life Technologies社、cat.#11875-119)、10%ウシ胎児血清(Sciencell社、cat.#0500)、非必須アミノ酸(Life Technologies社、cat.#11140-050)、ピルビン酸ナトリウム(Life Technologies社、cat.#11360-070)、2-メルカプトエタノール(Life Technologies社、cat.#21-985-023)およびゲンタマイシン(Life Technologies社、cat.#15710-072)を含む。10ng/mLのPMA(Sigma-Aldrich社、cat.#P1585)および0.5%PHA-m(ThermoFisher社、cat.#10576-015)を含む完全培地において、2×10/mLのウサギ胸腺細胞(Spring Valley Labs、メリーランド州ウッドバイン)を2×10/mLウサギ脾細胞(Spring Valley Labs、メリーランド州ウッドバイン)と共に48時間培養した。上澄みを0.2uMで濾過し、-20℃で貯蔵した。
【0115】
60mmのペトリ皿を3mLのヒトCLDN18.2-his(PBS中に2ug/mL)でコーティングし、4℃で一晩インキュベートした。コーティング溶液を除去し、3mLのPBS/5%BSAを添加して室温で1~2時間ブロッキングした。ブロッキング溶液を除去し、プレートをPBSで4回洗浄した。免疫したウサギからの脾臓リンパ球の単細胞懸濁液をプレート中の3mLのPBS/2.5%BSAに添加し、4℃で45分間インキュベートした。次いでこの皿をPBS/BSAで5回洗浄して非接着細胞を除去し、次いで細胞スクレーパを用いるスクレイピングにより接着細胞を細胞完全培地の中に回収した。
【0116】
あるいは、脾臓リンパ球をCLDN18.1およびCLDN18.2タンパク質を用いてパニングした。Thermo Fisher Scientific社製のEZ-Link(商標)NHS-PEG4ビオチン化キットを用いてこれらのクローディンタンパク質をビオチン化した。ネガティブパニングのために、免疫したウサギからの脾臓リンパ球の単細胞懸濁液をビオチン化CLDN18.1を含有するMACS緩衝液(PBS/0.5%BSA/2mMのEDTA)に再懸濁し、4℃で15分間インキュベートした。細胞をMACS緩衝液で2回洗浄し、MACS緩衝液+Miltenyi Biotec社製ストレプトアビジンマイクロビーズに再懸濁した。15分間のインキュベーション後に細胞を洗浄し、磁気カラム(LSカラム、Miltenyi Biotec社)に通した。ポジティブ選択で使用するために未結合細胞を回収した。細胞をビオチン化したCLDN18.2を含有するMACS緩衝液に再懸濁し、15分間インキュベートした。細胞をMACS緩衝液で2回洗浄し、MACS緩衝液+ストレプトアビジンマイクロビーズに再懸濁し、15分間インキュベートした。細胞を1回洗浄し、次いで磁気カラム(MSカラム、Miltenyi Biotec社)に通した。ポジティブ選択された結合細胞を溶出し、B細胞クローニングのために使用した。
【0117】
次いで、96ウェル丸底プレートの中の2%ウサギ脾臓/胸腺順化培地、5~10ng/mLのヒトIL-2(Prospec、cat.#cyt-095)、1:20,000のPansorbin(EMD Millipore社、cat.#507858)、および5×10個のマイトマイシン-c(Sigma-Aldrich社、cat.#M4284)処理した(50ug/mL、45分間)EL4-B5細胞/ウェルを含む完全培地に細胞を10~50細胞/ウェルで播種した。プレートをCOインキュベータ中37℃で7日間インキュベートし、ELISAおよびFACS分析のために上澄みを除去し、その後の抗体v領域レスキューのために細胞を含むプレートを-80℃で凍結させた。ELISAベースのスクリーニングの例は図1に示されている。FACSベースのスクリーニングの例は図2に示されている。
【0118】
実施例4:一過性のトランスフェクション
v領域レスキューの成功の確認は、キメラ抗体の重鎖および軽鎖をHEK293細胞にトランスフェクトし、かつCLDN18.2結合活性の回復についてその上澄みを試験することにより行った。HEK293細胞を24ウェル組織培養プレート中の1mLの完全培地に1.5×10細胞/ウェルで播種して一晩培養した。トランスフェクションは製造業者の説明書に従ってリポフェクタミン3000(Life Technologies社、cat.#L3000015)と共に500ngの重鎖DNAおよび500ngの軽鎖DNAを用いて行った。3~5日後に上澄みを回収し、ELISAによって結合活性についてアッセイした。
【0119】
精製のために材料を作製するためのより大規模なトランスフェクションは、製造業者の説明書に従い、リポフェクタミン3000を用いて5%極低(ultra-low)IgGウシ胎児血清(Life Technologies社、cat.#16250-078)中で培養したHEK293細胞を用いて行った。
【0120】
実施例5:CLDN18.2結合ELISA
B細胞クローニング上澄みをELISAによってCLDN18.2への結合について試験した。ELISAプレートを、100uLの抗原(PBS(Life Technologies社、cat.#14190-250)中に0.5もしくは1ug/mL)を用いて4℃で一晩または37℃で1時間コーティングした。CLDN18.2および18.1の両方を大腸菌およびSF9細胞中で発現させ、Suzukiら(Science 344,304(2014))によって記載されている方法と同様の方法を用いて部分的に精製した。次いでプレートをPBS+10%ヤギ血清で1時間ブロッキングした。脱イオン水で洗浄した後、試料をPBS/10%ヤギ血清に添加し、1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、かつ100uLのヤギ抗ウサギIgG Fc-HRP(Jackson ImmunoResearch社、cat.#111-035-046)を1:5000希釈でPBS/10%ヤギ血清の中に1時間添加した。次いでプレートを脱イオン水で洗浄し、100uLのTMB基質(Thermo Scientific社、cat.#PI134021)を各ウェルに添加した。100uLの1N HSOで発色を停止し、マイクロプレート分光光度計を用いてOD450を測定した。
【0121】
精製したキメラおよびヒト化抗体をELISAによってCLDN18.2への結合について試験した。プロトコルはB細胞クローニング上澄みを試験する場合と同じであった。
【0122】
実施例6:FACSによって試験した場合のCLDN18.2結合
CLDN18.1またはCLDN18.2を発現している安定なHEK293細胞株を培養した。細胞を非酵素的細胞解離溶液で剥離した。細胞を計数し、細胞密度をFACS洗浄緩衝液を用いておよそ3百万個の細胞/mlになるように調整し、これはPBS中に3%FBSを含んでいた。50uLの細胞(150000個の細胞/ウェル)を96ウェルプレートの各ウェルに添加した。一次抗体または目的の抗体を発現している上澄みを事前に指定された濃度で細胞に添加した。プレートを氷の上で1時間インキュベートした。プレートをFACS洗浄緩衝液で3回洗浄した。蛍光結合された二次抗体をこれらの細胞に添加した(製造業者の説明書に応じた濃度)。プレートを氷の上で1時間インキュベートした。プレートを再度洗浄した。PI染色溶液を0.1ug/mLで添加し、プレートを氷の上で10分間インキュベートした。フローサイトメトリー機器を用いて細胞蛍光を測定した。
【0123】
実施例7:親和性の測定
親和性の測定は、Octet RED 96(ForteBio社)機器を用いて30℃で行った。簡単に言うと、抗ヒトIgG捕捉センサ(AHC、ForteBio社、cat#18-5060)をアッセイ緩衝液(10×Kinetics Buffer(ForteBio社、cat#18-5032)の1×希釈物)で校正した。試験抗体試料を2μg/mLまで希釈し、センサに5分間結合させた。次いでセンサをアッセイ緩衝液で3分間洗浄し、異なる濃度で希釈したCLDN18.2リガンドをセンサ表面にコーティングされたmAbに5分間結合させた。その後にアッセイ緩衝液中で解離を10分間行った。センサはグリシン緩衝液およびアッセイ緩衝液で3回洗浄することにより再生させることができた。得られたデータをForteBioソフトウェアを用いて1:1結合モデルでフィッティングした。親和性の測定の例は図3に示されている(本抗体と抗原CLDN18.2との間の結合親和性の測定)。クローン5の例示的結合動態がここに示されている。選択したクローンの結合動態のパラメータは図3の表に示されている。
【0124】
実施例8:抗体依存性細胞傷害(ADCC)
以下に記載されているプロトコルに従ってADCCレポーターアッセイを行った。
【0125】
材料:
1.培養培地-RPMI1640、10%ウシ胎児血清、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、50uMのβ-メルカプトエタノール、ペニシリン/ストレプトマイシン
2.アッセイ培地-低(low)IgGウシ胎児血清を使用すること以外は培養培地と同じ
3.エフェクター細胞株-ADCCバイオアッセイエフェクター細胞株Vバリアント(BPS Biosciences社#60541)
4.標的細胞株-HEK293/18.2(標的抗原でトランスフェクトしたHEK293細胞)
5.標的細胞株-NUGC4(標的抗原を発現する胃癌細胞株)
6.Pierce Firefly One-Step Glowアッセイキット#16196
【0126】
アッセイプロトコル:
1.標的細胞株を回収する。15,000細胞/ウェルを白色の96ウェルアッセイプレート中の50uLアッセイ培地に播種する。エフェクター細胞を沈降させ、かつアッセイ培地中に懸濁させる。一晩培養する。
2.アッセイ培地において4×濃度で被験物質の段階希釈物を調製する(典型的には希釈系列は16ug/mL(4×)、抗体価3×希釈9ウェルで開始する)。
3.25uLの4×試料を標的細胞を含むアッセイプレートに移す。15分間インキュベートする。
4.エフェクター細胞を回収および計数する。70,000エフェクター細胞/ウェル/25uLを分注する。5.5~6時間インキュベートする。
5.プレートを5分間放置して室温まで冷却する。
6.100uL/ウェルのOne-Stepホタルルシフェラーゼ試薬を添加する。発光を測定する。
ADCC結果の例は図4Aに示されており、ここでは腫瘍細胞株NUGC4を用いてADCC分析を行った。図4Bは、5H1L3、6H1L2、26H3L3、42H1L11、46H2L5、48H1L6、215H5L3、272H1L5、32H1L1および100Fと命名された個々のクローンのMFIを示し、マウス18.2(水色)、ヒト18.2(濃橙黄色)、マウス18.1(灰色)、ヒト18.1(薄橙黄色)およびHEK293(濃青色)についても示されている。定量化した結果も図4Bに示されている表に示されている。
【0127】
実施例9:ウサギB細胞からのV領域レスキューおよびキメラ抗体のスクリーニング
CLDN18.2結合が陽性であった被験ウサギB細胞をレスキューするために、重鎖および軽鎖の両方のIgG可変領域を陽性のB細胞から単離したmRNAからの逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)を用いる増幅によって捕捉した。このようにして得られたVHおよびVLのcDNAを、最終cDNA構築物がキメラウサギヒトIgGをコードするようにクローニングし、かつヒト定常領域構築物に連結させた。
【0128】
選択した陽性のB細胞を溶解し、かつ製造業者の説明書に従い、Life Technologies社製のDynabeads mRNA DIRECT Microキットを用いてmRNAを調製した。v領域を回復させるために、単一抗原陽性ウェルから作製したmRNAを製造業者の説明書に従って重鎖および軽鎖の両方のためのOneStep RT-PCRキット(Invitrogen社)反応において使用する。その反応のために、ウサギIgG分子の重鎖および軽鎖の定常領域に位置している遺伝子特異的プライマーを使用して単鎖cDNAを生成し、次いでPCRおよびネステッドPCRを行ってPCR産物の末端に特異的制限部位が付加されている可変領域を増幅させた。サブクローニングのために特異的制限部位を有するヒトγ-1重鎖定常領域およびヒトκ軽鎖定常領域を含む自社ベクターを使用した。制限部位の付加後に、PCR産物を関連する制限酵素による消化に供し、ゲル精製し、かつ適当なベクターの中に連結させた。
【0129】
サブクローニング後に、連結させたDNAをコンピテント大腸菌DH5-α(Invitrogen社)に形質転換した。形質転換プール全体を適当な抗生物質耐性を含む培地で一晩培養した。培養した細菌を、一方の部分はキメラ抗体の一過性のHEK293発現に使用するためのプラスミドDNAプレップ(Qiagen Miniprepキット)を調製するためのものであり、もう一方の部分はDNAシーケンシングのために単一のコロニーを播種するために保存するためのものである2つの部分に分けた。
【0130】
キメラ抗体を作製するために、HEK293細胞を選択したウェルからの重鎖および軽鎖の両方のDNAで同時トランスフェクトした。3~5日間の細胞培養後に上澄みを回収し、かつELISAによってIgGおよび抗原結合についてアッセイした。トランスフェクション上澄み中のIgGの存在を検出するために、ELISAプレートにコーティングした抗ヒトIgG Fc捕捉抗体、その後に上澄みおよびヒトIgG標準を利用するELISA免疫学的検定を行う。Fc捕捉抗体の検出は、抗ヒトIgG(H&L)-HRP試薬およびTMB基質を用いて得る。
【0131】
陽性のキメラ抗体発現および抗原結合機能を与える単離したDNAプレップをDNAシーケンシングのために処理した。選択したウェルが1種以上の異なるB細胞クローンを含んでいる場合があるため、単離したDNAプラスミドはこの段階で1つの特異的V領域について均質な場合もあれば均質でない場合もあることに留意されたい。当該プールを単一のクローンに分けるために、DNAを以前にそこから単離した大腸菌DH5α培養プールを適当な抗生物質を含む寒天プレート上の単一のコロニーに播種した。複数のコロニーを選択し、製造業者の説明書に従ってローリングサークルDNA増幅キット(Templiphy、GE Healthcare社)を用いてDNA生成のために処理した。Templiphy反応から生成されたDNAを配列決定し、その後に分析して各ウェルについてV領域の複雑性を決定する。DNAを調製することに加えて、Templiphy反応のために使用した細菌の各クローンを将来のDNA単離のために保存した。
【0132】
DNA配列分析に基づいて、固有のIgG重鎖もしくは軽鎖配列を含む対応する単一クローン大腸菌培養物からプラスミドDNAプレップを調製した。次いでこれらのプラスミドを使用してHEK293を再度形質転換してキメラモノクローナル抗体についてスクリーニングした。同じB細胞のウェル(クローナルでないウェル)から得られた複数の重鎖および軽鎖配列が存在する場合、固有の重鎖および軽鎖対の全ての可能な組み合わせをトランスフェクトした。3~5日後に上澄みを回収し、ELISAによってIgGおよび抗原結合についてアッセイした。このデコンボリューション工程後に、さらなる機能解析および次いでヒト化のために所望の結合活性を保持していた重鎖および軽鎖の組み合わせを選択した。
【0133】
上位抗体候補の特性および配列情報
精製したキメラタンパク質を用いて固有のDNA配列を有する上位13種の抗体を特性評価した。その結果は表1に要約されている。
【0134】
以下の使用した内部参照または参照抗体は、http://apps.who.int/medicinedocs/documents/s23256en/s23256en.pdfに示されているゾルベツキシマブのものと同じ重鎖および軽鎖配列を含む。参照抗体をHEK293細胞において一過性に発現させ、タンパク質A親和性クロマトグラフィカラムおよびその後にイオン交換クロマトグラフィ工程を用いて精製した。
【0135】
【表1】
【0136】
CLD18.2に対するマウス抗体の作製
実施例10:ヒトクローディン18.2(CLDN18.2)に対するマウス抗体の作製
DNA免疫法を用いてCLDN18.2特異的モノクローナル抗体(MAb)を作製した。簡単に言うと、CLDN18.2遺伝子インサートを修飾したDNAワクチンベクターpJW4303にクローニングした。次いで、Mega精製キット(Qiagen社、カリフォルニア州バレンシア)を用いてDNAプラスミドを大腸菌(HB101株)から作製した。20匹の6~8週齢の雌のC57/B6マウス(Taconic Farms社)のそれぞれを、遺伝子銃(Bio-rad社)システムまたはID注射のいずれかおよびその後の電気穿孔法(BTX-Harvard Apparatus社)によって送達されるプラスミドをコードするCLDN18.2により複数回免疫した。CLDN18.2特異的抗体応答の研究のために、最初の免疫の前および最後の免疫から2週間後に血清試料を採取した。高い特異的抗体価を有するマウスはCLDN18.2を発現しているHEK293細胞の最終ブーストを与え、4日後に安楽死させて脾臓を無菌的に単離した。脾臓から単細胞懸濁液を調製し、次いで電気融合(BTX-Harvard Apparatus社)によってSP2/0骨髄腫細胞に融合させた。それぞれに最大10匹のマウスを用いて2回の融合を行った。培養物上澄みを分析してCLDN18.2を発現しているがCLDN18.1を発現していないHEK293細胞との結合を有するハイブリドーマをスクリーニングした。陽性のクローンを増殖させ、単細胞クローニングを行い、かつ複数のアッセイによって確認した。
【0137】
図5は、FACSにより検出した際の、最初の免疫前および最後の免疫から2週間後に採取した血清試料のCLDN18.2特異的抗体応答の結果を示す。
【0138】
図6は、FACS分析によって同定した最初の融合からの陽性ハイブリドーマの結果を示す。ハイブリドーマは、CLDN18.2を発現しているHEK293細胞への結合を示すが、CLDN18.1を発現しているHEK293細胞またはHEK293細胞への結合を示さないか最小の結合を示す場合に陽性であると同定した。
【0139】
2回の融合からの陽性ハイブリドーマをサブクローニングし、サブクローンをCLDN18.1に対してCLDN18.2へのそれらの選択的結合についてさらにスクリーニングした。12種の陽性サブクローンを同定した(図7)。ハイブリドーマ細胞を増殖させてバイアルに入れた。これらのバイアルをさらなる試験およびその後のクローニングのために凍結させた。
【0140】
ハイブリドーマのバイアルを解凍して培養した。次いでそれらの上澄みをFACSによりさらに分析した。図8AはHEK293細胞上で発現されているCLDN18.2へのハイブリドーマの上澄みの結合の滴定曲線を示し、図8Bは18.1に対してCLDN18.2を発現しているHEK293細胞への上澄みの結合の特異性を示し、図8Cは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.1に対してCLDN18.2への上澄みの結合のFACS強度を示す。
【0141】
実施例11:選択したクローンのクローニング
79C4、11E12、83G3、30B5および85H12を含む陽性のサブクローンを選択してクローニングした。選択したクローンの抗体可変領域をクローニングした。選択したクローンの重鎖可変領域配列は表34に、軽鎖可変領域は表35に示されており、各上位候補のためのCDRは表29~表33に提供されている。
【0142】
以下に記載されている手順を用いて、V遺伝子クローニングを行った。
【0143】
RNA抽出:1×10個のマウスハイブリドーマ細胞を900gで5分間の遠心機によって回収した。製造業者のプロトコルに従い、RNeasy Miniキット(Qiagen社、ドイツ)を用いて総RNAを抽出した。NanoDrop 1000(Thermo Fisher社)によりRNAを定量化した。
【0144】
cDNA合成:cDNA合成のためにiScript cDNA合成キット(カタログ1708891、Bio-rad社)を使用した。簡単に言うと、20uLの反応体積中で、1ugの総RNA、ランダムプライマーを含む4uLの反応緩衝液、1uLのiScript逆転写酵素およびヌクレアーゼ非含有水(変数)を混合した。製造業者のプロトコルに記載されているように、反応混合物をサーマルサイクラー(Bio-rad社)において25℃で10分間、46℃で30分間および95℃で1分間インキュベートした。あるいは、SMARTer RACE5’/3’キット(カタログ634858、Takara社)を使用して製造業者のマニュアルに記載されているようにcDNAを合成した。
【0145】
V遺伝子の増幅:EMD Millipore Novagen マウスIg-プライマーセット(カタログ698313、EMD Millipore社)およびHigh Fidelity Platinum Taq DNAポリメラーゼ(カタログ11304011、Invitrogen社)を使用して重鎖および軽鎖可変領域を増幅させる。簡単に言うと、50uLの反応体積中で、5uLの10×反応緩衝液、1uLの10mMのdNTP混合物、1uLの順方向/逆方向プライマー、1uLのcDNA産物、0.2uLのDNAポリメラーゼおよびヌクレアーゼ非含有水(50uLまで充填)を混合した。反応混合物をサーマルサイクラー(Bio-rad社)において30サイクルのために95℃で15秒間、55℃で15秒間および72℃で30秒間インキュベートし、次いで72℃でさらに5分間延長した。製造業者のマニュアルに記載されているように、PCR産物をTOPO TAクローニングベクター(カタログK457501、Invitrogen社)にクローニングし、かつ大腸菌の上位10種のコンピテント細胞に形質転換した。GeneWiz(ニュージャージー州サウスプレインフィールド、07080)によるシークエンシングのために単一のコロニーを選択した。
【0146】
サブクローンの配列を確認するためにキメラ抗体を作製した。完全な抗体発現のために、重鎖および軽鎖可変遺伝子をそれぞれpFUSEhIG1およびpFUSEhIGK(InvivoGen社、サンディエゴ)にクローニングした。選択したサブクローンのそれぞれからの重鎖および軽鎖の両方のDNAでHEK293細胞を同時トランスフェクトした。CLDN18.1を発現しているHEK293細胞に対してCLDN18.2を発現しているHEK293細胞へのFACS結合により上澄みを試験した。FACS分析の例は図9に示されている。図9Aは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.2へのクローンの上澄みの結合の滴定曲線を示す。図9Bは、CLDN18.1に対してCLDN18.2を発現しているHEK293細胞への上澄みの結合の特異性を示す。図9Cは、HEK293細胞上で発現されているCLDN18.1に対してCLDN18.2への上澄みの結合のFACS強度を示す。
【0147】
さらに、実施例8に記載されているプロトコルに従ってADCCレポーターアッセイによる機能分析も行った。ADCCレポーターアッセイの結果の例は図10に示されている。
【0148】
選択したCLD18.2に対する抗体のヒト化
実施例12:ウサギ抗体クローン46のヒト化
ヒト化のためにクローン46を選択した。抗体構造に対する最近の研究に関連する標準的なCDR移植技術および成熟ヒトIgG配列の最新のデータベースを用いてヒト化を行った。クローン46のCDR配列のための「アクセプター」フレームワークとして使用されたことのある多くのヒトフレームワーク配列を同定した。これらのアクセプター配列は全てヒト供給源からの成熟したヒトIgGに由来しており、ファージディスプレイまたは他の技術から得られたものではなかった。故に、ヒト化配列は非免疫原性であることが期待され、かつCDRループの標準構造を保持していた。VH/VL界面および標準ループ構造のための重要な残基は、CDRxプラットフォームを用いてヒト化バリアントにおいて可能な限り維持されていた。
【0149】
5対のヒト化重鎖(配列番号187~191、表27)および軽鎖(配列番号193~197、表28)を作製した。全ての可能な対をHEK293細胞を用いて一過性に発現させ、一過性の発現の上澄みを結合およびADCC活性について試験した。最初の結果(データは示さず)に基づいて、HC5/LC5、HC4/LC5、HC3/LC1、HC5/LC1、HC4/LC1の対は最も高い結合親和性およびADCC活性を有していた。最適化されたHC4のために配列番号199~201を作製し、かつ最適化されたHC5のために配列番号202~204を作製するために、HC4(配列番号190)およびHC5(配列番号191)をさらに最適化した。最適化されたLC1のために配列番号205を作製し、かつ最適化されたLC5のために配列番号206を作製するために、LC鎖LC1(配列番号193)およびLC5(配列番号197)も最適化した。さらなるスクリーニング後に、2種類のリード分子ASK589-B(すなわちB)およびASK589-C(すなわちC)をヒト化ウサギ抗体からのリード分子として同定した。分子Bは、配列番号202に示されているアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号205に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。分子Cは、配列番号204に示されているアミノ酸配列を有する重鎖と配列番号205に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖とを含む。
【0150】
実施例13:マウス抗体クローン11E12および83G3のヒト化
ヒト化のためにマウスハイブリドーマクローン11E12および83G3を選択した。モデル構造としてpdb 4OZ4を用いて11E12 Fv相同性モデルを構築し、pdb 1HILおよびpdb 3TT1で構築された別の異種モデルによりヒト化設計を二重確認した。モデル構造としてpdb 2I9Lを用いて83G3 Fv相同性モデルを構築し、pdb 1MCPおよびpdb 2I9Lで構築された別の異種モデルによりヒト化設計を二重確認した。ヒト化プロセス中に、マウスCDRをヒトフレームワークアクセプターの中に移植し、マウスフレームワーク内のものと異なるヒトフレームワーク内の残基を調査した。以下の規則:「a.新しい接触(イオン間相互作用、水素結合、疎水性相互作用)がこのヒト残基とマウスFv CDR残基、標準残基、界面残基またはvernier残基との間に作り出された場合、このヒト残基をマウス残基に逆突然変異させる必要がある」、「b.ヒト残基がマウス残基を置換している場合にマウス残基と標準残基、界面残基またはvernier残基との間の古い接触(イオン間相互作用、水素結合、疎水性相互作用)が失われた場合、このヒト残基をマウス残基に逆突然変異させる必要がある」、および「c.マウス標準残基、界面残基またはvernier残基のヒト残基による置換を慎重に調査し、通常は回避しなければならない」に基づいて、ヒト残基からマウス残基への逆突然変異を設計した。
【0151】
各抗体およびhuVHv1VLv1(最も高いヒト化割合を有するヒト化型からのデータ)のシュレーディンガー表面分析およびシュレーディンガー翻訳後修飾も行った。さらに、逆突然変異を含んでいた最も高いヒト化型VHv1VLv1のフレームワークにおけるProtean 3Dによって予測される全ての可能な細胞エピトープ、B細胞エピトープ、MHC IIエピトープおよび抗原性エピトープをコールアウトした。
【0152】
ヒト化11E12の可変領域配列が表36に列挙されている。ヒト化83G3の可変領域配列が表37に列挙されている。
【0153】
上に記載されているのように、HEK293細胞においてヒト化抗体を一過性に発現させて精製した。本抗体をCLDN18.2に対するそれらの機能性および特異性についてさらに試験した。さらなる特性評価のためにASK589-M1(すなわちM1)を選択した。分子M1は、配列番号254に示されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と配列番号260に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含む。M5は、配列番号257に示されているアミノ酸配列を有する重鎖可変領域と配列番号260に示されているアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域とを含むM1の突然変異型である。
【0154】
CLD18.2に対するヒト化抗体の機能性分析
実施例14:結合アッセイ
HEK293細胞およびNUGC4細胞上で発現されている標的CLDN18.2タンパク質へのヒト化抗体の結合をFACSにより分析した。その結果は図11に示されている。図11Aは、CLDN18.2でトランスフェクトしたHEK293細胞への結合を示す。その結果から、M5は参照分子と比較するとより高い結合およびより高い結合親和性を有することが分かった。図11Bは、CLDN18.2を天然に発現するNUGC4細胞への結合を示す。その結果から、M5およびBは参照分子と比較すると有意により高い結合および非常により高い結合親和性を有することが分かった。
【0155】
実施例15:ADCCレポーターアッセイ
実施例11に記載されているADCCレポーターアッセイを用いてヒト化抗体を試験した。その結果は図12に示されている。図12Aは、CLDN18.2で安定にトランスフェクトした標的細胞HEK293を用いたヒト化抗体M5およびBについてのADCCレポーターアッセイの結果を示す。それらの結果から、M5およびBは高レベルのCLDN18.2がそれらの表面に発現されているHEK293細胞に対して参照抗体の活性よりも僅かに良好またはそれと同様の活性を有することが分かった。図12Bおよび図12Cは胃癌細胞NUGC4(図12B)およびDAN-G(図12C)を用いた場合の結果を示し、これらはCLDN18.2を天然に発現するが、CLDN18.2で安定にトランスフェクトしたHEK293細胞と比較すると有意により低いレベルで発現している。それらの結果から、分子M5およびBが胃癌細胞を死滅させるのに参照抗体よりも有意に高いADCC活性を有することが分かった。
【0156】
実施例16:CDCアッセイ
アッセイ培地としてRPMI1640+1%低IgGウシ胎児血清を用いてCDCアッセイを行った。50uL/ウェルのアッセイ培地において試験抗体を2×濃度で滴定する。標的細胞を25uL中に20,000細胞/ウェルで添加する。37℃で15分間インキュベートする。25uL/ウェルの40%ヒト補体(10%最終濃度)を添加する。自然発生的な細胞死のために培地のみを含む標的を使用する。最大細胞死のために標的+1%Triton X-100を使用する。37℃で1時間インキュベートする。100uL/ウェルのCellTiter-Glo(Promega社cat.#G7571)を添加する。発光を測定する。以下の方程式:特異的放出=(実験値-自然発生値)/(最大値-自然発生値)×100を用いてCDC活性を計算する。
【0157】
図13は、参照抗体と比較した場合のヒト化分子B、M1およびM5のCDC結果を示す。図13AはCLDN18.2を発現しているHEK293細胞に対する参照に対してBおよびM1を用いた場合の結果を示し、図13BはCLDN18.2を発現している標的HEK293細胞に対する参照に対してM5を用いた場合の結果を示し、図13Cは標的NUGC4細胞に対する参照に対してBおよびM1を用いた場合の結果を示す。全ての結果から、抗体M1、M5およびBが参照抗体よりも高いCDC活性を有することが分かった。
【0158】
ヒト化抗体M1、BおよびM5の特異性
実施例17:他のクローディンファミリーメンバーへの結合
多くのクローディンファミリーメンバーを発現している遺伝子をHEK293細胞に一過性にトランスフェクトした。またCLDN7およびCLDN18.2以外のクローディンは全てC末端でFLAGに融合されていた。HEK293細胞上で発現されているクローディンへの抗体M1、M5およびBならびに参照抗体の結合を上に記載されているのようにFACSを用いて試験した。その結果から、本明細書において試験した全ての抗体はCLDN18.2に選択的に結合するが本明細書に示されている他のクローディンファミリーメンバーのいずれにも結合しないことが分かった(図14A)。それらの結果から、FLAG抗体の結合によって実証されているようにFLAGを有する全てのクローディンが発現されることも分かった(図14B)。
【0159】
実施例18:タンパク質チップを用いた特異性分析
ヒト化抗体がCLDN18.2に特異的であるかを試験するために、ヒト膜タンパク質CLDN18.2を標的とする抗体の特異性をプロファイリングするための膜プロテオームアレイ(MPA:Membrane Proteome Array)アッセイを行った。MPAを使用して抗体標的特異性を決定し、オーファン抗体標的の畳み込みを解き、かつバイオシミラー候補の標的プロファイルを特性評価することができる。膜プロテオームアレイ(MPA)アッセイは以前に記載されている方法と同様に行った(Tuckerら PNAS 2018年5月29日,115(22)E4990-E4999)。フローサイトメトリーを使用して、ヒトHEK-293T細胞において発現されている膜タンパク質への抗体結合を直接検出した。全てのMPA標的を自然の立体構造および適当な翻訳後修飾を有するように設計した。本抗体をGPCR、イオンチャネルおよびトランスポーターを含む5,300種超のヒト膜タンパク質のMPAライブラリーに対する反応性について試験した。同定した標的を2次スクリーニングにおいて検査して反応性を確認した。これらのデータ(図示せず)から、M5がCLDN18.2に特異的に結合し、当該試験においてバックグラウンドを超えるレベルで膜タンパク質のいずれにも予想外に結合しないことが分かった。
【0160】
PK研究
実施例19:カニクイザルにおける薬物動態学的研究
実験動物を用い、関連する政府規制に従ってカニクイザル(3~4kg体重の10匹の雄および10匹の雌の動物)PK研究においてヒト化抗体M1、M5、BおよびCを試験した。投与量は計4回の投与のために毎週5mg/kgであった。この研究は以下の表に示されている5つの群に対して設計した。
【表2】
【0161】
試料は以下の表に記載されているように採取した。


【表3】
【0162】
以下の表に示されているスケジュールに従ってPK試料を採取した。
【表4】
【0163】
精製した抗原を用いるELISAアッセイを使用して血清中の薬物濃度を試験した。PKデータは図15に示されている。これらの結果から抗体M1およびM5は5mg/kgにおいて明らかな免疫原性を有しない線形のPKを有することが分かった。
【0164】
動物モデルの有効性研究
実施例20:動物モデルの有効性研究
この実験のために使用したマウスは6週齢の雌のBalb/Cマウスであった。マウスを実験の開始前の1週間で輸送から回復させた。CT26/18.2細胞を100uLのPBS中に1×10細胞で皮下に移植した。7日後に腫瘍は平均して約70mmに達した。各群が同じ平均腫瘍サイズを有するようにマウスを10匹のマウスからなる6つの群に無作為化した。7日目に治療を開始した。
【0165】
研究群を以下に列挙する。
1.プラセボ
2.マウス抗体参照(10mg/Kg)
3.マウス抗体M5(10mg/Kg)
4.マウス抗体M5(1mg/Kg)
5.5-フルオロウラシル(40mg/Kg)
6.5-フルオロウラシル+M5(3mg/Kg)
【0166】
マウスIgG2aの形態の抗体を発現させて精製した。それらを3日ごとに腹腔内投与した。計3回の治療のために5-FUを2日ごとに腹腔内投与した。3日ごとに腫瘍サイズを測定した。
【0167】
インビボ有効性データは図16に示されている。このデータからマウス抗体M5は1mg/kgおよび10mg/kgにおいて腫瘍増殖を抑制するのに有効であることが分かった。参照抗体は本研究においてあらゆる活性を示した。
【0168】
【表5】
【0169】
【表6】
【0170】
【表7】
【0171】
【表8】
【0172】
【表9】
【0173】
【表10】
【0174】
【表11】
【0175】
【表12】
【0176】
【表13】
【0177】
【表14】
【0178】
【表15】
【0179】
【表16】
【0180】
【表17】
【0181】
【表18】
【0182】
【表19】
【0183】
【表20】
【0184】
【表21】
【0185】
【表22】
【0186】
【表23】
【0187】
【表24】
【0188】
【表25】
【0189】
【表26】
【0190】
【表27】
【0191】
【表28】
【0192】
【表29】
【0193】
【表30】
【0194】
【表31】
【0195】
【表32】
【0196】
【表33】
【0197】
【表34】
【0198】
【表35】
【0199】
【表36】
【0200】
【表37】
【0201】
【表38】
【0202】
【表39】
【0203】
【表40】
【0204】
上記非限定的な例は、開示されている主題のより完全な理解を容易にするために単に例示のために提供されている。これらの実施例は、癌、神経変性疾患または感染症を治療するための抗体、医薬組成物または方法および使用に関するものを含む本明細書に記載されている実施形態を決して限定するものとして解釈されるべきではない。
【0205】
最後になるが、当然のことながら、本明細書の態様は具体的な実施形態を参照することにより強調されているが、当業者であればこれらの開示されている実施形態は本明細書に開示されている主題の原理の単なる例示であることを容易に理解するであろう。従って、開示されている主題はそのようなものとして明示的に記載されていない限り、本明細書に記載されている特定の化合物、組成物、物品、装置、方法論、プロトコルおよび/または試薬などに決して限定されないことを理解すべきである。さらに当業者であれば、本明細書の趣旨から逸脱することなく本明細書中の教示に従って特定の変化、修正、交換、変更、追加、削除およびそれらのサブコンビネーションが可能であることが分かるであろう。従って、以下の添付の特許請求の範囲および今後導入される請求項は、それらの真の趣旨および範囲内にあるものとして、そのような変化、修正、交換、変更、追加、削除およびサブコンビネーションを含むように解釈されることが意図されている。
【0206】
本発明者らに知られている本発明を実施するための最良の形態を含む本発明の特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然のことながら、これらの記載されている実施形態に対する変形は上記説明を読めば当業者には明らかになるであろう。本発明者は、当業者がそのような変形を適宜用いることを想定しており、本発明者らは、本明細書に具体的に記載されているものとは異なる方法で本発明が実施されることを意図している。従って本発明は、本明細書に添付されている特許請求の範囲に列挙されている主題の全ての修正形態および均等物を適用法により認められるものとして含む。さらに、本明細書に特に記載がない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、その全ての可能な変形における上に記載されている実施形態のあらゆる組み合わせが本発明によって包含される。
【0207】
本発明の他の実施形態、要素または工程のグループ化は、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。各グループの構成要素は個々に、あるいは本明細書に開示されている他のグループの構成要素との任意の組み合わせで言及および特許請求することができる。グループの1つ以上の構成要素は利便性および/または特許性を理由に、グループに含めたりそこから削除したりすることができるものと想定される。任意のそのような包含または削除が生じた場合、本明細書は、そのグループを修正されたものとして含み、従って添付の特許請求の範囲に使用されている全てのマーカッシュ群の記載を満たしているものとみなされる。
【0208】
特に記載がない限り、本明細書および特許請求の範囲に使用されている特性、項目、量、パラメータ、性質および用語などを表わす全ての数は、「約」という用語により全ての場合に修飾されるものとして理解されるべきである。本明細書で使用される「約」という用語は、そのように修飾された特性、項目、量、パラメータ、性質または用語が、その指定された特性、項目、量、パラメータ、性質または用語の値の上下±10%の範囲を包含することを意味する。従って特に矛盾した記載がない限り、本明細書および添付の特許請求の範囲に記載されている数値のパラメータは変動し得る近似値である。例えば、質量分析機器は所与の分析物の質量を決定する際に僅かにばらつく可能性があるため、イオンの質量またはイオンの質量/電荷比の文脈における「約」という用語は±0.50原子質量単位を指す。少なくとも各数値の表示は特許請求の範囲に対する均等論の適用を制限しようとするものではなく、少なくとも報告されている有効数字の数を考慮し、かつ通常の丸め技術を適用して解釈されるべきである。
【0209】
一実施形態または一実施形態の態様を言及する際の「~してもよい」または「~することができる」という用語の使用は、それにより「~しなくてもよい」または「~することができない」という他の意味も有する。従って本明細書が一実施形態または一実施形態の態様を本発明の主題の一部として含めてもよいこと、または含めることができることを開示している場合、一実施形態または一実施形態の態様を本発明の主題の一部として含めなくてもよいこと、または含めることができないことを意味するその否定的な限定または排他的な提供も明示的に意図されている。同様の方法で、一実施形態または一実施形態の態様を参照する際の「任意に」という用語の使用は、そのような実施形態または当該実施形態の態様を本発明の主題の一部として含めてもよいこと、または本発明の主題の一部として含めなくてもよいことを意味する。そのような否定的な限定または排他的な提供が適用されるか否かは、その否定的な限定または排他的な提供が特許請求されている主題に列挙されているか否かに基づくであろう。
【0210】
本発明の広い範囲を記載している数値範囲および値が近似値であっても、具体的な例に記載されている数値範囲および値は可能な限り正確に報告されている。但し、どの数値範囲または値もそれらの各試験測定値に認められる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含む。本明細書における値の数値範囲の列挙は単に、その範囲に含まれる各個別の数値を個々に述べるのを省略する方法としての役割を担うためのものである。本明細書に明記しない限り、数値範囲の各個々の値はあたかも本明細書に個々に列挙されているかのように本明細書に組み込まれている。
【0211】
本発明を説明する文脈(特に以下の特許請求の範囲の文脈)に使用される「1つの(a)」「1つの(an)」「その(前記)(the)」という用語および同様の言及は、本明細書に特に記載がない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、単数および複数の両方を包含するように解釈されるべきである。さらに、特定される要素のための「第1の」「第2の」「第3の」などの序数標識は、要素を区別するために使用されており、特に別段の定めのない限り、そのような要素の必要数または限定数を示したり暗示したりしておらず、そのような要素の特定の位置または順序を示してはいない。本明細書に記載されている全ての方法は、本明細書に特に記載がない限り、あるいは文脈に明らかに矛盾しない限り、任意の好適な順序で実施することができる。本明細書に提供されているありとあらゆる例または例を表わす言葉(例えば「など」)の使用は、単に本発明をより良く理解するためのものであり、特許請求の範囲に別段の定めがない限り本発明の範囲を限定するものではない。本明細書中の言葉はいずれも本発明の実施に必須なあらゆる特許請求されていない要素を示すものとして解釈されるべきではない。
【0212】
特許請求の範囲で使用されている場合、出願であるか補正による追加であるかに関わらず、「~を含む(comprising)」というオープンエンドの移行句(および「~を含む(備える)(including)」、「~を含む(含有する)(containing)」および「~を有する(having)」のようなその同等のオープンエンドの移行句)は、単独または列挙されていない主題と組み合わせて明示的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴を全て包含し、列挙されていない要素、限定および/または特徴は必須ではないが、他の列挙されていない要素、限定および/または特徴を追加することができ、なお特許範囲の範囲内の構成をなしている。本明細書に開示されている具体的な実施形態は、「~を含む(comprising)」の代わりまたは補正としてクローズドエンドの移行句である「~からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」を用いて特許請求の範囲においてさらに限定されている場合がある。特許請求の範囲で使用されている場合、出願であるか補正による追加であるかに関わらず、「~からなる(consisting of)」というクローズドエンドの移行句は、特許請求の範囲に明示的に列挙されていないあらゆる要素、限定、工程または特徴を排除する。「本質的に~からなる(consisting essentially of)」というクローズドエンドの移行句は、請求項の範囲を明示的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴ならびに特許請求されている主題の基本的および新規な特性に実質的に影響を与えないあらゆる他の要素、限定、工程および/または特徴に限定する。従って、「~を含む(comprising)」というオープンエンドの移行句の意味は、具体的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴ならびにあらゆる任意のさらなる明記されていないものを全て包含するものとして定義される。「~からなる(consisting of)」というクローズドエンドの移行句の意味は、請求項に具体的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴のみを含むものとして定義されており、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」というクローズドエンドの移行句の意味は、請求項に具体的に列挙されている要素、限定、工程および/または特徴ならびに特許請求されている主題の基本的および新規な特性に実質的に影響を与えない要素、限定、工程および/または特徴のみを含むものとして定義される。従って、「~を含む(comprising)」というオープンエンドの移行句(およびその同等のオープンエンドの移行句)は、その意味の範囲内で限定的事例として、「~からなる(consisting of)」または「本質的に~からなる(consisting essentially of)」というクローズドエンドの移行句によって指定されている特許請求されている主題を含む。従って、「~を含む(comprising)」という語句と共に本明細書に記載されているかそのように特許請求されているそのような実施形態は、「本質的に~からなる(consisting essentially of)」および「~からなる(consisting of)」という語句に対して本明細書において明示的または本質的に疑う余地なく記載され、可能であり、かつ支持されている。
【0213】
本明細書で参照および特定されている全ての特許、特許公開公報および他の刊行物の内容全体が、例えば本発明に関連して使用することができるそのような刊行物に記載されている組成物および方法論を記載および開示するために個々に、かつ明確に参照により本明細書に組み込まれる。これらの刊行物は単に本出願の出願日より前のそれらの開示のために提供されている。この点に関してはいずれも、本発明者らが先願発明を理由に、あるいはあらゆる他の理由のために、そのような開示に先行する権利がないということを認めるものとして解釈されるべきではない。これらの文献の日付に関する全ての記載または内容に関する表現は本出願人に利用可能な情報に基づくものであり、これらの文献の日付または内容の正確性に関するいかなる承認も構成するものではない。
【0214】
最後に、本明細書で使用される用語は単に特定の実施形態について記述するためものであり、本発明の範囲を限定するものためのものではなく、本発明の範囲は特許請求の範囲によってのみ定められている。従って本発明は詳細に図示および説明されるものに限定されない。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
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図8
図9
図10
図11
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【配列表】
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