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特許7513606チューブ接合装置及びチューブ接合装置を用いた接合方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】チューブ接合装置及びチューブ接合装置を用いた接合方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/20 20060101AFI20240702BHJP
   F16L 47/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B29C65/20
F16L47/02
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021526878
(86)(22)【出願日】2020-06-18
(86)【国際出願番号】 JP2020023984
(87)【国際公開番号】W WO2020262192
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2023-04-10
(31)【優先権主張番号】P 2019117308
(32)【優先日】2019-06-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000109543
【氏名又は名称】テルモ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】國分 友隆
(72)【発明者】
【氏名】桃木 秀幸
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-022341(JP,A)
【文献】特開2016-022227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/28,39/14
B29C 65/02,65/20,65/74
F16L 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱した板状の切断部材によって第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入れ替えて接合するチューブ接合装置であって、
前記第1チューブ及び前記第2チューブを挟みこみ可能であり、溶断前の前記第1チューブ及び前記第2チューブを配置可能な初期状態と、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を接合可能な接合状態とに、移行可能なクランプ部と、
前記クランプ部を前記初期状態及び前記接合状態に移行させる移行部と、
前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出可能なチューブ検出部と、
前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、取り外した前記第1チューブ及び前記第2チューブの取り扱い方法を報知する報知部と、
前記第1チューブと前記第2チューブの接合完了後に、前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、前記クランプ部が前記接合状態から前記初期状態に復元するように前記移行部の動作を制御するとともに、前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出しなかった場合に、前記報知部に、接合した前記第1チューブ及び前記第2チューブを取り外すように報知させる制御部と、を有する、チューブ接合装置。
【請求項2】
前記クランプ部は、溶断位置を境界として前記第1チューブ及び前記第2チューブの一方側を挟みこむ第1クランプユニットと、前記溶断位置を境界として前記第1チューブ及び前記第2チューブの他方側を挟みこむ第2クランプユニットと、を有し、
前記第1チューブと前記第2チューブの接合完了後に、前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、
前記移行部は、前記第1チューブの溶断した端部と溶断した前記第2チューブの端部とを押し付け合って接合可能な接合位置から、前記第1クランプユニットと前記第2クランプユニットを相対的に離間させ、次に接合する前記第1チューブ及び前記第2チューブを配置可能な初期位置に復元する、請求項1に記載のチューブ接合装置。
【請求項3】
記報知部が取り外した前記第1チューブ及び前記第2チューブの取り扱い方法を報知する間に、前記制御部は、前記クランプ部が前記接合状態から前記初期状態に復元するように前記移行部の動作を制御する、請求項1または請求項2に記載のチューブ接合装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載のチューブ接合装置を用いた接合方法であって、
前記初期状態の前記クランプ部が溶断前の前記第1チューブ及び前記第2チューブを挟みこんだ状態で、前記切断部材が前記第1チューブの端部と前記第2チューブの端部を溶断し、
前記クランプ部が前記初期状態から前記接合状態に移行することで、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を接合し、
前記第1チューブと前記第2チューブの接合完了後に前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、前記クランプ部は、前記接合状態から前記初期状態に復元し、
前記初期状態の前記クランプ部が次に接合する前記第1チューブ及び前記第2チューブを挟みこみ、前記溶断、前記接合、及び前記復元が行われる、接合方法。
【請求項5】
腹膜への透析液の注入及び排出を自動的に行う腹膜透析装置を構成する複数のチューブを、接続相手のチューブに連続して接合する、請求項4に記載のチューブの接合方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ接合装置及びチューブ接合装置を用いた接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製のチューブ同士等をつなぎ合わせる技術として、各樹脂製のチューブの端部を溶断し、溶断した端部同士を相互に押し付けて加圧接合する接合方法が従来から知られている。このような技術は、様々な産業分野において広く用いられており、その一例として、腹膜透析方法などの医療技術への応用が試みられている。
【0003】
腹膜透析方法は、患者の腹腔内に埋め込んだチューブ(カテーテル)を使用して所定の透析液を体内に入れ、一定時間経過後、腹膜を介して透析液内へ移行させた水や老廃物を体外へ取除く方法である。特許文献1には、腹膜透析に用いる2本のチューブにおいて溶断した端部を入れ替えて接合を行うチューブ接合装置が開示されている。
【0004】
特許文献1に記載のチューブ接合装置は、溶断した2本のチューブを挟みこみ可能であり、溶断前の2本のチューブを配置可能な初期状態と、溶断した2本のチューブの端部同士を接合可能な接合状態とに、移行可能なクランプ部を有している。特許文献1では、2本のチューブの接合完了後、クランプ部は、使用者が電源を操作するによって接合状態から初期状態に復元するように構成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-22227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、腹膜透析方法の一つとして、夜間等に連続して透析液の注入及び排出を行う自動腹膜灌流療法(APD:Automated Peritoneal Dialysis)が知られている。APDでは、腹膜への透析液の注入と排出を自動的に行う腹膜透析装置等が用いられる。腹膜透析装置は、腹膜から延びるチューブに接続される腹膜ラインと、腹膜ラインに連なると共に複数の透析液容器に接続される注入ラインと、腹膜ラインに連なるとともに排液容器に接続される排出ラインと、を有する。
【0007】
腹膜から延びるチューブと腹膜ラインを接続する場合や複数の透析液容器の複数のチューブと注入ラインを構成する複数のチューブを接続する場合等において、上述したチューブ接合装置が用いられる場合がある。この場合、チューブ接合装置は、チューブの接合を連続して行う。そのため、特許文献1のように、使用者の操作によってクランプ部を接合状態から初期状態に復元するように構成している場合、次の接合を行う度に使用者がクランプ部を接合状態から初期状態に復元するための操作を行う必要があり、使用者の利便性が損なわれる。
【0008】
そこで本発明は、チューブの接合を連続して行う際に使用者の利便性を向上させることのできるチューブ接合装置及びチューブ接合装置を用いた接合方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成する本発明に係るチューブ接合装置は、加熱した板状の切断部材によって第1チューブの端部と第2チューブの端部を溶断した後、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を入れ替えて接合するチューブ接合装置であって、前記第1チューブ及び前記第2チューブを挟みこみ可能であり、溶断前の前記第1チューブ及び前記第2チューブを配置可能な初期状態と、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を接合可能な接合状態とに、移行可能なクランプ部と、前記クランプ部を前記初期状態及び前記接合状態に移行させる移行部と、前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出可能なチューブ検出部と、前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、取り外した前記第1チューブ及び前記第2チューブの取り扱い方法を報知する報知部と、前記第1チューブと前記第2チューブの接合完了後に、前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、前記クランプ部が前記接合状態から前記初期状態に復元するように前記移行部の動作を制御するとともに、前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出しなかった場合に、前記報知部に、接合した前記第1チューブ及び前記第2チューブを取り外すように報知させる制御部と、を有する。
【0010】
また、本発明に係る接合方法は、上記に記載のチューブ接合装置を用いた接合方法であって、前記初期状態の前記クランプ部が溶断前の前記第1チューブ及び前記第2チューブを挟みこんだ状態で、前記切断部材が前記第1チューブの端部と前記第2チューブの端部を溶断し、前記クランプ部が前記初期状態から前記接合状態に移行することで、前記第1チューブの溶断した端部と前記第2チューブの溶断した端部を接合し、前記第1チューブと前記第2チューブの接合完了後に前記チューブ検出部が前記クランプ部からの前記第1チューブ及び前記第2チューブの取出しを検出した場合に、前記クランプ部は、前記接合状態から前記初期状態に復元し、前記初期状態の前記クランプ部が次に接合する前記第1チューブ及び前記第2チューブを挟みこみ、前記溶断、前記接合、及び前記復元が行われる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るチューブ接合装置および接合方法によれば、接合完了後にクランプ部からの第1チューブ及び第2チューブの取出しが検出された場合に、クランプ部は接合状態から初期状態に復元する。したがって、使用者の操作によってクランプ部を接合状態から初期状態に復元するチューブ接合装置と比較して、本発明に係るチューブ接合装置は、チューブの接合を連続して行う際に使用者の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態に係るチューブ接合装置において蓋部を開いた状態を示す概略斜視図である。
図2】チューブ接合装置の蓋部が閉じた状態を示す概略斜視図である。
図3】チューブ接合装置の蓋部を閉じた状態において、筐体内に配置される構成要素の配置例を示す概略斜視図である。
図4】チューブ接合装置の蓋部を開いた状態を示す概略平面図である。
図5図4に示すチューブ接合装置にチューブを配置した状態を示す概略平面図である。
図6】チューブ接合装置を構成するクランプ部を示す概略斜視図である。
図7】チューブ接合装置を構成する開閉検出部の説明に供する図である。
図8】チューブ接合装置を構成するチューブ検出部の説明に供する図であり、溝部に第1チューブをセットする前を示す断面図である。
図9】チューブ接合装置を構成するチューブ検出部の説明に供する図であり、溝部にチューブをセットした状態を示す断面図である。
図10図5の10-10線に沿う断面図であって、蓋部が開いた状態のチューブ接合装置を示す図である。
図11図10に示すチューブ接合装置の蓋部が閉じた状態を示す図である。
図12】チューブ接合装置を構成する回転駆動部を示す模式図である。
図13】チューブ接合装置を構成する直進駆動部を示す模式図である。
図14】チューブ接合装置の制御系統を示すブロック図である。
図15】チューブ接合装置によって、溶断-接合される複数のチューブを模式的に示す図である。
図16】チューブ接合装置の接合動作について示すフローチャートである。
図17】チューブの溶断-位置交換の各工程を模式的に示す図である。
図18】チューブの溶断-位置交換の各工程を模式的に示す図である。
図19】チューブの溶断-位置交換の各工程を模式的に示す図である。
図20】チューブの溶断-位置交換の各工程を模式的に示す図である。
図21】チューブの接合-取外しの各工程を模式的に示す図である。
図22】チューブの接合-取外しの各工程を模式的に示す図である。
図23】取外し後のチューブの取り扱い方法を模式的に示す図である。
図24】取外し後のチューブの取り扱い方法を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付した図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【0014】
図1図14は、本発明の一実施形態に係るチューブ接合装置1の全体構成及び各部の構成の説明に供する図である。図15は、チューブ接合装置1によって接合される複数のチューブの説明に供する図である。図16図24は、チューブ接合装置1の使用例の説明に供する図である。また、以下においてチューブ接合装置1における前後方向を前後方向X、左右方向を左右方向Y、高さ方向を高さ方向Zと称する。
【0015】
<チューブ接合装置>
本実施形態におけるチューブ接合装置1は、例えば、腹膜透析装置F(図15参照)を用いてAPDを行うに際して、腹膜透析装置Fを構成する複数のチューブF2、F3、F1を、接続相手のチューブT2、T3、T1に連続して接合するために用いることができる。
【0016】
具体的には、例えば、図15に示すように、腹膜透析装置Fは、腹膜透析を行う患者Mの腹膜から延びるチューブT1に接続される腹膜ラインF11と、複数の透析液容器T12に接続される注入ラインF12と、追加の透析液容器T13に接続される追加注入ラインF13と、排液容器T14に接続される排出ラインF14と、腹膜ラインF11と他のラインF12~F14との連通/遮断を切り替えて透析液の注入と排出を自動的に行う本体部F15と、を有する。なお、追加注入ラインF13は、注入ラインF12による透析液の注入に加えて透析液の注入を追加で行いたい場合や注入する透析液の濃度を変更したい場合等に使用できる。
【0017】
チューブ接合装置1は、例えば、注入ラインF12を構成する複数のチューブF2と複数の腹膜の透析液容器T12のチューブT2の端部を溶断して接合するために用いることができる。また、チューブ接合装置1は、追加注入ラインF13を構成するチューブF3の端部と追加の透析液容器T13のチューブT3の端部を溶断して接合するために用いることができる。また、チューブ接合装置1は、例えば、腹膜ラインF11を構成するチューブF1の端部と患者Mの腹膜カテーテルT11に接続されたチューブT1の端部を溶断して接合するために用いることができる。
【0018】
なお、以下では、チューブ接合装置1が、注入ラインF12を構成する複数のチューブF2と複数の透析液容器T12のチューブT2(第1チューブと第2チューブに相当)を連続して接合する場合を例に、チューブ接合装置1の構成を説明する。なお、本明細書で、「連続して接合する」とは、チューブ接合装置の電源がONの間に、順次2本のチューブの接合を行うことを意味する。したがって、チューブ接合装置1の電源がONである限り、2本のチューブの接合完了から次の2本のチューブの接合を開始するまでの間に、インターバルがあってもよい。
【0019】
チューブ接合装置1は、図1に示すように、溶断に用いられる複数枚のウェハーWF(切断部材に相当)を備えるウェハーカセットWCと組合せて使用される。チューブF2、T2の溶断作業では、図17図19に示すように、並置されているチューブF2とチューブT2を互いに押し付けて潰した状態で、チューブF2、T2が加熱したウェハーWFによって溶断される。その後、図20、21に示すように、溶断したチューブF2の片側とチューブT2の片側との位置が入れ替えられ、チューブF2、T2が加圧して接合される。詳細は後述する。
【0020】
チューブ接合装置1は、図1を参照して概説すれば、チューブ接合装置1の各部を収納する筐体10と、溶断に際してチューブF2、T2の押し潰しと、溶断後のチューブF2の片側とチューブT2の片側の入れ替えを行うクランプ部20と、溶断-接合の際にクランプ部20をチューブF2、T2を挟み込んだ状態にロックするインターロック30と、を有する。
【0021】
チューブ接合装置1は、図3に示すように、筐体10に挿入されたウェハーカセットWCを収納する収納部40と、ウェハーWFを加熱して溶断位置へ送り出す送り部50と、を有する。チューブ接合装置1は、図14に示すように、電源のON/OFFの切り替えの指示等を受付可能な操作部60と、使用者に必要な情報を報知する報知部70と、各部に電力を供給可能な電力供給部80と、各部の動作を統括的に制御する制御部90と、を有する。
【0022】
なお、図4、5に示すように、チューブF2、T2が延在する左右方向Yにおいて、チューブF2、T2の溶断位置Y0を境界として、溶断後に位置が入れ替わる側を「入替側Y1」、その反対側を「固定側Y2」と称する。以下、詳述する。
【0023】
<筐体>
筐体10は、図1、2に示すように、略六面体の上側面にあたる上部分11と、上部分11の下方に配置され略六面体の上側面以外の側面を構成する下部分12と、を組み合わせたケースによって構成している。
【0024】
上部分11には、図1に示すように、クランプ部20を配置可能な孔11rが設けられている。
【0025】
下部分12の側面には、ウェハーカセットWCを挿入するためのカセット挿入孔11cと、筐体10内に挿入されたウェハーカセットWCを取り出すための取出スイッチ11dと、が配置されている。ウェハーカセットWCをカセット挿入孔11cから挿入した状態で、使用者が指で取出スイッチ11dを押し込めば、ウェハーカセットWCは、カセット挿入孔11cを通じて筐体10の外部に取り出すことができる。
【0026】
また、筐体10には、図3に示すように、筐体10の周囲の環境温度を計測可能な温度センサ11eが内蔵されている。温度センサ11eの計測した環境温度に応じて、ウェハーWFがチューブF2、T2を加熱する加熱時間を調整することができる。
【0027】
<クランプ部>
クランプ部20は、チューブF2、T2を並置した状態で保持し、溶断に際してチューブF2、T2を互いに押付け、溶断後にチューブF2の片側とチューブT2の片側との位置を入れ替え、溶断したチューブF2、T2の一方を左右方向Yにおいて他方に押し付ける。
【0028】
クランプ部20は、図6に示すように、上部分11から突出している台座21と、台座21に対して相対的に接近-離反することによって開閉可能に構成された蓋部22と、を備える。クランプ部20は、台座21に設置されるとともに、チューブF2、T2を保持する保持部23と、蓋部22が台座21に相対的に接近する動作に伴ってチューブF2、T2を互いに押し付けて潰すチューブ押し付け部25と、を備える。
【0029】
台座21は、図5、6に示すようにチューブF2、T2の固定側Y2に設けられる第1台座211と、チューブF2、T2の入替側Y1に設けられる第2台座212と、を備えている。第1台座211と第2台座212との間には、チューブF2、T2の延在方向に沿って隙間21aが設けられている。隙間21aは、使用前のウェハーWFが溶断位置に移動する際や、使用済みのウェハーWFを筐体10の外部に送り出す際等に、ウェハーWFが通過するため等に設けられる。
【0030】
また、第1台座211及び第2台座212のそれぞれには、後述する蓋部22の係合爪225に係合可能な被係合部213が設けられている。
【0031】
蓋部22は、第1台座211に対して回動可能に設けられた第1クランプアーム221と、第2台座212に対して回動可能に設けられた第2クランプアーム222と、を備える。蓋部22は、第1クランプアーム221及び第2クランプアーム222を覆うカバー223と、第1クランプアーム221及び第2クランプアーム222に対して回動可能に設けられるとともに使用者が把持可能な把持部224と、を備えている。
【0032】
カバー223は、第1クランプアーム221及び第2クランプアーム222を一体的に覆う。このため、図2に示すように、蓋部22を閉じた状態では、カバー223は、第1台座211、第2台座212及びその間の溶断-接合が行われる領域を覆う。
【0033】
把持部224は、図6に示すように、台座21の被係合部213に係合可能な係合爪225を備えている。このため、図10、11に示すように、第1クランプアーム221、第2クランプアーム222及びカバー223を閉じた後に、把持部224を第1クランプアーム221及び第2クランプアーム222に対して回転させれば、係合爪225が被係合部213に係合する。これにより、クランプ部20が各チューブF2、T2を挟み込んだ状態を好適に維持することができる。
【0034】
図7に示すように、台座21には、蓋部22の開閉を検出する開閉検出部26が設けられている。開閉検出部26は、台座21に対して蓋部22が閉状態となったことを検出できれば、具体的な構成は特に限定されない。開閉検出部26は、本実施形態では図7に示すように被係合部213に隣接するリミットスイッチ等のセンサによって構成している。開閉検出部26は、係合爪225が被係合部213に係合することによって、係合爪225の先端が上記センサに接触してセンサを押し込み、これによって蓋部22が閉状態となったことを検出している。
【0035】
保持部23は、図6に示すように、各チューブF2、T2の固定側Y2を固定的に保持する第1保持部231と、各チューブF2、T2の入替側Y1を可動的に保持する第2保持部232と、を備える。保持部23は、第2保持部232を各チューブF2、T2を保持可能な保持状態から保持を解除した解除状態へ切り替え可能な解除部233と、第2保持部232を解除状態から保持状態へ切り替え可能な復元部234と、を備える。
【0036】
第1保持部231は、第1台座211の上面に固定されている。第1保持部231は、図6に示すようにチューブT2を嵌め込み(保持)可能な凹状の溝部231aと、チューブF2を嵌め込み可能な凹状の溝部231bと、を備えている。
【0037】
溝部231a、231bは、図10に示すように、筐体10の載置面FSに対して角度θ傾いた方向(斜め方向D1)に並ぶように設けられている。このため、チューブF2、T2は、保持部23において載置面FSに対して傾斜して並んだ状態で第1保持部231に保持される。
【0038】
第2保持部232は、図6に示すように左右方向Yに略平行な回転軸232cを回転中心として第2台座212の側面に回動可能に取り付けられている。第2保持部232は、蓋部22を開いた状態において第1保持部231と同じ高さ及び傾きに配置された溝部232a、232bを備える。
【0039】
溝部232a、232bは、蓋部22を開いた状態において溝部231a、231bとともにチューブF2、T2を保持するように構成している。すなわち、保持状態では、蓋部22が開いた状態において、チューブF2、T2が溝部232a、232bに配置されるような位置(保持位置)に第2保持部232が配置されている状態を意味する。第2保持部232は、蓋部22を閉じた状態において回転軸232cを回転中心として高さ方向Zにおける下方に変位し、溝部232a、232bがチューブF2,T2から離間した状態となる。すなわち、解除状態とは、蓋部22が閉じた状態においてチューブF2、T2が溝部232a、232bに配置されていないような位置(解除位置)に第2保持部232が配置されている状態を意味する。
【0040】
解除部233は、本実施形態では、図6に示すように蓋部22を開いた状態において第2保持部232から第2クランプアーム222に向かって突出する突起によって構成している。
【0041】
解除部233は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、蓋部22の第2クランプアーム222に当接する。解除部233は、蓋部22が筐体10に相対的に接近する動作に伴って、第2保持部232を保持位置から解除位置に退避させる。
【0042】
復元部234は、図6において破線にて示すように、蓋部22の第2クランプアーム222が筐体10に相対的に離反する動作と連動して第2保持部232を押し上げ可能なカムによって構成している。復元部234は、第2保持部232と当接可能に構成している。
【0043】
復元部234は、筐体10の側面方向からの矢視において略扇形の外形形状を備えている。復元部234は、第2クランプアーム222の回動部付近に固定されている。このため、復元部234は、第2クランプアーム222の回動に連動して回動する。このように、第2保持部232は、解除部233と復元部234によって保持位置と解除位置との間で移動可能に構成している。
【0044】
第1保持部231には、チューブF2、T2がセットされているか否かを検出可能なチューブ検出部24が設けられている。
【0045】
チューブ検出部24は、図8、9に示すように第1保持部231の溝部231a、231bに設けられ、弾性部材244によって、溝部231a、231bの底部からの突出及び陥没が可能に構成されたピン241と、ピン241の根元部分に設けられた磁石242と、ホール素子243と、を備える。ピン241は、チューブF2、T2が溝部231a、231bに嵌め込まれることによって突出位置から陥没位置に位置を変える。磁石242は、ピン241の溝部231a、231bからの突出又は陥没に合わせて移動する。ホール素子243は、磁石242に隣接して配置している。チューブ検出部24は、ホール素子243が検出する磁石242の磁力の大きさがピン241の位置に応じて変化することによって、チューブF2、T2が溝部231a、231bに配置されたか否かを検出する。ただし、溝部231a、231bにチューブF2、T2が配置されたことを検出できれば、具体的な構成は上記に限定されない。
【0046】
チューブ押し付け部25は、図6に示すように固定側押し付け部25aと、可動側押し付け部25bと、を備える。
【0047】
固定側押し付け部25aは、図11に示すようにチューブF2、T2の固定側Y2においてチューブF2、T2の並ぶ方向D1にチューブF2、T2を接近させ、互いに当接したチューブF2、T2に押圧力を付与する。固定側押し付け部25aは、図6、18に示すように第1クランプアーム221に設けられる蓋側押し付け部251と、第1台座211に設けられる筐体側押し付け部252と、を備える。
【0048】
可動側押し付け部25bは、図11に示すようにチューブF2,T2の入替側Y1において固定側押し付け部25aと同様にチューブF2、T2の並ぶ方向D1にチューブF2、T2を接近させ、互いに当接したチューブF2、T2に押圧力を付与する。可動側押し付け部25bは、図6、18に示すように第2クランプアーム222に設けられる蓋側押し付け部253と、第2台座212に設けられる筐体側押し付け部254と、を備える。
【0049】
クランプ部20は、図4、5に示すように、溶断位置Y0を境界として、チューブT2、F2の長手方向(左右方向Y)におけるチューブT2、F2の固定側Y2(一方側に相当)を挟みこむ固定クランプユニット271(第1クランプユニット)と、溶断位置Y0を境界として、チューブT2、F2の長手方向における入替側Y1(他方側に相当)を挟みこむ可動クランプユニット272(第2クランプユニット)と、を有する。
【0050】
固定クランプユニット271は、本実施形態では、第1台座211、第1クランプアーム221、第1保持部231、及び固定側押し付け部25aによって構成している。可動クランプユニット272は、本実施形態では、第2台座212、第2クランプアーム222、及び可動側押し付け部25bによって構成している。
【0051】
クランプ部20は、移行部27によって、溶断前のチューブF2及びチューブT2を配置可能な初期状態と、溶断したチューブF2の端部とチューブT2の溶断した端部を接合可能な接合状態とに、移行可能に構成している。
【0052】
移行部27は、本実施形態では、図12~14に示すように、可動クランプユニット272を構成する可動側押し付け部25bを回転させ、溶断されたチューブF2、T2の可動側の端部を固定側に対して入れ替える回転駆動部28と、可動クランプユニット272を固定クランプユニット271に接近離反可能な直進駆動部29と、を有する。
【0053】
回転駆動部28は、図12に示すように、蓋部22を閉じた状態において一体化した蓋側押し付け部253と筐体側押し付け部254の周囲に設けられた第1ギア281と、第1ギア281と噛合う第2ギア282と、第2ギア282の回転軸に接続されているモータ283と、を備えている。溶断が完了した段階で、後述する制御部90がモータ283を駆動させると、第2ギア282が回転する。第2ギア282の回転に伴い第1ギア281が回転するため、第1ギア281とともに一体化した蓋側押し付け部253及び筐体側押し付け部254も回転する。その結果、蓋側押し付け部253と筐体側押し付け部254も回転する。その結果、図20に示すように、溶断後のチューブT2の入替側Y1とチューブF2の入替側Y1との位置を入れ替えることができる。
【0054】
なお、本実施形態では、可動側押し付け部25bは、蓋側押し付け部253と筐体側押し付け部254の位置が反転した状態(蓋側押し付け部253が第2台座212側に配置され、かつ、筐体側押し付け部254が第2クランプアーム222側に配置された状態)でも、蓋部22を開き、次に接合されるチューブF2、T2を配置できるように構成している。したがって、本実施形態では、チューブ接合完了後にクランプ部20を接合状態から初期状態に復元する際に、回転駆動部28は、駆動するように構成されていない。ただし、可動側押し付け部が、蓋側押し付け部253と筐体側押し付け部254の位置が反転した状態で、チューブF2、T2を配置できるように構成していない場合、クランプ部20を接合状態から初期状態に復元する際に、回転駆動部28を駆動させてもよい。
【0055】
直進駆動部29は、可動クランプユニット272を固定クランプユニット271に対して相対的に接近離反可能に構成している。直進駆動部29は、初期状態では図17に示すように、チューブF2、T2の長手方向(左右方向Y)において可動クランプユニット272と固定クランプユニット271とが離間し、溶断前のチューブF2、T2を配置可能な初期位置P1に可動クランプユニット272を配置する。直進駆動部29は、接合状態では図21に示すように、初期位置P1よりも固定クランプユニット271と可動クランプユニット272が接近し、チューブF2、T2の長手方向において溶断したチューブF2の端部と溶断したチューブT2の端部を押し付け合って接合可能な接合位置P2に、可動クランプユニット272を配置する。
【0056】
直進駆動部29は、本実施形態では図13に示すように、前後方向Xに沿う回転軸周りに回転可能に構成されたカム291と、カム291を回転させるモータ(図示省略)と、可動クランプユニット272が取り付けられ、左右方向Yにおいてカム291に当接可能な当接部材292と、当接部材292をカム291に接近させる方向に付勢する付勢部材293と、を備える。可動クランプユニット272は、カム291において当接部材292との左右方向Yにおける接触位置がカム291の回転に応じて異なることによって、可動側のチューブF2、T2の端部を固定側のチューブF2、T2の端部に押し付ける。
【0057】
さらに、チューブ接合装置1には、可動クランプユニット272の左右方向Yの位置を検出可能な位置検出部294が設けられている。位置検出部294は、特に限定されないが、カム291の回転角度等から可動クランプユニット272の左右方向Yの位置を検出するフォトセンサ等によって構成できる。
【0058】
<インターロック>
インターロック30は、溶断-接合の際に、クランプ部20がチューブF2、T2を挟み込んだ状態にロックする機能を備えている。
【0059】
インターロック30は、本実施形態において図11に示すように電磁駆動式のソレノイドのロッド31により構成している。
【0060】
<収容部>
収納部40は、図3に示す箇所に位置しており、筐体10に挿入されたウェハーカセットWCを収納する機能、及びウェハーカセットWC内のウェハーWFの残量を検出する機能を備えている。
【0061】
収納部40は、カセット挿入孔11cから挿入されたウェハーカセットWCが装着される装着部(図示省略)と、ウェハーカセットWC内のウェハーWFを検出可能なウェハー検出部42(図14参照)と、を備えている。ウェハー検出部42は、操作部60によって電源がONになった状態においてウェハーWFの残量とウェハーWFが使用可能かどうか監視する。ウェハー検出部42は、例えば、公知のフォトセンサによって構成できる。
【0062】
<送り部>
送り部50は、図3に示す箇所に位置しており、ウェハーWFを溶断位置まで送り出し、溶断に際してウェハーWFを加熱し、使用後のウェハーWFを冷却し、使用後のウェハーWFを筐体10の外部へ送り出す。
【0063】
送り部50は、ウェハーWFを収納部40内のウェハーカセットWCから溶断位置まで送り出し可能に構成している。送り部50は、使用後のウェハーWFを第1台座211と第2台座121の間の隙間21aを介して筐体10の外部へ送り出し可能な駆動部(図示省略)を備える。送り部50は、ウェハーWFの内部に設けられウェハーWFを加熱可能な電熱線と、溶断に際してウェハーWFを加熱するために必要な電力を供給可能な端子と、使用済みのウェハーWFを冷却可能なファンと、を備えている(図示省略)。
【0064】
<操作部>
操作部60は、使用者からチューブ接合装置1への指示を受け付ける。操作部60は、図1、2に示すように、チューブ接合装置1の電源のON/OFFを切り替えるスイッチ等を含む。操作部60は、本実施形態において図2に示すように筐体10の上部分11の後端側に設けているが、具体的な位置はこれに限定されない。
【0065】
<報知部>
報知部70は、使用者に必要な情報を報知する。報知部70は、図1、3に示すように、使用者に必要な情報を表示する複数の表示部71、72と、音声によって使用者に必要な情報を報知するスピーカ73と、を備えている。
【0066】
<電力供給部>
電力供給部80は、チューブ接合装置1の各部に電力を供給する機能を備えている。電力供給部80は、図1、3に示すように、各部に電力を供給可能なバッテリ81と、バッテリ81を充電するための充電器82と、を備えている。
【0067】
<制御部>
制御部90は、マイクロコンピュータなどによって構成できる。制御部90は、CPUと、CPUにより実行される装置全体の制御プログラムや各種データを記憶するROMと、ワークエリアとして測定データや各種データを一時的に記憶するRAMとを備えている。
【0068】
制御部90は、図14に示すように、電力供給部80、操作部60、報知部70、チューブ検出部24、開閉検出部26、インターロック30、温度センサ11e、ウェハー検出部42、送り部50、移行部27、位置検出部294等に電気的に接続されている。制御部90は、各部を統括的に制御する。
【0069】
制御部90は、チューブF2、T2がクランプ部20に配置されたことをチューブ検出部24が検出し、かつ、蓋部22が閉じたことを開閉検出部26が検出した場合に、各部の動作を制御して、溶断動作を開始する。
【0070】
制御部90は、チューブF2、T2が溶断された後、移行部27の動作を制御し、クランプ部20を初期状態から接合状態に移行させる。具体的には、制御部90は移行部27の回転駆動部28の動作を制御し、図20に示すように、可動側押し付け部25bを回転させ、溶断後のチューブT2の入替側Y1とチューブF2の入替側Y1との位置を入れ替える。次に、制御部90は、位置検出部294からの信号に基づいて移行部27の直進駆動部29の動作を制御し、図21に示すように、固定クランプユニット271と可動クランプユニット272とを相対的に接近させ、初期位置P1から接合位置P2に可動クランプユニット272を移動させる。
【0071】
制御部90は、接合完了後にチューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2、T2の取出しを検出した場合に、クランプ部20が接合状態から初期状態に復元するように移行部27の動作を制御する。具体的には、接合完了後にチューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2、T2の取出しを検出した場合に、制御部90は、位置検出部294からの信号に基づいて移行部27の直進駆動部29の動作を制御し、接合位置P2(図21参照)から初期位置P1(図22参照)に、可動クランプユニット272を移動させる。
【0072】
さらに、本実施形態では、制御部90は、チューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2、T2の取出しを検出した場合に、報知部70に取り外したチューブF2、T2の取り扱い方法を報知させる。具体的には、報知部70は、図23、24に示すように、使用する側のチューブF21(本体部F15から導出するチューブ)と捨てる側のチューブF22(端部同士が接続されて成るチューブ)を引き離し、使用する側のチューブF21の接合部を手指で押し、開通させるように報知する。報知部70が取り外したチューブF2、T2の取り扱い方法を報知する間に、制御部90は、クランプ部20が接合状態から初期状態に復元するように移行部27の動作を制御する。
【0073】
<使用例>
次に、チューブ接合装置1の使用例について説明する。まず、使用者は、チューブ接合装置1を使用するに際し、ウェハーWFをケースWC1に収納したウェハーカセットWCをチューブ接合装置1のカセット挿入孔11cに挿入する。次に、使用者は、操作部60のボタンを押して、チューブ接合装置1の電源をONにする。
【0074】
次に、使用者は、図1に示すように、チューブ接合装置1の蓋部22を開いた状態にする。次に、使用者は、図5、17に示すように、チューブT2、F2を第1保持部23231及び第2保持部232にセットする。次に、使用者は、蓋部22を閉じる操作(蓋部22を筐体10に相対的に接近させる操作)を行う。蓋部22が閉じられたことにより、チューブT2、F2の溶断部位の外周部分はカバー223によって覆われ、外部から隔離された状態となる。これにより、溶断-接合作業を無菌状態で実施することが可能となる。制御部90は、開閉検出部26が蓋部22が閉じたことを検出した場合に、溶断-接合作業を開始する。
【0075】
まず、制御部90は、図16に示すように蓋部22が閉じた状態でチューブ検出部24によってチューブT2、F2が第1保持部231にセットされているかを確認する(ST1)。チューブT2、F2の第1保持部231へのセットが検知できない場合(ST1:NO)、制御部90は、報知部70の動作を制御し、使用者にチューブT2、F2をセットし、かつ、蓋部22を閉じるように報知する(ST2)。
【0076】
チューブT2、F2の第1保持部231へのセットを検知した場合(ST1:YES)、制御部90は、ウェハー検出部42によってウェハーカセットWCにウェハーWFが収納されているか確認する(ST3)。ウェハーカセットWCにウェハーWFが収納されていない場合(ST3:NO)、制御部90は報知部70にウェハーカセットWCへウェハーWFを収納するように報知させる(ST4)。
【0077】
ウェハーカセットWCにウェハーWFが収納されている場合(ST3:YES)、制御部90は、送り部50にウェハーカセットWCからウェハーWFを取り出させ、溶断準備位置(図19のウェハーWFが破線で示されている位置)に送り出させる(ST5)。次に、制御部90はウェハーWFが溶断に使用できるか確認する(ST6)。ウェハーWFが溶断に適さない場合(ST6:NO)、制御部90は、報知部70に、ウェハーWFが溶断に適さないものであること、またはウェハーWFの送り出しが再度実施されることを報知させる(ST7)。そして、制御部90は、再度、送り部50にウェハーカセットWCからウェハーWFを取り出させ、溶断準備位置に送り出させる(ST5)。このとき、溶断に適さないとされたウェハーWFは、次のウェハーWFによって溶断準備位置から押し出される。
【0078】
溶断準備位置に送り出されたウェハーWFが使用できる場合(ST6:YES)、制御部90はウェハーWFによる溶断作業の制御を開始する。
【0079】
まず、制御部90は、インターロック30を作動させ、蓋部22を閉じた状態にロックさせる。
【0080】
そして、溶断準備位置のウェハーWFを、内蔵したヒータによって加熱する(ST8)。そして、送り部50によって加熱したウェハーWFを溶断位置(図19のウェハーWFが実線で示されている位置)まで移動させ、図19に示すように溶断を行わせる(ST9)。
【0081】
次に、制御部90は、移行部27の動作を制御して、クランプ部20を初期状態から接合状態に移行させる(ST10)。具体的には、移行部27の回転駆動部28は、図20に示すように、可動側押し付け部25bを回転させ、チューブF2の入替側Y1とチューブT2の入替側Y1の位置を入れ替えさせる。次に、移行部27の直進駆動部29は、図21に示すように、可動クランプユニット272を固定クランプユニット271に接近させて、初期位置P1から接合位置P2に移動せる。これによって、溶断したチューブT2とチューブF2の端部同士が、チューブT2、F2の長手方向に押し付け合わされ、加圧接合される。
【0082】
次に、制御部90は、インターロック30のロックを解除する。次に、使用者は、蓋部22を開く作業を行い、図22に示すように接合したチューブT2、F2をチューブ接合装置1から取り外す。
【0083】
次に、制御部90は、接合したチューブF2、T2が第1保持部231から取り外されたか否かを確認する(ST11)。
【0084】
チューブF2、T2が第1保持部231から取り外されていない場合(ST11:NO)、制御部90は、報知部70に接合したチューブF2、T2を取り外すように報知させる(ST12)。
【0085】
チューブF2、T2が第1保持部231から取り外されている場合(ST11:YES)、制御部90は、報知部70に取り外したチューブF2、T2の取り扱い方法を報知するとともに、移行部27の動作を制御し、クランプ部20を接合状態から初期状態に復元する(ST13)。具体的には、移行部27の直進駆動部29は、図22に示すように、可動クランプユニット272を固定クランプユニット271から離間させ、接合位置P2から初期位置P1に復元する。
【0086】
使用者は、ステップST14における報知部70の報知内容に基づいて、図23、24に示すように、取り外したチューブF2、T2の使用する側のチューブF21と捨てる側のチューブF22を引き離し、使用する側のチューブF21の接合部を手指で押し、開通させる。
【0087】
次に、使用者は、連続してチューブの溶断-接合を行いたい場合は、次に接合するチューブF2、T2(またはチューブF3、T3やチューブF1、T1)を第1保持部231及び第2保持部232にセットする。次に、使用者は、蓋部22を閉じる操作(蓋部22を筐体10に相対的に接近させる操作)を行う。なお、本実施形態では、チューブF2とチューブT2、チューブF3とチューブT3、チューブF1とチューブT1の順に、接合を行う例を説明したが、接合順は特に限定されない。
【0088】
制御部90は、チューブの接合完了から所定時間内に蓋部22が閉じられているかを確認する(ST14)。チューブの接合完了から所定時間内に、蓋部22が閉じられなかった場合(ST14:NO)、制御部90は、チューブ接合装置1の電源を自動的にOFFにする(ST15)。なお、使用者が手動で、電源をOFFにしてもよい。
【0089】
チューブの接合完了から所定時間内に蓋部22が閉じられた場合(ST14:YES)、制御部90は、再びST2~ST14を行う。
【0090】
以上説明したように、チューブ接合装置1は、加熱した板状のウェハーWFによってチューブF2の端部とチューブT2の端部を溶断した後、チューブF2の溶断した端部とチューブT2の溶断した端部を入れ替えて接合するチューブ接合装置である。チューブ接合装置1は、クランプ部20と、移行部27と、チューブ検出部24と、制御部90と、を有する。クランプ部20は、チューブF2及びチューブT2を挟みこみ可能であり、溶断前のチューブF2及びチューブT2を配置可能な初期状態と、チューブF2の溶断した端部とチューブT2の溶断した端部を接合可能な接合状態とに、移行可能である。移行部27は、クランプ部20を初期状態及び接合状態に移行させる。チューブ検出部24は、クランプ部からのチューブF2及びチューブT2の取出しを検出可能である。制御部90は、チューブF2とチューブT2の接合完了後に、チューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2及びチューブT2の取出しを検出した場合に、クランプ部20が接合状態から初期状態に復元するように移行部27の動作を制御する。
【0091】
上記チューブ接合装置1によれば、接合完了後にクランプ部20からのチューブF2、T2の取出しが検出された場合に、クランプ部20は接合状態から初期状態に復元する。したがって、上記チューブ接合装置1によれば、使用者の操作によって接合状態から初期状態に復元するように構成されているチューブ接合装置と比較して、チューブの接合を連続して行う際の使用者の利便性を向上させることができる。
【0092】
また、クランプ部20は、溶断位置Y0を境界としてチューブF2、T2の長手方向の一方側の部分を保持する固定クランプユニット271と、溶断位置Y0を境界としてチューブF2、T2の長手方向の他方側の部分を保持する可動クランプユニット272と、を有する。接合完了後にチューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2、T2の取出しを検出した場合に、移行部27は、チューブF2の溶断した端部とチューブT2の溶断した端部とを長手方向に押し付け合って接合可能な接合位置P2から、長手方向において固定クランプユニット271と可動クランプユニット272とを相対的に離間させ、次に接合するチューブF2、T2を配置可能な初期位置P1に復元させる。そのため、チューブ接合装置1は、例えば、使用者の操作によって接合位置P2から初期位置P1に復元するように構成されているチューブ接合装置と比較して、チューブの接合を連続して行う際の使用者の利便性を向上させることができる。
【0093】
また、チューブ接合装置1は、チューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2、T2の取出しを検出した場合に、取り外したチューブF2、T2の取り扱い方法を報知する報知部70をさらに有する。報知部70が取り外したチューブF2、T2の取り扱い方法を報知する間に、制御部90は、クランプ部20が接合状態から初期状態に復元するように移行部27の動作を制御する。そのため、クランプ部20が接合状態から初期状態に復元する最中に、使用者が誤ってクランプ部20に次に接合するチューブを配置することを抑制できる。
【0094】
また、上記実施形態に係るチューブ接合方法は、上記のチューブ接合装置1を用いた接合方法である。初期状態のクランプ部20が溶断前のチューブF2及びチューブT2を挟みこんだ状態で、ウェハーWFがチューブF2の端部とチューブT2の端部を溶断する。そして、クランプ部20が初期状態から接合状態に移行することで、チューブF2の溶断した端部とチューブT2の溶断した端部を接合する。そして、チューブF2とチューブT2の接合完了後にチューブ検出部24がクランプ部20からのチューブF2及びチューブT2の取出しを検出した場合に、クランプ部20は、接合状態から初期状態に復元する。そして、初期状態のクランプ部20が次に接合するチューブF2及びチューブT2を挟みこみ、前記溶断、前記接合、及び前記復元が行われる。したがって、上記チューブ接合方法によれば、使用者の操作によって接合状態から初期状態に復元するように構成されているチューブ接合装置と比較して、チューブの接合を連続して行う際の使用者の利便性を向上させることができる。
【0095】
また、接合方法によれば、腹膜への透析液の注入及び排出を自動的に行う腹膜透析装置Fを構成する複数のチューブF1、F2、F3を、対応するチューブT1、T2、T3に連続して接合する。そのため、使用者は、APDの準備を効率的に行うことができる。
【0096】
なお、本発明は上述した実施形態にのみ限定されず、特許請求の範囲において種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、本発明は、腹膜透析のみならず、例えば輸血に用いる血液製剤等を収容する容器(バッグ)に接続されたチューブと他のチューブとを無菌的に接合する装置にも用いることができる。この場合、チューブ及びバッグ内の血液成分(製剤)等の無菌性を保持することができる。
【0098】
また、本発明は、採取・培養した各種細胞を含む細胞培養液を収容する容器(バッグ)に接続されたチューブと他のチューブとを無菌的に接合する装置にも用いることができる。この場合も、チューブ接合時にチューブ及びバッグ内の細胞培養液の無菌性・安全性を保持することができる。
【0099】
また、上記実施形態では、チューブ接合装置は、自動透析装置の注入ラインを構成する複数のチューブを透析容器のチューブに接続した後、追加注入ラインや腹膜ラインを構成するチューブを対応するチューブに接続する例を説明した。しかし、チューブを接続する順番は特に限定されない。
【0100】
また、上記実施形態では、報知部が取り外したチューブを取り扱い方法を報知している間に、移行部がクランプ部を接合状態から初期状態に復元する例を説明した。しかし、報知部が報知を行うことなく、移行部がクランプ部を接合状態から初期状態に復元してもよい。また、移行部がクランプ部を接合状態から初期状態に復元した後に、次に接合するチューブを配置可能である旨を報知部が報知してもよい。
【0101】
また、チューブ接合装置は、排出ラインF4を構成するチューブを排液容器のチューブに接続するために用いてもよい。
【0102】
本出願は、2019年6月25日に出願された日本国特許出願第2019-117308号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。
【符号の説明】
【0103】
1 チューブ接合装置、
10 筐体、
20 クランプ部、
24 チューブ検出部、
27 移行部、
90 制御部、
271 固定クランプユニット(第1クランプユニット)、
272 可動クランプユニット(第2クランプユニット)、
F 腹膜透析装置、
F1、F2、F3 腹膜透析装置を構成する複数のチューブ、
T1、T2、T3 対応するチューブ、
P1 初期位置、
P2 接合位置、
WF ウェハー(切断部材)、
Y0 溶断位置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24