(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】蒸発損失制御装置
(51)【国際特許分類】
B01D 53/047 20060101AFI20240702BHJP
B01J 20/28 20060101ALI20240702BHJP
B01J 20/20 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B01D53/047
B01J20/28 A
B01J20/20 A
(21)【出願番号】P 2021535964
(86)(22)【出願日】2019-11-26
(86)【国際出願番号】 US2019063144
(87)【国際公開番号】W WO2020131320
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-11
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500307340
【氏名又は名称】アーケマ・インコーポレイテッド
【住所又は居所原語表記】900 First Avenue,King of Prussia,Pennsylvania 19406 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110000523
【氏名又は名称】アクシス国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ロデリック・リーバー・サード
(72)【発明者】
【氏名】デニス・カトー・ド・アルメイダ
【審査官】小久保 勝伊
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-527172(JP,A)
【文献】特開平09-226038(JP,A)
【文献】特開2001-162269(JP,A)
【文献】特表2009-516128(JP,A)
【文献】特表平11-510120(JP,A)
【文献】特開平09-038442(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0228212(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0053080(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 53/047
B01J 20/20
B01J 20/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤ブロックを含む気相吸着装置であって、
前記吸着剤ブロックは、大環ブロックと;少なくとも1つの小環ブロックと、を含み、
少なくとも1つの前記小環ブロックは、前記大環ブロックの内側に同心円状に配置され、
前記大環は、第1バインダー粒子を含む第1熱可塑性バインダーによって一緒に結合された第1吸着剤を含み、前記小環ブロックは、第2バインダー粒子を含む第2熱可塑性バインダーによって一緒に結合された第2吸着剤を含み、
少なくとも1つの前記小環ブロックは、ブロック単位体積あたりの平均N
2 BET表面積が、前記大環ブロックと少なくとも10%異なる、気相吸着装置。
【請求項2】
前記大環ブロック内の前記第1バインダー粒子は、前記大環ブロックの総重量の0.3重量パーセントから30重量パーセントを構成し、
前記小環ブロック内の前記第2バインダー粒子が、前記小環ブロックの総重量の0.3重量パーセントから30重量パーセントを構成する、請求項1に記載の気相吸着装置。
【請求項3】
前記大環ブロックの前記第1バインダー粒子は、大きさが5から700nmの間、好ましくは20から500nm未満の間、より好ましくは50から400nm未満の間である離散粒子サイズを有する、請求項1または2に記載の気相吸着装置。
【請求項4】
前記小環ブロックの前記第2バインダー粒子は、サイズが5から700nmの間、好ましくは50から500nm未満の間、より好ましくは50から400ナノメートル未満の間である離散粒子サイズを有する、請求項1~3のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項5】
前記第1バインダー粒子および前記第2バインダー粒子は、ポリビニリデンフロリドホモポリマー、ポリビニリデンフロリドコポリマー、並びに、ポリアミドホモポリマーおよびポリアミドコポリマーからなる群より独立して選択される、請求項1~4のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項6】
前記第1吸着剤は、前記大環ブロックの70重量パーセント以上、好ましくは85重量パーセント以上、より好ましくは90重量パーセント以上を構成し、前記第2吸着剤は、少なくとも1つの前記小環ブロックの70重量パーセント以上、好ましくは85重量パーセント以上、より好ましくは90重量パーセント以上を構成する、請求項1~5のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項7】
前記第1吸着剤および前記第2吸着剤は、活性炭、炭素繊維、モレキュラーシーブ、カーボンモレキュラーシーブ、シリカゲル、および金属有機フレームワークからなる群より独立して選択される、請求項1~6のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項8】
前記第1吸着剤が、活性炭または炭素繊維を含む、請求項1~6のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項9】
前記第2吸着剤媒体が、活性炭または炭素繊維を含む、請求項1~6のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項10】
前記第1吸着剤が、前記第2吸着剤とは異なる化学組成である、請求項1~8のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項11】
少なくとも1つの前記小環ブロックは、ブロック単位体積あたりの平均N
2 BET表面積が、前記大環ブロックよりも少なくとも10%小さい、請求項1~10のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項12】
前記大環ブロックは、ブロック単位体積あたりの平均N
2 BET表面積が、前記小環ブロックよりも少なくとも10%小さい、請求項1~10のいずれかに記載の気相吸着装置。
【請求項13】
蒸発損失制御装置としての請求項1の前記ブロックの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、環形状の吸着剤ブロックを有する気相吸着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
蒸発損失制御装置(ELCD)などの気相吸着装置は、緩い吸着剤媒体によって構成され、構成が好ましくない圧力降下および吸着効率を有する場合など、軸方向の流れの設計およびその後の吸着剤のタイプによって制限され得る。さらに、緩い媒体の摩耗によって発生する粉塵が問題になる可能性がある。粉塵の発生は、格納容器内の緩い媒体の動き(および摩耗)を制限するための微細なフィルターと圧縮ばねシステムの追加によって対処されている。これらの追加機能(例えば、フィルター、ばねなど)は、デバイスの設計と製造コストを複雑にする。
【0003】
体積および/または吸着容量が減少する連続的な分離された区画が記載されている。
【0004】
熱可塑性バインダーを使用した、低かさ密度の緩い吸収剤を固定化されたより高密度のブロックに変換する技術は、濾過用途でよく知られている。高密度の圧縮構造に形成された高表面積の収着材料は、ガスに必要な経済的な貯蔵量を達成できると考えられている。高性能バインダー材料の使用は、固定化技術をさらに発展させ、吸収剤の最高性能を維持しながら、より高い充填密度とより優れた製造生産性を提供する。熱可塑性バインダーと吸着剤媒体との特定の配合により製造された固定化ブロックの組合せから作られた結果のデバイスは、デバイスの体積に対してガスの非常に大量な貯蔵を、今日広く使用されている液化ガス技術および圧縮ガス技術と比較してはるかに低い圧力とコストで可能にする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、結合媒体、例えば吸着剤ブロックを含む気相吸着装置に関し、第1バインダー粒子を含む第1熱可塑性バインダーによって一緒に結合された第1吸着剤を含む少なくとも1つの大環ブロックと、第2バインダー粒子を含む第2熱可塑性バインダーによって一緒に結合された第2吸着剤を含む少なくとも1つの小環ブロックとを含み、少なくとも1つの小環ブロックが少なくとも1つの大環の内側に同心円状に配置される。
【0006】
本発明の態様は以下を含む。
【0007】
態様1:吸着剤ブロックを含む気相吸着装置であって、
前記吸着剤ブロックは、大環ブロックと;少なくとも1つの小環ブロックと、を含み、
少なくとも1つの前記小環ブロックは、前記大環ブロックの内側に同心円状に配置され、
前記大環は、第1バインダー粒子を含む第1熱可塑性バインダーによって一緒に結合された第1吸着剤を含み、前記小環ブロックは、第2バインダー粒子を含む第2熱可塑性バインダーによって一緒に結合された第2吸着剤を含む、気相吸着装置。
【0008】
態様2:前記大環ブロック内の前記第1バインダー粒子は、前記大環ブロックの総重量の0.3重量パーセントから30重量パーセントを構成する、態様1に記載の気相吸着装置。
【0009】
態様3:前記大環ブロックの前記第1バインダー粒子は、大きさが5から700nmの間、好ましくは20から500nm未満の間、より好ましくは50から400nm未満の間である離散粒子サイズを有する、態様1または2に記載の気相吸着装置。
【0010】
態様4:前記小環ブロック内の前記第2バインダー粒子が、前記小環ブロックの総重量の0.3重量パーセントから30重量パーセントを構成する、態様1~3のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0011】
態様5:前記小環ブロックの前記第2バインダー粒子は、サイズが5から700nmの間、好ましくは50から500nm未満の間、より好ましくは50から400ナノメートル未満の間である離散粒子サイズを有する、態様1~4のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0012】
態様6:前記第1バインダー粒子および前記第2バインダー粒子は、化学組成が同じまたは異なる、態様1~5のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0013】
態様7:前記第1バインダー粒子および前記第2バインダー粒子は、フルオロポリマー、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エチレンビニルアセテート(EVA)、アクリルポリマー、ポリメチルメタクリレートポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエチレンおよびそのコポリマー、ポリプロピレンおよびそのコポリマー、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリビニルクロリド、ポリカーボネート、並びに、熱可塑性ポリウレタン(TPU)からなる群より独立して選択される、態様1~6のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0014】
態様8:前記第1バインダー粒子および前記第2バインダー粒子は、ポリビニリデンフロリドホモポリマー、ポリビニリデンフロリドコポリマー、並びに、ポリアミドホモポリマーおよびポリアミドコポリマーからなる群より独立して選択される、態様1~7のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0015】
態様9:前記大環ブロック内の前記第1バインダー粒子が、前記大環ブロックの総重量の5重量パーセントから15重量パーセントを構成する、態様1~8のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0016】
態様10:少なくとも1つの前記小環ブロック内の前記第2バインダー粒子が、少なくとも1つの前記小環ブロックの総重量の5重量パーセントから15重量パーセントを構成する、態様1~9のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0017】
態様11:前記大環ブロックが押出プロセスによって形成され、前記小環ブロックが押出プロセスによって独立して形成される、態様1~10のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0018】
態様12:前記大環ブロックが圧縮成形プロセスによって形成され、前記小環ブロックが圧縮成形プロセスによって独立して形成される、態様1~10のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0019】
態様13:前記第1吸着剤は、前記大環ブロックの70重量パーセント以上、好ましくは85重量パーセント以上、より好ましくは90重量パーセント以上を構成し、前記第2吸着剤は、少なくとも1つの前記小環ブロックの70重量パーセント以上、好ましくは85重量パーセント以上、より好ましくは90重量パーセント以上を構成する、態様1~12のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0020】
態様14:前記第1吸着剤および前記第2吸着剤は、活性炭、炭素繊維、モレキュラーシーブ、カーボンモレキュラーシーブ、シリカゲル、および金属有機フレームワークからなる群より独立して選択される、態様1~13のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0021】
態様15:前記第1吸着剤が、活性炭または炭素繊維を含む、態様1~13のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0022】
態様16:前記第2吸着剤媒体が、活性炭または炭素繊維を含む、態様1~13のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0023】
態様17:前記第1吸着剤が、前記第2吸着剤とは異なる化学組成である、態様1~15のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0024】
態様18:前記第1吸着剤が前記第2吸着剤と同じ化学組成である、態様1~16のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0025】
態様19:少なくとも1つの前記小環ブロックは、ブロック単位体積あたりの平均N2 BET表面積が、前記大環ブロックよりも少なくとも10%小さい、態様1~18のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0026】
態様20:前記大環ブロックは、ブロック単位体積あたりの平均N2 BET表面積が、前記小環ブロックよりも少なくとも10%小さい、態様1~18のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0027】
態様21:前記吸着剤ブロックが、ブタンなどの炭化水素ガスを吸着する能力を有する、態様1~20のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0028】
態様22:前記大環ブロックは、前記損失吸収媒体の見掛け密度の1.1倍超、好ましくは1.2倍超またはより好ましくは1.3倍超の固定化密度を有する、態様1~20のいずれかに記載の気相吸着装置。
【0029】
態様23:前記小環ブロックは、前記損失吸収媒体の見掛け密度の1.1倍超、好ましくは1.2倍超またはより好ましくは1.3倍超の固定化密度を有する、態様1~20のいずれかに記載の気相吸着装置。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、圧縮成形ブロックの圧力降下を測定するための試験装置を示す。
【
図2】
図2は、実施例1で試験されたブロックの外面を示す。
【
図3】
図3は、実施例1で試験された二重層ブロックを示す。
【
図4】
図4は、カラムおよび環ブロック、ならびに環ブロックをシミュレートする減少する断面積の理論的な充填層を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
冠詞「a」、「an」、および「the」は、本明細書では、冠詞の文法的目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指すために使用される。例として、「an element(要素)」は、1つのelementまたは複数のelementを意味する。
【0032】
「含む(comprising)」という用語は、その開放(open-ended)形式の意味と一致する方法で使用され、すなわち、所与の製品またはプロセスは、明示的に記載されたものの他、追加の特徴または要素も任意で有することができることを意味する。実施形態が「含む(comprising)」という言葉で説明される場合は常に、「からなる(consisting of)」および/または「本質的にからなる(consisting essentially of)」に関して説明される類似の実施形態も企図され、本開示の範囲内であることが理解される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「相互接続性(Interconnectivity)」という用語は、吸収剤、例えば、活性粒子または繊維が、活性な一次および二次粒子または機能性粒子若しくは繊維を完全にコーティングすることなく(例えば、約10%から約90%コーティングされる;約20%から約80%コーティングされる、または約30%から約70%コーティングされる)、ポリマーバインダー粒子によって永久に一緒に結合されることを意味する。バインダーは、特定の個別のポイントで吸収剤を接着して、組織化された多孔質構造を生成する。多孔質構造は、ガスが相互接続された粒子または繊維の間の間隙を通過することを可能にし、ガスは吸収剤粒子または繊維の表面に直接さらされ、吸着剤材料へのガスの吸着を促進する。ポリマーバインダーは個別の点でのみ吸着剤粒子に付着するため、吸着剤にコーティングされているバインダーと比較して、完全な接続に使用されるバインダーは少ない。
【0034】
本明細書に開示される本発明の主題の様々な例および実施形態は、この開示の利点を考えると、可能であり当業者には明らかであろう。
【0035】
本開示は気相吸着装置に関し、当該気相吸着装置は吸着剤ブロックを含み、活性炭粒子および/または他の緩い吸着剤媒体などの吸着剤が、熱可塑性ポリマーバインダーによって、環状の自立ブロック構成内に一緒に結合される。ガスの流れは、外側から内側の方向に放射状に発生することができ、断面積を減少させ、したがってガス貯蔵容量を減少させる充填層を効果的に模倣する。より小さな吸着剤粒子をこの構成で使用でき、その上、緩い粒状層装置の同じ体積で使用できるので、この構成は、吸着剤媒体のより効率的な使用を可能にすることができる。より小さな粒子は、はるかに高い表面上の表面積を有し、表面上はより効率的な吸着剤である。
【0036】
吸着剤ブロックを含む気相吸着装置が開示されている。吸着剤ブロックは、大環ブロックと、少なくとも1つの小環ブロックとを含み、少なくとも1つの小環ブロックは、大環ブロックの内側に同心円状に配置され、大環ブロックは、第1熱可塑性バインダー粒子によって一緒に結合された第1吸着剤を含み、少なくとも1つの小環ブロックは、第2熱可塑性バインダー粒子によって一緒に結合された第2吸着剤を含む。第1および第2バインダー粒子は、同じであっても異なっていてもよい。第1および第2吸着剤は、同じであっても異なっていてもよい。
【0037】
気相吸着装置は、相互内で適合している一連の同心環から作製することができる。ここで、各環は、熱可塑性バインダー粒子によって一緒に結合された吸着剤を含む。各環の吸収剤は、独立して、本明細書で特定された吸着剤のいずれかであり得る。各環の熱可塑性バインダー粒子は、本明細書で特定された熱可塑性バインダー粒子のいずれかであり得る。
【0038】
特定の実施形態では、大環と小環との間に間隔がある。特定の実施形態では、大環と小環との間に間隔はない(すなわち、大環と小環は実質的に密接に接触している)。
【0039】
特定の実施形態において、バインダー(化学組成、濃度および/または粒子サイズ)および吸着剤(化学組成、濃度および/または粒子サイズ)は、大環および小環について同じであり得る。特定の実施形態では、バインダー(化学組成、濃度および/または粒子サイズ)および吸着剤(化学組成、濃度および/または粒子サイズ)は、大環と小環で異なり得る。特定の実施形態では、バインダー(化学組成、濃度および/または粒子サイズ)は、大環と小環で同じであり得る。特定の実施形態では、大環の吸着剤は活性炭であり得、小環の吸着剤は活性炭であり得る。特定の実施形態では、大環の吸着剤は活性炭であり得、小環の吸着剤は活性炭以外の吸着剤であり得る。特定の実施形態では、小環の吸着剤は活性炭であり得、大環の吸着剤は活性炭以外の吸着剤であり得る。
【0040】
特定の実施形態では、ガスが通過するときに総表面積を維持するために、小環は、大環よりも単位体積あたりの密度を高くすることができる。いくつかの実施形態では、大環はより速い吸着を有することができ、小環は、大環と比較して、単位体積あたりのより高い吸着のために高密度化することができる。
【0041】
特定の実施形態では、本開示は、環状形状によって、例えば、外側から内側への流れにおける断面積の減少によって特に促進される気相吸着プロセスを説明する。他のすべてが等しい場合、環状充填層の圧力損失は、同じサイズのカラムの場合よりもはるかに低くなる。
図4に示すように、環ブロックは、多孔質媒体の個別の層で近似でき、連続する各層の断面積は、その前の層よりも小さい。コゼニー・カルマン方程式などの方程式を使用して、2つの構成のブロックの圧力損失を概算することができる。環ブロック全体の圧力損失は、あるカラム内の圧力損失と比較して大幅に小さい。環ブロック内の圧力損失は、同じサイズのあるカラム内の圧力損失よりも1桁以上小さくすることができる。
【0042】
半径方向流れデバイスにおける圧力降下は、吸着剤と同等の体積の軸方向流れデバイスにおける圧力降下よりも本質的に低い。特定の実施形態では、このより低い圧力降下は、より小さな粒子サイズの吸着剤の使用を可能にすることができ、これは、吸着剤ブロックの単位体積あたりの吸着効率を高めることができる。
【0043】
半径方向流れは、同じサイズおよび半径のカラムよりも圧力降下が低いので、好ましい流れのパターンである。特定の実施形態では、吸着剤ブロックを通る圧力降下は、0.1Paから1000Paであり得る。特定の実施形態では、吸着剤ブロックを通る圧力降下は、1Paから100Paであり得る。特定の実施形態では、吸着剤ブロックを通る圧力降下は、5Paから80Paであり得る。
【0044】
本開示は、熱可塑性ポリマーバインダーで吸着剤媒体を固定化することを提供し、これは、蒸発損失制御装置からの吸着剤媒体の損失と比較して、粉塵の発生を低減するという追加の利点を有し得る。特定の実施形態では、1%から99%または10%から90%の粉塵の発生の低減を達成することができる。特定の実施形態では、20%から80%の粉塵の発生の低減を達成することができる。
【0045】
環ブロック構成における外側の減少する断面積は、先細りの断面のカラムをシミュレートする流路を作製する。この構成により、蒸発損失制御装置の全体的な設計と製造が簡素化され、複数のタイプの吸着剤が不要になり得る。
【0046】
特定の実施形態において、はるかに高い表面上の表面積を有するより小さな粒子は、より効率的な吸着剤であり得る。
【0047】
本開示の実施形態は、第1外径および第1内径を含む大環ブロックと、第2外径および第2内径を含む小環ブロックとを含む吸着剤ブロックに関し、小環ブロックは、大環ブロックの内側に同心円状に配置されている。
【0048】
バインダー
【0049】
特定の実施形態では、本開示のポリマー粒子は、サブマイクロメートル範囲の熱可塑性ポリマー粒子であり得る。
【0050】
本発明の複合材料のポリマー粒子は、熱可塑性、エラストマー、熱可塑性加硫(TPV)、または熱可塑性エラストマー(TPE)の、サブマイクロメートル範囲の離散粒子サイズを有するポリマー粒子である。バインダーの平均離散粒子サイズは、1マイクロメートル未満、好ましくは500nm未満、好ましくは400nm未満、より好ましくは300nm未満であり、アスペクト比は1~1000である。平均離散粒子サイズは一般に少なくとも20nm、好ましくはより高く、アスペクト比がより低い。すなわち、バインダーの平均離散粒子サイズは、少なくとも50nm、最も好ましくは少なくとも100nmであり、アスペクト比が約1~1000である。
【0051】
ポリマーバインダーは、5から1000ナノメートル未満の離散粒子サイズ、1から1000のアスペクト比、および/または1から150マイクロメートルの間の凝集体を有することができる。
【0052】
平均離散粒子サイズは、1から1000のアスペクト比で、1マイクロメートル未満、好ましくは700nm未満、好ましくは500nm未満、好ましくは400nm未満、より好ましくは300nm未満であり得る。平均離散粒子サイズは、アスペクト比が1から1000の場合、一般に、少なくとも10nm、少なくとも20nm、少なくとも50nm、最も好ましくは少なくとも100nmである。バインダー粒子は、平均離散粒子サイズとして、一般に5から700nmのサイズであり、好ましくは50から500nm未満、好ましくは50から400nm、より好ましくは100~300nmである。場合によっては、ポリマー粒子は1から150マイクロメートルのグループ、好ましくは3~50マイクロメートル、または5~15マイクロメートルの凝集体に凝集することがあるが、これらの凝集体は、物品への処理中に個々の粒子またはフィブリルに分解する可能性があることがわかっている。バインダー粒子のいくつかは離散粒子であり、形成された固体多孔質吸収剤物品中に離散粒子として残る。物品への加工中、粒子は吸収剤材料に隣接し、相互接続性を提供する。
【0053】
特定の実施形態において、ポリマー粒子は、限定されないが、フルオロポリマー、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、エチレンビニルアセテート(EVA)、ポリメチルメタクリレートポリマーおよびポリメチルメタクリレートコポリマーなどのアクリルポリマー、ポリウレタン、スチレンポリマー、ポリアミド、ポリエチレンおよびポリプロピレンならびにそれらのコポリマーを含むポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートを含むポリエステル、塩化ポリビニル、ポリカーボネート並びに熱可塑性ポリウレタン(TPU)を含む。特定の実施形態において、熱可塑性ポリマーは、乳化(または逆乳化)重合によって作製される。好ましくは、ポリマーは、相互接続性を提供するために高分子量およびより高い粘度を有し、より高い粘度は、相互作用粒子を完全にコーティングしないように、より低い流れをもたらす。
【0054】
特定の実施形態において、ポリマー粒子は、ポリアミド、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ならびにポリフッ化ビニリデンのホモポリマーおよびコポリマーなどのフルオロポリマー、ならびにポリアミドであり得る。
【0055】
フルオロポリマーという用語は、重合するために開くことができるビニル基を含む化合物から選択される少なくとも1つのモノマーをその鎖中に有し、このビニル基に直接結合して少なくとも1つのフッ素原子、少なくとも1つのフルオロアルキル基または少なくとも1つのフルオロアルコキシ基を含む任意のポリマーを意味し得る。有用なフルオロポリマーは、フルオロモノマーユニットを、50重量パーセント超、好ましくは65重量パーセント超、より好ましくは75重量パーセント超有する、熱可塑性ホモポリマーおよびコポリマーであり、最も好ましくは1以上のフルオロモノマーを90重量パーセント超有する熱可塑性ホモポリマーおよびコポリマーである。
【0056】
フルオロモノマーの例には、限定されないが、フッ化ビニリデン(VDFまたはVF2)、テトラフルオロエチレン(TFE)、トリフルオロエチレン(TrFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、ヘキサフルオロプロペン(HFP)、フッ化ビニル(VF)、ヘキサフルオロイソブチレン(HFIB)、パーフルオロブチルエチレン(PFBE)、ペンタフルオロプロペン、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン、パーフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)を含むフッ化ビニルエーテル、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、エチレンフルオロトリクロロエチレン(ECTFE)、パーフルオロプロピルビニルエーテル(PPVE)、パーフルオロブチルビニルエーテル(PBVE)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン、長鎖パーフルオロビニルエーテル、パーフルオロ(1,3-ジオキソール);パーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)(PDD)などのフッ化ジオキソール、C4以上の部分的または過フッ化アルファオレフィン、C3以上の部分的または過フッ化環状アルケン、それらのコポリマー並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0057】
好ましいフルオロポリマーには、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)ホモポリマーおよびコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)ホモポリマーおよびコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレン(EFEP)のターポリマー、ポリ(フッ化ビニリデンテトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン)のターポリマー、フッ化ビニルのコポリマー、PVDFと、ポリメチルメタクリレート(PMMA)ポリマーおよびコポリマー、または熱可塑性ポリウレタンとのブレンド、が含まれる。PMMAは、PVDFの重量に基づいて最大49重量パーセント、好ましくは5から25重量パーセントで存在することができる。PMMAはPVDFと溶融混和性であり、バインダーに親水性を追加するために使用できる。より親水性の組成物は、増加した水流を与え、その結果、複合物品全体の圧力降下が少なくなる。
【0058】
PVDFは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、または、PVDFホモポリマーまたはコポリマーと、PVDF(コ)ポリマーと親和性のある1つ以上の他のポリマーと、のブレンドであり得る。本開示のPVDFコポリマーおよびターポリマーは、フッ化ビニリデンユニットが、ポリマー中のすべてのモノマーユニットの総重量の40パーセントを超え、例えば、ユニットの総重量の70パーセントを超えるものであり得る。
【0059】
特定の実施形態では、フッ化ビニリデンコポリマーは、低い結晶化度を有し得(または結晶化度がないものとし得)、半結晶性PVDFホモポリマーよりも柔軟性を高くすることができる。バインダーの柔軟性により、製造プロセスへの耐性が向上するだけでなく、プルスルー強度(pull-through strength)が向上し、接着性が向上する。特定の実施形態において、コポリマーは、少なくとも50モルパーセント、少なくとも75モル%、少なくとも80モル%、および少なくとも85モル%のフッ化ビニリデンを含むことができ、フッ化ビニリデンは、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、フッ化ビニル、ペンタフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、トリフルオロプロペン、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロプロピルビニルエーテル、およびフッ化ビニリデンと容易に共重合する他のモノマーからなる群から選択される1つ以上のコモノマーと共重合され得る。
【0060】
フッ化ビニリデンのコポリマー、ターポリマーおよび高級ポリマーは、フッ化ビニリデンを1つ以上のモノマーと反応させることによって作製することができ、当該1つ以上のモノマーは、フッ化ビニル、トリフルオロエテン、テトラフルオロエテン、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペン、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン、3,3,3,4,4-ペンタフルオロ-1-ブテンなどの1つ以上の部分的または完全にフッ素化されたアルファオレフィン、およびヘキサフルオロプロペン、部分的にフッ素化されたオレフィンヘキサフルオロイソブチレン、パーフルオロメチルビニルエーテル、パーフルオロエチルビニルエーテル、パーフルオロ-n-プロピルビニルエーテルおよびパーフルオロ-2-プロポキシプロピルビニルエーテルなどのパーフルオロビニルエーテル、パーフルオロ(1,3-ジオキソール)およびパーフルオロ(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソール)などのフッ化ジオキソール、アリルモノマー、部分的にフッ素化されたアリルモノマー、または2-ヒドロキシエチルアリルエーテル若しくは3-アリルオキシプロパンジオールなどフッ化アリルモノマー、並びに、エテンまたはプロペンからなる群より選択される。
【0061】
特定の実施形態では、フッ化ビニリデンポリマー中に、30重量%以下、25重量%以下、または15重量%以下のヘキサフルオロプロペン(HFP)ユニット、および70重量%以上、75重量%以上、または85重量%以上のVDFユニットが存在し得る。
【0062】
特定の実施形態では、PVDFは、代表的な小粒子サイズのバインダーであり得る。
【0063】
本開示の実施形態で使用するためのPVDFは、高分子量を有することができる。特定の実施形態では、高分子量は、450°F(約232℃)および100秒-1で測定されたASTM方法D-3835に従って、1.0キロポイズ超、例えば5Kp超、15から50Kp、および15から25Kp、の溶融粘度を有するPVDFを意味し得る。高分子量PVDFは、粘度が高く、流動性が低いため、相互接続性を提供できる。そのため、相互作用粒子を完全にコーティングすることはできない。
【0064】
本開示の実施形態に従って使用されるPVDFは、一般に、水性フリーラジカル乳化重合を使用して、当技術分野で知られている手段によって調製することができるが、懸濁液プロセス、溶液プロセス、および超臨界CO2重合プロセスも使用できる。
【0065】
PVDF乳化重合は、一般に、10から60重量パーセント、例えば10から50重量パーセントなどの固形分濃度を有し、500nm未満、例えば400nm未満および300nm未満のようなラテックス重量平均粒子サイズを有するラテックスをもたらすことができる。重量平均粒子サイズは、少なくとも20nm、例えば少なくとも50nmであり得る。結合特性を改善し、不可逆的な接続性を与えるために、追加の接着促進剤を加えることもできる。エチレングリコールなどの1つ以上の他の水混和性溶媒の少量をPVDFラテックスに混合して、凍結融解の安定性を向上させることができる。
【0066】
PVDFラテックスは、特定の実施形態において、ラテックスバインダーとして使用することができ、または、この技術分野で知られている手段、例えば、限定されないが噴霧乾燥、凍結乾燥、凝集およびドラム乾燥によって粉末に乾燥させることができる。より小さなサイズのPVDF粉末粒子は、相互作用粒子の距離が短くなる(密度が高くなる)ため、有用な場合がある。PVDFエマルジョンから直接形成された物品において、エマルジョン粒子は、それらの粒子上の別個の点で2つ以上の粒子と相互作用し、付着することができる。押出成形または圧縮成形プロセスでは、ポリマー樹脂粒子は非結晶領域で軟化して別個の点で粒子に付着することができるが、溶融して粒子を完全に覆うことはできない。
【0067】
特定の実施形態では、PVDFは、約1.78g/ccの密度を有することができる。
【0068】
特定の実施形態において、ポリフッ化ビニリデン樹脂は、限定されないが、20nmから1ミクロンの間、好ましくは20nmから500nm未満の離散粒子サイズおよび5および100kpoiseの間、好ましくは15~55kpoiseの溶融粘度を有する、ポリビニリデンフルオロポリマーを含むエマルジョンホモポリマーまたはコポリマーを含み得る。溶融粘度は、232℃および100s-1でASTMD3835によって測定される。このようなポリマーは、Arkema Inc.(King of Prussia、PA)からKyblock(登録商標)の商標で販売されている。
【0069】
特定の実施形態において、VDFおよびHFPのコポリマーを使用することができる。これらのコポリマーは、より低い表面エネルギーを有する。一般に、PVDFはポリオレフィンなどの他のポリマーよりも表面エネルギーが低いことに注意する。より低い表面エネルギーは、相互作用粒子のより良い濡れ、およびより均一な分散につながり得る。これは、より高い表面エネルギーを有するポリマーバインダーに対する分離装置の完全性の改善をもたらすことができ、また、より低い濃度のバインダーの必要性をもたらすことができる。さらに、PVDF/HFPコポリマーは、結晶化度が低く、ガラス転移温度(Tg)が低いため、溶融プロセスで低温で処理できる。
【0070】
特定の実施形態では、PVDFポリマーは、Arkema製の無水マレイン酸グラフト化PVDFなどの官能性PVDFであり得る。PVDFポリマーは、US9434837に記載されているように酸官能化モノマーで官能化することができる。特に有用な酸官能性モノマーには、限定されないが、アクリル酸、メチルアクリル酸、ビニルスルホン酸、ビニルホスホン酸およびイタコン酸ならびにそれぞれの塩またはそれらの組み合わせが含まれる。官能性PVDFは、相互作用する粒子または繊維への結合を改善することができ、これにより、製剤中のPVDF負荷のレベルを下げることができる。このより低い負荷-優れた結合の組み合わせは、多孔質分離またはガス貯蔵物品の全体的な透過性を改善することができる。
【0071】
他の材料への接着性を高め、濡れ性を改善し、展性を与えるために、官能基をフルオロポリマーに加えることができる。官能性は、官能性モノマーのフルオロモノマーの主鎖への直接共重合、および米国特許第7,241,817号に記載されているように、無水マレイン酸のポリフッ化ビニリデンホモポリマーまたはコポリマーへのグラフト化などの重合後グラフト化メカニズムなど、いくつかの手段によって加えられてきた。米国特許第7,241,817号の内容は参照により本明細書に組み込まれる。WO2013/110740およびUS7,351,498は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるが、モノマーグラフト化または共重合によるフルオロポリマーの官能化をさらに記載している。WO16149238およびUS2016009840は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるが、重合プロセスに少量のコモノマーまたは官能性連鎖移動剤を添加することによるフルオロポリマーの官能化をさらに開示している。米国特許第9434837号は、その内容が参照により本明細書に組み込まれるが、酸官能性を有するフルオロポリマーを調製するのに有用な酸官能化モノマーを開示している。
【0072】
特定の実施形態において、吸着剤材料が一緒に保持することを可能にする最小量のバインダーが使用される。これにより、より多くの表面積が露出し、ガス吸収に有効になる。
【0073】
吸着剤/吸収剤
【0074】
本発明の吸収剤(Sorbent)は、特定のガス分子を吸着および脱着することができるものである。吸着剤(adsorbent)と吸収剤(sorbent)という用語は同じ意味で使用される。本発明の1つの重要な実施形態において、活性炭は、ブタンなどの炭化水素を吸着するために使用されるが、他のガスに対して吸着特異性を有する他の吸収剤もまた、本発明によって企図される。吸収剤の例には、限定されないが、ステンレス鋼410、304および316の金属粒子、銅、アルミニウムおよびニッケル粉末、強磁性材料、活性アルミナ、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカゲル、アクリル粉末および繊維、セルロース繊維、ガラスビーズ、さまざまな研磨剤、シリカなどの一般的な鉱物、木材チップ、イオン交換樹脂、セラミック、ゼオライト、珪藻土、ポリエステル粒子および繊維、並びに、ポリカーボネートなどのエンジニアリング樹脂の粒子、活性炭、ナノクレイ、ゼオライト粒子など、イオン交換樹脂、触媒、電磁粒子、中和のための酸性または塩基性粒子など、が含まれる。他の有用な吸収剤には、限定されないが、カーボンモレキュラーシーブ、モレキュラーシーブ、シリカゲル、金属有機フレームワークなどが含まれ、特定のガス吸着に対して特別な親和性を有する。活性炭、炭素繊維およびモレキュラーシーブは、本発明の特に有用な吸収剤である。
【0075】
ナノカーボン繊維と同様に、大きな表面積および細孔容積を有する活性炭が特に好ましい。細孔容積の大きい活性炭も好ましい。ガスの吸着に適した細孔サイズを有し、ミクロ細孔(20Å未満)および/またはメソ細孔(20から500Å)を含む活性炭が特に好ましい。ガス吸着は、ガス分子の1~3層の空間がある細孔で最も効果的である。例えば、ガス分子のサイズは通常3~5Å(H2 3Å、N2 3.5Å、アルカン 4.5Å)であり、吸収剤が、6から30Å、特に6から18Å、または7から21Å、または9から27Å、または10から30Åの範囲の細孔を少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%を有することが望ましい。活性炭吸収剤の例には、限定されないが、Ingevity(サウスカロライナ)製のBAX1100、BAX1500およびBAX1700、SA1500、および、Jacobi Carbons(カルマル、スウェーデン)製のEcosorb(登録商標) FX1184、およびKuraray(大阪、日本)製のKGグレードなどの活性炭製品が含まれる。
【0076】
本発明の吸収剤粒子は、一般に、直径0.1から3000ミクロン、好ましくは1から500ミクロン、最も好ましくは5から100ミクロンのサイズ範囲にある。特定の実施形態において、吸収剤粒子は、例えば、100ミクロン未満の平均粒子サイズを有するいくつかの粒子、および200ミクロンを超える平均粒子サイズを有するいくつかの粒子を伴う、マルチモーダルの粒子サイズ分布を有する。吸収剤粒子はまた、本質的に無制限の長さ対幅の比を有する直径0.1から250ミクロンの繊維の形態であり得る。繊維は、繊維を細断するために使用される装置の設定に従って、長さが5mm以下に細断されることが好ましい。
【0077】
吸収剤繊維または粉末は、粉末混合物の加熱を可能にするのに十分な熱伝導率を有するべきである。さらに、押出プロセスでは、粒子と繊維は、バインダー樹脂の融点よりも十分に高い融点を持たなければならず、これにより、両方の物質が溶融するのを防ぎ、また、通常望ましい多相システムではなく連続溶融相を生成するのを防ぐ。
【0078】
用途ごとに各活性炭の性能を区別するための多くの活性炭源および様々な技術が存在する。活性炭の供給源には、限定されないが、ココナッツの殻、瀝青炭、石炭、草、有機ポリマー、硬材および軟材が含まれる。各製品には、ガスの収着および脱着性能に影響を与える可能性のある独自の特性を有する。活性炭へのガス収着の場合、それが、ガス分子を引き付け、脱着が発生するまで一時的に貯蔵するためのファンデルワールス力と相まって、表面積接触に近接していることに依存することが知られている。ガス収着の量に影響を与える活性炭の重要な特性は、炭素のマクロ、ミクロ、メソの多孔性、およびそのN2 BET表面積である。一般に、少なくとも1,400m2/gの高いBET表面積が好ましく、少なくとも2,000m2/gの高いBET表面積が特に好ましい。
【0079】
低N2 BET表面積は、1400m2/g未満であると見なされる。一方、高いN2 BET表面積は、1400m2/g以上と見なされる。多孔質材料の細孔径は、国際純正・応用化学連合(IUPAC)によって次のように分類されている。直径2nm未満の細孔はミクロ細孔、2nmから50nmのサイズの細孔はメソ細孔、50nmを超えるサイズの細孔はマクロ細孔である。
【0080】
本発明の物品は、膜とは異なる。膜は、特定の孔サイズを持ち、当該孔サイズよりも大きい粒子が膜を通過するのを防ぐ除去ろ過によって機能する。代わりに、本発明の物品は、デバイスを通過する材料を保持するための吸収剤による吸着または吸収に依存している。
【0081】
固相押出または圧縮成形法を用いた製造に関連する特性は、ASTM D2854によって測定されるように、見かけ密度であり得る。
【0082】
吸着剤ブロックは、活性炭または他のガス吸着剤で作ることができ、吸着剤材料は、相互接続性を与えるために、小さな別個の熱可塑性ポリマーバインダー粒子によって一緒に結合される。吸着剤ブロックは、一般に、加圧ガスを保持することができる密閉容器内に存在する。吸着剤とバインダーは、圧力と熱の下で組み合わされて、固体の高密度多孔質ガス吸着剤構造を生成する。
【0083】
特定の実施形態では、大環ブロックの第1外径は、1mmから1000mmであり得る。特定の実施形態では、大環ブロックの第1外径は、10mmから500mmであり得る。特定の実施形態では、大環ブロックの第1外径は、50mmから100mmであり得る。
【0084】
特定の実施形態では、大環ブロックの第1内径は、1mmから999mmであり得る。特定の実施形態では、大環ブロックの第1内径は、10mmから500mmであり得る。特定の実施形態では、大環ブロックの第1内径は、50mmから100mmであり得る。
【0085】
特定の実施形態では、第2外径は、0.1mmから990mmであり得る。特定の実施形態では、第2外径は、1mmから400mmであり得る。特定の実施形態では、第2外径は5mmから80mmであり得る。
【0086】
特定の実施形態では、第2内径は、0.1mmから800mmであり得る。特定の実施形態では、第2内径は、1mmから400mmであり得る。特定の実施形態では、第2内径は5mmから80mmであり得る。
【0087】
特定の実施形態において、第1外径は、第2外径より2倍から20倍大きくなり得る。特定の実施形態において、第1外径は、第2外径より4倍から15倍大きくなり得る。特定の実施形態において、第1外径は、第2外径より5倍から10倍大きくなり得る。
【0088】
特定の実施形態において、第1内径は、第2内径より2倍から20倍大きくなり得る。特定の実施形態において、第1内径は、第2内径より4倍から15倍大きくなり得る。特定の実施形態において、第1内径は、第2内径より5倍から10倍大きくなり得る。
【0089】
プロセス
【0090】
バインダーおよび吸着剤粒子は、いくつかの方法によってブレンドおよび処理することができる。特定の実施形態では、バインダー粒子は粉末形態であり得、これは吸収剤材料と乾式混合され得る。溶媒ブレンドまたは水性ブレンドは、既知の手段によって形成することができる。吸着剤粒子または吸収剤に対するポリマーバインダーの比率は、ポリマー固体0.5~35重量パーセントから粒子または吸収剤65~99.5重量パーセントであり、好ましくはポリマー固体1~30重量パーセントから粒子または吸収剤99~70重量パーセントであり、より好ましくは、バインダー5から20重量パーセントおよび吸着剤粒子または吸収剤95から80である。より少ないフルオロポリマーが使用される場合、完全な相互接続性が達成されない可能性があり、より多くのフルオロポリマーが使用される場合、相互作用粒子と分離物品を通過する流体との間の接触が減少する。
【0091】
吸着剤とバインダーの均一な混合物から固体多孔質吸着剤物品を形成するための一般に3つの方法がある:1)圧縮成形される乾燥粉末均一混合物、2)押し出される乾燥粉末均一混合物、および3)キャストおよび乾燥された溶媒ブレンドまたは水性ブレンド。
【0092】
非常に高密度の固体吸着剤物品が有用である可能性があるので、より高い圧力での圧縮成形および押出加工を使用することができる。圧縮成形および押出プロセスは、ポリマーバインダー粒子の軟化を引き起こすが、それらが他のポリマー粒子と接触して凝集体または連続層を形成する点まで流動させない方法で実施することができる。企図される最終用途で効果的であるために、ポリマーバインダーは、良好な透過性のために、吸着剤材料を相互接続されたウェブに結合する目立たないポリマー粒子として残る。溶媒系では、個々のポリマー粒子は溶解し、吸着剤粒子上に連続コーティングを形成するため、もはや存在しない。連続コーティングは、粒子への吸着に利用できる活性化表面積の量を減らし、粒子の全体的な有効性を減らす可能性がある。
【0093】
高品質および高出力容量のための最も経済的な解決策は、均一で高度に充填された固定化多孔質媒体を作製する押出プロセスを利用することができる。
【0094】
押出しの利点は、吸着剤密度が物品全体でかなり一定であり得る一方で、圧縮成形された物品は、物品の圧縮長さに沿って密度勾配を示す傾向があることであり得る。特にアスペクト比(長さ/直径比)が大きくなると、圧縮成形品に均一な充填密度勾配を持たせることが難しい場合がある。圧縮成形プロセスの利点は、多種多様な形状が利用できることである。
【0095】
ポリマーバインダー/吸着剤材料は、米国特許第5,331,037号に記載されているような押出プロセスにおいて多孔質ブロック物品に形成することができる。本開示のポリマーバインダー/吸着剤材料複合材料は、任意選択で加工助剤などの他の添加剤と乾式混合され、物品へ、押出され、成形され、または形成され得る。
【0096】
熱、圧力および剪断下での連続押出しは、無限長の3次元多相プロファイル構造を生成することができる。吸着剤材料へのバインダーの強制点結合の連続ウェブを形成するために、加えられた圧力、温度、および剪断の組み合わせが使用される。複合材料ブレンドは、軟化温度より高く融点より低い温度にされ、材料を固めるために大きな圧力が加えられ、バインダーを広げて連続ウェブを形成するのに十分な剪断力が与えられる。
【0097】
押出プロセスは、所望の任意の直径および長さで連続ブロック構造を生成することができる。適切な製造装置を使用すれば、1cmから数百メートルの長さが可能である。次に、連続した固体ブロックを所望の最終的な長さに切断することができる。固体ブロックの一般的な直径は15cm以下、より好ましくは15cm以下であるが、適切なサイズのダイを使用すると、最大1.5メートル以上のより大きな直径の構造を製造することができる。
【0098】
単一の固体構造の代替は、2つ以上の構造、例えば、固体ロッド、およびより大きな構造を形成するために一緒に入れ子になるように設計された1つ以上の中空ブロックシリンダーを形成することである。各環状または棒状のブロック構成要素が形成されると、当該構成要素を入れ子にして、より大きな構造を作製され得る。このプロセスは、単一の大きな構造の押出しに比べていくつかの利点を提供できる。断面直径が小さいブロックは、大きく固体のシングルパスブロックを製造するよりも速い速度で製造できる。冷却プロファイルは、断面積の小さい部品ごとに適切に制御できる。この概念のさらなる利点は、同心ブロック間の間隔がガスの急速な流れのためのチャネルとして機能する可能性があるため、吸着剤ブロックを通るガス拡散経路の長さを短縮することができる。
【0099】
特性
【0100】
特定の実施形態において、吸着剤ブロックは、容器の体積に対する吸着剤の体積比を最大化する、高密度の多孔性の固体物品であり得る。高密度とは、かさ密度の1.1~1.5倍と定義される。
【0101】
特定の実施形態において、吸着剤ブロックは、最大5000psi(34.474MPa)の加圧ガスを保持することができる密閉容器内で使用することができる。特定の実施形態では、吸着剤ブロックは、容器の体積あたりの吸着剤の量を最大化するために、容器の内部に狭い許容差で適合することができる。容器は、容器をガス(メタンなど)で満たすために使用できる入口を有することができ、ガスが容器を出ることができる排出端を有することができる。特定の実施形態では、吸着剤材料は、バインダー粒子によって相互接続されているため、車両に動力を供給するためなどの使用中に沈降または移動しない。ガスは圧力下で容器に供給され、吸収剤材料によって吸着および貯蔵される。圧力が解放され、容器が低圧環境に開かれると、ガスは吸着剤材料から脱着し、本用途で使用され得る。
【0102】
特定の実施形態において、吸着剤ブロックは、収着媒体の見掛け密度の1.1倍を超えるまたは2倍を超える固定化密度を有する。高密度化により、単位ボリュームあたりの貯蔵容量を増やすことができる。
【0103】
特定の実施形態では、吸着剤ブロックに保持されたガスを使用して、車両に動力を供給することができる。特定の実施形態では、複合材料を保持する容器は、グリルおよびストーブバーナー、冷蔵庫、冷凍庫、炉、発電機、緊急装置などに燃料を供給するための貯蔵目的であり得る。
【実施例】
【0104】
本明細書に記載の組成物および方法は、以下の実施例を参照してさらに詳細に説明される。これらの実施例は、例示のみを目的として提供されており、本明細書に記載の実施形態は、これらの実施例に限定されると決して解釈されるべきではない。むしろ、実施形態は、本明細書で提供される教示の結果として明らかになるすべての変形を包含すると解釈されるべきである。
【0105】
実施例1:圧縮成形によるブロックの準備および圧力損失試験
【0106】
12×25メッシュ(~1.5mm)の木材ベースの気相吸着炭素の混合物を、スタンドミキサー内でKybrock(登録商標)FG-81と混合した。ブレンド組成は約12重量%のKyblock(登録商標)バインダーおよび88重量%の活性炭であった。混合物を、外径6.3cmおよび内径3.2cmの環状型に装填した。充填した金型を230℃で1時間加熱し、加熱後約90kgの圧縮力を加えた。パーツを取り出し、長さ約15cmにトリミングした。
【0107】
乾燥圧縮吸着剤ブロックの密度は低く、約0.35g/ccであり、これは吸着剤材料のかさ密度をわずかに超えただけであった。
【0108】
さらに、より小さな環を同じ条件下で調製し、より大きなブロックの内径に挿入した。この組み合わされたブロックは、外径が6.3cm、内径が1cm、長さが14cmであった。露出状態で置き平衡水分組成に達した後、ブロックの重量は220gで、見掛け密度は0.47g/ccだった。この見掛け密度が高いのは、バインダー濃度が比較的高いことと、炭素が水分で飽和していることの2つの要因による。
【0109】
ブロック全体の圧力降下の測定:圧縮成形された吸着剤ブロックは、以下の
図1に示されるように、試験固定具にクランプされた。
【0110】
結果:得られたブロックは、活性炭粒子の比較的良好な保持を有していた。表面の粉化(dusting)は、吸着剤ブロックがトリミングされた場所でのみ明らかであった。2つの吸着剤ブロックの画像を
図2と
図3に示す。
図2は、ブロックの外面を示す。
図3は、2層ブロックを示す。
【0111】
6.3cm×3.2cmのブロックについて、圧力降下は、毎分20~60リットルのガス流量から計器のデジタル圧力変換器で監視された。表1に示すように、ブロックが取り付けられている場合と取り付けられていない場合のシステムの圧力と流量を比較すると、2つの間にほとんど違いはない。これらのデータは、吸着剤ブロックが非常に低い圧力降下を与えることを実証する。
【0112】
【0113】
第2セットの実験は、各ブロックの内部に取り付けられた圧力計を用いて実施された。毎分70リットルの流量では、圧力降下は6.3cm×3.2cmのブロックで約2mmの水であり、6.3cm×1cmのブロックで約1cmの水であった。