(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】真空絶縁ガラス(VIG)ユニット真空及び密封封止、一体型チューブを含むVIGユニット、並びに関連方法
(51)【国際特許分類】
C03C 27/06 20060101AFI20240702BHJP
E06B 3/677 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
C03C27/06 101D
E06B3/677
(21)【出願番号】P 2021536766
(86)(22)【出願日】2020-01-06
(86)【国際出願番号】 IB2020050053
(87)【国際公開番号】W WO2020141491
(87)【国際公開日】2020-07-09
【審査請求日】2022-12-23
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517413513
【氏名又は名称】ガーディアン・グラス・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】GUARDIAN GLASS, LLC
【住所又は居所原語表記】2300 Harmon Road, Auburn Hills, MI 48326-1714 United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】ホダップ ティモシー
(72)【発明者】
【氏名】ケメナー グレッグ
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-002161(JP,A)
【文献】特表2015-523300(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 27/06,
E06B 3/677,
B23K 26/21,
H01L 23/02-23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットを作製する方法であって、
第1のガラス基板及び第2のガラス基板を設けることと、
断面において見たときに、前記第1のガラス基板が、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、前記第1のガラス基板内に一体型ポンプアウトチューブを形成することと、
前記第1のガラス基板及び/又は前記第2のガラス基板の周縁部に近接して設けられた縁部封止部、少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の空洞に関連して、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を一緒に封止することであって、複数のスペーサが、前記空洞内の少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を維持することを補助する、封止することと、
前記空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にすることと、
前記第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を優先的に加熱して、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、VIGユニットを密封封止するために前記貫通孔を覆うブリッジを形成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、前記貫通孔を取り囲む単一のチャネルの部分であるように形成される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分が、前記貫通孔を取り囲む単一の封止壁部の部分であるように形成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、断面において見たとき、少なくとも最初は実質的にU字形であるように形成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、断面において見たとき、少なくとも最初は実質的に半円形であるように形成される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分が、断面において見たとき、実質的に台形であるように形成される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、ドリル加工を介して形成される、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記優先的に加熱することが、前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を実質的に溶融するためのコア加熱段階と、続いて、前記第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を一緒に垂れ下げて、ブリッジを形成させるレーザ加熱と、を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記優先的に加熱することが、レーザ加熱を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記レーザ加熱が、前記ブリッジを形成するときに、互いに向かって垂れ下がる際、前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を追跡することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
真空絶縁ガラス(VIG)ウィンドウユニットを作製する方法であって、
第1のガラス基板及び第2のガラス基板を有することであって、前記第1のガラス基板が、内部に一体型ポンプアウトチューブを含み、前記第1のガラス基板が、断面において見たときに、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含む、有することと、
前記第1のガラス基板及び/又は前記第2のガラス基板の周縁部に近接して設けられた縁部封止部、少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の空洞に関連して、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を一緒に封止することであって、複数のスペーサが、前記空洞内の少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を維持することを補助する、封止することと、
前記空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にすることと、
前記第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を加熱して、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を被覆するブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止することと、を含む、方法。
【請求項12】
前記第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、前記貫通孔を取り囲む単一のチャネルの部分であるように形成され、及び/又は前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分が、前記貫通孔を取り囲む単一の封止壁の部分であるように形成される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、ドリル加工を介して形成される、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記加熱することが、前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を実質的に溶融するための第1の加熱段階、続いて、前記第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を一緒に垂れ下げて、ブリッジを形成させる第2の加熱段階を含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記第2の加熱段階が、レーザを使用して実施され、前記ブリッジを形成するときに、互いに向かって垂れ下がる際、前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を追跡することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記加熱することが、レーザ加熱を含む、請求項11~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットサブアセンブリを作製する方法であって、
第1のガラス基板を設けることと、
断面において見たときに、前記第1のガラス基板が、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、前記第1のガラス基板内に一体型ポンプアウトチューブを形成することと、
前記一体型ポンプアウトチューブの形成に続いて、前記第1のガラス基板を、
前記第1のガラス基板及び/又は
第2のガラス基板の周縁部に近接して設けられた縁部封止部、少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間の空洞に関連して、前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を一緒に封止することであって、複数のスペーサが、前記空洞内の少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で前記第1のガラス基板及び前記第2のガラス基板を維持することを補助する、封止することと、
前記空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にすることと、
前記第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分を加熱して、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、前記貫通孔を被覆するブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止することと、のために別の相手方に転送することと、を含む、方法。
【請求項18】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、ドリル加工を介して形成される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記
第1のチャネル部分及び前記第2のチャネル部分が、前記貫通孔を取り囲む単一のチャネルの部分であるように形成され、及び/又は前記
第1の封止壁部分及び前記第2の封止壁部分が、前記貫通孔を取り囲む単一の封止壁の部分であるように形成される、請求項17又は18に記載の方法。
【請求項20】
真空絶縁ガラス(VIG)窓ユニットにおいて使用するためのガラス基板であって、
断面において見たときに、前記ガラス基板が、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、前記基板内に設けられた、一体型ポンプアウトチューブを備える、ガラス基板。
【請求項21】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットであって、
密封縁部封止部を介して互いに実質的に平行に離間した関係で維持された第1のガラス基板及び第2のガラス基板と、少なくとも前記第1のガラス基板と前記第2のガラス基板との間に画定された空洞内に配置された複数のスペーサと、を備え
、
断面において見たときに、前記第1のガラス基板及び第2のガラス基板の少なくとも一方が、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、前記基板内に設けられた、一体型ポンプアウトチューブを備える、真空絶縁ガラス(VIG)ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特定の例示的な実施形態は、真空絶縁ガラス(vacuum insulated glass、VIG)ユニット、及び/又はその作製方法に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的な実施形態は、VIGユニット真空及び密封封止のための一体型チューブ、一体型チューブを含むVIGユニットサブアセンブリ、一体型チューブを使用して作製されたVIGユニット、及び/又は関連方法に関する。
【背景技術及び発明の概要】
【0002】
真空絶縁ガラス(VIG)ユニットは、典型的には、それらの間に真空又は低圧空間/空洞を囲む、少なくとも2つの離間したガラス基板を含む。基板は、周縁部封止部によって相互接続され、典型的には、ガラス基板間の間隔を維持し、かつ基板間に存在する低圧環境によって引き起こされ得るガラス基板の崩壊を回避するための、ガラス基板間のスペーサを含む。いくつかの例示的なVIG構成は、例えば、米国特許第5,657,607号、同第5,664,395号、同第5,902,652号、同第6,506,472号、及び同第6,383,580号に開示されており、これらの開示は、全て参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0003】
図1~
図2は、典型的なVIGユニット1、及びVIGユニット1を形成する要素を示す。例えば、VIGユニット1は、それらの間に真空にされた低圧空間/空洞6を取り囲む、2つの離間した実質的に平行なガラス基板2、3を含み得る。ガラスシート又は基板2、3は、例えば、融着されたはんだガラスで作製され得る周縁部封止部4によって相互接続される。支持ピラー/スペーサ5のアレイは、基板2、3間に存在する低圧空間/間隙6を考慮して、VIGユニット1の基板2、3の間隔を維持するために、ガラス基板2、3間に含まれ得る。
【0004】
ポンプアウトチューブ8は、例えば、ガラス基板2の一方の内面から、ガラス基板2の外面の任意選択的な凹部11の底部まで、又は任意選択的にガラス基板2の外面まで通る開口/孔10まで、例えば、はんだガラス9によって密封封止され得る。真空をポンプアウトチューブ8に取り付けて、例えば、連続ポンプダウン動作を使用して、内部空洞6を低圧に真空にする。空洞6を真空にした後、チューブ8の一部分(例えば、先端)を溶融して低圧空洞/空間6内の真空を封止する。任意の凹部11は、封止されたポンプアウトチューブ8を保持し得る。任意選択的に、化学的ゲッター12は、ガラス基板、例えば、ガラス基板2のうちの1つの内面に配置された凹部13内に含まれ得る。化学的ゲッター12は、空洞6が真空にされ封止された後に残存し得る特定の残留不純物を吸収又は結合するために使用され得る。
【0005】
融着されたはんだガラス周縁部封止部4を有するVIGユニットは、典型的には、基板2(又は基板3上)の周囲に、ガラスフリットを溶液(例えば、フリットペースト)内に堆積させることによって製造される。このガラスフリットペーストは、最終的に、ガラスはんだ縁部封止部4を形成する。スペーサ/ピラー5及びガラスフリット溶液を2つの基板2、3間に挟むように、他の基板(例えば、3)を基板2上に引き下げる。次いで、ガラス基板2、3、スペーサ/ピラー5、及び封止部材料(例えば、溶液又はペースト中のガラスフリット)を含むアセンブリ全体を、少なくとも約500℃の温度まで加熱し、この時点で、ガラスフリットは、溶融し、ガラス基板2、3の表面を濡らし、最終的には密封周/縁部封止部4を形成する。
【0006】
基板間の縁部封止部4の形成の後、ポンプアウトチューブ8を介して、真空を引き、基板2、3間に低圧空間/空洞6を形成する。空間6内の圧力は、大気圧未満、例えば、約10-2Torr未満のレベルまで真空プロセスによって生成され得る。空間/空洞6内の低圧を維持するために、基板2、3は密封封止される。大気圧に対するほぼ平行な基板の分離を維持するために、小さい高強度のスペーサ/ピラー5が基板間に設けられている。上述したように、一旦基板2、3間の空間6が真空にされると、ポンプアウトチューブ8は、例えば、レーザなどを使用してその先端を溶融することによって封止され得る。
【0007】
孔又は開口10内にポンプアウトチューブ8を設置するための典型的なプロセスは、予め形成されたガラス製ポンプアウトチューブ8を、ガラス基板2のうちの1つに予め形成された(例えば、ドリル加工によって)開口/孔10内に挿入することを含む。ポンプアウトチューブ8が開口/孔10内に着座された後、接着フリットペーストが、典型的には、ガラス基板2の外面に近接する孔10の開口部に近い領域において、ポンプアウトチューブ8に適用される。上述のように、ポンプアウトチューブは、VIGユニット空洞の真空又はパージ後に封止され得る。
【0008】
空洞を大気圧未満の圧力に真空にした後、ポンプアウトチューブの封止は、空洞を真空にするか又はパージするために使用されるポンプアウトチューブの端部を加熱して開口部を溶融させ、したがって、VIGユニットの空洞を封止することによって達成され得る。例えば、限定するものではないが、この加熱及び溶融は、ポンプアウトチューブの先端部のレーザ照射によって達成され得る。
【0009】
時には、ポンプアウトチューブがガラス基板内に形成された孔に適切に着座しない場合があるかもしれない。その結果、ポンプアウトチューブは、一方の側に傾くか又は傾斜し得、したがって、孔が形成されるガラス基板の表面に対して実質的に垂直ではない。その結果、ポンプアウトチューブが不適切に着座し、ガラス基板の表面に対して望ましくない角度である状況では、レーザが、例えば、傾斜したポンプアウトチューブ頂部の様々な部分とレーザ源との間の距離の差のために、ポンプアウトチューブの先端を一貫して溶融することができないため、ポンプアウトチューブを適切に封止することは困難になり得る。ポンプアウトチューブの頂部の一貫した融解は、不完全な封止、ひいては空気漏れをもたらし得るが、これは、封止部の品質に応じて、経時的に急速に又はよりゆっくりと生じ得る。加えて、チューブの傾斜又は傾きの程度に基づいて、レーザが、頂部の代わりにチューブ壁に当たる可能性がある。レーザがチューブ壁に当たると、レーザは、チューブを潜在的に迂回し、フリットに当たる可能性があり、それにより、フリットを損傷し、空洞内への望ましくない脱ガスを引き起こし得る。
【0010】
ポンプアウトチューブを孔内に着座させて、チューブの傾斜量を許容範囲内に低減する方法を提供することが望ましいように思えるだろう。この点に関して、真空及び/又はチップオフプロセスを改善する試みがなされてきた。例えば、米国特許第9,371,683号及び同第8,833,105号、並びに米国特許出願公開第2013/0306222号を参照されたい。これらの内容の全体は、参照により本明細書に組み込まれる。このような技法は、従来のアプローチと比較して有利である。更に、本出願の発明者らは、更なる改善が依然として可能であることを認識している。
【0011】
例えば、ポンプアウトチューブは、基板に対して適切に配向されている場合であっても、依然としてVIGユニットの最も外側の表面から外向きに突出する。封止されたチューブが押されるか、叩かれて緩まるか、又は全体的に若しくは部分的に破断される場合、VIGユニットは、そうでなければ望ましいであろうものよりも速く真空を失い得る。キャップは、破損などを引き起こす可能性がある衝撃に対して保護することを補助するために、突出封止されたチューブの上方に時には設けられるが、そのようなキャップは、重い機械力に対して限定された有効性を有し、追加の処理工程及び材料をVIGユニット製造プロセスに加える。
【0012】
したがって、VIGユニットの最も外側の表面から外向きに突出するポンプアウトチューブを含む、別個のポンプアウトチューブの必要性を完全に排除することが望ましいであろうことが理解されるであろう。
【0013】
特定の例示的な実施形態の一態様は、VIGユニットを備える基板のうちの1つからの、及びそれと一体化した、ポンプアウトチューブの形成に関する。特定の例示的な実施形態では、VIGユニットサブアセンブリに挿入される別個のポンプアウトチューブの必要性が存在しない。特定の例示的実例におけるこの構成は、例えば、別個の適切に位置合わせされたチューブを提供及び封止する必要性を除去することによって、製造プロセスを単純化する。
【0014】
特定の例示的な実施形態の別の態様は、封止されたチューブが、VIGユニットの最外表面を越えて突出しない(例えば、同一平面であるか、又は下方にある)ように、一体化ポンプアウトチューブの封止に関する。この構成は、特定の例示的実例において有利であるが、これは、チューブの上方に置かれた別個の突出保護キャップの必要性を低減することができ、時には排除することができるためである。保護キャップの取り外しは、次に、審美的観点から有利となることができる。その上、保護キャップの取り外しは、VIGユニットへの損傷の可能性を低減し、かつ輸送をより容易にするという観点から有利となることができる。前者に関しては、上記に触れたように、キャップをバンピングすることは、力を封止チューブに並進させることができ、これによって、キャップが移動及び/又は破断する原因となり、VIGの真空の品質を損なうことができる。後者に関しては、キャップが欠けているため、そのようなキャップを収容する特別な輸送及び/又は包装材料を使用する必要を回避することが可能であり得る。
【0015】
特定の例示的な実施形態では、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットを作製する方法が提供される。第1のガラス基板及び第2のガラス基板が設けられる。断面において見たときに、第1のガラス基板は、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、一体型ポンプアウトチューブは、第1の基板内に形成される。第1の基板及び第2の基板は、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周囲に設けられた縁部封止部に関連して、一緒に封止され、空洞は、第1の基板及び第2の基板によって画定され、空洞内の第1の基板と第2の基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助する。空洞は、大気圧よりも低い圧力に真空にされる。第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分は優先的に加熱されて、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を覆うブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止する。
【0016】
特定の例示的な実施形態では、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの製造方法が提供される。本方法は、第1のガラス基板及び第2のガラス基板を有することを含み、第1の基板が、内部に一体型ポンプアウトチューブを含み、第1の基板が、断面において見たときに、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含む。第1の基板及び第2の基板は、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周囲に設けられた縁部封止部に関連して、一緒に封止され、空洞は、第1の基板及び第2の基板によって画定され、空洞内の第1の基板と第2の基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助する。空洞は、大気圧よりも低い圧力に真空にされる。第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分は加熱されて、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を覆うブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止する。
【0017】
特定の例示的な実施形態では、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットサブアセンブリを作製する方法が提供される。第1のガラス基板が設けられる。断面において見たときに、第1のガラス基板は、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、一体型ポンプアウトチューブは、第1の基板内に形成される。一体型ポンプアウトチューブの形成に続いて、第1の基板は、別の相手方に転送され、それによって、第1の基板及び第2の基板を、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周囲に設けられた縁部封止部に関連して、一緒に封止し、空洞は、第1の基板及び第2の基板によって画定され、空洞内の第1の基板と第2の基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助し、空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にし、第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分を加熱して、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を被覆するブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止する。
【0018】
特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)ユニットにおいて使用するための基板は、断面において見たときに、第1のガラス基板が、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、基板内の一体型ポンプアウトチューブ、を含む。
【0019】
特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)ユニットは、密封縁部封止部を介して互いに実質的に平行に離間した関係で維持された第1のガラス基板及び第2のガラス基板と、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に画定された空洞内に配置された複数のスペーサと、を備え、空洞は、プラグレス型ポンプアウトポートを取り囲む第1のガラス基板の一部分から溶融したガラスブリッジで密封封止されたプラグレス型ポンプアウトポートを使用して、大気よりも低い圧力に真空にされる。
【0020】
本明細書に記載の特徴、態様、利点、及び例示的実施形態は、更なる実施形態を実現するために組み合わされてよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
これら及び他の特徴及び利点は、図面と併せて、例示的な実施形態の以下の詳細な説明を参照することによって、より良好かつより完全に理解され得る。
【0022】
【
図1】従来の真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの断面概略図である。
【0023】
【0024】
【
図3A】特定の例示的な実施形態による、第1の例示的な一体型ポンプアウトチューブを組み込んだ基板の頂面図である。
【0025】
【
図3B】特定の例示的な実施形態による、第2の例示的な一体型ポンプアウトチューブを組み込んだ基板の頂面図である。
【0026】
【
図3C】特定の例示的な実施形態による、第3の例示的な一体型ポンプアウトチューブを組み込んだ基板の頂面図である。
【0027】
【
図4】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブとして使用され得る第1の例示的なプロファイルを組み込んだ基板の断面図である。
【0028】
【
図5】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブとして使用され得る第2の例示的なプロファイルを組み込んだ基板の断面図である。
【0029】
【
図6】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブとして使用され得る第3の例示的なプロファイルを組み込んだ基板の断面図である。
【0030】
【
図7A】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブを封止する際に選択的に加熱される、
図4の例示的なプロファイルの連続的段階を概略的に示す。
【
図7B】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブを封止する際に選択的に加熱される、
図4の例示的なプロファイルの連続的段階を概略的に示す。
【
図7C】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブを封止する際に選択的に加熱される、
図4の例示的なプロファイルの連続的段階を概略的に示す。
【0031】
【
図8】特定の例示的な実施形態による、封止された一体型チューブを組み込んだ基板の断面図である。
【0032】
【
図9】特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブに関連してVIGユニットを作製するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。
【0033】
【
図10】特定の例示的な実施形態に従って作製された、組み立てられたVIGユニットである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
特定の例示的な実施形態は、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットを真空にするための改善された技術に関する。より具体的には、本発明の特定の例示的な実施形態は、VIGユニット真空及び密封封止のための一体型チューブ、一体型チューブを含むVIGユニットサブアセンブリ、一体型チューブを使用して作製されたVIGユニット、及び/又は関連方法に関する。VIGユニットを真空にし、その後封止するとき、真空経路を可能にするためにポンプアウトポートが使用される。従来、このポートは、多くの場合、フリットが上に加えられたチューブを、ガラス内にドリル加工された孔に挿入し、フリットを孔の周りに発射し、フリットを定位置に封止し、それをレーザ又は同様の集束エネルギー源で溶融することによってチューブを封止し、それによってVIGユニットを密封封止することによって、封止される。特定の例示的な実施形態は、例えば、ドリル加工などによって、ポンプアウトチューブ特徴をガラス自体に形成することによって、この手法を改善する。基板と一体化したチューブは、レーザ又は他の集束エネルギー源を使用して溶融される。有利には、特定の例示的な実施形態では、追加のチューブ及び追加のフリットは、使用されない。サブアセンブリが所望の程度に既に密封であるため、追加のチューブを追加し、かつフリットを使用してそれを封止する必要なく、製品収率を改善することができる。この手法は、VIGプロセスを簡略化し、組み立て工程及び封止工程を排除する一方で、完成したVIGユニットの複雑性も低減する。
【0035】
特定の例示的な実施形態では、封止された一体型チューブは、VIGのガラスの外面と同一平面であるか、又はそれに対して凹んでいる。その結果、保護キャップはその上方に適用される必要はない。このことは、次に、特に積層、ハイブリッドVIG製造などの二次プロセスのために、より容易な処理をもたらすことができる。加えて、基板から外向きに突出する外側チューブの排除は、例えば、余分な突出を考慮するためにVIGユニットを適切に離間させるための追加のパッキングダンネージが、設けられる必要がない場合、輸送手法において実現される改善を可能にし得る。標準的な、又はより標準的な包装などが、特定の例示的な実施形態で使用され得る。
【0036】
異なる例示的な実施形態に関連して使用され得る複数の一体型チューブ設計が存在する。プロファイルは、貫通孔と、貫通孔の周りのチャネル又は溝とを作製することによって形成され得る。貫通孔とチャネルとの間に残されるガラスは、貫通孔のための1つ以上の側壁及び/又はVIGユニット自体のための1つ以上の封止アームを形成する。これらの特徴は、例えば、基板にドリル加工することによって、任意の好適な様式で形成され得る。
【0037】
例えば、ここでより詳細に図面を参照すると、
図3Aは、特定の例示的な実施形態による、第1の例示的な一体型ポンプアウトチューブを組み込んだ基板32の頂面図である。一体型ポンプアウトチューブは、貫通孔30と、貫通孔30の周りに形成された溝、チャネル、又は凹部22によって少なくとも部分的に画定される。
図3Aの実施例では、封止アーム20は、実質的に円形であり、内壁面22a及び外壁面22bによって画定される厚さを有する。封止アーム20の厚さは、例えば、貫通孔30の寸法に対する溝、チャネル、又は凹部22の寸法に基づいて変動する。溝、チャネル、又は凹部22の異なる構成は、以下でより詳細に考察される。最終的に、封止アーム20は、貫通孔30の上方で崩壊するように溶融され、VIGユニットを密封封止する「プラグレス」ブリッジを形成する。
【0038】
図3Bは、特定の例示的な実施形態による、第2の例示的な一体型ポンプアウトチューブを組み込んだ基板32の頂面図である。
図3Bの構成は、
図3Aの構成と同様である。しかしながら、
図3Bの実施例では、貫通孔30及び溝、チャネル、又は凹部22’は両方とも、頂面図から見たときに略矩形状である。その結果、内壁面及び外壁面22a’、22b’によって画定される側壁22’はまた、頂面図から見たときに略矩形状である。
【0039】
図3Cは、特定の例示的な実施形態による、第3の例示的な一体型ポンプアウトチューブを組み込んだ基板の頂面図である。
図3Cは、略矩形状の貫通孔30を含むという点で、
図3Bと幾分類似している。しかしながら、少なくとも第1及び第2の側壁又は封止アーム20a、20bは、貫通孔30の両側に設けられている。これらの側壁は、第1及び第2の溝、チャネル、又は凹部22a、22bと関連して形成される。
図3Cの実施例では、封止アーム20a、20bは、貫通孔30の高さと同じ又は同様ではあるが、第1及び第2の溝、チャネル、又は凹部22a、22bの高さよりも低い高さを有するが、他の構成が異なる例示的な実施形態で使用され得る。例えば、貫通孔、封止アーム、及び凹部の高さの一部又は全ては、例示的な実施形態に応じて、同じ又は異なってもよい。2つの封止アーム20a、20b及び2つの凹部22a、22bが
図3Cに示されているが、異なる例示的な実施形態では、より多い又はより少ない封止アーム及び/又は凹部が使用され得ることが理解されるであろう。
【0040】
略円形の特徴が
図3Aにおける平面図に示されているが、略矩形形状の特徴が
図3Bの平面図に示されているが、異なる例示的な実施形態が、そのような特徴のための他の形状を使用し得ることが理解されるであろう。例えば、平面視から見たとき、略正方形、卵形、及び/又は他の構成が、異なる例示的な実施形態で使用され得る。また、異なる形状の特徴が単一の実施形態に関連して使用され得ることも理解されるであろう。例えば、平面視から見た場合、例示的な実施形態は、略円形の貫通孔と、その外側の範囲において略正方形、矩形などである溝、チャネル、又は凹部と、を含み得る。同様に、平面視から見た場合、例示的な実施形態は、略矩形又は正方形の貫通孔と、その外側の範囲において略円形、楕円形などである溝、チャネル、又は凹部と、を含む。同様の観察は、
図3Cの例示的な平面図に関して適用される。例えば、異なる形状は、(少なくとも平面視から見たときに)異なる特徴に使用され得、これによって、例えば、略矩形のサイドアームは、略卵形の貫通孔及び/又は略卵形の凹部、チャネル、又は溝などと関連して使用され得る。
【0041】
図4~
図6は、特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブとして使用され得る例示的な断面/プロファイルを組み込んだ基板の断面図である。
図4~
図6は、所与の厚さのガラスが、例えばレーザなどの集束エネルギー源で溶融されたときにそれ自体を適切に封止することができるような、ある範囲のチューブ寸法を包含することが理解されよう。
図4~
図6に関連して示され、説明される例示的な断面/プロファイルが、複数の肩部分、複数の上方に延在するアーム、複数の低減された厚さ部分、及び複数の凹部を含むものとして説明されることが理解されるであろう。それらの部分が、個別の構造(例えば、
図3Cの例示的平面図などによる)、又は異なる対応する一体化構造の異なる部分であり得る(例えば、
図3A及び
図3Bの例示的な平面図などによる)ことが理解されるであろう。
【0042】
図4は、第1の例示的な断面図を示す。
図4では、一体型ポンプアウトチューブ30は、基板32内の貫通孔である。断面において見たときに、基板32は、肩部分34a、34bを含み、肩部分は、基板32の全厚と一致する厚さを有する。低減した厚さ領域36a、36bは、ポンプアウトチューブ30を取り囲む。上方に延在するアーム38a、38bは、ポンプアウトチューブ30の深さを画定することを補助する。断面において見られるように、肩部分34a、34bは、低減した厚さ領域36a、36b、及び上方に延在するアーム38a、38bは、U字型凹部40a、40bを画定する。U字型凹部40a、40bは、ドリル加工又は他の好適な手段によって形成され得、上方に延在するアーム38a、38bを、チューブ30に近接させたままにし、かつ少なくとも部分的にチューブ30を画定する。上方に延在するアーム38a、38bは、以下でより詳細に説明するように、チューブ30を封止し、かつブリッジ部分を形成するために、レーザ又は他の直接エネルギー源を介して崩壊することになる。したがって、上方に延在するアーム38a、38bは、加熱されたときに互いに向かって湾曲又は垂れ下がり、かつ孔30の上方にカバーを形成するために接続するために十分な厚さを有する。このカバーの厚さは、VIGユニットを密封封止し、かつ真空の重量下での崩壊を回避するために十分な厚さである。
【0043】
特定の例示的な実施形態では、単一の溝、チャネル、又は凹部が
図4の貫通孔30の周囲に設けられ得、複数の区分(区分40a、40bを含む)を含み得ることに留意されたい。同様に、
図4の実施形態は、1つ以上の側壁/1つ以上の封止アームを有し得る。したがって、
図4に示す上方に延在するアーム38a、38bは、異なる例示的な実施形態では、単に、単一の側壁又は封止アームの異なる部分、2つ以上の異なる側壁(複数可)/封止アーム(複数可)の異なる部分であり得る。
図4から理解されるように、断面において見たとき、
図4の実施例は、1つ以上の実質的にU字型溝、チャネル、又は凹部を含む。
【0044】
図5は、略矩形状の肩部分34a、34b及び低減された厚さ領域36a’、36b’を含むという点で、
図4と幾分類似している。しかしながら、アーム38a’、38b’は、実質的に台形の形状であり、低減された厚さ領域36a’、36b’を本質的に短くする。アーム38a’、38b’の実質的に台形の形状は、その高さが貫通孔30において一体型ポンプアウトチューブを画定することを補助し、基部は、VIGユニットの内部に向かってより広く、VIGユニットの外部に向かってより短いように形成される。この形状はまた、略台形の凹部40a’、40b’を画定することを補助する。
【0045】
図5の例示的な配置は、(例えば、
図4の例示的配置と比較して)一体型チューブを封止する際に使用するためにアーム38a’、38b’内により多くの材料が存在するため、特定の例示的な実施形態では有利であり得る。特定の例示的な実施形態では、例えば、異なるサイズの孔/孔カッターを有する一連のドリルを使用して、例えば、プロファイルのためのより階段のある又は階段状のパターンを形成するために、実質的に台形のプロファイルは、近似され得る。例えば、より小さい直径の孔は、基板の内面により近く使用され得、孔サイズは、基板の外面に向かって外向きに移動することを漸進的に増加し得る。
【0046】
図4と同様に、特定の例示的な実施形態では、単一の溝、チャネル、又は凹部が
図5の貫通孔30の周囲に設けられ得、複数の区分(区分40a、40bを含む)を含み得ることに留意されたい。同様に、
図5の実施形態は、1つ以上の側壁/1つ以上の封止アームを有し得る。したがって、
図5に示す上方に延在するアーム38a、38bは、異なる例示的な実施形態では、単に、単一の側壁又は封止アームの異なる部分、2つ以上の異なる側壁(複数可)/封止アーム(複数可)の異なる部分であり得る。
図5から理解されるように、断面において見たとき、
図5の実施例は、1つ以上の実質的に台形の溝、チャネル、又は凹部を含む。
【0047】
図6は、特定の例示的な実施形態に関連して使用され得る別の例示的な断面図である。
図6に示されるように、ポンプアウトチューブ30を取り囲む凹部40a’’、40b’’は、より湾曲しており(例えば、半円形)、これにより、肩部分34a’’、34b’’、低減された厚さ部分36a’’、36b’’、及びアーム38a’’、38b’’の形状の変化を引き起こす。湾曲凹部40a’’、40b’’は、特定の例示的な実施形態では、実質的にU字型であり得る。U字型は、例えば、場合によっては、一方の側に歪められ得る。例えば、
図6では、
図5に示されるように、いくつかの例では、より多くの歪みが使用され得るが、傾斜がチューブ30に向かってより急になるように、U字型は歪められる。
【0048】
図4~
図5と同様に、特定の例示的な実施形態では、単一の溝、チャネル、又は凹部が
図6の貫通孔30の周囲に設けられ得、複数の区分(区分40a、40bを含む)を含み得ることに留意されたい。同様に、
図6の実施形態は、1つ以上の側壁/1つ以上の封止アームを有し得る。したがって、
図6に示す上方に延在するアーム38a、38bは、異なる例示的な実施形態では、単に、単一の側壁又は封止アームの異なる部分、2つ以上の異なる側壁(複数可)/封止アーム(複数可)の異なる部分であり得る。
図6から理解されるように、断面において見たとき、
図6の実施例は、1つ以上の実質的に台形の溝、チャネル、又は凹部を含む。
【0049】
上述したように、
図4~
図6は、断面図である。したがって、一体型ポンプアウトチューブは、任意の好適なサイズ、形状、又は構成であり得ることが理解されるであろう。上記
図3A~
図3Cの考察と一致して、例えば、平面視から、一体型ポンプアウトチューブは、実質的に円形、卵形、矩形、及び/又は同様のものであり得る。同様に、上記
図3A~
図3Cの考察と一致して、適切なチューブ寸法を提供するために好適な複数のプロファイル/断面が存在し、異なる例示的な実施形態では、異なるプロファイルが使用され得ることが理解されるであろう。
【0050】
図7A~
図7Cは、特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブを封止する際に選択的に加熱される、
図4の例示的なプロファイルの連続的段階を概略的に示す。加熱をどのように達成することができるかに関する例示的な詳細は、
図9に関連して以下に提供される。レーザ又は他のエネルギー源への曝露を介して、アーム(複数可)は、互いに向かって内向きに崩壊又は垂れ下がるように引き起こされる。したがって、先端部分61a、61bは、
図7Aにおけるチューブ30aを閉鎖し始める。熱への継続的な曝露は、チューブ30bを更に閉鎖し、
図7Bでは先端部61a’、61b’を更により接近させる。
図7Cでは、先端部分61a’’、61b’’が互いに向かって更に近くに垂れ下がるにつれて、チューブ30Cは、ほぼ完全に閉鎖される。
【0051】
特定の例示的な実施形態では、加熱することは、封止壁を実質的に溶融するための第1又はコア加熱段階と、続いて、第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分を一緒に垂れ下がり、ブリッジを形成させる第2の段階と、を含む、優先的加熱であり得る。これらの段階の一方又は両方は、VIGユニットサブアセンブリの残りの部分に対して封止壁を優先的に加熱し得る。レーザ加熱は、異なる例示的な実施形態において、いずれか又は両方の段階に使用され得る。レーザ加熱が本明細書で言及されているが、赤外線(IR)加熱は、本明細書に記載される任意の加熱手順に関連して使用され得ることが理解されるであろう。
【0052】
図8は、特定の例示的な実施形態による、封止された一体型チューブを組み込んだ基板の断面図である。
図8に見られるように、チューブは封止される。したがって、ポケット71の上方にブリッジ又はカバー73が存在する。ポケット71は、VIGユニットの内部にあり、真空で保持される。特定の例示的な実施形態では、カバー73は、
図8から理解され得るように、基板の肩部分と同一平面又は実質的に同一平面である。特定の例示的な実施形態では、カバー73は、基板の外面と同一平面ではなく、それを超えて突出しない。特定の例示的な実施形態では、構造的又は非構造的シーラント材料は、例えば、基板の外側表面に対して任意の凹入領域を「充填する」ように、カバー73の周囲に設けられ得る。
【0053】
一体化チューブが設けられる特定の例示的な実施形態では、貫通孔は、直径又は主距離が0.5~5mm、より好ましくは、直径又は主距離が1.5~4mm、及び更により好ましくは、直径又は主距離が2~3.5mmであり得る。特定の例示的な実施形態では、チューブ側壁の厚さは、厚さ0.2~0.5mm、より好ましくは厚さ0.25~0.45mmであり得る。
【0054】
米国特許第9,371,683号(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる)の技法は、例えば、側壁(複数可)/封止アーム(複数可)の対向する周縁部を互いに向かって垂れ下げ、ブリッジを形成するように(例えば、
図8に示すように)、側壁(複数可)/封止アーム(複数可)に近接するチューブの周りにますます小さい円又は他の接続したパターンを追跡することによって、一体型チューブを封止するために使用され得る。複数の別個の側壁/封止アームが設けられる場合、より狭い幅の漸進的走査が同様の効果に使用され得る。例えば、1つ以上のレーザを使用して、第1及び第2の上方に突出する封止アームに沿って走査して、それらを互いに向かって垂れ下がらせ得る。レーザ(複数可)は、例えば、垂れ下がりがブリッジの形成において発生し続けるときに、互いにますます近い走査線又は走査領域に沿って集束され得る。
【0055】
図9は、特定の例示的な実施形態による、一体型ポンプアウトチューブに関連してVIGユニットを作製するための例示的なプロセスを示すフローチャートである。工程S81では、一体型ポンプアウトチューブプロファイルは、例えば、1つ以上のドリル加工操作などを介して、第1の基板に形成される。工程S83では、スペーサ又はピラーが、第2の基板上に置かれる。工程S85では、フリット材料が、第2の基板の周縁部に適用される。第1及び第2の基板は、空洞がその間に形成されるように工程S87で一緒に記録され、密封縁部封止部は、工程S89において(例えば、レーザ加熱、炉内での加熱、赤外線ヒータの使用、及び/又は同様のものを介して)形成される。空洞は、工程S91で大気圧よりも低い圧力に真空にされる。一体型チューブは、任意選択的に、例えば、真空を維持しながら、工程S93で予熱される。これは、レーザなどを介して、赤外線ヒータを使用して、オーブンを使用して達成され得る。コア加熱は、工程S95で実行され、チェイス加熱は、封止されるまで(例えば、工程S99で示されるように)、工程S97で繰り返し実行される。工程S95のコア加熱プロセスは、溶融プロセスのバルクを提供する一方で、工程S97のチェイス加熱は、例えば、側壁(複数可)/封止アーム(複数可)、貫通孔、生じている垂れ下がりなどの構成に応じて、漸進的により小さい円周、面積、及び/又は同様のものにおいて提供される。一旦封止されると、工程S101で更に処理するために、ユニットは移動され得る。
【0056】
図9の工程、及び例示的なプロセスは、異なる相手方によって任意の好適な順序で実行され得、及び/又は、異なる例示的な実施形態では更なる工程が設けられ得ることが理解されるであろう。例えば、異なる相手方は、VIG及び/又はポートを封止する相手方と比較して、孔を形成し得る。特定の例示的な実施形態では、チューブプロファイルは、第1の基板内に形成されることになり、第1及び/又は第2の基板は強化され得、フリットは、第1及び/又は第2の基板の周縁部に適用され得、スペーサは配置され得、次いで、他の動作は実行され得る(例えば、
図9に示すように)。
【0057】
図10は、特定の例示的な実施形態に従って作製された、組み立てられたVIGユニットである。第1の基板32’は、上述のように、一体型ポンプアウトチューブから得られるカバー又はブリッジ73を含む。第1の基板及び第2の基板32’、2は、フリットベースの縁部封止部4を介して一緒に密封封止され、間隙又は空洞6がそれらの間に画定されるように、ピラー5を介して実質的に平行な離間した関係で保持される。
【0058】
本明細書に開示される技法が、例えば、VIGウィンドウ用途、マーチャンダイザー、積層製品、ハイブリッドVIGユニット(例えば、基板がスペーサーシステムを介してVIGユニットから離間されているユニット)などを含む多種多様な用途で使用され得ることが理解されるであろう。
【0059】
本明細書で使用するとき、「熱処理」及び「熱処理する」という用語は、ガラス含有物品の、熱焼き戻し及び/又は熱強化を達成するために十分な温度まで物品を加熱することを意味する。この定義は、例えば、オーブン又は加熱炉内でコーティングされた物品を、少なくとも約550℃、より好ましくは少なくとも約580℃、より好ましくは少なくとも約600℃、より好ましくは少なくとも約620℃、最も好ましくは少なくとも約650℃の温度で十分な期間にわたって加熱して、焼き戻し及び/又は熱強化を可能にすることを含む。これは、特定の実施形態において、少なくとも約2分、又は最大約10分であってよい。これらのプロセスは、異なる時間及び/又は温度を伴うように適合されてもよい。
【0060】
本明細書で使用するとき、「~上」及び「~によって支持されている」などの用語は、明示的に記載されない限り、2つの要素が互いに直接隣接していることを意味するものと解釈されるべきではない。換言すれば、第1の層は、第2の層との間に1つ以上の層が存在する場合であっても、第2の層「上」又は「によって支持されている」とされ得る。
【0061】
特定の例示的な実施形態では、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの製造方法が提供される。第1のガラス基板及び第2のガラス基板が設けられる。断面において見たときに、第1のガラス基板は、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、一体型ポンプアウトチューブは、第1の基板内に形成される。第1の基板及び第2の基板は、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周囲に設けられた縁部封止部に関連して、一緒に封止され、空洞は、第1の基板及び第2の基板によって画定され、空洞内の第1の基板と第2の基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助する。空洞は、大気圧よりも低い圧力に真空にされる。第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分は優先的に加熱されて、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を覆うブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止する。
【0062】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、貫通孔を取り囲む単一のチャネルの部分であるように形成され得、及び/又は封止壁部分は、貫通孔を取り囲む単一の封止壁の部分であるように形成される。
【0063】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、断面において見たときに、少なくとも最初は実質的にU字型、実質的に半円形、実質的に台形、及び/又は同様のものであり得る。
【0064】
前の3つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、ドリル加工を介して形成され得る。
【0065】
前述の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、優先的加熱は、封止壁部分を実質的に溶融するためのコア加熱段階と、続いて、第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分を一緒に垂れ下げて、ブリッジを形成させるレーザ加熱と、を含み得る。
【0066】
5つの前の段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、優先的加熱は、レーザ加熱であり得、例えば、これによって、レーザ加熱が、ブリッジを形成するときに、互いに向かって垂れ下がる際、封止壁部分を追跡することを含むように、実行され得る。
【0067】
特定の例示的な実施形態では、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットの製造方法が提供される。本方法は、第1のガラス基板及び第2のガラス基板を有することを含み、第1の基板が、内部に一体型ポンプアウトチューブを含み、第1の基板が、断面において見たときに、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含む。第1の基板及び第2の基板は、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周囲に設けられた縁部封止部に関連して、一緒に封止され、空洞は、第1の基板及び第2の基板によって画定され、空洞内の第1の基板と第2の基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助する。空洞は、大気圧よりも低い圧力に真空にされる。第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分は加熱されて、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を覆うブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止する。
【0068】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、貫通孔を取り囲む単一のチャネルの部分であるように形成され得、及び/又は封止壁部分は、貫通孔を取り囲む単一の封止壁の部分であるように形成され得る。
【0069】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、ドリル加工を介して形成され得る。
【0070】
前の3つの前の段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、加熱することは、封止壁部分を実質的に溶融するための第1の加熱段階と、続いて、第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分を一緒に垂れ下げて、ブリッジを形成させる第2の加熱段階と、を含み得る。例えば、第2の加熱段階は、レーザを使用して実施され得、ブリッジを形成するときに、互いに向かって垂れ下がる際、封止壁部分を追跡することを任意選択的に伴い得る。
【0071】
前の4つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、加熱はレーザ加熱である。
【0072】
特定の例示的な実施形態では、真空絶縁ガラス(VIG)ユニットサブアセンブリを作製する方法が提供される。第1のガラス基板が設けられる。断面において見たときに、第1のガラス基板は、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、一体型ポンプアウトチューブは、第1の基板内に形成される。一体型ポンプアウトチューブの形成に続いて、第1の基板は、別の相手方に転送され、それによって、第1の基板及び第2の基板を、第1の基板及び/又は第2の基板の周縁部の周囲に設けられた縁部封止部に関連して、一緒に封止し、空洞は、第1の基板及び第2の基板によって画定され、空洞内の第1の基板と第2の基板との間に設けられ、互いに実質的に平行な離間した関係で第1の基板及び第2の基板を維持することを補助し、空洞を大気圧よりも低い圧力に真空にし、第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分を加熱して、それらを一緒に垂れ下げさせることにより、貫通孔を被覆するブリッジを形成し、VIGユニットを密封封止する。
【0073】
前の段落の特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、ドリル加工を介して形成され得る。
【0074】
前の2つの段落のいずれかの特徴に加えて、特定の例示的な実施形態では、チャネル部分は、貫通孔を取り囲む単一のチャネルの部分であるように形成され得、及び/又は封止壁部分は、貫通孔を取り囲む単一の封止壁の部分であるように形成され得る。
【0075】
特定の例示的な実施形態は、前の14の段落のいずれかの方法によって作製された真空絶縁ガラス(VIG)ユニットに関する。同様に、特定の例示的な実施形態は、前の14の段落のいずれかに従って設けられた第1の基板に関する。
【0076】
特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)ユニットにおいて使用するための基板は、断面において見たときに、第1のガラス基板が、(a)貫通孔の両側に隣接して設けられた第1のチャネル部分及び第2のチャネル部分と、(b)それらの間に画定された第1の封止壁部分及び第2の封止壁部分と、を含むように、基板内の一体型ポンプアウトチューブ、を含む。
【0077】
特定の例示的な実施形態では、真空断熱ガラス(VIG)ユニットは、密封縁部封止部を介して互いに実質的に平行に離間した関係で維持された第1のガラス基板及び第2のガラス基板と、第1のガラス基板と第2のガラス基板との間に画定された空洞内に配置された複数のスペーサと、を備え、空洞は、プラグレス型ポンプアウトポートを取り囲む第1のガラス基板の一部分から溶融したガラスブリッジで密封封止されたプラグレス型ポンプアウトポートを使用して、大気よりも低い圧力に真空にされる。
【0078】
本発明は、現在実用的で好ましい実施形態と考えられるものと関連して説明されたが、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではなく、寧ろ、添付の特許請求の範囲の趣旨及び範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものであることを理解されたい。