(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】布地上の悪臭を低減する方法
(51)【国際特許分類】
D06B 3/10 20060101AFI20240702BHJP
C11D 7/26 20060101ALI20240702BHJP
C11D 7/42 20060101ALI20240702BHJP
C11D 7/54 20060101ALI20240702BHJP
C11D 17/08 20060101ALI20240702BHJP
C11D 17/06 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/37 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/386 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/395 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/50 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/18 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/20 20060101ALI20240702BHJP
C11D 3/33 20060101ALI20240702BHJP
D06L 1/16 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
D06B3/10 B
C11D7/26
C11D7/42
C11D7/54
C11D17/08
C11D17/06
C11D3/37
C11D3/386
C11D3/395
C11D3/50
C11D3/18
C11D3/20
C11D3/33
D06L1/16
(21)【出願番号】P 2021550239
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 US2020023568
(87)【国際公開番号】W WO2020191166
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2021-08-27
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】シヴィク、マーク・ロバート
(72)【発明者】
【氏名】エスコバール、ソル・メリッサ
(72)【発明者】
【氏名】デラニー、サラ・アン
(72)【発明者】
【氏名】デノーム、フランク・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】ハマースキー、マーク・ウィリアム
【審査官】伊藤 寿美
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-517611(JP,A)
【文献】特開平10-204499(JP,A)
【文献】特開2006-328170(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0321152(US,A1)
【文献】特開2015-193859(JP,A)
【文献】特開2012-233144(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0216052(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06B 1/00-23/30
D06L 1/00- 4/75
C11D 1/00-19/00
B65D 65/00-65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地上の悪臭を低減する方法であって、
a.布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、前記布地が、少なくとも1つの悪臭源を含み、前記洗浄液が、コーティングされたクエン酸を含まない液体洗剤組成物、及び水溶性繊維構造体と活性剤を含有する粒子とを含む水溶性単位用量物品の形態の濃縮酸送達源を、水中で希釈することにより調製される、工程と、
b.前記布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はこれらの組み合わせを使用して、前記洗浄液中で洗浄する工程と、
c.前記布地と前記洗浄液とを互いに分離する工程と、
を含み、
前記活性剤が、コーティングされたクエン酸であり、
前記活性剤が、前記水溶性単位用量物品の5重量%~90重量%の量で前記水溶性単位用量物品に組み込まれている、方法。
【請求項2】
前記コーティングされたクエン酸が、マルトデキストリンでコーティングされたクエン酸、クエン酸塩でコーティングされたクエン酸又は二酸化ケイ素でコーティングされたクエン酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
a.前記布地が、10℃~60℃の温度で、前記洗浄液中で洗浄され、
b.工程bにおける前記洗浄操作が、5分~60分間行われ、
c.又はこれらの組み合わせである、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記液体洗剤組成物が、カチオン性ポリマー
、両親媒性グラフトコポリマー、カルボキシメチルセルロース、酵素、香料、カプセル化香料、漂白剤、又はこれらの混合物からなる群から選択される成分を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記液体洗剤組成物が、6~10のpHを有し、前記液体洗剤組成物のpHが、未希釈pHとして測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記液体洗剤組成物が、7~8のpHを有し、前記液体洗剤組成物のpHが、未希釈pHとして測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記液体洗剤組成物が、2~6のpHを有し、前記液体洗剤組成物のpHが、未希釈pHとして測定される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記活性剤が、前記水溶性単位用量物品の50重量%~70重量%の量で前記水溶性単位用量物品に組み込まれている、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記活性剤を含有する粒子が、前記水溶性繊維構造体全体にわたって分布している、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記水溶性繊維構造体が、内部に界面活性剤を有する繊維要素を含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記水溶性繊維構造体が、デンプンを含む繊維要素を含む、請求項1~10のいずれか一項のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸送達システムと組み合わせて洗剤組成物を使用する、布地上の悪臭を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗浄方法は、布地から汚れを排除するように設計されている。一部の汚れは、布地上で悪臭を引き起こす可能性があり、場合によっては、これらの悪臭は、洗濯洗浄操作の後でさえも持続する可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、布地上の悪臭を低減するための方法が、引き続き必要とされている。
【0004】
驚くべきことに、提供される、本発明に従った方法は、布地上の悪臭を低減したことが分かった。
【0005】
理論に束縛されるものではないが、洗浄を通して、布地上での悪臭低減効果を提供する、洗浄サイクル中に、濃縮酸送達源の添加と、洗剤組成物とを組み合わせることと考えられている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様は、布地上の悪臭を低減する方法であって、
a.布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、上記布地が、少なくとも1つの悪臭源を含み、上記洗浄液が洗剤組成物及び濃縮酸送達源を含む、工程と、
b.上記布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はこれらの組み合わせ、好ましくは自動洗浄操作を使用して、上記洗浄液中で洗浄する工程と、
c.上記布地と上記洗浄液とを互いに分離する工程と、
を含む、方法である。
【0007】
本発明の第2の態様は、洗浄液中で布地上の悪臭を低減する方法の使用であって、
a.布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、上記布地が、少なくとも1つの悪臭源を含み、上記洗浄液が、6未満のpHを有する洗剤組成物及び濃縮酸送達源を含む、工程と、
b.上記布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はこれらの組み合わせ、好ましくは自動洗浄操作を使用して、上記洗浄液中で洗浄する工程と、
c.上記布地と上記洗浄液とを互いに分離する工程と、
を含む、方法の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】多プライ繊維構造体の例の断面図の概略図である。
【
図3】線3-3に沿って撮影した、水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
方法
本発明は、布地上の悪臭を低減する方法に関する。
【0010】
本発明の文脈における「悪臭」とは、布地上での好ましくない、又は望ましくない臭いである。当業者は、望ましい臭いと比較して、望ましくない臭いが何であるかを認識するであろう。
【0011】
本方法は、布地を洗浄液と組み合わせる工程であって、布地が少なくとも1つの悪臭源を含み、洗浄液が、洗濯洗剤組成物及び繊維状水溶性単位用量物品を水中に、100~3000倍、好ましくは300~900倍で希釈することにより調製される、工程を含む。布地は、任意の好適な布地であってもよい。布地とは、好ましくは、天然繊維又は合成繊維のネットワークを含む、織物又は布を意味する。当業者であれば、好適な布地を認識するであろう。布地は、綿、ポリエステル、綿/ポリエステルブレンド、ポリアミド、ライクラ、レーヨン、又はこれらの混合物から選択することができる。
【0012】
布地は、少なくとも1つの悪臭源を含む。当業者は、好適な悪臭源を認識するであろう。悪臭源としては、身体の汚れの化学的分解による生成物を挙げることができる。悪臭源は、6-メチル-5-ヘプタン-2-オン、trans-2-ヘプタナール、3-メチル-2-ブテナール、又はこれらの混合物を含むことができる。
【0013】
当業者であれば、洗浄液の作製方法を認識するであろう。理論に束縛されるものではないが、洗濯洗剤組成物を水に添加することにより、洗濯洗剤組成物が溶解して、洗浄液の作製が引き起こされる。
【0014】
洗浄液は、自動洗濯機のドラム内で自動的に生成されて得るか、又は手動洗浄操作中に作製され得る。
【0015】
洗濯洗剤組成物は、水溶性単位用量物品中に含まれ得、当該水溶性単位用量物品は、水溶性フィルムを含む。洗濯洗剤組成物は、液体洗剤又は粉末洗剤であってもよい。洗濯洗剤組成物は、繊維状洗剤、又は、シートの形態であり得る。洗剤は、水と組み合わせて、主洗浄液を作製する。洗浄液は、自動洗濯機のドラム内で自動的に生成され得るか、又は手動洗浄操作中に作製され得る。自動洗濯機のドラム内で作製される場合、従来的には、洗浄される布地及び水溶性単位用量物品をドラムに添加してから洗濯機の扉を閉じる。続いて、洗濯機がドラムに水を自動的に添加して洗浄液を生成する。
【0016】
好ましくは、洗浄液は、1L~64L、好ましくは2L~32L、より好ましくは3L~20Lの水を含む。
【0017】
洗濯洗剤組成物について、以下により記載に説明する。
【0018】
本方法は、布地を、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はこれらの混合、好ましくは自動洗浄操作を使用して、洗浄液中で洗浄することを更に含む。
【0019】
当業者は、自動洗浄操作、手動洗浄操作、又はこれらの混合における、布地の洗浄方法を知っているであろう。
【0020】
好ましくは、洗浄液は、5℃~90℃、好ましくは10℃~60℃、より好ましくは12℃~45℃、最も好ましくは15℃~40℃の温度である。
【0021】
好ましくは、洗浄液中での布地の洗浄は、完了までに5分~50分、好ましくは5分~40分、より好ましくは5分~30分、更により好ましくは5分~20分、最も好ましくは6分~18分かかる。
【0022】
好ましくは、洗浄液は、1kg~20kg、好ましくは3kg~15kg、最も好ましくは5~10kgの布地を含む。
【0023】
洗浄液は、好ましくは0gpg~40gpgで変化する任意の硬度の水を含み得る。より低い水硬度は軟水と呼ばれ、一方でより高い水硬度は硬水と呼ばれる。
【0024】
方法は、布地と洗浄液とを互いに分離することを更に含む。
【0025】
布地及び洗浄液は、布地の洗浄後に互いに分離される。こうした分離は、布地を洗浄液から取り出すこと、又は洗浄液を布地から排水することを伴い得る。自動洗濯機の操作においては、洗浄液を布地から排水することが好ましい。疑念を避けるため、布地と主洗浄液との分離後も洗浄液の一部は、布地に浸み込んだままであり得、即ち、布地は、濡れたままである。本発明に関しては、一旦、布地が洗浄液の主要量から分離されたら、又は洗浄液のミナ量(mina volume)が排出されていたら、場合によってはいくらかの残留洗浄液が布地に浸み込んだままであっても、布地及び洗浄液は互いに分離されていると見なされる。
【0026】
方法は、布地を乾燥させることを更に含む。
【0027】
当業者であれば、布地を乾燥させるために好適な手段を認識するであろう。布地は、室温での吊り乾燥、自動乾燥機内での乾燥、又はこれらの混合で、乾燥され得る。当業者であれば、どの点で布地が濡れているのと対照して乾燥していると見なされるかについて、分かるであろう。
【0028】
洗濯洗剤組成物
本発明に従った方法は、洗濯洗剤組成物を希釈する工程を含む。洗濯洗剤組成物は、6より大きい、又は、6未満のpHを有し得る。
【0029】
6より大きいpHを有する洗濯洗剤組成物は粉末、液体、水溶性単位用量物品、又はこれらの混合物、好ましくは、液体組成物を含む水溶性単位用量物品であってもよい。
【0030】
固体洗濯洗剤組成物は、固体粒子を含み得、又は単一の均質な固体であってもよい。好ましくは、固体洗濯洗剤組成物は粒子を含む。これは、単一の均質な固体である固体とは対照的に、固体洗濯洗剤組成物が、個々の固体粒子を含むことを意味する。粒子は、自由流動性であり得るか、又は圧縮され得、好ましくは自由流動性である。
【0031】
「液体洗濯洗剤組成物」という用語は、布地を濡らし、処理することが可能な液体を含む、任意の洗濯洗剤組成物を指し、限定するものではないが、液体、ゲル、ペースト、分散液などが挙げられる。液体組成物は、好適に細分された形態の固体又は気体を含み得るが、液体組成物は、粉末、錠剤、又は顆粒などの、全体として非流動性である形態を除外する。
【0032】
水溶性単位用量物品について、以下でより詳細に記載する。
【0033】
洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0.01重量%~5重量%、より好ましくは0.03重量%~1重量%、最も好ましくは0.05重量%~0.5重量%のオリゴアミン又はその塩を含む。オリゴアミン又はその塩については、以下により詳細に記載する。
【0034】
洗濯洗剤組成物は、好ましくは、非石鹸界面活性剤を含む。より好ましくは、非石鹸界面活性剤は、非石鹸アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、又はこれらの混合物から選択される。洗濯洗剤組成物は、好ましくは、洗濯洗剤組成物の10重量%~60重量%、より好ましくは20重量%~55重量%の非石鹸界面活性剤を含む。
【0035】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖アルキルベンゼンスルホネート、アルコキシル化アルキルサルフェート、アルキルサルフェート、又はこれらの混合物を含む。好ましくはアルキルサルフェートは、エトキシル化アルキルサルフェートである。
【0036】
好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗剤組成物の5重量%~50重量%、好ましくは15重量%~45重量%、より好ましくは25重量%~40重量%、最も好ましくは30重量%~40重量%の非石鹸アニオン性界面活性剤を含む。
【0037】
好ましくは、非石鹸アニオン性界面活性剤は、直鎖状アルキルベンゼンスルホネート及びアルコキシル化アルキルサルフェートを含み、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートのアルコキシル化アルキルサルフェートに対する比、好ましくは、直鎖状アルキルベンゼンスルホネートのエトキシル化アルキルサルフェートに対する重量比は、好ましくは、1:2~20:1、好ましくは1.1:1~15:1、より好ましくは1.2:1~10:1、更により好ましくは1.3:1~5:1、最も好ましくは1.4:1~3:1である。
【0038】
好ましくは、洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0重量%~10重量%、好ましくは0.01重量%~8重量%、より好ましくは0.1重量%~6重量%、最も好ましくは0.15重量%~4重量%の非イオン性界面活性剤を含む。非イオン性界面活性剤は、好ましくは、アルコールアルコキシレート、オキソ合成アルコールアルコキシレート、ゲルベアルコールアルコキシレート、アルキルフェノールアルコールアルコキシレート、又はこれらの混合物から選択される。
【0039】
好ましくは、洗濯、好ましくは液体洗濯洗剤組成物は、当該洗濯洗剤組成物の1.5重量%~20重量%、より好ましくは2重量%~15重量%、更により好ましくは3重量%~10重量%、最も好ましくは4重量%~8重量%の石鹸、好ましくは脂肪酸塩、より好ましくはアミン中和脂肪酸塩を含み、好ましくは、アミンは、より好ましくはモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、又はこれらの混合物から選択されるアルカノールアミンであり、より好ましくはモノエタノールアミンである。
【0040】
洗濯洗剤組成物は、カチオン性ポリマー、ポリエステルテレフタレート、両親媒性グラフトコポリマー、カルボキシメチルセルロース、酵素、香料、カプセル化香料、漂白剤、又はこれらの混合物を含むリストから選択される成分を含み得る。理論に束縛されるものではないが、これらの材料を更に添加すると、悪臭低減を更に促進することができると考えられる。
【0041】
洗濯洗剤組成物は、補助成分を含み得、補助成分は、非水性溶媒、水、色相染料、審美染料、酵素、洗浄ポリマー、脂肪酸のようなビルダ、漂白剤、分散剤、移染阻害剤ポリマー、蛍光増白剤、乳白剤、消泡剤、又はこれらの混合物から選択される。
【0042】
好ましくは、洗濯洗剤組成物はキレート剤を含み、キレート剤は、好ましくは、ホスホネート、アミノカルボキシレート、アミノホスホネート、多官能置換された芳香族キレート剤、又はこれらの混合物から、より好ましくは、DTPA(diethylenetriaminepentaacetic acid、ジエチレントリアミン五酢酸)、HEDP(hydroxyethanediphosphonic acid、ヒドロキシエタンジホスホン酸)、EDDS(ethylenediamine disuccinate、エチレンジアミン二コハク酸)、DTPMP(diethylene triamine penta (methylene phosphonic acid)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸))、EDTMP(ethylene diamine tetra(methylene phosphonic acid)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸))、Tiron(登録商標)(1,2-ジヒドロキシベンゼン-3,5-ジスルホン酸)、HPNO(2-pyridinol-N-oxide、2-ピリジノール-N-オキシド)、MGDA(methylglycinediacetic acid、メチルグリシン二酢酸)、GLDA(glutamic-N,N-diacetic acid、グルタミン酸-N,N-二酢酸)、これらの任意の好適な誘導体、これらの塩、及びこれらの混合物から選択される追加のキレート剤から選択される。
【0043】
洗濯洗剤組成物は、酸化防止剤を含み得る。理論に束縛されるものではないが、酸化防止剤は、特に本開示のオリゴアミンと組み合わせて、組成物の悪臭制御及び/又はクリーニング性能を改善するために役立てることができると考えられる。また、酸化防止剤は、アミンと関連付けられ得る黄変を低減することにも役立てることができるので、アミンを比較的高濃度で配合することが可能になる。
【0044】
洗濯洗剤組成物は、洗濯洗剤組成物の0.001重量%~2重量%、好ましくは0.01重量%~0.5重量%の量のヒンダードフェノール酸化防止剤を含み得る。
【0045】
好適な酸化防止剤としては、以下の一般式:
【0046】
【化1】
[式中、Rは、C
1~C
22直鎖状アルキル又はC
3~C
22分岐状アルキルであり、各々、(1)任意選択的に、その中に1つ以上のエステル(-CO
2-)又はエーテル(-O-)結合を有し、(2)任意選択的に、EO(ethoxy、エトキシ)、PO(propoxy、プロポキシ)、BO(butoxy、ブトキシ)、及びこれらの混合物から、より好ましくはEO単独又はEO/PO混合物から選択されるアルキレンオキシ又はポリアルキレンオキシ基を含む有機基によって置換されており、Rは、好ましくは、メチル、分岐状C
3~C
6アルキル、又はC
1~C
6アルコキシ、好ましくはメトキシであってもよく、R
1は、C
3~C
6分岐状アルキル、好ましくはtert-ブチルであり、xは、1又は2である]を有するアルキル化フェノールを挙げることができる。
【0047】
この式を有するアルキル化フェノールの好ましい種類としては、ヒンダードフェノール化合物を挙げることができる。本明細書で使用するとき、「ヒンダードフェノール」という用語は、(a)少なくとも1つのフェノール-OH基に対してオルト位に結合している、少なくとも1つのC3以上の分岐状アルキル、好ましくはC3~C6分岐状アルキル、好ましくはtert-ブチル、又は(b)少なくとも1つのフェノール-OH基に対して各々オルト位に結合している、C1~C6アルコキシ、好ましくはメトキシ、C1~C22直鎖状アルキル、若しくはC3~C22分岐状アルキル、好ましくはメチル若しくは分岐状C3~C6アルキル、又はこれらの混合物からなる群から独立して選択される置換基、のいずれかを有する、フェノール基を含む化合物を指すために使用される。フェニル環が複数の-OH基を含む場合、化合物は、少なくとも1つのこのような-OH基が直前に記載されているように置換されている限りヒンダードフェノールである。上記構造中の任意のR基が3つ以上の連続するモノマーを含む場合、酸化防止剤は、本明細書において「ポリマーヒンダードフェノール酸化防止剤」と定義される。本開示による組成物は、ヒンダードフェノール酸化防止剤を含み得る。好ましいヒンダードフェノール酸化防止剤としては、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(3,5-di-tert-butyl-4-hydroxytoluene)(BHT)が挙げられる。
【0048】
組成物における使用に好適であり得るヒンダードフェノール酸化防止剤の更なる分類は、以下の式:
【0049】
【化2】
[式中、R
1及びR
2は、各々独立して、アルキルであるか、又はR
1及びR
2は一緒になってC
5~C
6環状ヒドロカルビル部分を形成してもよく、Bは、存在しないか又はCH
2であり、R
4は、C
1~C
6アルキルであり、R
5は、水素又は-C(O)R
3であり、R
3は、水素又はC
1~C
19アルキルであり、R
6は、C
1~C
6アルキルであり、R
7は、水素又はC
1~C
6アルキルであり、Xは、-CH
2OH又は-CH
2Aであり、Aは、窒素含有単位、フェニル、又は置換フェニルである]を有するベンゾフラン又はベンゾピラン誘導体である。好ましい窒素含有A単位としては、アミノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、ピペラジノ、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0050】
好適なヒンダードフェノール酸化防止剤としては、2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-メチル-フェノール、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ-ベンゼンプロパン酸、メチルエステル、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸、オクタデシルエステル、又はこれらの混合物が挙げられる。
【0051】
好適であり得る市販の酸化防止剤としては、BHT、RALOX 35(商標)、及び/又はTINOGARD TS(商標)が挙げられる。
【0052】
追加の酸化防止剤を使用してもよい。組成物における使用に好適な酸化防止剤の例としては、α-、β-、γ-、δ-トコフェロール、エトキシキン、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、2,6-ジ-tert-ブチルヒドロキノン、tert-ブチルヒドロキシアニソール、リグノスルホン酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群が挙げられるが、これらに限定されない。エトキシキン(1,2-ジヒドロ-6-エトキシ-2,2,4-トリメチルキノリン)は、Raschig(商標)カンパニーによりRaluquin(商標)という名称で販売されていることに留意されたい。組成物において使用され得る酸化防止剤の他の種類は、6-ヒドロキシ-2,5,7,8-テトラメチルクロマン-2-カルボン酸(Trolox(商標))及び1,2-ベンゾイソチアゾリン-3-オン(Proxel GXL(商標))である。トコフェロールソルベート、ブチル化ヒドロキシル安息香酸及びその塩、没食子酸及びそのアルキルエステル、尿酸及びその塩、ソルビン酸及びその塩、並びにジヒドロキシフマル酸及びその塩などの酸化防止剤も有用であり得る。
【0053】
非黄変ヒンダードフェノール酸化防止剤などの非黄変酸化防止剤の使用が好ましくあり得る。消費者体験において知覚可能な負の属性(例えば、布地への黄色副生成物の付着など)につながる場合、このような黄色副生成物を形成する酸化防止剤が回避され得る。当業者は、使用する酸化防止剤の選択に関して情報を得た上で決定を行うことができる。
【0054】
上述した液体洗濯洗剤組成物は、好ましくは6~10、より好ましくは6.5~8.9、最も好ましくは7~8のpHを有し、液体洗濯洗剤組成物のpHは、未希釈pHとして測定される。液体洗濯洗剤のpH、洗浄液のpH、又はすすぎ液のpHの測定のために、50mLのアリコートを、およそ64リットルの容積を有するNorth America上部充填機からサンプリングすることができる。更に、洗剤が固体洗濯洗剤である場合、固体洗濯洗剤は、好ましくは6~10、より好ましくは6.5~8.9、最も好ましくは7~8のpHを有し、固体洗濯洗剤組成物のpHは、20℃で脱塩水中の10%希釈物として測定される。
【0055】
6を下回る洗濯洗剤のpH:
洗剤組成物は、サルフェート界面活性剤、有機酸、及びアルコキシル化ポリアミン化合物を含む、低pH洗剤組成物であってもよい。サルフェート界面活性剤は、例えば、硬質表面及び/又は洗濯物を洗浄するために好適な、組成物中での洗浄効果をもたらす。特に洗濯物に対する効果的な洗浄をもたらすために、サルフェート界面活性剤は、特定の鎖長、例えば、少なくとも10個の炭素、又は少なくとも12個の炭素、又は少なくとも14個の炭素の、アルキル基を有するのが望ましい。しかし、アルキル鎖が長くなると、サルフェート界面活性剤の間でより多くの界面の形成がもたらされる傾向にあると考えられている。これは、サルフェート界面活性剤が低pH系において加水分解する傾向にあるが故に、安定性の課題を提示し得、これは部分的には、界面活性剤間の界面に起因するものと考えられている。驚くべきことに、特定のアルコキシル化ポリアミン化合物が加水分解速度を低減させることができるということが、発見されている。ポリアミンは、H+の、界面への接近を妨げることにより、かつ/又は、サルフェート界面活性剤間の相互作用を妨げることにより、安定化効果をもたらすと考えられている。
【0056】
有機酸
6を下回るpHを有する洗剤組成物は、酢酸、乳酸、及びクエン酸からなる群から選択される、1つ以上の有機酸を含む。
【0057】
本発明の洗剤組成物は、更なる有機酸を含み得る。追加の有機酸は、有機カルボン酸又はポリカルボン酸の形態であってもよい。使用することができる有機酸の例としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、ギ酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシ二コハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石酸二コハク酸、酒石酸-コハク酸、又はこれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、組成物は、クエン酸などの洗剤ビルダとしても機能し得る有機酸を含む。
【0058】
有機酸は、水溶性又は水混和性の酸であってもよい。いくつかの態様では、有機酸は、少なくとも約10gの酸/100mlの水、又は少なくとも約30gの酸/100mlの水、又は少なくとも約50gの酸/100mlの水、又は少なくとも約70gの酸/100mlの水、又は少なくとも約85g/100mlの水の、20℃の水への溶解度を有する。いくつかの態様では、組成物は、脂肪酸を実質的に含まない。
【0059】
有機酸は、低重量酸、例えば、210g/モル未満の分子量を有する酸であってもよい。いくつかの態様では、有機酸は、9個以下の炭素原子、代替的に6個以下の炭素原子を有する。洗剤組成物中の有機酸は、4個以下の炭素原子、又は3個以下の炭素原子、又は3個未満の炭素原子を有し得る。3個未満の炭素原子を有する有機酸の具体例としては、ギ酸及び酢酸が挙げられる。
【0060】
いくつかの態様では、本開示の組成物は、組成物の約6重量%~約30重量%、又は約8重量%~約25重量%、又は約10重量%~約15重量%、又は約12重量%~約17重量%、例えば、13重量%、14重量%、15重量%、16重量%、17重量%、18重量%、19重量%、20重量%、21重量%、22重量%、23重量%、24重量%の有機酸を含み得る。
【0061】
本明細書において特に明記しない限り、組成物のpHは、20±2℃の組成物の未希釈pHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意のメーターが好適である。Orion meters(Thermo Scientific,Clintinpark-Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem-Aalst,Belgium)又は等価物が、許容可能な計器である。pHメーターは、カロメル又は銀/塩化銀基準を有する好適なガラス電極を備えていなければならない。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解質溶液中で保管する必要がある。pHは、pHメーター製造業者の標準的な手順に従って測定される。更に、pHアセンブリを設定し較正するには、製造業者の指示に従うべきである。
【0062】
濃縮酸送達源:
濃縮酸送達源は、後述する活性剤を含む繊維状水溶性単位用量物品を含む。本明細書で使用するとき、語句「水溶性単位用量物品」、「水溶性繊維構造体」、及び「水溶性繊維要素」は、単位用量物品、繊維構造体、及び繊維要素が水と混和性であることを意味する。換言すれば、単位用量物品、繊維構造体、又は繊維要素は、周囲条件で水と均質な溶液を形成することができる。本明細書で使用するとき、「周囲条件」とは、23℃±1.0℃及び相対湿度50%±2%を意味する。水溶性単位用量物品は、水性洗浄条件で約20マイクロメートル未満又は約50マイクロメートル未満の懸濁平均粒径で分散可能である不溶性材料を含有し得る。
【0063】
繊維状水溶性単位用量物品は、2018年1月26日に出願された、米国特許出願第15/880,594号、2018年1月26日に出願された同第15/880,599号、及び、2018年1月26日に出願された同第15/880,604号に見いだされる開示のいずれかを含むことができ、それらの全体が参照により組み込まれる。
【0064】
これらの繊維性水溶性単位用量物品は、様々な洗浄条件下、例えば、低温、少ない水量及び/又は短い洗浄サイクル若しくは消費者が洗濯機に、特に高い吸水能を有する品目を入れすぎた場合のサイクルの下で溶解することができると同時に、(今日の液体製品と同様の性能で)対象とする消費者基材に対して、意図する効果を発揮するために十分な活性剤を送達する。更に、本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、活性剤を含む繊維を紡糸することによって、経済的に製造することができる。本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、改善された洗浄性能も有する。
【0065】
繊維性水溶性単位用量物品の表面は、印刷領域を含み得る。印刷領域は、物品の表面の約10~約100%を網羅し得る。印刷領域は、インク、顔料、染料、青味剤、又はこれらの混合物を含み得る。印刷領域は、不透明、半透明、又は透明であり得る。印刷領域は、単色又は複数の色を含み得る。印刷領域は、物品の1つを超える側面上に存在し得、説明の文章及び/又は図形を含み得る。水溶性単位用量物品の表面は、嫌悪剤、例えば、苦味剤を含み得る。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロース八酢酸、塩酸キニーネ、安息香酸デナトニウム、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤を使用してもよい。好適な濃度としては、1~5000ppm、又は更には100~2500ppm、又は更には250~2000ppmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
水溶性単位用量物品は苦味剤として酸、好ましくはクエン酸及びその塩を利用することができる。クエン酸は、以前に記載した苦味剤のうちのいずれか1つと組み合わせることができる。クエン酸は、水溶性単位用量物品内で苦味剤として使用可能である一方、異なる苦味剤を物品の表面で使用する。
【0067】
繊維性水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の厚さ試験法によって測定したとき、0.01mm超、及び/又は0.05mm超、及び/又は0.1mm超、及び/又は約100mm以下、及び/又は約50mm以下、及び/又は約20mm以下、及び/又は約10mm以下、及び/又は約5mm以下、及び/又は約2mm以下、及び/又は約0.5mm以下、及び/又は約0.3mm以下の厚さを呈し得る。
【0068】
繊維性水溶性単位用量物品は、本明細書に記載の坪量試験法に従って測定したとき、約500グラム/m2~約5,000グラム/m2、又は約1,000グラム/m2~約4,000グラム/m2、又は約1,500グラム/m2~約3,500グラム/m2、又は約2,000グラム/m2~約3,000グラム/m2の坪量を有し得る。
【0069】
繊維性水溶性単位用量物品は、異なる領域、例えば坪量、密度、キャリパ(caliper)、及び/又は湿潤の特徴の異なる領域を呈し得る。繊維性水溶性単位用量物品は、端封点で圧縮され得る。繊維性水溶性単位用量物品は、その表面の1つ以上に織り目(texture)を含み得る。繊維性水溶性単位用量物品の表面は、非ランダムな反復パターンなどのパターンを含み得る。繊維性水溶性単位用量物品は、開口部を含み得る。繊維性水溶性単位用量物品は、構造体における繊維要素の他の領域とは異なる、繊維要素の離散領域を有する繊維構造体を含み得る。繊維性水溶性単位用量物品は、そのまま使用され得るか、1つ以上の活性剤でコーティングされ得る。
【0070】
繊維性水溶性単位用量物品は、1つ以上のプライを含み得る。繊維性水溶性単位用量物品は、少なくとも2つの、及び/又は少なくとも3つの、及び/又は少なくとも4つの、及び/又は少なくとも5つのプライを含み得る。繊維性プライは、繊維構造体であり得る。各プライは、1つ以上の層、例えば、1つ以上の繊維要素層、1つ以上の粒子層、及び/又は1つ以上の繊維要素/粒子混合層を含み得る。層は、封止され得る。特に、粒子層及び繊維要素/粒子混合物層は、粒子が漏出しないように封止され得る。水溶性単位用量物品は、複数のプライを含み得、各プライは、1つの層が繊維要素層であり、1つの層が繊維要素/粒子混合層である2つの層を含み、複数のプライは一緒に封止される(例えば、縁部で)。封止は、粒子の漏出を阻止することに加えて、単位用量物品がその元の構造を維持するために役立ち得る。しかしながら、水溶性単位用量物品を水に添加した際、単位用量物品は溶解して、粒子を洗浄液中に放出する。
【0071】
繊維状水溶性単位用量物品は、任意の三次元構造体の形態であってもよい。繊維状水溶性単位用量物品は、穿孔することができる。物品はまた、異なる使用目的のために、切断される、又は、様々なサイズに形状化することができる。例えば、水溶性単位用量物品は、正方形、丸みを帯びた正方形、凧型、矩形、三角形、円、楕円、及びこれらの混合の形態であることができる。
【0072】
本明細書に開示される水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体及び1つ以上の粒子を含む。水溶性繊維構造体は、複数の繊維要素、例えば、複数のフィラメントを含み得る。1つ以上の粒子、例えば1つ以上の活性剤含有粒子は、構造体全体にわたって分布し得る。水溶性単位用量物品は、相互に絡み合っているか、又は別の方法で互いに関連付けられて繊維構造体を形成する複数の2つ以上及び/又は3つ以上の繊維要素と、当該繊維構造体全体にわたって分布し得る1つ以上の粒子と、を含み得る。
【0073】
繊維性水溶性単位用量物品は、水溶性繊維構造体と、当該構造体全体にわたって分布する複数の粒子と、を含み得、当該水溶性繊維構造体は、組成上の観点から、同一又は実質的に同一の複数の繊維要素を含む。水溶性繊維構造体は、2つ以上の異なる繊維要素を含み得る。繊維要素の相違点の非限定的な例は、直径、長さ、質感、形状、剛性、弾性の違いなどの物理的な違い;架橋レベル、溶解度、融点、Tg、活性剤、フィラメント形成材料、色、活性剤の濃度、坪量、フィラメント形成材料の濃度、繊維要素上の任意コーティングの存在、生分解性であるか否か、疎水性であるか否か、接触角などの化学的な違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその物理的構造を失うかどうかの違い;意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素の形態が変化するかどうかの違い;及び意図される使用条件に繊維要素が曝されたときに、繊維要素がその活性剤のうちの1つ以上を放出する速度の違いであり得る。繊維構造体内の2つ以上の繊維要素は、異なる活性剤を含み得る。これは、異なる活性剤、例えばアニオン性界面活性剤及びカチオン性ポリマーが、互いに不適合であり得る場合にあり得る。異なる繊維要素を使用するとき、得られる構造体は、異なる湿潤、吸水、及び溶解度の特徴を呈し得る。
【0074】
繊維構造体
繊維構造体は、1つ以上の繊維要素を含む。繊維要素は、互いに関連付けられて構造体を形成することができる。繊維構造体は、構造体内及び又は構造体上に粒子を含み得る。繊維構造体は、均質、層状、単一、ゾーン形、又は他の点で所望されるとおりであってもよく、異なる活性剤が様々な前述の部分を画定する。
【0075】
繊維構造体は、1つ以上の層を含み得、層は、共にプライを形成する。
【0076】
繊維要素
繊維要素は、水溶性であってもよい。繊維要素は、1つ以上のフィラメント形成材料及び/又は界面活性剤などの1つ以上の活性剤を含み得る。1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が曝されたときなどに、繊維要素から放出可能であり得る。
【0077】
本発明の繊維要素は、好適な紡糸方法操作(例えばメルトブロー、スパンボンディング、エレクトロスピニング及び/又は回転紡糸など)を介して、繊維要素形成組成物とも称されるフィラメント形成組成物から紡糸され得る。
【0078】
本明細書で使用するとき、「フィラメント形成組成物」及び/又は「繊維要素形成組成物」は、メルトブローイング及び/又はスパンボンディングなど、本発明の繊維要素を製造するために好適な組成物を意味する。フィラメント形成組成物は、1つ以上のフィラメント形成材料であって、材料を繊維要素へと紡糸するために好適なものにする特性を呈する材料を含む。フィラメント形成材料は、ポリマーを含み得る。1つ以上のフィラメント形成材料に加えて、フィラメント形成組成物は、1つ以上の活性剤、例えば、界面活性剤を含み得る。更に、フィラメント形成組成物は、1種以上の極性溶媒(水など)を含み得、この極性溶媒中に、1つ以上の、例えば全てのフィラメント形成材料及び/又は1つ以上の、例えば、全ての活性剤が、繊維要素(フィラメント形成組成物に由来するフィラメントなど)を紡糸する前に、溶解及び/又は分散される。
【0079】
フィラメント形成組成物は、2つ以上の異なるフィラメント形成材料を含み得る。したがって、繊維要素は、単成分(1種のフィラメント形成材料)、及び/又は二成分などの多成分であってもよい。2つ以上の異なるフィラメント形成材料をランダムに組み合わせて繊維要素を形成してもよい。2つ以上の異なるフィラメント形成材料は、シースコア型の二成分繊維要素などのように規則正しく結合して繊維要素を形成し得、これは、本開示の目的において、異なるフィラメント形成材料のランダムな混合物であるとはみなされない。二成分繊維要素は、サイドバイサイド、シースコア、海島型などの任意の形態であってもよい。
【0080】
繊維要素は、アルキルアルコキシル化サルフェートを実質的に含まなくてもよい。各繊維要素は、乾燥繊維要素基準で、約0重量%、又は約0.1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%~約0.2重量%、又は約1重量%、又は約5重量%、又は約10重量%、又は約15重量%、又は約20重量%、又は約25重量%、又は約30重量%、又は約35重量%、又は約40重量%、又は約50重量%までのアルキルアルコキシル化サルフェートを含み得る。繊維要素の各々におけるアルキルアルコキシル化サルフェートの量は、その加工安定性及びフィルム溶解性に影響を及ぼさないように十分に少量である。アルキルアルコキシル化サルフェートは、水に溶解すると、特定の濃度範囲、例えば30~60重量%で高度に粘稠な六角の相を経ることがあり、その結果、ゲル状物質が生じる。したがって、繊維要素に相当量組み込まれた場合、アルキルアルコキシル化サルフェートは、水溶性単位用量物品の水への溶解を著しく減速させ、更により悪いことには、後で溶解していない固体をもたらし得る。それに対応して、このような界面活性剤の大部分は、粒子に配合される。
【0081】
繊維要素は各々、少なくとも1つのフィラメント形成材料及び活性剤、好ましくは界面活性剤を含有し得る。界面活性剤は比較的低い親水性を有し得るが、その理由は、このような界面活性剤は、希釈されたときに粘稠なゲル様の六方晶相を形成する可能性が低いためである。フィラメントの形成においてこのような界面活性剤を使用することにより、洗浄中のゲル形成を有効に低減することができ、ひいては、溶解がより速くなり得、洗浄における残渣が少なくなるか又はなくなり得る。界面活性剤は、例えば、非アルコキシル化C6~C20直鎖状又は分岐状アルキルサルフェート(AS)、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(linear alkylbenzene sulfonate、LAS)、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。界面活性剤は、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネート(LAS)であってもよい。LAS界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、市販の直鎖状アルキルベンゼンをスルホン化することによって容易に入手することができる。使用することができる例示的なC6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホネートとしては、C6~C20直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属、又はアンモニウムの塩、例えば、C11~C18又はC11~C14直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム、カリウム、マグネシウム、及び/又はアンモニウムの塩が挙げられる。C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩又はカリウム塩、例えば、C12直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸のナトリウム塩、即ち、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを、第1の界面活性剤として使用してもよい。
【0082】
繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも約5重量%、及び/又は少なくとも約10重量%、及び/又は少なくとも約15重量%、及び/又は少なくとも約20重量%、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満、及び/又は約65重量%未満、及び/又は約60重量%未満、及び/又は約55重量%未満、及び/又は約50重量%未満、及び/又は約45重量%未満、及び/又は約40重量%未満、及び/又は約35重量%未満、及び/又は約30重量%未満、及び/又は約25重量%未満のフィラメント形成材料と、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超、及び/又は少なくとも約35重量%、及び/又は少なくとも約40重量%、及び/又は少なくとも約45重量%、及び/又は少なくとも約50重量%、及び/又は少なくとも約55重量%、及び/又は少なくとも約60重量%、及び/又は少なくとも約65重量%、及び/又は少なくとも約70重量%、及び/又は約95重量%未満、及び/又は約90重量%未満、及び/又は約85重量%未満、及び/又は約80重量%未満、及び/又は約75重量%未満の活性剤、好ましくは界面活性剤と、を含み得る。繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約80重量%超の界面活性剤を含み得る。
【0083】
好ましくは、各繊維要素は、十分に高い総界面活性剤含有量、例えば、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で少なくとも約30重量%、又は少なくとも約40重量%、又は少なくとも約50重量%、又は少なくとも約60重量%、又は少なくとも約70重量%の第1の界面活性剤を特徴とし得る。
【0084】
繊維要素中に存在するフィラメント形成材料の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約5重量%~約80重量%未満であってもよく、繊維要素中に存在する界面活性剤の総濃度は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超~約95重量%であってもよい。
【0085】
繊維要素のうちの1つ以上は、他のアニオン性界面活性剤(即ち、AS及びLAS以外)、非イオン性界面活性剤、双性イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、並びにこれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの追加の界面活性剤を含み得る。
【0086】
他の好適なアニオン性界面活性剤としては、C6~C20直鎖状又は分岐状アルキルスルホネート、C6~C20直鎖状又は分岐状アルキルカルボキシレート、C6~C20直鎖状又は分岐状アルキルホスフェート、C6~C20直鎖状又は分岐状アルキルホスホネート、C6~C20アルキルN-メチルグルコースアミド、C6~C20メチルエステルスルホネート(methyl ester sulfonate、MES)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
好適な非イオン性界面活性剤としては、アルコキシル化脂肪族アルコールが挙げられる。非イオン性界面活性剤は、式R(OC2H4)nOHのエトキシル化アルコール及びエトキシル化アルキルフェノールから選択され得、式中、Rは、約8個~約15個の炭素原子を含有する脂肪族炭化水素ラジカル、及びアルキル基が約8個~約12個の炭素原子を含有するアルキルフェニルラジカルからなる群から選択され、nの平均値は、約5~約15である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、C8~C18アルキルエトキシレート、例えば、Shell製のNEODOL(登録商標)非イオン性界面活性剤、アルコキシレート単位がエチレンオキシ単位、プロピレンオキシ単位、又はこれらの混合であり得る、C6~C12アルキルフェノールアルコキシレート、C12~C18アルコール、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマーとのC6~C12アルキルフェノール縮合物、例えば、BASF製のPluronic(登録商標);C14~C22中鎖分岐状アルコール、BA;C14~C22中鎖分岐状アルキルアルコキシレート(BAEx、式中、xは1~30である);アルキル多糖類、具体的にはアルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド、並びにエーテル末端処理ポリ(オキシアルキル化)アルコール界面活性剤が挙げられる。好適な非イオン性洗浄性界面活性剤としては、アルキルポリグルコシド及びアルキルアルコキシル化アルコールも挙げられる。好適な非イオン性界面活性剤としては更に、商標名Lutensol(登録商標)としてBASFから販売されているものも挙げられる。
【0088】
カチオン性界面活性剤の非限定的な例としては、四級アンモニウム界面活性剤が挙げられ、これは26個以下の炭素原子を有し得、アルコキシレート四級アンモニウム(alkoxylate quaternary ammonium、AQA)界面活性剤;ジメチルヒドロキシエチル四級アンモニウム;ジメチルヒドロキシエチルラウリルアンモニウムクロリド;ポリアミンカチオン性界面活性剤;カチオン性エステル界面活性剤;及びアミノ界面活性剤、例えば、アミドプロピルジメチルアミン(amido propyldimethyl amine、APA)が挙げられる。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤としてはまた、アルキルピリジニウム化合物、アルキル四級アンモニウム化合物、アルキル四級ホスホニウム化合物、アルキル三級スルホニウム化合物、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0089】
好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、以下の一般式を有する、四級アンモニウム化合物であり、
(R)(R1)(R2)(R3)N+X-
式中、Rは、直鎖状又は分岐状、置換又は非置換のC6~18アルキル又はアルケニル部分であり、R1及びR2は、独立して、メチル又はエチル部分から選択され、R3は、ヒドロキシル、ヒドロキシメチル又はヒドロキシエチル部分であり、Xは、電荷的中性を提供するアニオンであり、好適なアニオンとしては、例えばクロリドのようなハロゲン化物、硫酸塩、及びスルホン酸塩である。好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C6~18アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。非常に好適なカチオン性洗浄性界面活性剤は、モノ-C8~10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、モノ-C10~12アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリド、及びモノ-C10アルキルモノ-ヒドロキシエチルジメチル四級アンモニウムクロリドである。
【0090】
双性イオン性界面活性剤の好適な例としては、複素環式二級及び三級アミンの誘導体を含む、二級及び三級アミンの誘導体;四級アンモニウム、四級ホスホニウム、又は三級スルホニウム化合物の誘導体;アルキルジメチルベタイン、ココジメチルアミドプロピルベタイン、並びにスルホ及びヒドロキシベタインを含むベタイン;C8~C18(例えば、C12~C18)アミンオキシド;N-アルキル-N,N-ジメチルアミノ-1-プロパンスルホネート(アルキル基はC8~C18であってもよい)が挙げられる。
【0091】
好適な両性界面活性剤としては、二級若しくは三級アミンの脂肪族誘導体、又は脂肪族基が直鎖状若しくは分岐状であってもよく、脂肪族置換基のうちの1つが少なくとも約8個の炭素原子若しくは約8個~約18個の炭素原子を含有し、脂肪族置換基のうちの少なくとも1つがアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホネート、サルフェートを含有する、複素環式二級及び三級アミンの脂肪族誘導体が挙げられる。好適な両性界面活性剤としては、サルコシネート、グリシナート、タウリネート、及びこれらの混合物も挙げられる。
【0092】
繊維要素は、アニオン性界面活性剤のみを含有する界面活性剤系、例えば、単一のアニオン性界面活性剤又は2つ以上の異なるアニオン性界面活性剤の組み合わせのいずれかを含み得る。代替的に、繊維要素は、例えば、1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の非イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の双性イオン性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上の両性界面活性剤との組み合わせ、又は1つ以上のアニオン性界面活性剤と1つ以上のカチオン性界面活性剤との組み合わせ、又は上記の種類の界面活性剤の全て(即ち、アニオン性、非イオン性、両性、及びカチオン性)の組み合わせを含有する複合界面活性剤系を含み得る。
【0093】
一般に、繊維要素は、長さが平均直径を大きく上回る、例えば、長さと平均直径との比が少なくとも約10である細長い微粒子である。繊維要素は、フィラメント又は繊維であり得る。フィラメントは、繊維よりも相対的に長い。フィラメントは、約5.08cm(2インチ)以上、及び/又は約7.62cm(3インチ)以上、及び/又は約10.16cm(4インチ)以上、及び/又は約15.24cm(6インチ)以上の長さを有し得る。繊維は、約5.08cm(2インチ)未満、及び/又は約3.81cm(1.5インチ)未満、及び/又は約2.54cm(1インチ)未満の長さを有し得る。
【0094】
1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約2.0以下、及び/又は約1.85以下、及び/又は約1.7未満、及び/又は約1.6未満、及び/又は約1.5未満、及び/又は約1.3未満、及び/又は約1.2未満、及び/又は約1未満、及び/又は約0.7未満、及び/又は約0.5未満、及び/又は約0.4未満、及び/又は約0.3未満、及び/又は約0.1超、及び/又は約0.15超、及び/又は約0.2超の、活性剤に対するフィラメント形成材料の合計濃度の重量比で繊維要素中に存在し得る。1つ以上のフィラメント形成材料及び活性剤は、約0.2~約0.7の活性剤に対するフィラメント形成材料の合計濃度の重量比で繊維要素中に存在し得る。
【0095】
繊維要素は、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約10重量%~約80重量%未満のフィラメント形成材料、例えばポリビニルアルコールポリマー、デンプンポリマー、及び/又はカルボキシメチルセルロースポリマーと、乾燥繊維要素基準及び/又は乾燥繊維構造体基準で約20重量%超~約90重量%の活性剤、例えば、界面活性剤と、を含み得る。繊維要素は、可塑剤(例えば、グリセリン)及び/又は更なるpH調整剤(例えば、クエン酸)を更に含み得る。繊維要素は、約2.0以下の、活性剤に対するフィラメント形成材料の重量比を有し得る。フィラメント形成材料は、ポリビニルアルコール、デンプン、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレンオキシド、及び他の好適なポリマー、特にヒドロキシル含有ポリマー及びこれらの誘導体からなる群から選択され得る。フィラメント形成材料は、約100,000g/モル~約3,000,000g/モルの重量平均分子量の範囲であり得る。この範囲では、フィラメント形成材料は、繊維作製方法において繊維の細径化が阻害されるほど弾性ではないように、伸長レオロジを提供し得ると考えられる。
【0096】
1つ以上の活性剤は、意図される使用条件に繊維要素及び/又は繊維要素を含む繊維構造体が曝されたときに、放出可能であり得る及び/又は放出され得る。繊維要素中の1つ以上の活性剤は、界面活性剤、有機ポリマー化合物、及びこれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0097】
繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約300μm未満、及び/又は約75μm未満、及び/又は約50μm未満、及び/又は約25μm未満、及び/又は約10μm未満、及び/又は約5μm未満、及び/又は約1μm未満の直径を呈し得る。繊維要素は、本明細書に記載の直径試験法に従って測定したとき、約1μmを超える直径を呈し得る。繊維要素の直径を利用して、繊維要素中に存在する1つ以上の活性剤の放出速度、及び/又は繊維要素の物理的構造の劣化及び/又は変化の速度を制御することができる。
【0098】
繊維要素は、互いに適合性又は不適合である2つ以上の異なる活性剤を含み得る。繊維要素は、繊維要素内の活性剤、及び繊維要素の外面上の活性剤、例えば、繊維要素の活性剤コーティングを含み得る。繊維要素の外面上の活性剤は、繊維要素内に存在する活性剤と同じであってもよく、又はこれと異なってもよい。異なる場合、活性剤は互いに相溶性であってもよく、又は非相溶性であってもよい。1つ以上の活性剤は、繊維要素全体に均一に分布又は実質的に均一に分布され得る。1つ以上の活性剤は、繊維要素内に離散領域として分布され得る。
【0099】
活性剤
本明細書に記載の水溶性単位用量物品は、1つ以上の活性剤を含有し得る。活性薬剤は、繊維要素中に、異なる粒子の形態で、粒子の形態で若しくは粒子に一体化され、又は、物品中にプレミックスとして、存在することができる。プレミックスは、例えば、水性吸収剤と組み合わされた活性剤のスラリーであってもよい。
【0100】
活性剤は、酸であってもよい。使用に好適な酸の例としては、単独又は組み合わせのいずれかで、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、安息香酸、ギ酸、グルタル酸、グルコン酸、ヒドロキシエチルイミド二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石二コハク酸、酒石モノコハク酸、これらの塩、又はこれらの混合物からなる群から選択される有機酸が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、酸は、クエン酸、乳酸、酢酸、及び/又は酒石酸であり、より好ましくはクエン酸である。
【0101】
特定の態様では、酸は、コーティングを含む。コーティングは、活性剤の早すぎる溶解を防止するために役立つことができる。好ましい酸は、クエン酸であり、好ましいコーティングとしては、マルトデキストリン、ワックス、クエン酸塩、硫酸塩、ゼオライト、二酸化ケイ素などの固化防止剤、又は他の乾燥剤が挙げられる。好ましい組み合わせとしては、マルトデキストリンでコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid DCで入手可能)、クエン酸塩でコーティングされたクエン酸(商標名CITROCOAT(登録商標)Nで入手可能)、又は二酸化ケイ素でコーティングされたクエン酸(商標名Citric Acid S40で入手可能)が挙げられる。
【0102】
活性剤は、水溶性単位用量物品の約5重量%~約90重量%、好ましくは約10重量%~約80重量%、好ましくは約15重量%~約75重量%、好ましくは約40重量%~約70重量%、好ましくは約60重量%~約70重量%の量で水溶性単位用量物品に組み込まれ得る。活性剤は、異なる粒子、封入粒子として、スラリー中の粒子として、繊維の一部として、又は、これらの混合物として、組み込まれ得る。
【0103】
水溶性単位用量物品は、1つ以上の更なる有機酸を含み得る。追加の有機酸は、有機カルボン酸又はポリカルボン酸の形態であってもよい。使用可能な有機酸の例としては、酢酸、アジピン酸、アスパラギン酸、安息香酸、カルボキシメチルオキシマロン酸、カルボキシメチルオキシコハク酸、クエン酸、ギ酸、グリコール酸、安息香酸、グルコン酸、グルタル酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、イミノ二酢酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マロン酸、オキシ二酢酸、オキシジコハク酸、コハク酸、スルファミン酸、酒石酸、酒石二コハク酸、酒石モノコハク酸、これらの塩、又はこれらの混合物が挙げられる。いくつかの態様では、組成物は、クエン酸などの洗剤ビルダとしても機能し得る有機酸を含む。
【0104】
水溶性単位用量物品は、約1.0~約5.0のpKaを有する酸を更に含むことができる。このpKaの範囲内にある好適な酸は、CRC Handbook of Chemistry及びPhysics,99th edition,Taylor & Francisにおけるものを見いだすことができるが、これらに限定されない。
【0105】
有機酸は、水溶性又は水混和性の酸であってもよい。いくつかの態様では、有機酸は、少なくとも約10gの酸/100mLの水、又は少なくとも約30gの酸/100mLの水、又は少なくとも約50gの酸/100mLの水、又は少なくとも約70gの酸/100mLの水、又は少なくとも約85g/100mLの水の、20℃の水への溶解度を有する。いくつかの態様では、組成物は、脂肪酸を実質的に含まない。
【0106】
有機酸は、低重量酸、例えば、210g/モル未満の分子量を有する酸であり得る。いくつかの態様では、有機酸は、9個以下の炭素原子、代替的に6個以下の炭素原子を有する。洗剤組成物中の有機酸は、4個以下の炭素原子、又は3個以下の炭素原子、又は3個未満の炭素原子を有し得る。3個未満の炭素原子を有する有機酸の具体例としては、ギ酸及び酢酸が挙げられる。
【0107】
図1は、第1のプライ10及び第1のプライ10と関連付けられている第2のプライ15を示し、第1のプライ10及び第2のプライ15は各々、複数の繊維要素30、この場合フィラメントと複数の粒子32とを含む。第2のプライ15では、粒子32は、x軸、y軸、及びz軸にランダムに分散しており、第1のプライでは、粒子32はポケット内にある。
【0108】
【0109】
図3は線3-3に沿って撮影した、
図2の水溶性単位用量物品の例の断面図を示すマイクロCTスキャン画像である。水溶性単位用量
物品は、繊維要素層と、繊維要素/粒子混合層とを有する。水溶性単位用量
物品は、複数の繊維要素30、この場合フィラメントと、複数の粒子32とを含む。多プライの多層物品は、粒子が漏出しないように縁部64で封止される。物品の外面は、繊維要素層である。
図3に示すように、粒子32は繊維間でアグロメレートを形成せず、個別の粒子として確認することができる。
【0110】
図4は、
図3の一部分の拡大
図62である。
図4に示すように、水溶性単位用量
物品60の封止縁部64は、1つ以上のクエン酸の粒子32を含む。
【0111】
実施例用の試験組成物:
以下の試験では、単独で又は組み合わせでの、本明細書に記載する複数の洗剤組成物、すすぎ液、及び濃縮酸送達源を比較する。具体的には、酸すすぎ液(9 Elements Rinse)及び本発明の濃縮酸送達システムの両方を用いる際の、9 elementsの低pHフォーミュラ洗剤、中pH(8.5のpH)のフォーミュラ洗剤、及びPlatinum Advanced Shirt& Laundry Detergentの使用。
【0112】
【0113】
9 Elementsの洗剤組成物は、2018年11月7日に出願された、米国特許出願第62/756,855号(最初に記載された発明者の名前はDelaney,Sarah Ann)に更に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0114】
All Free and Clear Liquid洗剤は、Henkel AG & Company,KGaAが保有している北米液体洗剤組成物であり、AES、LAS、及び非イオン界面活性剤、加えてアレイ酵素を含有する。
【0115】
Persil ProClean PRO10 Original液体洗剤は、Henkel AG & Company,KGaAが保有している北米液体洗剤組成物であり、AES、LAS、及び非イオン界面活性剤、加えて、プロテアーゼ、アミラーゼ、及びセルラーゼ酵素のアレイを含有する。
【0116】
以下の組成物:クエン酸、酢(6%酢酸)、水酸化ナトリウム、1,2-プロパンジオール、香料、及び脱イオン水を含む、9 Elementsのすすぎ液。9 Elementsのすすぎ液は、2018年11月7日に出願された、米国特許出願第62/756,672号(最初の発明者はDelaney,Sarah Ann)に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる。
【0117】
上述の濃縮酸及び送達システムは、本開示に従った以下の組成を有する、下表により例示される。濃縮酸送達システムもまた、以下の悪臭データではPower Tabとして記載される。
【0118】
【0119】
LASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)又はHuntsman Corpによって供給されている、平均脂肪族炭素鎖長C11~C12を有する直鎖アルキルベンゼンスルホネートである。HLASは、酸形態である。
【0120】
ASは、Stepan(Northfield,Illinois,USA)によって供給されているC12~14サルフェート、及び/又は中鎖分岐状アルキルサルフェートである。
【0121】
PEG-PVAcポリマーは、ポリエチレンオキシド主鎖及び複数のポリ酢酸ビニル側鎖を有する、ポリ酢酸ビニルグラフト化ポリエチレンオキシドコポリマーである。ポリエチレンオキシド骨格鎖の分子量は、約6000であり、ポリエチレンオキシドのポリ酢酸ビニルに対する重量比は、約40~60であり、50のエチレンオキシド単位当たり1個以下のグラフト点である。BASF(Ludwigshafen,Germany)より販売される。
【0122】
エトキシル化ポリエチレンイミン(PE20)は、-NH当たり20のエトキシレート基を有する、600g/モル分子量のポリエチレンイミンコアである。BASF(Ludwigshafen,Germany)より販売される。
【0123】
シトロコート(NF5000)は、Jungbunzlauer(Basel,Switzerland)から入手可能である。
【0124】
PVOH及びCelvol(登録商標)は、Dallas Texas所在のSekisui Specialty Chemicals America,LLCから入手可能である。
【0125】
pHの測定
本明細書において特に明記しない限り、組成物のpHは、20±2℃の組成物の未希釈pHとして定義される。pHを±0.01pH単位まで測定することができる任意の計測器が好適である。Orion meters(Thermo Scientific,Clintinpark-Keppekouter,Ninovesteenweg 198,9320 Erembodegem-Aalst,Belgium)又は等価物が、許容可能な計器である。pHメーターは、カロメル又は銀/塩化銀基準を有する好適なガラス電極を備えていなければならない。例としては、Mettler DB 115が挙げられる。電極は、製造業者が推奨する電解質溶液中で保管する必要がある。pHは、pHメーター製造業者の標準的な手順に従って測定される。更に、pHアセンブリを設定し較正するには、製造業者の指示に従うべきである。
【0126】
悪臭除去洗浄試験
悪臭除去洗浄試験の目的は、異なる洗浄方法が布地上で悪臭を低減する能力を、交差比較することである。後続のフルスケールの洗浄スケールで洗浄される洗濯物に悪臭カクテルを塗布し、その後、乾燥した布地における残りの悪臭活性物質の量を、GC-MSヘッドスペースSPME分析によって分析的に決定する。各製品を8つの異なる洗濯機で試験し、各洗濯機は、16の悪臭トレーサ(したがって、合計64個の複製物)を含み、個々の結果を平均し、報告する。
【0127】
1)洗浄工程:
● 洗濯機:高効率前側投入機(Duet9200)
● 洗浄サイクル:通常サイクル、洗浄サイクルにおいて19.6Lの水、7gpg、25℃、3.9kgの混合綿/ポリコットンバラスト負荷(50×50cmニット布見本:17綿/12ポリコットン)、16の悪臭トレーサ(2×5インチのポリコットン(50/50)布見本)
● 洗浄製品:25.4gの試験洗剤を含む1つの可溶性単位用量
【0128】
2)乾燥工程:
● 乾燥機:Maytag Double Stack
● 乾燥サイクル:60~65℃で35分(設定:LOW)
● 保管:乾燥した布見本を、分析試験前に保管するためにヒートシーラーで封止したマイラーバッグ(評価まで布地を保管するために使用されるポリエステル樹脂コーティングされたアルミニウム袋)に入れる。
【0129】
3)分析悪臭特性評価:
分析悪臭特性評価技術の背後にある原理は、悪臭成分の物性が、成分が低蒸気圧及び/又は低臭気検出閾値を有することを必要とするということである。これら特性を有することにより、悪臭をヘッドスペース内に分配することが可能になる。したがって、布地上のヘッドスペース測定を行って、布見本における悪臭の量を決定することができる。
【0130】
固相マイクロ抽出(SPME)プローブ及びDB-FFAPカラムAgilent部品#122-3232を備えるGerstel Multi-Purposeサンプラと接続された、質量選別検出器(MSD)(5977B)及びChemstation定量化パッケージを備えるGas Chromatograph 7890Bを用いて、分析を実施する。Supleco部品#57298-U(又は同様の繊維)からのジビニルベンゼン/Carboxen/ポリジメチルシロキサンSPME繊維を使用する。
【0131】
悪臭トレーサを2インチ×2.5インチ片に切断し、10mLのヘッドスペースクリンプバイアル(Restek-部品#21165-221)内に入れる。GC-MSヘッドスペースSPME分析の前に、トレーサをバイアル内で12時間平衡化させる。
【0132】
GC-MSパラメータ:
Gerstelオートサンプラパラメータ:
● SPME:インキュベータから
● インキュベーション温度:80℃
● インキュベーション時間:90.00分
● サンプルトレーの種類:VT32-10
● バイアル浸透量:22.00mm
● 抽出時間:20.00分
● 注入浸透量:54.00mm
● 脱離時間:300秒
【0133】
GCオーブンパラメータ
● フロントSS入口He
■ モードスプリット
■ ヒータ:250℃
■ 圧力:11.962psi
■ 全流速:79.5mL/分
■ セプタムパージ流:3mL/分
■ スプリット比:50:1
■ GCランタイム:22.5分
● オーブン
■ 初期温度:40℃
■ 保持時間:0分
■ 加熱プログラム
● 速度:12℃/分
● 温度:250℃
● 保持時間:5分
【0134】
MSDパラメータ
最小範囲が40~350m/zであるスキャンモードで検出を実行する。定量化のための標的イオンは、最小で1種類のクオリファイアイオン、好ましくは2種類のクオリファイアイオンと共に、各悪臭成分について決定する。各成分について規定された標的及びクオリファイアイオンは、MSD化合物ライブラリ又は標準に基づいていなければならない。
【0135】
各悪臭材料について、鉱油中の標準物質から較正曲線を作成する。較正ヘッドスペース応答を利用して、試験サンプル中の各悪臭成分についての抽出イオン(extracted ion、EIC)の積分をプロット又は記録し、複製物にわたって平均する。
【0136】
人工身体汚れ(artificial body soil、ABS)-スクワレン酸化マーカーを具体的に分析し、以下に示すデータに一緒に要約する。より具体的には、使用されるABS-スクワレン酸化マーカーは、3-メチルブテナール、2-ヘプテナール、及び6-メチル-5-ヘプテン-2-オンである。
【0137】
材料:
1)悪臭トレーサの調製:
潜在的に干渉を引き起こす可能性がある繊維工場で布地に塗布された布地仕上げ剤を除去したポリコットン(polycotton、PC)(50/50)布見本に、新たに作製した悪臭カクテルを塗布することによって、悪臭トレーサを調製する。フルスケールの運転を行うのと同じ朝に、悪臭カクテルを2×5インチのポリコットン50/50布見本に塗布する。PC50/50布見本は、APD(Accurate Product Development、Cincinnati,Ohioに位置する世界的な材料供給元)によって供給される。
【0138】
Integra Viaflo Automatic Pipetteを使用して、PC50/50布見本に悪臭カクテルを塗布する。96チャネルヘッド(12個のチップ8列)及び300μLのピペットチップを使用する。この試験では、12個のチップ5列を使用して、布地トレーサに悪臭カクテルを塗布する。各チップは、布地トレーサに15μLを塗布する。布地トレーサを含む16の悪臭カクテルを調製し、洗浄試験の開始まで保管するためにアルミニウム箔に一緒に包む。
【0139】
2)悪臭カクテル組成物:
以下の悪臭カクテルを、個々の化合物の混合によって調製した:
【0140】
【0141】
試験結果:
下表に示すデータは、全ての実施例配合物に対する、ABS及びスクワレンの酸化性副産物中での有意な低減を示す。実施例の配合物は、以下を含む:
ABS及びスクワレンの酸化的副生成物の有意な低減は、参照製剤に対して有意に改善された実施例の悪臭低減プロファイルを示す。
【0142】
【0143】
上記表に示すように、Power Tabを添加することにより、9-Elements洗剤組成物のみと比較して、95%信頼区間における悪臭の大幅な低減(37.52対127.32)、及び、追加の酸すすぎ液柔軟剤と組み合わせたときの、95%信頼区間における大幅な低減(22.39対127.32)が可能となる。更に、Power Tabを9-Elementsなどの洗剤組成物に添加することにより、95%信頼区間における、Persil ProClean PRO10といったpremium液体洗剤すらも上回る、悪臭低減を可能にすることができる(37.52対66.36)。これは、PowerTabを洗浄サイクルの間に洗浄液中で使用しても生じる。
【0144】
染み除去
染み除去の試験は、家庭での洗濯において、染み除去性能を評価するためのASTM4265-14規格ガイドにより提供される案内に沿って、Front Loader HEマシンにて実施する。22個の染みを含有する綿CW120の、技術的な染み見本を購入した。染み見本は、ガロン硬度当たり7グレインを使用し、86Fでの通常サイクルを選択し、下表に列挙する、対応する洗剤組成物の各々を使用して、従来の北米式洗濯機(Whirlpool(登録商標))で洗浄した。画像解析を使用して、各染みを染みの付いていない布地の対照例と比較した。ソフトウエアは得られる画像を標準の色値に変換し、通常使用されるマクベス色保持チャートに基づいてそれらを基準値と比較し、各染みに色値を割り当てた(染みレベル)。各8つの複製を調製した。次いで、染み除去指数を以下に示す式に従って計算した。
【0145】
見本からの染み除去は次のように測定された。
【0146】
【数1】
ΔE
initial=洗浄前の染みレベル
ΔE
washed=洗浄後の染みレベル
【実施例】
【0147】
以下に提供される実施例は、事実上例示を意図するものであり、限定することを意図するものではない。
【0148】
実施例1.例示的な組成物
表1は、本開示に従った組成物を示す。添加するSarah:
● All Free & Clear洗剤(マーケット製品)
● PowerTab
【0149】
染みの除去
実施例.洗浄方法でクエン酸ベースのPowerTabブースターを添加して、水の液のpHを抑制する効果
【0150】
本実施例は、従来の市販洗剤All(登録商標)Free & Clear Liquidの上部における、洗浄液中のPowerTabを添加することにより達成される、改善された染み除去の有効性を示す。酸が洗濯サイクルの洗浄工程に添加されると、クエン酸が、洗浄液中でビルダスカベンジャ金属として作用する能力により、従来の洗剤が、配合されたpH(典型的には7~9のpH範囲)によって効率的に除去することができない、金属感受性の染みの染み除去が可能となる。
【0151】
従来の(中央pH)洗剤の上部で、洗浄液中にPowerTabを添加する影響を評価するために、染み除去試験を実施した。結果を表5に示す。
【0152】
【0153】
表5に示すように、PowerTabを洗浄液に添加することにより、多数の染み、即ち、茶及びコーヒーといった、キレート化により移動されるものにわたる、染み除去の増加が可能となる。そのため、用いられる洗剤組成物のpH範囲によって、これらの種類の低pH応答性の染みを効率的に除去することができない洗浄方法は今や、PowerTabを添加することにより、このような有効性を有することができる。
【0154】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【0155】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許を含む、本明細書に引用される全ての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求されるいかなる発明に対する先行技術であるともみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのようないかなる発明も教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と矛盾する場合、本文書においてその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0156】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく様々な他の変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内にある全てのそのような変更及び修正を添付の特許請求の範囲に網羅することが意図される。