(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】可変空力のための逆駆動不可クラッチ装置
(51)【国際特許分類】
F16D 41/10 20060101AFI20240702BHJP
F16D 7/08 20060101ALI20240702BHJP
B62D 37/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16D41/10
F16D7/08
B62D37/02 B
(21)【出願番号】P 2021552826
(86)(22)【出願日】2020-03-06
(86)【国際出願番号】 US2020021376
(87)【国際公開番号】W WO2020181185
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-10
(32)【優先日】2019-03-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518410146
【氏名又は名称】マグナ エクステリアーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100196221
【氏名又は名称】上潟口 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】リンドバーグ ブレインドン アール
(72)【発明者】
【氏名】ポヴィネリ アンソニー ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】マシューズ マーティン アール
(72)【発明者】
【氏名】ワン ヤオ
【審査官】松江川 宗
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-233061(JP,A)
【文献】特表2017-526357(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/06-7/10,41/06-41/10,41/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールであって、
空洞を画定する内面を有するハウジングと、
前記ハウジングの外に延びて外部アクチュエータに結合された軸部分と、前記ハウジングの前記空洞内に回転可能に配置され
た歯部分とを有する入力軸歯であって、前記歯部分は、各々が第1の側面
及び第2の側
面を有する複数の軸受凹部及び複数の駆動凹部を
形成し、前記第1の側面及び前記第2の側面は、各々、前記歯部分の表面から延びる複数の歯状部の1つによって形成され
、前記ハウジングの前記空洞の内面によって
前記複数の軸受凹部及び前記複数の駆動凹部のそれぞれの第3の側面が画定される、入力軸歯と、
前記ハウジングの外に延びて前記逆駆動不可クラッチ付きモジュールを介して前記アクチュエータによって駆動される装置に結合された軸部分と、前記ハウジングの前記空洞内に回転可能に配置されたクラッチ歯収容部分とを有するクラッチ付き出力軸と、
前記入力軸歯と前記クラッチ付き出力軸との間に
あるクラッチ歯と、
前記クラッチ歯に結合された第1の端部と、前記クラッチ付き出力軸に結合された第2の端部とを有するばねである、弾性結合部と、
前記クラッチ歯と前記クラッチ付き出力軸とを係合させる戻り止め結合部と、
前記複数の軸受凹部のそれぞれ
の第4の側面を形成するように構成された前記クラッチ歯の複数の平坦面と、
前記複数の軸受凹部の各々に配置された軸受と、
前記逆駆動不可クラッチ付きモジュールのストッパーモードであって、前記クラッチ付き出力軸に第1の逆駆動力が加わると、前記クラッチ歯は、前記それぞれの複数の軸受凹部の前記第4の側面を形成する前記複数の平坦面を移動させることによって、前記入力軸歯を介して前記アクチュエータに逆駆動力が伝達されるのを停止し、結果として前記複数の軸受凹部内の各軸受は、前記第4の側面と前記ハウジングの前記内面である前記第3の側面との間にロックされ、それによって前記逆駆動力が前記入力軸歯に伝達されるのを阻止する、ストッパーモードと、
クラッチモードであって、第2の逆駆動力が、前記第1の逆駆動力よりも大きく、前記第2の逆駆動力が、前記クラッチ付き出力軸と前記クラッチ歯との間の前記弾性結合部に打ち勝つのに十分であると、前記クラッチ付き出力軸は、前記クラッチ付き出力軸と前記クラッチ歯との間の前記戻り止め結合部を切り離すことになり、前記クラッチ付き出力軸は、前記弾性結合部の力に抗して自由に移動することになり、前記第2の逆駆動力が停止すると、前記弾性結合部は、前記戻り止め結合部を再係合させる、クラッチモードと、
を備える、逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項2】
前記クラッチ歯の複数の歯状部をさらに備え、前記複数の歯状部の各々は、前記入力軸歯の前記複数の駆動凹部のそれぞれと嵌合して係合するように構成される、請求項1に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項3】
前記少なくとも1つの軸受部材は、玉軸受、ローラー軸受、円錐軸受である、請求項1に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項4】
前記弾性結合部は
、コイルばねである、請求項1に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項5】
前記弾性結合部は、波形ばね、コイルばね、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項6】
前記装置は、可動スポイラーアクチュエータ、可変エアダムアクチュエータ、可変タイヤスパットアクチュエータ、可変D形ピラークチュエータ、リフトゲートアクチュエータ、サイドビューミラーアクチュエータ、ウィンドウ、アクチュエータ、格納式ランニングボードアクチュエータ、スライドドアアクチュエータ、及びシートアクチュエータから成る群から選択される、請求項1に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項7】
アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールであって、
内面を有するハウジングと、
前記ハウジングの外に延びて前記ハウジングの外にあるアクチュエータに結合された軸部分と、前記軸部分に結合されて前記ハウジング内に回転可能に配置された歯部分と、を有する入力軸歯であって、前記歯部分は、各々が第1の側面
及び第2の側
面を有する複数の軸受凹部及び複数の駆動凹部を
形成し、前記複数の軸受凹部及び前記複数の駆動凹部の各々の前記第1の側面及び前記第2の側面は、前記歯部分の表面から延びる複数の歯状部の1つによって形成され
、前記ハウジングの内面によって
前記複数の軸受凹部及び前記複数の駆動凹部のそれぞれの第3の側面が画定される、入力軸歯と、
前記ハウジングの外に延びて前記逆駆動不可クラッチ付きモジュールを介して前記アクチュエータによって駆動される装置に結合された軸部分と、前記ハウジングの前記空洞内に回転可能に配置されたクラッチ歯収容部分とを有する、クラッチ付き出力軸と、
前記入力軸歯と前記クラッチ付き出力軸との間に
あるクラッチ歯と、
前記クラッチ歯に結合された第1の端部と、前記クラッチ付き出力軸に結合された第2の端部とを有するばねである、弾性結合部と、
前記クラッチ歯と前記クラッチ付き出力軸とを係合させる戻り止め結合部と、
を備え、
前記クラッチ歯は、前記クラッチ歯を前記クラッチ付き出力軸から切り離すクラッチモードと、前記クラッチ歯と前記ハウジングとの間の少なくとも1つの軸受部材に作用し、前記クラッチ歯をロックして前記クラッチ歯が前記入力軸歯を移動させるのを阻止するストッパーモードとを有する、逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項8】
前記少なくとも1つの軸受部材は、玉軸受、ローラー軸受、円錐軸受である、請求項7に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項9】
前記弾性結合部は
、コイルばねである、請求項7に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項10】
前記弾性結合部は、波形ばね、コイルばね、及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項7に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項11】
前記ストッパーモードは、前記クラッチ付き出力軸に第1の逆駆動力が加わるときにおこり、前記クラッチモードでは、さらに、第2の逆駆動力が、前記第1の逆駆動力よりも大きく、前記第2の逆駆動力が、前記クラッチ付き出力軸と前記クラッチ歯との間の前記弾性結合部に打ち勝つのに十分であると、前記クラッチ付き出力軸は、前記クラッチ付き出力軸と前記クラッチ歯との間の前記戻り止め結合部を切り離すことになり、前記クラッチ付き出力軸は、前記弾性結合部の力に抗して自由に移動することになり、前記第2の逆駆動力が停止すると、前記弾性結合部は、前記戻り止め結合部を再係合させる、請求項7に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項12】
前記装置は、可動スポイラーアクチュエータ、可変エアダムアクチュエータ、可変タイヤスパットアクチュエータ、可変D形ピラークチュエータ、リフトゲートアクチュエータ、サイドビューミラーアクチュエータ、ウィンドウ、アクチュエータ、格納式ランニングボードアクチュエータ、スライドドアアクチュエータ及びシートアクチュエータから成る群から選択される、請求項7に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項13】
双方向アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールであって、
空洞を画定する内面を有するハウジングと、
前記ハウジングの外に延びて外部アクチュエータに結合された軸部分と、前記ハウジングの前記空洞内に回転可能に配置された歯部分とを有する入力軸歯であって、前記歯部分は、各々が第1の側面
及び第2の側
面を有する複数の軸受凹部及び複数の駆動凹部を
形成し、前記第1の側面及び前記第2の側面の各々は、前記歯部分の表面から延びる複数の歯状部の1つによって形成され
、前記ハウジングの前記空洞の内面によって
前記複数の軸受凹部及び前記複数の駆動凹部のそれぞれの第3の側面が画定される、入力軸歯と、
前記ハウジングの外に延びて前記逆駆動不可クラッチ付きモジュールを介して前記アクチュエータによって駆動される装置に結合された軸部分と、前記ハウジングの前記空洞内に回転可能に配置されたクラッチ歯収容部分とを有する、クラッチ付き出力軸と、
前記入力軸歯と前記クラッチ付き出力軸との間に
あるクラッチ歯と、
前記クラッチ歯に結合された第1の端部と、前記クラッチ付き出力軸に結合された第2の端部とを有するばねである、弾性結合部と、
前記クラッチ歯と前記クラッチ付き出力軸とを係合させる戻り止め結合部と、
前記クラッチ歯の複数の歯状部であって、前記複数の歯状部の各々は、前記入力軸歯の前記複数の駆動凹部の1つと嵌合して係合するように構成された複数の歯状部と、
前記複数の軸受凹部のそれぞれ
の第4の側面を形成するように構成された前記クラッチ歯の複数の平坦面と、
前記複数の軸受凹部の各々に配置された軸受と、
ストッパーモードであって、前記クラッチ付き出力軸に第1の逆駆動力が加わると、前記クラッチ歯は、前記複数の軸受凹部のそれぞれの前記第4の側面を形成する前記複数の平坦面を移動させることによって、前記入力軸歯を介して前記アクチュエータに逆駆動力が伝達されるのを停止し、結果として前記複数の軸受凹部内の各軸受は、前記第4の側面と前記ハウジングの前記内面である前記第3の側面との間にロックされ、それによって前記逆駆動力が前記入力軸歯に伝達されるのを阻止するストッパーモードと、
クラッチモードであって、第2の逆駆動力が、前記第1の逆駆動力よりも大きく、前記第2の逆駆動力が、前記クラッチ付き出力軸と前記クラッチ歯との間の前記弾性結合部に打ち勝つのに十分であると、前記クラッチ付き出力軸は、前記クラッチ付き出力軸と前記クラッチ歯との間の前記戻り止め結合部を切り離すことになり、前記クラッチ付き出力軸は、前記弾性結合部の力に抗して自由に移動することになり、前記第2の逆駆動力が停止すると、前記弾性結合部は、前記戻り止め結合部を再係合させるクラッチモードと、
を備える逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項14】
前記少なくとも1つの軸受部材は、玉軸受、ローラー軸受、円錐軸受である、請求項13に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項15】
前記弾性結合部は
、コイルばねである、請求項13に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項16】
前記弾性結合部は、波形ばね、コイルばね及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項13に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【請求項17】
前記装置は、可動スポイラーアクチュエータ、可変エアダムアクチュエータ、可変タイヤスパットアクチュエータ、可変D形ピラークチュエータ、リフトゲートアクチュエータ、サイドビューミラーアクチュエータ、ウィンドウ、アクチュエータ、格納式ランニングボードアクチュエータ、スライドドアアクチュエータ及びシートアクチュエータから成る群から選択される、請求項13に記載の逆駆動不可クラッチ付きモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両上の可変空力のために使用されるアクチュエータなどの双方向アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
加わるトルクを入力駆動部から出力駆動部に伝達できるが、トルクを出力駆動部から入力駆動部に逆方向に伝達することができない装置を設計する。出力駆動部は、大きなトルク入力の場合にシステムを保護するために、それ自体を入力駆動部から切り離し得る必要がある。加えて、装置は、出力軸の振動及び衝撃荷重を、入力駆動部を介さずに装置構造に伝達してアクチュエータを保護する必要もある。衝撃の間に、負荷が取り除かれると出力軸が切り離され、装置は、機械的解決法によって指定された位置に戻る必要があり、電気的な位置センサーは必要ない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、双方向アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールに関する。逆駆動不可のモジュールは、内面を有するハウジングを含む。ハウジングは、ハウジングの外にあるアクチュエータに結合することができる。ハウジング内には空洞を形成する内面がある。ハウジングの外側に延びる軸部分を有する入力軸歯が、ハウジングの空洞内に部分的に配置めされ、軸部分は、ハウジングの外にあるアクチュエータに結合される。また、入力軸歯は、ハウジング内に回転可能に配置された歯部分を有する。歯部分は、各々が第1側面、第2側面、第3側面、第4側面を有する複数の軸受凹部及び複数の駆動凹部を含む。複数の軸受凹部及び複数の駆動凹部の各々の第1側面及び第2側面は、歯部分の表面から延びる複数の歯状部の1つによって形成され、第3の側面は、ハウジングの内面によって画定される。
【0004】
また、モジュールは、ハウジングの外に延び軸部分を有するクラッチ付き出力軸を有し、軸部分は、アクチュエータによって駆動される装置に結合される。また、クラッチ付き出力軸は、ハウジングの空洞内に回転可能に配置されたクラッチ歯収容部分を有する。
【0005】
さらに、モジュールは、入力軸歯とクラッチ付き出力軸との間にクラッチ歯を含む。クラッチ歯は、クラッチ付き出力軸のクラッチ歯部分に対する弾性結合部及び戻り止め結合部の両方を有する。クラッチ歯はストッパーモードを有し、ストッパーモードにおいてクラッチ歯は、クラッチ歯とハウジングとの間の少なくとも1つの軸受部材に作用し、クラッチ歯をロックしてクラッチ歯が入力軸歯を移動させるのを阻止する。また、クラッチ歯は、クラッチ歯をクラッチ付き出力軸から切り離すクラッチモードを有する。
【0006】
本発明のさらなる適用可能領域は、以下に提示される詳細な説明から明らかになる。詳細な説明及び特定の例は、本発明の好ましい実施形態を示すが、例示のみを目的としており、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0007】
本発明は、詳細な説明及び添付の図面からより完全に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】双方向アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールの分解等角上面図である。
【
図2】双方向アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュールの第2の分解等角上面図である。
【
図3】逆駆動不可クラッチ付きモジュールの断面側方等角図である。
【
図4】逆駆動不可クラッチ付きモジュールの断面側方平面図である。
【
図5】本発明によるクラッチ歯の側面等角図である。
【
図6】本発明によるばね要素が結合されたクラッチ付き出力軸の側方等角図である。
【
図7】装置のアクチュエータに結合されたクラッチ歯の側方斜視図である。
【
図8】アクチュエータ又は装置に結合されたクラッチ歯の上方平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
好ましい実施形態の以下の説明は、本質的に単なる例示であり、本発明、その用途又は使用を制限することを意図するものではない。
【0010】
各図を参照すると、本発明は、双方向アクチュエータのための逆駆動不可クラッチ付きモジュール又はモジュール10に関する。モジュール10は、ボディピース12及びカバーピース11を備えるハウジングを含み、各々のピースは、モジュール10の構成要素の外部にある双方向アクチュエータ13にハウジングを結合するための取り付けフランジ14、14'を有する。モジュール10は、アクチュエータ13とは別個のものとして説明されるが、モジュールがアクチュエータ13に統合されることは、本発明の範囲内である。ボディピース12は、モジュール10の他の構成要素の一部を収容するための空洞18を形成する内面16を含む。
【0011】
入力軸歯20は、ハウジング12の空洞18内に部分的に配置され、ハウジング12の外に延びて、ハウジング12の外にあるアクチュエータ13に結合される軸部分22を備える。また、入力軸歯20は、ハウジング12内に回転可能に配置された歯部分24を有する。歯部分24は、複数の軸受凹部26、28及び複数の駆動凹部30、32を含み、各々の凹部は、第1の側面34a~34d、第2の側面36a~36d、第3の側面38及び第4の側面40a、40bを有する。複数の軸受凹部26、28及び複数の駆動凹部30、32の各々の第1の側面34a~34d及び第2の側面36a~36dは、歯部分24の表面から延びる複数の歯状部42、42'、42''、42'''の1つによって形成され、第3の側面38は、ハウジング12の内面16によって画定される。
【0012】
また、モジュール10は、ハウジング12の外に延びてアクチュエータ13によって駆動される装置45に結合される軸部分46を有する、クラッチ付き出力軸44を有する。
図7及び
図8に示すように、駆動される装置45は、可変空力システム、より具体的にはエアダムであり、軸部分46はトルク伝達チューブ43に結合し、トルク伝達チューブ43は、リンケージにつながり、結果的にデフレクタ49を展開位置と非展開位置との間で移動させる。装置45は可変空力システムの一部として示されるが、モジュール10が逆駆動力による損傷の問題のある何らかのシステムで使用されることは、本発明の範囲内である。装置の例としては、可動スポイラーアクチュエータ、可変エアダムアクチュエータ、可変タイヤスパットアクチュエータ、可変D形ピラークチュエータ、リフトゲートアクチュエータ、サイドビューミラーアクチュエータ、ウィンドウアクチュエータ、格納式ランニングボードアクチュエータ、スライドドアアクチュエータ、シートアクチュエータを挙げることができる。
【0013】
また、クラッチ付き出力軸44は、ハウジング12の空洞18内に回転可能に配置されたクラッチ歯収容部分48を有する。
【0014】
モジュール10は、入力軸歯20とクラッチ付き出力軸44との間に位置決めされたクラッチ歯50をさらに含む。クラッチ歯50は、クラッチ付き出力軸44のクラッチ歯収容部分48に対する弾性結合部52及び戻り止め結合部の両方を有する。弾性結合部52は、クラッチ歯収容部分48のスロット60につながる第1の端部58と、クラッチ歯50の孔64に結合される第2の端部62とを有するばねとして示される。使用するばねの形式は、特定の用途によって様々とすることができる。本発明の本実施形態において、ばねはコイルばねである。しかしながら、波形ばね、コイルばね、及びそれらの組み合わせなどの他のばねを使用することは、本発明の範囲内である。戻り止め結合部はクラッチ歯50上の戻り止め突起66によって提供され、戻り止め突起66は、クラッチ付き出力軸44の収容部分48の表面に形成された戻り止め凹部68と係合する。また、クラッチ歯50は、クラッチ歯50の複数の歯状部70、70'を含む。複数の歯状部70、70'の各々は、入力軸歯20の複数の駆動凹部30、32の1つと嵌合して係合するように構成される。アクチュエータから軸部分22を通って伝達されるトルクに応答して入力軸歯20が回転する場合、入力軸歯20の複数の歯状部42、42'、42''、42'''は、複数の歯状部70、70'を押してクラッチ付き出力軸44に回転力を伝達することになる。
【0015】
また、クラッチ歯50の複数の平面72、72'は、複数の軸受凹部26、28のそれぞれの1つの第4の側面40a、40bを形成するように構成された複数の平面72、72'を有する。複数の軸受凹部26、28の各々に軸受74、74'が位置決めされる。図面では玉軸受が示されるが、軸受74、74'が、円筒ころ軸受、円錐軸受、又は両端テーパー軸受などの異なる形式の軸受とすることができることは本発明の範囲内である。
【0016】
モジュール10は、ストッパーモード及びクラッチモードを有する。ストッパーモードは、クラッチ付き出力軸44に第1の逆駆動力が加わるときに起こる。クラッチ歯50は、入力軸歯20を通して逆駆動力をアクチュエータに伝達するのを阻止する。このことは、クラッチ付き出力軸44に作用してクラッチ歯50を回転させる力によって起こり、結果として、クラッチ歯50の複数の歯状部70、70'が回転して入力軸歯の20の複数の歯状部42、42'、42''、42'''から遠ざかりこれらから切り離される。この回転運動の間、それぞれの複数の軸受凹部26、28の第4の壁40a、40bを形成する複数の平坦面72、72'は、それぞれの軸受凹部26、28内の軸受74、74'に対して作用し、結果として複数の軸受凹部26、28内の各軸受74、74'は、第4の壁40a、40bと、ハウジング12の内面16である第3の壁38との間にロックされ、それによって逆駆動力が入力軸歯20に伝達されるのを阻止する。従って、逆駆動力は、入力軸歯20を離れてハウジング12に伝達され、これは、アクチュエータが逆駆動されるのを阻止し、クラッチ付き出力軸44を所定位置に停止させる又は保持するように作用する。
【0017】
入力軸歯20及びクラッチ付き出力軸44は、トルクが入力軸歯20から加わる場合に摩擦ロックを可能にする幾何学形状を有する。摩擦力は、出力軸歯と軸受との間に発生し、軸受は、ハウジングの内面又は外輪壁に拘留される円筒、球、円錐ローラー、スプロケット、又は他の適切な要素とすることができる。摩擦力が、加わるトルクによって引き起こされる回転の間に生成される角度によって生成された出力軸歯の間の垂直力に等しくなると、システムは、逆駆動することができない。入力軸歯の幾何学形状により、円筒が外輪上にそのような摩擦力を発生できず、トルクが出力軸に伝達される。様々な形状及びばねを使用して、システムの遊動又はバックラッシュを制限する又は様々な機能の係合タイミングを調整するなど、性能を調整することができる。
【0018】
しかしながら、第1の逆駆動力よりも大きくかつクラッチ付き出力軸44に作用する第2の駆動力が大きすぎる場合、モジュール10はクラッチモードになる。クラッチモードは、第2の逆駆動力がクラッチ付き出力軸とクラッチ歯との間の弾性結合部に打ち勝つのに十分な場合に発生することになる。クラッチ付き出力軸は、クラッチ付き出力軸とクラッチ歯との間の戻り止め結合部を切り離すことになり、クラッチ付き出力軸は、弾性結合部の力に抗して自由に移動することになり、第2の逆駆動力が停止すると、弾性結合部は戻り止め結合部を再係合させる。
【0019】
本発明の説明は、本質的に単なる例示であり、従って、本発明の要旨から逸脱しない変形は、本発明の範囲内であることが意図される。そのような変形は、本発明の精神及び範囲からの逸脱とみなすべきではない。
【符号の説明】
【0020】
10 モジュール
12 ハウジング
13 アクチュエータ
20 入力軸歯
22 軸部分
24 歯部分
44 クラッチ付き出力軸
48 クラッチ歯収容部分
50 クラッチ歯