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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電極製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/139 20100101AFI20240702BHJP
   H01G 11/86 20130101ALI20240702BHJP
   H01G 11/50 20130101ALI20240702BHJP
【FI】
H01M4/139
H01G11/86
H01G11/50
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021561162
(86)(22)【出願日】2020-08-18
(86)【国際出願番号】 JP2020031148
(87)【国際公開番号】W WO2021106286
(87)【国際公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-12-14
(31)【優先権主張番号】P 2019215237
(32)【優先日】2019-11-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】307037543
【氏名又は名称】武蔵エナジーソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】相田 一成
(72)【発明者】
【氏名】直井 雅也
(72)【発明者】
【氏名】小島 健治
(72)【発明者】
【氏名】山本 雅浩
【審査官】井上 能宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-113447(JP,A)
【文献】国際公開第2017/146223(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M、H01G
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
活物質を含む層を有する電極前駆体における前記活物質に、アルカリ金属をドープして電極を製造する電極製造方法であって、
ドープ槽内で、前記電極前駆体及び対極ユニットを、アルカリ金属イオンを含む溶液に接触させ、
前記対極ユニットは、導電性基材と、アルカリ金属含有板と、前記導電性基材及び前記アルカリ金属含有板の間に位置し、開口部を有する部材と、を備え、前記開口部を有する部材の開口率が2%以上85%以下であり、前記開口部を有する部材の形態が複数の孔を形成した板状、又は格子状である、
電極製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の電極製造方法であって、
前記開口部を有する部材が、開口部を有する樹脂膜である、
電極製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電極製造方法であって、
前記電極前駆体が帯状であり、
搬送ローラを用いて、前記ドープ槽内を通過する経路に沿って前記電極前駆体を搬送する、
電極製造方法。
【請求項4】
請求項1~のいずれか1項に記載の電極製造方法であって、
前記ドープ槽内で、前記アルカリ金属イオンを含む溶液を、前記電極前駆体の表面に対して略平行に流動させる、
電極製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本国際出願は、2019年11月28日に日本国特許庁に出願された日本国特許出願第2019-215237号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2019-215237号の全内容を本国際出願に参照により援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は電極製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、電子機器の小型化・軽量化は目覚ましく、それに伴い、当該電子機器の駆動用電源として用いられる蓄電デバイスに対しても小型化・軽量化の要求が一層高まっている。
【0004】
このような小型化・軽量化の要求を満足させる蓄電デバイスとして、リチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池が開発されている。また、高エネルギー密度特性及び高出力特性を必要とする用途に対応する蓄電デバイスとして、リチウムイオンキャパシタが知られている。更に、リチウムより低コストで資源的に豊富なナトリウムを用いたナトリウムイオン型の電池やキャパシタも知られている。
【0005】
このような電池やキャパシタにおいては、様々な目的のために、予めアルカリ金属を電極にドープするプロセス(一般にプレドープと呼ばれている)が採用されている。アルカリ金属を電極にプレドープする方法として、例えば、連続式の方法がある。連続式の方法では、帯状の電極をドープ溶液中で移送させながらプレドープを行う。連続式の方法は、特許文献1~4に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-308212号公報
【文献】特開2008-77963号公報
【文献】特開2012-49543号公報
【文献】特開2012-49544号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
プレドープとのき、対極ユニットを使用する。対極ユニットは、一般的に、導電性基材と、アルカリ金属含有板とを積層し、プレスすることで製造される。プレドープを行うにつれて、アルカリ金属含有板の厚みは減少する。そのため、アルカリ金属含有板の厚みが減少した場合は、導電性基材からアルカリ金属含有板を剥離させ、新たなアルカリ金属含有板に交換する必要がある。
【0008】
しかしながら、導電性基材とアルカリ金属含有板とは強く接着されているため、導電性基材からアルカリ金属含有板を剥離させることが困難であった。
【0009】
本開示の1つの局面では、導電性基材からアルカリ金属含有板を剥離させることが容易である電極製造方法を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示の1つの局面は、活物質を含む層を有する電極前駆体における前記活物質に、アルカリ金属をドープして電極を製造する電極製造方法であって、ドープ槽内で、前記電極前駆体及び対極ユニットを、アルカリ金属イオンを含む溶液に接触させ、前記対極ユニットは、導電性基材と、アルカリ金属含有板と、前記導電性基材及び前記アルカリ金属含有板の間に位置し、開口部を有する部材と、を備える、電極製造方法である。
【0011】
本開示の1つの局面である電極製造方法において、対極ユニットは、開口部を有する部材を備える。開口部を有する部材は、導電性基材及びアルカリ金属含有板の間に位置する。そのため、導電性基材からアルカリ金属含有板を剥離させることが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】電極の構成を表す平面図である。
図2図1におけるII-II断面を表す断面図である。
図3】電極製造システムの構成を表す説明図である。
図4】ドープ槽の構成を表す説明図である。
図5】対極ユニットの構成を表す説明図である。
図6】開口部材の構成を表す平面図である。
図7図6におけるVII-VII断面を表す断面図である。
図8】抵抗値r1の測定方法を表す説明図である。
図9】抵抗値r2の測定方法を表す説明図である。
図10】抵抗値r3の測定方法を表す説明図である。
【符号の説明】
【0013】
1…電極、3…集電体、5…活物質層、11…電極製造システム、15…電解液処理槽、17、19、21…ドープ槽、23…洗浄槽、25、27、29、31、33、35、37、37、40、41、43、45、46、47、49、51、52、53、55、57、58、59、61、63、64、65、67、69、70、71、73、75…搬送ローラ、100…ドープ溶液、101…供給ロール、103…巻取ロール、105…支持台、107…循環濾過ユニット、109、110、111、112、113、114…電源、117…タブクリーナー、119…回収ユニット、121…端部センサ、123、135…仕切り板、125、127、145、147…支持棒、131…上流槽、133…下流槽、137、139、141、143…対極ユニット、149、151…空間、153…導電性基材、154…開口部材、155…アルカリ金属含有板、157…多孔質絶縁部材、161…フィルタ、163…ポンプ、165…配管、171…開口部、173…第1線状体、175…第2線状体、177…第1測定端子、179…第2測定端子、181…界面、253…銅板、254…樹脂膜、255…Liフォイル
【発明を実施するための形態】
【0014】
本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
1.電極1及び電極前駆体の構成
図1図2に基づき、電極1の構成を説明する。電極1は帯状の形状を有する。電極1は、集電体3と、活物質層5とを備える。集電体3は帯状の形状を有する。活物質層5は、集電体3の両面にそれぞれ形成されている。
【0015】
集電体3として、例えば、銅、ニッケル、ステンレス等の金属箔が好ましい。また、集電体3は、前記金属箔上に炭素材料を主成分とする導電層が形成されたものであってもよい。集電体3の厚みは、例えば、5~50μmである。
【0016】
活物質層5は、例えば、活物質及びバインダー等を含有するスラリーを集電体3上に塗布し、乾燥させることにより作製できる。
【0017】
前記バインダーとして、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、NBR等のゴム系バインダー;ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂;ポリプロピレン、ポリエチレン、特開2009-246137号公報に開示されているようなフッ素変性(メタ)アクリル系バインダー等が挙げられる。
【0018】
前記スラリーは、活物質及びバインダーに加えて、その他の成分を含んでいてもよい。その他の成分として、例えば、導電剤、増粘剤等が挙げられる。導電剤として、例えば、カーボンブラック、黒鉛、気相成長炭素繊維、金属粉末等が挙げられる。増粘剤として、例えば、カルボキシルメチルセルロース、そのNa塩又はアンモニウム塩、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン等が挙げられる。
【0019】
活物質層5の厚さは特に限定されない。活物質層5の厚さは、例えば、5~500μm、好ましくは10~200μm、特に好ましくは10~100μmである。活物質層5に含まれる活物質は、アルカリ金属イオンの挿入/脱離を利用する電池又はキャパシタに適用可能な電極活物質であれば特に限定されない。活物質は、負極活物質であってもよいし、正極活物質であってもよい。
【0020】
負極活物質は特に限定されない。負極活物質として、例えば、炭素材料等が挙げられる。また、負極活物質として、例えば、リチウムと合金化が可能なSi、Sn等の金属若しくは半金属又はこれらの酸化物を含む材料等が挙げられる。炭素材料として、例えば、黒鉛、易黒鉛化炭素、難黒鉛化炭素、複合炭素材料等が挙げられる。複合炭素材料は、例えば、黒鉛粒子をピッチや樹脂の炭化物で被覆した材料である。炭素材料の具体例として、特開2013-258392号公報に記載の炭素材料が挙げられる。リチウムと合金化が可能な金属若しくは半金属又はこれらの酸化物を含む材料の具体例として、特開2005-123175号公報、特開2006-107795号公報に記載の材料が挙げられる。
【0021】
正極活物質として、例えば、遷移金属酸化物、硫黄系活物質が挙げられる。遷移金属酸化物として、例えば、コバルト酸化物、ニッケル酸化物、マンガン酸化物、バナジウム酸化物等が挙げられる。硫黄系活物質として、例えば、硫黄単体、金属硫化物等が挙げられる。正極活物質、及び負極活物質のいずれにおいても、単一の物質から成るものであってもよいし、2種以上の物質を混合して成るものであってもよい。
【0022】
活物質層5が含む活物質は、後述する電極製造システム11を用いて、アルカリ金属がプレドープされる。活物質にプレドープするアルカリ金属として、リチウム又はナトリウムが好ましく、特にリチウムが好ましい。電極1をリチウムイオン二次電池の電極の製造に用いる場合、活物質層5の密度は、好ましくは1.00~2.00g/ccであり、特に好ましくは1.10~1.60g/ccである。
【0023】
電極前駆体とは、電極と基本的には同様の構成を備え、活物質にアルカリ金属が未だドープされていないものである。
【0024】
2.電極製造システム11の構成
電極製造システム11の構成を、図3図5に基づき説明する。図3に示すように、電極製造システム11は、電解液処理槽15と、ドープ槽17、19、21と、洗浄槽23と、搬送ローラ25、27、29、31、33、35、37、39、40、41、43、45、46、47、49、51、52、53、55、57、58、59、61、63、64、65、67、69、70、71、73、75、77、79、81、83、85、87、89、91、93(以下ではこれらをまとめて搬送ローラ群と呼ぶこともある)と、供給ロール101と、巻取ロール103と、支持台105と、循環濾過ユニット107と、6つの電源109、110、111、112、113、114と、タブクリーナー117と、回収ユニット119と、端部センサ121と、を備える。
【0025】
電解液処理槽15は、上方が開口した角型の槽である。電解液処理槽15の底面は、略U字型の断面形状を有する。電解液処理槽15は、仕切り板123を備える。仕切り板123は、その上端を貫く支持棒125により支持されている。支持棒125は図示しない壁等に固定されている。仕切り板123は上下方向に延び、電解液処理槽15の内部を2つの空間に分割している。この電解液処理槽15の中を電極1が通過することにより、電極1に電解液が十分に含浸され、ドープ槽17、19、21で電極1がプレドープされやすくなる。
【0026】
仕切り板123の下端に、搬送ローラ33が取り付けられている。仕切り板123と搬送ローラ33とは、それらを貫く支持棒127により支持されている。なお、仕切り板123の下端付近は、搬送ローラ33と接触しないように切り欠かれている。搬送ローラ33と、電解液処理槽15の底面との間には空間が存在する。
【0027】
ドープ槽17の構成を図4に基づき説明する。ドープ槽17は、上流槽131と下流槽133とから構成される。上流槽131は供給ロール101の側(以下では上流側とする)に配置され、下流槽133は巻取ロール103の側(以下では下流側とする)に配置されている。
【0028】
まず、上流槽131の構成を説明する。上流槽131は上方が開口した角型の槽である。上流槽131の底面は、略U字型の断面形状を有する。上流槽131は、仕切り板135と、4個の対極ユニット137、139、141、143と、を備える。
【0029】
仕切り板135は、その上端を貫く支持棒145により支持されている。支持棒145は図示しない壁等に固定されている。仕切り板135は上下方向に延び、上流槽131の内部を2つの空間に分割している。仕切り板135の下端に、搬送ローラ40が取り付けられている。仕切り板135と搬送ローラ40とは、それらを貫く支持棒147により支持されている。なお、仕切り板135の下端付近は、搬送ローラ40と接触しないように切り欠かれている。搬送ローラ40と、上流槽131の底面との間には空間が存在する。
【0030】
対極ユニット137は、上流槽131のうち、上流側に配置されている。対極ユニット139、141は、仕切り板135を両側から挟むように配置されている。対極ユニット143は、上流槽131のうち、下流側に配置されている。
【0031】
対極ユニット137と対極ユニット139との間には空間149が存在する。対極ユニット141と対極ユニット143との間には空間151が存在する。対極ユニット137、139、141、143は、電源109の一方の極に接続される。対極ユニット137、139、141、143は同様の構成を有する。ここでは、図5に基づき、対極ユニット137、139の構成を説明する。
【0032】
対極ユニット137、139は、導電性基材153と、開口部材154と、アルカリ金属含有板155と、多孔質絶縁部材157とを積層した構成を有する。開口部材154は、導電性基材153及びアルカリ金属含有板155の間に位置する。対極ユニット137、139は、多孔質絶縁部材157を備えていなくてもよい。導電性基材153の材質として、例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。
【0033】
なお、対極ユニット137、139は、アルカリ金属含有板155の端部を覆う樹脂マスクを備えていてもよい。樹脂マスクを構成する樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。樹脂マスクは、活物質層5の端部で電流密度が過度に高くなることを抑制する。その結果、活物質層5の所定箇所にアルカリ金属をドープし易くなる。
【0034】
樹脂マスクの表面のうち、電極1と対向する面を樹脂マスク面とする。樹脂マスク面から電極1までの距離は、例えば、1~10mmであり、1~3mmであることがより好ましい。
【0035】
開口部材154の基本的な形態は格子状である。開口部材154の形態が格子状である場合、アルカリ金属含有板155を導電性基材153から剥離することが一層容易になる。図6に示すように、開口部材154は開口部171を備える。開口部171は、開口部材154を厚み方向に貫通している。開口部材154は、例えば、開口部171を複数備える。開口部材154は、例えば、樹脂膜である。樹脂膜を構成する樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。また、開口部材154の材質は、多孔性の金属であってもよい。多孔性の金属として、例えば、多孔性ニッケル、多孔性チタン等が挙げられる。
【0036】
開口部材154の形態は、例えば、図6図7に示すように、格子状である。格子状の開口部材154は、複数の第1線状体173と、複数の第2線状体175とにより構成される。複数の第1線状体173は互いに平行であり、一定の間隔で配置されている。複数の第2線状体175は互いに平行であり、一定の間隔で配置されている。第1線状体173と第2線状体175とは、例えば、直交している。第1線状体173と第2線状体175との交点は、例えば、融着されている。
【0037】
開口部材154の形態は、例えば、板状部材に複数の孔を形成したものであってもよい。複数の孔は開口部に対応する。孔の形状は、例えば、円形である。複数の孔の配置パターンは、例えば、千鳥状のパターンである。
【0038】
開口部材154の開口率は、例えば、2%以上、85%以下である。開口率とは、以下のように定義される。開口部材154において、所定の範囲Aを特定する。開口部材154が開口部を備えないと仮定したときの範囲Aの面積をS1とする。範囲Aに存在する開口部の総面積をS2とする。開口率は、(S2/S1)×100である。開口率が2%以上である場合、導電性基材153と、アルカリ金属含有板155との間の電気抵抗の上昇を抑制できる。開口率が85%以下である場合、アルカリ金属含有板155を導電性基材153から剥離することが一層容易である。
【0039】
開口部材154の厚みは、例えば、10μm以上、2000μm以下であり、25μm以上、1000μm以下であることが好ましい。厚みが10μm以上である場合、アルカリ金属含有板155を導電性基材153から剥離することが一層容易である。厚みが2000μm以下である場合、導電性基材153とアルカリ金属含有板155との間の電気抵抗を抑制できる。
【0040】
アルカリ金属含有板155の形態は特に限定されず、例えば、アルカリ金属板、アルカリ金属の合金板等が挙げられる。アルカリ金属含有板155の厚さは、例えば、0.03~20mmであり、1~15mmであることが好ましい。なお、図5における、電極1とアルカリ金属含有板155との距離は1~30mmであることが好ましく、3~20mmであることがより好ましい。
【0041】
多孔質絶縁部材157は、板状の形状を有する。多孔質絶縁部材157は、アルカリ金属含有板155の上に積層されている。多孔質絶縁部材157が有する板状の形状とは、多孔質絶縁部材157がアルカリ金属含有板155の上に積層されている際の形状である。多孔質絶縁部材157は、それ自体で一定の形状を保つ部材であってもよいし、例えばネット等のように、容易に変形可能な部材であってもよい。
【0042】
多孔質絶縁部材157は多孔質である。そのため、後述するドープ溶液は、多孔質絶縁部材157を通過することができる。そのことにより、アルカリ金属含有板155は、ドープ溶液に接触することができる。
【0043】
多孔質絶縁部材157として、例えば、樹脂製のメッシュ等が挙げられる。樹脂として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。メッシュの目開きは適宜設定できる。メッシュの目開きは、例えば、0.1μm~10mmであり、0.1~5mmであることが好ましい。メッシュの厚みは適宜設定できる。メッシュの厚みは、例えば、1μm~10mmであり、30μm~1mmであることが好ましい。メッシュの開口率は適宜設定できる。メッシュの開口率は、例えば、5~98%であり、5~95%であることが好ましく、50~95%であることがさらに好ましい。
【0044】
多孔質絶縁部材157は、その全体が絶縁性の材料から成っていてもよいし、その一部に絶縁性の層を備えていてもよい。
【0045】
下流槽133は、基本的には上流槽131とは同様の構成を有する。ただし、下流槽133の内部には、搬送ローラ40ではなく、搬送ローラ46が存在する。また、下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源110の一方の極に接続される。
【0046】
ドープ槽19は、基本的にはドープ槽17と同様の構成を備える。ただし、ドープ槽19の内部には、搬送ローラ40、46ではなく、搬送ローラ52、58が存在する。また、ドープ槽19の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源111の一方の極に接続される。また、ドープ槽19の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源112の一方の極に接続される。
【0047】
ドープ槽21は、基本的にはドープ槽17と同様の構成を備える。ただし、ドープ槽21の内部には、搬送ローラ40、46ではなく、搬送ローラ64、70が存在する。また、ドープ槽21の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源113の一方の極に接続される。また、ドープ槽21の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143は、電源114の一方の極に接続される。
【0048】
洗浄槽23は、基本的には電解液処理槽15と同様の構成を有する。ただし、洗浄槽23の内部には、搬送ローラ33ではなく、搬送ローラ75が存在する。
【0049】
搬送ローラ群のうち、搬送ローラ37、39、43、45、49、51、55、57、61、63、67、69は、導電性の材料から成る。搬送ローラ群のうち、その他の搬送ローラは、軸受部分を除き、エラストマーから成る。搬送ローラ群は、電極前駆体及び電極1を一定の経路に沿って搬送する。搬送ローラ群が電極前駆体及び電極1を搬送する経路は、供給ロール101から、電解液処理槽15の中、ドープ槽17の中、ドープ槽19の中、ドープ槽21の中、洗浄槽23の中、タブクリーナー117の中を順次通り、巻取ロール103に至る経路である。
【0050】
その経路のうち、電解液処理槽15の中を通る部分は、まず、搬送ローラ29、31を経て下方に移動し、次に、搬送ローラ33により移動方向を上向きに変えられるという経路である。
【0051】
また、上記の経路のうち、ドープ槽17の中を通る部分は以下のとおりである。まず、搬送ローラ37により移動方向を下向きに変えられ、上流槽131の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ40により移動方向を上向きに変えられ、上流槽131の空間151を上方に移動する。次に、搬送ローラ41、43により移動方向を下向きに変えられ、下流槽133の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ46により移動方向を上向きに変えられ、下流槽133の空間151を上方に移動する。最後に、搬送ローラ47により移動方向を水平方向に変えられ、ドープ槽19に向かう。
【0052】
また、上記の経路のうち、ドープ槽19の中を通る部分は以下のとおりである。まず、搬送ローラ49により移動方向を下向きに変えられ、上流槽131の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ52により移動方向を上向きに変えられ、上流槽131の空間151を上方に移動する。次に、搬送ローラ53、55により移動方向を下向きに変えられ、下流槽133の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ58により移動方向を上向きに変えられ、下流槽133の空間151を上方に移動する。最後に、搬送ローラ59により移動方向を水平方向に変えられ、ドープ槽21に向かう。
【0053】
また、上記の経路のうち、ドープ槽21の中を通る部分は以下のとおりである。まず、搬送ローラ61により移動方向を下向きに変えられ、上流槽131の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ64により移動方向を上向きに変えられ、上流槽131の空間151を上方に移動する。次に、搬送ローラ65、67により移動方向を下向きに変えられ、下流槽133の空間149を下方に移動する。次に、搬送ローラ70により移動方向を上向きに変えられ、下流槽133の空間151を上方に移動する。最後に、搬送ローラ71により移動方向を水平方向に変えられ、洗浄槽23に向かう。
【0054】
また、上記の経路のうち、洗浄槽23の中を通る部分は、まず、搬送ローラ73により移動方向を下向きに変えられて下方に移動し、次に、搬送ローラ75により移動方向を上向きに変えられるという経路である。
【0055】
供給ロール101は、電極前駆体を巻き回している。すなわち、供給ロール101は、巻き取られた状態の電極前駆体を保持している。供給ロール101に保持されている電極前駆体における活物質には、未だアルカリ金属がドープされていない。
【0056】
搬送ローラ群は、供給ロール101に保持された電極前駆体を引き出し、搬送する。電極前駆体は、ドープ槽17、19、21において、プレドープの処理を受けて電極1となる。巻取ロール103は、搬送ローラ群により搬送されてきた電極1を巻き取り、保管する。なお、巻取ロール103に保管されている電極1における活物質には、アルカリ金属がドープされている。
【0057】
支持台105は、電解液処理槽15、ドープ槽17、19、21、及び洗浄槽23を下方から支持する。支持台105は、その高さを変えることができる。循環濾過ユニット107は、ドープ槽17、19、21にそれぞれ設けられている。循環濾過ユニット107は、フィルタ161と、ポンプ163と、配管165と、を備える。
【0058】
ドープ槽17に設けられた循環濾過ユニット107において、配管165は、ドープ槽17から出て、ポンプ163、及びフィルタ161を順次通り、ドープ槽17に戻る循環配管である。ドープ槽17内ドープ溶液は、ポンプ163の駆動力により、配管165、及びフィルタ161内を循環し、再びドープ槽17に戻る。このとき、ドープ溶液中の異物等は、フィルタ161により濾過される。異物として、ドープ溶液から析出した異物や、電極1から発生する異物等が挙げられる。フィルタ161の材質は、例えば、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン等の樹脂である。フィルタ161の孔径は適宜設定できる。フィルタ161の孔径は、例えば、0.2~50μmである。
【0059】
ドープ槽19、21に設けられた循環濾過ユニット107も、同様の構成を有し、同様の作用効果を奏する。なお、図3図4において、ドープ溶液の記載は便宜上省略している。
【0060】
電源109の一方端子は、搬送ローラ37、39と接続する。また、電源109の他方の端子は、ドープ槽17の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ37、39と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽17の上流槽131において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0061】
電源110の一方の端子は、搬送ローラ43、45と接続する。また、電源110の他方の端子は、ドープ槽17の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ43、45と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽17の下流槽133において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0062】
電源111の一方の端子は、搬送ローラ49、51と接続する。また、電源111の他方の端子は、ドープ槽19の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ49、51と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽19の上流槽131において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0063】
電源112の一方の端子は、搬送ローラ55、57と接続する。また、電源112の他方の端子は、ドープ槽19の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ55、57と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽19の下流槽133において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0064】
電源113の一方の端子は、搬送ローラ61、63と接続する。また、電源113の他方の端子は、ドープ槽21の上流槽131が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ61、63と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽21の上流槽131において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0065】
電源114の一方の端子は、搬送ローラ67、69と接続する。また、電源114の他方の端子は、ドープ槽21の下流槽133が備える対極ユニット137、139、141、143と接続する。電極1は搬送ローラ67、69と接触する。電極1と対極ユニット137、139、141、143とは、電解液であるドープ溶液中にある。そのため、ドープ槽21の下流槽133において、電極1と対極ユニット137、139、141、143とは電解液を介して電気的に接続する。
【0066】
タブクリーナー117は、電極1の幅方向Wにおける端部を洗浄する。回収ユニット119は、電解液処理槽15、ドープ槽17、19、21、及び洗浄槽23のそれぞれに配置されている。回収ユニット119は、電極1が槽から持ち出す液を回収し、槽に戻す。
【0067】
端部センサ121は、電極1の幅方向Wにおける端部の位置を検出する。図示しない端部位置調整ユニットは、端部センサ121の検出結果に基づき、供給ロール101及び巻取ロール103の幅方向Wにおける位置を調整する。端部位置調整ユニットは、電極1の幅方向Wにおける端部が、タブクリーナー117により洗浄される位置となるように、供給ロール101及び巻取ロール103の幅方向Wにおける位置を調整する。
【0068】
3.ドープ溶液の組成
電極製造システム11を使用するとき、電解液処理槽15、及びドープ槽17、19、21に、ドープ溶液を収容する。ドープ溶液は、アルカリ金属イオンと、溶媒とを含む。ドープ溶液は電解液である。
【0069】
溶媒として、例えば、有機溶媒が挙げられる。有機溶媒として、非プロトン性の有機溶媒が好ましい。非プロトン性の有機溶媒として、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1-フルオロエチレンカーボネート、γ-ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル(トリグライム)、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(テトラグライム)等が挙げられる。
【0070】
また、前記有機溶媒として、第4級イミダゾリウム塩、第4級ピリジニウム塩、第4級ピロリジニウム塩、第4級ピペリジニウム塩等のイオン液体を使用することもできる。前記有機溶媒は、単一の成分から成るものであってもよいし、2種以上の成分の混合溶媒であってもよい。有機溶媒は、単一の成分から成るものであってもよいし、2種以上の成分の混合溶媒であってもよい。
【0071】
前記ドープ溶液に含まれるアルカリ金属イオンは、アルカリ金属塩を構成するイオンである。アルカリ金属塩は、好ましくはリチウム塩又はナトリウム塩である。アルカリ金属塩を構成するアニオン部として、例えば、PF 、PF(C 、PF(CF 等のフルオロ基を有するリンアニオン;BF 、BF(CF) 、BF(CF、B(CN) 等のフルオロ基又はシアノ基を有するホウ素アニオン;N(FSO 、N(CFSO 、N(CSO 等のフルオロ基を有するスルホニルイミドアニオン;CFSO 等のフルオロ基を有する有機スルホン酸アニオンが挙げられる。
【0072】
前記ドープ溶液におけるアルカリ金属塩の濃度は、好ましくは0.1モル/L以上であり、より好ましくは0.5~1.5モル/Lの範囲内である。アルカリ金属塩の濃度がこの範囲内である場合、アルカリ金属のプレドープが効率よく進行する。
【0073】
前記ドープ溶液は、さらに、ビニレンカーボネート、ビニルエチレンカーボネート、1-フルオロエチレンカーボネート、1-(トリフルオロメチル)エチレンカーボネート、無水コハク酸、無水マレイン酸、プロパンスルトン、ジエチルスルホン等の添加剤を含有することができる。
【0074】
前記ドープ溶液は、ホスファゼン化合物等の難燃剤をさらに含有することができる。難燃剤の添加量は、アルカリ金属をドープする際の熱暴走反応を効果的に制御する観点から、ドープ溶液100質量部に対して1質量部以上であることが好ましく、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましい。また、難燃剤の添加量は、高品質のドープ電極を得る観点から、ドープ溶液100質量部に対して20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、10質量部以下であることがさらに好ましい。
【0075】
4.電極の製造方法
まず、電極1を製造するための準備として、以下のことを行う。電極前駆体を供給ロール101に巻き回す。次に、電極前駆体を供給ロール101から引き出し、上述した経路に沿って巻取ロール103まで通紙する。そして、電解液処理槽15と、ドープ槽17、19、21と、洗浄槽23とを上昇させ、図3に示す定位置へセットする。
【0076】
電解液処理槽15、及びドープ槽17、19、21にドープ溶液を収容する。ドープ溶液は、前記「3.ドープ溶液の組成」で述べたものである。洗浄槽23に洗浄液を収容する。洗浄液は有機溶剤である。
【0077】
次に、搬送ローラ群により、供給ロール101から巻取ロール103まで、上述した経路に沿って電極前駆体及び電極1を搬送する。電極前駆体がドープ槽17、19、21内を通過するとき、活物質層5に含まれる活物質にアルカリ金属がプレドープされる。その結果、電極1が製造される。プレドープのとき、ドープ槽17、19、21内で、電極前駆体及び対極ユニットは、アルカリ金属イオンを含むドープ溶液に接触する。
【0078】
電極1は搬送ローラ群により搬送されながら、洗浄槽23で洗浄される。次に、電極1は巻取ロール103に巻き取られる。電極1は、正極であってもよいし、負極であってもよい。正極を製造する場合、電極製造システム11は、正極活物質にアルカリ金属をドープし、負極を製造する場合、電極製造システム11は、負極活物質にアルカリ金属をドープする。
【0079】
アルカリ金属のドープ量は、リチウムイオンキャパシタの負極活物質にリチウムを吸蔵させる場合、負極活物質の理論容量に対して好ましくは70~95%であり、リチウムイオン二次電池の負極活物質にリチウムを吸蔵させる場合、負極活物質の理論容量に対して好ましくは10~30%である。
<実施例>
(実施例1)
(i)電極前駆体の製造
長尺の帯状の集電体3を用意した。実施例1における集電体3は負極集電体である。集電体3のサイズは、幅130mm、長さ100m、厚さ8μmであった。集電体3の表面粗さRaは0.1μmであった。集電体3は銅箔から成っていた。集電体3の両面に、それぞれ活物質層5を形成した。実施例1における活物質層5は負極活物質層であった。
【0080】
集電体3の片側に形成された活物質層5の塗工量は100g/mであった。活物質層5は、集電体3の長手方向に沿って形成された。活物質層5は、集電体3の幅方向Wにおける端部から幅120mmにわたって形成された。集電体3の幅方向Wにおけるもう一方の端部での活物質層未形成部は10mmであった。活物質層未形成部とは、活物質層5が形成されていない部分である。その後、乾燥、及びプレスを行うことにより、電極前駆体を得た。
【0081】
活物質層5は、負極活物質、カルボキシメチルセルロース、アセチレンブラック、バインダー及び分散剤を、質量比で88:3:5:3:1の比率で含んでいた。負極活物質は、Si系活物質と黒鉛系活物質の混合物であった。負極活物質は、Si系活物質と、黒鉛系活物質とを、質量比で2:8の比率で含んでいた。
【0082】
(ii)対極ユニットの製造
銅板の上に樹脂膜を取り付けた。銅板のサイズは、長さ1000mm、幅220mm、厚み3mmであった。樹脂膜のサイズは、長さ810mm、幅120mm、厚み470μmであった。樹脂膜は、図6図7に示すような格子状の樹脂膜であった。樹脂膜の開口率は50%であった。樹脂膜の材質はポリプロピレンであった。
【0083】
樹脂膜の上に、Liフォイルを取り付けた。Liフォイルの長さ及び幅は樹脂膜と同じであった。Liフォイルの厚みは2mmであった。樹脂膜は、銅板及びLiフォイルの間に位置していた。銅板は導電性基材に対応する。樹脂膜は開口部を有する部材に対応する。Liフォイルはアルカリ金属含有板に対応する。
【0084】
銅板、樹脂膜、及びLiフォイルから成る積層体を、ロールプレス装置を用い、線圧5kfg/cmの条件でプレスした。その結果、Liフォイルは、樹脂膜を介して銅板に圧着された。最後に、Liフォイルの両端にポリプロピレン(PP)製の樹脂マスクを設置した。両端の樹脂マスクは、それぞれ、端部から5mmの範囲でLiフォイルを覆った。その結果、Liフォイルのうち、電極前駆体と対向する部分の幅は110mmとなった。以上の工程により対極ユニット137、139、141、143が完成した。
【0085】
対極ユニット137、139、141、143における、銅板とLiフォイルとの界面抵抗値を測定した。測定には、日置電気株式会社製の3560ACミリオームハイテスタを用いた。図8に示すように、対極ユニット137、139、141、143における銅板253に第1測定端子177を接触させた。銅板253と第1測定端子177との接触面積は5mmであった。また、Liフォイル255に第2測定端子179を接触させた。Liフォイル255と第2測定端子179との接触面積は5mmであった。対極ユニット137、139、141、143の長さ方向において、第1測定端子177の位置と、第2測定端子179の位置とはずれていた。なお、銅板253とLiフォイル255との間には樹脂膜254が存在していた。図8に示す状態で測定した抵抗値をr1とする。r1は、Liフォイル255の抵抗値と、図8に示す界面181での界面抵抗値と、銅板253の抵抗値との和である。界面181は、樹脂膜254を挟んで対向するLiフォイル255と銅板253との界面である。
【0086】
図9に示すように、Liフォイル255の一方の面に第1測定端子177を接触させた。Liフォイル255と第1測定端子177との接触面積は5mmであった。また、Liフォイル255の反対の面に第2測定端子179を接触させた。Liフォイル255と第2測定端子179との接触面積は5mmであった。図9に示す状態での測定した抵抗値をr2とする。r2は、Liフォイル255のみの抵抗値である。
【0087】
図10に示すように、銅板253の一方の面に第1測定端子177を接触させた。銅板253と第1測定端子177との接触面積は5mmであった。また、銅板253の反対の面に第2測定端子179を接触させた。銅板253と第2測定端子179との接触面積は5mmであった。銅板253の長さ方向において、第1測定端子177の位置と、第2測定端子179の位置とは、図8に示す測定の場合と同様にずれていた。図10に示す状態で測定した抵抗値をr3とする。r3は、銅板253のみの抵抗値である。
【0088】
r1から、r2及びr3を差し引くことにより、界面181での界面抵抗値を算出した。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板253とLiフォイル255とは良好に導通されていた。
【0089】
界面抵抗値に基づき、給電コンタクトの評価を行った。給電コンタクトの評価基準は以下のとおりである。
【0090】
A:界面抵抗値は20mΩ以下である。
【0091】
B:界面抵抗値は20mΩを超え、100mΩ以下である。
【0092】
C:界面抵抗値は100mΩを超える。
【0093】
実施例1では、評価結果はAであった。評価結果を表1に示す。
【0094】
【表1】

(iii)電極1の製造
図3に示す電極製造システム11を用意し、電極前駆体を通紙した。また、ドープ槽17、19、21にそれぞれ、前記(ii)で製造した対極ユニット137、139、141、143を設置した。次に、電解液処理槽15、及びドープ槽17、19、21内にドープ溶液を供給した。ドープ溶液は、1.4MのLiPFを含む溶液であった。ドープ溶液の溶媒は、EC(エチレンカーボネート)とEMC(エチルメチルカーボネート)とDMC(ジメチルカーボネート)とを、1:1:1の体積比で含む混合液であった。
【0095】
次に、ポンプ163を起動させ、ドープ槽17、19、21においてドープ溶液を循環させた。ドープ槽17、19、21においてドープ溶液の液流速は0.2cm/secであった。ドープ槽17、19、21において、ドープ溶液は、電極前駆体の表面に対して略平行に流動した。
【0096】
次に、電極前駆体及び対極ユニット137、139、141、143を電流・電圧モニター付き直流電源に接続した。次に、電極前駆体を1.24m/minの速度で搬送しながら、電極製造システム11全体で154Aの電流を通電した。この工程はプレドープに対応する。このとき、プレドープ電流密度は片面当たり10mA/cmであった。プレドープ電流密度とは、単位面積の電極前駆体に流れるプレドープ電流の量である。
【0097】
電極前駆体を搬送しているとき、電極前駆体が備える活物質層5の幅方向Wにおける中心と、対極ユニット137、139、141、143が備えるLiフォイルの幅方向Wにおける中心とが一致していた。
【0098】
プレドープを行っているとき、ドープ評価を行った。ドープ評価とは、プレドープを行っているときの電圧の上昇しやすさに関する評価である。ドープ評価の基準は以下のとおりである。
【0099】
AA:プレドープをした際の安定電圧が3.0V未満である。
【0100】
A:安定電圧が3.0V以上、3.3V未満である。
【0101】
B:安定電圧が3.3V以上、3.6V未満である。
【0102】
C:プレドープした際の電圧が安定するかどうかに関わらず3.6V以上である。
【0103】
なお、安定電圧とは、プレドープを開始してから電圧変化が±0.05V以下となった時の電圧を意味する。実施例1では、ドープ評価の評価結果はAであり、安定電圧は3.02Vであった。また、実施例1では、プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。評価結果を表1に示す。
【0104】
電極1を、洗浄槽23を通過させた後、巻き取った。洗浄槽23には、25℃のDMC(ジメチルカーボネート)を収容しておいた。以上のようにして、プレドープされた電極1を製造した。
【0105】
(iv)Liフォイルの交換
プレドープの終了後、対極ユニット137、139、141、143を電極製造システム11から取り外した。Liフォイルの端部を、スパチュラを用いて、銅板から剥離させた。次に、Liフォイルのうち、銅板から剥離した部分を引っ張ることで、Liフォイルの全体を銅板から剥離した。剥離の後、銅板の表面を目視観察した。以下の基準で剥離評価を行った。
【0106】
A:剥離後の銅板上にLi残りが殆ど見られなかった。
【0107】
B:剥離後の銅板上の所々にLi残りが見られた。
【0108】
C:剥離後の銅板上に、広範囲にわたってLi残りが見られた。
【0109】
剥離評価の評価結果を表1に示す。実施例1の評価結果はAであった。よって、Liフォイルを交換する作業の作業性は良好であった。
(実施例2)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、銅板、樹脂膜、及びLiフォイルから成る積層体をプレスするときの線圧を20kfg/cmとした。
【0110】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとは良好に導通されていた。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。また、安定電圧は3.02Vであった。
【0111】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上の所々にLiフォイルが残った。その原因は、プレスするときの線圧が高いことにより、銅板とLiフォイルとが過度に強く圧着されたためであると推測される。
(実施例3)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、銅板、樹脂膜、及びLiフォイルから成る積層体をプレスするときのプレス方法を平面プレスとした。また、平面プレスにおけるプレス圧を1kgf/cmとした。
【0112】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は47.1mΩであった。よって、実施例1と比べて、銅板とLiフォイルとの間の導通は不十分であった。
【0113】
プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.47Vであった。実施例1と比べて界面抵抗値が大きいため、安定電圧が上昇したと推測される。Liフォイルを銅板から剥離させた後、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。(実施例4)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の厚みを20μmにした。
【0114】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとは良好に導通されていた。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。また、安定電圧は3.02Vであった。
【0115】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上の所々にLiフォイルが残った。その原因は、樹脂膜の厚みを小さくしたことにより、実施例1に比べて、銅板とLiフォイルとが強く圧着されたためであると推測される。
(実施例5)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の厚みを1500μmにした。
【0116】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は49.3mΩであった。よって、実施例1と比べて、銅板とLiフォイルとの間の導通は不十分であった。その原因は、樹脂膜の厚みが大きいため、銅板とLiフォイルとの圧着性が低下したためであると推測される。
【0117】
プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.53Vであった。実施例1と比べて界面抵抗値が大きいため、安定電圧が上昇したと推測される。Liフォイルを銅板から剥離させた後、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。(実施例6)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の開口率を1%にした。
【0118】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は48.2mΩであった。よって、実施例1と比べて、銅板とLiフォイルとの間の導通は不十分であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.49Vであった。
【0119】
実施例1と比べて界面抵抗値が大きいため、安定電圧が上昇したと推測される。Liフォイルを銅板から剥離させた後、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。
(実施例7)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の開口率を2%にした。
【0120】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は11.2mΩであった。実施例7での界面抵抗値は、実施例1での界面抵抗値に比べて若干増加していたが、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.14Vであった。
【0121】
実施例1での安定電圧に比べて安定電圧がわずかに上昇した理由は、銅板とLiフォイルとの間の導通が実施例1に比べて低下したためであると推測される。Liフォイルを銅板から剥離させた後、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。
(実施例8)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の開口率を60%にした。
【0122】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0123】
実施例1と比べて界面抵抗値が大きいため、安定電圧が上昇したと推測される。Liフォイルを銅板から剥離させた後、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。
(実施例9)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の開口率を80%にした。
【0124】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0125】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上の所々にLiフォイルが残った。その原因は、実施例1に比べて開口率が大きいため、銅板とLiフォイルとが過度に強く圧着されたためであると推測される。
(実施例10)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の厚みを380μmとした。また、銅板、樹脂膜、及びLiフォイルから成る積層体をプレスするときの線圧を3kfg/cmとした。
【0126】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0127】
実施例10における開口率は実施例9における開口率と同様であった。しかしながら、積層体をプレスするときの線圧を、実施例9における線圧に比べて小さくしたため、Liフォイルを銅板から剥離させたとき、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。
(実施例11)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットに含まれる樹脂膜の形態を以下のものにした。樹脂膜は、円形の孔を複数備えていた。孔の径は800μmであった。孔同士のピッチは1.0mmであった。複数の孔の配列パターンは、千鳥状のパンチングパターンであった。円形の孔は開口部に対応する。
【0128】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0129】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上の所々にLiフォイルが残った。その原因は、実施例1での樹脂膜に比べて、樹脂膜における開口部の形状が異なるためであると推測される。
(実施例12)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、プレドープのとき、ドープ槽17、19、21におけるドープ溶液の液流速を2.5cm/secとした。
【0130】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は2.63Vであった。実施例1に比べて安定電圧が低下した理由は、ドープ溶液の液流速が大きいことにより、ドープ溶液の液抵抗が減少したためであると推測される。Liフォイルを銅板から剥離させた後、銅板上にLiフォイルはほとんど残らなかった。
(実施例13)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットは、樹脂膜に代えて、以下の開口部材を備えていた。開口部材は、多孔性ニッケルから成っていた。開口部材の表面には、厚みが30オングストローム程度の酸化被膜が形成されていた。表1ではニッケルを金属1と表示する。開口部材の厚み、開口率は、実施例1における樹脂膜の厚み、開口率と同様であった。開口部材は、実施例1における樹脂膜と同様に、格子状の部材であった。
【0131】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0132】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上の所々にLiフォイルが残った。その原因は、実施例1に比べて、開口部材が異なるためであると推測される。
(実施例14)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットは、樹脂膜に代えて、以下の開口部材を備えていた。開口部材は、多孔性チタンから成っていた。開口部材の表面には、厚みが50オングストローム程度の酸化被膜が形成されていた。チタンは金属に対応する。表1ではチタンを金属2と表示する。開口部材の厚み、開口率は、実施例1における樹脂膜の厚み、開口率と同様であった。開口部材は、実施例1における樹脂膜と同様に、格子状の部材であった。
【0133】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0134】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上の所々にLiフォイルが残った。その原因は、実施例1に比べて、開口部材が異なるためであると推測される。
(比較例1)
基本的には実施例1と同様に、電極前駆体の製造、対極ユニットの製造、電極1の製造、及びLiフォイルの交換を行った。ただし、対極ユニットは、樹脂膜を備えていなかった。
【0135】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は1.1mΩであった。よって、銅板とLiフォイルとの間の導通は良好であった。プレドープのとき、電圧が継続して上昇することはなかった。安定電圧は3.02Vであった。
【0136】
Liフォイルを銅板から剥離させるとき、途中でLiフォイルが破断し、銅板上に広範囲にわたってLiフォイルが残った。
(比較例2)
対極ユニット製造時に、開口が全くないポリプロピレン樹脂膜を使用する点以外は実施例1と同様に対極ユニットを製造しようとしたところ、Liフォイルは銅板に貼りつかず、直ぐに銅板から剥離してしまった。
【0137】
実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表1に示す。界面抵抗値は、測定装置の測定上限以上であった。また、上記のようにLiフォイルが銅板に貼り付かなかったため、対極ユニットを装置に取り付けることができず、プレドープを行うことが出来なかった。<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0138】
(1)上記各実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素に分担させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に発揮させたりしてもよい。また、上記各実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記各実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0139】
(2)上述した電極製造方法の他、電極製造システム、電極製造システムの制御装置としてコンピュータを機能させるためのプログラム、このプログラムを記録した半導体メモリ等の非遷移的実態的記録媒体、ドーピング方法等、種々の形態で本開示を実現することもできる。
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