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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/14 20060101AFI20240702BHJP
   H02G 3/16 20060101ALI20240702BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20240702BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20240702BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
H02G3/14
H02G3/16
H02G3/08 080
H05K5/03 A
B60R16/02 610A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2022109234
(22)【出願日】2022-07-06
(65)【公開番号】P2024007868
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 正弘
(72)【発明者】
【氏名】垣見 孝明
(72)【発明者】
【氏名】荘司 和輝
(72)【発明者】
【氏名】青野 憲悟
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-150599(JP,A)
【文献】特開2015-70733(JP,A)
【文献】特開2016-226249(JP,A)
【文献】特開2003-244818(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/14
H02G 3/16
H02G 3/08
H05K 5/03
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を収容可能な主収容部を有する筒状のフレーム部と、
前記フレーム部の開口部を塞ぐように前記フレーム部に取り付けられ且つ前記電子部品に繋がることになる電線を内外に挿通可能な挿通孔を有するカバー部と、を備える電気接続箱であって、
前記カバー部は、
前記開口部の開口面に向かい合うように配置される板状部と、前記板状部の周縁から前記開口部の開口縁に向けて立設される第1側壁部と、を有する第1カバー部と、
前記第1側壁部の立設端の少なくとも一部と、前記開口部の前記開口縁と、の間に配置される第2側壁部と、前記第2側壁部の内側に設けられて他の電子部品を収容可能な副収容部と、を有する第2カバー部と、を有する、
電気接続箱。
【請求項2】
請求項1に記載の電気接続箱において、
前記挿通孔は、
前記第1側壁部に当該挿通孔の一部が開口し且つ前記第2側壁部に当該挿通孔の他部が開口する、又は、前記第1側壁部及び前記第2側壁部の一方に開口する、ように構成される、
電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を収容可能な電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載されるリレーボックス等のように、リレーやヒューズ等の電子部品を収容するための収容空間を内部に有する電気接続箱が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2021-112065号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した種類の電気接続箱は、一般に、電子部品を保持する保持部を内部に有する筒状のフレームと、フレームの上方の開口部を塞ぐアッパカバーと、フレームの下方の開口部を塞ぐロアカバーと、を有する。ロアカバーは、電気接続箱の下方からの被水時に電気接続箱の中に水が侵入することを防ぐため、例えば、樹脂材料を一体的に射出成形して製造される。複数の部材を組み合わせてロアカバーを構成すると、部材間の隙間からロアカバーの内側に水が侵入する可能性があるためである。
【0005】
ところが、ロアカバーを一体的に射出成形する場合、いわゆるアンダーカットを避けて成形用金型の構造を出来る限り単純化する観点から、ロアカバーの内側に複雑な構造物を成形することが困難である。そのため、一般に、ロアカバーの内側は単純な空洞になっている。この空洞は、電子部品に繋がる電線をロアカバーの内外に案内するために用いられる。しかし、電気接続箱の小型化や多機能化の観点から、ロアカバーの内側空間を更に有効活用することが望まれている。
【0006】
本発明の目的の一つは、電気接続箱のカバー部の内側空間を有効活用できる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するために、本発明に係る電気接続箱は、以下を特徴としている。
【0008】
電子部品を収容可能な主収容部を有する筒状のフレーム部と、
前記フレーム部の開口部を塞ぐように前記フレーム部に取り付けられ且つ前記電子部品に繋がることになる電線を内外に挿通可能な挿通孔を有するカバー部と、を備える電気接続箱であって、
前記カバー部は、
前記開口部の開口面に向かい合うように配置される板状部と、前記板状部の周縁から前記開口部の開口縁に向けて立設される第1側壁部と、を有する第1カバー部と、
前記第1側壁部の立設端の少なくとも一部と、前記開口部の前記開口縁と、の間に配置される第2側壁部と、前記第2側壁部の内側に設けられて他の電子部品を収容可能な副収容部と、を有する第2カバー部と、を有する、
電気接続箱であること。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る接続構造によれば、電子部品を収容可能な主収容部を有するフレーム部の開口部を塞ぐカバー部(例えば、ロアカバー)が、第1カバー部と第2カバー部とを有する。第1カバー部は、板状部(例えば、底板)と第1側壁部とを有する。第2カバー部は、第1カバー部の第1側壁部の立設端の少なくとも一部と、フレーム部の開口部の開口端と、の間に配置される第2側壁部と、他の電子部品を収容可能な副収容部と、を有する。第1,第2カバー部は、何れも、その構造上、成形用金型を用いた射出成形の際にアンダーカットを避ける形状にすることができる。更に、被水時に水の侵入が生じる可能性が最も高い第1カバー部の板状部(例えば、底板)には、第1カバー部と第2カバー部との部材間の隙間が存在しない。よって、フレーム部の内側を主収容部として用いるだけでなく、電気接続箱の防水性能を過度に損なうことなく第2側壁部の内側を副収容部として用いることができる。なお、副収容部には、例えば、ジョイントコネクタ等を収容することができる。このように、本構成の電気接続箱は、電気接続箱のカバー部の内側空間を有効活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の実施形態に係る電気接続箱の斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱の分解斜視図である。
図3図3は、図2に示すロアカバーの斜視図である。
図4図4は、図2に示すロアカバーを上下反転して見た斜視図である。
図5図5は、図2に示すロアカバーの収容凹部に収容されているジョイントコネクタと相手側コネクタとの嵌合箇所の周辺を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、図1に示す本発明の実施形態に係る電気接続箱1について説明する。電気接続箱1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品R(図1及び図2参照)やその他の部品を収容する内部空間を有するリレーボックスである。以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。電気接続箱1の車両搭載時において、「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、それぞれ、車両の前後方向、左右方向及び上下方向に対応している。また、電気接続箱1の内部に面する側を「内」側と呼び、電気接続箱1の外部に面する側を「外」側と呼ぶ。
【0012】
図1及び図2に示すように、電気接続箱1は、フレーム2と、フレーム2の下端開口を塞ぐようにフレーム2の下方に組み付けられるロアカバー3と、フレーム2の上端開口を塞ぐようにフレーム2の上方に組み付けられるアッパカバー6と、により構成される。ロアカバー3は、第1カバー部4と第2カバー部5とを組み合わせて構成される。電気接続箱1を構成するフレーム2、ロアカバー3(=第1カバー部4+第2カバー部5)、及びアッパカバー6は全て、樹脂成形体である。
【0013】
電気接続箱1では、図1に示すように、電気接続箱1の内部に位置する複数の電子部品Rの一部に電気的に接続される複数本の電線8が、電線引出孔7を介して、電気接続箱1の外部へと導出されている。以下、電気接続箱1を構成するフレーム2、ロアカバー3、及びアッパカバー6の構成について順に説明する。
【0014】
まず、フレーム2について説明する。図1及び図2に示すように、フレーム2は、上下方向に延び且つ前後方向に長い略矩形筒状の側壁部11を備える。側壁部11は、電気接続箱1の側面の上部の外観の大部分を構成する。側壁部11の略矩形枠状の下端縁部のうち、後方側の略U字状の部分(下端縁部11a)は、ロアカバー3の第1カバー部4の後述する上端縁部21a(図2等参照)と嵌合し、前方側の略U字状の部分(下端縁部11b)は、ロアカバー3の第2カバー部5の後述する上端縁部31b(図2等参照)と嵌合することになる。側壁部11の内側には、図1及び図2に示すように、複数の電子部品Rやその他の部品を収容する収容部12が設けられている。
【0015】
側壁部11の下端縁部11aにおける周方向の複数箇所(本例では、4箇所)の外面には、それぞれ、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部13が一体に設けられている(図1及び図2参照)。被係止部13は、ロアカバー3の第1カバー部4をフレーム2に組み付ける機能を有する。同様に、側壁部11の下端縁部11bにおける周方向の複数箇所(本例では、5箇所)の外面には、それぞれ、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部14が一体に設けられている(図1及び図2参照)。被係止部14は、ロアカバー3の第2カバー部5をフレーム2に組み付ける機能を有する。また、側壁部11の上端縁部における周方向の複数箇所には、それぞれ、上方に延びる係止片(図示省略)が一体に設けられている。これらの係止片は、アッパカバー6をフレーム2に組み付ける機能を有する。
【0016】
次いで、ロアカバー3を構成する第1カバー部4について説明する。第1カバー部4は、図1及び図2に示すように、電気接続箱1の側面の下部の外観の大部分を構成する略矩形枠状の側壁部21と、側壁部21の環状の下端開口を塞ぐと共に電気接続箱1の底面の外観の全体を構成する底壁部22と、を一体に備える。側壁部21は、底壁部22の周縁から周方向の全周に亘って上方へ向けて立設されている。底壁部22は、フレーム2の下端開口に向かい合うように配置されることになる。第1カバー部4は、上下方向において、射出成形時のアンダーカットを避ける形状を有している。
【0017】
側壁部21の略矩形枠状の上端縁部のうち、後方側の略U字状の部分(上端縁部21a)は、フレーム2の下端縁部11aに対応する形状を有しており、フレーム2の下端縁部11aと嵌合することになる。側壁部21の略矩形枠状の上端縁部のうち、前方側の略U字状の部分(上端縁部21b)は、第2カバー部5の後述する下端縁部31aに対応する形状を有しており、第2カバー部5の下端縁部31aと嵌合することになる。上端縁部21bは、上端縁部21aと比べて、第2カバー部5(より詳細には、後述する側壁部31)の高さ分だけ下方に位置している。
【0018】
側壁部21の上端縁部21aにおける周方向の複数箇所(本例では、4箇所)の外面には、それぞれ、フレーム2の複数の被係止部13に対応して、上方に延びる係止片23が一体に設けられている(図2参照)。同様に、側壁部21の上端縁部21bにおける周方向の複数箇所(本例では、3箇所)の外面には、それぞれ、第2カバー部5の後述する複数の被係止部32に対応して、上方に延びる係止片24が一体に設けられている(図2参照)。
【0019】
側壁部21における電線引出孔7(図1参照)に対応する箇所には、上方に開口する半円筒状の樋状部25が、前下方向に斜めに延びるように設けられている(図2参照)。樋状部25は、電線引出孔7を画成する内壁の下側部分を構成する機能を有する。
【0020】
次いで、ロアカバー3を構成する第2カバー部5について説明する。第2カバー部5は、図1図4に示すように、電気接続箱1の側面の下部の外観の一部分(前側部分)を構成する側壁部31を有している。側壁部31は、上下方向からみて後方に開口する略U字状の形状を有している。第2カバー部5も、第1カバー部4と同様、上下方向において、射出成形時のアンダーカットを避ける形状を有している。
【0021】
側壁部31の下端縁部31aは、第1カバー部4の上端縁部21bに対応する形状を有しており、第1カバー部4の上端縁部21bと嵌合することになる。側壁部31の上端縁部31bは、フレーム2の下端縁部11bに対応する形状を有しており、フレーム2の下端縁部11bと嵌合することになる。
【0022】
側壁部31の下端縁部31aにおける周方向の複数箇所(本例では、3箇所)の外面には、それぞれ、第1カバー部4の複数の係止片24に対応して、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部32が一体に設けられている(図1図4参照)。側壁部31の上端縁部31bにおける周方向の複数箇所(本例では、5箇所)の外面には、それぞれ、フレーム2の複数の被係止部14に対応して、上方に延びる係止片33が一体に設けられている(図2参照)。
【0023】
側壁部31における電線引出孔7(図1参照)に対応する箇所には、下方に開口する半円筒状の樋状部34が、前下方向に斜めに延びるように設けられている(図2参照)。樋状部34は、電線引出孔7を画成する内壁の上側部分を構成する機能を有する。
【0024】
側壁部31の内壁における樋状部34の近傍箇所には、図2図4に示すように、収容部35が、内側へ張り出すように一体に設けられている。収容部35の下面には、図4及び図5に示すように、上方に向けて窪んだ収容凹部36が形成されている。収容凹部36には、ジョイントコネクタC1(図5参照)が収容されている。ジョイントコネクタC1の下方を向いた嵌合部には、相手側コネクタC2(図4及び図5参照)が下側から嵌合している。相手側コネクタC2からは、複数本(4本)の電線8が下方へ向けて延出している(図4及び図5参照)。
【0025】
ジョイントコネクタC1は、相手側コネクタC2と嵌合されることで(図4及び図5参照)、相手側コネクタC2に接続された複数本の電線8にそれぞれ繋がる複数の回路同士を導通接続する機能を果たす。ジョイントコネクタC1は、例えば、相手側コネクタC2に接続される複数本の電線8の端末に設けられた相手側端子に嵌合接続するための複数のピン端子を備えたバスバ(図示省略)と、バスバを保持するインナハウジング(図示省略)と、ノイズ除去用のフェライト板(図示省略)を収容し且つインナハウジングが組み付けられるアウタハウジング(図示省略)と、を備えている。
【0026】
次いで、アッパカバー6について説明する。アッパカバー6は、フレーム2の略矩形枠状の上端縁部に対応する形状を有する略矩形枠状の側壁部と、その側壁部の略矩形枠状の上端開口を塞ぐ天壁部と、を一体に備える(図示省略)。アッパカバー6の側壁部の下端縁部における周方向の複数箇所の外面には、それぞれ、フレーム2の複数の上記係止片(図示省略)に対応して、上下方向に延びる貫通孔を含む被係止部(図示省略)が一体に設けられている。以上、電気接続箱1を構成するフレーム2、ロアカバー3(第1カバー部4+第2カバー部5)、及びアッパカバー6の構成について説明した。
【0027】
フレーム2、ロアカバー3(第1カバー部4+第2カバー部5)、及びアッパカバー6からなる電気接続箱1を組み付けるためには、フレーム2にアッパカバー6を組み付け、且つ、フレーム2にロアカバー3を組み付ける必要がある。
【0028】
フレーム2にアッパカバー6を組み付けるためには、アッパカバー6の側壁部の略矩形枠状の下端縁部をフレーム2の側壁部11の略矩形枠状の上端縁部に嵌合させ、且つ、アッパカバー6の複数の上記被係止部にフレーム2の複数の上記係止片を係止させる。これにより、フレーム2へのアッパカバー6の組み付けが完了する。
【0029】
フレーム2にロアカバー3を組み付けるためには、まず、第1カバー部4と第2カバー部5とを互いに組み付けて、ロアカバー3を構成する。具体的には、第2カバー部5から下方に向けて延出する複数本の電線8の延在方向の一部分が第1カバー部4の樋状部25と第2カバー部5の樋状部34との間に挟まれるように、第2カバー部5の側壁部31の下端縁部31aを第1カバー部4の上端縁部21bに嵌合させ、且つ、第2カバー部5の複数の被係止部32に第1カバー部4の複数の係止片24を係止させる。これにより、第1カバー部4の上端縁部21bと第2カバー部5の下端縁部31aとが互いに組み付けられて、フレーム2の略矩形枠状の下端縁部に対応する形状を有する、略矩形枠状のロアカバー3の上端縁部が画成される。更に、第1カバー部4の樋状部25と第2カバー部5の樋状部34とにより、複数本の電線8が挿通される電線引出孔7が画成される(図1参照)。
【0030】
第1カバー部4と第2カバー部5とを互いに組み付けて構成されるロアカバー3では、第1カバー部4と第2カバー部5との間の境界部分(隙間)は、ロアカバー3の側壁にのみ存在しており、即被水時に水の侵入が生じる可能性が最も高いロアカバー3の底壁(即ち、第1カバー部4の底壁部22)には存在しない。このため、被水時に電気接続箱1の内部へ水が侵入する可能性を過度に高めることがない。更に、複数本の電線8が挿通される電線引出孔7が、ロアカバー3の側壁(第1カバー部4と第2カバー部5との間の境界部分)に開口している。これにより、電線引出孔7がロアカバー3の底壁(即ち、第1カバー部4の底壁部22)に開口する場合に比べ、被水時における電気接続箱の内部への水の侵入を抑制することができる。
【0031】
次いで、フレーム2の略矩形枠状の下端縁部をロアカバー3の略矩形枠状の上端縁部に嵌合させ、且つ、フレーム2の複数の被係止部13,14にロアカバー3の複数の係止片23,24をそれぞれ係止させる。これにより、フレーム2へのロアカバー3の組み付けが完了する。
【0032】
電気接続箱1の組付完了状態では、アッパカバー6の複数の被係止部とフレーム2の複数の係止片との係止により、アッパカバー6がフレーム2から上方へ分離することが防止される。フレーム2の複数の被係止部14と第2カバー部5の複数の係止片33との係止により、ロアカバー3の第2カバー部5がフレーム2から下方へ分離することが防止される。フレーム2の複数の被係止部13と第1カバー部4の複数の係止片23との係止により、ロアカバー3の第1カバー部4がフレーム2から下方へ分離することが防止される。第2カバー部5の複数の被係止部32と第1カバー部4の複数の係止片24との係止により、第1カバー部4及び第2カバー部5が互いに上下方向へ分離することが防止される。更に、電気接続箱1(フレーム2)の内部に位置する複数の電子部品Rの一部に電気的に接続されている複数本の電線8が、電線引出孔7を介して、電気接続箱1の外部へと導出されている。更に、第2カバー部5の側壁部31の全体が、第1カバー部4の側壁部21の環状の上端縁部の周方向の一部とフレーム2の側壁部11の環状の下端縁部の周方向の一部との間に配置されている。
【0033】
<作用・効果>
以上、本実施形態に係る電気接続箱1によれば、電子部品Rを収容可能な収容部12を有するフレーム2の下端開口を塞ぐロアカバー3が、第1カバー部4と第2カバー部5とを有する。第1カバー部4は、側壁部21と底壁部22とを有する。第2カバー部5は、第1カバー部4の側壁部21の上端縁部21bと、フレーム2の下端縁部11bと、の間に配置される側壁部31と、ジョイントコネクタC1を収容可能な収容部35(収容凹部36)と、を有する。第1,第2カバー部4,5は、何れも、上下方向において射出成形の際にアンダーカットを避ける形状を有している。更に、被水時に水の侵入が生じる可能性が最も高い第1カバー部4の底壁部22には、第1カバー部4と第2カバー部5との部材間の隙間が存在しない。よって、フレーム2の内側を収容部12として用いるだけでなく、被水時に電気接続箱1の内部へ水が侵入する可能性を過度に高めることなく側壁部31の内側を収容部35(収容凹部36)として用いることができる。このように、本実施形態に係る電気接続箱1は、電気接続箱1のロアカバー3の内側空間を有効活用できる。
【0034】
更に、電子部品Rに繋がる複数本の電線8が挿通される電線引出孔7が、第1カバー部4の側壁部21に電線引出孔7の一部が開口し且つ第2カバー部5の側壁部31に電線引出孔7の他部が開口する、ように構成される。これにより、電線引出孔7が第1カバー部4の底壁部22に開口する場合に比べ、被水時における電気接続箱1の内部への水の侵入を抑制することができる。
【0035】
<他の形態>
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0036】
上記実施形態では、電子部品Rに繋がる複数本の電線8が挿通される電線引出孔7が、第1カバー部4の側壁部21に電線引出孔7の一部が開口し且つ第2カバー部5の側壁部31に電線引出孔7の他部が開口する、ように構成される。これに対し、電線引出孔7が、第1カバー部4の側壁部21及び第2カバー部5の側壁部31の何れか一方のみに開口していてもよい。
【0037】
更に、上記実施形態では、第2カバー部5の側壁部31が、第1カバー部4の側壁部21の環状の上端縁部の周方向の一部とフレーム2の側壁部11の環状の下端縁部の周方向の一部との間に配置されている。これに対し、第2カバー部5の側壁部31が、筒状の形状を有すると共に、第1カバー部4の側壁部21の環状の上端縁部の周方向の全域とフレーム2の側壁部11の環状の下端縁部の周方向の全域との間に配置されてもよい。
【0038】
更に、上記実施形態では、第2カバー部5の収容凹部36に収容される「他の電子部品」として、ジョイントコネクタC1が採用されている。これに対し、第2カバー部5の収容凹部36に収容される「他の電子部品」として、ジョイントコネクタC1以外の電子部品が採用されてもよい。
【0039】
更に、上記実施形態では、電気接続箱1が、複数の電子部品Rを収容するリレーボックス(電気接続箱)であるが、電気接続箱1が、リレーボックス(電気接続箱)以外の機能を有する構造体であってもよい。
【0040】
ここで、上述した本発明に係る電気接続箱1の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[2]に簡潔に纏めて列記する。
【0041】
[1]
電子部品(R)を収容可能な主収容部(12)を有する筒状のフレーム部(2)と、
前記フレーム部(2)の開口部を塞ぐように前記フレーム部(2)に取り付けられ且つ前記電子部品(R)に繋がることになる電線(8)を内外に挿通可能な挿通孔(7)を有するカバー部(3)と、を備える電気接続箱(1)であって、
前記カバー部(3)は、
前記開口部の開口面に向かい合うように配置される板状部(22)と、前記板状部(22)の周縁から前記開口部の開口縁に向けて立設される第1側壁部(21)と、を有する第1カバー部(4)と、
前記第1側壁部(21)の立設端の少なくとも一部(21b)と、前記開口部の前記開口縁(11b)と、の間に配置される第2側壁部(31)と、前記第2側壁部(31)の内側に設けられて他の電子部品(C1)を収容可能な副収容部(36)と、を有する第2カバー部(5)と、を有する、
電気接続箱(1)。
【0042】
上記[1]の構成の電気接続箱によれば、電子部品を収容可能な主収容部を有するフレーム部の開口部を塞ぐカバー部(例えば、ロアカバー)が、第1カバー部と第2カバー部とを有する。第1カバー部は、板状部(例えば、底板)と第1側壁部とを有する。第2カバー部は、第1カバー部の第1側壁部の立設端の少なくとも一部と、フレーム部の開口部の開口端と、の間に配置される第2側壁部と、他の電子部品を収容可能な副収容部と、を有する。第1,第2カバー部は、何れも、その構造上、成形用金型を用いた射出成形の際にアンダーカットを避ける形状にすることができる。更に、被水時に水の侵入が生じる可能性が最も高い第1カバー部の板状部(例えば、底板)には、第1カバー部と第2カバー部との部材間の隙間が存在しない。よって、フレーム部の内側を主収容部として用いるだけでなく、電気接続箱の防水性能を過度に損なうことなく第2側壁部の内側を副収容部として用いることができる。なお、副収容部には、例えば、ジョイントコネクタ等を収容することができる。このように、本構成の電気接続箱は、電気接続箱のカバー部の内側空間を有効活用できる。
【0043】
[2]
上記[1]に記載の電気接続箱(1)において、
前記挿通孔(7)は、
前記第1側壁部(21)に当該挿通孔(7)の一部が開口し且つ前記第2側壁部(31)に当該挿通孔の他部(7)が開口する、又は、前記第1側壁部(21)及び前記第2側壁部(31)の一方に開口する、ように構成される、
電気接続箱(1)。
【0044】
上記[2]の構成の電気接続箱によれば、電子部品に繋がる電線が挿通されることになる挿通孔が、第1側壁部に挿通孔の一部が開口し且つ第2側壁部に挿通孔の他部が開口する、又は、第1側壁部及び第2側壁部の一方に開口する、ように構成される。これにより、挿通孔が第1カバー部の板状部(例えば、底板)に開口する場合に比べ、被水時における電気接続箱の内部への水の侵入を抑制することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 電気接続箱
2 フレーム(フレーム部)
3 ロアカバー(カバー部)
4 第1カバー部
5 第2カバー部
7 電線引出孔(挿通孔)
8 電線
11b 下端縁部(開口部の開口縁)
12 収容部(主収容部)
21 側壁部(第1側壁部)
21b 上端縁部(第1側壁部の立設端の一部)
22 底壁部(板状部)
31 側壁部(第2側壁部)
36 収容凹部(副収容部)
C1 ジョイントコネクタ(他の電子部品)
R 電子部品
図1
図2
図3
図4
図5