(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】水溶性ポリビニルアルコールフィルムのシールプロセス
(51)【国際特許分類】
B29C 65/48 20060101AFI20240702BHJP
【FI】
B29C65/48
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022150832
(22)【出願日】2022-09-22
【審査請求日】2022-09-22
(32)【優先日】2021-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2022-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100122437
【氏名又は名称】大宅 一宏
(74)【代理人】
【識別番号】100209495
【氏名又は名称】佐藤 さおり
(72)【発明者】
【氏名】ミゲル・ブラント・サンツ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレア・ガブリエル
【審査官】▲高▼村 憲司
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-074994(JP,A)
【文献】特表2019-513643(JP,A)
【文献】特開2019-119877(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1426455(CN,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0079454(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 65/00 - 65/82
B65D 65/00 - 65/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムを第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムにシールするためのプロセスであって、前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムが、第1の面及び第2の面を有し、前記第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムが、第1の面及び第2の面を有し、前記プロセスが、
a.前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面の少なくとも一部に、液体溶剤シール組成物を塗布する工程と、
b.前記第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面の少なくとも一部を、前記液体溶剤シール組成物で噴霧された前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面の少なくとも一部と接触させる工程と、
を含み、
前記液体溶剤シール組成物が、ノズルから噴霧として塗布され、前記ノズルが、放出口を備え、前記液体溶剤シール組成物が、前記放出口から吐出され、前記噴霧が、前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面に接触する前に、50マイクロメートル~200マイクロメートルの平均液滴サイズd50を有し、
前記平均液滴サイズd50が、前記ノズルから噴霧された後に噴霧液滴の光学的撮像によって測定され、前記噴霧液滴が、前記放出口に対して垂直に100mmの距離にあり、前記ノズルが、前記噴霧が前記放出口から垂直に出るように配向され、前記液滴が前記放出口から出ると、前記光学的撮像による画像が、VisiSize P15(Oxford Lasers ltd.)を使用する液滴サイズ試験方法を使用して、前記液滴の移動方向に対して垂直に捕捉され
、
前記液滴サイズは、前記ノズルの前記放出口の幾何学的中心から100mmの距離で、75ml/分の流量及び3barの圧力で評価され、ソフトウェアは、VisiSize 6.5.42を使用し、B1921カメラ、標準レンズオプション3X、倍率設定4Xを使用する、プロセス。
【請求項2】
前記ノズルが、油圧ノズル又は空気噴霧ノズルから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記放出口から前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面までの最短距離が、40mm~160mmである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項4】
前記液体溶剤シール組成物が、200kPa~1000kPaの圧力で前記放出口から吐出される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項5】
前記平均液滴サイズd50が、前記液滴サイズ試験方法を使用して、50マイクロメートル~150マイクロメートルである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項6】
前記液滴の少なくとも50%が、前記液滴サイズ試験方法を使用して、50マイクロメートル~200マイクロメートルの液滴サイズを有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項7】
前記液滴の少なくとも50%が、70マイクロメートル~200マイクロメートルの前記液滴サイズを有する、請求項
6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記噴霧が、円錐形状を有する、請求項1に記載のプロセス。
【請求項9】
前記液体溶剤シール組成物が、複数のノズルから噴霧として塗布され、前記複数のノズルが、少なくとも2つのノズルを含み、前記ノズルの各々が放出口を含み、前記液体溶剤シール組成物が前記放出口の各々から吐出され、前記ノズル放出口の各々からの噴霧が個々に、50マイクロメートル~200マイクロメートルの平均液滴サイズd50を有し、前記平均液滴サイズd50が、前記ノズルから噴霧された後に噴霧液滴の光学的撮像によって測定され、前記噴霧液滴が、前記液滴サイズ試験方法を使用して、前記放出口に対して垂直に100mmの距離にあり、前記ノズルが、前記噴霧が前記放出口から垂直に出るように配向され、前記液滴が前記放出口から出ると、前記画像が前記液滴の移動方向に対して垂直に捕捉される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項10】
前記ノズルの各々が個々に、噴霧角を有し、独立して、前記ノズルの各々からの前記噴霧が前記第1のポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面に噴霧されるとき、前記噴霧角が、80度~130度の噴霧角を有する、請求項
9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記液体溶剤シール組成物が、前記複数のノズルから同時に、又は非同時に吐出される、請求項
9に記載のプロセス。
【請求項12】
前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムが、10g/m
2~40g/m
2の速度で前記液体溶剤シール組成物でコーティングされる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項13】
前記液体溶剤シール組成物が、前記放出口から連続的に吐出される、又は前記液体溶剤シール組成物が、前記放出口から断続的に吐出される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項14】
前記液体溶剤シール組成物が、前記放出口から断続的に吐出され、前記第1のポリビニルアルコールフィルムが、機械方向に連続的に移動し、前記第1のポリビニルアルコールフィルムが、各断続的噴霧の間に0.5mm~10mmの距離を前記機械方向に移動する、請求項
13に記載のプロセス。
【請求項15】
前記液体溶剤シール組成物が、水、非水性溶剤、又はそれらの混合物を含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項16】
c.前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第2の面の少なくとも一部又は前記第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第2の面の少なくとも一部に、前記液体溶剤シール組成物を塗布する工程であって、前記液体溶剤シール組成物が、ノズルから噴霧として塗布され、前記噴霧が、請求項1により定義される、工程と、
d.第3の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部を、前記液体溶剤シール組成物で噴霧された、前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第2の面又は前記第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第2の面の前記一部と接触させる工程と、
をさらに含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項17】
前記第2の水溶性フィルムが、まず開放空洞に変形され、前記開放空洞が、洗剤組成物で充填され、次いで、前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの前記第1の面と接触させられる、請求項1に記載のプロセス。
【請求項18】
前記第3の水溶性フィルムが、まず開放空洞に変形され、前記開放空洞が、洗剤組成物で充填され、次いで、前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面又は前記第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面と接触させられる、請求項
16に記載のプロセス。
【請求項19】
前記第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルム
及び前記第2の水溶性ポリビニルアルコールフィル
ムの各々が、独立して、ポリビニルアルコールホモポリマー又はポリビニルアルコールコポリマーを含む水溶性フィルムから選択される、請求項1に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムを第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムにシールするためのプロセス。
【背景技術】
【0002】
洗剤組成物を含む水溶性単位用量物品は、使用するのが便利かつ効率的であるため、消費者に好まれている。そのような水溶性単位用量物品は、好ましくはポリビニルアルコールで作製された水溶性フィルムを含む。理論に拘束されることを望むものではないが、水に添加すると、水溶性フィルムは溶解又は崩壊して、洗剤組成物を洗浄液中に放出する。
【0003】
そのような水溶性単位用量物品は、少なくとも第1の水溶性フィルムと第2の水溶性フィルムを含む。第1及び第2の水溶性フィルムは共にシールされて、洗剤組成物を含む内部区画を作成する。フィルムは、溶剤が噴霧を介して第1の水溶性フィルムの少なくとも一部に塗布され得る溶剤シールを介して共にシールされ得る。次いで、第2の水溶性フィルムの少なくとも一部が、噴霧を介して塗布された溶剤を含む第1の水溶性フィルムの領域の少なくとも一部に接触させられる。
【0004】
欧州特許第1641865(B)号及び米国特許出願公開第20180134431(A1)号は、溶剤組成物をフィルムの少なくとも1つに噴霧し、次いでフィルムを共に接触させる工程を含む、水溶性フィルムを共にシールするための装置及びプロセスを教示している。
【0005】
しかしながら、これらの既知のプロセスに伴う問題は、早期のシール不良が発生する可能性があることである。そのようなシール不良は、使用前の単位用量物品の早期破壊をもたらす可能性がある。したがって、当該技術分野では、噴霧シールによるシール強度が改善された、水溶性ポリビニルアルコールフィルムを共にシールするためのプロセスが必要とされている。
【0006】
驚くべきことに、本発明によるプロセスは、噴霧シールによってシール強度が改善されたプロセスを提供することが見出された。
【0007】
欧州特許第16141865(B)号は、シール溶液の小液滴サイズを教示している。理論に拘束されることを望むものではないが、溶剤シール液滴サイズを注意深く制御することは、水溶性フィルム上の液滴堆積効率を改善し、その結果、シール強度を改善すると考えられる。小さい液滴サイズは、低い慣性度に起因して、より小さな割合のシール溶液が水溶性フィルムに到達する結果をもたらし、これにより、液滴をより容易に偏向させて、シール強度の低下、ひいては周囲環境の汚染を招くと考えられる。さらに、小さい液滴は、高い表面対体積比に起因して、水溶性フィルムの表面へ、及び水溶性フィルムの表面上を移動しながら、飛翔中により迅速に乾燥し、これは、2つの水溶性フィルム間に強力なシールを確立する時間が短くなることを意味する。
【0008】
小さい液滴の使用を補償するため、より多い量のシール溶液を噴霧する必要があり、その結果、ライン速度が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】欧州特許第1641865(B)号
【文献】米国特許出願公開第20180134431(A1)号
【文献】欧州特許第16141865(B)号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明のプロセスは、従来技術の溶液と比較して、環境汚染の低減、シール溶液の使用の低減、及びライン速度の高速化と組み合わされてシール強度の改善をもたらす、改善された堆積効果を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムを第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムにシールするためのプロセスであって、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムが、第1の面及び第2の面を有し、第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムが、第1の面及び第2の面を有し、プロセスは、
a.第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部に、液体溶剤シール組成物を塗布する工程と、
b.第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部を、液体溶剤シール組成物で噴霧された第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の一部と接触させる工程と、を含み、
液体溶剤シール組成物が、ノズルから噴霧として塗布され、ノズルが、放出口を備え、液体溶剤シール組成物が、放出口から吐出され、噴霧が、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面に接触する前に、50マイクロメートル~200マイクロメートルの平均液滴サイズd50を有し、平均液滴サイズd50が、ノズルから噴霧された後に噴霧液滴の光学的撮像によって測定され、噴霧液滴が、放出口に対して垂直に100mmの距離にあり、ノズルが、噴霧が放出口から垂直に出るように配向され、液滴が放出口から出ると、画像が液滴の移動方向に対して垂直に捕捉される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明による、放出口から第1のポリビニルアルコールフィルムの第1の面に噴霧されている噴霧を示す図である。
【
図2】本発明による、各々が放出口を備える複数のノズルを示す図である。
【
図4】機械方向に移動する第1のポリビニルアルコールフィルムを示す図であり、複数のノズルが、本発明により、機械横断方向に互いに並んで配置されている。
【
図5】パターニング装置を使用して噴霧された液体溶剤シール組成物の噴霧角を測定する方法を示す図である。
【
図6】本発明による異なる噴霧円錐を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
プロセス
本発明は、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムを第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムにシールするためのプロセスである。水溶性フィルムについて、以下でより詳細に説明する。
【0014】
第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムは、第1の面及び第2の面を有し、第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムは、第1の面及び第2の面を有する。
【0015】
プロセスは、
a.第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部に、液体溶剤シール組成物を塗布する工程を含む。
【0016】
液体溶剤シール組成物は、ノズルから噴霧として塗布される。ノズルについて、以下にさらに詳細に記載する。ノズルは放出口を備え、液体溶剤シール組成物は放出口から吐出される。吐出されると、噴霧は、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面に接触する前に、50マイクロメートル~200マイクロメートル、好ましくは50マイクロメートル~150マイクロメートル、より好ましくは70マイクロメートル~130マイクロメートル、さらにより好ましくは90マイクロメートル~110マイクロメートルの平均液滴サイズd50を有する。
【0017】
平均液滴サイズd50は、ノズルから噴霧された後に噴霧液滴の光学的撮像によって測定される。測定される噴霧液滴は、放出口に対して垂直に100mmの距離にある。ノズルは、噴霧が放出口から垂直に出るように配向され、液滴が放出口から出ると、画像が液滴の移動方向に対して垂直に捕捉される。
【0018】
液滴サイズは、光学的高速撮像を使用して測定することができる。測定は、Oxford Lasers製のVisiSize P15を用いて行うことができる。好ましい液滴サイズ試験方法を以下に記載する。
【0019】
一態様では、液滴の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも90%は、50マイクロメートル~200マイクロメートル、好ましくは50マイクロメートル~150マイクロメートル、より好ましくは70マイクロメートル~130マイクロメートル、さらにより好ましくは90マイクロメートル~110マイクロメートルの液滴サイズを有する。液滴サイズは、光学的高速撮像を使用して測定することができる。測定は、Oxford Lasers製のVisiSize P15を用いて行うことができる。好ましい液滴サイズ試験方法を以下に記載する。
【0020】
放出口から第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面への最短距離は、40mm~160mm、好ましくは60mm~120mm、より好ましくは70mm~90mmであり得る。液体溶剤シール組成物は、200kPa~1000kPa、好ましくは400kPa~800kPaの圧力で放出口から吐出され得る。
【0021】
図1に示すように、噴霧(1)が放出口(2)から第1のポリビニルアルコールフィルム(4)の第1の面(3)上に噴霧されるとき、噴霧(1)は噴霧角(6)を有し、噴霧角(6)は、80度~130度、好ましくは90度~120度である。
【0022】
噴霧は円錐形状を有してもよく、好ましくは円錐形状は、楕円形円錐、円形円錐、平坦円錐又はそれらの混合物から選択され、好ましくは平坦円錐である。
図6は、ノズル(7)の放出口(2)から噴霧されたときの楕円形(13)、円形(14)、及び平坦(15)の円錐形状の例を示す。当業者であれば、そのような形状及び噴霧パターンに精通しており、使用される用語を容易に理解するであろう。
【0023】
理論に拘束されることを望むものではないが、非円形断面円錐形状を指す場合、円錐角は、断面における最大寸法によって定義される角度として理解されるべきである。
【0024】
液体溶剤シール組成物は、複数のノズルから噴霧として塗布され得る。例えば、製造プロセスでは、いくつかの箇所で第1のポリビニルアルコールフィルムを第2のポリビニルアルコールフィルムにシールすることが望ましい。複数のノズルは、少なくとも2つ、又は少なくとも3つ、又はさらには少なくとも4、又はさらには少なくとも5つ、さらには少なくとも6つのノズルを含み得、各ノズルは、放出口を備え、液体組成物は、放出口から吐出される。各ノズルからの噴霧は個々に、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面に接触する前に、50マイクロメートル~200マイクロメートル、好ましくは50マイクロメートル~150マイクロメートル、より好ましくは70マイクロメートル~130マイクロメートル、さらにより好ましくは90マイクロメートル~110マイクロメートルの平均液滴サイズd50を有する。好ましくは、独立して、各ノズルからの液滴の少なくとも50%、好ましくは少なくとも70%、又はさらにより好ましくは少なくとも90%は、50マイクロメートル~200マイクロメートル、好ましくは50マイクロメートル~150マイクロメートル、より好ましくは70マイクロメートル~130マイクロメートル、さらにより好ましくは90マイクロメートル~110マイクロメートルの液滴サイズを有し、平均液滴サイズd50及び液滴サイズ分布は、ノズルから噴霧された後に噴霧液滴の光学的撮像によって測定され、測定される噴霧液滴は、放出口に対して垂直に100mmの距離にあり、ノズルは、噴霧が放出口から垂直に出るように配向され、液滴が放出口から出ると、画像が液滴の移動方向に対して垂直に捕捉される。
【0025】
各ノズルからの液体溶剤シール組成物は、独立して、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の異なる部分に接触し得る。あるいは、1つのノズルからの1つの液体シール組成物の少なくとも一部は、第2のノズルからの液体シール組成物と重なり合ってもよい。
【0026】
好ましくは、第1のポリビニルアルコールフィルムは機械方向に移動し、複数のノズルは機械横断方向に互いに並んで配置される。理論に拘束されることを望むものではないが、機械横断方向は、機械方向に垂直である。
【0027】
好ましくは、各ノズルは個々に、噴霧角を有し、独立して、各ノズルからの噴霧が第1のポリビニルアルコールフィルムの第1の面に噴霧されるとき、噴霧角は、80度~130度、好ましくは90度~120度の噴霧角を有し、好ましくはノズルの放出口の中心点と隣接ノズルの放出口の中心点との間の距離が、130mm~250mm、好ましくは150mm~190mmである。
【0028】
図2は、各々が放出口(2A、2B、2C、2D)を備える複数のノズル(7A、7B、7C、7D)を示す。各ノズル(7A、7B、7C、7D)は、第1のポリビニルアルコールフィルム(4)の第1の面(3)上に噴霧(1A、1B、1C、1D)を噴霧している。各噴霧(1A、1B、1C、1D)は、噴霧角(6A、6B、6C、6D)を有する。各放出口(2A、2B、2C、2D)は、中心点(9A、9B、9C、9D)を有し、隣接する放出口(2A、2B、2C、2D)の各中心点(9A、9B、9C、9D)間の距離(8A、8B、8C)は、130mm~250mm、好ましくは150mm~190mmである。噴霧1Aは、噴霧1Bと一部重複する。噴霧1Bはまた、噴霧1Cと一部重複する。噴霧1Cは、噴霧1Dと部分的に重複する。理論に拘束されることを望むものではないが、そのような重複は、最大噴霧到達範囲を保証する。
【0029】
【0030】
図4に示すように、第1のポリビニルアルコールフィルム(4)は、機械方向(11)に移動し得、複数のノズル(7A、7B、7C、7D)は、機械横断方向(12)で互いに並んで配置され得る。
【0031】
液体溶剤シール組成物は、複数のノズルから同時に、又は非同時に、好ましくは同時に吐出され得る。
【0032】
好ましくは、プロセスが複数のノズルを含む場合、複数のノズルは、好ましくは機械横断方向に配置される。理論に拘束されることを望むものではないが、機械方向は、第1のポリビニルアルコールフィルムが移動する方向である。機械横断方向は、機械方向に垂直な方向である。「垂直」とは、本明細書において、80度~100度、好ましくは85度~95度、より好ましくは90度を意味する。ノズルは、機械横断方向に直線状に配置され得る、又は機械横断方向に千鳥状に配置され得る。
【0033】
好ましくは、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面は、10g/m2~40g/m2、好ましくは15g/m2及~35g/m2の速度で液体溶剤シール組成物でコーティングされる。
【0034】
理論に拘束されることを望むものではないが、液体溶剤シール組成物のコーティングは、「平均コート重量」として測定される。典型的には、これは、塗布される液体の量/総面積の推定値であり、この面積は、噴霧角の幅×所与の時間内に基材(フィルム)が移動する距離である。
【0035】
液体組成物は、放出口から連続的に、又は断続的に、好ましくは断続的に吐出され得る。プロセスが複数のノズルを含む場合、各ノズルの各放出口は独立して、液体組成物を連続的に、又は断続的に、好ましくは断続的に吐出し得る。
【0036】
好ましくは、液体組成物は、放出口から断続的に吐出され、第1のポリビニルアルコールフィルムは、機械方向に連続的に移動し、第1のポリビニルアルコールフィルムは、各断続的噴霧の間に0.5mm~10mm、好ましくは1mm~5mmの距離を移動する。プロセスが複数のノズルを含む場合、好ましくは、液体組成物は、各ノズル放出口から断続的に吐出され、第1のポリビニルアルコールフィルムは、機械方向に連続的に移動し、第1のポリビニルアルコールフィルムは、各断続的噴霧の間に0.5mm~10mm、好ましくは1mm~5mmの距離を移動する。好ましくは、各放出口からの断続的な噴霧は、同時に行われる。
【0037】
プロセスは、
b.第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部を、液体溶剤シール組成物で噴霧された第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の一部と接触させる工程を含む。
【0038】
理論に拘束されることを望むものではないが、液体溶剤シール組成物で噴霧された第1の水溶性フィルムの第1の面の全領域を、第2のポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部に接触させ得る。あるいは、液体溶剤シール組成物で噴霧された第1の水溶性フィルムの第1の面の領域の一部を、第2のポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部に接触させ得る。
【0039】
第1のポリビニルアルコールフィルムの第1の面と第2のポリビニルアルコールフィルムの第1の面とを接触させるとき、圧力が加えられ得る。あるいは、熱が加えられてもよい。あるいは、圧力及び熱が加えられてもよい。
【0040】
好ましくは、第2のポリビニルアルコールフィルムを第1のポリビニルアルコールフィルムと接触させる前に、第2のポリビニルアルコールフィルムは、まず開放空洞に変形される。これは、例えば、熱成形、真空形成、又はそれらの組み合わせによって達成され得る。好ましくは、開放空洞は、洗剤組成物で充填される。洗濯洗剤組成物について、以下により記載に説明する。次いで、第2のポリビニルアルコールフィルムの少なくとも一部が、噴霧溶液が塗布された第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部と接触させられる。
【0041】
第2のポリビニルアルコールフィルムは、単一の開放空洞を生成するように変形され得る。あるいは、第2のポリビニルアルコールフィルムは、複数の空洞を生成するように変形され得、各空洞は同じであってもよい、又は複数の空洞が異なる形状の空洞である選択を含んでもよい。液体溶剤シール溶液は、第2のポリビニルアルコールフィルムの未変形部分、第2のポリビニルアルコールフィルムの変形部分、又は第2のポリビニルアルコールフィルムの未変形部分と変形部分の両方に噴霧され得る。
【0042】
洗剤組成物が粉末洗剤組成物である場合、液体溶剤シール組成物を塗布する前に、未変形領域から過剰な/こぼれた粉末を除去する追加の工程が存在し得る。当業者であれば、これを達成するために、真空などの既知の方法/技術を認識しているであろう。
【0043】
第2のポリビニルアルコールフィルムは、ドラム又は水平ベルト上で変形され得る。
【0044】
好ましくは、任意の先行する請求項によるプロセスは、
c.第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面の少なくとも一部又は第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面の少なくとも一部、好ましくは第1の水溶性フィルムの第2の面の少なくとも一部に、液体溶剤シール組成物を塗布する工程であって、液体溶剤シール組成物が、ノズルから噴霧として塗布され、噴霧が本発明により定義される、工程と、
d.第3の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部を、噴霧角液体溶剤シール組成物で噴霧された、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面又は第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面、好ましくは第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面の一部と接触させる工程と、をさらに含む。
【0045】
好ましくは、第3のポリビニルアルコールフィルムを第1のポリビニルアルコールフィルムと接触させる前に、第3のポリビニルアルコールフィルムは、まず開放空洞に変形される。これは、例えば、熱成形、真空形成、又はそれらの組み合わせによって達成され得る。好ましくは、開放空洞は、洗剤組成物で充填される。洗濯洗剤組成物について、以下により記載に説明する。次いで、第3のポリビニルアルコールフィルムを第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面又は第2の水溶性フィルムの第2の面、好ましくは第1の水溶性フィルムの第2の面と接触させる。
【0046】
理論に拘束されることを望むものではないが、液体溶剤シール組成物で噴霧された第1の水溶性フィルムの第2の面又は第2の水溶性フィルムの第2の面の全領域を、第3のポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部に接触させ得る。あるいは、液体溶剤シール組成物で噴霧された、第1の水溶性フィルムの第2の面又は第2の水溶性フィルムの第2の面の領域の一部を、第3のポリビニルアルコールフィルムの第1の面の少なくとも一部に接触させ得る。
【0047】
第3のポリビニルアルコールフィルムの第1の面と第2のポリビニルアルコールフィルムの第2の面又は第1のポリビニルアルコールフィルムの第2の面とを接触させるとき、圧力が加えられ得る。あるいは、熱が加えられてもよい。あるいは、圧力及び熱が加えられてもよい。
【0048】
第3のポリビニルアルコールフィルムは、単一の開放空洞を生成するように変形され得る。あるいは、第3のポリビニルアルコールフィルムは、複数の空洞を生成するように変形され得、各空洞は同じであってもよい、又は複数の空洞が異なる形状の空洞である選択を含んでもよい。液体溶剤シール溶液は、第3のポリビニルアルコールフィルムの未変形部分、第3のポリビニルアルコールフィルムの変形部分、又は第3のポリビニルアルコールフィルムの未変形部分と変形部分の両方に噴霧され得る。
【0049】
洗剤組成物が粉末洗剤組成物である場合、液体溶剤シール組成物を塗布する前に、未変形領域から過剰な/こぼれた粉末を除去する追加の工程が存在し得る。当業者であれば、これを達成するために、真空などの既知の方法/技術を認識しているであろう。
【0050】
好ましくは、第2の水溶性フィルムはドラム上で変形し、第3の水溶性フィルムは水平ベルト上で変形する。
【0051】
3つのポリビニルアルコールフィルムが使用される場合、得られる単位用量物品は重ね合わされた単位用量物品であり、少なくとも第1の区画が少なくとも第2の区画の上に位置し、第1及び第2の区画がフィルムの層によって分離されている。
【0052】
あるいは、液体溶剤シール組成物は、第1のポリビニルアルコールフィルムと第2のポリビニルアルコールフィルムとを接触させる前に、第1のポリビニルアルコールフィルムの第1の面及び第2のポリビニルアルコールフィルムの第1の面、又は第2の水溶性フィルムの第1の面にのみ噴霧され得る。液体溶剤シール組成物は、第1のポリビニルアルコールフィルムと第3のポリビニルアルコールフィルムとを接触させる前に、第1のポリビニルアルコールフィルムの第2の面及び第3のポリビニルアルコールフィルムの第1の面に、又は第3の水溶性フィルムの第1の面にのみ噴霧され得る。
【0053】
第3の水溶性フィルムは、まず開放空洞に変形され、開放空洞は、洗剤組成物で充填され、次いで、第1の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面又は第2の水溶性ポリビニルアルコールフィルムの第2の面と接触させられ得る。第3のポリビニルアルコールフィルムは、ドラム又は水平ベルト上で変形され得る。
【0054】
本発明のさらなる態様では、第4のポリビニルアルコールフィルムが使用され得る。このような実行では、本発明に従って作製された第1のポリビニルアルコールフィルム及び第2のポリビニルアルコールフィルムを各々含む2つの別個の水溶性単位用量物品が、本発明の教示に従って互いに重ね合わされ、共にシールされ得る。
【0055】
フィルム
本発明の水溶性フィルムは、水溶性又は水分散性である。水溶性フィルムは、好ましくは、20~150マイクロメートル、好ましくは35~125マイクロメートル、さらにより好ましくは50~110マイクロメートル、最も好ましくは約76マイクロメートルの厚さを有する。「フィルム」又は「複数のフィルム」は、独立して、第1のポリビニルアルコールフィルム、第2のポリビニルアルコールフィルム、存在する場合には第3のポリビニルアルコールフィルム、又はそれらの組み合わせを指す。
【0056】
好ましくは、フィルムは、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又はさらには少なくとも95%の水への溶解度を有し、これは20マイクロメートルの最大孔径を有するガラスフィルタを用いた後に本明細書で示される以下の方法によって測定される。5グラム±0.1グラムのフィルム材料を、予め計量された3Lのビーカーに加え、2L±5mlの蒸留水を加える。これを、600rpmに設定した磁気撹拌器(Lablineモデル番号1250)又は等価物、及び5cmの磁気撹拌器で、30℃で30分間にわたり激しく撹拌する。次いで、混合物を、上記で定義した孔径(最大20マイクロメートル)の折り畳まれた定性焼結ガラスフィルタにより濾過する。任意の従来の方法によって、回収した濾液から水を乾燥させ、残った材料の重量を求める(これが溶解画分又は分散画分である)。次いで、溶解度又は分散率を計算することができる。
【0057】
水溶性フィルム材料は、当該技術分野において公知の、例えば、ポリマー材料の注入成形、ブロー成形、押出成形又は吹込押出成形によって得ることができる。
水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールを含む。ポリビニルアルコールは、水溶性フィルムの50重量%~95重量%、好ましくは55重量%~90重量%、より好ましくは60重量%~80重量%存在し得る。ポリビニルアルコールは、好ましくは、ポリビニルアルコールホモポリマー、ポリビニルアルコールコポリマー、好ましくはアニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、又はそれらの混合物を含む。好ましくは、水溶性フィルムは、ポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はアニオン性ポリビニルアルコールコポリマーのブレンドを含むか、又はそれからなるポリビニルアルコールを含み、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーは、好ましくは、スルホン化及びカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーから選択され、最も好ましくは、ポリビニルアルコールは、2つのポリビニルアルコールホモポリマーのブレンド、又はポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドを含む、又はそれからなる。あるいは、ポリビニルアルコールは、単一のアニオン性ポリビニルアルコールコポリマー、最も好ましくはカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーを含むか、又はさらにそれからなる。最も好ましくは、水溶性フィルム中のポリビニルアルコールは、ポリビニルアルコールホモポリマーとカルボキシル化アニオン性ポリビニルアルコールコポリマーとのブレンドであり、ホモポリマー及びアニオン性コポリマーは、90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、より好ましくは70/30~50/50の相対重量比で存在する。水溶性フィルム中のポリビニルアルコールが、2つのポリビニルアルコールホモポリマーのブレンドである場合、第1及び第2のポリビニルアルコールホモポリマーは、好ましくは、90/10~10/90、好ましくは80/20~20/80、より好ましくは70/30~50/50の相対重量比で存在する。理論に拘束されることを望むものではないが、「ホモポリマー」という用語は、一般に、1種類のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、単一のモノマー繰り返し単位を含む、又はそれからなるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「ホモポリマー」という用語は、加水分解度に応じて、ある分布のビニルアルコールモノマー単位及び任意にビニルアセテートモノマー単位の分布を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位を含む、又はそれからなるポリマー鎖)をさらに含む。加水分解が100%である場合、ポリビニルアルコールホモポリマーは、ビニルアルコール単位のみを含むことができる。理論に拘束されることを望むものではないが、用語「コポリマー」は、一般に、2種類以上のモノマー繰り返し単位を有するポリマー(例えば、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーなどであるかどうかにかかわらず、2つ以上の異なるモノマー繰り返し単位を含む、又はそれからなるポリマー鎖)を含む。特にポリビニルアルコールの場合、「コポリマー」(又は「ポリビニルアルコールコポリマー」)という用語は、加水分解度に応じて、ビニルアルコールモノマー単位及びビニルアセテートモノマー単位の分布、並びに少なくとも1つの他のタイプのモノマー繰り返し単位を有するコポリマー(例えば、ビニルアルコールモノマー単位、ビニルアセテートモノマー単位、及び1つ以上の他のモノマー単位、例えばアニオン性モノマー単位を含む、又はそれからなるター(又はそれ以上)ポリマー鎖)をさらに含む。加水分解が100%である場合、ポリビニルアルコールコポリマーは、ビニルアルコール単位及び1つ以上の他のモノマー単位を有するコポリマーを含んでもよいが、ビニルアセテート単位を含まない。理論に拘束されることを望むものではないが、「アニオン性コポリマー」という用語は、アニオン性部分を含むアニオン性モノマー単位を有するコポリマーを含む。アニオン性ポリビニルアルコールポリマーに使用できるアニオン性モノマー単位の一般的な分類は、モノカルボン酸ビニルモノマー、そのエステル及び無水物、重合可能な二重結合を有するジカルボン酸モノマー、そのエステル及び無水物、ビニルスルホン酸モノマー、並びに上記のいずれかのアルカリ金属塩、に対応するビニル重合単位を含む。好適なアニオン性モノマー単位の例としては、ビニルアニオン性モノマーに対応するビニル重合単位が挙げられ、当該ビニルアニオン性モノマーとしては、ビニル酢酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキル、マレイン酸ジアルキル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、無水マレイン酸、フマル酸、フマル酸モノアルキル、フマル酸ジアルキル、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、無水フマル酸、イタコン酸、イタコン酸モノメチル、イタコン酸ジメチル、無水イタコン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-スルホエチルアクリレート(2-sufoethyl acrylate)、上記のアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、又は他のアルカリ金属塩)、上記のエステル(例えば、メチル、エチル、又は他のC1~C4若しくはC6アルキルエステル)、及びこれらの組み合わせ(例えば、複数の種類のアニオン性モノマー、又は同じアニオン性モノマーの同等の形態)が挙げられる。アニオン性モノマーは、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸(例えば、2-アクリルアミド-1-メチルプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、2-メチルアクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸)、そのアルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩)、及びこれらの組み合わせのうちの1つ以上であってよい。好ましくは、第1アニオン性モノマー単位のアニオン性部分は、スルホネート、カルボキシレート、又はこれらの混合物、より好ましくはカルボキシレート、最も好ましくはアクリレート、メタクリレート、マレエート、又はこれらの混合物から選択される。好ましくは、アニオン性モノマー単位は、アニオン性ポリビニルアルコールコポリマー中に、1モル%~10モル%、好ましくは2モル%~5モル%の範囲の平均量で存在する。好ましくは、ポリビニルアルコール、及び/又はポリビニルアルコールブレンドの場合の個々のポリビニルアルコールポリマーは、4mPa.s~30mPa.s、好ましくは5mPa.s~25mPa.sの範囲の平均粘度(μ1)を有し、20℃脱イオン水中の4%ポリビニルアルコールポリマー溶液として測定される。ポリビニルアルコールの粘度は、British Standard EN ISO15023-2:2006 Annex E Brookfield Test methodに記載されるように、ULアダプタを備えたBrookfield LV型粘度計を使用して、新たに製造した溶液を測定することにより決定される。4%ポリビニルアルコール水溶液の20℃における粘度を指定することが国際的な慣行である。水溶性ポリマー水溶液(ポリビニルアルコール又はその他)の粘度は、同じポリマーの重量平均分子量と相関し、多くの場合、粘度は、重量平均分子量の代用として用いられることは、当該技術分野において周知である。したがって、ポリビニルアルコールの重量平均分子量は、20000~175000、又は25000~100000、又は30000~80000の範囲であり得る。好ましくは、ポリビニルアルコール及び/又はポリビニルアルコールブレンドの場合、個々ポリビニルアルコールポリマーは、75%~99%、好ましくは80%~95%、最も好ましくは85%~95%の範囲の平均加水分解度を有する。加水分解度を測定する好適な試験方法は、標準法であるJIS K6726に準拠するものである。
【0058】
好ましくは、水溶性フィルムは、非水性可塑剤を含む。好ましくは、非水性可塑剤は、ポリオール、糖アルコール、及びこれらの混合物から選択される。好適なポリオールとしては、グリセロール、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、400分子量以下のポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン及びポリエーテルポリオール、又はこれらの混合物からなる群から選択されるポリオールが挙げられる。好適な糖アルコールとしては、イソマルト、マルチトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、アドニトール、ズルシトール、ペンタエリスリトール、及びマンニトール、又はこれらの混合物からなる群から選択される糖アルコールが挙げられる。より好ましくは、非水性可塑剤は、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はこれらの混合物から選択され、最も好ましくは、グリセロール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、ジプロピレングリコール、及びこれらの混合物から選択される。1つの特に好適な可塑剤系は、グリセロール、ソルビトール、及びトリメチロールプロパンの、ブレンドを含む。別の特に好適な可塑剤系は、グリセリン、ジプロピレングリコール、及びソルビトールの、ブレンドを含む。好ましくは、フィルムは、フィルムの5重量%~50重量%、好ましくは10重量%~40重量%、より好ましくは20重量%~30重量%の非水性可塑剤を含む。
【0059】
好ましくは、水溶性フィルムは、界面活性剤を含む。好ましくは、水溶性フィルムは、水溶性フィルムの0.1重量%~2.5重量%、好ましくは1重量%~2重量%の界面活性剤を含む。好適な界面活性剤としては、非イオン性、カチオン性、アニオン性及び双極性の部類を挙げることができる。好適な界面活性剤としては、ポリオキシエチレン化ポリオキシプロピレングリコール、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、第3級アセチレングリコール及びアルカノールアミド(非イオン性物質)、ポリオキシエチレン化アミン、第四級アンモニウム塩、及び四級化されたポリオキシエチレン化アミン(カチオン性物質)、及びアミンオキシド、N-アルキルベタイン及びスルホベタイン(双極性物質)が挙げられるが、これらに限定されない。他の好適な界面活性剤としては、ジオクチルナトリウムスルホサクシネート、グリセロールとプロピレングリコールのラクチル化脂肪酸エステル、脂肪酸のラクチルエステル(lactylic ester)、アルキル硫酸ナトリウム、ポリソルベート20、ポリソルベート60、ポリソルベート65、ポリソルベート80、レシチン、グリセロールとプロピレングリコールのアセチル化脂肪酸エステル、及び脂肪酸のアセチル化エステル、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0060】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、潤滑剤/剥離剤を含む。好適な潤滑剤/離型剤としては、脂肪酸類及びこれらの塩類、脂肪族アルコール類、脂肪酸エステル類、脂肪族アミン類、脂肪族アミンアセテート類及び脂肪酸アミド類が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい潤滑剤/離型剤は、脂肪酸類、脂肪酸塩、及び脂肪族アミンアセテート類である。好ましくは、水溶性フィルム中の界面活性剤の量は、水溶性フィルムの0.02重量%~1.5重量%、好ましくは0.1重量%~1重量%の範囲である。
【0061】
好ましくは、水溶性フィルムは、充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物を含む。好適な充填剤、増量剤、ブロッキング防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物としては、デンプン、変性デンプン、架橋ポリビニルピロリドン、架橋セルロース、微結晶セルロース、シリカ、金属酸化物、炭酸カルシウム、タルク及び雲母が挙げられるが、これらに限定されない。好ましい材料は、デンプン、変性デンプン及びシリカである。好ましくは、水溶性フィルム中の充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の量は、当該水溶性フィルムの0.1重量%~25重量%、好ましくは1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~8重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の範囲である。デンプンの非存在下では、好適な充填剤、展延剤、粘着防止剤、粘着性除去剤、又はこれらの混合物の1つの好ましい範囲は、当該水溶性フィルムの0.1重量%~1重量%、好ましくは4重量%、より好ましくは6重量%、さらにより好ましくは1重量%~4重量%、最も好ましくは1重量%~2.5重量%である。
【0062】
好ましくは、本発明による水溶性フィルムは、カールフィッシャー滴定によって測定したとき、当該水溶性フィルムの少なくとも4重量%、より好ましくは4重量%~15重量%、さらにより好ましくは5重量%~10重量%の範囲の残留水分含量を有する。
【0063】
好ましいフィルムは、冷水、すなわち、加熱されていない蒸留水中で良好な溶解を示すものである。好ましくは、そのようなフィルムは、24℃の温度で、さらにより好ましくは10℃で良好な溶解を呈する。良好な溶解とは、上述の最大孔径が20マイクロメートルのガラスフィルタの使用後に、本明細書に記載の方法によって測定したとき、フィルムが、少なくとも50%、好ましくは少なくとも75%、又はさらには少なくとも95%の水溶性を示すことを意味する。
【0064】
本明細書に記載の水溶性フィルムは、商品名M8630、M8900、M8779、M8310でMonoSol,LLCによって、商品名SolublonでAicello Corporationによって、商品名Hi-SelonでNippon Gohseiによって、又は商品名SelvolでSekisui Chemicalによって市販されている。
【0065】
フィルムは、不透明、透明又は半透明であってもよい。フィルムは、印刷された領域を含んでもよい。印刷区域は、フレキソ印刷又はインクジェット印刷などの標準的な技術を使用して得ることができる。好ましくは、印刷領域に使用されるインクは、0ppm~20ppm、好ましくは0ppm~15ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、さらにより好ましくは0ppm~5ppm、さらにより好ましくは0ppm~1ppm、さらにより好ましくは0ppb~100ppb、最も好ましくは0ppbのジオキサンを含む。当業者であれば、インク配合物内のジオキサンレベルを判定するための既知の方法及び技術を認識するであろう。
【0066】
フィルムは、嫌悪剤、例えば苦味剤を含んでもよい。好適な苦味剤としては、ナリンギン、スクロースオクタアセテート、塩酸キニーネ、デナトニウムベンゾエート、又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。任意の好適な濃度の嫌悪剤をフィルムに使用してもよい。好適な濃度としては、1~5000ppm、又はさらには100~2500ppm、又はさらには250~2000rpmが挙げられるが、これらに限定されない。
【0067】
好ましくは、水溶性フィルム、又は水溶性単位用量物品、又はその両方は、潤滑剤でコーティングされ、好ましくは、潤滑剤は、タルク、酸化亜鉛、シリカ、シロキサン、ゼオライト、ケイ酸、アルミナ、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、クエン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、トリポリリン酸カリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、デンプン、変性デンプン、粘土、カオリン、石膏、シクロデキストリン、又はこれらの混合物から選択される。
【0068】
好ましくは、水溶性フィルム及びその各個々の成分は、独立して、0ppm~20ppm、好ましくは0ppm~15ppm、より好ましくは0ppm~10ppm、さらにより好ましくは0ppm~5ppm、さらにより好ましくは0ppm~1ppm、さらにより好ましくは0ppb~100ppb、最も好ましくは0ppbのジオキサンを含む。当業者であれば、水溶性フィルム及びその成分内のジオキサンレベルを決定するための既知の方法及び技術を認識するであろう。
【0069】
ノズル
ノズルは、好ましくは、油圧ノズル又は空気噴霧ノズルから選択され、好ましくは油圧ノズルである。プロセスが複数のノズルを含む場合、各ノズルは独立して、好ましくは、油圧ノズル又は空気噴霧ノズルから選択され、好ましくは油圧ノズルである。
【0070】
理論に拘束されることを望むものではないが、油圧ノズルは、液体の内部エネルギーを使用して、液体を液滴に分解し、噴霧パターンを形成する。これは、ノズル内の圧力及び速度の突然の変化によって達成される。
【0071】
油圧ノズルの例には、液体の分解が、噴霧パターン形成を制御する振動プランジャによって補助されるソレノイドノズルが含まれる。
【0072】
理論に拘束されることを望むものではないが、空気噴霧ノズルは、圧縮空気を使用し、圧縮空気が液体に衝突して噴霧パターンを形成する。空気噴霧ノズルでの液滴サイズは、ほぼ完全に圧縮空気のエネルギー(圧力及び流速)によって提供される。理論に拘束されることを望むものではないが、空気圧及び流束が高い空気噴霧ノズルほど、所与の流量及び液体圧力でより小さな液滴をもたらす。これは、低い液圧の非常に低い流速でも、微細な噴霧化が可能であることを意味する。
【0073】
溶剤シール組成物
好ましくは、液体溶剤シール組成物は、水、非水性溶剤、又はそれらの混合物を含む。シール溶剤組成物は、界面活性剤及び/又はポリビニルアルコールホモポリマー及び/又はポリビニルアルコールコポリマーなどの水溶性ポリマーを含むがこれらに限定されないさらなる補助材料を含み得る。好ましくは、液体溶剤シール組成物は、液体溶剤シール組成物の少なくとも90重量%、より好ましくは少なくとも95重量%の水を含む。最も好ましくは、液体溶剤シール組成物は水からなる。水は、脱イオン水であってもよい、又は水硬度イオン及び典型的にはコミューン水に見られる他のイオンを含んでもよい。液体シール溶液は、放出口から噴霧される前に、15℃~25℃であり得る。
【0074】
非水性溶剤は、プロピレングリコール、グリセロール、1,2-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、又はそれらの混合物を含み得る。
【0075】
液体シール溶液は、補助成分としてポリマーを含み得る。好ましくは、当該補助ポリマーは、水溶性フィルムに含まれるものと同じポリマーである。
【0076】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」と開示された寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。
【実施例】
【0077】
試験方法
噴霧パターン形状の定量化
ある期間にわたって放出口から噴霧された液体溶剤シール組成物の噴霧パターン及び体積は、SpotOn Mini Patternatorによって提供されるようなパターニング装置を使用して判定することができる。
【0078】
理論に拘束されることを望むものではないが、パターニング装置は、噴霧が放出口から塗布される際に、水滴が各ビンに別々に収集される垂直区画に分割されるボックスである。所定期間後にビンに収集された水の高さは、噴霧パターン形状を定量化し、また、所定期間内に噴霧された液体溶剤シール溶液の全体積を提供する。
【0079】
噴霧角
図5を参照すると、噴霧角「a」を決定するために、放出口は、上述のパターニング装置から距離d=100mmに配置される。水が中央区間を充填するのを可能にするのに十分な時間噴霧した後、条件h=0.05
*Hを最も厳密に満たす、高さ「H」の中央区間から高さ「h」の最遠区間までの距離が、噴霧パターン幅wとして定義される。噴霧角aは、以下のように計算される。
2
*arctan(w/d)。
【0080】
液滴サイズ試験方法
液滴サイズ分布を、VisiSize P15(Oxford Lasers ltd.)を使用して評価した。液体溶剤シール組成物を、ノズルの放出口から垂直方向下方に噴霧させた。
【0081】
噴霧液滴サイズ分布を、ノズルの放出口の幾何学的中心から100mmの距離で、75ml/分の流量及び3barの圧力で評価した。
【0082】
使用したソフトウェアは、VisiSize 6.5.42であり、B1921カメラ、標準レンズオプション3X、倍率設定4Xを使用した。
【0083】
(実施例1)
0.38mmの直径及び100度の噴霧角を有する放出口を備えるノズル(部品番号TPU950033PWMD-SSのノズル先端を有する部品番号AA10000AUH-104215-V1の噴霧システムノズル)を、放出口よりも垂直下方80mmの距離に置かれたSpotOn(登録商標)噴霧パターン試験紙であるGempler’s(米国ウィスコンシン州、ジェーンズビル)から入手可能な噴霧パターン試験紙の上方に垂直に配置した。水からなる液体溶剤シール組成物を調製した。
【0084】
20℃の温度の水を、3.8バールの圧力で放出口から噴霧し、46.7g/分の流量をもたらした。室内環境条件は23±2℃及び35±5%rHであった。
【0085】
得られた噴霧パターン[平坦円錐]は、50μm~60μmの直径d50を有する液滴サイズ分布を有していた。
【0086】
これらの条件下で、75%の良好な噴霧効率が得られた。この効率は、所定時間(この場合は30秒)に基材によって吸収された液体溶剤シール組成物の重量を、噴霧された液体溶剤シール組成物の実際の重量(質量流量計で測定)で除算することによって計算される。
【0087】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳密に限定されるものとして理解されるべきではない。その代わりに、特に指示がない限り、そのような寸法は各々、列挙された値とその値を囲む機能的に同等な範囲との両方を意味することが意図される。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味することが意図される。