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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】センサ装置および運転支援システム
(51)【国際特許分類】
   B60S 1/62 20060101AFI20240702BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240702BHJP
   B60R 11/02 20060101ALI20240702BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20240702BHJP
   G01S 13/931 20200101ALI20240702BHJP
   G01S 7/40 20060101ALI20240702BHJP
   B60W 40/02 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
B60S1/62 120Z
B60W60/00
B60R11/02 Z
G01S7/03 246
G01S13/931
G01S7/40 143
B60W40/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022507686
(86)(22)【出願日】2020-07-29
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-11
(86)【国際出願番号】 EP2020071367
(87)【国際公開番号】W WO2021043510
(87)【国際公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】102019123404.2
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】398037767
【氏名又は名称】バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ネムシャ・サビン
(72)【発明者】
【氏名】フリース・カルステン
【審査官】高瀬 智史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-144937(JP,A)
【文献】特開2019-137380(JP,A)
【文献】特表2018-505383(JP,A)
【文献】国際公開第2019/012962(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/007283(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0027855(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60S 1/62
B60W 60/00
B60W 40/02
B60R 11/02
G01S 7/03
G01S 7/40
G01S 13/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出領域(114)を検出するように構成された少なくとも一つのセンサユニット(110)と、
少なくとも一つの通路部材(120)であって、当該少なくとも一つの通路部材(120)を通して前記少なくとも一つのセンサユニット(110)が検出領域(114)を検出するように構成されている通路部材と、
前記少なくとも一つの通路部材(120)の上またはその中の少なくとも一つの温度センサ(130)であって、前記少なくとも一つの通路部材(120)の温度を検出するように構成されている少なくとも一つの温度センサ(130)と、
前記少なくとも一つの通路部材(120)を加熱するように構成されている少なくとも一つの加熱ユニット(140)と、
前記少なくとも一つの温度センサ(130)と前記少なくとも一つの加熱ユニット(140)に接続され、前記少なくとも一つの温度センサ(30)により検出された温度に基づいて前記少なくとも一つの加熱ユニット(140)を制御するように構成されたコントローラ(150)と、
を有し、
前記少なくとも一つの通路部材(120)が少なくとも部分的に透明および/または少なくとも部分的に不透明であり、
前記少なくとも一つの通路部材(120)は、透明である第一の領域と、不透明である第二の領域とを備え、
前記少なくとも一つのセンサユニット(110)は、前記少なくとも一つの通路部材(120)の前記第一の領域を通して前記検出領域(114)を検出するように構成され、 前記少なくとも一つの温度センサ(130)は、前記少なくとも一つの通路部材(120)の前記第二の領域に配置されているセンサ装置(100)。
【請求項2】
前記少なくとも一つの通路部材(120)は、センサ光学系の光学素子である請求項1に記載のセンサ装置(100)。
【請求項3】
前記少なくとも一つのセンサユニット(110)は、カメラである請求項1または2に記載のセンサ装置(100)。
【請求項4】
前記少なくとも一つの通路部材(120)は、レドームであり、さらに/或いは前記少なくとも一つのセンサユニット(110)がレーダ、ライダーまたは超音波センサである請求項1に記載のセンサ装置(100)。
【請求項5】
前記コントローラ(150)は、前記少なくとも一つの通路部材(120)の温度が所定の閾値以下であるように前記少なくとも一つの加熱ユニット(140)の出力を設定するように構成されている請求項1からのいずれかに記載のセンサ装置(100)。
【請求項6】
請求項1からのいずれかに記載のセンサ装置(100)を有する運転支援システム。
【請求項7】
請求項に記載の運転支援システムであって、自動運転のために構成されている運転支援システム。
【請求項8】
請求項1からのいずれかに記載のセンサ装置(100)か、或いは、請求項またはに記載の運転支援システムか、少なくともいずれかを有する、特に自動車とされた車両(400)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、センサ装置、センサ装置を備えた運転支援システム、センサ装置および/または運転支援システムを備えた車両に関する。本開示は、特に、例えば自動運転時に使用されるセンサ装置の検出領域における(例えばカメラの視野における)霜取り(解氷)および/または曇り除去に関する。
【背景技術】
【0002】
自動運転のための運転支援システムがますます重要になっている。自動運転は、様々な自動化レベルで行なうことができる。自動化レベルの例は、支援運転、部分自動運転、高度自動運転ないし完全自動運転である。自動運転のための運転支援システムは、人間にとっての可視領域と不可視領域の両方で視覚的に環境を感知するセンサを使用する。センサは、例えば、カメラ、レーダおよび/またはライダーとすることができる。これらは、高精度の地図に加えて、自動運転のための運転者支援システムの主要な信号源である。
【0003】
気象条件によっては、センサの検出領域若しくは視野に凍結(着氷)や曇りが発生することがある。センサによる、信頼性の高い周囲の検出を保証するために、センサの検出領域または視野における凍結若しくは曇りを迅速かつ効果的に除去することが有利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、センサ装置による環境の検出を改善することができるセンサ装置、センサ装置を備えた運転支援システムおよびセンサ装置および/または運転支援システムを備えた車両を提示することである。特に、本開示の課題は、自動運転のための運転支援機能を改善することおよび/またはそれをより安全なものにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、独立請求項の主題によって解決される。有利な構成は、下位請求項に記載されている。
【0006】
本開示の独立した態様によれば、センサ装置が提示される。センサ装置は、検出領域を検出するように構成された少なくとも一つのセンサユニット;少なくとも一つの通路部材であって、この少なくとも一つの通路部材を通して少なくとも一つのセンサユニットが検出領域を検出するように構成されている通路部材;少なくとも一つの通路部材の上またはその中の少なくとも一つの温度センサであって、少なくとも一つの通路部材の温度を検出するように構成されている少なくとも一つの温度センサ;少なくとも一つの通路部材を加熱するように構成されている少なくとも一つの加熱ユニット;少なくとも一つの温度センサと少なくとも一つの加熱ユニットに接続され、少なくとも一つの温度センサにより検出された温度に基づいて少なくとも一つの加熱ユニットを制御するように構成されたコントローラを有している。
【0007】
本発明によれば、少なくとも一つの温度センサは、センサ装置の少なくとも一つの通路部材の上またはその中に配置されている。換言すれば、少なくとも一つの温度センサは、センサ装置の一部であり、センサ装置の外に設けられているのではない。これにより、少なくとも一つのセンサユニットの検出領域が凍結しているかどうか或いは曇っているかどうかをより正確に特定することができるので、少なくとも一つの加熱ユニットをより正確に制御でき、それにより、霜取りや曇り除去のための時間を削減することができるようになる。こうして例えば、自動運転のための運転支援機能を改善および/またはより安全にすることができる。
【0008】
本書面内で用いられる“検出領域”という用語は、センサユニットにより検出可能な領域を指す。特に、検出領域は、センサユニットの検出角度によって与えられてもよいし若しくは規定されていてもよい。センサユニットが、例えばカメラなどの光学デバイスである場合、検出領域は、その光学デバイスの視野(実視野(Field of View))とすることができる。視野はこのとき、光学デバイスの画角内の領域を指す。
【0009】
好ましくは、少なくとも一つの通路部材は、センサ光学系の光学素子である。この光学素子は、周辺領域から来て少なくとも一つの通路部材に入射する光ビームのビームプロファイルに変化をもたらすことができる。この光学素子は例えば、レンズ、ビーム整形光学系などとすることができる。さらに他の例では、光学素子は、周辺領域から来て少なくとも一つの通路部材に入射する光ビームのビームプロファイルを殆ど変化させない場合もある。この光学素子は例えば、カバー部材、保護ガラスなどとすることができる。
【0010】
好ましくは、少なくとも一つの通路部材は、レドームである。レドームは、少なくとも一つのセンサユニット(例えばレーダーアンテナ、指向性アンテナなど)を風や雨などの外部の機械的および化学的な影響から保護する閉じた保護カバーである。レドームは、“レーダードーム”とも呼ばれる。
【0011】
好ましくは、少なくとも一つのセンサユニットは、カメラ、レーダ、ライダーおよび超音波センサを含むか或いはそれらからなる一群の中から選択されている。とはいえ、少なくとも一つのセンサユニットは、これらに限定されることなく、例えば車両などの周辺領域を検出するように構成された別の類のセンサユニットでもよい。
【0012】
好ましくは、少なくとも一つの通路部材の波長透明性は、使用される少なくとも一つのセンサユニットのタイプに基づいて選択されている。特に、少なくとも一つの通路部材は、少なくとも一つのセンサユニットにより検出可能な波長に対して実質的に透明である。選択的に、少なくとも一つの通路部材は、少なくとも一つのセンサユニットにより検出できない波長に対して少なくとも部分的に不透明であってもよい。
【0013】
好ましくは、少なくとも一つの通路部材は、少なくとも部分的に光学的に透明および/または少なくとも部分的に光学的に不透明である。“光学的に透明”および“光学的に不透明”という用語は、光の可視波長領域を指すものとすることができ、特に、人間にとっての可視波長領域を指すものとすることができる。この可視波長領域は、約750nmから約400nmの領域に定めることができる。
【0014】
一例では、少なくとも一つのセンサユニットは、カメラ、特にイメージングカメラであることもある。この場合、少なくとも一つの通路部材は、可視波長領域に対して実質的に透明とすることができる。さらに他の例では、少なくとも一つのセンサユニットは、ライダーであることもある。この場合、少なくとも一つの通路部材は、ライダーにより検出可能な波長に対して透明とすることができ、可視波長領域に対して実質的に不透明とすることができる。
【0015】
好ましくは、少なくとも一つの通路部材は、(例えば光学的に)透明である第一の領域と、(例えば光学的に)不透明である第二の領域とを備えている。少なくとも一つのセンサユニットは、少なくとも一つの通路部材の第一の領域を通して検出領域を検出するように構成することができる。少なくとも一つの温度センサは、少なくとも一つの通路部材の第二の領域に配置することができる。これにより、少なくとも一つの温度センサは、例えば太陽光などの外部の影響から保護することができるため、より正確な温度検出が可能になる。
【0016】
好ましくは、コントローラは、少なくとも一つの通路部材の温度が所定の閾値以下であるように少なくとも一つの加熱ユニットの出力を設定するように構成されている。所定の閾値は、例えば70℃とすることができる。少なくとも一つの通路部材の温度を直接測定することにより、コントローラは、より迅速に実際の温度変化に反応することができる。この結果、加熱ユニットは、所定の閾値を意図せず超えることなく、より大きな出力で操作することができる。これにより、少なくとも一つの通路部材のより迅速な霜取りおよび/または曇り除去が可能になる。
【0017】
本開示のさらに他の独立した態様によれば、車両、特に自動車のための運転支援システムが提示される。この運転支援システムは、本開示の実施形態によるセンサ装置を有する。
【0018】
好ましくは、運転支援システムは、自動運転のために構成されている。
【0019】
本書面の文脈において、「自動運転」という用語は、進行方向または横方向の自動操縦による走行、または進行方向および横方向の自動操縦による自律走行を意味する。自動運転には、例えば、高速道路を比較的長い時間走行したり、駐車や操車の一環として限られた時間運転したりすることが含まれ得る。「自動運転」という用語には、あらゆる自動化レベルでの自動運転が含まれる。自動化レベルの例は、支援運転、部分自動運転、高度自動運転ないし完全自動運転である。これらの自動化レベルは、連邦交通制度協会(Bundesanstalt fuer Strassenwesen)(BASt)によって定義がなされた(BASt公報「Forschung kompakt(リサーチコンパクト)」,20212年11月刊行を参照)。
【0020】
支援運転では、ドライバーが進行方向または横方向の操縦を継続的に実行しながら、システムが一定の制限内で他の機能を担う。部分自動運転(TAF)では、システムが一定期間および/または特殊な状況のもとで進行方向および横方向の操縦を担うが、支援運転時のようにドライバーがシステムを常に監視していなければならない。高度自動運転(HAF)では、ドライバーがシステムを常に監視する必要なしにシステムが一定期間進行方向および横方向の操縦を担うが、ドライバーは、一定時間内に車両の操縦を引き受けることができなければならない。完全自動運転(VAF)では、或る特化した利用例についてシステムがいかなる状況でも自動で運転を管理し、この利用例についてはもはやドライバーを必要としない。
【0021】
上述した四つの自動化レベルは、SAE J3016規格(SAE-Society of Automotive Engineering(自動車技術者協会))のSAE-レベル1-4に対応する。例えば、高度自動運転(HAF)は、SAE J3016規格のレベル3に対応する。また、SAE J3016には、BAStの定義に含まれていない最高の自動化レベルとしてSAEレベル5が設けられている。SAEレベル5は無人運転に対応し、その場合には、システムは、全走行期間中、人間のドライバーであるかのようにあらゆる状況に自動で対処することができ、基本的にもはやドライバーを必要としない。
【0022】
本開示のさらに他の独立した態様によれば、車両、特に自動車が提示される。この車両は、本開示の実施形態によるセンサ装置か或いは運転支援システムか少なくともいずれかを有する。
【0023】
「車両」という用語には、人や物などを輸送するために使用される乗用車、トラック、バス、トレーラーハウス、オートバイなどが含まれる。特に、この用語には、旅客輸送用の自動車が含まれる。
【0024】
本開示の実施例を図に示し、より詳細に以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施形態によるセンサ装置を概略的に示す図である。
図2】本開示のさらに他の実施形態によるセンサ装置を概略的に示す図である。
図3】本開示のさらに他の実施形態によるセンサ装置を概略的に示す図である。
図4】本開示の実施形態によるセンサ装置を備えた車両を概略的に示す図である。
図5】本開示の実施形態によるセンサ装置を動作させるための方法のフローチャートを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、特に明記されていない限り、同じ効果を奏する同一の部材に対して同じ符号を用いる。
【0027】
図1は、本開示の実施形態によるセンサ装置100を概略的に示す。
【0028】
センサ装置100は、検出領域112を検出するように構成された少なくとも一つのセンサユニット110と、少なくとも一つの通路部材120であって、当該少なくとも一つの通路部材120を通して少なくとも一つのセンサユニット110が検出領域112を検出するように構成されている通路部材と、少なくとも一つの通路部材120の上またはその中の少なくとも一つの温度センサ130であって、少なくとも一つの通路部材120の温度を検出するように構成されている少なくとも一つの温度センサ130と、少なくとも一つの通路部材120を加熱するように構成されている少なくとも一つの加熱ユニット140と、少なくとも一つの温度センサ130と少なくとも一つの加熱ユニット140に接続され、少なくとも一つの温度センサ130により検出された温度に基づいて少なくとも一つの加熱ユニット140を制御するように構成されたコントローラ150と、を有する。
【0029】
図1の例では、少なくとも一つの温度センサ130および少なくとも一つの加熱ユニット140の両方が、少なくとも一つのセンサユニット110の検出領域114の外側に配置されている。この配置により、少なくとも一つのセンサユニット110による検出が邪魔されない。
【0030】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの通路部材120は、センサ光学系の光学素子である。この光学素子は例えば、レンズ、ビーム整形光学系、被覆部材、保護ガラスなどでもよい。少なくとも一つの通路部材120は例えば、光学的に透明な材料からなるのでもよい。さらに他の例では、少なくとも一つの通路部材120は、少なくとも一つの特定の波長領域に対して実質的に透過性を有する若しくは透明性を有するプラスチックからなるのでもよい。
【0031】
しかしながら、少なくとも一つの通路部材120は、光学素子に限定されず、例えば、レドームであってもよい。レドームは、少なくとも一つのセンサユニット(例えば、レーダーアンテナ、指向性アンテナなど)を風や雨などの外部の機械的および化学的な影響から保護する閉じた保護カバーである。
【0032】
いくつかの実施形態によれば、少なくとも一つのセンサユニット110は、カメラ、レーダ、ライダーおよび超音波センサを含むか或いはそれらからなる一群の中から選択されている。
【0033】
少なくとも一つの通路部材120の特定の波長または波長領域に関する透過性若しくは透明性は、使用される少なくとも一つのセンサユニット110のタイプに基づいて選択することができる。特に、少なくとも一つの通路部材120は、少なくとも一つのセンサユニット110により検出可能な波長または波長領域に対して、実質的に透過性若しくは透明性を有することができる。選択的に、少なくとも一つの通路部材120は、少なくとも一つのセンサユニット110により検出できない波長120の少なくとも一部に対して、実質的に不透過性若しくは不透明性を有することができる。
【0034】
一例では、少なくとも一つのセンサユニット110は、カメラであってもよいし、特にイメージングカメラであってもよい。このカメラは、図1の例に示されているように、光軸114を有することができる。この場合、少なくとも一つの通路部材120は、可視波長領域に対して実質的に透明とすることができる。さらに他の例では、少なくとも一つのセンサユニット110は、レーダ、ライダーまたは超音波センサであってもよい。この場合、少なくとも一つの通路部材120は、レーダ、ライダーまたは超音波センサにより検出可能な波長に対して透過性若しくは透明性を有することができ、可視波長領域に対しては実質的に不透過性若しくは不透明性を有することができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、コントローラ150は、少なくとも一つの通路部材120の温度が所定の閾値以下であるように少なくとも一つの加熱ユニット140の出力を設定するように構成されている。所定の閾値は、例えば70℃とすることができる。少なくとも一つの通路部材120の温度を直接測定することにより、コントローラ150は、より迅速に実際の温度変化に反応することができる。この結果、加熱ユニット140は、所定の閾値を意図せず超えることなく、より大きな出力で操作することができる。これにより、少なくとも一つの通路部材120のより迅速な霜取りおよび/または曇り除去が可能になる。
【0036】
少なくとも一つの加熱ユニット140は、抵抗加熱器であってもよい。いくつかの実施形態において、少なくとも一つの加熱ユニット140は、少なくとも一つの通路部材120の外面に直接取り付けることができる。さらに他の実施形態では、少なくとも一つの加熱ユニット140は、少なくとも一つの通路部材120に埋め込まれていてもよい。
【0037】
図2は、本開示のさらに他の実施形態によるセンサ装置100を概略的に示す。
【0038】
図1の例では、少なくとも一つの温度センサ130および少なくとも一つの加熱ユニット140の両方が、少なくとも一つのセンサユニット110の検出領域114の外側に配置されている。代替的に、少なくとも一つの温度センサ130および/または少なくとも一つの加熱ユニット140の少なくとも一つは、少なくとも一つのセンサユニット110の検出領域114内に配置されているのでもよい。
【0039】
図2は、少なくとも一つのセンサユニット110の検出領域114内の少なくとも一つの加熱ユニット140の例示的な配置を示す。少なくとも一つの温度センサ130は、少なくとも一つのセンサユニット110の検出領域114の外側に配置することができる。このような配置は、少なくとも一つのセンサユニット110の検出領域114における少なくとも一つの通路部材120の迅速な霜取りや曇り除去を確実にするために有利である。
【0040】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの加熱ユニット140は、それが少なくとも一つのセンサユニット110による検出に実質的に影響を及ぼさないように構成することができる。例えば、少なくとも一つの加熱ユニット140は、透明な材料からなるのでもよい。付加的または代替的に、少なくとも一つの加熱ユニット140は、少なくとも一つのセンサユニット110による検出が実質的に影響を及ぼされないほど十分に厚さが薄い細長い複数の加熱素子(不図示)を有していてもよい。
【0041】
図3は、さらに他の本開示の実施形態によるセンサ装置100を概略的に示す。
【0042】
いくつかの実施形態では、少なくとも一つの通路部材120は、(例えば光学的に)透明である第一の領域と、(例えば光学的に)不透明である第二の領域とを備えている。少なくとも一つのセンサユニット110は、少なくとも一つの通路部材120の第一の領域を通して検出領域を検出するように構成されている。少なくとも一つの温度センサ130は、少なくとも一つの通路部材120の第二の領域に配置することができる。これにより、少なくとも一つの温度センサ130は、例えば太陽光などの外部の影響から保護することができるため、少なくとも一つの温度センサ130により一層正確な温度検出が可能になる。
【0043】
例示的な実施形態では、第二の領域は、黒色マスク310により画定されるようにしてもよい。黒色マスク310は、第一の領域と第二の領域を画定するように、少なくとも一つの通路部材120の表面に取り付けることができる。
【0044】
とはいえ、本開示はそれに限定されるものではなく、第一の領域と第二の領域とが、例えば、少なくとも一つの通路部材120の材料特性により形成されるようにしてもよい。
【0045】
図4は、本開示の実施形態によるセンサ装置100を有する車両400を概略的に示す。この車両400は、特に自動車とすることができる。
【0046】
車両400は、本開示の実施形態によるセンサ装置100と運転支援システムを有していてもよい。特に、センサ装置100は、運転支援システムの構成要素として設けることができる。この運転支援システムは、自動運転のために構成されていてもよい。
【0047】
自動運転では、車両400の進行方向および横方向の操縦が自動的に行われる。従って、運転支援システムは、この車両の操縦を引き継ぐ。これを行なうために、運転支援システムは、駆動部、トランスミッション、油圧式常用ブレーキおよびステアリングを制御する。
【0048】
自動運転を計画し実行するために、ドライバー支援システムは、車両周辺を監視する環境センサ類の環境情報を受け取る。特に、車両400は、車両周辺を示す環境データを取得するように構成された本開示の実施形態による少なくとも一つのセンサ装置100を有することができる。この少なくとも一つのセンサ装置100は、例えば、ライダーシステム、レーダシステムおよび/またはカメラを有することもある。
【0049】
図5は、本開示の実施形態によるセンサ装置を動作させるための方法500のフローチャートを概略的に示す。この方法500は、プロセッサ(例えばCPU)により実行可能な然るべきアルゴリズムにより実施することができる。
【0050】
方法500のブロック510では、センサ装置の検出領域における凍結や曇りが検知される。この検知は、センサ装置の検出領域を霜取りまたは曇り除去するように、ブロック520において加熱ユニットの制御を実行するためのトリガーとして利用することができる。加熱ユニットは、測定された検出領域の上またはその中の温度、少なくとも一つの加熱制限(例えば、最大加熱温度)、加熱対策などに基づいて制御することができる。
【0051】
加熱ユニットは、ブロック530において少なくとも一つの終了条件が満たされるまで、動作させることができる。少なくとも一つの終了条件は、例えば、少なくとも一つの加熱制限、凍結や曇りなどを完全に取り除くなどとすることができる。少なくとも一つの終了条件が満たされると、ブロック540において加熱プロセスが終了する。
【0052】
本発明によれば、少なくとも一つの温度センサが、センサ装置の少なくとも一つの通路部材の上またはその中に配置されている。換言すれば、少なくとも一つの温度センサは、センサ装置の一部であり、センサ装置の外に設けられているのではない。これにより、少なくとも一つのセンサユニットの検出領域が凍結しているかどうか或いは曇っているかどうかをより正確に特定することができるので、少なくとも一つの加熱ユニットをより正確に制御でき、それにより、霜取り又は曇り除去のための時間を削減することができるようになる。こうして例えば、自動運転のための運転支援機能を改善および/またはより安全にすることができる。
なお、本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
検出領域(114)を検出するように構成された少なくとも一つのセンサユニット(110)と、
少なくとも一つの通路部材(120)であって、当該少なくとも一つの通路部材(120)を通して前記少なくとも一つのセンサユニット(110)が検出領域(114)を検出するように構成されている通路部材と、
前記少なくとも一つの通路部材(120)の上またはその中の少なくとも一つの温度センサ(130)であって、前記少なくとも一つの通路部材(120)の温度を検出するように構成されている少なくとも一つの温度センサ(130)と、
前記少なくとも一つの通路部材(120)を加熱するように構成されている少なくとも一つの加熱ユニット(140)と、
前記少なくとも一つの温度センサ(130)と前記少なくとも一つの加熱ユニット(140)に接続され、前記少なくとも一つの温度センサ(1130)により検出された温度に基づいて前記少なくとも一つの加熱ユニット(140)を制御するように構成されたコントローラ(150)と、
を有するセンサ装置(100)。
2.
前記少なくとも一つの通路部材(120)は、センサ光学系の光学素子である上記1に記載のセンサ装置(100)。
3.
前記少なくとも一つのセンサユニット(110)は、カメラである上記1または2に記載のセンサ装置(100)。
4.
前記少なくとも一つの通路部材(120)は、レドームであり、さらに/或いは前記少なくとも一つのセンサユニット(110)がレーダ、ライダーまたは超音波センサである上記1に記載のセンサ装置(100)。
5.
前記少なくとも一つの通路部材(120)が少なくとも部分的に透明および/または少なくとも部分的に不透明である上記1から4のいずれかに記載のセンサ装置(100)。
6.
前記少なくとも一つの通路部材(120)は、透明である第一の領域と、不透明である第二の領域とを備え、
前記少なくとも一つのセンサユニット(110)は、前記少なくとも一つの通路部材(120)の前記第一の領域を通して前記検出領域(114)を検出するように構成され、 前記少なくとも一つの温度センサ(130)は、前記少なくとも一つの通路部材(120)の前記第二の領域に配置されている
上記5に記載のセンサ装置(100)。
7.
前記コントローラ(150)は、前記少なくとも一つの通路部材(120)の温度が所定の閾値以下であるように前記少なくとも一つの加熱ユニット(140)の出力を設定するように構成されている上記1から6のいずれかに記載のセンサ装置(100)。
8.
上記1から7のいずれかに記載のセンサ装置(100)を有する運転支援システム。
9.
上記8に記載の運転支援システムであって、自動運転のために構成されている運転支援システム。
10.
上記1から7のいずれかに記載のセンサ装置(100)か、或いは、上記8または9に記載の運転支援システムか、少なくともいずれかを有する、特に自動車とされた車両(400)。
図1
図2
図3
図4
図5