(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジおよび内折りフレキシブルスクリーンターミナル
(51)【国際特許分類】
F16C 11/04 20060101AFI20240702BHJP
H04M 1/02 20060101ALI20240702BHJP
E05D 3/06 20060101ALI20240702BHJP
【FI】
F16C11/04 F
F16C11/04 V
H04M1/02 C
E05D3/06
(21)【出願番号】P 2022520913
(86)(22)【出願日】2020-09-29
(86)【国際出願番号】 CN2020118705
(87)【国際公開番号】W WO2021068794
(87)【国際公開日】2021-04-15
【審査請求日】2022-06-03
(31)【優先権主張番号】201921701068.7
(32)【優先日】2019-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】514008309
【氏名又は名称】杭州安費諾飛鳳通信部品有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【氏名又は名称】山根 広昭
(72)【発明者】
【氏名】リュウ シャオジェ
【審査官】角田 貴章
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/223875(WO,A1)
【文献】米国特許第10423019(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 11/00-11/12
H04M 1/02
E05D 3/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中間サポート、左回転連結部材および右回転連結部材を含み、
左回転連結部材と右回転連結部材は、回転できるように中間サポート上に配置され、且つ
左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線は、中間サポートに対して左回転連結部材と右回転連結部材が配置された側
を上方としたとき、
ヒンジが平らに開かれている時の前記左回転連結部材と前記右回転連結部材より上方に
設定され、かつ左回転連結部材の回転軸線と右回転連結部材の回転軸線とは、互いに左右両側に離れた位置に設定され、左回転連結部材と右回転連結部材には、それぞれ固定連結部位を備えており、
前記中間サポートは、同期して逆方向に回転する2つの回転軸を有するシンクロナス逆回転連結機構を備え、
前記シンクロナス逆回転連結機構の2つの回転軸は、中間サポートに対して左回転連結部材と右回転連結部材が配置された側
を上方としたとき、左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線よりも下方に置かれ、中間サポートに対して回転可能に支持されており、
左回転連結部材および右回転連結部材と中間サポートとの間の回転連結構造は、円弧状のレールと前記円弧状のレールに沿って滑る滑り子とが嵌まり合う構
造を有し、前記左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線が中間サポートに対して左回転連結部材と右回転連結部材が配置された側
を上方としたとき、ヒンジが平らに開かれている時のヒンジの支持面よりも高く設定されており、
前記シンクロナス逆回転連結機構の両側
の前記回転軸に回転連結され、それぞれ左回転連結部材と右回転連結部材
と滑り連結される可動連結構造が配置され、
左側の固定連結部位と可動連結構造はいずれもフレキシブルスクリーンターミナルの左側ケーシングまたは左側ケーシングに固定される構造との連結に用いられ、
右側の固定連結部位と可動連結構造はいずれもフレキシブルスクリーンターミナルの右側ケーシングまたは右側ケーシングに固定される構造との連結に用いられ、
左側ケーシングまたは左側ケーシングに固定される構造と右側ケーシングまたは右側ケーシングに固定される構造がそれぞれ左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線を軸線として回転し、且つ同期して反対方向に回転できるようにする、
内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジ。
【請求項2】
前記可動連結構造は可動板を含み、前記可動板はシンクロナス逆回転連結機構の一側と回転連結され、前記可動板にはまた滑り連結構造があって、左回転連結部材または右回転連結部材と滑り連結される、請求項1に記載の内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジ。
【請求項3】
前記シンクロナス逆回転連結機構はギア連結構造を使用し、前記ギア連結構造の両側ギアはそれぞれギアアームに連結され、前記可動板とギアアームは回転連結される、請求項2に記載の内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジ。
【請求項4】
前記左回転連結部材と右回転連結部材は板状を成し、それらの板面はヒンジの支持面を構成する、請求項1に記載の内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジ。
【請求項5】
前記シンクロナス逆回転連結機構はギア連結構造を使用し、そのうち連続的に連結されるギアは合計2個または4個である、請求項1に記載の内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジ。
【請求項6】
左側ケーシングと右側ケーシングを含み、
さらに請求項1に記載のヒンジが配置され、前記左側の固定連結部位と可動連結構造はそれぞれ左側ケーシングまたは左側ケーシングに一緒に固定される構造と連結され、前記右側の固定連結部位と可動連結構造はそれぞれ右側ケーシングまたは右側ケーシングに固定連結される構造と連結される、
内折りフレキシブルスクリーンターミナル。
【請求項7】
ヒンジの軸方向に沿って1対の請求項1に記載のヒンジが配置され、前記1対のヒンジは同軸に配置され、且つ連結構造で両者の中間サポートを固定連結する、請求項6に記載の内折りフレキシブルスクリーンターミナル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内折りフレキシブルスクリーンターミナルおよびそのヒンジに関し、前記ターミナルは携帯電話などのモバイル電子製品でもある。
【背景技術】
【0002】
今までのフレキシブルスクリーンモバイルターミナルは、機械的構造から言って、ヒンジが非常に重要な地位に置かれている。近頃、フレキシブスクリーンなどの連続して曲げられるスクリーンの必要に応じて、フレキシブルスクリーンが折り畳まれる時のフレキシブルスクリーンの特徴に合ったいくつかのヒンジが提供されている。
【0003】
ところで、フレキシブルスクリーンモバイルターミナルの構造は、いすれも複雑である。例えば、左側ケーシングと右側ケーシングとが同期して反対方向に回転することを実現するために、シンクロナスリバース連結構造によって連結されている。そして、バーチャル円心構造を実現するために、シンクロナスリバース連結構造が比較的複雑になり、かつ、中間サポートがより大きなスペースを要することになる。
【発明の概要】
【0004】
本発明はシンプルな構造を有する内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジを提供することを第一の課題とする。これに対して、本発明は以下の技術方案を採用している。
【0005】
内折りフレキシブルスクリーンターミナルに使用されるヒンジは、中間サポートや左回転連結部材および右回転連結部材を含む。左回転連結部材と右回転連結部材は、回転できるように中間サポート上に配置されている。且つそれらの回転軸線は、水平方向にて中間サポートの左右両側に置かれている。左回転連結部材と右回転連結部材には、それぞれ固定連結部位が配置されている。前記中間サポートには、またシンクロナスリバース回転連結機構が配置されている。前記シンクロナスリバース回転連結機構の回転軸は、垂直方向にて左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線の下方に置かれている。前記シンクロナスリバース回転連結機構の両側には、それぞれ左回転連結部材と右回転連結部材に対して可動的である可動連結構造が配置されている。左側の固定連結部位と可動連結構造は、いずれもフレキシブルスクリーンターミナルの左側ケーシングまたは左側ケーシングに固定される構造との連結に用いられている。右側固定連結部位と可動連結構造は、いずれもフレキシブルスクリーンターミナルの右側ケーシングまたは右側ケーシングに固定される構造との連結に用いられている。そして、左側ケーシングまたは左側ケーシングに固定される構造と右側ケーシングまたは右側ケーシングに固定される構造が、それぞれ左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線を軸線として回転し、且つ同期して反対方向に回転できるようにする。
【0006】
さらに、前記左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線は垂直方向にてヒンジが平らに開かれている時のヒンジの支持面より高い。
【0007】
さらに、左回転連結部材および右回転連結部材と中間サポートとの間の回転連結構造は円弧滑りレールと滑り子が嵌め合う構造を使用し、且つバーチャル円心構造にデザインして、前記左回転連結部材と右回転連結部材の回転軸線を垂直方向にてヒンジの支持面より高くする。
【0008】
さらに、前記左回転連結部材と右回転連結部材は、板状を成し、それらの板面はヒンジの支持面を構成する。
【0009】
さらに、前記可動連結構造は可動板を含み、前記可動板はシンクロナスリバース回転連結機構の一側と回転連結され、前記可動板にはまた滑り連結構造があって、左回転連結部材または右回転連結部材と滑り連結される。
【0010】
さらに、前記シンクロナスリバース回転連結機構はギア連結構造を使用し、前記ギア連結構造の両側ギアはそれぞれギアアームに連結され、前記可動板とギアアームは回転連結される。
【0011】
さらに、前記シンクロナスリバース回転連結機構はギア連結構造を使用し、そのうち、次第に連結されるギアは合計2個または4個である。
【0012】
ここでは、さらに、上記ヒンジを用いた内折りフレキシブルスクリーンターミナルを提供することを第二の課題とする。これに対して、本発明は以下の技術方案を採用している。
【0013】
内折りフレキシブルスクリーンターミナルは、左側ケーシングと右側ケーシングを含み、また上記ヒンジが配置され、前記左側の固定連結部位と可動連結構造はそれぞれ左側ケーシングまたは左側ケーシングに固定連結される構造と連結され、前記右側の固定連結部位と可動連結構造はそれぞれ右側ケーシングまたは右側ケーシングに一緒に固定される構造と連結される、ことを特徴とする。
【0014】
さらに、ヒンジの軸方向に沿って1対の上記ヒンジが配置され、前記1対のヒンジは同軸に配置され、且つ連結構造で両者の中間サポートを固定連結する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の技術手段を使用することによって、本発明の構造が簡単になり、位置譲りフラップが要らなく、フレキシブルスクリーンの弯曲にアダプションできる時に、その弯曲部位に一定の半径を有する特徴がある。また、バーチャル円心ニュートラル層の回転を提供すると同時に、シンクロナスリバース連結機構の占めるスペースを減らすことができ、ヒンジをコンパクトにし、中間装飾ケーシングの寸法を減らすことに有益である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明によって提供されるヒンジの組み合わせ形態の分解図である。
【
図2】
図2は本発明によって提供されるヒンジの組み合わせ形態が平らに開かれている時の概略図である。
【
図3】
図3は本発明によって提供されるフレキシブルスクリーンモバイルターミナルの実施形態が折り畳まれている時の概略図である。
【
図4】
図4は本発明によって提供されるヒンジの組み合わせ形態が折り畳まれている時の概略図である。
【
図5】
図5は本発明によって提供されるフレキシブルスクリーンモバイルターミナルの実施形態が平らに開かれている時の断面図である。
【
図6】
図6は本発明によって提供されるフレキシブルスクリーンモバイルターミナルの実施形態が折り畳まれている時の断面図である。
【
図7】
図7は本発明のヒンジの実施形態が平らに開かれている時の断面図である。
【
図8】
図8は本発明のヒンジの実施形態が平らに開かれている時に背面から見た概略図である。
【
図9】
図9は本発明のヒンジの実施形態が折り畳まれている時の断面図である。
【
図10】
図10は本発明のヒンジの実施形態が折り畳まれている時の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図面のとおり、本発明に使用される内折りフレキシブルスクリーンターミナルは、左側ケーシング101と右側ケーシング102を含む。
【0018】
本発明によって提供されるヒンジは中間サポート3や左回転連結部材1および右回転連結部材2を含む。左回転連結部材1と右回転連結部材2は、回転できるように中間サポート3上に配置されている。且つそれらの回転軸線A、Bは、水平方向にて中間サポート3の左右両側に置かれている。その回転連結構造6には、円弧滑りレールと滑り子が嵌まり合う構造が使用されている。これによって、バーチャル円心構造がデザインされている。前記左回転連結部材1と右回転連結部材2の回転軸線A、Bは、垂直方向にてヒンジの支持面30より高い。そして、フレキシブルスクリーンターミナルの内側に配置されるフレキシブルスクリーン200が曲げられたり開かれたりする時に生じる応力が最小になる。
【0019】
好ましくは、前記回転連結部材1と右回転連結部材2は、板状を成し、それらの板面はヒンジの支持面30を構成する。この支持面30は、左側ケーシング101と右側ケーシング102の上の支持面などの支持面と共に、内折りフレキシブルスクリーンが平らに開かれ、かつ、開かれた時に、フレキシブルスクリーンの支持板を構成する。
【0020】
左回転連結部材1と右回転連結部材2は、それぞれ固定連結部位を備えている。固定連結部位は、ねじ連結部位11、21でありうる。
【0021】
前記中間サポート3もまた、シンクロナスリバース回転連結機構を備えている。前記シンクロナスリバース回転連結機構の回転軸310、340は、垂直方向にて左回転連結部材1と右回転連結部材2の回転軸線A、Bの下方に配置されている。前記シンクロナスリバース回転連結機構には、ギア連結構造、カムなどの構造が用いられうる。
【0022】
本実施形態において、前記シンクロナスリバース回転連結機構には、ギア連結機構が採用され、連続的に接続されるギア31,32、33,34を備えている。ギア31、34は、両側に配置されている。ギア31、34の回転軸310、340は、それぞれギアアーム35、36に連結されている。ギアアーム35、36は、それぞれギア31、34と同期して回転する。
【0023】
前記シンクロナスリバース回転連結機構の両側には、それぞれ左回転連結部材1と右回転連結部材2に対して可動的である可動連結構造が配置されている。本実施形態では、運動スペースを減らし、モバイルターミナルの中部装飾カバー300をコンパクトにするために、可動連結構造は可動板と滑り連結構造が採用されている。左側と右側の可動板は、それぞれ41、42と標記されている。前記可動板41、42とギアアーム35、36は、回転連結される。可動板41、42は、滑り連結構造によってそれぞれ左回転連結部材1と右回転連結部材2に対して滑り連結される。滑り連結構造は、平らで一定長さの辺、または滑り子411、421、若しくはその他のスライディング構造が配置または装着されたものなどでありうる。左回転連結部材1と右回転連結部材2は、対応するガイドレール12、22を備えている。
【0024】
左側ねじ連結部位11は左側ケーシング101に固定連結される。右側ねじ連結部位21は右側ケーシング102に固定連結される。左側可動板41は、左側ケーシング101と滑り連結される。右側可動板42は、右側ケーシング102と滑り連結される。
【0025】
代替案として、滑り連結構造は曲線溝とピンの嵌め合い構造を使用することもできるが、一定のスペースを占めて装飾カバー300の外形に影響をもたらす恐れがある。
【0026】
ヒンジの中には、回転手触りを提供するか、或いは随時回転停止、随時回転角度ポジショニング機構をさらに提供するために、トルク機構を備えていてもよい。このトルク機構には、2本の一緒に連結されたスプリングチューブ51、52が用いられうる。スプリングチューブ51、52はそれぞれ回転軸310、340の外周に装着され、且つクランプされる。
【0027】
内折りフレキシブルスクリーンターミナルにヒンジが使用される場合、前記内折りフレキシブルスクリーンターミナルは、内折りフレキシブルスクリーンターミナルの折れ曲る部分の軸方向に沿って1対の前記ヒンジを備える。前記1対のヒンジは、同軸に配置されるとともに、連結構造で両者の中間サポート3を固定連結される。この連結構造は、上記装飾カバー300またはその他の連結ブラケットでありうる。
【0028】
上記説明はただ本発明の最良の実施形態に過ぎず、本発明の構造特徴はこれに限らない。予見できる本発明の運動機構は各種フレキシブルスクリーンモバイルターミナル中に使用することができ、本分野の技術者によって本発明分野において行われた、すべての変動または修飾はいずれも本発明の保護範囲に収まる。