(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】GLP-1アゴニストポリペプチド化合物、その塩、合成方法、および使用
(51)【国際特許分類】
C07K 14/605 20060101AFI20240702BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20240702BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/12 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/72 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/02 20060101ALI20240702BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240702BHJP
A61K 9/16 20060101ALI20240702BHJP
C12N 15/16 20060101ALN20240702BHJP
【FI】
C07K14/605 ZNA
A61K38/26
A61P3/10
A61K9/20
A61K9/48
A61K9/08
A61K9/12
A61K9/72
A61K9/70 401
A61K9/10
A61K9/02
A61P3/04
A61K9/16
C12N15/16
(21)【出願番号】P 2022521757
(86)(22)【出願日】2021-02-09
(86)【国際出願番号】 CN2021076308
(87)【国際公開番号】W WO2021164663
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-04-08
(31)【優先権主張番号】202010099944.4
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522144240
【氏名又は名称】江蘇諾泰澳賽諾生物製薬股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】SINOPEP-ALLSINO BIOPHARMACEUTICAL CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.28, Linpu Road, Economic & Technological Lianyungang, Jiangsu 222000 China
(73)【特許権者】
【識別番号】522142671
【氏名又は名称】杭州諾泰澳賽諾医薬技術開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】HANGZHOU SINOPEP-ALLSINO PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY DEVELOPMENT CO., LTD
【住所又は居所原語表記】Room 1201-1203 Bldg E, 1378 West Wenyixi Road, Yuhang District Hangzhou, Zhejiang 311100 China
(74)【代理人】
【識別番号】100205936
【氏名又は名称】崔 海龍
(74)【代理人】
【識別番号】100132805
【氏名又は名称】河合 貴之
(72)【発明者】
【氏名】趙 呈青
(72)【発明者】
【氏名】施 国強
(72)【発明者】
【氏名】李 順子
(72)【発明者】
【氏名】王 蔡典
【審査官】斉藤 貴子
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-116407(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07K
A61K
A61P
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ酸配列が、
H Xaa
1EGTFTSDVSSYLE Xaa
2QAA Xaa
3EFIAWLVRGRG
であり、かつC末端のアミノ酸がカルボキシル基、またはカルボキシル基がアミド化されたものであるGLP-1アゴニストポリペプチド化合物であって、
Xaa
1は、
【化1】
であり、
Xaa
2は、Xaa
1と同じであり、
Xaa
3は、
【化2】
から選択され、
m、nは自然数であることを特徴とする、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物。
【請求項2】
前記nは12-20の自然数であり、前記mは0-3の自然数であることを特徴とする、請求項1に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物。
【請求項3】
前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物のアミノ酸配列は、
SEQ ID NO:3
HX
3EGTFTSDVSSYLEX
3QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
であり、
式中、X
3は、
【化3】
であることを特徴とする、請求項1または2に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の合成方法であって、
(1)化合物ポリペプチドの主配列の第1-31位アミノ酸を固相合成し、第1-4位アミノ酸は、断片Boc-His(Trt)Xaa
1Glu(OtBu)Gly-OHを使用し、
式中、
Xaa
1は、
【化4】
であり、
(2)第20位Lysは、下記の構造式を有する断片
Fmoc-Lys
20
(Xaa
3
)-OHを使用し、
【化5】
前記nは、12-20の自然数であり、mは、0-3の自然数であり、
(3)用いる縮合剤は、DIC/HOBt、Oxymapure/DIC、HBTU/HOBT/DIEA、PyBop/HOBT/DIEAのうちの1種または複数種であり、用いる反応溶媒は、DCM、DMF、NMP、DMSOのうちの1種または複数種の組み合わせであり、用いるFmoc除去試薬は、v/v25%ピペリジン/DMF溶液であり、
(4)以下のステップを含み、
ステップ一:Fmoc-Gly
31-Wang樹脂を製造し、
ステップ二:全保護ペプチド樹脂を製造し、以下のステップaおよびステップbを含み、
ステップa:Fmoc-Gly
31-Wang樹脂を固相反応器に加え、
ステップb:固相合成法によりFmoc-Arg
30(Pbf)-OH、Fmoc-Gly
29-OH、Fmoc-Arg
28(Pbf)-OH、Fmoc-Val
27-OH、Fmoc-Leu
26-OH、Fmoc-Trp
25(Boc)-OH、Fmoc-Ala
24-OH、Fmoc-Ile
23-OH、Fmoc-Phe
22-OH、Fmoc-Glu
21(OtBu)-OH、Fmoc-Lys
20(Xaa
3)-OH、Fmoc-Ala
19-OH、Fmoc-Ala
18-OH、Fmoc-Gln
17(Trt)-OH、Fmoc-Gly
16-OH、Fmoc-Glu
15(OtBu)-OH、Fmoc-Leu
14-OH、Fmoc-Tyr
13(tBu)-OH、Fmoc-Ser
12(tBu)-OH、Boc-Ser
11-OH、Fmoc-Val
10-OH、Fmoc-Asp
9(OtBu)-OH、Fmoc-Ser
8(tBu)-OH、Fmoc-Thr
7(tBu)-OH、Fmoc-Phe
6-OH、Fmoc-Thr
5(tBu)-OH、Boc-His
1(Trt)Xaa
1glu
3(OtBu)Gly
4-OHをFmoc-Gly
31-Wangに逐一連結させ、
前記Xaa
1は、
【化6】
であり、
前記断片Fmoc-Lys
20(Xaa
3)-OHの構造式は、
【化7】
であり、
前記nは、12-20の自然数であり、前記mは、0-3の自然数であり、
ステップ三:前記ペプチド樹脂を開裂し、粗ペプチドを得、
開裂剤は、配合比がTFA:(チオアニソール/TIS/EDT/フェノール/水)=90:5である複合試薬を使用し、捕捉剤は、チオアニソール/TIS/EDT/水の任意の組み合わせであることを特徴とする、合成方法。
【請求項5】
GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩であって、
前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物は、請求項1から3のいずれか1項に記載のポリペプチド化合物であり、そのC末端アミノ酸は、C末端第一級アミドまたはその薬学的に許容できる塩がアミド化されたものであることを特徴とする、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項6】
前記塩は、
GLP-1アゴニストポリペプチド化合物と、
塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ピロ硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、樟脳酸、桂皮酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸、スルファミン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、脂肪酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D-グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、スルホサリチル酸、ヘミ硫酸およびチオシアン酸塩のうちの1種と、
から形成される塩であることを特徴とする、請求項5に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩。
【請求項7】
請求項1から3のいずれか1項に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物を用いて製造される医薬品であって、
前記医薬品は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物を有効成分とし、剤形が錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ、トローチ剤、吸入剤、噴霧剤、注射剤、膜剤、貼付剤、散剤、顆粒剤、ブロック剤、乳剤、坐剤および配合剤のいずれか1種であることを特徴とする、医薬品。
【請求項8】
GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、請求項1から3のいずれか1項に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物を有効原料とし、または請求項
5または6に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩を有効原料とし、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤をさらに含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項9】
請求項1から3のいずれか1項に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物または請求項4に記載の
合成方法により
合成されるGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の使用であって、
前記使用は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品の製造または痩せ薬の製造における、有効原料とするGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の使用であることを特徴とする、使用。
【請求項10】
請求項5または6に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩、請求項7に記載の医薬品、或いは請求項8に記載の医薬組成物の使用であって、前記使用は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品の製造または痩せ薬の製造における、有効原料とするポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩、医薬品または医薬組成物の使用であることを特徴とする、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリペプチド化合物分野に関し、具体的には、一連の二重インクレチンペプチド類似化合物であるポリペプチド化合物に関する。ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の受容体を活性化させ、2型糖尿病および肥満症の治療に適用できる。本発明は、このポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩、ポリペプチド医薬組成物、医薬品、製造方法およびその使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
メタボリックシンドロームの病因は、タンパク質、脂肪、炭水化物などのさまざまな物質の異常な代謝である。栄養過剰と身体活動の低下は、肥満や糖尿病などの肥満関連疾患を引き起こす可能性がある。近年、2型糖尿病と脂質異常症の発生率が増加している。2型糖尿病は糖尿病の最も一般的な形態であり、すべての糖尿病の約90%を占めている。2型糖尿病は、インスリン抵抗性によって引き起こされる高血糖値を特徴としている。現在の2型糖尿病の標準治療には、食事療法、運動、および経口や注射可能な血糖降下薬による治療が含まれる。しかしながら、2型糖尿病の多くの患者はまだ血糖値が十分にコントロールされていない。
【0003】
GLP-1は、37アミノ酸のペプチドであり、インスリン分泌を刺激し、膵臓β細胞を保護し、グルカゴン分泌、胃内容排出、および食物摂取を阻害することで体重を減少させる。gLP-1は、インクレチンと呼ばれている。インクレチン素受容体は、シグナル伝達がグルコースの体内バランスに対して重要な役割を果たしている。正常の生理学では、GLP-1は食後に腸から分泌され、これらのインクレチンは満腹、インスリン分泌、栄養素処理などの食物に対する生理学的反応を増強させる。2型糖尿病患者のインクレチン反応は低下する。現在市販されているインクレチンアナログまたはジペプチジルペプチダーゼIV(DPP-4)阻害剤は、単一の作用メカニズムのみにより血糖をコントロールしている。二重作用メカニズムを有する2型糖尿病化合物を使用することにより、血糖降下活性および体重減少効果の両方に優れたポリペプチド化合物が得られる。
【0004】
GLP-1アナログの投与は、悪心や嘔吐などの副作用によって制限され、投与によって血糖コントロールや体重減少に十分な効果が得られないことがよくある。天然GLP-1は、遍在するタンパク質分解酵素、特にジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP-4)によって急速に不活性化されるため、短期間の代謝制御にのみ使用できる。DPP-4はエキソペプチダーゼタンパク質分解酵素に属する。DPP-4は、GLP-1配列の7~8位のペプチド結合を急速に加水分解することができるため、7~8位および配列の他の位置に非天然アミノ酸を導入することにより任意のペプチドのタンパク質分解安定性を高めることができる。従って、非天然アミノ酸の使用は、DPP-4タンパク質による分解および他の形態の分解に対するペプチドの安定性を向上できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、従来技術における化合物の体内安定性、血糖降下、体重減少の効果、および副作用などの不足に対して、二重作用メカニズムを利用し、より優れた血糖降下活性および体重減少効果を有するGLP-1アゴニストポリペプチド化合物を提供し、2型糖尿病、肥満症および心血管疾患などの疾患の治療に使用することである。
【0006】
本発明の別の目的は、前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の製造方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の医薬品を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物、其薬学的に許容できる塩、その医薬組成物および医薬品の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、以下の技術的手段により実現される。
本発明は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合を開示する。そのアミノ酸配列が、
H Xaa
1EGTFTSDVSSYLE Xaa
2QAA Xaa
3EFIAWLVRGRG
であり、かつC末端のアミノ酸がカルボキシル基、またはカルボキシル基がアミド化されたものであり、
Xaa
1は、
【化1】
から選択され、
Xaa
2は、
【化2】
から選択され、
Xaa
1とXaa
2は同じであっても異なっていてもよく、
R
1は、2-6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
R
2は、HまたはCH
3であり、
Xは、O、SまたはN-CH
3であり、
式中、R
1およびR
2アルキル基は、1-6個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
Xaa
3は、
【化3】
から選択され、
m、nは自然数であり、好ましくは、nは12-20の自然数であり、mは0-3の自然数である。
【0012】
本発明に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物は、好ましいアミノ酸配列が
(1)SEQ ID NO:1
HX
2EGTFTSDVSSYLEX
2QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(2)SEQ ID NO:2
HX
2EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(3)SEQ ID NO:3
HX
3EGTFTSDVSSYLEX
3QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(4)SEQ ID NO:4
HX
3EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(5)SEQ ID NO:5
HX
4EGTFTSDVSSYLEX
4QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(6)SEQ ID NO:6
HX
4EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(7)SEQ ID NO:7
HX
5EGTFTSDVSSYLEX
5QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(8)SEQ ID NO:8
HX
5EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(9)SEQ ID NO:9
HX
6EGTFTSDVSSYLEX
6QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(10)SEQ ID NO:10
HX
6EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(11)SEQ ID NO:11
HX
7EGTFTSDVSSYLEX
7QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(12)SEQ ID NO:12
HX
7EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(13)SEQ ID NO:13
HX
8EGTFTSDVSSYLEX
8QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(14)SEQ ID NO:14
HX
8EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(15)SEQ ID NO:15
HX
9EGTFTSDVSSYLEX
9QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(16)SEQ ID NO:16
HX
9EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(17)SEQ ID NO:17
HX
10EGTFTSDVSSYLEX
10QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(18)SEQ ID NO:18
HX
10EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(19)SEQ ID NO:19
HX
11EGTFTSDVSSYLEX
11QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(20)SEQ ID NO:20
HX
11EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(21)SEQ ID NO:21
HX
12EGTFTSDVSSYLEX
12QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
(22)SEQ ID NO:22
HX
12EGTFTSDVSSYLEX
1QAAK(HOOC-(CH
2)
16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
である。
式中
【化4】
【0013】
本発明は、前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の合成方法をさらに開示する。
(1)化合物ポリペプチドの主配列の第1-31位アミノ酸を固相合成し、第1-4位アミノ酸は、断片Boc-His(Trt)Xaa
1Glu(OtBu)Gly-OHを使用し、
式中、
Xaa
1は、
【化5】
から選択され、
R
1は、2-6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
R
2は、HまたはCH
3であり、
Xは、O、SまたはN-CH
3であり、
式中、R
1およびR
2アルキル基は、1-6個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
(2)第20位Lysは、下記の構造式を有する断片Fmoc-Lys(Xaa
3)を使用し、
【化6】
前記nは、12-20の自然数であり、mは、0-3の自然数であり、
(3)用いる縮合剤は、DIC/HOBt、Oxymapure/DIC、HBTU/HOBT/DIEA、PyBop/HOBT/DIEAのうちの1種または複数種であり、用いる反応溶媒は、DCM、DMF、NMP、DMSOのうちの1種または複数種の組み合わせであり、用いるFmoc除去試薬は、v/v25%ピペリジン/DMF溶液であり、
(4)以下のステップを含み、
ステップ一:Fmoc-Gly
31-Wang樹脂を製造し、
ステップ二:全保護ペプチド樹脂を製造し、以下のステップaおよびステップbを含み、
ステップa:Fmoc-Gly
31-Wang樹脂を固相反応器に加え、
ステップb:固相合成法によりFmoc-Arg
30(Pbf)-OH、Fmoc-Gly
29-OH、Fmoc-Arg
28(Pbf)-OH、Fmoc-Val
27-OH、Fmoc-Leu
26-OH、Fmoc-Trp
25(Boc)-OH、Fmoc-Ala
24-OH、Fmoc-Ile
23-OH、Fmoc-Phe
22-OH、Fmoc-Glu
21(OtBu)-OH、Fmoc-Lys
20(Xaa
3)-OH、Fmoc-Ala
19-OH、Fmoc-Ala
18-OH、Fmoc-Gln
17(Trt)-OH、Fmoc-Gly
16-OH、Fmoc-Glu
15(OtBu)-OH、Fmoc-Leu
14-OH、Fmoc-Tyr
13(tBu)-OH、Fmoc-Ser
12(tBu)-OH、Boc-Ser
11-OH、Fmoc-Val
10-OH、Fmoc-Asp
9(OtBu)-OH、Fmoc-Ser
8(tBu)-OH、Fmoc-Thr
7(tBu)-OH、Fmoc-Phe
6-OH、Fmoc-Thr
5(tBu)-OH、Boc-His
1(Trt)Xaa
1glu
3(OtBu)Gly
4-OHをFmoc-Gly
31-Wangに逐一連結させ、
前記Xaa
1は、
【化7】
から選択され、
R
1は、2-6個の炭素原子を含む直鎖または分岐鎖アルキル基であり、
R
2は、HまたはCH
3であり、
Xは、O、SまたはN-CH
3であり、
式中、R
1およびR
2アルキル基は、1-6個のハロゲン原子で置換されていてもよく、
前記断片Fmoc-Lys
20(Xaa
3)-OHの構造式は、
【化8】
であり、
前記nは、12-20の自然数であり、前記mは、0-3の自然数であり、
ステップ三:前記ペプチド樹脂を開裂し、粗ペプチドを得、
開裂剤は、配合比がTFA:(チオアニソール/TIS/EDT/フェノール/水)=90:5である複合試薬を使用し、捕捉剤は、チオアニソール/TIS/EDT/水の任意の組み合わせであり、
ステップ四:逆相クロマトグラフィーによりポリペプチド化合物を製造し、逆相クロマトグラフィー法のフィラとしてシリカ系結合C8、C18フィラを使用し、移動相としてアセトニトリルおよび水溶液を使用し、水溶液は特定のpHのTFA、リン酸、硫酸溶液、またはこれらの酸で形成されるナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩などである。
【0014】
本発明は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩をさらに開示する。前記GLP-1アゴニストポリペプチド化合物は、前記ポリペプチド化合物であり、そのC末端アミノ酸は、C末端第一級アミドまたはその薬学的に許容できる塩がアミド化されたものである。
【0015】
本発明に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩は、好ましくは、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物と;塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、ピロ硫酸、リン酸、硝酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ギ酸、酢酸、アセト酢酸、ピルビン酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、カプロン酸、ヘプタン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、安息香酸、サリチル酸、2-(4-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、樟脳酸、桂皮酸、シクロペンタンプロピオン酸、ジグルコン酸、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、ニコチン酸、パモ酸、ペクチン酸、過硫酸、3-フェニルプロピオン酸、ピクリン酸、ピバル酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、イタコン酸、スルファミン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ドデシル硫酸、2-ナフタレンスルホン酸、ナフタレンジスルホン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、酒石酸、ステアリン酸、乳酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、脂肪酸、アルギン酸、マレイン酸、フマル酸、D-グルコン酸、マンデル酸、アスコルビン酸、グルコヘプタン酸、グリセロリン酸、アスパラギン酸、スルホサリチル酸、ヘミ硫酸およびチオシアン酸塩のうちの1種と;から形成される塩である。
【0016】
本発明は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物をさらに開示する。この医薬組成物は、上述したいずれかのGLP-1アゴニストポリペプチド化合物を有効原料とし、または上述したいずれかのGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩を有効原料とし、薬学的に許容されるキャリアまたは希釈剤をさらに含む
【0017】
本発明に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる塩は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物および上記化合物を原料とし、従来技術に開示の通常方法に従って製造される。
【0018】
本発明は、上述したいずれかのGLP-1アゴニストポリペプチド化合物を用いて製造される医薬品を開示する。前記医薬品は、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、シロップ、トローチ剤、吸入剤、噴霧剤、注射剤、膜剤、貼付剤、散剤、顆粒剤、ブロック剤、乳剤、坐剤および配合剤である。医薬品は、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物および薬学的に許容できる医薬品添加剤、キャリアまたは希釈剤から構成される。本発明に記載の医薬品は、従来技術における通常方法に従って製造できる。
【0019】
本発明に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の使用としては、有効原料として糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品または痩せ薬の製造に使用できる。
【0020】
本発明に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の薬学的に許容できる使用は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品の製造または痩せ薬の製造における有効原料とする使用である。
【0021】
本発明に記載のGLP-1アゴニストポリペプチド化合物の医薬組成物、医薬品は、糖尿病を治療もしくは予防するための医薬品または痩せ薬として適用できる。
【0022】
本明細書に使用される略語を下表に示す。
DCM ジクロロメタン
DMF N-メチルピロリドン
HBTU ベンゾトリアゾール-N,N,N’,N’-テトラメチルウ
ロニウムヘキサフルオロホスファート
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
DIEA/DIPEA N,N’-ジイソプロピルエチルアミン
Fmoc N-9-フルオレニルメチルオキシカルボニル
EDT エタンジチオール
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
TFA トリフルオロ酢酸
tBu tert-ブチル
【0023】
本発明の一部として、非天然アミノ酸の置換は、GLP-1アゴニストのインビボ安定性の向上を促進するだけではなく、活性にも大きな影響を与えている。例えば、前記配列におけるアミノ酸Xaa1によって、GLP-1アゴニストの活性は大きく違い、また、Xaa1がキラルである場合、1つの光学異性体は、活性がもう1つの置換されたGLP-1アゴニストよりも高い。また、脂肪酸は、アルブミン結合モチーフにより半減期を延長させることでペプチドの薬物動態を改善することができる。脂肪酸を使用してペプチドの半減期を改善できるが、本出願人は、本発明の一部として脂肪酸鎖の長さ、組成、位置およびペプチドと脂肪酸鎖との間のリンカーが意外にGLP-1アゴニストの活性に影響があり、ペプチドの半減期を延長できることを発見した。
【発明の効果】
【0024】
従来のポリペプチド化合物および製造技術に比べ、本発明は、以下の有益な効果を有する。
本発明は、二重作用メカニズムを利用し、より優れた血糖降下活性および体重減少効果を有するGLP-1アゴニストポリペプチド化合物を提供する。本発明のポリペプチド化合物は、血糖降下、体重減少の効果を有し、心血管にも有益であり、有効原料として糖尿病を治療または予防するための医薬品または痩せ薬の製造に適用できる。動物エネルギ消耗データにより、本発明のポリペプチド化合物は、患者の体重を減らす作用を有し、免疫原性が低い特性および週に1回投与可能な薬物動態(PK)特徴を有し、糖尿病、肥満の治療薬の有効成分として適用される。そのため、2型糖尿病、肥満症および心血管疾患などの疾患の治療に適用できる。
【0025】
本発明の製造方法により製造されたGLP-1アゴニストポリペプチド化合物は、血糖降下および体重増加抑制の活性が高く、効果持続時間が長く、収率が高く、合成周期が短く、粗製品の精製が容易で、生産コストが低く、産業の自動化生産が容易である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】実験における各試験薬のdb/dbマウスランダム血糖値に対する影響の図である。
【
図2】実験における各試験薬によるdb/dbマウスランダム血糖値の変化率の図である。
【
図3】実験における各試験薬のob/obマウスの体重に対する影響の図である。
【
図4】実験における各試験薬によるob/obマウスの体重の変化率の図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、これらの実施例は本発明を制限するものではない。
【0028】
【0029】
(実施例1:配列番号1ポリペプチド化合物の合成)
HX2EGTFTSDVSSYLEX2QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
1. 配列番号1ポリペプチド化合物のペプチド鎖の合成
1.1 樹脂の膨潤
Wang-Resin(置換度0.53mmol/g)を10g秤量し、100mLのDCMで30min膨潤した後、吸引濾過してDCMを除去し、さらに100mLのDMFで30min膨潤し、それぞれ100mLのDMFおよびDCMで洗浄した。
【0030】
1.2 Fmoc-Gly-Wang-Resinの合成
Fmoc-Gly(tBu)-OH(15mmol)、HOBT(18mmol)およびDIC(18mmol)を100mLのDMFに溶解し、得られた溶液を前のステップで得られた樹脂に加えて2時間反応させ、反応終了後、濾過して反応液を除去し、それぞれ100mLのDCMおよび100mLのDMFを用いて樹脂を3回洗浄した。
【0031】
1.3 Fmoc保護基の除去
洗浄後の樹脂に0.1MのHOBtを含む25%ピペリジン/DMF(V/V)溶液を加えてFmocを除去し、反応終了後、それぞれ100mLのDCMおよび100mLのDMFを用いて樹脂を3回洗浄した。
【0032】
1.4 ペプチド鎖の延長
配列に従って、ペプチド鎖の合成が終了してペプチド樹脂が得られるまで、上記の脱保護および連結のステップを繰り返して順に対応するアミノ酸をつけた。具体的な連結保護アミノ酸は以下の通りである。
固相合成法によりFmoc-Arg30(Pbf)-OH、Fmoc-Gly29-OH、Fmoc-Arg28(Pbf)-OH 、Fmoc-Val27-OH、Fmoc-Leu26-OH、Fmoc-Trp25(Boc)-OH、Fmoc-Ala24-OH、Fmoc-Ile23-OH、Fmoc-Phe22-OH、Fmoc-Glu21(OtBu)-OH、Fmoc-Lys20(Oct(OtBu)-γ-Glu(OtBu)-AEEA-AEEA)、Fmoc-Ala19-OH、Fmoc-Ala18-OH、Fmoc-Gln17(Trt)-OH、Fmoc-Gly16-OH、Fmoc-Glu15(OtBu)-OH、Fmoc-Leu14-OH、Fmoc-Tyr13(tBu)-OH、Fmoc-Ser12(tBu)-OH、Boc-Ser11-OH、Fmoc-Val10-OH、Fmoc-Asp9(OtBu)-OH、Fmoc-Ser8(tBu)-OH、Fmoc-Thr7(tBu)-OH、Fmoc-Phe6-OH、Fmoc-Thr5(tBu)-OH、Boc-His1(Trt)X2Glu3(OtBu)Gly4-OHを逐一Fmoc-Gly31-Wangに連結させる。
【0033】
1.5 ペプチド樹脂の分解
トリフルオロ酢酸を秤量して反応器に入れ、-10~0℃に冷却し、トリイソプロピルシラン、1,2-エタンジチオールおよび精製水(TFA:TIS:EDT=95:2.5:2.5)を加え、撹拌して均一に混合した。ペプチド樹脂をゆっくりと加え、20~30℃に昇温し、115~125min開裂反応させた。反応終了後、濾過して樹脂を除去し、除去した樹脂をM×8×20%mlのTFAで洗浄し、濾液および洗浄液を全てM×8×1.2×4mlのエーテルに移し、5~10min撹拌し、15min以上静置して沈降させた。沈降懸濁液を遠心分離機に入れ、遠心分離し、固体を収集した。エーテルで固体を6回(毎回5L以上)洗浄した。固体を20~35℃で6~10h真空乾燥し、粗ペプチド10.90gを得た。
【0034】
2. 配列番号1ポリペプチド化合物の精製
分取液体クロマトグラフィーにより精製した。クロマトグラフィー条件は、C18カラム(100mm×250mm,10μm);移動相A:0.1%のH3PO4/水(V/V)、移動相B:0.1%のH3PO4/アセトニトリル(V/V);移動相グラジエント:移動相B20%~60%、60min;流速:200mL/min、検出波長:214nmであった。純度が98.0%超えた留分を収集し、回転蒸発した後、凍結乾燥して3.10gのサンプルを得た。
【0035】
ポリペプチド化合物配列番号2-30の合成方法は実施例1と同様であった。
【0036】
(実施例2:配列番号2ポリペプチド化合物の合成)
HX2EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.93g得た。
【0037】
(実施例3:配列番号3ポリペプチド化合物の合成)
HX3EGTFTSDVSSYLEX3QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.87g得た。
【0038】
(実施例4:配列番号4ポリペプチド化合物の合成)
HX3EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.55g得た。
【0039】
(実施例5:配列番号5)
HX4EGTFTSDVSSYLEX4QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.60g得た。
【0040】
(実施例6:配列番号6)
HX4EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.61g得た。
【0041】
(実施例7:配列番号7)
HX5EGTFTSDVSSYLEX5QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.1g得た。
【0042】
(実施例8:配列番号8)
HX5EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.35g得た。
【0043】
(実施例9:配列番号9)
HX6EGTFTSDVSSYLEX6QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.70g得た。
【0044】
(実施例10:配列番号10)
HX6EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.90g得た。
【0045】
(実施例11:配列番号11)
HX7EGTFTSDVSSYLEX7QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.74g得た。
【0046】
(実施例12:配列番号12)
HX7EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.22g得た。
【0047】
(実施例13:配列番号13)
HX8EGTFTSDVSSYLEX8QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.48g得た。
【0048】
(実施例14:配列番号14)
HX8EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を5.30g得た。
【0049】
(実施例15:配列番号15)
HX9EGTFTSDVSSYLEX9QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.70g得た。
【0050】
(実施例16:配列番号16)
HX9EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.67g得た。
【0051】
(実施例17:配列番号17)
HX10EGTFTSDVSSYLEX10QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.33g得た。
【0052】
(実施例18:配列番号18)
HX10EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.440g得た。
【0053】
(実施例19:配列番号19)
HX11EGTFTSDVSSYLEX11QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を2.70g得た。
【0054】
(実施例20:配列番号20)
HX11EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.92g得た。
【0055】
(実施例21:配列番号21)
HX12EGTFTSDVSSYLEX12QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.62g得た。
【0056】
(実施例22:配列番号22)
HX12EGTFTSDVSSYLEX1QAAK(HOOC-(CH2)16-CO-γ-Glu-AEEA-AEEA)EFIAWLVRGRG
合成方法は実施例1と同様であった。精製したサンプル溶液を収集し、凍結乾燥して精製品を3.80g得た。
【0057】
以下、GLP-1アゴニストポリペプチド化合物(「ポリペプチド化合物」と略す)に関する薬理学的実験方法および結果を示す。
1、ポリペプチド化合物のGLP-1受容体アゴニスト活性
グルカゴン様ペプチド-1受容体(GLP-1R)は、クラスBGタンパク質共役型受容体に属し、血糖と体重の条件下で重要な役割を果たしており、抗糖尿病薬の重要な標的として考えられている。ヒトGLP-1Rを安定して発現するチャイニーズハムスター卵巣細胞株(CHO)を用いてポリペプチド化合物サンプルおよび対照化合物のGLP-1R下流cAMP信号に対する誘導活性を測定する。
【0058】
野生型ヒトGLP-1R(NM_002062.5)を一過性トランスフェクションし、600μg/mlのhygromycin-Bにて2週間選別することにより、FlpInCHO(Invitrogen)細胞安定発現システムに導入した細胞株を得た。FlpInCHO細胞の培養条件は、DMEM培養液に10%熱不活化ウシ胎児血清を加え、5%CO2インキュベーターにおいて培養することである。
【0059】
下流cAMP信号検出の試験において、細胞を6ウェル細胞培養プレートに接種して一晩培養した後、8000個の細胞/ウェルの濃度で384ウェルプレートに移し、37℃、5%CO2の条件下で24時間引き続き培養した。実験では、LANCE cAMP検出キットを用いてcAMP信号強度を測定した。細胞を30minインキュベートした後、LANCE cAMP検出キットを用い、マイクロプレートリーダーにより蛍光強度を測定し、標準曲線を作成し、蛍光強度を対応するcAMP数値に変換し、Graphpad Prism 7.0ソフトウェアの非線形回帰により化合物のEC50数値を計算した。
【0060】
<gLP-1RのcAMP信号分析>
(ペプチド) (GLP-1R EC50(pM))
セマグルチド 645.17±48.37
GLP-1(7-36) 121.64±87.78
配列番号1 91733.33±9692.46
配列番号2 21410.0±1320.27
配列番号3 2842.33±512.87
配列番号4 2024.33±276.5
配列番号5 914.63±126.1
配列番号6 623.22±83.5
配列番号7 8795.33±1407
配列番号8 7924.72±1062
配列番号9 675.33±67
配列番号10 524.72±52
配列番号11 8095.65±507
配列番号12 8924.22±310
配列番号13 5590.19±575
配列番号14 5400.39±364.7
配列番号15 2901.56±390
配列番号16 2508.81±307
配列番号17 3324.82±677.2
配列番号18 3124.17±511.8
配列番号19 791.33±63.5
配列番号20 692.89±55.7
配列番号21 652.07±41.7
配列番号22 630.43±51.9
【0061】
ポリペプチド化合物の配列番号3および配列番号4に対して動物体内実験を行い、血糖降下作用および体重減少について詳しい比較実験を行った。実験方法および結果を以下に示す。
【0062】
2、 ポリペプチド化合物の血糖降下作用および体重に対する影響の実験
DB/DB高血糖のマウスを5-7日間順応させた後、非断食ランダム血糖値を測定し、12時間断食させた後、高速血糖計により空腹血糖値を測定した。体重、12時間断食後の空腹血糖値、ランダム血糖値の結果を総合的に考慮して動物をランダムに群分けし(ランダム化されたブロックデザイン(randomizedblockdesign))、ランダム体重、ランダム血糖値および空腹血糖値に応じて溶媒対照群、ポリペプチド化合物群(試験薬:配列番号3および配列番号4)、陽性対照セマグルチド群、既知対照群SPN013に分けた。各試験薬群および対照群のマウスにそれぞれ各試験薬または対照群溶液を単回皮下注射し、モデル対照群マウスにPBS緩衝液を単回皮下注射する。実験の群別および用量設定を表1に示す。
【0063】
【表1】
表中、nは各群におけるマウスの数を示し、投与体積は5μl/g(マウス体重)である。
実験機器:高速血糖計(ジョンソン&ジョンソン,One Touch UltraEasy,型番:MGC23B4ER,MGC23B5ER)
【0064】
実験観察
臨床症状:この実験プロトコルの策定と変更は、上海マテリアメディカ研究所の動物倫理委員会(IACUC)によって評価および承認されてから実施された。動物の健康状況および死亡状況を監視した。
体重:動物を群分けした後、体重を毎日決まった時間に1回測定した。
【0065】
実験指標
血糖値:マウスの尾先端から採血し、高速血糖計および血糖テストストリップにより血糖値を測定した。
群分け後に、異なる試験薬を1回皮下投与し、投与の0h、2h、4h、6h、10h、24h、34h、48h、58h、72h、82h、96h後にそれぞれ血糖値を測定した。
試験薬の血糖降下効果をBG(mmol/L)またはAUC(mmol/L・min)で評価した。
AUCの計算
AUC=[(BG0+BG2)x2+(BG2+BG4)x2+(BG4+BG6)x2+(BG6+BG10)x4+(BG10+BG24)x14+(BG24+BG34)x10+(BG34+BG48)x14+(BG48+BG58)x10+(BG58+BG72)x14+(BG72+BG82)x10+(BG82+BG96)x14]/2。
データ分析
両群間の比較はT検定を使用する。3群以上の間の比較はone-way ANOVAを使用する。F値に有意差がある場合、ANOVA分析の後に多重比較をさらに行う必要がある。SPSS17.0により全てのデータ分析を行う。p<0.05である場合、有意差があるとみなされる。
【0066】
表2-4および
図1-2に示すように、血糖降下実験のデータおよび図表の結果から明らかなように、本発明のポリペプチド化合物の投与濃度が30nmol/kgである場合、血糖降下効果は、セマグルチドとほぼ同じであり、陽性対照群およびポリペプチド化合物群は、溶媒対照群に比べていずれも有意差があった。表5-6および
図3-4の結果から明らかなように、溶媒対照群に単回皮下注射で投与した後、db/dbマウスのランダム体重およびその変化量に対して明らかな影響がなかった。陽性対照群およびポリペプチド化合物群は、溶媒対照群に比べていずれも有意差があった。特に、投与の24時間に差異が最も顕著であった。また、実験結果から分かるように、ポリペプチド化合物の配列番号3、配列番号4、SPN013を単回皮下注射により投与した24h、48h、72h後にdb/dbマウスのランダム体重の変化量を顕著に低下でき、セマグルチド群よりも優れた。
【0067】
したがって、GLP-1アゴニスト化合物の単回皮下注射投与は、2型糖尿病db/dbマウスのランダム血糖値を顕著に低下できる。配列番号3、配列番号4は、等用量のセマグルチドの作用と相当した。配列番号3、配列番号4のポリペプチド化合物は、より優れた体重制御効果を示した。
【0068】
3、 ポリペプチド化合物的薬物動態実験
セマグルチド、SPN009(配列番号3)およびSPN010(配列番号4)の薬物動態比較実験
9匹の雄ラットを取り、3匹/群で群分けし、それぞれセマグルチド、SPN009およびSPN010を投与した。単回皮下注射、投与量0.02mg/kg。尾の切断により採血し、採血の時点は0h、15min、30min、1h、2h、3h、4h、6h、8h、24h、48h、72hであった。LC-MS/MS法により血漿中の化合物濃度を測定した。全てのデータは、Unifi1.9.3ソフトウェアにより採取して導出され、Excelソフトウェアによりデータを計算した。DAS3.0ソフトウェアの非室モデルによりラット投与後の薬物動態パラメータを計算した。結果を表7に示す。
【0069】
表7に示すように、ラットに単回皮下投与し、投与濃度が0.02mg/kgである場合、配列番号3および配列番号4の主な薬物動態パラメータt1/2およびTmaxは、セマグルチドよりも優れた。
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
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