(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】エアロゾル送達システム及び方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/50 20200101AFI20240702BHJP
【FI】
A24F40/50
(21)【出願番号】P 2022522942
(86)(22)【出願日】2020-09-17
(86)【国際出願番号】 GB2020052247
(87)【国際公開番号】W WO2021074579
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-06-08
(32)【優先日】2019-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Nicoventures Trading Limited
【住所又は居所原語表記】Globe House, 1 Water Street,WC2R 3LA London,United Kingdom
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】モロニー, パトリック
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/098371(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/165758(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/125889(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムとともに使用するためのコンピューティングデバイスであって、
前記エアロゾル供給システムの使用の1つ又は複数の態様に関係するデータを含む第1のデータセットを取得し、
前記エアロゾル供給システムの前記使用者と関連付けられた、前記エアロゾル供給システムの使用に関係しないデータを含むさらなるデータセットを取得し、
前記第1のデータセット内の使用の1つ又は複数の前記態様と前記さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別し、
前記さらなるデータセット内のそれぞれの特有の特徴に類似の特徴を有する状況に応答して、前記さらなるデータセット内の前記それぞれの特有の特徴に対応する前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの使用の前記態様に応答する前記エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整するように構成されたコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記コンピューティングデバイスが、
前記エアロゾル供給システムの前記使用者と関連付けられた、前記エアロゾル供給システムの使用に関係しない複数のさらなるデータセットを取得し、
前記第1のデータセット内の使用の1つ又は複数の前記態様と前記さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別し、
少なくとも1つ
のさらなるデータセット内のそれぞれの特有の特徴に類似の特徴を有する状況に応答して、前記少なくとも1つのさらなるデータセット内の前記それぞれの特有の特徴に対応する前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの使用の前記態様に応答する前記エアロゾル供給システムの前記動作パラメータを調整するように構成される、請求項1に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記コンピューティングデバイスが、
前記第1のデータセット内の使用と前記さらなるデータセット又は各さらなるデータセットの特徴の1つ又は複数のそれぞれのタイプとの間の対応関係を識別し、
少なくとも1つのさらなるデータセット内で識別された前記それぞれのタイプの特徴を有する状況に応答して、前記第1のデータセット内の事象の対応するタイプに応答する前記エアロゾル供給システムの前記動作パラメータを調整するように構成される、請求項1又は2に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
さらなるデータセットが、
i.環境条件、及び
ii.ウェブサイトとの使用者相互作用からなるリストから選択された1つに関係する、請求項1~3のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記さらなるデータセット又は各さらなるデータセットが、前記使用者の生理学的な態様に関係しない、請求項1~4のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
前記第1のデータセットが、
i.前記使用者の吸引プロファイル、及び
ii.吸引されたエアロゾルの量からなるリストから選択された1つ又は複数に関係する、請求項1~5のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
前記第1のデータセット内の使用と前記さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の前記識別された対応関係が、時間的な対応関係である、請求項1~6のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
動作パラメータが、前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの使用の前記態様を予測して調整される、請求項1~7のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
動作パラメータが、前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの使用の前記態様に対する予め定められた分散で調整される、請求項1~8のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか一項に記載のコンピューティングデバイスを備えるシステムであって、前記コンピューティングデバイスの機能が、
i.電子蒸気供給システムと通信するように動作可能な移動電話、
ii.電子蒸気供給システム、及び
iii.電子蒸気供給システム及び電子蒸気供給システムと通信するように動作可能な移動電話自体のうちの1つ又は複数と通信するように動作可能なサーバ、からなるリストから選択された1つ又は複数によって提供される、システム。
【請求項11】
使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムとともに使用するためのエアロゾル送達方法であって、
前記エアロゾル供給システムの使用の1つ又は複数の態様に関係するデータを含む第1のデータセットを取得するステップと、
前記エアロゾル供給システムの前記使用者と関連付けられた、前記エアロゾル供給システムの使用の1つ又は複数の前記態様に関係しないデータを含むさらなるデータセットを取得するステップと、
前記第1のデータセット内の使用と前記さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別するステップと、
前記さらなるデータセット内のそれぞれの特有の特徴に類似の特徴を有する状況に応答して、前記さらなるデータセット内の前記それぞれの特有の特徴に対応する前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの対応する使用の前記態様に応答する前記エアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整するステップとを含むエアロゾル送達方法。
【請求項12】
さらなるデータセットを取得する前記ステップが、複数のさらなるデータセットを取得することを含み、
対応関係を識別する前記ステップが、前記第1のデータセット内の使用の1つ又は複数の前記態様と前記さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別することを含む、
請求項11に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項13】
対応関係を識別する前記ステップが、前記第1のデータセット内の使用と前記さらなるデータセット又は各さらなるデータセットの特徴の1つ又は複数のそれぞれのタイプとの間の対応関係を識別することを含む、
請求項11又は12に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項14】
さらなるデータセットが、
i.環境条件、及び
ii.ウェブサイトとの使用者相互作用からなるリストから選択された1つに関係する、
請求項11~13のいずれか一項に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項15】
前記さらなるデータセット又は各さらなるデータセットが、前記使用者の生理学的な態様に関係しない、
請求項11~14のいずれか一項に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項16】
前記第1のデータセットが、
i.前記使用者の吸引プロファイル、及び
ii.吸引されたエアロゾルの量からなるリストから選択された1つ又は複数に関係する、請求項11~15のいずれか一項に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項17】
前記第1のデータセット内の使用と前記さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の前記識別された対応関係が、時間的な対応関係である、請求項11~16のいずれか一項に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項18】
動作パラメータが、前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの使用の前記態様を予測して調整される、請求項11~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項19】
動作パラメータが、前記第1のデータセット内に示される前記エアロゾル供給システムの使用の前記態様に対する予め定められた分散で調整される、請求項11~17のいずれか一項に記載のエアロゾル送達方法。
【請求項20】
コンピュータシステムに請求項11~19のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されたコンピュータ実行可能命令を含むコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[開示の背景]
[分野]
本開示は、エアロゾル送達システム及び方法に関する。
【従来技術の説明】
【0002】
本明細書に提供する「背景」の説明は、本開示の文脈について概略的に提示することを目的とする。この背景の節に記載する範囲で本明細書に名前を挙げる発明者らの仕事、並びにその他の点では出願の時点で従来技術であると考えられない説明の態様は、明示又は暗示を問わず本開示において従来技術であると認められるものではない。
【0003】
電子タバコ(eシガレット)などの電子エアロゾル供給システムは一般に、ニコチンを典型的に含む配合剤を含有する原料液体のリザーバを含み、エアロゾルは、それから、たとえば加熱気化によって生成される。したがって、エアロゾル供給システム用のエアロゾル供給源は、たとえばウィッキング/毛細管作用によってリザーバから原料液体を受け取るように配置された加熱要素を有するヒーターを備えてもよい。植物物質、又は有効成分及び/若しくは香味剤などのゲルなどの他の供給源材料も同様に加熱して、エアロゾルを生じさせることができる。したがって、より一般的には、eシガレットは、加熱気化のためのペイロードを含む又は受け入れるものと考えることができる。
【0004】
使用者がデバイスを吸引する間、電力が加熱要素に供給されて、加熱要素の近くにあるエアロゾル供給源(ペイロードの一部分)を気化し、使用者による吸引のためのエアロゾルを生成する。そのようなデバイスは通常、システムの吸い口端部から離れたところに配置された1つ又は複数の空気入口孔を備える。使用者がシステムの吸い口端部に接続された吸い口を吸うと、空気は入口孔を通って引き込まれ、エアロゾル供給源を通過する。エアロゾル供給源と吸い口の開口との間を接続する流路があり、その結果、エアロゾル供給源を通過する空気は、エアロゾル供給源からエアロゾルの一部を運びながら、流路に沿って吸い口開口に引き込まれ続ける。エアロゾルを運ぶ空気は、使用者による吸引のための吸い口開口を通ってエアロゾル供給システムを出る。
【0005】
通常、使用者がデバイスを吸い込む/パフすると、ヒーターに電流が供給される。典型的に、使用者が吸引する/吸い込む/パフすると、流路に沿った空気流センサが起動することに応答して、又は使用者によるボタンの起動に応答して、電流がヒーター、たとえば抵抗加熱要素へ供給される。加熱要素によって生成された熱は、配合剤を気化するために使用される。放出された蒸気は、喫煙消費者によってデバイスに吸い込まれた空気と混合し、エアロゾルを形成する。これに代えて、又はこれに加えて、加熱要素は、タバコなどの植物を典型的には燃焼させずに加熱して、その有効成分を蒸気/エアロゾルとして放出するために使用される。
【0006】
使用者によって吸引される気化/エアロゾル化されるペイロードの量は、少なくとも部分的に、ある期間において、使用者がどれだけ長く及びどれだけ深く吸引するか、並びに同様に使用者がどれだけ頻繁に吸引するかに依存する。これらの使用者挙動は、使用者の気分に影響されることがある。
【0007】
本開示の実施形態は、気分によって消費が影響されうる使用者へのペイロードの送達を改善することを目的とする。
【発明の概要】
【0008】
第1の態様では、コンピューティングデバイスが、請求項1によって提供される。
【0009】
別の態様では、エアロゾル送達方法が、請求項11によって提供される。
【0010】
さらなる態様が、特許請求の範囲によって提供される。
【0011】
本開示の上記の一般的な概要及び以下の詳細な説明はどちらも、本開示の例示であり、制限するものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
本開示及びそれに伴う利点の多くのより完全な理解は、以下の詳細な説明を参照し、添付の図面と関連して考慮することによってよりよく理解されることから、容易に得られる。
【0013】
【
図1】電子エアロゾル/蒸気供給システム(EVPS)を示す図である。
【
図5】EVPS及び遠隔デバイスを備えるシステムを示す図である。
【
図6】エアロゾル供給方法のフローチャートである。
【実施形態の説明】
【0014】
電子エアロゾル供給システム及び方法が開示される。以下の説明では、本開示の実施形態の徹底的な理解を提供するために、複数の特有の詳細を提示する。しかし、本開示の実施形態を実施するためにこれらの特有の詳細を用いる必要がないことは、当業者には明らかである。逆に言えば、当業者に知られている特有の詳細は、説明を明確にする目的で必要に応じて省略される。
【0015】
上述したように、本開示は、エアロゾル供給システム(たとえば、非燃焼式エアロゾル供給システム)又はeシガレットなどの電子蒸気供給システム(EVPS)に関する。以下の説明全体を通して、「eシガレット」という用語が使用されることがあるが、この用語は、(電子)エアロゾル/蒸気供給システムと交換可能に使用することができる。同様に、「蒸気」及び「エアロゾル」という用語も本明細書では同等に参照される。
【0016】
一般に、電子蒸気/エアロゾル供給システムは、ベイピングデバイス又は電子ニコチン送達システム(END)としても知られている電子タバコとすることができるが、エアロゾル化可能材料内にニコチンが存在することは必要条件ではないことに留意されたい。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼加熱式システムとしても知られているタバコ加熱システムである。いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、エアロゾル化可能材料の組合せを使用してエアロゾルを生成するハイブリッドシステムであり、これらの材料のうちの1つ又は複数を加熱することができる。エアロゾル化可能材料の各々は、たとえば、固体、液体、又はゲルの形態であってもよく、ニコチンを含有しても又は含有しなくてもよい。いくつかの実施形態では、ハイブリッドシステムは、液体又はゲルのエアロゾル化可能材料と、固体のエアロゾル化可能材料とを含む。固体のエアロゾル化可能材料は、たとえば、タバコ又は非タバコ製品を含んでもよい。一方、いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給システムは、1つ又は複数のそのようなエアロゾル化可能材料から蒸気/エアロゾルを生成する。
【0017】
典型的に、非燃焼式エアロゾル供給システムは、非燃焼式エアロゾル供給デバイスと、非燃焼式エアロゾル供給システムとともに使用するための物品とを備えることができる。しかし、それ自体がエアロゾル生成構成要素にパワーを供給するための手段を備える物品は、それ自体が非燃焼式エアロゾル供給システムを形成することができると考えられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスは、パワー源及びコントローラを備えることができる。パワー源は、電源であっても又は発熱パワー源であってもよい。一実施形態では、発熱パワー源は、発熱パワー源の近くのエアロゾル化可能材料又は熱伝達材料に熱の形態のパワーを分配するようにエネルギーを与えることができる炭素基材を含む。一実施形態では、発熱パワー源などのパワー源は、非燃焼式エアロゾル供給部を形成するように物品に設けられる。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料を含んでもよい。
【0018】
いくつかの実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、エアロゾル化可能材料から1つ又は複数の揮発成分を放出してエアロゾルを形成するようにエアロゾル化可能材料と相互作用することが可能なヒーターである。一実施形態では、エアロゾル生成構成要素は、加熱することなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。たとえば、エアロゾル生成構成要素は、たとえば振動手段、機械的手段、加圧手段、又は静電気的手段のうちの1つ又は複数によって、熱を加えることなくエアロゾル化可能材料からエアロゾルを生成することが可能である。
【0019】
いくつかの実施形態では、エアロゾル化可能材料は、活性材料、エアロゾル形成材料、及び任意選択で1つ又は複数の機能材料を含んでもよい。活性材料は、ニコチン(任意選択で、タバコ又はタバコ派生物に含まれる)又は1つ若しくは複数の他の非嗅覚的な生理活性材料を含んでもよい。非嗅覚的な生理活性材料は、嗅覚以外の生理学的応答を実現するためにエアロゾル化可能材料に含まれる材料である。エアロゾル形成材料は、グリセリン、グリセロール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エリスリトール、メソ-エリスリトール、バニリン酸エチル、ラウリン酸エチル、スベリン酸ジエチル、クエン酸トリエチル、トリアセチン、ジアセチン混合物、安息酸ベンジル、フェニル酢酸ベンジル、トリブチリン、酢酸ラウリル、ラウリン酸、ミリスチン酸、及び炭酸プロピレンのうちの1つ又は複数を含んでもよい。1つ又は複数の機能材料は、香料、キャリア、pH調整剤、安定剤、及び/又は酸化防止剤のうちの1つ又は複数を含んでもよい。
【0020】
いくつかの実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、エアロゾル化可能材料、又はエアロゾル化可能材料を受け入れるための領域を含んでもよい。一実施形態では、非燃焼式エアロゾル供給デバイスとともに使用するための物品は、吸い口を備えてもよい。エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル化可能材料を貯蔵するための貯蔵領域であってもよい。たとえば、貯蔵領域はリザーバであってもよい。一実施形態では、エアロゾル化可能材料を受け入れるための領域は、エアロゾル生成領域から離れていても、又はエアロゾル生成領域と組み合わされていてもよい。
【0021】
次に図面を参照されたい。いくつかの図全体を通して、同じ参照番号が同一の部分又は対応する部分を指す。
【0022】
図1は、本開示のいくつかの実施形態によるeシガレット10などの電子蒸気/エアロゾル供給システムの概略図である(原寸に比例しない)。eシガレットは、破線LAによって示す長手方向軸線に沿って延びる略円筒形の形状を有し、2つの主要な構成要素、すなわち本体20及びカトマイザ30を備える。カトマイザは、たとえばニコチンを含む液体などのペイロードのリザーバと、気化器(ヒーターなど)と、吸い口35とを含む内部チャンバを含む。以下で述べる「ニコチン」は、単なる例示であり、任意の好適な有効成分に置き換えることができることを理解されたい。ペイロードとして述べる「液体」は、単なる例示であり、植物物質(たとえば、燃焼ではなく加熱されるタバコ)、又は有効成分及び/若しくは香味剤を含むゲルなどの任意の好適なペイロードに置き換えることができることを理解されたい。リザーバは、気化器へ送達することが必要とされるときまで液体を保持するための発泡体又は任意の他の構造とすることができる。液体/流動性ペイロードの場合、気化器は、その液体を気化するためのものであり、カトマイザ30は、少量の液体をリザーバから気化器の気化位置、又は気化器に隣り合う気化位置へ移送するためのウィック又は類似の手段をさらに含むことができる。以下では、ヒーターが気化器の具体例として使用されている。しかし、気化器の他の形態(たとえば、超音波を利用するもの)も使用することができることを理解されたい。使用される気化器のタイプはまた、気化されるペイロードのタイプに依存しうることも理解されたい。
【0023】
本体20は、eシガレット10に電力を供給するための再充電可能な電池又はバッテリーと、eシガレットを全体的に制御するための回路基板とを含む。回路基板によって制御されるように、ヒーターがバッテリーから電力を受け取ると、ヒーターは液体を気化し、次いでこの蒸気は吸い口35を通って使用者によって吸引される。いくつかの特有の実施形態では、本体は、本体の外側に配置された手動起動デバイス265、たとえばボタン、スイッチ、又はタッチセンサをさらに備える。
【0024】
本体20及びカトマイザ30は、
図1に示すように、長手方向軸線LAに平行な方向に分離することによって、互いから取外し可能とすることができるが、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供するために、
図1に25A及び25Bとして概略的に示す接続部によって、デバイス10が使用されるときにともに接合される。カトマイザ30に接続するために使用される本体20の電気コネクタ25Bはまた、本体20がカトマイザ30から取り外されたときに充電デバイス(図示せず)を接続するためのソケットとしても働く。充電デバイスの他方の端部をUSBソケットに差し込んで、eシガレット10の本体20内の電池を再充電することができる。他の実施態様では、本体20の電気コネクタ25BとUSBソケットとの間の直接接続のためにケーブルが提供されてもよい。
【0025】
eシガレット10には、空気入口用の1つ又は複数の孔(
図1には図示せず)が設けられている。これらの孔は、eシガレット10を通って吸い口35に至る空気通路に接続する。使用者が吸い口35を吸引すると、空気は、eシガレットの外側に好適に配置された1つ又は複数の空気入口孔を通ってこの空気通路に引き込まれる。ヒーターを起動させてカートリッジからニコチンを気化させると、空気流は生成された蒸気を通ってその蒸気と結合し、次いで空気流と生成された蒸気とが組み合わさって、吸い口35から流出して、使用者によって吸引される。1回限りの使用のデバイスを除いて、カトマイザ30は、液体の供給源が使い尽くされたとき、本体20から取り外されて処分されてもよい(所望される場合は別のカトマイザと交換される)。
【0026】
図1に示すeシガレット10は、例として提示されており、様々な他の実施態様を採用することができることが理解されよう。たとえば、いくつかの実施形態では、カトマイザ30は、2つの分離可能な構成要素として、すなわち液体リザーバ及び吸い口を備えるカートリッジ(リザーバからの液体が使い尽くされたときは交換することができる)、及びヒーターを備える気化器(一般的に保持される)として提供される。別の例として、充電手段は、車のシガーライタなどの追加又は代替の電源に接続してもよい。
【0027】
図2は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10の本体20の概略図(簡略図)である。
図2は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。たとえば配線及びより複雑な形状など、本体の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために
図2から省略されたことに留意されたい。
【0028】
本体20は、使用者によるデバイスの起動に応答してeシガレット10に電力を供給するためのバッテリー又は電池210を含む。加えて、本体20は、eシガレット10を制御するためのコントロールユニット(
図2には図示せず)、たとえば特定用途向け集積回路(ASIC)又はマイクロコントローラなどのチップを含む。マイクロコントローラ又はASICは、CPU又はマイクロプロセッサを含む。CPU及び他の電子構成要素の動作は、概して、CPU(又は他の構成要素)上で走るソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、マイクロコントローラ自体に組み込むことができ、又は別個の構成要素として設けることができる、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよい。CPUは、必要に応じて、及び必要とされるときに、ROMにアクセスして個々のソフトウェアプログラムをロード及び実行することができる。マイクロコントローラはまた、適当な場合、本体10内の他のデバイスと通信するための適当な通信インターフェース(及び制御ソフトウェア)を含む。
【0029】
本体20は、eシガレット10の遠方(遠位)端をシールして保護するためのキャップ225をさらに含む。典型的に、使用者が吸い口35を吸引すると、空気が本体20に流入することができるように、キャップ225に、又はキャップ225に隣り合って、空気入口孔が設けられる。コントロールユニット又はASICは、バッテリー210に沿って、又はバッテリー210の一端に、配置されてもよい。いくつかの実施形態では、ASICは、吸い口35での吸引を検出するためにセンサユニット215に取り付けられる(又はその代わりに、ASIC自体にセンサユニット215を設けてもよい)。空気入口から空気流センサ215及びヒーター(気化器又はカトマイザ30内)を通過して吸い口35に至る空気経路が、eシガレットに設けられている。したがって、使用者がeシガレットの吸い口を吸引すると、CPUは、空気流センサ215からの情報に基づいて、そのような吸引を検出する。
【0030】
キャップ225とは反対側の本体20の端部には、本体20をカトマイザ30に接合するためのコネクタ25Bがある。コネクタ25Bは、本体20とカトマイザ30との間の機械的及び電気的な接続を提供する。コネクタ25Bは、カトマイザ30への電気接続のための1つの端子(正又は負)として機能する金属(いくつかの実施形態では銀めっきされている)である本体コネクタ240を含む。コネクタ25Bは、第1の端子、すなわち本体コネクタ240とは反対の極性の、カトマイザ30への電気接続のための第2の端子を提供する電気接点250をさらに含む。電気接点250は、コイルばね255に取り付けられている。本体20がカトマイザ30に取り付けられると、カトマイザ30のコネクタ25Aは、コイルばねを軸線方向、すなわち長手方向軸線LAに平行な方向(長手方向軸線LAと一致する方向)に圧縮するように、電気接点250を押す。ばね255の弾性を考慮すると、この圧縮によって、ばね255が付勢されて伸びようとし、これには電気接点250をカトマイザ30のコネクタ25Aに対してしっかりと押し付ける効果があり、以て本体20とカトマイザ30との間の良好な電気接続を確実にするのに役立つ。本体コネクタ240及び電気接点250は、架台260によって分離されており、架台260は、2つの電気端子間の良好な絶縁を提供するために、非導電体(プラスチックなど)から作られている。架台260は、コネクタ25A及び25Bの相互の機械的係合を支援するような形状である。
【0031】
上述したように、手動起動デバイス265の形態を表すボタン265は、本体20の外側ハウジングに配置することができる。ボタン265は、使用者によって手動で起動されるように動作可能な任意の適当な機構を使用して、たとえば機械式ボタン又はスイッチ、静電容量型又は抵抗型のタッチセンサなどとして実施することができる。また、手動起動デバイス265は、本体20の外側ハウジングではなく、カトマイザ30の外側ハウジングに配置されてもよく、その場合、手動起動デバイス265は、接続部25A、25BによってASICに取り付けられてもよいことが理解されよう。ボタン265はまた、キャップ225の代わりに(又はキャップ225に加えて)、本体20の端部に配置されてもよい。
【0032】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による
図1のeシガレット10のカトマイザ30の概略図である。
図3は、概して、eシガレット10の長手方向軸線LAを通る平面における断面であると考えることができる。配線及びより複雑な形状など、カトマイザ30の様々な構成要素及び詳細は、明確にするために
図3から省略されたことに留意されたい。
【0033】
カトマイザ30は、カトマイザ30の中心軸線(長手方向軸線)に沿って、吸い口35から、カトマイザ30を本体20に接合するためのコネクタ25Aまで延びる空気通路355を含む。液体のリザーバ360が、空気通路335の周りに設けられている。このリザーバ360は、たとえば液体に浸漬された綿又は発泡体を提供することによって実施することができる。カトマイザ30はまた、使用者がeシガレット10を吸引したことに応答して、蒸気を生成して空気通路355に流し、吸い口35から流出させるように、リザーバ360からの液体を加熱するためのヒーター365を含む。ヒーター365は、電線366及び367を通して電力が供給され、電線366及び367は、コネクタ25Aを介して本体20のバッテリー210の反対の極性(正極及び負極、又はその逆)に接続される(電力線366及び367とコネクタ25Aとの間の配線の詳細は、
図3から省略されている)。
【0034】
コネクタ25Aは内部電極375を含み、内部電極375は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、内部電極375は本体20の電気接点250に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第1の電気経路を提供する。特に、コネクタ25A及び25Bが係合されると、内部電極375は、コイルばね255を圧縮するように電気接点250を押し、以て内部電極375と電気接点250との間の良好な電気接触を確実にするのに役立つ。
【0035】
内部電極375は絶縁リング372に取り囲まれており、絶縁リング372は、プラスチック、ゴム、シリコーン、又は任意の他の好適な材料から作ることができる。絶縁リングは、カトマイザコネクタ370によって取り囲まれており、カトマイザコネクタ370は、銀めっきされても、又は何らかの他の好適な金属若しくは導電性材料から作られてもよい。カトマイザ30が本体20に接続されると、カトマイザコネクタ370は本体20の本体コネクタ240に接触して、カトマイザ30と本体20との間に第2の電気経路を提供する。言い換えれば、内部電極375及びカトマイザコネクタ370は、適当な場合、本体20内のバッテリー210から供給線366及び367を介してカトマイザ30内のヒーター365へ電力を供給するための正端子及び負端子(又はその逆)として機能する。
【0036】
カトマイザコネクタ370には、eシガレット10の長手方向軸線から離れて反対の方向に延びる2つの突起又はタブ380A、380Bが設けられている。これらのタブは、カトマイザ30を本体20に接続するために、本体コネクタ240とともにバヨネット式の取付具を提供するために使用される。このバヨネット式の取付具は、カトマイザ30と本体20との間に確実で堅牢な接続を提供し、その結果、カトマイザ及び本体は互いに対して固定位置に保持され、ぐらつき又はたわみが最小限に抑えられ、偶発的な分離の可能性が非常に小さい。同時に、バヨネット式の取付具は、挿入してから回転させて接続すること、及び回転(逆方向)させてから引っ張って分離することによって、簡単で迅速な接続及び切断を提供する。他の実施形態は、スナップ嵌め又はねじ接続など、本体20とカトマイザ30との間で異なる形態の接続を使用することができることが理解されよう。
【0037】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による本体20の端部にあるコネクタ25Bの特定の詳細の概略図である(ただし、説明を明確にするため、架台260など、
図2に示すコネクタの内部構造の大部分は省略する)。特に、
図4は、概ね円筒チューブの形態を有する本体20の外部ハウジング201を示す。この外部ハウジング201は、たとえば、紙などで外側が覆われた金属の内側チューブを備えてもよい。外部ハウジング201はまた、手動起動デバイス265が使用者にとって容易にアクセス可能となるように、手動起動デバイス265(
図4には図示せず)を備えてもよい。
【0038】
本体コネクタ240は、本体20のこの外部ハウジング201から延びる。
図4に示す本体コネクタ240は、2つの主要な部分、本体20の外部ハウジング201にちょうど嵌るようなサイズの中空の円筒チューブの形状のシャフト部分241、及びeシガレットの主長手方向軸線(LA)から離れる方向に、半径方向に外向きに向けられたリップ部分242を備える。シャフト部分が外部ハウジング201と重複しないところで、カラー又はスリーブ290が、本体コネクタ240のシャフト部分241を取り囲んでおり、カラー290もまた円筒チューブの形状である。カラー290は、本体コネクタ240のリップ部分242と本体の外部ハウジング201との間に保持され、これらはともに、カラー290の軸線方向(すなわち、軸線LAに平行な方向)の移動を防止する。しかし、カラー290は、シャフト部分241(したがって、軸線LAでもある)の周りを自由に回転することができる。
【0039】
上述したように、キャップ225には、使用者が吸い口35を吸引すると空気が流れることができるように、空気入口孔が設けられている。しかし、いくつかの実施形態では、使用者が吸引するとデバイスに入る空気の大部分は、
図4に2つの矢印によって示すように、カラー290及び本体コネクタ240を通って流れる。
【0040】
図5を次に参照すると、本開示の一実施形態では、より応答性の高い電子蒸気供給システム(EVPS)を提供するシステムが、EVPS/eシガレット10、及びたとえばブルートゥース(登録商標)を介してeシガレットと通信する(たとえば、eシガレットからのデータを少なくとも受け取るため)ように動作可能な移動電話又は類似のデバイス(タブレットなど)100など、2つの構成要素を備えることができる。この場合、電話は、本明細書に後述するように、応答性を生成するためのより広いデータ収集及び処理能力を提供する。
【0041】
しかし、2つのそのような構成要素が使用される可能性が高いが、好適な通信及び/又はユーザインターフェース能力を有するEVPS/eシガレットが、そのようなシステム自体を実施することができることも想定されることが理解されよう。
【0042】
いずれにしても、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成された、エアロゾル供給システムとともに使用するためのコンピューティングデバイスが提供される(たとえば、移動電話若しくはサーバなどの遠隔デバイス、又はEVPS自体の中の好適な構成要素による)。
【0043】
コンピューティングデバイスは、第1のデータセットを取得するように構成され、第1のデータセットは、エアロゾル供給システムの使用に関係するデータを含む。典型的に、移動電話などの別個のデバイスの場合、このデータは、たとえばブルートゥース(登録商標)又は別の無線接続を介して、EVPSから取得される。一方、任意選択で、たとえば移動電話が特定の機能に対するEVPSのためのユーザインターフェースとして作用するとき、又は第1のデータセットから追加のデータを導出するとき、一部のデータがコンピューティングデバイスによってローカルで取得されてもよい。
【0044】
この第1のデータセットは、使用者によるEVPSの使用の様々な記述子を含むことができる。いくつかの場合、データセットは、これらの目的のためにすでに生成されたものであってもよいし、又はその代わりに、データセットの一部若しくはすべてが、特に本技法による使用のために生成されてもよい。任意選択で、データセット内で使用される記述子のすべてが関連するとは限らないと考えられる場合、生成されたデータセットのサブセットのみが、本技法によって使用されてもよい。
【0045】
第1の例では、第1のデータセットは、使用者の吸引プロファイルに関係するデータを含むことができる。吸引プロファイルは、全体的な持続時間、ピーク空気流量、平均空気流量、吸引された空気の全体的な体積、初期吸引速度、及び/又は空気流量包絡線のうちの1つ又は複数の点から、使用者がEVPSでどのように吸引するかを示すと考えることができる。データは、実際には、EVPSの圧力センサからの圧力の変化など、空気流に対する任意の好適なプロキシを使用してもよいことが理解されよう。任意選択で、コンピューティングデバイスは、第1のデータセット内の他のデータから、第1のデータセットに対する記述子を生成してもよく、たとえば空気流量及び全体的な吸引持続時間、並びに吸引中に吸引された空気/蒸気の全体的な体積が計算されてもよい。
【0046】
この例では、典型的に第1のデータセットは、時間に応じてこの情報を提供し、吸引をタイムスタンプに関連付ける。
【0047】
任意選択で、第1のデータセット内の吸引プロファイルは、そのような分類の下にある特性値を提供するのではなく、短いか長いか、深いか浅いかなどの分類に従って提供されてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、コンピューティングデバイスは、第1のデータセットに基づいてそのような分類を行ってもよい。
【0048】
任意選択で、この例では、第1のデータセットは、個々の吸引に対するデータを含むのではなく、1日を通した期間に対する平均値を、たとえば1時間、30分、15分、10分、又は5分の間隔で提供してもよい。
【0049】
また、第1のデータセットの吸引プロファイルデータを拡張して、複数の吸引のパターンを時間とともに特徴付けることもできる。特に、吸引の頻度を時間とともに特徴付けることができる。この場合も、任意選択で、これは1日を通した期間にわたって、たとえば1時間、30分、15分、10分、又は5分の間隔で提供されてもよい。
【0050】
同様に、たとえば任意の所与の時点における平均吸引頻度からの標準偏差に基づいて、吸引の規則性を特徴付けることもでき、この場合も任意選択で、所与の間隔の期間内にサンプリングすることができる。
【0051】
第2の例では、これに代えて、又はこれに加えて、第1のデータセットは、吸引されたエアロゾルの量に関係するデータを含むことができる。任意選択で、これはEVPS内の有効成分の有効強度に関係することができ、製造時に標準化されてもよいし、又は使用者がリフィルを使える場合は変動してもよい。この場合、リフィルの組成は、任意の好適な識別技法に基づいて、EVPSによって自動的に検出されてもよいし、又はたとえば移動電話がリフィルの包装上のQRコードを走査して関連情報を取得することによって獲得されてもよい。
【0052】
この情報を使用して、たとえば吸引された空気/蒸気の量を示す個々の平均吸引プロファイル、有効成分の有効強度とともに、吸引ごとに、又は好適な時間枠(上述した期間のいずれかなど)に対して、有効成分の消費を推定することができる。
【0053】
任意選択で、データはまた、体重及び/又は見掛け上の最大吸引容量など、使用者の生理学的な特性に関係することができる。
【0054】
この情報を使用して、好適な時間枠(上述した期間のいずれかなど)に対する使用者の体内の有効成分レベルを推定することができる。
【0055】
より一般的に、第1のデータセットは、使用者への蒸気の送達に関係するEVPSのあらゆる使用を含むことができ、拡張によって、使用者への蒸気の有効成分の送達も含むことができる。したがって、たとえばEVPSの温度設定をダイヤルアップ又はダイヤルダウンすることは、使用であると考えることができ、有効空気流又は蒸気密度を変更する調整を空気の吸入部又は吸い口に加えることができる。同様に、有効成分の有効強度を変更するためにペイロードを入れ替えることも、使用であると考えることができる。この場合も、そのような活動は、タイムスタンプ又は上述したもののうちの1つなどの期間と関連付けることができる。
【0056】
一方、EVPSを単にいじったり若しくはもてあそんだりすること、又はEVPSをバッグではなく手の中に保持することは、使用者への蒸気の送達に関係するのではなく、使用者の習慣又は挙動を示す。したがってこれらは、使用者へ蒸気を送達するために使用するという意味で、エアロゾル供給システムの使用に関係しない。
【0057】
しかし、それにもかかわらず、EVPSを単に保持しているのではなく、バッグからEVPSを取り出すこと、又はEVPSをもてあそび始めることと、吸引の点からEVPSを後に使用することとの間には、明白な相関関係が存在しうることが理解されよう。たとえば、EVPSがバッグに入っていた場合、これはEVPSがしばらく使用されていないことを示すことができ、したがってEVPSをバッグから取り出すことは、短期的に通常より比較的頻繁にEVPSを使用したいという要求を示すことができる。一方、EVPSを単に保持しているのではなくもてあそぶことは、興奮を示すことがあり、平均以上の吸引速度又は深さに相関することがある。実際の相関関係は、使用者ごとに変動し、場合により期間ごとに変動する。
【0058】
したがって、EVPSの運動検出及び/又はタッチ検出に関係するデータは、エアロゾル供給システムの使用者と関連付けられたデータを含むさらなるデータセットのすべて又は一部の一例であり、(エアロゾルを生成するために使用するという意味で)エアロゾル供給システムの実際の使用に関係しない。
【0059】
したがって、本開示の一実施形態では、コンピューティングデバイスは、少なくとも1つのそのようなさらなるデータセットを取得するように構成され、さらなるデータセットは、エアロゾル供給システムの使用者と関連付けられた、エアロゾル供給システムの使用に関係しないデータを含む。
【0060】
以下に説明するように、そのようなさらなるデータセットは、本質的に多種多様であってもよく、したがって様々な方法で取得されてもよい。いくつかのデータセットは、上述した運動及び/又はタッチ検出など、EVPSに由来してもよいし、他のデータセットは、使用者の他のデバイス、又はコンピューティングデバイス自体(たとえば、電話)、又はたとえばインターネットを介して外部ソースに由来してもよい。
そのようなさらなるデータセットは、
i.使用者の現在の身体的状態に関係するデータ、
ii.使用者に起因する状況に関係するデータ、及び
iii.外的状況に関係するデータ
という、非限定的な例として提供される少なくとも3つの広いカテゴリのうちの1つ又は複数からのデータを含むことができる。
【0061】
第1のカテゴリは、使用者の生理学的な態様に関係するデータを含んでもよいが、第2及び第3のカテゴリは、そのようなデータを含まない。典型的に、そのようなデータセットの使用は、使用者のインフォームドコンセントを必要とし、又はそこから利益を得る。なぜなら一部には、使用者が、特定の状況が自身のEVPSに対する経験の改善に寄与しうることを知っている場合、使用者は、そのような状況に関する情報をコンピューティングデバイスへより進んで提供しようとする可能性が高いからである。
【0062】
i.使用者の現在の身体的状態に関係するデータ
このデータの例は、上述したもてあそぶ例などの挙動データを含み、場合により使用者の表情、声のトーン、又は語彙(たとえば、場合により通話中などの他の使用中に、移動電話又はデジタルアシスタントによって捕捉される)などの他の要因も含む。同様に、移動電話をもてあそぶこと、又は閾値期間にわたってワークステーションのキーボード若しくはマウスと相互作用しないことなど、コンピューティングデバイス自体又は場合によりコンピューティングデバイスと通信する他のデバイスを含む他のデバイスとの気分を示す他の相互作用が考慮されてもよい。
【0063】
このデータの他の例は、睡眠周期に関する情報、たとえば前夜の睡眠のタイミング、持続時間、及び/又は品質など、使用者によって装着されたフィットネストラッカーから取得されうる生理学的データを含む。同様に、使用者の最近及び/又は現在の心拍数、並びに歩数、衝撃(加速度計)測定、又は他の激しい活動の指標が捕捉されてもよい。
【0064】
これらのデータタイプのうちのいずれか1つ又は複数は、さらなるデータセット内に提供されてもよい。さらに、たとえばEVPS自体からの運動追跡、移動電話からの使用者の表情/発話、及びフィットネス用のウェアラブル機器からの睡眠データ/心拍数などの異なるソースに対応する複数のさらなるデータセットが提供されてもよい。これらは、別個のさらなるデータセットとして処理されても、又はコンピューティングデバイスによって1つのさらなるデータセットに統合されてもよい。
【0065】
ii.使用者に起因する状況に関係するデータ
このデータの例は、食事、通勤、仕事、運動など、使用者によって開始される活動を含む。仕事又は運動などの活動は、登録された職場又はジムに対する使用者の場所に基づいて検出することができる。通勤は、使用者の動き、及び任意選択で使用者の位置(たとえば、道路と鉄道の移動を区別する)に基づいて検出することができる。この情報は、移動電話及び/又はEVPS自体からのGPSデータ、及び任意選択で追加のデータの組合せから判定することができ、そのようなデータは、道路及び鉄道の場所の場合は公的に利用可能であり、又はたとえば自身のEVPSの管理に関連付けられたオンラインアカウントの一部として使用者によって登録された個人情報の場合は私的に利用可能である。
【0066】
同様に、使用者の電話上のカレンダを参照して、社会的関与及び他の関与が判定されてもよい。
【0067】
この場合も、EVPSの使用と、運動、通勤、又はパーティへの出席などの使用者に起因する状況に関係するデータとの間には、相関関係が存在しうることが理解されよう。
【0068】
iii.外的状況に関係するデータ
このデータの例は、使用者自身によって直接的(又は故意)に発生/用意されたものではない使用者の気分又は活動に対するより広い環境的な影響を含む。環境的条件の一例として、使用者への起こりうる影響は、現在及び/又は近い将来の局地的な天気である。他の要因には、たとえば、使用者によって消費される媒体におけるスポーツの結果又はニュースのヘッドライン(たとえば、ソーシャルメディアポータルで使用者によって観察されたニュースフィードに基づく)が含まれうる。使用者の気分及び挙動に影響しうる他の要因には、使用者の現在の銀行預金残高及び/又は支出レベル、友人又は家族から使用者にどれだけ最近に電話がかかってきたか、使用者の交際状況などが含まれる。
【0069】
そのような外部データは、移動電話によって照合されてもよく、たとえば天気データは、任意の好適なオンラインソース及び/又は電話上の任意の好適な天気サービスアプリから取得されてもよい。同様に、スポーツ及びニュース並びに他のソーシャルメディアの影響は、任意の好適なオンラインソース及び/又は電話上の任意の好適なソーシャルメディアアプリから取得されてもよい。同様に、銀行データ又は一般的な流動性評価は、好適なアプリからの使用者の許可によって取得されてもよく、又はユーザインターフェースを介して、たとえば週ごとに、使用者によって提供されてもよい。交際状況は、ソーシャルメディアを介して取得されてもよく、電話のログ、SMSメッセージなどが、使用者の許可によって、対人関係の状況に関して分析されてもよい。
【0070】
この場合も、EVPSの使用とそのような外的状況との間には、相関関係が存在しうることが理解されよう。たとえば、強い雨は、EVPSを使用したいという使用者の傾向を著しく低減させることがあり、太陽の光は、それを著しく増大させる。一方、たとえば嫌なニュースは、それに対応するストレスのわずかな増大のため、使用者によるより深い又はより頻繁な吸引と、わずかな相関関係を有することがある。
【0071】
これらの分類にまたがる若しくは別の広いカテゴリを表す他のデータソースが存在することもあり、又はすべてこれらのカテゴリの範囲外であると考えられることもある。
【0072】
たとえば、使用者に起因する状況は、病院に行くこと、又は予定/習慣の時間にジムに行かないことを含みうる。これらは、使用者の具合が悪いことを示唆することがあり、したがってこれらもまた、使用者の生理学的状態の間接的な指標である。
【0073】
一方、時刻又は曜日は、任意選択で、さらなるデータセットであると考慮されない。明らかに、時刻又は曜日は、EVPSの使用と1つ又は複数のさらなるデータセットから特定可能な状況の特徴との間の相関関係を確立するときに使用されてもよいが、現在の時刻及び曜日自体は、独自にさらなるデータセットとしての考慮から除外されてもよい。それにもかかわらず、時刻及び曜日は、使用者の習慣的な使用パターンを確立するための別個の機構の一部として、本発明と並行して使用されてもよく、たとえば、全体的な応答を判定するために、これらの技法及び潜在的に他の技法からの使用推定の寄与に重み付けをすることによって、これらの別個の手法が組み合わされてもよい。
【0074】
前述したように、さらに、これらの広いカテゴリのうちのいずれか1つ又は複数で、複数のさらなるデータセットが提供されてもよい。
【0075】
一部のデータ(たとえば、職場など、使用者の生理機能、好み、又は活動に関係する)は、すでに利用可能でない場合、使用者によって明示的に提供される必要がありうることが理解されよう(たとえば、使用者の生理学的データは、提携されたフィットネスアプリから利用可能となりうるが、使用者の職場は、平日の仕事時間中の使用者の場所から推測される可能性がある)。したがって、任意選択で使用者には、たとえば、使用者がアカウントを開設して維持することを可能にする、EVPSに関連付けられたサービス提供者(たとえば、製造者又は信頼される第3者)によってホストされるウェブサイトと相互作用することによって、このデータをシステムに入力する手段が提供されてもよい。アカウントは、このデータを、使用者及び使用者のEVPS、したがってその使用データと関連付ける。データは、直接入力された情報、及び/又は他の情報(ソーシャルメディア、電話のカレンダ、又はフィットネスデバイスからのデータなど)にアクセスするための許可を含むことができる。いくつかのそのような許可はまた、使用者の電話にアプリをインストールするときに取得されてもよい。
【0076】
やはり前述したように、これら3つの広いカテゴリ各々に対して、実際の相関関係は、使用者ごとに変動し、場合により期間ごとに変動する。
【0077】
それに応じて、本開示の一実施形態では、コンピューティングデバイスは、第1のデータセット内の使用と、さらなるデータセット(又は複数のさらなるデータセット)の1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別するように構成される。
【0078】
そのような対応関係の例は、本明細書ですでに前述されている。いくつかの状況の特徴は、時間的又は空間的に局所化され、典型的にジムへ行くことなどの事象に対応しており、いくつかの他の状況の特徴は、むしろ連続変数のようなものである可能性が高く、例には、現在の天気又は使用者の心拍数が含まれることが理解されよう。さらなる他の特徴は、2つの組合せであってもよく、まばらなサンプルを使用して、散発的に生じうる電話を介した通信中の使用者の表情又は言語の選択を分析するための不定期の機会など、使用者の状態の進行中の指示を通知することができる。
【0079】
対応関係自体は、任意の好適な1つ又は複数の形態をとってもよく、さらなるデータセットから導出される特徴及び関連データの性質に応じて異なってもよい。したがって、時間的又は空間的に局所化された状況の場合、使用との相関関係は、その局所化された事象への近接に依存することがある(言い換えれば、第1のデータセット内の使用と、さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の識別された対応関係は、時間的な対応関係となりうる)。一方、連続変数の場合、使用との相関関係は、変数の値に依存することがある(言い換えれば、第1のデータセット内の使用と、さらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の識別された対応関係は、値及び/又は状態間の対応関係となりうる)。
【0080】
複数の特徴との相互相関関係を考えることも可能であり、したがってたとえば、通勤時(使用者が仕事の後にストレスを受けていることを示すことができ、深い又は頻繁な吸引に対して特に強い相関関係を有しうる)を除いて、特定の使用者に対して、高い心拍数と使用の増大との間には、比較的低い相関関係が存在しうる。
【0081】
同様に、状況の複数の特徴及び/又は複数の状況の特徴が存在する場合、任意選択で、使用者挙動とのそれぞれの相関関係が取得されてもよい。いくつかの状況又は状況の組合せでは、これらは共通の結果のために互いを補強することができ、他の状況又は状況の組合せでは、これらは互いを弱めたり又は打ち消し合ったりすることがあり、したがっていずれか1つの状況によって示される使用が、すべてのそのような示されている使用を組み合わせることによって示される使用の集合に対応するとは限らない。この場合、システムは、EVPSの動作を修正するための基本として集合の使用を選択してもよいし、又は対立する結果のため、いかなる修正も実施しなくてもよいし、又は予め定められた優先順位に従って、特徴のサブセットのみを選択してもよいし、任意選択で、共通の使用指示若しくは閾値を下回る使用指示のずれが実現されるまで、そのサブセットを低減させてもよい。
【0082】
これらの相関関係は、当技術分野では知られている任意の好適な技法によって識別することができる。
【0083】
病気又は交際状況の変化など、個々の使用者の寿命の範囲内で比較的まれないくつかの事象の場合、任意選択で、統計的に著しい数の使用者のコーパスからのデータに基づいて識別された相関関係が、個々の使用者に対して相関関係をブートストラップ又はシードするために提供されてもよい。この場合、相関関係を導出するために使用されるコーパスは、個々の使用者に類似のタイプになるように(たとえば、年齢、性別、及び/又は特定の相関関係に関連すると考えられる任意の他の社会経済的指標に基づいて)選択されてもよい。
【0084】
同様に、個々の特徴をグループ又はタイプとして組み合わせて、より多くのデータを提供し、それによって、特徴タイプに基づいて第1のデータセット内の使用との対応関係を識別してもよい。いくつかの場合、これらは、同じ基本特徴の不必要な粒状化を回避するために、簡単にされてもよく、たとえば天気アプリは、霧雨、小雨、及び強い雨を識別することができるが、これらは、単一のタイプ(すなわち、「雨(rain)」又は「悪天候(bad weather)」)に組み合わされてもよい。これに代えて、又はこれに加えて、特徴をメタ特徴タイプとして組み合わせてもよく、したがって悪天候、スポーツの悪い結果、又は通常より20分遅れた職場への到着/職場からの出発がすべて、「悪い日(bad day)」の特徴タイプとして識別される。この場合、各々は、任意選択で好適な重み付け後に、「悪い日」の特徴変数の値に寄与することができる。
【0085】
より一般的に、特徴は、正のタイプ又は負のタイプとして識別することができ、全体的な良い/悪い程度に寄与することができ、その程度に対して、第1のデータセット内の使用との相関関係を確立することができる。
【0086】
同じ特徴が、異なるレベルのタイプに寄与することがあり、したがって「強い雨」は、それ自体が使用との明白な相関関係を有しうるが、より一般的な「悪い日」の特徴タイプにも寄与することができ、これは、雨がやんでからしばらくの間、使用者の沈んだ気分と相関することがあり(又は相関しないこともある)、したがってEVPSの使用者の使用挙動を変化させることが理解されよう。
【0087】
いずれにしても、エアロゾル供給システムの使用履歴の第1のデータセット(履歴とは、少なくとも最後の時間、日、週、若しくはコンピューティングデバイスの設計者によって割り当てられたデータ記憶資源によって持続可能な任意の期間のうちの1つなど、任意の好適な時間枠下で過去に発生した使用、及び/又は任意選択で過去の長さから独立して、特定のタイプの以前の各事象/状況に関連付けられた使用を単に意味する)と、エアロゾル/蒸気を生成するためのエアロゾル供給システムの使用に関係しない1つ又は複数のさらなるデータセットのデータ内で特定可能な1つ又は複数の状況の1つ又は複数の特徴との間の相関関係を計算した後、コンピューティングデバイスはすぐに動作できる状態になる。
【0088】
それに応じて、本開示の一実施形態では、さらなるデータセット内のそれぞれの特有の特徴に類似の特徴を有する状況に応答して、コンピューティングデバイスは、第1のデータセット内に示されるエアロゾル供給システムの対応する使用に応答するエアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整するように動作可能である。
【0089】
上述したように、EVPSの使用と、(たとえば、本明細書に前述した状況の様々な広いカテゴリのうちのいずれか1つ又は複数における状況の特徴に対する)そのさらなるデータセット又は各さらなるデータセット内の状況の特徴との間には、様々な対応関係/相関関係を確立することができる。
【0090】
その結果、対応関係/相関関係を確立するために使用される特徴の少なくともサブセットに対する現在のデータが、使用者による現在の使用を予期/予測するために使用されてもよい。
【0091】
したがって、より深い吸引又はより頻繁な吸引とEVPSをもてあそぶこととの間の相関関係が前もって確立されている場合、EVPSが現在もてあそばれていることを示す運動データは、蒸気に対する要求の増大と高い相関関係を有しうる。
【0092】
同様に、あまり頻繁でない吸引と雨天との間の相関関係が前もって確立されている場合、強い雨を示す天気データは、蒸気に対する要求の減少と高い相関関係を有しうる。
【0093】
任意の所与の瞬間に、対応関係/相関関係を確立するために使用されたすべての特徴が、コンピューティングデバイスにアクセス可能な現在値を有しているとは限らず、たとえば使用者の電話がポケットに入っている場合、使用者の現在の表情は利用可能でない可能性があり、使用者の電話がデータに対する圏外にある場合、最新のニュースのヘッドライン又は天気予報が利用可能でない可能性もあることが理解されよう。一方、交際状況などのいくつかの特徴は、後に更新されるまで持続すると想定されてもよく、したがって現在の状況を頻繁に確認する必要はない。さらに、そのような場合、関連する特徴は、状況の現在値自体ではなく、状況の変化であってもよい。
【0094】
したがって、対応関係/相関関係が分かっているすべての特徴が、起こりうる使用を予測するときに使用されるとは限らない。同様に、本明細書に前述したように、特徴に対する現在値が現在分かっている場合でも、任意選択で、すべての特徴が、起こりうる使用の予測に寄与するために使用されるとは限らず、又はほとんど若しくはまったく相関関係のない特徴若しくは特徴値は、恒久的に若しくは現在の予測に対して廃棄されてもよい。
【0095】
したがって、コンピューティングデバイスは、現在の状況(若しくは複数の現在の状況、又は予め定められた優先順位に従って選択された優先順位付きのそのサブセット)の1つ又は複数の特徴を使用し、その特徴又は各特徴とEVPSの使用の1つ又は複数の態様との間の相関関係を識別する。
【0096】
EVPSの使用の1つ又は複数の態様とのその相関関係又は各相関関係の強度は、そのような使用の態様を予測してEVPSが調整されるべき程度を判定するために使用することができる。そのような調整は、調整がオン若しくはオフになり、又は複数の形態/程度のうちの1つをとるように、相関関係の強度に応答する線形若しくは非線形のスケールに従ってもよいし、又は強度の相関関係に応じて、2値分類(たとえば、状態0、1)若しくは多状態分類(たとえば、状態0、1、2、3)に従って分類されてもよい。調整の特有の性質は、EVPSのどの態様が調整されているかに応じて選択されてもよい。
【0097】
調整は、任意の好適な形態をとってもよい。前述したように、EVPSによって作り出される蒸気/エアロゾル、したがって有効成分の量は、典型的に、ペイロードを気化させるために使用されるヒーターの温度に応じている。したがって、第1の例として、使用の増大が示された場合、温度を上昇させること及び/又はヒーターのデューティーサイクルを変更することによって、ヒーターの有効温度が増大されてもよい。同様に、使用の減少が示された場合、温度を低減させること及び/又はヒーターのデューティーサイクルを変更することによって、ヒーターの有効温度が減少されてもよい。いずれの場合も、デバイスによる有効成分の送達は、現在検出された状況を前に、使用者の使用履歴パターンに基づいて、推測される使用者の要望とより調和したものとなる。
【0098】
同様に、ヒーター/アトマイザーへのペイロードの送達速度が、類似の目的で調整可能であってもよい。これは、ウィックの抑制を低減させること、バルブを調整することなどに基づいて行われてもよい。
【0099】
同様に、より頻繁な使用が示されている場合、任意選択で吸引後、ヒーターの温度は、気化温度を下回るレベルまで低減されてもよいが、完全にはオフにされず、したがってデバイスは、急速吸引期間中により応答性が高くなる。そのような選択肢は、それを下回るとこの手法が使用されなくなる閾値頻度の対象となってもよい。
【0100】
この場合も同様に、短く鋭い吸引の可能性が高いと示されている場合(たとえば、ストレスの多い状況)、蒸気送達プロファイルは、予め定められた期間にわたって通常動作温度を上回るようにヒーターの温度を上昇させることによって、起動後に可能な限り迅速に蒸気を送達することを試みてもよい。この予め定められた期間は、吸引プロファイルなどに基づくこと、及び/又は吸引中の検出されたピーク空気流に応答することができる。
【0101】
逆に言えば、ゆっくりとした深い吸引の可能性が高いと示されている場合、蒸気送達プロファイルは、より均一であってもよい。システムがペイロードの性質を認識している場合、たとえばこの例で、ペイロードが強く加香されている場合、デバイスは、自覚的な香りを増大させるために、吸引の終わりに向けて蒸気の増加を提供してもよい。
【0102】
蒸気生成プロセスの動作パラメータへの直接的な調整に加えて、蒸気生成プロセスがすでに他の制御を受けている場合、間接的な調整を加えることができる。したがってたとえば、使用者がその日に対する最大使用許可量を設定している場合、以前の多用を示す状況の特徴に応答して、この最大使用許可量が増大されてもよい。
【0103】
同様に、使用者が、数週間又は数か月にわたってニコチン削減プログラムに従っている場合、以前の多用を示す状況の特徴に応答して、ニコチン削減プログラムがその日は休止してもよい(たとえば、パフごと若しくは期間ごとのニコチン送達の削減、又は全体的な許可量の削減を実施しない)。逆に言えば、状況の特徴が履歴的に平均より軽い使用を示す場合、任意選択で、ニコチン削減プログラムを1日飛ばしてもよく、又は同等に、デフォルトの毎日の増分を超えたさらなる削減を行ってもよい。
【0104】
したがって、そのような場合、動作パラメータは、対応する使用に対する予め定められた分散で調整される(すなわち、別個に課される使用方式を修正する)。
【0105】
動作パラメータは、蒸気自体の直接的又は間接的な生成に限定される必要はない。たとえば、EVPSが触覚フィードバック又は他のユーザインターフェース要素を有する場合、これらが適宜調整されてもよい。たとえば、検出された状況の特徴に応答した使用がストレスを示す場合、触覚フィードバックを低減させること、及び/又は他のインターフェース要素を修正することができ、たとえば音量を低下させること、又は通知音(たとえば、リザーバを変更する必要を示すために使用される音)のタイプを変化させることができる。同様に、ペイロードリザーバが低下していることを使用者に通知するための閾値は、通知がより早く行われるように増大されてもよく、これにより、使用者がストレスの多い状況中にEVPSを使用することができなくなる可能性を低減させることができる。類似の原理は、バッテリー寿命にも適用されうる。より一般的に、デバイスによって開始されるユーザインターフェースの相互作用の内容及び/又は頻度は、変更されてもよい(たとえば、状態通知又はリマインダの数を減少又は増大させるため)。
【0106】
上記の実施形態は、第1のデータセットに対する使用に関するデータは、個々の使用者に関するものであり、使用と相関する可能性があり、さらなるデータセット内に含まれる使用以外の要因に関するデータも同様に、使用者に関するものであると想定するが、任意選択で、これに代えて、又はこれに加えて、これらは、総称的なデータとして提供することができ、たとえば予想される総称的な応答でシステムをブートストラップするために(又は単に、使用者への後のいかなる個人化もなく、その応答を提供するために)、たとえばEVPS又は電話に内蔵することができる。
【0107】
したがって、製造時に提供される、又はアプリの一部としてダウンロード可能である、複合型のデータセットによって、たとえば第1のデータセット及び第2のデータセットを提供することができ、そのような複合型のデータセットは、使用以外の事象と使用値との間の総称的な相関関係を画定し、したがって、たとえば天候不良と相応の消費の低減との間の相関関係を示す。このようにして、EVPS又はEVPSと協働する電話は、ロード又は事前ロードされた複数のそのような条件を有し、条件を取得して、このデータセットからの相関関係を識別することができる。この場合、ロード又は事前ロードされた総称的なデータセットのみに依拠して、個人化された使用データ、使用以外のデータ、及び2つの間の相関関係の生成が時間及び使用とともに実施されてもよいし、又は任意選択で実施されなくてもよい。
【0108】
次いで、システムは、現在の状況を既存のシナリオと比較して、1つ又は複数の動作パラメータへの好適な調整を識別することができる。この場合も、これらはまた、複合型のデータセットによって規定することがきる。
【0109】
特にユーザインターフェース又はその拡張として使用される場合、EVPS自体及び/又は任意選択で移動電話に対する他の修正形態が、当業者には明らかである。
【0110】
図6を次に参照すると、本開示の一実施形態では、使用者による吸引のためにエアロゾル生成材料からエアロゾルを生成するように構成されたエアロゾル供給システムとともに使用するためのエアロゾル送達方法が提供され、この方法は、
第1のステップs610で、エアロゾル供給システムの使用に関係するデータを含む第1のデータセットを取得することと、
第2のステップs620で、エアロゾル供給システムの使用者と関連付けられた、エアロゾル供給システムの使用に関係しないデータを含むさらなるデータセットを取得することと、
第3のステップs630で、第1のデータセット内の使用とさらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別することと、
さらなるデータセット内のそれぞれの特有の特徴に類似の特徴を有する状況に応答して、第4のステップs640で、第1のデータセット内に示されるエアロゾル供給システムの対応する使用に応答するエアロゾル供給システムの1つ又は複数の動作パラメータを調整することを含む。
【0111】
本開示の範囲内で、本明細書に説明及び特許請求する方法及び/又は装置の様々な実施形態の動作に対応する上記の方法の変形が考えられることが、当業者には明らかであり、本開示は、それだけに限定されるものではないが、以下を含む。
【0112】
さらなるデータセットを取得するステップは、複数のさらなるデータセットを取得することを含み、対応関係を識別するステップは、第1のデータセット内の使用とさらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の対応関係を識別することを含む。
【0113】
対応関係を識別するステップは、第1のデータセット内の使用とこのさらなるデータセット又は各さらなるデータセット内の特徴の1つ又は複数のそれぞれのタイプとの間の対応関係を識別することを含む。
【0114】
さらなるデータセットは、環境条件及びウェブサイトとの使用者相互作用からなるリストから選択された1つに関係する。
【0115】
このさらなるデータセット又は各さらなるデータセットは、使用者の生理学的な態様に関係しない。
【0116】
第1のデータセットは、使用者の吸引プロファイル及び吸引されたエアロゾルの量からなるリストから選択された1つ又は複数に関係する。
【0117】
第1のデータセット内の使用とさらなるデータセットの1つ又は複数のそれぞれの特有の特徴との間の識別された対応関係が、時間的な対応関係である。
【0118】
動作パラメータが、対応する使用を予測して調整され、又は対応する使用に対する予め定められた分散で調整される。
【0119】
上記の方法は、該当する場合はソフトウェア命令によって好適に構成された従来のハードウェア(本明細書に前述したものなど)で実施されてもよく、又は専用のハードウェアの包含若しくは置換えによって実施されてもよいことが理解されよう。
【0120】
したがって、従来の同等なデバイスの既存の部品を適合させるのに必要なことは、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、固体状態ディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、又はこれら若しくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの非一時的機械可読媒体に記憶されたプロセッサ実行可能命令を含むコンピュータプログラム製品の形態で実施することができ、或いはASIC(特定用途向け集積回路)又はFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)、又は従来の同等なデバイスを適合させる際に使用するのに好適な他の構成可能な回路としてハードウェアで実現することができる。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、又はこれら若しくは他のネットワークの任意の組合せなどのネットワークで、データ信号を介して伝送することができる。
【0121】
変形形態
図1を再び参照すると、本明細書に前述したように、EVPSは、自己内蔵型ユニット(デバイス自体が従来のシガレットの形状又は寸法に必ずしも一致しない場合でも、一般にeシガレットと呼ばれる)とすることができる。そのようなeシガレットは、空気流測定手段、処理手段、並びに任意選択で、触覚、音声、及び/又は光/表示手段などの1つ又は複数のフィードバック手段を備えることができる。
【0122】
その代わりに、
図5を参照すると、再び前述したように、EVPSは、eシガレット10、及びたとえばブルートゥース(登録商標)を介してeシガレットと通信するように(たとえば、少なくともeシガレットからのデータを受け取るように)動作可能な移動電話又は類似のデバイス(タブレットなど)100など、2つの構成要素を備えることができる。
【0123】
次いで、移動電話は、eシガレットのものの代わりに、又はそれに加えて、処理手段、並びに触覚、音声、及び/又は光/表示手段などの1つ又は複数のフィードバック手段を備えることができる。
【0124】
任意選択で、EVPSは、移動電話100と通信するように動作可能なeシガレット10を備えることができ、移動電話は、EVPSに対する1つ若しくは複数のパラメータ又は他のデータ(使用者による使用の1つ又は複数の態様に特徴的なデータなど)を記憶し、eシガレットからそのようなパラメータ/データを受け取る。次いで、電話は、任意選択で、そのようなパラメータ/データに関する処理を実行し、処理済みのデータ及び/若しくは命令をEVPSへ戻し、結果を使用者に表示し(又は別の行為を実行する)、又は処理済み及び/若しくは未処理のパラメータ/データを遠隔サーバへ転送することができる。
【0125】
任意選択で、移動電話又はEVPS自体は、そのような遠隔サーバで使用者のアカウントに関連付けられたデータに無線でアクセスするように動作可能であってもよい。
【0126】
本開示の別の変形実施形態では、使用者の第1のEVPSは、その使用者設定の一部又は全部を別のEVPSへ通信することができる。使用者設定は、使用者挙動に特徴的なデータ、及び/又はEVPS動作の修正に関するデータなど、上記で開示した方法の実施態様に関係する設定を含むことができる。
【0127】
そのようなデータは、デバイス間で直接(たとえば、ブルートゥース(登録商標)又は近距離通信を介して)中継することができ、又は2つのデバイスの使用者によって所有される移動電話若しくは使用者がアカウントを有するサーバなどの1つ若しくは複数の仲介デバイスを介して中継することができる。
【0128】
このようにして、たとえば使用者が、2つのEVPSデバイスを有する場合、又は使用者が、蓄積された個人化データを失うことなく、1つのEVPSを別のEVPSに交換したいと考えた場合、使用者は、1つのデバイスから別のデバイスへデータを容易に共有することができる。
【0129】
任意選択で、この実施形態では、第2のEVPSが第1のEVPSとはタイプが異なる場合(たとえば、異なるデフォルトパワーレベル又は加熱効率を有することによる)、動作パラメータを第1のEVPSから第2のEVPSへ変換するための変換係数又はルックアップテーブルを用いてもよい。これは、第2のEVPSのソフトウェア又はファームウェアで提供することができ、直接通信するとき(又はデータが電話などの仲介を介した変化なく中継されるとき)、第1のEVPS、したがって適当な変換を識別する。これに代えて、又はこれに加えて、電話のアプリにより変換を提供してもよく、任意選択で第1及び第2のEVPSの識別情報に応答して、関連する変換をダウンロードしてもよい。この場合も、これに代えて、又はこれに加えて、遠隔サーバが、使用者のアカウントに関連付けられた第1及び第2のEVPSの識別情報に応答して、変換を提供してもよい。
【0130】
上記の議論は、本開示の単なる例示的な実施形態を開示及び説明する。当業者には理解されるように、本開示は、本開示の本質的な特徴から逸脱することなく、他の特有の形態で実施してもよい。それに応じて、本開示の開示は、本開示の範囲並びに他の特許請求の範囲の限定ではなく説明であることを意図したものである。本開示は、本明細書の教示のあらゆる容易に認識できる変形形態を含めて、本発明の主題が公衆に専用に供されないように、上記の特許請求の範囲の術語の範囲を部分的に定義する。