(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G06T 7/00 20170101AFI20240702BHJP
G06V 10/70 20220101ALI20240702BHJP
【FI】
G06T7/00 350B
G06V10/70
(21)【出願番号】P 2022534602
(86)(22)【出願日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 JP2020026911
(87)【国際公開番号】W WO2022009399
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】東 拓実
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-116589(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06V 10/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形状特徴から属性が判別できない対象物の学習用画像を入力する入力部と、
事前に設定された
前記対象物の
前記形状特徴と姿勢との対応関係に基づいて
、前記学習用画像から
前記対象物の
前記形状特徴を検出して
、前記学習用画像における前記対象物
の位置およ
び姿勢を認識する認識部と、
前記認識した対象物に
前記属性を示すタグ情報を付与する付与部と、
前記学習用画像
から認識した前記対象物の画像を含む認識結果と前記タグ情報とに基づく学習を行うことにより、
判別用画像の前記対象物の属性を判別するための判別モデルを生成する学習部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像処理装置であって、
前記学習部は、
前記学習用画像から認識した
前記対象物の姿勢を所定姿勢に揃えた状態
の画像で学習を行い、
前記入力部は、
前記対象物の
前記判別用画像を入力し、
前記認識部は、前記対応関係に基づいて前記判別用画像から
前記対象物の
前記形状特徴を検出して
、前記判別用画像における前記対象物
の位置およ
び姿勢を認識し、
前記判別用画像から認識した前記対象物の姿勢を前記所定姿勢に揃えた状態
の画像と前記判別モデル
とを用いて
、前記判別用画像の前記対象物の属性を判別する判別部を備える
画像処理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
前記入力部は、前記学習用画像として、画像内の
前記対象物の属性が同一の属性であると判別している画像を入力し、
前記付与部は、前記認識した
前記対象物に前記同一の属性を示す
前記タグ情報を付与する
画像処理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の画像処理装置であって、
画像を表示する表示部と、
作業者による指定操作が可能な操作部と、
を備え、
前記入力部は、前記学習用画像として、画像内の
前記対象物の属性が判別していない画像を入力し、
前記付与部は、前記表示部に表示された前記学習用画像内の
前記対象物に対し作業者による指定操作で指定された属性を取得し、前記認識した
前記対象物に前記取得した属性を示すタグ情報を付与する
画像処理装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
画像を表示する表示部と、
作業者による指定操作が可能な操作部と、
を備え、
前記付与部は、前記対象物の属性の判別に誤りがあったか属性の判別の信頼度が低かった画像内の
前記対象物に対し、作業者による指定操作で指定された属性を取得し、該取得した属性を示す
前記タグ情報を付与し直す
画像処理装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の画像処理装置であって、
前記対象物は、属性に拘わらず画像に写る外形形状が略同じ形状である
画像処理装置。
【請求項7】
形状特徴から属性が判別できない対象物の学習用画像を入力する入力ステップと、
事前に設定された
前記対象物の
前記形状特徴と姿勢との対応関係に基づいて
、前記学習用画像から
前記対象物の
前記形状特徴を検出して
、前記学習用画像における前記対象物
の位置およ
び姿勢を認識する認識ステップと、
前記認識した対象物に
前記属性を示すタグ情報を付与する付与ステップと、
前記学習用画像
から認識した前記対象物の画像を含む認識結果と前記タグ情報とに基づく学習を行うことにより、
判別用画像の前記対象物の属性を判別するための判別モデルを生成する学習ステップと、
を含む画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、画像処理装置および画像処理方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の画像処理装置としては、学習用画像を取得し、機械学習を行ってモデルを生成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像処理装置は、学習用画像に対して検出対象を含む対象領域と、教師信号を設定すべき検出領域とを設定し、対象領域と検出領域との関連度を算出する。そして、関連度に応じた所定値以上の値を取り得る教師信号を検出領域に対して設定し、教師信号が設定されている領域を学習データとして機械学習を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したような画像処理装置では、精度のよいモデルを生成するために、できるだけ多くの対象を学習することが求められる。しかしながら、学習の対象が多くなると、上述した領域の設定や関連度の算出などの処理の負担が増える。また、学習に必要な情報を作業者が付与する作業などにも手間が掛かり、作業者の負担も増えてしまう。
【0005】
本開示は、学習によりモデルを生成する際の負担を低減しながら精度のよいモデルを生成することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の画像処理装置は、
対象物の学習用画像を入力する入力部と、
事前に設定された対象物の形状特徴と姿勢との対応関係に基づいて前記学習用画像から対象物の形状特徴を検出して対象物およびその姿勢を認識する認識部と、
前記認識した対象物に属性を示すタグ情報を付与する付与部と、
前記学習用画像の認識結果と前記タグ情報とに基づく学習を行うことにより、対象物の属性を判別するための判別モデルを生成する学習部と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
本開示の画像処理装置は、事前に設定された対象物の形状特徴と姿勢との対応関係に基づいて、学習用画像から対象物およびその姿勢を認識し、対象物に属性を示すタグ情報を付与する。そして、学習用画像の認識結果とタグ情報とに基づく学習を行うことにより、判別モデルを生成する。ここで、対象物の姿勢を認識していない状態で学習を行う場合には、精度のよい判別モデルを生成するために、あらゆる姿勢を網羅した多量の学習が必要となり、処理の負担が大きくなる。これに対して本開示では、対象物の姿勢を認識した状態で学習するため、学習量を少なくしても比較的精度のよい判別モデルを生成することができる。したがって、学習によりモデルを生成する際の負担を低減しながら精度のよいモデルを生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】画像処理装置10の構成の概略を示す構成図。
【
図4】学習用画像TI(TI1,TI2)の一例を示す説明図。
【
図5】ワークWのデータに付与されるタグ情報の一例を示す説明図。
【
図8】変形例の学習用画像TIを含む属性指定画面32aの一例を示す説明図。
【
図9】属性指定画面32aで属性が指定される様子の説明図。
【
図10】変形例においてワークデータに付与されるタグ情報を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本開示を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1は画像処理装置10の構成の概略を示す構成図である。画像処理装置10は、例えばカメラ40により撮像されたワークWの画像を処理する装置として構成されている。カメラ40は、例えばCCDやCMOS等の撮像素子と、外部から入射した光を撮像素子に導く光学系とを備え、ワークWの画像などを撮像する。画像処理装置10は、周知のCPUやROM、RAM、HDD、入出力ポート、通信ポートなどを備える。画像処理装置10は、機能ブロックとして、画像入力部12と、特徴抽出部14と、ワーク認識部16と、タグ付与部18と、機械学習部22と、記憶部24と、属性判別部26と、表示部32と、操作部34と、表示操作制御部36と、を備える。
【0012】
画像入力部12は、カメラ40で撮像されたワークWの画像を入力する。なお、画像入力部12は、カメラ40から画像を入力するものに限られず、ネットワークなどを介して画像を入力してもよい。また、入力する画像は、二次元画像であってもよいし三次元画像であってもよい。特徴抽出部14は、画像入力部12により入力された画像内の対象領域に対して抽出処理を行って、ワークWの形状的な特徴である形状特徴を抽出する。例えば、特徴抽出部14は、対象領域内の各画素の輝度値から互いに直交する二方向の輝度分布を求め、それらの変化量が、形状変化や材質変化などにより所定量以上となる点を特徴点として形状特徴を抽出する。勿論、特徴抽出部14は、この方法に限定されることなく、他の方法により形状特徴を抽出してもよい。また、特徴抽出部14は、ワークWの形状特徴を抽出する際に、画像内におけるワークWの向き(姿勢)を示す角度を認識し、所定の基準角度における形状特徴の位置を演算する。そして、特徴抽出部14は、形状特徴の位置を基準角度に対応付けた対応関係情報25aを生成し、記憶部24に記憶させる。
【0013】
ここで、
図2は、ワークWの一例を示す説明図である。
図2Aは、ワークWの表面を示し、
図2Bは、ワークWの裏面を示す。なお、
図2中の上下方向をワークWの上下とする。ワークWは、例えばコネクタ部品などの電気部品であり、表面と裏面とが略同じ形状となっている。画像処理装置10は、ワークWの属性として例えば表裏の判別処理を行う。ワークWは、樹脂製のボディBと、ボディBの下端面から突出した複数の導電性のピンPとを備える。ピンPが突出する下端面は、表面側を短辺とし、裏面側を長辺とする略台形状となっている。ボディBの下側は、そのような略台形状に形成されており、上側は、略直方体状に形成されている。作業者は、短辺の有無を視認することで表面と裏面とを見分けることができる。しかし、ワークWを表面側から撮像した画像でも、画像に写るボディBの下側の最大幅は台形の長辺となるから、画像に写るワークWの外形形状は、表面と裏面とで略同じとなる。また、ボディBの色や光の反射具合によっては表面側の短辺の縁が画像に現れにくいから、画像処理装置10が画像内のワークWの外形形状から表裏を判別するのは困難となる。なお、例えば多関節型ロボットなどを備えるロボットシステムで行われるピックアンドプレース作業などにおいて、このようなワークWが作業対象となる。例えば、ロボットシステムでは、供給装置により複数供給されたワークWの表裏の判別を行ってから、多関節型ロボットにワークWをピッキングさせて、表面または裏面のうちいずれかの面が上を向くようにワークWを所定箇所にプレースさせる。画像処理装置10は、このピックアンドプレース作業中にワークWの表裏の判別を行うものなどとする。
【0014】
また、本実施形態のワークWは、例えばボディBの上側中央に凸状に形成された特徴部F1や、ボディBの上側の左右両端に凸状に形成された特徴部F2などの形状的な特徴が表面と裏面に同様に設けられている。特徴抽出部14は、上述した抽出処理により、このような特徴部F1,F2や上部と下部の境界などの形状特徴を抽出する。また、特徴抽出部14は、
図2に示すように、ピンPが上下方向に沿って下端面から突出する角度をワークWの基準角度とし、例えばボディBの略中央位置を原点とする座標系Rcに基づいて、特徴部F1,F2などの形状特徴のサイズや位置を検出する。これにより、ワークWの基準角度に対する形状特徴のサイズや位置が検出される。
【0015】
ワーク認識部16は、画像入力部12により入力された画像に対し、記憶部24に記憶された対応関係情報25aを用いてワークWを認識する。タグ付与部18は、ワーク認識部16により認識された画像内の各ワークWに対して、ワークWの属性を示すタグ情報を付与する。本実施形態のタグ付与部18は、ワークWの表裏のいずれの面であるかを示すタグ情報を付与する。なお、ワークWの属性は、この他に、ワークWのサイズや材質の種類、ワークWの品質不良の有無などが挙げられる。機械学習部22は、ワーク認識部16により画像内のワークWが認識された認識結果と、タグ付与部18により付与されたタグ情報とに基づいて、例えばサポートベクターマシンなどの教師あり学習を行う。機械学習部22は、この学習により、ワークWの属性を判別するための判別モデル25bを生成し、生成した判別モデル25bを記憶部24に記憶させる。属性判別部26は、ワーク認識部16により画像内のワークWが認識された認識結果と、記憶部24に記憶された判別モデル25bとに基づいて、画像内のワークWの属性を判別する。
【0016】
表示部32は、例えば液晶ディスプレイ等であり、各種情報や、画像入力部12により入力された画像などを表示する。操作部34は、例えばキーボードやマウス等、作業者が入力操作を行うものである。作業者は、操作部34を操作することで、表示部32に表示された画像内からワークWの選択やワークWに対する属性の指定などが可能である。表示操作制御部36は、各種情報や画像の表示部32への表示を制御したり、操作部34で受け付けた入力操作に基づく操作情報を生成し、必要に応じて各部への出力を制御する。例えば、表示操作制御部36は、特徴抽出部14が形状特徴の抽出処理を行う場合、表示中の画像に対して作業者が操作部34の操作によりワークWの領域を選択すると、そのワークWの領域情報を生成して、特徴抽出部14に出力する。特徴抽出部14は、その領域情報に基づく領域を上述した対象領域として、形状特徴の抽出処理を行い、ワーク種に対応付けて対応関係情報25aを記憶部24に記憶させる。
【0017】
次に、こうして構成された画像処理装置10が、学習用画像を用いた機械学習により判別モデル25bを生成する処理と、判別モデル25bを用いてワークWの表裏を判別する処理とを順に説明する。
図3は学習処理の一例を示すフローチャートである。なお、上述した対応関係情報25aは、予め設定されて記憶部24に記憶されているものとする。
【0018】
図3の学習処理では、画像処理装置10は、まず、裏面のワークWを含まず、表面のワークWだけがカメラ40で撮像された学習用画像TI1を画像入力部12により入力する(S100)。なお、学習用画像TI1は、カメラ40の撮像範囲に、表面が上向き(カメラ40側)となるように作業者により複数のワークWを並べた状態で撮像される。
図4は、学習用画像TI(TI1,TI2)の一例を示す説明図であり、
図4Aに学習用画像TI1の一例を示す。画像内の各ワークW(W1~W10)は、いずれも表面が上向きであるため上述した台形状の短辺が現れており、様々な角度となっている。
【0019】
画像処理装置10は、学習用画像TI1を入力すると、対応関係情報25aを用いてワーク認識部16により学習用画像TI1内の各ワークWの位置と角度とを認識し、ワークWの角度を基準角度に揃える(S110)。例えば、ワーク認識部16は、対応関係情報25aに含まれる形状特徴を有する領域を検出することによりワークWの位置を認識し、さらに検出した形状特徴の向きと、形状特徴に対応付けられた基準角度とから、画像内のワークWの角度(向き)を認識する。また、ワーク認識部16は、認識した角度が基準角度に一致するように各ワークWを回転させることで、ワークWを基準角度に揃える。続いて、画像処理装置10は、属性が表面であることを示すタグ情報をタグ付与部18により各ワークWに付与する(S120)。
図5は、ワークWのデータに付与されるタグ情報の一例を示す説明図である。ここでは、学習用画像TI1内の全てのワークWの属性が表面であることが予め判別しているから、表面を示すタグ情報が各ワークW(W1~W10)の入力データに一律に付与される(
図5A参照)。なお、S110でワークWを基準角度に揃える処理は、属性の学習を開始するまでに行われればよく、タグ情報が付与された後に行われてもよい。
【0020】
次に、画像処理装置10は、表面のワークWを含まず、裏面のワークWだけがカメラ40で撮像された学習用画像TI2(
図4B参照)を画像入力部12により入力する(S130)。なお、学習用画像TI2は、カメラ40の撮像範囲に、裏面が上向き(カメラ40側)となるように作業者により複数のワークW(W11~W20)を並べた状態で撮像される。学習用画像TI2を入力すると、画像処理装置10は、S110と同様に、対応関係情報25aを用いて学習用画像TI2内の各ワークWの位置と角度とを認識し、基準角度となるように各ワークWを回転させる(S140)。続いて、画像処理装置10は、属性が裏面であることを示すタグ情報をタグ付与部18により各ワークWに付与する(S150)。ここでは、学習用画像TI2内の全てのワークWの属性が裏面であることが予め判別しているから、裏面を示すタグ情報が各ワークW(W11~W20)の入力データに一律に付与される(
図5B参照)。
【0021】
こうして学習用画像TI1,TI2からワークWを認識した認識結果とタグ情報とに基づいて、画像処理装置10は、基準向きに揃えた各ワークWの属性を機械学習部22により学習して判別モデル25bを生成する(S160)。そして、画像処理装置10は、生成した判別モデル25bをワーク種に対応付けて記憶部24に記憶させて(S170)、学習処理を終了する。ここで、ワークWの角度(向き)を認識していない状態で学習を行う場合、精度のよい判別モデルを生成するために、あらゆる角度を網羅した多量の学習が必要となり、処理の負担が大きくなる。これに対して本実施形態では、ワークWの角度を認識し基準角度に揃えた状態で学習を行うから、少ないデータ量で精度のよい判別モデル25bを生成することができる。
【0022】
次に、こうして生成された判別モデル25bを用いた判別処理を説明する。
図6は、判別処理の一例を示すフローチャートである。この判別処理では、画像処理装置10は、まず、ワークWが撮像された判別用画像を画像入力部12により入力する(S200)。なお、判別用画像は、例えば上述したピックアンドプレース作業などの実行中に、供給されたワークWをカメラ40で撮像した画像であり、画像内のワークWの表裏や向きがバラバラの状態となっている。
【0023】
続いて、画像処理装置10は、対応関係情報25aを用いてワーク認識部16により判別用画像内の各ワークWの位置と角度とを認識し、各ワークWの角度を基準角度に揃える(S210)。この処理は、学習処理のS110,S140と同様に行われる。そして、画像処理装置10は、処理対象のワーク種に対応する判別モデル25bを用いて各ワークWの属性をそれぞれ判別して(S220)、判別処理を終了する。画像処理装置10は、判別モデル25bを生成する場合と同じ基準角度に揃えた状態でワークWの属性を判別するから、属性を誤判定するのを防止して精度よく判定することができる。なお、判別したワークWの属性は、認識したワークWの位置や角度に対応付けて、ロボットシステムの制御装置などの外部に適宜出力される。
【0024】
ここで、本実施形態の構成要素と本開示の構成要素との対応関係を明らかにする。本実施形態の画像入力部12が画像入力部に相当し、ワーク認識部16が認識部に相当し、タグ付与部18が付与部に相当し、機械学習部22が学習部に相当する。属性判別部26が判別部に相当する。表示部32が表示部に相当し、操作部34が操作部に相当する。なお、本実施形態では、画像処理装置10の処理を説明することにより本開示の画像処理方法の一例も明らかにしている。
【0025】
以上説明した本実施形態の画像処理装置10では、ワークWの形状特徴と角度との対応関係情報25aに基づいて、学習用画像TIからワークWの位置と角度を認識してタグ情報を付与する。そして、認識結果とタグ情報とに基づく学習を行って判別モデル25bを生成する。これにより、学習量(対象データ数)を少なくして、生成する際の負担を低減しながら比較的精度のよい判別モデル25bを生成することができる。
【0026】
また、画像処理装置10は、ワークWの向きを基準角度(基準姿勢)に揃えて学習するから、学習量を少なくすることができる。また、判別モデル25bを生成する場合と同じ基準角度に揃えてワークWの属性を判別するから、属性を誤判定するのを防止して精度よく判定することができる。
【0027】
また、画像処理装置10は、ワークWの属性が同一の学習用画像TI1,TI2を入力し、各ワークWに同一の属性を示すタグ情報を付与するから、作業者が各ワークWの属性を指定する手間を省いて、負担をより低減することができる。
【0028】
また、ワークWは、属性に拘わらず画像に写る外形形状が略同じである。このため、属性を精度よく判定するために、より多くの学習が必要となりやすいから、学習量を少なくするために本開示を適用する意義が高いものとなる。
【0029】
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
【0030】
例えば、上述した実施形態では、属性に拘わらず外形形状が略同じワークWを例示したが、これに限られず、属性によって画像に写る外形形状が異なるワークWを処理してもよい。また、ワークWとしてコネクタ部品を例示したが、これに限られず、コネクタ部品以外の電気部品や機械部品などとしてもよい。即ち、外形形状や部品種、用途などに拘わらず如何なる対象物に本開示を適用してもよい。
【0031】
上述した実施形態では、ワークWの角度を1の基準角度(基準姿勢)に揃えた状態で学習を行うものとしたが、これに限られず、複数の角度のうちいずれかの角度に揃えた状態で学習を行うものとしてもよい。例えば、ワークWの角度として、実施形態の基準角度に相当する0°の他に、90°と180°と270°とを選択可能とし、これらのうちいずれか近い角度を選択してその角度に揃え、揃えた角度に対応付けて学習してもよい。この場合、ワークWの属性を判別する際には、0°と90°と180°と270°のうちいずれかの角度にワークWを揃え、その角度に対応付けられた判別モデルを用いて判別すればよい。なお、二次元画像に限られず、三次元画像を用いた場合も同様に、ワークWの姿勢を1の基準姿勢または複数の基準姿勢のうちのいずれかに揃えるものであればよい。
【0032】
上述した実施形態では、学習により判別モデル25bを生成する画像処理装置と、判別モデル25bを用いてワークWの属性を判別する画像処理装置とを同一の装置としたが、これに限られず、別々の装置としてもよい。また、対応関係情報25aを画像処理装置10以外の装置が生成して記憶部24に記憶させてもよい。また、対応関係情報25aを画像処理装置10の記憶部24に記憶するものに限られず、サーバなどの外部記憶装置に記憶しておき、画像処理装置10は必要に応じてネットワークなどを経由して対応関係情報25aにアクセスしてもよい。このように、画像処理装置10は、少なくとも、画像入力部12とワーク認識部16とタグ付与部18と機械学習部22とを備えればよく、特徴抽出部14や属性判別部26を備えなくてもよい。また、表示部32と操作部34と表示操作制御部36は、対応関係情報25aの生成や以下の変形例を行うために必要なものであり、実施形態の学習処理と判別処理の実行には必須ではない。
【0033】
上述した実施形態では、ワークWの属性が同一の属性であると判別している学習用画像TIを入力したが、これに限られず、ワークWの属性が判別していない学習用画像TIを入力してもよい。以下、この変形例について説明する。
図7は、変形例の学習処理を示すフローチャートである。なお、
図7では、実施形態と同じ処理には同じステップ番号を付して説明を省略する。
【0034】
図7の変形例の学習処理では、画像処理装置10は、表裏が不明な状態でワークWがカメラ40により撮像された学習用画像TIを入力する(S100a)。次に、画像処理装置10は、対応関係情報25aを用いて学習用画像TI1内の各ワークWの位置と角度とを認識する(S110a)。続いて、画像処理装置10は、各ワークの属性(表裏)の指定を作業者から受け付けるために、表示部32の属性指定画面32aに、属性の指定が可能に学習用画像TIを表示して(S112)、各ワークWの属性の指定を受け付ける(S114)。
【0035】
図8は、変形例の学習用画像TIを含む属性指定画面32aの一例を示す説明図である。
図9は、属性指定画面32aで属性が指定される様子の説明図である。
図8に示すように、例えば属性指定画面32aには、上段に学習用画像TIが表示され、下段に属性を指定するための表ボタンと裏ボタン、指定完了ボタンが表示されている。また、属性指定画面32aには、作業者が操作部34を用いて指定操作が可能なカーソル(矢印で図示)も表示されている。
図8,
図9に示すように、作業者が操作部34を用いて表ボタンをカーソルで指定(クリック)してから、学習用画像TI内のワークWをカーソルで指定すると、そのワークWの属性が表面に指定される。
図9では、ワークW21,W25,W28,W29の属性が表面に指定された様子を示す。また、残りのワークWは、図示は省略するが、属性が裏面に指定される。画像処理装置10は、S110aの認識処理により、既にワークWの位置を認識している。また、画像処理装置10は、ワークWの位置を中心とする所定範囲を当該ワークWの指定範囲として設定するものとする。例えば、
図9では、ワークW29の指定範囲として、点線で示す円形状の範囲が設定される。作業者は、この指定範囲内にカーソルを移動させてクリックするだけで、ワークWの属性を指定することができる。このため、作業者は、画像内のワークWをカーソルで描く矩形状の領域で囲う操作などを行うことなく、容易に属性を指定することができる。また、表示操作制御部36は、作業者が属性の指定を行うと、ワークWの位置と属性とを対応付けた情報をタグ付与部18に出力する。
【0036】
画像処理装置10は、こうして各ワークWの属性の指定を受け付けると、ワークWの角度を基準角度に揃えて(S116)、指定された属性を示すタグ情報を各ワークWに付与する(S150a)。タグ付与部18は、表示操作制御部36からの情報に基づいて、各ワークWにタグ情報を付与する。なお、
図10は、変形例においてワークデータに付与されるタグ情報を示す説明図である。図示するように、ワークW21,W25,W28,W29のタグ情報が表面となり、残りのワークWのタグ情報が裏面となっている。そして、画像処理装置10は、S160以降の処理を行って判別モデル25bを生成して、学習処理を終了する。このように、変形例では、属性が不明な学習用画像TIを用いる場合に、作業者がワークWを囲うなどの手間なく容易に属性を指定することができるから、判別モデル25bを生成する際の負担を低減することができる。
【0037】
この変形例では、ワークWの属性が判別していない学習用画像TIに対して作業者から属性の指定を受け付けてタグ情報を付与したが、属性が判別していない画像に対するものに限られない。例えば、画像処理装置10は、ワークWの属性の判別において、表裏の判別を間違えたなど属性の判別に誤りがあった場合や属性の判別の信頼度が低かった場合などに、判別に誤りがあったワークWや信頼度が低かった画像などを表示部32に表示して作業者の操作による属性の指定を受け付ける。そして、画像処理装置10は、指定された属性を示すタグ情報を、ワークWに付与し直すものとする。また、画像処理装置10は、ワークWに付与し直したタグ情報に基づいて判別モデル25bを更新するものなどとすればよい。これにより、信頼度のより高い判別モデル25bを生成することができる。なお、これらの処理が、実施形態で行われてもよい。
【0038】
ここで、本開示の画像処理装置は、以下のように構成してもよい。例えば、本開示の画像処理装置において、前記学習部は、前記認識した対象物の姿勢を所定姿勢に揃えた状態で学習を行い、前記入力部は、対象物の判別用画像を入力し、前記認識部は、前記対応関係に基づいて前記判別用画像から対象物の形状特徴を検出して対象物およびその姿勢を認識し、前記認識した対象物の姿勢を前記所定姿勢に揃えた状態で前記判別モデルを用いて対象物の属性を判別する判別部を備えるものとしてもよい。こうすれば、対象物の姿勢を所定姿勢に揃えた状態で学習を行うから、学習量を少なくすることが可能となる。また、判別モデルを生成する場合と同じ所定姿勢に揃えた状態で対象物の属性を判別するから、属性を誤判定するのを防止して精度よく判定することができる。
【0039】
本開示の画像処理装置において、前記入力部は、前記学習用画像として、画像内の対象物の属性が同一の属性であると判別している画像を入力し、前記付与部は、前記認識した対象物に前記同一の属性を示すタグ情報を付与するものとしてもよい。こうすれば、作業者が、学習用画像内の対象物に属性を指定する手間を省くことができるから、モデルを生成する際の負担をより低減することができる。
【0040】
本開示の画像処理装置において、画像を表示する表示部と、作業者による指定操作が可能な操作部と、を備え、前記入力部は、前記学習用画像として、画像内の対象物の属性が判別していない画像を入力し、前記付与部は、前記表示部に表示された前記学習用画像内の対象物に対し作業者による指定操作で指定された属性を取得し、前記認識した対象物に前記取得した属性を示すタグ情報を付与するものとしてもよい。ここで、学習用画像内の対象物およびその姿勢を認識する際に、対象物の位置も認識可能であるから、作業者が対象物の周囲を囲うような操作を行わなくても、対象物を選択することが可能となる。このため、作業者が属性を指定する際に対象物の選択を容易に行って負担を低減することができる。
【0041】
本開示の画像処理装置において、画像を表示する表示部と、作業者による指定操作が可能な操作部と、を備え、前記付与部は、前記対象物の属性の判別に誤りがあったか属性の判別の信頼度が低かった画像内の対象物に対し、作業者による指定操作で指定された属性を取得し、該取得した属性を示すタグ情報を付与し直すものとしてもよい。こうすれば、信頼度のより高い判別モデルを生成することができる。
【0042】
本開示の画像処理装置において、前記対象物は、属性に拘わらず画像に写る外形形状が略同じ形状であるものとしてもよい。このような対象物は、属性を精度よく判定するために、より多くの学習が必要となりやすいから、学習の対象量を少なくするために本開示を適用する意義が高いものとなる。
【0043】
本開示の画像処理方法は、対象物の学習用画像を入力する入力ステップと、事前に設定された対象物の形状特徴と姿勢との対応関係に基づいて前記学習用画像から対象物の形状特徴を検出して対象物およびその姿勢を認識する認識ステップと、前記認識した対象物に属性を示すタグ情報を付与する付与ステップと、前記学習用画像の認識結果と前記タグ情報とに基づく学習を行うことにより、対象物の属性を判別するための判別モデルを生成する学習ステップと、を含むことを要旨とする。本開示の画像処理方法は、本開示の画像処理装置と同様に、モデルを生成する際の負担を低減しながら精度のよいモデルを生成することができる。この画像処理方法において、上述した画像処理装置の態様を採用してもよいし、上述した画像処理装置の機能を実現するステップを含んでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、画像処理装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0045】
10 画像処理装置、12 画像入力部、14 特徴抽出部、16 ワーク認識部、18 タグ付与部、22 機械学習部、24 記憶部、25a 対応関係情報、25b 判別モデル、26 属性判別部、32 表示部、32a 属性指定画面、34 操作部、36 表示操作制御部、40 カメラ、B ボディ、F1,F2 形状特徴、P ピン、Rc 座標系、TI,TI1,TI2 学習用画像、W,W1~W30 ワーク。