(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-01
(45)【発行日】2024-07-09
(54)【発明の名称】半導体構造及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10B 12/00 20230101AFI20240702BHJP
【FI】
H10B12/00 671
H10B12/00 611
(21)【出願番号】P 2022538408
(86)(22)【出願日】2021-01-29
(86)【国際出願番号】 CN2021074295
(87)【国際公開番号】W WO2022032995
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2022-06-20
(31)【優先権主張番号】202010816754.X
(32)【優先日】2020-08-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522246670
【氏名又は名称】チャンシン メモリー テクノロジーズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CHANGXIN MEMORY TECHNOLOGIES,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】ルー ジンウェン
(72)【発明者】
【氏名】チュー ビンユー
(72)【発明者】
【氏名】バイ シージエ
【審査官】加藤 俊哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-051250(JP,A)
【文献】特開2003-068670(JP,A)
【文献】特表2005-509288(JP,A)
【文献】特開2011-249583(JP,A)
【文献】特開2005-026641(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体構造の製造方法であって、
半導体基板を提供するステップであって、前記半導体基板はアレイ領域及び周辺回路領域を含み、前記アレイ領域において前記半導体基板に複数の電気容量接触ホールを有し、前記電気容量接触ホールの底部に第1導電層が堆積しており、前記周辺回路領域において前記半導体基板に素子層を有するステップと、
前記第1導電層を処理して、前記第1導電層の粗さを増大するステップと、
前記周辺回路領域に導線接触ホールを形成し、前記導線接触ホールから前記半導体基板を露出させるステップと、
遷移層を形成するステップであって、前記遷移層は少なくとも前記第1導電層の表面及び前記導線接触ホールから露出した前記半導体基板の表面をカバーするステップと、
第2導電層を形成するステップであって、前記第2導電層は前記遷移層をカバーし、前記電気容量接触ホール及び前記導線接触ホールに充填されるステップと、を含み、
前記半導体基板に個別に設置されるビット線構造を複数形成し、前記電気容量接触ホールが前記ビット線構造の間に設置され、前記第1導電層を処理するステップの前に、前記アレイ領域のビット線構造及び前記周辺回路領域の素子層に対して薄肉化処理を行うことを特徴とする、半導体構造の製造方法。
【請求項2】
前記ビット線構造はビット線接触島及びビット線を備え、前記ビット線接触島が前記半導体基板と接触し、前記ビット線が前記ビット線接触島に設置され、前記ビット線が導電層及び前記導電層に設置される媒体層を含み、薄肉化処理ステップで前記媒体層が薄肉化されることを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項3】
前記第1導電層を処理するステップは、前記第1導電層に対してイオン注入を行って、第1導電層の表面平坦度を破壊して、前記第1導電層の粗さを増大するステップを更に含むことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項4】
前記第1導電層が多結晶シリコン層であり、前記第1導電層に対してイオン注入を行うステップは、前記第1導電層に対してゲルマニウムイオン、炭素イオン又はヒ素イオン注入を行うことであることを特徴とする
請求項3に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項5】
前記第1導電層に対してイオン注入を行うステップで、前記周辺回路領域の素子層の表面に堆積層も形成されることを特徴とする
請求項3に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項6】
前記第1導電層を処理するステップの後、更に、隔離層を形成するステップであって、前記隔離層は前記アレイ領域及び前記周辺回路領域の表面をカバーするステップと、前記周辺回路領域に導線接触ホールを形成するステップの後、前記隔離層を除去するステップと、を含むことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項7】
遷移層を形成するステップは、
コバルト層を堆積させるステップであって、前記電気容量接触ホールの底部及び前記導線接触ホールの底部で、コバルトがそれぞれ前記第1導電層及び前記半導体基板と反応して、前記遷移層を形成するステップと、
急速加熱処理を行うステップと、を更に含むことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項8】
前記アレイ領域に位置する遷移層の厚さが前記周辺回路領域に位置する遷移層の厚さより大きいことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造の製造方法。
【請求項9】
前記第2導電層が粘着層及び金属導電層を含み、第2導電層を形成するステップは、更に、
遷移層の表面に粘着層を形成するステップと、
前記粘着層の表面に金属導電層を形成し、前記金属導電層が前記電気容量接触ホール及び前記導線接触ホールに充填されるステップと、を含むことを特徴とする
請求項1に記載の半導体構造の製造方法
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、2020年8月14日に提出された、出願番号が202010816754.Xであり、出願名称が「半導体構造及びその製造方法」である中国特許の優先権を主張し、その全ての内容は参照によって本願に組み込まれる。
【0002】
本発明は、半導体製造分野に関し、特に、半導体構造及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリ(Dynamic Random Access Memory:DRAM)は、コンピュータによく使用される半導体記憶装置であり、その記憶アレイ領域が多数の重複する記憶ユニットで構成される。各記憶ユニットは、一般にコンデンサとトランジスタを含み、トランジスタのゲートがビット線構造に接続され、ドレインとソースのうちの一方がビット線構造に接続され、ドレインとソースのうちの一方がコンデンサに接続され、ビット線構造における電圧信号がトランジスタのオン・オフを制御でき、更にビット線構造を介してコンデンサに記憶されているデータ情報を読み出し、又は、ビット線構造を介してデータ情報をコンデンサに書き込んで記憶させる。
【0004】
製造プロセスの微細化に伴い、ダイナミック・ランダム・アクセス・メモリの中の各導線接続位置の接触抵抗がますます重要になってきている。その中で、アレイ領域のコンデンサとDRAMのトランジスタの導電接続位置の接触抵抗及び周辺回路領域のMOSトランジスタのソース・ドレイン領域の導線接続位置の接触抵抗が特に重要である。現在、導線構造を作製する時、接触抵抗を小さくし、層間接続性能を増加するために、金属導線を堆積させる前に先に1層の遷移層を堆積させる。
【0005】
アレイ領域と周辺回路領域の遷移層が同一のステップで形成されるので、アレイ領域と周辺回路領域の遷移層の厚さが同じとなる。アレイ領域にとっては、遷移層が厚いほど、その導通電流が大きくなり、導線性能が良くなるが、周辺回路領域にとっては、遷移層が厚すぎると、高すぎる導通電流をもたらすことがあって、絶縁破壊効果を引き起こして、漏電の増大に繋がる可能性がある。
【0006】
従って、アレイ領域と周辺回路領域に異なる厚さの遷移層をどのように形成するかは、現在迫って解決しようとする問題となる。
【発明の概要】
【0007】
発明が解決しようとする技術的問題は、アレイ領域と周辺回路領域に異なる厚さの遷移層を形成でき、アレイ領域の導線の導電性能を向上させると共に、周辺回路領域の厚すぎる遷移層による漏電を回避することができる半導体構造及びその製造方法を提供することである。
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、半導体基板を提供するステップであって、前記半導体基板はアレイ領域及び周辺回路領域を含み、前記アレイ領域において前記半導体基板に複数の電気容量接触ホールを有し、前記電気容量接触ホールの底部に第1導電層が堆積しており、前記周辺回路領域において前記半導体基板に素子層を有するステップと、前記第1導電層を処理して、前記第1導電層の粗さを増大するステップと、前記周辺回路領域に導線接触ホールを形成し、前記導線接触ホールから前記半導体基板を露出させるステップと、遷移層を形成するステップであって、前記遷移層は少なくとも前記第1導電層の表面及び前記導線接触ホールから露出した前記半導体基板の表面をカバーするステップと、第2導電層を形成するステップであって、前記第2導電層は前記遷移層をカバーし、前記電気容量接触ホール及び前記導線接触ホールに充填されるステップと、を含む半導体構造の製造方法を提供する。
【0009】
更に、前記半導体基板に個別に設置されるビット線構造を複数形成し、前記電気容量接触ホールが前記ビット線構造の間に設置され、前記第1導電層を処理するステップの前に、前記アレイ領域のビット線構造及び前記周辺回路領域の素子層に対して薄肉化処理を行う。
【0010】
更に、前記ビット線構造はビット線接触島及びビット線を備え、前記ビット線接触島が前記半導体基板と接触し、前記ビット線が前記ビット線接触島に設置され、前記ビット線が導電層及び前記導電層に設置される媒体層を含み、薄肉化処理ステップで前記媒体層が薄肉化される。
【0011】
更に、前記第1導電層を処理するステップは、前記第1導電層に対してイオン注入を行って、第1導電層の表面平坦度を破壊して、前記第1導電層の粗さを増大するステップを更に含む。
【0012】
更に、前記第1導電層が多結晶シリコン層であり、前記第1導電層に対してイオン注入を行うステップは、前記第1導電層に対してゲルマニウムイオン、炭素イオン又はヒ素イオン注入を行うことである。
【0013】
更に、前記第1導電層に対してイオン注入を行うステップで、前記周辺回路領域の素子層の表面に堆積層も形成される。
【0014】
更に、前記第1導電層を処理するステップの後、更に、隔離層を形成するステップであって、前記隔離層は前記アレイ領域及び前記周辺回路領域の表面をカバーするステップと、前記周辺回路領域に導線接触ホールを形成するステップの後、前記隔離層を除去するステップと、を含む。
【0015】
更に、遷移層を形成するステップは、コバルト層を堆積させるステップであって、前記電気容量接触ホールの底部及び前記導線接触ホールの底部で、コバルトがそれぞれ前記第1導電層及び前記半導体基板と反応して、前記遷移層を形成するステップと、急速加熱処理を行うステップと、を更に含む。
【0016】
更に、前記アレイ領域に位置する遷移層の厚さが前記周辺回路領域に位置する遷移層の厚さより大きい。
【0017】
更に、前記第2導電層が粘着層及び金属導電層を含み、第2導電層を形成するステップは、更に、
遷移層の表面に粘着層を形成するステップと、
前記粘着層の表面に金属導電層を形成し、前記金属導電層が前記電気容量接触ホール及び前記導線接触ホールに充填されるステップと、を含む。
【0018】
本発明は、アレイ領域及び周辺回路領域を含む半導体基板であって、前記アレイ領域において前記半導体基板に複数の電気容量接触ホールを有し、前記電気容量接触ホールが前記半導体基板を露出させ、前記周辺回路領域において前記半導体基板に複数の導線接触ホールを有し、前記導線接触ホールが前記半導体基板を露出させる半導体基板と、前記電気容量接触ホール内に設置される複数の電気容量導電構造であって、一部の前記電気容量接触ホールに充填される第1導電層、少なくとも前記第1導電層をカバーする遷移層、及び前記遷移層をカバーし且つ前記電気容量接触ホールに充填される第2導電層を含み、前記第1導電層が前記半導体基板と接触する複数の電気容量導電構造と、前記導線接触ホール内に設置される複数の導線構造であって、前記半導体基板の表面をカバーする遷移層、及び前記遷移層をカバーし且つ前記導線接触ホールに充填される第2導電層を含み、前記遷移層が前記半導体基板と接触する複数の導線構造と、を備え、前記電気容量導電構造の遷移層の厚さが前記導線構造の遷移層の厚さより大きい半導体構造を更に提供する。
【0019】
更に、前記周辺回路領域において前記半導体基板に構造層を有し、前記導線接触ホールが前記構造層を貫通する。
【0020】
更に、前記電気容量導電構造は前記第1導電層内に位置するイオン注入層を更に含み、前記周辺回路領域において前記構造層は素子層及び前記素子層に位置する堆積層を更に含み、前記堆積層が前記イオン注入層と同種の材料層である。
【0021】
更に、アレイ領域において、前記半導体基板に個別に設置されるビット線構造を複数有し、前記電気容量接触ホールが前記ビット線構造間に設置される。
【0022】
更に、前記ビット線構造はビット線接触島及びビット線を備え、前記ビット線接触島が前記半導体基板と接触し、前記ビット線が前記ビット線接触島に設置され、前記ビット線が導電層及び前記導電層に設置される媒体層を含む。
【0023】
更に、前記第2導電層は、少なくとも前記遷移層の表面をカバーする粘着層と、前記粘着層をカバーし且つそれぞれ前記電気容量接触ホール及び前記導線接触ホールに充填される金属導電層とを含む。
【0024】
本発明のメリットは、アレイ領域において第1導電層の表面に対して粗面化処理を行うことで、同一のステップでアレイ領域と周辺回路領域に形成された遷移層の厚さが異なり、アレイ領域と周辺回路領域の遷移層の厚さに対する要求が満たされて、アレイ領域の導線の導電性能を向上させると共に、周辺回路領域の厚すぎる遷移層による漏電を回避することができ、半導体構造の性能が大幅に高くなり、製造プロセスが簡単で、煩わしいプロセスステップを別に増加しないことである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のステップの模式図である。
【
図2】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図3】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図4】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図5】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図6】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図7】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図8】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【
図9】本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下において、図面を参照しながら本発明による半導体構造及びその製造方法の具体的な実施形態を詳細に説明する。
【0027】
図1は本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のステップの模式図である。
図1に示すように、前記半導体構造の製造方法は、半導体基板を提供するステップであって、前記半導体基板はアレイ領域及び周辺回路領域を含み、前記アレイ領域において前記半導体基板に複数の電気容量接触ホールを有し、前記電気容量接触ホールの底部に第1導電層が堆積しており、前記周辺回路領域において前記半導体基板に素子層を有するステップS10と、前記第1導電層を処理して、前記第1導電層の粗さを増大するステップS11と、前記周辺回路領域に導線接触ホールを形成し、前記導線接触ホールから前記半導体基板を露出させるステップS12と、遷移層を形成するステップであって、前記遷移層は少なくとも前記第1導電層の表面及び前記導線接触ホールから露出した前記半導体基板の表面をカバーするステップS13と、第2導電層を形成するステップであって、前記第2導電層は前記遷移層をカバーし、前記電気容量接触ホール及び前記導線接触ホールに充填されるステップS14とを含む。
【0028】
図2~
図9は本発明の半導体構造の製造方法の一実施例のプロセスのフローチャートである。
【0029】
ステップS10及び
図2に示すように、アレイ領域A及び周辺回路領域Bを含む半導体基板200を提供し、前記アレイ領域Aにおいて前記半導体基板200に複数の電気容量接触ホール210を有し、前記電気容量接触ホール210の底部に第1導電層220が堆積しており、前記周辺回路領域Bにおいて前記半導体基板200に素子層230を備える。
【0030】
前記半導体基板200はシリコン基板又はゲルマニウム基板を含むが、それらに限定されない。
【0031】
前記アレイ領域Aにおいて、前記半導体基板200内には浅溝隔離構造201及び前記浅溝隔離構造201によって仕切られたアクティブ領域202が設置されている。前記電気容量接触ホール210が一部の前記アクティブ領域202を露出させる。前記第1導電層220は前記電気容量接触ホール210の底部に堆積しており、前記アクティブ領域202に電気的に接続可能である。本実施例では、前記第1導電層220は多結晶シリコン層である。
【0032】
更に、前記半導体基板200に、個別に設置されるビット線構造203が複数形成され、隣接するビット線構造203の間に間隔があり、前記電気容量接触ホール210が隣接する前記ビット線構造203の間の間隔領域に設置される。前記ビット線構造203が設定方向に沿って延在し、例えば、この実施例では、前記ビット線構造203が紙表面に垂直な方向に沿って延在する。
【0033】
前記ビット線構造203はビット線接触島203A及び前記ビット線接触島203Aに設置されるビット線を含む。前記ビット線接触島203Aは間隔を空けて前記半導体基板200に分布され、例えば、本実施例では、前記ビット線203の延在方向において前記ビット線接触島203Aが順次並べられる。前記ビット線接触島203Aは半導体基板200の中のアクティブ領域202と接触して、ビット線をアクティブ領域202に電気的に接続させる。具体的には、
図2に示す断面模式図において、ビット線接触島203Aが存在する領域において、ビット線が前記ビット線接触島203Aを介してアクティブ領域202に電気的に接続され、ビット線接触島203Aが存在しない領域において、ビット線とアクティブ領域の間に絶縁層があり、即ちビット線がアクティブ領域202に電気的に接続されない。前記ビット線接触島203Aは多結晶シリコン等の材料で形成されてもよい。前記ビット線は多層導電層2031で構成してもよく、例えば、一実施例では、前記ビット線は多結晶シリコン層、TiN層及び金属タングステン層等の導電層で構成される。前記導電層2031に前記導電層を保護する媒体層2032が設置され、前記媒体層2032は窒化ケイ素層を含むが、それに限定されない。
【0034】
更に、前記ビット線構造203は前記導電層2031及び前記媒体層2032の側壁に設置される保護層2033を更に含み、前記保護層2033は窒化ケイ素層であってもよい。
【0035】
前記周辺回路領域Bにおいて、前記半導体基板200は浅溝隔離構造201、前記浅溝隔離構造201によって仕切られたアクティブ領域202、及び前記半導体基板200に設置された前記素子層230を含む。前記素子層230は半導体基板の表面に設置された導電構造層231及び絶縁層232を含む。前記導電構造層231内には前記アクティブ領域202に対応する導電構造が設置される。前記導電構造はトランジスタのゲートとしてもよい。前記絶縁層232は前記導電構造層231をカバーして、前記導電構造層231を保護する。
【0036】
更に、後続のプロセスを容易に行うように、例えば、後続の第2導電層(
図9に示す)の充填を容易に行うように、ステップS10の後、薄肉化ステップを更に含む。具体的には、
図3に示すように、前記アレイ領域Aのビット線構造203及び前記周辺回路領域Bの素子層230に対して薄肉化処理を行う。当該ステップで、アレイ領域Aにおいて、前記ビット線の導電層2031が露出しないように前記媒体層2032及びその側壁の保護層2033が薄肉化される。前記周辺回路領域Bにおいて、前記素子層230の導電構造層231における導電構造が露出しないように前記素子層230の絶縁層232が薄肉化される。更に、エッチング等の方式で前記媒体層2032、前記保護層2033及び前記絶縁層232を薄肉化してもよい。
【0037】
ステップS11及び
図4を参照して、前記第1導電層220を処理して、前記第1導電層220の粗さを増大する。当該ステップで、前記第1導電層220の表面の粗さが増加すると、その表面の表面積が増大し、後で遷移層250(
図8に示す)を形成するプロセスに寄与し、遷移層と第1導電層220の接触面積が増大すると、更に遷移層の厚さを増大できる。
【0038】
本実施例では、前記第1導電層220に対してイオン注入を行って、第1導電層220の表面平坦度を破壊して、前記第1導電層220の粗さを増大し、
図4において第1導電層220の表面における影響された領域220Aを陰影で示す。前記第1導電層220に対してイオン注入を行う時、イオンは第1導電層220の表面に衝撃して第1導電層220の化学結合を切断して、第1導電層220の表面の平坦度を破壊して、第1導電層220の表面粗さを増加する。例えば、前記第1導電層220が多結晶シリコンである時、イオン注入は多結晶シリコンのSi-Si化学結合を切断して、多結晶シリコンの表面の平坦度を破壊して、多結晶シリコンの表面粗さを増加して、更に後続の遷移層と多結晶シリコンの反応面積を増加して、遷移層の厚さを増大する。
【0039】
ここで、原子半径が大きいイオン、例えばゲルマニウムイオン、炭素イオン又はヒ素イオンを採用してイオン注入を行ってもよく、これによって第1導電層220の化学結合を更に切断して、第1導電層220の粗さを更に増加する。
【0040】
図4に示すように、イオン注入を行った後、アレイ領域Aにおいて、前記第1導電層220にイオン注入層400が形成されている。周辺回路領域Bにおいて、前記素子層230の遮断作用によって、具体的には、絶縁層232の遮断によって、イオンが前記素子層230に注入されず、素子層230の表面に堆積して堆積層410を形成している。イオン注入の深さは実際の状況に応じて決定可能であり、イオン注入後形成された前記イオン注入層400の位置が後続の遷移層250の形成に影響しなければよい。
【0041】
更に、後続プロセスで第1導電層が酸化されることを回避するために、ステップS11の後、隔離層を形成するステップを更に含む。具体的には、
図5に示すように、前記アレイ領域A及び前記周辺回路領域Bの表面をカバーする隔離層500を形成する。この実施例では、前記隔離層500は窒化ケイ素層であり、アレイ領域Aにおいて、前記ビット線構造203の表面、前記第1導電層220の表面をカバーし、周辺回路領域Bにおいて、前記堆積層410の表面をカバーする。
【0042】
ステップS12及び
図6を参照して、前記周辺回路領域Bにおいて、導線接触ホール240を形成し、前記導線接触ホール240は前記半導体基板200を露出させる。具体的には、本実施例では、フォトリソグラフィ及びエッチングプロセスを採用して前記導線接触ホール240を形成する。前記導線接触ホール240は前記堆積層410及び前記素子層230を貫通し、前記半導体基板200のアクティブ領域202を露出させる。ここで、前記導線接触ホール240が前記導電構造層231の導電構造の両側に設置される。
【0043】
前記導線接触ホール240を形成する時、前記アレイ領域Aがマスクによって遮蔽されて、エッチングされることを回避することが理解可能である。
【0044】
更に、ステップS12で、導線接触ホールを形成した後、
図7に示すように、前記隔離層500を除去して、前記第1導電層220を露出させるステップを更に含む。当該ステップで、エッチングの方法で前記隔離層500を除去してもよい。
【0045】
ステップS13及び
図8を参照して、少なくとも前記第1導電層220の表面及び前記導線接触ホール240から露出した前記半導体基板200の表面をカバーする遷移層250を形成する。
【0046】
本実施例では、前記遷移層250を形成する方法は、アレイ領域A及び周辺回路領域Bにコバルトを堆積させ、前記電気容量接触ホール210の底部及び前記導線接触ホール240の底部で、コバルトがそれぞれ前記半導体基板200及び前記第1導電層220と反応して遷移層250を形成し、他の領域において、例えば、前記電気容量接触ホール210の側壁及び前記導線接触ホール240の側壁において、コバルトを堆積させてコバルト層を形成する。コバルトを堆積した後、酸洗等の方法で前記電気容量接触ホール210の側壁及び前記導線接触ホール240の側壁のコバルト層を洗浄除去して、前記遷移層250を残す。具体的には、前記半導体基板がシリコン基板であり、前記第1導電層220が多結晶シリコン層である時、前記電気容量接触ホール210の底部及び前記導線接触ホール240の底部で、コバルトがシリコンと反応して珪化コバルト(CoSix)層を形成し、前記珪化コバルト層が前記遷移層であり、他の領域において、コバルトが堆積されてコバルト層を形成する。コバルトが堆積された後、前記コバルト層を洗浄除去する。
図8で遷移層250の構造を明らかに示すために、遷移層250のサイズを適当に誇大に示している。
【0047】
更に、遷移層250を形成した後、不活性ガスの環境で急速加熱処理(rapid thermal process:RTP)を行い、例えば、作製プロセス温度700℃~850℃の温度環境で行う。このようにして、電気容量接触ホール210及び導線接触ホール240において未反応のコバルト及び反応が不完全なCoSi相珪化物が完全に反応して完璧な珪化コバルト層を形成して、その抵抗値を更に低くする。
【0048】
ステップS13で、第1導電層220が粗面化処理されたが、導線接触ホール240から露出した半導体基板200が粗面化処理されておらず、その表面が平坦な表面であるため、第1導電層220の表面の粗さが導線接触ホール240から露出した半導体基板200の粗さより大きく、このようにコバルトを堆積させる時、コバルトと第1導電層220の接触面積がコバルトと導線接触ホール240から露出した半導体基板200の接触面積より大きく、電気容量接触ホール210に形成された遷移層250の厚さが導線接触ホール240に形成された遷移層250の厚を遥かに超える。アレイ領域Aにとっては、遷移層250は厚さが十分に厚く、その導通電流が大きく、導線性能が優れるが、周辺回路領域Bにとっては、遷移層250は厚過ぎなく、更に高過ぎる導通電流を招くことがなく、絶縁破壊効果が回避されて、漏電の増大が回避される。
【0049】
ステップS14及び
図9を参照して、前記遷移層250をカバーし、前記電気容量接触ホール210及び前記導線接触ホール240に充填される第2導電層260を形成する。
【0050】
本実施例では、前記第2導電層260は粘着層261及び金属導電層262を含む。第2導電層260を形成し、更に、遷移層250の表面、電気容量接触ホール210の側壁及び導線接触ホール240の側壁に粘着層261を形成し、前記粘着層261はTiN層を含むが、それに限定されないステップと、前記粘着層261の表面に金属導電層262を形成し、前記金属導電層262は前記電気容量接触ホール210及び前記導線接触ホール240に充填され、前記金属導電層262は金属タングステン層であってもよいステップと、を含む。
【0051】
前記アレイ領域Aにおいて、前記第1導電層220、前記遷移層250及び前記第2導電層260が電気容量導電構造を形成し、前記遷移層250が第1導電層220と第2導電層260との間の接触抵抗を低減できる。
【0052】
前記周辺回路領域Bにおいて、前記遷移層250と前記第2導電層260が導線構造を形成し、前記遷移層250はそれぞれ前記半導体基板200と第2導電層260に接続されて、前記半導体基板200と第2導電層260との間の接触抵抗を低減し、層間接続性能を増加することができる。前記周辺回路領域において、前記導線構造は半導体基板200におけるトランジスタのソース・ドレイン領域と接触して、ソース・ドレイン領域を引き出すことに用いられ、前記素子層230の導電構造層231の中の導電構造はトランジスタのゲートとして、トランジスタの導通を制御することに用いられる。前記トランジスタは主に制御回路として用いられる。
【0053】
本発明の半導体構造の製造方法は同一のステップでアレイ領域Aに厚さが厚い遷移層を形成でき、周辺回路領域Bに厚さが薄い遷移層を形成でき、アレイ領域A及び周辺回路領域Bの遷移層の厚さに対する要求を満たし、半導体構造の性能を大幅に向上させる。
【0054】
本発明は更に上記製造方法で製造された半導体構造を提供する。
図9に示すように、前記半導体構造は半導体基板200、複数の電気容量導電構造及び複数の導線構造を含む。
【0055】
前記半導体基板200はアレイ領域A及び周辺回路領域Bを含む。前記アレイ領域Aにおいて前記半導体基板200に複数の電気容量接触ホール210を有し、前記電気容量接触ホール210が前記半導体基板200を露出させ、前記周辺回路領域Bにおいて前記半導体基板200に複数の導線接触ホール240を有し、前記導線接触ホール240が前記半導体基板200を露出させる。複数の電気容量導電構造が前記電気容量接触ホール210内に設置される。前記電気容量導電構造は一部の前記電気容量接触ホール210に充填される第1導電層220、少なくとも前記第1導電層220をカバーする遷移層250、及び前記遷移層250をカバーし且つ前記電気容量接触ホール210に充填される第2導電層260を含み、前記第1導電層220が前記半導体基板200と接触し、前記遷移層250が前記第1導電層220に形成される。前記遷移層250は前記第1導電層220と前記第2導電層260の接触抵抗を低減して、電気容量導電構造の性能を向上させることができる。
【0056】
更に、アレイ領域Aにおいて、前記半導体基板200に個別に設置されるビット線構造203を複数有し、前記電気容量接触ホール210が前記ビット線構造203の間に設置され、このように前記電気容量導電構造も前記ビット線構造203の間に位置する。前記ビット線構造203はビット線接触島203A及びビット線を備え、前記ビット線接触島203Aが前記半導体基板200と接触し、前記ビット線が前記ビット線接触島203Aに設置される。更に、前記ビット線は導電層2031及び前記導電層2031に設置される媒体層2032を含む。
【0057】
更に、前記電気容量導電構造は前記第1導電層220内に位置するイオン注入層400を更に含む。
【0058】
複数の導線構造は前記導線接触ホール240内に設置され、前記導線構造は前記半導体基板200の表面をカバーする遷移層250、前記遷移層250をカバーし且つ前記導線接触ホール240に充填される第2導電層260を含み、前記遷移層250が前記半導体基板200と接触する。更に、前記周辺回路領域Bにおいて前記半導体基板200に構造層を有し、前記導線接触ホール240が前記構造層を貫通する。前記構造層は素子層230及び前記素子層230に位置する堆積層410を含む。前記堆積層410が前記イオン注入層400と同種の材料層であり、例えば、いずれもゲルマニウム材料層、炭素材料層又はヒ素材料層である。
【0059】
更に、前記第2導電層260は、少なくとも前記遷移層250の表面をカバーする粘着層261と、前記粘着層261をカバーし且つそれぞれ前記電気容量接触ホール210及び前記導線接触ホール240に充填される金属導電層262とを含む。
【0060】
前記電気容量導電構造の遷移層250の厚さが前記導線構造の遷移層250の厚さより大きく、アレイ領域A及び周辺回路領域Bの遷移層の厚さに対する要求を満たして、半導体構造の性能を大幅に向上させる。
【0061】
上記は本発明の好ましい実施形態に過ぎず、当業者であれば、本発明の原理を逸脱することなく更に若干の改良と修正を実施可能であり、これらの改良と修正も本発明の保護範囲とされるべきであることは指摘する必要がある。